主文 本件訴えのうち,原告に対する運転免許停止処分の差止めを求める部分を却下する。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 大阪府警察本部長が原告に対し平成18年5月30日付けでした運転免許停止処分を取り消す。 大阪府警察本部長は,原告に対し,運転免許停止処分をしてはならない。 第2事案の概要本件は,タクシーを運転していた原告が,平成17年12月20日午前4時ころ,交差点において信号無視をしたとして警察官に検挙され,これに起因する基礎点数2点を付された上,大阪府警察本部長により平成18年5月30日から90日間の運転免許停止処分(以下「本件処分」という。)を受けたことに対し,原告が上記信号無視を行った事実はないと主張するとともに,その後に原告が行った信号無視に基づく再度の運転免許停止処分(以下「本件第二処分」という。)が差し迫っているところ,本件処分が取り消されれば前歴及び累積点数の計算上本件第二処分はその要件を欠くと主張して,被告に対し,本件処分の取消し(請求の趣旨1)及び本件第二処分の差止め(同2)を求めた事案である。 前提となる事実等(当事者間に争いがないか,掲記の書証等によって容易に認定することができる。なお,特に断らない限り書証番号は枝番を含む。)(1)当事者原告(昭和▲年▲月▲日生)は,昭和51年に普通乗用車の運転免許を取得し,本件処分ころまで約20年間にわたってタクシーの乗務員として稼働 しており,平成17年12月ころは,大阪市(以下,同市内の地名においては「大阪市」を略す。)α所在のa株式会社において勤務していた。【甲1,9,乙4】被告は,大阪府警察本部長の帰属主体である。 (2)法令の規定ア道路交通法(以下「法」という 市内の地名においては「大阪市」を略す。)α所在のa株式会社において勤務していた。【甲1,9,乙4】被告は,大阪府警察本部長の帰属主体である。 (2)法令の規定ア道路交通法(以下「法」という。)4条1項本文は,都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は,道路における危険を防止し,その他交通の安全と円滑を図り,又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは,政令で定めるところにより,信号機等を設置し,及び管理して,交通整理その他の道路における交通の規制をすることができる旨,法7条は,道路を通行する歩行者又は車両等は,信号機の表示する信号等に従わなければならない旨を各規定する。 イ法103条1項柱書は,免許を受けた者が同項各号列記事由のいずれかに該当することとなったときは,その者が当該各号のいずれかに該当することとなった時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会(法114条の2第1項により権限の委任が行われた場合には,警視総監又は道府県警察本部長。以下同じ。)は,政令で定める基準に従い,その者の免許を取り消し,又は6月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる旨定め,同項5号は,自動車等の運転に関し法若しくは法に基づく命令の規定又は法の規定に基づく処分に違反したときを挙げる。 そして,法104条1項は,公安委員会は,103条1項5号の規定により免許を取り消し,又は免許の効力を停止しようとするときなどには,公開による意見の聴取を行わなければならず,この場合において,公安委員会は,意見の聴取の期日の1週間前までに,当該処分に係る者に対し,処分をしようとする理由並びに意見の聴取の期日及び場所を通知しなければならないことなどを定める。 ウ道路交通法施行令(以下「令」と は,意見の聴取の期日の1週間前までに,当該処分に係る者に対し,処分をしようとする理由並びに意見の聴取の期日及び場所を通知しなければならないことなどを定める。 ウ道路交通法施行令(以下「令」という。)38条5項1号及び同項2号の各イ,別表第三は,免許を受けた者が違反行為(自動車等の運転に関し法若しくは法に基づく命令の規定又は法の規定に基づく処分に違反する行為で令別表第二の一の表の上欄に掲げるものをいう。)を行ったことにより法103条1項5号に該当することとなった場合についての同項の政令で定める基準として,当該違反行為に係る累積点数(当該違反行為及び当該違反行為をした日を起算日とする過去3年以内におけるその他の違反行為のそれぞれについて令別表第二に定めるところにより付した点数の合計をいう。)が前歴(違反行為に係る累積点数が令別表第三所定の各点数に該当したことなどをいう。)がない者については6点ないし14点,前歴が3回以上である者については2点又は3点にそれぞれ該当したときは免許の効力を停止すること,もっとも,免許を受けていた期間が通算して1年となったことがある場合において,当該期間の初日に当たる日から末日に当たる日までの間に,違反行為をしたことがなく,かつ,令33条の2第2項2号所定の免許の取消し若しくは6月を超える期間の自動車等の運転の禁止の処分又は同項第3号に規定する処分のいずれをも受けたことがないときにあっては,当該初日に当たる日前のものは前歴から除くことなどを定める。 エ令別表第二,備考二32は,信号無視とは,「法7条の規定の違反となるような行為をいう。」とし,その基礎点数を2点と定めている。なお,信号無視(赤色等)と信号無視(点滅)とは反則金額が異なるが(令別表第四),基礎点数における差異はない。 (3)本件の経緯 反となるような行為をいう。」とし,その基礎点数を2点と定めている。なお,信号無視(赤色等)と信号無視(点滅)とは反則金額が異なるが(令別表第四),基礎点数における差異はない。 (3)本件の経緯ア原告は,平成17年2月15日,大阪府警察本部長から,累積点数が12点になったとして90日間運転免許の効力を停止する処分を受けた。その後,上記処分に係る運転免許の効力停止期間は45日に短縮されたが, 原告は,同年4月1日,上記処分に引き続いて,大阪府警察本部長から,累積点数が6点になったとして30日間運転免許の効力を停止する処分を受けた(これら2回の運転免許停止処分を,以下「本件各先行処分」と総称する。)。 イ原告は,平成17年12月20日午前4時ころ,営業用普通乗用自動車(登録番号XXXXXXXXXXX,以下「原告タクシー」という。)で主要地方道β線(以下その通称に従い「γ」という。)の第2走行帯を,δ×番3号先交差点(通称ε交差点,以下「本件交差点」という。)付近において北向きに走行中,折から警ら中であった大阪府南警察署(以下「南署」という。)所属の警ら用無線自動車(南1号,以下「本件パトカー」という。)に乗務中のb巡査部長及びc巡査長(肩書はいずれも当時。)から停止を命じられ,γの路肩に停車した。 本件交差点付近の見取図は,別紙のとおりであり,本件交差点は②で表示されている。原告タクシーの上記停車位置について,原告は別紙のA地点付近,被告は同B地点付近と主張している。なお,別紙の「ζビル」に係る住居表示はη×番,同じく「θビル」に係る住居表示はδ×番3号である。 また,γで本件交差点の1つ北側にあり別紙で③と表示されたη×番36号先の三叉路交差点を,その通称に従い,以下「ι交差点」という。 【甲3,15,乙1,2,6,弁論の全趣 居表示はδ×番3号である。 また,γで本件交差点の1つ北側にあり別紙で③と表示されたη×番36号先の三叉路交差点を,その通称に従い,以下「ι交差点」という。 【甲3,15,乙1,2,6,弁論の全趣旨】ウb巡査部長は,原告タクシーの後方に本件パトカーを停車させ,現場で原告を職務質問した後の平成17年12月20日午前4時20分ころ,同日午前4時ころに信号無視(赤色等)の違反行為を行ったとしてこれを原告に告知した上,その違反場所を「大阪市η-×付近道路」と記載した複写式の取締原票及び交通反則告知書等(以下「本件取締原票等」という。)を作成して原告に交付しようとしたが,原告がその受領を拒否した ため,南署まで原告を任意同行した。【甲11,12,乙1,2,7,11,弁論の全趣旨】エ原告に対する捜査を引き継いだ南署交通課は,本件交差点において原告が信号無視(赤色等)の違反行為を行ったのであれば,その違反場所は本件交差点の北向き停止線が所在する「大阪市δ-×-3付近道路」となる旨指摘したため,b巡査部長は,本件取締原票等の記載をその旨訂正した(訂正された後の本件取締原票等上に記載された違反行為,すなわち,平成17年12月20日午前4時ころ,本件交差点において原告が行ったとされる信号無視(赤色等)を,以下「本件違反行為」という。)。【乙7,11,証人b,同c】オ大阪府警察本部長は,平成18年5月30日,原告につき,本件各先行処分による前歴が2回あり,本件違反行為によってその累積点数が2点となったことを受けて,原告に対し,その運転免許の効力を同日から同年8月27日まで90日間停止する処分(本件処分)をした。【甲2】カ原告は,平成18年6月5日,本件処分につき,本件違反行為が存在しないことを理由として,大阪府公安委員会に対して審査請求を から同年8月27日まで90日間停止する処分(本件処分)をした。【甲2】カ原告は,平成18年6月5日,本件処分につき,本件違反行為が存在しないことを理由として,大阪府公安委員会に対して審査請求を行ったが,同委員会は,当時,本件パトカーに乗車してγの第4通行帯を北向きに走行していた警察官2名は,本件交差点の停止線手前約49メートルの地点で対面信号が赤色であるのを確認して減速を始めたところ,第2通行帯を追抜いていく原告タクシーを認め,同車がそのまま本件交差点に進入したのを現認したので,本件パトカーのサイレンを吹鳴させ,本件交差点の北側約58メートルの地点に原告タクシーを停止させたことが関係記録から認められるから,本件違反行為の存在は明らかであるなどとして,同年7月12日付けで原告の審査請求を棄却した。【甲3】キ原告は,平成18年9月22日午前5時21分ころ,κ×番5号付近道路において原告タクシーを運転中に信号無視(赤色等)の違反行為(以下 「本件後続違反行為」という。)をしたことにより南署警察官に検挙され(本件後続違反行為の存在については原告もこれを争わない。),同月26日,その反則金9000円を納付した。【甲4,5】ク大阪府警察本部長は,平成18年10月26日付けで,原告に対し,本件後続違反行為による基礎点数2点が付加され,その累積点数が2点となったところ,原告に係る過去3年間における前歴の回数が3回であるため,処分の基準に該当することになったとして,免許の効力の停止に係る法104条1項の規定による意見の聴取を同年11月20日に大阪府警察本部門真運転免許試験場で行う旨の「意見の聴取通知書」を送付した。原告があらかじめ意見の聴取日の変更を申請したことなどから,現時点において,原告はなお本件後続違反行為に基づく運転免許の停止等 府警察本部門真運転免許試験場で行う旨の「意見の聴取通知書」を送付した。原告があらかじめ意見の聴取日の変更を申請したことなどから,現時点において,原告はなお本件後続違反行為に基づく運転免許の停止等の処分を受けていない。【甲6,弁論の全趣旨】ケ原告は,平成18年12月21日,当裁判所に本件訴えを提起した。 【当裁判所に顕著な事実】(4)本件処分が取り消された場合の帰結仮に本件処分が取り消された場合には,原告は,本件各先行処分を受けてから本件後続違反行為までの間,1年以上の免許期間において無違反,無処分で経過したことになるから,前記(2)ウ記載のとおり,令38条5項1号及び同項2号の各イ,別表第三に基づき,本件処分はもとより,本件各先行処分に係る前歴についてもこれがない者と同様の扱いを受けることとなるところ,本件後続違反行為に係る基礎点数2点が付加されたとしても累積点数が6点に満たないため,本件後続違反行為のみによっては,本件第二処分を受けるおそれはないことになる。 争点に関する当事者の主張本件の主要な争点は,(1)原告が本件第二処分の差止め訴訟を適法に提起することができるか否か,及び,(2)原告が本件違反行為を行ったか否か,であ るところ,これらの点に関する当事者双方の主張の要旨は,以下のとおりである。 (1)差止め訴訟の適法性について(原告)本件処分が取り消されない場合,原告には過去3年以内に運転免許の停止処分を受けた前歴(本件各先行処分及び本件処分)が3回あることになるから,本件後続違反行為に起因して原告の運転免許の効力が停止される期間は150日間にわたることとなる。しかしながら,このような処分を受けた場合には,原告はタクシー運転業務への就労が不可能となり,著しい収入の低下など重大な損害を生ずるおそれが極めて 力が停止される期間は150日間にわたることとなる。しかしながら,このような処分を受けた場合には,原告はタクシー運転業務への就労が不可能となり,著しい収入の低下など重大な損害を生ずるおそれが極めて高く,かつ,この重大な損害を避けるためにはその差止めを求めるより他に方法がない。 したがって,本件訴えのうち,本件第二処分の差止めを求める部分は適法である。 (被告)原告が新たな運転免許効力停止処分を受けた場合,それによってタクシーの運転手としての運転業務に一定の期間(前歴3回,累積点数2点の場合の運転免許効力停止期間は120日が基準である。)従事することができないとしても,それは自動車の運転が禁止されるだけのことであり,他に生活の糧を求めることは十分可能であるし,会社員である原告は,運転以外の会社業務に就労することもあり得ると思われるので,重大な損害を生じるとは到底認められない。 また,新たな運転免許停止処分がされたとしても,原告が当該処分の執行停止を申し立てることは即時可能であるし,仮に新たな運転免許停止処分がされ,それが違法なものであるとして取り消されたとしても,金銭賠償によって償うことができない程度の重大な損害が発生するとは考えられないから,差止め訴訟を認める必要性はない。 したがって,本件訴えのうち,本件第二処分の差止めを求める部分は不適法である。 (2)原告による本件違反行為の存否について(被告)b巡査部長及びc巡査長は,平成17年12月20日午前3時55分ころ,γ北行きの第4通行帯を本件パトカーで警らしながら走行していたところ,本件交差点の南側約50メートルの地点で対面信号機が赤色であるのを確認したことから,停車すべく減速し始めた。その際,b巡査部長らは,第2通行帯を走行していた原告タクシーが本件パトカーを追抜いていく 本件交差点の南側約50メートルの地点で対面信号機が赤色であるのを確認したことから,停車すべく減速し始めた。その際,b巡査部長らは,第2通行帯を走行していた原告タクシーが本件パトカーを追抜いていくのを現認した。当時,本件交差点付近のγを北行きに走行していたのは,第4通行帯が本件パトカー,第3通行帯が軽四輪乗用車,第2通行帯が原告タクシーという状況であった。 b巡査部長らが,同日午前4時ころ,赤信号で本件交差点で停止しようとしたところ,原告タクシーが同交差点内に進入し,本件交差点の中心付近まで進行したので,b巡査部長らは,信号無視(本件違反行為)と認め,ただちにサイレンを吹鳴させ,原告タクシーに対し,停車命令を発した。原告は,本件交差点北詰から約60メートル北側の地点に原告タクシーを停車させて降車してきたので,b巡査部長が信号違反であることを告げたところ,原告は当初,「後が気になり前は余りよく見ていませんでした。」などと申し述べていたが,同巡査部長が信号は見ていなかったのか等と質問したところ,「いいえ,見ていました。見たときは交差点に入ったところで赤色でした。」とか,「後が気になり信号は見ていません。赤色信号を見たときは交差点に入っていたので,ここで止まっても交通渋滞になると思い,そのまま通過しました。」などと供述を変遷させた。 b巡査部長が信号無視違反で措置する旨を告げ,交通反則切符を作成して切符の記載内容及び交通反則制度の説明をした後,原告に署名押印を求めた ところ,原告は,「そんなん認められんな。署名もせん。違反はしていない。 煽ってきたから仕方ないんや。」といって署名押印を拒否し,さらに告知書及び仮納付書の受領も拒否した。 その後,南署において交通課員が再度原告を取り調べたところ,原告は,後の車に煽られて後方に気を取られ,交差 たから仕方ないんや。」といって署名押印を拒否し,さらに告知書及び仮納付書の受領も拒否した。 その後,南署において交通課員が再度原告を取り調べたところ,原告は,後の車に煽られて後方に気を取られ,交差点直近まで信号機を見ていなかった,停止線の直前で対面する信号が赤色になっていることに気付きあわててブレーキを踏んだが,止まることができず交差点に入ってしまい,対面する北側の信号機を見上げる位置で停止した,とか,信号無視をしたのは,ι交差点であるから,警察官のいう本件交差点と自分が思う場所とは食違っており,本件違反行為については納得できない,等とこれまでとは違う供述をした。 上記のように,原告による本件違反行為は本件交差点で赤信号により停車する本件パトカーの警察官2名によって現認されたものであり,ι交差点における違反行為ではない。 これに対し,原告は,本件パトカーの存在を知りつつ,あえて信号無視などの違反行為をするなどということは考えられず,極めて不自然である旨主張するが,前記のとおり,原告は,後ろの車が煽ってきたので,後ろが気になり前は余りよく見ていませんでした,などと供述しており,当時,周囲にどのような車両があったのかよく把握していなかったことからすれば,原告の主張は当たらない。 また,原告は,本件交差点を青色で進入し,さらに北進したところ,ι交差点の手前約10メートル付近で,対面信号機が赤色になったことから制動動作を行ったものの間に合わず,ι交差点の南側にある横断歩道上で停止したが,これでは差し支えがあると考えて,左右の安全を確認した上,再発進させた旨主張するが,原告は,現場では,b巡査部長に対し,違反場所が本件交差点ではなく,ι交差点であるとの説明は全く行っていなかった上,原 告タクシーを停車させて事情を聞いた場所も,ι交差点より させた旨主張するが,原告は,現場では,b巡査部長に対し,違反場所が本件交差点ではなく,ι交差点であるとの説明は全く行っていなかった上,原 告タクシーを停車させて事情を聞いた場所も,ι交差点よりも南側(別紙のB地点)であったのである。 さらに,原告は,原告タクシーの車両運行状況を示すチャート記録(いわゆるタコグラフ。以下「本件チャート記録」といい,これに基づいて原告が訴外d株式会社に作成させた平成19年8月22日付け報告書(甲17)を「本件報告書1」,同じく同月27日付け報告書(甲18)を「本件報告書2」という。)を分析した結果からも原告の主張が裏付けられる旨主張するが,本件チャート記録からは,速度の状況を読みとることはできるとしても,時間や走行距離を明確に読みとることができるとは考えられず,このことは,原告自身,これに基づく報告書を見直しを重ねて都合の良いように作成していることからも明らかである。かえって,本件報告書2の「速度-距離関連グラフ」でみれば,原告タクシーは単純に急制動で停車したとしか解し得ないのであり,いったんι交差点で急停止した後,少し前に移動したところ,本件パトカーが来て停止を求めたので,ι交差点を越えた車道左側に停車したという原告の説明するような動きは読みとることができない。 したがって,原告が本件違反行為を行ったことは明らかである。 (原告)原告は,平成17年12月19日午後3時30分ころ,翌日午前4時ころまでの勤務を予定してタクシー運送業務につき,同月20日午前4時前ころ,λからγに左折して進入し,北に向けて走行した。原告は,少し休息を取ろうと考え,本件交差点の南側約50から60メートル付近を路肩にいったん停止したが,後方からエンジンをふかしながら原告タクシーを追上げるような感じで接近してくる車両を認めたた 。原告は,少し休息を取ろうと考え,本件交差点の南側約50から60メートル付近を路肩にいったん停止したが,後方からエンジンをふかしながら原告タクシーを追上げるような感じで接近してくる車両を認めたため,原告は,原告タクシーを再発進させて北行き第2通行帯に入り,少しずつ速度を上げながら北進し,対面信号機が青色を表示していた本件交差点を通過し,その直後,μに所在する営業所に帰投するため第3通行帯に車線を変更した。原告は,その後,さらに北 進したところ(この間,原告の視野内には原告タクシーより前方を走行している車両はなかった。),ι交差点の手前約10メートル付近に至ったときにι交差点の対面信号機が赤色となったことから制動操作を行ったものの間に合わず,結果的にι交差点の南側にある横断歩道上で停止した。このとき,原告は,パトランプを点灯しサイレンを鳴らしながら接近してくるとみられる本件パトカーを後方に発見した。そこで,原告は,横断歩道上で停止していては差し支えがあると考えて,横断歩道の左右の安全を確認した上で,いったん停止した原告タクシーをι交差点の更に北側に移動するために再発進させ,別紙のA地点に停止した。すると,この停止した原告タクシーの後方に本件パトカーも停止した。 警察官は,どの交差点の信号であるかを特定しないまま,原告が信号無視をした旨主張したので,原告は,ι交差点の信号が赤色であるのに同交差点内に進入したことを言われている旨理解した上で,赤色信号に対する制動が遅れたために横断歩道上に停止したことから,そのままでは交通の支障になると思って更に北側に移動したものであり,このような場合,信号無視には該当しないのではないかと主張した。しかしながら,警察官は交通反則切符を切る旨発言したので,原告が信号無視は認めることができない旨応対した 更に北側に移動したものであり,このような場合,信号無視には該当しないのではないかと主張した。しかしながら,警察官は交通反則切符を切る旨発言したので,原告が信号無視は認めることができない旨応対したところ,南署まで本件パトカーとともに赴くこととなったものである。 原告は,本件パトカーの警察官が,原告が信号無視をした交差点はι交差点ではなく本件交差点であり,原告が本件パトカーに命じられて停車した地点が別紙のA地点ではなくB地点であると主張していることを,南署での取調べにおいて初めて知らされた。そこで,原告は,南署において,上記警察官の主張が事実と異なっていることを供述しているのであるが,この原告の主張は,現在まで一貫しているのである。 これに対し,被告は,原告が本件パトカーを追い越して赤信号の本件交差点に進入した旨主張するが,一般に,交通警ら中のパトカーの存在を知りつ つ,あえて信号無視などの違反行為をするなどということは考えられない。 また,本件取締原票等は,その作成時期が不明である上(原告は,現場で警察官が上記書類を作成しているのを目にしたことはなく,以後もこれを見ていない。),誤記,訂正,書き直し部分が多くあり,違反場所についても「大阪市η-×」の記載が「大阪市δ-×-3」の記載へと変更されているところ,前者はι交差点のγ北行き対面信号機のある場所である。 加えて,本件報告書2の記載によっても,原告が主張する原告タクシーの運転状況と本件チャート記録による実測値とはほとんどそごがない一方,被告が主張する運転状況とは約60メートル前後のそごが生じているのであって,これからみても原告の主張の正しさは裏付けられるというべきである。 したがって,原告が本件違反行為を行っていないことは明らかである。 第3当裁判所の判断 争点1(差止め訴訟の適 ているのであって,これからみても原告の主張の正しさは裏付けられるというべきである。 したがって,原告が本件違反行為を行っていないことは明らかである。 第3当裁判所の判断 争点1(差止め訴訟の適法性)について行政事件訴訟法は,差止めの訴えは,行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において,一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り,提起することができるものとし(3条7項,37条の4第1項),ただし,その損害を避けるため他に適当な方法があるときは,この限りでない,と規定している(37条の4第1項ただし書)。平成16年法律第84号による行政事件訴訟法の改正により抗告訴訟の新たな訴訟類型として同法3条7項所定の差止めの訴えが定められた趣旨は,処分又は裁決がされた後に当該処分の取消しの訴えを提起し,当該処分又は裁決について同法25条2項に基づく執行停止を受けたとしても,それだけでは十分な権利利益の救済が得られない場合があることにかんがみ,処分又は裁決の取消しの訴えによる事後救済に加えて,行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において,事前の救済方法として,一定の要件の下で行政庁が当該処分又は 裁決をすることを事前に差し止める訴訟類型を新たに法定することにより,国民の権利利益の救済の実効性を高めることにあるものと解される。そして,同法37条の4第1項が差止めの訴えは一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り提起することができるものと規定した趣旨は,差止めの訴えが,取消訴訟とは異なり,処分又は裁決がされる前に,行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を裁判所が命ずることを求める事前救済 る場合に限り提起することができるものと規定した趣旨は,差止めの訴えが,取消訴訟とは異なり,処分又は裁決がされる前に,行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を裁判所が命ずることを求める事前救済のための訴訟類型であることにかんがみ,事前救済を認めるにふさわしい救済の必要性を差止めの訴えの適法要件として規定することにより,司法と行政の適切な役割分担を踏まえつつ行政に対する司法審査の機能を強化し国民の権利利益の実効的な救済を図ることにあると解される。これらの趣旨からすれば,同項にいう一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合とは,それを避けるために事前救済としての当該処分又は裁決をしてはならないことを命ずる方法による救済が必要な損害を生ずるおそれがある場合をいうものと解されるのであって,一定の処分又は裁決がされることにより損害を生ずるおそれがある場合であっても,当該損害がその処分又は裁決の取消しの訴えを提起して同法25条2項に基づく執行停止を受けることにより避けることができるような性質,程度のものであるときは,同法37条の4第1項にいう一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合には該当しないものと解すべきである。 しかるところ,確かに,本件第二処分がされることになれば,原告は,一定の期間(120日ないし150日間)自動車の運転を適法に行うことができなくなり,従前のようにタクシー乗務員として勤務することが不可能になるという直接的な損害を受けるほか,本件第二処分が前歴として残る結果,将来において大阪府公安委員会又は大阪府警察本部長から受ける運転免許の効力に係る処分が加重されるおそれが生じることになる。しかしながら,仮に原告がその運転免許の効力を上記の期間停止されたとしても,原告が現在の て大阪府公安委員会又は大阪府警察本部長から受ける運転免許の効力に係る処分が加重されるおそれが生じることになる。しかしながら,仮に原告がその運転免許の効力を上記の期間停止されたとしても,原告が現在の勤務先等にお いて自動車の運転を伴わない他の業務に一時的に就くことまでが禁じられていないことはもとより,原告が本件第二処分の取消訴訟を提起するとともにその執行停止を申立てることは妨げられないのであり,仮に上記執行停止が認められなかったとしても,本件第二処分がその後に取り消された場合には,本件第二処分が前歴として評価されることがなくなる上,運転免許の効力が違法に停止されたことによる損害についても,別途損害賠償訴訟を提起するなどの方法で事後的に回復を図ることが考えられる(なお,法103条8項,令33条の5の規定に基づき,講習を終了することによって免許の効力の停止の期間を短縮することも可能である。)。もっとも,本件第二処分によって原告が受けるべき損害は経済的なものに限られるわけではなく,その名誉や信用等にも一定の影響が及ぶことは否定できないが,本件各先行処分が既に存在すること等にかんがみると,新たに本件第二処分を受けることによって原告が被る損害のうち上記のような側面を過度に重視することはできない。そうすると,原告がタクシー乗務員として勤務することで長年生活の糧を得てきたことや,短期間だけ他の仕事に就くことは原告の年齢(平成17年12月当時は満59歳)等に照らし必ずしも容易ではないであろうことなどをしんしゃくしてもなお,本件第二処分がされることによって原告が直ちに著しい損害を受けるような事態は容易に想定し難いものというべきであり,本件第二処分がされることにより原告に生ずるおそれのある損害は,本件処分の取消しの訴えを提起して行政事件訴訟法25条 原告が直ちに著しい損害を受けるような事態は容易に想定し難いものというべきであり,本件第二処分がされることにより原告に生ずるおそれのある損害は,本件処分の取消しの訴えを提起して行政事件訴訟法25条2項に基づく執行停止を受けることにより避けることができるような性質,程度のものであるといわざるを得ない。 したがって,本件訴えのうち本件第二処分の差止めを求める部分は,行政事件訴訟法37条の4第1項にいう一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合の要件を欠く不適法な訴えであるから,その余の点について判断するまでもなく,却下されるべきである。 争点2(本件違反行為の存否)について (1)本訴の口頭弁論終結時点においては,本件処分に基づく運転免許の効力停止期間が既に経過していることはもちろん,本件処分がされてから既に1年が経過しているが,本件処分がされてから約4か月後である平成18年9月22日に本件後続違反行為が生起しており,本件処分が取り消されない限り,本件処分及び本件各先行処分はなお原告に対する将来の運転免許停止処分等において前歴として考慮されることになるというべきであるから(令別表第三,備考一),原告には,現時点ではなお本件処分の取消しを求める訴えの利益があると解すべきこととなる(最高裁昭和53年(行ツ)第32号同55年11月25日第三小法廷判決・民集34巻6号781頁参照)。したがって,本件処分の前提となる本件違反行為の存否を判断する必要があることになる。 (2)そこで検討するに,証拠(甲4,9,13,17ないし19,乙2ないし6,8,証人b,同c,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 アγの本件交差点付近は,最高速度が時速50キロメートルに制限されており,夜間でも いし19,乙2ないし6,8,証人b,同c,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 アγの本件交差点付近は,最高速度が時速50キロメートルに制限されており,夜間でも道路照明や付近のマンション等の照明で明るく,昼夜を問わず車両の交通量が多い。平成17年12月ころ当時において,本件交差点付近で工事等は行われておらず,同交差点γ北行き対面信号機の視認性は良好であった。なお,γの本件交差点付近は,終日駐車が禁止されている。 イ本件交差点の北向き停止線とι交差点の北向き停止線との間の距離は約104メートルであり,これは時速50キロメートルで約7.5秒,時速60キロメートルでは約6.2秒で通過する距離に相当する。また,本件交差点の北向き停止線と,γで本件交差点の1つ南側に所在するκ×番27号先の交差点(別紙の①,以下その通称に従い「ν交差点」という。)の北向き停止線との間の距離は約238メートルであり,これは時速50 キロメートルで約17.1秒,時速60キロメートルでは約14.3秒で通過する距離に相当する。 ウ本件交差点,ι交差点,及びν交差点の各信号機は,いずれも集中制御用信号機(管制センターから直接統御している信号機をいう。)である。 本件交差点のγ対面信号機は,青色を75秒間表示した後,黄色を3秒間,赤色を72秒間表示(赤色表示のうち最初の11秒間は右折矢印が青色を表示する。)するという150秒周期で終日運用されている。 ι交差点のγ北行き対面信号機は,午後11時から午前5時までは閑散時押ボタン機能(横断歩行者が少ない時間帯において,車道側に常時青色信号を表示させ,歩行者が押ボタンを押したときに横断歩道に青色信号を表示させる機能をいう。)を作動させている。上記機能の作動時において,ι交差点の横断歩道で が少ない時間帯において,車道側に常時青色信号を表示させ,歩行者が押ボタンを押したときに横断歩道に青色信号を表示させる機能をいう。)を作動させている。上記機能の作動時において,ι交差点の横断歩道で押ボタンが押された場合,まず本件交差点においてγ北行き対面信号機が黄色(3秒),次いで赤色(右折矢印を含む。)を表示し,それからι交差点のγ北行き対面信号機が赤色を表示するが,本件交差点が赤信号となってからι交差点が赤信号となるまでの間隔は約8秒ある。 また,ν交差点のγ北行き対面信号機も,午後11時から午前5時までは閑散時半感応機能(γの対面信号機を常時青色としておき,東西方向の道路からの車両を感知したとき,又は歩行者が押ボタンを押したときに東西方向の道路に係る対面信号機に青色を表示させる機能をいう。)を作動させている。上記機能の作動時において,ν交差点のγ北行き対面信号機が青色に変わってから,本件交差点のγ北行き対面信号機が青色になるまでは最短でも36秒を要する。 エ本件報告書1及び同2によれば,原告タクシーが,平成17年12月20日午前4時ころ,γの別紙A地点又はB地点付近において停止するべく減速を開始する前の時速は,おおむね57キロメートルであった。また, 本件チャート記録からは,時速57キロメートルから急減速した原告タクシーは,その後に再発進するまで約12分間停止していたことが認められ,この間にb巡査部長が原告に対して職務質問を行う等していたことがうかがわれる。なお,本件報告書1及び同2に添付された「速度-距離関連グラフ」によると,原告タクシーが上記職務質問による停止の前に最後に停止していたのは,上記職務質問による停止位置(別紙A地点又はB地点)から606メートル(本件報告書1)ないし632メートル(同2)南側の位置であっ 原告タクシーが上記職務質問による停止の前に最後に停止していたのは,上記職務質問による停止位置(別紙A地点又はB地点)から606メートル(本件報告書1)ないし632メートル(同2)南側の位置であった。 オ原告は,平成17年12月19日,予約の客がいた関係で通常より1時間半程度早い午後3時30分ころ出庫してタクシー運送業務に就き,翌20日午前3時20分ころまでに休息を取ることなく計11回,のべ約20名の乗客を乗せ,合計4万1780円の売上げ(当時の1日の売上げとしては平均的な額)があった。原告は,当初は同日午前5時(深夜割増料金が適用される最終時刻)ころに入庫する予定で,主に大阪市内を流して営業活動を行っていたが,午前4時ころ,早めに営業を切上げて営業所に帰投することにし,γの第2通行帯を南から北に直進し,その際,本件交差点を通過した。なお,原告の勤務していたタクシー会社の営業所は,本件交差点の北側約5キロメートルのところにあり,原告は,それまでひんぱんに原告タクシーでγを通行していた(本件後続違反行為も,γにある別の交差点における信号無視に係るものである。)。 カb巡査部長とc巡査長は,平成17年12月20日,本件パトカー(c巡査長が運転する○○で,白と黒のツートンカラーの通常よくみられるパトロールカーである。)で午前3時に高津交番を出発して主に交通事犯や車上狙い等を対象とした警ら任務につき,南署の管内を巡回していた。b巡査部長らは,午前3時50分ころ,γに入り,これを北上していった。 b巡査部長らは,本件パトカーをν交差点の第4通行帯で赤信号により停 止させた後,青信号になったために再び発進させたところ,第3通行帯の白色軽四輪乗用自動車がかなりの加速を付けて発進したため,速度超過を警戒して同車を追尾したが,同車は本件パトカー 信号により停 止させた後,青信号になったために再び発進させたところ,第3通行帯の白色軽四輪乗用自動車がかなりの加速を付けて発進したため,速度超過を警戒して同車を追尾したが,同車は本件パトカーに気付いたらしく,次第に減速した。本件パトカーは,同日午前4時ころ,本件交差点の第4通行帯において,赤信号により再度停止し,前記軽四輪自動車も第3通行帯において停止していた。 (3)前記認定事実と,これら事実に合致するとともに被告の主張に沿う証人b及び同cの各供述を総合すれば,原告が本件交差点において赤信号で停止している本件パトカーの脇の第2通行帯を時速約57キロメートルでそのまま通過し,本件パトカーの停止命令を受けて別紙B地点付近に原告タクシーを停止させたという事実は優にこれを認めることができる。 (4)原告は,本件交差点の手前でいったん休息を取るためにγの路肩に停止したが,後方から接近してくる車両を認めて再度原告タクシーを発進させ,本件交差点を青信号で通過し,ι交差点の手前約10メートルでその対面信号機が赤色を表示したことから急制動措置を講じたが間に合わずに横断歩道上で停止し,再度原告タクシーを発進させて別紙のA地点に停止させた旨主張し,原告本人はこの主張に沿う供述及び陳述(甲13)をする。しかしながら,これらの主張及び供述等の内容は,①本件交差点を通過したころの原告タクシーの時速が約57キロメートルであり,上記速度であれば本件交差点からι交差点までは7秒足らずで到達する計算であることからみて,本件交差点が青信号であったのであれば,原告タクシーは,その約11秒後に赤信号となるι交差点も青信号ないし黄信号で通過するはずであること,②本件チャート記録上,原告タクシーが本件交差点の手前でいったん停止した形跡は認められず,かつ,5キロメー シーは,その約11秒後に赤信号となるι交差点も青信号ないし黄信号で通過するはずであること,②本件チャート記録上,原告タクシーが本件交差点の手前でいったん停止した形跡は認められず,かつ,5キロメートル程度しか離れていない営業所に戻る直前に,原告が駐車禁止の指定がされているγの路肩であえて仮眠をとらなければならないような必要性も特段認められないこと,③同じく本件チ ャート記録上,原告タクシーは,時速約57キロメートルから急激に減速してそのまま約12分間停止していることが認められるのであって,いったん停止した後,b巡査部長らによる職務質問を受けるまでの間に再度移動したような形跡はうかがわれないこと,に照らし,これら客観的状況との不一致が多い不自然なものというほかはなく,直ちには採用することができない。 この点,原告は,前方にいた本件パトカーを追い越して赤信号の本件交差点に進入することなど通常考えられない旨主張するが,原告自身の主張によっても,当時,後方からエンジンを吹かしながら接近してくる車両が存在していたというのであり,証拠(乙3,4,証人b,原告本人)によっても,原告は,b巡査部長の職務質問に対し,後ろの車が煽ってきたので前は余りよく見ていなかった旨供述し,その後の南署での取調べにおいても,当時γで周りにどんな車がいたのかは見ていない旨の供述をしていたことが認められるのであって,原告がそれまで12時間以上連続して勤務し,間もなく営業所に帰投しようとしていたことをも併せ考えると,原告が,2車線横に本件パトカーが停止していたことに気付くことなく,これを追抜いて本件交差点に進入してしまったとしても不合理とはいえないから,原告の上記主張は採用することができない。 また,原告は,本件取締原票等に当初記載されていた違反場所は「大阪市η-× なく,これを追抜いて本件交差点に進入してしまったとしても不合理とはいえないから,原告の上記主張は採用することができない。 また,原告は,本件取締原票等に当初記載されていた違反場所は「大阪市η-×」であったところ,これはι交差点の北行き対面信号機のある場所であるから,原告が本件交差点において信号無視をしていないことは明らかである旨の主張もする。しかしながら,証拠(乙7,証人b,同c)によれば,本来,信号無視を行った場所としては停止線の所在場所に係る住居表示を記載すべきであること,それにもかかわらずb巡査部長らは,このことを知らずに信号無視の場合には対面信号機の設置場所に係る住居表示を違反場所として取締原票等に記載してきたものの,それまで被告知者に否認された経験がなかったために誤りに気付かずにおり,本件取締原票にも,c巡査長が別 紙の「ζビル」南端にある「e」(本件交差点のγ北行き対面交差点の信号機はその前に設置されていた。)の住居表示が「η-×」であることをその場で調べてb巡査部長に報告し,同巡査部長がこれを直ちに本件取締原票等に記入したこと,b巡査部長らは,原告が告知書及び仮納付書の受領を拒否したために南署の交通課に本件違反行為に係る捜査を引き継いだが,その際に初めて同課員からの指摘を受け,本件違反行為に係る違反場所を本件交差点のγ北向き停止線の所在場所である「大阪市δ-×-3付近道路」に訂正したこと,が認められるから,b巡査部長らが本件取締原票等に違反場所について当初誤った記載をしていたゆえをもって,原告が本件交差点において信号無視を行っていないものとは到底判断することができない。もっとも,b巡査部長らの供述によれば,同人らは相当期間にわたり警ら用無線自動車による交通違反の取締りに従事していたことがうかがわれるにもかかわらず を行っていないものとは到底判断することができない。もっとも,b巡査部長らの供述によれば,同人らは相当期間にわたり警ら用無線自動車による交通違反の取締りに従事していたことがうかがわれるにもかかわらず,その間,信号無視の違反場所については継続的に誤った記載をしてきたことになる。しかしながら,証拠(甲1,4,5,乙10)及び弁論の全趣旨によれば,平成20年9月17日まで有効な原告の運転免許証上の本籍地に係る記載は,平成17年4月1日の行政区画変更によってその後は正確ではなくなっているものの,原告がその存在を争わなかった本件後続違反行為の際には,取締りに当たった南署の警察官は,逐一原告の本籍地所在地の役場に身上照会等をすることのないまま,運転免許証上の原告の上記本籍地をそのまま本件後続違反行為に係る取締原票に記載し,原告もこれを問題にすることなく反則金を納付していることが認められるのであって,こうした事実にも照らして判断すると,少なくとも平成17年ないし平成18年ころの南署における交通取締実務においては,交通違反に係る取締原票については,否認事件等に係るものでない限り,その記載が正確であるべきことの必要性は必ずしも強くは認識されていなかったことがうかがえるというべきであるから,その妥当性はともかく,b巡査部長らが信号無視に係る違反場所の記載 方法をそれまで誤解していたのだとしても,それが特段不自然であるとまではいえないというべきである。 さらに,原告は,本件報告書2の記載によれば,原告が主張する原告タクシーの運転状況と本件チャート記録による実測値とはほとんどそごがないとも主張する。しかしながら,同じく訴外d株式会社が分析した結果である本件報告書1と同2との間に原告タクシーの進行距離についての解読結果に相当程度の差異があることからみても 値とはほとんどそごがないとも主張する。しかしながら,同じく訴外d株式会社が分析した結果である本件報告書1と同2との間に原告タクシーの進行距離についての解読結果に相当程度の差異があることからみても,本件チャート記録からは,原告タクシーの速度についてはほぼぶれのない値を解読することができるものの,その走行時間や距離についてはかなりの誤差が生じ得ることが明らかであり,本件報告書2添付の「速度-距離関連グラフ」上の距離の記載が正確であることを前提とする原告の上記主張は,その前提を立証することができていないというべきである。かえって,本件報告書1及び同2のいずれによっても,原告タクシーはb巡査部長らによって停止させられるまでの間,約600メートル前後にわたって停止することなく走行を続けていることが認められるところ,いったん本件交差点の手前でγの路肩に停止したという原告の主張並びにこれに沿う原告の陳述及び供述が上記認定と矛盾すること,本件報告書1及び2の各記載から,原告が訴外d株式会社に対して自己の主張に沿うような解読結果が出るよう度々その修正を要求していた様子がうかがえることなどからすれば,原告の上記主張は採用することができない。 (5)したがって,本件違反行為の存在は優に認定することができ,この認定を覆すに足りる証拠はない(なお,令別表第二,備考二32の文言からみて,信号無視が違反行為として成立するためには,運転者の主観は無関係と解される。もっとも,前記(1)で認定したような事実関係に照らせば,原告は,本件交差点の赤信号を見落としたことについて,少なくとも過失があったことは明らかである(法119条2項,同条1項1号の2,7条参照)。)。そして,他に本件処分に瑕疵があることをうかがわせるような事情は証拠上認 められないから,本件処分は 少なくとも過失があったことは明らかである(法119条2項,同条1項1号の2,7条参照)。)。そして,他に本件処分に瑕疵があることをうかがわせるような事情は証拠上認 められないから,本件処分は適法と解すべきである。 第4 結論 以上のとおりであるから,本件訴えのうち運転免許停止処分の差止めを求める部分は不適法であるので却下し,原告のその余の請求は理由がないので棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官西川知一郎裁判官岡田幸人裁判官森田亮
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