【DRY-RUN】主 文 本件各上告を棄却する。 理 由 被告人A弁護人小池義一及被告人A並被告人B弁護人小池義一、同笹原寿生の上 告趣意は末尾に添附した別紙書面の通りである。
主文本件各上告を棄却する。 理由被告人A弁護人小池義一及被告人A並被告人B弁護人小池義一、同笹原寿生の上告趣意は末尾に添附した別紙書面の通りである。 被告人A弁護人小池義一の上告趣意第一点について。 しかし窃盗の共犯者と意思連絡のもとに見張をした場合は窃盗の共同正犯と断ずべきものであるということは、大審院数次の判例の示すところであつて、今これを改めなければならない理由は認めえられない、原判決において証拠として挙示した被告人に対する予審第一回訊問調書及Cに対する予審第一回訊問調書によれば、被告人は本件犯行についてD、Cと相談をした上で自らは見張をした事実を認め得るのであり、原判決は右事実を認定して刑法第六十条を適用したものであるから所論の如き法律の解釈適用を誤つたものではなく論旨は理由がない。 同第二点について。 原判決は挙示の証拠により被告人はF、G某と意思連絡の下に何れも被害者方の屋内に侵入して金品を強奪した事実を認定したのであつて、被告人はG某の為ヒ首で脅迫され已むを得ず本件犯行の現場近くに立つていたに過ぎないという被告人の原審公判廷の供述並に右被告人の供述に照応する原審証人Fの証言は原審の措信しなかつたものであることは明かである。しかのみならず被告人の原審公判廷における供述によれば、G某の為ヒ首で脅迫されたので犯行の現場近くに待つていたのであつて、強盗の見張をしたのではないと犯行を否認しており、被告人の弁護人もまた被告人は本件犯行には関与しないという事実を立証する為第一審相被告人Fを証人として喚問ありたしと述べていることも記録上明白であつて、G某の為ヒ首で脅迫され其危難を避ける為巳むを得ず見張をしたのであるから犯罪の成立を阻却する- 1 -とか、刑の減免の事由があるとかの主張 人として喚問ありたしと述べていることも記録上明白であつて、G某の為ヒ首で脅迫され其危難を避ける為巳むを得ず見張をしたのであるから犯罪の成立を阻却する- 1 -とか、刑の減免の事由があるとかの主張をした形跡は無い、従つて原審において此点について刑事訴訟法第三百六十条第二項の判断を示す必要のない事は明かであつて同条第二項の判断を示さない違法があるとの論旨は理由なきものである。 被告人Aの上告趣意について。 論旨は結局原審の事実誤認を主張することに帰着するが、かかる主張は日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第十三条第二項により適法の上告理由とならないから論旨は採用し難いものである。 被告人B弁護人小池義一、笹原寿生の上告趣意第一点について。 按ずるに論旨は原判決において本件犯行に関する共謀事実を認定するについて、重大なる誤認あることを疑うに足る顕著な理があり且常則に違背して証拠を採用したか、或は虚無の証拠によつて共謀事実を認定したかの違法があるというのであるが、原判決に証拠として挙示した第一審第一回公判調書によれば、被告人は第一審の公判廷において裁判長から予審終結決定書第一の(一)の記載事実を読聞けられたのに対し、其通り相違なき旨を述べているので、被告人は第一審相被告人等と意思連絡のもとに被害者方で本件犯行を実行したことはあきらかであり、又原判決の証拠として引用する第一審相被告人H、同I、同J等に対する予審第一回訊問調書によるも判示事実を認定し得るものであるから、原判決の事実認定は虚無の証拠によつたものでなく、又何等経験則に違背した形跡は認め難い、いやしくも他人の財物を奪取する意思連絡の下にその目的を達するために或者は財物の奪取行為を担当し、他の者は被害者に暴行又は脅迫を加えた場合に、その全員について強盗罪の共同共 違背した形跡は認め難い、いやしくも他人の財物を奪取する意思連絡の下にその目的を達するために或者は財物の奪取行為を担当し、他の者は被害者に暴行又は脅迫を加えた場合に、その全員について強盗罪の共同共犯が成立することは多く論ずるまでもないことである。本件において、原判決の挙示する証拠によれば少くとも被告人は他の共犯者との意思連絡の下に、他の共犯者が屋内に侵入して財物を奪取しつつある現場において、被告人は見張行為を担当している際、屋外に出てきた家人に暴行を加えて傷害したという原判示の事実を- 2 -認定し得られるのであるから、被告人の行為は強盗罪の共同正犯であること明かである、要するに論旨は原審の事実認定を非難することに帰するので採用し難いものである。 同第二点について。 しかし原判決挙示の証拠によれば、本件犯行について第一審相被告人等と被告人との間に共謀の事実ありと認め得ることは、第一点において説明した通りである。 論旨は何日何処で誰々との間に如何なる通謀をしたかの事実理由を判決に明示となければならないというのであるが、共謀の日時場所は必ずしも判決に明示する必要はなく誰々の間に本件犯行の共謀があつたかは判文自体により明かであり且第一審相被告人等と被告人との間に主従関係があるとか、対等関係でないとかの事実は、原審では認めないのであるからことさらに対等関係で共謀した旨を説示しなくとも所論の如き違法はない、論旨は独自の見解に基き原判決の理由不備を主張するのであつて採用に値しない。 同第三点について。 しかし原判決挙示の証拠により、被告人と第一審相被告人との間に本件犯行について意思連絡があり、しかも相被告人等と被告人との間に主従関係とか、不平等関係があつたということは原審で認めないのであるから所論の如き主犯とかの区別は認められないのである。 告人との間に本件犯行について意思連絡があり、しかも相被告人等と被告人との間に主従関係とか、不平等関係があつたということは原審で認めないのであるから所論の如き主犯とかの区別は認められないのである。被告人は直接財物窃盗行為をなさずただ見張をしただけであるから幇助罪として断ずべきものだと主張するのであるが、原審においては本件共犯者間には強盗についての意思連絡ありと認定したものであり、強盗についての意思連絡の下に見張をしたものは共同正犯として処罰し得べきことは大審院判例の示すところであつて、今これを改める必要なしとの見解に基き強盗の見張をした被告人を強盗の共同正犯と断じたことを窺い知ることができるのであるから、所論の如き刑法第六十条の解釈を誤つたものではない。従つて論旨は理由がない。 - 3 -同第四点について。 原判決において刑法第六十条を適用した旨を判文上明示しなかつたことは所論の通りである。しかし原判決は第一審相被告人等と被告人とは本件犯行について共謀したものと認定し、且其共謀に基いて被告人は見張をした事実を認定したのであり、意思連絡のもとに強盗の見張をしたのであるから、本件犯行の共同正犯であると断じたものである。従つて刑法第六十条を適用した旨を判文上明示しなくとも、同条を適用した趣旨であることはおのづから明白であるから、所論の如き違法はなく、論旨は理由がない。 よつて刑事訴訟法第四百四十六条により主文の通り判決する。 以上は裁判官全員一致の意見である。 検察官宮本増蔵関与昭和二十三年七月二十日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官井上登裁判官島保 裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官井上登裁判官島保裁判官河村又介裁判官庄野理一は退官につき署名捺印することができない。 裁判官長谷川太一郎- 4 -
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