平成24年4月12日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成23年(ワ)第4131号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成24年2月20日判決原告セクシップスエクイップメントセンターブレーメンゲーエムベーハー同訴訟代理人弁護士辻本希世士同辻本良知同笠鳥智敬同松田さとみ同補佐人弁理士辻本一義同神吉出同大本久美同丸山英之被告大洋製器工業株式会社同訴訟代理人弁護士飯島歩同下西正孝同生沼寿彦同訴訟復代理人弁護士坂元靖昌同訴訟代理人弁理士鳥居和久 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 原告のために、この判決に対する控訴の付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(1)被告は,別紙1製品目録記載1及び2の各製品を製造し,販売し,輸入し又は販売の申出をしてはならない。 (2)被告は,前項記載の各製品及びその製造に供する金型を廃棄せよ。 (3)被告は,原告に対し,3285 別紙1製品目録記載1及び2の各製品を製造し,販売し,輸入し又は販売の申出をしてはならない。 (2)被告は,前項記載の各製品及びその製造に供する金型を廃棄せよ。 (3)被告は,原告に対し,3285万円及びこれに対する平成23年4月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4)訴訟費用は被告の負担とする。 (5)仮執行宣言 2 被告主文1及び2項と同旨第2 事案の概要 1 前提事実(証拠の掲記がない事実は当事者間に争いがない。)(1)当事者原告は,コンテナ連結具の製造販売等を業とする会社である。 被告は,吊り具及び留め具の製造販売等を業とする会社である。 (2) 原告の有する特許権原告は,次の特許(以下「本件特許」といい,本件特許に係る発明を各請求項の順に「本件特許発明1」ないし「本件特許発明5」といい,併せて「本件各特許発明」という。また,本件特許に係る出願明細書を「本件明細書」という。)に関する特許権(以下「本件特許権」という。)を有する。 特許番号 4543382号発明の名称上下に載置した2つのコンテナを連結するための連結片出願日平成15年4月22日 登録日平成22年7月9日特許請求の範囲【請求項1】「上下に載置した2つのコンテナをそれぞれのコーナーフィッティングにおいて連結するための4個一組で使用される連結片であって,4個一組で当該連結片を用いて前記2つのコンテナを連結させるための,係止板と,前記係止板から延設して上段コンテナの下側コーナーフィッティングの細長孔に挿入される上側連結突起と,下段コンテナの上側コーナーフィッティングの細長孔に挿入される下側連結突起とを具備し,下側連結突起の側面には,下段コンテナの上側コーナーフィッ ナーフィッティングの細長孔に挿入される上側連結突起と,下段コンテナの上側コーナーフィッティングの細長孔に挿入される下側連結突起とを具備し,下側連結突起の側面には,下段コンテナの上側コーナーフィッティングの細長孔内部でのロックのためのロック用留め具が当該細長孔の長手側方の一方側に突出するように設けられると共に,前記長手側方の他方側であって下側連結突起の係止板との接合部には,上段コンテナと下段コンテナの連結動作中に細長孔の構成壁に当接して前記ロック用留め具を細長孔内部のロック位置へと案内するように傾斜した導入面取り部が設けられており,前記ロック用留め具には,コンテナを分離するために上段コンテナを持ち上げたときに細長孔の構成壁に当接する部分に,下側連結突起をロック解除位置へと案内するように傾斜させた傾斜ショルダー面が設けられ,上側連結突起を上段コンテナの下側コーナーフィッティングにおける4つ全ての細長孔にそれぞれ挿入する際,前記ロック用留め具が,上段コンテナの前面のコーナーフィッティングと後面のコーナーフィッティングとで,それぞれ反対方向を向くように挿入し,上段のコンテナは,鉛直軸に対して回転することによって,下段のコンテナとの連結または分離がなされることを特徴とする連結片。」【請求項2】「前記ロック用留め具には,上段コンテナと下段コンテナの連結時に下 段コンテナの細長孔の構成壁に当接する部分に,下側連結突起と下段コンテナの細長孔との位置ズレを修正するように傾斜させた導入テーパが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の連結片。」【請求項3】「前記導入面取り部が,互いに角度の異なる係止板側の第1の面取り部とその下に続く第2の面取り部からなり,係止板から傾斜ショルダー面までの距離が短くなるように,第1の面 連結片。」【請求項3】「前記導入面取り部が,互いに角度の異なる係止板側の第1の面取り部とその下に続く第2の面取り部からなり,係止板から傾斜ショルダー面までの距離が短くなるように,第1の面取り部は細長孔の構成壁に設けられた面取り部の角度と一致するように形成されると共に,第2の面取り部は第1の面取り部より傾斜が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の連結片。」【請求項4】「前記ロック用留め具の突出部が,前記下側連結突起に対して可動に設計されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の連結片。」【請求項5】「前記ロック用留め具の突出部が,バネの力に反して前記下側連結突起内に収容可能に設計されていることを特徴とする請求項4記載の連結片。」(3) 構成要件の分説本件各特許発明は,以下のとおり分説することができる。 ア本件特許発明1A 上下に載置した2つのコンテナをそれぞれのコーナーフィッティングにおいて連結するための4個一組で使用される連結片であって,B 4個一組で当該連結片を用いて前記2つのコンテナを連結させるための,C 係止板と,前記係止板から延設して上段コンテナの下側コーナー フィッティングの細長孔に挿入される上側連結突起と,下段コンテナの上側コーナーフィッティングの細長孔に挿入される下側連結突起とを具備し,D 下側連結突起の側面には,下段コンテナの上側コーナーフィッティングの細長孔内部でのロックのためのロック用留め具が当該細長孔の長手側方の一方側に突出するように設けられると共に,E 前記長手側方の他方側であって下側連結突起の係止板との接合部には,上段コンテナと下段コンテナの連結動作中に細長孔の構成壁に当接して前記ロック用留め具を細 方側に突出するように設けられると共に,E 前記長手側方の他方側であって下側連結突起の係止板との接合部には,上段コンテナと下段コンテナの連結動作中に細長孔の構成壁に当接して前記ロック用留め具を細長孔内部のロック位置へと案内するように傾斜した導入面取り部が設けられており,F 前記ロック用留め具には,コンテナを分離するために上段コンテナを持ち上げたときに細長孔の構成壁に当接する部分に,下側連結突起をロック解除位置へと案内するように傾斜させた傾斜ショルダー面が設けられ,G 上側連結突起を上段コンテナの下側コーナーフィッティングにおける4つ全ての細長孔にそれぞれ挿入する際,前記ロック用留め具が,上段コンテナの前面のコーナーフィッティングと後面のコーナーフィッティングとで,それぞれ反対方向を向くように挿入し,H 上段のコンテナは,鉛直軸に対して回転することによって,下段のコンテナとの連結または分離がなされることを特徴とする連結片。 イ本件特許発明2I 前記ロック用留め具には,上段コンテナと下段コンテナの連結時に下段コンテナの細長孔の構成壁に当接する部分に,下側連結突起と下段コンテナの細長孔との位置ズレを修正するように傾斜させた導入テーパが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の連結片。 ウ本件特許発明3 J 前記導入面取り部が,互いに角度の異なる係止板側の第1の面取り部とその下に続く第2の面取り部からなり,係止板から傾斜ショルダー面までの距離が短くなるように,第1の面取り部は細長孔の構成壁に設けられた面取り部の角度と一致するように形成されると共に,第2の面取り部は第1の面取り部より傾斜が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の連結片。 エ本件特許発明4 た面取り部の角度と一致するように形成されると共に,第2の面取り部は第1の面取り部より傾斜が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の連結片。 エ本件特許発明4K 前記ロック用留め具の突出部が,前記下側連結突起に対して可動に設計されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の連結片。 オ本件特許発明5L 前記ロック用留め具の突出部が,バネの力に反して前記下側連結突起内に収容可能に設計されていることを特徴とする請求項4記載の連結片。 (4) 被告の行為被告は,平成18年10月27日から別紙1製品目録記載1の製品を,平成22年6月13日から同目録記載2の製品(以下併せて「被告製品」という。)を,それぞれ製造,販売している。 2 原告の請求原告は,被告に対し,① 本件特許権に基づき,被告製品の製造,販売等の差止め及び同製品等の廃棄を求めるとともに,② 不法行為に基づき,1485万円の損害賠償及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,③ 補償金請求権に基づき,1800万円及びこれに対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ求めている。 3 争点 (1)被告製品は,本件各特許発明の技術的範囲に属するかア被告製品は,本件各特許発明の構成要件を文言上充足するか(争点1-1)イ被告製品は,本件各特許発明と均等なものとしてその技術的範囲に属するか (争点1-2)(2)損害額など (争点2)第3 争点に係る当事者の主張 1 争点1-1(被告製品は,本件各特許発 (争点1-2)(2)損害額など (争点2)第3 争点に係る当事者の主張 1 争点1-1(被告製品は,本件各特許発明の構成要件を文言上充足するか)について【原告の主張】以下のとおり,被告製品は,構成要件Eを充足し,その他の構成要件も文言上充足する。 したがって,本件各特許発明の技術的範囲に属するものである。 (1)構成要件Eについて前提事実(3)のとおり,上記構成要件は,「前記長手側方の他方側であって下側連結突起の係止板との接合部には,上段コンテナと下段コンテナの連結動作中に細長孔の構成壁に当接して前記ロック用留め具を細長孔内部のロック位置へと案内するように傾斜した導入面取り部が設けられており,」というものである。 このうち「上段コンテナと下段コンテナの連結動作中」及び「ロック位置へと案内するように傾斜した導入面取り部」の意義は,以下のとおりである。 ア 「上段コンテナと下段コンテナの連結動作中」について上記連結動作は,連結片を設けた上段コンテナを下段コンテナに載置することによってなされる。 したがって,「上段コンテナと下段コンテナの連結動作中」とは,連結片を設けた上段コンテナが下段コンテナの上方から下降を開始し,最終的に 下段コンテナ上に載置されるまでの間をいう。 イ 「ロック位置へと案内するように傾斜した導入面取り部」について(ア) 上段コンテナの下段コンテナ上への載置作業は,上段コンテナに設けられた連結片が,上段コンテナの下降に伴って下段コンテナの上側コーナーフィッティングの細長孔に挿入され,最終的に連結片の一部を構成する下側連結突起がそのロック用留め具によって細長孔と係合して固定されることにより完了 段コンテナの下降に伴って下段コンテナの上側コーナーフィッティングの細長孔に挿入され,最終的に連結片の一部を構成する下側連結突起がそのロック用留め具によって細長孔と係合して固定されることにより完了する。 したがって,「ロック位置」とは,ロック用留め具が係合して固定される細長孔内の位置をいう。 (イ) 「ロック位置へと案内するように傾斜した」とは,「細長孔の面取り部と一致する角度を含んでおり,その結果,細長孔の構成壁に当接して摺動することで,上段コンテナが下段コンテナ上に載置されるときにロック用留め具をロック位置まで案内する(当接面の左右の傾斜方向に移動する)機能を果たすことができる導入面取り部」をいう。 (2)被告製品の構成及び構成要件Eを充足することについて以下のとおり,被告製品は,「下部突部の連結板との接合部であって,コンテナのコーナー金具の溝穴の長手幅方向の一方側に突出する可動突部の反対側に,コンテナを連結動作中にコンテナのコーナー金具の溝穴の縁部に摺接し,可動突部を溝穴内部の固定位置まで案内する下部突部傾斜面を具備する」構成を有するものであり,これは,構成要件Eを充足する。 ア被告製品の下部突部傾斜面の傾斜角度と下段コンテナのコーナー金具の細長孔に設けられた面取り部の傾斜角度とは,一致している。 その結果,被告製品の下部突部傾斜面は,連結片を設けた上段コンテナが下段コンテナの上方から下降を開始し,最終的に下段コンテナ上に載置されるまでの間(上段コンテナと下段コンテナの連結動作中)に,細長孔の構成壁に当接して摺動することで,上段コンテナが下段コンテナ上に載 置されるときに,ロック用留め具を,ロック用留め具が係合して固定される細長孔内の位置(ロック位置)まで案内する(当接面の左右の傾斜方向に移動す ることで,上段コンテナが下段コンテナ上に載 置されるときに,ロック用留め具を,ロック用留め具が係合して固定される細長孔内の位置(ロック位置)まで案内する(当接面の左右の傾斜方向に移動する)機能を果たす(ロック位置へと案内するように傾斜した)ものである。 イコンテナの連結作業においては,上段コンテナがクレーンで吊り下げられ左右にぶれるので,下段コンテナの真上から寸分違わず垂直に下降させることは,およそ不可能である。 そして,上段コンテナを下降させる際に,下段コンテナの外側に位置した場合,被告製品の可動突部は,下部突部傾斜面によってロック位置まで案内される。 また,上段コンテナが揺れ又は可動突部のバネの付勢力により被告製品が下部突部の左側(別紙2図面の左側。以下,被告製品において,左右をいうときは,別紙2図面における左右をいう。また,本件各特許発明においては,ロック用留め具を右に向けて見た場合の左右をいう。)の輪郭に沿った方向に移動した場合にも,被告製品の可動突部は,下部突部傾斜面によって固定位置まで案内される。被告製品が若干傾斜した状態で,コーナー金具の溝穴に挿入された場合も同様である。 【被告の主張】以下のとおり,被告製品は,少なくとも構成要件Eを文言上充足しないから,本件各特許発明の技術的範囲に属するものではない。 (1)構成要件Eについてア 「上段コンテナと下段コンテナの連結動作中」について本件明細書の記載によれば,「連結動作中」とは,上段コンテナがクレーンによって下段コンテナの上方に位置づけられたときから,連結片がロック位置に案内され,上段コンテナが下段コンテナの上に載置されるに至るまでの過程を含み,少なくとも「ロック用留め具が向いている方向に押さ れて上段コンテナと下段コンテ きから,連結片がロック位置に案内され,上段コンテナが下段コンテナの上に載置されるに至るまでの過程を含み,少なくとも「ロック用留め具が向いている方向に押さ れて上段コンテナと下段コンテナが連結する」過程を含むものである。 イ 「ロック位置へと案内するように傾斜した導入面取り部」について(ア) 本件明細書の記載によれば,「ロック位置」とは,ロック用留め具がその効果を生じる位置,すなわち上段コンテナと係合した連結片のロック用留め具が下段コンテナのコーナーフィッティングの細長孔を通過し,コーナーフィッティング内部に案内された位置から最終的に上下のコンテナが載置された時点における連結片の位置までをいう。 (イ) コーナーフィッティングと連結片とを嵌合・固定するため,コーナーフィッティング側の細長孔の面取り部と一致する角度の面取りを連結片にも設けることは,当然の設計事項であり,連結片が一般的に有する性状である。 また,本件特許発明1は,連結動作に際し,ロック用留め具が細長孔を通過するとき,いったんロック位置に対して左側に位置した後,導入面取り部がロック用留め具をロック位置に誘導することによって,全自動デバイスとして機能するものであるから,構成要件Eは,本件特許発明1の作用効果を発揮させるために必須の構成である。 これらのことに加え,本件明細書の記載等も考慮すると,「ロック位置へと案内するように傾斜した導入面取り部」とは,単に,コーナーフィッティング側の細長孔の面取り部と一致する角度の面取りをいうものではなく,「下側連結突起が細長孔に挿入される際に,ロック位置に対して左側にずれた状態にあるのを,右側にスライドさせる導入面取り部」をいうものである。 ウ意識的除外及び包袋禁反言について(ア) 原告は,本件特許に係 孔に挿入される際に,ロック位置に対して左側にずれた状態にあるのを,右側にスライドさせる導入面取り部」をいうものである。 ウ意識的除外及び包袋禁反言について(ア) 原告は,本件特許に係る出願手続において,平成18年11月20日付けで拒絶理由通知を受け,平成19年5月21日付けで意見書を提出した。この中で,引用文献(特開平10-218367公報,以下「乙 4公報」という。)と本件特許発明1との関係について,「(引用文献の)テーパ面41は,上側コンテナC1の下降時におけるその上側コンテナC1と下側コンテナC2との間の左右方向のずれを修正するためのものであ(る)」ところ,「本件発明の導入面取り部30は下側連結突起23と係止板21との接合部に設けられ,連結片が導入テーパ29によって細長孔33に挿入されて正確に位置づけられた後,上段コンテナをさらに下降させることにより,細長孔33の構成壁に当接させてロック用留め具28を細長孔33内部ロック位置へと案内するためのものであり,(引用文献)の上記テーパ面41とはその構成・作用を全く異にする。」と述べた。 これは,乙4公報の明細書【0044】において「位置決め金具30の下部位置決め突部33の一側にはテーパ面41が形成されているため,上側コンテナC1の下降時に,その上側コンテナC1と下側コンテナC2との間で左右方向に多少のずれがある場合でも,上側のコンテナC1の下降により上記テーパ面41が係合孔3の周縁部で案内されつつ下降するため,左右方向のずれは修正されることになり,位置決め金具30の下部位置決め突部33を係合孔3内に確実に挿入させることができる」という記載を受けたものである。 そして,上記意見書の記載によれば,構成要件Eの「導入面取り部」は,「導入テーパによってロッ 30の下部位置決め突部33を係合孔3内に確実に挿入させることができる」という記載を受けたものである。 そして,上記意見書の記載によれば,構成要件Eの「導入面取り部」は,「導入テーパによってロック位置よりも左側で位置決めされたロック用留め具を右側へスライドさせ,ロック位置へと案内する作用を有するもの」に限定され,「単に連結片のずれを修正する作用しか有しない面取り部」は,その技術的範囲から意識的に除外されたものである。 (イ) また,前記(ア)と異なる原告の主張は,包袋禁反言の原則に抵触する。 (2)被告製品の構成及び構成要件Eを充足しないことについて被告製品に下部突部傾斜面が設けられていることは認めるが,これは,コー ナー金具と嵌合させるため,コーナー金具に設けられた溝穴の縁部の形状に対応して形成されたものである。 したがって,可動突部を一定の位置に案内する機能を有しないから,構成要件Eを充足しない。 ア被告製品は,別紙2図面のとおり,ロック用留め具が可動突部によって構成され,コンテナ連結時に可動突部が上方に回動し,へこむ構造を有している。そのため,① 上段コンテナを下段コンテナに対して下降させ,②下部突部を下段コンテナのコーナー金具に設けられた溝穴に挿し込んでいくと,可動突部が下段コンテナのコーナー金具に設けられた溝穴の縁部に当接して上方に回動してへこみ,③ 上段コンテナをさらに下降させると,下段コンテナの溝穴を通過した時点で可動突部が戻ってロック位置に突出するという動作をするものである。 したがって,被告製品の可動突部が下段コンテナのコーナー金具に設けられた溝穴を通過した時点で,下部突部傾斜面は下段コンテナの溝穴の縁部に当接しないから,この傾斜面によって上段コンテナをロック位置の方向へ移動させる必 品の可動突部が下段コンテナのコーナー金具に設けられた溝穴を通過した時点で,下部突部傾斜面は下段コンテナの溝穴の縁部に当接しないから,この傾斜面によって上段コンテナをロック位置の方向へ移動させる必要はないし,そのような機能もない。 そもそも,被告製品は,いったん左側に位置決めをしてから右側にスライドしてロック位置に固定するという挙動をすることがないから,そのための構成を有しないものである。 仮に,下部突部傾斜面が下段コンテナのコーナー金具に設けられた溝穴の縁部に摺接することがあるとしても,可動突部がコーナー金具の溝穴内部に突出し,ロックされた後のことであるから,「連結動作中」ではなく,「連結動作後」のことである。 イ前記【原告の主張】(2)イは否認する。 コンテナの重量は,軽いものでも自重が約2トンあり,貨物を含めた最大重量は約30トンに及ぶ。 そして,実際の連結作業では,クレーンで上段コンテナを持ち上げ,下段コンテナの上で,上段コンテナの4隅に取付けられた4個の被告製品の下部突部が下段コンテナの4隅に設けられたコーナー金具の溝穴に対し,同時に進入するように位置決めをし,その後,コンテナの重量を利用して一気に下降させることにより一瞬で連結することになる。 したがって,位置決めをした後,上段コンテナの下降が停止して左右に揺動することはないし,下降を開始した後に横方向に多少の力が加わった場合もブレが生じることはない。 そもそも,荷役作業は,強風などによりブレが生じる状況では危険が伴うため行われない。また,被告製品に設けられた可動突部のバネの力は,5キログラム前後に留まるから,コンテナとクレーンを連結する器具だけでも自重が9トンに達するコンテナに対し,付勢することはできないものである。 【原告の反 品に設けられた可動突部のバネの力は,5キログラム前後に留まるから,コンテナとクレーンを連結する器具だけでも自重が9トンに達するコンテナに対し,付勢することはできないものである。 【原告の反論】(1)前記【被告の主張】(1)ウは否認する。 乙4公報には,上側コンテナの下降時に生じる上側コンテナと下側コンテナの左右方向における多少のずれを解消するため,上側コンテナの下降により係合孔の周縁部で案内しつつ下降するテーパ面が記載されているにすぎない。 これに対し,本件特許発明1の構成要件Eに係る「導入面取り部」は,① 設置箇所と② 傾斜角度の2つの観点に基づく限定が付されており,上記公知例とは完全に異質なものである。 そして,上記意見書では,導入面取り部の作用が発揮される前のコンテナないし連結片の動作を説明するに当たり,導入テーパに言及したにすぎない。 したがって,上記意見書に基づき,構成要件Eの「導入面取り部」について,「導入テーパによってロック位置よりも左側で位置決めされたロック用留 め金具を右側へスライドさせ,ロック位置へと案内する作用を有するもの」に限定され,「単に連結片のずれを修正する作用しか有しない面取り部」は除外されたものであるというのは,不合理である。そもそも,「導入テーパ」は,本件特許発明2の構成要件Iに規定されるものであり,これによって本件特許発明1の技術的範囲が限定される理由はないものである。 (2)前記【被告の主張】(2)は争う。 被告の主張は,現実の連結作業において被告製品の下部突部傾斜面(30)が下段コンテナのコーナー金具の細長孔(33)の傾斜面に当接しない場面がある旨をことさらに強調しているが,本件のような物の発明に関する構成要件充足性は,被疑侵害物件(被告製品)と特許発 斜面(30)が下段コンテナのコーナー金具の細長孔(33)の傾斜面に当接しない場面がある旨をことさらに強調しているが,本件のような物の発明に関する構成要件充足性は,被疑侵害物件(被告製品)と特許発明の構造を具体的に比較検討すべきである。 2 争点1-2(被告製品は,本件各特許発明と均等なものとしてその技術的範囲に属するか)について【原告の主張】仮に,被告製品が構成要件Eを文言上充足しないとしても,以下のとおり,被告製品は,本件特許発明1の構成要件Eの「導入面取り部」に換えて,可動突部を下部突部に対して可動に設計したものであるが,被告製品は,本件各特許発明と均等なものとしてその技術的範囲に属する。 (1)構成要件Eの「導入面取り部」の構成が本件特許発明1の非本質的部分であること本件特許発明1は,ロック用留め具が上段コンテナの下側コーナーフィッティングの「前方」と「後方」とで異なる方向を向いてロックすることにより,航行中の上下に載置したコンテナ同士の安全なロックを保証するものである。 したがって,本件特許発明1の本質的部分は,「上段コンテナの下側コーナーフィッティングに配設されたロック用留め具の向き」であり,構成要件 Eの「導入面取り部」ではない。 (2)置換可能性構成要件Eの「導入面取り部」を,被告製品の「可動突部は,それ自体が上方回動して,へこむことのみによって固定位置まで案内される」という構成に置き換えても,ロック用留め具が上段コンテナの下側コーナーフィッティングの「前方」と「後方」とで異なる方向を向いてロックすることにより,航行中の上下に載置したコンテナ同士の安全なロックを保証することには変わりがない。 したがって,被告製品の上記構成は,構成要件Eの「導入面取り部」と置き換えること を向いてロックすることにより,航行中の上下に載置したコンテナ同士の安全なロックを保証することには変わりがない。 したがって,被告製品の上記構成は,構成要件Eの「導入面取り部」と置き換えることが可能なものである。 (3)置換容易性被告製品の製造時において,構成要件Eの「導入面取り部」を被告製品の上記構成に置き換えることは,当業者にとって容易に想到することができたものである。 (4)被告製品が公知技術から容易に推考されないこと被告製品は,本件特許出願時における公知技術と同一のものではないし,出願時における公知技術から容易に推考できたものでもない。 (5)包袋禁反言など特段の事情は存在しないこと被告製品は,本件特許の出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものではない。 【被告の主張】以下のとおり,被告製品は,本件各特許発明と均等なものではない。 (1)構成要件Eの「導入面取り部」が本件特許発明1の非本質的部分ではないこと前記1【被告の主張】(1)イ(イ)のとおり,構成要件Eの「導入面取り部」は,連結片をコーナーフィッティングに挿入し,ロック位置に案内して嵌合 させるために必須の構成であり,本件特許発明1を全自動デバイスとして機能させるための中核的機能を担うものである。 したがって,構成要件Eの「導入面取り部」は,本件特許発明1の非本質的部分ではない。 (2)置換可能性本件特許発明1と被告製品は,いずれも,載荷されたコンテナが船の揺動に耐えられるようにした固定爪を連結片に持たせつつ,連結片を設置した上段コンテナを下段コンテナ上に下降させるだけで両者をロックすることができるようにすることを課題とするものである。 この課題を解決するための具体的な構成として,本件特許発 せつつ,連結片を設置した上段コンテナを下段コンテナ上に下降させるだけで両者をロックすることができるようにすることを課題とするものである。 この課題を解決するための具体的な構成として,本件特許発明1は,連結片をいったん左側に位置決めしてから「導入面取り部」によって右側にスライドさせ,ロック位置に案内する構成を有するものである。これに対し,被告製品は,可動の固定爪を備えることにより,連結片を垂直に降下させる構成を有するものである。 このように,構成要件Eの「導入面取り部」と被告製品の可動突部とは,課題が共通であるものの,それぞれ製品全体の挙動を決定する技術的思想の相違から導かれた必須の構成であって,部分的に置き換えられるものではないから,置換可能性がない。 (3)置換容易性前記(2)のとおり,本件特許発明1と被告製品の構成が相違するのは,技術的思想の相違に基づくものであり,置換容易性もない。 3 争点3(損害額など)について【原告の主張】(1) 損害賠償請求被告は,本件特許権が登録された後,少なくとも4万5000個の被告製品を販売した。被告製品1個当たりの利益の額は,少なくとも300円であ る。 したがって,被告は,被告製品を販売したことにより,少なくとも1350万円の利益を受けた。 〔計算式〕45,000×300=13,500,000本件と相当因果関係のある弁護士費用は135万円である。 よって,原告が被告の行為により受けた損害の額は,少なくとも1485万円である(特許法102条2項)。 〔計算式〕13,500,000+1,350,000=14,850,000(2) 補償金請求原告は,本件特許出願について国際公開があった平成16年3月11日の後である平成18年8月25日に,被 計算式〕13,500,000+1,350,000=14,850,000(2) 補償金請求原告は,本件特許出願について国際公開があった平成16年3月11日の後である平成18年8月25日に,被告に対し,本件各特許発明の内容を記載した書面を提示して警告をした。 被告は,平成18年8月25日から平成22年7月9日(本件特許権の設定登録日)までの間に,少なくとも30万個の被告製品を販売しており,被告製品1個当たりの価格は,少なくとも1200円である。そして,本件各特許発明の実施料率は,少なくとも5%が相当であるから,本件各特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額は,少なくとも1800万円である(特許法184条の10第1項)。 〔計算式〕300,000×1,200×0.05=18,000,000【被告の主張】いずれも争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点1-1(被告製品は,本件各特許発明の構成要件を文言上充足するか)について以下の理由から,被告製品は,本件特許発明1の構成要件Eを文言上充足すると認めることができない。 (1) 構成要件Eの意義についてア本件特許に係る特許請求の範囲の記載に基づく解釈について(ア) 前提事実(3)のとおり,構成要件Eは,「前記長手側方の他方側であって下側連結突起の係止板との接合部には,上段コンテナと下段コンテナの連結動作中に細長孔の構成壁に当接して前記ロック用留め具を細長孔内部のロック位置へと案内するように傾斜した導入面取り部が設けられており,」と記載されており,その記載からすると,上記構成要件Eの「導入面取り部」は,①「前記長手側方の他方側であって下側連結突起の係止板との接合部」に設けられるものであること,②「上段コンテナと下段コンテナの連結動作中に ,その記載からすると,上記構成要件Eの「導入面取り部」は,①「前記長手側方の他方側であって下側連結突起の係止板との接合部」に設けられるものであること,②「上段コンテナと下段コンテナの連結動作中に細長孔の構成壁に当接して前記ロック用留め具を細長孔内部のロック位置へと案内するように傾斜した」ものであることが認められる。 上記②について,更に検討する。 (イ) 「上段コンテナと下段コンテナの連結動作中に」について構成要件A(「上下に載置した2つのコンテナをそれぞれのコーナーフィッティングにおいて連結するための4個一組で使用される連結片であって,」),構成要件C(「係止板と,前記係止板から延設して上段コンテナの下側コーナーフィッティングの細長孔に挿入される上側連結突起と,下段コンテナの上側コーナーフィッティングの細長孔に挿入される下側連結突起とを具備し」),構成要件G(「上側連結突起を上段コンテナの下側コーナーフィッティングにおける4つ全ての細長孔にそれぞれ挿入する際,前記ロック用留め具が,上段コンテナの前面のコーナーフィッティングと後面のコーナーフィッティングとで,それぞれ反対方向を向くように挿入し,」)の各記載によると,「上段コンテナと下段コンテナの連結動作中に」とは,「上段コンテナの4つの下側コーナーフィッティングの細長孔に連結片の上側連結突起を挿入した状態で,連結片の下側連 結突起を下段コンテナの4つの上側コーナーフィッティングの細長孔に挿入し,上下のコンテナを連結させる一連の動きが現在行われている間に」という趣旨と解される。 (ウ) 「細長孔の構成壁に当接して前記ロック用留め具を細長孔内部のロック位置へと案内するように傾斜した」について上記記載からすると,構成要件Eの「導入面取り部」は,単に「傾斜し 解される。 (ウ) 「細長孔の構成壁に当接して前記ロック用留め具を細長孔内部のロック位置へと案内するように傾斜した」について上記記載からすると,構成要件Eの「導入面取り部」は,単に「傾斜した」構成のものでは足りず,少なくとも「ロック用留め具を細長孔内部のロック位置へと案内する」ことを要件とするものである。 一般に,「ロック(lock)」とは「動かなくする,固定する,係止する」ことを意味するところ,構成要件Dの「下側連結突起の側面には,下段コンテナの上側コーナーフィッティングの細長孔内部でのロックのためのロック用留め具が当該細長孔の長手側方の一方側に突出するように設けられると共に,」という記載によると,「ロック用留め具」は,下側連結突起の側面に,下段コンテナの上側コーナーフィッティングに設けられた細長孔内部の長手側方の一方側に突出するように設けられるものであることが認められ,その構成によれば,下側連結突起と下段コンテナの上側コーナーフィッティング,すなわち上下のコンテナは,下側連結突起の突出部分(ロック用留め具)と細長孔内部の長手側方の一方側とで係止することによりロックされる構成であることが認められる。 そうすると,「ロック位置」とは,ロック用留め具がその効果を生じる位置,すなわちロック用留め具が細長孔内部の長手側方の一方側と係止する場所(位置)から最終的に上下のコンテナが載置された時点におけるロック用留め具の場所(位置)までをいうと解される。 これらのことからすると,「前記ロック用留め具を細長孔内部のロック位置へと案内するように傾斜した」とは,「下段コンテナの上側コーナーフィッティングに設けられた細長孔内部の長手側方の一方側に突出する ように,連結片の下側連結突起の側面に設けられた突出部(ロック用留め ように傾斜した」とは,「下段コンテナの上側コーナーフィッティングに設けられた細長孔内部の長手側方の一方側に突出する ように,連結片の下側連結突起の側面に設けられた突出部(ロック用留め具)を,細長孔内部の長手側方の一方側と係止する場所(位置)まで導くように傾斜した」ことをいうものと解される。 イ本件明細書の【発明の詳細な説明】の記載について本件明細書の【発明の詳細な説明】には次の記載がある(甲2)。 「【0010】先行技術である「全自動デバイスには,可動ロック部材が特に汚れの影響をとても受けやすいという欠点がある。したがって,これらの全自動デバイスは,たとえよくメンテナンスしたとしても非常にトラブルを起こしやすい。 【0011】本願発明による特徴を備えた連結片は,全自動デバイスとして使うことができる。連結片は,上段コンテナの下側コーナーフィッティングの4つ全てにそれぞれ挿入される。同じデザインの連結片を4つ用いると,自動的にロック用留め具はコーナーフィッティングの「前方」と「後方」で異なる方向を向いてロックが掛かることとなる。このように準備したコンテナを下段のコンテナに載置するとき,特に連結片の形状のおかげで,コンテナは簡単に鉛直軸に対して旋回し,連結片の下側連結突起がロック用留め具によって下段コンテナのコーナーフィッティング内へ係合する。この結果として,航行中の上下に載置したコンテナ同士の安全なロックが保証される。航海中に船が揺動するので、コンテナは横方向に傾く。その結果、コンテナの一方の長手側方に圧縮荷重がかかり、反対側の長手側方には引張り荷重がかかる。引張り荷重がかかっている側のロック用留め具が下段コンテナの上側コーナーフィッティングから外れることがなく、これにより引張り荷重がかかっている側の がかかり、反対側の長手側方には引張り荷重がかかる。引張り荷重がかかっている側のロック用留め具が下段コンテナの上側コーナーフィッティングから外れることがなく、これにより引張り荷重がかかっている側の上下のコンテナ間で引張り荷重を確実に移動させることができるように、圧縮荷重がかかっている側のコンテナ の連結片はコンテナ全体が移動することを防止する。状況によって船先が動き、4つの連結片全てに引張り荷重がかかるという問題が起こり得る船の船首付近に載置されたコンテナも同様に安全に保持される。各上段コンテナの大きな慣性モーメントにより、各上段コンテナが単独でそれぞれの下段コンテナに対して回転することはないので、このような状況でも安全なロック状態が得られる。」「【0014】‥‥導入面取り部は,連結片が導入テーパにより細長孔へ挿入されて正確に位置づけられた後,上段コンテナをさらに降下させて使用される。連結片は,導入面取り部によって押されるが,特に上段コンテナをさらに降下させることにより,ロック用留め具が向いている方向に押されて上段コンテナと下段コンテナは連結する(ロック位置)。‥‥」「【発明を実施するための最良の形態】【0022】‥‥全自動デバイス20が下段コンテナの上側コーナーフィッティング内に挿入されるとき,つまり上段コンテナが下段コンテナ上に載置されるときに,導入面取り部30により各全自動デバイスは図2でいう右方向に移動する。」【図2】 「【0026】図3から図8は,全自動デバイス20を使ったコンテナの積荷と荷降ろしを示す。図3は船上などに既に置かれたコンテナ35を示しており,その上に他方のコンテナ36が載置される。コンテナ36は,コンテナ35にロックされる 全自動デバイス20を使ったコンテナの積荷と荷降ろしを示す。図3は船上などに既に置かれたコンテナ35を示しており,その上に他方のコンテナ36が載置される。コンテナ36は,コンテナ35にロックされる直前の状態で示されている。図5から認識できるように,全自動デバイス20は,導入テーパ29から細長孔33の上端にセットされる。そして,コンテナ36の鉛直軸に対する水平方向への回転(図7の矢印37を参照)による上段コンテナ36全体の動きによって,全自動デバイス20はロックされる。全自動デバイスの一連の動きを矢印の組合せ38で,図4と図5に示す。導入テーパ29があるので,ロックする間,前方の全自動デバイス20はまず左へスライドし(矢印38.1),一方で後方の全自動デバイスは右へスライドする。上段コンテナ36がさらに降下すると,全自動デバイス20はまず鉛直に降りる(矢印38.2)。上段コンテナ36がさらに降下すると,前方の全自動デバイス20が最終的に右へスライドし(矢印38.3),一方で後方の全自動デバイス20は同じように左へスライドし,それぞれのロック位置へ移動する。図6はコンテ ナ35および36が最終的にロックされた状態を示す。」【図3】積荷時におけるロック直前の2つのコンテナを示す概略図である。 【図5】積荷時と荷降ろし時のコンテナの詳細を示す図である。 【図6】上下に載置したコンテナのロック状態の詳細を示す図である。 ウ構成要件Eの「導入面取り部」による作用について構成要件Hには「上段のコンテナは,鉛直軸に対して回転することによって,下段のコンテナとの連結または分離がなされることを特徴とする連結片。」と記載されており, 「導入面取り部」による作用について構成要件Hには「上段のコンテナは,鉛直軸に対して回転することによって,下段のコンテナとの連結または分離がなされることを特徴とする連結片。」と記載されており,この文言上は,連結又は分離のいずれかが上段コンテナを鉛直軸に対して回転させることによって行われればよいとも解しうる。 しかしながら,前記ア(ウ)のとおり,本件特許発明1において,上段コンテナと下段コンテナは,下側連結突起の突出部分(ロック用留め具)と細長孔内部の長手側方の一方側とが係止することにより連結されるものである。そして,本件特許発明1において,ロック用留め具を細長孔内部の長手側方の一方側と係止させる(上段コンテナを下段コンテナに連結する)手段としては,導入面取り部によってロック用留め具をロック位置へと案内することにより,上段コンテナを鉛直軸に対して回転させる以外にない。 換言すれば,本件特許発明1は,上段コンテナを鉛直軸に対して回転させるのでない限り,上下のコンテナを連結させることができず,作用効果を奏しえないものである。 したがって,本件特許発明1においては,導入面取り部によってロック用留め具がロック位置まで案内され,「上段のコンテナは,鉛直軸に対して回転することによって,下段のコンテナとの連結」されるものと解するほかない。 そうすると,構成要件Eの「導入面取り部」は,「前記ロック用留め具を細長孔内部のロック位置へと案内する」ことにより,上段コンテナを鉛直軸に対して回転させ,下段コンテナと連結させる作用を奏するものであることが認められる。 エ本件特許の出願経過について(ア) 拒絶理由通知書(乙2)によれば,原告は,審査官から,本件特許の 出願手続において,本件各特許発明は,乙4公報等に基づいて容易に発 められる。 エ本件特許の出願経過について(ア) 拒絶理由通知書(乙2)によれば,原告は,審査官から,本件特許の 出願手続において,本件各特許発明は,乙4公報等に基づいて容易に発明をすることができたものであるなどとする拒絶理由通知を受けたこと,乙4公報には,以下の発明が記載されていることが認められる。 「【特許請求の範囲】【請求項1】積み重ねられた上部コンテナの下面のコーナ金具と下部コンテナの下面のコーナ金具間に配置されるフランジを有し,そのフランジの上面に上側コーナ金具に設けられた係合孔に着脱自在に取付けられる上部位置決め突部を設け,フランジの下面に下側コーナ金具に設けられた係合孔に挿入可能な下部位置決め突部を設けたコンテナの位置決め金具において,前記フランジの下面に設けられた下部位置決め突部の一側に下部コンテナの他側に向けて傾斜するテーパ面を形成し,かつ下部位置決め突部に上記テーパ面と同方向に傾斜して下部位置決め突部の他側面で開口するガイド孔を設け,そのガイド孔内にラッチと,そのラッチを外方向に押圧するスプリングとを組込み,上記ラッチの先端部がガイド孔から外方に突出する状態でラッチを抜け止めする抜け止め手段を設け,かつラッチの先端部に前記テーパ面に対して逆方向に傾斜するテーパ面を形成したことを特徴とするコンテナの位置決め金具。」「【発明の詳細な説明】【0044】また,位置決め金具30の下部位置決め突部33の一側にはテーパ面41が形成されているため,上側コンテナC1の下降時に,その上側コンテナC1と下側コンテナC2との間で左右方向に多少のずれがある場合でも,上側コンテナC1の下降により上記テーパ面41が係合孔3の周縁部で案内されつつ下降するため,左右方向のずれは修正されることになり,位置決 下側コンテナC2との間で左右方向に多少のずれがある場合でも,上側コンテナC1の下降により上記テーパ面41が係合孔3の周縁部で案内されつつ下降するため,左右方向のずれは修正されることになり,位置決め金具30の下部位置決め突部33を係合孔3内に確実 に挿入することができる。」【図1】この発明に係る位置決め金具の斜視図 【図6】コンテナの積み重ね前の状態を示す一部切欠正面図 【図7】コンテナの積み重ね状態を示す一部切欠正面図 (イ) 原告代理人作成の意見書(乙3)によれば,原告は,前記拒絶理由通知を受けて,以下の意見を述べたことが認められる。なお,「引用文献2」は,乙4公報を指すものであり,「構成要件C後段」は,本件特許発明1の構成要件Eを指すものである。 「本件発明(請求項1記載の発明)と引用文献2に記載された発明とを比較検討すると,少なくとも上記構成要件C後段について引用文献2には開示も示唆もされていない。 なお,引用文献2には,位置決め金具30の下部位置決め突部33の一側にテーパ面41が形成されていることが記載されているが,上記テーパ面41は,上側コンテナC1の下降時におけるその上側コンテナC1と下側コンテナC2との間の左右方向のずれを修正するためのものであり,図1からも明らかなように,下部位置決め突部33の一側全面に設けられたものである。 これに対し,本件発明の導入面取り部30は下側連結突起23と係止板21との接合部に設けられ,連結片が導入テーパ29によって細長孔33に挿入されて正確に位置付けられた後,上段コンテナをさらに下降させることにより,細長孔33の構成壁に当接させてロック用留め具28を 21との接合部に設けられ,連結片が導入テーパ29によって細長孔33に挿入されて正確に位置付けられた後,上段コンテナをさらに下降させることにより,細長孔33の構成壁に当接させてロック用留め具28を細長孔33内部のロック位置へと案内するためのものであり,引用文献2の上記テーパ面41とはその構成・作用を全く異にする。」「本件発明では構成要件AないしDが有機的に結合することにより,荷役者を介することなくコンテナの連結および分離ができ,全自動デバイスとして使うことができるという引用文献にはない顕著な効果を奏する。」(ウ) 意識的除外について前記(ア)及び(イ)によれば,構成要件Eの「導入面取り部」は,他の構成要件と有機的に関連して,全自動デバイスとして使うことができる という本件特許発明1特有の作用効果を奏させる構成であること,より具体的には,「ロック用留め具を細長孔内部のロック位置へと案内する」という機能を有することが必須であり,単に,上側コンテナの下降時に,上下のコンテナ間で左右方向に多少のずれがある場合でも,テーパにより係合孔の周縁部で案内されつつ下降するため,左右方向のずれが修正され,下部突部を係合孔内に確実に挿入することができるというためだけの構成のテーパ(乙4公報に係る発明)は,除外されることが認められる。 オ構成要件Eの解釈前記アのとおり,本件明細書の【特許請求の範囲】の記載によれば,構成要件Eの「導入面取り部」は,「上段コンテナの4つの下側コーナーフィッティングの細長孔に連結片の上側連結突起を挿入した状態で,連結片の下側連結突起を下段コンテナの4つの上側コーナーフィッティングの細長孔に挿入し,上段コンテナと下段コンテナとを連結させる一連の動きが現在行われている間に」,「細長孔を 突起を挿入した状態で,連結片の下側連結突起を下段コンテナの4つの上側コーナーフィッティングの細長孔に挿入し,上段コンテナと下段コンテナとを連結させる一連の動きが現在行われている間に」,「細長孔を構成する壁に当たっていて接している状態で」,「下段コンテナの上側コーナーフィッティングに設けられた細長孔内部の長手側方の一方側に突出するように,連結具の下側連結突起の側面に設けられた突出部(ロック用留め具)を,細長孔内部の長手側方の一方側と係止する場所(位置)まで導くように傾斜した」構成のものである。より具体的には,前記イのとおり,「連結片をロック用留め具が向いている方向に押して,ロック用留め具を下段コンテナのコーナーフィッティング内に係合させるもの」である。 また,前記イ,ウのとおり,構成要件E(本件特許発明1)は,上段コンテナを鉛直軸に対して回転させ,下段コンテナと連結する作用を奏するための構成であるが,この構成を備えることによる作用効果は,汚れによるトラブルのない全自動デバイスにより,コンテナの連結と分離ができ(下 段コンテナに対し,上段コンテナを垂直に上下させることにより,鉛直軸に対して回転させながら,連結と分離ができる。),かつ,4つの連結片がコンテナの前方と後方とで逆向きに設置される結果,航海中の船の揺動に対して,安全なロック状態を保つことができるというものである。 さらに,前記エのとおり,「上側コンテナの下降時に,上下のコンテナ間で左右方向に多少のずれがある場合でも,テーパにより係合孔の周縁部で案内されつつ下降するため,左右方向のずれが修正され,下部突部を係合孔内に確実に挿入することができるという構成のテーパ」は,除外される。 (2)被告製品の構成及び構成要件Eの充足性についてア別紙2図面記載の被告製品 め,左右方向のずれが修正され,下部突部を係合孔内に確実に挿入することができるという構成のテーパ」は,除外される。 (2)被告製品の構成及び構成要件Eの充足性についてア別紙2図面記載の被告製品の形状及び被告提出の動画(乙1)によれば,被告製品を用いた上下のコンテナの連結動作は,順次,以下のようなものであることが認められる。 (ア) 動作1以下の図のとおり,上段コンテナのコーナー金具に装着された被告製品の下部突部が下段コンテナのコーナー金具の溝穴に挿入される。 (イ) 動作2上段コンテナを下降させていくと,以下の図のとおり,可動突部が下段コンテナの溝穴の構成壁に当接することにより上方に回動してへこむ。 (ウ) 動作3上段コンテナをさらに下降させると,以下の図のとおり,可動突部が下段コンテナのコーナー金具の溝穴を通過し終えた時点で,溝穴の構成壁との当接(接触状態)が解除され,バネの付勢力によって下側コンテナのコーナー金具の細長孔の内部で突出する状態(ロック位置に至る状態)となる。なお,この時点では,下部突部傾斜面は,溝穴の構成壁とは当接していない。 (エ) 動作4その後,以下の図のとおり,下部突部傾斜面が溝穴の構成壁と当接して位置決めされた状態で,上段コンテナは下段コンテナに載置され,連結される。 以上のとおり,被告製品の下部突部は,可動突部と反対側(図面左側)の面が,先端から円弧を描くように傾斜しているため,下段コンテナのコーナー金具の溝穴に挿入される際に,上記可動突部と反対側(図面左側)の面に溝穴の壁が当接した場合は,必ず,上 部と反対側(図面左側)の面が,先端から円弧を描くように傾斜しているため,下段コンテナのコーナー金具の溝穴に挿入される際に,上記可動突部と反対側(図面左側)の面に溝穴の壁が当接した場合は,必ず,上記斜面によって可動突部の方向(右側)に移動させられた後,上段コンテナが下段コンテナに向かって下降し(上記斜面に溝穴が当接しなかった場合は,下部突部はそのまま下降する。いずれの場合でも,下部突部の最大幅は,コーナー金具の溝穴より大きいため,可動突部は溝穴の壁に当接した後,へこむ。),下部突部傾斜面が溝穴の構成壁と当接する前の時点において,可動突部が元に戻り,細長孔の構成壁と係合する状態,すなわち構成要件Eの「ロック位置」に位置することが認められる。 したがって,被告製品の可動突部は,下部突部傾斜面によってロック位置へと案内されるものではない。 また,被告製品は,上段コンテナを下段コンテナに対して単に下降させることにより連結がされるものであり,上段コンテナを鉛直軸に対して旋回させることにより連結がされるものではないから,本件特許発明1とは,この作用効果の点においても相違するというべきである。 イこれに対し,原告は,実際のコンテナの連結作業では,被告製品の可動突部が下部突部傾斜面によってロック位置まで案内されることがあり得る旨主張し,被告製品を用いた連結作業を撮影した各動画(甲20ないし 22)を証拠として提出している。 そこで検討すると,まず,甲20では,下部突部傾斜面が溝穴の構成壁と当接した状態で,被告製品が下部突部傾斜面の方向(画面向かって左上側)から可動突部の方向(同右下側)に向かって移動する様子が撮影されている。しかしながら,この画像は,単一の被告製品のみを用いた連結動作を撮影したものであるから,実際のコンテナ 向(画面向かって左上側)から可動突部の方向(同右下側)に向かって移動する様子が撮影されている。しかしながら,この画像は,単一の被告製品のみを用いた連結動作を撮影したものであるから,実際のコンテナの連結作業を明らかにするものではないし,連結動作が途中で一旦停止し,被告製品が下部突部傾斜面の方向(右側)とは反対の方向(左側)に向かって移動しているが,どのような力が加わって,これらの動作が生じているかは不明であることからしても,採用することはできない。 次に,甲21では,複数の被告製品を同時に用いた連結動作が撮影されているものの,実際のコンテナの連結作業を撮影したものではない上,これらの画像では,下部突部傾斜面が溝穴の構成壁と当接した状態で被告製品が可動突部の方向(画面向かって右側)に向かって移動しているかどうかも判然としないものである。 甲22では,被告製品を用いて空のコンテナを連結する作業が撮影されており,下部突部傾斜面が溝穴の構成壁と当接した状態で,被告製品が可動突部の方向(画面向かって右側)に移動していることは認められる。しかしながら,この画像ではコンテナが左右に大きく揺れ,旋回する方向の揺れも生じるなどしているところ,甲24の1・2によれば,風速が限界に達した状態で撮影されたものであることが認められるから,にわかに採用しがたいものというべきである。そもそも,上記画像では,下部突部傾斜面が溝穴の構成壁と当接した時点で,被告製品の可動突部が細長孔の構成壁と当接している(ロック位置に至っている)ことがうかがえる。 これらのことからすると,実際のコンテナの連結作業において,被告製品の下部突部傾斜面によって可動突部がロック位置まで案内されると認 めることはできない。 かえって,乙5によれば,コンテナの連結作業を すると,実際のコンテナの連結作業において,被告製品の下部突部傾斜面によって可動突部がロック位置まで案内されると認 めることはできない。 かえって,乙5によれば,コンテナの連結作業をするに当たっては,上段コンテナを下段コンテナの真上に移動させて位置決めし,その状態から上段コンテナを自重によって巻き下げ,下段コンテナと連結させるため,その間にコンテナは揺れないことが認められる。なお,原告は,コンテナが強風等で揺れる状態でも連結作業をすることがあるとも主張し,動画投稿サイトに投稿された動画(甲25)を裏付けとして提出しているものの,上記認定を左右しない。 そもそも,被告製品は,前記アのとおり,下段コンテナに挿入される際には,下部突部がまっすぐに下降するか,可動突部が設けられている方向に移動しながら下降するものであるから,可動突部が設けられている方向と逆方向に移動することは,何らかの力が作用しない限りあり得ない。可動突部にバネが設置されているが,バネの付勢力によって,逆方向への移動が生じることを認めるに足りる証拠はなく,原告の上記主張はにわかに採用しがたい。 ウ前記ア及びイによれば,被告製品において,下部突部傾斜面が可動突部をロック位置へと案内し,上段コンテナを鉛直軸に対して旋回させることによって,上下のコンテナを連結する構成のものであるとは認めることができないから,構成要件Eを充足するということはできない。 仮に,被告製品の下部突部傾斜面が溝穴の構成壁と当接して,可動突部の設けられている方向に移動させられる場合があるとしても,その場合における下部突部傾斜面の作用は,可動突部をロック位置へと案内し,上段コンテナを鉛直軸に対して旋回させて,上下のコンテナを連結するというものではなく,上下のコンテナ間での左右方向のず ても,その場合における下部突部傾斜面の作用は,可動突部をロック位置へと案内し,上段コンテナを鉛直軸に対して旋回させて,上下のコンテナを連結するというものではなく,上下のコンテナ間での左右方向のずれを解消し,下部突部を下段コンテナのコーナー金具の溝穴に確実に挿入するという作用効果を奏するにすぎないものというべきである。 以上によれば,被告製品が構成要件Eを充足するとは認めることができないから,その余の点について判断するまでもなく,被告製品が本件特許発明1の構成要件を文言上充足するとはいうことができず,その技術的範囲に属するとはいえない。 また,本件特許発明2ないし5についても,本件特許発明1の従属項であるから,被告製品は,本件特許発明2ないし5の技術的範囲に属するとはいえない。 2 争点1-2(被告製品は,本件各特許発明と均等なものとしてその技術的範囲に属するか)について(1)特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存する場合であっても,① 上記部分が特許発明の本質的部分ではなく,② 上記部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,③ 上記のように置き換えることに,当業者が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり,④ 対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから上記出願時に容易に推考できたものではなく,かつ,⑤ 対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは,上記対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属する。 (2)原告は,被告製品は,本件 ら意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは,上記対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属する。 (2)原告は,被告製品は,本件特許発明1の構成要件Eの「導入面取り部」に換えて,可動突部を下部突部に対して可動に設計したものであるが,被告製品は,本件各特許発明と均等なものとしてその技術的範囲に属すると主張する。しかし,以下の理由から,前記1で認定した本件各特許発明と被告製品の相違点(原告の主張する置換部分)は,本件各特許発明の本質的部分(前記(1)①)ではないと認めることができない。 ア特許発明の本質的部分とは,特許請求の範囲に記載された特許発明の構成のうちで,当該特許発明特有の課題解決手段を基礎づける特徴的な部分,言い換えれば,上記部分が他の構成に置き換えられるならば,全体として当該特許発明の技術的思想とは別個のものと評価されるような部分をいうものと解される。 そして,本質的部分に当たるかどうかを判断するに当たっては,特許発明を特許出願時における先行技術と対比して課題の解決手段における特徴的原理を確定した上で,対象製品の備える解決手段が特許発明における解決手段の原理と実質的に同一の原理に属するものか,それともこれとは異なる原理に属するものかという点から判断すべきものである。 イ本件明細書の【発明の詳細な説明】欄には以下の記載がある。 【0004】先行技術である「ミッドロックは以下の欠点を有する。上述したように,通常船上では,ミッドロックを通常挿入するコンテナ後方のコーナーフィッティングに近づくのは困難である。‥‥従来のミッドロックでは,その前方開口部にロック用留め具が係合して開口部をふさいでいるため,固縛手段を下段のコンテナの上側のコー するコンテナ後方のコーナーフィッティングに近づくのは困難である。‥‥従来のミッドロックでは,その前方開口部にロック用留め具が係合して開口部をふさいでいるため,固縛手段を下段のコンテナの上側のコーナーフィッティングに固定することができない。 【0005】上記に基づき,本願発明の基本目的は,上下に載置したコンテナの連結片と配列,および上下に載置したコンテナを連結させるための方法を創作することである。コンテナの上側のコーナーフィッティングの前側の開口部は,固縛手段のために開放されている。 【0006】この目的を達成するために,本願発明の連結片は,ロック用留め具が他方の連結突起上に,コンテナの長手方向視で横に配置してあることを特徴 とする。本願発明の配列は,コンテナが本願発明の連結片によって少なくともコンテナ前方のコーナーフィッティングにおいて,互いに連結していることを特徴とする。本願発明の方法によると,上段のコンテナと下段のコンテナとを連結または分離するときに,上段のコンテナがコンテナの鉛直軸を中心に水平方向に旋回する‥‥。」「【0010】先行技術である「全自動デバイスには,可動ロック部材が特に汚れの影響をとても受けやすいという欠点がある。したがって,これらの全自動デバイスは,たとえよくメンテナンスしたとしても非常にトラブルを起こしやすい。 【0011】本願発明による特徴を備えた連結片は,全自動デバイスとして使うことができる。連結片は,上段コンテナの下側コーナーフィッティングの4つ全てにそれぞれ挿入される。同じデザインの連結片を4つ用いると,自動的にロック用留め具はコーナーフィッティングの「前方」と「後方」で異なる方向を向いてロックが掛かることとなる。このように準備したコンテナを下段のコンテナ る。同じデザインの連結片を4つ用いると,自動的にロック用留め具はコーナーフィッティングの「前方」と「後方」で異なる方向を向いてロックが掛かることとなる。このように準備したコンテナを下段のコンテナに載置するとき,特に連結片の形状のおかげで,コンテナは簡単に鉛直軸に対して旋回し,連結片の下側連結突起がロック用留め具によって下段コンテナのコーナーフィッティング内へ係合する。この結果として,航行中の上下に載置したコンテナ同士の安全なロックが保証される。‥‥」ウ本件明細書【0004】及び【0010】の記載によれば,先行技術であるミッドロックには,コンテナの前方開口部にロック用留め具が係合して開口部をふさぐという欠点があること,先行技術である全自動デバイスには,可動ロック部材が特に汚れの影響をとても受けやすいという欠点があることが認められる。 また,同【0005】の記載によれば,本件特許発明1は,上記各欠点(課題)の解決手段として,上下に載置したコンテナの連結片と配列,上下に載置したコンテナを連結させるための方法を創作したものであることが認められる。 そして,同【0006】及び【0011】の記載によれば,上記解決手段の原理は,① ロック用留め具が下側連結突起上にコンテナの長手方向視で横に配置されていること,② 連結片の形状のおかげで,上段コンテナが鉛直軸に対して旋回することにより,連結片の下側連結突起がロック用留め具によって下段コンテナのコーナーフィッティング内に係合するというものであることが認められる。そして,前記1(1)のとおり,上記②の「連結片の形状」は,構成要件Eの「導入面取り部」を意味するものと考えられる。 そうすると,構成要件Eの「導入面取り部」は,本件特許発明1の課題解決手段である上記②における基 のとおり,上記②の「連結片の形状」は,構成要件Eの「導入面取り部」を意味するものと考えられる。 そうすると,構成要件Eの「導入面取り部」は,本件特許発明1の課題解決手段である上記②における基本的構成であり,特徴的原理を成すものであることが認められる。換言すれば,本件特許発明1において,全自動デバイスとして,上下のコンテナを連結する作用効果を奏させるには,構成要件Eの「導入面取り部」によりロック用留め具をロック位置まで案内することが必要不可欠の構成であり,課題解決の原理そのものであるというべきである。 これに対し,被告製品では,全自動デバイスとして,上下のコンテナを連結する作用効果を奏させるため,構成要件Eの「導入面取り部」の構成によりロック用留め具を係合位置まで移動させる構成ではなく,ロック用留め具そのものを可動突部とすることにより下段コンテナの溝穴と係合させる構成が採用されている。 したがって,被告製品の課題解決手段は,本件特許発明1の解決手段の原理と実質的に同一の原理に属するものとはいえず,むしろ,異なる原理 に属するものというべきである。 以上によれば,構成要件Eは,特許請求の範囲に記載された本件特許発明1の構成のうちで,当該特許発明特有の課題解決手段を基礎づける特徴的な部分であり,特許発明の本質的部分に当たる。このことは,前記1(1)エ(イ)のとおり,原告が,本件特許の出願手続において,「本件発明では構成要件AないしDが有機的に結合することにより,荷役者を介することなくコンテナの連結および分離ができ,全自動デバイスとして使うことができるという引用文献にはない顕著な効果を奏する」旨の意見書を提出していることからも明らかである。 (3)よって,被告製品と本件特許発明1とは,本件特許発明1の本質的部分 動デバイスとして使うことができるという引用文献にはない顕著な効果を奏する」旨の意見書を提出していることからも明らかである。 (3)よって,被告製品と本件特許発明1とは,本件特許発明1の本質的部分である構成要件Eの点で相違するから,その余の点について検討するまでもなく,被告製品が本件特許発明1と均等なものであるということはできない。 また,本件特許発明2ないし5についても,本件特許発明1の従属項であるから,被告製品は,これらと均等なものであるということもできない。 第5 結論以上によれば,被告製品が本件各特許発明の技術的範囲に属するとは認めることができないから,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求にはいずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官山田陽三 裁判官西田昌吾 裁判官達野ゆきは,差し支えのため,署名押印することができない。 裁判長裁判官山田陽三 別紙1製品目録以下の製品名で特定されるコンテナ連結具 1 フルオートツイストロック(FA-8) 2 フルオートツイストロック(FA-8D) 具体的な形状は,別紙2図面のとおりであり,図面の符号の説明は,以下のとおりである。 21‥‥‥‥連結板22‥‥‥‥上部突部23‥‥‥‥下部突部28,54‥可動突部29‥‥‥‥テーパ30‥‥‥‥下部突部傾斜面 別紙2図面 部突部28,54可動突部29テーパ30下部突部傾斜面 別紙2図面
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