主文 1 原告A,原告B及び原告Cが,被告に対し,それぞれ雇用契約に基づく権利を有することを確認する。 2 被告は,原告Aに対し,金869万6340円を支払え。 3 原告Aの訴えのうち,口頭弁論終結後の給付を求める部分を却下する。 4 原告Aのその余の請求を棄却する。 5 被告は,原告Bに対し,金883万0800円を支払え。 6 原告Bの訴えのうち,その余の部分を却下する。 7 被告は,原告Cに対し,金752万8040円を支払え。 8 原告Cの訴えのうち,その余の部分を却下する。 9 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 9年事件(1) 原告A及び原告Bが,被告に対し,それぞれ雇用契約に基づく権利を有することを確認する。 (2) 被告は,原告Aに対し,次の金員を支払え。 ア金23万2360円イ平成9年8月25日限り4万9750円ウ同年9月から毎月25日限り(ただし7月と12月を除く)金14万5300円エ同年12月から毎年7月及び12月の各25日限り金29万0600円(2) 被告は,原告Bに対し,次の金員を支払え。 ア金30万円イ平成9年7月25日限り4万4250円ウ同年10月25日限り8万6550円エ同年11月から毎月25日限り(ただし7月と12月を除く)金15万円オ同年12月から毎年7月及び12月の各25日限り金30万円 2 10年事件(1) 原告Cが,被告に対し,雇用契約に基づく権利を有することを確認する。 (2) 被告は,原告Cに対し,次の金員を支払え。 ア金109万8720円イ平成10年10月から毎月25日限り金15万2600円ウ平成10年12月から毎 ことを確認する。 (2) 被告は,原告Cに対し,次の金員を支払え。 ア金109万8720円イ平成10年10月から毎月25日限り金15万2600円ウ平成10年12月から毎年7月及び12月の各25日限り金28万3120円第2 事案の概要本件は,準職員として被告に勤務していた原告らが,9年事件原告らについては妊娠したことを,10年事件原告については正規職員採用試験の不合格を理由として,それぞれ不当に雇用契約の更新拒絶(雇止め)を受けたとして,雇用契約上の権利の確認と賃金及び賞与の支払を求めた事案である。 第3 争いのない事実 1 当事者等(1) 被告は,精神病院を経営する財団法人であり,主たる事務所のある愛媛県宇和島市において宇和島病院(以下「被告(宇和島病院)」という。)を,同県今治市において今治病院を,同県南宇和郡a町において御荘病院をそれぞれ設置している。 (2) 9年事件原告A(以下「原告A」という。)は,平成6年10月17日,被告(宇和島病院)に臨時職員として採用され,平成7年4月1日,準職員となり,介護者として勤務してきた。 (3) 9年事件原告B(以下「原告B」という。)は,平成6年7月29日,被告(宇和島病院)に臨時職員として採用され,平成7年4月1日,準職員となり,准看護婦として勤務してきた。 (4) 10年事件原告C(以下「原告C」という。)は,平成5年7月5日臨時職員として被告(宇和島病院)に採用され,平成7年4月1日準職員となり,准看護婦として勤務してきた。 (5) 全国一般正光会労働組合(以下「労働組合」という。)は,被告の従業員によって組織される労働組合であり,原告らは,労働組合の組合員である。 2 被告と原告らとの契約更新及びその拒絶(1) 被告は,原告A 正光会労働組合(以下「労働組合」という。)は,被告の従業員によって組織される労働組合であり,原告らは,労働組合の組合員である。 2 被告と原告らとの契約更新及びその拒絶(1) 被告は,原告A及び原告Bとの間で平成7年4月1日及び平成8年4月1日の2回(準職員としては平成8年4月1日の1回),それぞれ契約期間を1年と定めて雇用契約を更新したが,平成9年2月14日,3回目の更新に際し,原告A及び原告Bに対し,同年4月1日以降いずれも契約は更新しない旨の告知をし,更新を拒絶した。 (2) 被告は,原告Cとの間で平成6年から平成9年までの各年の4月1日に4回(準職員としては平成8年4月1日及び平成9年4月1日の2回),契約期間を1年と定めて雇用契約を更新した。 被告は,平成9年12月18日,その理事会において,準職員の正規職員への採用試験を実施すること,この試験に不合格の者及び試験を受験しない者を契約期間満了を理由に雇止めにすることを決定した。原告Cは,受験することが不合格の場合の雇止めに応じるものではないことを前提に平成10年1月13日,この試験を受けた。被告は,原告Cに対し,平成10年2月23日,試験不合格を理由として,同年4月1日以降契約は更新しない旨の告知をし,更新を拒絶した。 3 原告らの賃金(1) 原告A原告Aの賃金は,平成9年4月から契約を更新されていた場合,月額14万5300円(支払期日は当月25日)であり,夏期及び年末賞与はそれぞれ賃金1か月相当分であり,各14万5300円(夏期賞与の支払期日は毎年7月25日,年末賞与の支払期日は毎年12月25日)である。 (2) 原告B原告Bの賃金は,平成9年4月から契約を更新されていた場合,月額15万円(支払期日は当月25日)であり,夏期及び年末賞与は,それぞれ 賞与の支払期日は毎年12月25日)である。 (2) 原告B原告Bの賃金は,平成9年4月から契約を更新されていた場合,月額15万円(支払期日は当月25日)であり,夏期及び年末賞与は,それぞれ賃金1か月相当分であり,各15万円(夏期賞与の支払期日は毎年7月25日,年末賞与の支払期日は毎年12月25日)である。 (3) 原告C原告Cの賃金は,平成10年4月から契約を更新されていた場合,同年6月末までは月額15万円,同年7月1日以降は月額15万2600円(支払期日は当月25日)であり,夏期及び年末賞与は,平成10年6月末までは1か月相当分であり,同年7月1日以降は1.2か月相当分(夏期賞与の支払期日は毎年7月25日,年末賞与の支払期日は毎年12月25日)である。 第4 争点及びこれに対する当事者の主張(以下において,書証を摘示する場合の証拠番号は,特に断らない限り9年事件のものである。) 1 解雇に関する法理の類推適用の可否(原告ら3名の再抗弁)(1) 原告らの主張の概要原告らと被告との雇用契約は,1年毎に更新することになってはいるが,①採用時の面接において被告担当者から契約更新の期待を生じさせる発言があったこと,②契約更新手続が形式的なものであったという実情,③本件各雇止め以前における被告(宇和島病院)における雇止めの状況,④準職員の職務が正職員のそれと異ならないこと,⑤準職員が一時的,臨時的なものではなく,恒常的な存在であったこと,及び⑥準職員の雇用条件は契約更新を前提としていることに照らせば,実質的には期間の定めのない雇用契約であり,あるいは,原告らは,契約が更新されて雇用が継続されることについて合理的な期待を有していた。このため,契約の更新拒絶は実質的には解雇処分に当たり,解雇に関する法理が類推適用されるから,雇用 約であり,あるいは,原告らは,契約が更新されて雇用が継続されることについて合理的な期待を有していた。このため,契約の更新拒絶は実質的には解雇処分に当たり,解雇に関する法理が類推適用されるから,雇用契約は,雇用期間の経過によっても当然には終了しない。 (2) 採用時における被告面接担当者の言動ア原告らの主張(ア) E事務長の発言原告らを採用する際の面接で,被告の面接担当者であったE事務長は,原告らに対し,次のように述べて,雇用期間は1年を越えての実質的継続雇用であると告げた。 a 原告Aの場合E事務長は,原告Aに対し,「1年毎に契約するんやけどかまわんかな。よっぽどのことがない限り,1年で辞めさせることはないんやけど。」と述べた。 b 原告Bの場合E事務長から「臨時職員は1年,1年の契約になるけど。」と言われ,原告Bが「そう長くはよう働かんかもしれません。」と言ったところ,E事務長は「イアーそんなこといわんと,長ければ長いほどいいので頑張って下さい。」と述べた。 c 原告Cの場合E事務長は「これまでの例としてはパートの人(臨時職員)は4,5年以上働いて正式採用された人もいる。まあ,はっきりと4,5年とは言えないが,最低4,5年我慢して継続して勤務していれば本採用になる可能性がある。」と述べた。 (イ) E事務長が継続雇用に係る発言をし得る背景被告と労働組合は,平成4年1月7日,「継続雇用者5名のパート者については,正式採用の件を継続審議とする。」との覚書を締結し,同年7月22日,覚書の継続雇用者(現在4名)を終身雇用とする。」との労働協約(実施日平成4年4月1日)を締結した。E事務長及びF総看護長は,労働組合との団体交渉に出席しており,原告らを採用する当時,これらの事情をよく知って 雇用者(現在4名)を終身雇用とする。」との労働協約(実施日平成4年4月1日)を締結した。E事務長及びF総看護長は,労働組合との団体交渉に出席しており,原告らを採用する当時,これらの事情をよく知っていた。 イ被告の主張(ア) 原告らがE事務長の発言内容として主張するところについては否認する。原告らに対しては,採用の際,契約が1年の期間を定めたものであり,期間満了時に必ずしも更新されるものではないことを,十分に説明している。 (イ) E事務長が継続雇用に係る発言をし得ない背景原告Cの採用当時,被告と労働組合宇和島分会(以下「組合分会」又は単に「分会」という。)との間においては,「事前協議協定」(乙7)が存在し,臨時職員採用に当たっても,次のような厳格な労使協議と合意のための手続が履行されていた。すなわち,欠員が生じた場合には,①分会団交を開いて,退職者,欠員について確認を行い,②被告の設置している他病院の職員から,宇和島病院への転勤希望者の公募をし,③応募がなければ募集内容を労使で決定し一般募集を行い,④一般の応募があれば,団体交渉で分会に報告し,分会から面接の了解を取り,面接日を設定し,⑤面接に際しては,年度末までの採用とし,⑥面接後に分会団交を開き,協議の上で採否を確認し,文書で協定した上で採否を決する,という手順を踏んでいたため,再契約についても分会との団交を要した。 このような労使関係のもと,採用面接の当事者であるE事務長やF総看護長が,原告Cに対し,継続雇用の期待を持たせるような発言をすることができる条件は存在しなかった。 (3) 契約更新手続の実情(原告らの主張)契約更新手続は,次期の契約書の作成,調印に当たって交渉と呼ぶべき実態はなく,準職員らが被告の事務長に呼ばれ,入室した際には既に被告(宇和島病院)院長 (3) 契約更新手続の実情(原告らの主張)契約更新手続は,次期の契約書の作成,調印に当たって交渉と呼ぶべき実態はなく,準職員らが被告の事務長に呼ばれ,入室した際には既に被告(宇和島病院)院長の記名捺印がある契約書が用意されており,そこに準職員らが記名捺印するだけで完了する形式的なものであり,その際,被告担当者の「続けて来てもらえますか。」との問いに,「はい。」と答えて終わるというのが通例であった。 (4) 原告らに対する雇止めがされるまでの被告(宇和島病院)における雇止めの実情ア原告らの主張平成7年から平成10年までの各3月末日の時点における,被告の準職員(臨時職員)の契約更新状況は,次のとおりである。 (ア) 平成7年3月末日の臨時職員31名につきa 準職員として契約更新された者24名(看護婦2名,准看護婦12名,介護職員(看護助手)8名,薬局助手,検査助手各1名)b 正規職員として採用された者2名(看護士,放射線技師各1名)c 臨時職員のまま契約更新された者1名(作業療法士)d 被告の今治病院へ転勤した者1名(作業療法士)e 退職した者3名(看護助手,准看護婦,薬局助手各1名)なお,eの退職者は,いずれも自己都合による退職であって,雇止めではない。 (イ) 平成8年3月末日の準職員31名につきa 準職員として契約更新された者28名b 正規職員として採用された者3名(ウ) 平成9年3月末日の準職員35名につきa 準職員として契約更新された者18名b 正規職員として採用された者5名(看護婦1,准看護婦2,介護職員1,作業療法助手1)c 臨時職員として契約更新された者1名(准看護士)d 退職した者11名(雇止めを通告された者3名(原告A及び原告Bほか1名)を含む。)なお,dの退職者は,雇止めを通告された原告 療法助手1)c 臨時職員として契約更新された者1名(准看護士)d 退職した者11名(雇止めを通告された者3名(原告A及び原告Bほか1名)を含む。)なお,dの退職者は,雇止めを通告された原告A及び原告Bほか1名を除き,いずれも自己都合による退職であって,雇止めではない。 (エ) 平成10年3月末日の準職員34名につきa 準職員として契約更新された者15名(准看護婦5名,介護職員3名,薬局助手3名,検査助手,作業療法助手各1名,給食員2名)b 正規職員として採用された者10名(看護婦3名,准看護婦4名,介護職員2名,事務員1名)c 退職した者9名なお,cの退職者は,雇止めを通告された原告Cほか1名を除き,いずれも自己都合による退職であって,雇止めではない。 イ被告の主張(ア) 雇止めの意義本人に継続して勤務する意思があっても,被告の基本方針,すなわち,通常勤務をすることができるという条件を充たさないため,期間満了により退職となった準職員は,自己都合退職ではなく,雇止めによる退職というべきである。 (イ) 平成5年以後に期間満了により退職した臨時職員(準職員)の退職の理由平成6年から平成9年までの各3月31日に退職した準職員(臨時職員)17名中,純粋な自己都合の退職者は8名にすぎず,その余の9名は雇止め通告によるものである。自己都合退職者8名のうち,自発的な希望による退職は4名のみであり,他の4名は正式採用されない結果として退職したものである。 (ウ) 平成9年3月末日に期間満了により退職した準職員の退職の理由平成9年3月末日をもって退職した準職員のうち,原告A及び原告Bを除く9名については,すべて期間満了による雇止めによる退職となる。Dを除く8名は,皆,宇和島病院での就業を希望していたが,通常勤務ができないために,継続 もって退職した準職員のうち,原告A及び原告Bを除く9名については,すべて期間満了による雇止めによる退職となる。Dを除く8名は,皆,宇和島病院での就業を希望していたが,通常勤務ができないために,継続勤務の希望がかなわなかったという点で,いずれも雇止めされたものである。 (4) 正職員と準職員の業務内容の相違(原告の主張)正職員と準職員は,担当する患者数や病状の軽重について区別することなく均等に振り分けて担当を決め,交替勤務などの業務内容について全く差がない。準職員について,特に看護長が指導を行ったり,フォローをするなどということもない(なお,本件の各雇止めの行われた後である平成10年5月以降に採用された準職員については,担当する患者数が減らされる例が生じている。)。 (5) 準職員が過渡的,一時的なものではなく,恒常的に存在してきたことア原告らの主張被告に,平成7年4月1日以降,増員の必要がある場合,それが一時的なものではなく,恒常的な増員の必要に基づく場合であっても,準職員の採用によりこれに対応してきており,準職員は過渡的,一時的に雇用される者ではなく,恒常的長期的に被告の業務に必要とされる存在である。 イ被告の主張被告としては,経営上の必要から,職員構成を変更せざるを得ないときもあるが,このような事態に直面した場合,正規職員と異なり雇用期間の限定された準職員の制度は,経営効率の面から人件費の高騰を抑えるという側面のほか,職員構成の変更を柔軟に行うことを可能にする制度であるという側面がある。 (6) 契約更新を前提とする準職員の雇用条件ア原告らの主張準職員の雇用条件は,次の諸点に現れているとおり,永年継続して勤務することを前提とし,かつ,これを評価する体系となっている。 (ア) 昇給平成7年4月1日か 員の雇用条件ア原告らの主張準職員の雇用条件は,次の諸点に現れているとおり,永年継続して勤務することを前提とし,かつ,これを評価する体系となっている。 (ア) 昇給平成7年4月1日から実施された準職員等就業規則は,昇給について「勤続1年(6か月以上)を経過した準職員等については,毎年1回4月に昇給します。昇給額は前条に定める給与表により行います。」(29条)と定め,給与表は10号俸まで示されている。 (イ) 賞与の支給賞与の支給について,準職員等就業規則は,「継続して1年以上勤務した準職員等については,夏期賞与(7月)及び年末賞与(12月)を支給します。」(33条)と定めている。 (ウ) 正規職員採用制度正規職員への採用について,準職員等就業規則は,「準職員として採用された者で,雇用契約を反復更新し,勤務成績,及び技能優秀と認められた者は,正職員として採用することがあります。」と定め(10条2項),準職員として契約を反復更新された者をその対象としている。 (エ) 休職制度休職について,準職員等就業規則は,「1年以上勤務した者が,私傷病等により長期欠勤する場合は,欠勤の日から1ヶ月(30日)以内は,休職扱いとすることができる。」(11条1項)と定めている。 (オ) 年次有給休暇年次有給休暇について,準職員等就業規則は,採用の日から6か月を経過し,その間の所定労働日の8割以上勤務した場合は,10日の年次休暇を付与することとした(17条1項)うえ,6か月を経過した日以後は,「1年を超えるごとに2日を加算し,20日を限度に毎年付与します。ただし,当該年度に消化しなかった年次有給休暇は,翌年に限り繰り越すことができます。」(17条2項)と定めている。 (カ) 育児休業制度の適用正光会育児休業規程は,1年以内の期間を定 付与します。ただし,当該年度に消化しなかった年次有給休暇は,翌年に限り繰り越すことができます。」(17条2項)と定めている。 (カ) 育児休業制度の適用正光会育児休業規程は,1年以内の期間を定めて雇用された者であっても,1年を超えて契約更新した者には適用されることとされている(4条2号ただし書)。 (キ) 退職慰労金の支給準職員等規則制定以前においては,1契約3か月を超えて継続勤務した者については,3か月を超える月数1月につき1万円の割合による退職慰労金が,契約更新時に支給されていた。これに対し,準職員等就業規則の実施に伴って導入された準職員退職慰労金規程においては,準職員が1年以上継続勤務し退職する場合には,退職慰労金を支給し(3条本文),退職慰労金の算定に関する勤続年数は,入職日から退職の日までとし(6条),その額は,「勤続年数別定額慰労金」の額に,退職事由に応じた係数を乗じた額とされている(5条)。そして,勤続年数別定額慰労金は,勤続年数1年であれば5万円だが,勤続年数が1年増すごとに増額され,その最高額は10年以上勤続した場合の50万円となっている(同別表1)。 イ被告の主張(ア) 臨時職員制度の推移被告における臨時職員制度としては,昭和43年4月1日,臨時従業員就業規則(甲4の2)が制定された後,育児休業制度の採用に伴い,休業する職員の代替要員に関する手当てとして,昭和54年2月13日,育児休業臨時任用職員就業規則(乙2)が制定された。その後の平成2年3月,パート者雇用期間を1年とする旨の分会協定(乙10)が成立し,これに沿って臨時職員の採用を行っていたところ,平成7年4月1日から,準職員等就業規則(乙3)を実施するに至った。 (イ) 準職員等就業規則制定の意義準職員等就業規則の制定は,準職員を永年継続して これに沿って臨時職員の採用を行っていたところ,平成7年4月1日から,準職員等就業規則(乙3)を実施するに至った。 (イ) 準職員等就業規則制定の意義準職員等就業規則の制定は,準職員を永年継続して雇用することを意図したものではない。臨時職員については,昭和43年制定の「財団法人正光会臨時従業員就業規則」と昭和54年制定の「育児休業臨時任用職員就業規則」の2種類の規則があり,具体的採用の場面で,どちらの規則を適用するかについて明確な基準がなく,臨時職員一般につき,育児休業臨時任用職員就業規則を準用する状況にあった。また,給与表による給与の明示がないばかりか,その定め方も複雑であり,有資格者である准看護婦と無資格者である看護助手との給与日額が同額になってしまうなど,是正すべき点もあった。 (ウ) 退職慰労金について退職慰労金制度は,現行の退職慰労金規程制定以前においても,賞与的性格の慰労金として,退職時に支給することとしていたが,労働組合の要求により,平成4年度夏期一時金から,新たに賞与を支給することとなったため,平成7年度の準職員等就業規則の制定に伴い,それまで,契約期ごとに支給していた慰労金を,退職時に通算して支払う制度に改善したものである。 2 被告と原告Aとの雇用期間終了の合意(原告Aに対し,1を前提とする予備的抗弁)(1) 被告の主張平成9年2月14日,被告の事務長及び総看護長が原告Aの面接を行い,通常勤務が4月1日以降もできるかどうか確認したところ,原告Aの回答は「妊娠しているので夜勤はできません。」というものであった。このため,事務長らは「通常勤務ができないなら今回は契約更新はできず,雇止めです。」と通告した。これに対して,原告Aは「わかりました。」と言って,これを承諾した。その後,同年3月11日,期間満了により原 め,事務長らは「通常勤務ができないなら今回は契約更新はできず,雇止めです。」と通告した。これに対して,原告Aは「わかりました。」と言って,これを承諾した。その後,同年3月11日,期間満了により原告Aを雇止めする旨の掲示をしたが,原告Aから被告に対する異議の申し出はなかった。 このように,被告と原告Aとの間の雇用契約は,雇止め通告に対し,原告Aがこれを了承する意思表示をし,双方の合意により円満に終了した。 同年3月15日,原告Aが勤務していた第3病棟の同僚らによる送別会が行われ,そこで,原告Aは「長い間お世話になりました。」と挨拶をし,また,出席者1名当たり2000円の餞別を貰っていた事実は,原告Aが雇止めを了承していたことの現れである。 原告Aは,いったんは雇止めを了承しておきながら,後にその意思表示を撤回することは,信義則上許されない。 (2) 原告Aの主張雇止めの通告に係る対応の内容については否認する。原告Aとしては,突然の雇止めの通告に戸惑い,事務長に対して「わかりました」と返事する以外,ほかに返事のしようがなかったのであり,それは,雇止めに対する了承を意味するものではない。また,その後も,原告Aが,被告に対して直ちに異議を述べなかったのも,送別会に参加したのも,雇止めを了承していたからではない。 3 原告Bと被告との雇用期間終了の合意(原告Bに対し,1を前提とする予備的抗弁)(1) 被告の主張平成9年2月14日,被告事務長及び総看護長は,原告Bと面接し,同年4月1日以降の勤務について,夜勤ができるかどうか原告Bに確認したところ,できない旨の回答があった。被告としては通常勤務のできることが契約更新の前提条件であったので,原告Bに対し,更新拒絶の意思表示をした。これに対して,原告Bは「よくわかりました。」と言って, ところ,できない旨の回答があった。被告としては通常勤務のできることが契約更新の前提条件であったので,原告Bに対し,更新拒絶の意思表示をした。これに対して,原告Bは「よくわかりました。」と言って,同年3月31日をもって雇止めになることを了承した。その後,同年3月11日,期間満了により,原告Bを雇止めとする旨の掲示をしたが,原告Bから被告に対する異議の申し出はなかった。 このように,被告と原告Bとの間の雇用契約は,雇止め通告に対し,原告Bがこれを了承する意思表示をし,双方の合意により円満に終了した。 同年3月下旬には原告Bともう1人の退職者のために送別会が開かれ,原告Bは花束まで受け取った。送別会の幹事であり,労働組合の役員でもあるG亨も,送別会の席上,「非常に残念です。」と挨拶をした。これらの事実は,原告Aが本件の雇止めを了承していたことの現れである。 原告Bは,いったんは雇止めを了承しておきながら,後にその意思表示を撤回することは,信義則上許されない。 (2) 原告Bの主張雇止めの通告に係る対応の内容については否認する。原告Bとしては,突然の雇止めの通告に戸惑い,事務長に対して黙ってうなずくのみで,何も言えないまま,その場から立ち去ったにすぎず,それは,雇止めに対する了承を意味するものではない。また,その後も,原告Bが,被告に対して直ちに異議を述べなかったのも,送別会に参加したのも,雇止めを了承していたからではない。 逆に,原告Bは,同年3月4日,愛媛婦人少年室に対し,本件雇止めを納得できないことを訴えている。送別会におけるGの挨拶も,原告Bがその意に反して退職させられようとしている事態に対して,残念だと述べたものであった。 4 原告A及び原告Bに対する更新拒絶の正当性(1) 更新拒絶の事由(原告A及び原告Bに対し,1を前 原告Bがその意に反して退職させられようとしている事態に対して,残念だと述べたものであった。 4 原告A及び原告Bに対する更新拒絶の正当性(1) 更新拒絶の事由(原告A及び原告Bに対し,1を前提とする予備的抗弁)ア被告の主張(ア) 病院における雇用の特殊性病院における看護職員及び介護職員については,その病院の種類,規模に応じ,一定数の要員の確保及び資格の有無について一定の制約がある。 また,医療行為は一般に24時間体制で継続する上,精神病院における治療は相当長期の入院によるものが大部分を占めるため,職員の勤務形態は,日勤,準夜勤及び深夜勤という3交替制を採っている。 さらに,看護婦などの有資格者を雇用しなければならず,病院における雇用ないし勤務には,一般企業とは明らかに異なる特殊性がある。 (イ) 準職員制度の存在意義被告としては,医療制度の変更等に際し,経営上の必要から,職員構成を変更せざるを得ないときもあるが,このような事態に直面した場合,正規職員と異なり雇用期間の限定された準職員は,人件費の高騰を抑えるという側面のほか,職員構成の変更を柔軟に行うことを可能にする制度であるという側面がある。また,雇用期間を限定して採用された職員は,通常勤務ができなければ,その本来の目的を果たすことができない。 (ウ) 原告A及び原告Bを雇止めとした事由被告は,原告A及び原告Bとの契約の更新に当たり,通常勤務ができないと判断したために更新を拒絶したものであって,これは,複数夜勤体制(1つの病棟に複数の看護者が夜勤をする勤務体制)の確立という経営上の判断に基づくものであり,しかも契約期間満了という契約終了原因を根拠にするものであるから,正当なものである。 (エ) 複数夜勤制度実施の必要被告としては,患者サービスの向上により増収を図 経営上の判断に基づくものであり,しかも契約期間満了という契約終了原因を根拠にするものであるから,正当なものである。 (エ) 複数夜勤制度実施の必要被告としては,患者サービスの向上により増収を図りつつ,職員の労務の軽減をも目的として,複数夜勤体制の実施を目指していたところ,従前でさえ職員一人につき1か月当たり6ないし8回の夜勤がある中で,複数夜勤体制を実施しようとすれば,増員をしない限り,一人当たりの夜勤回数を増やさなければならなかった。 それにもかかわらず,夜勤のできない職員の雇用を継続するならば,組織編成の変更をしなければ対処できないこととなる。 仮に,夜勤のできない職員の代替要員を採用するとしても,夜勤専従職員や短期雇用の人材を早期に採用することは困難であって,期間1年の臨時職員を採用せざるを得ないところ,もし代替要員についてまでも雇止めが認められないならば,代替要員が不必要となってもなおその職員を雇用し続けなければならず,被告は余剰人員を抱えなければならないこととなって,その経済的負担は著しい。 (オ) 代替要員を採用した場合の被告の経済的負担仮に,原告A及び原告Bについて契約更新し,その休業中の補充の職員を雇用して,この職員について平成9年及び平成10年の4月にそれぞれ2度の更新をしたと仮定した場合,そのために必要な費用を試算すると,原告Aが産前産後休暇取得後直ちに出勤した場合,212万1851円,3か月の育児休業を取得した場合,162万4501円,育児休業を可能な限り取得した場合,46万4011円を要することとなる。原告Bについては,産前産後休暇取得後直ちに出勤した場合,278万6490円,3か月育児休業を取得した場合,227万7940円,育児休業を可能な限り取得した場合,109万1320円を要することとなる。 イ原告 ては,産前産後休暇取得後直ちに出勤した場合,278万6490円,3か月育児休業を取得した場合,227万7940円,育児休業を可能な限り取得した場合,109万1320円を要することとなる。 イ原告A及び原告Bの主張(ア) 被告の主張ア(エ)について被告(宇和島病院)は,平成9年10月以後,全8病棟に新たに主任を配置し,主任に昇格した看護職員につき,従来の夜勤回数が月6回ないし8回であったところ,それを月2回ないし4回に減らす措置をとり,他の職員の夜勤の負担を増大させた。 しかも,被告(宇和島病院)が全病棟について複数夜勤体制を実施したのは,松山地方裁判所平成7年(ワ)第564号,同第572号未払賃金請求事件について,平成10年9月9日成立した和解において,「被告は,原告ら及び利害関係人組合に対し,人員の確保に務め,宇和島病院においては平成10年10月1日から,E病院においては平成11年4月1日から,それぞれ,全病棟完全2人夜勤体制を実施する予定であることを確認する。」(和解条項2項)との条項が盛り込まれた後の,平成11年1月4日からであった。 平成10年3月6日に開かれた被告と労働組合の団体交渉の席上,被告のH事務局長は,複数夜勤実施のための要員確保よりも,3年以上勤務する準職員を雇止めにすることを優先するとの方針を明らかにした。 これらの事実にみられるように,被告は,現実には決して複数夜勤体制の実現に積極的ではなかった。 (イ) 被告の主張ア(オ)について被告の準職員が妊娠した場合において,夜勤を免除されるのは産前産後休暇期間中のみであり,規定上,復職した後には夜勤免除されない。また,被告は,育児休業規程(甲19)11条の規定にもかかわらず,現実には,産前産後休暇及び育児休業の期間中に,休業した準職員に対し,給与を支払って みであり,規定上,復職した後には夜勤免除されない。また,被告は,育児休業規程(甲19)11条の規定にもかかわらず,現実には,産前産後休暇及び育児休業の期間中に,休業した準職員に対し,給与を支払っていないのであって,これを支払っていることを前提とした試算は誤りである。 また,被告の経営は,準職員等就業規則を制定実施した平成7年度以降,黒字に転じている。 (2) 権利濫用(原告A及び原告Bの再抗弁)ア原告A及び原告Bの主張原告A及び原告Bは,被告から「妊娠している状態では夜勤や休日出勤を含む通常勤務ができない」として,契約の更新を拒絶された。これは明らかに妊娠を理由とした雇止めであって,このような雇止めは,勤続1年を超えた準職員の育児休業取得を保障する育児休業規程に反するばかりでなく,雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律11条,ひいては憲法上の法の下の平等の精神に反するものとして,公序良俗に反し無効である。 イ被告の主張被告が原告らを雇止めとしたのは,あくまで期間満了による雇用契約の終了を原因とするものであって,妊娠を理由とするものではなく,通常勤務ができないことにより,被告の定める採用条件に合致しなかったからにすぎない。 5 原告Cに対する更新拒絶の正当性(1) 更新拒絶の事由(原告Cに対し,1を前提とする予備的抗弁)被告は,平成8年8月8日の事務長・総看護長会議,平成9年2月20日及び平成9年12月18日の理事会での議論を通じ,第1に,今後は準職員の勤続年数を3年を限度とすること,第2に,現在既に3年以上勤務している準職員に対しては,採用試験を実施し合格者は正職員として採用するが,不合格の場合は契約期間満了をもって雇止めとすること,第3に,勤続3年未満の準職員に とすること,第2に,現在既に3年以上勤務している準職員に対しては,採用試験を実施し合格者は正職員として採用するが,不合格の場合は契約期間満了をもって雇止めとすること,第3に,勤続3年未満の準職員に対しては,年齢30才未満(介護職は25才未満)という正式採用公募の条件に該当する場合は,採用試験に応募することができるという基本方針を決定した。 被告の人件費率は,他の医療機関と比べ高い水準で推移しており,職員全員を正職員として採用することは困難である。病棟数の削減など病院経営の中長期的方向性を考慮すると,医療情勢の変化に対応して柔軟に対応することができるよう,準職員を雇止めすることができる体制を整えておく必要がある。そこで,労働基準法の改正により特定の職種について期間を3年とする雇用契約が認められたこと,臨時やパートといった雇用期間の定めのある雇用形態に関する社会的傾向や期間の定めのある雇用に関する裁判例の存在,準職員である介護職員が介護福祉士試験を受験するのに必要な勤続3年以上という実務経験期間等を考慮し,3年以上の契約更新は行わないこととした。 なお,合否の判定も総合的,客観的になされており,右試験の不合格を理由に更新を拒絶しても何ら不当ではない。 (2) 権利濫用(原告Cの再抗弁)準職員制度が導入された平成7年4月以降においても準職員から正規職員への採用試験は実施されていたが正規職員として採用する前提で実施され,試験不合格の場合の雇止めなどの条件はなかった。ところが,被告は,原告Cその他の準職員若干名に対し,平成9年12月25日,突然,翌年1月に正規職員採用試験を実施すること,これに不合格の場合は雇止めにする旨を言い渡し,本件試験制度を実施したものである。これは,被告が原告Cら準職員の継続雇用の解消を図るためにのみ,一方的 然,翌年1月に正規職員採用試験を実施すること,これに不合格の場合は雇止めにする旨を言い渡し,本件試験制度を実施したものである。これは,被告が原告Cら準職員の継続雇用の解消を図るためにのみ,一方的に決定した何ら合理性のないものであって,違法無効な制度である。 原告Cは,被告から,右試験不合格を理由に更新を拒絶されたが,右は試験不合格を理由とした解雇処分であり,また,合否の判断も極めて主観的な判断に基づくものであって,法の下の平等の精神,公序良俗に反し無効である。 第5 争点1(解雇に関する法理の類推適用の可否)に対する判断 1 原告らの主張の概要(第4の1(1))について被告と原告らとの各雇用契約が,契約期間を1年と定めたものであり,各原告の契約の終期は,原告A及び原告Bについては,平成9年3月31日,原告Cについては,平成10年3月31日であったことは,第3の2で認定したとおりであり,その期間が経過したことは明らかであるから,原告らとの契約期間はいずれも満了したとの被告の抗弁は,いずれもこれを認めることができる。これに対し,原告らは,第4の1(1)記載のとおり,被告と原告らとの雇用契約は,実質的には期間の定めのない雇用契約であり,原告らは,契約が更新されて雇用が継続されることについて合理的な期待を有しており,解雇に関する法理が類推適用されると主張するので,以下,その当否について検討する。 2 被告の経営状況及びその改善に向けた諸方策の実施争いのない事実等,証拠(甲20,乙36,証人G,証人H及び後記の各証拠)及び弁論の全趣旨によれば,被告の経営状況及びその改善に向けた諸方策の実施に関し,次の事実を認めることができる。 (1) 被告は,精神病院を経営する財団法人であり,愛媛県宇和島市において宇和島病院を,同県今治市において今治病院 告の経営状況及びその改善に向けた諸方策の実施に関し,次の事実を認めることができる。 (1) 被告は,精神病院を経営する財団法人であり,愛媛県宇和島市において宇和島病院を,同県今治市において今治病院を,同県南宇和郡a町において御荘病院をそれぞれ設置している。宇和島病院の病棟数は8つであり,平成12年5月の時点における各病院の病床数及び職員数は,宇和島病院345床,193名,今治病院343床,175名,御荘病院135床,72名である。 (2) 被告は,昭和62年度から平成6年度まで決算上,赤字が続き,平成6年当時の累積赤字は6億円に達していた。平成5年当時,医療収入に対する人件費の割合は75パーセント,労働分配率(医業収入から材料費及び経費を控除した額に対する給与費の割合)は102パーセントに達し,日本精神病院協会の平成5年度実態調査による人件費率の平均値57.5パーセント,労働分配率の平均値86パーセントに比べ,いずれも高率であって,経営の健全化が必要な状況にあった。 (3) 被告が経営の健全化を図るに当たっては,経営規模に応じ所定の看護職員を雇用しなければならないという制約があり,単純な人員削減によって人件費(総賃金額)を削減することで経費を減少させ,経営を健全化するという方法はとれないため,被告は,平成4年,増収による経営の健全化を図るべく,新たな事業方針をまとめ,同年11月18日,これを「正光会の今後の方向性(案)」として,労働組合に提示した。その内容は,次のとおりである。 ① 精神科病棟の老人性痴呆疾患療養病棟(以下「老人痴呆病棟」という。)への転換これにより,医療費が老人診療報酬による定額払いとなる。また,老人性痴呆疾患療養病棟の入院医療管理の施設基準によれば,看護婦等は9名,介護者7名であった。 ② 被告(宇和島病院)第5病 への転換これにより,医療費が老人診療報酬による定額払いとなる。また,老人性痴呆疾患療養病棟の入院医療管理の施設基準によれば,看護婦等は9名,介護者7名であった。 ② 被告(宇和島病院)第5病棟の複数夜勤実施複数夜勤実施により診療報酬が増額される。 ③ 病棟再編成と基準看護特1類への類上げ及び複数夜勤の実施被告(宇和島病院)は,昭和53年8月,基準看護1類の認可を受けているが,これは患者4に対し,看護職員1の割合で配置するもので,看護料の点数は,患者一人当たり1日324点であった。看護職員の配置を患者3に対し,看護職員1の割合とする特1類に類上げすると,看護料の点数が441点に増加し,増収につながる。また,複数夜勤実施により,診療報酬が増額される。 ④ 作業療法の認可⑤ 精神科ディケア(小規模)の設置⑥ 地域医療の推進(甲15,乙20)(4) 被告は,前記の「正光会の今後の方向性(案)」①から③までに示した方針を,次のとおり,実行した。 ア精神科病棟の老人痴呆病棟への転換被告(宇和島病院)が,第3病棟を老人性痴呆疾患療養病棟へ名称変更することについては,平成4年3月ころから検討されていたが,平成5年7月5日,精神病棟を老人性痴呆疾患療養病棟(以下「老人痴呆病棟」という。)へ転換することに伴う看護職員の配置について被告と労働組合との間で協定が成立し,同年9月1日,老人痴呆病棟が開設された。 (10年事件乙11,18の1)イ第5病棟における複数夜勤の実施被告(宇和島病院)は,第5病棟について,平成6年3月1日から複数夜勤体制を実施した。 (10年事件乙20の6)ウ基準看護特1類への類上げ被告(宇和島病院)は,平成6年9月1日までに,愛媛県知事に対し,基準看護特1類への類上げを申請し,同日,その認可を受けた。 ( を実施した。 (10年事件乙20の6)ウ基準看護特1類への類上げ被告(宇和島病院)は,平成6年9月1日までに,愛媛県知事に対し,基準看護特1類への類上げを申請し,同日,その認可を受けた。 (5) 被告(宇和島病院)は,「正光会の今後の方向性(案)」に示された事項以外にも,次のとおり,増収に係る施策を実施した。 ア被告(宇和島病院)は,平成7年3月1日までに,新看護体系3対1B加算(最小必要数の看護職員にしめる看護婦(士)の割合が4割以上7割未満の場合の診療報酬の加算)の認可の申請をし,同日,その認可を受けた。 イ宇和島病院の全病棟における複数夜勤の実施被告(宇和島病院)においては,第8,第10病棟については,昭和54年から既に複数夜勤体制が実施されており,第3,第5病棟においては,平成6年3月1日から実施済みであったところ,被告は,平成7年4月当時,全病棟における複数夜勤体制を同年11月から実施することを予定していたものの,このうち,第6,第7病棟での複数夜勤体制の実施は,平成10年7月1日からとなった。その後,労働組合の組合員が,夜勤中の休憩時間を巡って被告に対して提訴した未払賃金請求訴訟(松山地方裁判所平成7年(ワ)第564号,同第572号事件)について,平成10年9月9日成立した和解条項中で,被告(宇和島病院)においては,平成10年10月1日から,全病棟で複数夜勤体制を実施する予定であることを確認し,全8か病棟のうち,最後まで2部署3人夜勤体制(2つの病棟に3人の看護者が夜勤をする勤務態勢)のままであった第1,第2病棟も平成11年1月4日から複数夜勤体制が実施されて,全病棟について複数夜勤体制が実施されるに至った。 (甲25,43,乙38,39,41,43,証人G,証人F)(6) 被告は,平成7年度以降黒字決算に転じ, 年1月4日から複数夜勤体制が実施されて,全病棟について複数夜勤体制が実施されるに至った。 (甲25,43,乙38,39,41,43,証人G,証人F)(6) 被告は,平成7年度以降黒字決算に転じ,平成7年度は720万円の黒字となり,人件費の増加は3160万円に抑制され,人件比率も71パーセントに減少した。平成8年度は7000万円の黒字となり,人件比率も68.1パーセントに減少した。平成9年度は6800万円の黒字となったが,人件比率は70.7パーセントに増加した。平成10年度の純利益は,1億8000万円余りとなり,人件比率は約68パーセントなった。 (甲25,41,42,証人G,証人H) 3 被告における職員制度(1) 被告の就業規則においては,従業員は,原則として,定年を満60歳(平成6年5月1日以降は満62歳)を迎える年度の年度末日とし,期間の定めなく雇用する(以下,このような従業員を「正規職員」という。)が,このほかに,1年以内の期間を定めて雇用される場合もあった。期間を定めて雇用される従業員に対しては,臨時従業員就業規則(昭和43年4月1日に実施され昭和55年ころまでの間適用),育児休業臨時任用職員就業規則(昭和45年3月1日から実施)又は準職員等就業規則(平成7年4月1日から実施)が適用された(以下,期間を定めて雇用される従業員を「有期契約職員」という。)。 (甲4の1・2,5,6,乙3,10年事件乙6の2の2)(2) 原告Cは,平成5年7月5日,原告Bは,平成6年7月29日,原告Aは,平成6年10月17日,いずれも臨時職員として,それぞれ翌年の3月31日までの期間を定め,雇用条件については育児休業臨時任用職員就業規則を準用することとして,被告(宇和島病院)に採用された。 (前記争いのない事実等) 4 被告(宇和島病院)におけ ぞれ翌年の3月31日までの期間を定め,雇用条件については育児休業臨時任用職員就業規則を準用することとして,被告(宇和島病院)に採用された。 (前記争いのない事実等) 4 被告(宇和島病院)における看護職員の数(1) 前記2記載の被告(宇和島病院)における各種の増収策を実施するためには,看護職員を確保する必要があったところ,被告(宇和島病院)は,平成5年4月1日には総数128名であった看護職員を,平成6年4月1日138名,平成7年4月1日147名,平成8年4月1日148名まで増加させた。 ところで,被告は,平成5年4月1日の時点において,看護職員はすべて正規職員として採用しており,その中に有期契約職員として雇用された者は一人も存在しなかったが,同年6月から有期契約職員として看護職員を採用するようになり,その総数を平成6年4月1日には10名,平成7年4月1日には22名,平成8年4月1日には25名にまで増加させた。このように,被告は,看護職員需要の増加を,正規職員の採用によるのではなく,原告らを含む有期契約職員の採用によって充足した。 (甲20,乙12,証人G)(2) 原告Cは平成5年に准看護婦として,原告A及び原告Bはいずれも平成6年にそれぞれ看護助手(介護職員),准看護婦として被告に採用されており,いずれも(1)の期間中に採用されたものである。 5 契約更新の状況(1) 被告(宇和島病院)は,平成6年3月31日,10名の有期契約職員の看護職員全員について契約を更新した。平成7年3月31日には,25名の有期契約職員の看護職員のうち,23名について契約を更新し2名は退職した(この2名について,被告が雇止めとしたのか,自己都合により任意に退職したのかについては,結局,被用者の内心の意思によると解されるが,この点は本件全証拠によっても明ら ついて契約を更新し2名は退職した(この2名について,被告が雇止めとしたのか,自己都合により任意に退職したのかについては,結局,被用者の内心の意思によると解されるが,この点は本件全証拠によっても明らかとならない。)。平成8年3月31日には,26名の有期契約職員の看護職員のうち,正規職員に採用された3名を除く23名全員について契約を更新した。このように,平成5年6月に,有期契約職員の看護職員が採用されるようになって以来,平成8年3月31日までは,正規職員に採用される者を除き,有期契約職員の看護職員はほぼ全員が契約を更新され,退職する者はごく少数であった。 (甲20,乙12,証人G)(2) 原告A及び原告Bは,平成7年4月1日及び平成8年4月1日の2回,原告Cは,平成6年から平成9年までの各年の4月1日に4回,契約期間をいずれも1年と定めて雇用契約の更新がされた(前記争いのない事実等)。 6 被告における有期契約職員の勤務の実態有期契約職員の看護職員は,その職種ないし資格の区分(看護婦,准看護婦,看護助手ないし介護職員)に応じ,正規職員と同様の業務に従事しており,正規職員と有期契約職員という雇用形態の相違により,業務の内容に差異はない。看護職員が担当する患者の数も,正規職員と有期契約職員とで,基本的に異ならない。 被告(宇和島病院)の看護職員の就業時間は,日勤が午前8時30分から午後5時まで,準夜勤が午後4時50分から午前零時50分まで,深夜勤が午前零時40分から午前8時40分までであるところ,有期契約職員も正規職員と同様の当番により,交替勤務に就いている。夜勤や休日出勤の回数も,両者の間で異ならない。 午前10時30分から午後7時まで勤務する遅出勤務についても同様である。 このように,有期契約職員の看護職員は,職種ないし資格に応じ,基本 に就いている。夜勤や休日出勤の回数も,両者の間で異ならない。 午前10時30分から午後7時まで勤務する遅出勤務についても同様である。 このように,有期契約職員の看護職員は,職種ないし資格に応じ,基本的に正規職員と同様の業務に従事している。 (甲20,証人G) 7 準職員の雇用条件(1) 準職員等就業規則実施以前における有期契約職員に係る制度証拠(乙36.証人H及び後記の各証拠)によれば,次の事実を認めることができる。 被告は,昭和43年4月1日,退院した患者に働く機会を提供することと,定年退職者の再雇用を図ることなどを目的として,財団法人正光会臨時従業員就業規則を実施した(甲4の2)。その後,被告は,労働組合との合意に基づき,昭和53年7月1日から育児休業規程を実施し(乙19(10年事件乙6の1の1・2)),育児休業により生じる欠員の補充については,パート職員(育児休業臨時任用職員)の任用により行うこととし,その任用期間を,原則として,育児休業開始の翌月から育児休業満了時までとした(同規程11条本文)。被告は,労働組合との合意に基づき,昭和54年3月1日から,財団法人正光会育児休業臨時任用職員就業規則を実施した(乙2(10年事件乙6の2の1・2))。育児休業臨時任用職員就業規則には,契約の更新に関する定めはない。 被告は,昭和55年,当時の有期契約職員全員を正規職員として採用したため,臨時従業員就業規則の適用を受ける者は存在しない状態となった。その後の昭和63年ころ以降,被告における臨時職員の採用に当たっては,臨時従業員就業規則によるのではなく,育児休業臨時任用職員就業規則の準用により採用する状況が続いた。給与等について,契約更新に伴う昇給の定めはない一方で,1契約3か月を超えて継続勤務した者について,契約更新時に,3か月を超え ではなく,育児休業臨時任用職員就業規則の準用により採用する状況が続いた。給与等について,契約更新に伴う昇給の定めはない一方で,1契約3か月を超えて継続勤務した者について,契約更新時に,3か月を超える月数1月につき1万円の割合による慰労金が支給されていた(乙2,26の1,10年事件乙6の3)。夏期及び年末の一時金については,当初,支給されなかったが(育児休業臨時任用職員の給与・休暇等取扱い細則14条(10年事件乙6の3)),平成4年7月22日,被告と労働組合との協定により,継続して1年以上勤務した者に対して,夏期及び年末の一時金各1か月分が支給されることとなった(10年事件乙6の4・5)。 (2) 平成7年4月1日に実施された準職員等就業規則(甲6,乙3,10年事件甲5)には,次の事項が規定されている。 ア昇給について,勤続1年(6か月以上)を経過した準職員等(1年以内の期間を定めて雇用された準職員のほか臨時職員及び嘱託職員がこれに当たる。同規則2条)は,毎年1回4月に昇給し,昇給額は1号俸から10号俸までの10段階に区分された俸給表(同規則別表1)により(29条),勤続年数に応じた増額が図られている。 イ賞与の支給について,継続して1年以上勤務した準職員等については,夏期賞与(7月)及び年末賞与(12月)を支給する(33条)。 ウ再雇用等について,準職員等の雇用期間が満了した場合で,被告が業務上の必要があると認めたときは,契約を更新することがある(10条1項)とした上,雇用契約の期間が満了し,契約を更新しない場合を退職事由とする(38条1号)。 エ正規職員への採用について,準職員として採用された者で,雇用契約を反復更新し,勤務成績,及び技能優秀と認めたものを正規職員として採用することがあるとする(10条2項)。 オ休職について, )。 エ正規職員への採用について,準職員として採用された者で,雇用契約を反復更新し,勤務成績,及び技能優秀と認めたものを正規職員として採用することがあるとする(10条2項)。 オ休職について,1年以上勤務した準職員が,私傷病等により長期欠勤する場合は,欠勤の日から1ヶ月(30日)以内は,休職扱いとすることができる(11条1項)。 カ年次有給休暇について,準職員等が採用の日から6か月継続して勤務し,所定の要件を備える者は10日の年次休暇を取得できることとした上,6か月を経過した日以後は,1年を超えるごとに2日を加算し,20日を限度に毎年付与し,当該年度に消化しなかった年次有給休暇は,翌年に限り繰り越すことができる(17条2項)。 (3) 育児休業制度の適用育児休業については,有期契約職員は,当初,これを取得することができなかったが(乙19,10年事件乙6の1の2),平成7年8月1日からは,1年以内の期間を定めて雇用された者であっても,1年を超えて契約更新をした場合には,育児休業を取得することが可能となった(甲51(4条2号))。 (4) 退職慰労金の支給平成8年4月1日から実施された準職員退職慰労金規程(甲9)では,準職員が1年以上継続勤務し退職する場合に退職慰労金を支給し(3条本文),退職慰労金の算定に関する勤続年数は,入職日から退職の日までとし(6条),その額は,「勤続年数別定額慰労金」の額に,退職事由に応じた係数を乗じた額とされている(5条)。そして,勤続年数別定額慰労金は,勤続年数1年の5万円から10年以上勤続した場合の50万円までの10段階に区分され(同別表1),勤続年数に応じた増額が図られている。これにより,準職員に対しては,契約更新ごとに慰労金が支払われることがなくなり,退職時に退職慰労金が支払われることとなった 円までの10段階に区分され(同別表1),勤続年数に応じた増額が図られている。これにより,準職員に対しては,契約更新ごとに慰労金が支払われることがなくなり,退職時に退職慰労金が支払われることとなった。 (5) 原告らは,採用後平成6年の契約更新までは,契約期間を除きその他の雇用条件については,育児休業臨時任用職員就業規則を準用し,臨時職員という名称で雇用契約が締結されていたが,平成7年4月1日以後,準職員等就業規則の適用を受けるようになった。 (甲6の1・2,7の1~3,10年事件乙4) 8 契約締結時の被告担当者の言動(1) 後記の証拠によれば,次の事実を認めることができる。 ア原告Cの場合原告Cは,平成5年6月17日,E事務長及びF総看護長の面接を受けた。その際,E事務長からは,交替勤務に就くこと,契約は臨時職員で,今年度は来年3月末までの契約になるが,その後は1年1年の契約でその都度契約を更新すること等の説明を受けたことから,原告Cは,正式採用はされないのか,と尋ねた。これに対し,E事務長は,これまでの例としては,パートの人は,4,5年以上働いて正式採用された人もいる。まあ,はっきりと4,5年とは言えないが,最低4,5年辛抱して継続していれば本採用になる可能性があると答えた。 (甲11,55,原告C本人)イ原告Bの場合原告Bは,被告のH事務局次長(当時)が原告Bの夫の父の知人であったことから,平成6年6月ころ,Hから被告(宇和島病院)での勤務を度々誘われた。そこで,原告Bは,これに応じ,同年7月ころ,E事務長の面接を受けた。その際,原告Bは,E事務長から臨時職員は1年1年の契約になるとの説明を受けたが,原告Bは家族の健康事情を懸念していたことから,「そう長くはよう働かんかもわかりません。」と答えたところ,E事務長からは, ,原告Bは,E事務長から臨時職員は1年1年の契約になるとの説明を受けたが,原告Bは家族の健康事情を懸念していたことから,「そう長くはよう働かんかもわかりません。」と答えたところ,E事務長からは,「イヤー,そんなこと言わんと,長ければ長いほどいいので頑張ってください。」と言われた。(甲45,原告B本人)。 ウ原告Aの場合原告Aは,平成6年9月下旬ころ,ハローワークで,被告(宇和島病院)が看護助手の募集をしていることを知って,応募し,同年10月上旬ころ,E事務長と面接した。その際,E事務長からは,「1年ごとに契約するんやけど,構わんかな。 よっぽどのことがない限り,1年で辞めらすことはないんやけど。」と言われた。 (甲53,原告A本人)(2) これに対し,被告は,原告Cに対し,E事務長が契約更新をほのめかすような発言をすることができる前提条件を欠いていたと主張し,証人F勝彦もこれに沿う証言をするので,この点について検討する。 ア証拠(乙36,42,10年事件乙5の1~5,証人H,証人F)によれば,次の事実を認めることができる。 被告(宇和島病院)と組合分会は,昭和55年3月6日,労働者の賃金,雇用労働条件等,すなわち労働者の生活に関するすべての事項については事前に協議を行い決定する旨の協定を締結し(10年事件乙16),被告と労働組合は,昭和56年7月8日,賃金・労働条件・雇用に関する事前協議協定書を締結した(乙22)。(この事前協議協定は,被告が労働組合に対して,平成5年11月25日付けで破棄を通告し,平成6年2月25日,解約の効力が生じた。(甲20,証人G,証人H))。 平成5年当時において,前記の事前協議協定により,被告(宇和島病院)に欠員が生じた場合の補充については,①被告(宇和島病院)と組合分会の団体交渉により,欠員の確 。(甲20,証人G,証人H))。 平成5年当時において,前記の事前協議協定により,被告(宇和島病院)に欠員が生じた場合の補充については,①被告(宇和島病院)と組合分会の団体交渉により,欠員の確認を行い,②被告の他病院職員から,転勤希望者を公募をし,③内部からの応募者がないことを確認した上で,一般募集を行い,④一般の応募があれば,組合分会に報告し,分会と協議して面接の了解を得,⑤応募者と面接をした結果を再度組合分会と協議し,合意の上で採否を決定するという手順を踏んでいた。 原告Cの採用についても,同様の手順を踏んでおり,被告(宇和島病院)と組合分会は,看護系欠員のパート補充に関し,原告Cを雇用期間を平成5年7月5日から平成6年3月31日までと定めて,育児休業臨時任用職員規則に準じて,雇用することに合意し(10年事件乙2),被告と原告Cは,その内容に沿った雇用契約を締結した(10年事件乙4)。 以上の事実が認められるところ,被告の主張は,これらの事実が存したために,被告としては,有期契約職員の採用に際して,継続雇用をほのめかすような発言はなし得なかったとするものである。 イしかし,既に認定したとおり,平成4年7月22日の被告と労働組合との協定により,それまで育児休業臨時任用職員については夏期及び年末の一時金を支給しないことと定めていた育児休業臨時任用職員の給与・休暇等取扱い細則(10年事件乙6の3)を改正し,継続して1年以上勤務した者については,夏期及び年末の一時金を支給することが合意されたこと(10年事件乙6の4)から窺われるように,原告Cが採用された当時において,有期契約職員が既に継続雇用されていた実態があった。 また,被告と労働組合は,平成4年7月22日,宇和島病院における継続雇用者4名を終身雇用とするとの協定に合意し(10年 が採用された当時において,有期契約職員が既に継続雇用されていた実態があった。 また,被告と労働組合は,平成4年7月22日,宇和島病院における継続雇用者4名を終身雇用とするとの協定に合意し(10年事件乙6の4),原告Cを採用した約半月後である平成5年7月20日,正式採用する協定に合意した(10年事件乙19,証人H)。このように,原告Cの面接当時において,被告には有期契約職員が継続雇用されている実情が既に存在していた。 ウ証人Fは,原告らに対する面接について明確な記憶がない。これに対して,原告らの供述は具体的かつ詳細である。この点につき,被告は数年前の出来事について詳細に過ぎることがむしろ不自然であると指摘するが,多くの面接を行ってきた被告の採用担当者と異なり,原告らにとって採用面接は,1回限りの出来事であって,鮮明な印象があったとしてもあながち不自然とは言い切れない。 以上の諸点に照らすと,証人Fの証言は採用できず,(1)の認定を覆すに足りない。 9 契約更新手続の実情有期契約職員の契約更新に当たり,被告は,従前の勤務態度,勤務成績等について,直属の上司からの報告に基づき,院長,副院長,総看護長及び事務長で構成される部長会において,事前に,契約更新の可否について個別に検討した上で,契約更新に臨んでいた。そのようにして契約更新をする場合,準職員に対しては,事前に用意した契約書に署名,捺印を求めるだけであった。 (乙42,証人F) 10 結論ここまで認定したところによれば,雇止めまでの契約更新回数は,原告A及び原告Bはいずれも2回,原告Cは4回であり,その都度,契約期間を明示した契約書を作成していたものであるが,被告としては,有期契約職員の看護職員に対しては,経営の必要上,正規職員と並ぶ恒常的存在として,基幹的業務を担うことを期 Cは4回であり,その都度,契約期間を明示した契約書を作成していたものであるが,被告としては,有期契約職員の看護職員に対しては,経営の必要上,正規職員と並ぶ恒常的存在として,基幹的業務を担うことを期待すべき客観的状況が存したこと,平成7年以降には有期契約職員に適用される就業規則を明らかにして,契約を反復更新して勤務を継続する者に対して,給与その他の労働条件面で積極的に評価するにまで至ったこと,原告らの採用時には,継続雇用を期待される言動がみられたこと等の事情に照らすと,原告らの雇用期間満了後も被告が雇用を継続すべきものと期待することには合理性が認められるから,原告らと被告との契約関係には,解雇に関する法理を類推適用するのが相当である。 したがって,契約期間が満了しても,いずれも当然には契約は終了しないことになる。 第6 争点2(原告Aと被告との雇用期間終了の合意)に対する判断 1 前提となる事実証拠(甲1の1~3,18,25,27,53,58,乙28,29,31,36,証人H,証人G,証人I,原告A本人)によれば,次の事実を認めることができる。 J事務長が,平成9年2月14日,原告Aに対して雇止めを通告したところ,原告Aは,妊娠したから首になるのかと問い,J事務長は,「そういう風に取ってもらっては困るが,だいたい何のための準職員かというと,正職員が妊娠したり病気したりしたときの代わりよ。そのための1年契約であって,その準職員が妊娠したら何のための1年契約かわからない。本来であれば,妊娠した時点でもう要らないが1年契約だから今までいてもらった。」と答えた。原告Aは,これに対して,「わかりました。」と言って部屋から退出した。 組合分会書記長のGは,同年2月20日,原告Aから雇止め通告を受けた事情を聴取した上,愛媛県が主催し,被告も出席 。」と答えた。原告Aは,これに対して,「わかりました。」と言って部屋から退出した。 組合分会書記長のGは,同年2月20日,原告Aから雇止め通告を受けた事情を聴取した上,愛媛県が主催し,被告も出席する労働問題懇談会の場で原告Aらの雇止めについて報告し,被告に対する行政の指導を求めることを提案したところ,原告Aは即答こそしなかったが,同月24日,これを了承した。同懇談会は,同日,愛媛県宇和島地方局において,被告のL事務局長,労働組合のK執行委員長らが出席して開催され,席上,Kは,原告A及び原告Bの雇止めの問題を取り上げ,発言した。 原告Aは,Iに宛てた結婚通知状を,同年3月6日までに投函したところ,そこには手書きで,「いろいろとありがとうございました。仕事をやめても家にでも寄って下さい。」との添え書きをしていた。 組合分会は,同月12日,原告Aらの雇止めに関する記事を掲載した分会ニュース(甲18)を,被告(宇和島病院)出入口付近で配布したが,原告Aは,この記事掲載を事前に承諾していた。 同月15日,愛媛県宇和島市内の割烹月ヶ瀬において,原告Aを含む4名の送別会が開催された。この送別会には原告Aも出席し,その席上,「どうもありがとうございました。」と挨拶した。 そのころ,原告Aは,Iに対し,せんべつのお礼として,タオルを贈った。 原告Aほか5名の準職員は,同月19日,労働組合の事務所において,Gら役員と会って,労働組合への加入や原告Aらの雇止めに係る裁判等について相談し,同月24日,原告Aは,労働組合に加入した。 被告の事務担当者が,同月27日,退職に伴う雇用保険,健康保険等に関する手続のため,原告Aを呼んだ際,原告Aは,退職しないとの意思を伝えた。同日,被告に対しては,原告Aが雇止めを拒絶 に加入した。 被告の事務担当者が,同月27日,退職に伴う雇用保険,健康保険等に関する手続のため,原告Aを呼んだ際,原告Aは,退職しないとの意思を伝えた。同日,被告に対しては,原告Aが雇止めを拒絶する意思を記した内容証明郵便が配達された。 2 検討被告と原告Aとの雇用契約につき,解雇に関する法理が類推適用されるべきことは前記のとおりであるところ,この法理が類推適用されるのは,原告Aが契約更新に対して期待を寄せることが合理的であって,それが法的保護に値するからであるから,その効果を障害するための雇止め承諾の意思表示は,消極的,受動的なものでは足りず,被告に対し,積極的,能動的になされたものである必要があると解するのが相当である。 本件において,原告Aは,雇止めが通告された際に「わかりました。」と述べたのみで,本件全証拠に照らしても,被告に対し,それ以上に積極的,能動的に承諾の意思表示をした事実は認められない。そして,雇止めの承諾が原告Aにとって4月以降の失業と収入の途絶を意味するものである以上,「わかりました」という言葉のみをもって,直ちに承諾の意思表示があったというべきでない。また,原告Aが,同僚に対して,退職を前提とした態度を示したとしても,その一方で,労働組合に今後の対応について相談するなどした上,被告に対し雇止めを拒絶する内容証明郵便まで送付し,承諾とは相反する態度をとっていることに照らせば,確定的に雇止めを承諾していたのではなく,突然の雇止め通告により動揺し,雇止めを拒絶すべきか否かについて戸惑っていたものと認められ,その他,本件全証拠によっても原告Aが,被告に対し,雇止めの承諾の意思表示をした事実は認められない。 第7 争点3(原告Bと被告との雇用期間終了の合意)に対する判断 1 前提となる事実証拠(甲2の1~3 件全証拠によっても原告Aが,被告に対し,雇止めの承諾の意思表示をした事実は認められない。 第7 争点3(原告Bと被告との雇用期間終了の合意)に対する判断 1 前提となる事実証拠(甲2の1~3,18,25,27,28,45,乙36,証人H,証人G,原告B本人)によれば,次の事実を認めることができる。 原告Bは,平成9年2月14日,J事務長から雇止めの通告を受けたが,何も言わずに退席した。 組合分会書記長であり,原告Bと同じ第7病棟に勤務するGは,同年2月19日,原告Bから雇止め通告を受けた事情を聴取した上,愛媛県が主催し,被告も出席する労働問題懇談会の場で,原告Bの雇止めについて報告し,被告に対する行政からの指導を求めることを提案すると,原告Bは,これを了承した。同懇談会は,同月24日,愛媛県宇和島地方局において,被告のL事務局長,労働組合のK執行委員長らが出席して開催され,Kは,席上,原告Bの雇止めの問題を取り上げて発言した。 原告Bは,同年3月4日,労働組合の事務所から,愛媛婦人少年室に電話をし,雇止めの経過を説明し,被告に対する指導を要請した。 第7病棟では,同月11日,連絡簿により,原告Bを含む5名について同年4月期の異動が予定されている旨知らされ,翌12日,院内異動が発表された。 組合分会は,同月12日,原告Bらの雇止めに関する記事を掲載した分会ニュース(甲18)を,被告(宇和島病院)出入口付近で配布したが,原告Bは,この記事掲載を事前に承諾していた。 宇和島病院の第7病棟の送別会は,同月18日午後6時30分ころから,愛媛県宇和島市内の料理屋Nで開催された。この送別会の席上,幹事のGは,「Bさんは,退職と言われても納得がいかず,悔しい思いをしています。こういう事態が起きて非常に残念です。」と挨拶した。原告Bは,花束 宇和島市内の料理屋Nで開催された。この送別会の席上,幹事のGは,「Bさんは,退職と言われても納得がいかず,悔しい思いをしています。こういう事態が起きて非常に残念です。」と挨拶した。原告Bは,花束の贈呈を受けたが,挨拶は,「有り難うございました。」と述べたのみであった。なお,原告Bは,送別会の会費を負担した。 同月23日,原告Bは,他の準職員とともに,宇和島市内のカラオケボックスにおいて,Gら労働組合役員と面談し,原告A及び原告Bの雇止めを被告に撤回させる方策について協議した。その後の同月25日,原告Bは,労働組合に加入した。 事務担当者が,同月27日,退職に伴う雇用保険,健康保険等に関する手続のため,原告Bを呼んだ際,原告Bは,退職しないとの意思を伝えた。同日,被告に対しては,原告Bが雇止めを拒絶する意思を記した内容証明郵便が配達された。 2 評価雇止め承諾の意思表示は,消極的,受動的なものでは足りず,被告に対し,積極的,能動的になされたものである必要があると解すべきことは,前記のとおりであるが,原告Bは,被告の雇止めの通告に対し,何らの意思表示もせず,送別会に参加し,挨拶をしてはいるが,その一方で労働組合に雇止めのことを相談し,愛媛婦人少年室に事情を訴えるなどしていることに照らせば,被告に対し雇止めを承諾したと評価することはできず,積極的,能動的に承諾の意思表示をしたものとは認められない。 第8 争点4(原告A及び原告Bに対する更新拒絶の正当性)に対する判断 1 被告は,宇和島病院において複数夜勤体制を実施する必要があり,そのために準職員も夜勤を含む通常勤務に就くことが不可欠であったと主張して,期間満了による雇止めが正当であったと主張するので,この点について検討する。 2 既に認定したところによれば,被告が,平成4年,増収による 職員も夜勤を含む通常勤務に就くことが不可欠であったと主張して,期間満了による雇止めが正当であったと主張するので,この点について検討する。 2 既に認定したところによれば,被告が,平成4年,増収による経営健全化を図るべく,新たな事業方針をまとめ,同年11月18日,労働組合に提示した「正光会の今後の方向性(案)」の中には,複数夜勤実施が掲げられていた。特に,第5病棟については,病棟名を具体的に挙げて記載されている。 被告(宇和島病院)においては,第8,第10病棟については,昭和54年から既に複数夜勤体制が実施されており,第3,第5病棟においては,平成6年3月1日から実施済みであったところ,被告は,平成7年4月当時,全病棟における複数夜勤体制を同年11月から実施することを予定していたものの,このうち,第6,第7病棟での複数夜勤体制の実施は,平成10年7月1日からとなった。その後,労働組合の組合員が,夜勤中の休憩時間を巡って被告に対して提訴した未払賃金請求訴訟(松山地方裁判所平成7年(ワ)第564号,同第572号事件)について,平成10年9月9日成立した和解条項中で,被告(宇和島病院)においては,平成10年10月1日から,全病棟で複数夜勤体制を実施する予定であることを確認し,全8病棟のうち,最後まで2部署3人夜勤体制のままであった第1,第2病棟も平成11年1月4日から複数夜勤体制が実施されて,全病棟について複数夜勤体制が実施されるに至った。 3 以上を前提に検討すると,複数夜勤体制の実施は,夜間における看護サービスを向上させ,被告にとっては経営上のメリットがあるばかりでなく,夜勤に当たる看護職員にとっても従前行われていた2部署3人夜勤体制よりも負担の軽減が図られるという利点を有する。ところで,原告A及び原告Bが雇止めとされた平成9年3月当時, ットがあるばかりでなく,夜勤に当たる看護職員にとっても従前行われていた2部署3人夜勤体制よりも負担の軽減が図られるという利点を有する。ところで,原告A及び原告Bが雇止めとされた平成9年3月当時,被告(宇和島病院)においては,全8病棟中4病棟で複数夜勤体制が実施されていたに過ぎず,残り4病棟については引き続き複数夜勤体制の実施が課題となっていたのであって,この体制を実現するためには,単純に計算しても,夜勤につく職員の数を1日当たり2名ずつ増やす必要があったことになる。そして,準職員も正規職員同様の職務に従事しており,看護職員であれば正規職員であると準職員であるとを問わず,夜勤を含む通常勤務につくことが求められていたことからすれば,通常勤務に就くことができるということは,準職員にとっても本質的な条件であったと考えられる。 したがって,,契約更新時において,被用者が通常勤務に就くことができないことは,一般に,期間満了を理由として準職員を雇止めすることを相当とする特段の事由に当たるということができる。 4 しかしながら,およそ一切の例外なく,通常勤務に就くことができないことが特段の事由に当たると解することができるかどうかについては,なお検討を要する。 (1) 原告Aは,平成8年10月19日,妊娠5週切迫流産と診断され,同月20日から26日まで及び同月29日から同年11月17日まで,切迫流産のため病気欠勤した。被告のJ事務長及びF総看護長は,平成9年2月14日,原告Aに対して雇止めを通告するに先立ち,J事務長において,原告Aの体調や,勤務の内容及び状況等について確認した後,「あんたの腹は飯の食い過ぎかな。」などと言い,F総看護長からは,以前,妊娠しても契約更新できると言ったことは勘違いだったと告げられて,J事務長から,雇止めを通告された。こ 状況等について確認した後,「あんたの腹は飯の食い過ぎかな。」などと言い,F総看護長からは,以前,妊娠しても契約更新できると言ったことは勘違いだったと告げられて,J事務長から,雇止めを通告された。これに対し,原告Aが,妊娠したから首になるのかと尋ねたところ,J事務長は,「そういう風に取ってもらっては困るが,だいたい何のための準職員かというと,正職員が妊娠したり病気したりしたときの代わりよ。そのための1年契約であって,その準職員が妊娠したら何のための1年契約かわからない。本来であれば,妊娠した時点でもう要らないが1年契約だから今までいてもらった。」と答えた。 (甲53,54,乙4の2~4,原告A本人)(2) 原告Bは,平成9年1月4日から切迫流産のため,入院し,同月6日,妊娠9週切迫流産ため,同年2月10日までの安静加療を要するとの診断を受け,そのころ,被告(宇和島病院)にその診断書を提出して,同日まで病気欠勤した。H事務局長は,原告A及び原告Bの妊娠の事実を平成9年2月14日までに認識していた。 (甲45,48,乙5,原告B本人,証人H)(3) これらの事実によれば,原告A及び原告Bは,平成9年2月14日の時点で妊娠しており,そのため,やがて通常勤務ができなくなることが明らかとなっていたのであって,そのことを被告は認識した上で,原告A及び原告Bを雇止めにしたことが認められるのであって,被告が原告両名を雇止めとした理由は,結局のところ,原告らが妊娠したためであったといわざるを得ない。 (4) ところで,事業主が,妊娠や出産を退職の理由として予定したり,解雇の理由としたりすることは,雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律8条2項及び3項において禁じられており,その趣旨は,期間を定めた雇用契約について解雇の法理が類推適 り,解雇の理由としたりすることは,雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律8条2項及び3項において禁じられており,その趣旨は,期間を定めた雇用契約について解雇の法理が類推適用される本件においても,当然に妥当するというべきであり,現に,被告においては,平成7年8月1日以降1年を越えて契約更新した有期契約職員は育児休業を取得でき,そのことを理由として,昇給等で不利益な取扱いを受けることはないとしている(甲51,乙19)。 また,被告においては,準職員の産前産後休暇及び育児休業期間中は無給とされており(証人H),この期間に限って代替要員を雇う限り,被告に経済的損失は生じない。 以上から,被告において準職員が通常勤務ができない場合であっても,それが妊娠したことによる場合には,期間満了による雇止めは更新拒絶権を濫用したものとして,無効とするのが相当であるところ,被告が,原告A及び原告Bを雇止めとしたことは,両名の妊娠を理由とするものであるから,被告の原告A及び原告Bに対する雇止めは,無効である。 第9 争点5(原告Cに対する更新拒絶の正当性)に対する判断 1 前提となる事実関係証拠(甲34,35,証人G)によれば,次の事実を認めることができる。 準職員に対する被告の正規職員採用試験は,平成8年には被告が選抜した3名を対象に実施され,その全員が合格した。平成9年3月18日には,宇和島病院において,被告が選抜した準職員5名に対して実施され,このときも全員が合格し,正規職員に採用された。 被告は,平成9年12月18日,理事会において,正規職員採用試験の実施することと併せて,準職員として3年以上勤務している者について,その試験に不合格の場合に雇止めとする方針を決定した。同月25日ころ,J事務長,F総看護長らが看護系の準職員 て,正規職員採用試験の実施することと併せて,準職員として3年以上勤務している者について,その試験に不合格の場合に雇止めとする方針を決定した。同月25日ころ,J事務長,F総看護長らが看護系の準職員全員を会議室に呼び出し,平成10年1月中に,準職員のうち,30歳未満の看護婦及び准看護婦(看護婦については30歳を若干超える年齢の者も含む。),25歳未満の介護福祉士並びに平成10年3月31日時点で勤続3年以上の看護婦,准看護婦及び介護職員に対し,正規職員採用試験を行い,これに不合格の場合は雇止めとすることを告げた。受験対象となった準職員は,被告(宇和島病院)においては,16名であった。被告は,平成10年1月6日,試験を同月13日に実施すると発表し,同日,試験が実施された。 被告は,原告Cに対し,同月26日,不合格の通知書を発送したが,同日以後,同年2月に准看護婦の準職員1名を採用し,同年3月8日,愛媛新聞に職員,準職員の募集広告をし,同年4月及び5月ころにも准看護婦の準職員各1名を採用し,その後も,同年8月8日に同様の準職員の募集を行い,同年9月ころ,看護婦の準職員1名を採用した。その後も,被告は広告による募集を行っている。 2 検討平成8年及び平成9年に実施された正規職員採用試験は,被告(宇和島病院)が受験者を選抜した上で実施し,受験者は全員が合格したものであって,正規職員採用のために行われたというにふさわしいが,これに対し,平成10年に実施され,原告Cが不合格となった本件試験制度は,次の点で,過去2回の試験と本質的に異なる。 すなわち,準職員等就業規則には,準職員として採用された者で,雇用契約を反復更新し,勤務成績,及び技能優秀と認めたものを正規職員として採用することがあるとの条項が存し,採用試験をこの認定の1つの基準と位置付けるこ 員等就業規則には,準職員として採用された者で,雇用契約を反復更新し,勤務成績,及び技能優秀と認めたものを正規職員として採用することがあるとの条項が存し,採用試験をこの認定の1つの基準と位置付けることは可能であるが,仮に,試験に不合格となり,正職員として採用すべきと認定されなかったとしても,準職員として勤務することまで認められないわけではない。そうだとすると,本件試験制度は,合格者を正規職員に採用するという面では,過去の採用試験と共通の側面を有するが,勤続3年を超える準職員全員に受験を強制し,不合格の場合には雇止めとするという方針の下に実施されている点で,準職員の雇止めのための試験というべき実質を備えた試験であり,試験の不合格という事実をもって,期間満了により契約を更新しないことを相当とする特段の事由に当たるといえるかについて,検討する。 この試験制度を採用すると,契約を反復更新し,勤続3年を超える準職員は,正職員に採用されるか,あるいは,雇止めにより退職するかのいずれかの道しかなく,準職員のまま,契約を更新するという道は残されないことになる。この被告の方針は,準職員等就業規則(平成7年4月1日実施)及び準職員退職慰労金規程(平成8年4月1日実施)において,給与及び退職慰労金の額が勤続10年目まで昇給すること等によって前記のとおり,準職員に対し継続雇用の期待を生ぜしめたかつての態度に矛盾するばかりでなく,試験実施時において勤続3年の準職員に受験を強制する点で,準職員に対し,実質的には契約更新は3年を限度とするとの雇用条件を3年前に遡って適用するのと異ならず,準職員に著しく不利益な事項を内容とするものである。 また,被告において,準職員の看護職員は,正規職員とともに,被告(宇和島病院)の基幹的業務に携わる恒常的存在であって,被告は余剰 るのと異ならず,準職員に著しく不利益な事項を内容とするものである。 また,被告において,準職員の看護職員は,正規職員とともに,被告(宇和島病院)の基幹的業務に携わる恒常的存在であって,被告は余剰人員を削減するために本件試験制度による雇止めをしているわけではないから,準職員を雇止めした後には,新たな準職員を雇用する必要がある。このことは,本件試験実施後においても,準職員の募集及び採用を行っていることからも明らかである。ところが,被告(宇和島病院)は,準職員を採用するに当たり,採用試験というべき手続は行っていないから,新たに採用される者が,雇止めされる準職員よりも,能力的に優れているという保障はどこにも存しない。にもかかわらず,被告(宇和島病院)において,少なくとも3年の経験を有する準職員を敢えて雇止めにするという本件試験制度には,優秀な準職員を確保するという面で合理性を有するとは言い難い。 さらに,本件試験制度の,正規職員採用という側面に着目するにしても,被告としては,準職員から正規職員への採用計画をあらかじめ用意しているわけではなく,試験の結果次第で正規職員へ何人採用するか決するというのであり(甲35),これと併せて,H事務局次長(当時)が,平成10年1月,短期間での雇用打ち切りを慣例化したいとの趣旨の発言をしていた事実(甲35)を考慮すると,不合格ならば雇止めにするとの本件試験制度は,3年を超えて契約を更新してきた準職員の雇止めを正当化することそれ自体を目的として導入されたとも評価し得る。 これまで検討してきたとおり,勤続3年を超える準職員について,不合格の場合に雇止めとする本件試験制度は,契約の反復更新を積極的に評価する就業規則に反すること,3年を超えて契約更新をしないとの雇用条件を実質的に3年前に遡って準職員に強制するもの 職員について,不合格の場合に雇止めとする本件試験制度は,契約の反復更新を積極的に評価する就業規則に反すること,3年を超えて契約更新をしないとの雇用条件を実質的に3年前に遡って準職員に強制するものであること,準職員の能力,成績等の水準を維持するという観点からも合理性を欠くものであること,3年を超えて契約を継続する準職員等に対する雇止めそれ自体を目的とする試験制度であることに照らすと,本件試験制度に関するその余の点について認定判断するまでもなく,試験不合格を根拠として,期間満了による雇止めを行うことは,信義則に反し,契約の更新拒絶権を濫用したものというべきであって,無効である。したがって,この試験を受験して不合格となった原告Cに対する雇止めは,無効となる。 第10 結論 1 これまでの検討により,被告の原告らに対する雇止めの意思表示はいずれも無効であって,その結果,原告らと被告の法律関係は,それぞれ,期間を1年と定めた雇用契約が,雇止めによって終了することなく,口頭弁論終結時において存続していることになる。これを前提として,原告らに対して支払われるべき賃金等の額を算定する。 2 準職員の給与等の算定について証拠(甲6,7)によれば,被告の準職員の給与及び賞与の算定の方法は,次のとおりである。 給与は,毎月20日をもって締め切り,前月21日から当月20日までの分を毎月25日に支払う。賞与の算定基礎期間は,夏期賞与を前年の12月1日から当年5月31日までとし,年末賞与を6月1日から11月30日までとする。算定基礎期間に欠勤がある場合は,本来の賞与支給額を所定労働日数で除し,これに出勤日数を乗じて支給額を算出する。 給与計算上,10円未満の端数が生じたときは,切り上げ計算する。 3 原告A及び原告Bについて(1) 準職員が所定労働日に就業 支給額を所定労働日数で除し,これに出勤日数を乗じて支給額を算出する。 給与計算上,10円未満の端数が生じたときは,切り上げ計算する。 3 原告A及び原告Bについて(1) 準職員が所定労働日に就業しなかった場合には,就業しなかった日または時間についての給与は減額する。産前・産後休暇(産前6週間,産後8週間の合計98日間)について,無給であることは,原告両名が認めるところである。 そして,所定休日は,日曜日,国の定めた祝日,地方祭年1日,年末・年始,夏期休暇及び4時間勤務日のうち月2回であるが,交替勤務の場合は,所定休日と同数の休日をあらかじめ指定し,勤務割表に明記することとされていることから,原告Aの賃金の額の算定に当たっては,給与算定期間の全部が産前産後休暇期間に含まれる場合,その月の賃金は無給とし,算定期間の一部が産前産後休暇期間に含まれるときは,給与月額を算定期間の日数で除して,これに算定期間中の産前産後休暇に含まれない日数を乗じて,その月の賃金の額を算出するのが相当である(雇用期間が1月に満たない端数が生じる場合も同様である。)。また,賞与の額の算定に当たっては,賞与支給額を算定基礎期間の日数で除し,期間中の産前産後休暇期間に含まれない日数を乗じて,算出するのが相当である。 (2) 原告Aの賃金の額は,平成9年4月から契約を更新されていた場合,月額14万5300円であり,夏期及び年末賞与はそれぞれ,14万5300円であることは争いがない。 原告Aは,平成9年6月16日に出産した(甲54)から,産前・産後休暇の期間は,同年5月6日から同年8月11日までである。 以上を前提として,原告Aの賃金及び賞与の額を検討する。 ア賃金の額平成9年4月(4月1日~20日) 9万3750円(計算式) 145,300×20 年8月11日までである。 以上を前提として,原告Aの賃金及び賞与の額を検討する。 ア賃金の額平成9年4月(4月1日~20日) 9万3750円(計算式) 145,300×20÷31=93,741(円未満切り捨て。以下同じ)同年5月(4月21日~5月5日) 7万2650円(計算式) 145,300×15÷30=72,650同年6月,7月(産前産後休暇中) 0円8月(8月12日~20日) 4万2190円(計算式) 145,300×9÷31=42,183同年9月から平成13年10月まで(50か月) 726万5000円(計算式) 145,300×50=7,265,000イ賞与の額平成9年7月(平成8年12月1日から平成9年5月31日までの183日中産前産後休暇期間を除く157日について算定)12万4660円(計算式) 145,300×157÷183=124,656同年12月(平成9年6月1日から同年11月30日までの183日中産前産後休暇期間を除く102日について算定)8万0990円(計算式) 145,300×102÷183=80,986平成10年7月から平成13年7月までの賞与(7回)101万7100円(計算式) 145,300×7=1,017,100ウ合計 869万6340円(原告Aの請求によれば,口頭弁論終結時における請求額は870万9510円となるから,上記合計額について請求を認容し,これを超える部分については,請求を棄却すること 869万6340円(原告Aの請求によれば,口頭弁論終結時における請求額は870万9510円となるから,上記合計額について請求を認容し,これを超える部分については,請求を棄却することとする。)(3) 原告Bの賃金は,平成9年4月から契約を更新されていた場合,月額15万円であり,夏期及び年末賞与は,それぞれ賃金1か月相当分であり,各15万円であることは争いがない。 原告Bは,平成9年8月6日に出産した(甲48)から,産前・産後休暇の期間は,同年6月26日から同年10月1日までである。 以上を前提として,原告Bの賃金及び賞与の額を検討する。 ア賃金の額平成9年4月(4月1日~20日) 9万6780円(計算式) 150,000×20÷31=96,774同年5月,6月 30万円(計算式) 150,000×2=300,000同年7月(6月21日~25日) 2万5000円(計算式) 150,000×5÷30=25,000同年8月,9月(産前産後休暇中) 0円同年10月(10月2日~20日) 9万5000円(計算式) 150,000×19÷30=95,000同年11月から平成13年10月まで(48か月) 720万円(計算式) 150,000×48=7,200,000イ賞与の額平成9年7月 15万円同年12月(平成9年6月1日から同年11月30日までの183日中産前産後休暇期間を除く85日について算定)6万9680円(計算式) 150,000×85÷183=69,6 から同年11月30日までの183日中産前産後休暇期間を除く85日について算定)6万9680円(計算式) 150,000×85÷183=69,672平成10年7月から平成13年7月までの賞与(7回)105万円(計算式) 150,000×7=1,050,000ウ合計 898万6460円(ただし,原告Bの請求によれば,口頭弁論終結時における請求額は883万0800円となるから,その範囲で認容する。) 4 原告Cについて原告Cの賃金は,平成10年4月から契約を更新されていた場合,同年6月末までは月額15万円,同年7月1日以降は月額15万2600円であり,夏期及び年末賞与は,平成10年6月末までは1か月相当分であり,同年7月1日以降は1. 2か月相当分である。 (1) 賃金の額平成10年4月(4月1日~20日) 9万6780円(計算式) 150,000×20÷31=96,774平成10年5月,6月 30万円(計算式) 150,000×2=300,000平成10年7月から平成13年10月まで(40か月)610万4000円(計算式) 152,600×40=6,104,000(2) 賞与の額平成10年7月 15万円平成10年12月 17万7690円(計算式) 150,000×30÷183+152,600×1.2×153÷183=177,690平成11年7月から平成13年7月までの賞与(5回) 91万5600円(計算式) 152,600×1.2×5=91 50,000×30÷183+152,600×1.2×153÷183=177,690平成11年7月から平成13年7月までの賞与(5回) 91万5600円(計算式) 152,600×1.2×5=915,600(3) 合計 774万4070円(ただし,原告Cの請求によれば,口頭弁論終結時における請求額は752万8040円となるから,その範囲で認容する。) 5 よって,主文のとおり判決する(なお,原告らの請求中,口頭弁論終結時に弁済期の到来していない賃金及び賞与の支払を求める部分については,あらかじめその請求をする必要性を認めることができないから,訴えの利益を欠くものとしてこれを却下することとする。)。 松山地方裁判所宇和島支部裁判長裁判官今中秀雄裁判官齋藤聡裁判官伊藤清隆は,填補につき,署名押印することができない。 裁判長裁判官今中秀雄
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