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昭和24(わ)229 道路交通取締法違反被告事件

裁判所

昭和24年9月8日 東京高等裁判所 破棄自判

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1,529 文字

主文 原判決を破毀する。被告人を罰金二百円に処する。被告人が右罰金を完納しないときは金二十円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。理由 検事の上告の趣意は末尾に添附してある檢事正植松圭太作成名義上告趣意書と題する書面記載の通りでおる。これに対し当裁判所は左の如く判断する。原判決によれば被告人は昭和二十三年十月二十七日午後三時頃栃木縣河内郡a村大字b字c地内を荷馬車を輓くに当り約四五丁に亘つて積載材木の上に跨つてたずなを操縦したのであるがその積載材木は杉丸太約三十本百五十貫位高さ約一米位でしつかり固定しており被告人はその前端に跨り前方及び後方に対する見透は十分でたずなは両たずなでこれを両手に握つて前方を注視しながら操縦していた。その馬は当時八才で四才の時から被告人が使ひ馴らした去勢馬で性質もおとなしく暴れるようなおそれもなく又道路の交通状況は自動車の往来は頻繁でなくその間一度自動車が通つた程度であつた。なお被告人は馬車輓をしていた相当の経験があつたというのである。而して右のような事情の下では被告人が荷馬車の上に乗つて操縦したとしても道路交通取締法第七條第二項第四号にいわゆるたずなによる安全な操縦に必要な操作を怠つたものとはいわれない<要旨>から無罪だというのである。しかし車上から馬を自由に操縦できるように設備のある馭者台付荷馬車なら格別</要旨>そうでない荷馬車の場合は前示のような事実関係の下における被告人の行爲はたずなによる安全な操縦に必要な操作をしたものとはいわれない。蓋しいつ何時自動車が濛々たる砂塵をあげ地響を立てて疾走し来り馬を驚かし馬がその衝激のため暴れ出さないとも限らないのである、おとなしい馬とはいえ何しろ畜生のことであるかような場合に被告人 われない。蓋しいつ何時自動車が濛々たる砂塵をあげ地響を立てて疾走し来り馬を驚かし馬がその衝激のため暴れ出さないとも限らないのである、おとなしい馬とはいえ何しろ畜生のことであるかような場合に被告人が荷馬車の積載材木の上に跨つていたのでは機宜の措置を講ずることは困難である、而して全判文を通読すれば本件荷馬車には馭者台の設備のなかつたことが推認できるから被告人はたずなによる安全な操縦に必要な操作を怠つたものと解するのが相当である。 が濛々たる砂塵をあげ地響を立てて疾走し来り馬を驚かし馬がその衝激のため暴れ出さないとも限らないのである、おとなしい馬とはいえ何しろ畜生のことであるかような場合に被告人が荷馬車の積載材木の上に跨つていたのでは機宜の措置を講ずることは困難である、而して全判文を通読すれば本件荷馬車には馭者台の設備のなかつたことが推認できるから被告人はたずなによる安全な操縦に必要な操作を怠つたものと解するのが相当である。しかるに原判決が右の操作を怠らなかつたものとして無罪の言渡をしたのは法律の解釈を誤つたもので破毀を免れない。論旨は理由がある。而して本件は破毀自判するに適すると認めるから左の如く判決する。原判決の確定した事実は前叙の通りであつてこれを法律に照すと被告人の行爲は道路交通取締法第七條第一項第二項第四号に違反し行爲時においては同法第二十八條に該当し裁判時においては右法條の外所定刑中罰金刑について尚罰金等臨時措置法第二條第一項に該当するので刑法第六條第十條によつて新旧法を比照し軽い行爲時法を適用し所定刑中罰金刑を選択しその金額の範囲内で被告人を罰金二百円に処し刑法第十八條により被告人が右罰金を完納しない時は金二十円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置すべきものとする。よつて主文の如く判決する。(裁判長吉田常次郎判事保持道信判事鈴木勇)

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