【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人青山政雄の上告理由について 原審の適法に確定したところによれば、(
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人青山政雄の上告理由について 原審の適法に確定したところによれば、(一) 上告人は、昭和四八年八月八日訴 外D株式会社(以下「D」という。)に対し上告人所有の本件機械を、(1) 代金 は五九七万五三三五円とし昭和四八年九月から昭和五一年二月まで三〇回にわたり 毎月割賦弁済する、(2) 所有権は代金完済まで上告人に留保する、(3) 上告人 は所有権移転までの間右機械をDに無償で貸与する、(4) Dにつき、その振り出 した手形の不渡り又は会社更生の申立の原因となるべき事実が発生したときは、上 告人は催告を経ることなく売買契約を解除することができる、との約定のもとに売 却し、右機械をDに引き渡した、(二) Dは、前記代金のうち三七九万七三三五円 の支払をしたのみであつたところ、昭和五〇年四月八日福岡地方裁判所小倉支部に 対し自ら更生手続開始の申立をし、同裁判所は、同月一四日Dに対し同月七日以前 の原因に基づいて生じた一切の債務(ただし、従業員の給料、電気・ガス・水道料 金にかかる各債務を除く。)の弁済を禁止する旨の保全処分を命じ、更に同年七月 三日更生手続開始の決定をした、(三) 右保全処分の結果、上告人がDから本件機 械代金支払のため交付を受けていた約束手形のうち同年四月三〇日満期の手形一通 が満期に支払を拒絶された、(四) 上告人は、同年五月二六日Dに対し前記契約解 除に関する特約所定の事由に基づき前記(一)の売買契約を解除する旨の意思表示を し、右意思表示は翌日到達した、というのである。そして、上告人は、以上の事実 関係に基づき、本訴においてDの管財人である被上告人に対し取戻権の行使として 本件機械の引渡を求めている。 - 1 - 思うに、動 意思表示は翌日到達した、というのである。そして、上告人は、以上の事実 関係に基づき、本訴においてDの管財人である被上告人に対し取戻権の行使として 本件機械の引渡を求めている。 - 1 - 思うに、動産の売買において代金完済まで目的物の所有権を売主に留保すること を約したうえこれを買主に引き渡した場合においても、買主の代金債務の不履行が あれば、売主は通常これを理由として売買契約を解除し目的物の返還を請求するこ とを妨げられないが、本件のように、更生手続開始の申立のあつた株式会社に対し 会社更生法三九条の規定によりいわゆる旧債務弁済禁止の保全処分が命じられたと きは、これにより会社はその債務を弁済してはならないとの拘束を受けるのである から、その後に会社の負担する契約上の債務につき弁済期が到来しても、債権者は、 会社の履行遅滞を理由として契約を解除することはできないものと解するのが相当 である。また、買主たる株式会社に更生手続開始の申立の原因となるべき事実が生 じたことを売買契約解除の事由とする旨の特約は、債権者、株主その他の利害関係 人の利害を調整しつつ窮境にある株式会社の事業の維持更生を図ろうとする会社更 生手続の趣旨、目的(会社更生法一条参照)を害するものであるから、その効力を 肯認しえないものといわなければならない。そうすると、上告人のした本件売買契 約解除はその効力を有しないものであり、本訴請求は理由がないことに帰するから、 これを失当とした原審の判断は、結論において正当である。論旨は、採用すること ができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主 文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 伊 藤 正 己 裁判官 環 昌 全員一致の意見で、主 文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 伊 藤 正 己 裁判官 環 昌 一 裁判官 横 井 大 三 裁判官 寺 田 治 郎 - 2 -
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