令和5(行ケ)10126 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年5月21日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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判決文本文27,333 文字)

令和6年5月21日判決言渡令和5年(行ケ)第10126号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和6年2月27日判決当事者別紙1当事者目録記載のとおり 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 特許庁が無効2022-890086号事件について令和5年9月28日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 当事者⑴ 原告は、その目的を「この教団は、A師を教祖と仰ぎ、その垂訓を最高神 の啓示と信じ、その立教の本義に基づき、教義をひろめ、儀式行事を行い、信者を教化育成して、世界の人類を救済し、地上天国を建設する使命を有し、宗教団体を包括し、その他この教団の目的を達成するために必要な業務及び事業を行う。」とする宗教法人であり、法人の成立は昭和27年8月7日である。(弁論の全趣旨) ⑵ 被告は、その目的を「この教団は、A師を教祖と仰ぎ、その垂訓を最高神の啓示と信じ、その立教の本義に基づき、教義をひろめ、儀式行事を行い、信者を教化育成して、世界の人類を救済し、地上天国を建設する使命を有し、その他この教団の目的を達成するために必要な業務及び事業を行う。」とする宗教法人であり、法人の成立は平成11年6月15日である。(弁論の全趣 旨) ⑶ 原告と被告との間では、平成12年以降、宗教法人法12条1項4号の規定に基づき、原告を包括宗教法人、被告を被包括宗教法人とする関係が形成されたが、原告の責任役員会は、平成30年1月30日、被告との包括・被包括関係を廃止する旨の決議をした。これに対し、被告は、上記決議が無効であると主張し、被告が原告の被包括宗教法人の地位にあることの されたが、原告の責任役員会は、平成30年1月30日、被告との包括・被包括関係を廃止する旨の決議をした。これに対し、被告は、上記決議が無効であると主張し、被告が原告の被包括宗教法人の地位にあることの確認等を 求める訴訟を提起している。(甲9の1・2、10、11の1、26) 2 特許庁における手続の経緯等⑴ 被告は、次の商標(以下「本件商標」という。)について、令和元年12月13日に商標登録を受けた(登録番号第6206019号)。(甲1、54)ア商標の構成 イ指定商品及び指定役務第9類「理化学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、光学機械器具、測定機械器具、電気通信機械器具、腕時計型携帯情報端末並びにその部品及び附属品、スマートフォン並びにその部品及び附属品、 携帯情報端末、電子応用機械器具及びその部品、眼鏡、家庭用テレビゲーム機用プログラム、携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM、メトロノーム、電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM、電気又は電子楽器用フェイザー、レコード、インターネ ットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル、インターネットを利用して受信し保存することができる画像ファイル、録画済みビデオディスク及びビデオテープ、録音済み及び録画済み記録媒体、電子出版物」第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤、封ろう、印刷用インテ ル、活字、あて名印刷機、印字用インクリボン、自動印紙はり付け機、事務用電動式ステープラ、事務用封かん機、消印機、製図用具、タイプライター、チェックライター、謄写版、凸版複写機、文書裁断機、郵便料金計器、輪転謄写機、マーキング用孔開型板、装飾塗工用ブラシ、紙製包装 用電動式ステープラ、事務用封かん機、消印機、製図用具、タイプライター、チェックライター、謄写版、凸版複写機、文書裁断機、郵便料金計器、輪転謄写機、マーキング用孔開型板、装飾塗工用ブラシ、紙製包装用容器、プ ラスチック製包装用袋、家庭用食品包装フイルム、紙製ごみ収集用袋、プラスチック製ごみ収集用袋、型紙、裁縫用チャコ、紙製のぼり、紙製旗、衛生手ふき、紙製タオル、紙製テーブルナプキン、紙製手ふき、紙製ハンカチ、荷札、印刷したくじ(「おもちゃ」を除く。)、紙類、文房具類、印刷物、書 画、写真、写真立て」第25類「被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、仮装用衣服、運動用特殊靴、運動用特殊衣服」第41類「宗教に関する教義・教典・知識・思想の教授、宗教の教授、宗教教育、宗教教育に関する情報の提供、技芸・スポーツ又 は知識の教授、献体に関する情報の提供、献体の手配、宗教に関する講演会の企画・運営又は開催、セミナーの企画・運営又は開催、植物の供覧、動物の供覧、電子出版物の提供、図書及び記録の供覧、図書の貸与、美術品の展示、庭園の供覧、洞窟の供覧、書籍の制作、映画・演芸・演劇又は音楽の 演奏の興行の企画又は運営、映画の上映・制作又は配給、演芸の上演、演劇の演出又は上演、音楽の演奏、放送番組の制作、教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)、スポーツの興行の企画・運営又は開催、興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・ 音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自 動車競走の興行に関するものを除く。)、運動施設の提供、娯楽施設の提供、映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供、レコード又は録音済み磁気テープの貸与、録画済み 輪・競艇・小型自 動車競走の興行に関するものを除く。)、運動施設の提供、娯楽施設の提供、映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供、レコード又は録音済み磁気テープの貸与、録画済み磁気テープの貸与」ウ登録出願日平成30年10月9日 エ登録査定日令和元年11月29日オ設定登録日令和元年12月13日⑵ 原告は、令和4年11月15日、本件商標について商標登録無効審判を請求した(無効2022-890086号。以下「本件無効審判請求」という。)。 ⑶ 特許庁は、令和5年9月28日、「本件審判の請求は、成り立たない。」と する審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同年10月11日に原告に送達された。 ⑷ 原告は、令和5年11月6日、本件審決の取消しを求めて、本件訴えを提起した。 ⑸ 原告が、本件無効審判請求の無効理由において引用した標章は、「世界救世 教」の文字よりなるものである(以下、この標章を「引用標章」ということがある。)。 3 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は、別紙2審決書(写し)のとおりであり、その要旨は次のとおりである。 ⑴ 無効理由1(商標法4条1項7号)について本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字ではなく、本件商標と引用標章とは、相紛れるおそれのない非類似の商標及び標章であって、別異の商標及び標章といい得るものであり、その類似性の程度は低い。 引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、原告の業務 に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国において、「世界救世教」の信徒や宗教に関心を有する者以外の我が国の一般の需要者の間に広く知られていると認め 時及び登録査定時において、原告の業務 に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国において、「世界救世教」の信徒や宗教に関心を有する者以外の我が国の一般の需要者の間に広く知られていると認めることはできない。 そうすると、被告が、本件商標をその指定商品及び指定役務について、自己の商標として独占的に使用しても、引用標章「世界救世教」を連想、想起 させることはなく、公正な競業秩序を害し、社会公共の利益に反するおそれもない。 また、本件商標が、他の法律によって、使用等が禁止されていることも確認することができず、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するような特別な事情も存在しない。 さらに、被告が、原告に対し、引用標章の使用の差止請求や、不当な金額での本件商標の買取り請求等を行った事実は確認できないことからすると、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合には該当しない。 したがって、本件商標は、商標法4条1項7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当しない。 ⑵ 無効理由2(商標法4条1項6号)について本件商標と引用標章は、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する商標及 び標章であるとしても、引用標章は著名なものとはいえず、かつ、本件商標と引用標章とは相紛れるおそれのない非類似の商標及び標章であるから、本件商標は、商標法4条1項6号に該当しない。 ⑶ 無効理由3(商標法4条1項15号)について引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、原告の業務 に係る商品及び役務を表示する 件商標は、商標法4条1項6号に該当しない。 ⑶ 無効理由3(商標法4条1項15号)について引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、原告の業務 に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国における「世界救世教」 の信徒や宗教に関心を有する者以外の我が国の一般の需要者の間に広く知られていると認めることはできない。 本件商標と引用標章とは、相紛れるおそれのない非類似の商標及び標章であり、別異の商標及び標章といい得るから、類似性の程度は低い。 本件商標の指定商品及び指定役務と原告の業務に係る商品及び役務は、密 接な関連性を有するものといえ、需要者の範囲も共通にするといえるが、本件商標に接する需要者が、原告又は引用標章を連想又は想起することはなく、その商品及び役務が原告あるいは原告と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当である。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法4条1項15号に該当しない。 4 取消事由⑴ 取消事由1 商標法4条1項7号該当性についての判断の誤り⑵ 取消事由2商標法4条1項6号該当性についての判断の誤り⑶ 取消事由3商標法4条1項15号該当性についての判断の誤り 第3 当事者の主張 1 取消事由1(商標法4条1項7号該当性についての判断の誤り)について〔原告の主張〕⑴ 原告は、開教された昭和25年当時、「世界救世教」の「救世」の文字に振り仮名として「メシヤ」と記載したり(「世界救世メシヤ教」)、単に「メシヤ教」と 表示したりしていた。この 主張〕⑴ 原告は、開教された昭和25年当時、「世界救世教」の「救世」の文字に振り仮名として「メシヤ」と記載したり(「世界救世メシヤ教」)、単に「メシヤ教」と 表示したりしていた。このような表示は、教祖であるAが昭和30年に死亡 した後、昭和32年に、単に「世界救世教」と称するようになるまで続いた。 原告が上記のように振り仮名の「メシヤ」を用い、又は「メシヤ教」と称していた時期はそれほど長くはないが、教祖であるA自身が教団の名称として選択し、存命中に使用した名称である事実が、信者のみならず一般社会や国民に与えた印象は強烈であった。上記開教からAが死亡するまでの5年間 の間に、原告は日本国内において非常に活発な布教活動を行い、信者を大幅に増加させており、原告の布教活動は一般社会や国民に受け入れられていた。 また、原告においては、教祖の示した教えが教義として最も根本のものとなることから、その教祖の教えの一端を理解してもらうべく、開教当時の教祖の講演記録等を引用した雑誌や書籍を繰り返し発行している(甲13)。そ の中には、原告を示すものとして、「世界救世メシヤ教」あるいは「メシヤ教」という表示が記載されており、原告の発行する雑誌や書籍の読者は、原告が開教当初これらの名称を用いていたことを認識する。 このように、「世界メシヤ教」又は「メシヤ教」という名称は、社会に刷り込まれており、簡単に消え去るものではない。新宗教事典(甲14)などの 事典、辞書、雑誌、インターネット上のウェブ百科事典「コトバンク」、「ウィキペディア」等において、「世界メシヤ教」若しくは「世界メシア教」又はその略称である「メシヤ教」「メシア教」が原告を示すものとして表示されていること(甲14~17、78、80~83、107~109〔いずれ ィア」等において、「世界メシヤ教」若しくは「世界メシア教」又はその略称である「メシヤ教」「メシア教」が原告を示すものとして表示されていること(甲14~17、78、80~83、107~109〔いずれも枝番含む。以下同じ。〕)も、上記名称が原告を示すものとして強く社会に浸透 していることを示す。 原告が社会に浸透させたのは「世界メシヤ教」及び「メシヤ教」であるが、第三者が原告を示すものとして「世界メシヤ教」という名称を使用しているうちに、「世界」の語が省略されたり、発音として「メシヤ」の3音目の「ヤ」と「ア」の区別がつかなくなったりしたものであり、このような変化が生じ ること自体、「世界メシヤ教」という名称が社会において多数回使用され、広 く浸透していたことを意味している。 ⑵ア被告の称する「世界メシア教」は、原告を指し示すものとしての「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」、「メシア教」と同一又は類似している。 イ被告は、本件商標の登録後である令和3年から令和5年にかけて、立て 続けに、プレスリリース配信のためのポータルサイトに記事を掲載したが、これらの記事では、平成30年6月24日に教主推戴を取り消されることによって原告の第四代教主でなくなったBについて、「世界救世教四代教主」との肩書を付して記載されている(甲88、89)。これらの記載に接する者は、「世界救世教」が現在は「世界メシア教」と称するようになり、 その両宗教団体は同一であり、その宗教団体の現在の教主が第四代教主であるBであると理解する。 また、被告は、他の記載においても、Bに「世界救世教教主」との肩書を付し、同人が現在も原告の教主であるかのごとき表示をして被告のホームページ等で外部に発信し(甲21、91の1)、「世界救世 る。 また、被告は、他の記載においても、Bに「世界救世教教主」との肩書を付し、同人が現在も原告の教主であるかのごとき表示をして被告のホームページ等で外部に発信し(甲21、91の1)、「世界救世教四代目教 主」等と称するBの許しを得て「世界メシア教」と名乗ることとしたなどと発表したり(甲91~93)、C について「世界救世教教主補佐」との肩書を付したり(甲21、22)、「世界救世教教主後継者」と記載したりしている(甲94)。 ウ以上のことからすると、被告は、原告が「世界メシヤ教」あるいは「メ シヤ教」として社会において知られ、一定の社会的な信用を得ていることを十分に認識した上で、「被告=原告」との混同を社会に生じさせようとしているものといわざるを得ない。すなわち、被告は、「世界メシア教」と称することによって、原告との入れ替わりを図り、原告自体の名声を利用して、宗教法人としての存立基盤を維持しようとしている。 被告が上記の意図を有していることは、被告が、原告から包括・被包括 関係を廃止された平成30年1月30日から約2年後に「世界メシア教」と称することを対外的に公表し、その間に、本件商標の登録出願を行い、かつ、本件商標と文字の構成が同一であるが指定商品及び指定役務が異なる商標(以下「別件商標」という。)についても登録出願を行っていることからも認められる。 また、被告は、原告との間で教義に相違があることを認めるのであれば原告との包括・被包括関係からの離脱を積極的に図るべきものであるが、あえて包括・被包括関係廃止を争い、並行して、本来の名称とは異なる「世界メシア教」の名称を違法に名乗っており、このような対応からしても、「世界メシア教」と名乗った意図が、原告とすり替わって原告の歴史や社 会的信 係廃止を争い、並行して、本来の名称とは異なる「世界メシア教」の名称を違法に名乗っており、このような対応からしても、「世界メシア教」と名乗った意図が、原告とすり替わって原告の歴史や社 会的信用を簒奪しようとすることにあることを表している。 実際に、原告及び被告の地元の新聞(熱海新聞)において、原告と被告を混同した記事が掲載されており(甲95)、今後も被告が違法に「世界メシア教」と称し続け、かつ、その違法な名称と同一である本件商標を使用すれば、このような混同の発生が増加することは明らかである。 ⑶ 宗教法人の名称は、当該宗教法人の規則に定めなければならず(宗教法人法12条1項2号)、この規則は所轄庁の審査を経て認証を受ける必要がある(同項柱書き、同法14条)。この認証を受けた規則は、当該宗教法人の役員等構成員を拘束し、代表役員及び責任役員は、規則に従うことを義務付けられている(同法18条5項)。そして、名称を変更するには、これが規則で 定められている以上、規則変更のための所定の手続をとった上で所轄官庁に対して認証申請し、審査を受けて認証を受ける必要がある(同法26~28条)。 そして、文化庁による宗教法人の管理運営に関する書籍には、「名称は、自然人の氏名に相当するもので、法人は、この名称において活動します。」、「他 の法人、団体等と識別できるような名称を使用するようにします。」との記載 があるほか(甲85)、規則と実際の運営とは常に一致させておく必要がある、宗教法人は常に規則にのっとった適正な事務の運営を図ることが期待されている、規則の規定と実際の運営方法が異なっている場合は違法な状態にあると説明されている(甲84~86)。すなわち、文化庁も、宗教法人はその規則に定めた名称で活動しなければならず、その とが期待されている、規則の規定と実際の運営方法が異なっている場合は違法な状態にあると説明されている(甲84~86)。すなわち、文化庁も、宗教法人はその規則に定めた名称で活動しなければならず、その規則と実際の運営が異なって いるのは違法な状態であり、速やかにその一致を図るべきであるとしている。 被告の規則で定められた名称は「世界救世教主之光教団」であり、その本来的な活動である宗教活動において被告が勝手に異なる名称を使用することは、規則変更について定める宗教法人法の規定を潜脱するものであって、違法な行為である。 被告は、宗教法人法による定めは世俗的行為にのみ適用され、宗教活動については信教の自由により同法の規制を受けないとの認識を有しているようであるが、被告は、世俗的行為も含め「世界メシア教」を自己の名称として使用しており(甲88の1~6)、少なくともこの点において、規則変更に関する宗教法人法の規定を無視して名称変更を行っている。 ⑷ア商標審査便覧42.107.36「『会社』等の文字を有する商標の取扱い」(甲96)は、自然人が「株式会社」や「(株)」等、会社を認識させる文字を含む商標を出願した場合、及び自己の商号と異なる商号を自己の商標として採択・使用することは、商標法4条1項7号に該当するものと判断する旨記載している。 上記商標審査便覧が記載する判断基準は、商標の出所表示機能との関係から、取引主体について誤認混同を招くことが商標法の期待する公序良俗である「商取引の秩序」を混乱させるものと解しているといえる。そして、会社以外の法人格を有する団体についても、自己の名称と異なる名称を自己の商標として採択、使用すれば、商取引の秩序を混乱させるおそれがあ ることは、会社の場合と変わらない。 宗 して、会社以外の法人格を有する団体についても、自己の名称と異なる名称を自己の商標として採択、使用すれば、商取引の秩序を混乱させるおそれがあ ることは、会社の場合と変わらない。 宗教法人の名称は、会社の商号と同様に登記事項とされ(宗教法人法52条2項2号)、名称を変更するには規則変更のための手続をとり、所轄官庁の認証を受けることが必要とされているのであって(同法26条1項)、前記⑶のとおり、宗教法人が自己の規則に定めた名称と異なる名称を使用することは違法である。他の法律において違法とされる行為によってもた らされた名称と同一の商標に対して、商標法によって権利が付与されることは、同法が違法行為を助長する結果となってしまう。この点は、上記商標便覧の記載内容には直接該当しないが、商標法4条1項7号の公序良俗違反の判断における一要素となる。 イ上記商標審査便覧の基準に即して考慮すれば、被告が、自己の名称であ る「世界救世教主之光教団」とは異なる、「世界メシア教」なる宗教団体と理解される名称を自己の商標として採択、使用することは、商取引の秩序を混乱させるおそれがあると言える。すなわち、取引者及び需要者をして、宗教団体の名称と商品の出所が一体の関係にあるものと信じさせ、あたかも、「世界メシア教」なる名称を有する宗教団体が存在し、その宗教団体が 当該商品あるいは役務を提供しているかの如き外観を呈することとなる。 商標が出所表示機能、品質保証機能、広告機能等を有することから、このような誤認を生じさせることは、上記商標審査便覧に記載された場合と同様に商取引の秩序を混乱させるものである。 ウ被告は、宗教活動名として本件商標と同一の「世界メシア教」と称する 旨を令和2年1月1日に宣言し、同年2月4日以降、「世界メ に記載された場合と同様に商取引の秩序を混乱させるものである。 ウ被告は、宗教活動名として本件商標と同一の「世界メシア教」と称する 旨を令和2年1月1日に宣言し、同年2月4日以降、「世界メシア教」と名乗っている。被告が本件商標及び別件商標について登録出願を行った時期からすれば、被告がこれらの登録出願を行って商標の登録を受けたことが「世界メシア教」への名称変更と密接な関係を有していることは明らかである。そうすると、本件商標が登録されていることは、被告が「世界メシ ア教」という名称を用いて活動することを国家機関が認めたかのような誤 解を生じさせ、被告をして上記違法な名称を用いて活動を行うことを助長させるものである。 エ原告の名称に関する前記⑴の事情によれば、被告が本件商標をその指定商品又は指定役務において使用すれば、単に「世界メシア教」なる名称を有する宗教団体が存在し、当該団体がその商品又は役務の出所であるかの ような誤解を取引者及び需要者に生じさせるにとどまらず、その商品又は役務の出所は原告であるとの誤認混同を発生させ、商取引の秩序の混乱を助長させる。 原告と被告との間では、教義等の解釈等において明確かつ顕著な相違が生じている。このような状況下で、被告が「世界メシア教」と称して宗教 活動を行い、あたかも原告であるかの如く社会における混同を生じさせることは、単に被告が原告にフリーライドしているにとどまらず、原告の宗教活動に対する多大な妨害・迷惑となっている。さらに、本件商標の指定役務の内容が、取引者・需要者の精神世界にも関わる問題であることからすると、当該指定役務の取引者・需要者にとっても大きな混乱を生じさせ るものであり、よりいっそう公序良俗に反するものといえる。 オ以上のとおり、被告は、 精神世界にも関わる問題であることからすると、当該指定役務の取引者・需要者にとっても大きな混乱を生じさせ るものであり、よりいっそう公序良俗に反するものといえる。 オ以上のとおり、被告は、自己の規則に定めた名称とは異なる「世界メシア教」との名称を違法に名乗り、宗教活動だけでなく世俗的行為についてもその名称を使用しており、当該名称は被告とは異なる宗教団体の名称と誤認されるものであって、本件商標はその誤認される名称の文字と同一の 文字を使用したものである。そのため、本件商標の採択、使用は、被告の違法行為を助長するものであって、商取引の秩序を混乱させるという意味でも、他の法律によってその名称の使用が禁止されている場合に匹敵するものといえる。しかも、被告は、「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」、「メシア教」の名称が原告を指し示すものとして周知とな っていることに乗じて、「世界メシア教」と違法に称することによって、被 告と原告の混同を図ろうとしているのであって、本件商標は被告と原告との混同を強化するものとなっている。さらに、被告と原告とは、その宗教の教義内容においても大きく異なっていることから、被告が原告に単にフリーライドするにとどまらず、その混同によって原告の宗教活動における信用が損なわれる。また、本件商標の指定役務の内容が需要者・取引者の 精神世界にも関わる問題であることからしても、その役務の出所として原告との間で混同を招来することは、当該役務の需要者にとって大きな混乱を発生させるものとなる。 これらの事情を総合すれば、本件商標は、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反 するものとして到底容認し得ない場合に該当し、公序良俗に反する れらの事情を総合すれば、本件商標は、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反 するものとして到底容認し得ない場合に該当し、公序良俗に反するものである。 〔被告の主張〕商標法4条1項7号該当性に関する原告の主張は、概要、①原告の名称である「世界救世教」が「世界メシヤ教」として世界に広く浸透していたところ、 本件商標の登録により被告は意図的に原告との混同を図っていること、及び②被告が規則において定めた名称「世界救世教主之光教団」とは異なる「世界メシア教」の名称で活動することが宗教法人法違反であることを根拠に、本件商標が公序良俗に違反することを指摘するものであるといえる。 原告の上記主張が法的に意味を持つとすれば、上記①及び②をもって、登録 出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないことの根拠となる場合に限られるが、以下の⑴ないし⑶のとおり、いずれも事実的基礎を欠く上、商標法の予定する秩序に反するとの評価の根拠となる事実とはいえない。 ⑴ア 「世界救世教」の「救世」に「メシヤ」の振り仮名を付けた名称表記が 用いられたのは、昭和25年から昭和32年までの7年間にすぎず、上記 名称が社会に広く浸透した事実はなく、そのような名称が使用されていた事実を自らが体験したものとして記憶している者はほとんど残っていない。 そもそも、原告と被告との間の争いの背景には、両者間の教義上の対立があり、被告は「救世」に代えて「メシア(メシヤ)」を用いる名称を名乗っているのに対し、原告は、被告の教義にキリスト教的思想が含まれるこ とを問題にしている。そのような原告が、自らの名称として、キリスト教を含 救世」に代えて「メシア(メシヤ)」を用いる名称を名乗っているのに対し、原告は、被告の教義にキリスト教的思想が含まれるこ とを問題にしている。そのような原告が、自らの名称として、キリスト教を含む一神教を強く想起させる「メシア」や「メシヤ」の語を含む名称を用いるはずもなければ、その普及を望むこともあり得ず、そういった名称が、最後の使用から70年近くを経た現在、原告の名称として浸透していることなどあるわけがない。 原告は、「世界救世教」につき商標登録を得ているが(登録第2041068号、第5087815号)、「世界メシア教」について商標登録出願をしておらず、これは、原告自身も「世界メシア教」を自らの名称であると認識していないことを示している。 そして、「世界メシア教」と「世界救世教」とでは、外観、称呼及び観念 のいずれも相違するから、類似性が認められない。また、法人格の識別という観点でも、被告が、「世界メシア教」を名称として用いることにより、教祖の教義の神髄を信奉する宗教団体であることが明確になるから、両者の相違はより明確になる。 したがって、被告が「世界メシア教」を使用することによって、商品や 役務の出所に誤認混同を生じることも、法人格の混同をもたらすこともない。 イ甲13に掲載された出版物に「世界救世教」の「救世」に「メシヤ」の振り仮名が付された名称の記載が存在するとしても、これはかつて原告が同名称を用いたことがある事実を示すにすぎないし、これらの出版物を信 者以外の者が購入することは極めて稀であって、当該出版物の記載が一般 国民に認知されることはない。 甲14ないし17及び甲81ないし83の一般的事典や書籍等も、原告の発足当時の呼称として「世界救世教」の「救世」に「メシヤ」の振り仮名が 該出版物の記載が一般 国民に認知されることはない。 甲14ないし17及び甲81ないし83の一般的事典や書籍等も、原告の発足当時の呼称として「世界救世教」の「救世」に「メシヤ」の振り仮名が付された名称を記載するものや、「メシア教」の語が用いられているにすぎないものなどであって、「世界メシヤ教」あるいは「世界メシア教」が 原告を示すものとして認識されていることの証拠とはならない。 甲88及び89の被告のプレスリリースは、被告の来歴を説明する内容と理解されるものであり、これを読んだ者が、原告が「世界メシア教」と称するようになったと誤認することも、原告と被告が同一の宗教であると誤認することもない。 むしろ、被告は、自身のウェブサイトにおいて、被告が原告の被包括法人であると説明しており(乙12)、両者が別の法主体であることを一般向けに明確に示している。また、被告は、原告と被告の所在地である静岡県熱海市において、原告と被告を峻別できるよう、原告の「世界救世教」の表示のすぐ上に「世界メシア教」との看板を設置しているほか、熱海駅構 内の案内図にも原告の「世界救世教総本部」のすぐ上に「世界メシア教」の表示を掲出しており、一般市民においても原告と「世界メシア教」が異なる宗教団体であることが容易に理解できる状況になっている。 以上のとおり、被告が、信者の維持や獲得のために原告との混同を発生させようとしている事実はない。 原告が挙げる新聞記事(甲95)の一例をもって、一般市民が原告と被告を混同している、又は混同のおそれがあるということはできない。 ⑵ 宗教法人として使用する名称の適否と、商品や役務の識別標識である商標の登録の適否とは別の問題であり、被告が「世界メシア教」の名称を使用することが宗教法人法違反に当たるとの いうことはできない。 ⑵ 宗教法人として使用する名称の適否と、商品や役務の識別標識である商標の登録の適否とは別の問題であり、被告が「世界メシア教」の名称を使用することが宗教法人法違反に当たるとの原告の主張は、本件との関連性を欠き、 もとより失当である。 また、宗教法人法では、宗教法人の名称を規則において定めることとされているが、宗教法人が規則で定められた名称で活動することを義務付けたり、別称で活動することを禁止したりするものではない。 宗教法人の規則は、宗教法人の組織存在に関する規範であり、当該法人の内部関係を規律し、構成員を拘束するが、それ以外には拘束力を有しないと 解されており、宗教法人の対外的な活動が規則の定めによる制約を受けるとは解されない。 原告が指摘する、文化庁による宗教法人の管理運営に関する書籍(甲85、86)は、宗教法人の規則に定める運営方法と実際の運営方法が一致することが必要であると記載しているにすぎず、規則で定めた名称と活動名称が常 に一致することを要求するものではない。 実際、国内で活動している宗教団体のうち、規則で定めた名称と活動名称が異なる例は枚挙にいとまがなく、寺院の名称と宗教団体の名称が異なる場合(甲52)だけではなく、規則上の名称と活動名が異なる例も数多い(乙7~11)。 ⑶ 原告が挙げる商標審査便覧42.107.36にいう「他の法律で使用等が禁止されている商標」は、会社法6条及び7条による名称制限を根拠とし、その商標の構成に他の法律で使用が禁止されている文字が含まれている場合を対象とするものである。 本件商標には、会社法や宗教法人法等、法人名称を規制する法律で禁止さ れた文字は含まれていないため、上記商標審査便覧の記載に基づき本件商標の登録に瑕疵を見出 る場合を対象とするものである。 本件商標には、会社法や宗教法人法等、法人名称を規制する法律で禁止さ れた文字は含まれていないため、上記商標審査便覧の記載に基づき本件商標の登録に瑕疵を見出すことはできない。 また、被告は、自らが宗教活動に用いる名称である「世界メシア教」との標章について商標出願を行っているだけであり、その出所に誤認混同は生じ得ず、上記商標審査便覧にある「自己の商号と異なる商号を自己の商標とし て採択・使用する」ものともいえない。 したがって、商標審査便覧の記述を根拠とする原告の主張には理由がない。 2 取消事由2(商標法4条1項6号該当性についての判断の誤り)について〔原告の主張〕⑴ 商標法4条1項6号における「著名」の程度については、国等の権威、信用の尊重や国等の出所の混同を防いで需要者の利益を保護するという公益保 護の趣旨に鑑み、必ずしも全国的な需要者の間に認識されていることを要しないものであると解されている。 原告は、現在まで約70年余の長期間にわたり活発な活動を続け、我が国においても有数の宗教法人として知られるに至っているものであって、「世界救世教」という名称は、少なくとも宗教に関心のある国民の間で著名であ るといえる。 ⑵ 前記1〔原告の主張〕⑴のとおり、原告は、発足当時から自己の名称の「世界救世教」の「救世」の文字に「メシヤ」のルビを付して表示し、あるいは単に「メシヤ教」と表示して活動し、宗教団体としての規模の急激な拡大を図るとともに、「セカイキュウセイキョウ」と称呼するようになった以後も、 繰り返し教祖の講演記録等を発行しており、これらにより、「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」、「メシア教」の表示や称呼は、国民の間において、原告を示 ようになった以後も、 繰り返し教祖の講演記録等を発行しており、これらにより、「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」、「メシア教」の表示や称呼は、国民の間において、原告を示す名称として、本件商標の出願日から現在に至るまで周知となっている。 そして、本件においては、「世界救世教」という原告の名称と本件商標との 類似性の検討において、単に「世界救世教」という名称から「世界メシヤ教」又は「世界メシア教」という称呼が生ずるか否かや、文言の一部である「救世」と「メシア」との意味内容の異同から論ずるのではなく、「世界メシア教」という本件商標に接した者が、原告を想起するか否かを直截に論ずべきである。このように解することが、「世界救世教」との名称を使用して歴史的に長 く続く原告の権威及び信用の尊重、並びに原告との出所の混同を防いで需要 者の利益を保護するという立法趣旨に合致する。 そうすると、上記のとおり、「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」、「メシア教」の表示や称呼と、本件商標とが類似していることは明らかであり、この「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」、「メシア教」の表示や称呼が原告を示す名称として周知となっていることか らすれば、本件商標に接した者は容易に原告の「世界救世教」との名称を連想・想起する。 ⑶ したがって、本件商標は、「公益に関する団体であって営利を目的としないもの・・を表示する標章であって著名なもの」である「世界救世教」という原告の名称と類似しており、商標法4条1項6号に該当する。 〔被告の主張〕⑴ 商標法4条1項6号にいう著名性が認められるためには、当該商標に係る商品や役務に関心のある者のみならず、一般の需要者に広く知られているこ 商標法4条1項6号に該当する。 〔被告の主張〕⑴ 商標法4条1項6号にいう著名性が認められるためには、当該商標に係る商品や役務に関心のある者のみならず、一般の需要者に広く知られていることが必要と解すべきである。 原告の「世界救世教」の名称は、原告の信徒又は宗教に関心のある者にし か知られておらず、それ以上に広く一般の需要者に知られていることを示す証拠はないから、商標法4条1項6号における著名性の要件を満たさない。 「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」、「メシア教」が原告を示す名称として周知性を獲得していることを示す証拠はなく、かつ、商標法4条1項6号が要求するのは著名性であって周知性ではない。仮に、 「世界救世教」の名称が一般の需要者の間で著名であったとしても、「救世」に「メシヤ」とルビを振った名称は60年以上にわたり使用されていないから、「世界救世教」を「世界メシヤ教」又は「世界メシア教」と読む標章は著名ではない。 ⑵ 「世界救世教」は「セカイキュウセイキョウ」との称呼は生じても、「セカ イメシヤキョウ」又は「セカイメシアキョウ」との称呼は生じない。そして、 「キュウセイ」と「メシア」は音が明らかに相違するから、「世界救世教」と「世界メシア教」の称呼は異なる。 「世界救世教」と「世界メシア教」は、全体の構成文字数及び「救世」と「メシア」の文字が相違するから、外観も異なる。 また、「メシア」は「救世主」、「キリスト」といった「世の人々を救う人物」 を意味する語であって、キリスト教を想起させる語であるのに対し、「救世」は「世の人々を苦しみの中から救うこと。仏・菩薩の通称。観世音菩薩のこと。」を意味するものとされ、仏教を想起させる語であり、両者は想起させる観念も異なる。 を想起させる語であるのに対し、「救世」は「世の人々を苦しみの中から救うこと。仏・菩薩の通称。観世音菩薩のこと。」を意味するものとされ、仏教を想起させる語であり、両者は想起させる観念も異なる。 したがって、「世界救世教」と「世界メシア教」は、外観、称呼及び観念の いずれにおいても相紛れることのない非類似の商標である。 3 取消事由3(商標法4条1項15号該当性についての判断の誤り)について〔原告の主張〕本件商標と、原告を示す名称として広く知られた「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」、「メシア教」との表示や称呼が類似しているこ とから、被告が本件商標をその指定商品及び指定役務に使用すれば、これに接した取引者・需要者は、その商品や役務の出所を原告であると誤認する。特に、本件商標の指定役務には宗教団体の行う役務が含まれていることから、その役務の提供者を宗教法人である原告自身、あるいは原告と組織的又は経済的に何らかの関係のある者であると誤認するおそれは非常に強い。 したがって、本件商標をその指定商品又は指定役務に使用するときは、これに接する需要者は、「世界救世教」と称する原告を連想・想起し、あたかも、原告自身又は原告と組織的若しくは経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品又は役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法4条1項15号に該当する。 〔被告の主張〕 原告は振り仮名を付した「世界救世メシヤ教」の名称を長年使用してきていないのであるから、「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」、「メシア教」が原告の名称として需要者において周知であるということはできない。 また、「世界救世教」と「世界メシア教」とは、その外観 あるから、「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」、「メシア教」が原告の名称として需要者において周知であるということはできない。 また、「世界救世教」と「世界メシア教」とは、その外観、称呼及び観念を全て異にするから、類似性が認められない。 したがって、本件商標が原告の商品又は役務と混同を生じるおそれがあるものとはいえず、商標法4条1項15号に該当しない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(商標法4条1項7号該当性に関する判断の誤り)について商標法4条1項7号所定の「公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある 商標」には、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する」という商標法の目的(同法1条)に照らし、当該商標の登録出願の経緯において、公正な商標秩序に反し、著しく社会的相当性を欠く出願行為に係る商標も含まれると解される。 以下、この観点から検討する。 ⑴ 認定事実前記第2の1及び2の事実、後掲の証拠並びに弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア原告及び被告がその目的において教祖として仰ぐものとしているAは、 明治15年に生まれ、昭和30年に死亡した者である。Aは、昭和22年から同23年にかけて、「日本観音教団」及び「日本五六七教会」という二つの宗教団体を設立し、昭和25年、これら二つの団体を解消して、宗教団体として「世界救世教」を設立した。原告は、その2年後である昭和27年に宗教法人として成立した。Aは、「世界救世教」の「救世」に「メシ ヤ」の振り仮名を振った「世界救世メシヤ教」との記載を用い、これを「セカイ メシヤキョウ」と称しており、「メシヤ教」という名称を用 て成立した。Aは、「世界救世教」の「救世」に「メシ ヤ」の振り仮名を振った「世界救世メシヤ教」との記載を用い、これを「セカイ メシヤキョウ」と称しており、「メシヤ教」という名称を用いることもあった。(甲3、13〔添付資料9〕、25)イ Aの死亡後である昭和32年、原告は「世界救世教」を「セカイキュウセイキョウ」と呼ぶように改め、原告の名称中の「救世」に「メシヤ」の振り仮名を付した記載をすることもなくなった。(甲13〔添付資料9〕) ウ原告内部では、昭和59年頃から、教団の運営方針や財産管理をめぐる対立等により、3派に分裂し、この3派がそれぞれ独自に原告の代表者を選任して相互に代表者の地位の確認を求める民事訴訟を提起するなどの紛争が生じたが、平成9年12月、上記3派は、それぞれがその主体性を保持した宗教法人を成立させ、各宗教法人がいずれも原告を包括宗教法人 とする被包括宗教法人となることを合意した。この3派のうち「護持派」が被告を成立させ、他の2派が「世界救世教いづのめ教団」及び「東方之光」を成立させて、平成12年3月頃までに、被告、「世界救世教いづのめ教団」及び「東方之光」が原告を包括宗教法人とする被包括宗教法人となった。(甲6、9の1、26) エ平成10年2月3日、Bが原告の4代目の教主となった。原告における教主は、教祖であるAの聖業を承継し、教義に基づき宗派を統一する信者統合の象徴として位置付けられている地位であり、宗家会議の議決に基づく推挙及び理事会からの推戴により就任するものとされていた。(甲9の1、26) オ原告の責任役員会は、平成30年1月12日、被告が原告の教義に反する行為を続けており、原告の規則に規定されている被包括宗教法人が遵守すべき事項に違反し、包括・被包 (甲9の1、26) オ原告の責任役員会は、平成30年1月12日、被告が原告の教義に反する行為を続けており、原告の規則に規定されている被包括宗教法人が遵守すべき事項に違反し、包括・被包括関係を廃止することができる事由に該当する可能性があるとして、被告に対する弁明の機会を設けることを決議した。同月26日、被告に対する弁明の手続が行われたが、原告の責任役 員会は、同月30日、被告が原告の教義に著しく反したとして、被告との 包括・被包括関係を廃止することを決議した。(甲6、9の1、26)カ原告の理事会兼責任役員会は、同年6月22日、4代目教主Bの推戴を取り消すことを決議した。(甲6、7、8の1、9の1、11の2、26)キ被告は、平成30年、原告の被包括宗教法人の地位にあることを仮に定めること等を求める仮処分の申立てをしたが、静岡地方裁判所沼津支部は、 令和2年2月12日、被告の申立てをいずれも却下するとの決定をした。 被告はこの決定に対して即時抗告したが、東京高等裁判所は、令和3年12月8日、被告の抗告を棄却する旨の決定をした。被告はこの決定に対して特別抗告をしたが、最高裁判所は抗告を棄却した。(甲8の1、9の1、11の1) ク被告は、平成30年、原告の被包括宗教法人の地位にあることの確認等を求める訴訟を提起したが、静岡地方裁判所沼津支部は、令和5年6月28日、被告の訴えの一部を却下し、その余の請求を棄却するとの判決をした。被告は上記判決に対して控訴している。(甲26、乙1、2)ケ被告は、令和2年1月、同年2月4日から、法人の名称は「世界救世教 主之光教団」としたままで、宗教活動を「世界メシア教」の名称により行っていくことを発表した。(甲35、91の1・2)コ被告は、現在も、被 1月、同年2月4日から、法人の名称は「世界救世教 主之光教団」としたままで、宗教活動を「世界メシア教」の名称により行っていくことを発表した。(甲35、91の1・2)コ被告は、現在も、被告が原告を包括宗教法人とする被包括宗教法人であり、かつ、Bが原告の教主であるとの立場をとっており、被告においてBは「教主様」と称されている。(甲5、35、36) ⑵ 原告は、前記第3の1〔原告の主張〕のとおり、本件商標が商標法4条1項7号に該当すると主張するが、この主張の根拠の一つとして、被告が、被告と原告との混同を生じさせる目的で本件商標の登録出願を行ったものであり、被告が本件商標を使用することによって被告と原告との混同が生じていることを挙げているので(前記第3の1〔原告の主張〕⑴、⑵、⑷エ、オ)、 まずこの点について検討する。 ア本件商標は「世界メシア教」の文字を横書きしてなるものであり、「セカイメシアキョウ」との称呼が生じ、「教」が宗教を意味し、宗教団体の名称の末尾に付されることがある事実は周知であるといえるから、何らかの宗教団体との観念が生じるといえる。 これに対し、引用標章は、「世界救世教」の文字よりなり、「セカイキュ ウセイキョウ」との称呼が生じ、何らかの宗教団体との観念が生じるといえる。 本件商標と引用標章の類否について検討する。 まず、外観に関し、両者は、「世界・・・教」という点で外観が共通する点があるものの、本件商標は6文字で構成され、引用標章は5文字で構成 されていて、全体の構成文字数が異なる上、本件商標の3文字目から5文字目の「メシア」の文字と、引用標章の3文字目及び4文字目の「救世」の文字が相違していることから、本件商標と引用標章は全体として外観が相違する。 また、称呼に関し る上、本件商標の3文字目から5文字目の「メシア」の文字と、引用標章の3文字目及び4文字目の「救世」の文字が相違していることから、本件商標と引用標章は全体として外観が相違する。 また、称呼に関して、両者は「セカイ・・・キョウ」という点で称呼が 共通する点があるものの、本件商標から生じる称呼である「セカイメシアキョウ」と、引用標章から生じる呼称である「セカイキュウセイキョウ」は、その音の数が異なる上、各呼称を構成する「メシア」の音と「キュウセイ」の音が相違していることから、本件商標と引用標章は、全体として称呼が相違する。 さらに、観念に関し、本件商標と引用標章は、いずれも何らかの宗教との観念が生じるという点で観念において共通する点があるが、どのような宗教であるかは本件商標及び引用標章からは明らかではなく、また本件商標の「メシア」の語は世の人々を救う「人物」を意味する語であるのに対し、引用標章の「救世」の語は「世の人々を苦しみの中から救うこと」と いうように「行動」を意味する語であるから、観念において類似するとは いえない。 したがって、本件商標と引用標章は、外観及び称呼が異なり、観念において類似するとはいえないから、その類似性の程度は低い。 イ(ア) 原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑴及び⑵のとおり、原告を指し示すものとしての「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ 教」、「メシア教」との名称が社会に浸透しており、本件商標はこれらの名称に類似していると主張する。 しかし、原告が「世界救世教」の「救世」に「メシヤ」と振り仮名を付して「セカイメシヤキョウ」と称していたのは、Aが宗教団体として世界救世教を設立した昭和25年から、原告が「世界救世教」を「セカ イキュウセイキョウ」と呼ぶよ 救世」に「メシヤ」と振り仮名を付して「セカイメシヤキョウ」と称していたのは、Aが宗教団体として世界救世教を設立した昭和25年から、原告が「世界救世教」を「セカ イキュウセイキョウ」と呼ぶように改めた昭和32年までであり、その期間は約7年にすぎない上、本件商標の登録出願及び登録査定の時点から60年以上も前のことである。 本件商標の需要者は、その指定商品及び指定役務との関係から、宗教に関心のある者のみならず、広く一般の消費者と認められるところ、上 記の事情からすれば、本件商標の登録出願及び登録査定の時点において、「世界メシヤ教」が原告を指す名称であるとの事実が本件商標の需要者に周知であったとは認められない。 また、同様に、本件商標の登録出願及び登録査定の時点において、「世界メシア教」、「メシヤ教」又は「メシヤ教」が原告を指す名称であると 本件商標の需要者に周知であったとも認められない。 (イ) 原告は、原告について記載した書籍、雑誌、インターネット上の記事等において、「世界メシア教」等の名称が原告を示すものとして表示されていると主張し、複数の書籍の写し等(甲13~17、78、80~83、107~109)を証拠として提出する。 しかし、書籍、雑誌、インターネット等に宗教法人あるいは宗教団体 に関して説明した記載があったとしても、当該説明に記載された事実が広く一般に知られた事実であると直ちに認められることにはならない。 また、原告が証拠として提出した各書籍等の内容について検討すると、まず、甲13の添付資料とされている書籍又は印刷物は、いずれも原告又は「世界救世教いづのめ教団」が編集したものであり、その信者を対 象として発行された書籍又は印刷物であると認められ、信者以外の者がこれらの書籍又は印刷物に ている書籍又は印刷物は、いずれも原告又は「世界救世教いづのめ教団」が編集したものであり、その信者を対 象として発行された書籍又は印刷物であると認められ、信者以外の者がこれらの書籍又は印刷物に記載された内容を広く認識するに至ったとは認められない。 甲14ないし16及び107ないし109の書籍等は、いずれも辞典又は事典(インターネット上の記載を含む。)であり、「世界メシア教」、 「メシヤ教」又は「メシア教」の項において、「世界救世教」の項を参照すべき旨の記載が存在することが認められるものの、これらの記載は、原告が過去に「世界救世教」を「セカイメシヤキョウ」と称していた事実を踏まえたものにすぎないと考えられる。 それ以外の書籍の写し等(甲17、78、80~83)には、「世界救 世教」が「メシア教」若しくは「世界メシヤ教」とも称されている旨の記載、又は原告を指す名称として「メシア教」の語を用いているものと解される記載が存在すると認められるが、これらの書籍等については、その発行日から相当の時間が経過していると認められるか、又は書籍の発行若しくはインターネット上の記載がされた時期が不明である。 以上を総合すると、原告が証拠として提出する上記書籍等をもって、「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」、「メシア教」の名称が原告を指すものであると広く一般に知られているとは認められない。 (ウ) 上記(ア)及び(イ)によれば、本件商標の登録出願及び登録査定の時点にお いて、「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」、「メシア 教」との名称が原告を指すものであるとの事実が、本件商標の需要者に周知であったとは認められない。 そうすると、「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」 は「メシヤ教」、「メシア 教」との名称が原告を指すものであるとの事実が、本件商標の需要者に周知であったとは認められない。 そうすると、「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」、「メシア教」が原告を指す名称であることが社会一般に広く知られているために、本件商標をその指定商品又は指定役務に使用することによっ て、その出所が原告であるとの混同が生じるとは認められない。 ウ上記ア及びイによれば、本件商標をその指定商品又は指定役務に使用することによって、その出所が原告であるとの混同を生じるおそれがあるとは認められない。 熱海新聞が、被告に関する記事において、その名称を「世界救世教」と 記載した事例(甲95)をもって、本件商標をその指定商品又は指定役務に使用した場合に出所の混同が生じると認められることにはならない。 そして、本件商標をその指定商品又は指定役務に使用することによって上記内容の混同を生じるおそれがあると認められないことからすれば、被告が、上記内容の混同を生じさせる目的で本件商標の登録出願をしたとも 認められない。 前記⑴の認定事実によれば、原告が被告との包括・被包括関係を廃止し、被告がこれを争っており、現在でも原告と被告との間の訴訟が係属しているなど、原告と被告との間に対立関係があることが認められるが、このことをもって、被告が被告と原告との混同を生じさせる目的で本件商標の登 録をしたと認められることにはならない。 ⑶ 原告は、本件商標が商標法4条1項7号に該当するとの主張の根拠の一つとして、被告が本件商標を使用すれば、取引者及び需要者をして、「世界メシア教」なる名称を有する宗教団体が存在し、その宗教団体が商品又は役務を提供しているとの誤解を生じさせるとともに、被告がその規則に定めた 、被告が本件商標を使用すれば、取引者及び需要者をして、「世界メシア教」なる名称を有する宗教団体が存在し、その宗教団体が商品又は役務を提供しているとの誤解を生じさせるとともに、被告がその規則に定めた名称 と異なる「世界メシア教」の名称を用いて活動を行うことは宗教法人法に違 反しており、本件商標の登録を認めることは被告の違法な行為を助長するものであって、商取引の秩序を混乱させるものであることを挙げる(前記第3の1〔原告の主張〕⑶、⑷アないしオ)。 この点について検討すると、被告が本件商標をその指定商品又は指定役務に使用した場合に、本件商標の取引者及び需要者が、「世界メシア教」という 名称の宗教団体が当該商品又は役務を提供していると認識するとしても、被告とは別の「世界メシア教」という名称の宗教団体が存在しており、当該宗教団体が当該商品又は役務を提供していると認識するとは認められない。仮に、被告とは別の「世界メシア教」という名称の宗教団体が存在するとの認識を有する者がいたとしても、そのことをもって、本件商標が公正な商標秩 序に反し、著しく社会的相当性を欠くものであると解されることにはならない。 また、宗教法人が、その規則において定める名称と異なる別称を用いて活動することが宗教法人法に違反するか否かと、当該宗教法人が当該別称と同一の文字からなる商標の登録を受けることが商標法上許容されるか否かとは、 関連性のない別個の問題であって、仮に前者が違法であると解されるとしても、そのことによって、当該別称と同一の文字からなる商標が商標法4条1項7号に該当することにはならない。なお、文化庁による宗教法人の管理運営に関する書籍(甲85、86)は、宗教法人の規則に定める運営方法と実際の運営方法が一致することが必要である旨記載し 商標法4条1項7号に該当することにはならない。なお、文化庁による宗教法人の管理運営に関する書籍(甲85、86)は、宗教法人の規則に定める運営方法と実際の運営方法が一致することが必要である旨記載しているにすぎないのであ って、宗教法人の管理運営上、規則で定めた名称と活動名称が一致することまで要求しているものではなく、現に、規則上の名称と異なる名称で活動する宗教法人は、被告以外にも現実に複数存在することが認められる(乙7~11)。 原告が挙げる商標審査便覧42.107.36「『会社』等の文字を有する 商標の取扱い」(甲96)については、そもそも商標審査便覧は何ら法規範性 を有するものではないが、この点を措くとしても、上記商標審査便覧42. 107.36は、その表題にあるとおり、「会社」等の文字を有する商標に関する基準であり、その⑵に「自己の商号と異なる商号を自己の商標として採択・使用すること」とあるのは、会社の商号と異なるが「株式会社」などの会社の種類を示す文字が含まれる標章を採択・使用することを指すと解され るところ、本件商標には会社や法人の種類を示す文字は含まれない。また、上記商標審査便覧42.107.36は、会社がその商号とは異なる名称(会社の種類を示す文字を含まない名称)を用いて活動をしている場合に、当該名称と同一の文字からなる商標が商標法4条1項7号に該当すると述べているものではない。したがって、上記商標審査便覧42.107.36の記載 内容をもって、本件商標が公正な商標秩序に反し、著しく社会的相当性を欠くものであると解することはできず、本件商標が商標法4条1項7号に該当すると解すべきということにもならない。 以上によれば、被告が「世界メシア教」の名称を用いて活動することが宗教法人法に違反するか くものであると解することはできず、本件商標が商標法4条1項7号に該当すると解すべきということにもならない。 以上によれば、被告が「世界メシア教」の名称を用いて活動することが宗教法人法に違反するか否かを判断するまでもなく、被告が規則において定め る名称と異なる「世界メシア教」の名称を用いて活動していることは、本件商標が商標法4条1項7号に該当すると解する根拠とならないというべきである。 ⑷ そして、その他、前記⑴の認定事実を考慮し、原告が取消事由1について主張する内容を検討しても、本件商標が商標法4条1項7号に該当すると解 すべき根拠は認められない。 したがって、取消事由1は理由がない。 2 取消事由2(商標法4条1項6号該当性に関する判断の誤り)について⑴ 本件商標と引用標章(「世界救世教」)は、外観及び称呼が異なり、観念においても類似のものといえないことは、前記1⑵アのとおりである。 また、原告の名称である「世界救世教」は、原告の信者や、宗教に関心を 有する者に認識されているといえるとしても、本件商標の指定商品及び指定役務の取引者及び一般の消費者である需要者に広く認識されていると認めるに足りる証拠はないから、引用標章が著名であるとは認められない。 したがって、商標法4条1項6号のその余の要件を満たすか否かについて判断するまでもなく、本件商標が同号に該当するとは認められない。 ⑵ 原告の主張に対する判断原告は、前記第3の2〔原告の主張〕のとおり、「世界メシヤ教」、「世界メシア教」あるいは「メシヤ教」、「メシア教」の表示や称呼が、原告を示す名称として周知となっており、本件商標はこれらの名称と類似しているから、本件商標と引用標章が類似すると主張する。 しかし、本件商標と引用標章との類似 、「メシア教」の表示や称呼が、原告を示す名称として周知となっており、本件商標はこれらの名称と類似しているから、本件商標と引用標章が類似すると主張する。 しかし、本件商標と引用標章との類似性は、「世界メシア教」と「世界救世教」との類似性を、外観、称呼及び観念において比較して検討すべきものである。 また、本件商標の登録出願及び登録査定の時点において、「世界メシヤ教」、「世界メシア教」、「メシヤ教」又は「メシヤ教」が原告を指す名称であると 本件商標の需要者に周知であったと認められないことは、前記1⑵イのとおりである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 3 取消事由3(商標法4条1項15号該当性に関する判断の誤り)について⑴ 商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生 ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに、当該指定商品又は指定役務が他人の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該指定商品又は指定役務が上記他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の 業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生 ずるおそれ」という。)がある商標を含むものと解するのが相当である。そして、上記の「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性 その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定 標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性 その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号平成12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁参照)。 ⑵ 上記の点を検討するに、まず、本件商標と引用標章が類似のものといえな いことは、前記1⑵ア及び2⑴のとおりである。 また、原告の名称である「世界救世教」は、一定の独創性があると解する余地はあり、かつ、前記2⑴のとおり、原告の信者や、宗教に関心を有する者に認識されていることは認められるとしても、本件商標の指定商品及び指定役務の取引者及び一般の消費者である需要者に広く認識されているとは認 められない。 さらに、本件商標の指定商品及び指定役務は、前記第2の2⑴イのとおりであり、宗教活動に該当するもの及び宗教活動に関連するものが含まれているが、宗教活動に関連しないものも含まれており、原告の活動と共通する部分があるものの、完全に一致するものではない。 以上の事情を総合すると、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用したときに、その取引者及び需要者において、当該指定商品及び指定役務が原告の業務に係る商品又は役務であると誤信するおそれがあるとは認められず、広義の混同を生ずるおそれがあるとも認められない。 ⑶ 原告の主張に対する判断 原告は、前記第3の3〔原告の主張〕のとおり、本件商標をその指定商品 又は指定役務に使用するときは、これに接する需要者は原告を連想・想起し、その出所について混同を生ずるおそれがあ 断 主文 原告は、前記第3の3〔原告の主張〕のとおり、本件商標をその指定商品又は指定役務に使用するときは、これに接する需要者は原告を連想・想起し、その出所について混同を生ずるおそれがあると主張する。しかし、原告の上記主張は、「世界メシヤ教」、「世界メシア教」、「メシヤ教」又は「メシア教」の名称が、原告を指す名称として周知であることを前提とするものであるところ、これらの名称が原告を指すものとして周知であるとは認められないから、原告の上記主張はその前提を欠くものである。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 理由 以上のとおり、取消事由1ないし3は、いずれも理由がない。よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 東海林保 裁判官 今井弘晃 裁判官 水野正則 別紙1 当事者目録 原告 世界救世教 同訴訟代理人弁護士 宇田川和也 同 湯浅正彦 同 湯浅知子 同 鈴木哲広 被 同湯浅正彦 同湯浅知子 同鈴木哲広 被告 世界救世教主之光教団 同訴訟代理人弁護士 飯島歩 同藤田知美 同平野潤 同神田雄 同町野静 同真鍋怜子 同村上友紀 同溝上武尊 同秦野真衣 同金村玲奈 同角川博美 同三品明生 同上田亮祐 同訴訟代理人弁理士 横井知理 同川上桂子 同前田幸嗣 同梶谷美道 同田端豊 同吉田昌司 以上(別紙2審決書写し省略) 吉田昌司 以上(別紙2審決書写し省略)

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