【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 論旨第一項一及び四について。 所論は事実誤認、単なる法令違反の主張に帰するものであつて適法な上告理由に 当らない。(所
主 文 本件上告を棄却する。 理 由 論旨第一項一及び四について。 所論は事実誤認、単なる法令違反の主張に帰するものであつて適法な上告理由に 当らない。(所論は要するに被告人は昭和二九年七月中旬漁船Aに乗船して国後島 に渡航したが、同島の属する千島列島は、出入国管理令及び同令施行規則において、 本邦外の島として掲げられていない。即ち本邦に属するものとされており、これを 本邦外とする法規は存在しない。従つて被告人の国後島に渡航した本件所為は、何 等本邦外の地域におもむく意図をもつて出国したとされるいわれはなく、罪となら ないものであるのに、原判決がこれを有罪としたのは、法令の解釈適用を誤つたも のであるというにある。しかしながら記録によれば、被告人はソ聯領に密出国する ことを企て、Bと共謀して、原審の支持する第一審判決の判示の日〔原判決が昭和 二九年一〇月八日頃と判示したのは、同年七月一八日頃の誤記と認める〕。ソ聯領 におもむく意図を以て、有効な旅券を所持せず従つて旅券に入国審査官から出国の 証印を受けないで、判示海岸から右B所有の漁船Aに同人と共に乗船して出航し、 同日夕刻頃ソ聯領下の国後島沖合一五〇米位の海域に到達したものであること原審 認定のとおりであつて、原審の事実認定に誤りは存しない。そして昭和二七年四月 二八日発效の日本国との平和条約二条(C)は、「日本国は千島列島……に対する すべての権利、権原及び請求権を放棄する」旨規定しているのであつて、同日の外 務省令一二号で千島列島に関する規定が削除されたのも右条約の趣旨に基くもので あるから、同日以降、千島列島に属する国後島は、出入国管理令の適用上において は、同令二条一号にいう本邦には属しないこととなつたものと解するを相当とする。 されば原審のこの点に関して判示するところに で あるから、同日以降、千島列島に属する国後島は、出入国管理令の適用上において は、同令二条一号にいう本邦には属しないこととなつたものと解するを相当とする。 されば原審のこの点に関して判示するところにはやや妥当を欠く点もあるけれども、 - 1 - 結局被告人の本件所為につき原審が出入国管理令六〇条二項、七一条を適用処断し たのは正当である。) 論旨第一項二及び第二項について。 所論は要するに出入国管理令は政令であつて法律ではないと前提して、政令には 特に法律の委任がある場合を除いては罰則を設けることができないこと憲法七三条 六号の規定に照して明らかであるところ、出入国管理令には法律の委任がないので あるから、同令に設けられた罰則規定は憲法の右条項に違反し無效である。従つて 被告人の本件所為につき原審が同令の罰則規定を適用して被告人を処罰したのは憲 法三一条、九九条に違反するものであるというにある。しかしながら、出入国管理 令は昭和二七年法律八一号及び同年法律一二六号により法律として効力を有するも のとされたものであること原審の判示するとおりであるから、所論は前提において 誤つており、所論違憲の主張は前提を欠き適法な上告理由とならない。 論旨第一項目について。 所論は訴訟法違反の主張に帰するものであつて適法な上告理由に当らない(この 点に関する原審の判断は正当である)。 また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。 よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお り決定する。 昭和三四年二月二五日 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 小 谷 勝 重 裁判官 藤 田 八 郎 裁判官 河 村 大 第二小法廷 裁判長裁判官 小 谷 勝 重 裁判官 藤 田 八 郎 裁判官 河 村 大 助 裁判官 奥 野 健 一 - 2 -
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