平成17(行ウ)140 非公開決定一部取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年6月29日 大阪地方裁判所 情報公開
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判決文本文40,320 文字)

- 1 -主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求大阪市教育委員会が平成15年8月1日付けで原告に対してした非公開決定(大市教委第▲号)のうち,校長の年齢を非公開とした部分を除く部分を取り消す。 第2事案の概要本件は原告が大阪市情報公開条例5条に基づき大阪市教育委員会以下市,,,(「」。),,教育委員会というに対して公文書の公開を請求したところ市教育委員会が平成15年8月1日付けで原告に対して別紙1公文書目録記載の公文書(併せて,以下「本件文書」という)につき,その全部を公開しない旨の決定(以下「本件。 処分」という)をしたのに対し,原告が,本件処分のうち,校長の年齢を非公開。 とした部分を除く部分の取消しを請求した抗告訴訟である。 大阪市情報公開条例(平成13年大阪市条例第3号。単に,以下「情報公開条例」という)の定め。 情報公開条例1条は,同条例は,地方自治の本旨にのっとり,公文書の公開を請求する権利を明らかにし,公文書の公開及び市政情報の提供等に関し必要な事項を定めることにより,大阪市の保有する情報の一層の公開を図り,もって同市の有するその諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにするとともに,市民の市政参加を推進し,市政に対する市民の理解と信頼の確保を図ることを目的とする旨規定する。同条例2条は,同条例において「実施機関」とは,市長,教育委員会,選挙管理委員会,人事委員会,監査委員,農業委員会,固定資産評価審査委員会,公営企業管理者及び消防長をいう旨規定する。 同条例5条は,何人も,同条例の定めるところにより,実施機関に対し,当該実施機関の保有する公文書の公開を請求することができる旨規定し,同条例7条柱書- 2 -は,実施機 び消防長をいう旨規定する。 同条例5条は,何人も,同条例の定めるところにより,実施機関に対し,当該実施機関の保有する公文書の公開を請求することができる旨規定し,同条例7条柱書- 2 -は,実施機関は,公開請求(同条例5条の規定による公開の請求をいう。同条例6条1項。以下同じ)があったときは,公開請求に係る公文書に同条例7条各号に。 掲げる情報(以下「非公開情報」という)のいずれかが記録されている場合を除。 き,公開請求者に対し,当該公文書を公開しなければならない旨規定する。 ,(。)同条1号は個人に関する情報事業を営む個人の当該事業に関する情報を除くであって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む)又は特定の個人を識別することはできな。 いが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの,ただし,同号ただし書アからウまでに掲げる情報を除くとし,同号ただし書アは,法令若しくは条例の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報を,同号ただし書イは,人の生命,身体,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報を,同号ただし書ウは,当該個人が公務員(国家公務員法(昭和22年法律第120号)2条1項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)2条に規定する地方公務員をいう。以下同じ)である場合において,当該情報がその職務の遂行に係る情。 報であるときは,当該情報のうち,当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分を掲げる。 情報公開条例7条5号は,被告の機関又は国若しくは他の地方公共団体が行う事務又は事業に関する 行に係る情。 報であるときは,当該情報のうち,当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分を掲げる。 情報公開条例7条5号は,被告の機関又は国若しくは他の地方公共団体が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,同号アからオまでに掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと規定し,同号エは,人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれを掲げる。 情報公開条例8条1項は,実施機関は,公開請求に係る公文書の一部に非公開情報が記録されている場合において,非公開情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは,公開請求者に対し,当該部分を除いた部分につき公- 3 -開しなければならず,ただし,当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは,この限りでない旨規定し,同条2項は,公開請求に係る公文書に前条1号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る)が記。 録されている場合において,当該情報のうち,氏名,生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより,公にしても,個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは,当該部分を除いた部分は,同号の情報に含まれないものとみなして,8条1項の規定を適用する旨規定する。 前提事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,掲記の証拠等によって容易に認定することができる(証拠番号は各枝番を含む。 。)( )教職員の評価・育成システムの概要等 ア本件文書は,いずれも,平成14年度に,市教育委員会において試験的に実施された教職員の評価・育成システム(以下「本件システム」という)に係る公。 文書である。 本件シス 育成システムの概要等 ア本件文書は,いずれも,平成14年度に,市教育委員会において試験的に実施された教職員の評価・育成システム(以下「本件システム」という)に係る公。 文書である。 本件システムの趣旨は,教職員が学校園や校(園)内各組織の目標達成に向けた,,,個人目標を主体的に設定し各々の役割に応じて同僚教職員と連携協力しながら目標の達成に積極的に取り組み,点検,評価,改善を行うことにより,教職員の意欲,資質能力の向上と教育活動をはじめとする様々な活動の充実,組織の活性化を一体的に図ることにあるとされ,試験的実施の目的は,①評価・育成システムをより効果的なものとするための改善点等を把握し,今後の検討の参考とすること,②試験的実施を通じて,教職員の活動内容の充実・改善や目標設定の契機にするとともに,教職員の意見を学校(園)運営等に反映することなどとされていた。 なお,同システムは,平成15年度に試行実施,平成16年度から本格実施されている。 (甲1,弁論の全趣旨)- 4 -イ平成14年度における校長についての本件システムにおける具体的手順(ア)校長(大阪市立学校長をいう。以下同じ)は,平成14年12月中旬以。 降,自己申告票<試験的実施>(単に,以下「自己申告票」という,を作成し,。)平成15年1月下旬,教育長に対して同票を提出する。その様式は,別紙2のとおりであり,その記載事項,記載要領及び具体的記載内容等は,後記( )アのとおり である。 (イ)面談者(市教育委員会事務局職員)は,自己申告票に基づいて校長との面談を行い,目標の内容及びその達成状況等につき,校長から具体的な説明を求め,意見交換を行う。その際,面談者は,面談後に教育長が当該校長について評価・育成シート<試験的実施>(単に,以下「評価・育成シー を行い,目標の内容及びその達成状況等につき,校長から具体的な説明を求め,意見交換を行う。その際,面談者は,面談後に教育長が当該校長について評価・育成シート<試験的実施>(単に,以下「評価・育成シート」という)を作成する。 際の参考とするために,教職員の評価・育成システム面談個票(校園長(単に,)以下「面談個票」という)を作成する。その様式は,別紙3のとおりであり,そ。 の記載事項,記載要領及び具体的記載内容等は,後記( )イのとおりである。 なお,本件システムが本格実施されている現在では,面談個票は作成されていない。 (ウ)教育長は,上記面談の後,自己申告票及び面談を参考に評価・育成シートを作成する。その様式は,別紙4のとおりであり,その記載事項,記載要領及び具体的記載内容等は,後記( )ウのとおりである。なお,平成14年度の校園長を除 く教職員についての本件システムの試験的実施においては,自己申告や面談を育成(。),システムとして実施するものとし校園長は育成者として育成シートを作成する校園長による評価はされないこととされ,また,平成14年度の試験的実施及び平成15年度の試行実施の結果が処遇等に反映することはないこととされていたが,校園長については,教育長による評価がされることとされていた(ただし,処遇等に反映することとされていたか否かは証拠上明らかでない。 。)(エ)校長のうち,開示を希望する者に対しては,教育長又は面談者から口頭で評価・育成シートの総合評価の開示を受けることができることとされていた。 - 5 -(甲1,5,6,乙4,弁論の全趣旨)( )本件文書の記載事項,記載要領,記載内容等 ア自己申告票(ア)本人等に関する部分記入月日,学校名,氏名,平成15年3月31日現在の年齢,校長在職年数及び現 6,乙4,弁論の全趣旨)( )本件文書の記載事項,記載要領,記載内容等 ア自己申告票(ア)本人等に関する部分記入月日,学校名,氏名,平成15年3月31日現在の年齢,校長在職年数及び現任校在職年数が記載されている。 (イ)目標に関する部分a目標設定区分学校の経営,学校組織の運営,人の管理・育成又は地域連携と渉外の4つの区分の中から,後記dの当該校長が設定した目標に対応する区分が記載されている。なお,上記各区分の具体例は,以下のとおりとされていた。 学校の経営:教育課程の編成,生徒指導の方針,進路指導の方針学校組織の運営:学校運営体制,危機管理,施設管理,事務管理人の管理・育成:人事配置,人材育成と人材活用,教職員の意識改革,服務管理地域連携と渉外:保護者・地域等との連携,外部との渉外業務b中期的な学校経営のビジョン年度当初に各学校において作成する「教育指導の計画」を参考にしながら,学校づくりに向けた中期的なビジョンを記入することとされていた。 c今年度の学校教育目標等上記「教育指導の計画」における「本年度の重点課題」等から抽出するなどにより,学校づくりに向けた今年度の目標等を記入することとされていた。 d目標平成14年度は,年度途中からの試験的実施であったことから,自己申告票記入時点で新たな目標が設定されるのではなく,既に年度当初から取り組んでいることの中から重要と思われることを目標として記入することとされていた。なお,抽象的な目標だけでなく,達成したい状況をできる限り具体的に記入することとされて- 6 -いた。 e実施計画目標を実現するための実施計画を記入することとされていた。なお,上記dと同様の理由により,年度当初に予定していた計画を記入することとされていた。 (ウ)目標の達成状況に関する部分a達 実施計画目標を実現するための実施計画を記入することとされていた。なお,上記dと同様の理由により,年度当初に予定していた計画を記入することとされていた。 (ウ)目標の達成状況に関する部分a達成状況校長において目標の達成状況を自己評価し,当初の計画どおりに取組みが進んでいる場合は「概ね目標を達成している」に,計画を上回っている場合は「目標を上回っている」に,計画どおり進んでいない場合は「目標に達していない」の選択肢にレ印のチェックがされている。 b具体的な達成状況目標の達成状況について,面談者との共通理解が深まるよう,具体的な状況を記入することとされていた。 c取り組みの状況目標達成に向けた当該校長本人の取組みであって,良かった点,改善すべき点,。 ,,今後の課題が記載されている結果が出なくても目標達成につながるような態度行動は,良かったものとして記入することとされていた。 (エ)今後に関する部分学校経営の充実に向けた自己の課題,次年度の学校経営の構想及び市教育委員会に対する意見を,いずれも当該校長の設定した目標に限定せずに記入することとされていた。 イ面談個票(ア)校長に関する部分,,,。 当該校長について学校コード区名学校名及び校長の氏名が記載されている(イ)目標の設定理由当該校長が自己申告票において設定した目標区分にレ印のチェックがされてお- 7 -り,さらに,その区分を選んだ理由について,面談者が面談時に聴き取った校長の考え方が記載されている。 (ウ)達成状況の判断理由当該校長が自己申告票において自己評価した目標の達成状況にレ印のチェックがされており,さらに,自己評価の理由について,面談者が面談時に聴き取った校長の考え方が記載されている。 (エ)目標達成に向けた取り組み目標の達成に向けた 己評価した目標の達成状況にレ印のチェックがされており,さらに,自己評価の理由について,面談者が面談時に聴き取った校長の考え方が記載されている。 (エ)目標達成に向けた取り組み目標の達成に向けた具体的な取組みの内容について,面談者が面談時に聴き取った当該校長の意見が記載されている。 (オ)自己の課題,次年度の構想当該校長の設定した目標に限定せず,面談者が面談時に聴き取った当該校長の自己の課題や次年度の構想について記載されている。 (カ)特記事項等上記の各事項以外の事項について,面談者が記入することとされていた。 (キ)面談者当該校長と面談を行い,面談個票を作成した市教育委員会事務局職員の氏名が記載されている。 ウ評価・育成シート(ア)本人に関する部分当該校長の氏名,学校名,平成15年3月31日現在の校長在職年数及び現任校在職年数が記載されている。 (イ)目標設定区分当該校長が設定した目標に対応する目標設定区分が記載されている。 (ウ)業績の評価に関する部分a目標の達成状況目標の達成状況を教育長が評価し「目標を上回っている「概ね目標を達成し,」,- 8 -ている「目標に達していない」の中から,該当する選択肢にレ印のチェックがさ」,れている。 b本人の意見目標の達成状況についての当該校長の自己評価にレ印のチェックがされている。 c特記事項生徒,保護者,教職員等の意見など,教育長が達成状況を判断するに当たって参考としたことが記載されている。 d業績の評価,所見当該校長の業績についての教育長の評価(S,A,B,C,Dの5段階評価)にレ印のチェックがされている。また,所見として,当該評価に係る教育長の意見が記載されている(特に,目標の達成状況について,当該校長と異なる判断,評価をした場合は,その理由を記 C,Dの5段階評価)にレ印のチェックがされている。また,所見として,当該評価に係る教育長の意見が記載されている(特に,目標の達成状況について,当該校長と異なる判断,評価をした場合は,その理由を記入することとされていた。 。)(エ)能力の評価に関する部分a能力評価の着眼点当該校長の能力についての経営的視点課題設定・解決組織運営人事管理・,,,,育成及び危機・安全管理の5つの項目に係る教育長の評価(十分満たしている,「」「満たしている「満たしていない」の3段階評価)にそれぞれレ印のチェックが」,されている。ただし,目標設定区分の範囲に限定されていたことから,すべての着眼点にチェックがされているとは限らない。 b特記事項生徒,保護者,教職員等の意見など,教育長が達成状況を判断するに当たって参考としたことが記載されている。 c能力の評価,所見当該校長の能力についての教育長の評価(S,A,B,C,Dの5段階評価)にレ印のチェックがされている。また,所見として,当該評価に係る教育長の意見が記載されている。 - 9 -(オ)次年度に向けた課題・今後の方針に関する部分評価結果及び自己申告票に記載されている学校経営の充実に向けた自己の課題,次年度の学校経営の構想,市教育委員会に対する意見を踏まえ,次年度の課題や今後の支援方針が記載されている。 (カ)総合評価に関する部分当該校長についての教育長の総合評価(S,A,B,C,Dの5段階評価)にレ印のチェックがされている。また,所見として,当該評価に係る教育長の特記事項が記載されている(特に,目標の達成状況について,本人と異なる判断,評価をした場合は,その理由を記入することとされていた。 。)(キ)評価者に関する部分評価・育成シートの記入月日,教育長の氏名が記載され ている(特に,目標の達成状況について,本人と異なる判断,評価をした場合は,その理由を記入することとされていた。 。)(キ)評価者に関する部分評価・育成シートの記入月日,教育長の氏名が記載されている。 (甲1,5,6,乙4,弁論の全趣旨)( )本件処分に至る経緯 ア原告が,平成15年7月18日,情報公開条例2条の実施機関である市教育委員会に対し「2002年度に実施した『教職員評価育成システム』の試験的実,施について,α内の市立小・中学校全校の学校長に対して大阪市教育長の責任で作成した『評価育成シート』の全員分「その『評価育成シート』の作成過程で,教」,職員課主査等の『校長への面談者』が作成した,各校長への評価のための全資料」及び「教職員課が行った全校長の5段階(S,A,B,C,D)評価の原案作成に」,(「」。),関する全資料について公開請求をしたところ以下本件公開請求という同委員会は,公開請求の対象を本件文書と特定した上で,同年8月1日付けで,原,()。 ,告に対しその全部を公開しない旨の決定本件処分をした本件処分において本件文書を公開しない理由は,情報公開条例7条1号及び5号に該当するからであるとされた。 イ原告は,平成15年8月18日,市教育委員会に対して,行政不服審査法6条1号に基づき,本件処分について異議申立てをした。同委員会は,平成17年6- 10 -月30日付で,大阪市情報公開審査会より本件処分が妥当である旨の答申を受け,同年8月9日付けで,上記答申を尊重して,原告の上記申立てを棄却した。上記答申の要旨は,以下のとおりである。 (ア)情報公開条例7条5号該当性a自己申告票について自己申告票のうち,目標に関する部分,目標の達成状況に関する部分及び今後に関する部分 てを棄却した。上記答申の要旨は,以下のとおりである。 (ア)情報公開条例7条5号該当性a自己申告票について自己申告票のうち,目標に関する部分,目標の達成状況に関する部分及び今後に関する部分に記録されている情報について検討するに,本件システムは年度の途中からの試験的実施によるものであり,このような作成時期,4つの目標設定区分から1つを選択させるという目標設定等に関する指示内容からすれば,各校長の学校運営の目標等を実際の重要度に応じ網羅的に記入して作成することを目指したものでないことは明らかであり,校長等の関係者が自己申告票の作成やこれを用いて行う面談等の事務について習熟することが大きな目的になっていたと認められる。このため,自己申告票を作成するに当たって,校長は便宜的に目標の設定を行うことも容認されていたと考えられる。また,自己申告票が,面談や評価・育成シート作成の基礎資料として作成されていたことからすると,校長の多くは,自己申告票が公開されることを予期していないものと考えられる。また,自己申告票のうち,上記各部分の記載は,その詳しさや内容の熟度,校長個人の思いや考えの記載内容などに相当大きな個人差があり,記入者である各校長の習熟度や様式等の検討が不十分と認められる点が多数認められた。 このような状況の下で,自己申告票に記載されている目標,実施計画,目標の達成状況,今後の課題や構想,市教育委員会に対する意見等に記載された情報について公開すると,今後新たに人事制度の大きな改変が行われる場合の当該制度の試験的実施など同種の事務の遂行に際して,必要な情報の把握が困難となり,また,問題点,改善点の抽出など当該同種の事務の目的を達成することができなくなるおそれがあることから,自己申告票のうち,上記各部分に記録されている情報は,情報公開条例 必要な情報の把握が困難となり,また,問題点,改善点の抽出など当該同種の事務の目的を達成することができなくなるおそれがあることから,自己申告票のうち,上記各部分に記録されている情報は,情報公開条例7条5号に該当すると認められる。 - 11 -b面談個票について面談個票のうち,目標の設定理由,達成状況の判断理由,目標達成に向けた取り組み,自己の課題,次年度の構想の部分に記録されている情報は,面談者が校長と面談した上で記載するものであり,教育長が評価・育成シートを作成する際の資料となるものであるところ,本件システムに係る手引書には,面談時におけるプライバシーの確保や率直な意見交換を図ることが明記されている。このような条件の下で行われた発言内容を公開した場合,校長との信頼関係が崩れ,次年度以降の面接が形骸化するなど,人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあることから,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるため,これらの情報は,情報公開条例7条5号に該当すると考えられる。 c評価・育成シートについて評価・育成シートのうち,目標設定区分,業績の評価に関する部分,能力の評価に関する部分,次年度に向けた課題・今後の方針に関する部分及び総合評価に関する部分に記録されている情報は,教育長が作成する校長の業績及び能力等に対する評価に関する事項であり,これを公開すると,人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあることから,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められ,これらの情報は,情報公開条例7条5号に該当すると考えられる。 (イ)情報公開条例7条1号該当性a自己申告票について自己申告票の本人等に関する部分に記録されている情報のう それがあると認められ,これらの情報は,情報公開条例7条5号に該当すると考えられる。 (イ)情報公開条例7条1号該当性a自己申告票について自己申告票の本人等に関する部分に記録されている情報のうち,記入月日は個人を識別することができる情報でなく,情報公開条例7条1号に該当しない。氏名,学校名は,同号本文に該当するものの,大阪市職員録等により公になっていることから,同号ただし書アに該当するものと認められる。 他方,平成15年3月31日現在の年齢,校長在職年数及び現任校在職年数は,- 12 -個人の経歴に関する識別情報であって,同号本文に該当し,かつ,同号ただし書のいずれにも該当しない。 b面談個票について面談個票の校長に関する部分に記録されている情報のうち,学校コード,区名は個人を識別することができる情報でなく,情報公開条例7条1号に該当しない。氏名,学校名は,上記のとおり,同号本文に該当するものの,同号ただし書アに該当する。また,面談者名も,同様に,同号本文に該当するものの,同号ただし書アに該当する。 c評価・育成シートについて( ) 評価・育成シートの本人に関する部分に記録されている情報のうち,氏名,a学校名は,上記のとおり,情報公開条例7条1号本文に該当するものの,同号ただし書アに該当する。他方,平成15年3月31日現在の校長在職年数及び現任校在職年数は,同号本文に該当し,かつ,同号ただし書のいずれにも該当しない。 ( ) 評価・育成シートの評価者に関する部分に記録されている情報のうち,記入b月日は,個人を識別することができる情報でなく,情報公開条例7条1号に該当し。 ,,,,ないまた評価者氏名は教育長の氏名であるから同号本文に該当するものの同号ただし書アに該当する。 (ウ) 結論 以上によれば,本件文書に記 報でなく,情報公開条例7条1号に該当し。 ,,,,ないまた評価者氏名は教育長の氏名であるから同号本文に該当するものの同号ただし書アに該当する。 (ウ) 結論 以上によれば,本件文書に記録されている上記の各非公開情報を区分して除いた部分に記録されている情報は,記入月日,学校名,氏名,学校コード,区名,面談者名,評価者氏名のみである。これらの情報は,職員録等で公になっている情報又は本件文書の作成に係る外形的な情報であって,有意な情報ではない。よって,情報公開条例8条1項ただし書により,本件文書の全部を非公開とした本件決定は妥当である。 (甲3,5,6)ウ原告は,平成17年8月26日,当庁に対し,本件訴えを提起した。 - 13 -(当裁判所に顕著な事実) 争点及び当事者の主張本件における争点は,本件文書に記録されている情報が,情報公開条例7条1号又は同条5号に該当するか否かであり,この点に関する当事者の主張は,以下のとおりである。 (被告の主張)( )情報公開条例7条1号該当性 ア自己申告票とは,被評価者(校園長)が自らの学校園における中長期的なビジョンや今年度の教育目標に基づき,評価期間を通じて,目標達成に向けた取り組みを行うことを目的とした帳票である。この帳票には,試験実施のため,あらかじめ決められた4つの目標設定区分の中から一つの目標設定区分を選択する形であった目標設定区分,その目標設定区分に関連した年度目標,その目標が達成された時の状況及びその目標達成に向けた具体的な実施計画等が記載され,被評価者は,設定した目標の達成状況について,年度末,自己申告票に上回っている,概ね達成,達していないの3段階での自己評価を行い,評価者との面談を行う際,事前にこれを提出する。 面談個票は,面談者が被評価者と面談を行う際に の達成状況について,年度末,自己申告票に上回っている,概ね達成,達していないの3段階での自己評価を行い,評価者との面談を行う際,事前にこれを提出する。 面談個票は,面談者が被評価者と面談を行う際にヒアリングすべき項目をあらかじめ整理した帳票であり,自己申告票に記載された内容について,校園長の意見を面談の場を通じて補完し,備忘録的に記録することで,評価・育成シートを作成する際の参考とする帳票である。 評価・育成シートは,自己申告票に記載された達成状況と,面談の内容等に基づき評価者が行った評価結果が記載されている帳票であり,試験実施のため,全員に開示するのではなく,本人の希望に応じて,開示面談を通じてその評価結果を開示し,今後の取り組みの充実,改善や次年度の目標設定,自己啓発に資するものである。 以上のとおり,本件文書は,いずれも,教職員の評価・育成システムの一環とし- 14 -て作成されているものであり,各校園長及び評価者については,その内容を公開することを前提とせず,各校園長個人の評価のための資料となることを予定して記述しているものである。 イ校長は,本件システムにおける目標の設定等をするに当たって,その内容が他の教職員,保護者,市民に周知され,共有されることを念頭に置いて記述しているものではなく,本件文書は,校長個人の内心がそのまま記述される形となっている。さらに,目標の達成状況の記述においては,目標を達成することができた理由又は達成することができなかった理由について校長の個人的な分析,評価が記載されているものである。 以上のように,本件文書に記載されている目標やその達成状況等は,校長の内心が自由に記載されているものであり,情報公開条例7条1号本文に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるもの又は特定の個 文書に記載されている目標やその達成状況等は,校長の内心が自由に記載されているものであり,情報公開条例7条1号本文に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるものに該当する。 ウ本件文書には,学校名,校長等の氏名及び年齢,在職歴等の戸籍的事項に関する情報並びに経歴に関する情報等の個人に関する情報が記載されている。また,本件文書中の校長の目標設定及び達成状況に関する情報においては,当該学校の運営,周辺地域との連携等について具体的に記載されており,これらを公開すると,学校名が特定され,それにより校長名が特定されるおそれがある。したがって,これらの情報は,当該情報そのものにより,又は他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができるものであり,情報公開条例7条1号本文に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるものに該当する。 ,,,,また本件文書に記載されている各情報はその内容からして同号ただし書アイには該当せず,同号ただし書ウについても,公務員の評価が含まれていることか- 15 -ら,当該公務員にとっては,職務に関する情報であっても,その職務の遂行に係る情報には該当しない。 エ(ア)原告は,校長は自己申告票を作成する際に,校長という自らの公職を基準として,公教育としての学校を活性化するための目標を熟考して作成するはずであり,それは,市民に公開すべき公職としての公文書であると主張し,さらに,内心をそのまま自由に記載した場合でも,校長が憲法21条で言論・表現の自由,意 を活性化するための目標を熟考して作成するはずであり,それは,市民に公開すべき公職としての公文書であると主張し,さらに,内心をそのまま自由に記載した場合でも,校長が憲法21条で言論・表現の自由,意見表明権を保障されているのであるから,その内容は公的に表現され,公的に保障され,公的に公開されるべきである旨主張する。しかしながら,自己申告票に書かれている内容は,上述のとおり,他の教職員,保護者,市民に周知され,共有されることを念頭に置いて記述しているものではなく,校長個人の内心がそのまま記述される形となっている。自己申告票における中期目標についても,校園長が一般に保護者や地域に公開しているものよりもより一層具体的な内容が記述されている。 さらに,目標の達成状況の記述においては,目標を達成することができた理由又は達成することができなかった理由について校長の個人的な分析,評価が記載されているものであり,その記載が,たとい校長が熟考したものであったとしても,その記載は校長の内心に変わりなく,情報公開条例7条1号本文に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれが,。 あるものに該当することは前記のとおりであるから原告の上記主張は失当である(イ)また,原告は,被告の主張によれば,子供の学校生活を巡る事故や,子供の処分・措置について校長が書いて市教育委員会に報告する文書も,校長の内心によって書かれているから非公開にすべきだという論理になりかねないが,市教育委員会もそのような考え方はしていないはずである旨主張する。しかしながら,公開するか否かは,それぞれの公文書が持つ性質により,情報公開条例に基づいて判断されるべき事項であり,校長 かねないが,市教育委員会もそのような考え方はしていないはずである旨主張する。しかしながら,公開するか否かは,それぞれの公文書が持つ性質により,情報公開条例に基づいて判断されるべき事項であり,校長が職務上作成するすべての公文書を同様の扱いと位置付け,公開すべきとする原告の上記主張は,妥当でない。 - 16 -( )情報公開条例7条5号該当性 ア本件システムに係る文書が公開されると,校長において,自らの目標等が達成されなかった場合の誤解や批判をおそれて正確かつ自由で率直な意見を述べることが難しくなり,又は,自己の課題や構想などに対する誤解や批判をおそれて無難な記述に終始してしまうなど,本件システムの目標のひとつである教職員,校長の育成について支障を及ぼすおそれがある。また,本件文書には,PTA,保護者及び地域の住民に対する評価を含む情報も多く記録されているため,これらの情報が公開されると,公正かつ円滑な人事事務の確保に支障が生じるおそれがある。 本件文書が公開されると,校長による自由な自己評価が妨げられるだけでなく,校長が悪い評価結果が公開されることをおそれて達成しやすい容易な目標しか設定しなくなり,客観的で公正で公平な評価を行うという本件システムの本来の目的を十分に達成することができなくなるおそれがある。また,個々の目標には,児童生徒に関する個人的な情報,地域との連携に関する情報,教職員の育成に関する情報が含まれているところ,これらの情報が公開されると,当該個人との信頼関係の維持,当該地域との連携等に重大な支障を及ぼすおそれがある。また,これらが公開されると,校長において具体的な目標を設定することができなくなるなどの弊害も考えられる。 イ前記異議申立て棄却決定において示されているとおり,自己申告票については,新たな人事制度の試 これらが公開されると,校長において具体的な目標を設定することができなくなるなどの弊害も考えられる。 イ前記異議申立て棄却決定において示されているとおり,自己申告票については,新たな人事制度の試験的実施等,将来における同種の事務の遂行に関して事務の目的が達成することができなくなるおそれがあることが認められ,面談個票については,校長と面談者(市教育委員会事務局職員)及び評価者(教育長)との信頼関係が崩れ,校長において正確かつ自由で率直な意見を述べることが困難となり,公正かつ円滑な人事の確保に支障を生じるおそれがあることが認められ,評価・育成シートについては,評価者(教育長)が校長の業績及び能力等に対して行った評価そのものであるから,いずれも人事管理に係る事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることが認められ,情報公開条例7条5号に該当する。 - 17 -ウ原告は,本件文書を公開することが公正かつ円滑な人事事務につながる旨主張する。しかしながら,そもそも公正かつ円滑な人事事務のためにいかなる人事制度を構築するかの決定は,市教育委員会の専権事項であるところ,本件システムにおいては,子ども,保護者等の外部の者を教職員の評価に関与させることを前提としていない。そして,市教育委員会においてこのような評価制度を構築すること自体には何らの違法性も認められず,当該制度を構築した結果,本件文書を公開することにより公正かつ円滑な人事の確保に支障を生じるおそれがあるのであるから,原告の上記主張は,失当である。 ( )情報公開条例についての原告の主張に対する反論 原告は,情報公開条例が不十分である旨主張するが,同条例の目的は,情報公開制度そのものが地方自治の本旨という憲法原理に基礎を置くものであることを明らかにするとともに,被告の諸活動を市民 する反論 原告は,情報公開条例が不十分である旨主張するが,同条例の目的は,情報公開制度そのものが地方自治の本旨という憲法原理に基礎を置くものであることを明らかにするとともに,被告の諸活動を市民に説明する責務を全うすること及び市民の市政参加を促進し,市政に対する市民の理解と信頼の確保を図ることにあるとされており,同条例が行政機関の保有する情報公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「情報公開法」という)と比べて不十分であるということはない。ま。 た,情報公開法26条にいう必要な施策のひとつが情報公開条例の制定であって,被告が遵法責任を果たしていないということはない。 原告は,情報公開条例の文言と情報公開法の文言とが相違することによって,公文書を公開するか否かの判断が異なるかのような主張をするが,公文書を公開する,,か否かの判断は情報公開の理念に基づき全体を解釈してされる行政判断であって文言ひとつによって判断するものではない。情報公開法と情報公開条例とは,別個独立の法制度であって,被告における情報公開の判断は,情報公開条例にのっとってされるものである。 (原告の主張)( )情報公開条例について 情報公開法と情報公開条例とを比較すると,情報公開法が「国民主権の理念に,- 18 -のっとり」と明記しているのに対して,情報公開条例には大阪市民が主権者である旨の規定がなく「市民と行政が協働して「市民本位の開かれた市政」といった,」,抽象的な規定となっていて,市民は,単に,行政側が市政参加を呼び掛ける対象にとどまっている。また,情報公開法では「国民の的確な理解と批判の下にある公,正で民主的な行政」が情報公開の目的とされているのに対し,情報公開条例では,「市民の理解と信頼を確保する」ことがその目的とされている。その結果, 情報公開法では「国民の的確な理解と批判の下にある公,正で民主的な行政」が情報公開の目的とされているのに対し,情報公開条例では,「市民の理解と信頼を確保する」ことがその目的とされている。その結果,情報公開条例の下では,行政が市民の信頼を損なうと勝手に判断して情報を非公開にするという問題点を持っている。この情報公開条例の不十分性が,本件処分に当たって更に大きく増幅され,違憲,違法な条例解釈,運用が行われた。 被告が,情報公開を制限する規定である情報公開条例7条5号エの判断基準について,情報公開請求をする市民である原告に対し,その基準を明らかにせよと要求し,また,具体的な理由を説明しないままに,情報公開の制限の範囲は,条例を制定した被告の解釈,運用によるべきであるなどと主張するのは,情報公開は主権者である市民の権利ではなく,行政による恩恵的なものであると考えているからであ。 ,,るこのような被告の主張は基本的人権として知る権利を保障した憲法に違反しまた,情報公開法にも違反するものである。 被告は,公文書を公開するか否かの判断は,情報公開法の文言と情報公開条例の文言との相違にかかわらず,情報公開条例にのっとって,情報公開の理念に基づき全体を解釈してされる行政判断であると主張する。しかし,情報公開法26条は,地方公共団体は,同法の趣旨にのっとり,その保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し,及びこれを実施するよう努めなければならない旨規定しているのであ,。 るから情報公開条例の文言が情報公開法の文言と相違すること自体が許されないそして,上記のように情報公開条例が不十分な現状においては,情報公開法の趣旨にのっとった運用がされなければならない。また,被告の主張は,条例の文言を軽視し,行政判断を優先させるものである。よって,被告の上記主張は妥 うに情報公開条例が不十分な現状においては,情報公開法の趣旨にのっとった運用がされなければならない。また,被告の主張は,条例の文言を軽視し,行政判断を優先させるものである。よって,被告の上記主張は妥当でない。 ( )情報公開条例7条1号該当性 - 19 -本件文書は,校長が当該年度又は中期にわたる学校運営の目標を立て,その実行状況を記入した公文書,教育長が校長の公務をいかに把握し,いかに評価しているかを記入した公文書である。このような文書につき,これらを公開すると学校名が,,。 特定され校長名が特定されるという被告の主張は校長という公務の否定である本件文書は,校長がその学校の活性化のための目標と実行状況とを記入した文書,これを受けて教育長が作成した文書であって,その学校の全教職員,保護者,市民に自ら公表して協力を求めるべき性質のものである。教職員にとっては自分が働く職場の校長が,保護者にとっては子供が在籍する学校の校長が,いかなる学校運営の目標と現状評価とを持っているのかということは,一番の市民的関心事である。 上記のような本件文書の内容に照らせば,本件文書に記録されている情報のうち,校長の年齢,在職歴以外の情報は,情報公開条例7条1号ただし書ウに該当するというべきであり,これを非公開とするのは違法であるし,既に各学校で行われている情報公開の実態にも理念にも反している。 被告は,本件文書は,校長個人の内心がそのまま記述される形となっているとして,情報公開条例7条1号該当性を主張する。しかしながら,校長は,自己申告票を作成する際に,校長という自らの公職を基準として,公教育としての学校を活性化するための目標を熟考して,記入するはずであって,そのようにして作成された本件文書につき,校長個人の内心がそのまま自由に記載された文書であるという う自らの公職を基準として,公教育としての学校を活性化するための目標を熟考して,記入するはずであって,そのようにして作成された本件文書につき,校長個人の内心がそのまま自由に記載された文書であるということはできない。仮に,内心をそのまま自由に記載した場合でも,校長には憲法21条で言論・表現の自由,意見表明権を保障されているのであるから,その内容は公的に表現され,公的に保障され,公的に公開されるべきである( )情報公開条例7条5号該当性 被告は,本件文書を公開すると,校長,面談者及び評価者が正確かつ自由で率直な意見を述べることが難しくなるおそれがあるなどと主張するが,本件文書の内容は,校長と市教育委員会とが密談するような内容ではないし,公開を予期するかどうかにかかわらず,職務の一環としての自己目標等をそのまま記入すればいいはず- 20 -である。教職員,保護者,市民等の誤解,批判を避けて,正確かつ自由で率直な意見を記入しないという方が,学校運営及び教育行政の責任者としての資質に問題があるというべきである。 被告は,PTA,保護者及び地域の住民に対する評価を含む情報も多く記録されているため,これらの情報が公開されると公正かつ円滑な人事事務の確保に支障が生じるおそれがある旨主張するが,PTA,保護者及び地域の住民に公開すると支障が生じるような内容が公文書に記録されていること自体が公務からの逸脱である。 被告は,自己申告票を作成するに当たって,校長は便宜的に目標の設定を行うことも容認されていた,校長の多くが,自己申告票が公開されることを予期していないと考えられる,自己申告票には,記入者である各校長の習熟度や様式等の検討が不十分な点が多数認められる,などとして,このような状況の下で自己申告票を公開すると,今後新たに人事制度の大きな改変が行わ いと考えられる,自己申告票には,記入者である各校長の習熟度や様式等の検討が不十分な点が多数認められる,などとして,このような状況の下で自己申告票を公開すると,今後新たに人事制度の大きな改変が行われる場合の当該制度の試験的実施など同種の事務の遂行に際して必要な情報の把握が困難となり,また,問題点,改善点の抽出など当該同種の事務の目的を達成することができなくなるおそれがある,などと主張する。しかしながら,目標の便宜的な選択が市教育委員会によって公認され,推奨されていた事実はないし,複数の目標設定区分のうちの一項目だけを選択する形であるとしても,校長が重要であると思って公務として真剣に選んで記入したのであるから,それを便宜的な選択であるとして非公開の理由とするのは誤りであり,これらの項目の中で校長が特にどの項目に関心と意欲を持っているのかという情報自体が教職員と保護者,市民にとって公開されるべき情報である。また,試験的実施である以上,習熟度等に個人差があることは当然のことであって,これらは,いずれも校長による学校運営の目標とその達成状況を市民に公開すべきだという価値を否定する理由とならない。さらに,現在存在しない今後の制度改変を想定して,現在実施されている制度についての情報公開を否定するのは,情報公開条例の目的に反しているというべきである。 - 21 -被告は,本件文書が公開された場合に生じ得る弊害の例を主張するが,特定の児童生徒又は教職員についての記載がある場合には,部分的に非公開にすれば足りるのであり,全面非公開とする必要はない。 むしろ,市教育委員会だけが校長の設定する目標を知るとすれば,校長が市教育委員会の目をおそれて達成しやすい容易な目標しか設定しなくなることも考えられる。本件文書を公開して学校運営に対する市民の理解を求めること 教育委員会だけが校長の設定する目標を知るとすれば,校長が市教育委員会の目をおそれて達成しやすい容易な目標しか設定しなくなることも考えられる。本件文書を公開して学校運営に対する市民の理解を求めることこそが,公正か,。 つ円滑な人事事務の確保につながるのでありこれを非公開とするのは誤りであるこの点に関連して,被告は,教職員の人事評価において,子ども,その保護者及び市民は外部の者であると位置付けているが,子ども(人間)を対象とする教職員の仕事の評価は,子どもの人間としての学習,成長,変化が資料になるのであって,子どもやその保護者の評価を抜きに,教職員を評価することはできないのであるから,被告の上記主張は誤りである。 第3当裁判所の判断1( )いわゆる知る権利が憲法21条1項によって保障されていると解される としても,同条を根拠に直接,個々の国民が国又は地方公共団体等に対して,その保有する情報の公開を請求することができるとは解し得ないのであって,その意味で憲法上の知る権利はなお抽象的なものにとどまるというべきであるしたがっ,,。 て,住民に地方公共団体の機関の保有する公文書の公開を請求する権利をどのような要件の下にどの範囲で付与するかは,専ら各地方公共団体がその条例において定めるべき事柄であり,前記第2の1のとおり,情報公開条例5条が,何人も,同条例の定めるところにより,実施機関に対し,当該実施機関の保有する公文書の公開を請求することができる旨規定するとともに,同条例7条において非公開情報の範囲等を,同条例8条において部分公開の要件等をそれぞれ規定しているのは,被告の行政機関である実施機関が保有する公文書の公開請求権を具体化するとともに,当該権利をどのような要件の下にどの範囲で付与するかについて定めたものであると解される。以上に れぞれ規定しているのは,被告の行政機関である実施機関が保有する公文書の公開請求権を具体化するとともに,当該権利をどのような要件の下にどの範囲で付与するかについて定めたものであると解される。以上によれば,情報公開条例が憲法21条1項に反するということは- 22 -できず,その趣旨をいう原告の主張は採用することができない。 また,情報公開法26条は,地方公共団体は,同法の趣旨にのっとり,その保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し,及びこれを実施するように努めなければならない旨規定しているが,同条が,地方公共団体に対して情報公開に関する施策を策定し,及びこれを実施すべき努力義務を課したにすぎないものであることは明らかである上,情報公開条例の規定内容に情報公開法の趣旨に反するような点も。 ,,(),見当たらない原告は情報公開条例はその前文又は目的規定1条において市民が市政参加を呼び掛けられる対象にとどめられ,情報公開の目的が市民の理解と信頼とを確保することとされているなど,情報公開法に比べて不十分で違法であるといった趣旨の主張をする。しかしながら,上記のとおり,地方公共団体の保有する公文書の公開請求は,各地方公共団体の条例の定める要件の下にその範囲で認められるものであるところ,情報公開条例7条は,実施機関に対し,公開請求に係る公文書に非公開情報が記録されている場合を除き,当該公文書を公開すべき義務を課し,情報公開法5条と同様,原則公開の仕組みを採用している上,同条例7条各号に列挙されている非公開情報と情報公開法5条各号に列挙されている不開示情報とに大差がないことからすれば,情報公開条例の前文又は目的規定の文言が情報公開法の文言と若干異なることをもって,同条例が同法に反して違法であるということはもとより,同条例が情報公 れている不開示情報とに大差がないことからすれば,情報公開条例の前文又は目的規定の文言が情報公開法の文言と若干異なることをもって,同条例が同法に反して違法であるということはもとより,同条例が情報公開請求権を保障した条例として不十分であるということも到底できない。 ( )そして,情報公開条例7条が原則公開の仕組みを採用し,実施機関は公開 請求に係る公文書に非公開情報が記録されている場合に限って当該公文書を非公開,,とすることができることとしているのは上記のとおりであり非公開情報該当性等同条例の規定する情報公開請求権の具体的な内容を判断するに当たっては,本件条例の上記の趣旨,目的等を踏まえ,文言に即して合理的,客観的に解釈すべきである。 以上の観点から,本件文書に情報公開条例7条1号又は5号に掲げる情報が記録- 23 -されているか否かにつき,以下検討する。 自己申告票について( )本人等に関する部分について 前記のとおり,情報公開条例7条1号本文は,個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く)であって,当該情報に含まれる氏名,生年月。 日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む)又。 は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるものと規定しているところ,自己申告票のうち本人等に関する部分は,前記のとおり,記入月日,学校名,氏名,平成15年3月31日現在の年齢,校長在職年数及び現任校在職年数が記載されているというのであり,前記認定の自己申告票の作成目的,全体の構成,記載内容等にかんがみると,少なくともこれらの記載事項のうち記入月日を除いた部分は,その全 ,校長在職年数及び現任校在職年数が記載されているというのであり,前記認定の自己申告票の作成目的,全体の構成,記載内容等にかんがみると,少なくともこれらの記載事項のうち記入月日を除いた部分は,その全体が,当該氏名欄に記載された者の個人に関する一つのまとまりのある独立した一体的な情報を構成しているというべきである。そして,当該情報が同号ただし書ア又はイに該当しないことは明らかであり,また,当該情報は公務員の職務(当該学校の校長としての職務)に関する情報であっても当該職務の遂行に係る情報ではないから,同号ただし書ウにも該当しないというべきである。もっとも,当該情報のうち学校名及び氏名に係る部分は,当該情報のうち特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分(個人識別部分)を構成しているところ,平成14年度当時大阪市立学校の校長の氏名が慣行として公にされていたことは顕著な事実であるが,当該部分を除いたその余の部分は,その内容(平成15年3月31日現在の年齢,校長在職年数及び現任校在職年数)が当該個人の経歴等に関する情報であって,これをみだりに公開されないことにつき法的利益が認められるものであるから,公にしても個人の権利利益が害されるおそれがないということはできず,したがって,情報公開条例8条2項の規定によりこれを部分公開することもできないというべきである。の- 24 -みならず,後記のとおり,本件システムの下における自己申告票作成の目的は,校園長を含む教職員をして,各自が主体的に設定した目標の達成状況及び今後の課題等を具体的に記述することを通じて,自己の目標の設定及び当該目標の達成に向けた取組みの過程を省み,これを自分自身で分析,評価し,今後の課題を見いだす機会を与え,もって当該教職員の資質,能力の向上等に資するとともに,当該記述に 通じて,自己の目標の設定及び当該目標の達成に向けた取組みの過程を省み,これを自分自身で分析,評価し,今後の課題を見いだす機会を与え,もって当該教職員の資質,能力の向上等に資するとともに,当該記述に現われた当該教職員の目標の設定の仕方,当該目標の客観的な達成状況ないし取組状況,これについての当該教職員の主観的な認識及び評価の内容,姿勢,今後の課題の把握の仕方などといった事項について,当該教職員の業績及び能力を評価するための有力な判断材料を評価者・育成者に提供することにあるものと認められ,自己申告票には,教職員により,各自の目標の設定,その達成状況ないし取組状況,今後の課題等について,その主観的認識内容を率直に表現し記述することが不可欠。 ,の前提とされているこのような自己申告票の作成目的及び機能等にかんがみると自己申告票のうち本人等に関する部分を除いたその余の記載部分についても,そこに記述された内容は,これを記述した作成者,すなわち,学校名及び氏名により特定される当該校長の主観的認識及び判断作用と性質上不可分の関係にあるということができるとともに,当該主観的認識及び判断作用の在り方そのものが評価における重要な判断材料となるのであるから,当該個人識別部分は,その余の各記載部分(項目)の不可分の構成要素として,少なくともその限度でまとまりのある一つの人事管理に係る事務に関する情報を構成しているものというべきである。そして,当該人事管理に係る事務に関する情報が情報公開条例7条5号エの非公開情報に該当することは,後記説示のとおりである。 これに対し,本人等に関する部分のうちの記入月日が非公開情報に該当しないことは明らかである。 ( )その余の部分(目標に関する部分,目標の達成状況に関する部分及び今後 に関する部分)についてア前記のとお 本人等に関する部分のうちの記入月日が非公開情報に該当しないことは明らかである。 ( )その余の部分(目標に関する部分,目標の達成状況に関する部分及び今後 に関する部分)についてア前記のとおり,情報公開条例7条5号は,被告の機関又は国若しくは他の地- 25 -方公共団体が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,同号アからオまでに掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと規定し,同号エは,人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれを掲げる。同号の趣旨は,被告の機関等が行うすべての事務又は事業は,公益に適合するように行われなければならないところ,当該事務又は事業に関する情報が公にされることにより,その公正かつ円滑な遂行に支障を生じることとなれば,結果的に市民全体の利益を損なうおそれがあることから,このような場合に当該情報が記録されている公文書について非公開とすることを許容するところにあるものと解され,同号アからオまでの規定は,公開によって事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を含むことが容易に想定される事項を例示するとともに,各事項ごとに典型的に生じることが想定される支障を例示したものである。もっとも,前記情報公開条例1条が規定する同条例の趣旨,目的に加え,同条例7条が原則公開の仕組みを採用していることなどに照らせば,同号にいう「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」とは,事務又は事業に関する情報を公開することによって生じる利益と支障とを利益衡量し,公開することによって生じる利益を考慮してもなお看過し得ない程度の支障が生じることが実質的,具体的にみて相当の蓋然性をもって予測される場合をい を公開することによって生じる利益と支障とを利益衡量し,公開することによって生じる利益を考慮してもなお看過し得ない程度の支障が生じることが実質的,具体的にみて相当の蓋然性をもって予測される場合をいうものと解すべきである。 イ(ア)前記前提事実のとおり,自己申告票は,試験的に実施された本件システムの下で作成された文書であり,自己申告票のうち,目標に関する部分,目標の達成状況に関する部分及び今後に関する部分に記録されている情報は,前記前提事実(第2の2( )ア(イ)から(エ)まで)に記載のとおりであるところ,本件システム の趣旨は,教職員が学校園や校(園)内各組織の目標達成に向けた個人目標を主体的に設定し,各々の役割に応じて同僚教職員と連携,協力しながら,目標の達成に積極的に取り組み,点検,評価,改善を行うことにより,教職員の意欲,資質能力の向上と教育活動をはじめとする様々な活動の充実,組織の活性化を一体的に図る- 26 -ことにあるとされている。そして,本件システムのうち校園長に対する試験的実施においては,各校園長の作成した自己申告票をもとに面談者(市教育委員会事務局職員)による面談が行われ,自己申告票及び面談を参考に評価者(教育長)により評価・育成シートが作成されて当該校園長についての評価がされることとされていたのである。そうすると,自己申告票の上記各部分に記録されている情報が,人事管理に係る事務に関する情報であることは明らかである。 (イ)そこで,自己申告票のうち本人等に関する部分を除いたその余の部分に記録されている情報を公にすることにより,情報公開条例7条5号エにいう公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるか否かにつき,以下検討する。 同号エの規定は,被告の機関又は国若しくは他の地方公共団体が行う人事管理に係る事務, より,情報公開条例7条5号エにいう公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるか否かにつき,以下検討する。 同号エの規定は,被告の機関又は国若しくは他の地方公共団体が行う人事管理に係る事務,すなわち,職員の任免,懲戒,給与,研修その他職員の身分や能力等の管理に関する事務については,当該機関等の組織としての維持の観点から行われる一定の範囲で当該組織の独自性を有するものであり,当該事務に関する情報の中には,勤務評価や,人事異動,昇格等の人事構想等を公にすることにより,公正かつ円滑な人事の確保が困難になるおそれがあるものがあり,このような情報を非公開とする趣旨のものであると解される。自己申告票の上記各部分に記載されている内容は,作成者である校長において既述した,当該学校における学校経営に係る中期的なビジョン,平成14年度の学校教育目標等,同年度の具体的な目標とこれに対応する目標設定区分及び同目標を実現するための実施計画,目標の達成状況の程度とその具体的な達成状況及び目標達成に向けた当該校長の取り組みの状況並びに学校経営の充実に向けた自己の課題,次年度の学校経営の構想及び市教育委員会に対する意見であり,このうち,目標に関する部分の目標については,既に年度当初から取り組んでいることの中から重要と思われることを目標として記入するものとし,抽象的な目標だけでなく,達成したい状況をできるだけ具体的に記入するものとされ,目標の達成状況に関する部分の具体的な達成状況については,目標の達成状況について,面談者との共通理解が深まるよう,具体的な状況を記入し,取り組- 27 -みの状況については,目標達成に向けた本人の取組みで,よかった点や改善すべき,,,点さらに今後の課題を記入し結果が出なくても目標達成につながるような態度行動はよかったものとし 組- 27 -みの状況については,目標達成に向けた本人の取組みで,よかった点や改善すべき,,,点さらに今後の課題を記入し結果が出なくても目標達成につながるような態度行動はよかったものとして記入するものとされていた(甲1の5。 )確かに,大阪市立学校の校務をつかさどり,所属職員を監督する立場にある校長が,当該学校について,いかなる中期的な学校経営のビジョンの下に,いかなる教育目標等を設定し,当該目標を実現するためにどのような実施計画を立て,目標の達成状況についていかなる認識を有しているか,次年度の学校経営についていかなる構想を有しているかなどといったことは,当該学校の教職員のみならず,生徒,その保護者,さらには地域住民等の正当な関心の対象となるべき情報であり,これを公にすることによって,当該学校の運営等についての生徒,その保護者,地域住民等の理解,協力等が得られやすくなり,ひいては当該学校の円滑な運営に資する面があることは否定することができない。そして,自己申告票のこれらに関する記述部分から上記のような情報を抽出することが可能であり,このようにして抽出された当該情報自体は,人事管理に係る事務に関する情報に該当しないということができる。 しかしながら,前記前提事実のとおり,本件システムの趣旨は,教職員が学校園や校(園)内各組織の目標達成に向けた個人目標を主体的に設定し,各々の役割に応じて同僚教職員と連携,協力しながら,目標の達成に積極的に取り組み,点検,評価,改善を行うことにより,教職員の意欲,資質能力の向上と教育活動をはじめ,,とする様々な活動の充実組織の活性化を一体的に図ることにあるとされている上本件システムにおいては,自己申告票をもとに面談が行われ,さらに自己申告票や面談を参考に評価・育成シートが作成されるというのであ する様々な活動の充実組織の活性化を一体的に図ることにあるとされている上本件システムにおいては,自己申告票をもとに面談が行われ,さらに自己申告票や面談を参考に評価・育成シートが作成されるというのであって,前記認定の評価・育成シートの記載事項にもかんがみると,本件システムが本来的に教職員の職務遂行能力に関する評価を行うためのシステムであることは明らかである。もっとも,平成14年度の試験的実施においては,校園長を除く教職員については育成システムとして実施するものとし,校園長による評価はされないこととされていたが,校- 28 -園長については評価・育成システムとして実施され,教育長による校園長の評価が行われたことは前記前提事実のとおりである。そうであるところ,甲第1号証の6によれば,校長の評価(業績の評価,能力の評価及び総合評価)は,自己申告票及び面談者が当該校長から面談によって聴取した内容を主な評価材料として教育長に,,より行われその結果が評価・育成シートに記載されるものであることが認められ「教職員の評価・育成システム(平成14年度試験的実施)~校園長に対する試験的実施の取扱いについて~[校園長用手引き] (甲1の5)にも,評価・育成シー」トの様式が掲載され,自己申告票及び面談を参考に,教育長が評価・育成シートを作成する旨記載されていることからすれば,各校園長は,本件システムの下における校園長の評価が自己申告票の記載内容及びこれをもとに行われる面談において聴取される内容を主な評価材料として行われるものであることを認識し,自己申告票の記載内容が評価者により自己の評価の主な判断材料とされることを当然の前提として,自己申告票を作成しているものということができる。そして,評価者による自己の評価の主な判断材料とされることを前提として自己申告票 が評価者により自己の評価の主な判断材料とされることを当然の前提として,自己申告票を作成しているものということができる。そして,評価者による自己の評価の主な判断材料とされることを前提として自己申告票の上記各部分の記載事項を記入する場合,当該校園長は,上記事項について同人が現に認識している,,,客観的状況を踏まえつつも正当に自己の業績能力が評価されるように意識して上記事項に関する諸事情を整理し,これを一定の意味内容を有する一つのまとまりのある情報に構成した上,各記載事項を記入するのが通常であると考えられる。また,本件システムが,校長その他の教職員の自己評価を主な判断材料として,その評価・育成を行うシステムであり,自己申告票は,本件システムの下で評価手続の基本を成す重要な文書として位置付けられることからすれば,同システムは,校長その他の教職員が上記のような意識の下に自己申告票の各記載事項を記入すること。 ,,を当然想定しているというべきであるそして上記のような本件システムの趣旨目的,具体的評価育成手続等にかんがみると,同システムの下における評価育成事務の適正な遂行を確保するためには,校園長が,自己申告票の上記のような性格を十分に理解した上,その各記載事項について当該校長が現に認識している客観的状- 29 -,,。 ,況を正確具体的かつ率直に記入することが不可欠というべきであるすなわち前記前提事実等によれば,本件システムの下における自己申告票作成の目的は,教職員をして,各自が主体的に設定した目標の達成状況及び今後の課題等を具体的に記述することを通じて,自己の目標の設定及び当該目標の達成に向けた取組みの過程を省みこれを自分自身で分析評価し今後の課題を見いだす機会を与えもっ,,,,て当該教職員の資質,能力の向上等に資する 述することを通じて,自己の目標の設定及び当該目標の達成に向けた取組みの過程を省みこれを自分自身で分析評価し今後の課題を見いだす機会を与えもっ,,,,て当該教職員の資質,能力の向上等に資するとともに,当該記述に現われた当該教職員の目標の設定の仕方(組織体としての学校が設定する目標との関連において自己の目標をいかに設定しているか等,当該目標の客観的な達成状況ないし取組状)況,これについての当該教職員の主観的な認識及び評価の内容,姿勢,今後の課題の把握の仕方などといった事項について,当該教職員の業績及び能力を評価するための有力な判断材料を評価者・育成者に提供することにあるものと認められる。上記のような自己申告票の作成目的及び機能に照らすと,自己申告票には,教職員により,各自の目標の設定,その達成状況ないし取組状況,今後の課題等が,評価者,,に対し自己の業績能力の評価の判断材料を提供するとの意識の下にではあってもその主観的認識内容を雑念に左右されることなく可能な限り限り率直に表現し記述することが,当該教職員の業績及び能力並びに育成すべき課題等を的確に把握し,本件システムの下における評価育成事務の適正な遂行を確保する上で不可欠の前提となるということができるのであり,このことは,校園長の作成する自己申告票の場合についても何ら異なるところはない。また,上記のような自己申告票の機能及び記載内容に照らすと,自己申告票における目標に係る記述部分も,当該目標の達成状況ないし取組状況,今後の課題等に係る記述部分と有機的に連関し,全体として一つのまとまりのある人事管理に係る事務に関する情報を構成しているというべきであり,これを校園長に係る自己申告票における目標についてみても,目標に係る記述部分が当該目標の達成状況,学校(園)経営の充実に向けた自己 のある人事管理に係る事務に関する情報を構成しているというべきであり,これを校園長に係る自己申告票における目標についてみても,目標に係る記述部分が当該目標の達成状況,学校(園)経営の充実に向けた自己の課題,次(),年度の学校園経営の構想等に係る記述部分と有機的に連関しているのみならず目標に係る記述部分についても,中期的な学校(園)経営のビジョン,今年度の学- 30 -校(園)教育目標等,設定目標の各項目が,学校の校務をつかさどり,所属の職員を監督する立場にある者として,中期的な学校経営のビジョンをどう設定し,それとの関連で今年度の学校教育目標等をどのように設定し,さらに,それらとの関連において個別具体的な目標をどのように設定し,いかなる実施計画を立てているかといった具合に,相互に有機的に連関し,目標の達成状況等に係る記述部分と合わせて全体として一つのまとまりのある人事管理に係る事務に関する情報を構成しているというべきである。 そうであるところ,自己申告票の前記各部分が公開されると,前記のとおり当該記載事項が当該学校の教職員のみならず生徒,その保護者,さらには地域住民等の関心の対象に関わるものであるだけに,校長は,当該学校の生徒及びその保護者,地域住民,他の教職員その他の第三者からの自己又は当該学校に対する批判等が生じることをおそれて,本件システムの下における自己の評価の主な判断材料になるという観点よりも,むしろ,公開を前提として第三者からの批判等に耐え得るか否かといった観点を優先させて,上記事項を記入するようになり,その結果,正確,,。 具体的かつ率直な記載を避けるといった傾向が必然的に生じてくると考えられるそうすると,自己申告票の記載内容が形がい化,空洞化するなどして,今後,市教育委員会が,本件システムを運営するに当たり,自 。 具体的かつ率直な記載を避けるといった傾向が必然的に生じてくると考えられるそうすると,自己申告票の記載内容が形がい化,空洞化するなどして,今後,市教育委員会が,本件システムを運営するに当たり,自己申告票によって得ることが期待されている評価育成に必要かつ有益な情報を十分に収集することができず,結果として,適正な評価等を行うことができなくなって,公正かつ円滑な人事の確保に支障を来す相当の蓋然性が認められるというべきである。 なお,前記前提事実のとおり,自己申告票の上記部分のうち,中期的な学校経営のビジョン,今年度の学校教育目標等については,年度当初に各学校において作成する「教育指導の計画」が参考にされ,又はその中から抽出するなどされていたところ,弁論の全趣旨によれば「教育指導の計画」は各校において公にされていた,ことがうかがわれる。しかしながら,本件全証拠によっても,本件システムが,上記各事項を記入するに当たり「教育指導の計画」をそのまま引用することを規定,- 31 -していたとは認められないのみならず,上記各事項についても,校長において前記のような自己申告票の作成目的及び機能を理解した上,その内容を整理,抽出して既述しているものと考えられるのであって,その余の記述部分と相まって,全体として一つのまとまりのある人事管理に係る情報を構成するものである点においてその余の記載事項と異なるところはないというべきである。また,中期的な学校経営のビジョン,今年度の学校教育目標等,学校経営の充実に向けた自己の課題及び次年度の構想については,その内容,自己申告票における記載欄の大きさなどに照らし,ある程度抽象的な記載がされている場合が多いことがうかがわれるが,仮にそのような場合であっても,前記同様に,校長が自己の評価育成に係る判断材料を提供する趣 申告票における記載欄の大きさなどに照らし,ある程度抽象的な記載がされている場合が多いことがうかがわれるが,仮にそのような場合であっても,前記同様に,校長が自己の評価育成に係る判断材料を提供する趣旨で既述したものであることに変わりはなく,人事管理に係る情報としての性格に違いはない。さらに,被告の主張するとおり,中期的な学校経営のビジョン及び今年度の学校教育目標等として取り上げるべき事項の中には,その性質上これを公にすると当該学校の適正な管理運営を確保する上で種々の支障を来すものも,,少なからず存在することは公知の事実というべきところ前記のような校長の地位職掌等にかんがみると,当該学校がそのような課題を抱えているのであれば,正にそのような課題を当該学校における学校経営のビジョンないし学校教育目標等として設定し,それに主体的に取り組むことが職務上要請されているのであり,自己申告票の前記のような作成目的及び機能にかんがみると,これをそのまま率直に記述することが求められているということができる。このような観点からしても,自己申告票のうち中期的な学校経営のビジョン,今年度の学校教育目標等に限ってみても,当該記述部分が公開されることにより,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼす相当の蓋然性が認められるというべきである。 この点について,原告は,教職員,保護者,市民等の誤解,批判を避けて,正確かつ自由で率直な意見を記入しないという方が,学校運営及び教育行政の責任者としての資質に問題がある旨主張する。しかしながら,たとい同一の客観的状況を基に情報を記入するとしても,非公開を前提に専ら自己の評価等の判断材料を提供す- 32 -る趣旨で記入する場合と公開されることを前提として記入する場合とで,その構成の仕方や重点の置き方,内容の精粗等が異なることはむ としても,非公開を前提に専ら自己の評価等の判断材料を提供す- 32 -る趣旨で記入する場合と公開されることを前提として記入する場合とで,その構成の仕方や重点の置き方,内容の精粗等が異なることはむしろ当然であるというべきであって,これらが同一であるはずである,又は同一でなければならないとする原告の主張は,独自の見解というほかはなく,採用することができない。 よって,自己申告票の前記各部分については,これを公開することによって生じる利益を考慮してもなお公正かつ円滑な人事の確保に看過し得ない程度の具体的な支障を及ぼす相当の蓋然性があるといわざるを得ない。以上より,自己申告票のうち,目標に関する部分,目標の達成状況に関する部分及び今後に関する部分に記録されている各情報は,いずれも情報公開条例7条5号エの非公開情報に該当する。 ( )小括 以上により,自己申告票に記録されている情報(校長の年齢を除く)のうち,。 ,,,,記入月日は非公開情報に該当せず他方その余の部分に記録されている情報は非公開情報に該当するというべきである。 ,,,そして上記非公開情報に該当しない情報の内容に照らせば自己申告票のうち非公開情報が記録されている部分を除いた部分には有意な情報は記録されていないと認められるから,当該部分を情報公開条例8条1項に基づいて部分公開することもできないというべきである。 面談個票について( )校長に関する部分等について 前記前提事実のとおり,面談個票のうち,校長に関する部分等に記載されている内容は,学校コード,区名,学校名及び校長の氏名並びに面談者の氏名であるところ,前記認定の面談個票の作成目的及び記載内容等に照らすと,これらの記述部分のうち少なくとも学校名,校長の氏名及び面談者の氏名は,全体として,氏名及び関連情 び校長の氏名並びに面談者の氏名であるところ,前記認定の面談個票の作成目的及び記載内容等に照らすと,これらの記述部分のうち少なくとも学校名,校長の氏名及び面談者の氏名は,全体として,氏名及び関連情報(本件システムの下における校園長に係る面談者は市教育委員会の事務局職員であるという情報)により特定される面談者が学校名及び氏名により特定される校長と本件システムに基づく評価手続の一環として面談を行ったという一つのま- 33 -とまりのある情報を構成しているということができ,当該情報が情報公開条例7条1号にいう個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものに該当することが明らかである。もっとも,前記のとおり,当該情報のうち学校名及び校長の氏名に係る部分は当該情報のうち特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分個,(人識別部分)を構成しているところ,平成14年度当時大阪市立学校の校長の氏名が慣行として公にされていたことは顕著な事実であり,また,面談者の氏名についても,校長を除く教職員に対する本件システムの試験的実施においては,校園長と特定されており,校園長に対する試験的実施においても,関連情報と照合することにより少なくともその範囲を特定し得るものである(甲5,6。しかしながら,)後記のとおり,面談個票は,本件システムに基づく評価手続の一環として行われる面談において,面談の対象者である校園長が自己申告票に記載した目標ないしその達成状況等について忌たんのない意見等を表明し,面談者は対象者から聴取した内容のうち評価者による評価のための判断材料として必要かつ有益と思われるものを抽出した上これを記述するものであって,その作成目的及び機能にかんがみると,自己申告票の場合 ,面談者は対象者から聴取した内容のうち評価者による評価のための判断材料として必要かつ有益と思われるものを抽出した上これを記述するものであって,その作成目的及び機能にかんがみると,自己申告票の場合と同様に,面談の当事者と切り離しては人事管理に係る情報としての意味を有しないものであり,面談の当事者に係る各個人識別部分は,その余の各記載部分(項目)の不可分の構成要素として,少なくともその限度でまとまりのある一つの人事管理に係る事務に関する情報を構成しているものというべきである。そして,当該人事に係る事務に関する情報が情報公開条例7条5号エの非公開情報に該当することは,後記説示のとおりである。 ,。 これに対し学校コード及び区名が非公開情報に該当しないことは明らかである( )その余の部分(目標の設定理由,達成状況の判断理由,目標に向けた取り 組み,自己の課題,次年度の構想及び特記事項等)について前記のとおり,面談個票は,面談者が校長と自己申告票をもとに面談を行った際に,教育長が評価・育成シートを作成する際の参考とするために作成する文書であ- 34 -る。そして,面談個票のうち,校長に関する部分及び面談者名の欄を除く各部分に記録されている情報は,前記前提事実(第2の2( )イ(イ)から(カ)まで)に記載 のとおりであり,同部分には,当該校長が提出した自己申告票に記入されている内容をもとにそれについて面談者が当該校長から聴取した内容が記載されている。 よって,面談個票の上記各部分に記録されている情報が人事管理に係る事務に関する情報であることは明らかである。 そこで,面談個票の上記各部分に記録されている情報を公にすることにより,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるか否かについて検討するに,面談個票の上記各部分が公開されれば,そ かである。 そこで,面談個票の上記各部分に記録されている情報を公にすることにより,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるか否かについて検討するに,面談個票の上記各部分が公開されれば,その記載内容から自己申告票の記載内容を相当程度正確に推知することができるのであって,面談個票の上記各部分が公開された場合,自己申告票が公開さた場合と同様の支障が生じるおそれがあることは明らかである。のみならず,本件システムの趣旨,目的等に照らせば,面談は,自己申告票の記載とともに評価者による評価のための重要な判断材料を取得するための手続として位置付けられ,面談個票は,面談者において面談の対象者である校園長が自己申告票に記載した目標の設定理由ないしその達成状況の判断理由等について口頭で説明するなどした内容のうち評価者による評価のための判断材料として必要かつ有益と思われるものを抽出した上これを記述するものと認められるところ,本件システムにおいて自己申告票の作成に加えて面談の手続が設けられている趣旨にかんがみると,面談は,面談者が,評価者側の立場から,評価の対象者が作成した自己申告票の記載内容等に関して,対象者に対し,目標の設定理由ないしその達成状況の判断理由等について直接口頭で聴取し,対象者に忌たんのない意見等を述べさせることにより,評価者による評価のために必要かつ有益な判断材料を引き出すことにその主要な目的,意義が存するものと認められる。したがって,面談においては,その性質上,自己申告票の作成の場合以上に,対象者が面談者の聴取事項に対して自由かつ率直に自己の認識ないし意見等を表明することが,上記のような面談の目的を達成するために不可欠の前提となるということができる。そうであるの- 35 -,,,,に面談個票の上記部分が公開されると校長は 己の認識ないし意見等を表明することが,上記のような面談の目的を達成するために不可欠の前提となるということができる。そうであるの- 35 -,,,,に面談個票の上記部分が公開されると校長は当該学校の生徒及びその保護者地域住民,他の教職員その他の第三者からの自己又は当該学校に対する批判等が生じることをおそれ,面談において具体的かつ率直な発言を避けることとなって,面談者において必要かつ有益な内容を聴取することが困難になる現実的なおそれがある。そうすると,面談の内容が形がい化,空洞化するなどして,今後,市教育委員会が,本件システムを運営するに当たり,自己申告票及び面談によって得ることが期待されている評価育成に必要かつ有益な情報を十分に収集することができず,結果として,適正な評価等を行うことができなくなって,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼす相当の蓋然性が認められるというべきである。 よって,面談個票の上記各部分については,これを公開することによって生じる利益を考慮してもなお公正かつ円滑な人事の確保に看過し得ない程度の具体的な支障を及ぼす相当の蓋然性があるというべきである。以上より,面談個票のうち,目標の設定理由,達成状況の判断理由,目標に向けた取り組み,自己の課題,次年度の構想及び特記事項等の各部分に記録されている各情報は,いずれも情報公開条例7条5号エの非公開情報に該当する。 ( )小括 以上により,面談個票のうち,学校コード及び区名は,非公開情報に該当せず,その余の部分に記録されている情報は,非公開情報に該当するというべきである。 そして,上記非公開情報に該当しない情報の内容に照らせば,面談個票のうち,非公開情報が記録されている部分を除いた部分には有意な情報は記録されていないと認められるから,当該部分を情報公開条例8条1項 そして,上記非公開情報に該当しない情報の内容に照らせば,面談個票のうち,非公開情報が記録されている部分を除いた部分には有意な情報は記録されていないと認められるから,当該部分を情報公開条例8条1項に基づいて部分公開することもできないというべきである。 評価・育成シートについて( )本人に関する部分及び評価者に関する部分について 前記前提事実のとおり,評価・育成シートのうち,本人に関する部分及び評価者に関する部分に記録されている情報は,学校名,校長の氏名,校長在職年数及び現- 36 -,,,,任校在職年数並びに記入月日教育長の氏名であるところこれらのうち学校名校長の氏名,校長在職年数及び現任校在職年数に係る記述部分は,その全体が,当該氏名欄に記載された者の個人に関する一つのまとまりのある独立した一体的な情報を構成しているというべきである。そして,当該情報が情報公開条例7条1号ただし書ア又はイに該当しないことは明らかであり,また,当該情報は公務員の職務(当該学校の校長としての職務)に関する情報であっても当該職務の遂行に係る情報ではないから,同号ただし書ウにも該当しないというべきである。もっとも,前記のとおり,当該情報のうち学校名及び氏名に係る部分は,当該情報のうち特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分(個人識別部分)を構成しているところ,平成14年度当時大阪市立学校の校長の氏名が慣行として公にされていたことは顕著な事実であるが,当該部分を除いたその余の部分は,その内容(校長在職年数及び現任校在職年数)が当該個人の経歴等に関する情報であって,これをみだりに公開されないことにつき法的利益が認められるものであるから,公にしても個人の権利利益が害されるおそれがないということはできず,したがって,情報公開条例8条 経歴等に関する情報であって,これをみだりに公開されないことにつき法的利益が認められるものであるから,公にしても個人の権利利益が害されるおそれがないということはできず,したがって,情報公開条例8条2項の規定によりこれを部分公開することもできないというべきである。 のみならず,後記のとおり,校園長に係る評価・育成シートは,評価者である教育長が,評価の対象者である校長について,目標の達成状況(結果)を業績として業績の評価を行い,複数の能力評価の着眼点をもとに能力の評価を行い,この業績,,評価と能力評価を踏まえ目標及び目標設定区分の範囲で総合評価を行うとともにこの評価結果や自己申告票の記載を踏まえて次年度の課題や今後の支援方針を記入するものであり,評価者である教育長が,自己申告票及び面談又は面談者からの情報を参考に,自ら把握した事実や教育委員会が把握している情報を踏まえ,教育長自身の判断で記入するものとされている。このような評価・育成シートの性格及び記載内容等にかんがみると,評価・育成シートは,評価の対象者である校園長に対する教育長の評価(業績評価,能力評価及び総合評価)及び今後の課題等に関する- 37 -自らの判断内容がそのまま記載されるものであって,性質上,評価者及び評価の対象者と切り離しては人事管理に係る情報としての意味を有しないものであり,評価者及び評価の対象者に係る各個人識別部分(学校名及び校長の氏名並びに教育長の氏名が記載された部分)は,その余の各記載部分(項目)の不可分の構成要素として,少なくともその限度でまとまりのある一つの人事管理に係る事務に関する情報を構成しているものというべきである。そして,当該人事に係る事務に関する情報が情報公開条例7条5号エの非公開情報に該当することは,後記説示のとおりである。 これに対し,記 管理に係る事務に関する情報を構成しているものというべきである。そして,当該人事に係る事務に関する情報が情報公開条例7条5号エの非公開情報に該当することは,後記説示のとおりである。 これに対し,記入月日が非公開情報に該当しないことは明らかである。 ( )その余の部分(目標設定区分,業績の評価に関する部分,能力の評価に関 する部分,次年度に向けた課題・今後の方針に関する部分及び総合評価に関する部分)について評価・育成シートの上記各部分に記述されている内容は,前記前提事実(第2の2( )ウ(イ)から(カ)まで)に記載のとおりであり,同部分には,当該校長が提出 した自己申告票に記入されている内容並びに当該校長に対する教育長の判断に基づく評価及び今後の課題等が記載されている。よって,面談個票の上記部分に記録されている情報が人事管理に係る事務に関する情報であることは明らかである。 ところで,前記認定事実及び甲第1号証の5,6によれば,校園長に係る評価・育成シートは,評価者である教育長が,評価の対象者である校長について,目標の達成状況(結果)を業績として業績の評価を行い,複数の能力評価の着眼点をもとに能力の評価を行い,この業績評価と能力評価を踏まえ,目標及び目標設定区分の範囲で総合評価を行うとともに,この評価結果や自己申告票の記載を踏まえて次年度の課題や今後の支援方針を記入するものであり,評価者である教育長が,自己申告票及び面談又は面談者からの情報を参考に,自ら把握した事実や教育委員会が把,。 ,握している情報を踏まえ教育長自身の判断で記入するものとされているそして本件システムの下において,評価・育成シートの作成後,面談者により希望する校- 38 -園長に対して総合評価について口頭による開示を行うための面談が設けられ,今後の学校(園)経 とされているそして本件システムの下において,評価・育成シートの作成後,面談者により希望する校- 38 -園長に対して総合評価について口頭による開示を行うための面談が設けられ,今後の学校(園)経営の充実・改善等に役立てるものとされている。このような評価・育成シートの作成目的及び機能等にかんがみると,評価・育成シートの作成は,本件システムの正に核心を成す手続として位置付けられており,本件システムの適正な運用を通じて校園長を含めた教職員の公正かつ円滑な人事が確保され,もって,教育行政に係る組織の充実,活性化が図られ,教育活動等の適正な遂行に資するためには,評価・育成シートの作成を通じて,校園長の業績及び能力等が公正かつ適正に評価され,その今後の課題等が的確に把握されることが不可欠であることは明らかである。 ,,,,以上を前提に評価・育成シートの各項目をみるとまず業績評価については①目標の達成状況につき,自己申告票に基づく本人の意見と児童・生徒等,保護者,教職員の意見等,評価者(教育長)が達成状況を判断するに当たって参考とした事項に基づき,評価者(教育長)が校園長の設定した目標の達成状況を3段階で評価するとともに,目標の達成状況(結果)を業績として,業績の評価を5段階で行い,目標の選択,設定内容,設定レベルや達成状況についての教育長の所見を記入し,特に目標の達成状況について校園長本人と異なる判断・評価をした場合はその理由を記入するものとされ,また,評価者(教育長)が達成状況を判断するに当たって参考とした児童・生徒等,保護者,教職員の意見等についても特記事項として記入するものとされている。次に,②能力評価については,評価者(教育長)において,能力評価の着眼点として,経営的視点,課題設定・解決,組織運営,人事管理・育成,危機・安全 についても特記事項として記入するものとされている。次に,②能力評価については,評価者(教育長)において,能力評価の着眼点として,経営的視点,課題設定・解決,組織運営,人事管理・育成,危機・安全管理の各着眼点につき,児童・生徒等,保護者,教職員の意見等,評価者(教育長)が達成状況を判断するに当たって参考とした事項に基づき,設定した目標だけでなく,目標設定区分の範囲での職務遂行上発揮された態度・行動等が着眼点を満たしているか否かを3段階で判断して記入し,個々の着眼点をもとに,発揮された能力,すなわち,職務遂行の過程で現われた態度や行動を能力として,5段階で評価し,設定された目標設定区分の範囲での所見を記入する- 39 -ものとされ,評価者(教育長)が達成状況を判断するに当たって参考とした児童・生徒等,保護者,教職員の意見等についても特記事項として記入するものとされている。次に,③総合評価については,評価者(教育長)において,業績評価と能力評価を踏まえ,目標及び目標設定区分の範囲で総合評価を行うものとされ,総合評価の結果が業績評価と能力評価の各結果のいずれかと又はその両方と異なる場合はその理由を記入するものとされている。最後に,④次年度に向けた課題・今後の方針につき,評価者(教育長)において,評価結果や自己申告票の「学校(園)経営の充実に向けた自己の課題「次年度の学校(園)経営の構想「教育委員会」,」,に対する意見」を踏まえ,次年度の課題や今後の支援方針を記入するものとされている(甲1の6。このように,評価・育成シートの上記各項目には,評価者(教)育長が自らの判断で行った校園長の評価判断の結果及び当該評価を行うに至っ)()た理由(判断理由)等が当該判断をするに当たり依拠した情報(評価対象者である校園長の意見並びに児 は,評価者(教)育長が自らの判断で行った校園長の評価判断の結果及び当該評価を行うに至っ)()た理由(判断理由)等が当該判断をするに当たり依拠した情報(評価対象者である校園長の意見並びに児童・生徒等,保護者,教職員の意見等評価者(教育長)が自ら収集した情報)を摘示するなどして具体的に記述されており,評価・育成シートの作成目的及び記載内容に照らすと,少なくとも,各項目ごとに,その記載内容が評価者(教育長)及び評価の対象者(校園長)に係る各個人識別部分と相まって全体として一つのまとまりのある人事管理に係る事務に関する情報を構成していると解される。 ,,以上のような評価・育成シートの作成目的記載内容及び機能等にかんがみると評価・育成シートの作成を通じて,校園長の業績及び能力等が公正かつ適正に評価され,その今後の課題等が的確に把握されるためには,評価者(教育長)において児童・生徒等,保護者,教職員の意見等適正な評価を行うために必要かつ有益な情報を十分に収集することができるとともに,これらの情報に依拠して自らの公正な判断をその自由意思により形成することが不可欠というべきである。 そうであるところ,評価・育成シートの上記各項目の記載内容を公開すると(前記のとおり,評価・育成シートについては,希望者に対し,総合評価のみを開示す- 40 -ることとされていた,評価の対象者である校園長等の間に自己に対する評価の詳。)細を知り又は公にされた他の校園長に対する評価との比較等により,不満,不快の念を抱く者が多数生じることが事柄の性質上容易に予想され,その結果,本件システムにおける評価のための重要な判断材料となる自己申告票が適正に作成されなくなるなどの事態が生じることも懸念される。また,特記事項として記載されている児童・生徒等保護者教職員等の意 の結果,本件システムにおける評価のための重要な判断材料となる自己申告票が適正に作成されなくなるなどの事態が生じることも懸念される。また,特記事項として記載されている児童・生徒等保護者教職員等の意見など教育長が達成状況を判断するに当たっ,,,て参考とした事項が公にされることにより,児童・生徒等,保護者,教職員等が当該校園長との関係をおもんぱかるなどして,適切な意見等を提供することを差し控え,その結果,評価者(教育長)においてこれらの者から必要かつ有益な意見を十分に収集することができなくなることが容易に予想される。したがって,評価・育成シートの上記各項目が公開されれば,今後,本件システムの下で,評価者(教育長)において,自己申告票及び面談並びに児童・生徒等,保護者,教職員等からの意見聴取等によって得ることが制度上予定されている評価に必要かつ有益な情報を適正かつ十分に収集することが困難になる現実的なおそれがあるのみならず,評価者(教育長)においても,評価対象者(校園長)が抱くであろう不満等を懸念するなどして否定的な評価についてありのままに記載することを差し控えたり,画一的な記載を多用するなどして,その結果,評価・育成シートの記載内容が形がい化,空洞化するなどして,評価対象者(校園長)の業績及び能力等の公正かつ適正な評価を確保することが困難となる現実的なおそれがあるそうすると評価・育成シー。 ,トの前記各部分を公開することにより,本件システムの下において校園長に対する適正な評価等を行うことができなくなって,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼす相当の蓋然性が認められるというべきである。 よって,評価・育成シートの前記各部分については,これを公開することによって生じる利益を考慮してもなお公正かつ円滑な人事の確保に看過し得ない程度の具体 ぼす相当の蓋然性が認められるというべきである。 よって,評価・育成シートの前記各部分については,これを公開することによって生じる利益を考慮してもなお公正かつ円滑な人事の確保に看過し得ない程度の具体的な支障を及ぼす相当の蓋然性があるというべきである。以上より,評価・育成,,,,シートのうち目標設定区分業績の評価に関する部分能力の評価に関する部分- 41 -次年度に向けた課題・今後の方針に関する部分及び総合評価に関する部分の各部分に記録されている各情報は,いずれも情報公開条例7条5号エの非公開情報に該当する。 ( )小括 以上により,評価・育成シートに記録されている情報(校長の年齢を除く)の。 うち,記入月日は,非公開情報に該当せず,他方,その余の情報は,非公開情報に該当するというべきである。 そして,上記非公開情報に該当しない情報の内容に照らせば,評価・育成シートのうち,非公開情報が記録されている部分を除いた部分には有意な情報は記録されていないと認められるから,当該部分を情報公開条例8条1項に基づいて部分公開することはできないというべきである。 結論 以上によれば,本件処分は適法であって,本件処分のうち,校長の年齢を非公開とした部分を除く部分の取消しを求める原告の請求には理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり,判決する。 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官西川知一郎裁判官岡田幸人- 42 -裁判官森田亮- 43 -別紙1公文書目録平成14年度における教職員の評価・育成システムの試験的実施に係る大阪市α内の市立小・中学校長についての以下の各公文書 自己申告票<試験的実施> 教職員の評価・育成システム面談個票(校園長) 評価・育成シート<試験的実施> テムの試験的実施に係る大阪市α内の市立小・中学校長についての以下の各公文書 自己申告票<試験的実施> 教職員の評価・育成システム面談個票(校園長) 評価・育成シート<試験的実施>

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