平成19年(む)第2913号主文本件各請求をいずれも棄却する。 理由 本件請求の趣旨及び理由は主任弁護人作成の平成19年4月23日付け裁定請求書な,(お,同請求書第1の1記載の備忘録を以下「本件備忘録,同第1の2記載の記憶媒体を」「」。),,以下本件記憶媒体という同年5月15日付け意見書に記載のとおりであるからこれらを引用する。 当裁判所の判断検察官は,本件備忘録及び本件記憶媒体についての主任弁護人の類型証拠開示請求に対し,いずれも存在しないと回答し(主任弁護人作成の平成19年1月9日付け類型証拠開示請求書第240④,第241に対応する検察官作成の同年2月15日付け証拠開示請求に対する回答書・第1の2,3及び本件裁定請求に対する同年4月25日付け意見書,当)裁判所作成の同年4月25日付け求釈明書に対する同月26日付け回答書において,本件備忘録については,取調べに際し,供述調書作成のための心覚えとして,被告人の供述内容を必要な範囲で適宜パソコンに入力したもの(以下「取調べ備忘データ」とい。),,,うを供述調書作成に当たって参考にしたことがあったが供述調書作成後には取調べ備忘データは必要でないと判断し,消去した旨,本件記憶媒体については,被告人の取調べ状況は録音・録画しておらず,本件記憶媒体は当初から存在しない旨,それぞれ回答している。 この点に関し,弁護人は,捜査経過を保存することは,捜査一般の心得であり,取調べ備忘データは,任意性立証のために非常に貴重な資料なのであるから,軽々に消去される性質のものではないし,本件における被告人の供述経過等に鑑みれば,後の公判で不利益供述の任意性が争われる可能性が高いことを取調べを担当した検察官において認識していたはずであるし,証言予定内容記載書 る性質のものではないし,本件における被告人の供述経過等に鑑みれば,後の公判で不利益供述の任意性が争われる可能性が高いことを取調べを担当した検察官において認識していたはずであるし,証言予定内容記載書における供述が詳細である一方,取調べ備忘データに代わる資料が他に見当たらないことからすれば,同検察官において,取調べの経緯・状況の裏付け資料として,取調べ備忘データを保存しているはずであるなどと主張する。 他方,検察官は,上記同月26日付け回答書及び弁護人の同年5月7日付け求釈明申立書に対する同月9日付け回答書において,取調べを担当した検察官が取調べ備忘データを作成した状況,作成の趣旨,取調べ備忘データを削除した状況を説明し,上記同,,月9日付け回答書において取調べ担当検察官の証言による任意性の立証に関しても被告人の取調状況報告書,供述調書のほか,被告人の供述に基づいて裏付けのため事情聴取をした参考人の供述調書の内容,作成日等を参考にして証言予定内容を作成した旨述べている。 そこで,検討するに,取調べ担当検察官が取調べ備忘データを削除する必要があったかについては疑問が残るが,検察官は,取調べ備忘データを作成した状況,作成の趣旨,取調べ備忘データを削除した状況,取調べ備忘データによらずに証言予定内容を作成した経緯,取調べ備忘データなく証言が可能である理由を具体的に明らかにしているから,取調べ担当検察官が取調べ備忘データは必要性がないものとして削除した旨の検察官の主張には一応理由があり,検察官主張のとおり現在取調べ備忘データは存在しないものと認められる。また,取調べ備忘データ以外の本件備忘録が存在しない旨の検察官の主張が虚偽であることを疑わせる事情はないから,取調べ備忘データ以外の本件備忘録についても存在しないものと認められる。 本件記憶媒体 る。また,取調べ備忘データ以外の本件備忘録が存在しない旨の検察官の主張が虚偽であることを疑わせる事情はないから,取調べ備忘データ以外の本件備忘録についても存在しないものと認められる。 本件記憶媒体については,現段階では,被告人の取調べ状況が録音・録画されるのが通常であるとは認められず,本件記憶媒体は当初から存在しない旨の検察官の回答に疑問を生じさせる事情はうかがえない。 その他,弁護人の主張するところを検討しても,本件備忘録及び本件記録媒体につき,上記判断を左右させる事情はうかがえない。 以上からすると,本件備忘録及び本件記録媒体はいずれも存在しないことに帰するから,その開示を命ずる余地はなく,その余の点について検討するまでもなく主任弁護人の開示命令の請求には理由がない。 よって主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官・天野登喜治,裁判官・池田信彦,裁判官・赤谷圭介)
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