平成31(行ウ)1 行政文書不開示決定取消等請求事件(1号事件),損害賠償請求事件(54号事件)

裁判年月日・裁判所
令和2年12月1日 福島地方裁判所 その他
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判決文本文18,072 文字)

主文 1 A町教育委員会が原告に対して平成30年8月9日付けでしたところの平成29年3月8日実施の「いじめに関するアンケート」の回答結果をまとめた文書の不開示決定のうち,別紙1不開示部分目録記載の部分を除く部分を不開示とした部分を取り消す。 2 A町教育委員会は,原告に対し,平成29年3月8日実施の「いじめに関するアンケート」の回答結果をまとめた文書のうち別紙1不開示部分目録記載の部分を除く部分を開示する旨の決定をせよ。 3 本件訴えのうち,平成29年3月8日実施の「いじめに関するアンケート」の回答結果をまとめた文書のうち別紙1不開示部分目録記載の部分の開示決定の 義務付けを求める部分を却下する。 4 被告は,原告に対し,11万円及びこれに対する平成30年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 原告のその余の請求を棄却する。 6 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担と する。 事実及び理由 第1 請求 1 A町教育委員会が平成30年8月9日付で原告に対してなした公文書不開示処分を取り消す。 2 A町教育委員会は,原告に対し,平成29年3月8日実施の「いじめに関するアンケート」の結果をまとめたものの写しを開示する旨の決定をせよ。 3 被告は,原告に対し,110万円及びこれに対する平成30年8月9日から支払済まで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 本件は,原告が,A町情報公開条例に基づき,処分行政庁に対し,処分行政庁 がA町立a中学校の生徒及び保護者を対象に実施した「いじめに関するアンケート」の回答結果をまとめた文書等の開示請求をしたところ,処分行政庁が不開示決定を行ったことか に対し,処分行政庁 がA町立a中学校の生徒及び保護者を対象に実施した「いじめに関するアンケート」の回答結果をまとめた文書等の開示請求をしたところ,処分行政庁が不開示決定を行ったことから,同決定は違法であると主張して,被告に対し,同決定の取消し,上記アンケートの回答結果をまとめた文書の開示決定の義務付けを求めるとともに,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として,慰謝料等110 万円及びこれに対する同決定の日である平成30年8月9日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 1 A町情報公開条例(以下「本件条例」という。)別紙2のとおり。 2 前提事実(認定に供した証拠等の掲記がない事実は,当事者間に争いがない。) ⑴ 当事者等ア原告は,A町に住所を有する者であり,Bの父である。 イ Bは,平成26年4月,A町立a中学校(以下「a中学校」という。)に入学し,以降同校の1年生として通学していたが,同校の他の生徒からのいじめ被害に遭い,同年6月17日から不登校となり,平成31年1月9日,自 死した(甲13,乙1)。 ウ a中学校は,A町における唯一の中学校であり,平成29年3月8日当時,3学年合計で17学級(特別支援学級を含む。)あった(弁論の全趣旨)。 エ A町教育委員会(以下「処分行政庁」という。)は,本件条例2条1号所定の実施機関である(弁論の全趣旨)。 ⑵ Bの不登校といじめとの関係の調査ア処分行政庁は,平成29年2月頃,A町いじめ防止基本方針における重大事態に関して,いじめ問題専門委員会(以下「専門委員会」という。)に,Bの不登校といじめの関係の調査等を諮問し,専門委員会は調査を開始した(弁論の全趣旨)。 め防止基本方針における重大事態に関して,いじめ問題専門委員会(以下「専門委員会」という。)に,Bの不登校といじめの関係の調査等を諮問し,専門委員会は調査を開始した(弁論の全趣旨)。 専門委員会は,同年7月31日,調査結果に基づき,答申を行った(甲1)。 イ原告は,同調査結果を不満とし,被告に再調査を申し入れた。これに対し,被告は,同年10月2日,A町いじめ問題調査委員会の設置を決定し,同委員会は,再調査を開始した。 同委員会は,平成31年3月18日,調査結果に基づき,答申を行った(乙1)。 ⑶ いじめに関するアンケート(乙2,6,弁論の全趣旨)ア処分行政庁は,平成29年3月8日,a中学校の生徒及び保護者に対し,いじめに関するアンケート(以下「本件アンケート」という。)を実施した。 本件アンケートには,保護者宛ての連絡文書が付されており,そこには,A町教育委員会がいじめに関する現状をより正確に捉え,適切な措置を講ずる ために生徒と保護者に本件アンケートへの協力を依頼することや,回答方法は郵送法を用いた匿名による調査であり回答者が特定されないことなどが記載されていた。 イ本件アンケートのうち,生徒に対する質問用紙兼回答用紙(以下「生徒用アンケート用紙」という。)は,別紙3のとおりであり,冒頭説明文の中に, 「学校生活や登下校中に起こっているいじめについて,あなたの知っていることを教えてください。あなたが入学してから3月8日までのいじめについてです。」などと記載され,引き続き7個の質問事項とこれに対する回答欄が設けられている。 ウ本件アンケートのうち,保護者に対する質問用紙兼回答用紙(以下「保護 者用アンケート用紙」という。)は,別紙4のとおりであり 引き続き7個の質問事項とこれに対する回答欄が設けられている。 ウ本件アンケートのうち,保護者に対する質問用紙兼回答用紙(以下「保護 者用アンケート用紙」という。)は,別紙4のとおりであり,右上に,生徒の学年及び性別を選択して記入する欄があり,冒頭説明文に,「入学してから3月8日までのいじめについて,お答えください。」などと記載され,これに引き続き,質問事項を大きく3分類した上で,問1では更問形式で4個の小問とこれに対する回答選択肢が,問2では更問形式で3個の小問とこれに対 する回答選択肢が設けられ,問3では,いじめに関する情報等を箇条書きで 記入する回答欄が設けられている。 エ本件アンケートの回答結果をまとめた文書(以下「本件アンケート結果まとめ文書」という。)のうち,保護者に対するアンケートの回答結果をまとめた文書の形式は,別紙5のとおりであり,①「「いじめに関するアンケート(保護者用)」集計表」と題する文書(以下「保護者用アンケート集計表」と いう。別紙5の1ないし3枚目),②「「いじめに関するアンケート(保護者用)」(「お子さんは「いじめ」を受けたことがありますか?」を列項目にした)クロス集計表」と題する文書(以下「保護者用アンケートクロス集計表」という。別紙5の4枚目)及び③「「いじめに関するアンケート(保護者用)」記述集計表」と題する文書(以下「保護者用アンケート記述集計表」という。 別紙5の5枚目)の3つで構成されている。 ①保護者用アンケート集計表には,子どもの学年,性別及び保護者用アンケート用紙の問1及び問2の質問に対する回答結果について,選択肢(無回答を含む。)ごとの回答数及び構成比並びに回答数の合計が記載され,問3については,記述ありと無回答の各回答数及び構成比並びに回答 ケート用紙の問1及び問2の質問に対する回答結果について,選択肢(無回答を含む。)ごとの回答数及び構成比並びに回答数の合計が記載され,問3については,記述ありと無回答の各回答数及び構成比並びに回答数の合計が 記載されている。②保護者用アンケートクロス集計表には,保護者用アンケート用紙の問1に対する回答結果について,子どもの学年及び性別との関係を整理し,子どもの各学年と性別(無回答を含む。)それぞれにつき,同質問に対する回答(無回答を含む。)ごとの人数及び構成比並びに回答数の合計が記載されている。③保護者用アンケート記述集計表には,問3に対する回 答が箇条書きで記載されている(なお,別紙5の5枚目記載の○は文字であり,…は文字が続いていることを示す。)。 オ本件アンケート結果まとめ文書のうち,生徒に対するアンケートの回答結果をまとめた文書の形式は,別紙6のとおりであり,④「生徒用アンケート」と題し,生徒用アンケート用紙の質問1ないし7に対する回答結果について, 質問1ないし7及び保護者と記載された項目を横軸で区切られた欄に列挙 した上,それに対する回答等を縦軸で区切られた欄に記入できるようにした表(以下「生徒用アンケート表」という。別紙6の1枚目)と,⑤上記質問1及び2について,いじめた生徒といじめられた生徒の対応関係を示す表(以下「対応関係表」という。別紙6の2枚目)がそれぞれ記載されている。 カ処分行政庁は,本件アンケート結果まとめ文書を作成後,本件アンケート を用いた生徒用アンケート用紙及び保護者用アンケート用紙の原本を廃棄した(弁論の全趣旨)。 ⑷ 開示請求ア原告は,平成30年7月31日,処分行政庁に対し,本件条例5条⑴に基づき,本件アンケートの結果について公文書開示請求をした( アンケート用紙の原本を廃棄した(弁論の全趣旨)。 ⑷ 開示請求ア原告は,平成30年7月31日,処分行政庁に対し,本件条例5条⑴に基づき,本件アンケートの結果について公文書開示請求をした(以下「本件開 示請求」という。乙3)。 イ処分行政庁は,同年8月9日,本件開示請求に対し,本件アンケートの結果については,個人に関する情報(以下「個人情報」という。)で,特定の個人が識別され,又は識別されうるもの(以下「個人識別情報」という。)が含まれ,また,町の機関内部における調査に関する情報で,開示することによ り将来の同種の事務事業にかかる適正な意思形成に著しく支障が生ずると認められ,さらに,町の機関が行う事務事業に関する情報で,開示することにより,関係当事者間の信頼関係が損なわれ,または町政の適正な執行が著しく妨げられると認められることから,本件条例6条2号,6号及び7号の規定により,不開示とする旨の決定をした(以下「本件処分」という。甲2)。 ウ原告は,本件処分を不服とし,同年8月15日,処分行政庁に対し,審査請求をしたが,処分行政庁は,同年10月1日,同審査請求を棄却した(甲3)。 ⑸ 本件訴訟の提起ア原告は,平成31年1月17日,被告に対して国家賠償法1条1項に基づ く損害賠償を求めて会津若松簡易裁判所に訴訟を提起し,その後,同訴訟は 福島地方裁判所に移送された(54号事件。当裁判所に顕著)。 イ原告は,同年3月8日,被告に対して本件処分の取消し及び本件アンケートの結果の開示決定の義務付けを求めて福島地方裁判所に訴訟を提起した(1号事件。当裁判所に顕著)。 3 争点及びこれに対する当事者の主張 ⑴ 本件処分が適法か否か(被告の主張)ア本件アンケートといじめ 務付けを求めて福島地方裁判所に訴訟を提起した(1号事件。当裁判所に顕著)。 3 争点及びこれに対する当事者の主張 ⑴ 本件処分が適法か否か(被告の主張)ア本件アンケートといじめ防止対策推進法28条の関係についていじめ防止対策推進法28条は,学校の設置者等は,特定のいじめ案件について事実調査を行い(同条1項),その調査に係る情報について,被害児童 生徒及びその保護者に提供するとしている(同条2項)。しかし,本件アンケートは,いじめの現状をより正確に捉え,いじめ防止等の適切な措置を講じることを目的に実施され,また,被告の地域において唯一の中学校であるa中学校の全生徒及び全保護者を対象に行われているものであり,特定のいじめ案件の調査ではなく,いじめ一般に関する調査である。そのため,同条2 項の適用はなく,本件条例6条所定の不開示事由に該当すれば,不開示とすることができる。 イ本件条例6条2号該当性本件アンケート結果まとめ文書は,いじめに関する事実等が具体的に記載されていることから,いじめに関係する生徒及び保護者等という個人に関す る情報で,特定の個人が識別され,又は識別され得るものであり,本件条例6条2号の不開示事由に該当する。 なお,原告は,上記文書は,処分行政庁がいじめ防止対策推進法28条等に基づき,原告に公表することを目的として作成し,又は取得した情報であるため,不開示事由の除外事由を定めた本件条例6条2号イに該当する旨主 張するが,上記のとおり,本件アンケートに同法28条2項の適用はないし, 仮に適用があるとしても,同条項は上記文書の開示義務まで定めたものとまではいえず,本件アンケート結果まとめ文書は,処分行政庁が原告に公表することを目的として作成し,又は取得 はないし, 仮に適用があるとしても,同条項は上記文書の開示義務まで定めたものとまではいえず,本件アンケート結果まとめ文書は,処分行政庁が原告に公表することを目的として作成し,又は取得した情報に該当するとはいえない。 ウ本件条例6条6号該当性本件アンケート結果まとめ文書は,処分行政庁が被告によって設置された a中学校に必要な支援をするために行われた調査に関する情報であり,町の機関内部における事務事業の意志形成過程における調査に関する情報であるから,不開示事由を定めた本件条例6条6号の情報に該当する。 また,本件アンケートは,回答者を特定せず,開封と集計作業を処分行政庁職員が行い,集計作業後はアンケート用紙を廃棄することを明記した上で 実施し,寄せられた情報が第三者に漏れないように配慮することで,生徒及び保護者が,認識している事実等を率直に回答できるようにしたものである。 ところが,本件アンケート結果まとめ文書を開示してしまうと,本件アンケートに協力した生徒及び保護者がそれ自体で精神的負担を感じるのはもちろん,a中学校を基点として限定された地域で日常生活を送る生徒及び保護 者にとって,人間関係に支障を来すおそれが出てくる。それゆえ,本件アンケート結果まとめ文書を開示すると,処分行政庁は,生徒及び保護者との間の信頼関係を失い,同人らから率直な事実認識の情報を得られなくなり,その結果,いじめの現状を十分に把握できず,a中学校に必要な支援をするという目的を達成できなくなるおそれが高い。また,今後被告が設置する他の 小学校に対しいじめに関する必要な支援をしていく際にも,同様の弊害が生じる可能性が高い。したがって,本件アンケート結果まとめ文書は,開示することにより,当該事務事業又は将来の同種の事務事業に係る 小学校に対しいじめに関する必要な支援をしていく際にも,同様の弊害が生じる可能性が高い。したがって,本件アンケート結果まとめ文書は,開示することにより,当該事務事業又は将来の同種の事務事業に係る公正若しくは適正な意志形成に著しい支障が生ずると認められ,本件条例6条6号の不開示事由に該当する。 エ本件条例6条7号該当性 本件アンケート結果まとめ文書は,処分行政庁がa中学校に必要な支援をすることに関する情報であるから,不開示事由を定めた本件条例6条7号所定の町の機関が行う事務事業に関する情報に該当する。 また,上記ウ記載のとおり,本件アンケート結果まとめ文書を開示すると,処分行政庁は生徒及び保護者との間の信頼関係を失い,同人らから率直な事 実認識の情報を得られなくなり,その結果,いじめの現状を十分に把握できず,a中学校に必要な支援をするという目的を達成できなくなるおそれが高い。したがって,本件アンケート結果まとめ文書は,開示することにより,関係当事者間の信頼関係が損なわれ又は町政の公正若しくは適正な執行を著しく妨げると認められ,本件条例6条7号の不開示事由に該当する。 オ部分開示の可否本件アンケート結果まとめ文書のうち,生徒に対するアンケートの回答結果をまとめた部分には,いじめに関して,加害者及び被害者の氏名だけでなく,日時・場所・行為態様等まで一連の情報として記載されている。保護者の回答結果をまとめた部分についても,同一回答が一名ないし数名であれば, その回答の特徴次第で,a中学校の関係者が,元々保有する他の情報と総合するなどして,特定の個人を識別することは十分に可能である。そのため,開示部分と不開示部分の分離は容易ではない。また,分離できたとしても,上記文書の大部分,とくに 係者が,元々保有する他の情報と総合するなどして,特定の個人を識別することは十分に可能である。そのため,開示部分と不開示部分の分離は容易ではない。また,分離できたとしても,上記文書の大部分,とくに原告が一番知りたいであろうと思われるいじめに関する行為の部分についてマスキングを施すことになり,本件開示請求の趣 旨を損なってしまう。したがって,本件条例8条所定の部分開示をすることもできない。 仮に本件アンケート結果まとめ文書を部分開示しなければならないとしても,固有名詞のほか,性別,学年,学級,委員会名,部活動名,学級・委員会・部活動における役職・担当,委員会・部活動で用いる器具・道具,日 時が記載されている部分については,不開示とすべきである。 (原告の主張)ア本件条例6条各号の不適用本件条例6条は,情報の不開示を定めているが,条例は法律の範囲内でのみ有効である(憲法94条,地方自治法14条)から,上記6条のうち,いじめ防止対策推進法の規定に反する部分は無効であるか,少なくとも同法に 反しないよう制限的に解釈しなければならない。そして,同法28条2項が,学校の設置者等に対していじめを受けた児童生徒及びその保護者へいじめに関する調査結果を開示することを義務付けているところ,本件アンケートは,専門委員会がBの不登校といじめの関係の調査の一環として行ったものであることなどからすれば,処分行政庁には原告に対して本件アンケート結 果まとめ文書を開示する義務があるといえる。したがって,本件開示請求には,本件条例6条各号を適用して情報不開示とすることはできない。 イ本件条例6条2号イ該当性被告は,いじめ防止対策推進法の制定を受けて,いじめ防止基本方針を定め,調査結果により明らかとなっ は,本件条例6条各号を適用して情報不開示とすることはできない。 イ本件条例6条2号イ該当性被告は,いじめ防止対策推進法の制定を受けて,いじめ防止基本方針を定め,調査結果により明らかとなった事実関係等(いじめ行為がいつ,誰から 行われ,どのような態様であったか等)について被害児童生徒やその保護者に説明すること,アンケートはこれらの者に提供する場合があることを念頭に実施するものであることを明記した。そして,上記ア記載のとおり,本件アンケートは,専門委員会がBの不登校といじめの関係の調査の一環として行ったものであるから,本件アンケート結果まとめ文書は,原告に開示され ることが予定され取得された文書である。したがって,上記文書に個人情報で,個人識別情報に当たるものが含まれているため不開示事由に当たるとしても,実施機関が公表することを目的として作成し,又は取得した情報であるため,本件条例6条2号イの除外事由に該当し,情報不開示とすることはできない。 ウ本件条例6条6号非該当性 上記ア記載のとおり,本件アンケートは,専門委員会がBの不登校といじめの関係の調査の一環として行ったものである。本件アンケートの実施にあたっては,文部科学省作成のいじめの防止等のための基本的な方針や,いじめの重大事態の調査に関するガイドラインに則り,その回答結果を被害児童生徒・保護者に開示する場合があることを説明した上でアンケートを実施し なければならないから,専門委員会もその前提で調査を行っているはずであり,本件アンケート結果まとめ文書が第三者に開示されることによって,アンケートへの協力が得られなくなり,被告の事務事業に著しい支障が生じることはおよそ想定できない。 したがって,上記文書は本件条例6条6号の不 ト結果まとめ文書が第三者に開示されることによって,アンケートへの協力が得られなくなり,被告の事務事業に著しい支障が生じることはおよそ想定できない。 したがって,上記文書は本件条例6条6号の不開示事由には該当しない。 エ本件条例6条7号非該当性本件アンケート結果まとめ文書は,「検査,監査,争訟,交渉,渉外,契約,入札,試験,徴税,人事」に関する情報には該当せず,これらに類する「その他の事務事業に関する情報」にも該当しない。また,本件アンケートは,上記ウ記載のとおり,その回答結果を原告に開示する可能性があることを前 提になされているものであるから,本件アンケート結果まとめ文書の開示によって,被告の事務事業に著しい支障が生じるとはいえない。 したがって,上記文書は本件条例6条7号の不開示事由には該当しない。 オ部分開示が可能であること本件アンケート結果まとめ文書から,固有名詞のほか,性別,学年,学級, 委員会名,部活動名,学級・委員会・部活動における役職・担当,委員会・部活動で用いる器具・道具が記載されている部分を除外すれば,公にしても特定の個人を識別することはできなくなる。これらの部分は他の部分と容易に区別して除くことができ,これらの部分を除外した残余部分の開示をもってしても,本件開示請求の趣旨が損なわれることはない。 したがって,被告は,上記文書のうち,固有名詞のほか,性別,学年,学 級,委員会名,部活動名,学級・委員会・部活動における役職・担当,委員会・部活動で用いる器具・道具が記載されている部分を除く部分を開示すべきである(本件条例8条)。 ⑵ 義務付けの訴えの可否(原告の主張) 上記⑴(原告の主張)記載のとおり,本件処分は違法であり,取り 記載されている部分を除く部分を開示すべきである(本件条例8条)。 ⑵ 義務付けの訴えの可否(原告の主張) 上記⑴(原告の主張)記載のとおり,本件処分は違法であり,取り消されるべきものであるから,本件処分の取消請求に理由があると認められ,かつ処分行政庁が本件アンケート結果まとめ文書の開示決定をすべきであることが本件条例6条及び8条から明らかであると認められる。 (被告の主張) 争う。上記⑴(被告の主張)記載のとおり,本件処分は適法である。 ⑶ 国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の可否(原告の主張)上記⑴(原告の主張)記載のとおり,本件処分は違法であり,処分行政庁教育長は,故意又は過失により,違法に原告に損害を加えたといえる。原告は, 本件処分により,本件アンケート結果まとめ文書を得られなかったため,その内容を踏まえて,専門委員会等に対し意見を伝え,追加調査を求めることや,Bの気持ちを理解し,同人に寄り添うことなどができず,精神的苦痛を被った。 係る精神的苦痛を慰謝するための金額は100万円を下らない。 したがって,原告は,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請 求として,慰謝料100万円及び弁護士費用10万円,合計110万円の支払を求めることができる。 (被告の主張)上記⑴(被告の主張)記載のとおり,本件処分は適法であり,国家賠償法1条1項の違法性及び故意又は過失の要件をいずれも充足しないことは明らか である。 第3 当裁判所の判断 1 本件処分の適法性⑴ いじめ防止対策推進法28条との関係について原告の本件開示請求に対し,処分行政庁は,本件条例6条2号,6号及び7号の不開示事由該当を主張し 裁判所の判断 1 本件処分の適法性⑴ いじめ防止対策推進法28条との関係について原告の本件開示請求に対し,処分行政庁は,本件条例6条2号,6号及び7号の不開示事由該当を主張して開示を拒絶しているところ,原告は,本件条例 6条はいじめ防止対策推進法28条2項に反する部分は無効であるか,少なくとも同条項に反しないように制限的に解釈しなければならず,同条項がいじめ被害生徒及び保護者に調査結果の開示を義務付けている以上,本件アンケート結果まとめ文書の開示請求に対しては本件条例6条を適用して開示を拒否することはできない旨主張する。 しかし,いじめ防止対策推進法28条1項は,いじめによる被害が生じた疑いがあるという事態について,学校設置者等が,当該事態に対処し,これと同種の事態の発生を防止するため,当該事態に係る事実関係の調査を行うことを求め,同条2項は当該調査に係る情報を被害生徒及び保護者に対して適切に提供する旨定めたものであり,上記調査は特定のいじめ被害案件を想定したもの と解される。そこで,本件アンケートがBのいじめ被害という特定案件について調査したものかについて検討するに,確かに,平成29年2月頃に専門委員会がBの不登校といじめとの関係の調査を開始し,3月8日に本件アンケートが実施され,しかも,生徒用アンケート用紙(別紙3)及び保護者用アンケート用紙(別紙4)には処分行政庁と専門委員会が連名で明記されている。しか し,生徒用アンケート用紙及び保護者用アンケート用紙のいずれを見ても,その冒頭説明及び質問事項は特定のいじめ被害を指摘せず,いじめ被害一般の状況を調査する形態であること,しかも,Bのいじめ被害は入学時の平成26年4月から不登校となる同年6月までが想定されるところ,同時期に在学 明及び質問事項は特定のいじめ被害を指摘せず,いじめ被害一般の状況を調査する形態であること,しかも,Bのいじめ被害は入学時の平成26年4月から不登校となる同年6月までが想定されるところ,同時期に在学し,平成29年3月8日の調査時点でも在学している生徒は3年生のみであるが,上 記アンケート用紙では,当時在学していなかった生徒も含めて全学年を対象と し,いじめ被害の時期についても各人の入学時からアンケート時までの広い期間を対象としている(前記前提事実⑴⑶)。また,本件アンケート結果まとめ文書(別紙5,6)についても,特段Bのいじめ被害を意識して整理した内容にはなっていない(前記前提事実⑶)。したがって,本件アンケートは,Bのいじめ被害案件が契機となっている可能性は否定できないものの,本件アンケート 自体は上記被害案件の調査として行われたものとは認められず,他にこれを認定するに足りる証拠はない。よって,いじめ防止対策推進法28条2項の調査に係る情報として,本件アンケート結果まとめ文書の開示義務を認めることはできない。なお,そもそも同条項は,「当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供する」と定めているため,調査で得られたアン ケート回答用紙やその集計文書そのものの開示義務を定めているものではないと解される。 以上から,同条2項を理由に本件条例6条の適用を否定することはできない。 そこで,以下では,本件アンケート結果まとめ文書について,同6条所定の不開示事由を検討する。 ⑵ 本件条例6条2号の不開示事由についてア本件条例6条2号は,個人情報で,個人識別情報に当たるものについて,不開示情報としている。ところで,本件アンケート結果まとめ文書には,保護者用アンケー 件条例6条2号の不開示事由についてア本件条例6条2号は,個人情報で,個人識別情報に当たるものについて,不開示情報としている。ところで,本件アンケート結果まとめ文書には,保護者用アンケート回答結果を整理した部分と,生徒用アンケート回答結果を整理した部分とがあり,前者の部分として,①保護者用アンケート集計表(別 紙5の1から3枚目),②保護者用アンケートクロス集計表(別紙5の4枚目),③保護者用アンケート記述集計表(別紙5の5枚目)が存在する(前記前提事実⑶エオ)。 このうち,①保護者用アンケート集計表には,子どもの学年,性別及び保護者用アンケート用紙(別紙4)の問1及び問2の質問に対する回答結果に ついて,選択肢(無回答を含む。)ごとの回答数及び構成比並びに回答数の合 計が,同アンケート用紙の問3については,記述ありと無回答の各回答数及び構成比並びに回答数の合計が記載されている(前記前提事実⑶エ)。次に,②保護者用アンケートクロス集計表には,保護者用アンケート用紙の問1に対する回答結果について,子どもの学年及び性別との関係を整理し,子どもの各学年と性別(無回答を含む。)それぞれにつき,同質問に対する回答(無 回答を含む。)ごとの人数及び構成比並びに回答数の合計が記載されている(前記前提事実⑶エ)。これらの情報は,アンケート結果を数値的に集計し,統計的に整理したものであるに過ぎず,a中学校の生徒の保護者という集団に関する情報ではあっても,その集団を構成する保護者の個人に関する情報とはいえないし,a中学校の生徒の個人に関する情報ともいえない。また, 特定の個人を識別し,又は識別し得るものともいえない。 したがって,上記①②の文書は,いずれも本件条例6条2号の不開示情報には該当しない 学校の生徒の個人に関する情報ともいえない。また, 特定の個人を識別し,又は識別し得るものともいえない。 したがって,上記①②の文書は,いずれも本件条例6条2号の不開示情報には該当しない。 イ他方で,前記①②の文書と同様,保護者用アンケートの回答結果を整理した部分の残りとして,③保護者用アンケート記述集計表が存在するところ, これには,保護者用アンケート用紙の問3の「「いじめ」に関する情報,学校への要望や提案等を記入してください。」に対する回答が箇条書きで記載されている(前記前提事実⑶エ)。そして,この体裁に照らせば,保護者用アンケート記述集計表には,各保護者が目撃し又は聴取したいじめ被害について,被害者,加害者,日時,いじめの行為態様等が具体的エピソードとして記載 されているものと推認される。また,生徒用アンケートの回答結果を整理した④生徒用アンケート表(別紙6の1枚目)には,生徒用アンケート用紙(別紙3)の質問1ないし質問7が列挙され,これに対する回答結果を記入できる欄が設けられているため(前記前提事実⑶オ),生徒用アンケート表には,いじめの被害者,加害者,日付,時刻,場所,いじめの行為態様,被害者の 反応等が具体的に記載されているものと推認される。 さらに,同じく生徒用アンケートの回答結果を整理した⑤対応関係表(別紙6の2枚目)についても,いじめた生徒といじめられた生徒を矢印で対応関係を示す形で記入する方式であるため(前記前提事実⑶オ),対応関係表にも,加害者と被害者が具体的に記載されているものと推認される。上記③保護者用アンケート記述集計表,④生徒用アンケート表及び⑤対応関係表に 記載されたこれらの情報は,アンケートの回答者,あるいはアンケートに記載された事実関係等に関 ているものと推認される。上記③保護者用アンケート記述集計表,④生徒用アンケート表及び⑤対応関係表に 記載されたこれらの情報は,アンケートの回答者,あるいはアンケートに記載された事実関係等に関係する生徒や保護者等の個人に関する情報である。 ところで,本件条例6条2号の個人識別情報には,氏名のように,それ自体で個人識別が可能な情報のほか,他の情報と照合することで特定個人を識別できる情報も含むと解されるところ,本件開示請求で対象となるのは,い じめという取扱いに注意を要する情報であり,特に回答者が特定されると,仕返し,仲間はずれ等の不当な扱いを誘発するほか,その生活の範囲内の人間関係において,将来的にも大きな影響を及ぼしかねない性質の事柄である。 しかも,本件アンケートで対象とされたa中学校は,3学年で合計17学級(特別支援学級を含む。)であり(前記前提事実⑴ウ),その中でアンケート の質問に対して具体的に回答している人数はさらに絞られるであろうから,個人識別の対象となる集団規模はそれ程大きいとはいえない。このように,本件では,個人識別可能性の判断について特別に配慮を要する場面であるところ,生徒,保護者のようなa中学校関係者であれば,生徒の氏名,学年,学級及び所属する部活動等の情報を既に保有し,又は容易に入手し得るため, これらの情報と開示情報を照合して個人識別が可能か否かの観点から判断するのが相当である。そして,上記各文書(③,④,⑤)には,固有名詞のほか,生徒の性別,学年,学級,委員会名,部活動名,学級・委員会・部活動における役職(例えば,委員長,部長)・担当(例えば,係,ポジション,パート),委員会・部活動で用いる器具・道具の記載等のように生徒の属性や 特徴を示す情報,具体的エピソードの日付(年月日) 動における役職(例えば,委員長,部長)・担当(例えば,係,ポジション,パート),委員会・部活動で用いる器具・道具の記載等のように生徒の属性や 特徴を示す情報,具体的エピソードの日付(年月日)(以上は別紙1不開示部 分目録)が記載されているものと推認されるところ,生徒,保護者であれば,上記各文書の情報に自己保有情報等を照合すると,特定の生徒や保護者を個人として識別することが可能と考えられる(なお,日付(年月日)は生徒の属性を示すものではないが,学校生活では学級単位で終日一緒に活動し,同じクラスであれば同じ場面を見聞している可能性があるため,エピソードの 日付(年月日)の限度で特定力があり,個人識別情報に該当すると考える。)。 したがって,上記各文書(③,④,⑤)には,本件条例6条2号所定の個人情報,個人識別情報が含まれている。 ウしかしながら,上記各文書から,別紙1不開示部分目録記載の部分を除けば,特定の個人を識別できなくなるものと認められる。そして,上記目録記 載の情報は他の部分と容易に区分して除外が可能であり,しかも,弁論の全趣旨によれば,残余の部分開示でも本件開示請求の趣旨が損なわれないといえる。 よって,本件条例6条2号との関係では,本件アンケート結果まとめ文書のうち,上記①及び②については個人情報及び個人識別情報に該当せず,上 記③ないし⑤については,個人情報及び個人識別情報が含まれるが,別紙1不開示部分目録記載の部分を除いた残余の部分については開示しなければならない(本件条例8条)。 エなお,原告は,本件アンケートはBの不登校といじめの関係の調査の一環として行われたもので,本件アンケート結果まとめ文書は原告に開示される ことを予定して取得された文書であるから,「実 エなお,原告は,本件アンケートはBの不登校といじめの関係の調査の一環として行われたもので,本件アンケート結果まとめ文書は原告に開示される ことを予定して取得された文書であるから,「実施機関が公表することを目的として作成し,又は取得した情報」(本件条例6条2号イ)に該当し,個人情報及び個人識別情報であっても開示の対象になると主張する。 しかし,本件アンケートがBのいじめ被害案件の調査として行われたものであるとは認められないことは前記1⑴で説示したとおりであって,本件ア ンケート結果まとめ文書が原告への開示が予定された文書で本件条例6条 2号イに当たるとはいえないから,原告の上記主張は採用することができない。 ⑷ 本件条例6条6号の不開示事由について被告は,本件アンケート結果まとめ文書を開示してしまうと,処分行政庁と生徒及び保護者との間の信頼関係を損ない,その結果,いじめの情報収集が十 分にできなくなり,a中学校に必要な支援をするという当該事務事業又は将来の同種の事務事業に係る公正若しくは適正な意志形成に著しい支障が生ずるため,本件条例6条6号所定の不開示事由に該当する旨主張する。 しかしながら,上記⑵ア記載のとおり,本件アンケート結果まとめ文書のうち,①保護者用アンケート集計表及び②保護者用アンケートクロス集計表には 統計的整理が示されているだけで,個人情報及び個人識別情報が記載されているとはいえないから,これらを開示しないことまで保護者が期待しているとはいえず,これを開示することにより,当該事務事業又は将来の同種の事務事業に係る公正若しくは適正な意志形成に著しい支障が生ずると認められるものとはいえない。したがって,本件条例6条6号所定の不開示事由には該当しな い。 より,当該事務事業又は将来の同種の事務事業に係る公正若しくは適正な意志形成に著しい支障が生ずると認められるものとはいえない。したがって,本件条例6条6号所定の不開示事由には該当しな い。 次に,上記⑵イ記載のとおり,③保護者用アンケート記述集計表,④生徒用アンケート表及び⑤対応関係表については,アンケートの回答者及びアンケートに記載された事実関係等に関係する生徒や保護者等の個人に関する情報で,特定の個人を識別し,又は識別し得る情報が含まれているものの,これらの文 書から別紙1不開示部分目録記載の情報を除けば,その余の部分では特定の個人を識別できないため,同目録記載の情報を除いて開示すれば,アンケートの回答者が,本人ないし回答内容に関係する生徒及び保護者等が識別されることを懸念し,アンケートに対する協力を拒むおそれがあるとはいえず,開示することにより,当該事務事業又は将来の同種の事務事業に係る公正若しくは適正 な意志形成に著しい支障が生ずるとは認められない。したがって,本件条例6 条6号の不開示事由には該当しない。 ⑷ 本件条例6条7号の不開示事由について被告は,本件アンケート結果まとめ文書を開示してしまうと,処分行政庁と生徒及び保護者との間の信頼関係が損なわれ,アンケートへの協力を得られなくなるから,その開示により,関係当事者間の信頼関係が損なわれ又は町政の 公正若しくは適正な執行を著しく妨げると認められるため,本件条例6条7号の不開示事由に該当すると主張する。 しかしながら,上記⑵ア及び⑶記載のとおり,本件アンケート結果まとめ文書のうち,①保護者用アンケート集計表及び②保護者用アンケートクロス集計表については,個人に関する情報及び個人識別情報が記載されているとはいえ ないし,③保護 おり,本件アンケート結果まとめ文書のうち,①保護者用アンケート集計表及び②保護者用アンケートクロス集計表については,個人に関する情報及び個人識別情報が記載されているとはいえ ないし,③保護者用アンケート記述集計表,④生徒用アンケート表及び⑤対応関係表についても,上記⑵ウ及び⑶記載のとおり,これらの文書から別紙1不開示部分目録記載の情報を除けば特定の個人を識別できないため,アンケートの対象者である生徒及び保護者がアンケートに対する協力を拒むおそれがあるとはいえないから,同目録記載の情報を除いて開示するのであれば,関係当 事者間の信頼関係が損なわれ,又は町政の公正若しくは適正な執行を著しく妨げるとは認められない。したがって,本件条例6条7号所定の不開示事由には該当しない。 ⑸ 小括以上から,本件処分のうち,本件アンケート結果まとめ文書のうち,別紙1 不開示部分目録記載の部分を不開示とした部分は違法であるとはいえないが,その余の部分を不開示とした部分は違法である。 2 義務付けの訴えの可否上記1記載のとおり,本件処分のうち,本件アンケート結果まとめ文書のうち別紙1不開示部分目録記載の部分を除く部分を不開示とした部分は違法であり, 取り消されるべきものであるから,本件処分の取消請求はその限度で理由がある と認められ,かつ処分行政庁が本件アンケート結果まとめ文書のうち上記目録記載の部分を除く部分の開示決定をすべきであることが本件条例から明らかであると認められ,義務付け請求もその限度で理由がある。 3 国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の可否条例に基づく公文書の非開示決定に取り消し得べき瑕疵があるとしても,その ことから直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるも 3 国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の可否条例に基づく公文書の非開示決定に取り消し得べき瑕疵があるとしても,その ことから直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく,公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と上記決定をしたと認め得るような事情がある場合に限り,上記評価を受けるものと解するのが相当である(最高裁平成17年(受)第530号同18年4月20日第一小法廷判決・最高裁判所裁判集民事220号165頁参照)。 本件では,上記1⑴ないし⑷記載のとおり,原告の開示請求に係る本件アンケート結果まとめ文書のうち,①保護者用アンケート集計表及び②保護者用アンケートクロス集計表については,単に統計的処理をしたものであるに過ぎず,個人情報,個人識別情報の記載もないため,本件条例6条のいかなる不開示事由にも該当せず,少なくとも上記各文書を部分開示すべきことは明らかであり,不開示 の判断には何ら合理性がない。また,上記文書のうち,③保護者用アンケート記述集計表,④生徒用アンケート表及び⑤対応関係表については,個人情報,個人識別情報の記載があるが,これについては個人識別情報を除いて部分開示を検討すべきところ,部分開示を検討した状況は認められない(本件記録上,部分開示の検討状況を認定するに足りる証拠はない。)。結局,本件処分では,本件アンケ ート結果まとめ文書を全部不開示としているところ,処分行政庁教育長は,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件処分をしたと認められ,国家賠償法1条1項の違法が認められる。そして, 原告が本件開示請求をした動機,経緯,本件処分に至った経緯,本訴提起に至るまでの経緯のほか,本件に現れた一切の事情を斟酌すると,原告の損害賠償請求は, 国家賠償法1条1項の違法が認められる。そして, 原告が本件開示請求をした動機,経緯,本件処分に至った経緯,本訴提起に至るまでの経緯のほか,本件に現れた一切の事情を斟酌すると,原告の損害賠償請求は,慰謝料10万円,弁護 士費用1万円の合計11万円が相当である。 第4 結論よって,本件処分の取消請求は,本件アンケート結果まとめ文書のうち,別紙1不開示部分目録記載の部分を除く部分を不開示とした部分の取消を求める限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却し,本件アンケート結果まとめ文書の開示決定の義務付け請求は,同文書のうち,上記目録記載の部分 を除く部分の開示決定の義務付けを求める限度で理由があるから認容し,その余は不適法であるから却下し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求は,11万円及びこれに対する平成30年8月9日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する(なお,原告は,仮執行宣言を求 めているが,本件ではこれを付すのは相当ではないと判断した。)。 福島地方裁判所第一民事部 裁判長裁判官遠藤東路 裁判官太田慎吾 裁判官奥山拓哉 別紙1不開示部分目録固有名詞,日付(年月日),性別,学年,学級,委員会名,部活動名,学級・委員会・部活動における役職(例えば,委員長,部長)・担当(例えば,係,ポジション,パート),委員会・部活動で用いる器具・道具が記載されている部分 以上 おける役職(例えば,委員長,部長)・担当(例えば,係,ポジション,パート),委員会・部活動で用いる器具・道具が記載されている部分 以上

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