昭和40(う)117 窃盗森林窃盗被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和40年6月28日 福岡高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件各控訴を棄却する。          理    由  本件各控訴の趣意は、弁護人石橋重太郎提出の控訴趣意書記載のとおりであるか ら引用し、これに対し当裁判所はつぎのとおり判

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判決文本文2,588 文字)

主文 本件各控訴を棄却する。 理由 本件各控訴の趣意は、弁護人石橋重太郎提出の控訴趣意書記載のとおりであるから引用し、これに対し当裁判所はつぎのとおり判断する。 一、 論旨第一点(法令の解釈適用の誤りの主張)について、<要旨>森林法第一九七条にいわゆる「森林において」とは、当該森林産物の生育していたその森林を指称し、犯罪</要旨>場所がその森林内であるかは客観的に、同法第二条第一項所定の森林に属するかどうかによつて定むべく、窃盗の目的たる森林産物は当該森林またはこれと同一森林と目しうる森林に生育した産物を指し、したがつて森林内に集積された森林産物であつても、他の森林から搬入されたもののごときは、「その森林」の産物に該当せず、その窃盗はいわゆる森林窃盗にはあたらないと解するのが相当であるけだし、同法第一九七条が「森林においてその産物」と定め、同法第二条第一項第一号が「木竹が集団して生育している土地およびその土地の上にある立木竹」と規定しているから、その産物とは、文理上ある森林における当該森林の産物と解すべきであり、さらに森林窃盗罪は普通窃盗罪に比し、法定刑が著しく軽減されている所以は、前者は犯罪の目的たる森林産物の所在の場所態様の特異性から、当該産物に対する権利者の支配力並びに犯人の悪性ないし反社会性が、後者に比してはるかに薄弱であると認められるからであると解せられる。ゆえに、当該森林内に他の森林の産物を搬入した場合のその産物に対する権利者の支配力は、通常の森林産物に対するそれよりも概して特別強度に働くものというべく、不法領得の意思をもつてするその所持ないし支配の侵害は、権利者の他の一般の物に対するそれの侵害と毫も択ぶところはないから、これを目して森林窃盗というは当らず、普通窃盗罪を構成す 働くものというべく、不法領得の意思をもつてするその所持ないし支配の侵害は、権利者の他の一般の物に対するそれの侵害と毫も択ぶところはないから、これを目して森林窃盗というは当らず、普通窃盗罪を構成するというべきである。 これを本件についてみると、所論原判決添付犯罪表第一の1567911121415171820ないし2427の各事実は、原判決の引用する検証調書および同調書に関する証人尋問調書によれば、原判示のとおりその犯罪場所は森林でないかまたは森林内の犯行であつても犯罪の目的物件が他の森林から搬入された素材であることを認めることができるから、右各事実は森林窃盗に該当せず、普通窃盗罪を構成することが明らかであり、これと同旨の判断をした原判決に、所論のような法律の解釈適用の誤り等の違法はない。所論は独自の見解を前提とし、原判決を非難するもので採用しえない。論旨は理由がない。 二、 論旨第二点(審理不尽による事実誤認の主張)についてしかし、犯罪の日時場所は、犯罪の構成要件たる事実ではなく、訴因を特定しうる程度に記載されておれば足り、また被害物件の数量が真実と多少相違していたとしても、その最少限が認定されている以上被告人に不利益をもたらすことはないから、これを目して不法不当に事実の認定をしたものとは断じえない。そこで論旨に指摘するところを検討する。 (一) 所論(二)の(イ)の原審認定の原判決添付犯罪表第二16の事実は、犯行時期並びに被害物件の数量は、A名義の被害届の記載と、原審証人たる同人に対する尋問調書の記載とは異なるけれども、原審第一七回検証調書中、被告人Bの検証現場(2)における指示説明は、立会人Aの指示説明と合致しており、原判決挙示の関係証拠によれば、被告人Bは共謀の上、原判示の場所で、A所有の松坑木を、少なくとも三〇本窃取した 調書中、被告人Bの検証現場(2)における指示説明は、立会人Aの指示説明と合致しており、原判決挙示の関係証拠によれば、被告人Bは共謀の上、原判示の場所で、A所有の松坑木を、少なくとも三〇本窃取したことを認めることができ、その犯行時が、仮りに原判示の九月一〇日でなくて四月末頃か五月初頃であつたとしても、その相違は本件窃盗訴因の特定になんら消長を及ぼすものとはいえない。 (二) 同(二)の(ロ)(ハ)について。原判決添付犯罪表第一の2123の各事実は、原判決の挙示する関係証拠により優にこれを認めることができ、原判決には審理不尽の結果事実を誤認したような違法は在しない。 (三) 同(二)の(ハ)について。原判決添付犯罪表第一の9の事実は、原判決の挙示する関係証拠中、原審証人Cに対する尋問調書によれば、同挙示の同人名義の被害届は、同人が作成提出したものでないことが認められるけれども、同調書および原審第二二回検証調書により、原判決認定の同事実を認めることができる。 要するに、所論は原判決が適法に判断した証拠の証明力を争い、事実の認定を非難するに帰し採用することができない。各論旨は理由がない。 三、 論旨第三点(量刑不当の主張)について本件は、被告人らが二名ないし四名共謀(単独犯は被告人Bの二件のみ)の上、昭和三二年八月頃から同三八年四月中頃までの長期にわたり、前後約六〇回に及び、深夜トラツクを使用して山林内または道路傍等に積載されていた他人所有の杉檜または坑木等の素材を、窃取または立木を盗伐搬出し、木材商等に売却していたもので、その犯罪手口は極めて大胆大規模であり、かつその被害金額も多額に上ること、ことに被告人B・D・Eはいずれも多数回にわたる前科を有し、それぞれ本件と同種の犯罪により処罰を受けたものであることのほか、記録に現われている本 大胆大規模であり、かつその被害金額も多額に上ること、ことに被告人B・D・Eはいずれも多数回にわたる前科を有し、それぞれ本件と同種の犯罪により処罰を受けたものであることのほか、記録に現われている本件各犯罪の動機態様、被告人らの性格年令経歴、犯罪後の情状等を綜合考量すれば、所論の点を参酌しても、被告人らに対する原判決の量刑は相当と認められ、所論のように重すぎるものとは認めがたい。論旨は理由がない。 よつて、刑事訴訟法第三九六条に則つて本件各控訴を棄却すべきものとし、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官柳原幸雄裁判官中倉貞重裁判官至勢忠一)

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