【DRY-RUN】主 文 本件各控訴を棄却する。 当審の訴訟費用中証人Aに支給した分は被告人Bの負担とし、証人Cに 支給した分は被告人B、同D、同E、同F、同Gの連帯負担とし、証人H、同I、
主文 本件各控訴を棄却する。 当審の訴訟費用中証人Aに支給した分は被告人Bの負担とし、証人Cに支給した分は被告人B、同D、同E、同F、同Gの連帯負担とし、証人H、同I、同J、同Kを除くその余の証人に支給した分は被告人B、同D、同E、同L、同M、同F、同Gの連帯負担とする。 理由 本件各控訴の趣意は、東京地方検察庁検察官検事正代理田中万一作成名義、及び弁護人関原勇、同大塚一男、同林百郎、同青柳盛雄、同牧野芳夫共同作成名義(二通)、並びに被告人D同E、同L、同M、同F、同G各作成名義の各控訴趣意書記載のとおりであつて、検祭官の控訴趣意に対する答弁は、弁護人関原勇、同大塚一男、同林百郎、同青柳盛雄、同牧野芳夫共同作成名義、及び被告人D、同E、同N、同L、同O、同G各作成名義の各答弁書記載のとおりであるから、これらをここに引用し、これに対して次のとおり判断する。 検察官の控訴趣意第二点について。 (一) 原判決が、その理由中第一犯罪事実(十一)において、「右P巡査に引き続き正門大扉裏の警備位置から正門前に飛出した国家地方警察埴科地区警察署巡査Qは、命令によりP巡査救出の為正門前南北道路を前記a方角電柱から南へ約十八米の道路上中央迄南下したが、四五名の自労の組合員等に妨げられこれと争う中頭部を殴打され昏倒するや、被告人Bはその傍に駈けつけ同巡査の耳の辺から肩のあたりを軍靴のままで数回蹴飛ばし、因てその公務の執行を妨害したものである。」との事実を認定判示し、これに対して刑法第九十五条第一項を適用していることは、所論のとおりである。しかるに、所論は、刑法第九十五条の「公務員ノ職務ヲ執行スルニ当り」とは、公務員がその公務の執行中と同意義に解すべく、職務執行の終了時は、公務員の務職実行に直接なる行 ることは、所論のとおりである。しかるに、所論は、刑法第九十五条の「公務員ノ職務ヲ執行スルニ当り」とは、公務員がその公務の執行中と同意義に解すべく、職務執行の終了時は、公務員の務職実行に直接なる行為の終了した時であり、その行為の終了したことは、公務員の自由意思に基く場合たると、暴行により事実上公務員がその職務を執行することができなくなつた場合たるとを問わないものと解すべきところ、Q巡査は、a方角電柱から南へ約十八米の道路中央あたりにおいて、Rのため、その頭部を殴打され、昏倒して意識不明に陥り、既に、その公務を執行することができない状態にあつたものであつて、公務員の職務執行中といえない場合であるから、被告人が、たとえ原判示の如くこれを蹴飛ばす等の暴行を加えたとしても、刑法第二百八条の単純暴行罪にあたるのみで、同法第九十五条の公務執行妨害罪は成立しない。従つて、原判決が、被告人Bに対し、同法第二百八条を適用なることなく、同法第九十五条第一項を適用したのは、法令の適用を誤つたものであつて、その誤が判決に影響を及ぼすことが明らかである旨主張するにより、案ずるに、刑法第九十五条第一項の罪は、公務員がその職務を執行なるに当り、犯人において、該事実を知りながらこれに対してその職務執行の妨害となるべき暴行又は脅迫を加えることによつて成立<要旨>する犯罪であるから、公務員がその職務の執行中、その職務執行の妨害となるべき他人の暴行によつて昏倒す</要旨>るや、犯人において、右事実を知りながら、同公務員の職務執行を妨害する意図をもつて、直ちにその傍に駈けつけ、同公務員の身体の一部を軍靴のままで数回蹴飛ばしたような場合は、たとえ同公務員において最初の暴行により、一時的に事実上職務の執行ができないような状態にあつたとしても、右犯人の所為は、刑法第九十五条第一項 務員の身体の一部を軍靴のままで数回蹴飛ばしたような場合は、たとえ同公務員において最初の暴行により、一時的に事実上職務の執行ができないような状態にあつたとしても、右犯人の所為は、刑法第九十五条第一項にいわゆる公務員がその職務を執行なるに当りこれに対して暴行を加えた場合に該当なるものと解すべきところ、これを本件についてみるに、原判決挙示の関係証拠を総合するときは、原判示のように、Q巡査が、上司の命令により、同僚P巡査の救出という職務を執行するに当り、これを妨害しようとする自労の組合員らのため、頭部を殴打されて昏倒するや、被告人Bは、以上の事実を知りながら、同巡査の右職務執行を妨害する意図をもつて、直ちに同巡査の傍に駈けつけ、同巡査の耳の辺から肩のあたりを軍靴のままで数回蹴飛ばすという暴行を加えたものである事実が認め得られるのであるから、同被告人の右所為は、正に刑法第九十五条第一項所定の公務員がその職務を執行するに当りこれに対して暴行を加えた場合に該当するものと認めるのが相当であるというべく、従つて、原判決が、同被告人に対し、右法条を適用したことは正当であつて、原判決には、この点につき所論のような判決に影響を及ぼすことの明らかな法令適用の誤があるものということはできない。この点の所論は採用できない。 (二) 原判決が、被告人BのQ巡査に対する公務執行妨害行為に対し、刑法第九十五条第一項だけを適用し、同法第六十条を適用していないことは、所論のとおりである。しかるに、所論は、原判決が同被告人に対し、刑法第九十五条を適用した所以は、同被告人が、Rと共同して、Q巡査に対し暴行を加えたものと認定したことによるものと解するの他なく、かかる認定に立つて刑法第九十五条を適用したものならば、当然同法第六十条をも適用すべきであるのに、原判決がこれを適用しな して、Q巡査に対し暴行を加えたものと認定したことによるものと解するの他なく、かかる認定に立つて刑法第九十五条を適用したものならば、当然同法第六十条をも適用すべきであるのに、原判決がこれを適用しなかつたのは、適用すべき法令を適用しなかつた違法がある旨主張するのであるが、しかし、原判決書の記載に徴なるときは、原判決は、この点につき被告人Bが所論Rと共同して又は共謀してQ巡査に対し暴行を加えた旨は判示しておらず、かえつて、同被告人単独の犯行として暴行を加えた趣旨の事実を認定したものと判文上解し得られるのであるから、原判決が、これに対し刑法第六十条を適用しなかつたことは当然であつて、原判決には、この点につき所論のような適用すべき法令を適用しなかつた違法があるものということはできない。この点の所論も採用できない。 (三) なお、所論は、原判決が、被告人BはRと共同してQ巡査に対しその公務の執行を妨害したものと認定した以上同巡査が右の者らに暴行を加えられ、昭和二十六年一月二十日午前零時三十五分頃、長野市b町c番地S病院で、右傷害に因り生じた硬脳膜外血腫に因る脳実質圧迫に基く生命機能の喪失のため死亡するに至つた事実についても、当然刑法第二百五条を適用すべきであるのに、これを適用しなかつた原判決には、この点についても亦擬律錯誤の違法がある旨主張するのであるが、しかし、原判決においては、この点につき所論のような共犯の事実を認定したものでないことは、既に右(二)において説示したとおりであるから、この点の所論はその前提を欠き到底採用の限りでない。 (その他の判決理由は省略する。)(裁判長判事中西要一判事山田要治判事石井謹吾) 決理由は省略する。)(裁判長判事中西要一判事山田要治判事石井謹吾)
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