平成15(ネ)329等 損害賠償請求控訴,同附帯控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成17年5月18日 名古屋高等裁判所 金沢支部
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判決文本文33,270 文字)

主文 1 本件控訴及び本件附帯控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。 2 控訴人Aは,被控訴人らに対し,それぞれ,別紙「認定額一覧表」の「主文額」の「A」欄記載の金額及びこれに対する平成13年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 控訴人Bは,被控訴人らに対し,それぞれ,別紙「認定額一覧表」の「主文額」の「B」欄記載の金額及びこれに対する平成13年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 控訴人Cは,被控訴人らに対し,それぞれ,別紙「認定額一覧表」の「主文額」の「C」欄記載の金額及びこれに対する平成13年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを4分し,その3を被控訴人らの負担とし,その余を控訴人らの負担とする。 7 この判決第2ないし4項は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴につき(1) 控訴人らア原判決中,控訴人ら敗訴部分を取り消す。 イ被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 ウ訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人らの負担とする。 (2) 被控訴人らア本件控訴をいずれも棄却する。 イ控訴費用は控訴人らの負担とする。 2 附帯控訴につき(1) 被控訴人らア原判決を次のとおり変更する。 (ア) 控訴人Aは,被控訴人a,同b,同c,同d,同e,同f,同g,同h,同i,同j及び同kに対し各500万円,被控訴人mに対し250万円,被控訴人n及び同pに対し各125万円及びこれらに対する平成13年7月1 Aは,被控訴人a,同b,同c,同d,同e,同f,同g,同h,同i,同j及び同kに対し各500万円,被控訴人mに対し250万円,被控訴人n及び同pに対し各125万円及びこれらに対する平成13年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (イ) 控訴人Bは,被控訴人a,同b,同c,同d,同e,同f,同g,同h,同i,同j及び同kに対し各250万円,被控訴人mに対し125万円,被控訴人n及び同pに対し各62万5000円及びこれらに対する平成13年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (ウ) 控訴人Cは,被控訴人a,同b,同c,同d,同e,同f,同g,同h,同i,同j及び同kに対し各250万円,被控訴人mに対し125万円,被控訴人n及び同pに対し各62万5000円及びこれらに対する平成13年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ訴訟費用は,第1,2審とも,控訴人らの負担とする。 (2) 控訴人らア本件附帯控訴を棄却する。 イ附帯控訴費用は被控訴人らの負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,牛乳等の製造販売業を営むE乳業株式会社が,同社製造の牛乳を飲用した多数の児童を被害者とする食中毒事件後に解散し,従業員を解雇したことに関して,同社の従業員であった被控訴人ら(ただし,被控訴人m,同n及び同pは,同社の従業員であったqの相続人である。以下,上記被控訴人ら3名を「被控訴人mら3名」といい,被控訴人mら3名を除くその余の被控訴人らとqを一括して「被控訴人従業員ら」ともいう。)が,上記食中毒事件は,同社の代表取締役であったD(以下「D」という。)がクレームを受けて回収した牛乳を牛乳の原料とする違法な再利用を決定して指示するなどの,代表取締役として 人従業員ら」ともいう。)が,上記食中毒事件は,同社の代表取締役であったD(以下「D」という。)がクレームを受けて回収した牛乳を牛乳の原料とする違法な再利用を決定して指示するなどの,代表取締役としての職務を行うにつき悪意又は重大な過失による任務懈怠があったために発生したのであり,その結果,同社が廃業を余儀なくされ,被控訴人従業員らは解雇され,原判決別表「損害金額目録」記載の損害を被ったと主張して,商法266条の3に基づき,Dに対し,それぞれ,上記損害のうち2000万円(ただし,被控訴人mら3名についてはその相続分に応じた金額)及びこれに対する平成13年5月18日(解雇された日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた訴訟の控訴審である。 原審は,被控訴人らの請求の一部(被控訴人従業員ら1名当たりで慰謝料300万円及び弁護士費用30万円の合計330万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成13年7月18日以降の遅延損害金)を認容し,その余を棄却したところ,これを不服として,Dの相続人である控訴人らが控訴を提起し,次いで被控訴人らが附帯控訴を提起した。 なお,特に断らない限り,略語は原判決に準ずるものとし,引用する原判決中の「被告」はいずれも「D」と読み替えるものとする。 2 前提事実次のとおり補正するほかは,原判決の事実及び理由の第2の1に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決3頁8,9行目の「乙14,16,17,18」を「甲85,95,112ないし127,乙14,16ないし18,21ないし29,40」と改める。 (2) 原判決3頁22,23行目の「被告が3000株,被告の妻及び被告の息子であるBが各2000株並びに被告の娘が1000株 し127,乙14,16ないし18,21ないし29,40」と改める。 (2) 原判決3頁22,23行目の「被告が3000株,被告の妻及び被告の息子であるBが各2000株並びに被告の娘が1000株」を「Dが3000株,同人の妻である控訴人A及び長男である控訴人Bが各2000株,長女である控訴人Cが1000株」と改める。 (3) 原判決3頁末行目の「B」及び同4頁11行目の「上記B」をいずれも「控訴人B」と改め,同行目の「(以下「B専務」という)」を削除する。 (4) 原判決4頁16行目と17行目の間に以下のとおり加える。 「オ Dは平成15年8月24日に死亡し,控訴人Aが2分の1,控訴人B及び控訴人Cが各4分の1の割合で相続した。」(5) 原判決5頁3行目の「同条」を「同法」と,同5行目の「これを受けた」を「そして」と,それぞれ改める。 (6) 原判決5頁24行目の「再利用及び」を「再利用並びに」と改める。 (7)原判決6頁18行目の「牛乳製造施設168施設中」から同21行目末尾までを次のとおり改める。 「牛乳製造施設168施設中,120施設で牛乳が再利用されており,そのうち加工乳への再利用が78施設,乳飲料への再利用が85施設であり,牛乳への再利用の例はなかったこと,加工乳製造施設116施設中,82施設で加工乳が再利用されており,そのうち乳飲料への再利用が72施設あり,加工乳への再利用の例はなかったこと,乳飲料製造施設157施設中,87施設で乳飲料が再利用されており,そのうち86施設で」(8) 原判決7頁19行目の「213本」を「213本(1000ml)」と改める。 (9) 原判決8頁1行目の「小中学校」から同3行目末尾までを「小中学校16校の児童生徒380人余りが吐き気や腹痛,嘔吐,下痢等の症状 9行目の「213本」を「213本(1000ml)」と改める。 (9) 原判決8頁1行目の「小中学校」から同3行目末尾までを「小中学校16校の児童生徒380人余りが吐き気や腹痛,嘔吐,下痢等の症状を訴え,うち78名が医師の手当を受けたが(以下「本件食中毒事件」という。),このことは,翌28日の新聞各紙の報道等により,大々的に報道されて,広く知られるところとなった。」と改める。 (10) 原判決8頁6行目の「食品衛生法」の次に「(平成15年法律第55号による改正前のもの。以下同じ。)」を加える。 (11) 原判決8頁6,7行目の「同法4条4項」を「同法4条4号」と改める。 (12) 原判決8頁10行目の「同月30日」から同12行目末尾までを削除する。 (13) 原判決9頁5行目の「通告した。」を「通告し(以下,この解雇通告を「本件解雇」という。),また,全営業についての廃止届を金沢市保健所に提出した。」と改める。 3 争点及び当事者の主張次のとおり補正し,付加するほかは,原判決の事実及び理由の第2の2,3に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決の補正原判決11頁25行目から同12頁4行目までを次のとおり改める。 「オよって,被控訴人らは,控訴人らに対し,商法266条の3による損害賠償請求権に基づき,損害賠償金の内金として,次の(ア)の金員の支払を求める。 なお,被控訴人らが附帯控訴により不服申立てをする範囲は,次の(イ)のとおりである。 (ア) 原審における請求金額① 被控訴人a,同b,同c,同d,同e,同f,同g,同h,同i,同j及び同kは,それぞれ,控訴人Aに対して1000万円,控訴人B及び同Cに対して各500万円② 被控訴人mは, ① 被控訴人a,同b,同c,同d,同e,同f,同g,同h,同i,同j及び同kは,それぞれ,控訴人Aに対して1000万円,控訴人B及び同Cに対して各500万円② 被控訴人mは,控訴人Aに対して500万円,控訴人B及び同Cに対して各250万円③ 被控訴人n及び同pは,それぞれ,控訴人Aに対して250万円,控訴人B及び同Cに対して各125万円④ 上記各金員に対する平成13年5月18日(解雇の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金(イ) 附帯控訴による不服申立ての範囲① 被控訴人a,同b,同c,同d,同e,同f,同g,同h,同i,同j及び同kは,それぞれ,控訴人Aに対して500万円,控訴人B及び同Cに対して各250万円② 被控訴人mは,控訴人Aに対して250万円,控訴人B及び同Cに対して各125万円③ 被控訴人n及び同pは,それぞれ,控訴人Aに対して125万円,控訴人B及び同Cに対して各62万5000円④ 上記各金員に対する平成13年7月18日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金」(2) 当審における主張《被控訴人らの主張》ア Dの任務懈怠について本件会社では,雪印乳業事件以後も,工場内に残った牛乳を牛乳の原料として再利用することが常態化していたのであり,また,一旦製品として販売店等に出た後に回収された牛乳についても破棄されずに牛乳への再利用がされ,破砕機も随時使用されていた。このような違法な牛乳の再利用が従来から慣行として行われていたことで,本件再利用が行われて本件食中毒事件が発生したのである。 したがって,本件会社で違法な牛 ,破砕機も随時使用されていた。このような違法な牛乳の再利用が従来から慣行として行われていたことで,本件再利用が行われて本件食中毒事件が発生したのである。 したがって,本件会社で違法な牛乳の再利用が従来から慣行的に行われていたことが,Dの代表取締役としての重大な任務懈怠である。 イ被控訴人従業員らの賃金相当損害について仮に被控訴人従業員らが定年まで本件会社に雇用されていた場合に得られた賃金相当額が損害として認められなくても,少なくとも,被控訴人従業員らについて,再就職するまでの失業期間中は,本件会社に雇用されていれば得られた賃金が得られないことにより賃金相当額が損害として発生し,再就職できた場合でも,賃金額が上記賃金額より低下することが多く,上記賃金額と再就職後の賃金額との差額が将来にわたって継続するときには,その差額が損害として発生していることになる。 したがって,被控訴人従業員らのうち再就職した者については,賃金に係る逸失利益として,別紙甲の表1のとおり(ただし,「原告」をすべて「被控訴人」と改める。以下,別紙甲の表2についても同じ。),少なくとも,失業期間中の分と再就職による賃金の低下による賃金差額分が損害として認められるべきであり,その額は,別紙甲の表の「⑬損害」欄に記載したとおりとなる。 また,被控訴人従業員らのうち未だ再就職できていない者については,上記再就職者らの平均失業期間(別紙甲の表1の⑤欄の235日間)及び本件解雇再就職後の賃金額の本件解雇前の従前賃金額に対する平均比率(同⑩欄の83.68%)を基に,合理的な失業期間後に再就職したものとして,別紙甲の表2のとおり上記損害を算定することが可能であり,その額は同表の「⑬損害」欄に記載したとおりとなる。 なお,被控訴 83.68%)を基に,合理的な失業期間後に再就職したものとして,別紙甲の表2のとおり上記損害を算定することが可能であり,その額は同表の「⑬損害」欄に記載したとおりとなる。 なお,被控訴人従業員らは,雇用保険法に基づく失業等給付として,別紙乙のとおり,基本手当及び再就職手当を受給しているが,これらの失業等給付金は,次の理由で,Dが賠償すべき損害額から控除されるべきではない。すなわち,被保険者が失業した場合の生活の安定及び求職活動援助の目的でされる社会保障制度の一種であって(雇用保険法1条),損害の填補を直接の目的とするものではない(このことは,雇用保険法には,失業が第三者の加害行為に起因する場合において政府が加害者に対して保険給付額の償還を求める旨の,いわゆる保険代位の規定がないことからも明らかである。)。また,雇用保険法に基づく給付に要する費用に充てるための財源は,保険料と国庫負担からなっているが,このうちの保険料についてはその一部を労働者も負担している(雇用保険法68条1項)から,被控訴人従業員らが受給した失業等給付金をDが賠償すべき損害額から控除することは,労働者の負担で,失業に責任のある事業主の責任が軽減されることになって,損益相殺の趣旨である公平の原則に反し,かつ,失業予防及び雇用の安定という雇用保険法の趣旨にも反する。 ウ民事訴訟法248条による損害算定について被控訴人従業員らの逸失利益による損害額の算定が困難であるとしても,次のとおり賃金についての逸失利益損害の発生は明らかであるから,民事訴訟法248条を活用して同損害の算定をするべきである。 すなわち,今日の雇用情勢の下では,解雇後即時に再就職することは不可能であるから,被控訴人従業員らには,違法なDの任務懈怠より再就職までの相当 8条を活用して同損害の算定をするべきである。 すなわち,今日の雇用情勢の下では,解雇後即時に再就職することは不可能であるから,被控訴人従業員らには,違法なDの任務懈怠より再就職までの相当期間の従前賃金相当額の逸失利益損害が発生していることは明らかである。そして,被控訴人従業員らのうち最も早く再就職できた者でも被控訴人eの64日であったから,少なくとも,本件解雇前の賃金額の2か月分が上記相当期間(再就職準備期間)分の逸失利益損害として,被控訴人従業員ら全員について認められるべきである。 また,再就職後の賃金額は,従前の賃金額との比較で15パーセント以上低下するのが通常であり,被控訴人従業員らのうち再就職した者についても,賃金の低下による逸失利益損害の発生は明らかであるから,再就職後定年までの相当期間,被控訴人従業員らの従前の賃金額の15パーセントに相当する金額を逸失利益損害と認めるべきである。 《控訴人らの主張》ア Dの任務懈怠についてDは,雪印乳業事件後,当時の営業担当専務取締役であった控訴人Bを中心にして,返品牛乳の再利用を防ぐため,出荷後の売れ残り牛乳の返品の解消を図ることとし,販売業者による牛乳買取制度を推し進め,その結果,不良品を除いて出荷後の牛乳が返品されることはなくなり,また,返品牛乳の再利用を防ぐため,製品化された紙パック牛乳を破砕して牛乳を取り出す破砕機を片付けさせ,さらには,本件会社の従業員に対しても,工場長であるF部長等を通じて,毎日の朝礼で,出荷後の牛乳等の違法な再利用禁止を指示し,その徹底を図った。 このように,Dは,牛乳の違法な再利用を禁じる体制を築き,出荷後返品された牛乳を再利用しないような措置を講じてもいたから,F製造部長が本件回収牛乳を牛乳に再利用する ,その徹底を図った。 このように,Dは,牛乳の違法な再利用を禁じる体制を築き,出荷後返品された牛乳を再利用しないような措置を講じてもいたから,F製造部長が本件回収牛乳を牛乳に再利用することを予見することはできず,そのようなことは全くの予想外の異常な出来事であった。したがって,Dが,同部長から本件回収牛乳の報告を受けた際,同部長に対し,その廃棄又は再利用の禁止を指示しなかったことに過失はない。 イ被控訴人従業員らの損害について被控訴人らの主張は争う。 被控訴人ら主張の失業期間中の従前の賃金額相当が損害となるとされる場合には,失業期間中に受給した雇用保険法に基づく給付金を損害から控除すべきである。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(Dによる本件再利用の指示の有無)について(1) 認定事実前記前提事実及び証拠(甲9,12,甲13及び14の各1,2,甲15,31,42,44,45,78ないし85,95,乙14,16,17,20ないし34,38,証人F,被控訴人b本人,1審被告D本人)によれば,本件食中毒事件の発生前後の状況につき,以下の事実が認められる。 ア本件会社における業務管理体制(ア) Dは,本件会社の代表取締役として,業務全般を指揮監督する立場にあったところ,本件食中毒事件が発生した平成13年当時は,本件会社の牛乳等製品の製造部門はF部長を責任者として,また,その販売等の営業部門は専務取締役である控訴人Bを責任者として,それぞれ,その業務の管理運営をほぼ一任し,自らは,両部門を統括して随時相談等に与るほか,経理関係の決裁及び対外的な交渉等の業務を行っていた。 (イ)F部長は,同業他社の工場長をした後,昭和46年に本件会社に入社した者で,牛乳製品等の製 両部門を統括して随時相談等に与るほか,経理関係の決裁及び対外的な交渉等の業務を行っていた。 (イ)F部長は,同業他社の工場長をした後,昭和46年に本件会社に入社した者で,牛乳製品等の製造に関する技術を有し,職務熱心であったことから,Dの信任は篤く,上記のとおり,平成13年当時,製造部長兼工場長として,本件会社が製造する乳製品等の製造部門を統括管理する責任者の地位にあり,上記製造部門の業務を実質的に一任されていた。 イ雪印乳業事件以前の本件会社での牛乳再利用の状況本件会社では,雪印乳業事件が発生するまでは,一旦パック詰めあるいは瓶詰めされて出荷された牛乳でも,①賞味期限内であること,②冷蔵保管されていたことが確認できること,③社内検査(アルコール検査及び風味検査)で合格することの条件を満たせば,加工乳及び乳飲料への再利用のみならず,牛乳への再利用も行われ,パック詰めあるいは瓶詰めされて製品化されたものの,出荷されずに本件会社内の冷蔵庫に保管されていた牛乳については,①及び③の条件を満たせば,当然のこととして,加工乳及び乳飲料への再利用のみならず,牛乳への再利用が行われていた。 ウ雪印乳業事件後の金沢市保健所による指導(ア) 同事件後の平成12年7月12日,金沢市保健所の担当官が本件会社を立入り検査したが,その際,D及びF部長に対し,製造後出荷されずに冷蔵庫に残っていた製品及び出荷後返品された製品を加工乳等の原料として再利用することについて,品質保持期限内のものであること及び摂氏10度以下で保存管理されている等の衛生管理がされていることの条件が満たされる場合には食品衛生法上問題はないが,衛生管理の状況が不明なものや品質保持期限切れのものが混入するときには同法に抵触することになるから,これを行 れている等の衛生管理がされていることの条件が満たされる場合には食品衛生法上問題はないが,衛生管理の状況が不明なものや品質保持期限切れのものが混入するときには同法に抵触することになるから,これを行わないこと,牛乳の再利用について,牛乳を加工乳及び乳飲料の製造のための原料として使用する再利用は許されるが,牛乳を牛乳の製造のための原料として使用する再利用は許されないこと等を指摘して,その旨指導し,従業員にも周知徹底するよう求めた(以下,この指導を「本件指導」という。)。 また,本件会社には,返品された牛乳等の破棄について詳細な記録がなかったため,本件会社は,同日,金沢市保健所から,文書で,返品された牛乳等の破棄状況についての詳細を報告するよう求められた。 (イ) Dは,本件指導により,牛乳を加工乳又は乳飲料製造のために再利用することは許されるものの,牛乳製造のために再利用することが食品衛生法に違反して違法であることを明確に認識するとともに,本件会社で従前行っていた,一旦製品として出荷された牛乳を牛乳製造のための原料として使用する再利用も,出荷されずに本件会社内の冷蔵庫に保管されていた牛乳を牛乳製造のための原料として使用する再利用も,違法なものであったことを知り,F部長に対し,本件指導を遵守して違法な再利用をしないよう指示した。 また,本件会社は,返品された牛乳等の破棄状況について,金沢市保健所に対し,同日付け書面で,本件会社の工場から商品として外部に搬出された後に回収された牛乳については,温度管理等を確認することができないため,品質保持期限内のものであっても一切再利用しておらず,全て廃棄している旨報告した。 エ雪印乳業事件後の本件会社の牛乳の再利用の実態(ア) Dは,金沢市保健所から本件指導を ないため,品質保持期限内のものであっても一切再利用しておらず,全て廃棄している旨報告した。 エ雪印乳業事件後の本件会社の牛乳の再利用の実態(ア) Dは,金沢市保健所から本件指導を受けたことから,控訴人B及びF部長と相談の上,出荷された牛乳等の再利用を廃止するとともに,売れ残った牛乳等が販売店から返品されることによる損失を回避するために,販売店に対して牛乳等の買取りを求める営業活動の一層の推進を図ることとし,同控訴人が中心となって営業努力した結果,平成13年4月当時,牛乳等の買取り体制がほぼ完全に実施され,出荷された牛乳等が不良品でない限り,販売店からの牛乳等の返品はない状態となった。そして,本件会社では,一旦出荷された牛乳等製品については,その保管状況が確認できるか否かを問わず,再利用しないこととし,工場内に据え付けてパック詰め製品から牛乳を取り出すために利用していた破砕機についても,これを工場外に出して使用しない措置を講じ,従業員に対しても,朝礼等を通じて,一旦出荷された牛乳製品については再利用をしない旨を周知した。 (イ) しかし,牛乳等製品は受注生産ではなく,受注見込みによる見込み生産であることから,出荷されずに会社内に残る牛乳等製品(パック詰めあるいは瓶詰めされた牛乳等)の発生は避けられず,恒常的なものであったため,本件会社では,そのような未出荷の牛乳等製品で本件会社内の製品冷蔵庫に保管されていたものについては,上記イの①及び③の条件を満たせば,雪印乳業事件以前と同様,加工乳及び乳飲料への再利用,さらには,牛乳への再利用も引き続き行われていた。Dから,本件指導を遵守して違法な再利用をしないよう指示を受けたF部長も,上記のような牛乳への再利用を承知しながら,その廃止を部下職員に指示したり,そのことでD 乳への再利用も引き続き行われていた。Dから,本件指導を遵守して違法な再利用をしないよう指示を受けたF部長も,上記のような牛乳への再利用を承知しながら,その廃止を部下職員に指示したり,そのことでDに相談するようなこともなかった。 (ウ) Dは,雪印乳業事件後の本件指導により,製品化された牛乳を牛乳製造のための原料として使用する再利用が違法なことを明確に認識し,また,本件会社で従前行っていた牛乳を牛乳製造のための原料として使用する再利用(上記イの利用)が違法なことを認識し,上記ウ(イ)のとおり,F部長に対して本件指導を遵守して違法な再利用をしないよう指示する一方,一旦出荷された牛乳等製品の再利用については上記(ア)のとおりその再利用をしない措置を講じたが,出荷されずに本件会社内の冷蔵庫に保管されていた牛乳を牛乳製造のための原料として使用する再利用に関しては,自ら特段の措置を講ずることなく,また,F部長に対し,上記再利用の有無に関する実情を報告させたり,上記再利用の禁止を具体的に指示をするようなこともなかったため,本件食中毒事件発生当時,上記再利用の実情については知らなかった。 オ本件回収牛乳に関する再利用の経過(ア) 前記前提事実(3)ア及びイの経緯で,被控訴人bは,平成13年4月25日午後6時ころ,本件回収牛乳をライトバンに積んでプラント・スト・スリー滑川店から本件会社に持ち帰った。被控訴人bは,サンプルとして本件回収牛乳の数本を事務所に持参した後,ライトバンに戻ったが,そのとき,異臭を感じたため,F部長及び製造課長のG(以下「G課長」という。)にライトバンまで同行を求め,臭気の確認をしてもらった。F部長は,被控訴人bが上司の指示を得ずに独断で本件回収牛乳を自主回収してきたことに驚くとともに,ライトバン内に のG(以下「G課長」という。)にライトバンまで同行を求め,臭気の確認をしてもらった。F部長は,被控訴人bが上司の指示を得ずに独断で本件回収牛乳を自主回収してきたことに驚くとともに,ライトバン内には煙草の臭いがあって,このままでは本件回収牛乳の異臭の有無を検査できないと考え,G課長に対し,明日検査する旨告げただけで,本件回収牛乳の処理について具体的な指示をしなかった。その後,被控訴人bは,G課長の指示で,本件回収牛乳を廃棄用冷蔵庫に入れた。 (イ) F部長は,本件回収牛乳と同一の製造過程で製造した牛乳でクレームがあったのはプラント・スリー滑川店納品分だけであって,他の納品先分についてはクレームがなく,従前クレームのあった同店納品分に関しては原因が不明であり,その原因を究明のために外部の検査機関に回収したクレーム品の検査の依頼をするなどの努力をしている最中であったこと,本件回収牛乳についても,それ自体にクレームがあったわけではなく,商品として陳列中のもの及び冷蔵庫に保管していたものであること,同店から製品を回収することに関して事前には何の相談もなく,被控訴人bが上司の指示を得ずに独断で自主回収してきたものであった上,本件回収牛乳は,本件会社で製品の買取り制を実施するようになった以後では多量なものであったことなどから,廃棄してしまうにはもったいないとの気持ちが働き,本件回収牛乳の再利用も考え,上記のとおり,G課長に対し,明日検査する旨告げただけで,本件回収牛乳の処理についての具体的な指示をしなかった。 (ウ) そして,F部長は,同日午後7時ころ,外出先から帰社したDに対し,本件回収牛乳の報告をした。同報告を受けたDは,プラント・スリー滑川店に対して重ねて出荷停止を指示したものの,本件回収牛乳の処理について特段の指示をせず, 午後7時ころ,外出先から帰社したDに対し,本件回収牛乳の報告をした。同報告を受けたDは,プラント・スリー滑川店に対して重ねて出荷停止を指示したものの,本件回収牛乳の処理について特段の指示をせず,また,F部長も,Dに対し,本件回収牛乳の処理について指示を仰ぐことをしなかった。 (エ) 翌26日朝,F部長は,G課長から本件回収牛乳の処理について尋ねられたため,同課長とともに,廃棄用冷蔵庫に出向き,本件回収牛乳から製造日の異なる数本を取り出し,二人で風味検査をしたが,特に異常を感じなかった。そのため,F部長は,本件回収牛乳の再利用を決断し,G課長に対し,本件回収牛乳を牛乳の原料として再利用するよう指示した。そして,製造部門で冷蔵庫での保管業務等の雑用を担当していた被控訴人iは,F部長及びG課長から,本件回収牛乳をポリタンクに空け,これを製造部門で殺菌業務等を担当していたqに渡すよう指示され,qは,F部長から,被控訴人iが持ってきたポリタンク入りの牛乳を牛乳として使用するよう指示された。被控訴人i及びqが上記各指示に従った結果,本件回収牛乳を学校給食用の牛乳の原料として利用するという本件再利用が行われた。 カ本件食中毒後の対応(ア) Dは,同月28日午前,F部長に対し,本件食中毒事件について心当たりの有無を尋ねたところ,同部長から,風味検査をして大丈夫だと思ったので,自らの指示で本件回収牛乳を学校給食用の牛乳の原料として再利用した旨説明された。Dは,同説明を受けて初めて,本件回収牛乳が廃棄されずに,学校給食用の牛乳の原料として再利用されたことを知り,F部長を叱責した上,同部長に対し,本件再利用の経緯につき,金沢市保健所の担当官にも正直に説明するように指示し,また,出勤した従業員らを集め,警察や保健所からの事情聴取に て再利用されたことを知り,F部長を叱責した上,同部長に対し,本件再利用の経緯につき,金沢市保健所の担当官にも正直に説明するように指示し,また,出勤した従業員らを集め,警察や保健所からの事情聴取には全て正直に話すように指示した。 (イ) F部長は,金沢市保健所の立入り調査の際,その担当官に対し,本件再利用の事実関係について説明した。 (ウ) なお,本件会社の就業規則には,故意又は重大な過失により本件会社の名誉信用を毀損し,又は本件会社に重大な損害を与えた者は懲戒解雇される旨規定されているが,Dは,本件再利用を指示したF部長に対して懲戒処分を行わず,また,同部長に対する退職金約900万円は,そのうち既に掛金が払込済みの勤労者退職金共済機構の中小企業退職金共済から支払われる約700万円についてはその全額の請求手続をして同部長に既に支払われたものの,本件会社が支払うべき残額約200万円については未だその支払をしていない。 (2) 被控訴人らは,本件再利用は,F部長がDの指示を受けてしたものであると主張するが,同主張を認めるに足りる証拠はない。 なお,被控訴人らは,F部長が本件再利用をして本件食中毒事件を起こしていながら,懲戒処分も受けず,退職金の一部の支払も受けていることなどから,本件再利用についてDの指示があったものと合理的に推認できるとも主張するが,これを否定する証人Fの証言及びその供述調書(乙22ないし24)並びに第1審被告Dの供述及びその供述調書(乙25ないし27)に照らして,採用できない。 かえって,上記(1)の認定事実によれば,Dは,本件回収牛乳の存在を事前に知ってはいたが,本件回収牛乳を新たに製造する牛乳の原料として再利用することをF部長に指示したことはなかったものというべきである。 した )の認定事実によれば,Dは,本件回収牛乳の存在を事前に知ってはいたが,本件回収牛乳を新たに製造する牛乳の原料として再利用することをF部長に指示したことはなかったものというべきである。 したがって,争点(1)に関する被控訴人らの主張は採用することができない。 2 争点(2)(Dの任務懈怠の有無等)について(1) 被控訴人らは,Dにおいて,F部長が本件回収牛乳を再利用することを予見できたから,代表取締役として,同部長に対してその再利用をしないよう指示し,監督すべき義務があった旨主張する。 しかし,上記1(1)で認定したとおり,本件会社では,雪印乳業事件以後,金沢市保健所からの本件指導があって,一旦出荷された牛乳等製品についてはこれを再利用しないこととし,そのために製品の買取り制を推進し,製品化された牛乳の再利用のときに使用する破砕機を使用できないようにする措置を講じ,また,そのことは,朝礼等を通じて従業員にも周知させる措置を講じていたのであるから,製造現場の責任者であるF部長が部下の従業員に対して本件回収牛乳の再利用を指示して本件再利用を行わせた行為は,本件会社の上記方針に明確に反するものであって,まことに異例のことといわなければならない。そうすると,Dにおいて,同部長から本件回収牛乳の報告を受けた際,その言動等から本件回収牛乳の再利用をしようとしていることを窺うことができたなどの特段の事情のない限りは,同部長が本件再利用をすることを事前に予見することは困難であったものというべきところ,上記特段の事情を認めるべき証拠はないから,Dについて,同部長に対して本件回収牛乳の再利用をしないよう指示し,監督すべき注意義務があったものと認めることはできない。 (2) しかしながら,前記前提事実並びに上記1(1)認定の事実によれば Dについて,同部長に対して本件回収牛乳の再利用をしないよう指示し,監督すべき注意義務があったものと認めることはできない。 (2) しかしながら,前記前提事実並びに上記1(1)認定の事実によれば,次の理由により,Dには,本件再利用に関して,本件会社の代表取締役としての任務懈怠があり,同任務懈怠は重大な過失によるものというべきである。 ア上記1(1)で認定のとおり,本件会社では,雪印乳業事件前には,出荷の前後を問わず,一定の条件を満たせば,牛乳等製品を牛乳等の製造の原料として再利用することが行われ,この再利用の一環として,製品化された牛乳を新たな牛乳を製造するための原料とする再利用も行われていたが,雪印乳業事件及びその後の金沢市保健所による本件指導により,製品化された牛乳を新たな牛乳を製造するための原料として再利用することが食品衛生法に違反することが明らかとなり,Dも,本件会社の上記のような再利用が違法なものであることを明確に認識するに至ったのである。 イ牛乳等製品の製造メーカーにとって,食品の安全性に関する法令違反を問題とされて,消費者の信頼を失うこととなった雪印乳業事件は重大な教訓となるものであり(甲112ないし127,証人F,第1審被告D本人),雪印乳業事件と同様な事件を起こさないことは,企業として存続し,その経営を維持する上で極めて重大な課題であったというべきである。そして,本件会社では,上記アのとおり,雪印乳業事件前には,同事件で問題とされた製品化された牛乳等製品の再利用が行われていたのであり,そのうち牛乳から牛乳への再利用が食品衛生法違反となることが明らかとなったのであるから,上記のことは一層当てはまるのであり,上記のような違法な再利用の廃止とそのことの従業員に対する周知徹底の取組みがなされなければ,いずれ 再利用が食品衛生法違反となることが明らかとなったのであるから,上記のことは一層当てはまるのであり,上記のような違法な再利用の廃止とそのことの従業員に対する周知徹底の取組みがなされなければ,いずれ本件会社における再利用の実態が社会的問題となり,消費者の信頼を傷つけ,本件会社の維持存続に重大な悪影響を与える事態が生じうることは,容易に予想することができたものということができる。そのため,本件会社でも,雪印乳業事件を教訓として,金沢市保健所から指導を受けたこともあり,一旦出荷された牛乳等製品については,その再利用を廃止するための措置を講じて,そのことは朝礼等を通じて従業員にも周知された。しかし,本件会社では,牛乳等として製品化されたものの,出荷されるに至らず,会社内冷蔵庫に保管されていた牛乳等製品についての再利用については格別の見直しは行われず,引き続き雪印乳業事件以前と同様の再利用が行われたため,製品化された牛乳を新たな牛乳製造のための原料とする再利用が引き続き行われて,食品衛生法上の違法状態が温存されることになった(なお,被控訴人dの捜査官に対する供述調書である乙28には,F部長及びG課長が従業員に対して,雪印乳業事件後,「出荷する前の賞味期限内の牛乳であっても,再利用は絶対するな。」と,口やかましく言っていた旨の記載があるが,反対趣旨の甲80,乙20及び証人Fの証言に照らして措信できない。)。 ウところで,会社の代表取締役は,会社の業務を執行する職責を担う者であるから,会社がその業務に関して遵守すべき法令がある場合には,これに違反する結果を招来させることのないようにして業務の執行に当たるべき注意義務を負うのであり,代表取締役が同注意義務に違反して,上記法令に違反する結果を招来させたときには,過失によりその任務を懈怠したもの る結果を招来させることのないようにして業務の執行に当たるべき注意義務を負うのであり,代表取締役が同注意義務に違反して,上記法令に違反する結果を招来させたときには,過失によりその任務を懈怠したものというべきである(最高裁判所平成12年7月7日第二小法廷判決・民集54巻6号1767頁参照)。 Dは,雪印乳業事件及び金沢市保健所の本件指導により,それまでの本件会社における牛乳等製品の再利用には食品衛生法に違反する再利用があることを知ったのであるから,本件会社の代表取締役として,直ちに同法に違反する再利用を廃止する措置を講ずるのはもとより,すみやかに今後同様の違法な再利用が行われることのないようにするための適切な措置(牛乳等製品の再利用に関する取扱基準の策定,従業員に対する牛乳の再利用に関する教育・指導等の徹底等)を講じて,法令を遵守した業務がなされるような社内体制を構築すべき職責があったものというべきである。そして,上記職責を有するDとしては,上記措置を自ら講ずることなく,会社内の職掌分担に従ってこれを部下に任せるとしても,部下が取った措置の内容及びその結果を適宜報告させ,法令違反状態が解消されたこと等を確認し,仮になお法令に適合しない再利用がなされている状態が残存する場合には,自ら速やかに是正を指示するなどの指揮監督権限を行使して,違法な牛乳から牛乳への再利用をしない社内体制を築くべき義務があったものというべきである。 ところが,Dは,従前本件会社において行われていた牛乳等製品の再利用には食品衛生法に違反する再利用があることを知りながら,F部長に対して金沢市保健所の本件指導を遵守して違法な再利用をしないよう指示し,また,一旦出荷された牛乳等製品の再利用についてはその再利用をしない措置を講じたが,出荷されずに本件会社 を知りながら,F部長に対して金沢市保健所の本件指導を遵守して違法な再利用をしないよう指示し,また,一旦出荷された牛乳等製品の再利用についてはその再利用をしない措置を講じたが,出荷されずに本件会社内の冷蔵庫に保管されていた牛乳を牛乳製造のための原料として使用する再利用に関しては,自ら特段の措置を講ずることなく,その取扱いをF部長に任せ切りとして,かつ,F部長から,上記再利用の有無に関する実情を聴取することもしなかったため,本件会社で,なお牛乳から牛乳への再利用という法令に違反する状態が続いていることを知らずに,そのため,同違法状態が是正されないまま継続されることとなったものであるから,Dには,上記職責に違反する任務違背があったというべきである。 そして,本件会社が製造して販売する牛乳という商品は,高齢者から幼児に至るまで広く飲用され,それ故にその製造には細心の安全管理が要求される食品であり,一旦その製造についての安全管理に対する信頼が失われた場合には,本件会社の維持存続に関わる事態となることは容易に予見できたのであるから,Dにおいては,金沢市保健所からの本件指導があるまでは本件会社で違法な牛乳の再利用が繰り返されていたという実情を踏まえて,本件会社の代表取締役として,違法な牛乳の再利用を防ぐための社内体制を速やかにかつ確実に構築することが急務であったのに,上記のような措置あるいは対応しかしなかったのであるから,Dの任務懈怠のおける過失は重大であるというべきである。 3 争点(3)(Dの任務懈怠と本件会社の廃業及び解散との相当因果関係の有無)について(1) Dの任務懈怠と本件再利用との因果関係の有無Dが上記職責を尽くし,違法な牛乳から牛乳への再利用を一切しないという社内体制を構築していれば,F部長において本件再 の有無)について(1) Dの任務懈怠と本件再利用との因果関係の有無Dが上記職責を尽くし,違法な牛乳から牛乳への再利用を一切しないという社内体制を構築していれば,F部長において本件再利用を決意しなかったものと推認されるし,また,そのような社内体制が構築されていれば,仮に同部長が本件再利用を決意しこれを部下の従業員に指示したとしても,当該従業員が本件再利用に反対して本件再利用が未然に防がれたものと推認できる(qの捜査官に対する供述調書である乙29には,qは,本件再利用に係る牛乳が本件回収牛乳であることを知らず,会社内にストックされていた良好な品質の牛乳であると思って,本件再利用に関するF部長の指示に従ったが,本件回収牛乳であることを知っていたら,会社の規定を持ち出して断固反対した旨述べているが,他の従業員にも同様のことが期待できたものというべきである。)。ところが,上記1(1)で認定したとおり,本件会社においては,工場内部で保管された牛乳について,新たに牛乳を製造するための原料として再利用することが恒常化していたため,本件再利用に関しては,本件再利用までの過程で関与したG課長,被控訴人i,qの3名の従業員とも本件再利用を阻止する行動には出なかったのである。 上記推認を覆すに足りる証拠はない。 (2) 本件再利用と本件会社の廃業及び解散との因果関係の有無当裁判所も,本件再利用により本件営業禁止命令がなされ,本件営業禁止命令により営業再開の見通しがたたなくなって,本件会社は廃業して解散したものであり,本件再利用と本件会社の廃業及び解散との間には相当因果関係を肯定できると判断するが,その理由は,次のとおり補正するほかは,原判決21頁13行目から23頁10行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 会社の廃業及び解散との間には相当因果関係を肯定できると判断するが,その理由は,次のとおり補正するほかは,原判決21頁13行目から23頁10行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)ア原判決21頁13行目の「12,」の次に「25ないし27,」を加える。 イ原判決21頁末行の「被告は,」を「Dは,上記のような本件会社の経営状態から,幾度か本件会社を整理することを考えたことはあったものの,」と改める。 ウ原判決22頁5行目と6行目の間に次のとおり加える。 「(ウ) そして,平成13年2月にはH株式会社が牛乳の食中毒事件を起こしたために,同社が受注していた学校給食を含む牛乳の注文が本件会社に回ってきたこと等から,平成13年3月ころから,本件会社の経営が好転する兆しがあり,同年4月には新たな設備投資を実施し,また,春闘の労働組合とは賃金据置き,増収分を一時金に上乗せするという方向で交渉を進めていたところであり,Dも,この段階では,なお本件会社を継続するつもりであり,廃業する意図はなかった。」エ原判決22頁6行目の「(ウ)」を「(エ)」と改め,同10行目の「決意し,」の次に「平成13年5月17日,」を加え,同11行目の「解散の決議をした。」を「解散の決議をし,同日付けで営業廃止届をして廃業の手続をとった。」と改める。 オ原判決23頁9行目の「よって」を「ウ以上によれば」と改める。 4 争点(4)(被控訴人従業員らの損害)について(1) Dの本件任務懈怠と被控訴人ら主張の損害との因果関係の有無等ア上記1ないし3で認定説示したところによれば,Dの本件任務懈怠により本件会社が営業を廃止して解散することとなり,そのため,被控訴人従業員らが本件会社から解雇されたもの との因果関係の有無等ア上記1ないし3で認定説示したところによれば,Dの本件任務懈怠により本件会社が営業を廃止して解散することとなり,そのため,被控訴人従業員らが本件会社から解雇されたものであることは明らかであるから,Dの本件任務懈怠と本件会社による本件解雇との間にも相当因果関係があるものというべきである。 そして,上記3で認定した事実によれば,本件会社は,その経営が良好とはいい難い状況にはあったものの,本件再利用とそれによる本件営業禁止命令がなければ,ほぼ平成13年4月当時の経営状況で,少なくともDの任期中である2年間は存続したものと推認することができる(控訴人B作成の乙34は,この推認を左右するに足りない。)。 イ証拠(甲26ないし31,46ないし56,65なしい77,86ないし94,96ないし111,乙29)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。 (ア) 被控訴人従業員らは,いずれも本件会社で長期間稼働してきたものであり,その勤続年数は,被控訴人dが10年,被控訴人hが19年であるほかは,いずれも20年を超えており,その全員が,定年まで本件会社で勤続することを予定し,そのことを前提として将来の生活設計をしていた。 本件解雇の前年である平成12年度において,被控訴人従業員らは,本件会社から,給与等の賃金として,別紙甲の「①従前の年収」欄記載の金額の支払を受けた。 (イ) 被控訴人従業員らが本件解雇通告を受けた後,本件組合は,解雇撤回等を求めて団体交渉を繰り返したが,本件会社は,平成13年6月16日を最後に,以後の団体交渉を拒否した。また,本件会社は,被控訴人従業員らの再就職の斡旋をしなかった。 (ウ) 本件解雇通告を受けた被控訴人従業員らは,精神的な打撃を受けながら 13年6月16日を最後に,以後の団体交渉を拒否した。また,本件会社は,被控訴人従業員らの再就職の斡旋をしなかった。 (ウ) 本件解雇通告を受けた被控訴人従業員らは,精神的な打撃を受けながらも,雇用保険法に基づく失業等給付を受給しながら(失業等給付期間中に再就職ができなかった一部の者は,さらに,アルバイトをして当面の糊口をしのぎながら),再就職の口を探し回ったが,我が国における昨今の雇用情勢は厳しい状態にある上,被控訴人従業員らの大多数が中高年であって,本件解雇時において,50歳代が5名(被控訴人a,同g,同i,同j,亡q),40歳代が6名(被控訴人b,同c,同e,同f,同h,同k),20歳代が1名(被控訴人d)であったため,再就職は容易ではなかった。被控訴人従業員らは,ハローワークに通い,新聞等の求人情報に丹念に目を通し,友人等に紹介を頼むなどしたが,希望の労働条件では容易に再就職口が見つからず,希望する労働条件を下げざるを得なかった。 そのようにしてされた求職活動の結果,被控訴人従業員らの再就職の状況は,別紙甲の「④再就職日」欄記載のとおりであり,平成13年中に再就職できたのは被控訴人c,同d,同e及び同fの4名に止まった。その後,平成14年中には,被控訴人a,同b,同g,同hの4名が就職できたが,被控訴人kが再就職できたのは平成15年1月であり,被控訴人jについては,求職活動を継続しているが,今なお失業中である。また,被控訴人iは,平成14年8月に派遣会社に就職し,中華料理店に派遣されて稼働したが,その後急性骨髄性白血病を患い,再就職先を退職し,平成15年4月から入院生活を送っている。qは,本件食中毒事件,本件再利用及び本件解雇等の一連の出来事の中で精神のバランスを崩し,約2か月半神経精神科に入院した後,退 血病を患い,再就職先を退職し,平成15年4月から入院生活を送っている。qは,本件食中毒事件,本件再利用及び本件解雇等の一連の出来事の中で精神のバランスを崩し,約2か月半神経精神科に入院した後,退院して就職活動をしたが,就職先が見つからないまま,平成13年10月29日,自死した。 (エ)被控訴人従業員らのうち再就職できた者(被控訴人iを除く。)の再就職後の平成15年度における勤務先から受給した給料等の賃金額は,別紙甲の「⑦再就職先年収」欄に記載のとおりであり(ただし,被控訴人aの賃金額は,甲86のとおり「299万0750円」である。),被控訴人c及び同dが解雇前よりも増収となったが,他の者は,1割ないし5割程度の減収となった。そして,成長期の子供を抱えている者(被控訴人h)や住宅ローンを抱えている者(被控訴人e,同g)は経済的に極めて厳しい状態に置かれている。また,技術と経験のある牛乳製造の仕事に再就職できたのは,被控訴人d及び同hの2名だけであり,他の者は,慣れない仕事に従事して,相当の苦労をしている。 ウ上記ア及びイによれば,Dの本件任務懈怠がなければ,本件会社が営業を廃止して解散することもなく,そして,被控訴人従業員らも本件解雇をされることなく,少なくも本件解雇日から2年間(平成13年6月18日から平成15年6月17日までの2年間。以下,この期間を「雇用存続想定期間」という。)は,Dの本件任務懈怠当時とほぼ同一の労働条件で,本件会社に勤務して本件会社から本件解雇当時の給料等を下回らない給料等の支払を受けることができたものと推認するのが相当である。 しかし,上記3(2)認定の経営状況等に照らすと,本件会社が上記雇用存続想定期間を超えて存続していたことを高度の蓋然性をもって認めることはできない(なお,仮 のと推認するのが相当である。 しかし,上記3(2)認定の経営状況等に照らすと,本件会社が上記雇用存続想定期間を超えて存続していたことを高度の蓋然性をもって認めることはできない(なお,仮にDの本件任務懈怠がなければ,本件会社が上記雇用存続想定期間を超えて存続していたとしても,その場合において,本件会社の経営状況のいかん,ひいては,被控訴人従業員らの雇用が確保されていたか否か,また,雇用が確保されていたとしても,賃金等の労働条件がどのようなものとなっていたかを的確に認定できるだけの証拠はない。)。 エ控訴人らは,株主は,商法の規定に基づき,会社を自由に解散することができるから,本件会社が解散され,そのことが原因となって本件解雇がされた以上,Dの本件任務懈怠により被控訴人従業員らが上記雇用契約上の権利を失ったということはできないとして,Dの本件任務懈怠と被控訴人従業員らの上記雇用契約上の権利の喪失との間に相当因果関係がない旨主張する。 しかし,本件会社の株主が,商法の規定に基づき有効に本件会社を解散したため,営業が廃止され,そのことを原因としてなされた被控訴人従業員らに対する本件解雇が有効であるため,被控訴人従業員らが本件会社の従業員としての身分を喪失したこと(本件会社と被控訴人従業員らとの間の雇用関係の終了すること)になる点はそのとおりであるが,そのことの故に,Dの本件任務懈怠により本件会社が営業を廃止して解散することとなり,そのため,被控訴人従業員らに対する本件解雇がされたとの因果関係の存在が左右されるものではない(上記のとおり,本件会社の解散自体が,Dの本件任務懈怠により本件会社が営業を継続することが困難となったことによるのであるから,本件会社の解散は,Dの本件任務懈怠を原因として生じた本件会社の営業廃止に 上記のとおり,本件会社の解散自体が,Dの本件任務懈怠により本件会社が営業を継続することが困難となったことによるのであるから,本件会社の解散は,Dの本件任務懈怠を原因として生じた本件会社の営業廃止に至る一連の因果関係中の出来事に過ぎないのであって,Dの本件任務懈怠と関係なく生じた出来事ではないから,本件会社の解散が有効であり,本件解雇も有効であるからといって,Dの本件任務懈怠により被控訴人従業員らの上記雇用契約上の権利の喪失が生じたことは否定されない。)。 したがって,控訴人らの主張は採用できない。 オ以上によれば,被控訴人従業員らは,Dの本件任務懈怠により,上記雇用存続想定期間,Dの本件任務懈怠当時とほぼ同一の労働条件で,本件会社に勤務して,本件会社から本件解雇当時の給料等を下回らない給料等の支払を受けることを内容とする雇用契約上の権利を失ったものということができるから,そのことによる損害及びDの本件任務懈怠と相当因果関係にあるその他の損害について,商法266条の3による損害賠償請求権に基づき,Dに対して損害賠償を求めることができる。 カところで,上記雇用契約上の権利喪失による損害の内容としては,上記雇用存続想定期間において被控訴人従業員らが本件会社から支払を受けることができたはずの給料等が得られないことによる損害(賃金相当額の逸失利益損害)そのものであると解する余地があり,被控訴人らが別紙甲において主張する損害はそのような理解に基づくものと解される。しかし,被控訴人従業員らが本件会社から上記給料等を得るためには,被控訴人従業員らが本件任務懈怠当時と同一の労働条件で本件会社に対して労務を提供することがその前提となっているのであるが,上記エで説示したとおり,本件会社が被控訴人従業員らに対してした本件解雇は有効で 訴人従業員らが本件任務懈怠当時と同一の労働条件で本件会社に対して労務を提供することがその前提となっているのであるが,上記エで説示したとおり,本件会社が被控訴人従業員らに対してした本件解雇は有効であるから,被控訴人従業員らは,本件解雇後,本件会社に対して労務を提供する義務を負わず(したがって,上記前提が欠如している。),かえって,被控訴人従業員らは,その意思で自由に本件会社以外の会社等に就職して新たな勤務先に対して労務を提供することで給料等の賃金を得ることができる法的地位を回復しているのである。そして,雇用契約において労働者が使用者から支払を受ける給料等の賃金と労働者の使用者に対する労務の提供とは対価関係にあるから,被控訴人従業員らが本件会社から解雇されて本件会社から上記給料等を得られなくなったという法的状態と被控訴人従業員らが,本件会社に対して労務を提供する義務がないために,本件会社以外の会社等に就職して労務を提供することで給料等の賃金を得ることができる法的地位を回復したという状態とは,法的には等価値とみることができ(この点は,被控訴人従業員らが,本件解雇後,直ちに希望どおりの労働条件で再就職できた場合を想定することで,容易に理解できることである。),したがって,上記のような雇用存続想定期間中の給料等に係る逸失利益損害をもって,直ちに,上記雇用契約上の権利喪失による被控訴人従業員らの損害と認めることはできないというべきである。 しかしながら,現在の我が国における雇用や労働に関連する社会的,経済的な諸状況の下にあっては,解雇された労働者が,解雇の前後を通じてその有する労働能力が等しい場合でも,その年齢,学歴等を問わず,解雇後直ちに解雇前と同等以上の労働条件(賃金の額のみでなく,賃金等を含む全体としての労働条件の比較において 働者が,解雇の前後を通じてその有する労働能力が等しい場合でも,その年齢,学歴等を問わず,解雇後直ちに解雇前と同等以上の労働条件(賃金の額のみでなく,賃金等を含む全体としての労働条件の比較において同等以上の労働条件)で再就職することが可能なわけではなく,むしろ,一般に,汎用性のある特別の知識や技能を有する者はともかくとして,そのような特別な知識や技能を有しなかったり,特別な知識や技能があってもそれが限られた職域でしか活用できないような労働者が解雇後直ちに解雇前と同等以上の労働条件で再就職することは相当に困難なことであるとされているのであるから,解雇された労働者が解雇前の労働条件を下回らない労働条件での勤務先を探して再就職するまでにはある程度の期間を必要とし,また,そのような勤務先を探しても見つからず,賃金の額等の面で解雇前の労働条件を下回る労働条件でしか再就職できないということは稀でないのであり,上記のことは,上記(1)イで認定した本件解雇後の被控訴人従業員らの求職活動状況及び再就職状況からも優に推認することができる。 以上のように考えると,被控訴人従業員らが本件解雇後相当の再就職先を探すために必要な相当期間(再就職のための求職活動相当期間)中の本件解雇前の賃金相当の逸失利益と,再就職先における賃金等を含む全体としての労働条件が本件解雇前のそれを下回る場合における賃金額の本件解雇前の賃金額との差額に相当する逸失利益(以下,これらの逸失利益を併せて「賃金逸失利益」という。)は,Dの本件任務懈怠と相当因果関係にある被控訴人従業員らの上記雇用存続想定期間における雇用契約上の権利喪失による損害に該当するものと解するのが相当である。 そして,被控訴人従業員らの再就職の状況は,上記(1)イで認定したとおりであり,そこに掲記され 雇用存続想定期間における雇用契約上の権利喪失による損害に該当するものと解するのが相当である。 そして,被控訴人従業員らの再就職の状況は,上記(1)イで認定したとおりであり,そこに掲記された証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件会社には労働組合もあって,本件解雇までの被控訴人従業員らの労働条件は,賃金以外の勤務時間等において相当程度の水準で維持されていたこと,被控訴人従業員らのうち再就職できた者の再就職先における賃金以外の労働条件は,総じて,本件解雇までの本件会社における被控訴人従業員らの賃金以外の労働条件を上回るものでないことが認められる。 また,再就職できた者の間でもその再就職までの期間には長短があり,また,再就職後の賃金の額も,解雇前の賃金額と比較して,種々であることが認められるが,これらの相違は,未だ再就職できないでいる者も含めて,再就職のための求職活動をした被控訴人従業員らの年齢,学歴,健康状態,扶養すべき家族の有無等の生活状況等の被控訴人従業員らに関する諸事情のほか,雇用に関連する社会的,経済的な諸事情が複雑に関連しあった結果によるものと推認されるから,再就職できないこと,あるいは再就職まで長期間を要したこと,さらには,再就職先での賃金が解雇前賃金より低額であることについて,それが当該被控訴人従業員らの求職活動上の怠慢のためとか,病気のためとか等の被控訴人従業員らの個人の責めに帰すべき事情によるなどの特段の事情の認められない限りは,それぞれ,当該被控訴人従業員らが相当の求職活動をしたことによる結果として,そのまま評価するのが相当であるというべきである(再就職をする際に,その年齢及び勤続年数が求職相当期間に重大な影響を与えることは,雇用保険法が,基本手当の給付日数を年齢及び勤続年数により90日から330日まで するのが相当であるというべきである(再就職をする際に,その年齢及び勤続年数が求職相当期間に重大な影響を与えることは,雇用保険法が,基本手当の給付日数を年齢及び勤続年数により90日から330日まで相当に細分化して定めていることからも,窺うことができるし,実際の被控訴人従業員らの再就職状況に照らしても肯認できる。また,被控訴人従業員らは,雇用保険法に基づく失業等給付としての基本手当の支給を受けているが,その受給については,同法15条に基づく失業認定を受ける必要があるから,被控訴人従業員らが基本手当の受給を受けている期間については,原則として,再就職して稼働する意思及び能力を有していたものとの推認が働くというべきである。)。 キ原判決別表記載の将来賃金合計欄記載の金額に係る被控訴人ら主張の損害について(ア) 被控訴人らは,被控訴人従業員らが定年まで本件会社で勤務していれば得られたであろう将来にわたる賃金及び定年時に受領できる退職金が本件会社の解散,廃業により得られなくなったことから,被控訴人従業員らは原判決別表記載の将来賃金合計欄記載の損害を被った旨,また,定年まで勤務した場合に受け取るであろう退職金と現実に受け取った退職金との差額に相当する原判決別表の退職金差額欄記載の損害を被った旨主張する。 しかし,被控訴人従業員らは本件解雇により本件会社との間の雇用契約上の権利を喪失したのであるが,雇用存続想定期間中の給料等に係る逸失利益が上記喪失による損害には当たらないことも,上記カで説示したとおりであり,また,上記アないしカで認定説示したところによれば,本件会社の経営状況等に照らすと,本件会社が本件解雇後2年間を超えて存続したものと認めるに足りる証拠はないから,被控訴人らの上記主張は,その前提を欠き,採用できない。 で認定説示したところによれば,本件会社の経営状況等に照らすと,本件会社が本件解雇後2年間を超えて存続したものと認めるに足りる証拠はないから,被控訴人らの上記主張は,その前提を欠き,採用できない。 (イ) 被控訴人らは,上記(ア)の主張が認められない場合であっても,被控訴人従業員らが再就職するまでの失業期間中の従前賃金相当額と,再就職後平成16年3月31日までの従前の賃金相当額と再就職後の賃金との差額をもって,損害とすべきである旨主張する。 しかし,上記アないしカで認定説示したところによれば,本件会社の経営状況等に照らすと,本件会社が本件解雇後2年間を超えて存続したものと認めるに足りる証拠はないから,被控訴人らの上記主張のうち,本件会社が本件解雇後2年間を超えて存続することを前提とする部分は,前提を欠くものとして,採用できない。 なお,証拠(甲22の1,2)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人従業員らが,本件解雇がなく,雇用存続想定期間終了まで本件会社に勤務した場合に受け取ることができたであろう退職金の額は,被控訴人従業員らが本件解雇時に受け取った金額を上回るものと認められないではないが,その場合の退職金差額を算出するに足りる的確な証拠はなく,かつ,被控訴人従業員らのうち再就職した者については再就職後の勤務先の退職金制度の有無及びその内容を認めるに足りる的確な証拠もないから,Dの本件任務懈怠と相当因果関係にある退職金差額を認めることはできないというべきであるが,退職金差額の存在があることによる被控訴人従業員らの損害の可能性については,後記の慰謝料の額の算定の際に,その加算事情として考慮することとする。 (2) 被控訴人従業員らの雇用契約上の権利喪失による損害と雇用保険法に基づく受給額との関係ア の可能性については,後記の慰謝料の額の算定の際に,その加算事情として考慮することとする。 (2) 被控訴人従業員らの雇用契約上の権利喪失による損害と雇用保険法に基づく受給額との関係ア証拠(甲100ないし111)によれば,被控訴人従業員らは,本件解雇後,雇用保険法(平成15年法律第31号による改正前のもの。以下同じ。)に基づく失業等給付として,別紙乙の「雇用保険失業給付一覧」の支給額欄記載の基本手当及び同再就職手当欄記載の再就職手当の各支給を受けたことが認められる。 イ控訴人らは,被控訴人従業員らが雇用保険法に基づき受給した金額を被控訴人ら主張の失業期間中の賃金に係る逸失利益から控除すべきである旨主張する。 しかし,雇用保険法に基づいて支給される基本手当及び再就職手当は,労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに,求職活動を容易にする等その就職を促進することなどを目的として給付される失業等給付であり(同法1条,10条参照),また,基本手当及び再就職手当の財源は,国庫負担金のほか,労使が折半で負担する保険料によって賄われるものである(同法66条ないし68条,労働保険の保険料の徴収に関する法律中の関係条文参照)。他方,被控訴人従業員らの雇用契約上の権利喪失による損害中の再就職のための求職活動相当期間(すなわち失業期間)に係る逸失利益は,Dの本件任務懈怠により生じた損害であり,その賠償義務者はDであって,本件会社でも,国でもないから,被控訴人従業員らが雇用保険法に基づいて受給した基本手当及び再就職手当の全部又は一部が,Dが損害賠償義務を負担する上記損害の填補となるものとは解することはできない。 もっとも,被控訴人従業員らが雇用保険法に基づく基本手当及び再就職手当を受領したことは,被控訴人従業員らが本件 Dが損害賠償義務を負担する上記損害の填補となるものとは解することはできない。 もっとも,被控訴人従業員らが雇用保険法に基づく基本手当及び再就職手当を受領したことは,被控訴人従業員らが本件解雇により賃金収入を失ったことで経済的に困窮した状態を緩和することとなったことは十分に推認されるから,その点は後記の慰謝料の額の算定に当たって,その減算事情として考慮することとする。 (3) 被控訴人従業員らの雇用契約上の権利喪失による損害額の算定ア上記(1)及び(2)で説示したところに従って,上記(1)イで認定した事実等に基づき,被控訴人従業員らについて個別に上記雇用存続想定期間における雇用契約上の権利喪失による損害を検討する。 (ア) 被控訴人aについて証拠(甲66)によれば,同被控訴人は,本件解雇後,平成14年11月16日に再就職したが,この失業期間中の平成14年7月半ばから上記再就職日までの間土木建築の作業員としてアルバイトし,64万円(月額約16万円)の収入があったことが認められる。 上記事実も考慮すると,同被控訴人の賃金逸失利益の額は,別紙「賃金逸失利益認定表」のとおり677万2364円と認められる(同表の⑥欄の583万8896円は,②×⑤により計算される金額647万8896円から上記64万円を控除した金額である。)。 (イ) 被控訴人bについて同被控訴人の賃金逸失利益の額は,別紙「賃金逸失利益認定表」のとおり285万8644円である。 (ウ) 被控訴人cについて同被控訴人の賃金逸失利益の額は,別紙「賃金逸失利益認定表」のとおり106万0389円である。 (エ) 被控訴人dについて同被控訴人の賃金逸失利益の額は,別紙「賃金逸失利 同被控訴人の賃金逸失利益の額は,別紙「賃金逸失利益認定表」のとおり106万0389円である。 (エ) 被控訴人dについて同被控訴人の賃金逸失利益の額は,別紙「賃金逸失利益認定表」のとおり85万7325円である。 (オ) 被控訴人eについて同被控訴人の賃金逸失利益の額は,別紙「賃金逸失利益認定表」のとおり269万7943円である。 (カ) 被控訴人fについて同被控訴人の賃金逸失利益の額は,別紙「賃金逸失利益認定表」のとおり214万1960円である。 (キ) 被控訴人gについて同被控訴人の賃金逸失利益の額は,別紙「賃金逸失利益認定表」のとおり244万7875円である。 (ク) 被控訴人hについて同被控訴人の賃金逸失利益の額は,別紙「賃金逸失利益認定表」のとおり459万9044円である。 (ケ) 被控訴人kについて証拠(甲76,96,99)及び弁論の全趣旨によれば,同被控訴人は,本件解雇後,求職活動をしたが,なかなか就職先が見つからず,失業等給付としての基本手当の支給が打ち切りとなることもあって,平成14年4月から牛乳配送のアルバイトとして働き始めたこと,しかし,そのアルバイトも,同年12月に勤務先の事業規模縮小で解雇となったため,上記アルバイトによる収入は合計で117万円であったこと,そして,同被控訴人は,平成15年1月29日,警備保障会社に再就職したことが認められる。 上記事実も考慮すると,同被控訴人の賃金逸失利益の額は,別紙「賃金逸失利益認定表」のとおり550万3280円と認められる(同表の⑥欄の480万5520円は,②×⑤により計算される金額597万5520円から上記117万円を控除した金額で 逸失利益の額は,別紙「賃金逸失利益認定表」のとおり550万3280円と認められる(同表の⑥欄の480万5520円は,②×⑤により計算される金額597万5520円から上記117万円を控除した金額である。)。 (コ) 被控訴人iについて証拠(甲74)及び弁論の全趣旨によれば,同被控訴人は,本件解雇後,求職活動をしたが,学歴や運転免許を有しないこと等からなかなか就職先が見つからず,平成14年8月になって,ようやく中華料理店に採用されて,鍋洗い等の仕事に従事するようになったが,その月給は平均して8万8000円程度であったこと,ところが,同被控訴人は,平成15年4月になって,腹痛で病院で検査した結果,急性骨髄性白血病と診断され,同月30日から入院して,その治療に当たっており,そのため上記職場も退職したことが認められるから,同被控訴人には,本件解雇後上記病気入院までの間,合計79万2000円の稼働収入があったものと推認される。なお,同被控訴人が罹患した上記急性骨髄性白血病とDの本件任務違反行為との間に相当因果関係を認めるに足りる証拠はない。 上記事実も考慮すると,同被控訴人についての雇用存続想定期間中の賃金逸失利益は,本件解雇の日の翌日である平成13年6月18日から平成15年4月29日までの期間(681日)に限定されるべきであり,その額は,同被控訴人の1日当たり賃金額1万1773円に681日を乗じて得た金額801万7413円(1万1773円×681日)から,平成14年8月から平成15年4月までの間の上記収入額79万2000円(8万8000円×9か月)を控除した722万5413円と認めるのが相当である。 (サ) 被控訴人jについて証拠(甲75)及び弁論の全趣旨によれば,同被控訴人は,本件解雇後, 0円(8万8000円×9か月)を控除した722万5413円と認めるのが相当である。 (サ) 被控訴人jについて証拠(甲75)及び弁論の全趣旨によれば,同被控訴人は,本件解雇後,求職活動をしたが,なかなか希望する労働条件での就職先が見つからなかったこと,しかし,就職先が全くなかったわけではなく,ガードマン,清掃あるいは運転手としての就職先はあったが,その賃金が月額20万円にも満たないということで,再就職しないまま現在に至っていることが認められる。 上記事実によれば,同被控訴人が再就職しなかったのは,就職先がなかったためというのではなく,その労働条件が納得できないことに主たる原因があったというべきであり,そのような理由で長期間全く稼働しなかった同被控訴人について,雇用存続想定期間の全期間を「失業期間」として算出した賃金逸失利益をもってDの本件任務懈怠と相当因果関係にある損害ということはできないから,同被控訴人の雇用存続想定期間中の賃金逸失利益の額は,被控訴人ら主張のとおり,被控訴人従業員らのうち再就職した者の平均失業期間である234日,平均従前年収比0.8341,平均再就職後日数496日をもって算定した額と推認するのが相当である。 そうすると,同被控訴人の賃金逸失利益の額は,別紙「賃金逸失利益認定表」のとおり,失業期間逸失利益分273万0546円(②の金額1万1669円×234日)であり,賃金差額分96万0200円(②の1万1669円×(1-0.8341)×496日)の合計369万0746円となる。 (シ) qについて証拠(甲77)及び弁論の全趣旨によれば,qは,本件解雇後,求職活動をしたが,本件食中毒事件とその後の本件会社の廃業及び解雇,警察での事情聴取等により精神的に不安定 (シ) qについて証拠(甲77)及び弁論の全趣旨によれば,qは,本件解雇後,求職活動をしたが,本件食中毒事件とその後の本件会社の廃業及び解雇,警察での事情聴取等により精神的に不安定になるなどして,病院に2か月半ほど入院して治療に当たったこと,同人は,退院後,求職活動を再開したが,なかなか再就職先が見つからない状態が続き,そのような折りの平成13年10月29日自殺したことが認められるから,同人の上記入院についてはDの本件任務懈怠との間に相当因果関係を肯認することができるというべきである。なお,同人の自殺とDの本件任務懈怠との間に相当因果関係を認めるに足りる証拠はない。 上記事実も考慮すると,同人についての雇用存続想定期間中の賃金逸失利益は,本件解雇の日の翌日である平成13年6月18日から平成13年10月28日までの期間(133日)に限定されるべきであり,その額は,同人の1日当たり賃金額1万2066円に133日を乗じて得た金額160万4778円(1万2066円×133日)と認めるのが相当である。 イところで,上記アで認定した賃金逸失利益は,Dの本件任務懈怠により生じた損害であるが,本件解雇の翌日である平成13年6月18日から平成15年6月17日までの2年間(ただし,被控訴人iについては1年10か月余り,qについては4か月余り)において,被控訴人従業員らが得べかりし給料等を得られなかったことによる損害であるので,同損害について,後記のとおり訴状送達による支払催告の日の翌日(平成13年7月18日)から民法所定の年5分の遅延損害金を付することを考慮すると,上記賃金逸失利益の性質及び認定の在り方も勘案し,控えめな損害額算定の趣旨で,上記遅延損害金の起算日までの中間利息(qにつき3月間,被控訴人iにつき1年9月間 の遅延損害金を付することを考慮すると,上記賃金逸失利益の性質及び認定の在り方も勘案し,控えめな損害額算定の趣旨で,上記遅延損害金の起算日までの中間利息(qにつき3月間,被控訴人iにつき1年9月間,その余の被控訴人につき1年11月間を考慮する。)を新ホフマン方式により控除するのが相当である。 そうすると,上記アで認定した賃金逸失利益額の中間利息控除後の金額は,それぞれ別紙「認定額一覧表」の「賃金逸失利益」欄記載のとおりとなる。 (4) 慰謝料既に認定した事実及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人従業員らは,Dの重大な過失に基づく本件任務懈怠により本件会社が解散,廃業に追い込まれたことで,突然に就業先を失って,日々の生活の糧を得る途を失う事態に遭遇するに至ったのであり,これにより,被控訴人従業員ら及びその家族が将来に対する大きな不安を抱いたこと,そして,被控訴人従業員らは,自らと家族の生計を維持するために相当に困難な再就職活動を余儀なくされ,そのための努力を強いられ,また,被控訴人従業員らのうち,再就職した従業員については,本件解雇前とは異なる職場環境で労働するほか,その多くは,本件解雇前の職種と異なる職種の労働に従事することになって,相当の苦労をし,他方,再就職できなかった従業員については,自己及び家族の生活上の将来への不安を一層募らせたことを推認することができる。 そうすると,被控訴人従業員らがDの本件任務懈怠により被った精神的苦痛は相当に重大であったものというべきであるから,雇用保険法に基づく基本手当及び再就職手当の受領の事実,退職金差額による逸失利益の存在の可能性を加減事情として考慮すると,被控訴人従業員らの被った上記精神的苦痛を慰謝するための額として,被控訴人従業員ら一人について各100万円を認めるの 当の受領の事実,退職金差額による逸失利益の存在の可能性を加減事情として考慮すると,被控訴人従業員らの被った上記精神的苦痛を慰謝するための額として,被控訴人従業員ら一人について各100万円を認めるのが相当である。 (5) 弁護士費用被控訴人従業員ら(ただし,qについてはその遺族である被控訴人mら3名)が,本件訴訟の提起追行を被控訴人ら訴訟代理人弁護士に委任したことは記録上明らかであるところ,本件事案の内容と難易度,原審及び当審における審理経過,認容額等の諸般の事情を総合考慮すると,Dの本件任務懈怠と相当因果関係のある弁護士費用として,被控訴人従業員ら(ただし,qについてはその遺族である被控訴人mら3名)について,それぞれ,別紙「認定額一覧表」の「弁護士費用」欄記載の金額を認めるのが相当である。 (6) まとめ上記(3)ないし(5)で認定した被控訴人従業員らの損害をまとめると,別紙「認定額一覧表」のとおりとなる。 そして,Dの死亡とその相続関係及びqの死亡とその相続関係は,前記前提事実ウ及びオのとおりであるから,被控訴人らは,商法260条の3による損害賠償請求権に基づく損害賠償として,控訴人らに対し,別紙「損害額一覧表」の主文欄記載の金額の支払いを求めることができる。 5 結論以上によれば,被控訴人らの請求は,控訴人らに対して別紙「認定額一覧表」の「主文」欄記載の金額及びこれに対する訴状送達により履行催告した日の翌日である平成13年7月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,同限度で認容し,その余は失当として棄却すべきである。 よって,本件控訴及び本件附帯控訴に基づき,原判決を上記趣旨に変更することとして,主文のとおり判決する。 める限度で理由があるから,同限度で認容し,その余は失当として棄却すべきである。 よって,本件控訴及び本件附帯控訴に基づき,原判決を上記趣旨に変更することとして,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所金沢支部第1部裁判長裁判官長門栄吉裁判官渡邉和義裁判官田中秀幸別紙甲 (省略)別紙乙 (省略)別紙賃金逸失利益認定表 (省略) 別紙認定額一覧表氏名賃金逸失利益慰謝料弁護士費用合計主文額(円) (万円) (万円) (円) (円)①a 6,179,782 100 70  7,879,782 A:3,939,891(6,772,364) B:1,969,945C:1,969,945②b 2,608,512 100 40  4,008,512  A:2,004,256(2,858,644) B:1,002,128C:1,002,128③c 967,604 100 20  2,167,604  A:1,083,802(1,060,389) B: 541,901C: 541,901④d 83,802(1,060,389) B: 541,901C: 541,901④d 782,309 100 20  1,982,309  A: 991,154(857,325) B: 495,577C: 495,577⑤e 2,461,872 100 40  3,861,872  A:1,930,936(2,697,943) B: 965,468C: 965,468⑥f 1,954,538 100 30  3,254,538  A:1,627,269(2,141,960) B: 813,634C: 813,634⑦g 2,233,685 100 40  3,633,685  A:1,816,842(2,447,875) B: 908,421C: 908,421⑧h 4,196,627 100 50  5,696,627  A:2,848,313(4,599,044) B:1,424,156C:1,424,156⑨i 5,021,74 (4,599,044) B:1,424,156C:1,424,156⑨i 5,021,743 100 60  6,621,743  A:3,310,871(5,503,280) B:1,655,435C:1,655,435⑩j 6,643,767 100 70  8,343,767  A:4,171,883(7,225,413) B:2,085,941C:2,085,941⑪k 3,367,805 100 50  4,867,805  A:2,433,902(3,690,746) B:1,216,951C:1,216,951q 1,584,878 100 30 2,884,878(1,604,778)⑫m 1,442,439  A  721,129B  360,609C  360,609⑬n 721,219  A  360,609B  180,304 721,219  A  360,609B  180,304C  180,304⑭p 721,219 A  360,609B  180,304C  180,304(注) 1 氏名欄の①ないし⑭はそれぞれ対応する被控訴人を表示したものである。 2 賃金逸失利益欄の上段の金額は中間利息控除後の金額,下段の括弧内の金額は同控除前の金額である。 (以上)

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