平成26(行ウ)51 熊取町談合住民訴訟弁護士報酬請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年9月3日 大阪地方裁判所
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判決文本文28,210 文字)

- 1 -主文 1 被告は,原告ら各自に対し,2100万円及びこれに対する平成26年1月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告らのその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを5分し,その2を原告らの負担とし,その余は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告ら各自に対し,3523万2732円及びこれに対する平成26年1月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告である甲町の住民である原告らが,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,甲町長に対して損害賠償請求の義務付けを求めて提起した住民訴訟(以下「本件住民訴訟」という。)において一部勝訴したため,同条12項に基づき,本件住民訴訟について委任を受けた弁護士ら(以下「本件受任弁護士ら」という。)に支払うべき報酬額の範囲内で相当と認められる額(以下「弁護士報酬相当額」という。)として,被告に対し,原告ら各自に対し,不可分債権として3523万2732円及びこれに対する平成26年1月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実のほか,各項掲記の証拠(以下,枝番のあるものは特記なき限り枝番を全て含む。)等により容易に認定することができる事実及び当裁判所に顕著な事実)(1)原告ら原告らは,いずれも甲町の住民である。 (2)本件住民訴訟の提起 - 2 -ア原告らは,本件受任弁護士ら(なお,原告ら訴訟代理人弁護士らと同一である。)に訴訟委任を行い(以下,同訴訟委任に係る委任契約を「本件委任契約」という。),平成21年5月28日,甲町の執行機関で ア原告らは,本件受任弁護士ら(なお,原告ら訴訟代理人弁護士らと同一である。)に訴訟委任を行い(以下,同訴訟委任に係る委任契約を「本件委任契約」という。),平成21年5月28日,甲町の執行機関である甲町長を被告として,別紙1相手方一覧表(以下,単に「相手方一覧表」という。)の「相手方」欄記載の各相手方(なお,各相手方を個別に表記する場合には,同表に記載された略称を用いる。)に対し,それぞれ同表の「請求額」欄記載の各金額及びこれに対する平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を甲町(被告)に支払うよう請求することの義務付けを求めて,地方自治法242条の2第1項4号本文に定める本件住民訴訟(当庁平成21年(行ウ)第99号)を提起した。なお,同表の「相手方」欄記載の各相手方のうち,A,B及びCを除く22者が,それぞれ自己関係分に関する訴訟につき被告に補助参加した。(甲1,4)本件住民訴訟の第一審裁判所は,平成24年6月8日,甲町長(本件住民訴訟被告)に,相手方一覧表の「相手方」欄記載の各相手方に対し,それぞれ同表の「認定額(第一審)」欄記載の金額及びこれに対する平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を甲町(被告)に支払うよう請求することを義務付ける内容の一部認容判決をした(甲1)。 イ上記アにおいて甲町長(本件住民訴訟被告)に補助参加していた者は,上記アの第一審判決の控訴人である甲町長の敗訴部分を不服として,それぞれ自己関係分について甲町長のために控訴し(大阪高等裁判所平成24年(行コ)第101号),さらに,A及びBが甲町長(本件住民訴訟控訴人)に補助参加し,それぞれ自己関係分について控訴人敗訴部分の取消し及び取消部分に係る被控訴人ら(本件住民訴訟第一審原告ら)の請求棄却の コ)第101号),さらに,A及びBが甲町長(本件住民訴訟控訴人)に補助参加し,それぞれ自己関係分について控訴人敗訴部分の取消し及び取消部分に係る被控訴人ら(本件住民訴訟第一審原告ら)の請求棄却の判決を求めた(甲2)。 - 3 -本件住民訴訟の控訴審裁判所は,上記アの第一審判決を変更し,甲町長(本件住民訴訟控訴人)は,相手方一覧表の「相手方」欄記載の各相手方に対し,それぞれ同表の「認定額(控訴審)」欄記載の金額及びこれに対する平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を甲町(被告)に支払うよう請求することを義務付ける内容の一部認容判決(以下「本件控訴審判決」という。)をした(甲2)。 ウ本件控訴審判決を不服とする控訴人補助参加人らは,上告を提起するとともに上告受理申立てをした(最高裁判所平成25年(行ツ)第350号ないし第352号,同年(行ヒ)第367号ないし第369号)ところ,最高裁判所は,同年12月17日,各上告を棄却するとともに,いずれも上告審として受理しない旨の決定をした(甲3,弁論の全趣旨)。 (3)原告らによる弁護士報酬の請求原告らは,平成25年12月26日,被告に対し,本件住民訴訟に係る弁護士報酬相当額として,3523万2732円(消費税を含む。)を14日以内に支払うよう請求した(甲7)。 (4)日本弁護士連合会において従前定められていた報酬等基準規程(甲33)日本弁護士連合会においては,従前,報酬等基準規程(平成7年9月11日会規第38号。以下「旧報酬規程」という。)を定めていた(なお,旧報酬規程は,平成16年4月1日に廃止され,以後,弁護士報酬が自由化された(弁論の全趣旨)。)。旧報酬規程には,本件に関係する部分として,以下の定めが 「旧報酬規程」という。)を定めていた(なお,旧報酬規程は,平成16年4月1日に廃止され,以後,弁護士報酬が自由化された(弁論の全趣旨)。)。旧報酬規程には,本件に関係する部分として,以下の定めがある。 ア弁護士報酬は,法律相談料,書面による鑑定料,着手金,報酬金,手数料,顧問料及び日当とする。これらのうち,着手金とは,事件又は法律事務(以下「事件等」という。)の性質上,委任事務処理の結果に成 - 4 -功不成功があるものについて,その結果のいかんにかかわらず受任時に受けるべき委任事務処理の対価をいう。また,報酬金とは,事件等の性質上,委任事務処理の結果に成功不成功があるものについて,その成功の程度に応じて受ける委任事務処理の対価をいう。(3条)イ弁護士報酬は,1件ごとに定めるものとし,裁判上の事件は審級ごとに,裁判外の事件等は当初依頼を受けた事務の範囲をもって,1件とする。ただし,旧報酬規程第三章第1節において,同一弁護士が引き続き上訴審を受任したときの報酬金については,特に定めのない限り,最終審の報酬金のみを受ける。(5条1項)ウ旧報酬規程に定める額は,消費税法に基づき,弁護士の役務に対して課せられる消費税の額に相当する額を含まない(10条)。 エ民事事件の着手金及び報酬金については,旧報酬規程に特に定めのない限り,着手金は事件等の対象の経済的利益の額を,報酬金は委任事務処理により確保した経済的利益の額をそれぞれ基準として算定する(13条)。 オ上記エの経済的利益の額は,旧報酬規程に特に定めのない限り,金銭債権は債権総額(利息及び遅延損害金を含む。)とし,継続的給付債権は債権総額の10分の7の額(ただし,期間不定のものは7年分の額)として算定する(14条1項1号, 報酬規程に特に定めのない限り,金銭債権は債権総額(利息及び遅延損害金を含む。)とし,継続的給付債権は債権総額の10分の7の額(ただし,期間不定のものは7年分の額)として算定する(14条1項1号,3号)。 カ訴訟事件,非訟事件,家事審判事件,行政審判等事件及び仲裁事件の着手金及び報酬金は,旧報酬規程に特に定めのない限り,経済的利益の額を基準として,それぞれ次のとおり算定する(17条1項)。 経済的利益の額着手金報酬金300万円以下の部分 8% 16%300万円を超え3000万円以下の部分 5% 10%3000万円を超え3億円以下の部分 3% 6% - 5 -3億円を超える部分 2% 4%キ上記カの着手金及び報酬金は,事件の内容により,30%の範囲内で増減額することができる(17条2項)。 ク民事事件につき同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは,上記カ,キにかかわらず,着手金を適正妥当な範囲内で減額することができる(17条3項)。 2 争点及びこれについての当事者の主張本件の主たる争点は,本件住民訴訟において一部勝訴したことを理由として,原告らが,本件受任弁護士らに対して支払うべき報酬額の範囲内で,地方自治法242条の2第12項に基づき,被告に対して支払を請求することのできる「相当と認められる額」(弁護士報酬相当額)がいくらかである。 この争点についての当事者の主張は,以下のとおりである。 (原告らの主張)(1)原告らは,本件受任弁護士らとの間で,本件住民訴訟に先立ち,住民側の勝訴が確定した場 がいくらかである。 この争点についての当事者の主張は,以下のとおりである。 (原告らの主張)(1)原告らは,本件受任弁護士らとの間で,本件住民訴訟に先立ち,住民側の勝訴が確定した場合には,判決で認容された損害賠償請求を義務付ける額の元本額を経済的利益として,旧報酬規程により,着手金,報酬金及びこれらに対する消費税額を支払うこととする合意をした。本件住民訴訟において認容された損害賠償金元金は3億7474万9725円であるから,旧報酬規程を適用すると,着手金1118万4994円,報酬金2236万9989円,消費税167万7749円となり,これらの合計額は3523万2732円となる。 (2)ア(ア) 最高裁判所平成19年(受)第2069号同21年4月23日第一小法廷判決・民集63巻4号703頁(以下「平成21年判決」という。)は,「相当と認められる額」について,住民訴訟において住民から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度 - 6 -として社会通念上適正妥当な額をいうとし,その具体的な額は,当該訴訟における事案の難易,弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,判決の結果普通地方公共団体が回収した額,住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定められるべきものであるとしている。 (イ)そして,最高裁判所平成21年(受)第1408号同23年9月8日第一小法廷判決・裁判集民事237号311頁(以下「平成23年判決」という。)に照らせば,普通地方公共団体が回収した額を考慮するに当たっては,実際の回収額から一定額の拠出を控除すべきでないことになるから,被告が主張するように,回収した額から回収に要した経費を差し引く扱いをすることは失当である。この 体が回収した額を考慮するに当たっては,実際の回収額から一定額の拠出を控除すべきでないことになるから,被告が主張するように,回収した額から回収に要した経費を差し引く扱いをすることは失当である。このことは,本件住民訴訟に対応した甲町長の代理人弁護士及び被告の職員の人件費(いわゆる第2次訴訟を含む。),さらに債権回収に要した費用についても同様であり,上記回収した額の考慮に当たってはこれらの費用は差し引かれるべきものではない。また,国庫補助金の返還額についても回収した額として考慮すべきものに当たらない。 第2次訴訟において,被告と談合業者との間で分割弁済の裁判上の和解が成立した部分については,長期分割弁済の裁判上の和解を行う場合,当初から実現不可能な和解を行うことなどあり得ず,一括弁済はできないものの長期分割をすることにより営業を継続しながら完済をすることが可能であるという一定の予測の下に合意されるものであるから,和解により確認された損害賠償債務の全額が上記回収した額として考慮されるべきである。仮に現時点で和解の実現が危ぶまれ - 7 -るような状況が生じているとすれば,和解案検討に当たり,被告側の故意過失により審査を誤ったものであって,被告の財産である債権管理を怠ったことをいうにすぎない。この点を措いて仮に将来の支払不能リスクを考慮したとしても,旧報酬規程では,継続的給付債権の場合にその債権総額の7割を経済的利益の額として算定することとされているから(14条3号),これにより少なくとも元本部分の7割は回収額として報酬算定の基礎とすべきである。 なお,遅延損害金についても,上記回収した額に含まれる。 (ウ)また,平成21年判決にいう「住民訴訟の性格」について,同 として報酬算定の基礎とすべきである。 なお,遅延損害金についても,上記回収した額に含まれる。 (ウ)また,平成21年判決にいう「住民訴訟の性格」について,同判決はその具体的内容を示していないが,住民訴訟の目的が原告の個人的利益を追及するものではなく,公の利益に資するためのものであることからすれば,原告個人には何らの個人的利益は入らないのであるから,約定された弁護士費用の大半は公の費用において賄われるべきである。 被告は,住民訴訟の目的が住民全体のために地方公共団体の財務会計上の行為を正すことにあるとして,住民訴訟の弁護士報酬相当額についても旧報酬規程から50%程度減額されるべきであると主張するが,住民訴訟の目的の一つが違法な財務会計行為の是正にあるとしても,それにとどまらず地方公共団体が被った損害の回復という目的も含まれており,本件住民訴訟は,本来甲町長が提起しなければならなかった訴訟を原告らがこれに代わって行ったものにすぎないから,これを行ったことにより弁護士に対して支払われる報酬が減額されるべきものではないし,違法な財務会計行為の是正により,地方公共団体のコンプライアンスが向上する以上,弁 - 8 -護士に対して支払われる報酬を減額する理由はない。加えて,住民訴訟においては,住民が弁護士に対して高額な着手金を支払うことができる例は少なく,弁護士においても,住民の経済的事情を理解して低廉な着手金で受任して訴訟追行しているのであって,このような活動に対して正当な報酬が確保されなければ,訴訟を受任する弁護士がいなくなり,住民に与えられた監査請求,住民訴訟を提起する権利を実質的に奪うことになる。 イ本件住民訴訟の経過(ア) 確保されなければ,訴訟を受任する弁護士がいなくなり,住民に与えられた監査請求,住民訴訟を提起する権利を実質的に奪うことになる。 イ本件住民訴訟の経過(ア)平成19年10月下旬頃,新聞報道により被告の町営住宅である己住宅第2期工事の談合が発覚し,甲町建設業共同組合幹部とDの代表者ら4名が同年11月に入札妨害被告事件(以下「関連入札妨害事件」という。)により起訴され,平成20年3月に言い渡されたDの代表者らに対する刑事事件判決において,甲町建設業共同組合主導の下で,己住宅第2期工事だけでなく,長年にわたり恒常的に談合が存在した旨の事実が認定された。 (イ)原告乙は,被告が談合業者に対する損害賠償請求訴訟を提起しなかったことから,刑事確定訴訟記録法に基づいて関連入札妨害事件の記録の一部を入手し,さらに,原告らは,平成21年3月,住民監査請求を行った。 (ウ)原告らは,住民監査請求が棄却されたことを受けて,本件受任弁護士らに住民訴訟の受任を打診し,関連入札妨害事件の事件記録の一部及び住民監査請求に用いた資料を提供して検討された結果,本件受任弁護士らを代理人として,平成15年度から平成19年度までの被告の建設工事の中から明ら - 9 -かに談合であると考えられる157件の公共工事(以下「本件請求対象工事」という。)について,建設業者ら23業者,甲町建設業共同組合の理事の職にあった者2名及び甲町建設業共同組合を請求の相手方とする履行請求訴訟(本件住民訴訟)を提起した。 本件住民訴訟の被告であった甲町長は談合があったことについては不知とする答弁をし,甲町長が請求の相手方である23業者,甲町建設業共同組合の理事の職にあった者2名及び甲町 。 本件住民訴訟の被告であった甲町長は談合があったことについては不知とする答弁をし,甲町長が請求の相手方である23業者,甲町建設業共同組合の理事の職にあった者2名及び甲町建設業共同組合に訴訟告知を行ったところ,A,B,C以外は,いずれも訴訟代理人を選任した上で,甲町長(本件住民訴訟被告)に補助参加し,談合行為を否認する旨の答弁を行った。 そこで,原告ら(本件受任弁護士ら)は,関連入札妨害事件の事件記録を入手すべく,文書送付嘱託の申出等を行い,また,先行して訴訟係属していたDの被告に対する己住宅第2期工事に係る請負代金請求訴訟(以下「別件民事訴訟」という。)の証拠の中に,チャンピオン以外の業者の入札金額の決め方について言及したE代表者の検察官に対する供述調書が存したことから,これを参考として,入手した関連入札妨害事件の事件記録等を精査し,分析を重ね,本件請求対象工事のうち,「談合していることが見え見えな金額」の公共工事の入札36件,「見え見え」にならないように少し工夫された入札12件,巧妙に工夫されて金額だけでは談合だとは分からない入札12件があると判断し,更に,平成19年12月以降の談合が行われていない入札調書を分析し,これと対比して談合がされている場合の特徴,されていない場合 - 10 -の特徴を比較した。 そして,原告らは,本件住民訴訟において,証人として甲町建設業共同組合事務局長であった丙を申請し,補助参加人らは,証人として丁(甲町建設業共同組合の元理事),戊(同),F(G),H(I代表者),J(Kの親会社の代表者)を申請し,それぞれ採用され,尋問が行われたが,いずれの証人も原告らからはいわゆる敵性証人であった。 以上のよう ,戊(同),F(G),H(I代表者),J(Kの親会社の代表者)を申請し,それぞれ採用され,尋問が行われたが,いずれの証人も原告らからはいわゆる敵性証人であった。 以上のように,本件住民訴訟は本件請求対象工事が談合に当たるか否かを審理の対象とするものであり,請求の相手方となる業者だけをみても23業者と極めて多く,複雑な事案であり,談合を立証する直接証拠がなく,立証も困難なものであった。加えて,本件住民訴訟の被告であった甲町長は,本件住民訴訟中において談合行為について調査をしたと主張しながら,原告らにより同調査の結果を提出するよう釈明を求められたにもかかわらずこれに応じようとしないなど,原告らによる本件住民訴訟の訴訟追行に非協力的であった。 ウ(ア)被告は,総額約1億3000万円の経費支出があり,この経費支払のうち,合理性・相当性のある範囲で控除すべきであると主張する。しかし,談合によって被った損害について,その賠償を求め,損害の回復を図ることは自治体が行うべき業務であるから,本来自治体が行うべき回収業務に関する人件費,弁護士費用等をその主たる内容とする被告が主張するところの経費を,住民訴訟に関する弁護士報酬相当額を算定する際に考慮すべきものとは解されない。具体的には,本件住民訴訟経費(320万6190円。うち着手金及び報酬金として315万円),債権保全経費(339万7588円。 - 11 -うち弁護士委託料として73万5000円),訴外交渉等経費(63万円),損害賠償請求訴訟費用等(308万5764円。うち着手金105万円,報酬金105万円),相手方弁護士報酬請求訴訟(本訴訟)費用等(3733万2732円。うち着手金105万円,報酬金105万円,原告らが本訴で弁護士費用として主張す 4円。うち着手金105万円,報酬金105万円),相手方弁護士報酬請求訴訟(本訴訟)費用等(3733万2732円。うち着手金105万円,報酬金105万円,原告らが本訴で弁護士費用として主張する3523万2732円),支払履行費用(65万2796円)並びに人件費・旅費(8344万1040円)は,いずれも本件住民訴訟に関する弁護士費用(弁護士報酬相当額)を算定する際に考慮すべきものには当たらない。 (イ)また,第2次訴訟は,既に第1段階の訴訟(住民訴訟)で確定されている地方公共団体の金銭債権を執行することを目的とする民事訴訟であり,これらには第1段階の訴訟(住民訴訟)による参加的効力が及んでいることからも,第2次訴訟の訴訟追行の負担は大きいものではない。仮に回収について困難が存しているとすれば,それは被告が平成20年時点において訴訟を提起しなかったこと,原告らが提起した本件住民訴訟に対し妨害ともいうべき態度をしたことによるものである。 エ甲町長は,被告の平成20年12月議会において,過去の入札における不法行為に対し,毅然たる方針の下,法的な損害賠償を求めるべきであるとの決議が可決されていたにもかかわらず,その怠慢により,訴えを提起することなく放置したのであるから,自らの怠慢によって住民ら(原告ら)に訴訟追行の負担をかけたのであり,その訴訟追行にあたった本件受任弁護士らに対して支払われる弁護士報酬相当額の減額を主張すること - 12 -など許されない。 (被告の主張)(1) 地方自治法242条の2第12項にいう「相当と認められる額」の認定に当たっては,旧報酬規程は既に廃止され,長期間が経過していることに照らせば,旧報酬規程によることが適正な弁護士費用とは (1) 地方自治法242条の2第12項にいう「相当と認められる額」の認定に当たっては,旧報酬規程は既に廃止され,長期間が経過していることに照らせば,旧報酬規程によることが適正な弁護士費用とは認められない。 (2)ア地方自治法242条の2第12項の「相当と認められる額」の合理的算定に当たっては,当該地方公共団体の確保した経済的利益の額,住民訴訟の目的(個人的な権利利益の保護救済を図るためではないこと)及び住民訴訟の改正による手続の変更に対する考慮(同法の改正により,同条1項4号の住民訴訟が,1回の訴えで損害賠償請求等を行っていた点を改めて,執行機関を被告とする義務付け訴訟としての第1次訴訟と,債権者である地方公共団体が原告となって業者らに対する損害賠償等を請求する第2次訴訟を要することとなり,地方公共団体に新たな負担を生じさせていること)を重視する必要がある。 イ被告は,本件住民訴訟において請求することを義務付けられた相手方のうち10者からは完済(相殺等によるものを含む。)を受けているが,残りの15者(甲町建設業共同組合の理事の職にあった2人の自然人(丁,戊)を含む。)については,その資産,収入及びその経営状況からすると,回収が厳しいものと見込まれている。平成27年4月30日時点における回収済みの損害賠償金元金及び遅延損害金の合計は1億9667万6625円である。 弁護士報酬相当額の算定に当たっては,損害賠償金元金を基準とすべきであり,遅延損害金を加算することは正当とは解さ - 13 -れない。すなわち,遅延損害金は,金銭債務の不履行による損害賠償金であり,元金との関係では付随的・二義的なものである。また,原告らが本件受任弁護士らとの間で締結した本件委任契約におい 13 -れない。すなわち,遅延損害金は,金銭債務の不履行による損害賠償金であり,元金との関係では付随的・二義的なものである。また,原告らが本件受任弁護士らとの間で締結した本件委任契約においても,弁護士報酬について,判決認容額の元本額を経済的利益の額としており,遅延損害金を含めてはいない。 実際にも,遅延損害金は,損害賠償金元金が認められた場合に法定金利により計算されているもので,弁護士報酬相当額の算定に当たっては損害賠償金元金を基準とすることで足りるものといえる。さらに,住民訴訟は個人的な権利利益の保護救済を図るためのものではないことから,被告の確保した経済的利益の額としては遅延損害金を含む必要性は低いといえる。 長期分割支払の合意をした業者(第2次訴訟において6者との間で分割弁済による和解成立)については,当該業者の資産及び資力が乏しかったことから,長期における分割支払となったものであって,将来の回収の見込みが低いといえるから,将来の分割弁済に係る金額を弁護士報酬相当額の算定要素に入れる合理性に乏しい。また,第2次訴訟において判決に至った業者等については,いずれも会社としての実体がなくなっているか,または既に会社としての機能が正常に活動しているとはいえないものであるし,甲町建設業共同組合の理事の職にあった者2名についても,負担する損害賠償金等の責任財産である資産及び資力はほとんど存しない。 ウ(ア)被告は,本件住民訴訟の判決確定後,直ちに損害賠償金の回収に向けて,専属の部署及び担当者を配置するなど,債権回収の体制を整え,しかもこれまで多大な経費等の支出を行っており,平成26年12月末日時点において,総額約1億 - 14 -3000万円に及ぶ(その内訳は,別紙2「住民訴訟 るなど,債権回収の体制を整え,しかもこれまで多大な経費等の支出を行っており,平成26年12月末日時点において,総額約1億 - 14 -3000万円に及ぶ(その内訳は,別紙2「住民訴訟にかかる年度別経費(概数)」のとおりである。)。これらの経費は,被告が債権回収による経済的利益を確保するため,被告の職員らが行った事務等に要する費用であり,その苦労は甚大であって,そのための経費支出も多額になっている。そうすると,弁護士報酬相当額の判断要素としては,単に損害賠償金の入金額だけを考慮することなく,そのための経費についても,合理性・相当性のある範囲内で当然これを控除すべきである。 (イ)上記(ア)の事情に加え,仮に本件住民訴訟において談合が存したものと認定された144件の建設工事に対する3億7474万9725円の全額が納付された場合,73 件の建設工事が国庫補助金等を受け事業実施しているため,概ね1億円の返還を要することとなる。現時点での損害賠償金元金の納付額からすると,過交付となる補助金額としては3400万円を上回る額を返還する見込みとなる。したがって,弁護士報酬相当額の判断要素としては,被告が確保した経済的利益の入金額だけで考慮することなく,当該工事における国庫補助金等の返還額についても相当の範囲内で控除されるべきである。 エ住民訴訟の目的は,住民全体の利益のために地方公共団体の財務会計上の行為を正すことにあって,訴えを提起した者の個人的な権利又は地方公共団体の利益の各保護救済を図るためではないなどの制度趣旨を考慮する必要がある。弁護士報酬相当額を決するに当たり旧報酬規程を勘案し得るとしても,その基準額が当然に適用かつ是認されるのでは 方公共団体の利益の各保護救済を図るためではないなどの制度趣旨を考慮する必要がある。弁護士報酬相当額を決するに当たり旧報酬規程を勘案し得るとしても,その基準額が当然に適用かつ是認されるのではなく,通常一般の民事 - 15 -訴訟の場合においても,その事件の内容いかんによって旧報酬規程により算出された弁護士報酬を30%減額することが許容されていたことから,住民訴訟については,その公益目的を考慮し,旧報酬規程により算出された額から50%程度の減額の幅が存すると解しても合理性,正当性が認められる。 オそもそも本件住民訴訟において損害賠償請求の相手方とされた業者は,いずれも地元の小規模零細な業者が多く,その財務状況はいずれも脆弱で資力も乏しく,多額な損害賠償債務を一括で納付する資力や資産のない業者がほとんどである。 カ上記事情を総合すると,「相当と認められる額」(弁護士報酬相当額)としては,800万円を超える金額になることはないと解される。 第3 当裁判所の判断 1 地方自治法242条の2第12項の趣旨地方自治法242条の2の定める住民訴訟は,住民が,自己の個人的な権利利益の保護救済を求めて提起するものではなく,地方財務行政の適正な運営を確保することを目的として,自己を含む住民全体の利益のために,いわば公益の代表者として提起するものであり,これに勝訴すると,結果として普通地方公共団体の財務会計上の違法な行為又は怠る事実が防止され又は是正されることになる。特に,同条1項4号の規定による住民訴訟は,住民が普通地方公共団体の執行機関等に対して損害賠償請求等の義務付けを求めて提起するものであり,この訴訟において住民が勝訴したときは,執行機関等は損害賠償請求権等の行 項4号の規定による住民訴訟は,住民が普通地方公共団体の執行機関等に対して損害賠償請求等の義務付けを求めて提起するものであり,この訴訟において住民が勝訴したときは,執行機関等は損害賠償請求権等の行使を義務付けられ,これにより普通地方公共団体が現実に経済的利益を受けることになるのであるから,住民がそのために費やした費用を全て負担しなければならないとすることは,衡平の理念に照らし適当とはいい難い。そこで,同条12項は,上記住民訴訟を提起した住民が勝訴(一部勝訴を含む。) - 16 -した場合に,当該住民訴訟の提起及び追行を委任した弁護士に支払うべき報酬額の範囲内で相当と認められる額(弁護士報酬相当額)の支払を普通地方公共団体に対して請求することができることとしたものである。 以上のような同項の立法趣旨に照らすと,同項にいう「相当と認められる額」とは,上記住民訴訟において住民から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,当該訴訟における事案の難易,弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,判決の結果普通地方公共団体が回収した額,住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定められるべきものと解するのが相当である。 (以上につき,平成21年判決参照) 2 認定事実前記前提事実のほか,争いのない事実,各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨により,以下の事実を認めることができる。 (1)本件委任契約の締結原告らは,平成21年5月7日,本件受任弁護士ら(原告ら訴訟代理人弁護士らと同じ)との間で,本件住民訴訟に関し,本件委任契約を締結した。 本件委任契約の概要は,以下のとおりである。(甲4)ア受 ,平成21年5月7日,本件受任弁護士ら(原告ら訴訟代理人弁護士らと同じ)との間で,本件住民訴訟に関し,本件委任契約を締結した。 本件委任契約の概要は,以下のとおりである。(甲4)ア受任範囲は,第一審訴訟事件,控訴審訴訟事件及び上告審訴訟事件とする。 イ弁護士報酬につき,以下のとおり,その種類及び金額又は算定方法を合意した。 (ア)弁護士報酬金本件住民訴訟により確定した判決認容額の元本額を経済的利益の額として,旧報酬規程により算出された着手金額及び報酬金額の合計額に消費税を加算したものとする。 - 17 -(イ)支払時期上記(ア)の弁護士報酬金の一部である42万円については本件委任契約の締結時とし,その余の額については,原告らは連帯して,本件住民訴訟確定時に支払うものとする。 (ウ)特約上記(ア)の金額が,地方自治法242条の2第12項に基づき甲町長が原告らに対して支払う弁護士報酬の額を超過するときは,本件受任弁護士らは,原告らに対して,その超過する部分を請求しない。 (2)本件住民訴訟の経緯ア第一審本件住民訴訟の内容は,甲町の住民である原告らが,平成15年4月1日から平成20年3月31日までの間に被告(甲町)が発注した本件請求対象工事に関し,甲町の地元建設業者によって組織される甲町建設業共同組合の理事(丁及び戊)の主導により,建設業者ら(23業者)の談合が行われた結果,被告が損害を被ったとして,被告の執行機関である甲町長(本件住民訴訟被告)に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,相手方一覧表の「相手方」欄記載の各相手方及び甲町建設業共同組合に対して不法行為に基づく損害賠償請求(合計8億5983万 (本件住民訴訟被告)に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,相手方一覧表の「相手方」欄記載の各相手方及び甲町建設業共同組合に対して不法行為に基づく損害賠償請求(合計8億5983万9750円及び平成21年6月6日から支払済みまでの遅延損害金)をすること(損害賠償請求の義務付け)を求めた住民訴訟である(甲1,15)。なお,原告らは,上記のうち,甲町建設業共同組合に対する損害賠償請求の義務付けに係る訴えについては,平成22年4月9日に実施された第一審の第5回口頭弁論期日において,取り下げた(甲5の5,15)。 本件住民訴訟の第一審の第1回口頭弁論期日は,平成21年7月10日に実施され,平成23年10月12日に実施された第13回口頭弁論期日において6名の証人の取調べを行い(なお,他に1名の証人の取調べが予 - 18 -定されていたが,不出頭により証人採用決定が取り消され,当該証人に係る証拠申出が撤回された。),平成24年1月18日に実施された第14回口頭弁論期日において弁論を終結し,同年6月8日に実施された第15回口頭弁論期日において判決が言い渡された。なお,本件受任弁護士らは,判決言渡期日を含む全ての口頭弁論期日に少なくとも3名出席していた。 (甲1,5,10)本件住民訴訟の第一審における主要な争点は,原告らが指摘した本件請求対象工事に係る談合行為の有無,被告に生じた損害の有無及び額,過失相殺の可否及びその割合の3点であり,原告らは,上記争点に関し,合計9通の準備書面を提出し,書証として甲1号証ないし38号証を提出し,証人1名と原告本人1名の人証申請をしたほか,関連入札妨害事件に関する文書の送付嘱託及び別件民事事件に関する文書の記録の提示の申出を行った( 提出し,書証として甲1号証ないし38号証を提出し,証人1名と原告本人1名の人証申請をしたほか,関連入札妨害事件に関する文書の送付嘱託及び別件民事事件に関する文書の記録の提示の申出を行った(上記書証には,送付嘱託等によって得られた記録を謄写するなどしたものも含まれる。)(甲1,5,9,10,弁論の全趣旨)。 本件住民訴訟の第一審は,審理の結果,本件請求対象工事のうち,甲町建設業共同組合に加入していない業者が入札に参加した工事4件及び落札率が95%未満の工事9件を除く工事については,甲町建設業共同組合の主導により,入札に参加した甲町建設業共同組合加入業者の間で談合が行われていたものと認め,談合が行われたものとして認定された工事において,談合により形成された実際の落札価格と想定落札価格との差額を被告が被った損害とし,民事訴訟法248条を適用して,損害の額については,談合が行われたものとして認定された工事の各落札価格(税抜き)の15%相当額に消費税相当額を加算した額と認めるのが相当であるとした上で,過失相殺の主張を排斥し,甲町長(本件住民訴訟被告)は,相手方一覧表の「相手方」欄記載の各相手方に対し,それぞれ同表の「認定額(第一審)」欄記載の金額(合計5億5732万4775円。なお,丁(50 - 19 -00万円)及び戊(4000万円)に関しては,各建設業者に対する認定額に応じて按分した額について,各建設業者と不真正連帯責任を負うものとされている。)及びこれに対する平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を被告に支払うよう請求することの義務付けを認める一部認容判決をした(甲1)。 イ控訴審本件住民訴訟の第一審の被告補助参加人らは,上記アの第一審判決 年5分の割合による金員を被告に支払うよう請求することの義務付けを認める一部認容判決をした(甲1)。 イ控訴審本件住民訴訟の第一審の被告補助参加人らは,上記アの第一審判決の被告(甲町長)敗訴部分を不服として控訴を提起した(前記前提事実(2)イ)。また,控訴審において,A及びBが控訴人(甲町長)に補助参加した(甲2,6の1)。 控訴審においては,平成24年11月6日に第1回口頭弁論期日が実施され,平成25年1月23日に実施された第2回口頭弁論期日において弁論が終結され,同年5月10日に実施された第3回口頭弁論期日において本件控訴審判決が言い渡された。本件受任弁護士らは,判決言渡期日を含む全ての口頭弁論期日に少なくとも3名出席していた(甲6)。 控訴審における主要な争点は,第一審における争点のほか,控訴審において補助参加した補助参加人2名(A及びB)の補助参加及び不服申立ての範囲の拡張の可否であり,原告らは,上記争点に関し,2通の準備書面を提出し,書証として甲39号証ないし48号証を提出するなどした(甲2,6,11)。 控訴審裁判所は,審理の結果,上記補助参加人2名の補助参加及び不服申立ての範囲の拡張を適法,有効であると認め,第一審が,本件請求対象工事のうち,甲町建設業共同組合に加入していない業者が入札に参加した工事4件及び落札率が95%未満の工事9件を除く工事については,甲町建設業共同組合の主導により,入札に参加した甲町建設業共同組合加入業者の間で談合が行われていたものと認めた点を正当と認め,談合が行われ - 20 -たものとして認定された工事において,談合により形成された実際の落札価格と想定落札価格との差額を被告が被った損害とし,民 が行われていたものと認めた点を正当と認め,談合が行われ - 20 -たものとして認定された工事において,談合により形成された実際の落札価格と想定落札価格との差額を被告が被った損害とし,民事訴訟法248条を適用して損害を算出するとしつつも,損害額については,談合が行われたものとして認定された工事の各落札価格(税抜き)の10%相当額に消費税相当額を加算した額と認めるのが相当であるとした上で,過失相殺の主張を排斥し,その結果,第一審判決を変更し,甲町長(本件住民訴訟控訴人)は,相手方一覧表の「相手方」欄記載の各相手方に対し,それぞれ同表の「認定額(控訴審)」欄記載の金額(合計3億7474万9725円)及びこれに対する平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を被告に支払うよう請求することの義務付けを認める判決をした(本件控訴審判決。甲2)。 ウ上告審本件住民訴訟の控訴人補助参加人らは,本件控訴審判決を不服として敗訴部分の取消しを求めて上告及び上告受理申立てをした(前記前提事実(2)ウ)が,最高裁判所は,平成25年12月17日,上告については,その実質は事実誤認を主張するものであり,民事訴訟法312条1項又は2項に規定する事由に該当しないとして,各上告を棄却し,上告受理の申立てについては,同法318条1項により受理すべきものとは認められないとして,いずれも上告審として受理しない旨決定した(甲3,弁論の全趣旨)。 (3)回収額等ア(ア)被告は,甲町長が損害賠償金元金及び遅延損害金を被告に支払うよう請求することを義務付けた本件控訴審判決が確定したことを受けて,相手方一覧表の「相手方」欄記載の各相手方に対して本件控訴審判決により請求を命じられた金員 金元金及び遅延損害金を被告に支払うよう請求することを義務付けた本件控訴審判決が確定したことを受けて,相手方一覧表の「相手方」欄記載の各相手方に対して本件控訴審判決により請求を命じられた金員の支払を請求し,平成25年7月5日にはKから386万8804円,同月19日にはAから126万632 - 21 -8円,同年9月21日にはBから644万3253円,平成26年2月7日にはLから5195万7124円,同月12日及び同月26日にはMから合計781万1181円の各支払を受けた(乙2)。 被告は,平成26年3月4日,本件控訴審判決により請求を命じられた金員の支払に応じなかった20者(上記5業者を除く18業者及び2名の元理事)を被告とする訴訟を提起した(第2次訴訟。当庁平成26年(ワ)第1937号。乙3ないし7)。 被告は,上記第2次訴訟を提起した後,平成26年3月6日にはNから865万1478円,同月14日にはOから477万3061円,同月17日には泉州ビルドから956万2299円の支払を受けたことから,その頃,これらの業者に対する第2次訴訟を取り下げ,また,同年7月17日にはPが5227万3611円を被告に一括弁済する旨の,同年9月16日にはQが2333万7486円を被告に一括弁済する旨の和解(訴訟上の和解)をそれぞれし,これらの業者に対する第2次訴訟を終了させるとともに各和解金の支払を受けた(乙2)。 (イ)被告が提起した上記(ア)の第2次訴訟のうち,上記(ア)の訴えの取下げ及び一括弁済による和解によって訴訟が終了した各業者以外の者(業者ら及び元理事ら)を被告(第2次訴訟被告)とする部分は,後記(ウ)のとおり分割弁済による和解(訴訟上の和解)によって訴訟 取下げ及び一括弁済による和解によって訴訟が終了した各業者以外の者(業者ら及び元理事ら)を被告(第2次訴訟被告)とする部分は,後記(ウ)のとおり分割弁済による和解(訴訟上の和解)によって訴訟が終了した業者らを被告とする部分を除き,平成26年7月11日から平成27年1月16日までの間に,以下のaないしcのとおり,それぞれ被告とされた者(業者ら及び元理事ら)に損害賠償金元金及び遅延損害金の支払を命ずる判決がされ,これらの判決はいずれもその頃確定した(乙3ないし5,弁論の全趣旨)。 a 第2次訴訟被告 C(乙3) - 22 -判決言渡日平成26年7月11日損害賠償金元金 959万9625円遅延損害金上記元金について平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員b 第2次訴訟被告 G(乙4)判決言渡日平成26年8月22日損害賠償金元金 1349万2500円遅延損害金上記元金について平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員c 第2次訴訟被告 D,E,R,S,T,丁及び戊(乙5)判決言渡日平成27年1月16日損害賠償金元金 D 1593万3750円E 506万4150円R 1335万6000円S 1867万7400円T 537万0750円丁 5000万円戊 4000万円 S 1867万7400円T 537万0750円丁 5000万円戊 4000万円遅延損害金上記損害賠償金元金についてそれぞれ平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし,S及びTについては,平成25年12月20日までの確定遅延損害金(前者につき265万2072円,後者につき77万9820円)を損害賠償金元金に加算された金額が,主文に記載され,うち損害賠償金元金に対する同月21日から支払済みまで年5分の割 - 23 -合による金員の支払とされている。)(ウ)被告が提起した上記(ア)の第2次訴訟のうち,上記(ア)及び(イ)に記載した訴えの取下げ,一括弁済による和解(訴訟上の和解)並びに判決言渡しによって訴訟が終了した各被告以外の業者らを被告(第2次訴訟被告)とする部分は,平成26年10月15日,以下のaないしfのとおり,これらの業者が被告に対して損害賠償金元金及び遅延損害金を支払う旨の訴訟上の和解が成立した(乙6,7)。 a 第2次訴訟被告 U(乙6の1)(a)支払義務を認めた額損害賠償金元金 2133万6000円遅延損害金上記損害賠償金元金に対する平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員(b)分割弁済の金額損害賠償金元金 2133万6000円遅延損害金 567万5960円(上記損害賠償金元金に対する平成21年6月6日から平成26年9月30日までの遅延損害 6000円遅延損害金 567万5960円(上記損害賠償金元金に対する平成21年6月6日から平成26年9月30日までの遅延損害金)合計 2701万1960円(c)分割弁済方法平成26年10月31日限り 100万円同年11月から平成33年8月まで,毎月末日限り31万5000円ずつ同年9月30日限り 18万1960円b 第2次訴訟被告 V(乙6の2) - 24 -(a)支払義務を認めた額損害賠償金元金 5326万6500円遅延損害金上記損害賠償金元金に対する平成21年6月6日から平成25年12月20日までの遅延損害金残金547万8062円及び同月21日から支払済みまで年5分の割合による金員(b)分割弁済の金額損害賠償金元金 5326万6500円遅延損害金 547万8062円(上記(a)の平成25年12月20日までの遅延損害金残金)207万2285円(上記損害賠償金元金に対する同月21日から平成26年9月30日までの遅延損害金)合計 6081万6847円(c)分割弁済方法平成26年10月31日限り 100万円同年11月から平成33年8月まで,毎月末日限 合計 6081万6847円(c)分割弁済方法平成26年10月31日限り 100万円同年11月から平成33年8月まで,毎月末日限り72万3000円ずつ同年9月30日限り 53万0847円c 第2次訴訟被告 W(乙6の3)(a)支払義務を認めた額損害賠償金元金 617万4000円遅延損害金上記損害賠償金元金に対する平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員 - 25 -(b)分割弁済の金額損害賠償金元金 617万4000円遅延損害金 164万2453円(上記損害賠償金元金に対する平成21年6月6日から平成26年9月30日までの遅延損害金)合計 781万6453円(c)分割弁済方法平成26年10月31日限り 14万円同年11月から平成33年8月まで,毎月末日限り9万3000円ずつ同年9月30日限り 5万0453円d 第2次訴訟被告 X(乙7の1)(a)支払義務を認めた額損害賠償金元金 4819万3950円遅延損害金上記損害賠償金元金に対する平成21年6月6日から平成25年12月20日までの遅延損害金残金789万5966円及び同月21日 金 4819万3950円遅延損害金上記損害賠償金元金に対する平成21年6月6日から平成25年12月20日までの遅延損害金残金789万5966円及び同月21日から支払済みまで年5分の割合による金員(b)分割弁済の金額損害賠償金元金 4819万3950円遅延損害金 789万5966円(上記(a)の平成25年12月20日までの遅延損害金残金)187万4942円(上記損害賠償金元金に対する同月21日か - 26 -ら平成26年9月30日までの遅延損害金)合計 5796万4858円(c)分割弁済方法平成26年10月31日限り 80万円同年11月から平成34年8月まで,毎月末日限り60万2000円ずつ同年9月30日限り 57万6858円e 第2次訴訟被告 Y(乙7の2)(a)支払義務を認めた額損害賠償金元金 2120万6203円遅延損害金上記損害賠償金元金に対する平成26年4月26日から支払済みまで年5分の割合による金員(b)分割弁済の金額損害賠償金元金 2120万6203円遅延損害金 45万8983円(上記損害賠償金元金に対する平成26年4月26日から同年9月30日までの 元金 2120万6203円遅延損害金 45万8983円(上記損害賠償金元金に対する平成26年4月26日から同年9月30日までの遅延損害金)合計 2166万5186円(c)分割弁済方法平成26年10月31日限り 30万円同年11月から平成33年8月まで,毎月末日限り25万8000円ずつ同年9月30日限り 20万9186円f 第2次訴訟被告 Z(乙7の3) - 27 -(a)支払義務を認めた額損害賠償金元金 416万8500円遅延損害金上記損害賠償金元金に対する平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員(b)分割弁済の金額損害賠償金元金 416万8500円遅延損害金 110万8935円(上記損害賠償金元金に対する平成21年6月6日から平成26年9月30日までの遅延損害金)合計 527万7435円(c)分割弁済方法平成26年10月31日限り 11万円同年11月から平成33年8月まで,毎月末日限り6万2500円ずつ同年9月30日限り 4万2435円イ被告は,第2次訴訟において和解が成立したものの分割金の支払を履 6万2500円ずつ同年9月30日限り 4万2435円イ被告は,第2次訴訟において和解が成立したものの分割金の支払を履行しなかった業者並びに第2次訴訟に係る判決が確定した業者及び連帯債務の支払を課せられた個人2名(甲町建設業共同組合の理事の職にあった者)について,これらから破産手続を行うことを明言している業者2社(C及びT。乙3の3,14)並びに公示送達により判決を受けた業者1社(G。乙4)を除く9者(D,丁,E,R,S,戊,Z,Y,X)に対して財産開示手続をすることとし,平成27年3月20日付けで同手続に係る申立書を提出し(大阪地方裁判所岸和田支部同年(財チ)第3号ないし第11号),同年5月22日付けで,いずれも財産開 - 28 -示手続を実施する旨の実施決定がされた(乙17,弁論の全趣旨)。 ウ被告の平成27年4月30日時点における回収額は,別紙3「住民訴訟にかかる損害賠償金等の納付状況」の「納付済額計」欄及び別紙4「損害賠償金等納付状況」の「支払(納付)総額」欄記載のとおり,1億9667万6625円(内訳は,損害賠償金元金1億4661万2397円,遅延損害金5006万4228円)である(なお,別紙3及び別紙4において「業者名」欄に対応して付された1ないし25の番号は,相手方一覧表の「相手方」欄に対応して付された番号に対応するものである。)。 3 検討(1)本件住民訴訟における事案の難易,本件受任弁護士らが要した労力の程度等ア前記認定事実(2)のとおり,本件住民訴訟においては,被告において平成15年度から平成19年度までに行われた本件請求対象工事における談合の有無が主要な争 らが要した労力の程度等ア前記認定事実(2)のとおり,本件住民訴訟においては,被告において平成15年度から平成19年度までに行われた本件請求対象工事における談合の有無が主要な争点の一つであったところ,一般に談合は秘密裏に行われるものであって,その証拠の収集にも困難を来すものといえる上,本件請求対象工事は,上記のとおり5年間に及ぶ合計157件の公共工事であって(甲1,2),本件住民訴訟において損害賠償請求をすべきものとされた公共工事の件数も144件であり,業者も23業者に上るなど,その関係者も多数に及ぶものということができる。そして,上記争点に関しては,平成20年3月にD代表者らに対する関連入札妨害事件についてされた刑事事件判決において,甲町建設業共同組合主導の下で長年にわたり恒常的に談合が存在した旨の事実が認定されており,これが原告らが本件住民訴訟を提起する端緒となり,かつ本件請求対象工事について談合がされたことを疑わせる重要な契機となってはいるものの(甲1,弁論の全趣旨),本件請求対象工事の中には本件住民訴訟 - 29 -の提起の時点でその契約から5年程度が経過したものも存し(前記前提事実(2),甲1),関連入札妨害事件の事件記録の他には本件請求対象工事について談合の存在を示す十分な証拠を入手することは困難であったものといえる。さらに,上記のとおり,本件請求対象工事の件数も多数に上るものであって,本件住民訴訟において損害賠償請求をすべきものとされた業者の数も23者と相当数に上る上,甲町建設業共同組合の元理事2名の責任も追及しており,また,これら損害賠償請求をすべきものとされた業者や理事個人の大部分の者が本件住民訴訟に補助参加しており,かつこれら補助参加人らとの間で ,甲町建設業共同組合の元理事2名の責任も追及しており,また,これら損害賠償請求をすべきものとされた業者や理事個人の大部分の者が本件住民訴訟に補助参加しており,かつこれら補助参加人らとの間で大きく主張が対立していたものであった(甲1,2)。そのため,本件受任弁護士らとしては,談合の存在等について,関係者の供述の信用性の検討に加えて,間接事実を積み重ねることによりこれを推認するという立証方法を採ることを余儀なくされたことがうかがわれる(この点,本件住民訴訟被告(甲町長)が原告らの主張立証活動に特段協力的であったという形跡もうかがわれない。)。そして,原告らは,平成15年度から平成19年度までに行われた本件請求対象工事における談合が存在したことを立証するため,関連入札妨害事件に係る事件記録等を入手する必要があり,そのために前記認定事実(2)アのとおり,本件受任弁護士らにおいて文書送付嘱託や記録の提示の申出をするなどし,これらにより裁判所に送付等された記録の謄写等を行って本件住民訴訟に書証として提出をしたものであって,本件住民訴訟を進めるに当たっては,関連入札妨害事件に係る記録等の検討,分析等を含めて相当程度の労力を割くことをやむなくされていたものといえる。 さらに,前記前提事実(2)及び前記認定事実(2)のとおり,本件住民訴訟は,訴え提起から判決の確定まで4年6か月以上を要し,第一審においては6名の証人尋問を実施している。 - 30 -以上の諸点に鑑みると,本件住民訴訟は,相当程度複雑困難な事案であったものと認められる。 イこのように本件住民訴訟は相当程度複雑困難な事案であったものであるところ,前記認定事実(2)ア,イのとおり,本件受任弁護士らは,第一審及び 相当程度複雑困難な事案であったものと認められる。 イこのように本件住民訴訟は相当程度複雑困難な事案であったものであるところ,前記認定事実(2)ア,イのとおり,本件受任弁護士らは,第一審及び控訴審において,多数の準備書面及び書証を提出しているほか,第一審においては6名の証人尋問を行っているが,うち5名は本件住民訴訟の補助参加人らの申請に係るものであり,原告ら申請の1名を含めた全員が原告らにとってはいわゆる敵性証人であって(甲10,弁論の全趣旨),本件受任弁護士らにおいては,その尋問に相当程度の労力を要したものと推認される。そして,本件受任弁護士らは,第一審及び控訴審の各口頭弁論期日において必ず3名以上が出席している。 (2)本件住民訴訟の判決(本件控訴審判決)において認容された額,本件控訴審判決を踏まえ被告が回収した額前記認定事実(2)イのとおり,本件住民訴訟において,本件控訴審判決において認容された額は3億7474万9725円(損害賠償金元金)及びこれに対する平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員(遅延損害金)である。 他方,前記認定事実(3)ウのとおり,本件控訴審判決の結果,これに基づいて被告が回収した額は,平成27年4月30日時点において,損害賠償金元金1億4661万2397円及び遅延損害金5006万4228円の合計1億9667万6625円であり,被告は,同時点において,現実に同額の経済的利益を受けたものということができる。 なお,上記のとおり,被告が回収した上記金額は遅延損害金を含むものであるが,本件住民訴訟において遅延損害金の請求がされており,本件控訴審判決において遅延損害金に係る部分が認容されていたことから,被告は損害賠償金元金に係る平成21年6月6日か 害金を含むものであるが,本件住民訴訟において遅延損害金の請求がされており,本件控訴審判決において遅延損害金に係る部分が認容されていたことから,被告は損害賠償金元金に係る平成21年6月6日からの遅延損害金を得 - 31 -ることができたというべきであり,実際に被告は年5分の割合により計算される遅延損害金を収受している以上,回収した額からからこれを除外して評価することは相当とは解されない。 この点,本件委任契約においては本件住民訴訟により確定した判決認容額の元本額を経済的利益の額とする旨合意されている(前記認定事実(1)イ(ア))ところ,被告は,かかる本件委任契約の合意内容に照らしても,遅延損害金の額を考慮すべきではない旨主張する。しかしながら,住民訴訟において住民(原告)が勝訴(一部勝訴した場合を含む。)した場合に普通地方公共団体から当該住民に支払われるべき弁護士報酬相当額を検討するに際しては,当該住民訴訟が当該普通地方公共団体の財産の回復を目的とするものであること(地方自治法242条の2第1項4号の場合)に鑑みて,当該住民訴訟で認められた判決認容額のみでなく,その範囲内で,当該普通地方公共団体が現実に回収することができた金額をも勘案することが住民訴訟の性格にかなうものといえる。そうである以上,たとい本件委任契約のように,弁護士報酬額算定の基礎となる経済的利益の額が判決認容額の元本額とされている場合であっても(なお,あくまでも「判決認容額」の元本額であって,「回収額」の元本額とはされていない。),その範囲内にとどまる限りは,上記のとおり現実に回収した遅延損害金の額をも含めて勘案すべきである。 そして,本件において,既に納付された損害賠償金元金及び遅延損害金の合計額(1億96 ない。),その範囲内にとどまる限りは,上記のとおり現実に回収した遅延損害金の額をも含めて勘案すべきである。 そして,本件において,既に納付された損害賠償金元金及び遅延損害金の合計額(1億9667万6625円)は本件控訴審判決における認容額の元金部分(3億7474万9725円)に満たないことからすれば,損害賠償金元金部分のみを基準として経済的利益の額を考慮すべきとする上記被告の主張を採用することはできない。 (3)住民訴訟の性格前記1のとおり,住民訴訟は,住民が,自己の個人的な権利利益の保護 - 32 -救済を求めて提起するものではなく,地方財務行政の適正な運営を確保することを目的として,自己を含む住民全体の利益のために,いわば公益の代表者として提起するものであり,地方自治法242条の2第12項も,住民が地方公共団体に請求できる金額について,訴訟を委任した弁護士に支払うべき報酬額の範囲内で相当と認められる額としていることからすれば,弁護士報酬相当額は,このような住民訴訟の性格や上記条文の規定内容をも踏まえたものであって,地方財務行政の適正化という住民訴訟の目的に反するような高額な金額をもって,弁護士報酬相当額ということはできない。 (4) 旧報酬規程による報酬額及び消費税本件委任契約によれば,原告らが本件受任弁護士らに支払うべき弁護士報酬額は,旧報酬規程に基づく着手金・報酬額及び消費税である旨合意されている(ただし,前記認定事実(1)イ(ウ)のとおりの限定がある。)。 そこで,事件の内容による増減額等を考慮せず,被告の受けた経済的利益を以下のとおり仮定した上で,旧報酬規程を適用した場合の着手金・報酬額及び消費税を算定すると(なお,控訴審及び上告審の着手金については考慮しないものとする。 を考慮せず,被告の受けた経済的利益を以下のとおり仮定した上で,旧報酬規程を適用した場合の着手金・報酬額及び消費税を算定すると(なお,控訴審及び上告審の着手金については考慮しないものとする。),次のとおりとなる。 ア被告の受けた経済的利益を回収金額1億9667万6625円とした場合(1円未満切り捨て。以下同様。)(ア)着手金 659万0298円(イ)報酬金 1318万0597円(ウ)上記(ア)及び(イ)の合計 1977万0895円(エ)上記(ウ)の金額に消費税(5%)を加算した額 2075万9439円イ被告の受けた経済的利益を,本件控訴審判決の認容額元本3億7474 - 33 -万9725円とした場合(なお,旧報酬規程では,経済的利益の額には,利息及び遅延損害金を含むとされている(14条1項1号)ことから,本件控訴審判決確定時までの遅延損害金の額も加算した額を被告が受けた経済的利益の額とすることも考えられるが,前記認定事実(1)イのとおり,本件委任契約においては,判決認容額の元本額を経済的利益の額として算出するとされているから,上記のとおり認容額元本を基に算出することとした。)(ア)着手金 1118万4994円(イ)報酬金 2236万9989円(ウ)上記(ア)及び(イ)の合計 3355万4983円(エ)上記(ウ)の金額に消費税を加算した額 3523万2732円(同金額は,原告らの請求額である。)(5) 分割弁済による和解に係る未回収分の考慮について原告らは,被告が談合した業者との間で締結した分割弁済による和解について,未回収部分を含めてその全額,または少なくともその債権総額の7割をもって経済的利益として考慮すべきと主張する。 しかし,上記和解により 合した業者との間で締結した分割弁済による和解について,未回収部分を含めてその全額,または少なくともその債権総額の7割をもって経済的利益として考慮すべきと主張する。 しかし,上記和解により合意された金額のうち,期限の未到来分も含めて実際に支払われていない部分については,被告に生じた損害が現実に回復されていない以上,これを地方公共団体が回収した額と同視することが相当とは解されない。 また,原告らが指摘するように,旧報酬規程には継続的給付債権についてはその債権総額の7割を経済的利益の額として算定する旨の定めも存する(14条3号)ものの,本件の第2次訴訟において締結された前記認定事実(3)ア(ウ)記載の和解は7年間ないし8年間にわたる長期の分割弁済である上,上記和解に沿った弁済を行っていない業者も複数存すること(別紙4「損害賠償金等納付状況」の「納付状況」欄参照)に照らせば, - 34 -その回収には相当の困難も見込まれるのであって,上述のような住民訴訟の性格に鑑みても,上記和解において合意された債権総額の7割が本件住民訴訟によってもたらされた経済的利益であると断じることは相当とは解されない。 (6)被告主張の経費等の考慮について被告は,別紙2「住民訴訟にかかる年度別経費(概数)」のとおり,損害賠償金回収のために約1億3000万円もの経費を支出しているほか,国庫補助金等を受けて事業実施したものについて多額の返還金が生じるから,これらの経費及び返還金の相当額を回収した金額から控除すべきである旨主張する。しかしながら,勝訴により確保された経済的利益の額として判決の結果当該普通地方公共団体が回収した額を考慮するに際しては,その額は,現に回収された額とすべきであり,現に回収された額か る旨主張する。しかしながら,勝訴により確保された経済的利益の額として判決の結果当該普通地方公共団体が回収した額を考慮するに際しては,その額は,現に回収された額とすべきであり,現に回収された額からその回収に伴い国に返還されることとなる国庫補助金相当額を控除した額とすべきではないし(平成23年判決参照),回収のための経費についても,現に回収された金額部分に対応したもの以外の経費も含まれている上,これらの経費は地方公共団体の業務に属するものともいい得ることに照らせば,勝訴により確保された経済的利益の額として本件住民訴訟に係る本件控訴審判決の結果被告が回収した額として考慮すべきものとはいえない。 (7) 判断前記1記載のとおり,地方自治法242条の2第12項にいう「相当と認められる額」とは,住民訴訟を提起した住民が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において,当該住民から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,当該訴訟における事案の難易,弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,判決の結果普通地方公共団体が回収した額,住民訴訟の性格その他諸般の事情を総 - 35 -合的に勘案して定められるべきものと解するのが相当である。 これを本件についてみるに,既述のとおり,本件住民訴訟は相当程度複雑困難な事案であり,本件受任弁護士らは,本件住民訴訟を提起,追行するについて,相当な労力及び時間を要したものと認められる。また,本件住民訴訟で認容された額(本件控訴審判決による認容額)は,損害賠償金元金合計3億7474万9725円及び遅延損害金の請求の義務付けであり,被告による回収額は,平成27年4月30日 られる。また,本件住民訴訟で認容された額(本件控訴審判決による認容額)は,損害賠償金元金合計3億7474万9725円及び遅延損害金の請求の義務付けであり,被告による回収額は,平成27年4月30日時点において,損害賠償金元金1億4661万2397円及び遅延損害金5006万4228円の合計1億9667万6625円である。この点,弁護士報酬相当額を判断するに当たっては,上記のとおり,本件住民訴訟で認容された額自体も重要な要素となるとともに,住民が,自己の個人的な権利利益の保護救済を求めて提起するものではなく,地方財務行政の適正な運営を確保することを目的として,自己を含む住民全体の利益のために,いわば公益の代表者として提起するものであるという住民訴訟の性格にも鑑みれば,本件控訴審判決を踏まえて被告が現実に回収した金額もまた重要な要素となるものというべきである。もっとも,和解が成立した業者からは将来一定額の回収も見込まれること(別紙4「損害賠償金等納付状況」のとおり,前記認定事実(3)ア(ウ)記載の第2次訴訟において分割弁済による和解が成立した業者6者のうち3者からは,その後和解金の納付がされている。)に照らせば,上記のとおり,本件住民訴訟で認容された額自体も勘案すべきであって,上記現時点(本件口頭弁論終結時点に近接するものとして認定できる平成27年4月30日時点)での回収額のみを基準に弁護士報酬相当額を認定することは相当ではない。以上に加え,前記認定事実(1)で認定した本件委任契約における弁護士報酬等の約定内容や,上記(4)の被告が現実に回収した金額と本件住民訴訟で認容された損害賠償金元金の金額をそれぞれ経済的利益の額として旧報酬規程に基づいて算出した金 - 36 -額等をあわせ勘案すると,本件における弁護士報酬相当額は,2100 た金額と本件住民訴訟で認容された損害賠償金元金の金額をそれぞれ経済的利益の額として旧報酬規程に基づいて算出した金 - 36 -額等をあわせ勘案すると,本件における弁護士報酬相当額は,2100万円(2000万円とこれに対する5%の消費税額100万円の合計額)と認めるのが相当である。 4 遅延損害金の起算点地方自治法242条の2第12項に基づく被告の弁護士報酬相当額の支払義務は期限の定めのない債務と解するべきであり,被告が原告らから履行の請求を受けた時から遅滞に陥る(民法412条3項)ところ,前記前提事実(3)のとおり,原告らは,平成25年12月26日,被告に対し,本件住民訴訟に係る弁護士報酬相当額として,3523万2732円を14日以内に支払うよう請求しているから,本件の弁護士報酬相当額の遅延損害金の起算点は平成26年1月10日となる。 5 結論以上によれば,原告らの請求は,2100万円及びこれに対する平成26年1月10日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからその限度でこれを認容し(なお,原告らの各請求に係る債権は,その性質上,不可分債権と認められる。),その余の請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条本文,65条1項本文,61条を適用して,主文のとおり判決する(なお,仮執行宣言を付することは相当でないので,これを付さないこととする。)。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官田中健治 - 37 - 裁判官新宮智之 裁判官 田中健治 裁判官新宮智之 裁判官坂本達也

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