令和1(ワ)24736 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年3月15日 東京地方裁判所
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令和6年3月15日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和元年(ワ)第24736号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和5年11月22日判決 原告株式会社セフト研究所 同訴訟代理人弁護士鮫島正洋高橋正憲山崎臨在 被告ビツグボーン株式会社(以下「被告ビツグボーン」という。) 被告株式会社サンエス(以下「被告サンエス」という。) 被告アタックベース株式会社(以下「被告アタックベース」という。) 被告大川被服株式会社(以下「被告大川被服」という。) 被告福徳産業株式会社(以下「被告福徳産業」という。) 上記5名訴訟代理人弁護士堀籠佳典 牧野知彦岡田健太郎同訴訟代理人弁理士水﨑慎同補佐人弁理士高橋克宗 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告ビツグボーンは、別紙物件目録記載1-1ないし1-22の製品を製造し、譲渡し、輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 2 被告ビツグボーンは、その占有にかかる前項記載の製品を廃棄せよ。 ツグボーンは、別紙物件目録記載1-1ないし1-22の製品を製造 し、譲渡し、輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 2 被告ビツグボーンは、その占有にかかる前項記載の製品を廃棄せよ。 3 被告ビツグボーンは、原告に対し、1000万円及びこれに対する令和元年9月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告サンエスは、別紙物件目録記載2-1ないし2-46の製品を製造し、 譲渡し、輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 5 被告サンエスは、その占有にかかる前項記載の製品を廃棄せよ。 6 被告サンエスは、原告に対し、1000万円及びこれに対する令和元年9月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 7 被告アタックベースは、別紙物件目録記載3-1ないし3-27の製品を製 造し、譲渡し、輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 8 被告アタックベースは、その占有にかかる前項記載の製品を廃棄せよ。 9 被告アタックベースは、原告に対し、1000万円及びこれに対する令和元年9月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 10 被告大川被服は、別紙物件目録記載4-1ないし4-34の製品を製造し、譲渡し、輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 11 被告大川被服は、その占有にかかる前項記載の製品を廃棄せよ。 12 被告大川被服は、原告に対し、1000万円及びこれに対する令和元年9月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 13 被告福徳産業は、別紙物件目録記載5-1ないし5-7の製品を製造し、譲渡し、輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 14 被告福徳産業は、その占有にかかる前項記載の製品を廃棄せよ。 産業は、別紙物件目録記載5-1ないし5-7の製品を製造し、譲渡し、輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 14 被告福徳産業は、その占有にかかる前項記載の製品を廃棄せよ。 15 被告福徳産業は、原告に対し、1000万円及びこれに対する令和元年9月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の要旨 本件は、発明の名称を「空調服の空気排出口調整機構、空調服の服本体及び空調服」とする特許第6158675号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)の特許権者である原告が、被告らに対し、別紙物件目録記載の各製品(以下、同目録の記載に沿って「被告製品1-1」、「被告製品1-2」などといい、総称して「被告製品」という。) が本件特許の特許請求の範囲の請求項3ないし9記載の発明(ただし、請求項5及び9については請求項3を被従属項とするものに限る。)の各技術的範囲に属し、被告らによる被告製品の製造等が上記各発明の実施に当たると主張して、特許法100条1項及び2項に基づき、被告製品の製造、譲渡、輸出、輸入及び譲渡の申出の差止め並びに廃棄を求め、民法709条に基づき、損害金 合計5000万円(特許法102条2項により算定される損害の一部請求)及 びこれに対する不法行為後の日である令和元年9月30日(訴状送達の日)から支払済みまでの民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠(以下、書証番号は特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) ⑴ 当事者ア原告は、ファンを用いた衣服、寝 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠(以下、書証番号は特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) ⑴ 当事者ア原告は、ファンを用いた衣服、寝具、ざぶとん等の開発、製造及び販売等を行う株式会社である。 イ被告らは、ユニフォーム、カジュアルウェア、ワーキングウェア(作業服)等の開発、製造及び販売等を行う株式会社である。 ウ原告及び被告らは、いずれも電動ファン付きウエア(電動ファン付きウエアについては、一般に「空調服」とも呼ばれている。以下、本判決においても「空調服」ということがある。)の販売等を行っている。 ⑵ 本件特許原告は、平成25年10月9日、本件特許に係る特許出願(特願2013 -212139号。以下「本件出願」という。)をし、平成29年6月16日、本件特許権の設定の登録(請求項の数10)を受けた(甲1、2。本件出願の願書に添付した明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。また、明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと、図を【図1】などと、それぞれ記載する。)。 ⑶ 本件特許に係る特許請求の範囲本件特許の特許請求の範囲の請求項3ないし9の各記載は、以下のとおりである(以下、それらの請求項に係る発明を、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明7」といい、総称して「本件各発明」という。)。 ア請求項3(本件発明1) 送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通さ せる空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される、前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、その開口度を調整するための空気排出口調整機構において、第一取付部を有し、前記空調服の服地の内表面であって 部との間に形成される、前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、その開口度を調整するための空気排出口調整機構において、第一取付部を有し、前記空調服の服地の内表面であって前記襟後部又はその周辺の第一の位置に取り付けられた第一調整ベルトと、 前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複数の第二取付部を有し、前記第一調整ベルトが取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた第二調整ベルトと、を備え、 前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成することを特徴とする空気排出口調整機構。 イ請求項4(本件発明2) 前記第一取付部は前記空調服の服地の内表面と対向するように前記第一調整ベルトに取り付けられていることを特徴とする請求項3記載の空気排出口調整機構。 ウ請求項5(本件発明3)前記第二取付部は貫通孔であることを特徴とする請求項1、2、3又 は4記載の空気排出口調整機構。 エ請求項6(本件発明4)前記第一取付部はボタンであることを特徴とする請求項5記載の空気排出口調整機構。 オ請求項7(本件発明5) 前記貫通孔は切り込み線を入れて作製されるボタン孔であることを特 徴とする請求項6記載の空気排出口調整機構。 カ請求項8(本件発明6)前記ボタン孔の切り込み方向が前記襟後部の長手方向と略平行になるように前記ボタン孔が形成されていることを特徴とする請求項7記載の空気排出口調整機構。 キ請求項9( 請求項8(本件発明6)前記ボタン孔の切り込み方向が前記襟後部の長手方向と略平行になるように前記ボタン孔が形成されていることを特徴とする請求項7記載の空気排出口調整機構。 キ請求項9(本件発明7)請求項1~8のいずれか一項に記載の空気排出口調整機構を備えた空調服の服本体。 ⑷ 原告による訂正請求ア原告は、本件特許に係る無効審判請求事件(無効2020-80010 3号)において、令和5年4月3日付けで、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を理由に、本件特許の請求項3ないし10を一群の請求項として、それらの請求項及び本件明細書の記載を訂正する旨の訂正請求(以下「本件訂正」という。)をした(甲97ないし99)。 イ本件訂正後の本件特許の特許請求の範囲の請求項3ないし9の各記載は、 以下のとおりである(以下、それらの請求項に係る発明を、それぞれ「本件訂正発明1」ないし「本件訂正発明7」といい、総称して「本件各訂正発明」という。なお、下線部は本件訂正による訂正箇所を指し、以下、この訂正事項を「本件訂正事項1」という。)。 請求項3(本件訂正発明1) 送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される、前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、その開口度を調整するための空気排出口調整機構において、第一取付部を有し、前記空調服の服地の内表面であって前記襟後部又 はその周辺の第一の位置に取り付けられた第一調整ベルトと、 前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複数の第二取付部を有し、前記第一調整ベルトが取り付けられた前記第一の 置に取り付けられた第一調整ベルトと、 前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複数の第二取付部を有し、前記第一調整ベルトが取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた第二調整ベルトと、を備え、 前記第一の位置から前記第一取付部までの第一調整ベルトの長さがL3であり、前記第二の位置から前記複数の第二取付部のいずれかまでの長さがL4であり、前記第一の位置から前記第二の位置までの空調服の服地に沿った距離 がL5であり、L3とL4は異なる長さであって、前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることでL3+L4<L5となり、結び目を形成することなく前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟 後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成することを特徴とする空気排出口調整機構。 請求項4(本件訂正発明2)前記第一取付部は前記空調服の服地の内表面と対向するように前記第一調整ベルトに取り付けられていることを特徴とする請求項3記載の空 気排出口調整機構。 請求項5(本件訂正発明3)前記第二取付部は貫通孔であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の空気排出口調整機構。 請求項6(本件訂正発明4) 前記第一取付部はボタンであることを特徴とする請求項5記載の空気 排出口調整機構。 請求項7(本件訂正発明5)前記貫通孔は切り込み線を入れて作製されるボタン孔であることを特徴とする請求項6記載の空気排出口 を特徴とする請求項5記載の空気 排出口調整機構。 請求項7(本件訂正発明5)前記貫通孔は切り込み線を入れて作製されるボタン孔であることを特徴とする請求項6記載の空気排出口調整機構。 請求項8(本件訂正発明6) 前記ボタン孔の切り込み方向が前記襟後部の長手方向と略平行になるように前記ボタン孔が形成されていることを特徴とする請求項7記載の空気排出口調整機構。 請求項9(本件訂正発明7)請求項1~8のいずれか一項に記載の空気排出口調整機構を備えた空 調服の服本体。 ⑸ 構成要件の分説本件各発明及び本件各訂正発明の請求項は、次の構成要件に分説することができる(以下、各構成要件につき、頭書の記号に従って「構成要件A」、「構成要件B」などという。)。 ア本件各発明について本件発明1(請求項3)A 送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される、前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、そ の開口度を調整するための空気排出口調整機構において、B 第一取付部を有し、前記空調服の服地の内表面であって前記襟後部又はその周辺の第一の位置に取り付けられた第一調整ベルトと、C 前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複数の第二取付部を有し、前記第一調整ベルトが取り付けられ た前記第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置に 取り付けられた第二調整ベルトと、を備え、D 前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前 取り付けられた第二調整ベルトと、を備え、D 前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成することを特徴とする E 空気排出口調整機構。 本件発明2(請求項4)F 前記第一取付部は前記空調服の服地の内表面と対向するように前記第一調整ベルトに取り付けられていることを特徴とするG 請求項3記載の空気排出口調整機構。 本件発明3(請求項5)H 前記第二取付部は貫通孔であることを特徴とするI 請求項1、2、3又は4記載の空気排出口調整機構。 本件発明4(請求項6)J 前記第一取付部はボタンであることを特徴とする K 請求項5記載の空気排出口調整機構。 本件発明5(請求項7)L 前記貫通孔は切り込み線を入れて作製されるボタン孔であることを特徴とするM 請求項6記載の空気排出口調整機構。 本件発明6(請求項8)N 前記ボタン孔の切り込み方向が前記襟後部の長手方向と略平行になるように前記ボタン孔が形成されていることを特徴とするO 請求項7記載の空気排出口調整機構。 本件発明7(請求項9) P 請求項1~8のいずれか一項に記載の空気排出口調整機構を備えた Q 空調服の服本体。 イ本件各訂正発明について(なお、下線部は本件訂正による訂正箇所を指す。)本件訂正発明1(請求項3)A 送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流 通させる空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される、前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口につ 項3)A 送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流 通させる空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される、前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、その開口度を調整するための空気排出口調整機構において、B 第一取付部を有し、前記空調服の服地の内表面であって前記襟後部又はその周辺の第一の位置に取り付けられた第一調整ベルトと、 C 前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複数の第二取付部を有し、前記第一調整ベルトが取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた第二調整ベルトと、を備え、D’ 前記第一の位置から前記第一取付部までの第一調整ベルトの長さ がL3であり、前記第二の位置から前記複数の第二取付部のいずれかまでの長さがL4であり、前記第一の位置から前記第二の位置までの空調服の服地に沿った距離がL5であり、L3とL4は異なる長さであって、D” 前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一 つに取り付けることでL3+L4<L5となり、結び目を形成することなく前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成することを特徴とするE 空気排出口調整機構。 本件訂正発明2(請求項4) F 前記第一取付部は前記空調服の服地の内表面と対向するように前記第一調整ベルトに取り付けられていることを特徴とするG 請求項3記載の空気排出口調整機構。 本件訂正発明3(請求項5)H 前記第二取付部は貫通孔であることを特徴とする I 請求項1、2、3又は4記載の空 付けられていることを特徴とするG 請求項3記載の空気排出口調整機構。 本件訂正発明3(請求項5)H 前記第二取付部は貫通孔であることを特徴とする I 請求項1、2、3又は4記載の空気排出口調整機構。 本件訂正発明4(請求項6)J 前記第一取付部はボタンであることを特徴とするK 請求項5記載の空気排出口調整機構。 本件訂正発明5(請求項7) L 前記貫通孔は切り込み線を入れて作製されるボタン孔であることを特徴とするM 請求項6記載の空気排出口調整機構。 本件訂正発明6(請求項8)N 前記ボタン孔の切り込み方向が前記襟後部の長手方向と略平行にな るように前記ボタン孔が形成されていることを特徴とするO 請求項7記載の空気排出口調整機構。 本件訂正発明7(請求項9)P 請求項1~8のいずれか一項に記載の空気排出口調整機構を備えたQ 空調服の服本体。 ⑹ 本件明細書の訂正事項本件訂正では、本件明細書の【0013】について、以下のとおり訂正された。 ア訂正前の【0013】また、上記の目的を達成するための第二の発明は、送風手段を用いて人 体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟後部と 人体の首後部との間に形成される、空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、その開口度を調整するための空気排出口調整機構において、第一取付部を有し、空調服の服地の内表面であって前記襟後部又はその周辺の第一の位置に取り付けられた第一調整ベルトと、前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複 数の第二取付部を有し、第一調整ベルトが取り付けられた前記第一の位置とは異なる襟後部又はその周辺の第二の位 一調整ベルトと、前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複 数の第二取付部を有し、第一調整ベルトが取り付けられた前記第一の位置とは異なる襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた第二調整ベルトと、を備え、第一取付部を複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口 度で空気排出口を形成することを特徴とするものである。 イ訂正後の【0013】(下線部は本件訂正による訂正事項を指し、この訂正事項のことを「本件訂正事項2」という。)また、上記の目的を達成するための第二の発明は、送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟後部と 人体の首後部との間に形成される、空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、その開口度を調整するための空気排出口調整機構において、第一取付部を有し、空調服の服地の内表面であって前記襟後部又はその周辺の第一の位置に取り付けられた第一調整ベルトと、前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複 数の第二取付部を有し、第一調整ベルトが取り付けられた前記第一の位置とは異なる襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた第二調整ベルトと、を備え、第一の位置から第一取付部までの第一調整ベルトの長さがL3であり、第二の位置から複数の第二取付部のいずれかまでの長さがL4であり、第一の位置から第二の位置までの空調服の服地に沿った距離 がL5であり、L3とL4は異なる長さであって、第一取付部を複数の第 二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることでL3+L 一の位置から第二の位置までの空調服の服地に沿った距離 がL5であり、L3とL4は異なる長さであって、第一取付部を複数の第 二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることでL3+L4<L5となり、結び目を形成することなく空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で空気排出口を形成することを特徴とするものである。 ⑺ 被告らの被告製品の販売等 ア被告ビツクボーンは被告製品1-1ないし1-22を、被告サンエスは被告製品2-1ないし2-46を、被告アタックベースは被告製品3-1ないし3-27を、被告大川被服は被告製品4-1ないし4-34を、被告福徳産業は被告製品5-1ないし5-7をそれぞれ販売していた。 イ被告製品は、構成要件H、J及びQを充足する。 ウ被告製品の販売合計額、仕入額合計は別紙損害目録記載1の「販売合計額」、「仕入額合計」欄記載のとおりである。 3 争点⑴ 被告製品が本件各発明の技術的範囲に属するか(争点1)⑵ 本件各発明に係る無効の抗弁の成否(争点2) ア冒認出願又は共同出願要件違反(争点2-1)イ明確性要件違反(争点2-2)ウ被告サンエス作成のカタログ「Re.SUN-SUniformCataloguevolume.28 2008 SPRING&SUMMERCOLLECTION」の136ないし139、200及び2 01頁(乙5。以下「乙5カタログ」という。)に掲載された品番「KU90550」の製品により公然実施をされた発明(以下「本件公然実施発明」という。)に基づく進歩性欠如(争点2-3)エ特開2006-132040号公報(乙37)に記載された発明(以下「 番「KU90550」の製品により公然実施をされた発明(以下「本件公然実施発明」という。)に基づく進歩性欠如(争点2-3)エ特開2006-132040号公報(乙37)に記載された発明(以下「乙37発明」という。)に基づく進歩性欠如(争点2-4) オサポート要件違反(争点2-5) カ実施可能要件違反(争点2-6)⑶ 権利濫用の抗弁の成否(争点3)⑷ 本件公然実施発明に基づく進歩性欠如の無効の抗弁に対する訂正の再抗弁の成否(争点4)⑸ 本件各訂正発明に係る無効の(再々)抗弁の成否(争点5) ア明確性要件違反(争点5-1)イサポート要件違反(争点5-2)⑹ 差止め等の必要性(争点6)⑺ 損害の発生及び額(争点7)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告製品が本件各発明の技術的範囲に属するか)について(原告の主張)⑴ 被告製品の構成被告製品は以下の構成を有している。 ア構成① 被告製品は、服背面下部のファン設置位置にファンを設置して使用する服である。ファンを作動させることで、ファン設置位置から空気を服本体に吸込み、吸込んだ空気が、人体と服の間を通過し、襟首等から服本体の外部に排出される。 イ構成② 被告製品は、服の襟後部に調整ゴムベルトを有し、調整ゴムベルトの有するボタン穴と、ボタンを取り付けることで、首元と服の間に空気の通り道が生まれ、着用者にとって涼しく快適な環境が提供される。 ウ構成③被告製品は、服の襟後部において、服の服地内表面の第一の位置に取り 付けられた調整ベルトを有する。そして、その調整ベルトは、ボタンを有 する。 被告製品は、襟後部における、第一の位置とは異なる第二 襟後部において、服の服地内表面の第一の位置に取り 付けられた調整ベルトを有する。そして、その調整ベルトは、ボタンを有 する。 被告製品は、襟後部における、第一の位置とは異なる第二の位置に取り付けられた調整ゴムベルトを有する。そして、その調整ゴムベルトは、ボタンの形状に対応して取り付けが可能となる切り込み形状を有する複数のボタン穴(その切り込み方向は襟後部の長手方向と略平行になっている。) を有する。 被告製品において、ボタンは、空調服の服地の内表面と対向するように調整ベルトに取り付けられている。 エ構成④被告製品は、ボタンとボタン穴を取り付ける位置を異ならせることで、 服の襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度の空気排出口が形成される。 ⑵ 被告製品の構成要件充足性ア構成要件A 被告製品は、服背面下部のファン設置位置に「送風手段」に相当する ファンを設置して使用するから(構成①)、「送風手段を用い(る)…服」である。当該ファンを作動させることで、ファン設置位置から空気を服本体に吸込み、吸込んだ空気が、「人体と(服と)の間に形成された空気流通路内」に相当する空間を通過し、襟首等から服本体の外部に排出されるから(構成①)、被告製品は「人体との間に形成された空気流通 路内に空気を流通させる」機能を有する。 したがって、被告製品は「送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服」に該当する。 被告製品は、服の襟後部に調整ゴムベルトを有し、調整ゴムベルトの有するボタン穴と、ボタンを取り付けることで、「首元(「人体の首後部」 に該当)と」「服(「服の襟後部」に該当)の間に空気の通り道が生まれ、 涼しく快適な環 を有し、調整ゴムベルトの有するボタン穴と、ボタンを取り付けることで、「首元(「人体の首後部」 に該当)と」「服(「服の襟後部」に該当)の間に空気の通り道が生まれ、 涼しく快適な環境」が提供されるという構成(構成②)を有する。そうすると、被告製品の空気の通り道は、「空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される…空気流通路」に該当し、かつ、その通り道を抜けた空気は、「空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口」から排出されることになる。 したがって、被告製品は、「空調服の襟後部と人体の首後部の間に形成される、前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口」を有する。 被告製品の空気排出口は、ボタンとボタン穴を取り付ける位置を異ならせることで、服の襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定 められた開口度を形成することができる(構成④)。そうだとすると、ボタンとボタン穴を取り付ける位置を異ならせることで「開口度を調整する」ことができるから、当該構成は「調整するための…調整機構」に該当する。 したがって、被告製品は、「その開口度を調整するための空気排出口 調整機構」を有する。 以上によれば、被告製品は構成要件Aを充足する。 イ構成要件B及びC被告製品はボタンを有しており(構成③)、これは「第一取付部」に該当する。また、被告製品は、調整ベルトを有しており(構成③)、こ れは、「第一調整ベルト」に相当し、服の襟後部において、服の服地内表面の第一の位置に取り付けられているので(構成③)、「服の服地の内表面であって、…襟後部」の位置に「取り付けられた」ベルトである。 したがって、被告製品は構成要件Bを充足する。 被告製品は、調整ゴムベルトを有しており けられているので(構成③)、「服の服地の内表面であって、…襟後部」の位置に「取り付けられた」ベルトである。 したがって、被告製品は構成要件Bを充足する。 被告製品は、調整ゴムベルトを有しており(構成③)、これは「第二 調整ベルト」に該当する。この調整ゴムベルトは、襟後部における、第 一の位置とは異なる第二の位置に取り付けられたものであるから(構成③)、「前記第一調整ベルトが取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた第二調整ベルト」に該当する。 この調整ゴムベルトは、「第二取付部」に相当するボタン穴を有する。 このボタン穴は、ボタンの形状に対応して取り付けが可能となるものであるから(構成③)、「前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる」機能を有する。そして、ボタン穴は、複数存在するので、「複数の第二取付部」を有する。 したがって、被告製品は構成要件Cを充足する。 被告らは、構成要件B及びCの「襟後部又はその周辺」における「周辺」とは、「前記襟後部と人体の首後部との間に」「形成」される「前記空気排出口」の「開口度」を「予め定め」ることを可能とする程度に「襟後部」に近接したものでなければならず、被告製品の調整ゴムベルト(被告らの主張では「ゴムベルト」)及び調整ベルト(被告らの主張 では「布ベルト」)の取り付け位置が「周辺」に該当しないと主張する。 しかし、広辞苑によると、「周辺」とは、周りの部分という意味であり、「襟後部又はその周辺」とは、襟後部又は襟後部の周りの部分をいう。 そして、本件明細書の記載(【0006】、【0010】)によれば、本 件発明1は、従来の空調服では、襟後部と首後部との間の空気排出口の はその周辺」とは、襟後部又は襟後部の周りの部分をいう。 そして、本件明細書の記載(【0006】、【0010】)によれば、本 件発明1は、従来の空調服では、襟後部と首後部との間の空気排出口の開口度を適正に調整することが難しかったことに鑑み、「空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される空気排出口の開口度を簡単に調整することができる空気排出口調整機構を提供する」という課題を解決するために、送風手段が動作した状態において、空調服内部から襟後部と 人体の首後部の間の空気排出口から外部に排出する空気量が異なる複数 段階となるように、襟後部と人体の首後部の間の空気排出口を形成するものである。この本件発明1の意義を考慮すると、本件発明1にかかる「空気排出機構」の「第一調整ベルト」及び「第二調整ベルト」が取り付けられる「襟後部又はその周辺」とは、空調服内部から襟後部と人体の首後部の間の空気排出口から外部に排出する空気量が異なる複数段階 となることが可能となる襟後部又は襟後部の周りの部分をいうと解すべきである。 したがって、被告らの上記主張は理由がない。 ウ構成要件D 被告製品の空気排出口は、「第一取付部」に相当するボタンと「第二 取付部」に相当するボタン穴を取り付ける位置を異ならせることで、服の襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度の空気排出口を形成することができる(構成④)。そうだとすると、「第一取付部」に相当するボタンと「第二取付部」に相当するボタン穴を取り付ける位置を異ならせることで、つまり、「前記第一取付部を前記複数 の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで」、「襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で空気排出口を形成」で ることで、つまり、「前記第一取付部を前記複数 の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで」、「襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で空気排出口を形成」できる。 また、被告製品は、ファンを作動させることで、ファン設置位置から空気を服本体に吸い込み、吸い込まれた空気が、人体と服との間に形成 された空間を通過し、当該空気は服の襟後部と人体の首後部との間から排出される(構成①)。この際、人体と服の間には所定の空間しか存在せず、ファン作動時の服内は陽圧となり、「前記襟後部と人体の首後部との間に、…前記空気排出口」が「形成」されるのは、「流通する空気の圧力を利用することによ」るものである。 したがって、被告製品は、構成要件Dの「…前記空気流通路内を流通 する空気の圧力を利用することにより、前記襟後部と人体の首後部との間に、…前記空気排出口を形成する…」に該当する。 被告らは、被告製品を着用したときに襟後部と首後部の間に形成される隙間の形状は、主として前ファスナーの開閉の程度、人体の体格、姿勢等に依存し、ボタンとボタン穴を取り付ける位置の影響をほとんど受 けないのであって、ボタンとボタン穴を取り付ける位置を異ならせることによって「複数段階の予め定められた開口度で空気排出口を形成する」ものではないなどと主張する。 しかし、構成要件Dの「襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成する」とは、空気排出口 から外部に排出する空気量が複数の異なる段階となることを意味するところ、被告製品においては、ボタンとボタン穴を取り付ける位置を異ならせることで、服の襟後部と人体の首後部との間に異なる開口度の空気排出口が形成されているから が複数の異なる段階となることを意味するところ、被告製品においては、ボタンとボタン穴を取り付ける位置を異ならせることで、服の襟後部と人体の首後部との間に異なる開口度の空気排出口が形成されているから、構成要件Dを充足することは明らかである。また、被告らの主張は、被告ら自身が顧客に提供する技術説明資料 の表示とも矛盾するものであって、失当である。 エ構成要件E前記ウのとおり、被告製品は、「空気排出口」の開口度を調整する「機構」であり、「空気排出口調整機構」を有するから、構成要件Eを充足する。 オ構成要件F被告製品は、「第一取付部」に相当するボタンを有し、このボタンは、「第一調整ベルト」に相当する調整ベルトに取り付けられているから(構成③)、「前記第一取付部は…前記第一調整ベルトに取り付けられている」に該当する。 また、被告製品において、ボタンは、空調服の服地の内表面と対向する ように調整ベルトに取り付けられているので(構成③)、「前記第一取付部は前記空調服の服地の内表面と対向するように前記第一調整ベルトに取り付けられている」に該当する。 したがって、被告製品は、構成要件Fを充足する。 カ構成要件G 前記アないしエのとおり、被告製品は、請求項3に記載の「空気排出口調整機構」を備えるので、構成要件Gを充足する。 キ構成要件I前記アないしエのとおり、被告製品は、請求項3に記載の「空気排出口調整機構」を備えるので、構成要件Iを充足する。 ク構成要件K前記キのとおり、被告製品は、請求項5に記載の「空気排出口調整機構」を備えているから、構成要件Kを充足する。 ケ構成要件L被告製品は、「貫通孔」に相当するボタン穴を有するところ、当 前記キのとおり、被告製品は、請求項5に記載の「空気排出口調整機構」を備えているから、構成要件Kを充足する。 ケ構成要件L被告製品は、「貫通孔」に相当するボタン穴を有するところ、当該ボタ ン穴は、切り込み形状を有しており(構成③)、「切り込み線を入れて作製されるボタン孔」である。 したがって、被告製品は、構成要件Lを充足する。 コ構成要件M前記クのとおり、被告製品は、請求項6に記載の「空気排出口調整機構」 を備えているから、構成要件Mを充足する。 サ構成要件N被告製品は、「ボタン孔」を有しているところ、この「ボタン孔」の切り込み方向は襟後部の長手方向と略平行になるので(構成③)、「前記ボタン孔の切り込み方向が前記襟後部の長手方向と略平行になるように前記ボ タン孔が形成されている」に該当する。 したがって、被告製品は、構成要件Nを充足する。 シ構成要件O前記ケ及びコのとおり、被告製品は、請求項7に記載の「空気排出口調整機構」を備えているから、構成要件Oを充足する。 ス構成要件P 前記ア及びエのとおり、被告製品は、請求項3に記載の「空気排出口調整機構」を備えているから、構成要件Pを充足する。 セ小括以上のとおり、被告製品は、本件各発明の構成要件をいずれも充足するから、その技術的範囲に属する。 (被告らの主張)⑴ 被告製品の構成被告製品は以下の構成を有している。 ア構成①’1送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通さ せる空調服であって、人が着用すると、空調服の襟後部と人体の首後部との間に隙間が形成されることがある。ファンを動作させている場合には、当該隙間から、前 に形成された空気流通路内に空気を流通さ せる空調服であって、人が着用すると、空調服の襟後部と人体の首後部との間に隙間が形成されることがある。ファンを動作させている場合には、当該隙間から、前記空気流通路内を流通する空気が外部に排出される。 イ構成①’2前記空気流通路の途中には、後ヨーク(又は後身頃上部)と人体との間 (概ね肩甲骨の高さ)に、二つの空気トンネルを形成する空気トンネル形成機構があり、前記空気トンネルを通過した空気は、前記隙間を通って外に排出される。前記空気トンネル形成機構は、伸縮性のあるゴムベルト(原告の主張では「調整ゴムベルト」)と二つの布ベルト(原告の主張では「調整ベルト」)を含んでいる。 ウ構成②’ 前記二つの布ベルトは、ボタンを有し、前記空調服の服地の内表面であって前記後ヨーク(又は後身頃上部)の左右端で襟後部の下約15mm(被告製品1-1、1-21。その余の被告製品では、約13~58mm)の位置に、縫い付けられている。 エ構成③’ 前記伸縮性のあるゴムベルトは、前記ボタンと取り付けが可能となる複数のボタンホールを有し、前記二つの布ベルトが取り付けられた前記後ヨーク(又は後身頃上部)の左右端とは異なる前記後ヨーク(又は後身頃上部)の中央で襟後部の下約57mm(被告製品1-1、1-21。その余の被告製品では、約53~61mm)の位置に、長さ方向中央部が縫い付 けられている。 オ構成④’前記ボタンを前記複数のボタンホールのいずれか一つに取り付けることで、前記後ヨーク(又は後身頃上部)と人体との間(概ね肩甲骨の高さ)に、前記二つの空気トンネルを形成することを特徴とする空気トンネル形 成機構である。被告製品を着用したときに襟後部と首後部の間 で、前記後ヨーク(又は後身頃上部)と人体との間(概ね肩甲骨の高さ)に、前記二つの空気トンネルを形成することを特徴とする空気トンネル形 成機構である。被告製品を着用したときに襟後部と首後部の間に形成される隙間の形状は、主として前ファスナーの開閉の程度、着用者の体格、姿勢等に依存し、ボタンを取り付けるボタンホールの位置の影響をほとんど受けない。 カ被告製品の構成に係る原告の主張について 構成②について被告製品は、「服の襟後部に調整ゴムベルトを有し」の構成を備えていない。被告製品では、調整ゴムベルト(伸縮性のあるゴムベルト)は、空調服本体の襟後部ではなく、襟後部の下約15mm(被告製品1-1、1-21。その余の被告製品では、約13~58mm)の後ヨーク(又 は後身頃上部)に取り付けられている。 本件特許の特許請求の範囲や本件明細書の記載に照らしても、「襟後部」とそれ以外の部分(後ヨーク、後身頃等)とは区別されているところ、被告製品の調整ゴムベルト(伸縮性のあるゴムベルト)は、後ヨーク(又は後身頃上部)に取り付けられているのであって、「襟後部」に取り付けられてはいない。 構成③について被告製品では、調整ベルト(布ベルト)は、後身頃に取り付けられているのであって、「服の襟後部」に取り付けられてはいない。 また、被告製品では、調整ゴムベルト(伸縮性のあるゴムベルト)は、後身頃の肩甲骨付近に取り付けられているのであって、「襟後部」に取 り付けられてはいない。 構成④について被告製品の調整ゴムベルト(伸縮性のあるゴムベルト)と調整ベルト(布ベルト)は、後ヨーク(又は後身頃上部)と人体の間(概ね肩甲骨の高さ)に二つの空気トンネルを形成するものであり、とりわけ、 被告製品の調整ゴムベルト(伸縮性のあるゴムベルト)と調整ベルト(布ベルト)は、後ヨーク(又は後身頃上部)と人体の間(概ね肩甲骨の高さ)に二つの空気トンネルを形成するものであり、とりわけ、調整 ゴムベルトは、襟後部ではなく、襟よりもかなり下の方(肩甲骨付近)の後ヨークに取り付けられているため、ボタンの留め位置を変えても、襟後部の開口の大きさや空気の流量自体にはほとんど影響がない。 襟後部と人体の首後部との間の隙間の形状は、主として前ファスナーの開閉の程度、人体の体格、姿勢等に依存し、「ボタンとボタン穴を取 り付ける位置」の影響をほとんど受けないのであって、「ボタンとボタン穴を取り付ける位置を異ならせることで、服の襟後部と人体の首後部の間に、複数段階の予め定められた開口度の空気排出口が形成される」ものではない。 ⑵ 被告製品の本件各発明に係る構成要件充足性 ア構成要件A 本件各発明では、「送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される、前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、その開口度を調整するための空気排出口調整機構において」(構成要件A)とあり、本件各発明における「空気排出口調整機構」とは「送風手 段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される、前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口」の「開口度を調整するための」ものでなければならない。 しかし、被告製品のゴムベルトを含む空気トンネル形成機構は、空気ト ンネルを形成して、背中からの空気流通路を肩口(肩甲骨周辺)まで誘導するためのものであり、襟後部 ものでなければならない。 しかし、被告製品のゴムベルトを含む空気トンネル形成機構は、空気ト ンネルを形成して、背中からの空気流通路を肩口(肩甲骨周辺)まで誘導するためのものであり、襟後部に形成される開口の大きさを「調整するための」機構ではないし、実際、襟後部に形成される開口の大きさ(や形状)は、主として前ファスナーの開閉の程度、着用者の体格、姿勢等に依存し、ボタンを取り付けるボタンホールの位置の影響をほとんど受けないのであ って、ボタンを取り付けるボタンホールの位置によって調整されているとはいえない(構成④’)。 したがって、被告製品のゴムベルトは、「その開口度を調整するための空気排出口調整機構」(構成要件A)に該当しないから、構成要件Aを充足しない。 イ構成要件B及びC被告製品では、布ベルトもゴムベルトも、襟には取り付けられていないから、「襟後部」の「第一の位置」又は「第二の位置」に「取り付けられた」の構成を有していない(構成②’、③’)。 また、本件各発明では、「襟後部」と「その周辺」は明確に区別され ており、第一調整ベルト及び第二調整ベルトは「襟後部又はその周辺」 に取り付けられる(構成要件B及びC)のに対し、「空気排出口」は、「襟後部」に形成される(構成要件D)ものである。また、構成要件B及びCの「その周辺」とは「襟後部の少し下側」のことを意味し、襟部に調整ベルトを取り付けた場合と同程度に、襟後部の開口度を予め定められた開口度に調整できるような位置のことを指す。 他方、被告製品では、ゴムベルト及び布ベルトは、襟部ではなく、その下の後ヨーク(又は後身頃上部)に取り付けられており、その取り付け位置は「襟後部の少し下側」ではない(構成②’、③’)。そうすると、これらの 告製品では、ゴムベルト及び布ベルトは、襟部ではなく、その下の後ヨーク(又は後身頃上部)に取り付けられており、その取り付け位置は「襟後部の少し下側」ではない(構成②’、③’)。そうすると、これらのベルトは、襟部に調整ベルトを取り付けた場合と同程度に、襟後部の開口度を予め定められた開口度に調整できるような位置にあると はいえず、「襟後部又はその周辺」には設けられていない。 したがって、被告製品は構成要件B及びCを充足しない。 ウ構成要件D 被告製品を着用したときに襟後部と首後部の間に形成される隙間の形状は、主として前ファスナーの開閉の程度、人体の体格、姿勢等に依存 し、ボタンとボタン穴を取り付ける位置の影響をほとんど受けないのであって(構成①’1、①’2、④’)、前記隙間の形状は、ボタンとボタン穴を取り付ける位置によって、「複数段階の予め定められた」ものではない。 また、仮に、ファスナーの開閉の程度、人体の体格、姿勢等の影響を 度外視した上で、肩甲骨付近に設けられた調整ベルトでは、肩甲骨付近の開口度をある程度調整することがあると仮定したとしても、「前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成」することはできない。 加えて、被告製品のゴムベルトは、伸縮性を備えており、着用者の姿 勢等により、その長さは変化し、前記隙間の形状を変化させる。 したがって、被告製品は、「前記襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成する」とはいえないから、構成要件Dを充足しない。 また、本件明細書には、空気排出口調整機構による空気排出口の開口 度や空気排 、複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成する」とはいえないから、構成要件Dを充足しない。 また、本件明細書には、空気排出口調整機構による空気排出口の開口 度や空気排出量の調整につき、調整ベルトをつないだ時の長さを短くすると、空気排出口が大きくなり、より多くの空気が排出されることが説明されているが(【0024】ないし【0026】、【0030】、【0040】、【0041】、【0044】、【0048】)、それ以外に空気排出口の大きさや空気排出量を調整することについての記載は一切ない。 そうすると、構成要件Dは、調整ベルトをつないだ時の長さを短くすると、空気排出口が大きくなり、より多くの空気が排出されることを意味し、調整ベルトをつないだ時の長さを短くすると、空気排出口が小さくなり、空気排出量が減少する形態を含まないと解すべきである。 これに対し、被告製品は、調整ベルトの長さを短くすると、空気排出 口の開口が小さくなり、空気排出量が減少するため、構成要件Dを満たさない。 エ構成要件E否認する。 オ構成要件F 被告製品では、ボタンは服地の内表面と同じ向き(対向しない向き)に布ベルトに取り付けられており、「前記第一取付部は前記空調服の服地の内表面と対向するように前記第一調整ベルトに取り付けられていることを特徴とする」わけではないから、構成要件Fを充足しない。 カ構成要件G 前記アないしエのとおり、被告製品は、請求項3記載の空気排出口調整 機構ではないから、構成要件Gを充足しない。 キ構成要件I前記アないしエのとおり、被告製品は、請求項3記載の空気排出口調整機構ではないから、構成要件Iを充足しない。 ク構 機構ではないから、構成要件Gを充足しない。 キ構成要件I前記アないしエのとおり、被告製品は、請求項3記載の空気排出口調整機構ではないから、構成要件Iを充足しない。 ク構成要件K 前記キのとおり、被告製品は、請求項5記載の空気排出口調整機構ではないから、構成要件Kを充足しない。 ケ構成要件L原告は、被告製品のボタン孔が切り込み形状を有していることから、切り込み線を入れて作製されたといえると主張する。 しかしながら、構成要件Lでは、「切り込み線を入れて作製される」と規定されており、「切り込み形状を有している」とはされていないことからすれば、原告の主張は特許請求の範囲に基づくものではない。 したがって、被告製品は構成要件Lを充足しない。 コ構成要件M 前記クのとおり、被告製品は、請求項6記載の空気排出口調整機構ではないから、構成要件Mを充足しない。 サ構成要件N否認する。 シ構成要件O 前記ケ及びコのとおり、被告製品は、請求項7記載の空気排出口調整機構ではないから、構成要件Oを充足しない。 ス構成要件P前記アないしエのとおり、被告製品は、請求項3記載の空気排出口調整機構ではないから、構成要件Pを充足しない。 セ小括 以上のとおり、被告製品は、本件各発明の技術的範囲に属しない。 2 争点2(本件各発明に係る無効の抗弁の成否)について⑴ 争点2-1(冒認出願又は共同出願要件違反)について(被告らの主張)本件各発明の特徴的部分は、「第一取付部」と「複数の第二取付部」が 「形状に対応して」「取り付けが可能」であり、「第一取付部をいずれの第二取付部に取り付けるかに応じて」襟後部の付近 張)本件各発明の特徴的部分は、「第一取付部」と「複数の第二取付部」が 「形状に対応して」「取り付けが可能」であり、「第一取付部をいずれの第二取付部に取り付けるかに応じて」襟後部の付近に設けられる「弛み」を調整できることにあるところ、被告サンエスのY(以下「Y」という。)が現実に関与して完成させて原告のX(以下「X」という。)に提示したサンプル(又は考案)は、複数の第二取付部(ボタンホール)が、第二の位置付近に 取り付けられた複数の部材に設けられているものの、「第一取付部」(ボタン)と「複数の第二取付部」(ボタンホール)が「形状に対応して」「取り付けが可能」であり、「第一取付部をいずれの第二取付部に取り付けるかに応じて」襟後部の付近に設けられる「弛み」を複数段階で調整できるものであるから、本件各発明の特徴的部分を備えている。 そうすると、被告サンエス(Y)は、本件各発明の特徴的部分の完成に現実に関与しており、その発明者(少なくとも共同発明者)である。 また、本件出願は、発明者をXとし、原告によってされたものであるが、Yの同意を得ずにされたXから原告に対する本件各発明についての特許を受ける権利の譲渡は無効である。 したがって、本件出願は、「その特許がその発明について特許を受ける権利を有しない者の特許出願に対してされたとき」に当たり、本件特許(請求項3ないし9)は、特許法123条1項6号により無効とされるべきである。 (原告の主張) 原告及び株式会社空調服(原告の子会社。以下、両者を併せて「原告ら」という。)と被告サンエスは、原告らを委託者、被告サンエスを受託者として、協働してビジネスを遂行していた。 本件においても、原告らが本件各発明を完成させて、その後、被告サンエスに対 告ら」という。)と被告サンエスは、原告らを委託者、被告サンエスを受託者として、協働してビジネスを遂行していた。 本件においても、原告らが本件各発明を完成させて、その後、被告サンエスに対して、本件各発明に係る試作品の作製を依頼し、被告サンエスはその 原告らの依頼や指示に従い、試作品を作製したにすぎない。 したがって、被告サンエスは原告らの単なる補助者にすぎず、本件各発明の発明者でないから、被告らの主張は理由がない。 ⑵ 争点2-2(明確性要件違反)について(被告らの主張) ア 「空気排出口」の意味が不明確であること本件明細書の記載(【0003】)によれば、「空気排出口」は、人体と衣服との間を流通してきた空気が外部に排出される開口部(空気排出部)のうち、襟後部12と首後部との間に形成される開口部のことを指しており、ここでは、「空気排出口」は「空気排出口調整機構」により形成され るものに限られていないといえる。 また、本件各発明は、襟後部に調整ベルトが存在しない形態(第一調整ベルトと第二調整ベルトを襟後部の周辺に取り付ける形態)を含んでいるのであるから、襟と調整ベルトで囲まれた領域を「空気排出口」と理解することは困難である。 他方で、本件明細書には、「空気排出口」は、空気排出口調整機構により形成されるものに限られる記載ぶりの段落(【0009】)も存在する。 さらに、【図3】、【図6】では、襟と調整ベルト(空気排出口調整機構)で囲まれた領域が「空気排出口」となっており、それ以外の開口の部分は「空気排出口」に含まれていない。 以上のとおり、「空気排出口」に関する本件明細書の記載は一貫してお らず、当業者がその意味を理解できないものとなっている。 イ 「空気排出口」の「開口度」の 」に含まれていない。 以上のとおり、「空気排出口」に関する本件明細書の記載は一貫してお らず、当業者がその意味を理解できないものとなっている。 イ 「空気排出口」の「開口度」の意味・測定方法が不明であり、その結果、「複数段階の予め定められた開口度」の意味も不明であること構成要件Dは、「空気排出口」が「複数段階の予め定められた開口度で」「形成」されることを規定しているところ、前記アのとおり、「空気排出 口」の意味は不明であり、その結果、「空気排出口」の「開口度」の意味や測定方法も不明である。 また、襟後部と首後部との間の隙間の形状は、主に、着用者の体格、姿勢、着用状態等に依存するのであり、仮に、「複数段階の予め定められた開口度」がこれらの要素の影響を受けない不変の何らかの測定値であると いうのであれば、それが何を意味しているのか、それをどのように測定するのかは、不明である。 したがって、「空気排出口」の「開口度」の意味も測定方法も不明であり、その結果、「複数段階の予め定められた開口度」の意味も不明である。 ウ 「周辺」の意味が不明確であること 構成要件B及びCの「その周辺」について、仮に、襟部に調整ベルトを取り付けた場合と同程度に、襟後部の開口度を予め定められた開口度に調整できるような位置以外の位置を含むのであれば、「その周辺」はその意味が不明確である。 エ 「切り込み線を入れて作製される」は不明確であること 構成要件Lの「切り込み線を入れて作製される」は物の製造方法の記載であり、いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームであるが、当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか又は非実際的であるといった事情は存在しないから、明確性要件に違反する 載であり、いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームであるが、当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか又は非実際的であるといった事情は存在しないから、明確性要件に違反するものである。 オ小括 以上のとおり、本件各発明に係る特許請求の範囲の記載には明確性要件違反が存在し、本件特許(請求項3ないし9)は、特許法123条1項4号、36条6項2号により無効とされるべきである。 (原告の主張)ア 「空気排出口」について 本件明細書の記載全体を総合すると、「空気排出口」に関する本件明細書の記載は一貫しており、当業者において「空気排出口」は空気排出口調整機構を用いずに自然に形成されるものを含むことが理解できるから、「空気排出口」の意味は不明確ではない。 イ 「空気排出口」の「開口度」について 「空気排出口」の意義は前記アで、「複数段階の予め定められた開口度」の意義は前記1(原告の主張)⑵ウで主張したとおりであり、いずれも不明確ではない。 ウ 「周辺」について前記1(原告の主張)⑵イで主張したとおり、「周辺」とは、空調服内 部から襟後部と人体の首後部の間の空気排出口から外部に排出する空気量が異なる複数段階となることが可能となる襟後部の周りの部分を意味するので、不明確ではない。 エ 「切り込み線を入れて作製される」について構成要件Lは、「前記貫通孔は切り込み線を入れて作製されるボタン孔 であることを特徴とする」ものであるところ、「ボタン孔」にはボタンを入れるための切り込み線があることに鑑みれば、「切り込み線を入れて作製される」という方法が「ボタン孔」に切り込み線が入っている構造を表していることが明らかである。 したがって タン孔」にはボタンを入れるための切り込み線があることに鑑みれば、「切り込み線を入れて作製される」という方法が「ボタン孔」に切り込み線が入っている構造を表していることが明らかである。 したがって、構成要件Lは、明確性要件に違反していない。 オ小括 以上のとおり、本件各発明には明確性要件違反が存在しない。 ⑶ 争点2-3(本件公然実施発明に基づく進歩性欠如)について(被告らの主張)以下のとおり、本件各発明は、本件出願前に当業者が本件公然実施発明に基づき又はこれに周知技術、特表2007-515569号公報(乙31。 以下「乙31公報」という。)に記載された発明(以下「乙31発明」という。)若しくは実用新案登録第3172651号公報(乙33。以下「乙33公報」という。)に記載された発明(以下「乙33発明」という。)を組み合わせることによって容易に発明をすることができたものである。 ア本件公然実施発明の構成 本件公然実施発明の構成は以下のとおりである。 ファンを用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟と人体の首との間に形成される、前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口を備えた空調服において、前記空調服の服地の内表面であって前記襟後部又はその周辺の第一の位 置に取り付けられた紐1と、前記紐1が取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた紐2とを備え、2本の紐(1、2)を結ぶことによって、空気排出量を調節することができる、首周りの空気排出スペースを調整する手段。 イ本件発明1との対比 本件発明1と本件公然実施発明とは、以下の点で一致し、また、相違す によって、空気排出量を調節することができる、首周りの空気排出スペースを調整する手段。 イ本件発明1との対比 本件発明1と本件公然実施発明とは、以下の点で一致し、また、相違する。 (一致点)送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通 させる空調服において、襟後部と人体の首後部との間に形成される、前 記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口の開口度を調整するための手段である点(相違点)襟後部と人体の首後部との間に形成される、空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口の開口度を調整するための手段につい て、本件発明1が、「第一取付部を有し、前記空調服の服地の内表面であって前記襟後部又はその周辺の第一の位置に取り付けられた第一調整ベルトと、前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複数の第二取付部を有し、前記第一調整ベルトが取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置 に取り付けられた第二調整ベルトと、を備え、前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成する」「開口度を調整するための空気排出口調整機構」である のに対し、本件公然実施発明は、「前記空調服の服地の内表面であって前記襟又はその周辺の第一の位置に取り付けられた紐1と、前記紐1が取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟又はその周辺の第二の位置に取り付けられた紐2とを備え、2本の紐(1、2)を結ぶことによって、空気排出量を調節するこ 置に取り付けられた紐1と、前記紐1が取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟又はその周辺の第二の位置に取り付けられた紐2とを備え、2本の紐(1、2)を結ぶことによって、空気排出量を調節することができる、首周りの空気排出スペー スを調整する手段」である点乙5カタログの記載に照らし、前記の相違点に係る本件発明1の構成の容易想到性の判断に当たっては、空気排出口の開口度を調整するための手段(空気排出口調整機構)に係る次の各点(以下、これらの各点を併せて「相違点1」という。)を検討すれば足りるというべきである。 a 本件発明1の「第一調整ベルト」は、「第一取付部を有」するのに 対し、本件公然実施発明の「紐1」は、そのような構成を備えない点b 本件発明1の「第二調整ベルト」は、「前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複数の第二取付部を有」するのに対し、本件公然実施発明の「紐2」は、そのような構成を備えない点 c 空気排出口の形成に関し、本件発明1は、「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで」形成するのに対し、本件公然実施発明は、そのような構成を備えない点d 空気排出口の開口度に関し、本件発明1は、「複数段階の予め定められた」ものであるのに対し、本件公然実施発明は、そのような構成 を備えない点ウ本件発明1に係る容易想到性相違点1は設計事項にすぎないこと被服の分野において、ボタン等の留め具の一方を複数ある他方のいずれか一つに取り付けることで、二つの紐状部材をつなげたときの長さを 複数段階に調整することは、周知かつ慣用の事項であり、かつ、二つの部材をつなぐための留め具として、ボタン、スナップボ 方のいずれか一つに取り付けることで、二つの紐状部材をつなげたときの長さを 複数段階に調整することは、周知かつ慣用の事項であり、かつ、二つの部材をつなぐための留め具として、ボタン、スナップボタン、マジックテープ(面状テープ)、ホックなどがあるが、これらは、脱着可能な固定手段(留め具)として、当業者が適宜選択できるものであり、いずれの留め具を用いるかは当業者が適宜選択できる設計事項にすぎない。 周知技術の適用について被服の分野において、ボタン等の留め具の一方を複数ある他方のいずれか一つに取り付けることで、二つの紐状部材をつなげたときの長さを複数段階に調整することは、本件出願前に周知かつ慣用の技術であった(乙31ないし36等)。 したがって、二つの紐状部材を結んで(締結して)つなぐ本件公然実施 発明に、上記の周知技術を適用して、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 乙31発明の適用について乙31公報には、第一調整ベルトが「第一取付部を有し、」第二調整ベルトが「前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付け が可能となる複数の第二取付部を有し、」「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付ける」ことにより、つないだときの長さを調整できる第一調整ベルトと第二調整ベルトという構成を開示する乙31発明が記載されている。 そして、本件公然実施発明と乙31発明は被服の分野に属する発明で あり、二つの紐状部材をつないだ時の長さを調整するという課題・目的も共通しており、乙31発明を本件公然実施発明に適用する動機付けが存在する。 したがって、乙31発明を本件公然実施発明に適用することにより、相違点1 材をつないだ時の長さを調整するという課題・目的も共通しており、乙31発明を本件公然実施発明に適用する動機付けが存在する。 したがって、乙31発明を本件公然実施発明に適用することにより、相違点1の構成とすることは当業者が容易に想到できたことである。 乙33発明の適用についてa 乙33発明は相違点1に相当する構成を全て含むものであること乙33公報に記載された介護用パンツ1には、後当て部4の両端部に長尺の「帯紐6a」及び「帯紐6b」が設けられているところ、これらの「帯紐6a」及び「帯紐6b」は、個人差のある腰回りの大き さに応じて介護用パンツ1の装着が可能となるようにするとの効果を得る目的で、それらの装着長さを調整するように設けられたものであるから、それぞれ本件発明1の「第一調整ベルト」及び「第二調整ベルト」に相当するということができる。 また、乙33公報の図2に記載された「帯紐6a」には、止め部材 として「ボタン7a」が設けられているところ、これが本件発明1の 「第一調整ベルト」に設けられた「第一取付部」に相当することは明らかである。 そして、上記図2に記載された「帯紐6b」には、止め部材として複数の「ボタン7b」が設けられているところ、「ボタン7a」と「ボタン7b」は、相互に着脱自在とされるものであるから、「ボタ ン7b」は、「ボタン7a」の形状に対応して「ボタン7a」と取付けが可能となる複数の部材であるといえる。また、「帯紐6b」に設けられた止め部材である「ボタン7b」が本件発明1の「第二調整ベルト」に設けられた「第二取付部」に相当することは明らかである。 したがって、上記「ボタン7b」は、本件発明1の「前記第一取付部 の形状に対応して前記第一取付部と取付けが可能 明1の「第二調整ベルト」に設けられた「第二取付部」に相当することは明らかである。 したがって、上記「ボタン7b」は、本件発明1の「前記第一取付部 の形状に対応して前記第一取付部と取付けが可能となる複数の第二取付部」に相当するということができる。 さらに、「ボタン7a」は、複数ある「ボタン7b」のいずれか一つにはめ込まれるものであるから、乙33発明には、本件発明1の「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つ に取り付ける」との構成に相当する構成が開示されているといえる。 加えて、「ボタン7a」が「ボタン7b」のいずれにはめ込まれるかにより、「帯紐6a」及び「帯紐6b」の装着長さは、複数段階のあらかじめ定められたものとなるといえるから、乙33発明には、本件発明1の「複数段階の予め定められた」との構成に相当する構成が 開示されているといえる。 以上のとおり、乙33発明には、相違点1に係る本件発明1の構成に相当する構成を全て含んだ発明が記載されている。 b 本件公然実施発明に乙33発明を適用する動機付けがあること⒜ 技術分野の関連性 本件公然実施発明は、空調服の技術分野に属すると認められるの に対し、乙33発明は、介護用パンツの技術分野に属する発明であるところ、空調服と介護用パンツは、その形状や使用目的を異にするものではあるが、いずれも身体の一部を包んで身体に装着する「被服」であるという点では、関連性を有するものである。 ⒝ 課題の共通性 本件出願当時、被服の技術分野においては、二つの紐状部材を結んでつないで長さを調整することや、そもそも二つの紐状部材を結んでつなぐこと自体、手間がかかって容易ではないとの周知かつ自明の課題が存在していた。 そうすると、 野においては、二つの紐状部材を結んでつないで長さを調整することや、そもそも二つの紐状部材を結んでつなぐこと自体、手間がかかって容易ではないとの周知かつ自明の課題が存在していた。 そうすると、被服の技術分野に属する本件公然実施発明の構成自 体からみて、また、株式会社空調服及び被告サンエスの品番「KU90550」の製品等に係る「空調服取扱説明書」(乙46。以下「乙46説明書」という。)には「首と襟足の間隔を広くし」との記載及び紐が首の後ろにある旨の図示があることからすると、本件公然実施発明に接した本件出願当時の当業者は、上記の課題を認識 することができた。 これらの事情に加え、乙33発明は、「帯紐6a」に「ボタン7a」を、「帯紐6b」に複数の「ボタン7b」をそれぞれ設け、「ボタン7a」を複数ある「ボタン7b」のいずれか一つにはめ込むとの構成を採用することにより、「帯紐6a」及び「帯紐6b」の装 着長さを調整し、もって、個人差のある腰回りの大きさに応じて介護用パンツ1を装着することを可能にするというものであるところ、乙33公報には装着の容易さについての記載があることにも照らすと、本件出願当時の当業者は、乙33発明につき、二つの紐状部材を結んでつないで長さを調整することが手間で容易ではないとの課 題を解決する手段として認識するものといえる。 ⒞ まとめ以上のとおり、本件公然実施発明に乙33発明を適用する動機付けが存在する。 エ本件発明2ないし7に係る容易想到性本件発明2について 本件発明2は、本件発明1を更に「前記第一取付部は前記空調服の服地の内表面と対向するように前記第一調整ベルトに取り付けられている」と限定するものである。 そして、第一取付部は第一調整ベルトの表か 本件発明2は、本件発明1を更に「前記第一取付部は前記空調服の服地の内表面と対向するように前記第一調整ベルトに取り付けられている」と限定するものである。 そして、第一取付部は第一調整ベルトの表か裏に取り付けるしかないのであり、いずれに取り付けるかは設計事項である。 本件発明3について本件発明3は、本件発明1を更に「前記第二取付部は貫通孔である」と限定するものである。 そして、被服の分野においては、二つの部材をつなぐための留め具として、ボタン、スナップボタン、マジックテープ(面状テープ)、ホッ クなどがあるが、これらは、脱着可能な固定手段(留め具)として、当業者が適宜選択できるものであり、いずれの留め具を用いるかは当業者が適宜選択できる設計事項にすぎない。 本件発明4について本件発明4は、本件発明3を更に「前記第一取付部はボタンである」 と限定するものである。 そして、本件発明3について述べたのと同じ理由により、本件発明4は、本件公然実施発明に、周知技術、乙31発明又は乙33発明を組み合わせることにより、容易に想到できたものである。 本件発明5について 本件発明5は、本件発明4を更に「前記貫通孔は切り込み線を入れて 作製されるボタン孔である」と限定するものである。 そして、貫通孔に切り込み線を入れて作製することは、当業者にとっての通常の創作能力の発揮にすぎず、設計事項である。 本件発明6について本件発明6は、本件発明5を更に「前記ボタン孔の切り込み方向が前 記襟後部の長手方向と略平行になるように前記ボタン孔が形成されている」と限定するものである。 そして、紐状部材の長手方向と略平行にボタン孔を形成することは、設計事項又は周知技術にすぎない。 本件発明7について 向と略平行になるように前記ボタン孔が形成されている」と限定するものである。 そして、紐状部材の長手方向と略平行にボタン孔を形成することは、設計事項又は周知技術にすぎない。 本件発明7について 本件発明7は、「請求項1~8のいずれか一項に記載の空気排出口調整機構を備えた空調服の服本体。」である。 本件発明1について述べたのと同じ理由により、本件発明7は、本件公然実施発明に、周知技術、乙31発明又は乙33発明を組み合わせることにより、容易に想到できたものである。 オ小括以上のとおり、本件発明1ないし7は、いずれも、本件出願前に当業者が本件公然実施発明に基づき又はこれに周知技術、乙31発明若しくは乙33発明を適用することにより容易に発明をすることができたものであるから、本件特許(請求項3ないし9)は、特許法123条1項2号、29 条1項2号及び同条2項により、無効とされるべきである。 (原告の主張)ア相違点1を細かく分けて認定できないこと被告らは、本件発明1と本件公然実施発明との相違点を細かく分けて認定しているが、相違点を認定するに当たっては、発明の技術的課題の解決 の観点から、まとまりのある構成を単位として認定すべきであり、かかる 観点を考慮することなく、相違点をことさらに細かく分けて認定し、各相違点の容易想到性を個々に判断することは許されない。 したがって、本件発明1において、相違点1に係る構成はまとまりのあるものと捉えるべきである。 イ本件公然実施発明の構成 本件公然実施発明は以下の構成を有している。 送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される、前記空気流通路 構成 本件公然実施発明は以下の構成を有している。 送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される、前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、その空気排出口を形成するための空気排出口形成機構において、 前記空調服の服地の内表面であって前記襟後部又はその周辺の第一の位置に取り付けられた紐1と、紐1と結ぶことにより長さの調整を行うことは困難であり、前記第一調整ベルトが取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた紐2と、を備え、 紐1と紐2を結んで両者をつないだときの長さを調整困難で前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟後部と人体の首後部との間に、調整困難な開口度で前記空気排出口を形成することを特徴とする空気排出口形成機構。 ウ本件発明1との対比本件発明1と本件公然実施発明は以下の点で相違する。 本件発明1が「送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される、前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、 その開口度を調整するための空気排出口調整機構」であり、その「調整」 は、「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより,前記襟後部と人体の首後部との間に,複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成する」のに対し、本件公然実施発明は、空気排出口形成機構にかかるものであり、紐1と紐2を結んで両者を結ん だと 襟後部と人体の首後部との間に,複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成する」のに対し、本件公然実施発明は、空気排出口形成機構にかかるものであり、紐1と紐2を結んで両者を結ん だときの長さを調整するのが困難であるので、両者を結んだときの空気排出口を調整することが困難である点エ乙31発明や乙33発明は空気排出口の開口度を調整する構成を有していないこと乙31発明や乙33発明には、いずれも、取り付けることで、前記襟後 部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成することで、空気排出口の開口度を調整する構成が記載されていない。 したがって、乙31発明や乙33発明は空気排出口の開口度を調整する構成を有していないから、仮に本件公然実施発明に乙31発明や乙33発 明を適用したとしても、本件発明1に到達することはない。 オ本件公然実施発明に乙31発明、乙33発明や被告らの主張する周知技術を適用する動機付けはないこと技術分野の共通性а 本件公然実施発明は、服地に取り付けられたファンの作用により身 体を冷却する「空調衣服」なる技術分野に属する。 他方、例えば、乙31発明は、「腹部カバー」の技術分野に属しており、乙33発明や被告らの主張する周知技術も、全て、ファン等の動力を用いない被服の技術分野に属している。 b さらに、本件公然実施発明にかかる空気排出口の原理、機構、作用 及び機能は、首後部から排出する空気の量に応じて、中に支える物体 がない、空気を排出するスペースを調整し、身体を冷却する程度を調整するものである。したがって、空気排出口の調整については、①洗濯に支障がないこと、②確実に空気排出口を形成すること、③安価に作製 がない、空気を排出するスペースを調整し、身体を冷却する程度を調整するものである。したがって、空気排出口の調整については、①洗濯に支障がないこと、②確実に空気排出口を形成すること、③安価に作製できること、④使用者の邪魔にならないこと、⑤空気排出の邪魔にならないこと、⑥簡単に調整することができること、などの技術事 項が全て要求されるが、乙31発明、乙33発明や被告らの主張する周知技術では、これらの技術事項が要求されることはない。 c したがって、本件公然実施発明と乙31発明、乙33発明や被告らの主張する周知技術の技術分野は異なる。 課題の共通性 本件公然実施発明の課題は、首後部に開口部を形成することであり、開口度を調整するという課題を読み取ることはできない。 他方、例えば、乙31発明は使用者の体型に合わせた段階的な腹部カバーの装着の調整を課題としており、乙33発明や被告らの主張する周知技術も全て本件公然実施発明とは異なる課題を設定している。 したがって、本件公然実施発明と乙31発明、乙33発明や被告らの主張する周知技術の課題は異なる。 目的・機能本件公然実施発明は、空調服内に空気を流通させることにより人体から出た汗を蒸発させる空調服に関するものであり、調整紐により、空調 服の襟後部と人体の首後部との間に空気排出口、つまり、中に支える物体がない、空気を排出するスペースを調整するものである。そして、このスペースは、排出する空気の量に応じて調整される。 他方で、乙31発明、乙33発明や被告らの主張する周知技術は、体型等に応じて、中に支える物体のあるものの周りを調整するものである。 例えば、乙31発明は、「使用者の体型に合わせ、着用感を良くし、着 用後に腹部カバー 告らの主張する周知技術は、体型等に応じて、中に支える物体のあるものの周りを調整するものである。 例えば、乙31発明は、「使用者の体型に合わせ、着用感を良くし、着 用後に腹部カバーが移動せず、常に固定された状態を維持できるようにし、各種衣服と一体形成又は衣服に簡単に着脱できるようにした腹部カバーを提供すること」を課題とし、カバー本体と留め紐が人体の腰部を囲んだ状態で、体型に合わせて腰回りを調整するものであり、中に支える物体があるものの周りを調整するものである。 また、乙33発明は、「介護用パンツを使用する者が立った姿勢であっても自分独りで容易に装着することができ、しかもパンツを装着した状態が外観的に目立たず、さらには製作工程を簡略化して容易に製作することができる介護用パンツを提供すること」を課題とし、「個人差のある腰回りの大きさに応じて装着する」もので、体型(腰回り)に応じ て、中に支える物体があるものの周りを調整するものである。 このように、本件公然実施発明は、排出する空気の量に応じて、中に支える物体がない、空気を排出するスペースを調整するのに対して、乙31発明、乙33発明や被告らの主張する周知技術は、体型等に応じて、中に支える物体があるものの周りを調整するものである。 したがって、本件公然実施発明と乙31発明、乙33発明や被告らの主張する周知技術は目的や機能が異なる。 空調服は、世の中に存在しなかった革新的技術であること空調服は、世の中に存在していなかった技術であり、かつ本件出願当時は創成期であった。 そして、世の中に存在していなかった技術で、かつ、技術の創成期段階については、発明者は、試行錯誤を繰り返し、発明を完成するのであって、異なる技術分野を探索・適 出願当時は創成期であった。 そして、世の中に存在していなかった技術で、かつ、技術の創成期段階については、発明者は、試行錯誤を繰り返し、発明を完成するのであって、異なる技術分野を探索・適用することはないことからすれば、本件公然実施発明の技術分野に、乙31発明、乙33発明や被告らの主張する周知技術を適用することはできない。 まとめ したがって、本件公然実施発明に乙31発明、乙33発明や被告らの主張する周知技術を適用する動機付けはない。 カ本件発明1は従来技術に比して有利な効果があること本件公然実施発明では、「一組の調整紐21を結んで所望の長さになるようにすることは非常に難しく、ほとんどの着用者は、襟後部12と首後 部との間の空気排出口13について、その開口度を適正に調整することができず、そのため、空調服1の性能を十分に発揮することが困難」であり、また、空気排出口の調整ができないと、「空気排出口13から排出される空気の量が多くなりすぎるため、他の空気排出部から排出される空気の量が著しく低下し、人体の各部位における冷却効果のバランスが著しく失わ れてしまう」という課題があった。 したがって、本件発明1はそのような課題を解決するものであり、本件公然実施発明等の従来技術に比して有利な効果がある。 キ本件発明2ないし7について前記アないしエのとおり、本件発明1に本件公然実施発明に基づく無効 理由はないから、本件発明2ないし7も同様に無効理由を有しない。 また、本件発明6について、被告らは、同発明の「前記ボタン孔の切り込み方向が前記襟後部の長手方向と略平行になるように前記ボタン孔が形成されている」について、紐状部材の長手方向と略平行にボタン孔を形成することは 明6について、被告らは、同発明の「前記ボタン孔の切り込み方向が前記襟後部の長手方向と略平行になるように前記ボタン孔が形成されている」について、紐状部材の長手方向と略平行にボタン孔を形成することは、設計事項ないしは周知技術にすぎないと主張する。 しかし、紐状部材の長手方向と略平行にボタン孔を形成することにより、「留め具としてボタンを用い、そのボタンをボタン孔に取り付けたときに、第一調整ベルトに引っ張り力が加わったとしても、ボタンがボタン孔から容易に外れてしまうことはない」という作用・効果を生じさせる。 したがって、紐状部材の長手方向と略平行にボタン孔を形成することは、 設計事項ないし周知技術ではない。 ク小括以上のほか、本件発明1と本件公然実施発明との相違点が設計事項すぎないとの被告らの主張も理由がないから、本件公然実施発明に基づく無効主張は理由がない。 ⑷ 争点2-4(乙37発明に基づく進歩性欠如)について (被告らの主張)ア乙37発明の構成乙37発明は以下の構成を備えている。 a 送風手段(ファン)を用いて人体との間に形成された空気流通路(空気流通部)内に空気を流通させる空調服の襟後部と人体の首後部との間 に形成される、前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、その開口度(流通路の大きさ)を調整するための空気排出口調整機構(流通路拡張部)において、b 前記空調服の服地の内表面であって前記襟後部又はその周辺の第一の位置に取り付けられた第一調整ベルト(接続部材1)と、 c 第一調整ベルト(接続部材1)と第二調整ベルト(接続部材2)をつないだときの長さを調節することができ、前記第一調整ベルト(接続部材1)が取り付けられた 第一調整ベルト(接続部材1)と、 c 第一調整ベルト(接続部材1)と第二調整ベルト(接続部材2)をつないだときの長さを調節することができ、前記第一調整ベルト(接続部材1)が取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた第二調整ベルト(接続部材2)と、を備え、 d 第一調整ベルト(接続部材1)と第二調整ベルト(接続部材2)をつないだときの長さを調節することにより、前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟後部と人体の首後部との間に、調整された開口度で前記空気排出口を形成することを特徴とするe 空気排出口調整機構。 イ本件発明1との相違点 乙37発明と本件発明1は次の点で相違し(以下、この相違点を「相違点2」という。)、それ以外の点で一致する。 (相違点2)つないだときの長さを調整できる第一調整ベルトと第二調整ベルトにつき、本件発明1では、第一調整ベルトが「第一取付部を有し、」第二調整 ベルトが「前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複数の第二取付部を有し、」「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付ける」ものであるのに対し、乙37発明では、第一調整ベルトと第二調整ベルトは、一組の接続部材であり、面状テープ又は紐である点 なお、本件公然実施発明についてと同様に、本件発明1と乙37発明は、「前記襟後部と人体の首後部との間に」形成される「前記空気排出口」の「開口度」が「複数段階の予め定められた」ものであるかの点においても形式的に相違するが、相違点2が解消し、第一調整ベルトと第二調整ベルトをつないだ時の長さが段階的に調整されるようになれば、この形 の「開口度」が「複数段階の予め定められた」ものであるかの点においても形式的に相違するが、相違点2が解消し、第一調整ベルトと第二調整ベルトをつないだ時の長さが段階的に調整されるようになれば、この形式的な 相違点も解消するので、この相違点を別個独立に検討する必要はない。 ウ本件発明1に係る容易想到性相違点2は設計事項にすぎない被服の分野において、二つの部材をつなぐための留め具として、ボタン、スナップボタン、マジックテープ(面状テープ)、ホックなどは周 知慣用のものであって、これらは、脱着可能な固定手段(留め具)として、当業者が適宜選択できるものであるから、いずれの留め具を用いるかは当業者が適宜選択できる設計事項にすぎない。 周知技術の適用について被服の分野において、ボタン等の留め具の一方を複数ある他方のいず れか一つに取り付けることで、二つの紐状部材(調整ベルト)をつなげ たときの長さを複数段階に調整することは周知かつ慣用の技術であった(乙31ないし36等)。 そして、二つの紐状部材を結んで(締結して)つなぐことには、紐を結ぶのに手間がかかるという課題があり、この課題は本件出願前に周知かつ自明な課題であり、この課題を解決するために各種の締結具を利用す ることも、本件出願前において慣用的に行われていたことである(乙18ないし25)。 したがって、乙37発明に、上記周知技術を適用して、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易に想到できた。 乙31発明の適用について 乙31発明の構成は前記⑶(被告らの主張)ウのとおりであるところ、乙37発明と乙31発明は被服の分野に属する発明であり、二つの紐状部材をつないだ時の長さを調整するという課 いて 乙31発明の構成は前記⑶(被告らの主張)ウのとおりであるところ、乙37発明と乙31発明は被服の分野に属する発明であり、二つの紐状部材をつないだ時の長さを調整するという課題・目的も共通しており、面状テープ(マジックテープ)は外れやすい、紐はすぐにほどけたり結ぶのが大変であるなどの欠点があり、ボタンには締結が容易で外れ にくいという長所があるので、乙31発明を乙37発明に適用する動機付けが存在する。 したがって、本件発明1は、乙37発明に乙31発明を組み合わせることにより、容易に発明をすることができたものである。 乙33発明の適用について 乙33発明の内容は前記⑶(被告らの主張)ウのとおりであるところ、前記と同様に乙37発明に乙33発明を適用する動機付けも存在する。 したがって、本件発明1は、乙37発明に乙33発明を組み合わせることにより、容易に発明をすることができたものである。 エ本件発明2ないし7に係る容易想到性 本件発明2について本件発明2は、本件発明1を更に「前記第一取付部は前記空調服の服地の内表面と対向するように前記第一調整ベルトに取り付けられている」と限定するものである。第一取付部は第一調整ベルトの表か裏に取り付けるしかないのであり、いずれに取り付けるかは設計事項である。 本件発明3について本件発明3は、本件発明1を更に「前記第二取付部は貫通孔である」と限定するものである。 被服の分野において、二つの部材をつなぐための留め具として、ボタン、スナップボタン、マジックテープ(面状テープ)、ホックなどがあ るが、これらは、脱着可能な固定手段(留め具)として、当業者が適宜選択できるものであり、いずれの留め具を用いるかは当業 、ボタン、スナップボタン、マジックテープ(面状テープ)、ホックなどがあ るが、これらは、脱着可能な固定手段(留め具)として、当業者が適宜選択できるものであり、いずれの留め具を用いるかは当業者が適宜選択できる設計事項にすぎない。 本件発明4について本件発明4は、本件発明3を更に「前記第一取付部はボタンである」 と限定するものである。 前記と同じ理由により、本件発明4は、乙37発明に、周知技術、乙31発明又は乙33発明を組み合わせることにより、容易に想到できたものである。 本件発明5について 本件発明5は、本件発明4を更に「前記貫通孔は切り込み線を入れて作製されるボタン孔である」と限定するものである。 貫通孔に切り込み線を入れて作製することは、当業者にとっての通常の創作能力の発揮にすぎず、設計事項である。 本件発明6について 本件発明6は、本件発明5を更に「前記ボタン孔の切り込み方向が前 記襟後部の長手方向と略平行になるように前記ボタン孔が形成されている」と限定するものである。 紐状部材の長手方向と略平行にボタン孔を形成することは、設計事項ないしは周知技術にすぎない。 本件発明7について 本件発明7は、「請求項1~8のいずれか一項に記載の空気排出口調整機構を備えた空調服の服本体。」である。 本件公然実施発明は、空調服に係るものであるから、前記ウと同じ理由により、本件発明7は、乙37発明に、周知技術、乙31発明又は乙33発明を組み合わせることにより、容易に発明することができたもの である。 オ小括以上のとおり、本件各発明は、いずれも、本件出願前に当業者が乙37発明に基づき又はこれに周知技術、乙31発明若しくは乙33発明を適用することにより容易に もの である。 オ小括以上のとおり、本件各発明は、いずれも、本件出願前に当業者が乙37発明に基づき又はこれに周知技術、乙31発明若しくは乙33発明を適用することにより容易に発明をすることができたものであるから、本件特許 (請求項3ないし9)は、特許法123条1項2号、29条1項3号及び同条2項により、無効とされるべきである。 (原告の主張)ア乙37発明の構成について被告らは、乙37発明は「空気排出口調整機構」を備えていると主張し ているが、乙37発明が備える「空気流通路拡張部」と本件発明1における「空気排出口調整機構」については、その前提とする課題、構成、効果が異なり、異なる概念である。 そうすると、乙37公報に記載された正しい乙37発明(以下「乙37発明’」という。)の構成は以下のとおりとなる。 a’ 送風手段(ファン)を用いて人体との間に形成された空気流通路 (空気流通部)内に空気を流通させる空調服の襟後部の下に形成される空気流通路について、その流通路の大きさを拡張するための流通路拡張部において、b’ 前記空調服の服地の内表面であって前記襟後部の下の第一の位置に取り付けられた第一面状ベルトと、 c’ 第一面状ベルトと第二面状ベルトをつなぐことができ、前記第一面状ベルトが取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟後部の下の第二の位置に取り付けられた第二面状ベルトと、を備え、d’ 第一面状ベルトと第二面状ベルトをつなぐことにより、前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟後部 の下に、拡張された流通路の大きさで前記空気流通路を形成することを特徴とするe’ 流通路拡張機構。 イ本件発明1との相違点 流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟後部 の下に、拡張された流通路の大きさで前記空気流通路を形成することを特徴とするe’ 流通路拡張機構。 イ本件発明1との相違点前記アの乙37発明’の構成を前提にすると、本件発明1と乙37発明’ との相違点は次のとおりとなる(以下、この相違点を「相違点2’」という。)。 (相違点2’)本件発明1が「送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される、 前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、その開口度を調整するための空気排出口調整機構」であり、その「調整」は、「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められ た開口度で前記空気排出口を形成する」のに対し、乙37発明’は、送風 手段(ファン)を用いて人体との間に形成された空気流通路(空気流通部)内に空気を流通させる空調服の襟後部の下に形成される空気流通路について、その流通路の大きさを拡張するための流通路拡張部であり、その流通路拡張のためには、第一面状ベルトと第二面状ベルトをつなぐことにより、前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟後 部の下に、拡張された流通路の大きさで前記空気流通路を形成する点ウ乙31発明や乙33発明は空気排出口の開口度を調整する構成を有していないこと前記⑶(原告の主張)エで主張したとおり、乙31発明や乙33発明は空気排出口の開口度を調整する構成を有していないから、仮に乙37 3発明は空気排出口の開口度を調整する構成を有していないこと前記⑶(原告の主張)エで主張したとおり、乙31発明や乙33発明は空気排出口の開口度を調整する構成を有していないから、仮に乙37発明’ に乙31発明、乙33発明又は被告らの主張する周知技術を適用したとしても、本件発明1に到達することはない。 エ乙37発明’に被告らの主張する周知技術、乙31発明及び乙33発明を適用する動機付けはないこと技術分野の関連性 乙37発明は、服地に取り付けられたファンの作用により身体を冷却する「空調衣服」なる技術分野に属する。他方、例えば、乙31発明は、「腹部カバー」の技術分野に属するし、乙33発明及び被告らが主張する周知技術も、全て、ファン等の動力を用いない被服の技術分野に属する。 したがって、乙37発明’と被告らの主張する周知技術、乙31発明及び乙33発明の技術分野は異なる。 課題の共通性a 乙37発明’は、低出力ファン下において、「空気の流れ難い部分」にも空気を流し、「身体を均一に冷却」することを課題とする。 他方、乙31発明は、「腹部カバー」の技術分野の発明であり、使 用者の体型に合わせた段階的な腹部カバーの装着の調整を課題にしており、乙33発明についても同様に乙37発明’とは異なる課題を設定している。これは、被告らが主張する周知技術についても同様である。 したがって、被告らの主張する周知技術、乙31発明及び乙33発 明は、乙37発明’と異なる課題を有する。 b また、本件発明1は、一組の調整紐を結んで所望の長さになるようにすることは非常に難しく、ほとんどの着用者は、襟後部と首後部との間の空気排出口について、その開口度を適正に調整することができず b また、本件発明1は、一組の調整紐を結んで所望の長さになるようにすることは非常に難しく、ほとんどの着用者は、襟後部と首後部との間の空気排出口について、その開口度を適正に調整することができず、そのため、空調服の性能を十分に発揮することが困難であったこ とから、具体的には、空気排出口調整機構を取り付けることで生じる空気排出口をいかに複数段階に調整するかという点を課題にしていたところ、この課題は、誰も着目しない、新規な課題であり、斬新な課題であった。 このような本件発明1の課題が斬新である点は、本件発明1と被告 らの主張する周知技術、乙31発明及び乙33発明との課題の共通性を否定する事情となる。 作用・機能乙37発明’は、服内部に設置された面状テープを取り付けることで、「空気の流れ難い部分」に空気の流通路を確保して、空気を流通させ る作用、機能を有する。 他方、乙31発明は、「腹部カバー」の技術分野であり、使用者の体型に合わせた段階的な腹部カバーの装着の調整を行うものであり、被告らの主張する周知技術、乙31発明及び乙33発明とは異なる作用・機能を有する。 まとめ したがって、乙37発明’に被告らの主張する周知技術、乙31発明及び乙33発明を適用する動機付けはない。 オ本件発明1は従来技術に比して有利な効果があること乙37発明’は、低出力ファン下において、「空気の流れ難い部分」にも空気を流し、「身体を均一に冷却」することを課題として、服に撓みを 持たせて空気の流通路を確保する「流通路拡張部」を備えたものである。 そのため、この「流通路拡張部」を「空調衣服の後ろ側の襟の直ぐ下に形成」した変形例の記載においても、そもそもこの部分の空気流通が悪いことを前提としているので する「流通路拡張部」を備えたものである。 そのため、この「流通路拡張部」を「空調衣服の後ろ側の襟の直ぐ下に形成」した変形例の記載においても、そもそもこの部分の空気流通が悪いことを前提としているので、「これにより、襟の後ろ側の部分にも確実に空気を流して、背部の上部や首後ろ側を効果的に冷却することができる」と の効果を奏するものであり、この部分の空気流通の段階的な調整を必要としていない。このように、乙37発明’は、空気流通の段階的な調整を必要としない「流通路拡張部」の発明である。だからこそ、面状テープ(マジックテープ)という調整が困難な取付手段で足りている。 他方で、本件発明1は、取り付けることで生じる空気排出口を複数段階 に調整可能となる構成を有している。 したがって、本件発明1は乙37発明’等の従来技術に比して有利な効果がある。 カ本件発明2ないし7について前記⑶(原告の主張)キのとおり、本件発明2ないし7も同様に無効理 由を有しない。 キ小括以上のほか、本件発明1と乙37発明の相違点が設計事項にすぎないとの被告らの主張も理由がないから、乙37発明に基づく無効主張はいずれも理由がない。 ⑸ 争点2-5(サポート要件違反)について (被告らの主張)前記1(被告らの主張)⑵ウのとおり、構成要件Dについては、調整ベルトをつないだ時の長さを短くすると、空気排出口が小さくなり、空気排出量が減少する形態を含まないと解すべきであるが、仮にこのような形態も本件各発明に含まれ得るとすれば、本件特許の特許請求の範囲の記載は、発明 の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識し得る範囲を超えている。 したがって、本件各発明に係る特許請求の範囲の記載にはサ ば、本件特許の特許請求の範囲の記載は、発明 の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識し得る範囲を超えている。 したがって、本件各発明に係る特許請求の範囲の記載にはサポート要件違反が存在し、本件特許(請求項3ないし9)は、特許法123条1項4号、36条6項1号により無効とされるべきである。 (原告の主張)被告らの主張は、構成要件Dについて、調整ベルトをつないだ時の長さを短くすると、空気排出口が小さくなり、空気排出量が減少する形態を含まないという解釈を前提にするものであるが、そもそもこのような解釈が取れないことは、前記1(原告の主張)⑵ウのとおりである。 したがって、被告らの主張は理由がない。 ⑹ 争点2-6(実施可能要件違反)について(被告らの主張)第二調整ベルトの中央を襟後部に取り付けた形態では、調整ベルトをつないだ時の長さを短くすると、空気排出口が大きくなり、多量の空気が排出さ れるとの原理は当てはまらず、本件明細書に記載された空気排出口の大きさや空気排出量の調整を行うことはできないところ、本件明細書には、第二調整ベルトの中央を襟後部に取り付けた形態において、調整ベルトをつないだ時の長さを短くすることにより、空気排出口を大きくし、多量の空気が排出されることや、「前記襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定め られた開口度で前記空気排出口を形成する」ことは記載されていない。 そうすると、本件明細書には、第二調整ベルトの中央を襟後部に取り付けた形態において、本件各発明の空気排出口調整機構を生産し、かつ、使用できるように具体的に記載されていない。 したがって、本件各発明に係る特許請求の範囲の記載には実施可能要件違反が存在し、本件 付けた形態において、本件各発明の空気排出口調整機構を生産し、かつ、使用できるように具体的に記載されていない。 したがって、本件各発明に係る特許請求の範囲の記載には実施可能要件違反が存在し、本件特許(請求項3ないし9)は、特許法123条1項4号、 36条4項1号により無効とされるべきである。 (原告の主張)前記⑸(原告の主張)のとおり、被告らの主張は、構成要件Dについて、調整ベルトをつないだ時の長さを短くすると、空気排出口が小さくなり、空気排出量が減少する形態を含まないという解釈を前提にするものであるが、 そもそもそのような解釈が取ることはできない。 したがって、被告らの主張は理由がない。 3 争点3(権利濫用の抗弁の成否)について(被告らの主張)空調服の首後部の空気排出口調整機構を二つ穴のボタン式として、開口度を 段階的に調整可能とすることは、被告らが製造・販売する空調服の空気排出口調整機構を開発する中で、被告サンエスのYが考案し、これを原告に提示したものであるところ、原告は、ボタン穴を複数とすることについて否定的な評価を示しておきながら、その後、被告サンエス(Y)に無断で、これを剽窃的に特許出願したものである。 したがって、原告が被告らに対して本件特許権を行使することは権利濫用に当たる。 (原告の主張)前記2⑴(原告の主張)のとおり、本件各発明は、原告が独自に発明したものであるから、原告の被告らに対する本件特許権の行使が権利濫用に該当する 余地はない。 4 争点4(本件公然実施発明に基づく進歩性欠如の無効の抗弁に対する訂正の再抗弁の成否)について(原告の主張)⑴ 本件訂正は特許法134条の2又は126条の要件を満たすことア本件訂正事項1 争点4(本件公然実施発明に基づく進歩性欠如の無効の抗弁に対する訂正の再抗弁の成否)について(原告の主張)⑴ 本件訂正は特許法134条の2又は126条の要件を満たすことア本件訂正事項1について 訂正の目的について本件訂正事項1は、第一調整ベルトの長さ及び第二調整ベルトの長さの関係性、第一調整ベルトの長さ、第二調整ベルトの長さ及び第一の位置から第二の位置までの空調服の服地に沿った距離の関係性並びに第一調整ベルトの第一取付部と第二調整ベルトの第二取付部を取り付けた時 に結び目が形成されないことを特定したものであって、本件発明1と比較してその技術的範囲が狭められている。 また、本件訂正発明2ないし7についても、本件訂正発明1の記載を引用する形で、その技術的範囲が狭められている。 したがって、本件訂正事項1は特許法134条の2第1項1号に規定 する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 本件出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること本件明細書には、第一調整ベルトの長さと第二調整ベルトの長さの合計の長さが、第一調整ベルトが取り付けられた第一位置から第二調 整ベルトが取り付けられた第二位置までの空調服の服地に沿った距離よりも短くなっていること(「L3+L4<L5」)、第一調整ベルトと第二調整ベルトの長さが異なること(「L3とL4は異なる長さ」)、「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで…結び目を形成することなく前記空気流通路内を 流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟後部と人体の首後 部との間に、複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成 とで…結び目を形成することなく前記空気流通路内を 流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟後部と人体の首後 部との間に、複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成する」ことがそれぞれ記載されているから、本件訂正事項1は、本件出願の願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法134条の2第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと本件訂正事項1は、本件発明1から第一調整ベルトの長さ及び第二調整ベルトの長さの関係性、第一調整ベルトの長さ、第二調整ベルトの長さ及び第一の位置から第二の位置までの空調服の服地に沿った距離の関係性、並びに第一調整ベルトの第一取付部と第二調整ベルトの 第二取付部を取り付けた時に結び目が形成されないことを特定したにすぎず、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、本件訂正事項1は、特許法134条の2第9項で準用する同法126条6項の規定に適合する。 イ本件訂正事項2について訂正の目的について本件訂正事項2は、本件訂正事項1の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものである。 したがって、本件訂正事項2は特許法134条の2第1項3号に規定 する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 本件出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること本件訂正事項2は、本件訂正事項1と同様、本件出願の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正のものであるから、特 許法134条の2第 に記載した事項の範囲内の訂正であること本件訂正事項2は、本件訂正事項1と同様、本件出願の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正のものであるから、特 許法134条の2第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと本件訂正事項2は、本件訂正事項1と同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法134条の2第9項で準用する同法126条6項の規定に適合する。 ウ小括 したがって、本件訂正は特許法134条の2又は126条の要件を満たす。 ⑵ 本件訂正によって無効理由が解消することア本件公然実施発明と本件各訂正発明の相違点について前記2⑶(原告の主張)アのとおり、本件各訂正発明と本件公然実施発 明との間の相違点を認定するに当たっては、発明の技術的課題の解決の観点から、まとまりのある構成を単位として認定すべきものであるところ、本件各訂正発明と本件公然実施発明との相違点に係る構成は、いずれも「空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される空気排出口の開口度を簡単に調整する」ための、まとまりのある構成であるから、それらの相 違点をことさらに細かく分けて認定し、各相違点の容易想到性を個々に判断することは許されない。そのような解釈を前提にすると、本件公然実施発明と本件各訂正発明の相違点は以下のとおりになる。 (相違点)本件訂正発明1は、「前記第一の位置から前記第一取付部までの第一調 整ベルトの長さがL3であり、前記第二の位置から前記複数の第二取付部のいずれかまでの長さがL4であり、前記第一の位置から前記第二の位置までの空調服の服地に沿った距離がL5であり、L3とL 調 整ベルトの長さがL3であり、前記第二の位置から前記複数の第二取付部のいずれかまでの長さがL4であり、前記第一の位置から前記第二の位置までの空調服の服地に沿った距離がL5であり、L3とL4は異なる長さであって、前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることでL3+L4<L5となり、結び目を形成すること なく前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前記 襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成することを特徴とする空気排出口調整機構」であるのに対し、本件公然実施発明は、「2本の紐(1、2)を結ぶことによって、空気排出量を調節することができる、首周りの空気排出スペースを調整する手段」である点 イ乙33発明は前記アの相違点を備えないこと乙33発明には、前記アの相違点の構成は開示されていないから、本件公然実施発明に乙33発明を適用しても、本件各訂正発明に到達することはない。 ウ本件公然実施発明に乙31発明、乙33発明及び被告らの主張する周知 技術を適用する動機付けがないこと等本件公然実施発明に乙31発明、乙33発明や被告らの主張する周知技術を適用する動機付けがないこと、本件発明1と本件公然実施発明との相違点が設計事項にすぎないとの被告らの主張に理由がないことは、前記2⑶(原告の主張)のとおりである。 加えて、本件公然実施発明は、一組の調整紐を結ぶことから、無段階で調整できるが、所望の長さで調整紐を結ぶことは難しく、また、調整紐を結ぶこと自体にも時間がかかるので、異なる位置への速やかな調整には適さないのに対し、本件訂正発明1は、無段階で調整できないが、第一調整ベルトの第一取付部と で調整紐を結ぶことは難しく、また、調整紐を結ぶこと自体にも時間がかかるので、異なる位置への速やかな調整には適さないのに対し、本件訂正発明1は、無段階で調整できないが、第一調整ベルトの第一取付部と第二調整ベルトの第二取付部の取り外しは容易であ るので、異なる位置への変更は容易である。 したがって、本件訂正発明1と本件公然実施発明はその技術的意義が異なるので、あえて、本件公然実施発明に乙31発明、乙33発明や被告らの主張する周知技術を適用し、別個の技術的意義を有する本件訂正発明1の構成とする動機付けはない。 エ小括 したがって、本件訂正によって、被告らが主張する無効理由は解消している。 ⑶ 被告製品が本件各訂正発明の技術的範囲に属することア本件訂正に係る被告製品の構成本件訂正後の特許請求の範囲に対応する被告製品の構成として、以下の 各構成を前記1(原告の主張)⑴で主張した構成に追加する。 構成⑤被告製品において、第一の位置から第一取付部までの第一調整ベルトの長さは、1.5cm程度である。また、第二の位置から各第二取付部までの長さは、最小で0.5cm、最大で11.8cmである。 したがって、第一の位置から第一取付部までの第一調整ベルトの長さと、第二の位置から各第二取付部の長さは異なる。 構成⑥被告製品において、前記第一の位置から前記第二の位置までの空調服の服地に沿った距離は、13.5cmである。 そうすると、第一の位置から第一取付部までの第一調整ベルトの長さ(1.5cm)と第二の位置から第二取付部の長さ(0.5cm~11. 8cm)の合計(2.0cm~13.3cm)は第一の位置から第二の位置までの空調服の服地に沿った距離(13.5cm)より小さい。 さ(1.5cm)と第二の位置から第二取付部の長さ(0.5cm~11. 8cm)の合計(2.0cm~13.3cm)は第一の位置から第二の位置までの空調服の服地に沿った距離(13.5cm)より小さい。 したがって、被告製品において、第一の位置から第一取付部までの第 一調整ベルトの長さと第二の位置から第二取付部のいずれかまでの長さの合計は第一の位置から第二の位置までの空調服の服地に沿った距離より小さい。 構成⑦被告製品において、第一取付部と第二取付部を取り付けた場合、結び 目を形成することはない。 イ被告製品の構成要件充足性構成要件D’について被告製品は、第一の位置から第一取付部までの第一調整ベルトの長さは、1.5cm程度であり、第二の位置から各第二取付部までの長さは、最小で0.5cm、最大で11.8cmであって、第一の位置から第一 取付部までの第一調整ベルトの長さと、第二の位置から各第二取付部の長さは異なるから(構成⑤)、「第一の位置から」「第一取付部までの第一調整ベルトの長さ」と、「第二の位置から」「複数の第二取付部のいずれかまでの長さ」は、「異なる長さであ」る。 したがって、被告製品は、構成要件D’を充足する。 構成要件E’について被告製品は、第一の位置から第一取付部までの第一調整ベルトの長さ(1.5cm)と第二の位置から第二取付部の長さ(0.5cm~11. 8cm)の合計(2.0cm~13.3cm)は第一の位置から第二の位置までの空調服の服地に沿った距離(13.5cm)より小さいから (構成⑥)、第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けると、「L3+L4<L5」となり、また、第一取付部と第二取付部を取り付けた場合、結び目を形成す より小さいから (構成⑥)、第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けると、「L3+L4<L5」となり、また、第一取付部と第二取付部を取り付けた場合、結び目を形成することはないから(構成⑦)、「結び目を形成することなく」といえる。 また、前記1(原告の主張)⑵ウ及びエのとおり、被告製品は、「前 記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで」「前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することにより、前記襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で前記空気排出口を形成すること」を満たす。 したがって、被告製品は、構成要件E’を充足する。 その余の構成要件について 被告製品がその余の構成要件を満たすことは、前記1(原告の主張)⑴及び⑵のとおりである。 ウ小括以上によれば、被告製品は本件各訂正発明の技術的範囲に属する。 (被告らの主張) ⑴ 本件訂正は特許法134条の2第9項が準用する126条5項及び134条の2第1項1号の要件を満たさないことア本件訂正は、以下の事項を追加するものである。 ① 前記第一の位置から前記第一取付部までの第一調整ベルトの長さがL3であり、 ② 前記第二の位置から前記複数の第二取付部のいずれかまでの長さがL4であり、③ 前記第一の位置から前記第二の位置までの空調服の服地に沿った距離がL5であり、④ L3とL4は異なる長さであって、 ⑤ L3+L4<L5となり、結び目を形成することなくイ本件明細書には、第二取付部が複数である形態における「L4」や、それとの関係における「L3」や「L5」との関係に関する記載はあるとしても、第二取付部が複数であ となり、結び目を形成することなくイ本件明細書には、第二取付部が複数である形態における「L4」や、それとの関係における「L3」や「L5」との関係に関する記載はあるとしても、第二取付部が複数である形態の場合において、どのようにして「L4」を定めるのかについての開示がなく、第二取付部が複数ある場合には、 「L4」は一つには特定できず、そのいずれを「L4」にすべきかが不明であるから、前記アの②及び④は、本件明細書及び図面に開示のない事項であって、新規事項の追加といえ、特許法134条の2第9項が準用する同法126条5項に違反する。 ウ前記アの②では「前記第二の位置から前記複数の第二取付部のいずれか までの長さがL4であり、」とされているから、これを字句どおりに解釈 すれば、同②及び④は、複数の第二取付部のうち、いずれかの第二取付部に係る「L4」について、「L3とL4は異なる長さであ」ることを規定したものということになるが、そうすると、複数の「L4」があれば、必ずそのいずれかは、「L3とL4は異なる長さ」になるはずであるから、およそすべての形態が「L3とL4は異なる長さ」を充足することになる。 また、同①ないし③はL3ないし5の定義をしているだけであるから、これらが減縮になっていないことは明らかである。 さらに、同⑤の「L3+L4<L5となり、結び目を形成することなく」というのは、開口部(空気排出口)が形成されることと同義であるから、この点も何らの減縮にもなっていない。 したがって、本件訂正は134条の2第1項1号の「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。 エ以上のとおり、本件訂正は特許法134条の2第9項が準用する126条5項及び134条の2第1項1号の要件を満たさない。 ⑵ 本件訂正に 1項1号の「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。 エ以上のとおり、本件訂正は特許法134条の2第9項が準用する126条5項及び134条の2第1項1号の要件を満たさない。 ⑵ 本件訂正によって無効理由が解消しないこと ア本件公然実施発明と本件各訂正発明の相違点本件公然実施発明と本件各訂正発明の相違点は以下のとおりである(以下、これらの各点を併せて「相違点1’」という。下線部(下記e)は相違点1に追加された相違点のことを指し、この相違点のことを「相違点e」という。)。 (相違点1’)a 本件訂正発明1の「第一調整ベルト」は、「第一取付部を有」するのに対し、本件公然実施発明の「紐1」は、そのような構成を備えない点b 本件訂正発明1の「第二調整ベルト」は、「前記第一取付部の形状 に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複数の第二取付部 を有」するのに対し、本件公然実施発明の「紐2」は、そのような構成を備えない点c 空気排出口の形成に関し、本件訂正発明1は、「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで」形成するのに対し、本件公然実施発明は、そのような構成を備えない 点d 空気排出口の開口度に関し、本件訂正発明1は、「複数段階の予め定められた」ものであるのに対し、本件公然実施発明は、そのような構成を備えない点e 本件訂正発明1は、「L3とL4は異なる長さ」であり、かつ、「結 び目を形成することなく」とされているのに対し、本件公然実施発明ではL3とL4とが異なる長さであるか否かが不明であり、かつ、結び目を形成するものである点これに対し、本件訂正で付加された「前記第一の位置から前記第一取付部までの第一調整ベルトの 公然実施発明ではL3とL4とが異なる長さであるか否かが不明であり、かつ、結び目を形成するものである点これに対し、本件訂正で付加された「前記第一の位置から前記第一取付部までの第一調整ベルトの長さがL3であり、前記第二の位置から前 記複数の第二取付部のいずれかまでの長さがL4であり、前記第一の位置から前記第二の位置までの空調服の服地に沿った距離がL5であり」、かつ、「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることでL3+L4<L5」となる点は、相違点ではなく一致点である。 イ相違点eは実質的な相違点ではないか、仮に、これを相違点と理解したとしても、単なる設計事項にすぎないこと本件各訂正発明によって追加された相違点eについて、乙33発明では、「帯紐6a」の取付位置から「ボタン7a」までの長さは、「帯紐6b」の取付位置からいずれの「ボタン7b」までの長さとも異なっているから、 いずれの「ボタン7b」を「L4」の基準に「L3とL4とは異なる長さ」 を考えるとしても、乙33発明では、「L3とL4とは異なる長さ」になっている。 加えて、乙33発明における「帯紐6a」の取付位置から「ボタン7a」までの長さと、「帯紐6b」の取付位置から一番右の「ボタン7b」までの長さとが同じ長さであると仮定しても、例えば、上から3つ目の「第二 の取付部」を基準に「L4」を考えれば、明らかに「L3とL4とは異なる長さ」になっているし、仮に「帯紐6a」と「帯紐6b」とが異なる長さであったとしても、取付部である「ボタン7b」が三つある以上、そのいずれかまでの長さは「L3」とは異なるはずであるから、相違点eは実質的には乙33発明が備えている構成である(第二調整ベルトに複数の取 あったとしても、取付部である「ボタン7b」が三つある以上、そのいずれかまでの長さは「L3」とは異なるはずであるから、相違点eは実質的には乙33発明が備えている構成である(第二調整ベルトに複数の取 付穴が形成されている以上、いずれかの取付部を選べば、「L3とL4とが異なる長さ」になることは自明なことである。)。 したがって、相違点eは、実質的な相違点ではないか、仮に、これを相違点と理解したとしても、単なる設計事項にすぎない。そして、乙33発明がその余の相違点の構成を備えることは、前記2⑶(被告らの主張)ウ aのとおりである。 ウ本件公然実施発明に乙33発明を適用する動機付けがあること本件公然実施発明に乙33発明を適用する動機付けがあることは、前記2⑶(被告らの主張)ウbのとおりである。 エ小括 以上のとおり、本件各訂正発明は、本件各発明と同様に、少なくとも、本件公然実施発明に乙33発明を適用し、必要であれば、更に設計変更をしたり、周知技術を適用したりして、容易に想到できたものであるから、本件訂正によって無効理由が解消したとはいえない。 ⑶ 被告製品が本件各訂正発明の技術的範囲に属しないこと ア構成要件D’について 構成要件D’では、「前記第二の位置から前記複数の第二取付部のいずれかまでの長さがL4であり」とされているが、原告は、被告製品の「L4」を具体的に特定していないから、原告は、被告製品が構成要件D’を充足することを主張立証できていない。 したがって、被告製品は、構成要件D’を充足しない。 イ構成要件D”について前記アのとおり、原告は、被告製品の「L4」を主張立証することができていないので、「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の 品は、構成要件D’を充足しない。 イ構成要件D”について前記アのとおり、原告は、被告製品の「L4」を主張立証することができていないので、「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることでL3+L4<L5と」なることの主張立証もできていない。 したがって、被告製品は、構成要件D”を充足しない。 ウその余の構成要件について被告製品がその余の構成要件を満たさないことは、前記1(被告らの主張)⑴及び⑵のとおりである。 エ小括 以上によれば、被告製品は本件訂正発明の技術的範囲に属しない。 5 争点5(本件各訂正発明に係る無効の(再々)抗弁の成否)について⑴ 争点5-1(明確性要件違反)について(被告らの主張)構成要件D’では「前記第二の位置から前記複数の第二取付部のいずれか までの長さがL4であり、…L3とL4は異なる長さであって、」とされているが、何らかの方法により、基準となる第二取付部が特定され、当該第二取付部についての「L4」をもって「L4」と規定しているのか(ただし、そのような方法は不明である。)、それとも、基準となる第二取付部を特定する必要はなく、いずれかの第二取付部に係る「L4」について「L3とL4 は異なる長さであ」ること(「L3とL4は異なる長さ」となる「L4」が 存在すればよい)を規定したものであるのか、明らかでない。 したがって、本件各訂正発明は、明確性要件に違反する。 (原告の主張)争う。 ⑵ 争点5-2(サポート要件違反)について (被告らの主張)仮に、構成要件D’の「L4」の基準となる第二取付部が特定されているとしても、そのような特定の方法は、本件明細書及び図面に開示 ⑵ 争点5-2(サポート要件違反)について (被告らの主張)仮に、構成要件D’の「L4」の基準となる第二取付部が特定されているとしても、そのような特定の方法は、本件明細書及び図面に開示されていない事項であるから、「前記第二の位置から前記複数の第二取付部のいずれかまでの長さがL4であり、」及び「L3とL4は異なる長さであって」との 事項は、本件明細書に開示のない事項である。 したがって、本件各訂正発明には、サポート要件違反がある。 (原告の主張)争う。 6 争点6(差止め等の必要性)について (原告の主張)被告製品を販売する行為は本件特許権を侵害する行為であり、本件では、本件特許権に基づいて、被告製品の製造、譲渡、輸出、輸入、譲渡の申出の差止め並びに被告製品の破棄の必要性がある。 (被告らの主張) 被告らが現在販売する空調服は仕様が変更されており、被告らは現在、本件各発明を利用した製品を販売していない。 したがって、原告の被告らに対する差止請求は認められない。 7 争点7(損害の発生及び額)について(原告の主張) ⑴ 推定される損害額について ア被告らが被告製品の販売により受けた利益について被告らが被告製品の販売により受けた利益は別紙損害目録記載1のとおりである。 イ被告らが控除されるべきと主張する経費について被告サンエスについて カタログ、チラシ、テレビCMに関する費用について、被告らから提出された請求書が被告製品に関するものであるかは不明であるし、上記のカタログ、チラシ、テレビCMは被告製品以外の製品も含めたものであるから、これらの費用を売上高から控除することはできない。 雑誌掲載、Z、空調風神服勉強 ものであるかは不明であるし、上記のカタログ、チラシ、テレビCMは被告製品以外の製品も含めたものであるから、これらの費用を売上高から控除することはできない。 雑誌掲載、Z、空調風神服勉強会等に関する費用について、これらの 費用は特定の被告製品を広告するためのものではなく、また、空調風神服勉強会等の具体的内容も不明であるから、これらの費用を売上高から控除することはできない。 展示会出展費用等に関する費用について、被告らの主張する展示会が被告製品に関するものであるかは明らかではなく、また、被告らが提出 する証拠から上記展示会の具体的内容やその費用が展示会に関するものであるかも不明であるから、これらの費用を売上高から控除することはできない。 送料について、一般的に、送料は重量や送付先の場所(距離)等により変わり得るものであり、被告らの主張する計算方法が、適切な計算方 法であるかが不明であり、被告らの主張する費用がそもそも送料に関するものであるかも明らかではない上、上記の送料は被告製品以外に関するものも含まれているから、この費用を売上高から控除することはできない。 被告アタックベースについて カタログ、チラシに関する費用、展示会出展費用等に関する費用及び 送料について、これらの費用を売上高から控除することができないことは前記で主張したとおりである。 被告大川被服についてカタログに関する費用について、これらの費用を売上高から控除することができないことは前記で主張したとおりである。 サンプル用ファンの購入費に関する費用について、上記サンプル用ファンが被告製品に関してのものなのか、上記サンプル用ファンが何に使用されたものかは不明であるから、この費用を売上高から控除することは サンプル用ファンの購入費に関する費用について、上記サンプル用ファンが被告製品に関してのものなのか、上記サンプル用ファンが何に使用されたものかは不明であるから、この費用を売上高から控除することはできない。 ブランド・ロイヤルティに関する費用について、ブランド・ロイヤル ティに関する契約内容が不明であり、被告製品に関するものかは不明であるから、この費用を売上高から控除することはできない。 送料について、この費用を売上高から控除することができないことは前記で主張したとおりである。 被告福徳産業について 送料並びにカタログ、チラシに関する費用及びその発送費用について、これらの費用を売上高から控除することができないことは前記で主張したとおりである。 ⑵ 推定の覆滅事由についてア本件各発明が被告製品の部分のみに実施されていることについて 被告らは、本件各発明は従来技術と比較してわずかな工夫をしたにすぎず、その技術的意義はないなどと主張する。 しかし、従来の製品である、首後部に一組の調整紐を備え、これを適宜の長さに結ぶ方式の空調服においては、適切な長さに調整紐を結ぶことが困難であり、一定の開口度を目指して結ぼうと試みても、所定の位 置に結び目を作ることが難しく、また、結び目が空気抵抗となり、空気 排出の障害となるという課題を有していた。 上記課題を解決した本件各発明が平成25年に出願され、原告は、一本の紐並びに当該紐の端部と服の内側に一組のボタン及びボタンホールを備え、ボタンを留めたり、留めなかったりする方式の空調服の販売を開始し、ほぼ全ての製品でこの方式を採用した。被告らも、平成29年 に「空調風神服」の販売を開始して以降、ほぼ全ての製品で、一つのボタン ボタンを留めたり、留めなかったりする方式の空調服の販売を開始し、ほぼ全ての製品でこの方式を採用した。被告らも、平成29年 に「空調風神服」の販売を開始して以降、ほぼ全ての製品で、一つのボタンと複数のボタンホールにより開口度を調整することができる方式を採用した。 このように、本件各発明は、従来の製品が抱える重要な課題を解決し、特許の出願から短期間のうちに多数の製品でその技術が採用されたもの であるから、その技術的意義は極めて大きいというべきである。 被告らは、被告製品のゴムベルトは重要な機能を有しないと主張するが、前記で主張した本件各発明の技術的意義からすれば、その主張も誤りである。 被告らは、原告が本件各発明を実施していないのは、本件各発明に実 質的な価値がないからであり、また、本件各発明が何らの顧客吸引力も有していないからであると主張するが、ある発明を実施するか否かは、その時の社会情勢や従前の事業計画との関係、従前の自社製品の売れ行きや在庫数等との関係、他社の同種製品の状況、仕様を変更する際の諸々のコスト等、様々な要素を総合的に判断して決めるものであるから、 原告が本件各発明を実施しているか否かは損害の推定を覆滅する事由とはならない。 イ市場における競合品の存在について被告らは、原告の販売する製品(以下「原告製品」という。)及び被告製品の代替製品が多数存在すると主張するが、被告が代替製品であると主 張する製品は、いずれも機能的に大幅に劣る従来技術を用いた製品であっ て、被告製品の代替製品とはなり得ない。また、被告らが主張する代替製品の販売時期や市場占有率は不明である。 したがって、競合品の存在は、推定の覆滅事由にならない。 ウ被告らの営業努力について 告製品の代替製品とはなり得ない。また、被告らが主張する代替製品の販売時期や市場占有率は不明である。 したがって、競合品の存在は、推定の覆滅事由にならない。 ウ被告らの営業努力について被告らは、被告製品の名称である「空調風神服」は独自のブランドとし て強い出所識別力を有するなどと主張するが、企業は製品を企画し、種々の営業努力を行うのが通常であるから、通常の工夫をしても推定覆滅事由には当たらないところ、被告らが通常の範囲を超える営業努力を行ったとはいえない。 エその他について 被告らは、原告製品は需要者の評判がよくないと主張するが、被告らが主張する事情は、インターネットショッピングサイトのごく一部のレビューを取り上げたものにすぎず、推定を覆滅する事情には当たらない。 オまとめしたがって、被告らが主張するいずれの事情によっても、特許法102 条2項の推定は覆滅されない。 ⑶ 小括以上によれば、原告の損害額は別紙損害目録記載2のとおりとなる。 (被告らの主張)⑴ 推定される損害額について ア推定される損害額の計算においては、以下の経費を被告製品の売上高から差し引くべきである。 イ被告サンエスについてカタログに関する費用被告サンエスは、被告製品についてのカタログを製作し、印刷し、こ れを配送するのに、●(省略)●円(金額はいずれも税抜。以下同じ。) を支出している。この費用は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 仮に、当該カタログに被告製品以外の製品も掲載されていることを理由にその全額が被告製品の売上高から差し引かれるべきとは認められな いとしても、 、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 仮に、当該カタログに被告製品以外の製品も掲載されていることを理由にその全額が被告製品の売上高から差し引かれるべきとは認められな いとしても、全掲載製品に対する被告製品の製品数の割合を乗じた金額である●(省略)●円が、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費として、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 チラシに関する費用 被告サンエスは、被告製品についてのチラシを製作し、印刷し、これを配送するのに、●(省略)●円を支出している。この費用は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 仮に、当該チラシに被告製品以外の製品も掲載されていることを理由 にその全額が被告製品の売上高から差し引かれるべきとは認められないとしても、全掲載製品に対する被告製品の製品数の割合を乗じた金額である● (省略) ●円が、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 テレビCMに関する費用 被告サンエスは、被告製品についてのテレビCMを製作し、これを放送するのに、●(省略)●円を支出している。この費用は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 仮に、当該テレビCMにおいて、空調風神服全般が宣伝されているこ とを理由にその全額が被告製品の売上高から差し引かれるべきとは認め られないとしても、空調風神服全製品に対する被告製品の製品数の割合を乗じた金額である●(省略)●円が、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 雑誌掲載、Z、空調風神服勉強会等に関する費用 としても、空調風神服全製品に対する被告製品の製品数の割合を乗じた金額である●(省略)●円が、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 雑誌掲載、Z、空調風神服勉強会等に関する費用被告サンエスは、被告製品についての広告を雑誌に掲載し、Zと出演 契約等を締結し、空調風神服勉強会を開催し、販売促進品を製作し、Web広告を実施するのに●(省略)●円を支出している。この費用は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 仮に、これらが被告製品以外の製品にも関するものであることを理由 にその全額が被告製品の売上高から差し引かれるべきとは認められないとしても、空調服全製品に対する被告製品の製品数の割合を乗じた金額である●(省略)●円が、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 展示会出展費用等 被告サンエスは、被告製品を含む空調風神服を展示会等に出品し、●(省略)●円を支出している。この費用は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 仮に、これらの展示会等に被告製品以外の製品も出品されていること を理由にその全額が被告製品の売上高から差し引かれるべきとは認められないとしても、全出品製品数に対する被告製品の製品数の割合を乗じた金額である●(省略)●円が、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費として、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 送料 被告サンエスが対象期間内に運送会社に運送依頼した商品数及び送料(全商品)は、合計●(省略)●点及び●(省略)●円であり、そのうち、運送依頼した被告製 る。 送料 被告サンエスが対象期間内に運送会社に運送依頼した商品数及び送料(全商品)は、合計●(省略)●点及び●(省略)●円であり、そのうち、運送依頼した被告製品は、合計●(省略)●点(●(省略)●%)である。 したがって、被告サンエスが対象期間内に運送会社に運送依頼した送 料(全商品)合計●(省略)●円のうち、●(省略)●円が被告製品分であり、当該金額は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 ウ被告アタックベースについて カタログ・チラシに関する費用被告アタックベースは、被告製品についてのカタログ及びチラシを製作し、印刷するのに●(省略)●円を支出している。この費用は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 仮に、これらのカタログ及びチラシに被告製品以外の製品が掲載されていることを理由にその全額が被告製品の売上高から差し引かれるべきとは認められないとしても、全掲載製品数に対する掲載された被告製品の製品数の割合を乗じた金額である●(省略)●円が、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費として、被告製品の売上 高から差し引かれるべきである。 展示会出展費用等被告アタックベースは、被告製品を含む空調風神服を平成30年の猛暑対策展に出品し、●(省略)●円を支出している。この費用は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、 被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 仮に、これらの展示会に被告製品以外の製品も出品されていることを理由にその 造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、 被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 仮に、これらの展示会に被告製品以外の製品も出品されていることを理由にその全額が被告製品の売上高から差し引かれるべきとは認められないとしても、全出品製品数に対する出品された被告製品の製品数の割合を乗じた金額である●(省略)●円が、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費として、被告製品の売上高から差し引 かれるべきである。 送料被告アタックベースは、販売した被告製品の発送を運送会社に依頼しており、平成29年6月から令和元年11月までに運送会社へ支払った金額である●(省略)●円は、被告製品の製造販売に直接関連して追加 的に必要となった経費であるから、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 エ被告大川被服についてカタログ制作費用被告大川被服は、被告製品のカタログ制作費用として、●(省略)● 円を支出した。この費用は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 サンプル用ファンの購入費被告大川被服は、サンプル用ファン購入費用として、●(省略)●円 を支出した。この費用は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 ブランド・ロイヤルティ被告大川被服は、被告製品4-1ないし4-4を「KANSAI」ブ ランドで販売するために、平成30年3月から令和元年11月までのブ ランド・ロイヤルティとして、●(省略)●円を支払った。これらの費用は、被告製品の製造販売に直接関連 NSAI」ブ ランドで販売するために、平成30年3月から令和元年11月までのブ ランド・ロイヤルティとして、●(省略)●円を支払った。これらの費用は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 送料被告大川被服は販売した被告製品の送付を運送会社に依頼しており、 平成30年3月から令和元年11月までの送料全体は●(省略)●円であり、そのうち●(省略)●円が被告製品分の送料と算出される。この費用は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 オ被告福徳産業について 送料被告福徳産業は、販売した被告製品の発送を運送会社に依頼しており、同被告が対象期間内に販売した被告製品は、合計●(省略)●点であり、これに送料単価(平均)●(省略)●円を乗じた●(省略)●円は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、 被告製品の売上高から差し引かれるべきである。 カタログ・チラシに関する費用被告福徳産業は、被告製品についてのカタログ及びチラシを製作し、印刷するのに、●(省略)●円を支出している。この費用は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告 製品の売上高から差し引かれるべきである。 カタログ・チラシの発送費用被告福徳産業は、制作した被告製品についてのカタログ及びチラシを発送するのに●(省略)●円を支出している。この費用は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告製 品の売上高から差し引かれるべきである。 グ及びチラシを発送するのに●(省略)●円を支出している。この費用は、被告製品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告製 品の売上高から差し引かれるべきである。 ⑵ 推定の覆滅事由についてア本件各発明が被告各製品の部分のみに実施されていることについて本件出願時において、調整紐等の長さを調整することにより、襟後部と首後部との間に形成される開口部の開口度を調整することは、公知であった。そうすると、従来技術と比較した本件各発明の特徴は、上記の 公知技術にホック、フック、ボタン等の留め具を適用することにより、留め位置を段階的に決定することができるという点に限定される。 しかし、本件出願当時、既に、洋服を始めとする多種多様な用途において、2本の紐状又は帯状の部材の長さを調整するために、ホック、フック、ボタン等様々な留め具が利用されていたから、これらを使用する ことは単なる設計事項にすぎない。 したがって、本件各発明は、従来技術と比較してわずかな工夫をしたものにすぎず、その技術的意義はほとんどない。 空調服については、小型の電動ファンにより、体の表面に大量の風を流すことにより、汗を気化させて、涼しく快適に過ごせるようにすると いう目的を実現するために、服の形状、大きさ、ファンの性能等について多大な費用、労力をかけて空調服の開発がされてきたのであって、これらの工夫全体と比べれば、上記の目的に対するゴムベルトや布ベルトの貢献はわずかである。 被告製品のゴムベルトは、空気トンネルを形成して(開通させて)、 背中からの空気流通路を肩口(肩甲骨周辺)まで誘導するためのものであり、襟後部に形成される開口の大きさを「調整するための」機構ではな 品のゴムベルトは、空気トンネルを形成して(開通させて)、 背中からの空気流通路を肩口(肩甲骨周辺)まで誘導するためのものであり、襟後部に形成される開口の大きさを「調整するための」機構ではないし、実際、襟後部に形成される開口の大きさは、主として前ファスナーの開閉の程度、着用者の体格、姿勢等に依存し、ボタンを取り付けるボタンホールの位置の影響をほとんど受けないのであって、ボタンを 取り付けるボタンホールの位置によって調整されているとはいえない。 被告製品のゴムベルトや布ベルトの形状等は、被告製品の販売価格に影響を与えていない。 平成30年及び令和元年の電動ファン付きウエアの市場のシェアによれば、原告製品は、本件各発明を実施していないにもかかわらず、その販売数は増えている。 このように原告が本件各発明を実施していないのは、本件各発明に実質的な価値がないからであり、また、本件各発明が何らの顧客吸引力も有していないからである。 そして、被告らにおいても、ゴムベルトや布ベルトの形状等を需要者に対して強くアピールしておらず、主にバッテリー及びファンの性能や 安全性をアピールしてきた。 以上によれば、本件各発明の被告製品における寄与率は、全くないか、極めて低かったというべきである。 イ市場における競合品の存在について空調服の目的は、小型の電動ファンにより、体の表面に大量の風を流す ことにより、汗を気化させて、涼しく快適に過ごせるようにすることにあるところ、空調服においては、ゴムベルトや布ベルトがなくても、首後部に空気排出口を形成することは可能であるから、空調服一般が被告製品の代替製品となる。 さらに、空調服の市場では、原告製品及び被告製品以外にも、首後部の 空気排出口に関 ルトがなくても、首後部に空気排出口を形成することは可能であるから、空調服一般が被告製品の代替製品となる。 さらに、空調服の市場では、原告製品及び被告製品以外にも、首後部の 空気排出口に関する工夫を行っている製品が多く存在するところ、仮に首後部の空気排出口に関する工夫に着目したとしても、首後部の空気排出口に関する工夫を備える第三者製の空調服が多数存在するのであり、これらの製品は、被告製品の代替製品となる。 したがって、空調服には多数の代替製品が存在するといえ、このことも 推定の覆滅事由になる。 ウ被告の営業努力について被告製品は一般的な名称である「空調服」ではなく、「空調風神服」の名称で販売しており、「空調風神服」は独自のブランドとして強い出所識別力を有し、電動ファン付きウエアの市場において相当のシェアを有している。 したがって、被告製品の販売には、「空調風神服」のブランド力が大きく貢献しているから、この点も推定の覆滅事由になる。 エその他について原告製品は、インターネットショッピングサイトであるAmazonのカスタマーレビューにおいて酷評されており、需要者の評判がよくな い。この点も、推定の覆滅事由として考慮されるべきである。 被告サンエスは、空調服の技術及び意匠の面での開発及びその普及において多大な貢献をしてきたのであり、このような貢献が被告サンエスの被告製品の販売に寄与している。また、このような貢献は空調服の取扱業社における通常販売努力の範囲を超えるものであるから、被告サン エスとの関係において、推定の覆滅事由になるというべきである。 オ小括以上の事情によれば、被告製品の販売における本件各発明の寄与率は低く、被告らが被告製品を販 から、被告サン エスとの関係において、推定の覆滅事由になるというべきである。 オ小括以上の事情によれば、被告製品の販売における本件各発明の寄与率は低く、被告らが被告製品を販売したことにより得た利益の全部又は少なくとも99.9%は、原告の損害との因果関係を欠くというべきであるから、 その分の推定が覆滅される。 第4 当裁判所の判断 1 本件明細書の記載事項等⑴ 本件明細書(甲2)の「発明の詳細な説明」には以下のとおりの記載がある(下記記載中に引用する図は別紙本件特許図面目録参照)。なお、本件訂 正後の【0013】の記載については、前提事実⑹のとおりである。 ア 【技術分野】【0001】本発明は、空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される、空調服内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、その開口度を調整するための空気排出口調整機構に関するものである。 【背景技術】【0002】近年、送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させることにより人体から出た汗を蒸発させる空調服が実用化されている。…図7は空調服における空気の流れを説明するための図、図8は従 来の空調服における襟後部と人体の首後部との間に形成される空気排出部を説明するための図である。この空調服1の裾には伸縮性のあるベルトが取り付けられ、空調服1の前側には開閉用のファスナーが設けられている。 また、空調服1の下部には二つの送風手段11、11が取り付けられている。ここで、送風手段11としては、プロペラを有するファンが用いられ る。 【0003】ベルトを締めると共にファスナーを閉じた後、二つの送風手段11、11を作動させると ている。ここで、送風手段11としては、プロペラを有するファンが用いられ る。 【0003】ベルトを締めると共にファスナーを閉じた後、二つの送風手段11、11を作動させると、図7に示すように、外気が各送風手段11から空調服1内に取り込まれる。そして、その取り込まれた外気は、空気流通路内を 人体と平行に上方に流通し、空気排出部から排出される。ここで、空気排出部としては、空調服1の襟前部と人体の首前部との間の開口部、空調服1の襟後部12と人体の首後部との間の開口部、そして、空調服1の袖部と人体の腕部との間の開口部がある。これらの開口部のうち、襟後部12と首後部との間の開口部は、他の開口部と異なり、明確に形成され、しか も、空気の排出量が最も多いという点で他の開口部に比べて重要なもので ある。以下では、襟後部12と首後部との間に形成される開口部を、他の空気排出部と区別するため、「空気排出口」と称することにする。 【0004】空調服1内に取り込まれた外気が空気流通路内を流通する間に人体から出た汗を蒸発させ、その蒸発するときの気化熱により体表面の温度を下げ ることができる。したがって、空調服1がその冷却機能を効率よく作用することができるようにするには、空気流通路内を流通する空気が空気排出部から受ける抵抗を小さくし、大量の空気を人体と平行に流通させる必要がある。また、空調服1の着用者は、使用目的に応じて空調服1の冷却効果を調整したいことがある。このため、従来の空調服1には、各空気排出 部の開口度を調整する機構が備わっている。ここで、空気排出部の性質上、各空気排出部の開口度を明確に数値で表すことはできないが、開口度が大きいほど、空気がその空気排出部から受ける抵抗が小さくなり、その 部の開口度を調整する機構が備わっている。ここで、空気排出部の性質上、各空気排出部の開口度を明確に数値で表すことはできないが、開口度が大きいほど、空気がその空気排出部から受ける抵抗が小さくなり、その空気排出部から排出される空気の量が多くなる。…従来の空調服1には、図8に示すように、襟後部12と首後部との間隔を広げたり狭めたりするため の一組の調整紐21が設けられている。各調整紐21の端部は、襟後部12の内表面に取り付けられている。一組の調整紐21を結び、その長さを調整することにより、襟後部12と首後部との間に空気排出口13を形成すると共に、その空気排出口13の開口度を調整することができる。 【発明が解決しようとする課題】 【0006】上述のように、従来の空調服1では、襟後部12と首後部との間の空気排出口13の開口度を調整する機構として、図8に示すように、一組の調整紐21を所望の長さになるように結ぶことにより襟後部12の付近に弛みを設けるものを用いている。しかしながら、実際には、一組の調整紐2 1を結んで所望の長さになるようにすることは非常に難しく、ほとんどの 着用者は、襟後部12と首後部との間の空気排出口13について、その開口度を適正に調整することができず、そのため、空調服1の性能を十分に発揮することが困難であった。 【0007】襟後部12と首後部との間の空気排出口13の開口度が、送風手段11 から空気流通路内に取り込まれた外気の量に対して小さいと、次のような問題が生じる。すなわち、(1)特に背中に沿って流れる空気の量を十分に確保することができない。(2)背中付近の空気の圧力が高まり、空調服1の服地が膨らんでしまうので、背中付近での空気流通路内において、人体の冷却に寄与しない 1)特に背中に沿って流れる空気の量を十分に確保することができない。(2)背中付近の空気の圧力が高まり、空調服1の服地が膨らんでしまうので、背中付近での空気流通路内において、人体の冷却に寄与しない、人体から離れた部分を流通する空気の割合が多 くなる。(3)空調服1の服地が膨らむことにより、着用者は例えば狭い場所で作業するのが困難になる。(4)空調服1の服地が膨らむことにより、空調服1の外観が損なわれる。 【0008】一方、襟後部12と首後部との間の空気排出口13の開口度が、送風手 段11から空気流通路内に取り込まれた外気の量に対してあまりに大きいと、空気排出口13が大きすぎて、空調服1の外観を損ねてしまう。しかも、空気排出口13から排出される空気の量が多くなりすぎるため、他の空気排出部から排出される空気の量が著しく低下し、人体の各部位における冷却効果のバランスが著しく失われてしまう。また、一組の調整紐21 を適正な長さに結んだ場合であっても、一組の調整紐21はその目的上、ある程度長く形成されているため、その結び目付近に調整紐21の先端部分が集まり、これが空気排出の障害になっている。 【0009】したがって、襟後部12と首後部との間の空気排出口13の開口度を簡 単に調整することができる新たな空気排出口調整機構の実現が望まれてい る。かかる新たな空気排出口調整機構は次のような要求を満たす必要がある。すなわち、(1)洗濯に支障がないこと、(2)空気排出口13を確実に形成することができること、(3)安価に作製することができること、(4)空気排出口13を形成する必要がないときに使用者の邪魔にならないこと、である。ここで、新たな空気排出口調整機構により襟後部12と 首後部との間に空気 (3)安価に作製することができること、(4)空気排出口13を形成する必要がないときに使用者の邪魔にならないこと、である。ここで、新たな空気排出口調整機構により襟後部12と 首後部との間に空気排出口13を形成しなくとも、送風手段11を作動させると、空気の圧力により襟後部12と首後部との間に自動的にある程度の開口部が確保されるので、使用目的によっては空気排出口13を形成しないほうがよい場合もある。 【0010】 本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される空気排出口の開口度を簡単に調整することができる空気排出口調整機構を提供することを目的とするものである。 イ 【課題を解決するための手段】【0013】 また、上記の目的を達成するための第二の発明は、送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される、空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、その開口度を調整するための空気排出口調整機構において、第一取付部を有し、空調服の服地の内表面であって前記 襟後部又はその周辺の第一の位置に取り付けられた第一調整ベルトと、前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複数の第二取付部を有し、第一調整ベルトが取り付けられた前記第一の位置とは異なる襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた第二調整ベルトと、を備え、第一取付部を複数の第二取付部の少なくともいずれか一 つに取り付けることで空気流通路内を流通する空気の圧力を利用すること により、襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で空気排出口を形成することを特徴とするもの つに取り付けることで空気流通路内を流通する空気の圧力を利用すること により、襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で空気排出口を形成することを特徴とするものである。 【0014】第二の発明に係る空気排出口調整機構では、上記の構成により、第一取付部を第二取付部に取り付けるだけで、空調服の襟後部の付近に弛みを確 保して、空気排出口を容易に形成することができる。また、第一取付部をいずれの第二取付部に取り付けるかに応じて、空気排出口の開口度を複数段階に簡単に調整することができる。更に、第二取付部を有する第二調整ベルトを備えることにより、第一取付部を第二取付部に取り付けたときに、第一取付部が空調服の内側にとどまり、外部から見えることがないので、 外観が損なわれることがない。 【発明の効果】【0015】本発明に係る空気排出口調整機構によれば、空調服の襟後部付近に空気排出口を容易に形成することができると共に、空気排出口の開口度を複数 段階に簡単に調整することができる。 ウ 【発明を実施するための形態】【0026】具体的に、空調服1の着用者は、空気排出口13から少量の空気を排出したい場合には、留め具512をいずれの貫通孔52a、52bにも取り 付けないようにすればよい。このように空気排出口調整機構50を利用して空気排出口13を形成しなくとも、空調服1の送風手段11を作動させると、空気流通路内を流通する空気の圧力により襟後部12と首後部との間に自動的にある程度の開口部が確保されるので、この開口部が空気排出口13となって、ここから少量の空気を外部に排出することができる。ま た、着用者は、空気排出口13から通常の量の空気を排出したい場合には、 の開口部が確保されるので、この開口部が空気排出口13となって、ここから少量の空気を外部に排出することができる。ま た、着用者は、空気排出口13から通常の量の空気を排出したい場合には、 留め具512を第一貫通孔52aに取り付ければよく、空気排出口13から多量の空気を排出したい場合には、留め具512を第二貫通孔52bに取り付ければよい。このように、第一実施形態の空気排出口調整機構50を用いると、着用者は、空調服1の使用目的に応じて空気排出口13の開口度を3段階の開口度の中から選択し、所期の冷却効果を得ることができ る。 【0033】また、第一実施形態の空気排出口調整機構を備える空調服には、従来の空気排出口調機構である一組の調整紐を備える空調服に比べて、次のような利点がある。従来、一組の調整紐を備える空調服の使用に際して、大 半の着用者は、一組の調整紐を結ばず、襟後部と首後部との間に空気排出口を形成していなかった。そして、使用目的に応じて一組の調整紐の長さを調整することも行っていなかった。このため、一組の調整紐を備える空調服は、その性能を十分に発揮することができる状態で使用されていなかった。これに対し、第一実施形態の空気排出口調整機構を備える空調服を、 予め留め具を貫通孔に取り付けた状態で出荷することにより、着用者がその空調服を出荷時の状態のまま使用しても、空調服の性能を十分に発揮させることができる。したがって、第一実施形態の空気排出口機構を備える空調服が普及すれば、空調服の性能に関する着用者の評価を大幅に高めることができる。また、第一実施形態の空気排出口調整機構を備える空調服 を洗濯する際には、ボタン(留め具)をボタン孔(貫通孔)から外しておくようにする。これにより、洗濯時にボタンに無理な 高めることができる。また、第一実施形態の空気排出口調整機構を備える空調服 を洗濯する際には、ボタン(留め具)をボタン孔(貫通孔)から外しておくようにする。これにより、洗濯時にボタンに無理な力がかかることがないので、空調服を何ら支障なく洗濯することができる。更に、一組の調整紐を備える空調服では、調整紐の結び目付近に集まった調整紐の先端部分が空気排出の障害になっていたが、第一実施形態の空気排出口調整機構を備 える空調服では、調整ベルトに余分な部分がなく、調整ベルトが空気に及 ぼす抵抗は非常に小さいので、空気排出口調整機構自体が空気排出の妨げになることはない。 【0035】[第二実施形態]次に、本発明の第二実施形態である空気排出口調整機構について説明す る。図4は第二実施形態の空気排出口調整機構を備える空調服を展開して内側から見たときの概略平面図、図5は第二実施形態の空気排出口調整機構における第一調整ベルト及び第二調整ベルトの概略平面図、図6は第二実施形態の空気排出口調整機構により空気排出口が形成された空調服の襟部を上から見たときの状態を示す概略図である。… 【0036】第二実施形態の空気排出口調整機構50aは、図4に示すように、襟を折り返えすことができる通常の襟部2aを有する空調服1に設けられる。 ここで、図4には、襟部2aについて、折り返し部分Pを折り返さずに広げたときの状態が示されている。また、図6では、襟部2aについて折り 返し部分Pを省略して示している。第二実施形態では、空気排出口調整機構50aは、襟部2aの中央部(襟後部12)ではなく、襟後部12の周辺の所定箇所、具体的には襟後部12の少し下側の箇所に設けられる。空調服の形状にもよるが、通常の空調服では、空 は、空気排出口調整機構50aは、襟部2aの中央部(襟後部12)ではなく、襟後部12の周辺の所定箇所、具体的には襟後部12の少し下側の箇所に設けられる。空調服の形状にもよるが、通常の空調服では、空気流通路内を流通する空気を空気排出口から外部にスムースに排出するには、空気排出口を、襟後部 12に設けるよりも、襟後部12の少し下側に設ける方が合理的であるからである。 【0037】この第二実施形態の空気排出口調整機構50aは、図4、図5及び図6に示すように、第一調整ベルト51aと、第二調整ベルト53とを備える。 第一調整ベルト51aは、図5(a)に示すように、第一の帯状部材51 1aと、第一の帯状部材511aの一方の端部に設けられた一つの留め具512とを有するものである。第二実施形態でも、留め具512としてボタンを用いる。第一の帯状部材511aの他方の端部は、空調服1の服地の内表面であって襟後部12の周辺の所定の第一位置に取り付けるための取付部513である。ここで、留め具512が空調服1の服地の内表面と 対向するように且つ第一の帯状部材511aの長手方向が襟部2aの長手方向と略平行になるように第一調整ベルト51aを配置して、第一の帯状部材511aの取付部513を上記第一位置に縫合している。 【0038】第二調整ベルト53は、図5(b)に示すように、第二の帯状部材53 1と、第二の帯状部材531の一方の端部に形成された、留め具512と係合して留め具512を取り付けるための一つの貫通孔532とを有するものである。第二の帯状部材531としては、強度のある布を用いることが望ましい。また、貫通孔532は本発明の係合部に該当する。この貫通孔532は、切り込み線を入れて作製されるボタ 孔532とを有するものである。第二の帯状部材531としては、強度のある布を用いることが望ましい。また、貫通孔532は本発明の係合部に該当する。この貫通孔532は、切り込み線を入れて作製されるボタン孔である。このボタン 孔の切り込み方向は第二の帯状部材531の長手方向と略平行な方向である。第二の帯状部材531の他方の端部は、空調服1の服地の内表面であって第一調整ベルト51aが取り付けられた第一位置とは異なる襟後部12の周辺の所定の第二位置に取り付けるための取付部533である。ここで、第二の帯状部材531の長手方向が襟部2aの長手方向と略平行にな るように且つ貫通孔532が第一調整ベルト51aの側に位置するように第二調整ベルト53を配置して、第二の帯状部材531の取付部533を上記第二位置に縫合している。したがって、第二調整ベルト53を空調服1の服地の内表面に取り付けると、ボタン孔の切り込み方向は襟後部12の長手方向と略平行になる。 【0039】 このように、第二実施形態では、貫通孔532を空調服1の服地に直接形成するのではなく、空調服1の服地の内表面に第二調整ベルト53を取り付け、この第二調整ベルト53に貫通孔532を設けている。これは次の理由による。すなわち、空気排出口機構50aが設けられる、襟後部12の少し下側の部位は、襟部2aと異なり、通常は一枚の布で構成されて いるので、この部位に貫通孔を直接設けることにすると、当該部位において十分な強度が得られなくなり、しかも、留め具を貫通孔に取り付けたときに留め具が空調服の外側に露出し、外観が損なわれてしまうからである。 【0040】いま、第一の帯状部材511aの取付部513から留め具512までの 第一調整ベル り付けたときに留め具が空調服の外側に露出し、外観が損なわれてしまうからである。 【0040】いま、第一の帯状部材511aの取付部513から留め具512までの 第一調整ベルト51aの長さをL3、第二の帯状部材531の取付部533から貫通孔532までの第二調整ベルト53の長さをL4、そして、第一調整ベルト51aが取り付けられた第一位置(第一の帯状部材511aの取付部513)から第二調整ベルト53が取り付けられた第二位置(第二の帯状部材531の取付部533)までの空調服1の服地に沿った距離 をL5とする。第一調整ベルト51aと第二調整ベルト53の長さ、及び、上記第一位置及び第二位置は、L3+L4<L5となるように設計されている。すなわち、第一の帯状部材511aの取付部513から留め具512までの第一調整ベルト51aの長さL3と第二の帯状部材531の取付部533から貫通孔532までの第二調整ベルト53の長さL4との合計 の長さが、第一調整ベルト51aが取り付けられた第一位置から第二調整ベルト53が取り付けられた第二位置までの空調服1の服地に沿った距離L5よりも短くなっている。 【0041】留め具512を貫通孔532に通して掛けると、図6に示すように、留 め具512の内面が貫通孔532の形成された部分における第二調整ベル ト53の外表面に当接し、留め具512が第二調整ベルト53にしっかりと固定される。このとき、空調服1の襟後部12の付近が弛み、襟後部12と着用者の首後部との間に空気排出口13が形成される。また、空気排出口13から少量の空気を排出したい場合には、留め具512を貫通孔532に取り付けないようにする。この場合には、空気流通路内を流通する 空気の圧力により襟後部1 口13が形成される。また、空気排出口13から少量の空気を排出したい場合には、留め具512を貫通孔532に取り付けないようにする。この場合には、空気流通路内を流通する 空気の圧力により襟後部12と首後部との間に自動的にある程度の開口部が確保されるので、この開口部が空気排出口13となって、ここから少量の空気を外部に排出することができる。したがって、第二実施形態の空気排出口調整機構50aを用いると、着用者は、空調服1の使用目的に応じて空気排出口13の開口度を2段階の開口度の中から選択し、所期の冷却 効果を得ることができる。 【0044】第二実施形態の空気排出口調整機構は、第一の帯状部材の一方の端部に設けられた留め具を有し、第一の帯状部材の他方の端部が空調服の服地の内表面であって襟後部の周辺の所定の第一位置に取り付けられた第一調整 ベルトと、第二の帯状部材の一方の端部に形成された、留め具と係合して留め具を取り付けるため貫通孔を有し、第二の帯状部材の他方の端部が、空調服の服地の内表面であって第一調整ベルトが取り付けられた第一位置とは異なる襟後部の周辺の所定の第二位置に取り付けられた第二調整ベルトとを備え、第一の帯状部材の上記他方の端部から留め具までの第一調整 ベルトの長さと第二の帯状部材の上記他方の端部から貫通孔までの第二調整ベルトの長さとの合計の長さが、第一調整ベルトが取り付けられた第一位置から第二調整ベルトが取り付けられた第二位置までの空調服の服地に沿った距離よりも短くなっている。これにより、留め具を貫通孔に取り付けるだけで、空調服の襟後部の付近に弛みを確保して、空気排出口を容易 に且つ確実に形成することができる。また、留め具を貫通孔に取り付ける か、若しくは貫通孔に取り付けない 孔に取り付けるだけで、空調服の襟後部の付近に弛みを確保して、空気排出口を容易 に且つ確実に形成することができる。また、留め具を貫通孔に取り付ける か、若しくは貫通孔に取り付けないかに応じて、空気排出口の開口度を2段階に簡単に調整することができる。更に、貫通孔を有する第二調整ベルトを備えることにより、留め具を貫通孔に取り付けたときに、留め具が空調服の内側にとどまり、外部から見えることがないので、外観が損なわれることがない。 【0046】[他の実施形態]尚、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。 【0048】 …上記の第二実施形態では、貫通孔を第二調整ベルトに一つ設ける場合について説明したが、貫通孔を第二調整ベルトに二つ以上設けるようにしてもよい。貫通孔を多く設けるほど空気排出口の開口度を細かく調整することが可能となる。 【0049】 …上記の第二実施形態では、第一調整ベルト及び第二調整ベルトをそれぞれ帯状部材で構成する場合について説明したが、第一調整ベルトを紐状部材で構成するようにしてもよく、また、第二調整ベルトを紐状部材で構成するようにしてもよい。更に、上記の第二実施形態において、空調服の構造上、襟部の周囲には布がある場合があり、この場合、第二調整ベルト としてはこの布を使用することも可能である。 【0050】更に、上記の各実施形態では、留め具としてボタンを用い、貫通孔(係合部)としてボタン孔を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、留め具として専用のものを使用してもよい。こ の場合、係合部としては、その専用の留め具に対応 通孔(係合部)としてボタン孔を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、留め具として専用のものを使用してもよい。こ の場合、係合部としては、その専用の留め具に対応したものを用いること により、留め具を係合部に取り付ける際の利便性がさらに向上する。例えば、留め具及び係合部としては、面状ファスナーを用いてもよいし、或いは、金属製又は樹脂製の各種ホックやフックを用いてもよい。 【産業上の利用可能性】【0052】 以上説明したように、本発明の空気排出口調整機構では、空調服の襟後部付近に空気排出口を容易に形成することができると共に、空気排出口の開口度を複数段階に簡単に調整することができる。したがって、本発明は、空調服の襟後部付近に形成される空気排出口の開口度を調整する機構として使用するのに好適である。 ⑵ 前記⑴の記載事項によれば,本件明細書には,本件各発明に関し,以下とおりの開示があると認められる。 ア近年、送風手段を用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させることにより人体から出た汗を蒸発させる空調服が実用化されているところ、この空調服において、ベルトを締めると共にファスナーを閉 じた後、送風手段を作動させると、外気が各送風手段から空調服内に取り込まれ、その取り込まれた外気は、空気流通路内を人体と平行に上方に流通し、空調服の襟前部と人体の首前部との間の開口部、空調服の襟後部と人体の首後部との間の開口部、そして、空調服の袖部と人体の腕部との間の開口部といった空気排出部から排出されるが、これらの開口部のうち、 襟後部と首後部との間の開口部(他の空気排出部と区別するため、「空気排出口」と称することにする。)は、他の開口部と異なり、明確に形 部といった空気排出部から排出されるが、これらの開口部のうち、 襟後部と首後部との間の開口部(他の空気排出部と区別するため、「空気排出口」と称することにする。)は、他の開口部と異なり、明確に形成され、しかも、空気の排出量が最も多いという点で、他の開口部に比べて重要なものである(【0002】及び【0003】)。 このような空調服において、その冷却機能を効率よく作用することがで きるようにするには、空気流通路内を流通する空気が空気排出部から受け る抵抗を小さくし、大量の空気を人体と平行に流通させる必要があり、また、空調服の着用者は、使用目的に応じて空調服の冷却効果を調整したいことがあるため、従来の空調服には、各空気排出部の開口度を調整する機構が備わっており、図8に示すように、襟後部と首後部との間隔を広げたり狭めたりするための一組の調整紐が設けられ、これを所望の長さになる ように結ぶことにより襟後部の付近に弛みを設けるものが存在したが、実際には、一組の調整紐を結んで所望の長さになるようにすることは非常に難しく、ほとんどの着用者は、襟後部と首後部との間の空気排出口について、その開口度を適正に調整することができず、空調服の性能を十分に発揮することが困難であったため、襟後部と首後部との間の空気排出口の開 口度を簡単に調整することができる新たな空気排出口調整機構の実現が望まれている(【0004】及び【0006】ないし【0009】)。 イ 「本発明」は、前記アの事情に基づき、空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される空気排出口の開口度を簡単に調整することができる空気排出口調整機構を提供することを目的として、送風手段を用いて人体と の間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟後部と人体の首後部と 排出口の開口度を簡単に調整することができる空気排出口調整機構を提供することを目的として、送風手段を用いて人体と の間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される、空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口について、その開口度を調整するための空気排出口調整機構において、第一取付部を有し、空調服の服地の内表面であって前記襟後部又はその周辺の第一の位置に取り付けられた第一調整ベルトと、前記第 一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複数の第二取付部を有し、第一調整ベルトが取り付けられた前記第一の位置とは異なる襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた第二調整ベルトと、を備え、第一取付部を複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで空気流通路内を流通する空気の圧力を利用することによ り、襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定められた開口度で 空気排出口を形成する構成を採用した(【0010】及び【0013】)。 「本発明」に係る空気排出口調整機構は、上記の構成により、第一取付部を第二取付部に取り付けるだけで、空調服の襟後部の付近に弛みを確保して、空気排出口を容易に形成することができ、第一取付部をいずれの第二取付部に取り付けるかに応じて、空気排出口の開口度を複数段階に簡単 に調整することができる上、第二取付部を有する第二調整ベルトを備えることにより、第一取付部を第二取付部に取り付けたときに、第一取付部が空調服の内側にとどまり、外部から見えることがないので、外観が損なわれることがなく、空調服の襟後部付近に空気排出口を容易に形成することができると共に、空気排出口の開口度を複数段階に簡単に調整することが できる まり、外部から見えることがないので、外観が損なわれることがなく、空調服の襟後部付近に空気排出口を容易に形成することができると共に、空気排出口の開口度を複数段階に簡単に調整することが できるとの効果を奏する(【0014】及び【0015】)。 2 争点2-3(本件公然実施発明に基づく進歩性欠如)について事案に鑑み、争点2-3から判断する。 ⑴ 本件公然実施発明についてア乙5カタログの記載 平成20年頃に発行された乙5カタログには、次の記載がある(乙5)。 空調服「生理クーラー」の原理を利用、清涼感が全体に行きわたります人は体温が上がると汗をかき、蒸発する際に生じる気化熱で体温を下げています。この「生理クーラー」と呼ばれるメカニズムを利用してい るのが、空調服です。身体とユニフォームの間に空気を流し、汗の気化を促進。体温と湿度を各個人の快適レベルまで調節します。夏場でも、クーラーで室温を大幅に下げる必要がないため、省エネ効果はもちろん、冷房病の防止も期待できます。(136頁)「空気の流れ(イメージ)」と題する図(136頁) 別紙乙5カタログ図面目録記載1のとおり。 品番「KU90550」の製品等の紹介(139頁)別紙乙5カタログ図面目録記載2のとおり。 イ株式会社空調服及び被告サンエスの品番「KU90550」の製品等に係る「空調服取扱説明書」(乙46説明書)の記載平成17年4月19日頃までに発行された乙46説明書には、次の記載 がある(乙46)。 空調服取扱説明書KU90520、KU90530、KU90540、KU90550、KU90560 共通本品の特徴 【本品のしくみ】 がある(乙46)。 空調服取扱説明書KU90520、KU90530、KU90540、KU90550、KU90560 共通本品の特徴 【本品のしくみ】空調服は、左右の腰の辺りに取り付けられた2個の小型ファンによって、服の中に外気を取り込み、汗を蒸発させることによる気化熱で体を冷やすことで、涼しく快適にすごしていただくための商品です(参考図については、別紙乙46説明書図面目録記載1のとおり)。 パッケージ内容と各部のなまえ箱の中身を確かめ、下記のものが揃っていることを確認して下さい(参考図については、別紙乙46説明書図面目録記載2のとおり)。 e.首周りの空気排出量を調節する⑩襟に付いている2本の紐は、首周りの空気排出スペースを調整する ためのものです。紐を結ぶことによって、首と襟足の間隔を広くし、襟足からの空気排出量を増やすことが出来ます。お好みに応じて、調節してください(参考図については、別紙乙46説明書図面目録記載3のとおり。)。 ウ本件公然実施発明の構成の認定 前記ア及びイの記載によれば、本件公然実施発明の構成は、次のとおり であると認められる。 「ファンを用いて人体との間に形成された空気流通路内に空気を流通させる空調服の襟と人体の首との間に形成される、前記空気流通路内を流通する空気を外部に排出する空気排出口を備えた空調服において、前記空調服の服地の内表面であって前記襟後部又はその周辺の第一の位 置に取り付けられた紐1と、前記紐1が取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた紐2とを備え、2本の紐(1、2)を結ぶことによって、空気排出 置に取り付けられた紐1と、前記紐1が取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた紐2とを備え、2本の紐(1、2)を結ぶことによって、空気排出量を調節することができる、首周りの空気排出スペースを調整する手段。」 ⑵ 本件発明1と本件公然実施発明との対比ア空気排出口の開口度を調整するための手段(空気排出口調整機構)等に係る両発明の構成について本件発明1の「第一調整ベルト」及び「第二調整ベルト」は、これらを締結して空気排出口の開口度を調整するものであるところ、乙46説 明書の記載(前記⑴イ)によると、本件公然実施発明の「紐1」及び「紐2」も、同様に、これらを締結して空気排出スペースを調整し、空気排出量を調節するものであると認められるから、本件公然実施発明の「紐1」及び「紐2」は、それぞれ本件発明1の「第一調整ベルト」及び「第二調整ベルト」に相当するものである。 本件発明1の「第一調整ベルト」は、「前記空調服の服地の内表面であって前記襟後部又はその周辺の第一の位置に取り付けられた」ものであるところ、本件公然実施発明の「紐1」も、「前記空調服の服地の内表面であって前記襟後部又はその周辺の第一の位置に取り付けられた」ものであるから、両発明は、この点で一致する。 本件発明1の「第二調整ベルト」は、「前記第一調整ベルトが取り付 けられた前記第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた」ものであるところ、本件公然実施発明の「紐2」も、「前記紐1が取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた」ものであるから、両発明は、この点で一致する。 乙46説明書の記載( 明の「紐2」も、「前記紐1が取り付けられた前記第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた」ものであるから、両発明は、この点で一致する。 乙46説明書の記載(前記⑴イ)のとおり、本件公然実施発明の「首周りの空気排出スペース」は、首と襟足の間隔を広くし、襟足からの空気排出量を増やすことができるものであり、また、これが本件発明1の「空気排出口」に相当するものであることは明らかであり、さらに、乙46説明書の記載(前記⑴イ)によると、本件公然実施発明におけ る「空気排出量」の「調節」及び「空気排出スペース」の「調整」は、「首周りの空気排出スペース」の開口度の調節により行われるものであると認められるから、本件公然実施発明の「空気排出量を調節することができる、首周りの空気排出スペースを調整する手段」は、本件発明1の「前記襟後部と人体の首後部との間に」「前記空気排出口を形成する」 「開口度を調整するための空気排出口調整機構」に相当する。 乙5カタログの記載(前記⑴ア)及び乙46説明書の記載(前記⑴イ)によると、本件公然実施発明の「首周りの空気排出スペース」は、空調服の内部を流通する空気の圧力を利用して形成されるものであると認められるから、本件公然実施発明は、本件発明1の「前記空気流通路 内を流通する空気の圧力を利用することにより」「前記空気排出口を形成する」との構成を備えているといえる。 イ本件発明1と本件公然実施発明との相違点前記アを踏まえると、本件発明1と本件公然実施発明との相違点としては、以下のaないしdの各点(以下、これらの各点を併せて「本件相違点」 という。)を検討すれば足りるというべきである。 a 本件発明1の「第一調整ベルト」は、「第一取付 違点としては、以下のaないしdの各点(以下、これらの各点を併せて「本件相違点」 という。)を検討すれば足りるというべきである。 a 本件発明1の「第一調整ベルト」は、「第一取付部を有」するのに対し、本件公然実施発明の「紐1」は、そのような構成を備えない点b 本件発明1の「第二調整ベルト」は、「前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複数の第二取付部を有」するのに対し、本件公然実施発明の「紐2」は、そのような構成を備 えない点c 空気排出口の形成に関し、本件発明1は、「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることで」形成するのに対し、本件公然実施発明は、そのような構成を備えない点d 空気排出口の開口度に関し、本件発明1は、「複数段階の予め定めら れた」ものであるのに対し、本件公然実施発明は、そのような構成を備えない点ウ原告の主張についてこの点に関し、原告は、本件発明1と本件公然実施発明との相違点については、「空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される空気排出口 の開口度を簡単に調整する」ための、まとまりのある構成を一体として認定すべきであると主張する。 しかし、本件発明1のように空調服の空気排出口調整機構を構成する各部材とその用法やこれを用いた場合の結果を発明特定事項とする発明について、特許発明及び主引用発明が備える各部材自体に係る相違点と当該部 材の用法やこれを用いた場合の結果に係る相違点とを分析的に認定することが許されないとする理由はないし、本件相違点の認定は、「空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される空気排出口の開口度を簡単に調整する」という観点を捨象したものではない(前記イc及びd)。 したがって れないとする理由はないし、本件相違点の認定は、「空調服の襟後部と人体の首後部との間に形成される空気排出口の開口度を簡単に調整する」という観点を捨象したものではない(前記イc及びd)。 したがって、原告の上記主張を採用することはできない。 ⑶ 乙33公報に記載された発明について ア乙33公報の記載平成24年1月5日に発行された乙33公報には、次の記載がある(乙33。下記記載中に引用する図は別紙乙33公報図面目録参照)。 【請求項1】フラットな布地素材を用いて、股下部と該股下部の前後から末広がり形状 に形成した前当て部と後当て部とを有するパンツ本体を展開形状で形成し、後当て部の末広がり形状の両端部には使用者の腹周りを余長を有して周回する長さの帯紐を接続すると共に、該帯紐の各端部には使用者の腹周りに合わせて長さを調整した状態で着脱自在に固定する止め部材を設け、前当て部の両端部と後当て部の両端部には互いの両端部を着脱自在に結合する 固定部材を設けたことを特徴とする介護用パンツ。 【請求項3】帯紐の両端部に設けた止め部材、又は前当て部の両端部と後当て部の両端部に設けた固定部材は、面ファスナー、ホック又はボタン等のような止め部材又は固定部材の双方を着脱自在に結合するものであることを特徴とす る請求項1又は2記載の介護用パンツ。 【技術分野】【0001】本考案は、フラット形状の布地素材から作成され、しかも要介護者や失禁傾向にある者が自分で容易に交換することができる介護用パンツに関す る。 【考案の概要】【考案が解決しようとする課題】【0008】上記のように、要介護者のなかでも、自分でパンツを装着することが要 求される場合がある。そのとき、立った る。 【考案の概要】【考案が解決しようとする課題】【0008】上記のように、要介護者のなかでも、自分でパンツを装着することが要 求される場合がある。そのとき、立った姿勢で特許文献1のようなフラッ トな形状のオムツを装着するには、右前身頃又は左前身頃のいずれかを身体に添わして止めた状態で右前身頃又は左前身頃の他方を引っ張って重ね合わせた後に結合させる必要がある。 【0009】さらに、パンツの前端部となる覆い部を身体の後方に垂れ下げた状態に して、他方の手で覆い部を持って股下から引き出して腹部の下方へ当てる必要がある。従って、立った姿勢の使用者が自分自身でパンツを装着する作業は困難であり、その作業には思わぬ労力を要することとなる。 【0010】また、特許文献1の介護用パンツは、普通のパンツと変わらない状態で 着用することができるものであるが、腹部の前でパンツの右前身頃と左前身頃と覆い部とが重なった状態になり、パンツの上に履いたズボンやスカート、又は着用した着物の上から介護用パンツの膨らみが目立って見えるという不都合が生じる。 【0011】 本考案は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、介護用パンツを使用する者が立った姿勢であっても自分独りで容易に装着することができ、しかもパンツを装着した状態が外観的に目立たず、さらには製作工程を簡略化して容易に製作することができる介護用パンツを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】【0012】上記の目的を達成するために、本考案の請求項1の介護用パンツは、フラットな布地素材を用いて、股下部と該股下部の前後から末広がり形状に形成した前当て部と後当て部とを有するパ 【0012】上記の目的を達成するために、本考案の請求項1の介護用パンツは、フラットな布地素材を用いて、股下部と該股下部の前後から末広がり形状に形成した前当て部と後当て部とを有するパンツ本体を展開形状で形成し、 後当て部の末広がり形状の両端部には使用者の腹周りを余長を有して周回 する長さの帯紐を接続すると共に、該帯紐の各端部には使用者の腹周りに合わせて長さを調整した状態で着脱自在に固定する止め部材を設け、前当て部の両端部と後当て部の両端部には互いの両端部を着脱自在に結合する固定部材を設けたことを特徴とする。 【0014】 また、本考案の請求項3の介護用パンツは、請求項1又は2において、帯紐の両端部に設けた止め部材、又は前当て部の両端部と後当て部の両端部に設けた固定部材は、面ファスナー、ホック又はボタン等のような止め部材又は固定部材の双方を着脱自在に結合するものであることを特徴とする。 【考案の効果】【0025】また、本考案の介護用パンツにおいて、帯紐の両端部又は前当て部の両端部と後当て部の両端部に設けた固定部材として、面ファスナー、ホック、又はボタン等の止め部材を使用して、帯紐の装着長さを調整した状態で着 脱自在に固定することにより、個人差のある腰周りの大きさに応じて装着することが可能となる。 【考案を実施するための形態】【実施例1】【0031】 本実施例の介護用パンツ1は、図1又は図2に示すように、フラットな布地素材を用いて、股下部2と該股下部2の前後から末広がり形状に形成した前当て部3と後当て部4とを有する展開形状を形成することによってパンツ本体5を製作することが可能である。 【0033】 用いて、股下部2と該股下部2の前後から末広がり形状に形成した前当て部3と後当て部4とを有する展開形状を形成することによってパンツ本体5を製作することが可能である。 【0033】 また、本考案の介護用パンツ1において、後当て部4の末広がり形状の 両端部には使用者の腹周りを余長を有して周回する長さに形成した長尺の帯紐6a、6bを縫製等によって固定する。この長尺の帯紐6a、6bは平織りの布材から構成するほか、ゴム弾性を有する平状のゴム紐で構成しても良い。 【0034】 このような構成において、後当て部4の端部に沿って帯紐6a、6bを縫製等によって固定する場合、帯紐6a、6b全体を伸縮性の平状のゴム紐で構成し、その両端を後当て部4の両端から帯紐6a、6bとして必要な長さをとるようにしても良い。 【0035】 また、後当て部4の周縁のみに伸縮性又は伸縮性を有しない平状の腰紐10を固定する一方、後当て部4の両端から伸縮性を有しない帯紐6a、6bの必要な長さだけを固定するようにしてもよい。 【0036】さらに、両側の帯紐6a、6bの各端部には使用者の腹周りに合わせて 長さを調整した状態で着脱自在に固定する止め部材7a、7bを設けるようにする。この止め部材7a、7bとしては、面ファスナー、ホック又はボタン等を固定し、長尺の面ファスナー、或いは複数のホック又はボタンに対して、どの位置で固定するによって、帯紐6a、6bの装着長さを調整することにより、個人差のある腰周りの大きさに対応するようにしてい る。 【0038】なお、図1に示す図面が、止め部材7a、7b及び固定部材8a、8b、9a、9bとして、一方の帯紐6aの端部に 差のある腰周りの大きさに対応するようにしてい る。 【0038】なお、図1に示す図面が、止め部材7a、7b及び固定部材8a、8b、9a、9bとして、一方の帯紐6aの端部に短尺の面ファスナー7aを使用し、他方の帯紐6bの端部に長尺の面ファスナー7bを使用した図面で ある。 【0039】また、図2に示す図面が、止め部材7a、7b及び固定部材8a、8b、9a、9bとして、一方の帯紐6aの端部に1個のボタン7aを使用し、他方の帯紐6bの端部に複数のボタン7bを使用した図面である。 【0048】 また、本考案の介護用パンツ1において、帯紐6a、6bの両端部又は前当て部3の両端部と後当て部4の両端部に設けた止め部材7a、7bとして、長尺の面ファスナー、複数のホック又は複数のボタン等を使用してあるため、帯紐6a、6bの装着長さを調整した状態で着脱自在に固定することにより、個人差のある腰周りの大きさに応じて装着することが可能 となる。 イ乙33公報に記載された発明前記アの記載のとおり、乙33公報に記載された介護用パンツ1には、後当て部4の両端部に長尺の「帯紐6a」及び「帯紐6b」が設けられているところ、これらの「帯紐6a」及び「帯紐6b」は、個人差のあ る腰回りの大きさに応じて介護用パンツ1の装着が可能となるようにするとの効果を得る目的で、それらの装着長さを調整するように設けられたものであるから、それぞれ本件発明1の「第一調整ベルト」及び「第二調整ベルト」に相当するということができる。 前記アの記載のとおり、乙33公報の【図2】に記載された「帯紐6 a」には、止め部材として「ボタン7a」が設けられているところ、これが本件発明1の「第 ルト」に相当するということができる。 前記アの記載のとおり、乙33公報の【図2】に記載された「帯紐6 a」には、止め部材として「ボタン7a」が設けられているところ、これが本件発明1の「第一調整ベルト」に設けられた「第一取付部」に相当することは明らかである。 前記アの記載のとおり、乙33公報の【図2】に記載された「帯紐6b」には、止め部材として複数の「ボタン7b」が設けられているとこ ろ、「ボタン7a」と「ボタン7b」は、相互に着脱自在とされるもの であるから、「ボタン7b」は、「ボタン7a」の形状に対応して「ボタン7a」と取付けが可能となる複数の部材であるといえる。また、「帯紐6b」に設けられた止め部材である「ボタン7b」が本件発明1の「第二調整ベルト」に設けられた「第二取付部」に相当することは明らかである。 以上によると、乙33公報の【図2】に記載された「ボタン7b」は本件発明1の「前記第一取付部の形状に対応して前記第一取付部と取り付けが可能となる複数の第二取付部」に相当するということができる。 前記アの記載のとおり、乙33公報の【図2】に記載された「ボタン7a」は、複数ある「ボタン7b」のいずれか一つにはめ込まれるもの であるから、乙33公報には、本件発明1の「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付ける」との構成に相当する構成が開示されているといえる。 前記アの記載によると、乙33公報の【図2】に記載された「ボタン7a」が「ボタン7b」のいずれにはめ込まれるかにより、「帯紐6a」 及び「帯紐6b」の装着長さは、複数段階のあらかじめ定められたものとなるといえる。したがって、乙33公報には、本件発明1の「複数段階の予め定められた」との構成に相当す かにより、「帯紐6a」 及び「帯紐6b」の装着長さは、複数段階のあらかじめ定められたものとなるといえる。したがって、乙33公報には、本件発明1の「複数段階の予め定められた」との構成に相当する構成が開示されているといえる。 以上のとおり、乙33公報には、本件相違点に係る本件発明1の構成 に相当する構成を全て含んだ介護用パンツの発明(以下「乙33発明’」という。)が記載されているものと認めるのが相当である。 ⑷ 乙33発明’の本件公然実施発明への適用ア技術分野の関連性前記⑴ア及びイ並びに前記1⑴の各記載によると、本件公然実施発明 は、空調服の技術分野に属すると認められるのに対し、前記⑶アの記載 によると、乙33発明’は介護用パンツの技術分野に属する発明であると認められる。空調服と介護用パンツは、その形状や使用目的を異にするものではあるが、いずれも身体の一部を包んで身体に装着する「被服」であるという点では、関連性を有するものである。 この点に関し、原告は、空調服の技術分野においては、空気排出口の 調整のために、①洗濯に支障がないこと、②確実に空気排出口を形成すること、③安価に作製できること、④使用者の邪魔にならないこと、⑤空気排出の邪魔にならないこと、⑥簡単に調整することができることなどの技術事項が全て要求されるのに対し、乙33発明’においては、そのような技術事項が要求されるものではないから、両発明の技術分野は 異なると主張する。 しかしながら、空調服も被服である以上、空調服に係る当業者は、被服に係る各種の先行技術を参酌するのが通常であるといえるから、本件公然実施発明に乙33発明’を適用する動機付けがあるか否かの検討に当たって考慮すべき両者が属する技術分野につき、上記①ないし⑥ は、被服に係る各種の先行技術を参酌するのが通常であるといえるから、本件公然実施発明に乙33発明’を適用する動機付けがあるか否かの検討に当たって考慮すべき両者が属する技術分野につき、上記①ないし⑥のよ うな空調服特有の技術事項が存在するからといって、それらが直ちに異なると解するのは相当ではない。 したがって、原告の上記主張を採用することはできない。 イ課題の共通性本件公然実施発明から認識される課題 a 特開平10-88407号公報の記載平成10年4月7日に公開された特開平10-88407号公報には、次の記載がある(乙18)。 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、雪上スキーに着用されるスキ ー用ズボン、さらに詳しくは、裾部の小許上方内面に筒状の連結布の 上縁を取り付け、この連結布の下縁に筒状の締付帯を取付けたスキー用ズボンの裾部の改良に関するものである。 【0002】【従来の技術】従来からスキー用のズボンの裾部に関して、ずり上がりを防止する為の手段が構じられてきた。すなわち、スキー用ズボン の裾部は足の動きに伴ってずり上りやすく、ずり上がるとスキー用ズボン裾部とスキーブーツの間から雪や水滴が侵入して不快感を与え、ずり上がったスキー用ズボンはスタイルを重視するスキーファッションにおいて極めて外観体裁の悪いものだからである。 【0003】具体的な防止策としては次のようなものがあった。①ス キー用ズボンの裾部少許上方外面に二か所、周方向に間隔をあけて細い紐を取り付けておき、緩めた状態でスキー用ズボンとスキーブーツを着用した後、スキーブーツの上から二本の紐でスキー用ズボン裾部を緊縛してスキー用ズボンとスキーブーツを 二か所、周方向に間隔をあけて細い紐を取り付けておき、緩めた状態でスキー用ズボンとスキーブーツを着用した後、スキーブーツの上から二本の紐でスキー用ズボン裾部を緊縛してスキー用ズボンとスキーブーツを密着させてズレを防ぐ構成…。 【0004】【発明が解決しようとする課題】ところが、上記①の構成では、紐を締める手数が煩わしいと共に、低温のスキー場でスキー用手袋をはめた状態では細い紐を緊縛することは困難であり、紐の長さや締め付け強さの加減によっては十分に裾部のずり上り防止機能を果たさなかっ たり、逆に不必要に足首を拘束して自由な動きを阻害するだけでなく、紐の余った部分が垂れ下がる不体裁と、使用中に紐が解ける不都合がある。 b 特開平11-46817号公報の記載平成11年2月23日に公開された特開平11-46817号公報 には、次の記載がある(乙19)。 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、衣類などに備えられるドローコードに関するものである。 【0002】【従来の技術】例えばスウェットパンツやイージーパンツ等の衣類に は、通常、ウエスト部を寸法を調節するためのドローコードが備えられている。このドローコードは、ウエスト部の内部に沿って紐を通したものであり、その紐の各端部は、ウエスト部のうちの腹部に相当する箇所に設けられた2個の開口部からそれぞれ延出している。すなわち、紐の各端部を開口部から共に引き出すことによって、ウエスト部 が絞られて周囲の寸法が減少し、これに対して、紐の端部を開口部の内側に送り込むことによって、ウエスト部の寸法が増大する構成となっている。 【0003】ところで、上記のスウェットパンツ等 部 が絞られて周囲の寸法が減少し、これに対して、紐の端部を開口部の内側に送り込むことによって、ウエスト部の寸法が増大する構成となっている。 【0003】ところで、上記のスウェットパンツ等では、上記のままの状態で着脱したりあるいは洗濯したりした場合に、紐の端部が開口 部内に入り込んでしまうおそれが多分にあるため、通常では、予め紐の両端部をそれぞれ堅結びするなどして、開口部とほぼ同じ大きさのいわゆるダンゴを形成したり、ウエスト部の調整をした後に紐の端部同士で蝶結びしたりして防いでいる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、各端部にそれぞれダンゴを形成する手段では、先端箇所ががさばって蝶結びをしにくくなるなど取り扱いが煩わしくなる不都合があった。これに対して、端部同士を蝶結びする手段は、スウェットパンツ等を着脱するごとに、あるいはウエスト部を寸法調整するごとに行う必要があり、面倒な作業 を余儀なくされる不都合があった。 c 特開2003-201611号公報の記載平成15年7月18日に公開された特開2003-201611号公報には、次の記載がある(乙20)。 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、着脱が簡単にできる付け帯に関 するものである。 【0002】【従来の技術】従来からある付け帯は、胴巻き部分を胴に二重に巻き付けてからひも結びにて固定し、結び部分も又、ひも結びによって固定するタイプが主流であった。 【0003】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の付け帯は、胴に二重に巻き付けた上でのひも結びでの装着なので、帯やひもの結び目 タイプが主流であった。 【0003】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の付け帯は、胴に二重に巻き付けた上でのひも結びでの装着なので、帯やひもの結び目がゆるんだりきつすぎたり着心地の調整が困難である上、ひもの素材も木綿やモスリンが中心なのでそれ自体が見えてしまうとおかしく、 特に結び部分を支えるひもは必ず帯揚げでカバーする必要があり、着物離れが進む現代ではもっと簡単に着脱できる手軽な付け帯の開発が求められている。 d 特開2003-342817号公報の記載平成15年12月3日に公開された特開2003-342817号 公報には、次の記載がある(乙21)。 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、食事調理時等に身体の前面に着用する「エプロン・前掛け等のエプロン類」の身体への着用バンド…に関するものである。 【0002】 【従来の技術】食事調理や掃除作業等のときに身体に着用するエプロン類は、着用者の首へ巻掛けたり腰に巻き付ける着用紐によって身体に着用セットして使用する形態が古くから広く普及して…いる。…【0003】【発明が解決しようとする課題】以上の従来のエプロン類…は、着用 者の個有の体形や身体サイズに合せて前記着用紐の長さを調整して結びセットする作業が着用時毎に必要になるので、着用作業と外し作業が面倒にして手数がかかる。 e 本件公然実施発明から認識される課題前記aないしdの各記載によると、本件出願当時、被服の技術分野 においては、二つの紐状部材を結んでつないで長さを調整することや、そもそも二つの紐状部材を結んでつなぐこと自体、手間がかかって容 前記aないしdの各記載によると、本件出願当時、被服の技術分野 においては、二つの紐状部材を結んでつないで長さを調整することや、そもそも二つの紐状部材を結んでつなぐこと自体、手間がかかって容易ではないとの周知かつ自明の課題が存在したものと認められる(なお、前記1⑴のとおり、本件明細書にも、本件出願当時に存在した課題として、一組の調整紐を結んで所望の長さになるようにすることは 非常に難しく、ほとんどの着用者は空気排出口の開口度を適正に調整することができないとの記載がみられるところである。)。 そうすると、被服の技術分野に属する本件公然実施発明の構成(「前記空調服の服地の内表面であって前記襟後部又はその周辺の第一の位置に取り付けられた紐1と」、「前記紐1が取り付けられた前記 第一の位置とは異なる前記襟後部又はその周辺の第二の位置に取り付けられた紐2とを備え」、「2本の紐(1、2)を結ぶことによって、空気排出量を調節することができる」との構成)自体からみて、また、乙46説明書に「首と襟足の間隔を広くし」との記載及び紐が首の後ろにある旨の図示(前記⑴イ)があることからすると、本件公然実 施発明に接した本件出願当時の当業者は、上記の課題を認識するもの と認めるのが相当である。 乙33発明’が解決する課題前記⑶アの記載のとおり、乙33発明’は、「帯紐6a」に「ボタン7a」を、「帯紐6b」に複数の「ボタン7b」をそれぞれ設け、「ボタン7a」を複数ある「ボタン7b」のいずれか一つにはめ込むとの構成 を採用することにより、「帯紐6a」及び「帯紐6b」の装着長さを調整し、もって、個人差のある腰回りの大きさに応じて介護用パンツ1を装着することを可能にするというものであるところ、乙33公報に装着の容易 用することにより、「帯紐6a」及び「帯紐6b」の装着長さを調整し、もって、個人差のある腰回りの大きさに応じて介護用パンツ1を装着することを可能にするというものであるところ、乙33公報に装着の容易さについての記載(【0008】、【0009】、【0011】)があることや、前記eのとおりの周知かつ自明の課題が本件出願当時に被 服の技術分野において存在したとの事実も併せ考慮すると、本件出願当時の当業者は、乙33発明’につき、これを二つの紐状部材を結んでつないで長さを調整することが手間で容易ではないとの課題を解決する手段として認識するものと認めるのが相当である。 課題の共通性についての結論 前記及びのとおりであるから、本件公然実施発明から認識される課題と乙33発明’が解決する課題は、共通すると認めるのが相当である。 ウ本件公然実施発明に乙33発明’を適用することについての動機付けの有無 前記ア及びイのとおりであるから、被服の技術分野に属する本件公然実施発明に接した本件出願当時の当業者は、空気排出スペースの大きさを調整するための手段である「紐1」及び「紐2」を結んでつないで長さを調整することが手間で容易でないとの課題を認識し、当該課題を解決するため、同じ被服の技術分野に属する乙33発明’を採用するよう動機付けら れたものと認めるのが相当である。 エ原告の主張について原告は、本件公然実施発明は、排出する空気の量に応じて、中に支える物体がない、空気を排出するスペースを調整するのに対して、乙33発明’は、体型等に応じて中に支える物体があるものの周りを調整するものであるから、その目的や機能が異なると主張する。 しかしながら、本件公然実施発明と乙33発明’とは、紐状の部材の締結 発明’は、体型等に応じて中に支える物体があるものの周りを調整するものであるから、その目的や機能が異なると主張する。 しかしながら、本件公然実施発明と乙33発明’とは、紐状の部材の締結により被服が形成する空間の大きさを調整するとの目的ないし機能において異なるものではないから、本件公然実施発明が空調服の首回りの空気排出スペースの大きさを調整するものであるのに対し、乙33発明’が介護用パンツの腰回りの大きさを調整するものであること、すな わち、両者が何を調整するのかにおいて異なることは、前記ウに係る結論を左右するものではない。 また、原告は、①空調服は、世の中に存在しなかった革新的技術であることや、②本件発明1は従来技術に比して有利な効果を有しており、本件公然実施発明と異なる技術的意義を有することを主張している。 しかし、上記①について、本件発明1は、本件公然実施発明等によって既に実用化されている空調服における空気排出口の開口度の調節方法に係る発明であり、従来技術の延長線上に位置付けられるものと評価できるところ、上記の調節方法が被服の技術分野で周知といえることは前記⑶で説示したとおりである。そうだとすれば、空調服という製品自体 が革新的技術であることは、本件発明1の進歩性を基礎付ける事情とはならないというべきである。 上記②について、本件全証拠によっても、本件発明1がその進歩性を基礎付けるほどの有利な効果や技術的意義を有しているとは認められない。 したがって、原告の主張はいずれも採用できない。 ⑸ 本件発明1の進歩性について以上によれば、本件発明1については、本件出願前に当業者が本件公然実施発明に乙33発明’を適用して容易に発明をすることができたものと認め ない。 ⑸ 本件発明1の進歩性について以上によれば、本件発明1については、本件出願前に当業者が本件公然実施発明に乙33発明’を適用して容易に発明をすることができたものと認めるのが相当である。 したがって、本件発明1は進歩性を欠くものと認められる。 ⑹ 本件発明2ないし7の進歩性についてア前提事実⑷アないし並びにイないしのとおり、本件発明2は、本件発明1を更に①「前記第一取付部は前記空調服の服地の内表面と対向するように前記第一調整ベルトに取り付けられている」と限定するもの、本件発明3は、本件発明1を更に②「前記第二取付部は貫通孔である」と 限定するもの、本件発明4は、本件発明3を更に③「前記第一取付部はボタンである」と限定するもの、本件発明5は、本件発明4を更に④「前記貫通孔は切り込み線を入れて作製されるボタン孔である」と限定するもの、本件発明6は、本件発明5を更に⑤「前記ボタン孔の切り込み方向が前記襟後部の長手方向と略平行になるように前記ボタン孔が形成されている」 と限定するものであることが認められる。 イまず、上記③について、前記⑶アによれば、乙33公報の【図2】に記載された「帯紐6a」には、止め部材として「ボタン7a」が設けられていることが認められ、そうすると、乙33公報には上記③に相当する構成が開示されていたものと認められる。 ウまた、上記①、②、④及び⑤は、取付部の位置(上記①)や形状(上記②、④及び⑤)に係るものであるが、証拠(乙26ないし31)及び弁論の全趣旨によれば、これらの構成は、いずれも被服の技術分野における当業者にとって当然の創作能力の発揮にすぎず、設計事項に該当するものと認められる。 エそして、本件発明7は、⑥「請求項 論の全趣旨によれば、これらの構成は、いずれも被服の技術分野における当業者にとって当然の創作能力の発揮にすぎず、設計事項に該当するものと認められる。 エそして、本件発明7は、⑥「請求項1~8のいずれか一項に記載の空気 排出口調整機構を備えた空調服の服本体。」であり、原告は請求項3を被従属項とする発明を請求の根拠としているが、本件公然実施発明は空調服の服本体に係るものであるから(前記⑴ア)、本件公然実施発明は上記⑥に相当する構成を含むものといえる。 オ以上によれば、本件発明2ないし7は、いずれも、本件出願前に当業者 が本件公然実施発明に乙33発明’を適用して容易に発明をすることができたものと認めるのが相当であるから、進歩性を欠くものと認められる。 ⑺ 小括以上のとおり、本件各発明はいずれも進歩性を欠いており、特許無効審判により無効にされるべきものと認められる(特許法123条1項2号、29 条1項2号及び2項)。 3 争点4(本件公然実施発明に基づく進歩性欠如に対する訂正の再抗弁の成否)について⑴ 本件訂正によって本件公然実施発明を主引用発明とし乙33発明’を副引用発明とする進歩性欠如の無効理由が解消するか否かについて ア本件訂正発明1と本件公然実施発明との対比原告は、本件訂正発明1と本件公然実施発明とが、次の点で相違すると主張する。 本件訂正発明1は、「前記第一の位置から前記第一取付部までの第一調整ベルトの長さがL3であり、前記第二の位置から前記複数の第二取 付部のいずれかまでの長さがL4であり、前記第一の位置から前記第二の位置までの空調服の服地に沿った距離がL5であり、L3とL4は異なる長さであって、前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一 れかまでの長さがL4であり、前記第一の位置から前記第二の位置までの空調服の服地に沿った距離がL5であり、L3とL4は異なる長さであって、前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることでL3+L4<L5となり、結び目を形成することなく前記空気流通路内を流通する空気の圧力を利用するこ とにより、前記襟後部と人体の首後部との間に、複数段階の予め定めら れた開口度で前記空気排出口を形成することを特徴とする空気排出口調整機構」であるのに対し、本件公然実施発明は、「2本の紐(1、2)を結ぶことによって、空気排出量を調節することができる、首周りの空気排出スペースを調整する手段」である点しかし、「前記第一の位置から前記第一取付部までの第一調整ベルト の長さ」を「L3」、「前記第二の位置から前記複数の第二取付部のいずれかまでの長さ」を「L4」、「前記第一の位置から前記第二の位置までの空調服の服地に沿った距離」を「L5」としたことについては、「L3」ないし「L5」の内容を定義しただけにすぎないから、この点は相違点とは評価できない。 また、「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることでL3+L4<L5」となる点について、乙46説明書の記載(前記2⑴イ)によれば、本件公然実施発明における「紐1」が取り付けられた位置から結び目の位置までの長さは、本件訂正発明1の「L3」に、本件公然実施発明の「紐2」が取り付けられた 位置から結び目の位置までの長さは、本件訂正発明1の「L4」に、本件公然実施発明の「紐1」が取り付けられた位置から「紐2」が取り付けられた位置までの長さは、本件訂正発明1の「L5」に、それぞれ相当するものであると認められる。そして、乙46 発明1の「L4」に、本件公然実施発明の「紐1」が取り付けられた位置から「紐2」が取り付けられた位置までの長さは、本件訂正発明1の「L5」に、それぞれ相当するものであると認められる。そして、乙46説明書の記載(前記2⑴イ)によれば、本件公然実施発明は、上記の「紐1」及び「紐2」 を結ぶことによって、首と襟足の間隔を広くし、襟足からの空気排出量を増やすものであり、紐を結ぶことによって、「L3(「紐1」が取り付けられた位置から結び目の位置までの長さ)」と「L4(「紐2」が取り付けられた位置から結び目の位置までの長さ)」の和が「L5(「紐1」が取り付けられた位置から「紐2」が取り付けられた位置)」よりも小 さくなるものと認められるから、本件公然実施発明は、「前記第一取付 部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることでL3+L4<L5」となるものといえる。 したがって、「前記第一の位置から前記第一取付部までの第一調整ベルトの長さ」を「L3」、「前記第二の位置から前記複数の第二取付部のいずれかまでの長さ」を「L4」、「前記第一の位置から前記第二の位置 までの空調服の服地に沿った距離」を「L5」とした上で、「前記第一取付部を前記複数の第二取付部の少なくともいずれか一つに取り付けることでL3+L4<L5」となる点は、相違点ではなく、一致点であると解される。 以上によれば、本件訂正発明1と本件公然実施発明との間には、前記 2⑵イの本件相違点に加え、次の相違点が存在する(以下、本件相違点に次の相違点を併せて「本件訂正相違点」という。)。 e 本件訂正発明1は、「L3とL4は異なる長さ」であり、かつ、「結び目を形成することなく」とされているのに対し、本件公然実施発明ではL3とL4とが異なる 点を併せて「本件訂正相違点」という。)。 e 本件訂正発明1は、「L3とL4は異なる長さ」であり、かつ、「結び目を形成することなく」とされているのに対し、本件公然実施発明ではL3とL4とが異なる長さであるか否かが不明であり、 かつ、結び目を形成するものである点なお、原告は、本件訂正発明1と本件公然実施発明との相違点についても、まとまりのある構成を一体として認定すべきであると主張するが、前記2⑵ウで説示したとおり、同主張を採用することはできない。 イ乙33公報に記載された発明乙33公報の【図2】に記載された「帯紐6a」が取り付けられた位置(第一の位置)から「ボタン7a」の位置までの長さは、本件訂正発明1の「L3」に、同図面に記載された「帯紐6b」が取り付けられた位置(第二の位置)から「ボタン7b」の位置までの長さは、本件訂正発明1 の「L4」に、それぞれ対応するものと解される。そして、乙33公報の 【図2】の記載によれば、「ボタン7a」は3つの「ボタン7b」のいずれかにはめ込むものであり、それぞれの「ボタン7b」にはめ込んだ際の「L4(「帯紐6b」が取り付けられた位置(第二の位置)から「ボタン7b」の位置までの長さ)」は異なることになると認められるから、いずれかの「L4」は「L3(「帯紐6a」が取り付けられた位置(第一の位 置)から「ボタン7a」の位置までの長さ)」と異なるはずである。そうすると、乙33公報に記載された発明には、本件訂正発明1の「L3とL4は異なる長さ」との構成に相当する構成が開示されているといえる。 また、乙33公報の【図2】に記載された「帯紐6a」と「帯紐6b」は、結び目を形成するものではないから、乙33公報には、本件訂正発明 1の「結び目を形成することなく」 示されているといえる。 また、乙33公報の【図2】に記載された「帯紐6a」と「帯紐6b」は、結び目を形成するものではないから、乙33公報には、本件訂正発明 1の「結び目を形成することなく」という構成に相当する構成も開示されているといえる。 以上によれば、乙33公報には、本件訂正相違点に係る本件訂正発明1の構成に相当する構成を全て含んだ介護用パンツの発明(以下「乙33発明’’」という。)が記載されているものと認めるのが相当である。 ウ乙33発明’’の本件公然実施発明への適用原告は、本件公然実施発明と乙33公報に記載された発明は、目的や機能、技術分野が異なるので、当業者が両者を組み合わせて本件訂正相違点に係る本件訂正発明1の構成を想到することは容易ではない旨主張するが、前記2⑷で説示したことは、乙33発明’’の本件公然実施発明への適用 についても同様に当てはまるから、同主張は理由がないというべきである。 エ本件訂正による無効理由解消の成否本件訂正発明1について前記ウのとおり、本件訂正相違点に係る本件訂正発明1の構成の容易想到性を否定することはできないから、本件訂正発明1について、 本件出願前に当業者が本件公然実施発明に乙33発明’’を適用して容 易に発明できたことを否定することはできず、本件訂正によって進歩性欠如の無効理由は解消されるものとは認められない。 本件訂正発明2ないし7について前記2⑹で説示したのと同様の理由により、本件訂正発明1について進歩性欠如の無効理由が解消されない以上、本件訂正発明2ないし7の 進歩性欠如の無効理由も解消されないというべきである。 ⑵ 小括以上のとおり、本件訂正によっても、本件公然実施発明を主引用発明とし乙33発明’を副引用発明とす 上、本件訂正発明2ないし7の 進歩性欠如の無効理由も解消されないというべきである。 ⑵ 小括以上のとおり、本件訂正によっても、本件公然実施発明を主引用発明とし乙33発明’を副引用発明とする進歩性欠如の理由は解消されないから、その余の要件について検討するまでもなく、訂正の再抗弁の成立は認められず、 原告は被告らに対して本件特許権を行使することができない(特許法104条の3第1項)。 4 結論よって、その余について判断するまでもなく、原告の請求は理由がないからこれらをいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 バヒスバラン薫 裁判官 木村洋一 (別紙)物件目録 以下の品番、型番、乃至商品名を有する服、又は服とファン等を含むセット品 1 被告ビツグボーンについて 1-1BK60971-2BK60571-3BK6037F1-4BK6047F1-5BK6057K1-6BK60581-7BK60591-8BK60671-9BK60771-10 BK60781-11 BK60871-12 K10011-13 K10031-14 K10051- BK60591-8BK60671-9BK60771-10 BK60781-11 BK60871-12 K10011-13 K10031-14 K10051-15 K10071-16 KU904701-17 KU905101-18 KU90520S1-19 KU905501-20 KU913101-21 KU916301-22 KU92310 2 被告サンエスについて2-1BK60972-2BK60572-3BK6037F2-4BK6047F2-5BK6057K2-6BK60582-7BK60592-8BK60672-9BK60772-10 BK60782-11 BK60872-12 K10012-13 K10032-14 K10052-15 K10072-16 KU904702-17 KU905102-18 KU90520S2-19 KU905502-20 KU913102-21 KU916302-22 KU923102-23 KU904302-24 KU904502-25 KU90470F2-26 KU90540S2-27 KU906002-28 KU907402-29 KU914002-30 KU91400F2-31 KU916002-32 KU916202-33 KU922002-34 KU935002-35 KU93500F2-36 KU936002-37 KU937002-38 KU951002-39 KU95100F2-40 KU951502-41 KU97100 2-35 KU93500F2-36 KU936002-37 KU937002-38 KU951002-39 KU95100F2-40 KU951502-41 KU97100 2-42 0932-43 K1001SET2-44 K1003SET2-45 K1005SET2-46 K1007SET 3 被告アタックベースについて3-1 3-2KU904303-3KU904503-4KU904703-5KU90470F3-6KU905103-7KU90520S3-8KU90540S3-9KU905503-10 KU906003-11 KU907403-12 KU913103-13 KU914003-14 KU91400F3-15 KU916003-16 KU916203-17 KU916303-18 KU922003-19 KU923103-20 KU935003-21 KU93500F3-22 KU936003-23 KU937003-24 KU951003-25 KU95100F3-26 KU951503-27 KU97100 4 被告大川被服について4-1K10014-2K10034-3K10054-4K10074-5K1001SET4-6K1003SET4-7K1005SET4-8K1007SET4-9KU904304-10 KU904504-11 KU904704-12 KU90470F4-13 KU905104-14 KU90 SET4-8K1007SET4-9KU904304-10 KU904504-11 KU904704-12 KU90470F4-13 KU905104-14 KU90520S4-15 KU90540S4-16 KU905504-17 KU906004-18 KU907404-19 KU913104-20 KU914004-21 KU91400F4-22 KU916004-23 KU916204-24 KU916304-25 KU922004-26 KU923104-27 KU935004-28 KU93500F4-29 KU936004-30 KU937004-31 KU951004-32 KU95100F4-33 KU951504-34 KU97100 5 被告福徳産業について5-1KU905505-2KU904705-3KU90470F5-4KU914005-5KU93500F5-6KU951005-7KU95100F以上 (別紙)損害目録 ●(省略)●以上 (別紙)本件特許図面目録 1 図4 2 図5 3 図6 4 図7 5 図8 以上 (別紙)乙5カタログ図面目録 以上 (別紙)乙46説明書図面目録 以上 (別紙)乙33公報図面目録 1 図1 以上 (別紙)乙46説明書図面目録 以上 (別紙)乙33公報図面目録 1図1 2図2 以上

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