【DRY-RUN】主 文 太件控訴を棄却する。 当審における訴訟費用は被告人の負担とする。 理 由 弁護人菅野虎雄並びに被告人の控訴趣意は末尾に添附した書面記載のとお
主文 太件控訴を棄却する。 当審における訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 弁護人菅野虎雄並びに被告人の控訴趣意は末尾に添附した書面記載のとおりである。 弁護人の控訴趣意第一点について。 <要旨>横領罪の目的物は犯人の占有する他人の物であることを要件とし必らずしも、物の給付者において民法上の</要旨>返還請求権を有することを要件としないのであるから、たとい不法な原因のためであるにせよ、他人から金銭を預つて保管中これを擅に費消するときは刑法にいわゆる横領罪の成立することは明らかである。 原判決の確定した判示第一の各事実は、被告人は(一)Aと共謀の上、昭和二十二年十一月中旬頃、Bから預かつた米買受代金中千円を、(二)単独で昭和二十三年一月二日頃、同人から預かつた米買受代金中七千円を、いずれもその頃擅に自己の用途に費消横領したものであるというのであつて、被告人がBから交付を受けて被告人の占有に帰した本件各金銭は米の闇買のために預かつたもので、たとい同人において不法な原因のための給付として、その給付したものの返還請求権を有しないものであるにせよ、同人から受取つて保管していたものであるから、被告人の物でもなく、又所論のようにそれが代替性を有し特定物の寄託ではないからといつて直ちにその金銭が被告人の物であるということもできないので、右金銭は被告人の占有する他人の物であり、その給付者たるBにおいて民法上返還請求権を有すると否とを問わず被告人がこれを擅に自己の用途に費消した以上、横領罪を構成するものといわねばならない。 されば原判決が前掲判示事実を刑法第二百五十二条第一項の横領罪に問擬処断したことは正当であつて、論旨は理由がない。 被告人の控訴趣意について被告人は縷々陳述しているがこれを いわねばならない。 されば原判決が前掲判示事実を刑法第二百五十二条第一項の横領罪に問擬処断したことは正当であつて、論旨は理由がない。 被告人の控訴趣意について被告人は縷々陳述しているがこれを要約すると、被告人に対する本件起訴は虚偽の内容に基くもので捜査官憲が三栄丸事件を隠蔽するためにした不純な動機に基ずくものである。Bからの預り金については、Cの仲介により既に示談解決しており、そのことは同人の昭和二十五年二月九日原審公判廷における証言に上つて立証されておるし、又原判決の認定しておる判示第二の窃盗の点もDの予かじめの承諾の下に判示衣類を持ち出したもので、何等罪とはならないのに被告人に対して有罪の認定をした原判決には事実の誤認があるという趣旨に帰する。 しかし、犯罪後に、被害を弁償してもそれは情状に考慮されることは格別、犯罪の成否に何等の消長を及ぼすものでないことはいうまでもないし、又、被告人が予じめDの承認を得ていたとの点については記録を精査してもこれを認めるに足りる証拠は発見できない。 そして、原判決の挙示している各証拠を綜合すると、原判示の各事実は優にこれを認めることができるので、原判決には所論のように事実の誤認があるということはできない。論旨は理由がない。 弁護人の控訴趣意第六点について。 しかし、本件記録及び原裁判所において取調べた証拠に現われた被告人の性格、年齢、境遇、並びに犯罪の情状及び犯罪後の情況等を考究しなお所論の情状を参酌しても原審の被告人に対する刑の量定はまことに相当で、これを不当とする事由を発見することができないので論旨は採用することができない。 よつて刑事訴訟法第三百九十六条に従い本件控訴を棄却し訴訟費用の負担につき同法第百八十一条第一項を適用して主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官白石亀裁判官 ので論旨は採用することができない。 よつて刑事訴訟法第三百九十六条に従い本件控訴を棄却し訴訟費用の負担につき同法第百八十一条第一項を適用して主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官白石亀裁判官大曲壮次郎裁判官吉田信孝)
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