【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 理 由 弁護人藤岡均一の控訴趣意は別紙記載の通りである。 論旨は原判決は事実誤認であり被告人の本件行為は背任罪を構成しないと謂
主文 本件控訴を棄却する。 理由 弁護人藤岡均一の控訴趣意は別紙記載の通りである。 論旨は原判決は事実誤認であり被告人の本件行為は背任罪を構成しないと謂うのである。 (1) 論旨は先ず被告人は本件畳表千五百枚につき保管の責任がなかつたと主張する。仍て考察するに原判決が証拠として掲げる証人Aの原審公判廷における証言(原審第三回公判調書参照)及び被告人の検察官に背任罪成立の一事例対する供述調書を綜合すれば原判決理由冒頭記載の如き経緯により昭和二十四年八月末頃Aが畳表千五百枚を貨物自動車に積載して原審相被告人Bと共に今治へ運搬の途中被告人の同行を求めるため被告人方に立寄つた際被告人は買主をこちらへ呼寄せ代金と引換に品物の引渡をする方が安全である旨主張し種々悶着の結果結局右Aは被告人の意見に従い右畳表を一時被告人方納屋に搬入することとなり被告人は自宅納屋内においてAのためこれが保管をなすに至つた事実を認めることができる。尤も所論の如く被告人は当初右Aの居村a村での取引を主張したところAが自己の立場上畳表をa村に持ち帰ることを渋つたため買主を被告人方に呼寄せることとし巳むを得ず本件畳表を自宅納屋内に搬入せしめるに至つた経緯はこれを窮い得るけれども被告人は右畳表を自宅納屋に搬入することを承諾した以上特別の意思表示をしない限りAのためこれが保管の責を負うに至つたものと謂はなければならない。而して同年九月二日AはBに対し畳表三千枚の売却方を同人に委任する旨の委任状(証第四号)を手交した事実及びその頃被告人は畳表の取引より手を引いた事実は本件証拠上明かであるけれども、証人Aの原審公判廷における証言及び本件各証拠上窺える諸般の情況より判断すればAは右Bに対し一時中絶した広島県のCなる者との取引交渉方を委任し 取引より手を引いた事実は本件証拠上明かであるけれども、証人Aの原審公判廷における証言及び本件各証拠上窺える諸般の情況より判断すればAは右Bに対し一時中絶した広島県のCなる者との取引交渉方を委任したに過ぎず、本件畳表千五百枚の保管方をもBに対し委託したものとは到底認められない。従で論旨の採用する諸点を考慮に容れても本件畳表千五百枚につき被告人においてAに対し保管の責任がなかつたものとは見られず、原判決が被告人はAのため本件畳表を保管していたものと認定したのは相当であると謂はなければならない。 (2) 論旨は次に被告人は本件物品の搬出を防止すべき慣習上の義務はないと主張する。仍て考察するに原判決が「被告人は慣習上尠くもBその他が畳表を不正に搬出処分するを防止保持する応急の措置をしなければならない関係に在る者云々」と判示した趣旨は稍明確でないけれども、被告人は前叙の如くA所有の本件畳表を自宅納屋内に保管することを承諾した以上民法上においても受寄物の保管について産におけると同一の注意をなす責任があり(民法第六百五十九条参照)、第三者が不法にこれを搬出することを知りながらこれを黙認或は放置するが如きことは明かに委託の趣旨に反する行為(赴作為)であり刑法第二百四十七条に所謂「任務に背きたる行為」に該当するものと謂わなければならない。 (3) 次に論旨は原判決の認定する原審相被告人Bの窃盗罪とは両立し得ない関係にあると主張する。しかしBに対する判決は既に確定していて当審の判断の対象とはならず、他方被告人の原判示所為が背任罪を構成することは原判決の説示に徴し明かであつて被告人の本件行為に関する限り原審の認定が誤りであるとはいえない。 (4) 論旨は更にBは委任状(証第四号)によつてAより本件層表の拠文権を委ねられていたと主張する。しかし右委任状 徴し明かであつて被告人の本件行為に関する限り原審の認定が誤りであるとはいえない。 (4) 論旨は更にBは委任状(証第四号)によつてAより本件層表の拠文権を委ねられていたと主張する。しかし右委任状は前叙の如き単に売買交渉を委任する趣旨であつてAがBに対し品物自体を拠文する権限をも与えたものと認められないことは原判決の説示する通りである。 <要旨>これを要するに原判決認定の如く被告人はBが本件層表を擅に売却して取得する代金中より自己のB</要旨>Bに対する貸金を回収するため即ち自己の利益を図する目的でAのため自宅納屋内に保管していた同人所有の本件層表千五百枚をBが売却するため不法に搬出するのを黙認してこれを防止し或はAに通報する等の措置を採らず即ち保管者としての任務に背いた行為(不作為)をしてAに対し右層表の価格約四十二万円相当の損害を加えたものであることは原判決挙示の各証拠を綜合判断すれば充文これを認めることがでは少くとも自己の財き原審が被告人の右行為を背任罪に問擬したのは相当であつて原判決並に原審が取調べた各証拠を仔細に検討し論旨の主張する諸点を考慮に容れても原判決の事実認定及び法律の適用に誤があるとは認められない。従つて論旨は採用し難い。 仍て本件控訴は理由がないから刑事訴訟法第三百九十六条により主文の通り判決する。 (裁判長判事坂本徹章判事塩田宇三郎判事浮田茂男)
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