【DRY-RUN】主 文 原判決中控訴人らの各敗訴部分を取り消す。 被控訴人は控訴人Aに対し別紙第一目録記載の土地につき昭和二四年一 月二四日交換を原因とする所有権移転登記手続をせよ。
主文 原判決中控訴人らの各敗訴部分を取り消す。 被控訴人は控訴人Aに対し別紙第一目録記載の土地につき昭和二四年一月二四日交換を原因とする所有権移転登記手続をせよ。 被控訴人の控訴人キングペイント株式会社に対する請求を棄却する。 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。 事実 控訴代理人は主文同旨および控訴人Aの予備的請求として「被控訴人は控訴人Aに対し別紙第一目録記載の土地につき昭和二四年一月二四日時効取得を原因とする所有権移転登記手続をせよ。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は各控訴につき控訴棄却の判決を求めた。 当事者双方の事実上の陳述および証拠の関係は、次に付加、訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。 一、 原判決四枚目裏七行目の「右土地は」から同九行目末尾まで、および七枚目表末行の「右土地は」から七枚目裏三行目の「変更登記がなされ、」までを、それぞれ次のとおり改める。 「右二筆の土地のうち別紙第二目録(本判決添付のもの。なお、本判決の引用する原判決事実摘示についても同様であることは、後記七、のとおりである)記載の(一)の土地は、昭和三一年三月九日受付をもつて東京都葛飾区ab丁目c番、宅地一〇二坪と、同(二)の土地は右同日受付をもつて東京都葛飾区ad丁目e番、宅地六二坪と、各変更登記がなされ、次いで区画整理により右二筆の土地を一括して本件土地とする旨の換地処分がなされて昭和三三年一二月二五日その旨の登記を経由した。」二、 原判決七枚目表五行目の「権限」を「権原」と、同六行目の「右土地」を「本件土地」、と、各訂正する。 三、 原判決八枚目表七行目の「事実は」から同一〇行目末尾までを「 旨の登記を経由した。」二、 原判決七枚目表五行目の「権限」を「権原」と、同六行目の「右土地」を「本件土地」、と、各訂正する。 三、 原判決八枚目表七行目の「事実は」から同一〇行目末尾までを「事実中、被控訴人が現に本件土地の所有者であることは争うが、その余の事実は認める。」と改める。 四、 原判決八枚目表末行の「右土地」を「本件土地」と改め、同裏二行目の「昭和三四年」から同三行目の「いたが、」までを削除し、同四行目の「本件土地」を「別紙第二目録記載の各土地」と、同九行目の「全部の」を「全部を」と、それぞれ訂正する。 五、 原判決八枚目裏末行の「本件土地」を「別紙第二目録記載の各土地」と訂正し、九枚目表三行目の「移転し、」の次に「本件土地の」を付加する。 六、 同四行目と五行目の間に次のとおり付加し、同五行目から九行目までを削除する。 (五) かりに右交換契約の成立が認められないとしても、控訴人Aは本件土地を時効取得した。その要件事実は同控訴人が主張するとおりであるがら、右主張を援用する。 (六) かりに本件土地の所有者が控訴人Aでなく、被控訴人であるとしても、控訴人キングペイント株式会社(以下控訴会社と略称する)は被控訴人に対する関係において本件土地の賃借権を時効により取得した。 すなわち、控訴会社は控訴人Aが本件土地の所有者であると信じ、同控訴人から昭和二四年三月二〇日別紙第二目録記載の各土地を木造建物所有の目的で賃借期間二〇年、賃料月額三・三平方メートルにつき金八〇銭(現在は金一六円)と定めて賃借し、同日同控訴人から引渡しを受け、現在に至るまで右各土地(前記換地処分後においては本件土地)を平穏かつ公然に占有している。右賃貸借契約の締結に際し、控訴人Aは控訴会社に対し、別紙第二目録記載の各土地は白米三俵と交換して所有権 け、現在に至るまで右各土地(前記換地処分後においては本件土地)を平穏かつ公然に占有している。右賃貸借契約の締結に際し、控訴人Aは控訴会社に対し、別紙第二目録記載の各土地は白米三俵と交換して所有権を取得した旨を公言したので、当時の食糧事情等を考え併せるときは、控訴会社が右各土地の所有者は同控訴人であり、同控訴人との間に右賃貸借契約が有効に成立したと信じたのは当然であり、何らの過失もない。 右のように非所有者から賃借した場合でも、取得時効完成の要件が具備する限り、真の所有者に対する関係において賃借権の時効取得が成立すると解すべきである。 したがつて前記占有開始の時から一〇年の経過により、控訴会社は被控訴人に対し民法第一六三条、第一六二条第二項によつて本件土地につき前記契約内容と同一内容の賃借権を時効取得したものというべきであり、時効による権利の取得は時効期間の起算日に遡つて効力を生ずるから、控訴会社は右賃借権を昭和二四年三月二〇日に取得し、賃貸借期間はその後二〇年の経過により借地法第六条によつて法定更新されたものというべきである。 七、 原判決添付第二目録(原判決一八枚目裏)を本判決添付別紙第二目録のとおり訂正する。 八、 証拠(省略) 理由 一、 控訴人Aの被控訴人に対する請求について本判決添付の別紙第二目録記載の各土地(以下本件従前の土地と称する)か昭和二四年一月二四日当時被控訴人の所有に属したこと、右各土地につき控訴人A主張のとおり変更登記がなされた上、区画整理により別紙第一目録(原判決添付第一目録と同じ)記載の土地(本件土地)に換地され、昭和三三年一二月二五日その旨の登記を経由したことは、いずれも当事者間に争いがない。 控訴人Aは先ず本件従前の土地の所有権を交換契約により取得した旨主張するので )記載の土地(本件土地)に換地され、昭和三三年一二月二五日その旨の登記を経由したことは、いずれも当事者間に争いがない。 控訴人Aは先ず本件従前の土地の所有権を交換契約により取得した旨主張するので判断するに、成立に争いのない甲第一号証の一、二、第二号証、第三号証の一ないし七、第四、第五号証、原審証人B(一部)、同Cの各証言ならびに原審(一部)および当審における控訴人A本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すると、次の諸事実を認めることができる。 (一) 控訴人Aの先代は被控訴人の先代から本件従前の土地を含む農地約三二七二平方メートル(約三反三畝)を賃借して耕作していたが、昭和六年被控訴人が家督相続をした後は、引続き被控訴人から右土地を賃借していた。 (二) 本件従前の土地に対し昭和一七年頃a町第三土地区画整理組合により換地予定地が指定されたが、同土地はその後戦時中高射砲陣地用地として使用され、終戦後も非農地のまゝ放置されていたため、農地買収を免れ、昭和二四年一月当時は雑草が繁り、一部地上にバラツクが建てられていた。 (三) 訴外Dは被控訴人に対し昭和二三年暮頃本件従前の土地を買い受けたいと申し込んだが、被控訴人はこれを拒絶し、控訴人Aになら譲つてもよいと答えた。同訴外人から右の話を聞き及んだ同控訴人は、昭和二四年一月二四日被控訴人を訪れて同土地の売買を申し込んだところ、被控訴人は白米との交換を希望したので、交渉の結果同日右当事者間に被控訴人所有の本件従前の土地と同控訴人所有の白米三俵とを交換する旨の契約が成立し、被控訴人は即時同控訴人に対し同土地を口頭で引渡した。 (四) 控訴人Aは当時農業を営み、米四俵の供出割当を受けていたが、供出後もなお相当の余剰米を保有していたので、以後毎月一回白米一斗(約一八リツトル)宛をボストンバツク等に入 を口頭で引渡した。 (四) 控訴人Aは当時農業を営み、米四俵の供出割当を受けていたが、供出後もなお相当の余剰米を保有していたので、以後毎月一回白米一斗(約一八リツトル)宛をボストンバツク等に入れて被控訴人方に運搬し、昭和二四年一二月頃三俵分の白米の引渡を了した。 (五) 控訴人Aは昭和二四年三月二〇日控訴会社(当時の商号は株式会社下千葉化学工業所)に対し本件従前の土地は交換により自己の所有に帰したものである旨を説明して同土地の換地予定地を地代一年金一四四〇円(一坪当り一ケ月金八〇銭)、賃貸期間二〇年の約旨で賃貸した。 (六) 被控訴人は昭和二六年一二月頃控訴人A方を訪れ、同控訴人に対し本件従前の土地は同控訴人の所有に帰したものであるから、その固定資産税を同控訴人において支払うよう要求したので、同控訴人は昭和二七年一月七日東京都葛飾税務事務所に赴き、同土地の昭和二五年度分および同二六年度分の滞納固定資産税を被控訴人名義で納付した(なお、同控訴人は東京都葛飾区役所発行被控訴人宛の昭和二四年度分地租の督促状および同年度分地租附加税の催告状を所持しているので、右土地の昭和二四年度分地租も同控訴人が支払つたものと推定される)。また、被控訴人は昭和二七年頃その妻を通じて控訴会社役員から本件従前の土地を控訴人Aに譲渡したことの確認を求められたが返答をせず放置し、昭和三一年には控訴人Aの求めに応じて同土地の地目変更手続の書類および控訴会社の建築確認申請書にそれぞれ妻に命じて押印させたが、昭和二七年度以降の本件従前の土地の固定資産税は被控訴人が納付し、自分に支払わせてほしいとの控訴人Aの申出に対しては少額だからいらないと答えてとり合わず、また同控訴人の数次にわたる要求にもかかわらず、同土地の所有権移転登記手続を放置していたが、前記換処分の終了後昭 分に支払わせてほしいとの控訴人Aの申出に対しては少額だからいらないと答えてとり合わず、また同控訴人の数次にわたる要求にもかかわらず、同土地の所有権移転登記手続を放置していたが、前記換処分の終了後昭和三五年三月に至り、突然控訴会社に対し本件土地の明渡しを求めるに至つた。 前記証人Bの証言、原審および当審における被控訴人本人尋問ならびに原審における控訴人A本人尋問の各結果中右の認定に反する部分は前掲各証拠と対比するときはとうてい措信し難く、前記証人Bの証言中本件従前の土地の地主が被控訴人であり、その換地予定地上に被控訴人所有の建物があり、被控訴人が居住していた旨の証言部分は、同証人の他の証言部分と対比するときは明らかに誤述と認められ、他に右の認定を覆えすに足る的確な証拠はない。 右に認定したところによれば、他に特約の認められない本件においては、本件従前の土地の所有権は昭和二四年一月二四日交換契約の成立により被控訴人から控訴人Aに移転したものというべきである。もつとも当時施行中の食糧管理法第二条、第九条、食糧管理法施行令第六条、第八条、食糧管理法施行規則第二一条、第二三条等の規定によれば、主要食糧の適正な流通を確保する目的のもとに、米の私人間における譲渡は原則として禁止されていたから、白米を他の物件と交換する契約中白米の譲渡に関する部分は、強行法規に反することがらを目的とするものであつて無効である(同規則第二二条は、米の生産者は管理米を法定の者に売渡した後でなければ、その生産した米を譲渡することができない旨を規定しているが、右規定は、これを前記同規則第二一条と対比するときは、米の生産者は管理米を供出した後はいわゆる余剰米を何人に対しても自由に譲渡しうることを認めたものではなく、生産者は供出を完遂した後でなければ他の法定の譲渡方法による譲渡 規則第二一条と対比するときは、米の生産者は管理米を供出した後はいわゆる余剰米を何人に対しても自由に譲渡しうることを認めたものではなく、生産者は供出を完遂した後でなければ他の法定の譲渡方法による譲渡をなしえないことを定めたものであると解すべきである)。しかし、<要旨>右のように法律行為の一部が無効であるときには、直ちに全部を無効とすべきではなく、当事者が合法的</要旨>な法律効果の発生を意図している限りは、無効な部分を合理的な解釈により補充し、その結果が当事者の目的に添うと認めうるときは、右補充した限度において有効な法律行為として扱うべきである。これを本件についてみると、前記交換契約の当事者は本件従前の土地を譲渡するにあたり、その対価として金銭の代りに白米を選択したのであつて、白米との交換以外の方法によつては同土地の譲渡が成立しなかつたであろうと認めるべき特別の事情を認めるに足る証拠はないから、右当事者間において少なくとも同土地の所有権移転の合意は他の相当な反対給付の提供によつても成立したと認められ、したがつて被控訴人の控訴人Aに対する同土地の譲渡は有効であると解すべきである。 被控訴人は、前記地目の変更は控訴人両名が通謀し偽造文書を用いてなしたものである旨主張するが、その理由のないことは前記認定したところにより明らかである。 してみると、本件従前の土地につき被控訴人との間に昭和二四年一月二四日成立した交換契約の履行として、被控訴人に対し本件土地の所有権移転登記手続を求める控訴人Aの主位的請求は理由があるから、これを認容すべきである。 二、 被控訴人の控訴会社に対する請求について本件従前の土地が昭和二四年一月二四日当時被控訴人の所有に属したこと、右各土地につき昭和三一年三月九日受付をもつて地目変更の登記がなされたこと、および右各 被控訴人の控訴会社に対する請求について本件従前の土地が昭和二四年一月二四日当時被控訴人の所有に属したこと、右各土地につき昭和三一年三月九日受付をもつて地目変更の登記がなされたこと、および右各土地につき本件土地に換地する旨の処分がなされて昭和三三年一二月二五日その旨の登記を経由したことは、いずれも当事者間に争いがない。 控訴会社は被控訴人が控訴人Aとの間に締結した交換契約により本件従前の土地の所有権を同控訴人に譲渡した旨主張するところ、原審証人B(一部)、同Cの各証言ならびに原審(一部)および当審における控訴人A本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すると、前記一、の(一)ないし(六)の各事実を認定することができ、弁論の全趣旨により成立を認めうる乙第三、第四号証、右証人Bの証言、原審における控訴人A本人尋問の結果ならびに原審および当審における被控訴人本人尋問の結果中右の認定に反する部分は、いずれも前掲各証拠と対比して措信し難く、右証人Bの証言の一部が誤述と認められること、および被控訴人の控訴人Aに対する本件従前の土地の所有権移転行為が有効であることは、いずれも前記一、において説示したとおりであり、他に右の認定を左右するに足る的確な証拠はない。 してみると、控訴会社のその余の主張につき判断するまでもなく、本件土地の所有権は被控訴人に属しないことが明らかであるから、被控訴人の控訴会社に対する請求は失当として棄却を免れない。 三、 以上判断したとおりであるから、右と一部結論を異にする原判決は失当であつて、本件控訴はいずれも理由がある。 よつて、原判決中右失当の部分を取り消して控訴人Aの被控訴人に対する主位的請求を認容し、被控訴人の控訴会社に対する請求を棄却すべきものとし、訟訴費用の負担につき民事訟訴法第九六条、第八九条に従い、主文のとおり 判決中右失当の部分を取り消して控訴人Aの被控訴人に対する主位的請求を認容し、被控訴人の控訴会社に対する請求を棄却すべきものとし、訟訴費用の負担につき民事訟訴法第九六条、第八九条に従い、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官桑原正憲裁判官大和勇美裁判官濱秀和)第一目録東京都葛飾区a町b丁目f番のg一、 宅地四九五・八六平方メ―トル(一五坪)第二目録(一) 東京都(登記簿上は東京市)葛飾区a町b丁目c番一、 田三畝一二歩(三三七平方メ―トル)(二) 同都(登記簿上は東京市)同区a町d丁目e番一、 田二畝三歩(二〇八平方メ―トル)
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