平成13(わ)776 住居侵入,殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告

裁判年月日・裁判所
平成14年5月8日 福岡地方裁判所
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判決文本文8,214 文字)

平成14年5月8日宣告平成13年(わ)第776号住居侵入,殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反判決 主文 被告人を懲役5年以上10年以下に処する。 未決勾留日数中250日をその刑に算入する。 理由 (犯行に至る経緯) 1 被告人は,福岡県大牟田市で出生し,同市内の中学校を卒業後,同市内の県立高校に入学したが,1年時に中退し,平成13年2月ころから大牟田市内のメンズクラブで勤め始めて間もない同月14日ころ,客として来店したAと知り合って同女に好意を持つようになり,同月21日再び来店したAとその翌日に肉体関係を持ち,同女との交際を始めた。被告人は,Aが自分よりも年上で,当時,夫も子供もいる身であることを知った後もAに対する愛情を深めていった。 他方,Aは,平成7年3月前夫と婚姻し,同年7月1日長女Bを出産したが,夫婦仲は良くなく,平成11年春ころには,Cと不倫関係になっていたものの,同人との関係も,平成12年6月ころからうまくいかなくなり,Aが別れ話を持ち出したところ,Cは激怒し,Aに「一生Cの性の処理者としてどんな性行為も喜んで行う。この条件を破れば,1回ごとにCに6万円を支払う。」旨の念書を書かせた。その後も,Cは,Aに対し,嫌がらせ行為をしたり,前記念書を理由に度々肉体関係を迫ったりしたため,Aは,Cに対し次第に嫌悪感を抱くようになった。更にAは被告人との関係が深まるにつれ,Cの存在が疎ましくなって同人に対する憎しみを強めていき,Cとの関係を断ち切りたいと強く願うようになっていた。そのような中で,Aは,平成12年8月17日熊本県荒尾警察署へ出向いてCの件を相談し,更に,同年11月15日CからAに対して脅迫めいた電 ていき,Cとの関係を断ち切りたいと強く願うようになっていた。そのような中で,Aは,平成12年8月17日熊本県荒尾警察署へ出向いてCの件を相談し,更に,同年11月15日CからAに対して脅迫めいた電話がかかったため,Aから相談された同人の夫が同警察署に相談し,同月17日A自身も同警察署へ出向いてCの件を相談した。 2 このような状況の中,被告人は,平成13年3月2日ころ,AからCによるストーカー被害を受けていると聞き,初めてこのような話を聞かされたことをAが自分に心を開いてくれたものと受け止め,Aとの関係を急速に深めていき,同月中旬ころには,それまで交際していた別の女性との関係も断ち,Aを最後の女として結婚を考えるようになり,同時にAの子供であるBも大事にしていきたいという思いも強めていた。そのころ,被告人は,Aから,Cにつきまとわれ,「娘を殺す。家に火をつける。」などと脅迫されているなどと,Cからストーカー被害を受けていると聞き,しかも,肉体関係を強要されるとの前記念書の内容を具体的に聞くに及んでCに対し激しい怒りを抱き,ストーカー行為を止めさせるために何とかしなければならないと思うようになった。その後も,被告人は,AからCの仕打ちを聞かされる度に,CのAに対するストーカー行為を止めさせるためにはどうしたらいいのか思い悩むようになり,同月末ころには,Aから「いなくなればいいのに」などと言われ,被告人は,「俺が何とかする。」などと答えるなど,Cに対し,何らかの報復を考えるようになった。Aは,被告人がCに対して何らかの行動に出れば,後々A自身が仕返しされることをおそれているので,被告人は,C殺害を選択肢の一つとして考え始めた。更に,被告人は,同年4月2日ころ,Aから被告人の子供を妊娠していると告げられて,非常に喜ぶとともに,被告人,A, 仕返しされることをおそれているので,被告人は,C殺害を選択肢の一つとして考え始めた。更に,被告人は,同年4月2日ころ,Aから被告人の子供を妊娠していると告げられて,非常に喜ぶとともに,被告人,A,B,生まれてくる子供の4人で生活したいと強く望み,そのような幸せな生活を築くためにはCの存在が許されないと考え,Cを殺害せざるを得ないのではないかという気持ちを強めていった。 3 Cは配管工として全国各地の工事現場への長期出張を繰り返す生活をしており,平成13年3月初めから静岡県内の工事現場へ出張していた。被告人は,同年4月9日ころ,Cが近い内に出張先から福岡県大牟田市内の実家に帰ってくることを知って,Aが取り乱し,体調を崩すのを目の当たりにして,最後の女として一番大切に考えているAをそこまで追い込んだCに対して更に強い憤りと憎しみを抱いた。それ以降,被告人は,Aと携帯電話等で連絡を取り合う中で,同月12日Aから取り乱した様子でCが出張先から戻ってくるとの電話を受けたことからA方(福岡県大牟田市a町b番地c号)に戻ったところ,Aは今までにない大泣きをし,「死ぬかもしれん。おらんごとなるかもしれん。」「私さえあの人のところに戻れば誰も傷つかない。今までそうやって我慢してきた。」旨言い出した。その後,被告人は警察に相談しようと考えて,同日午後9時42分ころ,福岡県大牟田警察署に電話をかけ,Aがストーカー被害を受けているとして相談するなどした後,A方に戻ったものの,同所において,同月13日午後零時過ぎに,Cが約7時間後には出張先から帰宅するのを知るや,自分とAと生まれてくる子供の幸せな生活を守るためにはCを殺害するしかないものと決意し,同日午後3時ころ身支度を整えるために一旦福岡県大牟田市d町e番地f所在の被告人の実家(D方)に戻った。そこで被告 分とAと生まれてくる子供の幸せな生活を守るためにはCを殺害するしかないものと決意し,同日午後3時ころ身支度を整えるために一旦福岡県大牟田市d町e番地f所在の被告人の実家(D方)に戻った。そこで被告人は,凶器として叔父の形見の切り出しナイフを選び,かつC殺害に向け動きやすいように作業着,地下足袋を身につけ,指紋を残さず顔も見られないようにするために軍手とヘルメットも用意した。 被告人は,C殺害のための身支度を整えると,切り出しナイフを携帯して再び前記A方に戻り,同所で,Cからの反撃に備えるため,さらしの代用品として古いシーツを腹に巻くなどし,Aもこれを手伝った。この間,被告人がAに対して,改めて殺意を明言することはなかったが,Aは,C殺害の身支度を整えるなどしている被告人の姿を見て,被告人がこれからC殺害を現実に実行に移す決意であることを認識して被告人の決意を了承し,ここに被告人とAとの間でC殺害の共謀を遂げるに至った。 その後,被告人とAは,Cから帰宅した旨の連絡が入るのを待っていたが,同日午後9時過ぎにCからAにその旨の電話が入った。被告人はAに対して,「俺が一辺だけお前のためにしてやる。二度目はなかぜ。一番分かって欲しいのはこれだけお前を思っているということだ。お前が一番悩んでいることを形に残して解決する。今までどの男もしてやりきらんやったことをする。こげんかこと女のためにする男がいることをよう覚えとかんか。」「待っとかんや。」と言うと,Aは「子供産んで待っとる。」と答えた。そこで被告人は,切り出しナイフとモデルガンを身につけ,Aが運転する軽四輪自動車の助手席に乗り込み,C方に向かった。その自動車内で,被告人は,Aの説明を受けてC方の間取りの最終的な確認をした。また,被告人は,Aに電話をかけさせ,Cが在宅し,Aの来訪を待 が運転する軽四輪自動車の助手席に乗り込み,C方に向かった。その自動車内で,被告人は,Aの説明を受けてC方の間取りの最終的な確認をした。また,被告人は,Aに電話をかけさせ,Cが在宅し,Aの来訪を待っていることを確かめた。 (罪となるべき事実)被告人は,少年であるが,第1 Aと共謀の上,福岡県大牟田市g町h丁目i番地所在のC方前に到着するや,Aに対し,15分から20分後に迎えに来てほしいと告げ,1人でAが運転する自動車を降りてC方に向かい,平成13年4月13日午後10時ころ,用意していたヘルメットをかぶり,同人方の玄関ドアを開けて,同人の父親の不在を確認して,地下足袋のままC方室内に,同人(当時26歳)を殺害する目的で侵入し,同所2階において,同人から「誰やお前,Aの旦那か。」と言われながらつかみかかられて取っ組み合いになるなかで,Cに対し,殺意をもって,所携の刃体の長さ約13.5センチメートルの切り出しナイフ(平成13年押第215号の1及び同号の2。ただし,同号の2は,同号の1のナイフの刃の折れた破片)で同人の頭部,胸部,腹部及び背部等を多数回にわたり突き刺すなどし,よって,そのころ,同所において,同人を左右肺刺創による失血により死亡させて殺害した第2 業務その他正当な理由がないのに,前記第1記載の日時ころ,前記C方において,前記切り出しナイフを携帯したものである。 (事実認定の補足説明)弁護人は,「被告人は,本件犯行の前日,Cが出張先から帰ってくることを知らされて取り乱したAの様子を見て,初めてC殺害もやむなしと強く意識するようになったものの,本件犯行直前同人と対面するまでは,できれば話し合いで解決したいとの希望を持っており,同人方に入る際には条件付殺意しかなく,確定的殺意はなかった。」旨主張し,被告人もC方に赴く前に同 になったものの,本件犯行直前同人と対面するまでは,できれば話し合いで解決したいとの希望を持っており,同人方に入る際には条件付殺意しかなく,確定的殺意はなかった。」旨主張し,被告人もC方に赴く前に同人に対する確定的殺意を有していたとする捜査段階における供述を覆し,公判廷では「本件当日同人方へ行く際,一方で,最終的には殺すことになるかもしれないという思いはあったが,他方で,示談とかで終わってくれればいい,同人を負傷させる程度で終わればいい,同人に念書を書かせて終わればいいという思いもあった。切り出しナイフで刺す直前に, Cから,『お前もAも,Bも殺す。お前たちの不幸が俺の幸せじゃ。』などと言われて激怒し,最終的に殺す決意をした。」旨の供述をし,弁護人の前記主張に沿う供述をしている。 そこで検討するに,被告人は,犯行当日,C方に向かう前に,準備のため自分の実家に帰り,殺傷能力十分な刃体の長さ約13.5センチメートルの切り出しナイフを取り出し,動きやすいように作業着,地下足袋を身につけ,指紋を残さず顔も見られないようにするために軍手とヘルメットを用意し,A方に戻った後はCからの反撃に備え,Aに手伝わせてさらしの代用品として古いシーツを腹に巻くなどした上で,C方に出向いており,同人方に到着した後,被告人はヘルメットをかぶったまま,C方の玄関を開けている。更にCと同居している同人の父親の不在を確認した後,Cに無断で同人方に侵入し,しかも土足のままで2階の同人の居室に向かっている。このように被告人の身支度は屈強な成人であるCとの間で,お互いに命をかけた必死の闘争になることを想定したものであって話し合いによって問題を解決できる可能性があることを想定したものとは考えられず,現実にも,被告人は,Cと会った際話し合いによる解決に向けた言動をしていない。 死の闘争になることを想定したものであって話し合いによって問題を解決できる可能性があることを想定したものとは考えられず,現実にも,被告人は,Cと会った際話し合いによる解決に向けた言動をしていない。このような被告人の準備行為,犯行経緯等に照らすと,「犯行に至る経緯」で認定したとおり,被告人は遅くとも犯行当日C方に向かう前に前記準備行為を開始することを決断した時点で確定的な殺意を有していたことが認められ,被告人がCを刺す直前,同人が被告人に対して前記のような挑発的な言動を発したとしても,それは被告人の怒り,殺意を一段と強めた事情にすぎなかったものというべきである。したがって,弁護人の前記主張は採用できず,この点についての被告人の公判供述は信用できない。 (法令の適用)被告人の判示第1の所為のうち住居侵入の点は刑法60条,130条前段に,殺人の点は同法60条,199条に,判示第2の所為は銃砲刀剣類所持等取締法22条,32条4号にそれぞれ該当するところ,判示第1の住居侵入と殺人は手段,結果の関係にあるので,刑法54条1項後段,10条により1罪として重い殺人罪の刑で処断することとし,各所定刑中判示第1の罪については有期懲役刑を,判示第2の罪については懲役刑をそれぞれ選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により重い判示第1の罪に同法47条ただし書の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で,少年法52条1項により被告人を懲役5年以上10年以下に処し,刑法21条を適用して未決勾留日数中250日をその刑に算入し,訴訟費用は刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑の理由)本件は,被告人が,当時同棲していた共犯者Aと共謀の上,予め用意した切り出しナイフで被害者を刺殺した事案である 訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑の理由)本件は,被告人が,当時同棲していた共犯者Aと共謀の上,予め用意した切り出しナイフで被害者を刺殺した事案である。 本件犯行により,被害者は未だ26歳という若さで突然生命を奪われたのであり,取り返しのつかない重大な結果を生じており,被害者の無念さと苦痛は察するに余りある。最愛の息子を失った被害者の両親らは悲嘆にくれており,被害者の父親らが被告人に対して厳重な処罰を望むのも当然であり,被告人の父親から被害弁償金として200万円が支払われているものの,未だ被害者の遺族の被害感情が慰謝されているとは言い難い状況にある。被告人は,予め凶器として切り出しナイフを用意し,動きやすいように作業着,地下足袋を身につけ,指紋を残さず顔も見られないようにするために軍手とヘルメットを用意するなど計画性が認められる上,犯行態様は,被害者の胸部,腹部,背部,頭部等を鋭利な切り出しナイフで多数回にわたりその刃先が折れるほど強い力で刺突を繰り返すという残忍かつ執拗なもので,被害者に対する強固な殺意が認められる。 被告人は,前記のとおりAから,被害者により性行為を強制させる旨の念書を書かされたり,ストーカー被害にあっていると聞かされたりして,被害者に対する憤激の情を強め,自分とA,B,生まれてくる子供の幸せな生活を守るためには被害者を殺害するしかないと決意して本件犯行に及んだものである。確かに被告人は,本件犯行の前日である4月12日,被害者のストーカー行為を止めさせようと思って,同僚に相談したうえで福岡県大牟田警察署に連絡しているが,一度電話しただけであって,警察に自ら出向いて被害や保護を訴えるような行為はしておらず,しかも,被告人が連絡した先は,Aから正確な話を聞いていなかっ 談したうえで福岡県大牟田警察署に連絡しているが,一度電話しただけであって,警察に自ら出向いて被害や保護を訴えるような行為はしておらず,しかも,被告人が連絡した先は,Aから正確な話を聞いていなかったため,従前Aが相談していた熊本県荒尾警察署ではなく,Aの件を把握していない福岡県大牟田警察署であった。また第三者に仲介に入ってもらって話し合いの機会を設けるなどの行為もしておらず,もちろん被害者に対し,Aの話す内容が本当に真実なのか否かについて事前に何ら確認することもしていない。被告人は,自己に対する身の危険等はないのにAの言動のみによるいわば一方的な情報から判断して全く面識のない被害者の殺害という暴挙に及んでいる。被告人が本件犯行に突き進んでしまったことについては,当時17歳という未熟さ,「傲慢で高飛車な態度,虚勢的な強がり,独りよがりの大言壮語など,自分を実際以上の人間として誇示しようとする構えが強く,相手の気持ちには無頓着で一方的な自己主張が多い。他人に対する共感性や思いやりの気持は薄い。自己中心的で自己顕示性が強く,感情統制の悪さが目立ち,自分本位な感情に突き動かされて短絡的に行動しやすい。」という資質的な問題点が影響している面があるとはいえ,結局本件犯行は共犯者との結婚を夢見ていた被告人が,共犯者からの一方的情報に基づいて激高して,他の適切な手段を講じることなく,自己とAの幸せのために被害者を殺害したというものである。被告人が年上のAと知り合って日が浅く,同女が被害者からストーカー的な被害を受けていることを知ってからわずか1か月足らずの短期間で,被害者の殺害という取り返しのつかない行為にまで突っ走っていることからすれば,Aの言動に影響された面があるとはいえ,被害者を殺害する考えを強めていき最終的に殺害する決意をしたこと,殺害時期・ 期間で,被害者の殺害という取り返しのつかない行為にまで突っ走っていることからすれば,Aの言動に影響された面があるとはいえ,被害者を殺害する考えを強めていき最終的に殺害する決意をしたこと,殺害時期・殺害方法の決定等において,被告人はかなり主体的に考え行動している。犯行動機は総じて独り善がりで短絡的かつ安易なものというほかなく,酌量の余地は乏しく,人命を軽視する態度には強い非難が加えられなければならない。 加えて,被告人は本件犯行後凶器の切り出しナイフ,犯行時身につけていた軍手,地下足袋,作業着などを河川や竹林に捨てて証拠隠滅をするなど,犯行後の情状も芳しくない。 これらの事情によれば,被告人の刑事責任は重大といわざるを得ない。 他方,被害者がAに対して非常識な内容の念書を書かせ,以後同人に対して屈辱的な性行為を強要したり,Aからストーカー行為と受け取られるような行動をしたことなどが,Aを不安定な精神状態に追い詰めてしまい,本件犯行を誘発する原因になっている。本件犯行に至るまで被害者と直接連絡を取ったのは専らAであり,被害者から直接的被害を受けていたのもAであって,被告人が犯行に及んだ背景事情には,犯行時17歳であり,メンズクラブ等で勤務しているとはいえ,人格的に未成熟な被告人が自分より8歳も年長で男扱いにも手慣れているAの言動に振り回された面もある。被告人の本件犯行に対する反省や遺族に対する謝罪の気持ちは十分とはいえないが,捜査段階あるいは家庭裁判所の審判の段階では,愛する女性を守るために男としてやるべきことをやったとして犯行を正当化していた姿勢がその後変化し,自己の犯した罪と向き合い,無念の死を遂げた被害者,遺族の気持ちを思いやる姿勢も出てきている。被害者の遺族らは,当初,被告人側からの被害弁償についてこれを拒む姿勢を取っていたが た姿勢がその後変化し,自己の犯した罪と向き合い,無念の死を遂げた被害者,遺族の気持ちを思いやる姿勢も出てきている。被害者の遺族らは,当初,被告人側からの被害弁償についてこれを拒む姿勢を取っていたが,その後,平成14年4月12日,被告人の父親から支払われた被害弁償金200万円を受領している。被告人は現在18歳と若く可塑性に富む年齢である上,前科がなく,家庭裁判所での係属歴も,窃盗罪の非行により平成10年6月に審判不開始決定がなされたのみであることなどに照らすと,もともと非行性をかかえていたものではない。被告人の帰りを待つ両親らがおり,父親は社会復帰後の被告人の更生に向けた協力を公判廷で誓約している。これらの被告人に有利な事情も認められる。 そこで,これらの事情を総合して刑を量定することになるが,被告人に有利な事情を十分考慮しても,本件犯行の重大性等に照らし,主文のとおりの刑を科すのが相当であると判断した。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑懲役5年以上10年以下)平成14年5月8日福岡地方裁判所第2刑事部裁判長裁判官林秀文裁判官一木泰造裁判官永井美奈

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