平成14(行ヒ)242 事件記録閲覧謄写許可処分取消,公正取引委員会審判事件記録閲覧謄写許可処分取消,公正取引委員会審判記録閲覧謄写許可執行取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年9月9日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所 平成13(行コ)239
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判決文本文3,569 文字)

主文 原判決を破棄する。 被上告人らの控訴を棄却する。 控訴費用及び上告費用は被上告人らの負担とする。 理由 上告参加人兼上告参加代理人大川隆司,同谷合周三,上告参加代理人高橋利明の上告受理申立て理由について 1 本件は,上告人が,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「法」という。)69条に基づき,公正取引委員会平成11年(判)第4号事件(以下「本件審判事件」という。)の事件記録の謄写申請をした上告参加人ら及びD(以下「上告参加人ら外1名」という。)に対し,本件審判事件の事件記録のうち第1審判決別紙2の削除部分を除く部分の閲覧謄写を認める決定(以下「本件各処分」という。)をしたところ,本件審判事件の被審人である被上告人らが,上告参加人ら外1名は同条所定の利害関係人に該当しないと主張して,本件各処分の取消しを求めている事案である。 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。 (1) 上告人は,平成11年9月8日,本件審判事件の審判開始決定をした。本件審判事件は,被上告人らが地方公共団体の発注するごみ焼却施設の建設工事を受注するために談合を行ったとの事実を審判の対象とするものであり,被上告人らは,いずれも本件審判事件の被審人として,上記事実の存在を争っている。 (2) 上告参加人大川隆司は平成12年6月30日に,上告参加人谷合周三は同年7月21日に,Dは同年8月7日に,上告参加人Cは同年10月12日に,それぞれ法69条に基づき,本件審判事件の事件記録の謄写を申請した(以下,上記各申請を「本件各申請」という。)。 - 1 -(3) 上告人は,被上告人らに対し,本件審判事件の事件記録のうち秘匿を要する部分につき照会した上,平成13 件の事件記録の謄写を申請した(以下,上記各申請を「本件各申請」という。)。 - 1 -(3) 上告人は,被上告人らに対し,本件審判事件の事件記録のうち秘匿を要する部分につき照会した上,平成13年3月12日付けで本件各処分をし,上告参加人ら外1名及び被上告人らに対し,これを通知した。 (4) 上告参加人ら外1名は,本件各処分当時,被上告人らに対しごみ焼却施設の建設工事を発注した各地方公共団体の住民であり,各地方公共団体が被上告人らに対し上記各発注時に行われた談合につき民法709条に基づく損害賠償請求権を有しているのにその行使を怠っているとして住民監査請求をした上,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)242条の2第1項4号に基づき,各地方公共団体に代位して被上告人らに対し損害賠償を求める住民訴訟を提起していた。 3 原審は,上記事実関係の下において,次のとおり判断し,被上告人らの請求を棄却した第1審判決を取り消し,被上告人らの請求を認容した。 (1) 法69条は,法違反事件の処理手続を規定した法第8章第2節の中に置かれているから,同条に定める審判事件の事件記録の閲覧謄写は,原則として審判手続の中においてされることを予定しているものと解される。法違反行為の被害者は,法45条1項に基づき審査手続開始の職権発動を促す場合,法59条に基づき審判手続に参加する場合,法24条に基づき差止請求訴訟を提起する場合及び審決確定後に法25条に基づき損害賠償を請求する場合以外には,特段の地位を与えられておらず,審判手続に関与する余地はない。そうすると,法違反行為の被害者は,法59条に基づき参加が認められた場合,法24条に基づき差止請求訴訟を提起する場合及び審決確定後に法25条に基づき損害賠償を請求する場合以外は,法69条所定 ない。そうすると,法違反行為の被害者は,法59条に基づき参加が認められた場合,法24条に基づき差止請求訴訟を提起する場合及び審決確定後に法25条に基づき損害賠償を請求する場合以外は,法69条所定の利害関係人に当たらず,事件記録の閲覧謄写をすることはできないものと解するのが相当である。 (2) 上告参加人ら外1名は,法59条に基づき本件審判事件に参加したわけで- 2 -も,法24条に基づき差止請求訴訟を提起したわけでもなく,住民訴訟を提起し,各地方公共団体に代位して本件審判事件の被審人である被上告人らに対し民法709条に基づく損害賠償の請求をしているにすぎないから,法69条所定の利害関係人に当たらない。したがって,上告参加人ら外1名が法69条所定の利害関係人に当たるとする本件各処分は違法である。 4 しかしながら,上告参加人ら外1名が法69条所定の利害関係人に当たらないとした原審の判断は,是認することができない。その理由は,次のとおりである。 法は,一般消費者の利益を確保するとともに,国民経済の民主的で健全な発達を促進するという1条に規定する目的に資するため,公正取引委員会は,法の適正な運用を図るために事業者の秘密を除いて必要な事項を一般に公表することができる(43条),何人も,法違反事実があると思料するときは公正取引委員会に対しその事実を報告し,適当な措置を執るべきことを求めることができ,報告があったときは,公正取引委員会は,事件について必要な調査をしなければならない(45条),公正取引委員会は,必要があると認めるときは職権で審決の結果について関係のある第三者を審判手続に参加させることができる(59条),関係のある公務所又は公共的な団体は,公益上必要があると認めるときは公正取引委員会の承認を得て審判手続に参加することができ,公共 ついて関係のある第三者を審判手続に参加させることができる(59条),関係のある公務所又は公共的な団体は,公益上必要があると認めるときは公正取引委員会の承認を得て審判手続に参加することができ,公共の利益を保護するために公正取引委員会に対して意見を述べることができる(60条,61条)などと規定している。このような法の規定やその趣旨,目的等に照らせば,法69条所定の事件記録の閲覧謄写請求権は,審判手続における当事者の防御権行使等のためだけに認められたものではなく,審判手続に参加し得る者が参加又は意見陳述の要否を検討し,法違反行為の被害者が差止請求訴訟又は損害賠償請求訴訟を提起しあるいは維持するための便宜を図る趣旨をも含むものと解するのが相当である。そうすると,同条にいう利害関係人とは,当該事件の被審人のほか,法59条及び60条により審判手続に参加し- 3 -得る者並びに当該事件の対象をなす違反行為の被害者をいい(最高裁昭和46年(行ツ)第82号同50年7月10日第一小法廷判決・民集29巻6号888頁),被審人に対し上記違反行為の被害者としてその差止め又は損害賠償を請求する者は,当該事件について審決が確定する前であっても,法69条にいう利害関係人として事件記録の閲覧謄写を請求することができるものというべきである。ところで,地方公共団体の住民が,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,法違反行為の被害者である地方公共団体に代位して被審人に対し損害賠償を請求する住民訴訟を提起した場合,当該訴訟において審判の対象とされるのは,被審人に対する地方公共団体の損害賠償請求権の存否であり,審判事件の事件記録を利用することの必要性,有用性については,地方公共団体が自ら被審人に対し損害賠償請求をしている場合と異ならない。このことに,上記のような法の規定や 体の損害賠償請求権の存否であり,審判事件の事件記録を利用することの必要性,有用性については,地方公共団体が自ら被審人に対し損害賠償請求をしている場合と異ならない。このことに,上記のような法の規定やその趣旨,目的等を併せ考えると,【要旨】地方公共団体の住民が,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,法違反行為の被害者である地方公共団体に代位して被審人に対し損害賠償を請求する住民訴訟を提起し,当該違反行為の被害者に準ずる地位を取得した場合には,当該住民は,法69条にいう利害関係人に当たると解するのが相当である。 以上によれば,上告参加人ら外1名は,法69条にいう利害関係人に当たるというべきであり,論旨は理由がある。これと異なる原審の前記判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原判決は破棄を免れない。そして,被上告人らの請求を棄却すべきものとした第1審判決は是認することができ,被上告人らの控訴を棄却すべきである。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官上田豊三裁判官金谷利廣裁判官濱田邦夫裁判官藤田宙靖)- 4 -

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