平成12(行ウ)2 損害賠償代位等住民訴訟事件

裁判年月日・裁判所
平成18年9月26日 鳥取地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文29,320 文字)

主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求 被告P1株式会社は,米子市に対し,15億2571万3000円及びうち14億2590万円に対する平成10年6月6日から,うち9981万3000円に対する平成12年8月19日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告米子市長が,被告P1株式会社に対し,15億2571万3000円の支払を求める請求を怠る事実が違法であることを確認する。 第2事案の概要等 事案の概要本件は,米子市の住民である原告らが,平成10年6月2日に実施された米子市新清掃工場建設工事(以下「本件工事」という。)の指名競争入札に先立ち,被告P1株式会社(当時の商号はP2株式会社。以下「被告会社」という。)を含む指名業者らによる談合が行われ,その結果,上記入札において,談合がなければ形成されたであろう契約額より高い価格での落札がされ,その差額が少なくとも実際の契約額に対する10%相当額(14億2590万円)であり,米子市に対し同額の損害を与えたとして,次の各請求をする事案である。 (1)被告会社に対し,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき,不法行為による損害賠償請求を代位して,米子市に対して損害金15億2571万3000円(談合による損害額14億2590万円,弁護士費用9981万3000円)及びうち14億2590万円に対する上記工事の請負契約締結日の翌日 である平成10年6月6日から,うち9981万3000円に対する訴状送達日の翌日である平成12年8月19日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求(2)被告米子市長について,同項3 6日から,うち9981万3000円に対する訴状送達日の翌日である平成12年8月19日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求(2)被告米子市長について,同項3号に基づき,上記損害賠償請求権の行使を怠る事実の違法確認を求める請求 前提となる事実(1)当事者等(弁論の全趣旨)ア原告らは,いずれも米子市の住民である。 イ被告会社は,ごみ処理設備等の企画,設計,製造,販売等を目的とする株式会社である。 (2)ごみ焼却施設の概要等(甲査11~13,21,22,弁論の全趣旨)アごみ焼却施設の概要地方自治体(市町村及び一部事務組合等)は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき一般廃棄物を処理する責務を負っており,各地方自治体においてごみ処理施設を整備している。ごみ焼却施設は,ごみの処理方法により区分されるごみ処理施設の一つである。 ごみ焼却施設は,1日当たりの稼働時間により,①24時間連続稼働する全連続燃焼式(以下「全連」という。),②16時間稼働する准連続燃焼式(以下「准連」という。),③8時間稼働するバッチ燃焼式に区分される。また,ごみ焼却施設は,燃焼装置の燃焼方式により,①ストーカ式燃焼装置(ごみをストーカ上で乾燥して焔燃焼させ,次におき燃焼させて灰にする装置)を採用する焼却施設(以下「ストーカ炉」という。),②流動床式燃焼装置(けい砂等の不活性粒子層の下部から,加圧した空気を分散供給して,不活性粒子を流動させ,その中でごみを燃焼させ,灰にする装置)を採用する焼却施設,③ガス化溶融式焼却施設がある。 イごみ焼却施設の発注方法 地方自治体は,ごみ処理施設を建設する実行年度の前々年度以前にごみ処理基本計画を策定し,建設用地の選定,環境アセスメント等の手続を経た上,前年度に整備計画書を国 る。 イごみ焼却施設の発注方法 地方自治体は,ごみ処理施設を建設する実行年度の前々年度以前にごみ処理基本計画を策定し,建設用地の選定,環境アセスメント等の手続を経た上,前年度に整備計画書を国に提出するが,その際,工事費用を把握するため,将来の入札に参加が見込まれる業者に工事の仕様を提示して,参考見積金額を徴求している。その後,地方自治体は,国から国庫補助金の内示を受けて,指名競争入札,一般競争入札,指名見積り合わせ又は特命随意契約のいずれかの方法により発注する。 地方自治体は,全連及び准連ストーカ炉の新設,更新及び増設工事について,そのほとんどを指名競争入札,一般競争入札又は指名見積り合わせの方法により発注する。また,その発注形態は,①ごみ焼却施設の製造,据付工事と土木建築工事を一括して,プラントメーカー又はプラントメーカーと土木建築業者の共同企業体(JV)に発注する方法,②ごみ焼却施設の製造,据付工事と土木建築工事を分離して,前者をプラントメーカーに,後者を土木建設業者にそれぞれ発注する方法がある。 地方自治体は,指名競争入札又は指名見積り合わせの方法で発注するに当たり,入札参加資格申請をした者のうち,地方自治体が競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から参加者を指名している。 ウストーカ炉のプラントメーカーストーカ炉のプラントメーカーには,被告会社のほか,P3株式会社(以下「P3」という。),P4株式会社(以下「P4」という。),P5株式会社(以下「P5」という。)及び株式会社P6(以下「P6」という。)があり,これらの5社は,業界内では「大手5社」と称されていた(以下,これらの5社を「大手5社」という。)。 また,大手5社以外のストーカ炉のプラントメーカーには,株式会社P7(以下「P7」という。 があり,これらの5社は,業界内では「大手5社」と称されていた(以下,これらの5社を「大手5社」という。)。 また,大手5社以外のストーカ炉のプラントメーカーには,株式会社P7(以下「P7」という。),株式会社P8(以下「P8」という。), P9株式会社(以下「P9」という。),P10株式会社(以下「P10」という。),P11株式会社,P12株式会社,株式会社P13等があった。 (3)本件工事の発注(甲1,3,4,甲査29,弁論の全趣旨)ア本件工事の発注に係るごみ焼却施設は,全連ストーカ炉で,処理能力が1日当たり270トンである。 イ本件工事は,平成10年6月2日,次のとおり,プラントメーカー9社が指名された上,指名競争入札の方法により入札(以下「本件入札」という。)が行われた結果,被告会社が受注業者に決定され,米子市と被告会社との間で,同月5日仮契約,同月26日本契約が締結された。 (ア)入札予定価格(税抜き)136億0110万円(イ)入札参加者及び各入札価格①被告会社135億8000万円②P4139億5000万円③P10139億8000万円④P6143億5000万円⑤P3144億0000万円⑥P5145億0000万円⑦P7145億8000万円⑧P9146億0000万円⑨P8147億0000万円(ウ)受注価格(税抜き)135億8000万円(エ)契約金額(税込み)142億5900万円(4)公正取引委員会の審決手続(甲ア1~3,甲査4,29,弁論の全趣旨)ア公正取引委員会は,大手5社に対し,平成10年9月17日に立入検査 を行い,平成11年8月13日に地方自治体が指名競争入札等の方法により発注した全連及び准連ストーカ炉の建設工事について,共同して受注予定者を決 は,大手5社に対し,平成10年9月17日に立入検査 を行い,平成11年8月13日に地方自治体が指名競争入札等の方法により発注した全連及び准連ストーカ炉の建設工事について,共同して受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた事実が認められ,平成17年法律第35号による改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)3条の「不当な取引制限」に該当するとして,同法48条2項による排除勧告をした。 イ大手5社が上記アの排除勧告に応じなかったため,公正取引委員会は,審判手続を開始し,平成16年3月29日に審決案(以下「本件審決案」という。)を出した。本件審決案では,大手5社が,平成6年4月から平成10年9月までの間に,地方自治体が指名競争入札等の方法により発注した全連及び准連ストーカ炉の建設工事について,共同して受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていたとの談合行為があったと認定した上で,大手5社に対し,周知措置等の必要な措置を命じている。 平成6年4月から平成10年9月17日までの間に全国の地方自治体が行った全連及び准連ストーカ炉の建設工事に関する指名競争入札等の状況は,別紙のとおりであるところ,本件工事は,本件審決案において談合行為が認定された工事の中に含まれている。 ウその後,公正取引委員会は,大手5社に対する排除措置の必要性(独占禁止法54条2項)について更に審理を行うため,審判手続を再開した上,平成18年3月に第2次審決案を出した。他方,大手5社は,本件審決案で認定された談合行為の存在について争っている。 (5)監査請求(甲1,4)原告らは,平成12年5月17日,米子市監査委員に対し,本件入札に際し,指名業者9社による談合が行われたとして,法242条に基づき,米子市 為の存在について争っている。 (5)監査請求(甲1,4)原告らは,平成12年5月17日,米子市監査委員に対し,本件入札に際し,指名業者9社による談合が行われたとして,法242条に基づき,米子市長に対して損害賠償請求権の行使等の勧告の措置を執るよう請求した。米子市監査委員は,同年7月10日ころ,原告らに対し,本件入札につき談合 の事実を認定することができなかったとして,上記請求には理由がないとの監査結果を通知した。 なお,上記通知には,「今後,公正取引委員会の審決が確定し,本件工事における違法行為の存在及び損害の発生が明らかになった場合には,その損害の填補のため必要な措置をとられるよう市長に要望する」との監査委員の意見が付されている。 本件の請求原因事実原告らは,本件不法行為の請求原因事実として,「被告会社は,P3,P5,P6及びP4とともに,事前に合意していた基本談合行為に従って,本件工事において,その入札に先立ち上記5社の話し合いで被告会社を受注予定者とすることを決め,入札日の前に他の参加者に自社の入札価格を連絡するなどし,他の参加者が被告会社の入札価格以上で入札することを合意し,この合意に基づいて入札を実行したため,本件工事は,被告会社が予定価格の99.84%に当たる135億8000万円で受注した。上記談合が行われず入札参加者間の競争が確保されたとすれば,本件工事の受注価格と比べ,控えめにみても10%以上低い水準での受注者が出現したはずであるから,米子市は,現実の契約金額の少なくとも10%に相当する損害を被った。」旨を主張している。 本件の争点(1)本件損害賠償請求について,訴訟物は特定されているか。(争点(1))(2)本件入札において,被告会社らによる談合が行われたか。(争点(2))(3)前記(2)の談合に る。 本件の争点(1)本件損害賠償請求について,訴訟物は特定されているか。(争点(1))(2)本件入札において,被告会社らによる談合が行われたか。(争点(2))(3)前記(2)の談合により米子市が被った損害額はいくらか。(争点(3))(4)被告米子市長が,被告会社に対し,前記(2)の談合による損害賠償請求権を行使しないことについて,違法に財産の管理を怠るといえるか。(争点(4))(5)本件損害賠償請求(法242条の2第1項4号による住民訴訟)において,弁護士費用相当額を請求しうるか。また,弁護士費用相当額を請求しう るとして,その金額はいくらか。(争点(5)) 当事者の主張(1)争点(1)について(原告らの主張)本件損害賠償請求について,訴訟物は特定されている。本件では,大手5社による談合の基本合意を主張しており,本件工事に関する個別合意についても,基本合意に基づき受注予定者及び受注価格を決定したと主張していて,請求原因事実を特定している。本件工事に関する個別談合の日時,場所及び内容・方法等は,談合行為が秘密裡に行われることから特定困難であり,また,これらの事実を特定しなくても被告の防御権を害しないから,請求原因事実として特定する必要はないというべきである。 (被告会社の主張)本件損害賠償請求について,訴訟物は特定されていない。談合を不法行為と主張する場合には,談合の基本合意のみならず,本件工事に関する個別合意を特定する必要があるところ,原告は,個別合意について,その談合の日時,場所及び内容・方法等を具体的に特定しておらず,抽象的・概括的な主張をするにとどまっており,被告の防御権を害するから,主張自体失当というべきである。 (2)争点(2)について(原告らの主張)ア全国のストーカ炉建設工事での談合 しておらず,抽象的・概括的な主張をするにとどまっており,被告の防御権を害するから,主張自体失当というべきである。 (2)争点(2)について(原告らの主張)ア全国のストーカ炉建設工事での談合行為(ア)大手5社は,地方公共団体の計画するストーカ炉の建設工事について,次のとおり談合行為を行っていた。 a基本合意大手5社は,各社が受注希望の表明を行った上,①受注希望者が1名の工事はその者を,受注希望者が複数の工事は受注希望者で話し合って,そ れぞれ受注予定者を決定し,②受注予定者を決定した工事について,大手5社以外の業者(以下「アウトサイダー」という。)が指名競争入札等に参加する場合には,受注予定者は,自社が受注できるようアウトサイダーに対し協力を要請し,③受注価格は,受注予定者が定めて,受注予定者以外の者は,受注予定者がその価格で受注できるよう協力する。 b個別合意大手5社は,平成6年4月以降,営業責任者の集まる会合において,地方公共団体の計画するストーカ炉の建設工事について,処理能力の規模別に区分したリストを作成し,その情報を交換して,受注希望表明の対象となる工事を確定し,前記基本合意のとおり受注予定者を決定する。 (イ)前記(ア)の談合行為があったことは,次の事情から明らかである。 すなわち,①P3のP14,被告会社のP15等の大手5社の関係者は,談合行為があったことを認める供述をしていること,②大手5社の社内文書の中には,ストーカ炉の建設工事の情報交換,受注希望表明,受注予定者の決定,受注価格の連絡,アウトサイダーに対する協力要請等が記載されたもの,大手5社の営業担当者においてストーカ炉の受注状況を数値化して試算したもの,個別工事につき談合をうかがわせるものがあること,③大手5社による平均落札率が96%を超えていた 力要請等が記載されたもの,大手5社の営業担当者においてストーカ炉の受注状況を数値化して試算したもの,個別工事につき談合をうかがわせるものがあること,③大手5社による平均落札率が96%を超えていたこと等の談合行為の存在を推認させる証拠等が存在する。 また,大手5社の平成6年4月以降の受注状況を算出すると,各社の指数は,限りなく「0.2」に近い数値であり,大手5社が各社の受注数値がほぼ均衡するよう受注調整を行っていたことが推認される。 イ本件工事での談合行為大手5社は,前記基本合意に従い,本件工事についても,本件入札に先立って談合を行い,被告会社を受注予定者として決定した。そして,被告会社は,本件入札に先立ち,アウトサイダーに対し,自らの応札価格を連 絡するなどして談合への協力を求め,アウトサイダーは,これを了承して,被告会社の応札価格を超える金額での入札を行った。このように,本件工事については,大手5社及びアウトサイダーにより,被告会社が受注予定者とされ,本件入札における指名業者間での競争が排除されたものである。 大手5社は,前記アのとおり,全国のストーカ炉建設工事で談合を繰り返しており,本件工事について談合が行われていないとは考えがたい上,本件入札の落札率(受注価格を予定価格で除した数値)が99.84%と極めて高いこと,他の入札参加者8社の入札価格が予定価格を超えており,最低価格と最高価格の乖離が8.2%しかないことは,本件工事について談合が存在したことを裏付けている。 本件工事は,前記のようなアウトサイダーを含めた談合の結果,談合がなければ形成されたであろう契約額と比較して高い価格での落札がされ,米子市に損害が生じたことが明らかである。 (被告会社の主張)ア全国のストーカ炉建設工事での談合行為(ア)大手5社は,全国のスト ければ形成されたであろう契約額と比較して高い価格での落札がされ,米子市に損害が生じたことが明らかである。 (被告会社の主張)ア全国のストーカ炉建設工事での談合行為(ア)大手5社は,全国のストーカ炉建設工事において,談合行為を一切していない。 (イ)原告の主張する証拠等は,いずれも談合行為を裏付けるものでない。 すなわち,①P14は,公正取引委員会の審査官(以下「審査官」という。)から任意性を欠く不当な取調べを受けた上,談合行為の存在を認める供述内容も簡単なものであって,P14供述には,任意性及び信用性がない。P15は,審査官から不当な取調べを受けた上,談合行為の存在を認める供述内容も,P15自身が個別談合が行われたとされる会合の出席者でなく,他者から聴取した内容を述べた伝聞にすぎない上,談合行為のような極秘事項を社外の酒席で聴取したというのも不自然であって,P15供述には,信用性がない。また,P14供述とP15供述は,談合行為 の対象となる物件の分類方法等が合致しておらず,これらはいずれも信用性がない,②大手5社の社内文書等は,各社が自社の営業活動を行うに当たり,各地方公共団体や業界誌等からごみ焼却施設の建設計画及び受注状況等に関する情報を収集したにすぎない。上記文書等は,その情報源が限られることから,各社で記載内容が一致する部分のあるのは当然であり,談合行為の存在を裏付けるものではない,③落札率の高低で談合の有無を判断することはできない。また,原告は,大手5社の受注状況の指数を指摘するが,この指数の低い順に受注希望を表明することを裏付ける証拠はなく,このような指数が談合行為の存在を推認させるものでもない。 そもそも,ごみ焼却施設の建設工事は,大手5社のみならず,他のプラントメーカーを含めて熾烈な競争が行われており,また, を裏付ける証拠はなく,このような指数が談合行為の存在を推認させるものでもない。 そもそも,ごみ焼却施設の建設工事は,大手5社のみならず,他のプラントメーカーを含めて熾烈な競争が行われており,また,各業者の技術力や設計内容等に差があって,大手5社であっても各地方公共団体から必ず指名を受けられるものではない。そのうえ,ごみ焼却施設の建設工事は,物件ごとの受注金額が巨額に上り,受注の成否が会社経営に大きな影響を与えるところ,各地方自治体によって,発注の有無及び工期等が様々である等の不確定要素が多く,数年先に発注予定の物件について,予め談合により受注予定者を決定することはあり得ない。 イ本件工事での談合行為大手5社は,全国のストーカ炉建設工事で談合行為をしておらず,本件工事についても,談合行為をしていない。また,本件入札は,大手5社のみならず,4社のアウトサイダーが参加しているが,アウトサイダーに対する協力要請があった事実を示す証拠は一切存在しない。本件入札の落札率が99.84%であることや,他の入札参加者8社の入札価格が予定価格を超えており,最低価格と最高価格の乖離が8.2%であること等の事情は,本件工事において談合行為が行われたことを積極的に裏付けるものではない。 (被告米子市長の主張)原告らの主張のうち,本件入札の落札率が99.84%であったこと,他の入札参加者8社の入札価格が予定価格を超えていたこと,最低価格と最高価格の乖離が8.2%であったことは認め,その余はいずれも不知。 (3)争点(3)について(原告らの主張)本件工事については,談合が行われず入札参加者間の競争が確保されたとすれば,本件工事の受注価格と比べ,控えめにみても10%以上低い水準での落札者が出現したはずであるから,米子市は,現実の契約金額の少なくとも ついては,談合が行われず入札参加者間の競争が確保されたとすれば,本件工事の受注価格と比べ,控えめにみても10%以上低い水準での落札者が出現したはずであるから,米子市は,現実の契約金額の少なくとも10%に相当する損害を被った。 (被告会社の主張)原告の主張は否認する。原告は,本件工事の実際の受注価格と入札参加者間の競争が確保された場合の受注価格との差額を具体的に明らかにしておらず,原告の主張する10%の数値には,合理的根拠がない。 (被告米子市長の主張)原告の主張は,不知。 (4)争点(4)について(原告らの主張)被告米子市長は,被告会社に対し,本件不法行為に基づく損害賠償請求権を行使しようとせず,財産の管理を違法に怠っている。 (被告らの主張)本件不法行為については,公正取引委員会が審判手続を開始しているが,被告会社らが談合の存在を全面的に争っており,被告米子市長において談合の事実を把握できる状況になく,被告米子市長が本件不法行為に基づく損害賠償請求権を行使していないとしても,違法に財産の管理を怠っているとはいえない。 また,被告米子市長が上記損害賠償請求権を有しているとしても,これをいつ,どのような方法で行使するかは,被告米子市長の合理的な裁量に委ねられている。本件では,公正取引委員会の審決が確定すれば,被告米子市長は,被告会社に対し,法25条に基づく損害賠償請求訴訟を提起することができ,上記訴訟では,談合行為の存在の推定,損害額の立証につき公正取引委員会の意見請求(法84条)等が可能であって,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟と比較して立証が容易になる。被告米子市長は,このような事情を考慮して,現段階では不法行為に基づく損害賠償請求を差し控えているにすぎず,上記損害賠償請求権の不行使は,合理的な裁量の範囲内に止まるも と比較して立証が容易になる。被告米子市長は,このような事情を考慮して,現段階では不法行為に基づく損害賠償請求を差し控えているにすぎず,上記損害賠償請求権の不行使は,合理的な裁量の範囲内に止まるものであって,財産の管理を違法に怠っているわけではない。 (5)争点(5)について(原告らの主張)原告らは,本件訴訟の提起及び追行を原告訴訟代理人に委任し,その弁護士費用を支払う旨約した。不法行為に基づく損害賠償請求訴訟においては,弁護士費用相当額が損害として認められるが,これは,法242条の2第1項4号による住民訴訟であっても同様であり,法242条の2第7項の規定があるからといって,その請求を妨げられない。本件の弁護士費用相当額は,談合行為による損害額の7%相当額である9981万3000円である。 (被告会社の主張)本件訴訟は,法242条の2第1項4号による住民訴訟であるところ,その弁護士費用は,原告らが勝訴した場合に米子市から支払われるものであって(法242条の2第7項),米子市には弁護士費用相当額の損害が生じていない。したがって,本件訴訟では,弁護士費用相当額を請求し得ない。 仮に,弁護士費用相当額を請求しうるとしても,原告の主張する金額は,著しく高額である。 (被告米子市長の主張) 原告の主張は,争う。 第3当裁判所の判断 争点(1)について被告会社は,本件請求原因事実について,本件工事に関する談合の個別合意につき日時,場所及び内容・方法等を明らかにして特定する必要があり,原告はその特定をしておらず,訴訟物が特定されていないと主張する。 しかし,原告は,前記第2の3のとおり,大手5社による基本合意の内容を主張した上,本件工事についても,本件入札に先立ち,上記基本合意に基づき受注予定者が被告会社に決定されたと主張している。そし る。 しかし,原告は,前記第2の3のとおり,大手5社による基本合意の内容を主張した上,本件工事についても,本件入札に先立ち,上記基本合意に基づき受注予定者が被告会社に決定されたと主張している。そして,訴訟物の特定としては,談合の対象となった個別工事を特定し,その受注予定者が入札参加者間の合意により事前に決定されたことを主張すれば,他の談合行為に関する事実と識別することが可能となり,被告らの防御に特に不利益があるわけではない。また,談合行為は,入札参加者間で秘密裡に行われるのが通常であり,その性質上会合に関する資料等が残されることも少ないという事情を考慮すると,原告において個別合意の具体的な日時,場所についてまで特定することは,実際上,不可能又は著しく困難である。 よって,本件の訴訟物は,原告の主張する請求原因事実(前記第2の3)の内容によって特定されているというべきであり,被告会社の主張は,採用することができない。 争点(2)について(1)全国各地のストーカ炉建設工事での談合行為の存否ア証拠関係(ア)関係者の供述a関係者の供述内容大手5社の関係者の審査官に対する供述の内容は,次のとおりである。 (a)P14供述(甲査28,46) P14は,昭和61年10月にP3本社環境装置一課に異動し,平成8年4月に同課課長に就任し,ごみ処理施設の営業を担当していた。 P14は,平成10年9月17日付け供述調書(甲査28,46)において,①大手5社は,毎月1回ほど各社の営業担当者の出席する会合を開催しており,P14は,平成6年4月以降その会合に出席するようになったこと,②会合の出席者は,ごみ処理施設の発注予定に関する情報をつかんでおり,どのような物件があるかについては出席者全員が共通の認識を有していたこと,③会合では,各出席者 の会合に出席するようになったこと,②会合の出席者は,ごみ処理施設の発注予定に関する情報をつかんでおり,どのような物件があるかについては出席者全員が共通の認識を有していたこと,③会合では,各出席者がそれぞれ受注を希望するかどうかを表明し,受注希望者が1社の場合は当該会社が受注予定者と決定し,受注希望者が2社以上の場合は希望者同士で話し合って受注予定者を決定していたこと,④受注予定者を決定する際は,ごみ処理施設の処理能力が1日当たり400トン以上のもの,200トン以上のもの,200トン未満のものを,それぞれ大,中,小に分けて受注希望を表明し,受注予定者を決定していたこと,⑤アウトサイダーが指名競争入札等に指名された場合には,受注予定者は,当該アウトサイダーに接触し,自社が受注できるよう協力を求めていること,⑥受注予定者は,当該物件について大手5社を含めた相指名業者に対し,各業者の入札価格を電話で連絡して協力を求めていること⑦P14が会合に出席するようになった平成6年4月以降,P3が受注予定者となった物件は,ほぼ予定どおり受注していること等を供述している。 (b)P15供述,メモ(甲査35,44)P15は,平成8年7月に被告会社P16支社機械プラント部環境プラント営業室長に就任し,近畿地方のごみ処理施設の受注業務を担当していた。 P15は,平成10年9月18日付け供述調書(甲査44)において,平成8年秋から冬までの間に,被告会社本社環境プラント部営業部長ら3 名から聴取した内容として,①大手5社のみで指名競争入札が行われる場合には,大手5社のルールにより,予め物件ごとに受注予定者が決定されること,②大手5社のほかにP7,P8,P10又はP9が参加して指名競争入札が行われ,被告会社が受注予定者となっている場合には,その4社とも話 5社のルールにより,予め物件ごとに受注予定者が決定されること,②大手5社のほかにP7,P8,P10又はP9が参加して指名競争入札が行われ,被告会社が受注予定者となっている場合には,その4社とも話し合いを行い,必ずしも全て受注できるとは限らないが,話し合いの結果,被告会社が受注予定者になることもあり得ること,③大手5社は,年1回ほど担当者の集まる「張り付け会議」という会議を開催し,発注情報を有しているストーカ炉について,大手5社に平等に分け与える形で,予め物件ごとの受注予定者を決定していること,④会議では,各業者がぞれぞれ受注希望を述べて,受注希望者が1社の場合は当該会社が受注予定者と決定し,受注希望者が複数の場合は,その業者間で受注予定者を決定すること,⑤受注予定者を決定する際は,ごみ処理施設の処理能力が1日当たり400トン以上の大規模物件,100トン以上400トン未満の中規模物件,100トン未満の小規模物件に分けて,受注予定者を決定していること,⑥受注予定者は,その物件を受注する権利を有するとともに,アウトサイダーが入札に参加しないよう発注先の地方自治体に働きかけること,⑦アウトサイダーが入札に参加する場合には,一部で「たたき合い」という事態が起こることも考えられ,受注予定者となった業者が受注できるとは限らないので,その分の補填はしないこと等を供述している。 また,P15は,上記聴取内容を記載したメモ(甲査35。以下「P15メモ」という。)を所持しており,P15メモには,「ストーカ炉は,大手5社(P2,P5,P3,P4,P6)が中核メンバーでP7とP8が準メンバー。但し,P10,P9等は話合いの余地はある。」,「ストーカ大手5社のルール①大(400t以上)②その他全連(399t以下)③准連の3項目に分けて張り付け会議を行う。1 ーでP7とP8が準メンバー。但し,P10,P9等は話合いの余地はある。」,「ストーカ大手5社のルール①大(400t以上)②その他全連(399t以下)③准連の3項目に分けて張り付け会議を行う。1年に1回。その時点で明確となっている物件をだいたい各社1個づつ指定する。その後は,そ の物件は100%その会社が守る権利と義務が発生する。その物件が何年先かは関係ない。同年度に重なったりゼロであったりする。比率は5社イーブン(20%)」,「その物件に5社以外のメンバが入った時は,タタキ合いとなる。業界は補てん等一切行わない。」等と記載されている。 (c)その他の関係者の供述P17は,平成8年3月にP3P18支社機械一課に異動し,同年4月に同課課長に就任し,中国地方のごみ処理施設等の営業を担当していたが,平成10年9月18日付け供述調書(甲査42)において,前任者から引き継いだ内容として,大手5社が,ごみ焼却施設について機会均等に受注するために受注予定者を決めており,各社の本社レベルでその話し合いが行われていると聞いた旨供述している。(甲査42)P19は,平成元年4月以降にP3P18支社機械一課で中国地方のごみ処理施設の営業を担当していたが,平成11年2月5日付け供述調書(甲査108)において,前任者から引き継いだ内容として,大手5社が,ストーカ炉の受注に際して,各社均等に物件を受注できるよう本社レベルで受注調整を行っており,本社から,発注先の地方自治体に対し指名業者を大手5社に絞り込むべく営業活動を行うよう指示を受けていたと供述している。(甲査47,108)P20は,平成10年6月にP6環境プラント本部本部長に就任し,西日本のごみ焼却施設の営業等を担当していたが,平成10年9月17日付け供述調書(甲査45)において,同本部営業部長 甲査47,108)P20は,平成10年6月にP6環境プラント本部本部長に就任し,西日本のごみ焼却施設の営業等を担当していたが,平成10年9月17日付け供述調書(甲査45)において,同本部営業部長から聴取した内容として,何としてもP6が受注したい物件については,他社と話し合いを行い,P6の入札価格よりも高い価格で他社が入札することに応じてもらったり,P6が他社の受注に協力したりすることがあると供述している。(甲査45)b供述内容の検討 (a)P14供述(甲査28,46)は,前記のとおり,大手5社による受注予定者の決定方法等につき具体的な説明をしており,審査官による誘導等による虚偽の内容とは考えがたい。また,その取調べは,公正取引委員会による立入り検査当日に行われ,他の談合関係者からの影響を受けない状況下でされている。他方,P14は,後の取調べでは談合を否定する供述をする(甲査162~181等)が,これらの供述中には,自己の作成又は管理する文書や従前の取調べ状況につき曖昧であったり,不自然に供述を回避したりする部分があり,信用性に乏しい。したがって,談合を認めたP14供述(甲査28,46)は,信用性があると認められる。 なお,被告会社は,P14供述について,審査官から任意性を欠く不当な方法での取調べを受けたと主張し,P14は,後日の取調べや別件訴訟において,強引に公正取引委員会に連行された上,長時間にわたり,審査官から強い威迫や誘導等を受けたこと等を供述する(甲査165,182~189,乙20等)。しかし,P14は,①談合を認めた供述調書(甲査28,46)について,その内容を読み聞かせられた上で署名・押印しており,②取調べを受けた後,被告会社のP21に対し,その内容を相当詳細に伝えてもいる(甲査36)から,取調べの際,審査 述調書(甲査28,46)について,その内容を読み聞かせられた上で署名・押印しており,②取調べを受けた後,被告会社のP21に対し,その内容を相当詳細に伝えてもいる(甲査36)から,取調べの際,審査官の威迫や誘導等により,その意思が抑圧されていたとは認めがたいところであって,被告会社の上記主張は,採用できない。また,被告会社は,P14には1億円以上の物件の決裁権限がなく,かかる物件につきP14が受注予定者を決定することはできないと主張するが,P3において内部的な決裁権限を有していないからといって,大手5社による談合行為に関与し得ないわけではない。 (b)P15供述(甲査44)及びP15メモ(甲査35)は,P15が大手5社の会合に自ら出席したのではなく,被告会社の本社環境プラント部営業部長ら3名からの聴取内容を説明したものであるが,受注予定 者の決定方法等につき具体的な説明をしており,その内容は,相当に信用できるものと認められる。 もっとも,被告会社は,P15供述について,審査官から,長時間にわたる取調べを受け,この調書を裁判に出さない等として署名押印を求められるなど不当な方法での取調べを経て作成されたものであると主張する。 しかし,P15に対する取調べは,長時間にわたったことが認められるものの(甲査154),そのことから直ちに,供述内容が信用できなくなるわけではないし,P15供述の内容は,専らP15メモに沿った説明をしたにすぎず,審査官から,その際,虚偽の内容を供述するよう強要されるなどの不当な取調べを受けたとの証拠はない。また,被告会社は,P15メモには「P7とP8は準メンバー」,「5社以外のメンバが入った時はタタキ合いとなる」との記載があり,両者が矛盾すると主張するが,これは,アウトサイダーとの間で談合の合意をする余地はある は,P15メモには「P7とP8は準メンバー」,「5社以外のメンバが入った時はタタキ合いとなる」との記載があり,両者が矛盾すると主張するが,これは,アウトサイダーとの間で談合の合意をする余地はあるが,合意ができなければ競争関係に立つとの趣旨であると理解でき,何ら矛盾する記載ではない。さらに,P15が社外の酒席でこのような極秘事項を聴取したという経緯も,殊更に不自然とはいいがたい。 (c)そして,P14供述,P15供述及びP15メモは,いずれも地方公共団体の発注するストーカ炉の建設工事について,大手5社により談合が行われていたことを認めているほか,ストーカ炉を規模毎に3つに区分した上で,各社が受注希望表明を行い,受注希望者が1社の場合は当該会社が受注予定者と決定し,受注希望者が複数の場合は,その業者間で受注予定者を決定するという談合行為の基本的事項につき一致した説明をしており,他の関係者(P17,P19及びP20)においても,大手5社による談合行為の存在につき前任者からの引継ぎを受けたこと等の供述をしていることを併せ考慮すると,その信用性は高いというべきである。 これに対し,被告会社は,P14供述とP15供述及びP15メモとで は物件の分類基準等が相違する旨主張するが,上記各供述の信用性を否定すべきほどの相違があるとはいえない。 (イ)談合行為の存在をうかがわせる社内文書a平成7年9月ころの文書(a)P4機械・環境・エネルギー事業本部環境装置営業本部P22営業部参事のP23の所持していた「年度別受注予想H07.09.28」と題する書面(甲査89。以下「P23リスト」という。)には,平成7年9月28日の時点で,平成8年度以降に発注が見込まれるストーカ炉の物件を地方自治体名で列挙し,各年度ごとに「○」「○」「○」「○」「○ る書面(甲査89。以下「P23リスト」という。)には,平成7年9月28日の時点で,平成8年度以降に発注が見込まれるストーカ炉の物件を地方自治体名で列挙し,各年度ごとに「○」「○」「○」「○」「○」の欄で分類されており,この欄は,順にP4,P3,P5,被告会社,P6の大手5社を略称したものと考えられる。そして,P23リストに記載された工事(各社の略号に「-S」が付されたもの)のうち実際に発注されたものは,平成8年度が12件,平成9年度が9件,平成10年度が1件の合計22件であるが,この22件からP8の受注した3件(日南地区衛生センター管理組合,α地区広域衛生施設組合,β)及びP5の受注した1件(東京都中央地区清掃工場)を除いた18件については,実際の受注業者がP23リストで分類された業者と合致している(甲査29)。 (b)P23リストは,表題自体は受注予想とされているが,これだけ多数の工事について数年前から正確な受注予想を行うのはおよそ不可能であり,予め決定された受注予定者を記載したものとみるほかない。そうすると,大手5社は,平成7年9月28日までに,P23リスト記載の工事について,予め受注予定者を決定したことがうかがわれる。 b平成8年12月ころの文書(a)P3のP14の所持していたノート(甲査67。「以下「P14ノート」という。)は,ごみ処理施設の物件を地方自治体名で列挙した ものであるが,リストの横に「1順目は自由,2順目は自由,3順目は200t/日未満12/9」「バッティングしたら12/18までに結着」との記載があり,このうち「12/9」の記載は,ノートの前の記載に照らして,平成8年12月9日を指すと推認される。(甲査67,179)被告会社の環境第二営業部第二営業室統括スタッフのP24の所持していた1996年 のうち「12/9」の記載は,ノートの前の記載に照らして,平成8年12月9日を指すと推認される。(甲査67,179)被告会社の環境第二営業部第二営業室統括スタッフのP24の所持していた1996年版ダイアリーのうちの一文書(甲査76。以下「P24文書」という。)は,ごみ処理施設の物件を地方自治体名で列挙したものであるが,その欄外に「①200t/日以上,②200t/日未満」「12/9,2件①,②双方から,さらに1件②から,合計3件」との記載がある。(甲査76)(b)P14ノート及びP24文書は,記載内容がほぼ合致しており,その内容に照らすと,地方自治体の発注するごみ処理施設について,平成8年12月9日の会合で,その処理能力に応じて3回に分けて,順番に受注希望表明をする方法で談合行為を行ったことがうかがわれる(なお,P14は,上記P14ノートの記載につき不自然に供述を回避しており(甲査179),かかる供述態度からも,談合行為の存在がうかがわれるといえる。)。 c平成9年9月ころの文書(a)被告会社のP24らの所持していた平成9年9月1日付けリスト(甲査60)及び同月11日付けリスト2通(甲査62,63。以下,これらのリスト3通を合わせて「P24リスト」という。)は,いずれもごみ処理施設の物件を地方自治体名で列挙し,処理能力に応じて「全連(400t以上)」「全連(200t以上400t未満)」「全連(200t未満)」で区分したものであるが,甲査60のリストの1枚目の上部には,「全連小型(200t未満)9/292~3件,大型10/16 1件,中型11/192件?」「9/11大・中・小対象物件確定」との記載があり,また,甲査62,63号証のリストの1枚目には,「全連200t未満3件9/29(月)」「〃200t以上~400 1件,中型11/192件?」「9/11大・中・小対象物件確定」との記載があり,また,甲査62,63号証のリストの1枚目には,「全連200t未満3件9/29(月)」「〃200t以上~400t未満2件10/29(水)」「〃400t以上1件10/16(木)」との記載がある。(甲査60,62,63,140)。 P4の平成9年9月ころの社内文書(甲査155)は,平成10年以降に発注の見込まれるストーカ炉の物件を地方自治体名で列挙したものであるが,高萩市に「○1」,北上地区に「○2」,γに「○3」,江南丹羽に「○1」,横手平鹿に「○2」,江別市に「○3」,福島市に「○1」,八千代市に「○1」,久喜宮代に「○3」,西村山に「○1」,δに「○2」,国立市に「○3」,常陸太田に「○1」,松阪市に「○2」と記載され,3枚目の欄外には「○3パス」と記載されており,このアルファベットは,順に被告会社,P3,P4,P5,P6の大手5社を略称したものと考えられる。そして,この社内文書は,大手5社の略称のみならず1から3までの順番が記載されていること,「○3はパス」との記載はP6が3番目の受注希望表明をしなかったことを意味するとみられることからすれば,大手5社による受注希望表明の結果を示したものということができる。(甲査155)(b)P24リスト(甲査62)とP4の社内文書(甲査155)は,400トン以上の物件については22件がすべて一致し,400トン未満200トン以上の物件については東村山市の物件を除く29件が一致し,200トン未満の物件については甲査155に手書きで記載された八千代市及び西村山の物件,甲査60に記載されたε,甲査155に記載された那賀郡広域を除く96件が一致している。これに加えて,これらの文書の記載内容に照らすと,大手5社 査155に手書きで記載された八千代市及び西村山の物件,甲査60に記載されたε,甲査155に記載された那賀郡広域を除く96件が一致している。これに加えて,これらの文書の記載内容に照らすと,大手5社は,平成9年9月から11月までの間の会合で,地方自治体の発注するストーカ炉につき情報交換を行った上,物件 の規模ごとに受注希望表明を行う方法で,予め受注予定者を決定したことがうかがわれる。 d平成9年12月ころの文書(a)被告会社環境第一営業部第二営業室統括スタッフのP25の所持していた平成9年12月17日付けリスト(甲査58。以下「P25リスト」という。)は,ごみ処理施設の物件を地方自治体名で列挙し,処理能力に応じて「全連(400t以上)」「全連(200t以上400t未満)」「全連(200t未満)」で区分したものであるが,その1枚目に「1/20対象物件見直し400t以下,+α1件残」「〈社内〉1/26(火)14:00~,1/16(金)16:00~」「1/30張付け」との記載がある。 P5環境事業本部P26営業部作成の平成10年1月27日ころのリスト(甲査55。以下「P5リスト」という。)は,ごみ処理施設の物件を地方自治体名で列挙し,処理能力に応じて「大型」「中型」「小型」で区分したものであるが,その1枚目の送信書には「中型の対象物件送付します,1/30ハリツケする予定です」と記載されている。 (b)P25リストとP5リスト(太線による抹消後のもの)は,沼津及び豊田加茂の各物件がP25リストでは大型物件,P5リストでは中型物件として記載されていること,宗像古賀,逗子市の物件がP25リストには記載されていないこと,川口,金沢,西秋川の物件がP5リストには記載されていないことを除いて,大型物件が16件,中型物件が23件,小型物件84 れていること,宗像古賀,逗子市の物件がP25リストには記載されていないこと,川口,金沢,西秋川の物件がP5リストには記載されていないことを除いて,大型物件が16件,中型物件が23件,小型物件84件が一致している。これに加えて,これらの文書の記載内容,特に「張付け(ハリツケ)」という用語を共通して用いているところ,前記P15供述(甲査44)では「張付け」という用語を大手5社による談合の会合であると説明していることを併せ考えると,大手5社は,平成10年1月30日の会合で,地方自治体の発注するストーカ炉につき情報交 換を行った上,物件の規模ごとに,予め受注予定者を決定したことがうかがわれる。 e平成10年3月ころの文書(a)被告会社環境第一営業部長のP27の所持する1998年版手帳(甲査73。以下「P27手帳」という。)のうち平成10年3月26日の欄には,「〈中小型物件はりつけ〉」との記載がある。(甲査73)P3のP17の作成したメモ(甲査96。以下「P17メモ」という。)には,「P14K:3/26日会合で中国五県の話は出なかっ秘○た。引き続き営業強化宜しく。」との記載があり,P17は,この「会秘○合」の意味について,業界の受注調整のための会合であると認識している旨供述している。(甲査96,甲査102,甲ア3)P5環境事業本部営業本部P28営業部で保管されていた平成10年3月24日付け「環境装置需要一覧表」と題する書面(甲査56。以下「P5一覧表」という。)は,ごみ処理施設の物件を地方自治体名で列挙し,処理能力に応じて「大型」「中型」「小型」で区分したものであるが,その各物件のうち北海道恵庭には「○○」,静岡盤南には「○」,愛知沼津市には「○」,岡山倉敷ζには「○」,長崎県央広域には「○」とそれぞれ手書きで記載され 」「中型」「小型」で区分したものであるが,その各物件のうち北海道恵庭には「○○」,静岡盤南には「○」,愛知沼津市には「○」,岡山倉敷ζには「○」,長崎県央広域には「○」とそれぞれ手書きで記載されており,このアルファベットは,「○○」がP5,「○」が被告会社,「○」がP6,「○」がP3の大手5社を略称したものと考えられる。(甲査56,140)P3環境装置第一課主務のP29の所持していたメモ(甲査77。以下「P29メモ」という。)には,「○」欄には「西海岸」「バン南」,「○」欄には「西海岸」「恵庭」,「○」欄には「沼津」,「○」欄には「県央」「豊田加茂」の各物件が記載されており(「○」欄には何も記載されていない。),このアルファベットは,順に被告会社,P5,P6, P3,P4の大手5社を略称したものと考えられる。(甲査77)(b)P27手帳では,平成10年3月26日に「はりつけ」の記載があり,前記P15供述(甲査44)では「張付け」という用語を大手5社による談合の会合であると説明していること,P17メモでは平成10年3月26日に秘密の会合が行われたことが記載されていること,P5一覧表及びP29メモには,大手5社の略称を付した物件の記載があり,その記載内容もおおむね一致していることを併せ考えると,大手5社は,平成10年3月26日,地方自治体の発注する中・小型のストーカ炉につき,予め受注予定者を決定したことがうかがわれる。 (ウ)各社の受注割合を分析した文書aP29所持の文書(甲査106)P3のP29の所持していたノート(甲査106。以下「P29ノート」という。)は,次のとおり理解できる。 第1に,1枚目には「○」「○」「○」「○」「○」との記載があり,このアルファベットは,順にP4,P6,被告会社,P5,P3の大手5社を略 以下「P29ノート」という。)は,次のとおり理解できる。 第1に,1枚目には「○」「○」「○」「○」「○」との記載があり,このアルファベットは,順にP4,P6,被告会社,P5,P3の大手5社を略称したものと考えられる。また,上部欄外には「12/24新城△18/△18」「1/26中央420/420」「5/1千葉405×0.7→283」「5/11富山810/810」「5/24賀茂150/150」「6/2米子△30/△30」,下部欄外には「6/5春日井280/280」「7/2名古屋560×0.7→392」との記載,表中に「分母+2287」との記載がある。そして,表の左側に書かれた大手5社の各分数は,①分母については,2287(この数値は,上記各分数の分母の合計値となっている。)を加算すると右側の分数の分母になり,②分子については,P4が283,P6が810,被告会社が400,P5が420,P3が374を加算すると,それぞれ右側の分数の分子になる。 1枚目に記載された地方自治体名等は,甲査第29号証,甲A第4号証,同第5号証と対比すると,「新城」が新城広域事業組合(入札日・平成9年12月24日,処理能力・80トン,受注業者・P3),「中央」が東京都中央地区清掃工場(入札日・平成10年1月26日,処理能力・600トン,受注業者・P5),「千葉」が千葉市P30工場(受注年度・平成11年度,処理能力・405トン,受注業者・P4),「富山」が富山地区広域圏事務組合(受注年度・平成11年度,処理能力・810トン(270トン×3炉),受注業者・P6),「賀茂」が賀茂広域行政組合(入札日・平成10年8月31日,処理能力・150トン,受注業者・被告会社),「米子」が本件工事(入札日・平成10年6月2日,処理能力270トン,受注業者・被 者・P6),「賀茂」が賀茂広域行政組合(入札日・平成10年8月31日,処理能力・150トン,受注業者・被告会社),「米子」が本件工事(入札日・平成10年6月2日,処理能力270トン,受注業者・被告会社),「春日井」が春日井市(受注年度・平成11年度,処理能力280トン,受注業者・被告会社),「名古屋」が名古屋市P31工場(入札日・平成10年7月30日,処理能力・560トン,受注業者・P3)を指すと認められるところ,地方自治体ごとに記載された分数の分子の数値を各物件の実際の受注業者と対応させると,P4が「千葉」の283,P6が「富山」の810,被告会社が「賀茂」の150及び「春日井」の280の合計から「米子」の30を減じた400,P5が「中央」の420,P3が「名古屋」の392から「新城」の18を減じた374となり,各社の表の左側の分数の分子から右側の分数の分子への加算値と一致する。 そうすると,1枚目は,P29において,その作成時期は必ずしも明確でないが,大手5社の受注割合を分析していたものと推認される。 第2に,2枚目には,大手5社に加えて,「○」「○」の記載があり,このアルファベットは,順にP7,P8を略称したものと考えられ,1枚目と同じ要領により,P29において,その作成時期は必ずしも明確でないが,これら7社の受注割合を分析していたものと推認される。(甲査2 9,106)bP23所持の文書(甲査107)P4のP23の所持していた平成7年11月30日付けで平成8年2月調整済みの一覧表(甲査107。以下「P23一覧表」という。)には,前回が平成7年8月27日,現状が同年11月30日までとして,「○」「○」「○」「○」「○」「○」「○」との記載があり,このアルファベットは,順にP4,P3,P5,被告会社,P6,P7,P8を は,前回が平成7年8月27日,現状が同年11月30日までとして,「○」「○」「○」「○」「○」「○」「○」との記載があり,このアルファベットは,順にP4,P3,P5,被告会社,P6,P7,P8を略称したものと考えられ,また,発注物件の地方自体名も記載されており,その表中の数値は,7社の受注割合を分析したものと推認される。(甲査107,140)イ認定事実以上の証拠関係によれば,全国各地のストーカ炉建設工事での談合行為の存在について,P14供述及びP15供述(前記ア(ア)a(a),(b))は,受注予定者の決定方法等について具体的な説明をしており,両供述相互間で内容がほぼ一致し,P17,P19及びP20の供述(前記ア(ア)a(c))とも符合していて,信用性が高いというべきである。また,各社において談合の存在をうかがわせる社内文書があり,その内容は,予め決定された受注予定者を記載したとみるべきもの(前記ア(イ)a)や,大手5社による会合,発注物件の情報交換,各社の受注希望表明又は受注予定者の決定方法といった談合行為に特有の事項が記載されたとみるべきもの(前記ア(イ)b~e)であって,これらの社内文書は,被告会社が主張するような各社の営業活動に際しての情報収集を記載したものに止まらないといえる。そして,大手5社の関係者の中には,各社の受注割合を実際に分析していた者がいる(前記ア(ウ))ことを併せ考慮すると,P14供述のとおり,大手5社は,平成6年4月から公正取引委員会の立入検査のあった平成10年9月17日までの間,全国各地の地方自治体が指名競争入 札等により発注するストーカ炉について,営業担当者による会合を開催し,その情報を交換した上,処理能力の規模に応じて区分し,各社がその中から受注希望を表明して受注予定者を決定するという方法 争入 札等により発注するストーカ炉について,営業担当者による会合を開催し,その情報を交換した上,処理能力の規模に応じて区分し,各社がその中から受注希望を表明して受注予定者を決定するという方法で談合行為を行っていたと認められる。 なお,被告会社は,ごみ焼却施設の建設工事について,業者間で熾烈な競争が行われている上,物件ごとの受注金額が巨額に上り,受注の成否が会社経営に大きな影響を与えるところ,発注につき不確定要素の多い数年先の物件について,談合行為により予め受注予定者を決定することはあり得ないと主張する。しかし,発注につき不確定要素が多いとしても,談合行為には,大手5社において予め受注予定者を決定し,実際に発注された工事について,各社が一定数の物件を確実に受注して収益を上げるというメリットがあり,被告会社の上記主張は,採用することができない。 (2)本件工事に関する談合行為の存否についてア証拠関係本件工事に関する事項が記載された主な書証は,次のとおりである。 (ア)甲査第65号証P4機会・環境・エネルギー事業本部環境装置営業本部P22営業部で保管されていた手書きのリスト(甲査65)は,平成8年度以降に発注が見込まれるごみ処理施設の物件を地方自治体ごとに列挙したものであるが,「<47>米子市 10~」と記載されている。 このリストからは,P4において,米子市が平成10年度以降に処理能力が1日当たり300トンのごみ処理施設を発注することを予想していたものと認められる。また,1枚目の欄外にある「NO欄で○印は当社リサーチではなかったもの」との記載に照らすと,P4は,他の業者との間で,地方自治体の発注するごみ処理施設につき情報を交換し,他の業者から情報の提供を受けて,米子市のごみ処理施設の発注予定を把握したことがう ったもの」との記載に照らすと,P4は,他の業者との間で,地方自治体の発注するごみ処理施設につき情報を交換し,他の業者から情報の提供を受けて,米子市のごみ処理施設の発注予定を把握したことがう かがわれる。 (イ)甲査第52号証P4機械・環境・エネルギー事業本部環境装置営業本部P22営業部に保管されていた平成7年8月付け「ごみ焼却施設建設計画年度別予想」と題する書面(甲査52)は,同月の時点で,平成8年度以降に発注が見込まれるごみ処理施設の物件を年度別に地方自治体ごとに列挙したものであるが,平成10年度の欄に「米子市(300)S」との記載がある。また,この書面に記載された物件の一部(米子市を含む。)には「S」が付されていて,欄外には「5社S」との記載がある。(甲査52,140)この「S」の字が付された物件のうち,①実際に発注されたものが22件であるが,P8の受注した2件(日南地区衛生,α地区組合),P7の受注した2件(稲沢市,高梁広域),P10の受注した1件(η)を除く17件は,大手5社のいずれかによって受注されていること(甲査29),②上記営業部のP23の所持していた平成7年9月28日付けのP23リスト(甲査89)においても,大手5社により予め受注予定者が決定されたとみられる物件には「S」が付されていたこと,③欄外に「5社S」との記載があることからすると,本件工事についても,処理能力が1日当たり300トンのストーカ炉が発注される予想の下で,大手5社により予め受注予定者が決定されていたことがうかがわれる。 (ウ)甲査157号証P4環境装置第三営業部の平成7年8月7日付け「ごみ&粗大ごみ処理施設計画案件一覧表」と題する書面(甲査157)は,同日の時点で,平成8年度以降に発注の見込まれるごみ処理施設等の物件を年度別に地方自 4環境装置第三営業部の平成7年8月7日付け「ごみ&粗大ごみ処理施設計画案件一覧表」と題する書面(甲査157)は,同日の時点で,平成8年度以降に発注の見込まれるごみ処理施設等の物件を年度別に地方自治体名で列挙したものであるが,平成10年度以降物件の欄に,「米子市(300全)10」との記載がある。(甲査157)この書面からは,P4において,米子市が平成10年度に処理能力が1 日当たり300トンの全連ストーカ炉を発注することを予想していたことが認められる。 (エ)甲査第128号証被告会社の作成した「米子市の件」と題する手書きの書面(甲査128)には,1枚目に「○社へ指示した灰溶融炉の金額(50t/日)4000000千円(@80000千円/t)」との記載があり,2枚目には,処理能力等に応じて,「今回(焼却炉:270t/日/灰溶50t/日)」と記載された下に「〔ケースA:1990kw〕」「〔ケースB:4800kw〕」との欄,「前回(焼却炉:300t/日灰溶50t/日)」と記載された下に「〔1990kw〕」との欄が設けられ,被告会社,P4,P3,P6,P5,P7の6社ごとに焼却炉の金額,灰溶融炉の金額及びその合計額を示したとみるべき記載がある。また,その合計額の低い順に番号が付されており,その順番は,P6,P7,被告会社,P4,P3,P5となっている。(甲査128)この書面は,その作成時期や作成経緯が必ずしも明確でないが,①記載された金額が実際の各社の入札価格と異なること(前記前提となる事実(3)イ),②処理能力の欄について,前回が1日当たり300トン,今回が1日当たり270トンと記載されていて,米子市の発注するストーカ炉の処理能力が1日当たり300トンから270トンに変更されたことを受けて作成されたと考えられること,③被告会社の金 300トン,今回が1日当たり270トンと記載されていて,米子市の発注するストーカ炉の処理能力が1日当たり300トンから270トンに変更されたことを受けて作成されたと考えられること,③被告会社の金額は,甲査第123号証に記載された参考見積価格に比較的近いことからすると,被告会社において,各社が米子市に対し提出することを検討していた参考見積価格を把握し,これを記載したものと認められる。また,1枚目には「○社へ指示した灰溶融炉の金額」として40億円の金額が記載され,これは2枚目のP4の灰溶融炉の欄と同一金額であることに照らすと,被告会社は,P4に対し,参考見積価格として米子市に提出すべき灰溶融炉の金額を指示し ていたことがうかがわれる。 (オ)甲査第123号証被告会社が平成9年ころ作成した「H10・11年度重点及び準重点物件について」と題する書面は,地方公共団体の発注するごみ処理施設について,発注年度,客先,規模,方式,既設メーカー,営業状況・ルート等及び備考の各欄が設けられたものであるが,本件工事について,営業状況・ルート等欄に「参考見積引合いメーカー大手5社,○,○,○,P10/9社」「H9/9月見積金額193億円提出(内25億円が灰溶融)」,備考欄に「メーカー9社を絞り込むべく営業中,9社→7社→5社,ほぼメド」との記載がある。(甲査123)この書面からは,①大手5社のほか,P7,P8,P9及びP10の9社が,米子市に対し参考見積価格を提出したこと,②被告会社が,平成9年9月以降,米子市に対し本件入札の指名業者を上記9社から大手5社に限定するよう営業活動を行っていることが認められる。 (カ)甲査第145号証添付の資料被告会社環境プラント営業部が平成9年12月ころ作成した「主要案件の積み上げ状況」と題する書面には,「 手5社に限定するよう営業活動を行っていることが認められる。 (カ)甲査第145号証添付の資料被告会社環境プラント営業部が平成9年12月ころ作成した「主要案件の積み上げ状況」と題する書面には,「ZB(270T)」に手書きで「米子」の記載があり,本件工事により見込まれる受注金額及び粗利を計上している。この手書き部分について,被告会社環境第一営業部長は,営業担当者からのヒヤリングを行い,受注確度の高い物件を選定して受注予測を行った際に書き込んだものである旨供述している。(甲査145)この書面からは,被告会社が,平成9年12月の時点で,本件工事の受注を予測していたことが認められる。 (キ)甲査第88号証,甲査第147号証P5代表取締役副社長の所持していた「平成10年度厚生省新規内示物件」と題する書面(甲査88),P5の作成した「平成10年度厚生省補 助内示一覧(新規のみ)」と題する書面(甲査147)は,平成10年度に厚生省による補助金支出の内示が見込まれる物件を地方自治体名で列挙したものであるが,その物件の一部に,手書きで「○」「○」「○○」「○」「○」という大手5社の略称と考えられる手書きの記載があり,いずれの書面にも米子市の欄には「○」の記載がされている。 しかし,上記手書き部分は,作成時期,作成経緯が不明であり,これらの書面によって,P5において,各物件につき予め決定された受注予定者を記載したものとまでは認めることができない。 (ク)甲査第179号添付の資料P3環境装置第一部作成の平成10年4月15日付け「秘10年度受注達成予想」と題する書面(甲査179)には,P3の平成10年度上期の主要織込み案件として本件工事が記載されている。 (ケ)甲査第106号証(P29ノート)P29ノートは,前記(1)ア(ウ)aのとおり,1枚目 と題する書面(甲査179)には,P3の平成10年度上期の主要織込み案件として本件工事が記載されている。 (ケ)甲査第106号証(P29ノート)P29ノートは,前記(1)ア(ウ)aのとおり,1枚目が大手5社の受注割合,2枚目が大手5社にP7,P8を加えた7社の受注割合を分析していた文書であり,いずれにも本件工事に関する記載があるところ,そのうち1枚目では,本件工事を受注割合に算入するに当たり,「米子△30/△30」として減算する方法が採られている。 ところで,本件工事に係るストーカ炉の1日当たりの処理能力は,前記(ア)~(エ)のとおり,平成7年ころまでは300トンであると予想されていたが,最終的には270トンに変更されているところ,これをP29ノートの記載と対比すると,P29は,上記処理能力が300トンであることを前提として被告会社の欄に300トンを既に算入していたが,上記変更がされたことに伴い,本件工事につき30トン減じる計算をしたものとみるのが自然である。そうすると,本件工事については,平成7年ころには被告会社が受注予定者に決定されており,P29もこのことを前提とし て受注割合を分析していたことがうかがえる。 イ認定事実(ア)大手5社による談合行為の存否についてa大手5社は,前記(1)のとおり,平成6年4月から平成10年9月17日までの間,全国各地の地方自治体が指名競争入札等により発注するストーカ炉につき談合行為を行っていたことが認められるところ,本件入札は,上記期間内である平成10年6月2日に行われていること,本件工事に係るストーカ炉の1日当たりの処理能力が270トンであり相応の規模を有することからすると,本件工事について大手5社による談合行為が行われていないとは考えがたい。これに加えて,本件工事については,大手 るストーカ炉の1日当たりの処理能力が270トンであり相応の規模を有することからすると,本件工事について大手5社による談合行為が行われていないとは考えがたい。これに加えて,本件工事については,大手5社により,情報交換が行われていたこと(甲査65),予め受注予定者が決められたこと(甲査52,甲査106),被告会社がP4に対し参考見積価格を指示したこと(甲査128)をそれぞれうかがわせる文書が存在している。これらの事情を総合すると,大手5社は,本件入札に先立ち,本件工事について談合を行い,本件工事の受注予定者を被告会社とすることを決定していたと認めるのが相当である。 bこれに対し,P3において作成された平成10年4月15日付け「秘10年度受注達成予想」と題する書面(甲査179)には,同社が本件工事を受注することを予想していたとの記載があり,このことは,大手5社の談合行為により被告会社が受注予定者に決定されていたことと矛盾するようにも見受けられる。しかし,上記書面は,P3が平成10年度に受注した津島市ほか十一町村衛生組合のストーカ炉工事が記載されておらず,受注予想を正確に記載したものともいえないから,上記認定判断を左右しない。 (イ)アウトサイダーとの間の談合について本件入札においては,大手5社のみならず,P7,P8,P9及びP1 0の4社(以下「アウトサイダー4社」という。)が指名を受けて参加している。原告らは,大手5社の談合により受注予定者とされた被告会社が,アウトサイダー4社に対し,自らの応札価格を連絡するなどして談合への協力を求め,アウトサイダー4社がこれを了承した旨主張する。そこで,この点について判断する。 aP14供述及びP15供述は,大手5社の談合行為により決定された受注予定者が,地方自治体から指名競争入札等の指名 ,アウトサイダー4社がこれを了承した旨主張する。そこで,この点について判断する。 aP14供述及びP15供述は,大手5社の談合行為により決定された受注予定者が,地方自治体から指名競争入札等の指名を受けたアウトサイダーに対し上記談合に協力するよう求めると説明しており,実際にアウトサイダーに対する協力要請がされたことをうかがわせる文書が存在する(甲査109,111)。しかし,前記文書は,本件以外の工事に関するものであり,これらの供述及び文書によって直ちに,本件工事についての協力要請が行われ,アウトサイダー4社がこれに応じたといえるものではない。 むしろ,被告会社は,平成9年9月ころの時点ではあるが,米子市に対し指名業者を大手5社に絞り込む工作を行っており(甲査123),この事実からは,当時,アウトサイダー4社に対する協力要請がされていなかったか,されていたとしても,アウトサイダー4社がこれに応じていなかったことが推認される。 bP29ノートの2枚目の記載は,大手5社にP7,P8を加えた7社の受注割合を分析しているが,他方,P9及びP10について触れていない。また,同ノートの1枚目と異なり,2枚目には,談合及びアウトサイダー4社に対する協力要請をうかがわせる記載がなく,結局,それは,上記7社による受注割合を分析したものに止まり,P7及びP8らアウトサイダー4社に対する協力要請がされた事実を示すものとはいえない。 c原告らは,本件入札の落札率が99.84%と極めて高いこと,他の入札参加者8社の入札価格が予定価格を超えており,最低価格と最高価 格の乖離が8.2%しかないこと等の事情を指摘して,本件工事において談合が行われたと主張する。しかし,これらの数値は,指名業者間で競争関係が成り立っている場合にもあり得ないものでなく,これらをも 格の乖離が8.2%しかないこと等の事情を指摘して,本件工事において談合が行われたと主張する。しかし,これらの数値は,指名業者間で競争関係が成り立っている場合にもあり得ないものでなく,これらをもって,被告会社がアウトサイダー4社に対し協力要請をした事実及びアウトサイダー4社がこれに応じた事実を認定する決め手とすることはできない。 dP15供述によれば,「5社以外のメンバーが入った時はタタキ合いとなる」とされており,アウトサイダーが存在する場合には,大手5社による談合が功を奏さず,入札参加者間での競争関係が出現することがあることがうかがわれる。 eストーカ炉建設工事の入札におけるアウトサイダーとの関係に触れる主要な証拠は,上記のようなものであり,本件工事について,アウトサイダー4社に対する協力要請等を推認させる具体的な証拠はない。そして,本件入札においては,アウトサイダーであるP10が3位の入札価格で入札に参加している(前記前提となる事実(3)イ(イ))のであり,また,本件入札の落札率等の事情を勘案しても,結局,本件入札について,被告会社からアウトサイダー4社に対する協力要請がされた事実及びアウトサイダー4社がこれに応じた事実は,これを認めるに足りず,本件工事について,指名業者間で競争関係が排除されていたとは認めがたいというべきである。 第4 結論 以上によれば,原告らの請求は,その余の争点について判断するまでもなく,いずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 鳥取地方裁判所民事部裁判長裁判官古賀輝郎 裁判官亀井宏寿裁判官片山健 裁判官 亀井宏寿 裁判官 片山健

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