判決 主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴の趣旨(1) 原判決を取り消す。 (2) 本件を山口地方裁判所に差し戻す。 2 控訴の趣旨に対する答弁主文と同旨第2 事案の概要 1 次項に当審における当事者の主張を付加するほか,原判決「第2 事案の概要」欄に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 当事者の主張(1) 控訴人らの主張本件においては,出訴期間内に被控訴人会社を被告としてA事件の訴えが提起されており,被控訴人丙,同丁もこのことを直ちに覚知しているから,両名に対するB事件の訴えが出訴期間を徒過したとしても,紛争の早期決着という出訴期間を設けた趣旨が没却されることはない。 (2) 被控訴人らの主張そもそも,固有必要的共同訴訟において,共同訴訟人となるべき者の一部に対して提起された訴えを,残りの者に対して提起された別訴を併合することによって,適法な訴えとすることは許されない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,本件訴えをいずれも却下すべきであると判断するが,その理由は,次項に控訴人らの主張に対する補足的判断を付加するほか,原判決「第3 争点に対する判断」欄に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 補足的判断商法ないし有限会社法は,取締役の解任請求について,紛争の早期解決を図るために出訴期間を設ける方法を採用したものであるから,期間内に適法な訴えが提起されることが予定されているとみるべきであるし,A事件の提訴による出訴期間遵守の効力は本来当該訴訟の相手方との間でのみ考慮すべき問題であるから,出訴期間経過後に被控 るから,期間内に適法な訴えが提起されることが予定されているとみるべきであるし,A事件の提訴による出訴期間遵守の効力は本来当該訴訟の相手方との間でのみ考慮すべき問題であるから,出訴期間経過後に被控訴人丙,同丁に対する訴え(B事件)を提起することによって,A事件の提訴による出訴期間遵守の効力を同人らとの関係で認めることは相当でない。これを認めれば,出訴期間が経過しているにもかかわらず,不適法な訴えが係属しているために,同人らの地位がその間は確定しない結果となり,法的安定性を損なうというべきである。同人らがA事件の提訴を知っていたとしても,上記の事情に変わりはない。 したがって,取締役解任請求の制度は,共同訴訟人となるべき者の一部に対して訴えが提起された場合に,出訴期間経過後に提起された残りの共同訴訟人に対する別訴を併合することにより当初の訴えが適法となることを予定していないものというべきである。控訴人らの主張は理由がない。 3 よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとし,控訴費用の負担につき民訴法67条1項,61条,65条1項を適用して,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第3部裁判長裁判官下司正明裁判官檜皮高弘裁判官齋藤憲次(参考原審判決)判決 主文 1 本件各訴えをいずれも却下する。 2 訴訟費用は,AB両事件とも原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 AB両事件についての原告らの請求被告会社の取締役である被告丙,同丁を解任する。 第2 事案の概要本件は,原告らが被 事件とも原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 AB両事件についての原告らの請求被告会社の取締役である被告丙,同丁を解任する。 第2 事案の概要本件は,原告らが被告会社を相手方として,有限会社法31条ノ3に基づき被告会社の取締役である被告丙,同丁の解任を求めた事件(A事件)と,原告らが被告丙,同丁を相手方として,同条に基づき被告会社の取締役である被告丙,同丁の解任を求めた事件(B事件)である。 これに対し,被告らは,本案前の答弁として,本件各訴えの却下を求め,本案に対する答弁として,原告らの各請求の棄却を求めた。 一基礎事実 1 被告会社は,資本の総額が300万円(1口1万円)の一般乗用旅客自動車運送事業等を営業目的とする有限会社であり,原告甲は60口,同乙は75口の出資口数を保有する社員である(弁論の全趣旨)。 2 原告らは被告会社に対し,平成13年7月13日付内容証明郵便をもって,被告丙,同丁の取締役解任を求めて社員総会の招集を求めたところ,被告会社は,同年8月21日に開催された臨時社員総会において,被告丙,同丁の取締役解任を否決した(甲7,26,弁論の全趣旨)。 3 原告らは,平成13年9月11日,被告会社を相手方として,有限会社法31条ノ3に基づき,被告会社の取締役である被告丙,同丁の解任を求めてA事件の提訴をした(記録上明らかである。)。 4 原告らは,平成13年10月9日,被告丙,同丁を相手方として,有限会社法31条ノ3に基づき,被告会社の取締役である被告丙,同丁の解任を求めてB事件の提訴をし,同月17日,AB両事件は併合された(記録上明らかである。)。 二争点 1 本件各訴えの適法性 2 原告らの本件各解任請求の訴えに理由があるものと認められ を求めてB事件の提訴をし,同月17日,AB両事件は併合された(記録上明らかである。)。 二争点 1 本件各訴えの適法性 2 原告らの本件各解任請求の訴えに理由があるものと認められるか。 三争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件各訴えの適法性)について(被告らの主張) 1 本件各訴えは,有限会社法31条ノ3に基づく訴えであると解されるが,これと同趣旨の規定である商法257条3項所定の株式会社の取締役解任の訴えは,会社と当該取締役の双方を被告とすべき固有必要的共同訴訟と解されており(最高裁判決平成10年3月27日民集52巻2号661頁),有限会社法に基づく本件各訴えについても,これと異なって解する理由はない。 2 原告らは,A事件の訴え提起後,ようやくこのことに気付き,平成13年10月9日にB事件の訴えを提起したものであるが,B事件は,取締役である被告丙,同丁の解任を否決した同年8月21日の社員総会から30日を経過した後に提起されたものであるから,不適法なものであり,これがA事件に併合されたとしても,AB両事件が遡って適法なものになるものではない。けだし,瑕疵ある訴訟行為の補正は,特に遡及効が認められる場合を除けば,補正があったときにはじめて適式の訴訟行為がなされたと解されるのであって,補正によって遡って当初から適式な起訴となるものではないからである。 3 本件においては,これが固有必要的共同訴訟であることを判示した最高裁の判決がすでに存在しており,原告ら訴訟代理人のうち1名が社員総会の段階からすでに関与している(甲26)のであるから,実質的にみても,これを有効なものとして救済する必要はない。 4 B事件もA事件もいずれも単一の取締役解任の訴えであって,B事件の提訴は, 段階からすでに関与している(甲26)のであるから,実質的にみても,これを有効なものとして救済する必要はない。 4 B事件もA事件もいずれも単一の取締役解任の訴えであって,B事件の提訴は,A事件の訴訟物と同じ訴えの提起であって,二重起訴としても不適法である。 5 最高裁判決昭和36年8月31日(民集15巻7号2040頁)は,固有必要的共同訴訟において,出訴期間内に当事者適格欠缺の補正がなされなければ不適法であるとするものであって,これによれば,固有必要的共同訴訟である本件取締役解任の訴えは,出訴期間経過後に当該取締役を被告とする訴えの提起により,先に提起した会社のみを被告とする訴えが適法になると解する余地はない。 (原告らの主張) 1 取締役解任の訴えは,必要的共同訴訟ではあるが,被告会社に対する訴えの提起が有限会社法31条の3第1項に定める期間内になされていれば,その要件は充たされる。このことは,原告らの主張する平成10年3月27日の最高裁判決の直前(例えば,否決から29日目)に被告会社に対する訴えが提起され,この最高裁判決があったために,その後(否決から30日を過ぎて)取締役に対する訴えを追加して行った場合を想定すれば明らかである。 2 これを実質的にみても,被告会社に対する訴えの提起は,これを直ちに被告丙,同丁が了知したと推認されるから,不都合は生じない。 3 被告らが挙示する昭和36年8月31日の最高裁判決は,原告の当事者適格に関するものであるところ,本件は被告らの当事者適格に関するものであるから,これを単純に同一視することはできない。この最高裁判決の根底において重要視されているのは,被告である特許庁が無体財産権の帰属を知り得るかという点にあるところ,本件において,被告会社に対する訴え から,これを単純に同一視することはできない。この最高裁判決の根底において重要視されているのは,被告である特許庁が無体財産権の帰属を知り得るかという点にあるところ,本件において,被告会社に対する訴えの提起を被告丙,同丁が直ちに了知したと推認されることは上記のとおりである。 4 A事件とB事件は,被告が異なるのであるから,二重起訴になることはあり得ない。 2 争点2(原告らの本件各解任請求の訴えに理由があるものと認められるか。)について(原告らの主張) 1 原告らは被告会社に対し,平成13年7月13日付け内容証明郵便をもって,被告丙,同丁を含む5名の取締役全員の解任を求めて社員総会の招集通知をした。解任請求の理由は,次のようなものであった。 ① 被告会社は,C病院における構内権を有するのは株式会社Dのみで,被告会社には構内権がないのにもかかわらず,平成13年3月28日以降,同病院において違法に客待ちをし,集客しているが,これは取締役全員の合意に基づくものである。 ② E,F取締役は,有限会社法29条1項に違反して,G株式会社の代表取締役に就任し,被告会社との競業取引を行っているが,他の取締役は,この違法を知りながら,今日までこれを放置している。 ③ 被告会社は,E,H取締役が代表取締役を務める株式会社Iに対し,有限会社法30条に違反して多額の金銭を貸し付けているが,これは取締役全員の合意に基づくものである。 2 その結果,平成13年8月21日,被告会社の臨時社員集会が開催されたが,取締役全員の解任は否決された(もっとも,その直後,被告会社は,取締役F,E,Hの解任を可決したので,この3名は解任された。)。 3 被告丙,同丁は,上記の解任理由のほか,次のような重大な違法行 締役全員の解任は否決された(もっとも,その直後,被告会社は,取締役F,E,Hの解任を可決したので,この3名は解任された。)。 3 被告丙,同丁は,上記の解任理由のほか,次のような重大な違法行為を継続している。 ① 現在に至るまで,株式会社DのC病院における構内権侵害を継続している。 ② E,F元取締役がG株式会社の代表取締役として競業取引を行ったにもかかわらず,これによる損害回復の手段を講じていない。 ③ E,H元取締役が代表取締役を務める株式会社Iに対し,多額の金銭を貸し付け,これが有限会社法30条に違反して無効であることを認識していたにもかかわらず,その回収手続を講じていないばかりか,平成13年8月27日にE,Hが取締役を退任したことを根拠として,代表取締役の被告丙が貸付を追認したとして回収を放棄した。しかし,社員総会の特別決議を経ないで代表取締役が追認できるはずはないから,これは明らかに違法である。 ④ 平成13年8月21日の臨時社員総会は,原告らの請求によって開催され,取締役全員の解任決議は否決されたものであるが,その直後に被告会社は取締役F,E,Hの解任決議を議案として提出し,可決した。招集通知書の議題にない議案を提出することも不適切であるが,「取締役全員解任の件」を否決した直後に,「取締役全員」に含まれる取締役3名の解任を求めることは,議題間の矛盾であって,違法である。 (被告らの主張)追って,(必要があれば)否認・反論する。 第3 争点に対する判断争点1(本件各訴えの適法性)について商法257条3項所定の株式会社における取締役解任の訴えは,会社と取締役の双方を被告とすべき固有必要的共同訴訟であるが(最高裁判決平成10年3月27日・民集52巻2号6 訴えの適法性)について商法257条3項所定の株式会社における取締役解任の訴えは,会社と取締役の双方を被告とすべき固有必要的共同訴訟であるが(最高裁判決平成10年3月27日・民集52巻2号661頁),この理は,有限会社法31条ノ3による有限会社の取締役解任の訴えについても同様である。 したがって,被告会社のみを被告として提起されたA事件は,不適法であったというべきであるが,有限会社法31条ノ3第1項所定の出訴期間が遵守されている限り,別に取締役を被告とする取締役解任の訴えを提起し,これを会社を被告とする取締役解任の訴えに併合することにより,適法な訴えとなるものと解される。しかし,本件においては,取締役を被告とするB事件の取締役解任の訴えは同条項所定の30日の出訴期間の制限の反するものであるから,別になされた取締役を被告とするB事件の取締役解任の訴えの提起と,そのA事件への併合によって全体としてAB両事件が適法になるものと解することはできないものである。けだし,このように解さなければ,取締役解任の訴えが必要的共同訴訟であり,これに30日の出訴期間を設けた趣旨が没却されるからである。最高裁昭和36年8月31日の判決(民集15巻7号2040頁)は,この趣旨を直接判示するものではなく,本件と全く同じ問題を扱ったものであるとは言い難いが,その考え方は,上記のような趣旨を含むものと解される。 したがって,本件各訴えは,いずれも不適法というしかなく,原告らの本件各訴えは,争点2について判断するまでもなく,却下を免れない。 第4 結論よって,原告らの本訴各訴えをいずれも却下することとし,訴訟費用の負担につき,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 って,原告らの本訴各訴えをいずれも却下することとし,訴訟費用の負担につき,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。
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