平成27(行ウ)351 事業計画変更決定取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成31年2月22日 東京地方裁判所
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判決文本文47,849 文字)

平成31年2月22日判決言渡平成27年(行ウ)第351号事業計画変更決定取消請求事件 主文 1 別紙原告目録記載の番号3,64,88,99,102の原告らの訴えをいずれも却下する。 2 被告が平成26年12月17日付けでしたα 都市計画事業β 駅西口土地区画整理事業の事業計画変更決定を取り消す。 3 訴訟費用のうち,第1項記載の原告らに生じた費用はそれぞれの原告らの負担とし,その余の原告ら及び被告に生じた費用は被告の負担とし,参加によって生じた費用は参加人の負担とする。 事実 及び理由第1 請求主文第2項に同旨第2 事案の概要本件は,原告らが,被告のしたα都市計画事業β駅西口土地区画整理事業の 事業計画変更決定(後記1⑸の本件事業計画第2次変更決定)の取消しを求める事案である。 1 前提事実(証拠を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)(1) 本件事業都市計画決定ア東京都知事は,平成10年3月20日,都市計画法(平成11年法律第 87号による改正前のもの)15条1項4号,18条1項に基づき,β駅西口地区における土地区画整理事業(以下「本件事業」という。)について,以下の都市計画を決定し(以下,この決定を「本件事業都市計画決定」といい,その都市計画を「本件事業都市計画」という。),同日,これを告示した(乙21,27)。 (ア) 都市計画の種類 α都市計画土地区画整理事業(イ) 都市計画の名称β駅西口土地区画整理事業(ウ) 都市計画を定める土地の区域β市γ一丁目,γ二丁目,γ三丁目,δ一丁目,δ四丁目,ε一丁目 及びε二丁目各地内(エ) 施行区域の面積約43.0haイ平成11年法 (ウ) 都市計画を定める土地の区域β市γ一丁目,γ二丁目,γ三丁目,δ一丁目,δ四丁目,ε一丁目 及びε二丁目各地内(エ) 施行区域の面積約43.0haイ平成11年法律第87号による都市計画法15条1項等の改正により,本件事業都市計画決定を所管する行政庁は東京都知事から参加人に変更さ れ,さらに,平成23年法律第105号による都市計画法15条1項6号等の改正により,施行区域の面積が50ha以下の土地区画整理事業である本件事業に係る本件事業都市計画決定を所管する行政庁は参加人から被告に変更された(弁論の全趣旨)。 ウ被告は,平成25年4月1日,α都市計画緑地第3号ζ緑地の区域変更 (乙30)に伴い,都市計画法21条1項に基づき,本件事業都市計画を変更する決定をし(以下,この決定を「本件事業都市計画変更決定」といい,その変更後の都市計画を「本件変更後事業都市計画」という。),同日,これを告示した(乙29)。 ⑵ 本件道路都市計画決定 ア東京都知事は,平成10年3月20日,都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)15条1項3号,21条2項,18条1項に基づき,α都市計画道路3・4・12号線,3・4・13号線,3・4・15号線,7・5・1号線等の変更に係る都市計画変更決定をし(以下,この決定を「本件道路都市計画決定」といい,その変更後の都市計画を 「本件道路都市計画」という。),同日,これを告示した(乙28)。 イ平成11年法律第87号による都市計画法15条1項等の改正により,本件道路都市計画決定を所管する行政庁は東京都知事から参加人に変更され,さらに,平成23年政令第363号による都市計画法施行令9条2項1号ロの改正により,都道であるα都市計画道路3・ の改正により,本件道路都市計画決定を所管する行政庁は東京都知事から参加人に変更され,さらに,平成23年政令第363号による都市計画法施行令9条2項1号ロの改正により,都道であるα都市計画道路3・4・12号線,3・4・13号線,7・5・1号線に係る都市計画は引き続き参加人が所管す るが,市道であるα都市計画道路3・4・15号線に係る都市計画を所管する行政庁は被告に変更された(弁論の全趣旨)。 (3) 本件事業計画決定被告は,平成15年4月14日,東京都知事から設計の概要の認可を得て,同月16日,土地区画整理法(平成17年法律第34号による改正前のも の)52条1項に基づき,本件事業について,以下の事業計画を決定し(以下,この決定を「本件事業計画決定」といい,その事業計画を「本件事業計画」という。),β市長は,同日,これを公告した。 ア事業の名称α都市計画事業β駅西口土地区画整理事業 イ施行者の名称被告(β市)ウ施行地区の区域β市γ一丁目,γ二丁目,γ三丁目,δ一丁目,δ四丁目,ε一丁目及びε二丁目各地内 エ施行地区の面積約42.4haオ事業施行期間本件事業計画決定公告の日(平成15年4月16日)から平成34年3月31日まで カ事業費 355億円(4) 本件事業計画第1次変更決定被告は,平成20年3月14日,土地区画整理法55条12項括弧書きにいう軽微な変更として,本件事業計画について,一部区画道路の変更に係る事業計画変更決定をし(以下,この決定を「本件事業計画第1次変更決定」 といい,その変更後の事業計画を「本件第1次変更後事業計画」という。)をし,β市長は,同日,これを公告した(乙9の1・2)。 ⑸ 本件事業計画 (以下,この決定を「本件事業計画第1次変更決定」 といい,その変更後の事業計画を「本件第1次変更後事業計画」という。)をし,β市長は,同日,これを公告した(乙9の1・2)。 ⑸ 本件事業計画第2次変更決定被告は,平成26年12月15日,東京都知事から設計の概要の変更の認可を得て,同月17日,土地区画整理法55条12項に基づき,本件事業計 画について,道路等の公共施設の配置見直しに伴う設計の概要及び資金計画の変更に係る事業計画変更決定をし(以下,この決定を「本件事業計画第2次変更決定」といい,その変更後の事業計画を「本件第2次変更後事業計画」という。),β市長は,同日,これを公告した。 ⑹ 原告らは,平成27年6月8日,本件事業計画第2次変更決定の取消しを 求めて本件訴えを提起した(裁判所に顕著な事実)。 ⑺ 別紙原告目録記載の番号(以下「原告番号」という。)1,2,5~24,26~41(31欠),44~48,50~63,65~70(66欠),72,74,76~79,81~85,87,90~93,95,98,100,103~110(105欠),112~116,119~121の原 告らは,本件事業の施行地区(以下「本件施行地区」という。)内の宅地(公共施設の用に供されている国又は地方公共団体の所有する土地以外の土地をいう。以下同じ。)について所有権(共有持分を含む。以下同じ。)又は借地権(借地借家法にいう借地権であり,建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。以下同じ。)を有する者(以下,併せて「地権 者」という。)である。 2 争点(1) 原告適格の有無⑵ 都市計画の適法性ア本件事業都市計画の適法性イ本件道路都市計画の適法性 (3) 本件事業計画第2次変 者」という。)である。 2 争点(1) 原告適格の有無⑵ 都市計画の適法性ア本件事業都市計画の適法性イ本件道路都市計画の適法性 (3) 本件事業計画第2次変更決定の適法性ア本件事業計画決定と本件事業計画第2次変更決定の関係イ土地区画整理法2条1項ウ都市計画法16条エ土地区画整理法89条1項 オ地方自治法2条14項等カ憲法29条,13条,22条 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(原告適格の有無)について(原告らの主張) ア原告番号42の原告は,死亡した地権者の相続人であり,地権者として原告適格が認められる。 イ原告番号64,99,102の原告らは,かつて地権者であり,売買により本件施行地区内の宅地の所有権を失ったが,違法・違憲である本件事業計画の遂行によって,地権者として本人が望まない本件事業に巻き込ま れることになり,現実に財産権の制約を受け,平穏に生活する権利を侵害された住民として,原告適格が認められる。 ウ原告番号3,88の原告らは,本件施行地区外に居住する者であるが,地権者が死亡した場合にはその法定相続人として宅地に関する権利を有する者であり,原告適格が認められる。 エ原告番号4,71,89,96,117の原告らは,本件施行地区内の 宅地上の建物の所有者(共有者を含む。)であり,その底地利用権が借地権であるか否かにかかわらず,仮換地指定後に建物が移転又は除却され損失を受けた場合には損失補償を受けるべき地位にあり(土地区画整理法78条1項),土地区画整理法は,そのような「当該土地区画整理事業に関係のある土地に定着する物件について権利を有する者」(同法20条2項 参照)の利益を法律上保護して 地位にあり(土地区画整理法78条1項),土地区画整理法は,そのような「当該土地区画整理事業に関係のある土地に定着する物件について権利を有する者」(同法20条2項 参照)の利益を法律上保護しているため,原告適格が認められる。 オ原告番号49の原告は,本件施行地区内の宅地上の建物に居住している。 同建物は,同原告の夫が賃借した家であったが,夫が死亡した後,娘が賃借人となり,同原告を居住させている。施行地区内の建物の賃借人(借家人)には原告適格が認められるべきところ,同原告は名目上は賃借人でな いが,賃借人と同様の地位に立つものといってよく,同様に原告適格が認められる(予備的に占有補助者としての地位を有することを主張する。)。 カ原告番号25,43,73,75,80,86,94,101,118の原告らは,本件施行地区内の宅地上の建物を所有する者の同居家族として,同建物について使用借権を有しており,原告適格が認められる(予備 的に宅地上の建物について何らかの権利を有している者の占有補助者であると主張する。)。 キ原告番号97の原告は,本件施行地区内の宅地上の建物に独居してこれを占有しており,使用借権を有しているため,原告適格が認められる。 ク原告番号111の原告は,地権者の家族として本件施行地区内の宅地上 の建物に居住している者である。占有補助者という立場で本件施行地区内の宅地上の建物に居住している者であっても,本件事業による曳家や移設で,居住環境を損なわれるおそれがあり,損失補償の対象となることがあるばかりでなく,平穏に生活する権利の侵害を受けることになり,本件事業による被害を直接に受けているといえるのであって,都市計画法が保護 を予定する個別的利益を有しているから,原告適格が認められる。 平穏に生活する権利の侵害を受けることになり,本件事業による被害を直接に受けているといえるのであって,都市計画法が保護 を予定する個別的利益を有しているから,原告適格が認められる。 (被告の主張)ア本件施行地区内の宅地の地権者でない原告番号3,4,25,43,49,64,71,73,75,80,86,88,89,94,96,97,99,101,102,111,117,118の原告らは,原告適格を有しない。 イ原告番号42の原告は,死亡した地権者の長男であるが,遺産分割が未了であると思われ,遺産分割の結果によっては,地権者たる地位を失う可能性もある。そのような不確定な地位にあるだけで原告適格を認めるべきか否かの判断は,裁判所に委ねる。 ⑵ 争点⑵(都市計画の適法性)について ア本件事業都市計画の適法性(原告らの主張)(ア) 本件事業都市計画の内容の違法性土地区画整理法2条1項は,土地区画整理事業において公共施設の整備改善及び宅地利用の増進の双方の目的を併有することを求めるもので あるところ,本件事業の施行区域内には,既に利便性・居住性の高い住宅地が建設されており,それを再編する必要は全くなく,逆に本件事業により,現在実現している住宅地と自然が調和した良好な住居環境を根底から壊す危険性がある。 すなわち,本件事業都市計画で定められた本件事業は,道路の拡張の ためだけの事業であるところ,生活道路が多数ある施行区域内の現状は,安全性の高い居住環境を住民に保障してきたものであり,防災上の必要からも,更なる道路の整備をする必要はない。また,本件事業の施行区域内及びその周辺には既に十分に緑地が存在しているのであって,本件事業による土地区画整理により緑地が減ることが懸念されるのであり, 要からも,更なる道路の整備をする必要はない。また,本件事業の施行区域内及びその周辺には既に十分に緑地が存在しているのであって,本件事業による土地区画整理により緑地が減ることが懸念されるのであり, 宅地利用の増進という観点からも,土地区画整理をする必要はない。 (イ) 本件事業都市計画の決定に至る手続の違法性都市計画決定をするに当たっては,都市計画法16条が規定する住民の意思を反映する手続をとる必要があるところ,被告は,本件事業都市計画決定に至る過程において,平成4年7月に被告と住民の一部の組織であったβ駅西口地区整備対策協議会との間で,実際には合意されてい ないにもかかわらず,①土地区画整理事業を基軸として施行地区の整備を行うこと,②整備施行地区を拡大すること,③「まちづくり委員会」を設置することの合意がされた旨をアピールし,また,不透明な経緯により,施行区域を2.5倍に拡大し,同年8月にされたアンケートでは,土地区画整理事業による整備が必要であると回答を誘導するなどしてお り,このような手続を経て決定された本件事業都市計画は,都市計画法16条に違反するものである。 (ウ) したがって,本件事業都市計画は,違法な都市計画であり,これに基づく本件事業計画第2次変更決定も違法である。 (被告の主張) (ア) 本件事業都市計画の適法性本件事業は,本件道路都市計画で定められた都市計画道路を活用することで,区画道路への通過交通の流入を排除するよう計画しているものである。また,本件事業の施行区域内の緑の占有面積は,全体の9.6%と非常に少ないところ,本件事業により,全体の8.03%に 相当する面積の恒久的な緑地を創出することを予定している。 (イ) 本件事業都市計画の決定に至る手続の適法性 積は,全体の9.6%と非常に少ないところ,本件事業により,全体の8.03%に 相当する面積の恒久的な緑地を創出することを予定している。 (イ) 本件事業都市計画の決定に至る手続の適法性本件事業都市計画の決定は,都市計画法所定の手続を経てされたものであり,違法はない。 (ウ) 本件事業都市計画は適法であるから,これが違法であることを理由 に本件事業計画第2次変更決定が違法になるとはいえない。 イ本件道路都市計画の適法性(原告らの主張)本件道路都市計画において,α都市計画道路3・4・12号線,3・4・13号線,3・4・15号線の3本の幹線道路及び7・5・1号線の1本の主要区画道路が定められているところ,3・4・12号線及び7・ 5・1号線については,モノレール駅の設置を前提に計画されているが,η都市モノレールの延伸計画は頓挫しているため必要がなく,3・4・13号線については,歴史的景観を破壊し,住環境を悪化させるものであり,3・4・15号線については,地区内の利便性の向上にはつながらない。 これらの道路を定めた本件道路都市計画は違法であり,これに基づく本 件事業計画第2次変更決定も違法である。 (被告の主張)原告ら主張の都市計画道路は,いずれも必要性があるから整備するものである。 3・4・12号線は,θ町からβ市を通過し,ι市へ通じる広域幹線道 路として整備するものであるところ,青梅線との立体交差部については,市街地における整備であることから沿道の利用等に特に注意する必要があるため,側道を設置することや,鉄道による地域分断を解消できるよう青梅線を挟んで東西地域を行き来するための自転車歩行者道や歩行者用階段を設置する必要があり,これらの必要性から本件事業において広幅員の用 を設置することや,鉄道による地域分断を解消できるよう青梅線を挟んで東西地域を行き来するための自転車歩行者道や歩行者用階段を設置する必要があり,これらの必要性から本件事業において広幅員の用 地を確保しているものであって,モノレール駅の設置の有無により不要となるものではない。 7・5・1号線は,交通広場周辺の商業活動の円滑化を図ることと,地区北部と駅前を結び,地区内交通を集約するために,幹線道路を補完する道路として整備することを目的とし,既存の旧青梅街道に代わる補助幹線 道路として計画しているものであって,モノレール駅設置を前提として計 画しているものではない。 3・4・13号線は,β駅西口へのアクセス道路及びβ堰までのシンボル道路として整備するものであるところ,切通し構造の現都道(通称お寺坂)の玉石積みの石垣擁壁は本件事業による拡幅工事においてもそのイメージを継承し,また,道路脇にある「馬の水飲み場(湧水)」は事業に よる移転の際には調査して復元していくなど,景観に配慮した施行を検討することが予定されているから,歴史的景観を破壊し住環境を悪化させるものではない。 (3) 争点(3)(本件事業計画第2次変更決定の適法性)について(原告らの主張) 以下のとおり,本件事業計画第2次変更決定は違法であるから,取り消されるべきである。 ア本件事業計画決定と本件事業計画第2次変更決定の関係土地区画整理法上の事業計画の変更決定は,原決定を前提にしつつ,それに修正を加えて一体としての新たな事業計画を決定するものであるから, 変更決定の取消訴訟においては,変更決定により変更された部分についてのみ違法事由として主張することができるものではなく,決定全体について違法事由として主張することができるものであ あるから, 変更決定の取消訴訟においては,変更決定により変更された部分についてのみ違法事由として主張することができるものではなく,決定全体について違法事由として主張することができるものである。このことは,変更決定についても合法性の維持の要請が働くこと,原決定の違法性は変更決定に承継されると解されることからもいえるのであり,さらに,本件におい ては,本件事業が進捗していないことから,法的安定性を理由に本件事業計画の違法性を主張し得なくなるとする必要もない。 本件においては,実際,本件事業計画第2次変更決定により,ほとんど全ての区画道路の位置の修正がされており,これにより,原告ら全ての所有地等について,換地予定地への影響,居住環境の悪化,公共施設の変更 と宅地利便性への変更がもたらされているものであり,宅地の変動面積や 減歩率までも変更されているものであって,変更の前後により主張することができる違法事由が区分されるものではない。 イ土地区画整理法2条1項前記⑵ア(原告らの主張)(ア)で主張したとおりの事情からすると,道路の整備の必要がないにもかかわらずこれを整備しようとするものである ことや,本件事業によっても土地の利用価値は増加せず,本件事業計画第2次変更決定において,土地区画整理事業による施行地区全体の土地の資産価値が増大するかを示す値である増進率が恣意的に設定されたことなどからすれば,本件事業計画第2次変更決定は,土地区画整理法2条1項に違反し,違法である。 ウ都市計画法16条前記⑵ア(原告らの主張)(イ)で主張したとおりの事情や,被告が,本件事業計画決定までの間にも本件事業の推進の声をねつ造しようとし,多数の住民が反対の意思を表明し続けたにもかかわらず,形式的に住民の意思を (原告らの主張)(イ)で主張したとおりの事情や,被告が,本件事業計画決定までの間にも本件事業の推進の声をねつ造しようとし,多数の住民が反対の意思を表明し続けたにもかかわらず,形式的に住民の意思を聞いたという実績を作ろうとした上,本件事業計画決定後も,都市計 画審議会における否定的な意見を封じるなどして本件事業計画第2次変更決定をしたことからすれば,被告の姿勢は,都市計画法16条の精神を無視するもので,違法と評価されなければならず,本件事業計画第2次変更決定は取り消されるべきである。 エ土地区画整理法89条1項 本件第2次変更後事業計画は,本件事業について定められた換地設計案に基づき変更されたものであり,本件事業計画第2次変更決定に伴い,本件施行地区内の地権者に対し,換地設計調書が交付された。この換地設計調書は,将来の仮換地及び換地の場所を特定したものであるが,その換地設計案には,不公平・不公正な取扱い事例を含む縦の照応の原則及び横の 照応の原則の違反があって,土地区画整理法89条1項の規定に違反する ものである。 そして,換地設計案につき,上記のような瑕疵があれば,本件第2次変更後事業計画全体にわたって影響を及ぼすものであるから,本件事業計画第2次変更決定の違法事由となるものであり,仮換地指定やその後の段階で仮換地指定等が違法であると主張して訴えを提起し,違法である旨判断 されても,事情判決がされるおそれがあるから,本件事業計画第2次変更決定の取消しを求める本件において,上記違法事由を主張することができると解すべきである。 本件においては,いわゆる縦の照応については,位置,地積,利用状況,環境等の複合的な照応違反,利用状況の照応違反,水利に関する照応違反 があり,いわゆる横の照応につい ると解すべきである。 本件においては,いわゆる縦の照応については,位置,地積,利用状況,環境等の複合的な照応違反,利用状況の照応違反,水利に関する照応違反 があり,いわゆる横の照応については,飛び換地,不必要な画地の増加といった問題があるし,事業管理用地換地やポケットパークの不公平性,私道の換地処理についての不公正不平等な取扱い,縄伸び申請期間の不公正などの事例もあり,不公平な換地と適正でない事業計画という点からも問題があるものである。 オ地方自治法2条14項等本件第2次変更後事業計画における資金計画は,単年度の収入が被告の収入の約半分とされているなど荒唐無稽なものであり,支出計画についても,総額370億円のうち,建物移転費用が230億円を占め,土地区画整理の本来の目的である公共施設の整備と宅地の増強に十分な費用を当て ることができないなど非合理的なものであるから,土地区画整理法54条,6条11項を受けて収入予算や支出予算について定める土地区画整理法施行規則10条1号,2号に違反するものである。 また,本件事業は,η都市モノレールの延伸のために道路を整備するものであるところ,延伸の計画は具体性がない一方,被告の財政は危機的状 況にあることからすれば,本件第2次変更後事業計画は,地方自治法2条 14項,地方財政法4条1項にも違反する。 また,被告は,事業期間の延長を考えているようであるが,仮に平成27年から30年程度延長するとすれば,本件事業は,平成15年から約半世紀にわたる事業であることになり,あまりに長期であって,地域住民や地域環境に悪影響を及ぼすものであり,事業施行期間は適切に定めなけれ ばならない旨を規定する土地区画整理法54条,6条9項に違反する。 カ憲法13条,22条, あまりに長期であって,地域住民や地域環境に悪影響を及ぼすものであり,事業施行期間は適切に定めなけれ ばならない旨を規定する土地区画整理法54条,6条9項に違反する。 カ憲法13条,22条,29条本件事業計画第2次変更決定は,安全安心に歴史的な町並みの中で自ら住み慣れた所有地等で暮らしたいと考えていた原告らの人格的権利(平穏生活権)を侵害するとともに,不要不急の道路拡張のために,宅地を大き く削り取り,曳家を不可能にして旧来の住居にさえ住めなくすることで,原告らの財産権を侵害し,居住の自由を侵害する。 また,本件事業が42年もの長期間に及び,これにより生活権が回復不可能なほどに破壊されてしまうと予想されることや,従前地と仮換地の両方が使用できない中断期間が生じ,移転を余儀なくされる者がいることな ども指摘することができる。 したがって,本件事業計画第2次変更決定は,憲法13条,22条,29条に違反する。 (被告の主張)以下のとおり,本件事業計画第2次変更決定には何ら違法はなく,適法で ある。 ア本件事業計画決定と本件事業計画第2次変更決定の関係本件事業計画決定は,平成15年4月16日にされたものであり,このうち平成26年12月17日の本件事業計画第2次変更決定によって変更された部分のみが本件訴訟の対象となる。また,土地区画整理事業の事業 計画決定とその変更決定との間には違法性の承継は認められないことから も,本件事業計画決定のうち,本件事業計画第2次変更決定によって変更されていない部分についての違法を主張することはできない。 そして,本件事業計画第2次変更決定は,法定の手続に従ってされたものであり,その内容にも何ら違法となるべき事由はない。 イ土地区画整理法2条1項 ついての違法を主張することはできない。 そして,本件事業計画第2次変更決定は,法定の手続に従ってされたものであり,その内容にも何ら違法となるべき事由はない。 イ土地区画整理法2条1項 本件施行地区は,昭和30年代前半までは,一部に住宅があるほかは大部分が畑地であったが,昭和30年代後半から,畑に面した狭隘な農道に沿って住宅が建ち並ぶとともに,農地等に民間開発により行き止まり道路などが築造され,宅地化が進んだ結果,施行地区内道路延長の5割以上を占める幅員4m未満の道路や行き止まり道路に沿って,計画的な基盤整備 が進まないまま,自然発生的に住宅が建ち並び,スプロール化した状態になったものである。 本件事業は,「美しく快適で住みよい活力に満ちたまち」を基本目標として,JR青梅線β駅を中心とした利便性の高い駅前市街地の再編を図るとともに,都市施設と自然が調和した市街地の再生を図ることを目的とし て計画するものであって,道路,交通広場,公園等の都市基盤整備を中心とした良好な居住環境の確保により,公共の福祉の増進に資することを目的とするものである。 そして,本件第2次変更後事業計画における増進率は,本件事業計画から変更されておらず,本件訴訟において問題となる事項ではない。 ウ都市計画法16条本件事業計画第2次変更決定は,法定の手続に従いされたものであるところ,原告らの主張する事情は,本件事業計画第2次変更決定に関係のないものである。 エ土地区画整理法89条1項 土地区画整理事業における事業計画は,土地区画整理事業の基礎的事項, すなわち,施行地区,設計の概要,事業施行期間及び資金計画を一般的に定めるものであるのに対し,換地設計案は,事業計画で定められた設計の概要を具体化するために作成 区画整理事業の基礎的事項, すなわち,施行地区,設計の概要,事業施行期間及び資金計画を一般的に定めるものであるのに対し,換地設計案は,事業計画で定められた設計の概要を具体化するために作成されるもので,換地設計案に基づき仮換地指定が行われる。 換地設計案は,事業計画決定を前提として作成されるが,事業計画決定 とは別の事業段階として作成されるものであり,換地設計が照応の原則に違反したものであれば,事業計画決定が違法となるものではない。事業計画の中に,換地設計案に影響を及ぼすような設計の概要があり,その違法により換地設計案の換地が照応の原則違反となっているのであれば,照応の原則違反をもって事業計画決定の違法とすることも可能な場合もあり得 るが,原告らは,単に個々の換地予定に照応の原則違反があると主張するにとどまっており,事業計画に影響を及ぼすような違法がある旨の主張はしていないから,原告らの主張は失当である。 そして,本件においては,換地設計案に事業計画に影響を及ぼすような照応の原則違反や,不公正・不公平な取扱いがあったとはいえず,本件事 業計画第2次変更決定が違法であるということはできない。 オ地方自治法2条14項等土地区画整理事業の事業計画における資金計画については,土地区画整理法施行規則10条1号が,資金計画のうち収入予算においては,収入の確実であると認められる金額を収入金として計上しなければならない旨を 規定するが,確実性は結果的に確認されるもので,相当長期にわたる事業の場合には,その施行途上において不測の支出のため,資金計画の大幅な改訂を余儀なくされることもあり得るので,同号の「確実である」とは,客観的な判断によって,無理のない,見通しのある収入予算であるという意味であると解されている。 て不測の支出のため,資金計画の大幅な改訂を余儀なくされることもあり得るので,同号の「確実である」とは,客観的な判断によって,無理のない,見通しのある収入予算であるという意味であると解されている。本件第2次変更後事業計画においては,事業 期間が変更されていないことから,平成27年度から平成30年度までの 収入の平均が年46.5億円と極めて高額なものとされているが,被告は,事業施行期間を変更する第3回目の事業計画の変更を検討し,そこで資金計画の見直しも予定しているから,違法なものではない。 また,本件第2次変更後事業計画の資金計画における支出計画において,建物移転資金が230億円とされているが,既成市街地における土地区画 整理事業では,既存の建物を移転する必要があるから,非合理的なものであるということはできない。 さらに,被告が財政的に破綻しているということはできず,本件事業計画第2次変更決定が,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反するということはできない。 土地区画整理法54条,6条9項は,事業施行期間は適切に定めなければならないと規定するが,施行期間は事業の進捗状況により大きな影響を受けるものであり,一応の目安を定めるものである。そして,本件第2次変更後事業計画においては,事業施行期間を変更していないから,事業施行期間は同事業計画の違法事由とはならないし,第3回目の事業計画の変 更により事業施行期間を変更することを検討しているが,これにより事業計画が破綻することになるものでもない。 カ憲法13条,22条,29条判例上,幸福追求権を規定する憲法13条により具体的な権利と認められたのは,プライバシーの権利に限られるところ,原告らは,本件事業が, 具体的内容及び外延が必ずしも明ら 3条,22条,29条判例上,幸福追求権を規定する憲法13条により具体的な権利と認められたのは,プライバシーの権利に限られるところ,原告らは,本件事業が, 具体的内容及び外延が必ずしも明らかでない自己決定権を侵害する旨の主張をするが,憲法13条から具体的権利を引き出すことはできず,従前の住環境においてそのまま生活し続けることが自己決定権として憲法13条により直接保護されるものではないから,原告らの主張は失当である。 また,土地区画整理事業のために行われる換地処分は,合憲性の判断の 基準である合理性の基準に適合するものであり,仮に原告らに不利益が生 ずるとしても,宅地の利用増進という目的からすれば,居住・移転の自由に対する侵害と評価すべきものではなく,憲法22条に違反しない。 さらに,土地区画整理事業は一般に憲法29条に反するものではなく,本件事業も憲法29条に違反しない。また,本件第2次変更後事業計画は,土地区画整理法109条に定める減価補償金を支払う必要がない計画であ り,正当な補償は問題とならず,憲法29条に違反しない。 第3 当裁判所の判断 1 原告適格の有無(争点⑴)について⑴ 処分の取消しの訴えは,当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り提起することができるところ(行政事件訴訟法9条1項), ここでいう「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうと解すべきである(最高裁平成17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 そして,処分の名宛人に限らず,処分の法的効果により自己の権利又は法 律上保護された利益の制限を受ける者は,当該処分により自己の権利若し 日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 そして,処分の名宛人に限らず,処分の法的効果により自己の権利又は法 律上保護された利益の制限を受ける者は,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者として,当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たり,その取消訴訟における原告適格を有するものというべきである(最高裁平成25年7月12日第二小法廷判決・裁判集民事244号43頁参照)。 また,処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益も法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における 原告適格を有するものというべきであり,処分の相手方以外の者について上 記の意味での法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し, 当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(行政事件訴訟法9条2項。前掲最高裁大法廷判決参照)。 ⑵ 本件施行地区内の宅地の地権者について ア市 となる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(行政事件訴訟法9条2項。前掲最高裁大法廷判決参照)。 ⑵ 本件施行地区内の宅地の地権者について ア市が施行する土地区画整理事業の事業計画決定が公告されると,換地処分の公告がある日まで,施行地区内において,土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築,改築若しくは増築を行い,又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行おうとする者は,市長の許可を受けなければな らず(土地区画整理法76条1項4号),市長は,これに違反した者又はその承継者に対し,当該土地の原状回復等を命ずることができ(同条4項),この命令に違反した者に対しては6月以下の懲役又は20万円以下の罰金の刑が科される(同法140条)。このほか,施行地区内の宅地についての所有権以外の権利で登記のないものを有し又は有することとなっ た者は,書面をもってその権利の種類及び内容を施行者に申告しなければならず(同法85条1項),施行者は,その申告がない限り,これを存しないものとみなして,仮換地の指定や換地処分等をすることができる(同条5項)。 また,土地区画整理事業の事業計画決定がされると,設計の概要におけ る設計説明書及び設計図の記載(土地区画整理法54条,6条1項,土地 区画整理法施行規則6条参照)により,当該土地区画整理事業の施行によって施行地区内の宅地所有者等の権利にいかなる影響が及ぶかについて,一定の限度で具体的に予測することが可能になる。そして,土地区画整理事業の事業計画決定が一旦されると,特段の事情のない限り,その決定に従って具体的な事業がそのまま進められ,その後の手続として,施行地 一定の限度で具体的に予測することが可能になる。そして,土地区画整理事業の事業計画決定が一旦されると,特段の事情のない限り,その決定に従って具体的な事業がそのまま進められ,その後の手続として,施行地区 内の宅地について換地処分が当然に行われることになる。前記の建築行為等の制限は,このような具体的な事業の施行の障害となるおそれのある事態が生ずることを防ぐために法的強制力を伴って設けられているのであり,しかも,施行地区内の宅地所有者等は,換地処分の公告がある日まで,その制限を継続的に課され続ける。 そうすると,施行地区内の宅地の地権者は,事業計画決定がされることによって,前記のような規制を伴う土地区画整理事業の手続に従って換地処分を受けるべき地位に立たされることとなり,事業計画決定の法的効果により権利の制限を受けることとなるということができるから,事業計画決定の取消しを求める原告適格を有すると解するのが相当である(最高裁 平成20年9月10日大法廷判決・民集62巻8号2029頁参照)。 この理は,事業計画変更決定の取消しを求める原告適格についても同様に解される(変更決定に違法があれば,施行地区内の宅地の地権者は本来受けることのなかった変更後の事業計画による権利の制限を受けるのであるから,原告適格を,当該変更決定によって新たに権利の制限を受けるに 至った者に限る理由はない。)。 したがって,本件施行地区内の宅地の地権者である原告ら(前記前提事実⑺)には原告適格が認められ,この点は当事者間においても争いがない。 イ原告番号42の原告は,平成27年▲月▲日に死亡した地権者である亡Aの長男であり(争いがない。),本件施行地区内の宅地の所有権を含む 亡Aの権利義務を少なくとも共同で承継しているものであ イ原告番号42の原告は,平成27年▲月▲日に死亡した地権者である亡Aの長男であり(争いがない。),本件施行地区内の宅地の所有権を含む 亡Aの権利義務を少なくとも共同で承継しているものであるから(民法8 96条,899条),本件施行地区内の宅地の所有者(共有者を含む。以下同じ。)として原告適格が認められる。相続放棄や遺産分割の結果,当該宅地の所有権を喪失した場合には原告適格を失うところ,そのような事実の主張立証はない。 したがって,原告番号42の原告には原告適格が認められる。 ウ原告番号64,99,102の原告らは,かつて本件施行地区内の宅地の地権者であったが,本件訴訟係属中に当該宅地の所有権を譲渡し,本件口頭弁論終結時においては地権者ではない(争いがない。)。 また,同原告らは,本件施行地区内に居住しているものでもなく,その他本件施行地区内の宅地や宅地上の建物等に何らかの権利を有しているわ けでもない。 したがって,同原告らは,本件事業計画第2次変更決定により侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある権利又は法律上保護された利益を有しているとは認められないから,同原告らには,原告適格は認められない。 エ原告番号3,88の原告らは,本件施行地区内の宅地の地権者の法定相 続人であるが(甲282,299),地権者の法定相続人であるというだけでは,本件施行地区内の宅地について具体的な権利を有しているとはいえない。 また,同原告らは,本件施行地区内に居住しているものでもなく,その他本件施行地区内の宅地や宅地上の建物等に何らかの権利を有しているわ けでもない。 したがって,同原告らは,本件事業計画第2次変更決定により侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある権利又は法律上 地区内の宅地や宅地上の建物等に何らかの権利を有しているわ けでもない。 したがって,同原告らは,本件事業計画第2次変更決定により侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある権利又は法律上保護された利益を有しているとは認められないから,同原告らには,原告適格は認められない。 ⑶ 本件施行地区内の宅地上の建物の所有者について ア施行地区内の宅地上に,借地権以外の権原に基づいて建物を所有する者 も,事業計画決定がされることによって,前記⑵アのような規制を伴う土地区画整理事業の手続に従って,当該建物の改築や増築を制限され,また,当該宅地使用権について換地処分による影響を受けるという地位に立たされることとなり,事業計画決定の法的効果により権利の制限を受けることとなるということができるから,土地区画整理法85条1項に基づく権利 の申告の有無にかかわらず,宅地の地権者に準じて,事業計画決定及びその変更決定の取消しを求める原告適格を有するものというべきである。 イ原告番号4,71,89,96,117の原告らは,本件施行地区内の宅地上の建物の所有者であり(甲292,301,308,318,319),同原告らの敷地使用が不法占有であることをうかがわせる事情もな いから,正当な権原に基づいて本件施行地区内の宅地を使用しているものと認められる。 したがって,同原告らには原告適格が認められる。 ⑷ 本件施行地区内の宅地上の建物の賃借人及び使用借主についてア施行地区内の宅地上の建物の賃借人及び使用借主は,土地についての使 用権を有するものではないが,事業計画決定がされることによって,土地区画整理事業の施行による仮換地指定等に伴い,建物を移転・除却する場合(土地区画整理法77条1項)には当該建物を使用でき 使 用権を有するものではないが,事業計画決定がされることによって,土地区画整理事業の施行による仮換地指定等に伴い,建物を移転・除却する場合(土地区画整理法77条1項)には当該建物を使用できなくなり,又は建物の賃借権若しくは使用借権を失うという不利益を受ける地位に立たされることとなり,事業計画決定の法的効果により権利の制限を受けること となるということができるから,宅地の地権者に準じて,事業計画決定及びその変更決定の取消しを求める原告適格を有するものと解するのが相当である。 イ原告番号49の原告は,本件施行地区内に居住しているが(甲290,320),本件施行地区内の宅地上の建物を賃借しているのは同原告の子 であるBであり(甲320),同原告は,同建物の賃借人であるとも使用 借主であるとも認められず,同建物を賃借するBの占有補助者であると認めるのが相当である。したがって,同原告の原告適格については,後記⑸において検討する。 ウ原告番号25,43,73,75,80,86,94,101,118の原告らは,本件施行地区内の宅地上の建物に,建物所有者の同居家族と して居住しているが(甲285,289,294~298,305,311,316,弁論の全趣旨),一般に,建物所有者と共に当該建物に同居する家族は,当該建物につき独立の占有や使用借権を有しているものではなく,建物所有者の占有補助者であると解されるから,これらの原告らも,建物所有者の占有補助者であると認めるのが相当である。したがって,同 原告らの原告適格についても,後記⑸において検討する。 エ原告番号97の原告は,地権者であるC及びDの子であり(甲309,弁論の全趣旨),建物所有者は明らかでないが,本件施行地区内の宅地上の建物に単独で居住して についても,後記⑸において検討する。 エ原告番号97の原告は,地権者であるC及びDの子であり(甲309,弁論の全趣旨),建物所有者は明らかでないが,本件施行地区内の宅地上の建物に単独で居住していることから(甲310),建物所有者から使用借権の設定を受けて独立の占有を有しているものと認めるのが相当である。 したがって,原告番号97の原告には原告適格が認められる。 ⑸ 本件施行地区内の宅地上の建物の占有補助者についてア施行地区内の宅地上の建物の占有補助者は,土地についての使用権を有するものではなく,地上建物の使用権を有するものでもないが,建物の正当な占有権原を有する者の占有を補助し,当該建物を平穏に自己の居住の 用に供している場合には,そのような居住の利益も,土地区画整理法によって個別に保護されているか否かを検討するまでもなく,一般に,法律上保護された利益に当たると解される。したがって,そのような居住の利益を有する建物の占有補助者は,事業計画決定がされることによって,土地区画整理事業の施行による仮換地指定等に伴い,建物を移転・除却する 場合には当該建物を使用できなくなり,居住の利益が損なわれるという不 利益を受ける地位に立たされることとなり,事業計画決定の法的効果により法律上保護された利益の制限を受けることとなるということができるから,宅地の地権者に準じて,事業計画決定及びその変更決定の取消しを求める原告適格を有するものと解するのが相当であるイ前記⑷イ,ウのとおり,原告番号25,43,49,73,75,80, 86,94,101,118の原告らは,本件施行地区内の宅地上の建物の占有補助者であり,上記のような居住の利益を有するものと認められるから,同原告らには原告適格が認められる。 ウ ,80, 86,94,101,118の原告らは,本件施行地区内の宅地上の建物の占有補助者であり,上記のような居住の利益を有するものと認められるから,同原告らには原告適格が認められる。 ウ原告番号111の原告は,地権者である原告番号109,110の原告らの子であり,本件施行地区内の宅地上の建物にこれらの原告らと同居し ているところ(甲314),建物所有者は明らかでないが,原告番号111の原告も,少なくとも建物について正当な占有権原を有する者の占有補助者に当たり,上記のような居住の利益を有するものと認められるから,同原告には原告適格が認められる。 ⑹ まとめ 以上によれば,原告番号3,64,88,99,102の原告らには原告適格は認められない。 その余の原告らには原告適格が認められる。 2 本件事業都市計画の適法性(争点⑵ア)について⑴ 土地区画整理法2条1項違反の有無について ア原告ら(原告番号3,64,88,99,102の原告らを除く。以下,9項までにおいて同じ。)は,本件事業の施行区域内には,既に利便性・居住性の高い住宅地が建設されており,それを再編する必要は全くなく,本件事業は,都市計画道路の整備・拡幅のみを目的としたものであって,「公共施設の整備改善」の目的も「宅地利用の増進」の目的も存在せず, 「宅地利用の増進」に資するものにもなっていないから,土地区画整理法 2条1項に違反する旨主張する。 これは,本件事業計画第2次変更決定の同項違反を主張する(争点⑶イ)と同時に,本件事業計画第2次変更決定の前提となっている本件事業都市計画の同項違反による違法が本件事業計画第2次変更決定の違法事由ともなる旨の主張を含んでいると解される。 イ土地区画整理事業は都市 ,本件事業計画第2次変更決定の前提となっている本件事業都市計画の同項違反による違法が本件事業計画第2次変更決定の違法事由ともなる旨の主張を含んでいると解される。 イ土地区画整理事業は都市計画事業として施行されるものであるから(土地区画整理法3条の4第1項),まず都市計画決定において土地区画整理事業を定め(都市計画法12条1項1号),その後に事業計画決定が行われる(土地区画整理法52条1項)。 土地区画整理事業の事業計画決定には処分性があるが(前掲最高裁平成 20年9月10日大法廷判決参照),土地区画整理事業に関する都市計画決定の段階ではいまだ処分性はないと解されるから,当該都市計画を前提とする後行の行政処分の取消訴訟において,先行する都市計画の違法を争い得るものと解される。 事業計画は土地区画整理事業に関する都市計画に適合して定めなければ ならないから(土地区画整理法54条,6条10項),事業計画決定は,都市計画を前提とする後行の行政処分に当たり,事業計画決定取消訴訟の中で,先行する都市計画の違法を争い得ると解される。 事業計画変更決定も,土地区画整理事業に関する都市計画に適合するものでなければならないことは事業計画決定と同様であり,都市計画を前提 とする後行の行政処分であるから,その取消訴訟において都市計画の違法を争い得るものと解される。 当初の事業計画決定の取消訴訟の中で先行する都市計画の違法を争う機会があったとしても,確定した事業計画決定に,これに先行する都市計画の適法性を確定する効力があるわけではないから,当該事業計画の変更決 定の取消訴訟の中で先行する都市計画の違法を争うことは妨げられないと 解される。 平成15年4月16日付け本件事業計画決定は,平成10 あるわけではないから,当該事業計画の変更決 定の取消訴訟の中で先行する都市計画の違法を争うことは妨げられないと 解される。 平成15年4月16日付け本件事業計画決定は,平成10年3月20日付け本件事業都市計画を前提とするものであったが,平成26年12月17日付け本件事業計画第2次変更決定は,平成25年4月1日付け本件事業都市計画変更決定により変更された後の本件変更後事業都市計画を前提 とするものであるから,原告らは,本件事業計画第2次変更決定の取消訴訟である本件訴訟において,本件変更後事業都市計画の違法を争い得ることになる。 ウそして,裁判所が都市計画決定又はその変更決定の内容の適否を審査するに当たっては,当該決定が裁量権の行使としてされたことを前提として, その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとすべき ものと解される(最高裁平成18年11月2日第一小法廷判決・民集60巻9号3249頁参照)。 エ土地区画整理法2条1項は,同法における「土地区画整理事業」とは,「都市計画区域内の土地について,公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため,この法律で定めるところに従つて行われる土地の区画形 質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業」をいうと規定しているから,「公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため」とはいえない土地区画整理事業(主観的に「公共施設の整備改善」及び「宅地の利用の増進」の 設の新設又は変更に関する事業」をいうと規定しているから,「公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため」とはいえない土地区画整理事業(主観的に「公共施設の整備改善」及び「宅地の利用の増進」の一方又は双方を目的としていない事業並びに客観的にこれらに資するものとなっていない事業)を定める都市計画は,同項に違反し て裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法となる。 この違法は,そのような公益性のない事業によって権利又は法律上保護された利益を制限される原告らにとって,「自己の法律上の利益に関係のない違法」(行政事件訴訟法10条1項)であるとはいえない。 そこで,本件変更後事業都市計画が土地区画整理法2条1項に違反して違法なものか検討する。 オ本件事業都市計画は,β駅西口地区が古くからの住宅・商店街であり,道路が狭いまま住宅などが建設されるなど,計画的な整備が立ち遅れた市街地となっており,道路の大半は4m未満の狭隘な道路であり,歩道がなく,交通安全面で問題があるばかりか,消防車両が入れないなど災害時に被害を拡大する要因にもなっていたこと,高齢者や障害者,児童などが安 心して通行できるための道路環境とはいえない状態であったこと,道路排水や敷地内排水などの雨水対策,遊び場や公園などの都市空間,商店街の構成と集客力などにも市民に不満があったことなどから,これらを改善するために決定されたものと認められ(甲24),本件変更後事業都市計画(乙29)も引き続き同様の目的を有しているものと認められる。 この目的は,公共施設である道路及び公園等の整備改善並びにこれに伴って整備される宅地の利用の増進を目的としたものと認められるから,本件変更後事業都市計画は,主観的に「公共施設の整備改善」及び「 この目的は,公共施設である道路及び公園等の整備改善並びにこれに伴って整備される宅地の利用の増進を目的としたものと認められるから,本件変更後事業都市計画は,主観的に「公共施設の整備改善」及び「宅地の利用の増進」を目的としているものと認められる。 そして,原告らの主張する諸事情を考慮しても,本件変更後事業都市計 画が前提としているβ駅西口地区の現状の事実認定に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くとか,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くとかといった事情を認めることはできず,本件変更後事業都市計画が,客観的に「公共施設の整備 改善」及び「宅地の利用の増進」に資するものとなっていないとは認めら れない。 したがって,本件変更後事業都市計画に,土地区画整理法2条1項違反の違法があるとは認められない(本件訴えに先行する住民訴訟においてβ市の住民らによる本件事業都市計画の違法の主張を退けた東京高裁平成21年11月25日判決・乙8の2(原審・東京地裁平成20年10月14 日判決・乙8の1。最高裁平成22年9月30日第一小法廷決定・乙8の3により確定)も同旨)。 ⑵ 本件事業都市計画の決定に至る手続の都市計画法16条適合性についてア土地区画整理事業に関する都市計画決定には処分性がないから,本件事業都市計画の決定手続に都市計画法16条違反の違法があったとすれば, 原告らは,本件事業計画第2次変更決定の取消訴訟において,その違法を争い得るものと解される。 イ都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)16条1項は,都道府県知事は,都市計画の案を作成しようとする場合において必要 決定の取消訴訟において,その違法を争い得るものと解される。 イ都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)16条1項は,都道府県知事は,都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは,公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必 要な措置を講ずるものと規定していたところ,この規定は,都市計画の案を作成する場合に必ず公聴会を開催することを義務付けたものではない。 ウ被告は,平成4年8月,β駅西口地区アンケート調査を実施し(甲5,24,47,乙22),同年11月及び12月には懇談会を実施した(争いがない。)。 平成5年1月29日にはβ駅西口地区まちづくり委員会を設置し(争いがない。),同委員会は,平成6年5月,β駅西口地区都市基盤整備についての具申書をβ市長に提出し,同年8月には具申書の内容についての説明会を延べ5回開催した(甲24,44,45,47,甲253の7)。 被告は,平成7年3月,β駅西口地区都市基盤整備に関する調査報告書 を作成した(乙1)。 β駅西口地区まちづくり委員会は,平成7年9月,都市基盤整備基本計画を被告に提出した(甲24)。 原告番号110の原告を含む反対派住民は,「β駅西口地区の区画整理を考える会」を結成し,平成8年3月29日及び同年4月30日に本件事業に反対の署名を東京都知事及びβ市長に提出するなどした(甲49,5 0)。 被告は,平成8年5月,本件事業に関する説明会を延べ9日間開催した(甲24,54)。 東京都知事は,都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)17条1項に基づき,平成8年6月4日,本件事業都市計画に係る都 市計画の案を公告し,公告の日から2週間,公衆の縦覧に供した(争いが は,都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)17条1項に基づき,平成8年6月4日,本件事業都市計画に係る都 市計画の案を公告し,公告の日から2週間,公衆の縦覧に供した(争いがない。)。 都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)17条2項により,関係市町村の住民及び利害関係人は,縦覧期間満了の日までに,縦覧に供された都市計画の案について都道府県知事に意見書を提出するこ とができるとされていたところ,上記都市計画の案については,賛成2192通,反対2526通(重複含む。)の意見書が提出された(甲53)。 原告番号110の原告を含む反対派住民は,平成8年6月頃までに,「β駅西口区画整理反対の会」を結成し,本件事業に反対する意見書を提出するなどした(甲51)。 被告は,本件事業に係る環境影響評価を行い,説明会を開催し,平成10年2月に環境影響評価書を作成した(甲3,55,56,乙2,乙3の1,33)。 東京都知事は,都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)18条1項に基づき,関係市町村たる被告の意見を聴き,かつ,都市 計画地方審議会の議を経て,平成10年3月20日,本件事業都市計画決 定をした(乙21,27,弁論の全趣旨)。 エ以上によれば,東京都知事は,都市計画法所定の手続を経て本件事業都市計画決定をしたものと認められる。 原告らは,平成4年7月に被告とβ駅西口地区整備対策協議会との間で3点に関する合意が成立した事実の有無や,被告が同年8月にしたアン ケートの内容の適正性を争っているが,これらの事情は,都市計画法所定の手続を経て平成10年3月20日に成立した本件事業都市計画決定の違法性を基礎付けるものとはいえない。 したがっ たアン ケートの内容の適正性を争っているが,これらの事情は,都市計画法所定の手続を経て平成10年3月20日に成立した本件事業都市計画決定の違法性を基礎付けるものとはいえない。 したがって,本件事業都市計画決定に都市計画法16条1項違反その他の手続の違法があるとは認められない(前掲東京高裁判決も同旨)。 3 本件道路都市計画の適法性(争点⑵イ)について⑴ 原告らは,本件道路都市計画において,α都市計画道路3・4・12号線,3・4・13号線,3・4・15号線及び7・5・1号線を定めたことが違法であり,これに基づく本件事業計画第2次変更決定も違法である旨主張する。 ⑵ 事業計画は,道路に関する都市計画が定められている場合においては,その都市計画に適合するものでなければならないから(土地区画整理法54条,6条10項,2条5項),α都市計画道路3・4・12号線,3・4・13号線,3・4・15号線及び7・5・1号線の整備内容を変更している本件事業計画第2次変更決定(甲2・11~12頁,変更対象図)は,これらの 道路を定める本件道路都市計画を前提とする後行の行政処分であり,本件道路都市計画決定には処分性がないことから,本件道路都市計画の違法は,本件事業計画第2次変更決定の取消訴訟において争い得るものと解される。 ⑶ α都市計画道路3・4・12号線及び7・5・1号線についてア本件道路都市計画において,3・4・12号線は,JR青梅線との交差 部から7・5・1号線との交差部までの区間で40m,7・5・1号線と の交差部から立体交差部終了部までの区間で38.5m,立体交差部終了部南西端から奥多摩街道との立体交差部北東端までの区間で24m,奥多摩街道との立体交差部で32mの各幅員で整備されることとされ の交差部から立体交差部終了部までの区間で38.5m,立体交差部終了部南西端から奥多摩街道との立体交差部北東端までの区間で24m,奥多摩街道との立体交差部で32mの各幅員で整備されることとされている(乙28,弁論の全趣旨)。 7・5・1号線は,幅員15mで整備されることとされている(乙2 8)。 なお,これらの道路の整備内容は本件第2次変更後事業計画においても同様である(甲2・設計図,変更対照図)。 原告らは,3・4・12号線及び7・5・1号線はモノレール駅の設置を前提に計画されているが,η都市モノレールの延伸計画は頓挫している ため,道路整備の必要がない旨主張する。 イ本件道路都市計画決定前の平成8年5月31日に参加人が作成した「η部19都市計画市街化区域及び市街化調整区域の整備,開発又は保全の方針」によれば,α区域における道路整備の基本方針として,「国道16号線及び首都圏中央連絡道路の広域交通に対処するとともに,区域内に集 中発生する交通を円滑に処理するため環境対策,交通安全対策等を十分に配慮し,都市活動に必要な道路の整備を図る。」とされ,根幹的交通施設等の整備方針として「本区域は,今後増大する広域交通に対処するとともに,区域内に集中発生する交通を円滑に処理するため,次のとおり幹線道路を整備する。」として,幹線道路として3・4・12号線を整備するこ ととしている(乙31・7頁)。 根幹的交通施設等の整備方針には,「都市モノレールのκ・λ間の事業化の促進を図る。」との記載もあるが(乙31・8頁),それが3・4・12号線の整備の前提となっていることを示す記載はない。 ウ ①平成6年6月の「広報μ」で,同年5月12日にβ駅西口地区まちづ くり委員会がβ市長に提出した具申書の内 ・8頁),それが3・4・12号線の整備の前提となっていることを示す記載はない。 ウ ①平成6年6月の「広報μ」で,同年5月12日にβ駅西口地区まちづ くり委員会がβ市長に提出した具申書の内容として,η都市モノレールの 駅が地図上に記載され,「η都市モノレールが構想路線として位置づけられていることから,幅員の確保が必要である。」との記載があること(甲253の7),②平成11年3月30日のβ駅西口地区まちづくり委員会で,事務局から「商店街の話でございますが,JRのβ駅もございますが,モノレールのβ駅も予定されていますので,必ずしも具申書に書かれてい るそのもの全部が商店街というわけではございませんが,その地域は将来発展させていくべき場所であると考えております。」と発言していたこと(甲253の6),③平成28年6月10日のβ市議会定例会で,β市長が「都市計画道路3・4・12号線は,昭和36年に当初の都市計画決定がされたもので,平成10年の都市計画変更については,ι市からθ町を 結ぶ東北方向の広域幹線道路の整備として,また,昭和56年に東京都が『η都市モノレール基本計画調査』を実施し,その調査の中で開発事業に併せて都市計画道路の拡幅変更の対応が必要である旨の結果がまとめられたことを踏まえ,モノレール導入空間の確保も視野に入れ,道路法や道路構造令に基づき,都市計画の変更を行ったものであります。」との答弁を していること(甲253の1・4~5頁)が認められるが,これらによっても,3・4・12号線及び7・5・1号線の整備がモノレールの延伸を前提とし,それ以外に整備目的を有していないものとは認められない。 エ以上によれば,本件道路都市計画がモノレールの延伸を前提としているとはいえないから,仮にη都市モノレールの延 モノレールの延伸を前提とし,それ以外に整備目的を有していないものとは認められない。 エ以上によれば,本件道路都市計画がモノレールの延伸を前提としているとはいえないから,仮にη都市モノレールの延伸計画が頓挫しているとし ても,3・4・12号線及び7・5・1号線の整備の必要性が消滅するとはいえない。 したがって,この点で本件道路都市計画に違法があるとはいえない。 ⑷ α都市計画道路3・4・13号線についてア本件道路都市計画において,3・4・13号線は,幅員16~20mの 道路として整備されることとされ(乙28),本件第2次変更後事業計画 においても同様である(甲2・設計図,変更対照図)。 原告らは,このような拡幅は,被告が名所旧跡をめぐる散策コースとして推奨する,β駅からνまでの「寺坂」の歴史的景観を破壊し,住環境を悪化させるものであると主張する。 イ β市教育委員会が平成10年に発行した「μ文化財ガイド」には,β駅 からνに至る3・4・13号線の一部について,「γ2丁目付近の新奥多摩街道から玉川上水に下る坂は,お寺坂と呼ばれ,途中『馬の水飲み場』と呼ばれる湧水があります。……現在のお寺坂は,自動車の通行に伴って,以前に比べ大分ゆるやかな坂になっています。馬の水飲み場は現在も湧水が見られ,当時の面影を残しています。」との記載があり(甲17・31 頁),平成15年頃の対象地内遺跡紹介マップにも「③寺坂(坂を下ったところにνがあることから,こう呼ばれた。坂の途中には,④馬の水飲み場と呼ばれる湧水がある。)」との記載がある(甲18)。 ウ原告らが,3・4・13号線に係る本件道路都市計画が具体的にどのような法令に違反すると主張しているのかは明らかでないが,上記各証拠に よっても,「寺坂 る。)」との記載がある(甲18)。 ウ原告らが,3・4・13号線に係る本件道路都市計画が具体的にどのような法令に違反すると主張しているのかは明らかでないが,上記各証拠に よっても,「寺坂」が江戸時代以前の景観を残しているというわけではなく,国,参加人又は被告から文化財としての指定を受けているというわけでもない(甲16)のであるから,「寺坂」に一定の歴史的価値があるとしても,都市計画道路として整備することが許されないとはいえない。 また,被告は,馬の水飲み場は移転させ,調査を行い復元していく予定 であり,そこに存在する石垣についても土質・構造を調査し復元する予定であるとしている(乙33)。 したがって,この点で本件道路都市計画に違法があるとはいえない。 ⑸ α都市計画道路3・4・15号線についてア本件道路都市計画において,3・4・15号線は,幅員16~27mの 道路として整備されることとされ(乙28),本件第2次変更後事業計画 においては,大部分が既に整備済みであるが,本件施行地区内の一部を幅員18~25mの道路として整備することとされている(甲2・4頁,設計図,変更対照図)。 原告らは,3・4・15号線は,すぐに新奥多摩街道(3・4・5号線)にぶつかり途切れており,地区内の利便性の向上につながらないと主 張する。 イしかし,3・4・15号線の新奥多摩街道までの区間についても,それを整備する必要がないとはいえず,整備すれば利便性の向上につながると認められる。 したがって,この点で本件道路都市計画に違法があるとはいえない。 ⑹ 以上によれば,本件道路都市計画に違法があるとはいえない。 4 本件事業計画決定と本件事業計画第2次変更決定の関係(争点⑶ア)について 件道路都市計画に違法があるとはいえない。 ⑹ 以上によれば,本件道路都市計画に違法があるとはいえない。 4 本件事業計画決定と本件事業計画第2次変更決定の関係(争点⑶ア)について本件事業計画第2次変更決定は,本件事業計画決定を変更したもの(より正確にいえば,本件事業計画第1次変更決定を再変更したもの)であるが,本件 事業計画決定とは別個の行政処分であるから,本件事業計画決定の違法を本件事業計画第2次変更決定の取消訴訟において争うことはできず,また,本件事業計画決定の違法が本件事業計画第2次変更決定に当然に承継されるということもできない。 しかし,本件事業計画第2次変更決定は,本件事業計画について,道路等の 公共施設の配置を見直し,これに伴う設計の概要及び資金計画の変更を決定したものであるところ(前記前提事実⑸),かかる見直しの影響が及ぶ事項で本件事業計画決定での決定内容が維持されたものについては,本件事業計画第2次変更決定においてもこれを是認する旨の決定がされたものと解されるから,かかる事項に含まれる決定の内容の違法は,それが本件事業計画決定当初から 存在していたものであっても,本件事業計画第2次変更決定自体の違法として その取消訴訟において争い得ると解するのが相当である。 5 本件事業計画第2次変更決定の土地区画整理法2条1項違反の有無(争点⑶イ)について⑴ 事業計画変更決定による変更後の事業計画も,土地区画整理法2条1項所定の事業目的に沿ったものでなければならず,当初事業計画決定時点におい ては同項の要件を満たしていた土地区画整理事業であっても,事業計画の変更によって同項の要件を満たさなくなった場合や,事業計画変更決定時点の状況においては同項の要件を満たさない場合には,当該 い ては同項の要件を満たしていた土地区画整理事業であっても,事業計画の変更によって同項の要件を満たさなくなった場合や,事業計画変更決定時点の状況においては同項の要件を満たさない場合には,当該変更決定は同項違反により違法となるものと解される。そして,本件事業計画第2次変更決定における道路等の公共施設の配置の見直しは,本件事業の目的そのものに影響 を及ぼすものといえる。 したがって,本件事業計画決定が出訴期間の経過により争い得なくなった場合であっても,本件事業計画第2次変更決定の取消訴訟において本件第2次変更後事業計画の土地区画整理法2条1項違反を争い得るものと解するのが相当である。 ⑵ 本件事業計画第2次変更決定において,本件事業は,「美しく快適で住みよい活力に満ちたまち」を基本目標として,JR青梅線β駅を中心とした利便性の高い駅前市街地の再編を図るとともに,都市施設と自然が調和した市街地の再生を図ることを目的として計画するものであり,道路,交通広場,公園等の都市基盤整備を中心とした良好な居住環境の確保により,公共の福 祉の増進に資することを目的とするとされている(甲2・2頁)。なお,この目的は,本件事業計画,本件第1次変更後事業計画,本件第2次変更後事業計画を通じて変更されていない(甲1・2頁,乙9の1・2頁)。 このように,本件第2次変更後事業計画は,公共施設である道路及び公園等を整備し,良好な居住環境を確保することを目的としているから,主観的 に「公共施設の整備改善」及び「宅地の利用の増進」を目的としているもの と認められる。 ⑶ 原告らは,本件施行地区内の生活道路は既に整備されており,幹線道路を新設する必要性はなく,本件事業は客観的に「公共施設の整備改善」に資するものではな 的としているもの と認められる。 ⑶ 原告らは,本件施行地区内の生活道路は既に整備されており,幹線道路を新設する必要性はなく,本件事業は客観的に「公共施設の整備改善」に資するものではないなどと主張する。 しかし,前記3で判示したとおり,本件施行地区内の道路を整備する必要 性があり,本件事業によって本件施行地区内の道路は整備改善されるものといえるから,本件事業が,客観的に「公共施設の整備改善」に資するものとなっていないとは認められない。 ⑷ア原告らは,本件第2次変更後事業計画において,増進率(施行地区内の宅地の整理前単価に対する整理後予定単価の割合)は1.3と計算される が,これは恣意的に高く設定されているもので実態を反映したものではなく,これを根拠に本件事業が宅地の利用の増進に資するものであるとはいえないと主張する。 イ前記のとおり,本件事業計画第2次変更決定における道路等の公共施設の配置の見直しは,本件事業の目的そのものに影響を及ぼすものであるた め,変更後の事業も土地区画整理法2条1項に合致したものでなければならず,客観的に宅地の利用の増進に資するものでなければならないから,本件事業計画第2次変更決定によって増進率の値に変化があったか否かにかかわらず,原告らは,本件第2次変更後事業計画が客観的に宅地の利用の増進に資するものとなっているかを争い得るものと解され,増進率の値 が恣意的に設定されたことをその一事情として主張し得るものと解される。 ウ本件第2次変更後事業計画における「整理後1平方メートル当たり予定価格」(甲2・8頁)は,被告が本件事業における土地評価のために定めた土地評価基準(案)(甲31)に基づいて算定されたものと認められる(弁論の全趣旨)。 被告の本 メートル当たり予定価格」(甲2・8頁)は,被告が本件事業における土地評価のために定めた土地評価基準(案)(甲31)に基づいて算定されたものと認められる(弁論の全趣旨)。 被告の本件事業に係る土地評価基準(案)において,街路係数の計算に 当たり,幹線道路の指数tは1.9とされている(甲31・7頁)。 原告らは,被告がα都市計画事業ξ土地区画整理事業において定めた土地評価基準において幹線道路の指数tを1.2~1.3としていたこと(甲32・12頁)と比べても,本件事業における上記tの値は恣意的に高く設定されたものであると主張する。 t値は,市街地の街路網における当該街路の交通上の性格,系統性及び連続性等街路の等級を表す指数であり(甲31・7頁,乙5・174頁),社団法人日本土地区画整理協会が平成16年に公表した「土地区画整理事業実務標準」では,住宅地における幹線道路のt値は1.0~2.0とされているところ(乙5・175頁),被告が本件事業について設定した 1.9という数値が恣意的に高く設定されたものであると認めるに足りる証拠はない。 ξ土地区画整理事業は,昭和56年から平成12年にかけて施行された土地区画整理事業であるというのであり(弁論の全趣旨),そこで用いられたt値が1.2~1.3であったからといって,本件事業におけるt値 が恣意的に高く設定されたことを推認させるものとはいえない。 エ被告の本件事業に係る土地評価基準(案)において,接近係数の対象施設としてはJRβ駅のみが選択されている(甲31・8頁)。 しかし,原告らは他に選択すべきどのような公共施設等が本件施行地区内に存在するのか具体的に主張しておらず,上記選択が恣意的なものであ ると認めるに足りる証 されている(甲31・8頁)。 しかし,原告らは他に選択すべきどのような公共施設等が本件施行地区内に存在するのか具体的に主張しておらず,上記選択が恣意的なものであ ると認めるに足りる証拠はない。 オ被告の本件事業に係る土地評価基準(案)において,宅地係数の計算に当たり,第一種住居地域の整理後の指数uは1.60とされている(甲31・9頁)。 原告らは,横浜市が横浜国際港都建設事業π駅東口地区土地区画整理事 業において定めた土地評価基準(案)において商業地域の指数uが1.2 5~1.50とされていること(甲33・9頁)と比べても,上記u値は恣意的に高く設定されたものであると主張する。 u値は,地域的条件,土地利用の用途,ロット割による建築密度,商業ポテンシャル及び市街地形成熟度との関係で定まる宅地の一般的利用性の基本的等級であり(甲31・9頁,乙5・178頁),前記「土地区画整 理事業実務標準」では,「住宅地・工業地」におけるu値は,ロット割の程度と市街地形成の熟度に応じて0.8~2.0とされているところ(乙5・179頁),被告が本件事業について設定した1.60という数値が恣意的に高く設定されたものであると認めるに足りる証拠はない。 π駅東口地区土地区画整理事業は,本件事業とは全く状況を異にするも のであり,そこで用いられた商業地域のu値が1.25~1.50であったからといって,本件事業におけるu値の設定が恣意的に高く設定されたことを推認させるものとはいえない。 カ以上によれば,本件事業における増進率が恣意的に高く設定されたものとは認められず,この点から本件第2次変更後事業計画が客観的に「宅地 の利用の増進」に資するものでないことが推認されるとはいえない。 ⑸ 原 本件事業における増進率が恣意的に高く設定されたものとは認められず,この点から本件第2次変更後事業計画が客観的に「宅地 の利用の増進」に資するものでないことが推認されるとはいえない。 ⑸ 原告らは,本件事業により,奥まった静かな通りに面していた土地が突然6m幅の道路に面するようになると,静謐さが失われ,危険が増大し,宅地としての土地利用価値は増大するどころかむしろ減少するのであり,本件事業は客観的に「宅地の利用の増進」に資するものではないなどと主張する。 しかし,本件施行地区内の主要道路は,中央を南北方向に走る3・4・5号線(幅員約16m)が整備済みであるほかは,都道163号線(幅員約8m)及び都道167号線(幅員約8m)の2路線があるのみで,その他は,大半が幅員約4.0m未満の狭隘な道路であるところ(甲2・2頁,乙1),本件第2次変更後事業計画は,交通広場へのアクセスと居住環境の確保に重 点を置き,適切な交通分担が図れるように,3・4・12号線(幅員約24 ~40m),3・4・13号線(幅員約16~20m),3・4・15号線(幅員約18~25m)という3本の幹線道路,7・5・1号線(幅員約15m)という主要区画道路,住区内幅員8~10m,その他は幅員約6mの区画道路,幅員4mの特殊道路という段階構成をとって整備するものであるから(甲2・4~5,9~13頁),これらの道路の整備がなされることが, 客観的に「宅地の利用の増進」に資するものとなっていないとは認められない。 ⑹ 以上によれば,本件事業計画第2次変更決定に土地区画整理法2条1項違反の違法があるとはいえない。 6 本件事業計画第2次変更決定の都市計画法16条違反の有無(争点⑶ウ)に ついて⑴ 原告らは,本件事業計画決定までの手続 変更決定に土地区画整理法2条1項違反の違法があるとはいえない。 6 本件事業計画第2次変更決定の都市計画法16条違反の有無(争点⑶ウ)に ついて⑴ 原告らは,本件事業計画決定までの手続について都市計画法16条違反を主張するが,本件事業計画決定の手続に関する違法は,本件事業計画決定について出訴期間を経過して争い得なくなっている以上,本件事業計画第2次変更決定の取消訴訟において争うことはできないと解するのが相当である。 ⑵ア原告らは,本件事業計画第2次変更決定までの手続においても,都市計画法16条の精神を無視した違法があると主張する。 イ β市長は,本件事業計画第2次変更決定をするに当たり,平成25年11月5日から同月18日までの2週間,土地区画整理法55条13項,1項,土地区画整理法施行令3条に基づき,事業計画変更案を公衆の縦覧に 供し,同法55条13項,2項に基づき,539名から東京都知事に対し912通の意見書が提出された(甲8の1・2,甲206)。 東京都知事は,土地区画整理法55条13項,3項に基づき,これらの意見書を東京都都市計画審議会に付議し,同審議会は,平成26年11月18日,意見書をいずれも採択すべきでないと議決した(甲206)。 被告は,土地区画整理法55条12項に基づき,東京都知事に設計の概 要の変更の認可申請をし,東京都知事は,平成26年12月15日,その認可をした(甲2)。 被告は,平成26年12月17日,本件事業計画第2次変更決定をし,β市長は,同日,土地区画整理法55条13項,9項に基づき,これを公告した(甲2)。 ウ以上によれば,本件事業計画第2次変更決定は土地区画整理法の定める手続に沿って決定されており,その手続に都市計画法16 地区画整理法55条13項,9項に基づき,これを公告した(甲2)。 ウ以上によれば,本件事業計画第2次変更決定は土地区画整理法の定める手続に沿って決定されており,その手続に都市計画法16条の趣旨に反する違法その他土地区画整理法及び都市計画法に違反する違法があるとは認められない。 7 本件事業計画第2次変更決定の土地区画整理法89条1項違反の有無(争点 ⑶エ)について⑴ 原告らは,本件事業計画第2次変更決定に伴う換地設計案には照応の原則の違反があるから,本件事業計画第2次変更決定は土地区画整理法89条1項に違反すると主張する。 しかし,具体的な換地先は換地処分(土地区画整理法103条1項)に よって,仮換地先は仮換地指定(同法98条)によって定まるものであり,いまだ仮換地指定もされていない段階においては,具体的な換地先が確定しているものではないから,換地先との関係において照応の原則を適用する前提を欠いているというべきである。 換地先が土地区画整理法89条1項の定める照応の原則に違反する場合に は,換地処分を対象とする抗告訴訟等において争い得ることも考慮すれば,土地区画整理事業に係る事業計画決定又はその変更決定が同項違反により違法となるのは,当該事業計画が必然的に照応の原則違反となる換地処分に直結するような,例外的な場合に限られると解するのが相当である。 ⑵ 本件第2次変更後事業計画は,換地方針については何ら定めていないので あるから(甲2),本件事業計画第2次変更決定が,必然的に照応の原則違 反となる換地処分に直結するものということはできず,被告が示している換地設計案に照応の原則違反があるか否かにかかわらず,本件事業計画第2次変更決定が土地区画整理法89条1項に違反するとはいえ 反となる換地処分に直結するものということはできず,被告が示している換地設計案に照応の原則違反があるか否かにかかわらず,本件事業計画第2次変更決定が土地区画整理法89条1項に違反するとはいえない。 ⑶ なお,原告らは,照応の原則違反と関連して,原告番号103の原告の宅地と隣地の宅地との境が本件施行地区の境界となっており,そのような本件 施行地区の設定は土地区画整理法54条,6条1項,土地区画整理法施行規則8条に違反すると主張する。 しかし,本件施行地区は,本件事業計画決定において設定され,本件事業計画第2次変更決定においても変更されておらず,同変更決定における道路等の公共施設の配置の見直しの影響が及ぶ事項であるとも解されないから, その違法は専ら本件事業計画決定の違法であって,本件事業計画第2次変更決定の取消訴訟において争うことはできないと解するのが相当である。 8 本件事業計画第2次変更決定の地方自治法2条14項等違反の有無(争点⑶オ)について⑴ 土地区画整理法施行規則10条1号違反について ア土地区画整理法54条,6条1項により,事業計画においては資金計画を定めなければならず,土地区画整理法施行規則7条により,資金計画は,資金計画書を作成し,収支予算を明らかにして定めなければならないこととされている。 そして,土地区画整理法54条,6条11項の委任に基づく土地区画整 理法施行規則10条は,資金計画に関する技術的基準として,「資金計画のうち収入予算においては,収入の確実であると認められる金額を収入金として計上しなければならない。」(1号),「資金計画のうち支出予算においては,適正かつ合理的な基準によりその経費を算定し,これを支出金として計上しなければならない。」(2号)と定めている。 収入金として計上しなければならない。」(1号),「資金計画のうち支出予算においては,適正かつ合理的な基準によりその経費を算定し,これを支出金として計上しなければならない。」(2号)と定めている。 本件事業計画第2次変更決定は,本件事業計画を資金計画においても変 更したものであるから,本件第2次変更後事業計画は,それ自体において土地区画整理法施行規則10条各号の技術的基準を充足しなければならず,また,同条各号違反が原告らにとって「自己の法律上の利益に関係のない違法」(行政事件訴訟法10条1項)であるともいえないから,原告らは,本件事業計画第2次変更決定の取消訴訟において,本件第2次変更後事業 計画の土地区画整理法施行規則10条1号,2号違反の有無を争い得ると解するのが相当である。 イ本件第2次変更後事業計画は,平成15年度から平成33年度までの19年間で合計370億円の収入予算を計上し,うち14億9720万円は国庫補助金を,6億7690万円は東京都補助金を,90億1250万円 は東京都交付金を,255億8040万円はβ市負担金を,2億3300万円は保留地処分金をもって充てることとされている(甲2・17,20~22頁)。 β市負担金は,平成26年12月17日の本件事業計画第2次変更決定時点で既に確定していた平成15年度から平成25年度までの合計額(平 成15年度から平成24年度までは決算額,平成25年度は予算額)が16億7758万3000円であり,平成26年度が5億3417万8000円,平成27年度が26億0715万円,平成28年度が49億2157万5000円,平成29年度が59億1402万5000円,平成30年度が52億5187万5000円,平成31年度が27億7197万5 度が26億0715万円,平成28年度が49億2157万5000円,平成29年度が59億1402万5000円,平成30年度が52億5187万5000円,平成31年度が27億7197万5 000円,平成32年度が12億7003万9000円,平成33年度が6億3200万円とされている(甲2・20~22頁)。 ウ被告の平成26年度の歳入総額は約219億2827万円,歳出総額は約213億1291万円であり(甲75,84,236),本件事業の特別会計に一般会計から繰り入れた金額は約2億5338万円であった(甲 85)。 被告の平成27年度の歳入総額は約228億1650万円,歳出総額は約220億5086万円であり(甲237),本件事業の特別会計に一般会計から繰り入れる金額は予算で約3億3586万円であった(甲86)。 被告の平成28年度の歳入総額は約238億7711万円,歳出総額は約232億7237万円であり(甲238),本件事業の特別会計に一般 会計から繰り入れる金額は予算で約5億4194万円であった(甲86)。 エ上記ウのとおり,被告は歳入総額が210~240億円程度の地方公共団体なのであるから,本件事業の特別会計への一般会計からの繰入れの実績に照らしても,平成27年度から平成31年度まで単年度当たり約26億円から約59億円ものβ市負担金を支出するという本件第2次変更後事 業計画の収入計画をそのままには実行できないことは明らかである。 被告自身,資金計画における平成27年度から平成33年度までの7年間の事業費は,残りの事業費を再配分したものであり,現実にこのような金額を支出する予定にないことを認めている(被告第4準備書面2頁)。 そうすると,本件第2次変更後事業計画の収入予算は,「収入の 間の事業費は,残りの事業費を再配分したものであり,現実にこのような金額を支出する予定にないことを認めている(被告第4準備書面2頁)。 そうすると,本件第2次変更後事業計画の収入予算は,「収入の確実で あると認められる金額」を計上したものとは認められない。 オ被告は,土地区画整理法施行規則10条1号にいう「収入の確実であると認められる金額」とは,客観的な判断によって,無理のない,見通しのある収入予算であればよく,制度上,変更決定を当然想定しており,本件第2次変更後事業計画の資金計画も,見直しを予定しているものであり, 違法ではないと主張する。 しかし,土地区画整理法施行規則10条1号にいう「収入の確実であると認められる金額」を「客観的な判断によって,無理のない,見通しのある収入予算」と解したとしても,本件第2次変更後事業計画の資金計画は,平成26年度から平成33年度までの8年間で約239億円(年当たり約 30億円)をβ市負担金からの収入で賄うという,およそ客観的な判断に 基づかず,無理のある,見通しのない収入予算を資金計画書に記載しているというほかないから,「客観的な判断によって,無理のない,見通しのある収入予算」を記載したものとは認められず,「収入の確実であると認められる金額」を計上したものとは認められない。 土地区画整理法6条1項は事業計画においては資金計画を定めなければ ならないとし,土地区画整理法施行規則10条1号は収入予算の確実性を要求しているのであるから,変更が予定されているからといって,資金計画に確実性のない予算を記載して構わないということにはならない。 被告は,平成26年12月17日の本件事業計画第2次変更決定から平成30年11月30日の本件口頭弁論終結日までの約4年 て,資金計画に確実性のない予算を記載して構わないということにはならない。 被告は,平成26年12月17日の本件事業計画第2次変更決定から平成30年11月30日の本件口頭弁論終結日までの約4年間,本件第2次 変更後事業計画の変更決定をしていないのであって,本件事業計画第2次変更決定の資金計画が,適切な資金計画を作成するまでの緊急的,暫定的なものであったとみることはできない。 カ以上によれば,本件事業計画第2次変更決定は,資金計画の内容につき施行者には広い裁量権があることを前提としても,資金計画の収入予算に おいて「収入の確実であると認められる金額」を収入金として計上したものということはできず,施行者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用し,土地区画整理法施行規則10条1号に違反するものであって違法である。 ⑵ 土地区画整理法施行規則10条2号違反について ア土地区画整理法施行規則10条2号は,支出予算は適正かつ合理的な基準によりその経費を算定し,これを支出金として計上しなければならない旨を定めている。 イ本件第2次変更後事業計画は,支出予算を本件第1次変更後事業計画の355億円から370億円に増加させている(甲2・19頁,乙9の1・ 19頁)。 本件第2次変更後事業計画は,建物移転費に230億0400万円の事業費を計上しており,これは総事業費370億円の約62%に当たる(甲2・18~19頁)。 原告らは,本件第2次変更後事業計画は,建物移転費用が過半を占め,土地区画整理の本来の目的である公共施設の整備と宅地の増強に十分な費 用を当てることができないなど非合理的なもので,適正かつ合理的な基準により経費が算定されているとはいえないといった趣旨の主張をする。 本来の目的である公共施設の整備と宅地の増強に十分な費 用を当てることができないなど非合理的なもので,適正かつ合理的な基準により経費が算定されているとはいえないといった趣旨の主張をする。 しかし,本件事業の目的に合理性があることは前記5で述べたとおりであり,建物の移転に多額の費用を要することも直ちに非合理的であるとはいえず,本件事業計画第2次変更決定がこの点において土地区画整理法施 行規則10条2号に違反するとはいえない。 ウ原告らは,被告のβ駅西口土地区画整理事業特別会計の平成26年度決算(甲85),平成27年度予算(甲86)及び平成28年度予算(甲86)をみても,平成26年度ないし平成28年度の収支決算は事業計画と大きくかけ離れており,かつ,事業費本体以上の支出を事務費等で支出し ており,このことは,本件第2次変更後事業計画における支出計画が適切かつ合理的な基準により算定されたものでないことを示しているといった趣旨の主張をする。 しかし,被告のβ駅西口土地区画整理事業特別会計で計上される収入及び支出は,本件事業計画において計上される収入及び支出に対応している わけではないから,特別会計における決算額が本件第2次変更後事業計画の年度別歳入歳費資金計画表の歳出額とかけ離れていたからといって,支出計画が適切かつ合理的な基準により算定されたものでないことを直ちに示すものとはいえない。 したがって,本件事業計画第2次変更決定がこの点で土地区画整理法施 行規則10条2号に違反するとはいえない。 エ原告らは,本件第2次変更後事業計画の平成15年度から平成33年度までの年度別収支計画(甲2・20~22頁)は,収入の根拠のない明らかに不可能な支出であり,結局「適正かつ合理的な基準によりその エ原告らは,本件第2次変更後事業計画の平成15年度から平成33年度までの年度別収支計画(甲2・20~22頁)は,収入の根拠のない明らかに不可能な支出であり,結局「適正かつ合理的な基準によりその経費を算定」していない資金計画であるといった趣旨の主張をする。 本件第2次変更後事業計画は,年度別歳入歳費資金計画表において,平 成27年度には38億8700万円,平成28年度には72億8800万円,平成29年度には87億4600万円,平成30年度には77億7400万円,平成31年度には41億3000万円,平成32年度には15億5381万円の支出を計画している(甲2・21~22頁)。 本件第2次変更後事業計画が総事業費を370億円と算定したことが適 切かつ合理的な基準によるものであったとしても,歳入総額が210~240億円程度の被告において,単年度で最大77億円以上もの支出を予定するという本件第2次変更後事業計画の支出計画は,前記のとおりの確実性のないβ市負担金を前提とした非現実的なものといわざるを得ず,適正かつ合理的な基準により算定されたものであるとは認められない。 被告自身,資金計画における平成27年度から平成33年度までの7年間の事業費は,残りの事業費を再配分したものであり,現実にこのような金額を支出する予定にないことを認めていることは先に説示したとおりである。 したがって,本件第2次変更後事業計画の支出予算は「適正かつ合理的 な基準によりその経費を算定」されていないものと認めるのが相当である。 これは,本件第2次変更後事業計画が,本件第1次変更後事業計画が定めた平成15年4月16日から平成34年3月31日までの19年間という事業施行期間(乙9の1)を変更しないまま(甲2・16頁),総事 これは,本件第2次変更後事業計画が,本件第1次変更後事業計画が定めた平成15年4月16日から平成34年3月31日までの19年間という事業施行期間(乙9の1)を変更しないまま(甲2・16頁),総事業費370億円から平成25年度までに支出済みの24億3601万200 0円(甲2・20~21頁)を差し引いた,今後支出すべき345億63 98万8000円を,平成26年度から平成33年度までの8年間に割り振ったことに起因するものであり,事業施行期間については今後見直しが予定されているとのことであるが,そうであるからといって,資金計画において不合理な支出金を計上して構わないということにはならない。 オしたがって,本件事業計画第2次変更決定は,資金計画の内容につき施 行者には広い裁量権があることを前提としても,資金計画の支出予算において「適正かつ合理的な基準によりその経費を算定」したものということはできず,施行者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用し,土地区画整理法施行規則10条2号に違反するものであって違法である。 ⑶ 地方自治法2条14項,地方財政法4条1項違反について ア地方自治法2条14項は,「地方公共団体は,その事務を処理するに当つては,住民の福祉の増進に努めるとともに,最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と定め,地方財政法4条1項は,「地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて,これを支出してはならない。」と定める。 地方公共団体である被告が施行者として土地区画整理事業の事業計画を決定するに当たってはこれらの条項に従わなければならず,変更決定による変更後の事業計画がこれらの条項の趣旨に沿っていないときは当該変更決定は違法とい る被告が施行者として土地区画整理事業の事業計画を決定するに当たってはこれらの条項に従わなければならず,変更決定による変更後の事業計画がこれらの条項の趣旨に沿っていないときは当該変更決定は違法というべきである。 イ本件第2次変更後事業計画は,前記のとおり,単年度で最大77億円以 上を支出するという支出計画になっており,これを文字通りにとらえるならば,被告の財政規模に比して過大な支出をするものであって,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反するものである。 これは,結局,本件第2次変更後事業計画の事業施行期間が適切に定められておらず,未支出の経費を適正かつ合理的な基準によらずに割り振っ たことに起因するものであり,事業施行期間については今後見直しが予定 されており,現実にこのような金額を支出する予定であるわけではないとのことであるが,そうであるからといって,資金計画において過大な支出を計上して構わないということにはならない。 ウしたがって,本件事業計画第2次変更決定は,資金計画の内容につき施行者には広い裁量権があることを前提としても,資金計画の支出計画にお いて過大な経費を計上するもので,施行者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用し,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨に反するものであって違法である。 エなお,原告らは,本件第2次変更後事業計画は,地方財政法4条の2に反するとも主張する。 地方財政法4条の2は,「地方公共団体は,予算を編成し,若しくは執行し,又は支出の増加若しくは収入の減少の原因となる行為をしようとする場合においては,当該年度のみならず,翌年度以降における財政の状況をも考慮して,その健全な運営をそこなうことがないようにしなければならない。」 の増加若しくは収入の減少の原因となる行為をしようとする場合においては,当該年度のみならず,翌年度以降における財政の状況をも考慮して,その健全な運営をそこなうことがないようにしなければならない。」と規定する。 事業計画変更決定は,直ちに支出の原因となる行為となるものではなく,具体的な支出の増加は,工事契約といった支出負担行為や個別の予算の編成によって初めて確定するものであるから,本件事業計画第2次変更決定が地方財政法4条の2にいう「支出の増加……の原因となる行為」に当たるということはできず,その資金計画に定められた支出予算が,単年度で 最大77億円以上を支出するという,被告の健全な運営を損なう程度に過大な支出を記載したものとなっているとしても,地方財政法4条の2に反するとはいえない。 ⑷ 土地区画整理法54条,6条9項違反についてア土地区画整理法54条,6条1項により,事業計画においては事業施行 期間を定めなければならず,同条9項により,事業施行期間は適切に定め なければならないとされている。 イ本件事業計画第2次変更決定は,本件事業計画を道路等の公共施設の配置を見直すという観点から一部変更したものであり,かかる見直しは事業施行期間に影響を及ぼすものと解されるから,事業施行期間が変更後の事業計画にとって適切に定められたものとなっていなければ,本件第2次変 更後事業計画は土地区画整理法6条9項違反により違法となる。 したがって,原告らは,本件事業計画第2次変更決定の取消訴訟において,本件第2次変更後事業計画の土地区画整理法6条9項違反の有無を争い得ると解するのが相当である。 ウ本件第2次変更後事業計画は,事業施行期間を平成15年4月16日か ら平成34年3月31日までとしてい 変更後事業計画の土地区画整理法6条9項違反の有無を争い得ると解するのが相当である。 ウ本件第2次変更後事業計画は,事業施行期間を平成15年4月16日か ら平成34年3月31日までとしている(甲2・16頁)。 本件第2次変更後事業計画は,総事業費を370億円としているところ,平成25年度までに支出済みの事業費は合計24億3601万2000円(6.6%)にすぎないから,平成34年3月31日までに事業を完成させるには,平成26年度から平成33年度までの8年間で345億639 8万8000円(年当たり約43億円)を支出しなければならないことになる。 歳入総額が210~240億円程度の被告において今後8年間でこのような支出をするという想定は,前記のとおりの確実性のないβ市負担金を前提とするものであって,その実現は到底不可能であり,このことは,本 件第2次変更後事業計画における事業施行期間が適切でないことを意味している。 エ被告が平成27年2月に作成した「平成26年度β駅西口地区移転実施計画作成業務報告書」によれば,基本工程で計算すれば平成105年度まで79年間の事業期間が必要であり,建物移転方法を見直し,関連工事を 集約化しても,平成56年度まで30年間の事業期間が必要であるとされ ている(甲252の5)。 オ(ア) β市長は,本件事業計画第2次変更決定前の平成25年12月5日,β市議会議員である原告番号109の原告の質問に対し,「今回の事業計画の変更では,平成15年度から平成33年度までの事業期間の見直し及び総事業費355億円の抜本的な見直しは行っておりません。」, 「ご指摘の事業完了年度については平成27年度を目途に計画の見直しを行い,お示ししていきたいと考えております。」「事業計画 見直し及び総事業費355億円の抜本的な見直しは行っておりません。」, 「ご指摘の事業完了年度については平成27年度を目途に計画の見直しを行い,お示ししていきたいと考えております。」「事業計画と事業の進捗状況に乖離が生じ,今後,事業期間と資金計画の見直しを行う必要があります。見直しの時期については,本年度策定する工事全体計画並びに建物等移転計画に基づき,平成27年度を目途に計画の見直しを 行っていく考えであります。」と答弁している(甲76の1)。 (イ) 本件事業計画第2次変更決定後の平成27年3月2日,β市長は,同原告の質問に対し,「現段階では,この事業計画に定められている事業費並びに事業期間の中で,最大限の事業の伸展を図っていく考えであります。なお,事業期間と事業計画については……今年度策定の移転実 施計画に基づき,平成27年度に見直しについて検討し,その結果を踏まえ,事業期間及び資金計画の変更手続きを進めていきたいと考えております。」と答弁し,β市都市整備部長は,同原告の質問に対し,移転実施計画に関し,「今後,移転手法については集団的な移転手法を考えたり,整備手法によって建物の移転計画については推進を図ってまいり たいというふうな考えでおりますので,単純に今言われるような計算で70年という数字にはならないというふうには思っております。」と答弁している(乙24)。 (ウ) β市長は,平成28年3月3日,同原告の質問に対し,移転実施計画については「30年間を最適な期間とした」とし,本件事業計画につ いては,「平成27年度から取り組んでいるハード事業の進捗を踏まえ つつ,事業期間や資金計画の精査を行い,その後,事業期間及び資金計画に関する事業計画の変更手続きを進めていく予定としており,この は,「平成27年度から取り組んでいるハード事業の進捗を踏まえ つつ,事業期間や資金計画の精査を行い,その後,事業期間及び資金計画に関する事業計画の変更手続きを進めていく予定としており,このことから平成28年度以降のなるべく早い時期に,資金計画等を明確にしてまいります。」と答弁している(甲81)。 (エ) β市長は,平成29年3月1日,同原告の質問に対し,「事業計画 の見直しに当たっては,これらを踏まえるとともに,事業の進捗状況並びに市の財政状況等を勘案し,平成27年度から30年間の延伸を想定し,現事業計画の平成33年度までの期間を平成56年度までとするなどの基本的な提案をしながら,国及び東京都と調整を進めてきたところであります。」,「現事業計画の『事業期間』及び『資金計画』が,現 在の『事業の進捗状況』並びにこれまでの『事業費の執行額』と乖離が生じていることから,期間延伸を行うもので,平成26年度策定の移転実施計画を基本に事業計画の変更を行おうとするものであります。」,「市が提案した平成56年度までの事業計画の延伸計画に対しては,国及び東京都は,目まぐるしく変わる社会経済情勢の中で,急速に進行す る少子高齢時代への対応など,様々な課題に的確に対応していく必要性を考慮した場合に,事業計画書における施行期間の延伸等は,おおむね10年を一定期間として設定することが望ましいとの考えが示されたものであります。その上で施行者として,既に取り組んでいるハード整備における移転工事の執行状況や財政状況等を勘案するとともに,実施計 画等の期間を踏まえた,3年から5年ごとの事業延伸期間を捉えて,その都度弾力的な見直しの検討が図れる『事業計画』の策定を視野に対応していく必要があると認識をしております。」,「社会経済情勢の 画等の期間を踏まえた,3年から5年ごとの事業延伸期間を捉えて,その都度弾力的な見直しの検討が図れる『事業計画』の策定を視野に対応していく必要があると認識をしております。」,「社会経済情勢の変動への対応や国及び東京都の補助制度等を見通した上で,おおむね10年を一定の期間として,実行性のある計画を立てるとともに,常に新たな 視点で見直しの検討をしていく必要があるものとして考えておりま す。」と答弁している(甲252の6)。 (オ) β市区画整理部長は,平成29年12月13日,「現在,平成34年3月ということで平成33年度までの事業計画になってございますけれども,この期間の中で当然,事業を終了させるのは難しいということになりますし,既に議会でもお話ししておりますように,工事着手まで の期間に少し執行額と計画額の乖離がありますので,これについてはしっかりと見直しを図っていくということで,平成33年度を目途に見直しを図っていくということでこれまでもご説明しているとおりでございます。」と答弁している(甲255添付資料5頁)。 カ上記オの各答弁からも,本件第2次変更後事業計画の事業施行期間は, 本件事業の進捗状況と乖離し,到底実現不可能なものとなっているのであり,本件第2次変更後事業計画の事業施行期間が適切に定められているとは認められず,本件事業計画第2次変更決定は,土地区画整理法6条9項に違反する違法なものといわざるを得ない。 事業施行期間については今後見直しが予定されているとのことであるが, そうであるからといって,事業計画に適切でない事業施行期間を記載して構わないということにはならない。 キしたがって,本件事業計画第2次変更決定は,事業施行期間の設定について施行者には一定程度の裁量権があ るからといって,事業計画に適切でない事業施行期間を記載して構わないということにはならない。 キしたがって,本件事業計画第2次変更決定は,事業施行期間の設定について施行者には一定程度の裁量権があることを前提としても,事業施行期間を適切に定めたものとはいえず,施行者に与えられた裁量権の範囲を逸 脱し又はこれを濫用し,土地区画整理法6条9項に違反するものであって違法である。 9 本件事業計画第2次変更決定の憲法13条,22条,29条違反の有無(争点⑶カ)について⑴ 原告らは,本件事業は,安全安心に歴史的な町並みの中で自ら住み慣れた 所有地等で暮らしたいと考えていた原告らの人格的権利(平穏生活権)を侵 害するとともに,不要不急の道路拡張のために,宅地を大きく削り取り,曳家を不可能にして旧来の住居にさえ住めなくすることで,原告らの自己決定権,居住の自由を侵害し,憲法13条,22条に違反すると主張する。 しかし,土地区画整理事業のため必要があるときは,施行地区内の宅地に居住する者が換地処分により旧来の住居からの移転を余儀なくされる事態が 生じ得るが,それは公共の福祉のためのやむを得ない制限であり,土地区画整理法による私権の制限自体が憲法13条,22条に違反するとはいえない。 そうである以上,事業計画決定が土地区画整理法やその関連法令に違反するときは,その法令違反の程度により,取り消され,無効とされ,又は事情判決として処分の違法を宣言されることとなるが,そのような違法な事業計 画決定であっても,単に法令違反であるにとどまり,憲法13条,22条に違反することとなるものではないと解するのが相当である。 原告らは憲法13条,22条違反をいうが,その実質は本件事業計画第2次変更決定の土地区画整理法2条1 あるにとどまり,憲法13条,22条に違反することとなるものではないと解するのが相当である。 原告らは憲法13条,22条違反をいうが,その実質は本件事業計画第2次変更決定の土地区画整理法2条1項違反をいうに帰するものであり,その主張に理由がないことは前記のとおりである。 ⑵ 原告らは,本件事業が42年もの長期間に及び,これにより生活権が回復不可能なほどに破壊されてしまうと予想されることや,従前地と仮換地の両方が使用できない中断期間が生じ,移転を余儀なくされる者がいることなどから,本件事業計画第2次変更決定が憲法13条,22条,29条に違反するといった趣旨の主張をする。 しかし,本件事業計画第2次変更決定は事業施行期間を平成15年4月16日から平成34年3月31日までの20年としており(甲2),42年の事業期間を前提としているとはいえない。 なお,土地区画整理事業に伴い施行地区内の宅地所有者等の私権が制限されることは公共の福祉のためのやむを得ない制限であるから,仮に長期の事 業施行期間により私権の制限が事業の公益性との均衡上受忍限度を超えるも のとなったとしても,それは事業施行期間が適切に定められていないという土地区画整理法6条9項違反であるにとどまり,事業計画決定が憲法13条,22条,29条に違反するとはいえない。 原告らは違憲をいうが,その実質は本件事業計画第2次変更決定の土地区画整理法6条9項違反をいうに帰するものであり,その主張に理由があるこ とは前記のとおりであるが,憲法13条,22条,29条違反があるとはいえない。 ⑶ なお,原告らは,本件施行地区内の素晴らしい街並みの中で生活する権利は憲法13条によって保障されているところ,本件事業はその街並みを破壊するものであり, 2条,29条違反があるとはいえない。 ⑶ なお,原告らは,本件施行地区内の素晴らしい街並みの中で生活する権利は憲法13条によって保障されているところ,本件事業はその街並みを破壊するものであり,憲法13条に違反するといった趣旨の主張もする。 一般に,良好な景観に近接する地域内に居住し,その恵沢を日常的に享受している者は,良好な景観が有する客観的な価値の侵害に対して密接な利害関係を有するものというべきであり,これらの者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益は,法律上保護に値するものと解されるが,ある行為が当該利益に対する違法な侵害に当たるといえるためには,少なくとも,侵害行為 の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くことが求められると解される(最高裁平成18年3月30日第一小法廷判決・民集60巻3号948頁参照)。 しかし,本件施行地区内の街並みが上記の法律上保護されるべき利益を構成するに至っていると認めるに足りる証拠はない。また,仮に本件施行地区 内に保護されるべき上記利益が存在するとしても,本件事業計画第2次変更決定が,侵害行為の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠いた行為により景観を破壊し,上記利益を侵害するとは認めるに足りない。 したがって,本件事業計画第2次変更決定が,原告らの本件施行地区内の 街並みの中で生活する権利を侵害するとはいえず,この点で憲法13条に違 反するとはいえない。 ⑷ また,原告らは,本件事業計画第2次変更決定は,本件施行地区内の土地所有者に対して「正当な補償」をせずに土地を収奪するものであり,憲法29条に違反するとも主張する。 しかし,施行地区内の宅地が換地され,換地先と不均衡が生じるときは清 ,本件施行地区内の土地所有者に対して「正当な補償」をせずに土地を収奪するものであり,憲法29条に違反するとも主張する。 しかし,施行地区内の宅地が換地され,換地先と不均衡が生じるときは清 算金が(土地区画整理法94条,104条8項),土地区画整理事業施行後の宅地価額総額が施行前の宅地価額総額を下回るときは減価補償金が(同法109条),それぞれ施行者から支払われるのであるから,仮に換地処分によって損失が生じたとしても,これらの制度によってその損失は塡補される筋合いであり,本件事業が憲法29条3項に反するとはいえないし,同条1 項,2項に反するともいえない。 施行者の定めた清算金の額に不服がある者は,換地処分の一部取消訴訟において清算金を定めた部分の取消しを求めることができると解されるから,清算金の額に関する不服は当該手続で争うのが相当であり,事業計画決定又はその変更決定の取消訴訟の中で争うことはできないと解するのが相当であ る。 したがって,原告らの上記主張は採用できない。 10 結論⑴ 以上によれば,本件事業計画第2次変更決定は,資金計画及び事業施行期間の点において土地区画整理法54条,6条9項,11項,土地区画整理法 施行規則10条1号,2号に反し,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨にも反して違法であるから,取消しを免れない。 ⑵ 本件施行地区内には約2万5000筆の宅地と900棟余りの移転対象建物が存在するが,平成27年8月までの時点で仮換地指定が6回(対象宅地19筆,移転家屋12棟)行われたにとどまっており,その後も顕著な事業 の進展は認められず(弁論の全趣旨),本件事業計画第2次変更決定を取り 消すことが公共の福祉に適合しないと認めるに足りる証拠はないから 棟)行われたにとどまっており、その後も顕著な事業の進展は認められず(弁論の全趣旨)、本件事業計画第2次変更決定を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるに足りる証拠はないから、事情判決の制度(行政事件訴訟法31条1項)を適用すべきものとは認められない。 よって、原告適格の認められない原告らの訴えは不適法であるから却下し、その余の原告らの請求は理由があるから認容することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官古田孝夫 裁判官西村康夫 裁判官味元厚二郎

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