平成22(ワ)764 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年7月17日 横浜地方裁判所
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判決文本文14,799 文字)

- 1 -平成24年7月17日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成22年第764号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成24年4月17日判決(当事者の表示省略)主文 被告は,原告に対し,145万9695円及びこれに対する平成18年12月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを10分し,その7を原告の負担とし,その3を被告の負担とする。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1請求被告は,原告に対し,513万5982円及びこれに対する平成18年12月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2当事者の主張 請求原因原告は,横浜市a区b××番×号に所在する店舗(以下「本件店舗」という。)において,墓石の販売等を行っている株式会社である。本件店舗の地下には駐車場(以下「本件地下駐車場」という。)がある。 被告は,横浜市a区c×丁目××所在のA公園(以下「本件公園」という。)を管理する地方公共団体である。 - 2 -本件公園と本件店舗の位置関係は別紙図面1のとおりであり,別紙図面1の「本件池」の位置に,B池という名称の池(以下「本件池」という。)がある。 雨が降ると,雨水は本件池に一時的に貯水され,その後,別紙図面1の「流れ①」の水路(以下「水路①」という。)を通って下流に流され,その一部が,別紙図面1の「桝①」にある雨水管(以下「雨水管①」という。)を通って地下に排水される。残りの雨水は,別紙図面1の「流れ②」の水路(以下「水路②」といい,水路①と併せて以下「本件水路」という。)を通ってさらに下流に流され,本件店舗付近にある別紙図面1の「桝②」の雨水管(以下「雨水管②」という。 ,別紙図面1の「流れ②」の水路(以下「水路②」といい,水路①と併せて以下「本件水路」という。)を通ってさらに下流に流され,本件店舗付近にある別紙図面1の「桝②」の雨水管(以下「雨水管②」という。)を通って地下に排水される。 本件水路と上記各雨水管との境目(別紙図面1の桝①・②の位置)には,落ち葉等が雨水管に浸入することを防ぐ金属製の格子状の溝蓋(それぞれ,「本件スクリーン①」「本件スクリーン②」という。)が設けられている。 ア本件店舗及び本件公園がある横浜地区において,平成18年12月26日から同月27日にかけて,雨量が累計168.5㎜に達する大雨が降った(以下「本件雨」という。)。 イ上記アの期間において,本件地下駐車場に,約65トンを超える雨水が浸入した(以下「本件浸水」という。)。 被告の責任本件浸水は,本件水路の設置又は管理に下記の瑕疵があったために発生したものである。 ア本件水路内及びその周辺には落ち葉やゴミなどが堆積しており,特に本件水路の最後尾付近には大量の落ち葉やゴミが堆積し,本件水路を塞いでいた。その結果,本件水路から雨水が溢れ,本件地下駐車場に流入した。 被告においては,本件水路内に堆積した落ち葉等を除去して,雨水が氾濫しないよう管理すべきであった。したがって,設置又は管理の瑕疵があ- 3 -り,落ち葉等の除去を怠った過失がある。 イ本件水路は木々に囲まれており,落ち葉の季節においては,落ち葉が本件水路の内部に堆積することが予想される。そうであるにもかかわらず,本件水路には,落ち葉の堆積を防ぐ柵を設ける,落ち葉が入らないよう本件水路の脇に網を設ける,本件公園と歩道の境目にグレーチング付きのU字溝を設置するなどの降雨対策を講じられていなかった。したがって,設置・管理の瑕疵があり,上記対策を講じなかった過 が入らないよう本件水路の脇に網を設ける,本件公園と歩道の境目にグレーチング付きのU字溝を設置するなどの降雨対策を講じられていなかった。したがって,設置・管理の瑕疵があり,上記対策を講じなかった過失がある。 損害本件地下駐車場が水没したことにより,駐車していた車両などが水没し,原告は,下記のとおり,少なくとも合計513万5982円の損害を被った。 記ア自動車(トヨタスターレット横浜××・○××××)41万8626円イ自動車(トヨタスターレット横浜××・○××××)35万7936円ウ自動車(トヨタスプリンター横浜×××・○××××)51万9178円エ自動車(トヨタライトエース横浜×××・○××××)49万4653円オ自動車備品(テレビ・ステレオ・スピーカー)7万円カ代替レンタカー代金28万9240円キ自動車携帯品(地図,カタログ,ファイル,文房具類)35万4369円ク地下駐車場保管設備(業務用ヒーター,ロッカー)- 4 -80万0780円ケビル設備(ポンプ交換,仮設工事代金,電気配線工事)183万1200円よって,原告は,被告に対し,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項,2条1項に基づき,513万5982円の損害賠償及び平成18年12月28日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 請求原因に対する認否等請求原因は認める。 請求原因は認める。 請求原因のうち,本件地下駐車場に浸入した水の量が約65トンである事実については不知,その余は認める。 請求原因は否認ないし争う。 ア国賠法1条1項について本件公園の清掃者は,作業計画立案に基づき,定期(週1回)及び雨天時に本件水路等の清掃を行っており,平成18年12月26日の夕方にも,本件ス 請求原因は否認ないし争う。 ア国賠法1条1項について本件公園の清掃者は,作業計画立案に基づき,定期(週1回)及び雨天時に本件水路等の清掃を行っており,平成18年12月26日の夕方にも,本件スクリーン①及び②等に堆積した落ち葉等をすべて除去している。また,同日から同月27日までの降水量は,12月の降水量としては異常であり,予測不可能なものであった。したがって,落ち葉の除去等について過失はない。 イ国賠法2条1項について本件池の構造基準は,昭和43年1月19日建設省河政発第10号河川局長通達ダム構造基準及びダム構造基準細目を準用した港北ニュータウン地区の雨水貯留施設の設置に関する指導について(方針伺)(昭和60年7月1日)に基づいている。本件池の貯留量算定は,30㎜/hrを降雨継続時間3時間としており,本件雨(18㎜/1時間)にも十分耐え得る- 5 -構造となっている。 また,上記アのとおり,平成18年12月26日~同月27日の降雨量は異常であり,これを予測することは不可能である。この期間の雨が本件地下駐車場に入り込んだとしても,それは不可抗力である。 したがって,設置及び管理に瑕疵はない。 ウ因果関係本件浸水の原因は,本件地下駐車場内外の排水設備に重大な欠陥があったことにある。 本件地下駐車場の入口は急な斜面となっており,さらにその敷地は,前面にある幹線道路の最下部に位置することから,本件地下駐車場は,道路の雨水や裏山からの雨水等も浸入する構造となっている。 排水設備の新設等を行おうとする者については,その計画が排水設備などに関する法令や条例の規定に適合しているかどうかの確認を得ることが求められる。しかし,本件店舗の排水設備については,同確認を受けないまま設けられた可能性がある。 建物外の排水設備については,横浜 に関する法令や条例の規定に適合しているかどうかの確認を得ることが求められる。しかし,本件店舗の排水設備については,同確認を受けないまま設けられた可能性がある。 建物外の排水設備については,横浜市下水道条例等により,開きょ(U字溝)を暗きょ(排水管)に接続する箇所には,深さ「ます」を設けなければならず,この「ます」には深さ15㎝の泥だめを設けなければならない。堆積物による雨水の滞水を防止するためである。しかし,本件地下駐車場の入口にあるU字溝と排水管は,直接これらが接続され,上記「ます」が設置されておらず,上記基準に反している。 また,スクリーンはU字溝に設置し,「ます」内及び管口には設置してはならない。スクリーンに詰まったゴミ等を外部から除去することができるようにするためである。しかし,原告は,目の細かいスクリーンを管口に設置している。 本件浸水後,本件地下駐車場の入口にあるU字溝内には大量の落ち葉- 6 -等が堆積しており,原告は日頃から上記U字溝の掃除を怠っていた。 本件地下駐車場に設置された排水ポンプは,本件浸水前から正常に機能していなかったか,電源が入っていなかった可能性がある。また,原告は,雨水が浸入し易いという上記の本件地下駐車場の特質を考慮せずに排水ポンプを設置しており,その点で落ち度がある。 請求原因は否認する。 原告は,各車両等の損害について,取得費を損害と主張しており,取得時から被害時までの減額をしていない。また,復旧工事をしたか疑問である。 第3裁判所の判断 当事者間に争いのない事実に証拠(甲1~3,5,8~13,15~19,21~23,25,26,29,31,35,36,41,42,44,45,乙1~7,13,16[以上の証拠につき枝番を含む。],証人C[以下「C」という。],証人D[以 ,5,8~13,15~19,21~23,25,26,29,31,35,36,41,42,44,45,乙1~7,13,16[以上の証拠につき枝番を含む。],証人C[以下「C」という。],証人D[以下「D」という。],証人E[以下「E」という。],原告代表者)と弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。 ア本件池は,修景池として,常時,水深2mの深さまで,湧水等を貯留している。 イ本件池の上記水深2mを超えた,上部50㎝の部分は,大雨時に河川の氾濫を予防する雨水流出抑制施設として雨水を一時貯留する雨水調整池としての機能を有している。 具体的には,水深が2.5mに至るまでは,別紙図面2の越流堤によって雨水がそのまま溢れ出るのを防ぐとともに,別紙図面2のオリフィスに設けられた孔(直径219㎜)によって,本件池からの流水量を,1秒当たり最大で0.0895㎥に抑える設計になっている。水深が2.5mを超えると,上記越流堤を超えて,雨水が本件水路に直接溢れ出る。 ウオリフィスの孔を通った雨水は,本件水路①を通って直径800㎜の雨水管①に排水される。雨水管①の流下能力(流すことのできる水の量)は,- 7 -設計上,1秒当たり最大で0.1869㎥である。本件池の排水は,基本的に雨水管①を通じて行われる。 雨水管①で排水されなかった雨水は,本件水路②に入り,雨水管②へと排水される。雨水管②の流下能力は,設計上,1秒当たり最大で0.0752㎥である。 エ1時間当たり18㎜の降水量の雨が降った場合,本件池から排水される水量は1秒当たり約0.253㎥である。 ア本件公園は,横浜市環境創造局環境活動推進部○○事務所(以下「本件事務所」という。)が管理しており,本件事務所の「A公園班」(同事務所の職員2名及び嘱託員1名)が,施設の巡視点検,樹木の る。 ア本件公園は,横浜市環境創造局環境活動推進部○○事務所(以下「本件事務所」という。)が管理しており,本件事務所の「A公園班」(同事務所の職員2名及び嘱託員1名)が,施設の巡視点検,樹木の剪定,草刈り,清掃及び施設の修繕等を行っていた。 イ本件事務所の担当者らは,月末に,翌月の本件公園における作業計画を作成し,同作業計画に基づき,本件公園の清掃等を行っている。 ウ本件水路の周辺には,本件浸水当時,木々が立ち並び,落ち葉も相当数あった。本件水路の別紙図面1の桝①から桝②までの流路には,F神社の参道脇の斜面に降った雨水が表層を伝って流れ込む構造になっているところ,この斜面周辺には木々があり,落ち葉が本件水路内に流入し易い構造になっていた。 エ「A公園班」の一人であるEは,平成18年12月25日,作業計画に基づき,本件スクリーン①及び②に堆積していた落ち葉等を除去した。 オEは,同月26日の午後5時前ころ,雨が強く降り始めたので,本件スクリーン①及び②に堆積した落ち葉と,本件水路に入りそうな落ち葉を除去し,本件水路内の堰になっている部分に堆積した落ち葉を除去した。ただし,それ以外の本件水路内に堆積していた落ち葉は除去しておらず,本件水路内には落ち葉が相当数残っていた。 カ本件浸水当時,上記事務所において,大雨警報が発令された場合に緊急- 8 -に作業をするといった態勢は取られていなかった。 ア本件公園及び本件店舗がある横浜地区において,平成18年12月26日から同月27日までにかけて,大雨が降った。時間別の降水量は,別紙のとおりであり,1時間当たり最大で18㎜であった。 また,同月26日の日降水量は約135㎜であり,同月27日の日降雨量を併せると合計約160㎜であるところ,この日の降水量は,過去29年間における12月時の であり,1時間当たり最大で18㎜であった。 また,同月26日の日降水量は約135㎜であり,同月27日の日降雨量を併せると合計約160㎜であるところ,この日の降水量は,過去29年間における12月時の最大降雨量(日降水量)の約50㎜を大幅に超えていた。 ただし,別の月では,日降水量が188㎜(平成15年8月15日),244㎜(平成6年8月21日),191.5㎜(平成16年10月9日)となるなど,上記約160㎜の降水量を大きく超える雨が降る日があった。 イ上記アのとおり,平成18年12月26日から同月27日にかけて,本件公園付近に降った降雨量の合計は約160㎜であり,本件池の面積は約3050㎡であるから,本件池には合計約488㎥,すなわち,約488トンの雨が降った計算となる。 ウ平成18年12月26日午後8時14分には,横浜市に大雨洪水警報が発令された。 ア同月27日午前6時30分ころの時点で,別紙図面1の桝②の位置から水が溢れ,道路を伝って,本件地下駐車場の入口の前部にある道路へと流れ出ていた。この溢れ出た水には,落ち葉や落ち葉が砕けた泥のようなものが含まれていた。 また,本件店舗の付近の道路には,別紙図面3(本件店舗の周辺を拡大した図面)の「C様宅前の車道側溝桝」及び「③本件店舗前の車道側溝桝」の位置に雨水桝が設けられているところ,同日午前7時30分ころの時点で,これらの雨水桝は,いずれも大量の落ち葉で覆われており,排水が妨げられていた。 - 9 -イ雨がほとんどやんでいた同日午前7時30分ころにおいても,別紙図面1の桝②の位置から水が溢れていた。この溢れ出た水は,歩道をはみ出し,車道(複数の車線がある。)の1車線分よりも少し狭い程度にまで流れ出ており,本件地下駐車場の入口の前部の道路へと流れ出ていた。 ウEは,別紙図面1の が溢れていた。この溢れ出た水は,歩道をはみ出し,車道(複数の車線がある。)の1車線分よりも少し狭い程度にまで流れ出ており,本件地下駐車場の入口の前部の道路へと流れ出ていた。 ウEは,別紙図面1の桝②の位置に落ち葉が堆積して本件スクリーン②が塞がれ,そこから水が溢れているのを確認した。そこで,同日午前8時20分ころから,本件スクリーン②に堆積していた落ち葉を除去した。 本件スクリーン②の周辺の土の部分は,多数の落ち葉で覆われていた。 エ本件スクリーン②から本件地下駐車場の付近までの間の道には,落ち葉が散乱していた。 オ原告の従業員は,平成18年12月27日の午前8時ころ,本件地下駐車場が浸水しているのを発見した。消防ポンプ自動車により排水したが,本件地下駐車場に駐車されていた原告所有の車両は,内部まで水に浸かっていた。本件地下駐車場から排水された水の量は,約65トンであった。 カ本件事務所は,落ち葉等が本件スクリーン①及び②等に詰まることを防止するため,平成20年1月中旬から下旬にかけて,本件水路内の複数の箇所にゴミの塞ぎ止めの網を設ける工事を行った。 ア本件店舗は,別紙図面3のとおり,G方面及びH方面に伸びる道路(以下「大道路」という。複数の車線がある。)と,同道路より幅員が狭い道路(以下「小道路」という。)が交わる地点(以下「本件交差点」という。)の付近に存在する。本件地下駐車場の出入口は小道路に面している。 イ本件交差点付近の大道路においては,H方面から本件交差点に向かって,G方面から本件交差点に向かって,いずれも緩やかな下り坂となっている。 小道路においては,本件交差点を起点として,本件交差点から本件店舗に沿って遠ざかる方向へ,緩やかな下り坂となっている。 ウ本件地下駐車場の入口部分は,小道路と接する部分から排水溝が設置さ っている。 小道路においては,本件交差点を起点として,本件交差点から本件店舗に沿って遠ざかる方向へ,緩やかな下り坂となっている。 ウ本件地下駐車場の入口部分は,小道路と接する部分から排水溝が設置さ- 10 -れている部分まで,切り下げられており,同部分から本件地下駐車場内部まで,下り坂となっている。 ア本件店舗は,平成14年8月ころ,新築された。 イ本件地下駐車場の入口部分には,U字型の排水溝が設けられ,同排水溝の端には雨水管が直接接続されており,その接続部分に,ますは設けられていない。 本件浸水の当時,本件地下駐車場以外に,本件公園付近で浸水などの事故が生じたところはなかった。 瑕疵について国賠法2条1項の規定する営造物の設置又は管理の瑕疵とは,営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう(最高裁昭和42年第921号同45年8月20日・民集24巻9号1268頁)。 ア前記1によると,本件池及び本件水路は,雨水流出抑制施設として,流出する雨水の量を抑制し,雨水を雨水管に流す施設であると認められるから,その管理に当たっては,降雨時に流出量が抑制され,雨水が雨水管に適切に流れるよう管理することが求められる。しかるところ,前記1~によると,平成18年12月26日~同月27日,本件雨によって運ばれた落ち葉が堆積して本件スクリーン②が詰まり,雨水が雨水管②に流れず,これが本件公園の外に溢れ出て,全量ではないとしても,歩道沿いに流れ,本件地下駐車場に流れ込んだことが認められる。 イEは,前記1オのとおり,同月26日に,本件スクリーン②等の落ち葉を掃除しているが,本件水路内の落ち葉については,その一部しか除去していない。前記1ウのとおり,本件水路の別紙図面1の桝①から桝②までの流路には,F神社の参道脇の斜面 ,本件スクリーン②等の落ち葉を掃除しているが,本件水路内の落ち葉については,その一部しか除去していない。前記1ウのとおり,本件水路の別紙図面1の桝①から桝②までの流路には,F神社の参道脇の斜面に降った雨水が表層を伝って流れ込む構造になっており,この斜面周辺には木々があり,落ち葉が本件水路内に流入し易い構造になっていたことが認められ,とりわけ本件スクリー- 11 -ン②については落ち葉により流量が低下することが予測されるということができる。証拠(乙2,16)によると,本件地下駐車場前のU字溝に多量の落ち葉が残されていたことが認められ,本件建物の周囲に樹木がないことも考慮すると,本件スクリーン②に落ち葉が堆積して流水量が低下し,そこで溢れた雨水が大道路の歩道,小道路へと流れたことが推認される。 したがって,本件水路内に落ち葉が入らないよう柵等を設けたり,本件水路内の落ち葉を夜間でもこまめに除去したり,本件水路内の本件スクリーン②付近などにゴミの塞ぎ止めの網などを設置していれば,上記雨水が溢れ出る事態は生じなかったと考えられる。しかるところ,前記1カのとおり,上記ゴミの塞ぎ止めの網については現に本件浸水の後に設けられていることなどにも照らすと,被告において,これらの対策を講じることは可能であり,かつ容易であったと認められる。 ウ前記1アによると,平成18年12月26日~同月27日の最大降雨量は18㎜/1時間であるところ,証拠(乙7,13)と弁論の全趣旨によると,降雨量を18㎜/1時間とした場合でも,雨水管①及び雨水管②の流下能力は,両雨水管に流れ込む水の量を上回っていると推認される。 前記1のとおり,本件浸水が生じた平成18年12月26日から同月27日までにかけて,本件公園付近に降った降雨量の合計は,約160㎜であると 雨水管に流れ込む水の量を上回っていると推認される。 前記1のとおり,本件浸水が生じた平成18年12月26日から同月27日までにかけて,本件公園付近に降った降雨量の合計は,約160㎜であると認められるところ,12月以外では,これを上回る降雨量の雨が降った日もあったがその際,その雨が本件公園からあふれ出し,周辺に被害を及ぼす事態は生じなかったと認められる。 上記及びからすると,本件池の処理能力に問題はなく,本件池から水が溢れ出た原因は,前記のとおり,落ち葉の堆積によるものである。 そして,前記1のとおり,本件浸水が生じた平成18年12月26日から同月27日までにかけての降水量は,12月としては前例のない- 12 -ものであったが,他の月には,これを大幅に上回る降水量を何度も記録しており,12月にそれだけの降水量があれば,落ち葉の堆積状況が他の月と大きく異なることから被害の状況が異なることは明らかである上,同月26日夜の段階で大雨洪水警報も発令されていたから,水が溢れ出す可能性があることをおよそ想定することができなかったとまでいうことはできない。したがって,不可抗力によるものとは認められない。 エ以上からすると,本件水路は,通常有すべき安全性を欠いていたと認められ,管理の瑕疵があると認められる。 因果関係について被告は,本件地下駐車場の入口に設置されたU字型の排水溝に問題があり,このことが,本件浸水の原因であると主張する。 証拠(乙15)と下水道法10条3項,同法施行令8条8号イによると,排水溝内の堆積物によって雨水の排水が滞ることを防ぐため,同排水溝と雨水管との接続箇所には,ますを設けなければならないが,前記1イのとおり,本件地下駐車場の入口に設置された排水溝には,上記ますが設置されていなかったと認められる。 が滞ることを防ぐため,同排水溝と雨水管との接続箇所には,ますを設けなければならないが,前記1イのとおり,本件地下駐車場の入口に設置された排水溝には,上記ますが設置されていなかったと認められる。 また,証拠(甲21,乙15~17)と弁論の全趣旨によると,上記ますには,深さ15㎝の泥だめを設置するとともに,上記ますの手前にスクリーンを設置して,良好な排水が行われるようにするのが一般的な施工方法であるところ,本件地下駐車場の上記排水溝には,そのような泥だめが設置されておらず,また,目の細かいスクリーンが雨水管の入口に設置されていたため,上記一般的な施工方法と比べ,排水能力が弱かったことが認められる。 しかし,前記1と証拠(乙2)によると,本件地下駐車場の上記排水溝の内部には落ち葉が多数入り込んでおり,これらの落ち葉のほとんどは,本件公園から溢れ出た水とともに運ばれて来たと考えられる。これらの落ち葉の量からすると,仮に上記一般的な施工方法で施工されていたとしても,こ- 13 -れらの落ち葉が詰まり,本件浸水は避けられなかった可能性が高かったということができるから,本件地下駐車場の排水溝についての上記の事情が本件浸水の原因であると直ちには認められない。 被告は,本件地下駐車場に設置されていた排水ポンプがもともと正常に機能していなかった可能性があり,これが本件浸水の原因であると主張する。 しかし,同排水ポンプが正常に機能していなかったと認めるに足りる証拠はない。なお,本件地下駐車場の復旧工事の報告書(甲26)には,「既設排水ポンプは,ポンプ内の詰りの為,排水能力が低下している」との記載(以下「本件記載」という。)があるが,これは,「改善策」の欄の「給水ポンプユニット,排水ポンプユニット機器交換取付」と書かれた下に記載されており,かつ,同 りの為,排水能力が低下している」との記載(以下「本件記載」という。)があるが,これは,「改善策」の欄の「給水ポンプユニット,排水ポンプユニット機器交換取付」と書かれた下に記載されており,かつ,同報告書の「原因」の欄には「漏電トリップ動作により排水ポンプが停止し」と記載されているから,本件記載は,排水ポンプを交換した理由として,本件浸水により既設の排水ポンプが故障していたことを記載したにすぎないものと認められ,本件記載により,既設の排水ポンプがもともと正常に機能していなかったとは認められない。 被告は,排水ポンプが水に浸かったため交換しなければならないことは一般に考え難いと主張するが,上記「原因」の欄の記載に照らし,採用することができない。 被告は,本件浸水前に本件地下駐車場に設置されていた排水ポンプの排水管が,平面図と異なり,結合して施工されていると主張する。しかし,同平面図と異なった施工が,本件浸水当時にされていたと認めるに足りる十分な証拠はないし,そのことが本件浸水の原因となったと認めるに足りる証拠もない。 被告は,本件地下駐車場に行った際,排水ポンプの排水管が雨水管ではなく,汚水ますに接続されており,誤った接続がされていたと主張する。しかし,被告が本件地下駐車場を訪れたのは本件浸水後であるから,本件浸水当- 14 -時の排水管の接続状況は不明であり,また,上記誤接続があったとしても,排水能力に与えた影響の有無及び程度を示す証拠はない。 その他,被告が,排水ポンプがもともと正常に機能しなかったことを裏付ける事情として主張するものは,それを認めるに足りる証拠がなく,採用することができない。 被告は,原告が,本件地下駐車場の排水設備について,法令に適合していることの確認を得ていない可能性があると主張するが,それを裏付ける証拠は を認めるに足りる証拠がなく,採用することができない。 被告は,原告が,本件地下駐車場の排水設備について,法令に適合していることの確認を得ていない可能性があると主張するが,それを裏付ける証拠はなく,採用することができない。 以上のとおり,因果関係に関する被告の主張を採用することはできず,本件浸水は,本件池から水が溢れ出たことが原因となっていると認められる。 もっとも,本件浸水については,次のような点を指摘することができる。 前記1によると,本件地下駐車場は,入口部分が切り下げられており,証拠(乙5)によると,大道路の中央部分(同号証の①),小道路の中央部分(同号証の○2-1 )及び本件地下駐車場入口(同号証○2-2 ),本件地下駐車場(同号証の④)の順に標高が低くなっており,しかも,本件交差点を境に,H方面に向かう大道路,G方面に向かう大道路のいずれも上り勾配になっているから(前記1イ),道路に降った雨は,最も低い本件地下駐車場に,周辺の道路からの雨水が流入する位置関係にあると認められる。したがって,本件地下駐車場に浸入した雨水には,本件公園から溢れた雨水のほか,道路から流れ込んだ雨水も相当程度含まれていたと認められる。前記1のとおり,本件地下駐車場以外で浸水の被害等は生じていないから,このような本件地下駐車場の位置や形態等が本件浸水に寄与した可能性が高い。 そして,本件地下駐車場の位置や形態等がこのようなものであることからすると,原告としては,普段から浸水防止に気を配り,多量の降雨が予想されるときには,本件地下駐車場の入口に防水板を設置し,土のうを積み上げ,通路面より高くしたステップを設けるなどの浸水への対策を講じてしかるべ- 15 -きであったし,さらには,本件地下駐車場の入口に設置された排水溝の内部の の入口に防水板を設置し,土のうを積み上げ,通路面より高くしたステップを設けるなどの浸水への対策を講じてしかるべ- 15 -きであったし,さらには,本件地下駐車場の入口に設置された排水溝の内部の掃除を夜間も含めてこまめに行うなどの対策もとるべきであったということができる。 しかるに,原告は,以上のような対策をとっているとは認められないから,本件浸水による原告の損害のすべての賠償責任を被告に負わせることは,損害の公平な分担に反するものであり,過失相殺の規定(民法722条2項)の類推適用により,被告が賠償すべき範囲は,原告の全損害の50%と認めるのが相当である。 損害について自動車の物損証拠(甲2,30)と弁論の全趣旨によると,本件浸水により,本件地下駐車場に駐車されていた下記の自動車が水没し,原告に下記の損害が生じたと認められる。 アトヨタ・スターレット(車台番号○○××-×××××××)証拠(甲30)によると,原告は,平成16年6月4日に,上記車両を21万3150円で購入したと認められる。 証拠(甲30)によると,上記車両の初年度登録は平成9年10月にされており,上記購入時の走行距離は3万8028㎞であり,上記車両の継続検査がされた平成18年9月29日時点での走行距離は8万7800㎞であったと認められる。 以上の事情を総合考慮すると,本件浸水時の上記車両の時価額は,継続検査がされて間もない時期の浸水であったことをも考慮して,15万円と認めるのが相当である。 イトヨタ・スターレット(車台番号○○××-×××××××)証拠(甲30)によると,原告は,平成18年1月13日に,上記車両を15万7500円で購入したと認められる。 - 16 -証拠(甲30)によると,上記車両の初年度登録は平成9年11月にされており,上記購入 30)によると,原告は,平成18年1月13日に,上記車両を15万7500円で購入したと認められる。 - 16 -証拠(甲30)によると,上記車両の初年度登録は平成9年11月にされており,上記購入時の走行距離は3万9491㎞であり,上記車両の継続検査がされた平成18年11月2日時点での走行距離は6万1900㎞であったと認められる。 以上の事情を総合考慮すると,本件浸水時の上記車両の時価額は,継続検査がされて間もない時期の浸水であったことをも考慮して,13万円と認めるのが相当である。 ウトヨタ・スプリンター(車台番号○○×××-×××××××)証拠(甲30)によると,原告は,平成16年9月24日に,上記車両を10万5000円で購入したと認められる。 証拠(甲30)によると,上記車両の初年度登録は平成6年8月にされており,上記購入時の走行距離は5万3479㎞であり,上記車両の継続検査がされた平成18年10月時点での走行距離は11万8600㎞であったと認められる。 以上の事情を総合考慮すると,本件浸水時の上記車両の時価額は,継続検査がされて間もない時期の浸水であったことをも考慮して,6万円と認めるのが相当である。 エトヨタ・ライトエースノア(車台番号○○××-×××××××)証拠(甲30)によると,原告は,平成18年9月29日に,上記車両を31万5000円で購入したと認められる。 証拠(甲30)によると,上記車両の初年度登録は平成9年8月にされており,上記購入時の走行距離は4万7589㎞であり,上記車両の継続検査がされた平成18年10月25日時点での走行距離は4万7600㎞であったと認められる。 以上の事情を総合考慮すると,本件浸水時の上記車両の時価額は,継続検査がされて間もない時期の浸水であったことをも考慮して,29万円と- 17 - での走行距離は4万7600㎞であったと認められる。 以上の事情を総合考慮すると,本件浸水時の上記車両の時価額は,継続検査がされて間もない時期の浸水であったことをも考慮して,29万円と- 17 -認めるのが相当である。 オ原告は,本件浸水前に支出した落札料,整備代,搬送代,継続検査の費用も損害として請求するが,これらは本件浸水がなくても生じた費用であるから,損害とは認められない(ただし,継続検査がされて間もない時期の浸水であったことは,上記のとおり価格において考慮する)。 自動車の備品証拠(甲30)と弁論の全趣旨によると,上記の車両にはテレビ,ステレオ及びスピーカーが搭載されており,同車両の水没により,これらも水没したと認められ,その損害の時価額は,2万円を相当と認める。 レンタカー代金上記のとおり,本件地下駐車場に駐車されていた車両が水没しており,弁論の全趣旨によると,これらの車両は営業に用いられていた車両と認められる。本件地下駐車場全体が水に浸かったこと(甲2)に照らすと,レンタカー費用は本件浸水と相当因果関係のある損害と認められ,その額は,証拠(甲30)により,原告が支出した同費用のうち原告が請求する平成19年2月3日までの同費用28万9240円を相当と認める。 自動車携行品(地図,カタログ,ファイル,文房具類)証拠(甲30)と弁論の全趣旨によると,前記の車両には,株式会社ゼンリン発行の地図(定価1万5750円)5冊,カタログ10冊(1冊当たりの制作費582円),ファイル3冊(1冊300円相当)及び文房具(取得価格合計8万2818円)など積まれており(上記の合計16万8288円),これらが水没したと認められる。 弁論の全趣旨によると,カタログを除き,上記物品はいずれも原告の従業員らが使用していたものと認めら 合計8万2818円)など積まれており(上記の合計16万8288円),これらが水没したと認められる。 弁論の全趣旨によると,カタログを除き,上記物品はいずれも原告の従業員らが使用していたものと認められる。 以上のことを総合考慮すると,自動車携帯品の損害としては,5万円を相当と認める。 - 18 -地下駐車場保管設備(業務用ヒーター,ロッカー)証拠(甲30)と弁論の全趣旨によると,本件地下駐車場には,ストーブ,エアコン2台,祭壇,サンストーブ及び写真台があり,本件浸水によって,これらが水没したこと,これらの物品は,平成12年2月~6月に合計77万9940円で購入されたものであることが認められる。 上記の物品が購入から6年以上使用されたものであることに照らすと,損害額は10万円を相当と認める。 ビル設備(ポンプ交換,仮設工事代金及び電気配線工事)証拠(甲26,30)によると,本件浸水により,本件地下駐車場に設置されていた排水ポンプの交換工事等が必要になり,その費用として原告は,183万0150円を支出したと認められるから,同額を損害と認める。 ~の合計は,291万9390円であるから,その50%に相当する145万9695円について,被告は原告に対して損害賠償をすべきである。 第4 結論 よって,原告の請求は,国賠法2条1項に基づく損害賠償請求として,145万9695円及びこれに対する平成18年12月28日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある(同法1条1項に基づく損害賠償が認められるとしても,上記金額を超えることはない。)から,その限度で認容することとして,主文のとおり判決する。 横浜地方裁判所第6民事部裁判長裁判官森義之- 19 -裁判官古閑裕二裁判官橋本政和( を超えることはない。)から,その限度で認容することとして,主文のとおり判決する。 横浜地方裁判所第6民事部裁判長裁判官森義之- 19 -裁判官古閑裕二裁判官橋本政和(別紙省略)

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