主文 被告人株式会社Aを罰金2700万円に、被告人Bを懲役1年に処する。 被告人Bに対し、この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。 理由 (犯罪事実)被告人株式会社A(以下「被告会社A」という。)は不動産の賃貸等の事業を営む株式会社、被告人Bは被告会社Aの実質的経営者としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人Bは、被告会社Aの業務に関し、平成30年12月1日から令和元年11月30日までの事業年度における実際所得金額が4億4906万8147円であったにもかかわらず、法人税及び地方法人税の法定納期限である令和2年1月31日までに、岐阜県多治見市白山町1丁目209番地所在の所轄多治見税務署長に対し、法人税及び地方法人税確定申告書を提出しないで同納期限を徒過させたことにより、同事業年度における法人税額1億0352万7600円及び地方法人税額455万5100円を免れた。 (量刑の理由)本件は、被告会社Aの実質的経営者であった被告人Bが、被告会社Aの1事業年度分の法人税及び地方法人税の確定申告をせず、これらの税を免れたという、単純無申告ほ脱による法人税法違反、地方法人税違反の事案である。 ほ脱額は合計約1億0800万円と高額である。被告人Bは、本件以前から被告会社Aの確定申告を行わず、所轄税務署からたびたび調査・指摘を受け、かつ、判示事業年度の収入の大半を占める雑収入(賃貸借契約の合意解約に伴う解決金取得や敷金等返還債務の免除益)につき、自ら相手方と交渉に当たり、債務免除益につき税務コンサルティング会社に相談もしていたのであり、判示事業年度の申告・納税義務を認識していたことは明らかである。そのような状況のもと、被告人Bは、 無申告の理由 たり、債務免除益につき税務コンサルティング会社に相談もしていたのであり、判示事業年度の申告・納税義務を認識していたことは明らかである。そのような状況のもと、被告人Bは、 無申告の理由につきめんどくさがりの性格だったなどと述べ、また、無申告だけでも犯罪になるとは当時知らなかった旨述べるところ、弁護士として、法令に通じ社会正義の実現を目指すべき立場にあることに鑑みれば、その納税意識の希薄さには一層の非難が妥当する。被告人らの刑事責任は軽いものではないが、被告人Bが、被告会社Aの現代表取締役として、法人税及び地方法人税の本税の全額を納付したこと、被告人らに前科がないことは、量刑上相応に考慮すべきである。 このほか、被告人Bが、自身の立場や本件の責任につき内省を深めつつあるとうかがわれることなどを勘案すると、被告人らには主文の各刑を科すこととした上、被告人Bに対しては、その刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。 (求刑被告会社Aにつき罰金3200万円、被告人Bにつき懲役1年) 令和6年5月28日 名古屋地方裁判所刑事第2部 裁判長裁判官坂本好司 裁判官岩田澄江 裁判官荒田航希
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