平成25年12月18日判決名古屋高等裁判所平成25年(行ケ)第1号選挙無効請求事件(以下「1号事件」という。)平成25年(行ケ)第2号選挙無効請求事件(以下「2号事件」という。)平成25年(行ケ)第3号選挙無効請求事件(以下「3号事件」という。)主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 1号事件原告平成25年7月21日に行われた参議院(選挙区選出)議員選挙の愛知県選挙区における選挙を無効とする。 2 2号事件原告平成25年7月21日に行われた参議院(選挙区選出)議員選挙の三重県選挙区における選挙を無効とする。 3 3号事件原告平成25年7月21日に行われた参議院(選挙区選出)議員選挙の岐阜県選挙区における選挙を無効とする。 第2 事案の概要本件は,平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙(以下「本件選挙」という。)について,愛知県選挙区の選挙人である1号事件原告,三重県選挙区の選挙人である2号事件原告及び岐阜県選挙区の選挙人である3号事件原告が,公職選挙法14条,別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定(以下,平成24年法律第94号による改正後のものを「本件定数配分規定」といい,同改正を含む数次の改正の前後を通じ,平成6年法律第2号による改正前の別表第二を含め,「参議院議員定数配分規定」という。)は憲法14条1項等に違反し無効であるから,同規定に基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟である。 1 前提事実(当事者間に う。)は憲法14条1項等に違反し無効であるから,同規定に基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか,証拠上明らかな事実及び関係法令)(1) 1号事件原告は本件選挙の愛知県選挙区の,2号事件原告は本件選挙の三重県選挙区の,3号事件原告は本件選挙の岐阜県選挙区の各選挙人である。 (2)ア本件選挙は,平成24年法律第94号による改正(以下「平成24年改正」という。)後の公職選挙法14条1項,別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定(本件定数配分規定)に基づき施行された。 イ本件選挙施行当時の参議院議員の定数は242人であり,そのうち96人を比例代表選出議員,146人を選挙区選出議員としている(公職選挙法4条2項)。 選挙区選出議員について,本件定数配分規定により,都道府県を単位とする各選挙区に2人から10人までの偶数の議員定数が配分されている。 ウ本件選挙施行時における選挙区選出議員1人当たりの選挙人数の最大較差は,鳥取県選挙区と北海道選挙区の間に生じた1対4.77(以下,較差に関する数値は全て概数である。)であり,選挙区選出議員1人当たりの選挙人数が最少の鳥取県選挙区と原告らが属する選挙区との較差は,愛知県選挙区との較差が1対4.07,三重県選挙区との較差が1対3.11,岐阜県選挙区との較差が1対3.48である(以下,議員1人当たりの選挙人数又は人口の最大較差は,明記しない場合でも選挙区選出の議員1人当たりの選挙人数又は人口の最大較差をいう。)。(乙1) 2 争点本件定数配分規定が憲法に違反する無効なものか。 3 争点に対する当事者の主張(原告らの主張) 出の議員1人当たりの選挙人数又は人口の最大較差をいう。)。(乙1) 2 争点本件定数配分規定が憲法に違反する無効なものか。 3 争点に対する当事者の主張(原告らの主張)(1) 憲法は,「主権は国民に存する」,「日本国民は,正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し,」などと定めているところ,これは,主権者である国民の多数意見による国家権力支配の法理を定めたものと解され,重要な国政問題が僅差の国民(主権者)の多数決によって決まることは稀ではないから,国会議員の多数決が主権者の多数決と等価であることが必須であり,人口比例選挙でなければ「正当な選挙」とはいえない。憲法は,人口比例選挙を要請している。 本件選挙は,都道府県を選挙区の単位として行われ,本件定数配分規定に基づく議員1人当たりの登録有権者数の最大較差は1対4.77である。 都道府県を参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく,また,参議院議員の選挙であること自体から,直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見出し難い(最高裁平成23年(行ツ)第135号同24年10月17日大法廷判決(甲1。以下「甲1号証の大法廷判決」という。)参照)。本件定数配分規定は人口比例に基づいて定数配分をしておらず,平成24年12月に施行された衆議院議員総選挙の最大較差の1対2.43にも劣後するものであるから,憲法が規定する正当な選挙に基づく代議制(国民主権)及び選挙権の平等の保障に反する。 上記のような非人口比例選挙は違憲である。 (2) 投票価値の平等は憲法上の要請であるから,投票価値の平等からの乖離を生む立法裁量権の行使が合理的であることの立証責任は被告らにある。このことは,「選挙人は,本件選挙区間の人口較差が均一な人口 (2) 投票価値の平等は憲法上の要請であるから,投票価値の平等からの乖離を生む立法裁量権の行使が合理的であることの立証責任は被告らにある。このことは,「選挙人は,本件選挙区間の人口較差が均一な人口の選挙区にしようとする誠実な努力によって,減少若しくは排除可能であったことの立証責任を負う。もし,選挙人がこの立証責任を果たせば,被告は,本件選挙区間の人口較差は,憲法上許容される適法目的を達成するために必要であったことの立証責任を負う。」との1983年のアメリカ合衆国連邦最高裁判決(甲27)からも明らかである。 また,その判断については,在外国民の選挙権の行使の制限に関する事案と同じ「国民の選挙権又はその行使を制限することは原則として許されず,国民の選挙権又はその行使を制限するためには,そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないというべきである。そして,そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難であると認められる場合でない限り,上記のやむを得ない事由があるとはいえず」(最高裁平成13年(行ツ)第82号,第83号,同年(行ヒ)第76号,第77号同17年9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁)とのいわゆる厳格な判断基準を採用すべきである。 (3)ア甲1号証の大法廷判決は,選挙における投票権の価値が憲法の平等の要求に反する状態に至っていても,投票日の時点で立法裁量のための合理的期間の末日を経過していなければ,選挙は違憲ではないという論理を採用しているが,このような論理は,裁判所が選挙が違憲状態であると認定した場合でも,合理的期間の末日を経過していなければ当該選挙は有効とするものであり,憲法の最高法規性(98条1項)に違反する 理を採用しているが,このような論理は,裁判所が選挙が違憲状態であると認定した場合でも,合理的期間の末日を経過していなければ当該選挙は有効とするものであり,憲法の最高法規性(98条1項)に違反する上,「違憲状態」の国会議員は,「正当に選挙された国会における代表者」ではないため,そもそも,立法等に関与する資格はなく,立法裁量権を有さないから,上記論理は許されない。 イ仮に,「合理的期間」を考慮できるとしても,国会は,合理的期間内に憲法による投票価値の平等の要求に合致させる方向で選挙制度改革の法改正を完了する義務を負うところ,最高裁平成20年(行ツ)第209号同21年9月30日大法廷判決(民集63巻7号1520頁,以下「平成21年大法廷判決」という。)において参議院議員の選挙制度の構造的問題及びその仕組み自体の見直しの必要性が指摘されていることからすると,上記合理的期間の起算日は,同判決が言い渡された日(平成21年9月30日)である。 また,その期間は,選挙制度を見直す立法をできるだけ早く審議,議決するのに合理的に必要な期間であると解すべきであり,参議院の選挙制度改革のために設置された専門委員会が,平成22年5月に,参議院議長に対し,本件選挙に向けて,平成23年中に選挙制度の見直しをする法案を提出することを合意した旨の文書を提出していることからすると,平成23年末(同年12月31日)までとなる。また,平成24年12月に施行された衆議院議員総選挙の各選挙無効請求事件について,定数配分に関する規定が違憲であると判断した各高裁判決の内容に照らしても,起算日から長くても1年9か月弱となるから,いずれにしても,本件選挙施行日において上記合理的期間は経過していた。 ウ被告らは,参議院選挙制度協議会における協議等が行われていた旨主張 に照らしても,起算日から長くても1年9か月弱となるから,いずれにしても,本件選挙施行日において上記合理的期間は経過していた。 ウ被告らは,参議院選挙制度協議会における協議等が行われていた旨主張するが,協議会の開催間隔が長すぎる上,選挙区割についての実質的な審議をしていないことに照らせば,考慮できる事情ではない。 また,平成24年改正は,各選挙区の単位を都道府県とし,各選挙区の定員を偶数とする場合でも,「10増10減」とすれば,議員1人当たりの登録有権者数の最大較差は1対4.31にすることができたにもかかわらず,投票価値の平等の点でこれに劣後する「4増4減」にとどまった上,国会に,平成28年に実施が予定されている参議院議員通常選挙までに選挙制度の抜本的見直しをする義務を課していないのであるから,上記合理的期間の経過との関係で意味のある改正ではない。 (4) 事情判決の法理は,憲法の最高法規性(98条1項)を否定する法理であり,同条項違反であるから,許されない。 また,選挙無効判決によって,選挙は,将来に向かって効力を失うにすぎないし,少なくとも,本件選挙については,全選挙区の選挙について選挙無効請求事件が提起されたから,最高裁判所において一部の選挙区における選挙のみを違憲無効と判断することはあり得ず,「議員定数配分規定の改正が一部の無効とされた選挙区から選出された議員が存在しない状態で行われざるを得ないなど一時的にせよ憲法の予定しない事態が現出することによってもたらされる不都合」はない。そして,本件選挙の選挙区選出議員全員を除いた残余の参議院議員169人でも参議院の定足数を超える上,平成6年に施行された「衆議院議員選挙区画定審議会設置法」によれば,選挙無効の判決が言い渡された場合,内閣総理大臣の求めにより,「衆 員を除いた残余の参議院議員169人でも参議院の定足数を超える上,平成6年に施行された「衆議院議員選挙区画定審議会設置法」によれば,選挙無効の判決が言い渡された場合,内閣総理大臣の求めにより,「衆議院議員選挙区画定審議会」が同判決に従った選挙区割の改正法案を勧告し,同勧告を受けて,全国民を代表する残余の「衆議院議員」が改正法案の可否を決定し得るから,選挙無効判決の選挙区の有権者が,同改正法案の国会での成立によって不利益を受けることはなく,投票価値の不平等を容認することの弊害に比べると,違憲無効判決により生じる不都合は極めて小さいから,事情判決をすべき根拠はない。 (被告らの主張)(1) そもそも,憲法は,衆議院及び参議院が異なる構成の異なる特色を持った議院として機能することを当然に予定した上で,国会において,投票価値の平等の要求以外にも,参議院の独自性など,国民各自・各層の様々な利害や意見を議会に公正かつ効果的に反映させるという目的を達成するために合理的と認められる政策的目的ないし理由をも考慮して,その裁量により適切な選挙制度を定めることができるものとした趣旨と解するのが相当であり,二院制の趣旨を両議院の組織や選出方法にどのように反映させ,参議院独自の性格をいかに創出するかについては,法律事項として国会に委ねている。 そして,最高裁平成23年(行ツ)第51号同24年10月17日大法廷判決(民集66巻10号3357頁,以下「平成24年大法廷判決」という。)は,「社会的,経済的変化の激しい時代にあって不断に生ずる人口変動の結果,投票価値の著しい不平等状態が生じ,かつ,それが相当期間継続しているにもかかわらずこれを是正する措置を講じないことが,国会の裁量権の限界を超えると判断される場合には,当該議員定数配分規定が憲法に 果,投票価値の著しい不平等状態が生じ,かつ,それが相当期間継続しているにもかかわらずこれを是正する措置を講じないことが,国会の裁量権の限界を超えると判断される場合には,当該議員定数配分規定が憲法に違反するものと解するのが相当である」と判示した。これは,最高裁昭和54年(行ツ)第65号同58年4月27日大法廷判決(民集37巻3号345頁,以下「昭和58年大法廷判決」という。)を始めとする累次の最高裁大法廷判決の趣旨とするところでもある。 (2) 昭和22年に制定された参議院議員選挙法は,参議院議員250人を全国選出議員100人と地方選出議員150人とに区分し,前者については全都道府県の区域を通じて選出し,後者については都道府県を単位とする選挙区において選出する仕組みを採用した。同法案の提案理由説明において,当時のA内務大臣は,「全国選出議員は,学識経験ともに優れた全国的な有名有為の人材を簡抜することを主眼とするとともに,職能的知識経験を有するものが選出される可能性を生ぜしめることによって,職能代表制の有する長所を採り入れようとする狙いを持つもの」であり,こうした全国選出議員が「地域代表的性格を有する地方選出議員」と相まって,参議院を特徴あらしめる旨説明した。そして,各選挙区の議員定数については,半数改選という憲法上の要請(46条)を踏まえ,定数を偶数として最小限を2人とする偶数配分の方針が採られた。 昭和25年に制定された公職選挙法の参議院議員定数配分規定は,この仕組みをそのまま引き継いだものであり,その後,昭和57年法律第81号による公職選挙法の改正(以下「昭和57年改正」という。)において,従来の地方選出議員は選挙区選出議員と名称が変更されるなどしたが,選挙制度の仕組み自体に変更はなかった。 (3) 昭和22年の参議院議員の 職選挙法の改正(以下「昭和57年改正」という。)において,従来の地方選出議員は選挙区選出議員と名称が変更されるなどしたが,選挙制度の仕組み自体に変更はなかった。 (3) 昭和22年の参議院議員の選挙制度の発足時には1対2.62であった 投票価値の最大較差は,その後,拡大し,平成4年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「平成4年選挙」という。)時点においては1対6.59に達したが,平成6年法律第47号による公職選挙法の改正(以下「平成6年改正」という。),平成12年法律第118号による公職選挙法の改正(以下「平成12年改正」という。)及び平成18年法律第52号による公職選挙法の改正(以下「平成18年改正」という。)により,定数の削減や一部の選挙区の定数配分の変更により投票価値の較差の是正が図られ,平成19年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「平成19年選挙」という。)における最大較差は1対4.86,平成22年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「平成22年選挙」という。)のそれは1対5.00であった。 平成22年選挙以降,参議院では,正副議長及び各会派の代表により構成される「選挙制度の改革に関する検討会」及びその検討会の下に選挙制度協議会が設置され,本件選挙に向けて選挙制度の見直しを行うため,平成24年7月までの間に計11回にわたり協議が重ねられたが,全会派の合意に基づく成案を得るには至らなかった。 そこで,本件選挙に向けて,少なくとも較差の是正を図るため,選挙区選出議員について4選挙区で定数を4増4減すること(平成22年実施の国勢調査結果に基づく各選挙区間の議員1人当たりの人口の最大較差は1対4. 75となる。)を内容とする公職選挙法の一部を改正する法律案が平成24年8月に国会に提出され,同年 すること(平成22年実施の国勢調査結果に基づく各選挙区間の議員1人当たりの人口の最大較差は1対4. 75となる。)を内容とする公職選挙法の一部を改正する法律案が平成24年8月に国会に提出され,同年11月16日に可決されて成立し,同月26日に公布,施行された(平成24年改正)。 平成24年改正により,平成22年選挙において1対5.00であった投票価値の最大較差は,本件選挙においては1対4.77と縮小した。 また,上記法律案の附則3条には,平成28年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて,参議院の在り方,選挙区間における議員1人当たりの人口 の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,結論を得るものとするとの規定が置かれている。 そして,平成24年大法廷判決の言渡し後も,選挙制度協議会による協議は継続し,同年11月9日に第12回会合,平成25年3月5日に第13回会合,同年5月21日に第14回会合が開かれ,同年6月19日に開催された「選挙制度の改革に関する検討会」(第7回)において,民主党が参議院議長と各会派に対し,平成26年中に選挙制度の抜本改革の成案を得た上で,平成28年の参議院議員通常選挙から新選挙制度を適用する旨を明記した工程表を示し,各会派はこれを持ち帰り,本件選挙後も引き続き抜本的な見直しに向けた協議を行い,早急に結論を得ることが確認されていたものであり,本件選挙前の時点において,参議院議員の選挙制度を見直すに当たって検討すべき論点を整理し,各会派の了承を得るまでには至っていなかったものの,その後の工程表を取りまとめる段階にまで至っていた。 (4) 本件選挙後も,B参議院議長が,平成25年8月,参議院本会議において,参議院議員の選挙制度改革は喫緊の課題であり,各会 いなかったものの,その後の工程表を取りまとめる段階にまで至っていた。 (4) 本件選挙後も,B参議院議長が,平成25年8月,参議院本会議において,参議院議員の選挙制度改革は喫緊の課題であり,各会派には,精力的に検討するよう強く希望すると発言するなどしているほか,同年9月12日,参議院各会派代表者による懇談会が開催され,「選挙制度の改革に関する検討会」を発足させることが合意され,同懇談会に引き続き,同検討会の第1回会合が開催された。同検討会の第1回会合では,同検討会の下に各会派により構成される協議会を設置することとされ,同月19日に開催された同検討会の第2回会合において,選挙制度協議会の設置に関する要綱が定められ,B参議院議長から「今後の大まかな工程表(案)」(乙18の2)を基本にして協議を進める方針が示され,同月27日,選挙制度協議会の第1回会合が開催され,今後,週1回の頻度で会合を開き,有識者からの意見聴取等を行っていくことなどが確認された。 このように,国会においては,参議院議員の選挙制度の抜本的な改革に向けた協議が始められており,今後,議論が進展していくことが十分に見込まれる状況にある。 (5) 平成24年大法廷判決は,これまでの大法廷判決よりも更に踏み込んで選挙制度の見直しを求めたものであり,「都道府県を選挙区の単位として固定する結果,その間の人口較差に起因して投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続していると認められる状況の下では,上記の仕組み自体を見直すことが必要になる」と初めて明記し,この点で,これまでの累次の大法廷判決と大きく異なる判断を示したものである。 しかしながら,都道府県単位の仕組みを見直すということは,例えば,人口の少ない複数の県を合区として選挙を実施するものであり,選挙結果によれば 次の大法廷判決と大きく異なる判断を示したものである。 しかしながら,都道府県単位の仕組みを見直すということは,例えば,人口の少ない複数の県を合区として選挙を実施するものであり,選挙結果によれば,県によっては1人の参議院議員も存在しないという事態を招きかねないものであって,このような見直しには,国民的な議論を踏まえた複雑かつ高度に政策的な考慮と判断を要する。定数配分に関する世論や民意の反映,とりわけ地方の声をいかにして国会に正当に反映させるかといった観点も国会が正当に考慮し得る政策的目的ということができるのであって,国民各自・各層の複雑な利害・意見の対立が,しばしば都市と地方の対立構造として表出する今日の状況や,参議院の独自性,地域代表的な性格を重視する意見等をみるに,かかる意義は依然として重要性を失っていないというべきである。 また,選挙区選出議員の定数増加など都道府県を選挙区の単位とする仕組みの見直し以外の方法によっても,投票価値の最大較差の是正を図ることが可能である。 このように,投票価値の平等を可及的に実現するための方法については幅広い国民的議論が存し,無数の選択肢があり得,都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の選挙制度の仕組み自体は,制度創設以来60年余り不変であって,国民の間に深く浸透し,近年まで合理的なものとして定着してきたのであるから,その適否を巡っては,相応の慎重さをもって検討すべきであり,近時,投票価値の平等がより厳格に要請されるようになったという事情を重視しつつも,総合的かつ高度に政策的な考慮と判断の下,より憲法に適合的な代表制の在り方を模索する合理的な過程を経る必要があるというべきである。 したがって,本件選挙までの間に本件定数配分規定を更に改正しなかったことが国会の裁量 と判断の下,より憲法に適合的な代表制の在り方を模索する合理的な過程を経る必要があるというべきである。 したがって,本件選挙までの間に本件定数配分規定を更に改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとまではいえず,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえない。 第3 当裁判所の判断 1 前提事実,証拠(甲1,2,21ないし23,36,42,53,乙2,3,5,7,9ないし18(枝番を含む。))及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。 (1) 昭和22年に制定された参議院議員選挙法は,参議院議員の選挙について,参議院議員250人を全国選出議員100人と地方選出議員150人とに区分し,全国選出議員については,全都道府県の区域を通じて選出されるものとし,地方選出議員については,その選挙区及び各選挙区における議員定数を別表で定め,都道府県を単位とする選挙区において選出されるものとした。そして,各選挙区の議員定数については,定数を偶数としてその最小限を2人とする方針の下に,昭和21年当時の人口に基づき,各選挙区の人口に比例する形で,2人ないし8人の偶数の議員定数を配分した。 昭和25年に制定された公職選挙法の参議院議員定数配分規定は,以上のような選挙制度の仕組みに基づく参議院議員選挙法の議員定数配分規定をそのまま引き継いだものであり,その後,沖縄返還に伴って沖縄県選挙区の議員定数2人が付加されたほかは,平成6年改正まで,上記参議院議員定数配分規定に変更はなかった。 なお,昭和57年改正により,従来の個人本位の選挙制度から政党本位の選挙制度に改める趣旨で,参議院議員選挙についていわゆる拘束名簿式比例代表制が導入され,各政党等の得票に比例して選出される比例代表選出議員 り,従来の個人本位の選挙制度から政党本位の選挙制度に改める趣旨で,参議院議員選挙についていわゆる拘束名簿式比例代表制が導入され,各政党等の得票に比例して選出される比例代表選出議員100人と都道府県を単位とする選挙区ごとに選出される選挙区選出議員152人とに区分されることになったが,比例代表選出議員は,全都道府県を通じて選出されるものであって,各選挙人の投票価値に差異がない点においては,従来の全国選出議員と同様であり,選挙区選出議員は従来の地方選出議員の名称が変更されたものにすぎない。 (2) 選挙区間における議員1人当たりの人口の最大較差は,参議院議員選挙法制定当時は1対2.62であったが,その後,次第に拡大し,昭和52年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「昭和52年選挙」という。)における選挙区間の投票価値の最大較差は1対5.26となった。昭和58年大法廷判決は,昭和52年選挙につき,いまだ違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていたとするには足りない旨判示したが,平成4年選挙における選挙区間の投票価値の最大較差が1対6.59に拡大するに及んで,最高裁平成6年(行ツ)第59号同8年9月11日大法廷判決(民集50巻8号2283頁,以下「平成8年大法廷判決」という。)は,結論において平成4年選挙当時における参議院議員定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえないとしたものの,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていたものといわざるを得ない旨判示した。 他方,平成6年改正は,上記のように1対6.59にまで拡大していた選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差を是正する目的で行われ,前記のような参議院議員の選挙制度の仕組みに変更を加えることなく,直近の平成2 ,上記のように1対6.59にまで拡大していた選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差を是正する目的で行われ,前記のような参議院議員の選挙制度の仕組みに変更を加えることなく,直近の平成2年10月実施の国勢調査結果に基づき,できる限り増減の対象となる選挙区を少なくし,かつ,人口の少ない選挙区により多い議員定数が配分されるという,いわゆる逆転現象を解消することとして,参議院議員の総定数(252人)及び選挙区選出議員の定数(152人)を増減しないまま,7選挙区で定数を8増8減したものであり,上記改正の結果,上記国勢調査結果による人口に基づく選挙区間における議員1人当たりの人口の最大較差は,1対6.48から1対4.81に縮小し,いわゆる逆転現象は消滅することとなった。 その後,平成6年改正後の参議院議員定数配分規定の下で平成7年7月及び平成10年7月に施行された参議院議員通常選挙当時の選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差は1対4.97及び1対4.98であったところ,こうした国会における較差の縮小に向けた措置を踏まえ,最高裁平成9年(行ツ)第104号同10年9月2日大法廷判決(民集52巻6号1373頁)及び最高裁平成11年(行ツ)第241号同12年9月6日大法廷判決(民集54巻7号1997頁)は,いずれも,上記の較差が示す選挙区間における投票価値の不平等は,投票価値の平等の有する重要性に照らして到底看過することができないと認められる程度に達しているとはいえず,上記改正をもって立法裁量権の限界を超えるものとはいえないとして,当該各選挙当時における参議院議員定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえない旨判示した。 (3) 平成12年改正により,比例代表選出議員の選挙制度が,いわゆる非拘束名簿式 えないとして,当該各選挙当時における参議院議員定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえない旨判示した。 (3) 平成12年改正により,比例代表選出議員の選挙制度が,いわゆる非拘束名簿式比例代表制に改められるとともに,参議院議員の総定数が10人削減されて242人とされた。定数削減に当たっては,選挙区選出議員の定数を6人削減して146人とし,比例代表選出議員の定数を4人削減して96人とした上,選挙区選出議員の定数削減については,直近の平成7年10月実施の国勢調査結果に基づき,平成6年改正後に生じたいわゆる逆転現象を解消するとともに,選挙区間における議員1人当たりの選挙人数又は人口の較差の拡大を防止するために,定数4人の選挙区の中で人口の少ない3選挙区の定数を2人ずつ削減した。平成12年改正の結果,いわゆる逆転現象は消滅したが,上記国勢調査結果による人口に基づく選挙区間における議員1人当たりの人口の最大較差は1対4.79であって,上記改正前と変わらなかった。 平成12年改正後の参議院議員定数配分規定の下で平成13年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「平成13年選挙」という。)当時の選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差は1対5.06であったところ,最高裁平成15年(行ツ)第24号同16年1月14日大法廷判決(民集58巻1号56頁,以下「平成16年大法廷判決」という。)は,その結論において,同選挙当時,上記議員定数配分規定は憲法に違反するに至っていたものとすることはできない旨判示したが,同判決には,裁判官6名による反対意見のほか,漫然と同様の状況が維持されるならば違憲判断がされる余地がある旨を指摘する裁判官4名による補足意見が付された。また,上記議員定数配分規定の下で平成16年7月に施行された参議院 による反対意見のほか,漫然と同様の状況が維持されるならば違憲判断がされる余地がある旨を指摘する裁判官4名による補足意見が付された。また,上記議員定数配分規定の下で平成16年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「平成16年選挙」という。)当時の選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差は1対5.13であったところ,最高裁平成17年(行ツ)第247号同18年10月4日大法廷判決(民集60巻8号2696頁,以下「平成18年大法廷判決」という。)も,その結論において,同選挙当時,上記議員定数配分規定は憲法に違反するに至っていたものとすることはできない旨判示したが,同判決においては,投票価値の平等の重要性を考慮すると,投票価値の不平等の是正については国会における不断の努力が望まれる旨の指摘がされた。 平成16年大法廷判決を受けて,参議院議長が主宰する各会派代表者懇談会は,「参議院議員選挙の定数較差問題に関する協議会」を設けて協議を行ったが,平成16年選挙までの間に較差を是正することは困難であったため,同年6月1日,同選挙後に協議を再開する旨の申合せがされた。平成16年12月,参議院議長の諮問機関である参議院改革協議会の下に選挙制度に係る専門委員会が設けられて各種の是正案が検討され,当面の是正策として提案されたいわゆる4増4減案に基づき,平成18年改正がされた。 なお,同専門委員会が平成17年10月に参議院改革協議会に提出した報告書に示された意見によれば,現行の選挙制度の仕組みを維持する限り,各選挙区の定数を振り替える措置により較差の是正を図ったとしても,較差を1対4以内に抑えることは相当の困難があるとされていた。 (4) 平成18年改正後の参議院議員定数配分規定の下で施行された平成19年選挙当時の選挙区間に 措置により較差の是正を図ったとしても,較差を1対4以内に抑えることは相当の困難があるとされていた。 (4) 平成18年改正後の参議院議員定数配分規定の下で施行された平成19年選挙当時の選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差は1対4.86であったところ,平成21年大法廷判決は,その結論において,同選挙当時,上記議員定数配分規定は憲法に違反するに至っていたものとすることはできない旨判示したが,同判決においては,上記のような較差は投票価値の平等という観点からはなお大きな不平等が存する状態であって,選挙区間における投票価値の較差の縮小を図ることが求められる状況にあり,最大較差の大幅な縮小を図るためには現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となる旨の指摘がされた。 平成18年改正後の平成20年6月に改めて参議院改革協議会の下に専門委員会が設置され,同委員会において同年12月から平成22年5月までの約1年半の間に6回にわたる協議が行われたが,同年7月に施行される平成22年選挙に向けた較差の是正は見送られ,平成25年に施行される参議院議員通常選挙(本件選挙)に向けて選挙制度の見直しを行うこととされ,平成22年選挙後にその見直しの検討を直ちに開始すべき旨を参議院改革協議会において決定する必要があるとされるとともに,平成23年中の公職選挙法の改正法案の提出を目途とする旨の工程表も示された。 (5) 平成18年改正後の参議院議員定数配分規定の下で施行された平成22年選挙当時の選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差は1対5.00に拡大したところ,平成24年大法廷判決は,その結論において,平成22年選挙までの間に上記議員定数配分規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,上記議員定 5.00に拡大したところ,平成24年大法廷判決は,その結論において,平成22年選挙までの間に上記議員定数配分規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,上記議員定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない旨判示したが,同判決においては,平成22年選挙当時,前記の較差が示す選挙区間における投票価値の不均衡は,投票価値の平等の重要性に照らしてもはや看過し得ない程度に達しており,これを正当化すべき特別の理由も見いだせない以上,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたというほかはないと判示するとともに,国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤であり,投票価値の平等が憲法上の要請であることや,国政の運営における参議院の役割に照らせば,より適切な民意の反映が可能になるよう,単に一部の選挙区の定数を増減するにとどまらず,都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じ,できるだけ速やかに違憲の問題が生ずる上記不平等状態を解消する必要がある旨の指摘がされた。 (6) 平成22年選挙後,参議院に正副議長及び各会派の代表により構成される「選挙制度の改革に関する検討会」が発足し,その下に「選挙制度協議会」が設置された。平成22年12月22日に開催された上記検討会(第1回)において参議院議長から改革の検討の基礎となる案が提案され,平成23年以降,各政党からも様々な改正案が発表されるなどし,上記検討会及び選挙制度協議会において検討,協議が重ねられたが,全会派の合意に基づく成案を得るには至らなかった。そこで,本件選挙に向けて少なくとも較差の是正を図るため,選挙区選出議員について,4選挙区で定数 及び選挙制度協議会において検討,協議が重ねられたが,全会派の合意に基づく成案を得るには至らなかった。そこで,本件選挙に向けて少なくとも較差の是正を図るため,選挙区選出議員について,4選挙区で定数を4増4減することを内容とする公職選挙法の一部を改正する法律案が提出され,平成24年改正が行われた。その結果,平成22年実施の国勢調査結果に基づく選挙区間の議員1人当たりの人口の最大較差は1対4.75,本件選挙における選挙区間の議員1人当たりの選挙人数の最大較差は1対4.77とそれぞれ縮小した。 また,平成24年法律第94号による改正附則3条には,「平成28年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて,参議院の在り方,選挙区間における議員1人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,結論を得るものとする。」との規定が置かれており,平成24年大法廷判決の言渡し及び本件選挙の前後を通じて,選挙制度の改革に関する検討会及び選挙制度協議会による協議が継続された。平成25年6月19日に開催された上記検討会(第7回)において,選挙制度協議会の座長を務める民主党所属の議員から,参議院議長と各会派に対し,平成28年の参議院議員通常選挙に向けて,平成25年8月から同年12月までの間に,参議院選挙制度に係る協議機関を設置し,同協議機関において見直し案の検討に向けた準備及び有識者からの意見聴取等による検討を行うとともに,各会派における検討を行い,平成26年中に協議機関において見直し案の検討及び見直し案の取りまとめを行って協議機関報告書を決定し,平成27年中に見直し法案の提出を行い,平成28年の参議院議員通常選挙から新選挙制度を適用する旨記載した工程表(私案)が示され,各会派はこれを持ち帰り,本件選 まとめを行って協議機関報告書を決定し,平成27年中に見直し法案の提出を行い,平成28年の参議院議員通常選挙から新選挙制度を適用する旨記載した工程表(私案)が示され,各会派はこれを持ち帰り,本件選挙後も引き続き協議を行うことが確認された。 なお,本件選挙後の平成25年9月12日,参議院各会派代表者による懇談会による合意を受けて「選挙制度の改革に関する検討会」が発足し,同検討会の第1回会合が開催された。同検討会の第1回会合では,同検討会の下に各会派の協議会(選挙制度協議会)を設置することとされ,同月19日に開催された同検討会の第2回会合において,実務的な協議を行うための選挙制度協議会の設置に関する要綱が定められた。そして,同月27日,選挙制度協議会の第1回会合が開催され,今後,週1回の頻度で会合を開き,有識者からの意見聴取等を行っていくことが確認された。また,選挙制度協議会において,参議院選挙制度改革のこれまでの経緯の説明の中で,上記工程表案が示された。 2 参議院議員定数配分規定の合憲性判断の枠組み等(1) 議会制民主主義を採る我が憲法の下においては,国権の最高機関である国会を構成する衆議院及び参議院の各議員を選挙する権利は,国民の国政への参加の機会を保障する基本的権利であって,憲法は,その重要性にかんがみ,14条1項により,選挙権の内容の平等,換言すれば,議員の選出における各選挙人の投票の有する影響力の平等,すなわち投票価値の平等を要求しているものと解される。 他方で,憲法は,国会の両議院の議員の選挙について,議員の定数,選挙区,投票の方法その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものとし(43条2項,47条),どのような選挙制度が国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させることになるのかの決定を国会 の定数,選挙区,投票の方法その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものとし(43条2項,47条),どのような選挙制度が国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させることになるのかの決定を国会の裁量に委ねていることからすると,投票価値の平等は,選挙制度の仕組みを決定する唯一,絶対の基準ではなく,国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものである。それゆえ,国会が具体的に定めたところがその裁量権の行使として合理性を有するものである限り,それによって投票価値の平等が一定の限度で譲歩を求められることになっても,憲法に違反するとはいえない。 そして,憲法が二院制を採用し,一定の事項について衆議院の優越を認め(59条ないし61条,67条,69条),その反面,参議院議員の任期を6年の長期とし,解散(54条)もなく,選挙は3年ごとにその半数について行う(46条)ことを定め,衆議院と参議院の権限及び議員の任期等に差異を設けている趣旨は,それぞれの議院に特色のある権能を発揮させることによって,国会を公正かつ効果的に国民を代表する機関たらしめようとするところにあると解され,このような趣旨から,前述のとおり,参議院議員について,全国選出議員と地方選出議員に分け,前者については全国の区域を通じて選挙するものとし,後者については都道府県を各選挙区の単位としたものであるから,昭和22年に制定された参議院議員選挙法及び昭和25年に制定された公職選挙法の制定当時において,このような選挙制度の仕組みを定めたことが,国会の有する裁量権の合理的な行使の範囲を超えるものであったということはできない。 しかしながら,社会的,経済的変化の激しい時代にあって不断に生ずる人口変動の結果,投票価値 を定めたことが,国会の有する裁量権の合理的な行使の範囲を超えるものであったということはできない。 しかしながら,社会的,経済的変化の激しい時代にあって不断に生ずる人口変動の結果,投票価値の著しい不平等状態が生じ,かつ,それが相当期間継続しているにもかかわらずこれを是正する措置を講じないことが,国会の裁量権の限界を超えると判断される場合には,当該参議院議員定数配分規定が憲法に違反するに至るものと解するのが相当である(平成24年大法廷判決参照)。 (2)ア原告らは,国民主権の観点からは,人口比例選挙でなければ違憲であると主張する。 しかしながら,前述のとおり,憲法は,投票価値の平等を要請する一方で,国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないし理由,憲法が二院制を採用し衆議院と参議院の権限及び議員の任期等に差異を設けている趣旨等にかんがみ,両議院の議員の各選挙制度の仕組みについて国会に広範な裁量を与えているものであり,国民主権の原理及び代表民主制の統治機構上の理念から,原告らが主張するような人口比例選挙の要請が論理必然的に導き出されるものではないし,上記の原理から,当然に,憲法が,上記の政策的目的等による投票価値の平等に対する制限を容認していないと解することもできない。 したがって,原告らが主張するように,人口比例選挙でなければ違憲であるとはいえない。 イまた,原告らは,甲1号証の大法廷判決が採用した論理は,裁判所が「選挙が違憲状態である」と認定した場合でも,合理的期間の末日を経過していなければ当該選挙は有効とするものであり,このような「合理的期間の法理」は,憲法の最高法規性(98条1項)に違反するし,違憲状態の国会議員は,「正当に選挙された国会における代表者」ではないため, いなければ当該選挙は有効とするものであり,このような「合理的期間の法理」は,憲法の最高法規性(98条1項)に違反するし,違憲状態の国会議員は,「正当に選挙された国会における代表者」ではないため,立法等を行う資格はなく,立法裁量権を有さないものであるから,上記論理は許されない旨主張する。 しかしながら,平成24年大法廷判決及び甲1号証の大法廷判決が判示した参議院議員定数配分規定の合憲性判断の枠組みは前記(1)のとおりであるところ,憲法が,国会の両議院の議員の選挙について,議員の定数,選挙区,投票の方法その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものとし(43条2項,47条),どのような選挙制度が国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させることになるのかの決定を国会の裁量に委ねていること及び憲法における立法権と司法権の関係からすると,憲法上認められた国会の裁量権を尊重し,投票価値の著しい不平等状態を是正するのに必要な合理的期間を超えた場合に当該参議院議員定数配分規定が憲法に違反するに至るものと解するのが相当であり,このような法理が憲法98条1項に違反するとはいえない。 また,参議院議員定数配分規定について,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態に至っていたが,同議員定数配分規定に基づき施行された選挙までの間に同議員定数配分規定を改正しなかったことが国会の裁量権の範囲を超えるものとはいえず,同議員定数配分規定が憲法に違反するものではないと判断された場合は,当該選挙は無効ではないのであるから,当該選挙により選出された者も参議院議員としての地位を有し,参議院議員としての責務を負っていることに変わりはないから,上記議員に立法等を行う資格はなく,立法裁量権を有さないなどということはできない。 したがって,原告らの上記主張は 員としての地位を有し,参議院議員としての責務を負っていることに変わりはないから,上記議員に立法等を行う資格はなく,立法裁量権を有さないなどということはできない。 したがって,原告らの上記主張は,いずれも採用できない。 3 本件選挙において,投票価値の較差が,憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたか。 憲法が,二院制の下で,前述(前記2(1))のとおり参議院について衆議院との差異を設けている趣旨は,議院内閣制の下で,限られた範囲について衆議院の優越を認めて機能的な国政の運営を図る一方,立法を始めとする多くの事柄について参議院にも衆議院とほぼ等しい権限を与え,参議院議員の任期をより長期とすることによって,多角的かつ長期的な視点からの民意を反映し,衆議院との権限の抑制,均衡を図り,国政の運営の安定性,継続性を確保しようとするところにあると解されるから,参議院においても,適切に民意が反映されるよう投票価値の平等の要請について十分に配慮することが求められるところである。 しかるに,前提事実及び前記1で認定した各事実によれば,選挙区間における議員1人当たりの人口又は選挙人数の最大較差は,参議院議員選挙法制定当時は2.62倍であったが,その後の人口変動等により,都道府県間の人口較差が著しく拡大したため,昭和52年選挙の時点では5.26倍に拡大し,平成4年選挙施行時には6.59倍に達する状況となり,平成8年大法廷判決において,平成4年選挙における上記較差は違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていたと判断され,その後,定数の調整等によって是正が図られたが,基本的な選挙制度の仕組みについて見直しがされることはないまま,平成22年選挙までの間,5倍前後の較差が維持されたまま推移し,平成16年,平成18年 ,その後,定数の調整等によって是正が図られたが,基本的な選挙制度の仕組みについて見直しがされることはないまま,平成22年選挙までの間,5倍前後の較差が維持されたまま推移し,平成16年,平成18年及び平成21年の各大法廷判決において,投票価値の平等の観点から実質的にはより厳格な評価がされるようになっていたところ,平成22年選挙においては最大較差が5倍となり,平成24年大法廷判決において,平成22年選挙における上記較差は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたというほかはないと判断されたことが認められる。 そうすると,平成24年改正の結果,本件選挙当時の選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差が,平成22年選挙当時の上記較差よりも0.23縮小し,昭和52年選挙以降最も較差が縮小したものであること(乙9)を考慮しても,4.77倍という本件選挙当時の較差が示す選挙区間の投票価値の不均衡は,憲法が要求する投票価値の平等の重要性に照らして,看過し得ない程度に達しており,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたというべきである。 4 上記不平等状態が憲法上要求される合理的期間内に是正されなかったとして,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っているか否か。 (1) 投票価値の不平等状態が憲法上要求される合理的期間内に是正されなかったといえるか否かを判断するに当たっては,単に期間の長短のみならず,是正のために採るべき措置の内容,そのために検討を要する事項,実際に必要となる手続や作業等の諸般の事情を総合考慮して,国会における是正の実現に向けた取組が司法の判断の趣旨を踏まえた立法裁量権の行使として相当なものであったといえるか否かという観点から評価すべきと解される。 (2) そこで検討するに,前記1 て,国会における是正の実現に向けた取組が司法の判断の趣旨を踏まえた立法裁量権の行使として相当なものであったといえるか否かという観点から評価すべきと解される。 (2) そこで検討するに,前記1で認定した各事実によれば,平成16年大法廷判決は,平成13年選挙当時の参議院議員定数配分規定は憲法に違反するに至っていない旨判示したが,裁判官6名の反対意見が付されていたこと,同判決後,参議院改革協議会の下に設けられた選挙制度に係る専門委員会において各種の是正案が検討され,当面の是正策として提案されたいわゆる4増4減案に基づいて平成18年改正がされ,これにより平成19年選挙当時の議員1人当たりの選挙人数の最大較差は1対4.86まで減少したこと,平成18年改正がされる前に施行された平成16年選挙についての平成18年大法廷判決も,同選挙当時の参議院議員定数配分規定は憲法に違反するには至っていない旨判示したものの,投票価値の平等等の是正については国会における不断の努力が望まれる旨の指摘をしたこと,その後,平成20年6月に改めて参議院改革協議会の下に専門委員会が設置され,是正案の検討が再開されたこと,平成21年大法廷判決は,平成18年改正後の参議院議員定数配分規定に基づいて施行された平成19年選挙について,上記議員定数配分規定は憲法に違反するに至っていたものとすることはできない旨判示したが,上記のような較差(1対4.86)は投票価値の平等という観点からはなお大きな不平等が存する状態であって,最大較差の大幅な減少を図るためには現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となる旨指摘したこと,上記の協議会及び専門委員会においては,平成22年5月まで協議が行われたが,同年7月に施行される平成22年選挙に向けた較差の是正は見送られ,平成25年の本件 自体の見直しが必要となる旨指摘したこと,上記の協議会及び専門委員会においては,平成22年5月まで協議が行われたが,同年7月に施行される平成22年選挙に向けた較差の是正は見送られ,平成25年の本件選挙に向けて選挙制度の見直しを行うこととされたこと,そして,平成22年選挙が施行された後,選挙制度の改革に関する検討会が発足し,その下に選挙制度協議会が設置され,同年12月に開催された上記検討会において参議院議長から改革の検討の基礎となる案が提案され,平成23年以降,各政党からも様々な改正案が発表されるなどし,上記検討会及び選挙制度協議会において検討,協議が重ねられたが,全会派の合意に基づく成案を得るには至らず,本件選挙に向けて,少なくとも較差の是正を図るため,4選挙区において定数を4増4減する平成24年改正が行われ,その結果,本件選挙における選挙区間の議員1人当たりの選挙人数の最大較差は1対4.77と縮小したこと,上記改正の附則3条には,平成28年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて,参議院の在り方,選挙区間における議員1人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,結論を得るものとするとの規定が置かれていること,平成24年大法廷判決は,議員1人当たりの選挙人数の最大較差が1対5.00に拡大していた平成22年選挙について,投票価値の不均衡は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたと判示するとともに,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じ,できるだけ速やかに違憲の問題が生じる上記不平等状態を解消する必要がある旨指摘したこと,平成24年大法廷判決の言渡し及び本件選挙の前後を通じて,選挙制度の改革に関する検討会及び選挙制度協議会による協議が継続され, 題が生じる上記不平等状態を解消する必要がある旨指摘したこと,平成24年大法廷判決の言渡し及び本件選挙の前後を通じて,選挙制度の改革に関する検討会及び選挙制度協議会による協議が継続され,平成25年6月19日に開催された上記検討会において,選挙制度協議会の座長から,参議院議長と各会派に対し,平成28年の参議院議員通常選挙に向けて,平成25年中に参議院選挙制度に係る協議機関を設置し,協議機関において見直し案の検討に向けた準備及び有識者からの意見聴取等による検討を行うとともに,各会派における検討を行い,平成26年中に協議機関において見直し案の検討及び見直し案の取りまとめを行って協議機関報告書を決定し,平成27年中に見直し法案の提出を行い,平成28年の参議院議員通常選挙から新選挙制度を適用する旨記載した工程表(私案)が示され,各会派はこれを持ち帰り,本件選挙後も引き続き協議を行うことが確認されていたことが認められる(なお,本件選挙後の事情として,平成25年9月12日,参議院各会派代表者による懇談会による合意を受けて「選挙制度の改革に関する検討会」が発足し,同月19日に開催された同検討会の第2回会合において,実務的な協議を行うための選挙制度協議会の設置に関する要綱が定められ,同月27日,選挙制度協議会の第1回会合が開催され,今後,週1回の頻度で会合を開き,有識者からの意見聴取等を行っていくことが確認されたこと及び選挙制度協議会において,参議院選挙制度改革のこれまでの経緯の説明の中で,上記工程表案が示されたことが認められる。)。 上記のとおり,国会は,平成19年選挙が施行された後の平成20年6月に改めて専門委員会を設置して是正案の検討を再開したが,平成21年大法廷判決が,平成19年選挙当時の選挙区間の議員1人当たりの選挙人数の のとおり,国会は,平成19年選挙が施行された後の平成20年6月に改めて専門委員会を設置して是正案の検討を再開したが,平成21年大法廷判決が,平成19年選挙当時の選挙区間の議員1人当たりの選挙人数の最大較差(1対4.86)は投票価値の平等という観点からはなお大きな不平等が存する状態であって,最大較差の大幅な縮小を図るためには現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となる旨指摘したことから,平成25年の本件選挙に向けて選挙制度の仕組み自体の見直しを行うことにしたものの,平成22年選挙後に設置された選挙制度協議会等においては,各政党から様々な改正案が発表され,検討協議が重ねられたが全会派の合意に基づく成案を得るに至らず,本件選挙に向けて少なくとも較差の是正を図るため4選挙区において定数を4増4減する平成24年改正を行い,これによって,本件選挙における選挙区間の議員1人当たりの選挙人数の最大較差を1対4. 77に減少したものであるところ,国民の意思を適正に議会に反映する選挙制度が民主政治の基盤であり,投票価値の平等が憲法上の要請であることや,前述の国政運営における参議院の役割からすると,国会は,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態が生じていた平成22年選挙当時の投票価値の不平等状態をできるだけ速やかに解消する必要があるものではあるが,選挙制度の仕組み自体の見直しについては,平成21年及び平成24年の各大法廷判決において指摘されているように,参議院の在り方をも踏まえた高度に政治的な判断が求められ,事柄の性質上,課題も多く,協議,検討に時間を要するのもやむを得ない面があることや,立法府自らが参議院議員の選挙制度の抜本的見直しについての取組を継続していること及び抜本的見直しに至らなくとも,少なくとも本件選挙までに実現可能な較差の是正 を要するのもやむを得ない面があることや,立法府自らが参議院議員の選挙制度の抜本的見直しについての取組を継続していること及び抜本的見直しに至らなくとも,少なくとも本件選挙までに実現可能な較差の是正を図るための措置として平成24年改正をしたこと,平成21年大法廷判決は平成19年選挙当時の参議院議員定数配分規定は憲法に違反するに至っていない旨判示したものであり,平成22年選挙当時の参議院議員定数配分規定が違憲の問題が生じる程度の著しい不平等状態にあった旨判示した平成24年大法廷判決が言い渡された日から本件選挙までの期間は約9か月にすぎないこと等を総合考慮すると,上記の国会における是正の実現に向けた取組が司法の判断の趣旨を踏まえた立法裁量権の行使として不相当なものであったと断ずることはできないというべきである。そうすると,投票価値の不平等状態が憲法上要求される合理的期間内に是正されなかったとはいえない。 したがって,国会が,本件選挙までの間に本件定数配分規定を改正しなかったことは,いまだ国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。 (3) 原告らは,仮に,本件定数配分規定の合憲性の判断において「合理的期間」を考慮できるとしても,合理的期間とは,選挙制度を見直す立法をできるだけ早く審議,議決するのに合理的に必要な期間をいい,国会は,合理的期間内に憲法による投票価値の平等の要求に合致させる方向で選挙制度改革の法改正を完了する義務を負うので,平成21年大法廷判決が言い渡された同年9月30日から起算して上記合理的期間は本件選挙施行日までに経過している,参議院選挙制度協議会における協議は,協議会の開催間隔が長すぎる上,選挙区割についての実質的な審議をしていないし 渡された同年9月30日から起算して上記合理的期間は本件選挙施行日までに経過している,参議院選挙制度協議会における協議は,協議会の開催間隔が長すぎる上,選挙区割についての実質的な審議をしていないし,平成24年改正は,現行の選挙制度を前提としても,より議員1人当たりの登録有権者数の最大較差を縮小する方法があったにもかかわらず,「4増4減」にとどまる上,国会に,平成28年に実施が予定されている参議院議員通常選挙までに選挙制度の抜本的見直しをする義務を課していないのであるから,上記合理的期間の経過との関係で意味のある改正ではない旨主張する。 しかしながら,前述のとおり,合理的期間を超えているか否かの判断は単に期間の長短のみですべきものではないこと,また,参議院議員の選挙制度の抜本的見直しには,政党間,国民間に様々な意見があり,参議院の在り方をも踏まえた高度に政治的な判断が求められ,事柄の性質上,課題も多く,協議,検討に時間を要するのもやむを得ない面があることや,協議会においては,進捗状況に応じて,会派の構成員等の意見を広く聴取したり,会派として一定の意見をまとめるなど,協議内容を踏まえて次回の協議会までに十分な準備をしなければ実質的な協議にならないから,開催間隔が長いことをもって直ちに国会が選挙制度の抜本的見直しを怠ったということはできないこと,参議院の選挙制度協議会においては,選挙制度の抜本的見直しについて検討されていること,不十分なものとはいえ,平成24年改正により,本件選挙における較差が緩和されたことからすると,原告らの上記主張は採用できない。 (4) なお,付言するに,投票価値の平等は憲法上の要請であり,国会においては,平成28年の参議院議員通常選挙までの間に,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平 記主張は採用できない。 (4) なお,付言するに,投票価値の平等は憲法上の要請であり,国会においては,平成28年の参議院議員通常選挙までの間に,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態を解消するように,選挙制度の仕組み自体の見直しを真摯に行う必要があるというべきである。 5 以上の次第で,1対4.77という本件選挙における選挙区選出議員1人当たりの選挙人数の最大較差が示す選挙区間の投票価値の不均衡は,投票価値の平等の重要性に照らして,もはや看過し得ない程度に達しており,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたというべきであるが,本件選挙までの間に本件定数配分規定を改正しなかったことは,いまだ国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできないから,同規定に基づき施行された本件選挙の愛知県選挙区,三重県選挙区及び岐阜県選挙区における選挙は無効ではない。 よって,原告らの請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第2部裁判長裁判官林道春裁判官内堀宏達裁判官濵優子
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