平成22(行ウ)29等 一般乗用旅客自動車運送事業の乗務距離の最高限度を定める公示処分の取消等請求事件,事業用自動車の使用停止処分等差止請求事件

裁判年月日・裁判所
平成25年5月31日 名古屋地方裁判所 警察関係
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判決文本文100,726 文字)

- 1 -平成25年5月31日判決言渡同日判決原本交付裁判所書記官平成22年(行ウ)第29号一般乗用旅客自動車運送事業の乗務距離の最高限度を定める公示処分の取消等請求事件(以下「甲事件」という。)平成22年(行ウ)第34号事業用自動車の使用停止処分等差止請求事件(以下「乙事件」という。)口頭弁論終結日平成25年1月31日判決 主文 1 原告が,その営業所に属する隔日勤務運転者を,1乗務(出庫から帰庫までの連続した勤務をいう。以下本項及び次項において同じ。)当たりの乗務距離(ただし,高速自動車国道(高速自動車国道法4条1項に規定する高速自動車国道をいう。)及び自動車専用道路(道路法48条の4に規定する自動車専用道路をいう。以下本項及び次項において同じ。)を利用した場合には,その距離を控除する。)が360㎞を超えても事業用自動車に乗務させ,その営業所に属する日勤勤務運転者を,1乗務当たりの乗務距離が270㎞を超えても事業用自動車に乗務させることができる地位を有することを確認する。 2 中部運輸局長は,原告に対し,その営業所に属する隔日勤務運転者については,1乗務当たりの乗務距離が360㎞を超えて事業用自動車に乗務させたことを理由として,日勤勤務運転者については,1乗務当たりの乗務距離が270㎞を超えて事業用自動車に乗務させたことを理由として,道路運送法40条に基づく自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止,事業の停止又は許可の取消しの各処分をしてはならない。 3 中部運輸局長が平成22年6月7日付けで原告に対してした事業用自動車の使用停止処分(中運自監第145号)のうち,運賃及び料金の額の事業用自動車内への表示義 可の取消しの各処分をしてはならない。 3 中部運輸局長が平成22年6月7日付けで原告に対してした事業用自動車の使用停止処分(中運自監第145号)のうち,運賃及び料金の額の事業用自動車内への表示義務違反を理由として10日車の使用停止を命- 2 -じる部分を超える部分(点呼の記録義務違反を理由とする部分及び乗務距離の最高限度違反を理由とする部分)を取り消す。 4 本件訴えのうち,中部運輸局長の公示の取消しを求める部分及び附帯命令の取消しを求める部分をいずれも却下する。 5 原告のその余の請求を棄却する。 6 訴訟費用は,これを4分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 甲事件(1)ア主位的請求中部運輸局長が平成21年10月28日付けでした一般乗用旅客自動車運送事業における指定地域及び乗務距離の最高限度を定める公示(中運局公示第98号)を取り消す。 イ予備的請求主文第1項と同旨(2) 主文第2項と同旨 2 乙事件中部運輸局長が平成22年6月7日付けで原告に対してした事業用自動車の使用停止処分及び附帯命令(中運自監第145号)を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,名古屋交通圏及び知多交通圏において道路運送法(以下「法」という。)に基づく一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー事業)を営む原告が,(1)甲事件においては,中部運輸局長が平成21年10月28日付けでした一般乗用旅客自動車運送事業における指定地域及び乗務距離の最高限度を別紙1記載のとおり定める公示(中運局公示第98号。以下「本件公示」という。)が違法である旨主- 3 -張して,①主位的に本件公示の取消し,予備的に本件公示に おける指定地域及び乗務距離の最高限度を別紙1記載のとおり定める公示(中運局公示第98号。以下「本件公示」という。)が違法である旨主- 3 -張して,①主位的に本件公示の取消し,予備的に本件公示に係る乗務距離の最高限度を超えて運転者を事業用自動車に乗務させることができる地位の確認を求める(以下,この確認の訴えを「本件確認の訴え」という。)とともに,②本件公示に係る乗務距離の最高限度を超えたことを理由とする法40条に基づく処分の差止めを求め(以下,この差止めの訴えを「本件差止めの訴え」という。),また,(2)乙事件においては,中部運輸局長が平成22年6月7日付けで原告に対してした事業用自動車の使用停止処分及び附帯命令(中運自監第145号。以下「本件処分」という。)が違法である旨主張して,本件処分の取消しを求める事案である。 なお,原告は,本件確認の訴えについて,公法上の法律関係に関する確認の訴え(当事者訴訟)であるとしている。 2 関係法令等の定め(1) 輸送の安全等に関する法令等の定めア法27条1項は,一般旅客自動車運送事業者は,事業計画の遂行に必要となる員数の運転者の確保,事業用自動車の運転者がその休憩又は睡眠のために利用することができる施設の整備,事業用自動車の運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定その他の運行の管理,事業用自動車の運転者等の適切な指導監督,事業用自動車内における当該事業者の氏名又は名称の掲示その他の旅客に対する適切な情報の提供その他の輸送の安全及び旅客の利便の確保のために必要な事項として国土交通省令で定めるものを遵守しなければならない旨規定している。 イこれを受けて,旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号。 以下「運輸規則」という。)は,旅客自動車運送事業の適正な運営を確保 で定めるものを遵守しなければならない旨規定している。 イこれを受けて,旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号。 以下「運輸規則」という。)は,旅客自動車運送事業の適正な運営を確保することにより,輸送の安全及び旅客の利便を図ることを目的とし(1条),運賃及び料金の額の表示(4条),過労防止等(21条),乗務距離の最高限度規制(22条),ノルマの禁止(23条),点呼(24条),運行記録計による記録(26条)等,旅客自動車運送事業者が遵守すべき事項を定めている。 このうち,運輸規則22条は,1項において,「交通の状況を考慮して地方運輸- 4 -局長が指定する地域内に営業所を有する一般乗用旅客自動車運送事業者は,地方運輸局長が定める乗務距離の最高限度を超えて当該営業所に属する運転者を事業用自動車に乗務させてはならない。」旨を,2項において,「同条1項の乗務距離の最高限度は,当該地域における道路及び交通の状況並びに輸送の状態に応じ,当該営業所に属する事業用自動車の運行の安全を阻害するおそれのないよう,地方運輸局長が定めるものとする。」旨を,3項において,「地方運輸局長は,同条1項の地域の指定をし,及び前項の乗務距離の最高限度を定めたときは,遅滞なく,その旨を公示しなければならない。」旨を定めている。 ウまた,中部運輸局長は,運輸規則4条3項を受けて,運賃及び料金の額について,「一般乗用旅客自動車運送事業の事業用自動車(運送の引受けが営業所のみにおいて行われるものを除く。)への運賃及び料金に関する表示事項について」(平成14年6月27日付け中運局公示第104号。甲1。以下「本件運賃表示公示」という。)を定めている。本件運賃表示公示1(2)②は,「車内に表示する運賃及び料金の内容」として,「当該事業用自動車に適用する運賃 6月27日付け中運局公示第104号。甲1。以下「本件運賃表示公示」という。)を定めている。本件運賃表示公示1(2)②は,「車内に表示する運賃及び料金の内容」として,「当該事業用自動車に適用する運賃上の車種区分,初乗運賃額及び距離,加算運賃額及び距離,運賃の割増の種類及び割増率,運賃の割引の種類及び割引率,料金の種類及び額並びに運賃等の適用方を表示すること」と規定している。 (2) 許可の取消し等に関する法令等の定めア法40条は,国土交通大臣は,一般旅客自動車運送事業者が同条各号のいずれかに該当するときは,6月以内において期間を定めて自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止若しくは事業の停止を命じ,又は許可を取り消すことができる旨規定し,その1号において,「法若しくは法に基づく命令若しくはこれらに基づく処分又は許可若しくは認可に付した条件に違反したとき」を掲げている。 なお,一般乗用旅客自動車運送事業について,法40条に基づく処分を行う国土交通大臣の権限は,法88条2項,道路運送法施行令1条2項により地方運輸局長に委任されている。 - 5 -イ法40条に基づく処分の基準を定める通達として,「一般乗用旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」(平成21年国自安第60号,国自旅第128号,国自整第54号。甲2,乙8,甲事件甲3)及び「一般乗用旅客自動車運送事業者に対する違反事項ごとの行政処分等の基準について」(平成21年国自安第62号,国自旅第130号,国自整第56号。甲3,乙9,甲事件甲4)がある。中部運輸局長は,これらに従って,法40条に基づく処分の基準として,平成21年9月30日付けで「旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準,旅客自動車運送事業の監査方針及び旅客自動車運送事業者の法令違反 輸局長は,これらに従って,法40条に基づく処分の基準として,平成21年9月30日付けで「旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準,旅客自動車運送事業の監査方針及び旅客自動車運送事業者の法令違反に対する行政処分等の公表基準について」(中運局公示第73号。甲4,乙27,101,甲事件乙1。以下「本件処分基準公示」といい,これにより定められた処分基準を「本件処分基準」という。)を定めている。 (3) 本件処分基準公示の内容等ア本件処分基準公示によると,旅客自動車運送事業者の法令違反について,法40条の規定に基づく許可の取消し等の行政処分等を行う場合は,この基準に従って行うこととされている。 イ本件処分基準公示のうち,一般乗用旅客自動車運送事業者に対する基準の概要は,次のとおりである。 (ア) 行政処分等の種類行政処分等の種類は,軽微なものから順に,①口頭注意,②勧告,③警告,④自動車その他の輸送施設の使用停止処分(以下「自動車等使用停止処分」という。),⑤事業の停止処分,⑥営業区域の廃止に係る事業計画の変更命令及び⑦許可の取消処分(④ないし⑦が行政処分,①ないし③が行政処分に至らない行政指導)とする(Ⅰ3(1)①)。 (イ) 違反行為ごとの行政処分等の原則的な基準a 一般乗用旅客自動車の法令に違反する行為については,①初違反(当該違反を確認した日から過去3年以内に同一営業所において同一の違反による行政処分等- 6 -がない場合),②再違反(当該違反を確認した日から過去3年以内に同一営業所において同一の違反による行政処分等を1度受けている場合),③再々違反以上の累違反(当該違反を確認した日から過去3年以内に同一営業所において同一の違反による行政処分等を2度以上受けている場合)に分類した上(Ⅰ3(1)②), 行政処分等を1度受けている場合),③再々違反以上の累違反(当該違反を確認した日から過去3年以内に同一営業所において同一の違反による行政処分等を2度以上受けている場合)に分類した上(Ⅰ3(1)②),個別の違反行為ごとに,初違反,再違反,再々違反の種別に従って行政処分等の内容が定められている(Ⅰ3(1)④・別紙3)。 b このうち,運輸規則4条3項の運賃・料金の額の事業用自動車内への表示義務違反については,初違反の場合には10日車(「日車」とは,使用停止とする自動車等の台数と日数を乗じたものをいう。)の自動車等使用停止処分,再違反の場合には30日車の自動車等使用停止処分とするものとされている(Ⅰ3(1)④・別紙3)。 c また,運輸規則22条1項の乗務距離の最高限度違反については,①未遵守率5%未満であれば,初違反の場合には警告,再違反の場合には20日車の自動車等使用停止処分,②未遵守率5%以上20%未満であれば,初違反の場合には10日車,再違反の場合には30日車の自動車等使用停止処分,③未遵守率20%以上50%未満であれば,初違反の場合には20日車,再違反の場合には60日車の自動車等使用停止処分,④未遵守率50%以上であれば,初違反の場合には30日車,再違反の場合には90日車の自動車等使用停止処分とするものとされている(Ⅰ3(1)④・別紙3)。 d 運輸規則24条3項(ただし平成22年国土交通省令第30号による改正前のもの。以下同じ。)の点呼の記録義務違反については,「記録」(点呼未実施も「記録なし」に含む。),「記録事項の不備」,「記録の改ざん・不実記載」及び「記録の保存」に分けて定められている。このうち,「記録事項の不備」については,①不備率50%未満であれば,初違反の場合には勧告,再違反の場合には10日車の自動車等使用 記録の改ざん・不実記載」及び「記録の保存」に分けて定められている。このうち,「記録事項の不備」については,①不備率50%未満であれば,初違反の場合には勧告,再違反の場合には10日車の自動車等使用停止処分,②不備率50%以上であれば,初違反の場合には10日車,再違反の場合には30日車の自動車等使用停止処分とするものとされてい- 7 -る。ただし,運輸規則22条1項により最高乗務距離の限度を定める旨指定された地域内の事業者に対しては,①不備率50%未満であれば,初違反の場合には警告,再違反の場合には15日車の自動車等使用停止処分,②不備率50%以上であれば,初違反の場合には15日車,再違反の場合には45日車の自動車等使用停止処分とするものとされている(Ⅰ3(1)④・別紙3)。 (ウ) 特定地域における車両数の増減による処分の加重特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法(平成21年法律第64号。以下「タクシー特措法」という。)3条に規定する特定地域に指定された地域内の営業所における一定の違反(乗務距離の最高限度違反及び点呼の記録義務違反はこれに含まれる。)については,次のとおり,監査時における事業者の車両数の増減状況に応じ,基準日車数等を加重して取り扱うものとされている(Ⅰ3(1)⑧・別紙3-2)。 a 監査時車両数を基準車両数よりも増加させている事業者による違反基準日車数を3.5倍に加重して(警告については15日車の自動車等使用停止処分に加重して)取り扱う(以下「本件加重処分規定」という。)。 b 監査時車両数が基準車両数以下であり,基準車両数の5%以上を減少させていない事業者による違反基準日車数を2倍に加重して取り扱う(以下「本件関連加重処分規定」という。)。 c 監査時 b 監査時車両数が基準車両数以下であり,基準車両数の5%以上を減少させていない事業者による違反基準日車数を2倍に加重して取り扱う(以下「本件関連加重処分規定」という。)。 c 監査時車両数を基準車両数の5%以上減少させている事業者による違反基準日車数の1倍として取り扱う(以下「本件原則処分規定」という。)。 (エ) 自動車等使用停止処分,事業停止処分及び許可取消処分a 自動車等使用停止処分に係る処分日車数については,指導監督義務違反以外の違反が2以上ある場合には,最も重い違反の基準日車等にその他の違反の基準日車等の2分の1を加えて算出する(Ⅰ3(3)③)。 b 自動車等使用停止処分を行うべき違反行為を行った事業者には,処分日車数10日車までごとに1点とする違反点数を付し(Ⅰ3(2)①),違反点数の累計(以- 8 -下「累積点数」という。)が一定以上となった場合には事業の停止処分や許可の取消処分を行う(Ⅰ3(4)①,(6)①)。 (4) このほかの定め以上のほか,関係法令の定めは,別紙2に記載したとおりである(同別紙で定める略称は,以下においても用いることとする。)。 3 前提事実(当事者間に争いのない事実及び掲記の証拠等により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告は,名古屋交通圏及び知多交通圏において,法に基づき中部運輸局長による一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー事業)の許可を受け,同事業等を営む者である。 イ中部運輸局長は,法に基づき原告の事業に関して監督権を有する行政庁である。 (2) 名古屋交通圏に対する特定地域の指定国土交通大臣は,平成21年10月1日,タクシー特措法3条1項の規定に基づき,名古屋交通圏(名古屋市,瀬戸市,津島市,尾張旭市,豊明市,日進市 る。 (2) 名古屋交通圏に対する特定地域の指定国土交通大臣は,平成21年10月1日,タクシー特措法3条1項の規定に基づき,名古屋交通圏(名古屋市,瀬戸市,津島市,尾張旭市,豊明市,日進市,愛西市,清須市,北名古屋市,弥富市,愛知郡,西春日井郡,海部郡)を特定地域に指定した。(甲5)(3) 本件公示ア中部運輸局長は,平成21年10月28日付けで,運輸規則22条に基づき,別紙1記載のとおり,名古屋交通圏を一般乗用旅客自動車運送事業者の乗務距離の最高限度の規制地域に指定した上,1乗務(出庫から帰庫までの連続した勤務をいう。以下同じ。)当たりの乗務距離(ただし,高速自動車国道(高速自動車国道法4条1項に規定する高速自動車国道をいう。)及び自動車専用道路(道路法48条の4に規定する自動車専用道路をいう。)を利用した場合には,その距離を控除する。以下同じ。)の最高限度を隔日勤務運転者については360㎞,日勤勤務運転- 9 -者については270㎞と定め,これを公示した(本件公示。以下,本件公示による上記規制を「本件乗務距離規制」という。)。(乙7,甲事件甲1)イ本件公示に当たっては,名古屋交通圏におけるタクシー事業者22社の実態調査が実施され,これに基づき,次の算出方法によって,乗務距離の最高限度(隔日勤務運転者につき360㎞,日勤勤務運転者につき270㎞)が定められた。(乙21,弁論の全趣旨)(ア) 隔日勤務又は日勤勤務それぞれの最大拘束時間から,一般的に必要と考えられる休憩時間,日常点検に要する時間,始業・終業の点呼及び納金に要する時間並びに客扱い時間を差し引いた時間を,最大限走行可能な時間とする。 a 隔日勤務運転者の最大限走行可能な時間は,21時間(最大拘束時間)-3時間(休憩時間)-20分(日常点検 及び納金に要する時間並びに客扱い時間を差し引いた時間を,最大限走行可能な時間とする。 a 隔日勤務運転者の最大限走行可能な時間は,21時間(最大拘束時間)-3時間(休憩時間)-20分(日常点検時間)-30分(点呼・納金時間)-21分(客扱い時間)=16.8時間b 日勤勤務運転者の最大限走行可能な時間は,16時間(最大拘束時間)-2時間(休憩時間)-20分(日常点検時間)-30分(点呼・納金時間)-33分(客扱い時間)=12.6時間(イ) 平均走行距離を平均走行時間(平均拘束時間から,平均客待ち時間,平均休憩時間及び平均客扱い時間を差し引いた時間)で除した速度を,平均速度とする。 a 隔日勤務運転者の平均速度は,213.4㎞÷〔(1074.3分-291. 5分-166.9分-21分)÷60分〕=21.5㎞/hb 日勤勤務運転者の平均速度についても,隔日勤務運転者と同様に,21.5㎞/hとする。 (ウ) 前記(ア)の最大走行可能な時間に前記(イ)の平均速度を乗じた距離を,1乗務当たりの乗務距離の最高限度とする。 a 隔日勤務運転者の乗務距離の最高限度は,16.8時間×21.5㎞/h=360㎞b 日勤勤務運転者の乗務距離の最高限度は,12.6時間×21.5㎞/h=- 10 -270㎞(4) 本件処分に至る経緯等ア違反事実(ア) 原告は,平成21年12月16日の本社営業所における乗務に関し,運転者104人のうち57人分について乗務後点呼を行った者(点呼執行者)の氏名を点呼簿に記録しなかった。(甲8,10,乙4,69の1,弁論の全趣旨)(イ) 原告は,平成22年1月12日のA営業所における監査の際,監査の対象となった事業用自動車のうち7台について,車内に運賃及び料金の額の表示をしていなかっ 0,乙4,69の1,弁論の全趣旨)(イ) 原告は,平成22年1月12日のA営業所における監査の際,監査の対象となった事業用自動車のうち7台について,車内に運賃及び料金の額の表示をしていなかった。(甲9,乙69の2,弁論の全趣旨)(ウ) 原告の従業員であるB(A営業所勤務の日勤勤務運転者。)は,平成21年12月14日夜から同月15日朝にかけて乗務した際,1乗務の乗務距離が274. 8㎞に達した。(甲9,乙69の2,弁論の全趣旨)イ原告に対する監査等(ア) 中部運輸局及び愛知運輸支局は,平成22年1月22日,原告の本社営業所及びA営業所に対して監査を実施し,その結果,原告に対し,本社営業所について点呼の記録義務違反(前記ア(ア)),A営業所について運賃・料金の額の事業用自動車内への表示義務違反(前記ア(イ))及び乗務距離の最高限度違反(前記ア(ウ))を指摘した。(乙69の1,69の2,弁論の全趣旨)(イ) 中部運輸局長は,平成22年4月15日付けで,原告に対し,前記(ア)の各違反事実につき,法に基づく不利益処分を行う予定であるとして,弁明書を提出するよう通知した(中運自監第579号,同第581号)。これを受けて,原告は,同年5月6日,弁明書を提出した。(甲6ないし9,甲事件甲9)ウ本件処分(ア) 中部運輸局長は,平成22年6月7日付けで,原告に対し,法40条に基づき,原告の事業用自動車である自動車登録番号「□□□○○○△○○○」の車両については同月14日から同月30日までの17日間,自動車登録番号「□□□●●- 11 -●△●●●」の車両については同月14日から同年7月1日までの18日間,原告の一般乗用旅客自動車運送事業のための使用を停止することを命じた上,同法41条1項に基づき,上記事業用自動車2両 11 -●△●●●」の車両については同月14日から同年7月1日までの18日間,原告の一般乗用旅客自動車運送事業のための使用を停止することを命じた上,同法41条1項に基づき,上記事業用自動車2両の自動車検査証を愛知運輸支局長に返納するとともに,自動車登録番号標及び封印を取り外し,その自動車登録番号標について同支局長の領置を受けるべきことを命じる旨の本件処分をし(中運自監第145号),これを「輸送施設の使用停止及び附帯命令書」と題する書面(以下「本件命令書」という。)により原告に通知した。 なお,本件処分は,①点呼の記録義務違反,②運賃・料金の額の事業用自動車内への表示義務違反及び③乗務距離の最高限度違反を理由とするものであるが,①及び③については,本件加重処分規定に従って加重(以下「本件加重」という。)をした上で行われた。(甲14,甲事件甲10)(イ) 本件命令書の記載内容は,別紙3のとおりであり,本件処分の理由に関しては,平成22年1月12日に行った監査時における本社営業所に係る違反として,①点呼の記録について点呼を行った者の記録事項が不適切であったこと(不備率3. 3%。法27条1項,運輸規則24条3項違反),同日に行った監査時におけるA営業所に係る違反として,②運賃及び料金の額について事業用自動車内への表示をしていなかったこと(法27条1項,運輸規則4条3項違反)並びに③本件公示が定める乗務距離の最高限度を超えて事業用自動車に乗務していたこと(未遵守率0. 82%。法27条1項,運輸規則22条1項違反)が記載されていた。そして,①については,基準日車数が「警告」であるところ,本件加重処分規定により処分日車数は「15日車」に加重される旨,②については,基準日車数が「10日車」である旨,③については,基準日車数が「警告」である については,基準日車数が「警告」であるところ,本件加重処分規定により処分日車数は「15日車」に加重される旨,②については,基準日車数が「10日車」である旨,③については,基準日車数が「警告」であるところ,本件加重処分規定により加重され,②及び③の処分日車数は「20日車」となる旨が記載されていた。 また,上記の処分日車数については,本件処分基準公示Ⅰ3に定めるところにより算出したものであることが付記されていた。(甲14,甲事件甲10)(5) 本件訴訟の経緯- 12 -ア原告は,平成22年4月26日,本件公示の取消し等を求める訴え(甲事件)を提起した。(顕著な事実)イ原告は,平成22年5月15日,中部運輸局長に対し,前記(4)イ(イ)の各通知の不利益処分の原因となる事実欄記載の事実(乗務距離の最高限度違反に関する事実を除く。)があったことを理由として,口頭注意,勧告,警告,自動車等の使用停止,事業の停止又は許可の取消しの各処分の差止めを求める旨の訴えを提起した(乙事件)。その後,本件処分がされたことを受けて,原告は,同年6月9日,上記差止請求を本件処分の取消請求に変更する旨申し立てた。(顕著な事実)ウ甲事件は,平成23年1月12日,乙事件に併合された。(顕著な事実) 4 争点(1) 本件公示の処分性(前記第1の1(1)アの請求に係る本案前の争点)本件公示は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか。 (2) 本件差止めの訴えの適法性(前記第1の1(2)の請求に係る本案前の争点)本件差止めの訴えは,法40条に基づく行政処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがあることなど訴訟要件を満たすか。 (3) 確認の利益の有無(前記第1の1(1)イの請求に係る本案前の争点)本件確認の訴えについて確 基づく行政処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがあることなど訴訟要件を満たすか。 (3) 確認の利益の有無(前記第1の1(1)イの請求に係る本案前の争点)本件確認の訴えについて確認の利益があるか。 (4) 本件公示ないし本件乗務距離規制の適法性(前記第1の1及び2の各請求に係る本案の争点)ア運輸規則22条の合憲性乗務距離の最高限度を規制する運輸規則22条が営業の自由を保障する憲法22条1項に違反するか。 イ運輸規則22条の法適合性乗務距離の最高限度を規制する運輸規則22条が法27条1項の委任の範囲を超えているか。 ウ本件公示の適法性- 13 -本件公示において名古屋交通圏を指定したこと又は乗務距離の最高限度を隔日勤務運転者につき360㎞,日勤勤務運転者につき270㎞と定めたことに必要性,合理性はなく,本件公示が違法となるか。 (5) 本件処分の適法性(前記第1の2の請求に係る本案の争点)ア比例原則違反の有無本件処分は,点呼の記録義務違反,運賃・料金の額の事業用自動車内への表示義務違反及び乗務距離の最高限度違反のそれぞれについて,違反事実に比して重きに失するため,比例原則に違反し,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用となるか。 イ本件加重の適否本件加重処分規定及びこれに基づく本件加重は,他事考慮に当たり,若しくは平等原則に違反し,裁量権の範囲の逸脱若しくはその濫用となり,又は,行政手続法32条2項に違反するか。 ウ理由提示義務違反の有無本件処分の理由提示は,処分対象行為の特定を欠き,行政手続法14条1項に違反するか。 5 争点に関する当事者の主張(1) 本件公示の処分性(争点(1))について【原告の主張】本件公示は,形式的には一般的抽 対象行為の特定を欠き,行政手続法14条1項に違反するか。 5 争点に関する当事者の主張(1) 本件公示の処分性(争点(1))について【原告の主張】本件公示は,形式的には一般的抽象的規範の形がとられているが,指定地域である名古屋交通圏に営業所を有する一般乗用旅客自動車運送事業者(その中でも,これまでの実績からして乗務距離の最高限度を超過するおそれがある事業者)という限られた範囲の者に対し,乗務距離の最高限度として定められた距離を超えて運転者を乗務させてはならないという具体的な義務を直接課すものであるから,直接原告の権利義務を形成し又はその範囲を確定する。また,本件公示について処分性を認めた方が,取消判決の第三者効がある点で,合理的である。 したがって,本件公示は,抗告訴訟の対象となる行政処分に該当するというべき- 14 -である。 【被告の主張】本件公示は,運輸規則22条の内容を補充する立法行為(行政立法)としての性質を有し,一般的抽象的な法規範の定立にとどまるものであり,中部運輸局長が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできない。 したがって,本件公示は,抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。 (2) 本件差止めの訴えの適法性(争点(2))について【原告の主張】ア原告の営業所に属する運転者の乗務の実態等に照らすと,原告には,法40条に基づき,今後も自動車等使用停止処分がされる蓋然性が存在し,同様の状況が継続して累積点数が積み重ねられた場合,事業停止処分や許可取消処分がされる蓋然性もある。 イ自動車等使用停止処分がされた場合,原告は,運送収入の減少のみならず,利用者の配車依頼への対応が滞り,信用を失墜するおそれがある上,事業停止処分や許可取消処分にまで至れば,事業活 性もある。 イ自動車等使用停止処分がされた場合,原告は,運送収入の減少のみならず,利用者の配車依頼への対応が滞り,信用を失墜するおそれがある上,事業停止処分や許可取消処分にまで至れば,事業活動を著しく制約されることは明らかである。 また,これらの処分は,公表される運用となっており,その公表によって原告の名誉・信用が毀損される。したがって,法40条に基づく行政処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがあることは明らかである。 ウ前記イの損害を避けるためには,本件差止めの訴えの他に適当な方法がない。 エ以上のとおり,本件差止めの訴えは,行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)37条の4第1項所定の訴訟要件を満たし,適法である。 【被告の主張】原告の主張する損害のうち,収入の減少といった経済的不利益については,金銭賠償によって容易に回復することができるし,信用失墜については,法40条に基づく処分がされたからといって直ちにその信用が低下するとはいい難い上,当該処分の取消請求が認容,確定すれば,回復可能なものである。同条に基づく処分の公- 15 -表による名誉・信用の毀損は,当該処分自体ではなく,その後これを公表することによる損害にすぎないし,当該処分の取消請求が認容,確定すれば,回復可能なものである。 したがって,法40条に基づく行政処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがあるとは認められないから,本件差止めの訴えは,行訴法37条の4第1項所定の訴訟要件を満たさず,不適法である。 (3) 確認の利益の有無(争点(3))について【原告の主張】原告は,本件公示による義務自体によって,①乗務距離の最高限度を超えた乗務による営業ができない,②運転者が乗務距離を常に気に掛けなければならないため,かえ 点(3))について【原告の主張】原告は,本件公示による義務自体によって,①乗務距離の最高限度を超えた乗務による営業ができない,②運転者が乗務距離を常に気に掛けなければならないため,かえって輸送の安全が阻害される,③乗務距離が最高限度に近づいた場合に乗車拒否しなければならないといった不利益を現に被っている。本件確認の訴えは,こうした不利益を除去するために,本件公示に基づく義務の不存在を求めるものである。 本件公示に処分性が認められない場合には,本件確認の訴えによらなければ原告の権利の実効的救済は図り得ないし,原告と行政庁との間では,既に本件公示の適法性を巡る争いがあり,当該紛争については成熟していることなどに照らすと,本件確認の訴えには,確認の利益がある。 【被告の主張】法は,本件乗務距離規制の遵守を直接強制する手段を持たず,原告の営業の自由が具体的に制約されるのは,法40条に基づく行政処分がされた場合であるから,本件公示によって原告の権利又は法的地位に現に不安・危険が生じているとはいえない。また,本件乗務距離規制によって同条に基づく自動車等使用停止処分を受けたとしても,その取消しを求めて事後的に法的地位を回復することは十分可能であるから,事前の救済を認めないことを著しく不相当とする特段の事情もない。 そうすると,本件確認の訴えは,解決すべき紛争の成熟性(即時確定の現実的利益)がなく,確認の利益を欠くというべきである。 - 16 -(4) 本件公示ないし本件乗務距離規制の適法性(争点(4))について【原告の主張】ア運輸規則22条の合憲性について(ア) 乗務距離規制の目的と合憲性の判定基準a 運輸規則22条の乗務距離の最高限度の規制(以下,単に「乗務距離規制」という。)の目的は,タクシーによる ア運輸規則22条の合憲性について(ア) 乗務距離規制の目的と合憲性の判定基準a 運輸規則22条の乗務距離の最高限度の規制(以下,単に「乗務距離規制」という。)の目的は,タクシーによる交通事故の防止であり,かつ,これに限られる。このことは,乗務距離規制が設けられるに至った背景事情のほか,国会において乗務距離規制の目的が輸送の安全(タクシーによる事故防止)にあることを前提に答弁がされていたことからも明らかである。 なお,被告が規制目的に挙げる「適切な運行管理」や「旅客の利便の確保」は,乗務距離規制の目的とはいえず,「輸送の安全」に収斂するものである。「適切な運行管理」自体は,規制目的ではなく規制手段に位置付けられるべきものであるし,運行記録計によって十分に達成できることからも,乗務距離規制の目的とはならない。 b 上記のとおり乗務距離規制は消極目的の規制であるから,その合憲性は,規制の必要性・合理性及び同じ目的を達成できるより緩やかな規制手段の有無を立法事実に基づいて審査するという「厳格な合理性」の基準によって判断されるべきである。乗務距離規制に合理性があると認められるためには,乗務距離規制がなければ輸送の安全を阻害する抽象的なおそれがあるというだけでは足りず,具体的に輸送の安全を阻害するおそれがあると認められる必要がある。 (イ) 乗務距離規制の必要性及び合理性の欠如次の諸点に照らすと,乗務距離規制は,タクシーによる交通事故の防止という規制目的(前記(ア)a)を達成する手段として不必要かつ不合理である。 a 勤務時間及び乗務時間に関する規制,車両の整備に関する規制など他の規制によって,乗務距離規制の規制目的を達成することが十分可能である。 この点に関し,被告は,休憩時間を遵守せずに走行距離を稼ごうとするよ 間及び乗務時間に関する規制,車両の整備に関する規制など他の規制によって,乗務距離規制の規制目的を達成することが十分可能である。 この点に関し,被告は,休憩時間を遵守せずに走行距離を稼ごうとするような実- 17 -態が存在する旨主張するが,何らの実証もなく,被告の憶測にすぎない。また,被告が主張するタクシー事業の特性も,規制のための理由になり得ない。 b 具体的な走行内容を前提とした乗務に伴う疲労を検証するためのデータはなく,事故の防止という規制目的と乗務距離の規制という手段との間には合理的な関連性が認められない。 この点に関し,タクシーの乗務距離が長い運転者ほど事故の発生率が高くなるというような関係は存在せず,むしろ,原告のデータでは,走行距離が長いほど事故率が低くなる傾向が顕著である。また,運転者が乗務距離の最高限度を超過して走行すると事故の発生率が格別に高まるというような関係も認められない。 c 乗務距離の上限を定めることによって危険な運行かどうかの線引きを行うことは事実上不可能である上,タクシーの運転者にとっては乗客が具体的な目的地を指示するまでは乗務距離を知り得ないことに照らすと,乗務距離を規制するという手段そのものが,明らかに不合理な規制手段である。 むしろ,乗務距離規制は,タクシー運転者に対し,常に走行距離を気に掛ける必要を強いることにより相当なストレスを生じさせるものであり,「輸送の安全」という目的をかえって阻害する結果となっている。 また,乗務距離規制は,乗車拒否を生むおそれがあるとともに,利用者に選択される事業者の営業を不当に制限するものであることから,法のもう1つの目的である「利用者の利便」を阻害する規制である。 (ウ) 小括以上によれば,乗務距離の最高限度を規制する運輸規則22条は,営業 事業者の営業を不当に制限するものであることから,法のもう1つの目的である「利用者の利便」を阻害する規制である。 (ウ) 小括以上によれば,乗務距離の最高限度を規制する運輸規則22条は,営業の自由を保障する憲法22条1項に違反して無効である。したがって,運輸規則22条に基づく本件公示ないし本件乗務距離規制は違法である。 イ運輸規則22条の法適合性について乗務距離規制は,前記ア(イ)の諸点に照らすと,法27条1項に規定する「輸送の安全及び旅客の利便の確保のために必要な事項」であるとはいえないから,運輸規- 18 -則22条は,法27条1項の委任の趣旨又は範囲を超えた違法無効なものである。 したがって,運輸規則22条に基づく本件公示ないし本件乗務距離規制は違法である。 ウ本件公示の適法性について(ア) 地方運輸局長の裁量について乗務距離規制は,憲法で保障された営業の自由を制約するものであるから,その制約は必要最小限でなければならず,地方運輸局長が運輸規則22条に基づいて指定地域及び乗務距離の最高限度を定めるに当たって有する裁量には制約がある。したがって,地方運輸局長の定めた内容が,行政目的を達成するための必要最小限度の規制とはいえず,合理性を欠く場合には,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となる。 (イ) 名古屋交通圏の指定の違法性次の諸点に照らすと,本件公示において名古屋交通圏を指定したことには合理性がないから,本件公示は,中部運輸局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法である。 a 名古屋交通圏では,乗務距離規制の導入前において,他の規制によって事故件数及び事故率が減少傾向となっていた。 b 名古屋交通圏の事故率は,乗務距離規制が導入されていない として違法である。 a 名古屋交通圏では,乗務距離規制の導入前において,他の規制によって事故件数及び事故率が減少傾向となっていた。 b 名古屋交通圏の事故率は,乗務距離規制が導入されていない他の交通圏の事故率と比較して高いものとはいえない。 c 中部運輸局長は,最高乗務距離の指定地域として名古屋交通圏を指定するに当たり,名古屋交通圏の実態調査結果に関し,「タクシーの交通事故の発生状況」などいくつかの重要な指標について,全く検討しなかった。 d 中部運輸局長は,名古屋交通圏が運行記録計の装着義務付け地域であることを理由として,乗務距離の最高限度の規制地域として名古屋交通圏を指定したが,両者の目的は異なる上,乗務距離規制は運行記録計の装着に比べて重大で制約の大きい規制であるから,このような理由によって名古屋交通圏を規制地域に指定した- 19 -ことは極めて不当である。 e 被告が援用する,名古屋交通圏における労働時間等改善基準告示違反の抽出方法及び速度違反件数の検討は,不適切であり,その評価も極めて不合理である。 (ウ) 乗務距離の最高限度の設定方法の違法性次の諸点に照らすと,本件公示において乗務距離の最高限度を隔日勤務運転者につき360㎞,日勤勤務運転者につき270㎞と定めたことには合理性がなく,本件公示は,中部運輸局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法である。 a 乗務距離の最高限度算定の前提として行われた実態調査は,①絶対的な調査対象車両数が多く見積もっても全車両数の3%と非常に少なかった点,②調査対象事業者における調査対象車両の選定基準が一切定められておらず,調査対象事業者が任意に選定できる調査であった点,③原告のような無線,専用乗り場等を中心とする事業形態の事業者をも前提とした ,②調査対象事業者における調査対象車両の選定基準が一切定められておらず,調査対象事業者が任意に選定できる調査であった点,③原告のような無線,専用乗り場等を中心とする事業形態の事業者をも前提とした実態調査ではなかった点で,不適切,不十分であった。 b 実態調査によって得られた数値は,①客待ち時間について,「0」という数値が記載されていたり,②客扱い時間について,輸送回数の多い隔日勤務運転者の方が日勤勤務運転者よりも少なくなっていたり,③平均速度について,事業者ごとに大きな乖離が生じている上,調査に当たり,昼勤と夜勤の走行の別,割合等につき具体的に条件指定がされていなかったなどの点で,不合理な数値が含まれていた。 それにもかかわらず,中部運輸局長は,これらを精査せずに乗務距離の最高限度の算定根拠として使用したため,不合理な算定結果となっている。 c 最大走行時間に乗じる速度として,危険な運行とは認められない範囲での最高速度ではなく,調査対象事業者全体の平均速度を採用したことは,標準を上回る走行距離の事業者(利用者に選択される事業者)の営業を,一律調査対象事業者の平均的・標準的距離を上限に減縮させるもので,営業の自由を不当に制限するものである。 - 20 -d 乗務距離の最高限度の算定に当たって最大拘束時間から差し引く休憩時間は,労働基準法に違反しない最低限の休憩時間を前提とすべきである。 【被告の主張】ア運輸規則22条の合憲性について(ア) 乗務距離規制の目的運輸規則22条の乗務距離規制の目的は,タクシー事業の適切な運行管理を通じて,過労運転や最高速度違反等の危険運転や乱暴運転を防止し,輸送の安全及び旅客の利便を確保することであり,タクシーによる交通事故の防止に限定されるものではない。 (イ) 乗務距離 運行管理を通じて,過労運転や最高速度違反等の危険運転や乱暴運転を防止し,輸送の安全及び旅客の利便を確保することであり,タクシーによる交通事故の防止に限定されるものではない。 (イ) 乗務距離規制の必要性及び合理性次の諸点に照らすと,乗務距離規制は,輸送の安全及び旅客の利便の確保という規制目的(前記(ア))を達成する手段として必要かつ合理的である。 a タクシー事業においては,バスやトラック事業と異なり,一定の営業区域内を面的に運行するため,計画的運行管理になじまないという特性がある。特に,流し営業中心の地域においては,歩合制賃金を背景として無理に営業収入増を図るため,乗務距離を稼ごうとするあまり過労運転や最高速度違反が生じやすい状況となっている(例えば,就業規則に定められた休憩時間を遵守せずに乗務距離を稼ごうとしたり,特に郊外からの帰路に,速度違反を犯してでも一刻も早く流し営業エリアに戻り,乗車回数を積み増そうとするなど)。そこで,輸送の安全確保の目的を達成するためには,運輸規則21条に規定する最大拘束時間規制に加え,乗務距離の最高限度を定める必要がある。また,輸送の安全が確保できないおそれがある状況で,利用者がタクシーを利用することは,利用者の利便を損なう結果にもつながる。 b 乗務距離と拘束時間の超過,休憩時間の取得状況,速度違反等との間に一定の相関関係が認められることは自明であるが,乗務距離規制の違反者には速度違反が多く,違反日には特に速度違反が多いというデータがある。なお,事故の発生原- 21 -因は,事故当日のみにあるとは限らず,事故当日までに蓄積された疲労などが原因となる場合もある。 また,タクシーの交通事故件数や発生率は,自家用車を含めた自動車全体の中でも突出して劣悪であり,タクシー事業における事故 あるとは限らず,事故当日までに蓄積された疲労などが原因となる場合もある。 また,タクシーの交通事故件数や発生率は,自家用車を含めた自動車全体の中でも突出して劣悪であり,タクシー事業における事故防止はいまだ著しく不十分であるといわざるを得ない。そして,タクシーによる事故の原因となった法令違反の内容を見ると,最高速度違反を始め,先を急ぐ心理により引き起こされることのある法令違反や,過労運転を始め,疲労のため注意力や身体動作が低下することにより引き起こされることのある法令違反が大きな割合を占めている。 c 原告は,乗務距離は,乗客の指示があるまで知り得ない旨主張するが,乗客からの乗車申込みを受けた後でなければ分からないという点では,乗務時間の場合も変わりはない(むしろ,乗務時間は道路渋滞等の影響も受けるため,事前に予測できないことも多い。)。 なお,原告は乗車拒否となる点を問題にするが,乗車申込みのあった時点で,既に乗務距離規制に近い距離に達している場合には,運送引受義務は発生しないから,不当な乗車拒否とはならない。 (ウ) 小括以上によれば,乗務距離の最高限度を規制する運輸規則22条は,憲法22条1項に違反しない。 イ運輸規則22条の法適合性について運輸規則22条は,法27条1項が規定する「運行の管理」のための規定であり,乗務距離規制は,前記ア(イ)のとおり,輸送の安全及び旅客の利便の確保のために必要な事項である。したがって,運輸規則22条は,法27条1項の委任の範囲を超えておらず,むしろ委任の趣旨にのっとったものである。 ウ本件公示の適法性について(ア) 地方運輸局長の裁量について乗務距離規制については,地域のタクシー事業の実態について最も知悉する地方- 22 -運輸局長の専門的・技術的判断 る。 ウ本件公示の適法性について(ア) 地方運輸局長の裁量について乗務距離規制については,地域のタクシー事業の実態について最も知悉する地方- 22 -運輸局長の専門的・技術的判断が必要であることから,規制の設定の是非,乗務距離の最高限度の設定方法等については,運輸規則上何らの定めも置かれておらず,地方運輸局長の広範な裁量に委ねられている。各交通圏における乗務距離規制の設定の是非及び当該規制の内容(乗務距離の最高限度の設定方法)の合理性については,地方運輸局長が当該規制を定めるに至った判断の過程に看過し難い過誤,欠落があること等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるにすぎない。 (イ) 名古屋交通圏の指定の適法性次の諸点に照らすと,本件公示において名古屋交通圏を指定したことには合理性があり,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用はないから,本件公示は適法である。 a 中部運輸局長は,流し営業中心の地域では,乗務距離を稼ごうとするあまり過労運転や最高速度違反が生じやすい状況にあることや,タクシー特措法制定の際に衆議院国土交通委員会において「走行距離制限の導入地域の拡大」についての検討を促す旨の附帯決議がされたことなどを念頭に置き,人口おおむね10万人以上の都市を含む地域であって,流し営業の割合が他の地域と比較して高く,当該地域の平均日車走行キロ数が相対的に長く,運行管理の適正化を図るため,事業用自動車の瞬間速度,運行距離及び運行時間の運行記録計による記録を義務付けている地域である名古屋交通圏を地域指定することとした。 なお,運行記録計の装着義務付けと乗務距離規制の目的は,いずれも適切な運行管理を行うことであって同一であ 間の運行記録計による記録を義務付けている地域である名古屋交通圏を地域指定することとした。 なお,運行記録計の装着義務付けと乗務距離規制の目的は,いずれも適切な運行管理を行うことであって同一であり,タクシー事業者が運行記録計の記録によって最高乗務距離の超過状況を把握することで,運転者が休憩時間を取得しなかったり,速度違反を繰り返したりしないよう予防することができる点で,両規制を一体的に運用することは合理的である。 b また,中部運輸局長は,名古屋交通圏を地域指定するに当たっては,タクシーの総台数やタクシーによる交通事故の総件数,事故率等の補完的指標をも併せて- 23 -総合的に勘案した。名古屋交通圏のタクシーによる事故件数(人身事故を含む。)は劣悪なレベルに停滞している状況にある。 c 名古屋交通圏においては,労働時間等改善基準告示違反(自動車運転者の拘束時間違反)及び速度違反について,愛知県内の他の交通圏と比較して,違反率が高い。 (ウ) 乗務距離の最高限度の設定方法の適法性次の諸点に照らすと,本件公示において乗務距離の最高限度を隔日勤務運転者につき360㎞,日勤勤務運転者につき270㎞と定めたことには合理性があり,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用はないから,本件公示は適法である。 a 中部運輸局長は,平成21年8月の実態調査から得た各指標に基づき,前記3(3)イのとおり,隔日勤務又は日勤勤務それぞれの最大拘束時間から,一般的に必要と考えられる休憩時間,日常点検に要する時間,始業・終業の点呼及び納金に要する時間並びに客扱い時間を差し引いた時間を最大限走行可能な時間とし,これに実態調査に基づく平均速度を乗じて乗務距離の最高限度を指定したものであり,その判断には合理性がある。 なお,日勤勤務については,夜間の勤務に 時間を差し引いた時間を最大限走行可能な時間とし,これに実態調査に基づく平均速度を乗じて乗務距離の最高限度を指定したものであり,その判断には合理性がある。 なお,日勤勤務については,夜間の勤務に集中することも考えられ,夜間は比較的走行速度が高くなることが予想されることから,拘束時間の長い,昼夜を問わず走行していると考えられる隔日勤務運転者から算出した平均速度を日勤勤務運転者にも使用したことに合理性がある。 b 原告は,前記aの実態調査について不適切,不十分である旨主張するが,この実態調査は,①名古屋地区の原価計算対象事業者22社に対して行っており,これは名古屋交通圏におけるタクシー事業者の約4分の1に相当すること,②調査対象事業者が調査段階において乗務距離の少ない車両をあえて抽出するというのは通常想定し難いこと,③原価計算対象事業者の中にも,効率的運行を期してGPSを導入している事業者が含まれていることなどに照らしても,適切かつ十分なものであった。 - 24 -c また,原告は,実態調査によって得られた数値が不合理であると主張するが,調査結果が事実であることを否定し得なかったことからも明らかなように,上記数値を用いたことには合理性がある。 d 原告は,乗務距離の最高限度の算定において平均速度を採用したことを問題にするけれども,平均を上回る速度で運行する場合には,速度違反のみならず,追い抜き,急発進,急停車,無理な車線変更等,不適切な運行を招来する可能性が高い。また,乗務距離の最高限度の算定に当たっては,平均走行可能時間を大幅に上回る最大限走行可能な時間を平均速度に乗じているのであるから,この点からも,平均速度を用いたことには合理性がある。 (5) 本件処分の適法性(争点(5))について【原告の主張】ア比例 回る最大限走行可能な時間を平均速度に乗じているのであるから,この点からも,平均速度を用いたことには合理性がある。 (5) 本件処分の適法性(争点(5))について【原告の主張】ア比例原則違反の有無について(ア) 点呼の記録義務違反について点呼漏れに関する違反は,類型的にみて軽微な違反である。また,本件における原告の違反事実は,点呼そのものを失念していたわけではなく,単に点呼簿の記入に押印漏れがあったにすぎず,その回数も,点呼者の氏名記録全体の0.83%,他の点呼項目を含めた点呼記録全体の0.13%にとどまるから,極めて軽微なものである。そうすると,本件処分は,違反事実と比して重きに失するものであり,比例原則に違反し,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たる。 (イ) 運賃・料金の額の事業用自動車内への表示義務違反について原告は,車両清掃の際に車内の料金表示を外した後,再度料金表示を行うことを失念していたが,表示が義務付けられている事項のうち,初乗運賃額及び距離,加算運賃額及び距離については,原告のタクシーに常時備え付け,旅客がいつでも自由に持ち帰ることのできる「サービスダイヤルカード」(甲13)に記載していたから,車内表示はあったと評価することができる。また,上記事項のうち,車種区分,運賃の割増の種類及び割増率,運賃の割引の種類及び割引率,料金の種類及び- 25 -額並びに運賃等の適用方についても,原告は他のタクシー会社とおおむね同様又は他のタクシー会社より安い基準で事業を行っており,車内表示がないことにより,原告のタクシーに乗車しようとする公衆や乗車中の旅客の判断を誤らせたり,不意打ちになることはない。このように,本件における原告の違反が,旅客に不利益を被らせないという運輸規則の実質的な趣旨には違反して 告のタクシーに乗車しようとする公衆や乗車中の旅客の判断を誤らせたり,不意打ちになることはない。このように,本件における原告の違反が,旅客に不利益を被らせないという運輸規則の実質的な趣旨には違反しておらず,極めて軽微であることに照らすと,本件処分は,違反事実に比して重きに失するものであり,比例原則に違反し,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たる。 (ウ) 乗務距離の最高限度違反についてBが実車を終えた段階では,乗務距離は269.2㎞と最高限度を超えておらず,以後は回送により直ちに帰庫しており,最高限度を超過した距離も4.8㎞にすぎないものであって,違反の程度は軽微である。そうすると,本件処分は,違反事実に比して重きに失するものであり,比例原則に違反し,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たる。 イ本件加重の適否について(ア) 本件加重処分規定は,タクシーの供給過剰状況の解消を目的として,増車行為や減車をしない行為を間接的に規制しようとするものであり,考慮すべきでない事情を考慮したもの(他事考慮)にほかならず,平等原則にも違反する。したがって,本件加重処分規定及びこれに基づく本件加重は,処分庁の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法なものである。 (イ) また,本件加重処分規定は,タクシーの供給過剰状況の解消という行政目的を実現するため,「特定の地域におけるタクシー事業者」という特定の者にタクシーの減車を求めるものであるから,本件加重処分規定は,それ自体,行政指導に該当する。したがって,減車を求める行政指導に従わないことを理由として制裁的な意図をもって不利益を与える本件加重処分規定及びこれに基づく本件加重は,行政指導が相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることを規定した行政手続法32条2項に違反する。 由として制裁的な意図をもって不利益を与える本件加重処分規定及びこれに基づく本件加重は,行政指導が相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることを規定した行政手続法32条2項に違反する。 - 26 -ウ理由提示義務違反の有無について本件命令書の記載では,いつ,どこで,どのような行為について問題となったのかという違反事実を特定することができない。「点呼の記録について,次の記録事項が不適切であった」との記載についても,本件処分基準の「記録(記録なし)」,「記録事項の不備」,「記録の改ざん・不実記載」,「記録の保存(記録保存なし)」のいずれの類型に当たるのかさえ明確ではない。乗務距離規制違反についても,誰によって,いつ,どのような走行で問題となる行為が生じたのかといった事実の特定が一切されていない。 したがって,本件処分の理由提示は,処分対象行為の特定を欠き,行政手続法14条1項に違反する。 エ小括以上によれば,本件処分は違法である。 【被告の主張】ア比例原則違反の有無について(ア) 点呼の記録義務違反について点呼は,事業用自動車の安全な運行を確保するための,運行管理の根幹となる確認・指示行為であり,点呼簿は,点呼の確実な実施を図るために,記録と保存が義務付けられているものである。点呼簿の記録は,点呼執行者が点呼ごとに点呼時間などの所要の確認事項をその都度記録するものであり,それでこそ意味があるものであるが,原告は,運転者57人の乗務後点呼について,点呼執行者名を記録していなかったものであるから,本件処分が違反事実に比して重きに失し,比例原則に違反するものであるとはいえず,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用はない。 (イ) 運賃・料金の額の事業用自動車内への表示義務違反について原告の ,本件処分が違反事実に比して重きに失し,比例原則に違反するものであるとはいえず,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用はない。 (イ) 運賃・料金の額の事業用自動車内への表示義務違反について原告のいうサービスダイヤルカードなるものは,運輸規則4条3項,本件運賃表示公示の要件を満たしていない。本件処分が違反事実に比して重きに失し,比例原則に違反するものであるとはいえず,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用はない。 - 27 -(ウ) 乗務距離の最高限度違反について本件処分が違反事実に比して重きに失し,比例原則に違反するものであるとはいえず,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用はない。 イ本件加重の適否について(ア) 法40条に基づく処分について,処分基準や具体的な処分内容及び軽重の決定は,国土交通大臣の権限の委任を受けている中部運輸局長の広範な裁量に委ねられている。 供給過剰の状態にある特定地域において増車することは,タクシー運転者の労働条件の悪化や違法・不適切な事業運営の横行などの問題を更に深刻化させる原因となるから,このような状況下で増車を行った事業者は,上記のような問題を招かないよう,労務管理や安全管理等の徹底についてより重い責務を負っている。また,増車をした事業者が法令違反を犯しやすいという蓋然性も認められる。そこで,このような問題を現実化させないようにするため,供給過剰の状態にある特定地域においてあえて増車を行った事業者に対しては,労務管理や安全管理,利用者サービスに係る一定の規制の遵守を強く要請する必要性が高いから,本件加重処分規定によって,上記事業者の当該一定の規制に係る違反についてはより一層厳格に対処することとしたものである。このように,本件加重処分規定は,あくまでも輸送の安全を確保し,利用者の利益の保護及びそ 処分規定によって,上記事業者の当該一定の規制に係る違反についてはより一層厳格に対処することとしたものである。このように,本件加重処分規定は,あくまでも輸送の安全を確保し,利用者の利益の保護及びその増進を図ることを目的とするものであって,増車行為や減車をしない行為を間接的に規制することを目的とするものではない。仮に,供給過剰の解消自体を目的とするものであるならば,全ての違反を加重処分の対象とすることが目的達成のために効率的であるにもかかわらず,実際には労務管理や安全管理等に関する一定の違反行為に限って加重することとされているのは,このためである。 したがって,本件加重処分規定及びこれに基づく本件加重は,他事考慮ではないし,また,合理的な取扱いの差異であるから,平等原則にも違反せず,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用には当たらない。 - 28 -(イ) 本件加重処分規定自体が行政指導に当たるといえないことは明らかであるし,中部運輸局長は,原告に対し,事業用自動車を減車させるという行政指導を行った事実はない。したがって,行政手続法32条2項違反に係る原告の主張は失当である。 ウ理由提示義務違反の有無について本件処分の名宛人たる原告は,本件命令書の記載自体から,①本件処分の原因となる事実関係として,点呼を行った者の記載について記録上不備があったこと,運賃及び料金の額についてタクシー内に表示していなかったこと並びに中部運輸局長が定めた最高乗務距離を超えて乗務していたことの3つの事実があること,②それらの事実における根拠法条と,それらの根拠法条に基づけばいずれも違反であること,③それらの違反について本件処分基準におけるどの項目を採用した結果,本件処分が選択されたのかを,容易に了知することができる。 したがって,本件処分の理由提 拠法条に基づけばいずれも違反であること,③それらの違反について本件処分基準におけるどの項目を採用した結果,本件処分が選択されたのかを,容易に了知することができる。 したがって,本件処分の理由提示は,処分対象行為が特定されており,行政手続法14条1項に違反しない。 エ小括以上によれば,本件処分は適法である。 第3 当裁判所の判断 1 本件公示の処分性(争点(1))について(1) 行訴法3条2項所定の処分の取消しの訴えの対象は,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(以下「行政処分」という。)でなければならず,行政処分とは,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうものと解される(最高裁昭和28年(オ)第1362号同30年2月24日第一小法廷判決・民集9巻2号217頁,最高裁昭和37年(オ)第296号同39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁等参照)。 (2) 本件についてこれをみるに,本件公示は,運輸規則22条と相俟って,名古- 29 -屋交通圏内に営業所を有する一般乗用旅客自動車運送業者は当該営業所に属する運転手を乗務距離の最高限度として定めた距離(隔日勤務運転者について1乗務当たり360㎞,日勤勤務運転者について1乗務当たり270㎞)を超えて乗務させてはならない旨を定めるものであって,名古屋交通圏内に営業所を有する一般乗用旅客自動車運送事業者全般に広く適用されるものであるところ,名古屋交通圏内に営業所を有する一般乗用旅客自動車運送事業者は,多数に上るばかりか,新規参入や撤退等によって常に変動し得るものである。そうすると,本件公示は,名古屋交通圏内に営業所を有する一般乗用旅客自動 通圏内に営業所を有する一般乗用旅客自動車運送事業者は,多数に上るばかりか,新規参入や撤退等によって常に変動し得るものである。そうすると,本件公示は,名古屋交通圏内に営業所を有する一般乗用旅客自動車運送事業者という不特定多数の者に適用されるものであって,特定の者に対して個別具体的な権利義務の変動を生じさせるものではないから,直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定するものとはいい難い。むしろ,本件公示は,法27条1項を受けて定められた運輸規則22条の内容を補充する立法行為(行政立法)としての性質を有するものであって,限られた特定の者に対してのみ適用されるものではないから,抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないというべきである(最高裁平成15年(行ツ)第35号,同年(行ヒ)第29号同18年7月14日第二小法廷判決・民集60巻6号2369頁参照)。 (3) これに対し,原告は,本件公示は,指定地域である名古屋交通圏に営業所を有する一般乗用旅客自動車運送事業者という限られた範囲の者(その中でも,これまでの実績からして乗務距離の最高限度を超過するおそれがある事業者)に対し,乗務距離の最高限度として定められた距離を超えて運転者を乗務させてはならないという具体的な義務を直接課すものであるから,抗告訴訟の対象たる行政処分に当たる旨主張する。 確かに,本件公示による本件乗務距離規制は,運輸規則22条と相俟って,名古屋交通圏内に営業所を有する一般乗用旅客自動車運送事業者に新たな制約を課し,その限度で一定の法状態の変動を生じさせるものではあるけれども,これは,あたかも新たに上記のような制約を課す法令が制定された場合と同様に,当該地域内の- 30 -不特定多数の者に対してもたらされる一般的抽象的な効果にすぎない。個々の事業者との関係では, も,これは,あたかも新たに上記のような制約を課す法令が制定された場合と同様に,当該地域内の- 30 -不特定多数の者に対してもたらされる一般的抽象的な効果にすぎない。個々の事業者との関係では,本件乗務距離規制の違反に対して法40条に基づく自動車等使用停止処分,事業の停止処分,営業区域の廃止に係る事業計画の変更命令又は許可の取消処分がされた場合に,初めて事業者の個別具体的な権利義務に変動を来すことになるのであって,このことは,乗務距離規制に基づく義務違反以外の法令上の義務違反に対して法40条に基づく処分がされる場合と何ら変わらないというほかはない。 なお,本件公示の定める本件乗務距離規制に違反したことを理由として法40条に基づく処分を受ける事業者としては,当該処分の取消訴訟等において本件公示の適法性を争い得るほか,後記2及び3のとおり,本件に係る事情の下では差止訴訟等の争訟方法においてもこれを争い得るのであり,本件公示の処分性の有無に関して上記のように解することについて争訟方法の観点から権利利益の救済の実効性に欠けるところがあるということもできない。 したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 (4) 以上のとおり,本件公示は,抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないから,本件公示の取消しを求める訴えは,不適法である。 2 本件差止めの訴えの適法性(争点(2))について(1) 法定抗告訴訟たる差止めの訴えの訴訟要件については,まず,一定の処分がされようとしていること(行訴法3条7項),すなわち,行政庁によって一定の処分がされる蓋然性があることが必要となる。 本件についてこれをみるに,前記前提事実並びに証拠(甲4,9,甲事件甲5,甲事件乙1)及び弁論の全趣旨によると,①本件乗務距離規制違反は,法40条に の処分がされる蓋然性があることが必要となる。 本件についてこれをみるに,前記前提事実並びに証拠(甲4,9,甲事件甲5,甲事件乙1)及び弁論の全趣旨によると,①本件乗務距離規制違反は,法40条に基づく処分の対象とされており,本件処分基準公示に従って上記違反をした事業者に対する処分が行われていること,②本件処分基準公示によると,上記違反に対する処分の内容は,未遵守率によって異なるものの,初違反の場合は警告ないし30日車の自動車等使用停止処分,再違反の場合には20日車ないし90日車の自動車- 31 -等使用停止処分とされており,さらに自動車等使用停止処分を行うべき違反行為を行った事業者に対しては処分日車数10日車までごとに1点の違反点数を付す点数制度が採られ,累積点数が一定以上となった場合には事業の停止処分(一の支局区域における累積点数が51点以上となった場合や,中部運輸局の管轄区域における累積点数が101点以上となった場合等)や許可の取消処分(一の支局区域のみにおいて営業区域を有する事業者について累積点数が81点以上となった場合や,中部運輸局の管轄区域のみにおいて営業区域を有する事業者について累積点数が161点以上となった場合等)を行うものとされていること,③原告は,名古屋交通圏内に営業所を有する一般乗用旅客自動車運送事業者であって,約100台の事業用自動車を保有し,これらを日々運行させて営業していること,④原告においては,隔日勤務運転者について平成21年12月に5件,日勤勤務運転者について同月及び平成22年1月に4件ずつ,本件乗務距離規制に違反した例が見られ,現に,平成21年12月のA営業所における本件乗務距離規制違反を理由として平成22年6月7日付けで本件処分がされたこと,⑤原告は,現在のところ,本件処分以外には本件乗務距離規 に違反した例が見られ,現に,平成21年12月のA営業所における本件乗務距離規制違反を理由として平成22年6月7日付けで本件処分がされたこと,⑤原告は,現在のところ,本件処分以外には本件乗務距離規制違反を理由とする処分を受けるには至っていないものの,本件処分を受けたため,この間,乗務距離の最高限度に達するおそれが生じた辺りから営業所への回送態勢に入るようにするなど,本件乗務距離規制に違反しないように配慮して運行してきたものであることが認められる。 これら諸点に照らすと,原告に対しては,中部運輸局長によって,本件乗務距離規制違反を理由として,法40条に基づく自動車等使用停止処分,事業停止処分又は許可取消処分がされる蓋然性があるというべきである。 (2) 次に,差止めの訴えの訴訟要件については,一定の処分がされることにより「重大な損害を生ずるおそれ」があることが必要であり(行訴法37条の4第1項),その有無の判断に当たっては,損害の回復の困難の程度を考慮するものとし,損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとされている(同条2項)。そして,上記「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められるためには,- 32 -処分がされることにより生ずるおそれのある損害が,処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく,処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要すると解するのが相当である(最高裁平成23年(行ツ)第177号,同第178号,同年(行ヒ)第182号同24年2月9日第一小法廷判決・民集66巻2号183頁)。 本件についてこれをみるに,前記(1)で指摘した諸点に照らすと,原告には,本件乗務距離規制違反 号,同第178号,同年(行ヒ)第182号同24年2月9日第一小法廷判決・民集66巻2号183頁)。 本件についてこれをみるに,前記(1)で指摘した諸点に照らすと,原告には,本件乗務距離規制違反を理由として法40条に基づく処分(自動車等使用停止処分,事業停止処分又は許可取消処分)が反復継続的かつ累積加重的にされる危険が現に存在するというべきであり,日々運行している原告の事業用自動車の本件乗務距離規制違反を契機として,同条に基づく処分が反復継続的かつ累積加重的にされていくと,事後的な損害の回復が著しく困難になるというべきである。このような一連の累次の処分がされることにより生ずる損害は,処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものであるとはいえず,処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであるということができるから,その回復の困難の程度に鑑み,本件差止めの訴えについては上記「重大な損害を生ずるおそれ」があるというべきである。 (3) また,差止めの訴えの訴訟要件については,「その損害を避けるため他に適当な方法があるとき」ではないこと,すなわち補充性の要件を満たすことが必要である(行訴法37条の4第1項ただし書)。 本件についてこれをみるに,本件乗務距離規制違反を理由とする法40条に基づく処分がされることにより生ずる損害を避けるために,本件公示の取消訴訟によることができないことは,前記1で説示したとおりであり,また,前記(2)で説示したところによれば,同条に基づく処分の取消訴訟等及び執行停止との関係でも,補充性の要件を欠くものではないと解される。そして,本件乗務距離規制違反を理由と- 33 -する同条に基づく処分の予防を目的とした ろによれば,同条に基づく処分の取消訴訟等及び執行停止との関係でも,補充性の要件を欠くものではないと解される。そして,本件乗務距離規制違反を理由と- 33 -する同条に基づく処分の予防を目的とした事前救済の争訟方法として他に適当な方法があるとはいえないから,本件差止めの訴えは,補充性の要件を満たすものということができる。 (4) 以上によれば,本件差止めの訴えは,行訴法37条の4第1項所定の要件を満たし,適法というべきである。 3 確認の利益の有無(争点(3))について本件確認の訴えは,公法上の法律関係に関する確認の訴え(行訴法4条の当事者訴訟)であるところ,原告は,本件公示前には,乗務距離を制約されることなく運転者を乗務させていたが,本件公示後は,本件乗務距離規制が設けられたために,乗務距離の最高限度を超えた乗務による営業を行うことができなくなったものであり,前記2で説示したとおり,本件乗務距離規制違反を理由として法40条に基づく処分や警告を受ける蓋然性が高く,これが反復継続的かつ累積加重的にされる危険が現に存在するのであるから,本件乗務距離規制によって,原告の法的地位に現実の危険ないし不安が生じており,事後的な損害の回復が著しく困難な状況にあるというべきである。そして,本件確認の訴えは,単に抽象的,一般的な本件公示の違法性の確認を求めるものではなく,上述のような立場にある原告がその具体的な法的地位の確認を求めるものであるから,具体的事件性(争訟性)を備えたものということができる。 そうすると,本件確認の訴えは,原告の不利益の予防を目的とする有効適切な争訟方法であり,確認の利益があるということができるから,公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法というべきである。 4 本件公示ないし本件乗務距離規制の適法性(争 予防を目的とする有効適切な争訟方法であり,確認の利益があるということができるから,公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法というべきである。 4 本件公示ないし本件乗務距離規制の適法性(争点(4))について(1) 前記前提事実に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。 ア乗務距離規制が設けられた経緯(ア) 昭和32年頃から,好景気を背景にタクシーの需要が急速に高まる一方,需- 34 -給調整規制によって車両数が据え置かれた上,タクシー事業者の間で,運転者の水揚げ目標である営収ノルマや走行ノルマを設定する動きが広まったため,タクシーの走行距離が伸び,運転者がノルマ達成のために長時間勤務や猛スピードでの乱暴運転をしているという指摘が目立つようになった。このような状況下において,昭和33年1月に東京都内で発生したタクシーによる交通死亡事故が「神風タクシー」という見出しで大きく新聞報道されたのを契機に,当時のタクシーの乱暴運転・無謀運転が大きな社会問題となった。(乙42ないし46,49)(イ) 「神風タクシー」問題は国会でも取り上げられ,衆参両院の運輸委員会の交通事故防止に関する小委員会において審議された。昭和33年3月25日に開催された参議院運輸委員会交通事故防止に関する小委員会において,当時の警察庁警備部長は,タクシーによる交通事故の原因について,大幅な歩合制となっている給与体系とノルマの設定により,運転者が相当の距離を走って水揚げを稼げなければ生活していけないことにある旨答弁した。また,警視庁交通部長は,「前年中に発生した自動車事故の中でハイヤー・タクシーの事故が全体の21%を占めている。」,「事故の原因は,速度違反が29.7%を占めており,ハイヤー・タクシーの速度違反の占める率は他の 通部長は,「前年中に発生した自動車事故の中でハイヤー・タクシーの事故が全体の21%を占めている。」,「事故の原因は,速度違反が29.7%を占めており,ハイヤー・タクシーの速度違反の占める率は他の自動車に比較して非常に高い。優先交通権無視や徐行不履行といった速度に関係する違反も,他の自動車に比較してはるかに高い比率を占めている。」,「交通法規違反についても,車の台数にすると,全ハイヤー・タクシーの820%が違反を犯している。その中でも,無謀操縦の割合が最も高く,ハイヤー・タクシーについては交通法規違反の34.1%は無謀操縦である。」,「一線から見ていると,ハイヤー・タクシーについては,会社が非常に高い走行距離や水揚げを示して,稼ぎ本位になっているため,運転者がスピードを上げるというふうなことになっていくのが痛切に感じられる。」旨を答弁した。(乙45,57)(ウ) 内閣に設置された交通事故防止対策本部は,昭和33年4月1日,「タクシー事故防止対策要綱」を決定した。この要綱では,「事故の根本的原因を精査した結果,運転者の指導取締りを更に強化すべきは勿論であるが,その労務状況を改善- 35 -しなければ事故防止の目的達成は困難であると考えられるに至った。」との認識の下,東京都内を基準とした差し当たりの緊急措置として8項目の対策を採ることが打ち出された。上記8項目の中には,「給与制度の合理化」や「労働時間等の適正化」と並んで「走行距離の適正化」が挙げられ,「輸送の安全を確保するため,適正な走行距離の標準を決定し,不当な走行義務を運転者に課さないよう措置するものとする。」とされた。 なお,当時の道路交通問題を論述した文献においては,「昭和30年代に入ると,タクシーに対する需要は急速に多くなり,需要と供給のアンバランスが表面化してきた。 う措置するものとする。」とされた。 なお,当時の道路交通問題を論述した文献においては,「昭和30年代に入ると,タクシーに対する需要は急速に多くなり,需要と供給のアンバランスが表面化してきた。(中略)このアンバランスの結果,いわゆる神風タクシー問題として表面化し,タクシー事業の経営の根幹にふれる改革を迫られることになった。」,「昭和32年の交通事故の中で,タクシーによる事故比率(1000台当たり148件)は,自家用乗用車(1000台当たり29件)に比して断然高い。その原因を調べると,タクシーの運転者には,営業上1日400㎞の稼働義務が課されており,その義務を果たすためには,多くの法令違反の運転を余儀なくされており,これが交通事故を引き起こす原因となっている。」,「タクシーの運転者は,原則的に1日の走行量と水揚げ額がノルマという形で義務付けられており,また,収入の大半が歩合給によっている給与体系の下で,水揚げ量を上げることに熱中し,その結果,無茶な運転を敢行することに交通事故の原因の根がある。」旨が指摘されていた。 (乙42,44,47,49)(エ) 前記(ア)ないし(ウ)のような経緯を経て,昭和33年6月,運輸規則(当時の題名は「自動車運送事業等運輸規則」)が改正され,乗務員の休憩施設等の整備,ノルマ強制の禁止等と共に,乗務距離規制が導入された。上記改正後の旧運輸規則は,22条において,「交通の状況を考慮して地方運輸局長が指定する地域内に営業所を有する一般乗用旅客自動車運送事業者は,地域の指定があった日から1月以内(地域の指定があった日から1月を経過した日以後に当該営業所について運輸を開始する場合は,運輸を開始する日まで)に,当該営業所に属する運転者の乗務距- 36 -離の最高限度を定めなければならない。」(1項),「前項の乗 から1月を経過した日以後に当該営業所について運輸を開始する場合は,運輸を開始する日まで)に,当該営業所に属する運転者の乗務距- 36 -離の最高限度を定めなければならない。」(1項),「前項の乗務距離の最高限度は,当該地域における道路及び交通の状況並びに輸送の状態に応じ,当該営業所に属する事業用自動車の運行の安全を阻害するおそれのないものでなければならない。」(2項),「第1項の一般乗用旅客自動車運送事業者は,指定地域内にある営業所に属する運転者に,同項の乗務距離の最高限度を超えて乗務させてはならない。」(3項)などと定めた上,54条において,「旅客自動車運送事業者は,第22条第1項の規定により乗務距離の最高限度を定めたときは,その日から15日以内に,①届出者の氏名又は名称及び住所,②指定地域内にある営業所の名称及び位置並びに③乗務距離の最高限度(その算出の基礎を明らかにすること。)を,同項の地域の指定をした地方運輸局長に届け出なければならない。」旨を定め,23条において,「前条第1項の一般乗用旅客自動車運送事業者は,指定地域内にある営業所に属する運転者に,その収受する運賃及び料金の総額が一定の基準に達し,又はこれを超えるように乗務を強制してはならない。」ものとしていた。このように,当時の乗務距離規制は,地方運輸局長が交通の状況を考慮して乗務距離規制を行う地域を指定した後,1月以内に,指定地域内に営業所を有する一般乗用旅客自動車運送事業者(タクシー事業者)が,指定地域における道路及び交通の状況並びに輸送の状況に応じ,当該営業所に属する事業用自動車の運行の安全を阻害するおそれのない乗務距離の最高限度を自ら定め,これを定めた日から15日以内に当該地方運輸局長に届け出るという内容であった。 昭和33年7月頃には,東京都特別区と神奈川県 自動車の運行の安全を阻害するおそれのない乗務距離の最高限度を自ら定め,これを定めた日から15日以内に当該地方運輸局長に届け出るという内容であった。 昭和33年7月頃には,東京都特別区と神奈川県京浜地区(川崎市,横浜市及び横須賀市)が乗務距離規制を行う地域に指定された。その際,上記指定を行った地方運輸局は,それぞれ指定地域内のタクシーの運行状況に関する実態調査の結果を踏まえて最高限度の目安となる数値を設定した上,指定地域内のタクシー事業者に対し,これを示してその範囲で最高限度を設定するよう行政指導を行った。具体的には,東京都特別区においては,「連続する2日間で365㎞以内とし,しかも1日の走行キロは200㎞を超えない範囲で指導されたい。」旨の行政指導が行われ- 37 -た結果,隔日勤務者について365㎞とする届出がされ,また,神奈川県京浜地区(川崎市,横浜市及び横須賀市)においては,「1日の乗務距離は185㎞,ただし2日にわたる場合には370㎞」という行政指導が行われた結果,隔日勤務者について370㎞とする届出がされた。(甲29,乙42ないし44,46,58,弁論の全趣旨)(オ) その後,昭和33年8月1日に開催された衆議院運輸委員会において,当時の運輸省自動車局長は,乗務距離規制について,「通常この程度であれば事故を起こさないで走り得る」という段階の乗務距離を標準として設定し,その上に,「これ以上走ったのでは事故を起こす危険性が非常に高くなる」という段階の乗務距離を最高限度とする趣旨である旨答弁した。(甲19)また,同年11月4日に開催された衆議院運輸委員会において,運輸省自動車局長は,「交通の安全という見地から,運輸規則においても,運転者の疲労防止を図るべく,従業員の休養施設の整備等の他の規定とともに,乗務距離規制の 4日に開催された衆議院運輸委員会において,運輸省自動車局長は,「交通の安全という見地から,運輸規則においても,運転者の疲労防止を図るべく,従業員の休養施設の整備等の他の規定とともに,乗務距離規制の規定を置いた。」,「抽象的な疲労防止ということではなかなか実効は期し難いという点から,数字的な最高乗務距離の制限を設けた。」旨を答弁した。(乙58)さらに,同年12月18日に開催された衆議院運輸委員会において,運輸省自動車局長は,「運転者に対する指導のみでは『神風タクシー』的な運転を防止し得ず,事業者に対しても,運転者を非常に長距離の走行キロで走らせるとか,過労を特に招来するような方法を持つということを防止すべきであり,乗務距離規制はその一環として規定を設けた。」,「タクシー事業については,運行管理者の手元を離れて,町を流しで走っている事業であるため,監督者の目が届かないので,走れば走るだけ走れるという態勢では,事故を誘発する一つの原因になるのではないかということで,乗務距離規制を考えた。」旨を答弁した。(乙59)なお,その後,昭和44年3月14日に開催された参議院予算委員会においては,当時の運輸大臣が,乗務距離規制について,「この制度は昭和33年当時,いわゆる神風タクシー問題が起こった際に,運転者の過重な労働を防止し,輸送の安全を- 38 -確保する目的で設けられたもの」であると答弁した。(乙60)イ乗務距離規制の指定地域における運行記録計による記録義務の導入昭和42年10月の運輸規則改正により,乗務距離規制(22条1項)を受ける地域のタクシー事業者に運行記録計(タコグラフ。自動車の運行中の行動を記録媒体に正確に記録する装置。)による記録義務が導入された。上記改正後の旧運輸規則26条2項においては,乗務距離規制(22条 る地域のタクシー事業者に運行記録計(タコグラフ。自動車の運行中の行動を記録媒体に正確に記録する装置。)による記録義務が導入された。上記改正後の旧運輸規則26条2項においては,乗務距離規制(22条1項)を受ける地域のタクシー事業者について,地域内にある営業所に属する事業用自動車の運転者が乗務した場合は,当該自動車の瞬間速度,運行距離及び運行時間を運行記録計により記録し,かつ,その記録を運転者ごとに整理して1年間保存しなければならないものとされた。 (乙54,弁論の全趣旨)ウ規制緩和に伴う乗務距離規制の改正等(ア) いわゆる規制緩和の流れを背景として,運輸省(当時)は,平成8年12月,「今後の運輸行政における需給調整の取扱について」を決定し,従来の運輸行政の転換を行い,交通事業全般について需給調整規制を原則として廃止することとした。 これを受けて,平成9年3月の規制緩和推進計画において,「タクシー事業に係る需給調整規制について,安全の確保,利用者保護等の措置を確立した上で,遅くとも平成13年度までに廃止することとし,可能な限りその前倒しを図る」ことが閣議決定され,平成9年4月には,交通運輸における需給調整規制廃止に向けて必要となる環境整備方策について,運輸大臣から運輸政策審議会に諮問がされた。同審議会自動車交通部会は,平成11年4月に答申をまとめ,その中で,「需給調整規制廃止後のタクシー制度のあり方について,輸送の安全確保や利用者保護を中心に検討していくことが必要であり,規制の必要性と効果を十分に検討し,有効な規制のあり方を検討することが適当である。」と指摘した。また,運輸技術審査会も,同年6月,「安全と環境に配慮した今後の自動車交通政策のあり方について」と題する答申において,需給調整規制の廃止後,事業用自動車の事故を低減してい が適当である。」と指摘した。また,運輸技術審査会も,同年6月,「安全と環境に配慮した今後の自動車交通政策のあり方について」と題する答申において,需給調整規制の廃止後,事業用自動車の事故を低減していくためには,事故情報の収集・分析を基本とし,安全対策を推進していくための体制の- 39 -強化,適切な運行の維持方策の充実や安全規制遵守の確保のための施策の充実などを図っていくことが急務である旨指摘した。(乙11,29,50,77,80)(イ) 平成12年4月21日に開催された衆議院運輸委員会において,当時の運輸大臣は,「過労運転の防止は輸送の安全確保の観点からも極めて重要であり,過労運転を防止する観点から乗務距離規制が設けられている。」,「需給調整規制廃止後も,輸送の安全の確保は最重要の課題であるという考えから,地域ごとに交通の状況の推移等を十分勘案しながら,乗務距離規制の指定地域の拡大が必要かどうかについて適時判断していく。」,「地方運輸局長が指定する地域において,過労運転の防止等輸送の安全確保の観点から,適正に運行管理が行われるよう,事業者に対し運行記録計の装着を義務付けているところ,上記のとおり,需給調整規制廃止後も,輸送の安全の確保は最重要の課題であるという考えから,運行記録計の装着義務付けについても指定地域の拡大について必要な検討をしていく。」旨を答弁した。(甲34,乙61,84)(ウ) 平成12年5月19日,道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律(平成12年法律第86号。以下「平成12年改正法」という。)が成立し,需給調整規制の原則廃止等を柱とする法の改正が行われた(同月26日公布)。これに先立つ同年4月26日の衆議院運輸委員会及び同年5月18日の参議院交通・情報通信委員会の同法案に対する附帯 )が成立し,需給調整規制の原則廃止等を柱とする法の改正が行われた(同月26日公布)。これに先立つ同年4月26日の衆議院運輸委員会及び同年5月18日の参議院交通・情報通信委員会の同法案に対する附帯決議においては,「政府は,輸送の安全確保と適正労働条件の確立を図るため,最高乗務距離等の制限,過重労働を強いることとなる累進歩合やノルマの排除等について,所要の措置を講ずべきである。」旨が決議された。(乙28の1,28の2,86,89)(エ) 平成13年8月,運輸規則が改正され,乗務距離の最高限度の指定地域においては,事業者自らではなく,地方運輸局長が最高限度を定める仕組みに改められた。上記改正に伴い,自動車交通局安全政策課長ほか2名の通達として平成14年1月30日,「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」(国自総第446号,国自旅第161号,国自整第149号)が発出された。この通達のうち,- 40 -運輸規則22条の乗務距離規制に関する部分の主な内容は,次のとおりである。(甲12,甲事件甲2,弁論の全趣旨)a 一般乗用旅客自動車運送事業については,特に流し営業中心の地域において,歩合制賃金を背景として無理に営業収入増を図るため,乗務距離を稼ごうとするあまり過労運転や最高速度違反が生じやすい状況となっていることから,このような事態が生じないと考えられる乗務距離の最高限度を定めることとする規制を設けたもので,本規制は,過労運転の弊害を防止するためのノルマの禁止(23条)及びこれらの規制の実効性を図るための運行記録計の設置義務規制(26条2項)とともに,地方運輸局等が指定する地域において実施されることとなる。 b 地域の指定(22条1項)について地域の指定は,旅客流動量や交通事故件数等の交通の状況を考慮して行うことが 26条2項)とともに,地方運輸局等が指定する地域において実施されることとなる。 b 地域の指定(22条1項)について地域の指定は,旅客流動量や交通事故件数等の交通の状況を考慮して行うことが必要であるが,前記aの趣旨に鑑みれば,流し営業が中心となっていると考えられる政令指定都市以上の規模の都市を含む地域について行われることが望ましい。また,地域指定に当たっては,各地域ごとの実態に応じて過剰な規制となったり,逆効果をもたらすことのないよう関係者によるタクシー事業の適正化のための話し合いの場において十分議論の上,指定の是非を検討する必要がある。なお,指定する地域は,原則として営業区域単位とする。 なお,各地域ごとの実態把握のための指標の例としては,①営業形態(流し比率,無線の利用状況等),②1日1車当たりの走行距離,輸送回数,③タクシー乗務員の拘束時間の実績,④高速自動車国道及び自動車専用道路の利用状況(回数及び走行距離),⑤タクシーの最高速度違反状況,⑥タクシー事業者の行政処分状況が挙げられる。 c 乗務距離の最高限度の設定(22条2項)について乗務距離の最高限度は,指定した地域における道路,交通及び輸送の状況に応じ運行の安全を阻害するおそれのないよう定めることが必要であり,当該指定地域の実態を踏まえ次のモデル例を参考として定めるものとする。なお,日勤勤務者,隔- 41 -日勤務者の別ごとに乗務距離の最高限度をそれぞれ設定するかどうかは,地域の実情により判断するものとする。 乗務距離の最高限度の設定の考え方(モデル例)としては,実態調査の実施等により得た指定地域に係る指標として,①1日1車当たりの走行距離,輸送回数,②1日1車当たりの走行可能時間,③1日1車当たりの総走行距離の分布,④タクシーの平均速度,⑤タクシ ては,実態調査の実施等により得た指定地域に係る指標として,①1日1車当たりの走行距離,輸送回数,②1日1車当たりの走行可能時間,③1日1車当たりの総走行距離の分布,④タクシーの平均速度,⑤タクシー乗務員の拘束時間の実績(なお,その他の指標として,⑥表定速度,⑦今後の道路整備の計画における予測値(表定速度等)を用いることも考えられる。)を総合的に判断し,乗務距離の最高限度を定める。具体的な算出例としては,「1日1車当たりの走行可能時間(最大拘束時間-(日常点検+点呼・納金+休憩時間))×指定地域内におけるタクシーの平均速度(実態調査から得られたタクシーの平均運行速度)=乗務距離の最高限度」が考えられる。 (オ) 前記ア(エ)のとおり,東京都特別区及び神奈川県京浜地区(川崎市,横浜市及び横須賀市)は,昭和33年に乗務距離規制を行う地域に指定され,実態調査に基づく行政指導に従って乗務距離の最高限度の届出が行われていたところ,平成13年8月の運輸規則改正によって地方運輸局長が最高限度を定めることになったことから,関東運輸局長は,改めて各指定地域内のタクシーの運行状況に関する実態調査を実施した上,平成14年1月,前記(エ)の通達の定めるモデル例に従って,東京(特別区,武蔵野市及び三鷹市)では隔日勤務者につき365㎞,神奈川県京浜交通圏(横浜市,川崎市,横須賀市及び三浦市)では隔日勤務者につき370㎞とする乗務距離の最高限度を定めた。 また,平成14年1月には,大阪地区や福岡交通圏等においても,前記(エ)の通達の定めるモデル例に従って,隔日勤務者についての乗務距離の最高限度が定められた。(甲29,乙6,弁論の全趣旨)(カ) 前記(エ)の平成13年8月の運輸規則改正においては,運輸規則21条所定の「旅客自動車運送事業者が過労の防止を十分 ついての乗務距離の最高限度が定められた。(甲29,乙6,弁論の全趣旨)(カ) 前記(エ)の平成13年8月の運輸規則改正においては,運輸規則21条所定の「旅客自動車運送事業者が過労の防止を十分考慮して定めなければならない事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間」についても,それまでの旅客自動車運送- 42 -事業者が自由に定める仕組みが改められ,旅客自動車運送事業者は,国土交通大臣が告示で定める基準に従って定めなければならないものとされた。 上記改正に伴い,国土交通大臣は,平成13年12月3日,「旅客自動車運送事業運輸規則第21条第1項の規定に基づく事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準」(国土交通省告示第1675号)を定め,運輸規則21条所定の上記基準を「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号)とすることとした。 なお,「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号)は,その2条において,一般乗用旅客自動車運送事業に従事する自動車運転者の拘束時間等に関し,要旨,①隔日勤務以外の運転者については,1日についての拘束時間は,13時間を超えないものとし,当該拘束時間を延長する場合であっても,1日についての拘束時間の限度は16時間とし,勤務終了後,継続8時間以上の休息期間を与えること,②隔日勤務の運転者については,拘束時間は,2暦日について21時間を超えないものとし,勤務終了後,継続20時間以上の休息期間を与えることを定めている。(乙34,35,甲事件甲7,8)エ運行記録計による記録の義務付け地域の拡大(ア) 平成18年頃,バブル経済崩壊以降の景気の低迷により,長期減少傾向を辿っていたタクシーの輸送人員の減少に一層拍車がかかり,タクシー事業の経営 エ運行記録計による記録の義務付け地域の拡大(ア) 平成18年頃,バブル経済崩壊以降の景気の低迷により,長期減少傾向を辿っていたタクシーの輸送人員の減少に一層拍車がかかり,タクシー事業の経営環境が厳しさを増した結果,運転者の賃金も低下し,過労運転やサービス等の低下を招いているのではないかとの指摘がされた。そこで,交通政策審議会陸上交通分科会自動車交通部会は,同年7月,需給調整規制廃止後のタクシー業界の状況について実態把握及びその分析を行い,「タクシーサービスの将来ビジョン小委員会報告書~総合生活移動産業への転換を目指して~」と題する報告書を取りまとめた。この報告書では,運行記録計の導入地域の拡大について,「運行記録計は,運行管理が確実に実施されているかを事後的にチェックする上で,大変有益な装置である。タクシーについては,現在,最高乗務距離が定められている地域(東京,大阪をはじ- 43 -めとする13地域)に限って運行記録計の導入が義務付けられているが,この指定地域については,昭和30年代から基本的に変更がされていない。このため,運行管理をより確実に実施するため,現在の交通状況を踏まえて必要と考えられる地域を見直し,その導入地域の拡大を可能な限り図ることとする。」旨報告された。(乙30)(イ) これを受けて,国土交通省は,平成18年9月,乗務距離規制(22条1項)を受ける地域のタクシー事業者に運行記録計による記録を義務付ける旨を定めていた旧運輸規則26条を改正し,「事業用自動車の運行の管理の状況等を考慮して地方運輸局長が指定する地域」内に営業所を有するタクシー事業者に運行記録計による記録を義務付けることとし,上記地域としては,「一般乗用旅客自動車運送事業に係る運行記録計による記録について」(平成18年国自総第269号,国自 域」内に営業所を有するタクシー事業者に運行記録計による記録を義務付けることとし,上記地域としては,「一般乗用旅客自動車運送事業に係る運行記録計による記録について」(平成18年国自総第269号,国自旅第116号)により,「(1) 運輸規則22条1項の規定に基づき最高乗務距離規制を行う地域として地方運輸局長が指定した地域(原則営業区域単位)」及び「(2) 人口おおむね10万人以上の都市を含む地域であって,流し営業の割合が比較的高く,当該地域の平均日車走行キロ数が相対的に長い等,運行記録計による記録を行うことによって,より確実かつ合理的な運行管理が行われることとなると認められる地域(原則営業区域単位)」を指定することとした。(乙31)(ウ) そこで,中部運輸局長は,平成18年12月,運送の引受形態の実態調査(以下「本件実態調査1」という。)を行い,その結果に基づいて,同月25日,運輸規則26条3項に基づき,「一般乗用旅客自動車運送事業に係る運行記録計による記録について」(中運局公示第96号)を制定し,中部運輸局管内における運行記録計による記録の義務付け地域として,名古屋交通圏(名古屋市,瀬戸市,津島市,尾張旭市,豊明市,日進市,愛西市,清須市,北名古屋市,弥富市,愛知郡,西春日井郡,海部郡)を指定した。 本件実態調査1の結果の概要は,別紙4記載のとおりであり,上記公示に当たっては,まず,①人口10万人以上の都市を含む営業区域として,中部運輸局管内2- 44 -9交通圏のうち,23交通圏が該当したところ,②平均日車走行キロ数が長く(180㎞以上),流し営業の割合が比較的高い営業区域として,6交通圏(名古屋交通圏,尾張北部交通圏,西三河南部交通圏,知多交通圏,西三河北部交通圏及び磐田・掛川交通圏)が候補に挙がり,③このうち,平均日車走 以上),流し営業の割合が比較的高い営業区域として,6交通圏(名古屋交通圏,尾張北部交通圏,西三河南部交通圏,知多交通圏,西三河北部交通圏及び磐田・掛川交通圏)が候補に挙がり,③このうち,平均日車走行キロが全国平均日車走行キロ数である200㎞を上回る地域は,名古屋交通圏(202㎞)のみであり,その流し営業の割合は81.8%と上記②の交通圏の中で突出していたことが考慮された。(乙12,32,33,弁論の全趣旨)オタクシー特措法の成立に至る経緯等(ア) 平成19年の東京地区のタクシー運賃改定に際し,同年4月及び5月に内閣府の「物価安定政策会議」が開催され,タクシー事業の在り方に関し様々な問題提起がされた。(乙71,弁論の全趣旨)(イ) これを契機として,平成19年12月,国土交通大臣から交通政策審議会に対してタクシー事業を巡る諸問題について諮問がなされた。これを受けて,同審議会は,同月21日,「タクシー事業を巡る諸問題に関する検討ワーキンググループ」を設置し,平成20年2月以降,計13回の会議を開催して各地域の事業者,地方公共団体,報道機関など多様な関係者からのヒアリングも行った上,タクシー事業が果たすべき役割,タクシー事業が抱える問題の所在とその原因,これらの諸問題への対応策等について,幅広い視点からの検討を行った。その結果,同審議会は,同年12月,「タクシー事業を巡る諸問題への対策について答申」と題する答申を取りまとめた。この答申では,タクシー事業については,一般に,①収益基盤の悪化,②運転者の労働条件の悪化,③違法・不適切な事業運営の横行等の問題が生じていると指摘され,その原因は,①タクシーの輸送人員の減少,②過剰な輸送力の増加,③過度な運賃競争,④タクシー事業の構造的要因(利用者の選択可能性の低さ,歩合制主体の賃金 業運営の横行等の問題が生じていると指摘され,その原因は,①タクシーの輸送人員の減少,②過剰な輸送力の増加,③過度な運賃競争,④タクシー事業の構造的要因(利用者の選択可能性の低さ,歩合制主体の賃金体系等)にあると指摘された。また,供給過剰進行地域において今後講ずべき対策として,「供給過剰の進行への現実的で効果的な対策として,特定の地域において,一定の期間に必要な総合的な取組を行う地域指定制度を創設- 45 -することが必要である。」などとされた。(乙1,71)(ウ) 事業用自動車に係る総合的安全対策委員会は,平成21年3月,「事業用自動車総合プラン2009」を策定し,その中で,「事業用自動車については,運送のプロとして乗客の生命,顧客の財産を預かり,より高度な安全性を求められるにもかかわらず,全体としては,事故件数,死者数ともに,自家用自動車と比べると減少の歩みが遅いのが現状である。」と指摘した。(乙24)(エ) 衆議院国土交通委員会は,平成21年6月10日,タクシー特措法の法案について附帯決議をし,その中で,政府が同法の施行に当たって留意すべき点の一つとして,「利用者の安全を確保する観点からも,労働条件の悪化を防止するとともに,違法不適切な事業運営を排除するため,労働関係法令違反に対する処分の強化を図るとともに,監督指導体制の強化のため,走行距離制限の導入地域の拡大,デジタルタコグラフの義務化等について検討すること」を掲げた。(乙3)(オ) 前記(イ)のような経緯を受けて,平成21年6月19日,タクシー特措法が成立した(同月26日公布)。この法律の概要は,次のとおりである。 a タクシー特措法は,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー事業)の適正化及び活性化を推進し,もって地域における交通の健全な発達に 6日公布)。この法律の概要は,次のとおりである。 a タクシー特措法は,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー事業)の適正化及び活性化を推進し,もって地域における交通の健全な発達に寄与することを目的とする(1条)。 b 国土交通大臣は,特定の地域における一般乗用旅客自動車運送事業の①供給過剰の状況,②事業用自動車1台当たりの収入の状況,③法令の違反その他の不適正な運営の状況,④事業用自動車の運行による事故の発生の状況に照らして,当該地域の輸送需要に的確に対応することにより,輸送の安全及び利用者の利便を確保し,その地域公共交通としての機能を十分に発揮できるようにするため,当該地域の関係者の自主的な取組を中心として一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化を推進することが特に必要であると認めるときは,当該特定の地域を,期間を定めて「特定地域」として指定することができる(3条1項)。 c 一般乗用旅客自動車運送事業者であって特定地域内に営業所を有する者等- 46 -は,特定地域において,一般乗用旅客自動車運送事業の適性化及び活性化のために必要な措置を講ずるよう努めなければならず(5条),国は,一般乗用旅客自動車運送事業の適性化を推進するため,検査,処分その他の監督上必要な措置を的確に実施するものとし(6条),国,地方公共団体,一般乗用旅客自動車運送事業者等の関係者は,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化を推進するため相互協力に努めなければならない(7条)。 d 特定地域では,関係者から成る協議会を組織して一般乗用旅客自動車運送事業の適性化及び活性化を推進するための地域計画を作成することができる(8条,9条)。地域計画において特定事業に関する事項が定められたときは,当該地域計画の作成に係る 組織して一般乗用旅客自動車運送事業の適性化及び活性化を推進するための地域計画を作成することができる(8条,9条)。地域計画において特定事業に関する事項が定められたときは,当該地域計画の作成に係る合意をした協議会の構成員であって,特定事業の実施主体とされた一般乗用旅客自動車運送事業者は,地域計画に即して特定事業を実施するための計画(以下「特定事業計画」という。)を作成して国土交通大臣の認定を受けることができ,また,特定事業計画には,一般旅客自動車運送事業の供給輸送力の減少その他経営の合理化に資する措置として国道交通省令で定めるもの(以下「事業再構築」という。)を定めることができる(11条)。 e 特定地域において,一般乗用旅客自動車運送事業者が当該特定地域内の営業所に配置するその事業用自動車の合計数を増加させる事業計画の変更については,法15条3項所定の届出ではなく,同条1項の認可を必要とする(15条)。 カ本件公示に至る経緯等(ア) 前記オ(イ)の交通政策審議会答申を受けて設置されたタクシー運賃制度研究会は,平成21年8月,「タクシー運賃の今後の審査のあり方について」と題する報告をまとめ,その中で,「下限割れ運賃を採用している事業者においては,低運賃ゆえの単位走行距離当たりの収益性の低さを補うために,運転者の長距離走行を誘発する傾向が確認されるところであり,こうした傾向を抑止するため,現在は大都市部に限定されている乗務距離の最高限度の指定地域を拡大することが適当である。特に,最高乗務距離の設定に当たっては,近年のタクシー運転者の勤務形態を- 47 -踏まえた距離を設定することが必要である。」と指摘した。(乙5)(イ) このような状況から,国土交通省自動車交通局安全政策課及び旅客課は,平成21年8月4日,各地方運輸局 務形態を- 47 -踏まえた距離を設定することが必要である。」と指摘した。(乙5)(イ) このような状況から,国土交通省自動車交通局安全政策課及び旅客課は,平成21年8月4日,各地方運輸局自動車交通部旅客(第二)課長等に宛てて,「タクシー事業に係る乗務距離の最高限度の指定拡大について」と題する次の内容の事務連絡を発出した。(甲21の3,乙6)a 運輸規則22条に基づく乗務距離規制について,今般,タクシー運賃制度研究会での議論を踏まえた当面の対応として,運行記録計の義務付け地域にまで指定を拡大する方針で検討を進めている。各地方運輸局においては,運行記録計の義務付け地域であって,乗務距離の最高限度を設定していない地域(日勤勤務運転者に係るものを設定していない地域を含む。)について,次のb,cの考え方(平成13年作業時の考え方を踏襲)に基づき,必要な指標を得るための調査を進めること。 b 指定しようとする地域内における①1日1車当たりの走行距離,②1日1車当たりの輸送回数,③実走行時間,④営業形態(流し率等),⑤高速自動車国道の利用状況,⑥無線の利用状況,⑦1日1車当たりの総走行キロの分布,⑧タクシーの交通事故発生状況,⑨タクシー事業者の行政処分状況,⑩タクシーの道路交通法違反状況,⑪その他運輸局で必要と認める事項の実態を調査するとともに,関係者に対するヒアリング等を実施し,指定の必要性について総合的に検討すること。 c 道路交通法及び運輸規則21条1項の国土交通大臣が告示で定める基準(改善基準告示)の遵守を前提として,前記bの①ないし⑪に加え,指定地域(指定しようとする地域を含む。)内の①タクシーの平均運行速度,②道路の表定速度,③道路の渋滞状況,④今後の道路の渋滞状況及び輸送の状態の見通し,⑤高速自動車国道の走行距離, いし⑪に加え,指定地域(指定しようとする地域を含む。)内の①タクシーの平均運行速度,②道路の表定速度,③道路の渋滞状況,④今後の道路の渋滞状況及び輸送の状態の見通し,⑤高速自動車国道の走行距離,⑥その他運輸局で必要と認める事項を調査し,乗務距離の最高限度を日勤勤務運転者,隔日勤務運転者別にそれぞれ定めること。 隔日勤務運転者の乗務距離の最高限度の設定の考え方の例としては,(イ) 実走行時間については,「最大拘束時間(21時間)-休憩時間-日常点検・点呼時間-客扱い時間-客待ち時間=実走行時間」とすることが考えられ,(ロ) 指定地域内に- 48 -おける道路の表定速度については,道路交通センサスの旅行速度や実態調査に基づくタクシーの平均速度等,地域の実情に応じて適当な数値を用いることが考えられ,(ハ) 乗務距離の最高限度については,「(イ)×(ロ)=乗務距離の最高限度」とすることが考えられる。 日勤勤務運転者の乗務距離の最高限度の設定の考え方については,改善基準告示における隔日勤務の2暦日の拘束時間及び日勤勤務の1日の拘束時間との割合(21時間/13時間)により算出することを基本的に検討中(各地域の実態調査の結果等を踏まえて調整)。 (ウ) 中部運輸局は,前記(イ)の事務連絡を受けて,平成21年8月11日,名古屋タクシー協会に対し,隔日勤務運転者及び日勤勤務運転者における①1日1車当たりの走行距離,②1日1車当たりの輸送回数,③タクシー運転者の拘束時間,④客待ち時間,⑤休憩時間,⑥始業及び終業点呼・点検に要する時間,⑦実ハンドル時間,⑧客扱い時間について調査依頼をし,名古屋地区原価計算対象事業者22社における同月20日から同月26日までのデータを収集する実態調査(以下「本件実態調査2」という。)を行った。調査対象とされた「原 ,⑧客扱い時間について調査依頼をし,名古屋地区原価計算対象事業者22社における同月20日から同月26日までのデータを収集する実態調査(以下「本件実態調査2」という。)を行った。調査対象とされた「原価計算対象事業者」22社は,平成19年度に名古屋地区の運賃改定作業を行った際,「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃料金認可申請の審査基準について」(中運局公示第249号)に基づき選定された事業者であり,その選定過程において,経営状態や車両規模等に鑑み,地域の標準的指標となる事業者を抽出した(事業用自動車5両以下の小規模個人経営事業者,3年以上存続していない事業者,一般乗用旅客自動車運送事業以外の事業を経営するものであって全事業営業収入に対する乗用部門の営業収入の割合が50%に満たない事業者,事業用自動車の平均車令が著しく高い事業者,年間実働率の著しく低い事業者等が除外されている。)ことから,この調査の対象事業者とされたものであり,22社というのは名古屋交通圏におけるタクシー事業者の約4分の1に相当し,その中には,GPSを導入している事業者も含まれていた。 本件実態調査2の結果の概要は,別紙5記載のとおりである。この調査結果では,- 49 -隔日勤務運転者については,拘束時間が21時間を超過するもの及び13時間に満たないものを除くと,①1日1車当たりの走行距離の平均は218㎞,②1日当たりの総走行距離の分布は,200㎞までが45.8%,201㎞から300㎞までが39.8%,300㎞超が14.4%であり,③上記集計対象隔日勤務運転者667件中,走行距離が360㎞(高速道路を除く。)を超えていたのは4件であった。また,日勤勤務運転者については,拘束時間が16時間を超過するものを除くと,①1日1車当たりの走行距離の平均は155.8㎞,②1日当たりの が360㎞(高速道路を除く。)を超えていたのは4件であった。また,日勤勤務運転者については,拘束時間が16時間を超過するものを除くと,①1日1車当たりの走行距離の平均は155.8㎞,②1日当たりの総走行距離の分布は,200㎞までが88.5%,201㎞から300㎞までが11.2%,300㎞超が0.3%であり,③上記集計対象日勤勤務運転者590件中,走行距離が270㎞(高速道路を除く。)を超えていたのは2件であった。 なお,中部運輸局長が本件公示に当たって実施した実態調査は,本件実態調査2のみであり,流し営業の比率や無線の利用状況といった営業形態や,ノルマ設定の有無等を調査することはなかった。(甲21の2,21の4,乙20ないし22,55,56,弁論の全趣旨)(エ) なお,平成21年9月までの時点で,首都圏では東京特別区・武三地区,横浜市,川崎市及び横須賀市が,近畿圏では京都市,大阪市,豊中市,吹田市,門真市,東大阪市,守口市,八尾市,堺市,神戸市,芦屋市,西宮市,尼崎市及び明石市が,福岡県では福岡市が,それぞれ乗務距離の最高限度の規制地域に指定されており,乗務距離の最高限度は,首都圏で365㎞,福岡圏で360㎞,近畿圏で350㎞とされていた。(乙21)(オ) 国土交通大臣は,平成21年10月1日,タクシー特措法3条1項に基づき,名古屋交通圏ほかを特定地域として指定した。(甲5,甲事件甲6)(カ) 中部運輸局長は,前記(ア)のタクシー運賃制度研究会の指摘や前記(ウ)の本件実態調査2の結果を踏まえ,各種指標やデータについて検討し,業界団体,事業者及び労働組合へのヒアリングも実施した上,平成21年10月28日,本件公示を定めた。本件公示に当たっては,隔日勤務運転者の乗務距離の最高限度については,- 50 -本件実態調査2に 界団体,事業者及び労働組合へのヒアリングも実施した上,平成21年10月28日,本件公示を定めた。本件公示に当たっては,隔日勤務運転者の乗務距離の最高限度については,- 50 -本件実態調査2に基づく隔日勤務運転者の平均速度21.5㎞/hに,本件実態調査2の結果から算出した隔日勤務運転者の最大限走行可能な時間16.8時間を乗じて360㎞とされたが,日勤勤務運転者については,夜間のみ運行している事業者が存在することを考慮して,本件実態調査2に基づく日勤勤務運転者の平均速度26.0㎞/hによらずに,昼夜ともに運行している隔日勤務運転者の平均速度21.5㎞/hを用いることとされ,これに,本件実態調査2の結果から算出した日勤勤務運転者の最大限走行可能な時間12.6時間を乗じて270㎞とされた。 ちなみに,本件実態調査2に基づく日勤勤務運転者の平均速度は,26.0㎞/hであり,隔日勤務運転者の場合と同様の計算方法に従い,この数値に日勤勤務運転者の最大限走行可能な時間12.6時間を乗じた場合の距離は,327.6㎞となる。(甲21の1,21の2,21の5,乙21,弁論の全趣旨)キ本件公示後の状況等(ア) 関東運輸局は,平成21年11月,乗務距離の最高限度の規制地域として東京都北多摩交通圏・南多摩交通圏・西多摩交通圏,神奈川県県央交通圏・湘南交通圏,千葉県京葉交通圏及び埼玉県県南西部交通圏(東松山市,坂戸市,鶴ヶ島市,入間郡越生町,比企郡滑川町,嵐山町,小川町,ときがわ町,川島町,吉見町,鳩山町及び秩父郡東秩父村の区域を除く。)を新たに指定した。乗務距離の最高限度は,隔日勤務については従前特別区・武三地区等において設定されていた365㎞が維持され,日勤勤務については270㎞とされた(なお,上記乗務距離に高速道路の走行距離を計上するかど 。乗務距離の最高限度は,隔日勤務については従前特別区・武三地区等において設定されていた365㎞が維持され,日勤勤務については270㎞とされた(なお,上記乗務距離に高速道路の走行距離を計上するかどうかについては,従前どおり,首都高速道路の走行距離はそのまま計上し,首都高速道路以外の高速道路の走行距離は計上しないものとされた。)。(甲30)(イ) 近畿運輸局は,平成21年12月16日,隔日勤務の乗務距離の最高限度については従前の350㎞を維持し,日勤勤務のそれについては250㎞とする公示を定めた(なお,上記乗務距離には,高速自動車国道及び自動車専用道路の走行距離も1回につき50㎞を上限に計上するものとされた。)。 - 51 -なお,他の運輸局における日勤勤務の乗務距離の最高限度は,北海道280㎞,東北270㎞,北陸信越250㎞,中国260㎞,九州270㎞である。(甲45ないし50)(ウ) 名古屋交通圏では,平成21年11月30日にタクシー特措法8条に基づく協議会が設置され,平成22年4月19日に同法9条に基づく地域計画が作成された。(弁論の全趣旨)(エ) 中部地方及び北陸地方のタクシー事業者の労働者団体が加盟する交通運輸産業労働組合協議会は,平成22年7月9日,中部運輸局長に対し,同年の運輸行政に関する要求・要望の一つとして,「自動認可運賃の下限割れ運賃や運賃改定未申請による低額運賃を認めない措置を講じることを求める。」などとする同一地域・同一運賃の法制化の要望等とともに,「過重労働を解消する為に最高乗務距離の指定地域を拡大するとともに,日勤勤務運転者の最高乗務距離の縮小を図られたい。」との要望を提出した。(乙53)ク交通事故の発生状況等に関する統計データ(ア) タクシーによる交通事故の発生件数等a するとともに,日勤勤務運転者の最高乗務距離の縮小を図られたい。」との要望を提出した。(乙53)ク交通事故の発生状況等に関する統計データ(ア) タクシーによる交通事故の発生件数等a 名古屋交通圏におけるタクシーによる走行100万㎞当たりの交通事故件数の推移を見ると,平成16年度は7.700件,平成17年度は7.888件,平成18年度は6.646件,平成19年度は6.677件,平成20年度は6.852件であり,平成18年度に前年比約15.7%減の減少に転じ,その後,僅かながら増加したものの,平成20年度には,なお平成16年度の約89.0%(約11%減)の水準にとどまっていた。(乙26)また,名古屋交通圏におけるタクシー実在100両当たりの交通事故件数の推移を見ると,平成16年度は0.1314件,平成17年度は0.1276件,平成18年度は0.1057件,平成19年度は0.1030件,平成20年度は0. 1002件と減少の一途を辿り,平成20年度には,平成16年度の約76.3%(約23.7%減)の水準となっていた。もっとも,これら全ての年度を通じて0. - 52 -1件を上回っている地域は,中部運輸局管内の人口おおむね30万人以上の都市を含む交通圏(11交通圏)の中では名古屋交通圏のみであった。(乙26)名古屋市におけるタクシーによる交通事故(人身事故)件数の推移を見ると,平成18年は730件,平成19年は760件,平成20年は635件,平成21年は711件,平成22年は709件であった。このうち重傷事故の件数は,平成18年は21件,平成19年は18件,平成20年は22件,平成21年は19件,平成22年は13件であった。(乙41)b 愛知県における走行1億㎞当たりの交通事故(人身事故)発生件数の推移を見ると,タ は21件,平成19年は18件,平成20年は22件,平成21年は19件,平成22年は13件であった。(乙41)b 愛知県における走行1億㎞当たりの交通事故(人身事故)発生件数の推移を見ると,タクシーが第一当事者(交通事故に関与した車両の運転者又は歩行者のうち,当該事故における過失が重い者をいい,過失が同程度の場合には人身損傷程度が軽い者をいう。以下同じ。)の件数は,平成9年は104.0件,平成10年は113.5件,平成11年は118.8件,平成12年は132.2件,平成13年は150.7件,平成14年は151.0件,平成15年は173.9件,平成16年は173.1件,平成17年は169.3件,平成18年は165.2件,平成19年は168.2件,平成20年は153.7件,平成21年は174.6件であった。これに対し,自家用自動車が第一当事者の件数は,平成9年から平成21年まで80.7件ないし110.1件の範囲内で推移し,同年は97.0件,自家用貨物自動車が第一当事者の件数は,平成9年から平成21年まで70.5件ないし95.1件の範囲内で推移し,同年は86.4件,事業用バスが第一当事者の件数は,平成9年から平成21年まで40.3件ないし81.1件の範囲内で推移し,同年は72.6件,事業用トラックが第一当事者の件数は,平成9年から平成21年まで39.5件ないし54.8件の範囲内で推移し,同年は42.0件であった。(乙40)c なお,全国における走行1億㎞当たりの自動車交通事故発生件数の推移を見ると,タクシー・ハイヤーの件数は,平成4年は83.0件,平成5年は89.9件,平成6年は97.9件,平成7年は105.3件,平成8年は105.0件,- 53 -平成9年は114.7件,平成10年は123.8件,平成11年は139.1件,平成 .0件,平成5年は89.9件,平成6年は97.9件,平成7年は105.3件,平成8年は105.0件,- 53 -平成9年は114.7件,平成10年は123.8件,平成11年は139.1件,平成12年は157.2件,平成13年は159.2件,平成14年は161.0件,平成15年は169.9件,平成16年は173.7件,平成17年は182. 0件,平成18年は174.7件,平成19年は175.6件,平成20年は167.6件であった。これに対し,バスの件数は,平成4年から平成20年まで54件から82.6件の範囲内で推移し,同年は72.0件であり,トラックの件数は,平成4年から平成20年まで36.4件から50.6件の範囲内で推移し,同年は36.4件であり,いずれもタクシー・ハイヤーを下回っていた。(乙36)全国における自動車1000台当たりの交通事故発生件数についても,走行1億㎞当たりの自動車交通事故発生件数と同様,タクシーの交通事故発生件数が他の自動車のそれを上回っていた。(乙37)(イ) 交通事故の要因分析等a 自動車運送事業に係る交通事故要因分析を見ると,平成21年の全国におけるタクシーによる事故(総数2万2376件)について,①最高速度違反によるものは18件,②安全速度違反によるものは115件,③信号無視によるものは597件,④徐行違反によるものは305件,⑤過労運転によるものは1件,⑥運転操作に係る安全運転義務違反によるものは1160件,⑦漫然運転によるものは638件,⑧動静不注視によるものは1888件であった。(乙63)b 名古屋市におけるタクシーによる交通事故(人身事故)の法令違反別件数を見ると,平成21年の事故(総数711件)について,①最高速度違反によるものは0件,②安全速度違反によるものは0件,③信号無 b 名古屋市におけるタクシーによる交通事故(人身事故)の法令違反別件数を見ると,平成21年の事故(総数711件)について,①最高速度違反によるものは0件,②安全速度違反によるものは0件,③信号無視によるものは26件,④徐行違反によるものは1件,⑤過労運転によるものは0件,⑥運転操作に係る安全運転義務違反によるものは34件,⑦内在的な前方不注意によるものは38件,⑧動静不注視によるものは23件であった。また,平成22年の事故(総数709件)について,①最高速度違反によるものは0件,②安全速度違反によるものは0件,③信号無視によるものは18件,④徐行違反によるものは1件,⑤過労運転による- 54 -ものは0件,⑥運転操作に係る安全運転義務違反によるものは32件,⑦内在的な前方不注意によるものは35件,⑧動静不注視によるものは31件であった。(乙64)(ウ) 労働時間規制違反の件数等a タクシー運転者の勤務時間及び乗務時間に係る運輸規則21条1項,労働時間等改善基準告示違反について,平成20年度の愛知県内における監査件数と違反件数を見ると,名古屋交通圏では,①監査件数は35件,②違反件数は15件,③違反率(①に占める②の割合)は54.3%であるのに対し,愛知県内の他の交通圏では,①監査件数は15件,②違反件数は4件,③違反率(①に占める②の割合)は26.7%であった。(乙13の1ないし13の23,14)b 平成18年度から平成20年度において,愛知労働局長から中部運輸局長に対して労働時間等の違反について通報を受けた件数は,名古屋交通圏の事業者に係る通報が10件であり,愛知県内の他の交通圏の事業者に対するものが2件であった。(乙15の1ないし15の12)(エ) 速度違反の件数等タクシーによる速度違反について,愛知 通圏の事業者に係る通報が10件であり,愛知県内の他の交通圏の事業者に対するものが2件であった。(乙15の1ないし15の12)(エ) 速度違反の件数等タクシーによる速度違反について,愛知県内における速度違反(法定速度違反又は指定速度違反)に関する道路交通法108条の34に基づく行政庁への通知件数の推移を見ると,次のとおりであった。 a 名古屋交通圏の通知件数は,平成18年度が58件(車両100台当たり通知件数0.81件),平成19年度が48件(同0.68件),平成20年度が27件(同0.38件)であり,減少の一途を辿り,平成20年度には,平成18年度の半分以下にまで改善していた。(乙16の1ないし16の63,17の1ないし17の51,18の1ないし18の32)b 一方,愛知県内の他の交通圏の通知件数は,平成18年度が5件(車両100台当たり通知件数0.18件),平成19年度が3件(同0.11件),平成20年度が5件(同0.18件)であり,ほぼ横ばいの状況にあった。(乙16の1- 55 -ないし16の63,17の1ないし17の51,18の1ないし18の32)(オ) タクシーに関する苦情の内容中部運輸局及び管内運輸支局に寄せられたタクシーに関する苦情について見ると,①交通事故に関する利用者からの苦情が平成19年度9件(2.2%),平成20年度6件(1.2%),平成21年度4件(0.8%),②乱暴運転に関する利用者からの苦情が平成19年度13件(3.2%),平成20年度20件(3. 9%),平成21年度26件(5.4%),③運転マナーに関する利用者以外からの苦情が平成19年度58件(14.4%),平成20年度82件(15.9%),平成21年度54件(11.2%)であった。(乙39)(カ) タクシー事業者の属性 ③運転マナーに関する利用者以外からの苦情が平成19年度58件(14.4%),平成20年度82件(15.9%),平成21年度54件(11.2%)であった。(乙39)(カ) タクシー事業者の属性別の違反状況等国土交通省自動車交通局は,平成18年度に主要10地域(札幌交通圏,仙台市,東京特別区・武三交通圏,新潟交通圏,名古屋交通圏,大阪市域交通圏,広島交通圏,高松交通圏,福岡交通圏,沖縄本島)において,①新規事業者(平成14年2月の規制緩和以降に参入した事業者),②低額運賃事業者(平成20年3月末において上限運賃以外の運賃を適用している事業者),③小規模事業者(平成20年3月末において一般タクシーの車両数20両以下の事業者),④急激な増車を実施した事業者(平成18年度末車両数が平成13年度末車両数と比べて2倍以上になった事業者),⑤上記①ないし④のいずれにも該当しない事業者ごとに交通事故の発生状況等について調査した。 これによると,車両100両当たりの事故件数は,①新規事業者が47.53件(重大事故件数は0.16件),②低額運賃事業者が15.29件(同0.16件),③小規模事業者が19.23件(同0.15件),④急激な増車を実施した事業者が19.13件(同0.21件),⑤それ以外の事業者が55.78件(同0.19件),⑥全事業者の平均が52.08件(同0.18件)であり,低額運賃事業者の事故件数は,全事業者の平均をかなり下回っていた。 また,監査10件当たりの行政処分件数は,①新規事業者が4.00件,②低額- 56 -運賃事業者が4.40件,③小規模事業者が2.96件,④急激な増車を実施した事業者が4.08件,⑤それ以外の事業者が3.56件,⑥全事業者の平均が3. 71件であり,低額運賃事業者の行政処分件数は,全事業者の平均 4.40件,③小規模事業者が2.96件,④急激な増車を実施した事業者が4.08件,⑤それ以外の事業者が3.56件,⑥全事業者の平均が3. 71件であり,低額運賃事業者の行政処分件数は,全事業者の平均を若干上回っていた。これに対し,監査10件当たりの警告・勧告等件数は,①新規事業者が3. 59件,②低額運賃事業者が3.20件,③小規模事業者が5.56件,④急激な増車を実施した事業者が4.08件,⑤それ以外の事業者が4.01件,⑥全事業者の平均が3.88件であり,低額運賃事業者の警告・勧告等件数は,全事業者の平均を若干下回っていた。これと同様に,監査10件当たりの過労・最低賃金関係違反通報件数も,①新規事業者が1.41件,②低額運賃事業者が0.67件,③小規模事業者が0.93件,④急激な増車を実施した事業者が1.97件,⑤それ以外の事業者が0.70件,⑥全事業者の平均が0.89件であり,低額運賃事業者の通報件数は,全事業者の平均を若干下回っていた。(乙73)(キ) タクシーの走行距離の推移a バブル経済崩壊以降,前記エ(ア)のとおり,景気の低迷によるタクシー需要の減少の影響を受けて,全国的にタクシーの輸送人員は減少し,タクシーの総走行距離も,減少傾向が続いてきた。(乙1,29,96)b 愛知県の一般法人タクシーの実働1日1車当たりの走行距離の推移を見ると,昭和60年度が239.8㎞,平成2年度が248.8㎞,平成8年度が210.6㎞,平成13年度が191.5㎞,平成14年度が193.7㎞,平成15年度が192.8㎞,平成16年度が192.9㎞,平成17年度が195.2㎞,平成18年度が195.3㎞,平成19年度が192.9㎞,平成20年度が178.7㎞,平成21年度が168.2㎞,平成22年度が162.7㎞と減少傾向にあった。 .9㎞,平成17年度が195.2㎞,平成18年度が195.3㎞,平成19年度が192.9㎞,平成20年度が178.7㎞,平成21年度が168.2㎞,平成22年度が162.7㎞と減少傾向にあった。(乙70)また,名古屋市の一般法人タクシーの実働1日1車当たりの走行距離は,昭和60年度が252.4㎞,平成2年度が258.8㎞,平成8年度が227.0㎞,平成13年度が205.5㎞,平成14年度が206.8㎞,平成15年度が20- 57 -6.3㎞,平成16年度が204.8㎞,平成17年度が205.0㎞,平成18年度が204.6㎞,平成19年度が200.0㎞,平成20年度が190.0㎞,平成21年度が182.8㎞,平成22年度が185.1㎞であって,愛知県と同様に減少傾向にあった。(乙70)c このような傾向は,他の大都市でも同様であり,国土交通省自動車交通局が平成18年度に実施した前記(カ)の調査結果によると,大阪における全タクシー事業者の実働1日1車当たりの走行距離は,平成16年度が220.0㎞,平成17年度が208.0㎞,平成18年度が209.0㎞,平成19年度が209.3㎞であった。ちなみに,上記調査結果によると,大阪における低額運賃事業者(初乗り500円かつ5000円超5割引)のタクシー実働1日1車当たりの走行距離は,平成16年度が259.8㎞,平成17年度が242.0㎞,平成18年度が241.2㎞,平成19年度が239.1㎞であり,他のタクシー事業者と同様,減少傾向にあった。(乙73)d なお,本件公示に先立って行われた前記カ(カ)のヒアリングの際には,「10年,15年前であれば,370㎞や380㎞を走行していたが,現在では,1時間に20㎞ぐらいしか走れない走行環境である。」,「経済情勢も思わしくなく,特に駅待 前記カ(カ)のヒアリングの際には,「10年,15年前であれば,370㎞や380㎞を走行していたが,現在では,1時間に20㎞ぐらいしか走れない走行環境である。」,「経済情勢も思わしくなく,特に駅待ち等での勤務者が多く,隔勤360㎞,日勤270㎞を超えることはまずないであろう。」,「当社は,JR○○駅待ち,車庫待ちを中心として,流し営業はほとんどない状況であり,隔勤者でも200㎞前後の走行距離であるため問題はないものと考える。特に最近では経済情勢が悪化していることから,駅待ちでも1時間に1本程度の運行実態であり,非常に厳しい状況である。」,「現在の経済情勢からすれば妥当な数字であるかもしれないが,過去の経験からすると少し短いかもしれない。」,「以前は乗務距離手当があり,当社では隔勤330㎞,日勤240㎞を基準としていた。これによりどうしても走行距離が長くなった。高速道路の走行距離が除外されるのであれば問題ない。」等,経済情勢の悪化に伴って走行距離が減少していることを指摘する意見が多数寄せられた。(甲21の5)- 58 -(2) 運輸規則22条の合憲性(争点(4)ア)についてア職業活動としての営業は,本質的に社会的かつ経済的な活動であって,その性質上,社会的相互関連性が大きいものであるから,憲法22条1項において保障される職業活動としての営業の自由は,それ以外の憲法の保障する自由,殊にいわゆる精神的自由に比較して,公権力による規制の要請が強く,同項が「公共の福祉に反しない限り」という留保の下に職業選択の自由を認めたのも,特にこの点を強調する趣旨に出たものと解される。このように,職業活動としての営業は,それ自身のうちに何らかの制約の必要性が内在する社会的かつ経済的な活動であるところ,その種類,性質,内容,社会的意義や影響が極めて 調する趣旨に出たものと解される。このように,職業活動としての営業は,それ自身のうちに何らかの制約の必要性が内在する社会的かつ経済的な活動であるところ,その種類,性質,内容,社会的意義や影響が極めて多種多様であるため,その規制を要求する社会的理由ないし目的も千差万別で,その重要性も区々にわたり,これに対応して,現実に営業の自由に加えられる制限としての規制措置も,それぞれの事情に応じて各種各様の形をとることとなる。このため,当該規制措置が憲法22条1項にいう公共の福祉のために要求されるものとして是認されるかどうかは,これを一律に論ずることができず,具体的な規制措置について,規制の目的,必要性,内容,これによって制限される営業の自由の性質,内容及び制限の程度を検討し,これらを比較考量した上で慎重に決定されなければならない。そして,このような検討と考量をするのは,第一義的には立法機関の権限と責務であり,その憲法適合性の司法審査に当たっては,規制の目的が公共の福祉に合致するものと認められる以上,そのための規制措置の具体的内容及び必要性と合理性については,立法府の判断がその合理的裁量の範囲にとどまる限り,立法政策の問題としてこれを尊重すべきであるが,その合理的裁量の範囲については,事の性質上自ずから広狭があり得るのであって,裁判所は,具体的な規制の目的,対象,方法等の性質と内容に照らして,これを決すべきものといわなければならない(最高裁昭和43年(行ツ)第120号同50年4月30日大法廷判決・民集29巻4号572頁(以下「最高裁昭和50年判決」という。),最高裁昭和63年(行ツ)第56号平成4年12月15日第三小法廷判決・民集46巻9号2829頁参照)。 - 59 -イ運輸規則22条の乗務距離規制は,タクシーの乱暴運転・無謀運転が「神風タ ,最高裁昭和63年(行ツ)第56号平成4年12月15日第三小法廷判決・民集46巻9号2829頁参照)。 - 59 -イ運輸規則22条の乗務距離規制は,タクシーの乱暴運転・無謀運転が「神風タクシー」として社会問題となったのを契機に,昭和33年3月に衆参両院の運輸委員会交通事故防止に関する小委員会において,タクシーの速度違反や無謀操縦等と走行距離の関係等が審議され,さらに,内閣に設置された交通事故防止対策本部が同年4月に決定した「タクシー事故防止対策要綱」においても,「運転者の労務状況を改善しなければ事故防止の目的達成は困難である」として,「輸送の安全を確保するため,適正な走行距離の標準を決定」する対策をとる方針が決定されるという経緯を経て,同年6月の運輸規則改正時に導入されたものであり(前記(1)ア(ア)ないし(エ)),その後の国会においても,運輸大臣や運輸省の担当官により,乗務距離規制は過労運転や交通事故の防止等,輸送の安全を確保する目的で設けられたものである旨の答弁が繰り返し行われてきたものである(前記(1)ア(オ),ウ(イ))。 このような乗務距離規制導入の経緯や国会における審議の内容,運輸大臣等の趣旨説明等に照らすと,運輸規則22条の乗務距離規制の目的は,過労運転や最高速度違反等の危険運転,乱暴運転を防止することにより,輸送の安全を確保することにあるというべきである。そして,「輸送の安全の確保」の中核はタクシーによる交通事故の防止であるが,乗務距離規制は,それのみならず,事故につながりかねない危険運転や乱暴運転の防止をも目指しているというべきである(被告の主張に係る「利用者の利便の確保」も,結局は,「輸送の安全の確保」に依拠するものであるから,上記目的に収斂されるものと解される。)。 ウ以上のとおり,運輸規則22条 いるというべきである(被告の主張に係る「利用者の利便の確保」も,結局は,「輸送の安全の確保」に依拠するものであるから,上記目的に収斂されるものと解される。)。 ウ以上のとおり,運輸規則22条の乗務距離規制の目的は,輸送の安全の確保にあるところ,これは,国民の生命,身体等に係る重要な利益を保護するためであって,公共の福祉に合致するものということができる。その一方で,乗務距離規制は,職業の自由を制限するものであるけれども,狭義における職業選択の自由そのものに制約を課すものではなく,職業活動としての営業の内容ないし態様に対する制約の範疇に属するものである。また,乗務距離規制は,一般乗用旅客自動車運送事業の中核である運行自体を直接的に規制するものであり,売上を左右する実車走- 60 -行距離の制約に直結するものであるため,営業の内容ないし態様に対する制約的効果は小さくはないものの,これによって規制されるのは,一定限度の距離を超えた一部の運行にとどまるものである。このような乗務距離規制の目的,対象,方法等に加え,輸送の安全を確保するためにどのような規制をとるかについては,多種多様な手段・態様が考えられ,どのような手段・態様の規制が適切妥当であるかは,主として立法政策の問題として,立法府の裁量的判断に待つほかないことに照らすと,法の委任を受けた運輸規則に基づく乗務距離規制については,その必要性と合理性についての立法府の判断が,その裁量の範囲を超えるものでない限り,憲法22条1項に違反するということはできない。 なお,原告は,最高裁昭和50年判決を援用し,乗務距離規制は消極目的の規制であるから,その合憲性は,規制の必要性・合理性及び同じ目的を達成できるより緩やかな規制手段の有無を立法事実に基づいて審査するという「厳格な合理性」の基準によ を援用し,乗務距離規制は消極目的の規制であるから,その合憲性は,規制の必要性・合理性及び同じ目的を達成できるより緩やかな規制手段の有無を立法事実に基づいて審査するという「厳格な合理性」の基準によって判断されるべきであり,乗務距離規制に合理性があると認められるためには,乗務距離規制がなければ輸送の安全を阻害する抽象的なおそれがあるというだけでは足りず,具体的に輸送の安全を阻害するおそれがあると認められる必要がある旨主張する。 しかしながら,最高裁昭和50年判決は,職業の許可制の合憲性が問題となった事案において,それが狭義における職業の選択の自由そのものに制約を課すという点で,職業の自由に対する強力な制限となることが重視されたものであるのに対し,本件は,営業活動を遂行するに当たって,その内容,態様等を制約するにとどまるのであるから,上記判例とは事案を異にするものであり,これを本件に援用して上記の基準によるべきであるとするのは適切ではない。 エそこで,進んで,乗務距離規制の必要性・合理性について検討する。 (ア) 前記(1)で認定した事実によると,乗務距離規制が導入された昭和33年当時には,好景気を背景にタクシー需要が急速に高まる一方,需給調整規制によって車両数が抑制されたため,タクシーの需要が供給を上回る中で,タクシーによる交通- 61 -事故が多発し,他の事業用自動車や自家用車等と比べて速度違反や無謀操縦等の割合も高く,対策が求められる状況にあったところ,タクシー事業については,運行管理者の目を離れて流し営業等により走行がされることから,構造的に歩合給主体となっている給与体系やノルマ設定の下で,水揚げ量を上げるために,走行距離を伸ばし,危険な運転をすることが,事故を誘発する原因となっているという指摘がつとにされていたという から,構造的に歩合給主体となっている給与体系やノルマ設定の下で,水揚げ量を上げるために,走行距離を伸ばし,危険な運転をすることが,事故を誘発する原因となっているという指摘がつとにされていたというのである。一般に,タクシー事業は,バス事業やトラック事業と異なり,あらかじめ運行する経路が定まっておらず,一定の営業区域内をいわば面として縦横無尽に運行するため,計画的運行管理になじまないという特性があり,タクシーの需給関係や営業形態(流し営業率等),交通の状況等によっては,歩合給中心の給与体系やノルマ設定の下,営業収入増を図るために乗務距離を稼ごうとするあまり,過労運転や最高速度違反その他の危険運転(安全速度違反,無理な追い越し,無理な車線変更,信号無視,急発進,急停車等)に及びやすい傾向が生じ得るということができる。昭和33年当時のように,タクシーの需要が急速に高まる一方で車両数が抑制され,タクシーの需要が供給を上回る状況下においては,乗務距離規制は,事業者及び運転者に対し,運転者が過労運転や最高速度違反その他の危険運転(安全速度違反,無理な追い越し,無理な車線変更,信号無視,急発進,急停車等)をしてまで乗務距離を稼ぐことを心理的に抑制する効果を有することは明らかであるから,危険運転等の防止を通じて輸送の安全の確保に資するものであり,輸送の安全確保のためにこれを実施する必要があったというべきである。 もっとも,昭和42年の運輸規則改正によって,乗務距離規制を受ける地域のタクシー事業者に対して運行記録計による記録義務が定められ,さらに平成18年の運輸規則改正によって運行記録計による記録を義務付ける地域が拡大されたことにより,運行記録計による記録の義務付け地域内にある営業所に属する事業用自動車については,瞬間速度や運行時間等が事後的に確認で 運輸規則改正によって運行記録計による記録を義務付ける地域が拡大されたことにより,運行記録計による記録の義務付け地域内にある営業所に属する事業用自動車については,瞬間速度や運行時間等が事後的に確認できるようになった。また,平成13年の運輸規則改正においては,運輸規則21条所定の「旅客自動車運送事業者が過労の防止を十分考慮して定めなければならない事業用自動車の運転者の勤務- 62 -時間及び乗務時間」についても,それまでの旅客自動車運送事業者が自由に定める自主規制の制度から,国土交通大臣が告示で定める基準によって上限が画される仕組みに改められた。そこで,乗務距離規制が導入された昭和33年当時では,乗務距離規制の必要性が肯定されるとしても,現時点においては,①過労運転の防止については,より直接的な規制として,勤務時間及び乗務時間の規制(運輸規則21条1項等)や休憩に関する規制(労働基準法34条1項,運輸規則21条2項等)があり,運行記録計で車両の運行時間や停止時間を確認することによって,これらの規制の実効性を確保し得るのではないか,また,②最高速度違反の防止については,道路交通法22条1項等による規制があり,運行記録計と乗務記録等(日報,高速道路の利用に係る領収書,ETCデータ等)を照らし合わせて違反の有無を確認することによって,その規制の実効性を確保し得るのではないか,そうであるとすると,乗務距離規制によらなくとも,上記①や②により過労運転や最高速度違反等の防止という目的を果たし得るのではないか,という点が問題となり得る。 上記①の点については,確かに,運行記録計を調べれば,車両が停止していた時間を確認することはできるけれども,それのみでは,休憩のために停止していたのか,それとも停車中に客待ちや客扱い等の勤務を行っていたのかまでは詳ら は,確かに,運行記録計を調べれば,車両が停止していた時間を確認することはできるけれども,それのみでは,休憩のために停止していたのか,それとも停車中に客待ちや客扱い等の勤務を行っていたのかまでは詳らかになるものではない。また,上記②の点についても,道路標識等による速度指定や,高速道路か一般道路かの区別に関して,これらを確認する記録や資料が残されていないこともあり,仮にそうした記録や資料が残されていても,運行記録計と照合して違反の有無を割り出すのには相当な時間や労力を要することは明らかであって,このような手法によって最高速度違反の防止を図るには自ずから限界があるというべきである。その上,最高速度違反については,運行記録計と乗務記録等の照合によって時間と手間をかければ違反の有無を確認することが可能であるにしても,これ以外の安全速度違反,無理な追い越し,無理な車線変更,信号無視等の危険運転については,運行記録計に記録されるわけではなく,道路交通法違反として検挙等されない限り,判明することはないといわざるを得ない。そうすると,運行記録計に- 63 -よる記録が義務付けられている地域においても,なお当該地域の交通等の状況いかんによっては,乗務距離規制により輸送の安全を確保する必要性が肯定されることもあり得るというべきである。そして,前記(1)クで認定したとおり,今なおタクシーによる交通事故が他の事業用自動車や自家用車と比較して高い水準にあることに照らすと,現時点においても,乗務距離規制の必要性がおよそ一般的に失われたとまでいうことはできない。 運輸規則22条は,その文言から明らかなように,いかなる地域においてもすべからく乗務距離規制を行おうとするものではなく,「交通の状況を考慮して地方運輸局長が指定する地域」においてのみ乗務距離規制を行う旨 規則22条は,その文言から明らかなように,いかなる地域においてもすべからく乗務距離規制を行おうとするものではなく,「交通の状況を考慮して地方運輸局長が指定する地域」においてのみ乗務距離規制を行う旨規定している。そうすると,乗務距離規制を行う地域を指定するためには,交通の状況を考慮して輸送の安全の確保のために乗務距離規制を行うことが必要な地域であることが前提となっているものと解されるから,その限度において,輸送の安全確保の目的で乗務距離規制を行う必要性をなお肯認することができるというべきである。 (イ) そして,前記(ア)で説示したとおり,乗務距離規制は,タクシー事業者及び運転者に対し,運転者が過労運転や最高速度違反その他の危険運転(安全速度違反,無理な追い越し,無理な車線変更,信号無視,急発進,急停車等)をしてまで乗務距離を稼ぐことを心理的に抑制する効果を有するものであり,勤務時間及び乗務時間の規制(運輸規則21条1項等)や休憩に関する規制(労働基準法34条1項,運輸規則21条2項等),道路交通法22条1項等による最高速度規制等のみでは抑制が難しい危険運転の防止にも資するものである。他方で,乗務距離規制は,営業の自由の制約を伴うものであるが,地方運輸局長がその裁量権を適切に行使し,乗務距離規制が必要な地域についてその必要性に応じた最高限度の設定がされれば,必ずしも過度の規制とはならず,上記制約を上回る規制の必要性が存在する地域を想定することができる。 そうすると,運輸規則22条が,地域のタクシー事業の実態について最も知悉する地方運輸局長の裁量的判断に委ねた上で乗務距離規制を行う地域の指定や最高限- 64 -度の設定を行うこととしているのは,営業の自由を相当程度制約するものであることを考慮しても,輸送の安全を確保するための規制手 の裁量的判断に委ねた上で乗務距離規制を行う地域の指定や最高限- 64 -度の設定を行うこととしているのは,営業の自由を相当程度制約するものであることを考慮しても,輸送の安全を確保するための規制手段として合理性を有するというべきである。 (ウ) 以上によれば,運輸規則22条の乗務距離規制は,輸送の安全の確保という立法目的に照らして必要かつ合理的なものというべきである。 (エ) これに対し,原告は,①勤務時間及び乗務時間に関する規制,車両の整備に関する規制など他の規制によって,乗務距離規制の規制目的を達成することが十分可能である,②休憩時間を遵守せずに走行距離を稼ごうとするような実態が存在することについては,何らの実証もなく,憶測にすぎない,③バス事業やトラック事業においても,走行中の休憩の取り方等について,必ずしも運行指示書のとおりに運行できるとは限らないのであって,タクシー事業の特性は,規制のための理由になり得ない,④具体的な走行内容を前提とした乗務に伴う疲労を検証するためのデータはなく,事故の防止という規制目的と乗務距離の規制という手段との間には合理的な関連性が認められない,⑤タクシーの乗務距離が長い運転者ほど事故の発生率が高くなるというような関係は存在せず,むしろ,原告のデータでは,走行距離が長いほど事故率が低くなる傾向が顕著である,⑥運転者が長距離を走行すると事故の発生率が格別に高まるというような関係は認められない,⑦乗務距離規制は,タクシー運転者に対し,常に走行距離を気に掛ける必要を強いることにより相当なストレスを生じさせるものであり,「輸送の安全」という目的をかえって阻害する結果となっている,⑧乗務距離の上限を定めることによって危険な運行かどうかの線引きを行うことは事実上不可能である上,タクシーの運転者にとっては乗客 のであり,「輸送の安全」という目的をかえって阻害する結果となっている,⑧乗務距離の上限を定めることによって危険な運行かどうかの線引きを行うことは事実上不可能である上,タクシーの運転者にとっては乗客が具体的な目的地を指示するまでは乗務距離を知り得ないことに照らすと,乗務距離を規制するという手段そのものが,明らかに不合理な規制手段である,⑨乗務距離規制は,乗車拒否を生むおそれがあるとともに,利用者に選択される事業者(例えば,原告は,無線予約と専用乗り場での乗車を中心とする営業をしており,流し営業中心の事業者よりも,長距離の乗車割合が多い。)の営業を不当に制限するものであ- 65 -るから,法のもう1つの目的である「利用者の利便」を阻害する規制であるなどと指摘し,乗務距離規制は,必要性・合理性を欠き,憲法22条1項に違反する旨主張するので,以下,これらについて検討する。 a 上記①の点については,乗務距離規制は,運転者が過労運転や最高速度違反その他の危険運転(安全速度違反,無理な追い越し,無理な車線変更,信号無視,急発進,急停車等)をしてまで乗務距離を稼ぐことを心理的に抑制する効果を有するものであり,勤務時間及び乗務時間に関する規制等があるからといって,直ちにおよそ一般的に乗務距離規制の必要性がないとまでいうことができないことは,前記(ア)で説示したとおりである。 b 上記②の点については,乗務距離を稼ぐために休憩時間を遵守しない運転者が生じ得ることは否定し難いところであって,その程度等についての実証的データがないとしても,これを単なる憶測にすぎないとまでいうことはできない。 c 上記③の点については,バス事業における運行指示については,当該運行を行う前にあらかじめ交通状況や旅客の要望等を把握した上で,これらを踏まえた適切な運行 にすぎないとまでいうことはできない。 c 上記③の点については,バス事業における運行指示については,当該運行を行う前にあらかじめ交通状況や旅客の要望等を把握した上で,これらを踏まえた適切な運行指示を行うことが可能であり,現に,運輸規則28条において,「一般貸切旅客自動車運送事業者は,運行の主な経路における道路及び交通の状況を事前に調査し,かつ,当該経路の状態に適すると認められる自動車を使用しなければならない。」と規定されている。また,運輸規則21条6項(平成22年国土交通省令第30号による改正前は5項)では,バス事業においては,「運転者が長距離運転又は夜間の運転に従事する場合であって,疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがあるときは,あらかじめ,交替するための運転者を配置しておかなければならない。」とされている。これに対し,タクシー事業においては,このような形での運行管理ができないという特性があるから,タクシー事業の運行形態がバス事業やトラック事業と変わらないということはできない。 d 上記④の点については,前記(ア)で説示したところに照らすと,「具体的な走行内容を前提とした乗務に伴う疲労を検証するためのデータ」がないからといって,- 66 -輸送の安全確保という規制目的と乗務距離規制という手段との間に合理的な関連性がないということはできない。 e 上記⑤の点については,前記(ア)で説示したとおり,タクシーの需給関係や営業形態(流し営業率等),交通の状況等によっては,営業収入増を図るために乗務距離を稼ごうとするあまり,過労運転や最高速度違反その他の危険運転をしてまで乗務距離を稼ぐことがあり得るとみることは合理的であるし,そのような危険運転がされれば,交通事故が発生し,又は事故の発生までは免れてもそれに近い危険 ,過労運転や最高速度違反その他の危険運転をしてまで乗務距離を稼ぐことがあり得るとみることは合理的であるし,そのような危険運転がされれば,交通事故が発生し,又は事故の発生までは免れてもそれに近い危険を生じさせ,輸送の安全が害されるという関係を肯定し得る。 これに対し,原告は,原告のデータでは,走行距離が長いほど事故率が低くなる傾向が顕著であるとして,原告のグループ会社6社における年間走行距離別の100万㎞当たり事故率のデータ(甲16,28),原告のグループ会社6社における事故者の当日走行距離のデータ(甲17),原告における事故者の当日走行距離等のデータ(甲37)を援用する。 上記のデータは,原告のグループ会社6社における走行距離100万㎞当たりの事故率を比較し,年間走行距離の長い運転者の同事故率が低いという結果を示すものであり,原告は,これについて,平均走行距離が長距離となるのはベテランの運転者が多く,その結果として事故率が低くなっていることによると分析している。 この分析には一理あるものの,原告以外のタクシー事業者一般に広く当てはまる事柄かどうかは不明であるし,経験年数の短い者に対しても適切な指導を行うことによって事故率の減少を図ることは可能であるところ,こうした指導の実情は個々の事業者ごとに異なることなどを考慮すると,原告のグループ会社における上記データや原告の分析を直ちにタクシー事業者全体に一般化することはできないというべきである。 また,上記及びのデータは,事故を起こした者の当日走行距離が運転者全体の平均走行距離事故より低いという結果を示しているが,事故を起こした場合には,通常,その日はそれ以上走行できなくなるのであるから,このような結果となるの- 67 -は当然というべきである。上記データは,走行距離の長 より低いという結果を示しているが,事故を起こした場合には,通常,その日はそれ以上走行できなくなるのであるから,このような結果となるの- 67 -は当然というべきである。上記データは,走行距離の長短と事故率との関係を表すものではないから,これをもって乗務距離と危険運転との相関関係を否定する根拠とみることはできない。 f 上記⑥の点については,証拠(乙51)によると,国土交通省自動車交通局・自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会が取りまとめた自動車運送事業に係る交通事故要因分析報告書(平成21年度)では,当日の疲労のみではなく,それまでに蓄積された疲労も重大事故の要因となったことが指摘されていることが認められるのであって,運転者が長時間にわたる走行をした当日やこのような走行による疲労が残る日において,事故や危険運転の可能性が高まること自体は否定し難いものというべきである。 g 上記⑦の点については,C労働組合連合会名古屋分会長作成の陳述書(甲43)には,「この規制を遵守するには,常に自分の走行距離を計算しておく必要があります。しかも単に出庫からの走行距離がわかれば良いというわけではなく,高速道路等を走行した場合は除外されるため,インターチェンジ間の距離を計算し,走行中に計算をしなければなりません。ただでさえ頭を使う運転中に余計なことを考えなければならないとなると,安全に対する配慮が不十分になります。また距離超過を防ぐために,通常利用する安全な道ではなく,危険な裏道を近道として使わざるを得なくなることも発生します。」などという供述記載部分がある。確かに,乗務距離規制がタクシー運転者に対して走行距離を気に掛ける場面を生じさせることは否定できないが,このような問題が生ずるのは,当該乗務に係る走行距離が最高限度に達するおそれが出てき 分がある。確かに,乗務距離規制がタクシー運転者に対して走行距離を気に掛ける場面を生じさせることは否定できないが,このような問題が生ずるのは,当該乗務に係る走行距離が最高限度に達するおそれが出てきたときに限られる上,そのようなときにおいても,旅客から目的地を聞くことにより,運送開始前の概算で,最高限度に達するか否かを判断できる場合も少なくないと考えられるところであり,上記走行距離の計算によって多大なストレスを生じ,それが輸送の安全を害するような結果にまで至っているとするには疑問がある。また,もとより運転者としては危険な道を避けて安全運転をしなければならないことを当然の前提として対処すべきであるから,乗務距- 68 -離規制違反を防ぐために危険な裏道を使うことを前提としてストレスの増大や輸送の安全阻害を論ずるわけにはいかない。そして,乗務距離規制の適法性を争っている原告の従業員の上記内容の供述記載部分があるからといって,これを直ちに一般化することはできず,他に,乗務距離規制がかえって輸送の安全を阻害する結果にまでなっていることを認めるに足りる的確な証拠はない。 h 上記⑧の点については,これ以上走行すれば危険な運行が行われる高度の蓋然性が認められる上限距離というようなものを実証的見地から見出すのは困難であることは確かではあるけれども,そうであるからといって,地方運輸局長が,交通の状況を考慮して輸送の安全の確保のために乗務距離規制を行うことが必要と認められる地域について,その必要性に応じた相当な上限距離を裁量の範囲内で設定することが,不可能であるとか不合理であるなどと断ずることはできない。また,タクシーの運転者にとって乗客の指示があるまで知り得ないのは,乗務時間についても同様であるところ,乗務時間の規制が不合理とされていないのと同様に あるとか不合理であるなどと断ずることはできない。また,タクシーの運転者にとって乗客の指示があるまで知り得ないのは,乗務時間についても同様であるところ,乗務時間の規制が不合理とされていないのと同様に,乗務距離の規制もこの点をもって不合理ということは困難である。 i 上記⑨の点については,最高乗務距離に達しそうなタクシーに乗ろうとした利用者が乗車を拒否されることがあり得る点で,利用者の利便の制限につながる面はないわけではないけれども,その場合,利用者としては,他のタクシーその他の代替的な交通手段を採ることが可能であるから,輸送の安全確保の重要性に照らし,規制を違憲とする理由には当たらない。また,タクシー事業者の中には,様々な営業形態の事業者があるが,その営業形態によって,事業者ごとに乗務距離規制の有無を区別することもできず,地域ごとにその地域全体の状況を総合的に勘案して乗務距離規制をすることが不合理であるということはできないから,乗務距離規制そのものが原告のような事業者の営業を不当に制限して違憲であるとまでいうことはできない。 j したがって,原告の上記主張は,いずれも採用することができない。 オ以上のとおり,運輸規則22条の乗務距離規制は,輸送の安全の確保という- 69 -立法目的に照らして必要かつ合理的なものというべきであり,憲法22条1項に違反するということはできない。 (3) 運輸規則22条の法適合性(争点(4)イ)について運輸規則22条は,法27条1項が「一般旅客自動車運送事業者は,(中略)その他の輸送の安全及び旅客の利便の確保のために必要な事項として国土交通省令で定めるものを遵守しなければならない。」として,一般旅客自動車運送事業者が遵守しなければならない具体的な内容を国土交通省令に委任していることを受けて の利便の確保のために必要な事項として国土交通省令で定めるものを遵守しなければならない。」として,一般旅客自動車運送事業者が遵守しなければならない具体的な内容を国土交通省令に委任していることを受けて設けられたものである。そして,法27条1項は,上記規定の文言及び趣旨に照らすと,上記国土交通省令で定めるものは「輸送の安全及び旅客の利便の確保のために必要な事項」でなければならないことを前提にしているものと解されるから,運輸規則22条が法27条1項の委任の趣旨・範囲に適合するというためには,運輸規則22条の定める乗務距離規制が,その規制目的である「輸送の安全の確保」のために「必要」な規制であるといえなければならない。 ところで,運輸規則22条の定める乗務距離規制が「輸送の安全の確保」のために「必要」な規制であって,憲法22条1項にも違反しないことは,前記(2)で説示したとおりである。 そうすると,運輸規則22条は,法27条1項の委任の趣旨・範囲に適合するものというべきである。 (4) 本件公示の適法性(争点(4)ウ)についてア前記(3)で説示したとおり,運輸規則22条1項は,輸送の安全の確保という規制目的のために「必要」な規制であることを前提に乗務距離規制を定めたものであると解されるから,「交通の状況を考慮して地方運輸局長が指定する地域」は,交通の状況を考慮して上記目的のために乗務距離規制をすることが必要である地域として地方運輸局長が指定する地域を指すものであり,当該地域において「輸送の安全の確保という規制目的のために乗務距離規制を行う必要があること」が指定の要件となっているというべきである。また,同項の「地方運輸局長が定める乗務距- 70 -離の最高限度」についても,同様に,上記目的のために乗務距離の最高限度とすることが う必要があること」が指定の要件となっているというべきである。また,同項の「地方運輸局長が定める乗務距- 70 -離の最高限度」についても,同様に,上記目的のために乗務距離の最高限度とすることが必要である距離として地方運輸局長が設定する距離を指すものであり,上記必要性が上記設定の要件となっているものというべきである。 ところで,乗務距離規制については,地域のタクシー事業の実態を知悉する地方運輸局長の専門的・技術的判断が必要であることから,運輸規則においては,規制地域の指定や乗務距離の最高限度の設定に関する具体的な審査基準等を定めた規定は置かれておらず,指定の要否や乗務距離の最高限度の設定に関する判断は,地方運輸局長の裁量に委ねられている。そうすると,地方運輸局長による規制地域の指定や乗務距離の最高限度の設定については,指定の必要性や乗務距離の最高限度に関する上記要件の充足性に関する地方運輸局長の判断が社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものと認められない限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるものではないというべきであるけれども,前記(2)ウで説示したとおり,乗務距離規制は,一般乗用旅客自動車運送事業の中核である運行自体を直接的に規制するものであり,売上を左右する実車走行距離の制約に直結するものであるため,一般乗用旅客自動車運送事業者の営業の自由に対して相当程度の制約をもたらすものであるから,上記判断に当たっては,この点に十分配慮した慎重な検討が求められることはいうまでもない。 イそこで,まず,中部運輸局長がした名古屋交通圏を乗務距離の規制地域に指定する旨の判断の適法性について検討する。 (ア) 前記(1)で認定した事実によると,次の各点を指摘することができる。 a 名古屋交通圏においては,タクシ た名古屋交通圏を乗務距離の規制地域に指定する旨の判断の適法性について検討する。 (ア) 前記(1)で認定した事実によると,次の各点を指摘することができる。 a 名古屋交通圏においては,タクシー実在100両当たりの交通事故の発生件数は,平成16年度以降,減少の一途を辿っており,平成20年度には,平成16年度の約76.3%(約23.7%減)の水準となるまで改善していた。また,名古屋交通圏におけるタクシーによる走行100万㎞当たりの交通事故の発生件数は,平成16年度が7.700件,平成17年度が7.888件,平成18年度が6.646件,平成19年度が6.677件,平成20年度が6.852件であり,- 71 -平成18年度に前年比約15.7%減の減少に転じた後,僅かながら増加していたものの,平成20年度の発生件数は,なお平成16年度の約89.0%(約11. 0%減)の水準にとどまっていた。 さらに,速度違反(法定速度違反又は指定速度違反)に関する道路交通法108条の34に基づく行政庁への通知件数の推移をみても,名古屋交通圏のタクシーによる速度違反の通知件数は,平成18年度が58件(車両100台当たり通知件数0.81件),平成19年度が48件(同0.68件),平成20年度が27件(同0.38件)と減少し続けており,平成20年度には,平成18年度の半分以下となっていたというのである。 このように,名古屋交通圏においては,タクシーによる交通事故の発生件数や速度違反の通知件数が減少傾向にあったのであるから,本件公示当時,名古屋交通圏が,一般乗用旅客自動車運送事業者の売上を左右する実車走行距離の制約に直結し,一般乗用旅客自動車運送事業者の営業の自由に対する影響の大きい乗務距離規制を新たに開始しなければならないような事態が現出し,その対策が求 客自動車運送事業者の売上を左右する実車走行距離の制約に直結し,一般乗用旅客自動車運送事業者の営業の自由に対する影響の大きい乗務距離規制を新たに開始しなければならないような事態が現出し,その対策が求められるような状況にあったということはできない。 b 前記(2)エ(ア)で説示したとおり,乗務距離規制は,乗務距離の最高限度を設定することによって,運転者が過労運転や最高速度違反その他の危険運転(安全速度違反,無理な追い越し,無理な車線変更,信号無視,急発進,急停車等)をしてまで乗務距離を稼ぐことを心理的に抑制し,休憩時間の遵守や危険運転等の防止を図るという規制手段であるから,乗務距離規制が設けられた昭和33年当時のように,タクシーの需要が供給を上回り,走れば走るほど水揚げ量が増加するため,走行距離が伸びている状況の下においては,輸送の安全確保のための規制手段としての有用性は高いということができる。これに対し,需要の低迷に伴ってタクシーの走行距離そのものの減少傾向が続いている状況下においては,必ずしも乗務距離(空車状態での走行距離を含む。)を伸ばせば伸ばすほど収入増につながるわけではないため,運転者にとって無理な運転をしてまで乗務距離を伸ばそうという心理的誘- 72 -因は働きにくく,実際,そのようにしてまで乗務距離を伸ばす傾向があるともいい難いから,輸送の安全確保のための規制手段としての乗務距離規制の効果は限定的なものにとどまるものというべきである。 本件公示当時の状況をみるに,タクシーの走行距離は,景気の低迷に伴う需要減少の影響を受けて,全国的に減少傾向が続いており,名古屋市の一般法人タクシーの実働1日1車当たりの走行距離についても,昭和60年度が252.4㎞,平成2年度が258.8㎞,平成8年度が227.0㎞,平成13年度が20 全国的に減少傾向が続いており,名古屋市の一般法人タクシーの実働1日1車当たりの走行距離についても,昭和60年度が252.4㎞,平成2年度が258.8㎞,平成8年度が227.0㎞,平成13年度が205.5㎞,平成14年度が206.8㎞,平成15年度が206.3㎞,平成16年度が204.8㎞,平成17年度が205.0㎞,平成18年度が204.6㎞,平成19年度が200.0㎞,平成20年度が190.0㎞,平成21年度が182.8㎞,平成22年度が185.1㎞と減り続け,平成20年度の走行距離は,昭和60年度の約75.3%(約24.7%減)の水準にまで落ち込んでいたものである。 また,中部運輸局が本件公示に先立って業界団体,事業者及び労働組合を対象として実施したヒアリングにおいても,「10年,15年前であれば,370㎞や380㎞を走行していたが,現在では,1時間に20㎞ぐらいしか走れない走行環境である。」,「経済情勢も思わしくなく,特に駅待ち等での勤務者が多く,隔勤360㎞,日勤270㎞を超えることはまずないであろう。」,「最近では経済情勢が悪化していることから,駅待ちでも1時間に1本程度の運行実態であり,非常に厳しい状況である。」等,経済情勢の悪化に伴って走行距離が減少していることを指摘する意見が多数寄せられたというのである。 そうすると,本件公示当時の名古屋交通圏においては,乗務距離規制の最高限度を設けるまでもなく,乗務距離が減少していたものであり,輸送の安全確保のための規制手段としての乗務距離規制の効果という観点からも,新たに名古屋交通圏を乗務距離の規制地域に指定する必要性が認められるとした中部運輸局長の判断は,事実の基礎を欠くものといわざるを得ない。 c もっとも,本件公示当時,名古屋交通圏におけるタクシーの走行距離が減少- 乗務距離の規制地域に指定する必要性が認められるとした中部運輸局長の判断は,事実の基礎を欠くものといわざるを得ない。 c もっとも,本件公示当時,名古屋交通圏におけるタクシーの走行距離が減少- 73 -傾向にあったとはいえ,一部の事業者の間において過労運転や危険運転を招きかねない長距離運転が頻発している状況にあったというのであれば,名古屋交通圏を乗務距離の規制地域に指定する必要性を肯定することができるけれども,中部運輸局は,本件公示に当たり,名古屋交通圏における事業者の約4分の1に相当する22社を対象とする本件実態調査2を実施したにとどまり,上記のような観点からの調査は行っておらず,名古屋交通圏が上記のような状況にあったと認めるに足りる証拠はない。 また,平成21年8月には,「下限割れ運賃を採用している事業者においては,低運賃ゆえの単位走行距離当たりの収益性の低さを補うために,運転者の長距離走行を誘発する傾向が確認される。」と指摘するタクシー運賃制度研究会の報告書が発表されているけれども,前記(1)ク(キ)cで認定したとおり,国土交通省自動車交通局が平成18年度に実施した調査結果によると,大阪における低額運賃事業者(初乗り500円かつ5000円超5割引)のタクシー実働1日1車当たりの走行距離は,平成16年度が259.8㎞,平成17年度が242.0㎞,平成18年度が241.2㎞,平成19年度が239.1㎞と減少傾向にあり,上記報告書が指摘する低額運賃事業者についても,走行距離が減少し続ける状況にあったことは他の事業者と変わらなかったというのであるから,上記報告書の存在を前提にしても,大阪と同様に走行距離の減少が続いていた名古屋交通圏において,一部の事業者の間に過労運転や危険運転を招きかねない長距離運転が頻発していたとは考え難い。 うのであるから,上記報告書の存在を前提にしても,大阪と同様に走行距離の減少が続いていた名古屋交通圏において,一部の事業者の間に過労運転や危険運転を招きかねない長距離運転が頻発していたとは考え難い。 d 以上のとおり,名古屋交通圏について新たに乗務距離の規制地域に指定する必要性が認められるに至ったとする中部運輸局長の判断は,その前提となる事実の基礎を欠き,社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものであり,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものといわざるを得ない。 (イ) これに対し,被告は,①中部運輸局長は,流し営業中心の地域では,乗務距離を稼ごうとするあまり過労運転や最高速度違反が生じやすいことや,タクシー特措法制定の際に「走行距離制限の導入地域の拡大」について検討を促す旨の附帯決- 74 -議がされたことなどを念頭に置き,名古屋交通圏が,人口おおむね10万人以上の都市を含む地域であって,流し営業の割合が他の地域と比較して高く,当該地域の平均日車走行キロ数が相対的に長く,運行記録計による記録が義務付けられている地域であることから,乗務距離の規制地域に指定した,②名古屋交通圏のタクシーによる事故件数(人身事故を含む。)は劣悪なレベルに停滞している状況にある,③名古屋交通圏は,労働時間等改善基準告示違反(自動車運転者の拘束時間違反)及び速度違反について,愛知県内の他の交通圏と比較して違反率が高いなどと指摘し,乗務距離規制の必要性がある旨主張するので,以下,これらについて検討する。 a 上記①の点については,確かに,流し営業中心の地域においては,タクシーの需給関係や交通の状況等によっては,営業収入増を図るために乗務距離を稼ごうとするあまり,過労運転や最高速度違反その他の危険運転に及びやすい傾向が生じ得るということができるけれども いては,タクシーの需給関係や交通の状況等によっては,営業収入増を図るために乗務距離を稼ごうとするあまり,過労運転や最高速度違反その他の危険運転に及びやすい傾向が生じ得るということができるけれども,前記アで説示したとおり,運輸規則22条1項に基づく乗務距離規制の地域指定を行うには,「輸送の安全の確保という規制目的のために乗務距離規制を行う必要があること」が指定の要件となっており,その判断に当たっては,乗務距離規制が一般乗用旅客自動車運送事業の中核である運行自体を直接的に規制するものであり,売上を左右する実車走行距離の制約に直結するものであるため,一般乗用旅客自動車運送事業者の営業の自由に対する相当程度の制約をもたらすものであることに十分配慮した慎重な検討が求められるのであるから,単に流し営業の比率が高いというのみでは,上記必要性の要件を満たすということはできない。そして,本件公示当時,名古屋交通圏においては,タクシーによる交通事故の発生件数や速度違反の通知件数が減少傾向にあったことは,既に前記(ア)aで説示したとおりであるから,このような状況下において,営業の自由に対して相当程度の制約をもたらす一方で,過労運転や危険運転等の防止を図る手段としては間接的な手法にとどまる乗務距離規制を新たに導入する必要性を肯認するのは困難といわざるを得ない。 また,確かに,タクシー特措法制定の際には被告の指摘する附帯決議が行われ,- 75 -平成21年に国土交通省が発出した事務連絡では,乗務距離規制拡大の方針が打ち出されているけれども,前記(ア)で説示したように,名古屋交通圏においては,交通事故の発生件数や速度違反の通知件数が減少傾向にあり,走行距離も減少し続けていたというのであるから,単に,人口が多く,他の地域と比較して流し営業の割合や走行距離等 うに,名古屋交通圏においては,交通事故の発生件数や速度違反の通知件数が減少傾向にあり,走行距離も減少し続けていたというのであるから,単に,人口が多く,他の地域と比較して流し営業の割合や走行距離等の数値が相対的に高いというだけでは,「輸送の安全の確保という規制目的のために乗務距離規制を行う必要がある」ということはできない。 b 上記②の点については,確かに,愛知県におけるタクシーによる走行1億㎞当たりの交通事故(人身事故)発生件数は,漸次増加ないし高止まりの状況にあったけれども,前記(ア)bで説示したとおり,タクシーの需要が供給を上回り,走行距離が伸びていた昭和33年当時とは異なり,本件公示当時の名古屋交通圏においては,需要の低迷によりタクシーの走行距離そのもののが減少し続けていたため,輸送の安全確保のための規制手段としての乗務距離規制の効果は限定的なものにとどまっていたと考えられるのであるから,それにもかかわらず,営業の自由に対すして相当程度の制約をもたらす乗務距離規制を新たに導入するまでの必要性があったということはできない。また,中部運輸局管内の交通圏の中では,名古屋交通圏のタクシーによる交通事故の発生件数は相対的に高いということができるけれども,交通事故の発生状況は,当該地域の交通量その他の交通状況や道路状況等,一般車両による交通事故の場合と共通する要因によっても大きく左右されるものであるし,中部運輸局管内の他の地域との比較において上記違反率が相対的に高いというだけでは,新たに「輸送の安全の確保という規制目的のために乗務距離規制を行う必要がある」とまでいうことができないことは,前記aで説示したところから明らかである。 c 上記③の点については,確かに,名古屋交通圏は,愛知県内の他の交通圏と比べて労働時間等改善基準告示違反( 必要がある」とまでいうことができないことは,前記aで説示したところから明らかである。 c 上記③の点については,確かに,名古屋交通圏は,愛知県内の他の交通圏と比べて労働時間等改善基準告示違反(自動車運転者の拘束時間違反)及び速度違反の違反率が高いということができるけれども,中部運輸局管内の他の地域との比較において上記違反率が相対的に高いというだけでは,新たに「輸送の安全の確保と- 76 -いう規制目的のために乗務距離規制を行う必要がある」とまでいうことができないことは,前記a,bで説示したとおりである。 d 以上のとおり,被告の上記主張は,いずれも採用することができない。 (5) 争点(4)の結論以上によれば,本件公示に基づく本件乗務距離規制は,その余の点について判断するまでもなく違法である。 したがって,本件差止めの訴え及び本件確認の訴えに係る各請求は,いずれも理由がある。 5 本件処分の適法性(争点(5))について(1) 本件処分取消しの訴えの適法性についてアまず最初に,本件処分取消しの訴えのうち自動車等使用停止処分に係る部分について検討するに,証拠(甲4,乙27,101,甲事件乙1)及び弁論の全趣旨によると,①中部運輸局長は,「旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の透明性,公平性」を図ることを目的に掲げて本件処分基準公示を定めており,この公示は,不利益処分の対象者に予測可能性を与えるとともに,行政庁の恣意を抑制し,不利益処分の公正と透明性を確保するために,処分基準を定める努力義務を課した行政手続法12条にのっとったものであること,②したがって,中部運輸局長は,特段の事情のない限り,本件処分基準に従った処分をすることが予定されていること,③本件処分基準公示Ⅰ3(1)②④・別紙3においては,「過去 条にのっとったものであること,②したがって,中部運輸局長は,特段の事情のない限り,本件処分基準に従った処分をすることが予定されていること,③本件処分基準公示Ⅰ3(1)②④・別紙3においては,「過去3年以内に同一営業所において同一の違反による行政処分等を1度受けている場合」が「再違反」とされ,再違反については処分を加重するものとされていること,④また,本件処分基準公示Ⅰ3(2)④においては,「違反点数の累計期間は3年間とし,行政処分を行った日から3年を経過する日をもって当該違反点数は消滅する。ただし,行政処分を受けた営業所が,『ア当該処分を行った日以前の2年間において行政処分を受けていないこと』,『イ当該行政処分に係る所要の措置が履行されており,当該行政処分を行った日から2年間,行政処分を受けていないこと』,『ウ当該行政- 77 -処分を行った日から2年間,重大事故等を引き起こしていないこと』,『エ当該行政処分を行った日から2年間,過労運転,酒酔い運転,酒気帯び運転,薬物等使用運転,無車検運行,無保険運行又は救護義務違反がないこと』のいずれにも該当する場合にあっては,当該行政処分を行った日から2年を経過する日をもって当該違反点数は消滅するものとする。」とされていることが認められる。 そうすると,原告については,平成22年6月7日に本件処分を受けたことにより,少なくとも,将来同一の違反をした場合に「再違反」として処分が加重されるという不利益が,その後3年間は存続するものというべきである。 したがって,本件処分のうち自動車等使用停止処分については,処分期間(自動車使用停止期間)が経過し,自動車の使用停止という処分の効果そのものは消滅したといえるものの,処分を受けたことによる不利益は平成25年6月7日まで存続するから,現時点に 分については,処分期間(自動車使用停止期間)が経過し,自動車の使用停止という処分の効果そのものは消滅したといえるものの,処分を受けたことによる不利益は平成25年6月7日まで存続するから,現時点においても,この処分を取り消すことによって回復すべき法律上の利益,すなわち訴えの利益が存続しているというべきである。 イ次に,本件処分取消しの訴えのうち附帯命令に係る部分について検討するに,本件処分のうち附帯命令については,特定の処分対象車両2両の自動車検査証の返納並びに自動車登録番号標及び封印の取外し及び領置を命令するものであって(前記前提事実(4)ウ(ア)),使用停止期間経過後はもはやその本来の執行はなく,これを取り消すことによって回復すべき法律上の利益は見出せないから,その取消しを求める訴えの利益は既に消滅したものというべきである。 したがって,本件訴えのうち,本件処分中の附帯命令の取消しを求める部分は不適法といわざるを得ない。 (2) 法40条に基づく処分に係る裁量についてア法40条は,国土交通大臣は,一般旅客自動車運送事業者が法又は法に基づく命令等に違反したときなど同条1号ないし3号のいずれかに該当するときは,6月以内において期間を定めて自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止若しくは事業の停止を命じ,又は許可を取り消すことができる旨規定するところ,こ- 78 -れらの処分に関する国土交通大臣の権限がその裁量により行使されるべきことは上記の規定上明らかであり,同条各号に該当する事実が認められる場合に,自動車等の使用停止,事業の停止又は許可の取消しのいずれかの処分を行うか否か,行うとしてどの処分を選択し,その停止期間等の内容をどのように定めるかといった点は,国土交通大臣の専門的判断に基づく合理的裁量に委ねられ 停止,事業の停止又は許可の取消しのいずれかの処分を行うか否か,行うとしてどの処分を選択し,その停止期間等の内容をどのように定めるかといった点は,国土交通大臣の専門的判断に基づく合理的裁量に委ねられているというべきである。そして,このことは,国土交通大臣から権限の委任を受けた地方運輸局長(法88条2項,施行令1条2項。以下,国土交通大臣と併せて「国土交通大臣等」という。)についても変わるところはない。 イところで,証拠(甲2ないし4,乙8,9,27,101,甲事件甲3,4,甲事件乙1)及び弁論の全趣旨によると,法40条に基づく処分については,詳細な内容の処分基準が設けられ,公表されている。これは,国土交通大臣等の前記裁量権を前提とした上でなお,処分を受ける事業者間の公平を図り,監督処分権限の行使の適正と透明性を確保するために,公表された一定の詳細な基準に従って処分に関する判断を行うことを原則とする趣旨であると解される(前記(1)ア参照)。 このような処分基準の趣旨等に鑑みると,(Ⅰ)処分基準の定めが法の趣旨,目的に反したり,明らかに不合理な内容である場合には,国土交通大臣等がその定めに従ってした判断は,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法と評価されるが,(Ⅱ)そのような場合を除けば,国土交通大臣等の判断が上記定めに従ってされたものであるときは,その判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法と評価されるのは,上記定めどおりに判断することが社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかな場合に限られるというべきである。 (3) 本件加重の適否(争点(5)イ)についてア本件処分基準公示は,タクシー特措法3条に規定する特定地域に指定された地域内の営業所における別紙6記載の「一定の違反」について,① である。 (3) 本件加重の適否(争点(5)イ)についてア本件処分基準公示は,タクシー特措法3条に規定する特定地域に指定された地域内の営業所における別紙6記載の「一定の違反」について,①特定地域の指定時における当該事業者の一般車両の合計数(基準車両数)よりも増車した事業者に対しては,基準日車数を3.5倍(警告については15日車の事業者等の使用停止- 79 -処分)に加重し(本件加重処分規定),②基準車両数以下であるものの5%以上の減車を行っていない事業者に対しては,基準日車数を2倍に加重し(本件関連加重処分規定),③基準車両数の5%以上の減車を行った事業者に対しては,基準日車数の1倍として取り扱う(本件原則処分規定)旨を定めている。このため,本件処分基準公示の下では,特定地域内の営業所における別紙6記載の「一定の違反」については,増車した事業者は,本件加重処分規定によって,それ以外の事業者(具体的には,本件原則処分規定の適用を受ける「5%以上の減車を行った事業者」及び本件関連加重処分規定の適用を受ける「基準車両以下であるものの5%以上の減車を行っていない事業者」)よりも厳しい処分を受けることになる。 このように,タクシー特措法3条に規定する特定地域に指定された地域内の営業所における別紙6記載の「一定の違反」をした事業者のうち,増車行為をした事業者とそれ以外の事業者とを処分の軽重において区別して取り扱うことは,その区別に合理的な根拠が認められない限り,合理的な理由のない差別的取扱いとして平等原則に違反することになる。 イこの点について,被告は,供給過剰の状態にある特定地域において増車することは,タクシー運転者の労働条件の悪化や違法・不適切な事業運営の横行などの問題を更に深刻化させる原因となるから,このような状況下で増 点について,被告は,供給過剰の状態にある特定地域において増車することは,タクシー運転者の労働条件の悪化や違法・不適切な事業運営の横行などの問題を更に深刻化させる原因となるから,このような状況下で増車を行った事業者は,上記のような問題を招かないよう,労務管理や安全管理等の徹底についてより重い責務を負っているとした上で,供給過剰の状態にある特定地域においてあえて増車を行った事業者に対しては,労務管理や安全管理,利用者サービスに係る一定の規制の遵守を強く要請する必要性が高いから,本件加重処分規定によって,そのような事業者の当該一定の規制に係る違反についてはより一層厳格に対処することとしたものである旨主張する。 しかしながら,平成12年改正法による改正前の法は,①旅客乗用自動車運送事業の新規参入について免許制を採用し(4条1項),免許基準として,「当該事業の開始が輸送需要に対し適切なものであること」(6条1項1号)や「当該事業の- 80 -開始によって当該路線又は事業区域に係る供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡とならないものであること」(同項2号)等を掲げるとともに,②事業用自動車の数等に係る事業計画の変更の認可についてこの規定を準用し(15条2項),これによって,新規参入や増車を制限する需給調整規制を行っていたが,上記改正によって,需給調整規制は,原則として廃止された。上記改正後の法の下では,①新規参入は,免許制から許可制に改められ(4条),輸送の安全や事業の適切性等を確保する観点から定めた一定の基準に適合している場合に新規参入を認め,事業の開始によって供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡とならないものであるかどうか等についての審査は行わないこととし(6条),②事業計画の変更は,認可制から届出制に改め(15条3項),増車を事業者の自由な 始によって供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡とならないものであるかどうか等についての審査は行わないこととし(6条),②事業計画の変更は,認可制から届出制に改め(15条3項),増車を事業者の自由な判断に委ねることとした上,③国土交通大臣は,特定の地域において供給輸送力が輸送需要量に対し著しく過剰となり,当該地域における輸送の安全及び旅客の利便を確保することが困難となるおそれがあると認められるときは,当該地域を,期間を定めて緊急調整地域として指定し,新規参入及び増車を認めないこととする緊急調整措置を講ずることができるとした(8条)。このため,現行法の下においては,緊急調整地域に指定されない限り,供給過剰であることを理由に増車が制限されることはない。 また,タクシー特措法3条所定の特定地域に指定されると,特定地域内の営業所に配置する事業用自動車の合計数を増加させる事業計画の変更については,法15条3項所定の届出ではなく,同条1項の認可を必要とすることになるけれども(15条),この場合であっても,当該事業の計画が輸送の安全を確保するため適切なものであること等,法6条各号所定の要件を満たしていさえすれば,増車に係る事業計画が認可されることになるのであって,それ以上に,特定地域における増車を規制する定めは見当たらないし,ましてや減車の義務を定めた規定は存在しない。 そうすると,タクシー特措法3条所定の特定地域に指定されても,増車に係る事業計画の認可を受けさえすれば増車することが許されているのであるから,特定地域に指定されたからといって,それのみで直ちに,特定地域内の増車行為を違法視- 81 -したり,悪質な行為であると評価するわけにはいかない。また,特定地域内において増車したからといって,増車した事業者による違反行為の悪質性,重大性が高ま ちに,特定地域内の増車行為を違法視- 81 -したり,悪質な行為であると評価するわけにはいかない。また,特定地域内において増車したからといって,増車した事業者による違反行為の悪質性,重大性が高まるわけではなく,労務管理や安全管理等の徹底について責務を負っているのは,増車をした事業者に限られるものではない(本件処分基準公示においては,本件加重処分規定によって増車した事業者の処分を加重するのみならず,本件関連加重処分規定によって5%以上の減車を行わなかった事業者についても,5%以上の減車をした事業者よりも厳しく処分するものとされているところ,5%以上の減車をしないことによって労務管理や安全管理等についての責務が重くなるとか,5%以上の減車をすると責務が軽くなるなどということができないのは,明らかである。)。 したがって,違反行為をした事業者が増車により供給過剰の問題を悪化させたというだけでは,それ以外の事業者より重い責任を負わせる合理的な理由にはならないというべきである。 ウ次に,被告は,①急激な増車を行ったタクシー事業者は,規模の拡大に対して運行管理面での対応が追いつかず,全国事業者平均よりも行政処分件数や事故件数が多い傾向が認められ(乙73,95),②新規に参入した事業者や増車を行った事業者は,新規に運転者を採用する場合も多く,こうした新人運転者による事故率は高いから(乙82,96),増車をした事業者は法令違反を犯しやすいという蓋然性が認められ,増車という事実をもって,当該事業者の運行管理に対する意識が不十分であるということができる旨主張する。 しかしながら,被告が援用する乙第73号証(34頁)の統計資料は,「急激な増車を実施した事業者」について,行政処分件数や事故件数が多いことを示すものであるけれども,上記統計資料にお 旨主張する。 しかしながら,被告が援用する乙第73号証(34頁)の統計資料は,「急激な増車を実施した事業者」について,行政処分件数や事故件数が多いことを示すものであるけれども,上記統計資料における「急激な増車を実施した事業者」とは,平成18年度末車両数が平成13年度末車両数と比べて2倍以上となった事業者を指しており,上記統計資料のみからでは,この期間に上記増加率に至らない程度の増車をした事業者についても,行政処分件数や事故件数の発生頻度が高い傾向があるかどうかは不明である。したがって,上記統計資料によっては,本件加重処分規定- 82 -が,このような「急激な増車」に限らず,広く特定地域の指定時より車両数を増加させた事業者一般を対象としていることを正当化することはできない。 また,被告が援用する乙第95号証の統計資料は,新規参入した事業者及び増車を実施した事業者の最高速度違反の件数が,それ以外の事業者の最高速度違反の件数よりも多いことを示すものであるけれども,通常,事業者によって保有車両数や乗務員数は異なるにもかかわらず,上記統計資料においては,1社当たりの違反件数を比較しているにとどまり,車両当たりの違反件数等の比較はないから,上記統計資料をもって,直ちに新規参入した事業者及び増車を実施した事業者の方がそれ以外の事業者よりも最高速度違反の発生頻度が高いと即断することはできない。その上,上記統計資料は,新規参入した事業者と増車を実施した事業者を分けずに一括りにしているため,この点においても,増車を行った事業者の違反率が高いことを示す的確な資料であるということはできない。 次に,被告が援用する乙第82号証(48,49頁)の統計資料は,昭和54年から平成10年までの間におけるタクシーの車両100台当たり及び走行1億㎞当たりの交通 な資料であるということはできない。 次に,被告が援用する乙第82号証(48,49頁)の統計資料は,昭和54年から平成10年までの間におけるタクシーの車両100台当たり及び走行1億㎞当たりの交通事故件数や,処分を受けた事業者に占める過労運転防止違反による処分を受けた事業者の割合及び苦情・要望件数の推移を示したものにすぎず,これによっても,増車をした事業者の交通事故件数等を知ることはできない。また,乙第96号証(13頁)の統計資料は,経験年数1年未満のタクシー運転者による事故が多いことを示すものであるけれども,増車を行った事業者が,経験年数の低い運転者の採用を伴うとは限らないから,上記統計資料をもって,増車した事業者の方がそれ以外の事業者よりも事故の発生件数が多いことを裏付けるものということはできない。 さらに,被告が主張するように,増車という事実をもって,類型的に当該事業者の運行管理に対する意識が不十分な傾向にあるということができないことは明らかであり,結局のところ,被告が援用する上記各証拠によっても,増車をした事業者一般が法令違反を犯しやすいという蓋然性があると認めることはできず,他にこれ- 83 -を認めるに足りる証拠はない。 エ以上によれば,供給過剰の状態にある特定地域において増車を行った事業者について一律に,「一定の違反」を犯さないように要請する必要性が他の事業者より高いとし,処分を厳格にすることに合理的な根拠があるということはできない。 個別の事案において,「一定の違反」をした事業者が,増車行為によって自ら当該違反を犯しやすい状況を作り出していたというような事情があれば,それに応じて処分を加重することに合理的な理由があるという余地がないわけではないが,本件加重処分規定が,そのような事情がない場合にまで処分を加重する すい状況を作り出していたというような事情があれば,それに応じて処分を加重することに合理的な理由があるという余地がないわけではないが,本件加重処分規定が,そのような事情がない場合にまで処分を加重すると規定しているのは,事業者間で合理的な理由なく顕著な差別的取扱いをする点で,平等原則に違反し,明らかに不合理な内容であるといわざるを得ない。 そうすると,前記(2)イ(Ⅰ)で説示したところに照らし,当該事案において上記のような事情がない場合には,本件加重処分規定に従って処分を加重することは,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用となるというべきである。 オそこで,本件加重についてみると,本件加重は,本件加重処分規定に従って,点呼の記録義務違反及び乗務距離の最高限度違反に対する処分を加重したものであるが,原告が増車行為によって自ら上記各違反を犯しやすい状況を作り出していたというような事情を認めるに足りる証拠はない。 そうすると,本件加重は,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法というべきである。 そして,本件処分中の自動車等使用停止処分のうち,点呼の記録義務違反を理由とする部分及び乗務距離の最高限度違反を理由とする部分については,本件処分基準上,本件加重がなければ警告にとどまるべきところを,本件加重によって自動車等使用停止処分としたものであるから,上記各部分は,その余の争点について判断するまでもなく,違法なものとして取消しを免れないというべきである(なお,本件処分中の自動車等使用停止処分のうち,乗務距離の最高限度違反を理由とする部分については,そもそもその根拠たる本件乗務距離規制自体が前記4で説示したとおり違- 84 -法であるから,この点においても,違法なものとして取消しを免れない。)。 (4) 比例原則違反の有無(争 ついては,そもそもその根拠たる本件乗務距離規制自体が前記4で説示したとおり違- 84 -法であるから,この点においても,違法なものとして取消しを免れない。)。 (4) 比例原則違反の有無(争点(5)ア)についてア法27条1項は,一般旅客自動車運送事業者は,「事業用自動車内における当該事業者の氏名又は名称の掲示その他の旅客に対する適切な情報の提供」について国土交通省令で定めるものを遵守しなければならない旨規定しているところ,同省令である運輸規則4条3項は,「一般乗用旅客自動車運送事業者は,運賃又は料金が対時間制による場合を除き,地方運輸局長が定めるところにより,運賃及び料金の額を事業用自動車内において事業用自動車を利用する旅客に見やすいように表示しなければならない。」と規定し,中部運輸局長は,本件運賃表示公示1(2)②において,「車内に表示する運賃及び料金の内容」として,「当該事業用自動車に適用する運賃上の車種区分,初乗運賃額及び距離,加算運賃額及び距離,運賃の割増の種類及び割増率,運賃の割引の種類及び割引率,料金の種類及び額並びに運賃等の適用方を表示すること」と定めている。 前記前提事実(4)ア(イ)によると,原告は,平成22年1月12日の監査時において,車内に運賃及び料金の額の表示をしていなかったものであり(以下「本件表示違反」という。),これが法27条1項,運輸規則4条3項に違反することは明らかである。 イそして,本件処分基準は,運輸規則4条3項の運賃・料金の額の事業用自動車内への表示義務違反については,初違反の場合には10日車の自動車等使用停止処分とする旨定めているところ(前記第2の2(3)イ(イ)b),この定めについて,法の趣旨,目的に反したり,明らかに不合理な内容であるということはできない。 中部運輸局長 は10日車の自動車等使用停止処分とする旨定めているところ(前記第2の2(3)イ(イ)b),この定めについて,法の趣旨,目的に反したり,明らかに不合理な内容であるということはできない。 中部運輸局長は,この定めに従って,本件表示違反について10日車の自動車等使用停止処分としたものであり,その定めどおりに判断することが社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであることを示す特別な事情もうかがわれないから,前記(2)イ(Ⅱ)で説示したとおり,その判断が裁量権の範囲の逸脱又はその濫用はないというべきである。 - 85 -ウこれに対し,原告は,①車両清掃により車内の料金表示を外した後,再度料金表示を行うことを失念していたが,表示が義務付けられている事項(前記第2の2(1)ウ)のうち,初乗運賃額及び距離並びに加算運賃額及び距離については,原告のタクシーに常時備え付け,旅客がいつでも自由に持ち帰ることのできる「サービスダイヤルカード」(甲13)に記載しており,車内表示はあったものと評価でき,上記事項のうち,車種区分,運賃の割増の種類及び割増率,運賃の割引の種類及び割引率,料金の種類及び額並びに運賃等の適用方についても,原告は他のタクシー会社とおおむね同様又は他のタクシー会社より安い基準で事業を行っており,車内表示がないことにより,原告のタクシーに乗車しようとする公衆や乗車中の旅客の判断を誤らせたり不意打ちになることはないから,本件表示違反も,旅客に不利益を被らせないという運輸規則の実質的な趣旨には違反しておらず,極めて軽微である,②タクシー利用者において,車内料金表を見て初めて運送契約内容の変更を申し入れるといったことはほとんど考えられないため,車内の料金表示は,車外の料金表示に比べると,その意義は圧倒的に小さいから,車内の料金表示が漏 者において,車内料金表を見て初めて運送契約内容の変更を申し入れるといったことはほとんど考えられないため,車内の料金表示は,車外の料金表示に比べると,その意義は圧倒的に小さいから,車内の料金表示が漏れていたことは,車外の料金表示漏れに比べて違反の程度は軽微であるとして,本件については,違反事実に対し処分が重すぎて比例原則に違反し,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用となる旨主張する。 しかしながら,上記①の点については,前記アのとおり,本件運賃表示公示は,法27条1項,運輸規則4条3項に基づき,「事業用自動車内における旅客に対する適切な情報の提供」のための表示事項として,管内のタクシー事業者に対して画一的なルールを定めているのであるから,一部の事業者が独自の「実質論」に立脚してそのルールを遵守しなくてもよいとすることが許容されないことは多言を要しないところ,原告自身も認めているとおり,上記「サービスダイヤルカード」によっても,所定の表示事項のうち,当該事業用自動車に適用する運賃上の車種区分,運賃の割増の種類及び割増率,運賃の割引の種類及び割引率,料金の種類及び額並びに運賃等の適用方が表示されていなかったのである(甲13)。そうすると,本- 86 -件表示違反が,旅客に不利益を被らせないという運輸規則の実質的な趣旨には違反していないとする原告の主張は,失当といわざるを得ない。 また,上記②の点については,タクシー事業においては,運送後に運賃が決定する特性があることに照らし,運賃等を車内に表示することは,旅客に対し,運賃の算出方法について適切な情報を提供する意義があるといえるから,これを怠ることが軽微であるとする原告の主張は,失当というべきである。 以上によれば,本件表示違反について,極めて軽微であるとはいえないし,違反事実に対し処分 報を提供する意義があるといえるから,これを怠ることが軽微であるとする原告の主張は,失当というべきである。 以上によれば,本件表示違反について,極めて軽微であるとはいえないし,違反事実に対し処分が重すぎて比例原則に違反するともいえない。したがって,中部運輸局長が本件表示違反に対して10日車の自動車等使用停止処分とした判断がその裁量権の範囲の逸脱又はその濫用となるとの原告の主張は,採用することができない。 (5) 理由提示義務違反の有無(争点(5)イ)についてア行政手続法14条1項本文が,不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして,同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは,上記のような同項本文の趣旨に照らし,当該処分の根拠法令の規定内容,当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無,当該処分の性質及び内容,当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである(最高裁昭和36年(オ)第84号同38年5月31日第二小法廷判決・民集17巻4号617頁,最高裁昭和57年(行ツ)第70号同60年1月22日第三小法廷判決・民集39巻1号1頁,最高裁平成21年(行ヒ)第91号同23年6月7日第三小法廷判決・民集65巻4号2081頁等参照)。 イこれを本件についてみるに,前記前提事実(4)ウ(イ)によると,本件命令書においては,本件処分の理由に関し,平成22年1月12日に行った監査時における- 87 -A営業所に係る違反として,運賃及び料 れを本件についてみるに,前記前提事実(4)ウ(イ)によると,本件命令書においては,本件処分の理由に関し,平成22年1月12日に行った監査時における- 87 -A営業所に係る違反として,運賃及び料金の額について事業用自動車内への表示をしていなかったこと(法27条1項,運輸規則4条3項違反)が記載されており,これに対する基準日車数が「10日車」である旨が記載され,処分日車数については本件処分基準公示Ⅰ3に定めるところにより算出したことが付記されていたものである。 原告は,本件命令書の上記記載により,原告が平成22年1月12日においてA営業所の事業用自動車について運賃及び料金の額の事業用自動車内への表示をしていなかったことを処分対象行為として,法27条1項,運輸規則4条3項を適用され,これに対して10日車の自動車等使用停止処分を受けることを知ることができ,公表済みの本件処分基準公示と対照することにより,本件処分基準のいずれの規定が適用されるのかについても知ることができる。この程度の理由提示があれば,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に適うというべきである。 そうすると,上記処分についての理由提示は,処分対象行為が特定されており,行政手続法14条1項に違反しないというべきである。 (6) 争点(5)の結論以上のとおり,本件処分中の自動車等使用停止処分のうち,運賃・料金の額の事業用自動車内への表示義務違反を理由として10日車の使用停止を命じる部分は適法であるが,それを超える部分,すなわち点呼の記録義務違反を理由とする部分及び乗務距離の最高限度違反を理由とする部分は違法である。 第4 結論以上の次第で,①本件訴えのうち,本件公示の取消しを 法であるが,それを超える部分,すなわち点呼の記録義務違反を理由とする部分及び乗務距離の最高限度違反を理由とする部分は違法である。 第4 結論以上の次第で,①本件訴えのうち,本件公示の取消しを求める部分及び本件処分中の附帯命令の取消しを求める部分はいずれも不適法であるからこれを却下し,②本件差止めの訴えに係る請求,本件確認の訴えに係る請求及び本件処分中の自動車等使用停止処分のうち,運賃・料金の額の事業用自動車内への表示義務違反を理由として10日車の使用停止を命じる部分を超える部分(点呼の記録義務違反を理由- 88 -とする部分及び乗務距離の最高限度違反を理由とする部分)の取消しを求める請求は,いずれも理由があるからこれを認容し,③原告のその余の請求(本件処分中の自動車等使用停止処分のうち運賃・料金の額の事業用自動車内への表示義務違反を理由とする部分の取消請求)は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官福井章代 裁判官笹本哲朗 裁判官山根良実 - 89 -(別紙1)公示(平成21年中運局公示第98号)一般乗用旅客自動車運送事業の最高乗務距離の指定地域及び最高限度について旅客自動車運送事業運輸規則第22条第1項の規定による地域及び第2項の規定による乗務距離の最高限度を下記のとおり定めたので公示する。 記1.指定地域名古屋交通圏(名古屋市,瀬戸市,津島市,尾張旭市,豊明市,日進市,愛西市,清須市,北名古屋市,弥富市,愛知郡 定による乗務距離の最高限度を下記のとおり定めたので公示する。 記1.指定地域名古屋交通圏(名古屋市,瀬戸市,津島市,尾張旭市,豊明市,日進市,愛西市,清須市,北名古屋市,弥富市,愛知郡,西春日井郡,海部郡)2.乗務距離の最高限度1乗務(出庫から帰庫までの連続した勤務をいう。)当たりの乗務距離の最高限度は次のとおりとする。ただし,高速自動車国道(高速自動車国道法第4条第1項に規定する高速自動車国道をいう。)及び自動車専用道路(道路法第48条の4に規定する自動車専用道路をいう。)を利用した場合には,その距離を控除することとする。なお,この場合には,高速自動車国道等の路線名,走行区間,走行距離,走行時刻,料金を乗務記録に記録することとする。 隔日勤務運転者 360㎞日勤勤務運転者 270㎞3.適用範囲の除外乗務する事業用自動車が福祉輸送サービスに使用する特殊車両,ハイヤー(タクシー業務適正化特別措置法(昭和45年法律第75号)第2条第2項で規定するハイヤーをいう。)に乗務した場合。 - 90 -(別紙2)関係法令の定め 1 道路運送法(昭和26年法律第183号)1条この法律は,貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)と相まって,道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし,並びに道路運送の分野における利用者の需要の多様化及び高度化に的確に対応したサービスの円滑かつ確実な提供を促進することにより,輸送の安全を確保し,道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るとともに,道路運送の総合的な発達を図り,もって公共の福祉を増進することを目的とする。 3条旅客自動車運送事業の種類は,次に掲げるものとする。 1号一般旅客自動車運送事業(特定旅客自動車運送事業以外の旅客自動 合的な発達を図り,もって公共の福祉を増進することを目的とする。 3条旅客自動車運送事業の種類は,次に掲げるものとする。 1号一般旅客自動車運送事業(特定旅客自動車運送事業以外の旅客自動車運送事業)イ一般乗合旅客自動車運送事業(乗合旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)ロ一般貸切旅客自動車運送事業(一個の契約により国土交通省令で定める乗車定員以上の自動車を貸し切って旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)ハ一般乗用旅客自動車運送事業(一個の契約によりロの国土交通省令で定める乗車定員未満の自動車を貸し切って旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)2号特定旅客自動車運送事業(特定の者の需要に応じ,一定の範囲の旅客を運送する旅客自動車運送事業)4条1項一般旅客自動車運送事業を経営しようとする者は,国土交通大臣の許可を受けなければならない。 - 91 -6条国土交通大臣は,一般旅客自動車運送事業の許可をしようとするときは,次の基準に適合するかどうかを審査して,これをしなければならない。 1号当該事業の計画が輸送の安全を確保するため適切なものであること。 2号前号に掲げるもののほか,当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。 3号当該事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであること。 8条1項国土交通大臣は,特定の地域において一般乗用旅客自動車運送事業の供給輸送力(以下この条において単に「供給輸送力」という。)が輸送需要量に対し著しく過剰となっている場合であって,当該供給輸送力が更に増加することにより,輸送の安全及び旅客の利便を確保することが困難となるおそれがあると認めるときは,当該特定の地域を,期間を定めて緊急調整地域として指定することができる。 て,当該供給輸送力が更に増加することにより,輸送の安全及び旅客の利便を確保することが困難となるおそれがあると認めるときは,当該特定の地域を,期間を定めて緊急調整地域として指定することができる。 8条4項一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者(以下「一般乗用旅客自動車運送事業者」という。)は,第1項の規定による緊急調整地域の指定がされた場合には,当該緊急調整地域における供給輸送力を増加させるものとして国土交通省令で定める事業計画の変更をすることができない。 13条一般旅客自動車運送事業者(一般貸切旅客自動車運送事業者を除く。次条において同じ。)は,次の場合を除いては,運送の引受けを拒絶してはならない。 1号~3号 《省略》4号当該運送が法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものであるとき。 5号・6号 《省略》15条1項- 92 -一般旅客自動車運送事業者は,事業計画の変更(第3項,第4項及び次条第1項に規定するものを除く。)をしようとするときは,国土交通大臣の認可を受けなければならない。 15条2項第6条の規定は,前項の認可について準用する。 15条3項一般旅客自動車運送事業者は,営業所ごとに配置する事業用自動車の数その他の国土交通省令で定める事項に関する事業計画の変更をしようとするときは,あらかじめ,その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。 27条1項一般旅客自動車運送事業者は,事業計画(路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業者にあっては,事業計画及び運行計画)の遂行に必要となる員数の運転者の確保,事業用自動車の運転者がその休憩又は睡眠のために利用することができる施設の整備,事業用自動車の運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定その他の運行の管理,事業用 遂行に必要となる員数の運転者の確保,事業用自動車の運転者がその休憩又は睡眠のために利用することができる施設の整備,事業用自動車の運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定その他の運行の管理,事業用自動車の運転者,車掌その他旅客又は公衆に接する従業員(次項において「運転者等」という。)の適切な指導監督,事業用自動車内における当該事業者の氏名又は名称の掲示その他の旅客に対する適切な情報の提供その他の輸送の安全及び旅客の利便の確保のために必要な事項として国土交通省令で定めるものを遵守しなければならない。 27条2項国土交通大臣は,一般旅客自動車運送事業者が,第22条の2第1項,第4項若しくは第6項,第23条第1項,第23条の5第2項若しくは第3項若しくは前項の規定又は安全管理規程を遵守していないため輸送の安全又は旅客の利便が確保されていないと認めるときは,当該一般旅客自動車運送事業者に対し,運行管理者に対する必要な権限の付与,必要な員数の運転者の確保,施設又は運行の管理若しくは運転者等の指導監督の方法の改善,旅客に対する適切な情報の提供,当該安全管理規程の遵- 93 -守その他その是正のために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。 31条国土交通大臣は,一般旅客自動車運送事業者の事業について旅客の利便その他公共の福祉を阻害している事実があると認めるときは,一般旅客自動車運送事業者に対し,次に掲げる事項を命ずることができる。 1号事業計画(路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業者にあつては,事業計画又は運行計画)を変更すること。 2号~7号 《省略》40条国土交通大臣は,一般旅客自動車運送事業者が次の各号のいずれかに該当するときは,6月以内において期間を定めて自動車その他の輸送施設の当該事業のための すること。 2号~7号 《省略》40条国土交通大臣は,一般旅客自動車運送事業者が次の各号のいずれかに該当するときは,6月以内において期間を定めて自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止若しくは事業の停止を命じ,又は許可を取り消すことができる。 1号この法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分又は許可若しくは認可に付した条件に違反したとき。 2号正当な理由がないのに許可又は認可を受けた事項を実施しないとき。 3号第7条第1号,第3号又は第4号に該当することとなったとき。 41条1項国土交通大臣は,前条の規定により事業用自動車の使用の停止又は事業の停止を命じたときは,当該事業用自動車の道路運送車両法による自動車検査証を国土交通大臣に返納し,又は当該事業用自動車の同法による自動車登録番号標及びその封印を取り外した上,その自動車登録番号標について国土交通大臣の領置を受けるべきことを命ずることができる。 88条2項第2章及び第4章から第6章までに規定する国土交通大臣の権限は,政令で定めるところにより,地方運輸局長に委任することができる。 - 94 - 2 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法(平成21年法律第64号。以下「タクシー特措法」という。)1条この法律は,一般乗用旅客自動車運送が地域公共交通として重要な役割を担っており,地域の状況に応じて,地域における輸送需要に対応しつつ,地域公共交通としての機能を十分に発揮できるようにすることが重要であることにかんがみ,国土交通大臣による特定地域の指定及び基本方針の策定,特定地域において組織される協議会による地域計画の作成及びこれに基づく一般乗用旅客自動車運送事業者による特定事 ることが重要であることにかんがみ,国土交通大臣による特定地域の指定及び基本方針の策定,特定地域において組織される協議会による地域計画の作成及びこれに基づく一般乗用旅客自動車運送事業者による特定事業等の実施並びに特定地域における道路運送法(昭和26年法律第183号)の特例について定めることにより,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化を推進し,もって地域における交通の健全な発達に寄与することを目的とする。 3条1項国土交通大臣は,特定の地域における一般乗用旅客自動車運送事業の次に掲げる状況に照らして,当該地域の輸送需要に的確に対応することにより,輸送の安全及び利用者の利便を確保し,その地域公共交通としての機能を十分に発揮できるようにするため,当該地域の関係者の自主的な取組を中心として一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化を推進することが特に必要であると認めるときは,当該特定の地域を,期間を定めて特定地域として指定することができる。 1号供給過剰(供給輸送力が輸送需要量に対し過剰であることをいう。)の状況2号事業用自動車1台当たりの収入の状況3号法令の違反その他の不適正な運営の状況4号事業用自動車の運行による事故の発生の状況3条2項国土交通大臣は,特定地域について前項に規定する指定の事由がなくなったと認- 95 -めるときは,当該特定地域について同項の規定による指定を解除するものとする。 3条3項第1項の規定による指定及び前項の規定による指定の解除は,告示によって行う。 4条1項国土交通大臣は,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。 4条2項基本方針は,次に掲げる事 4条1項国土交通大臣は,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。 4条2項基本方針は,次に掲げる事項について定めるものとする。 1号一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化の意義及び目標に関する事項2号第9条第1項に規定する地域計画の作成に関する基本的な事項3号特定事業その他の第9条第1項に規定する地域計画に定める事業に関する基本的な事項4号その他一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化の推進に関する基本的な事項5条一般乗用旅客自動車運送事業者であって特定地域内に営業所を有するもの及びこれらの者の組織する団体(以下「一般乗用旅客自動車運送事業者等」という。)は,一般乗用旅客自動車運送が地域公共交通として重要な役割を担っていることを自覚し,当該特定地域において,地域における輸送需要の把握及びこれに応じた適正かつ合理的な運営の確保を図るための措置,地域における利用者の需要の多様化及び高度化に的確に対応した運送サービスの円滑かつ確実な提供を図るための措置その他の一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 6条1項国は,特定地域において一般乗用旅客自動車運送事業者等その他の関係者が行う- 96 -一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する取組のために必要となる情報の収集,整理,分析及び提供,助言その他の支援を行うよう努めなければならない。 6条2項国は,特定地域において一般乗用旅客自動車運送事業者等その他の関係者が行う一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する取組と相まって,一般乗用旅客自動車運送事業の適正化を推進 6条2項国は,特定地域において一般乗用旅客自動車運送事業者等その他の関係者が行う一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する取組と相まって,一般乗用旅客自動車運送事業の適正化を推進するため,検査,処分その他の監督上必要な措置を的確に実施するものとする。 7条国,地方公共団体,一般乗用旅客自動車運送事業者等その他の関係者は,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化を推進するため,相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。 8条1項特定地域において,地方運輸局長,関係地方公共団体の長,一般乗用旅客自動車運送事業者等,一般乗用旅客自動車運送事業の事業用自動車の運転者の組織する団体及び地域住民は,次条第1項に規定する地域計画の作成,当該地域計画の実施に係る連絡調整その他当該特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化の推進に関し必要な協議を行うための協議会(以下単に「協議会」という。)を組織することができる。 9条1項協議会は,基本方針に基づき,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化を推進するための計画(以下「地域計画」という。)を作成することができる。 9条2項地域計画は,次に掲げる事項について定めるものとする。 1号一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化の推進に関する基本的な- 97 -方針2号地域計画の目標3号前号の目標を達成するために行う特定事業その他の事業及びその実施主体に関する事項4号前3号に掲げるもののほか,地域計画の実施に関し当該協議会が必要と認める事項10条1項地域計画の作成に係る合意をした協議会の構成員であって,当該地域計画に定められた事業の実施主体とされたものは, に掲げるもののほか,地域計画の実施に関し当該協議会が必要と認める事項10条1項地域計画の作成に係る合意をした協議会の構成員であって,当該地域計画に定められた事業の実施主体とされたものは,当該地域計画に従い,事業を実施しなければならない。 11条1項地域計画において特定事業に関する事項が定められたときは,当該地域計画の作成に係る合意をした協議会の構成員であって,特定事業の実施主体とされた一般乗用旅客自動車運送事業者は,単独で又は共同して,当該地域計画に即して特定事業を実施するための計画(以下「特定事業計画」という。)を作成し,これを国土交通大臣に提出して,その特定事業計画が一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化を適切かつ確実に推進するために適当である旨の認定を申請することができる。 11条2項特定事業計画は,次に掲げる事項について定めるものとする。 1号特定事業の内容2号特定事業の実施時期3号特定事業の実施に必要な資金の額及びその調達方法4号特定事業の効果5号前各号に掲げるもののほか,特定事業の実施のために必要な事項として国土交通省令で定める事項- 98 -11条3項特定事業計画には,特定事業と相まって,地域計画に基づく一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化を推進するため,一般乗用旅客自動車運送事業の譲渡又は譲受け,一般乗用旅客自動車運送事業者たる法人の合併又は分割,一般乗用旅客自動車運送事業の供給輸送力の減少その他経営の合理化に資する措置として国土交通省令で定めるもの(以下「事業再構築」という。)について,次に掲げる事項を定めることができる。 1号内容2号実施時期3号効果4号前3号に掲げるもののほか,その実施のために必要な事項と もの(以下「事業再構築」という。)について,次に掲げる事項を定めることができる。 1号内容2号実施時期3号効果4号前3号に掲げるもののほか,その実施のために必要な事項として国土交通省令で定める事項15条1項特定地域において,一般乗用旅客自動車運送事業者が当該特定地域内の営業所に配置するその事業用自動車の合計数を増加させる事業計画の変更については,道路運送法第15条第1項中「第3項,第4項」とあるのは,「第4項」とし,同条第3項の規定は,適用しない。 3 道路交通法(昭和35年法律第105号)22条1項車両は,道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を,その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。 108条の34車両等の運転者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反した場合において,当該違反が当該違反に係る車両等の使- 99 -用者の業務に関してなされたものであると認めるときは,公安委員会は,内閣府令で定めるところにより,当該車両等の使用者が道路運送法の規定による自動車運送事業者,貨物利用運送事業法の規定による第二種貨物利用運送事業を経営する者又は軌道法の規定による軌道の事業者であるときは当該事業者及び当該事業を監督する行政庁に対し,当該車両等の使用者がこれらの事業者以外の者であるときは当該車両等の使用者に対し,当該違反の内容を通知するものとする。 4 労働基準法(昭和22年法律第49号)34条1項使用者は,労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分,8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。 律第49号)34条1項使用者は,労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分,8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。 5 道路運送法施行令(昭和26年政令第250号。以下「施行令」という。)1条2項一般乗合旅客自動車運送事業以外の旅客自動車運送事業に関する法第2章《3条~43条》及び第四章《47条~77条》に規定する国土交通大臣の権限は,次に掲げるものを除き,地方運輸局長に委任する。 1号法第8条第1項の規定による緊急調整地域の指定2号法第11条第3項の規定による標準運送約款の制定及び公示3号法第29条の2(法第43条第5項において準用する場合を含む。)の規定による情報の整理及び公表4号一般乗合旅客自動車運送事業(当該事業に係る路線が地方路線であるもの及び不定路線事業を除く。)を経営する法人に係る合併又は分割の認可 6 旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号。平成22年国- 100 -土交通省令第30号による改正前のもの)1条この省令は,旅客自動車運送事業の適正な運営を確保することにより,輸送の安全及び旅客の利便を図ることを目的とする。 4条2項一般乗用旅客自動車運送事業者は,地方運輸局長が定めるところにより,事業用自動車(運送の引受けが営業所のみにおいて行われるものを除く。)に運賃及び料金に関する事項を公衆及び事業用自動車を利用する旅客に見やすいように表示しなければならない。 4条3項一般乗用旅客自動車運送事業者は,運賃又は料金が対時間制による場合を除き,地方運輸局長が定めるところにより,運賃及び料金の額を事業用自動車内において事業用自動車を利用する旅客に見やすいように表示しな 一般乗用旅客自動車運送事業者は,運賃又は料金が対時間制による場合を除き,地方運輸局長が定めるところにより,運賃及び料金の額を事業用自動車内において事業用自動車を利用する旅客に見やすいように表示しなければならない。 21条1項旅客自動車運送事業者は,過労の防止を十分考慮して,国土交通大臣が告示で定める基準に従って,事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間を定め,当該運転者にこれらを遵守させなければならない。 21条2項旅客自動車運送事業者は,乗務員が有効に利用することができるように,営業所,自動車車庫その他営業所又は自動車車庫付近の適切な場所に,休憩に必要な施設を整備し,及び乗務員に睡眠を与える必要がある場合又は乗務員が勤務時間中に仮眠する機会がある場合は,睡眠又は仮眠に必要な施設を整備し,並びにこれらの施設を適切に管理し,及び保守しなければならない。 21条4項旅客自動車運送事業者は,乗務員の健康状態の把握に努め,疾病,疲労,飲酒その他の理由により安全な運転をし,又はその補助をすることができないおそれがあ- 101 -る乗務員を事業用自動車に乗務させてはならない。 21条5項一般乗合旅客自動車運送事業者及び一般貸切旅客自動車運送事業者は,運転者が長距離運転又は夜間の運転に従事する場合であって,疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがあるときは,あらかじめ,交替するための運転者を配置しておかなければならない。 22条1項交通の状況を考慮して地方運輸局長が指定する地域内に営業所を有する一般乗用旅客自動車運送事業者は,次項の規定により地方運輸局長が定める乗務距離の最高限度を超えて当該営業所に属する運転者を事業用自動車に乗務させてはならない。 22条2項前項の乗務距離の最高限度は,当該地 自動車運送事業者は,次項の規定により地方運輸局長が定める乗務距離の最高限度を超えて当該営業所に属する運転者を事業用自動車に乗務させてはならない。 22条2項前項の乗務距離の最高限度は,当該地域における道路及び交通の状況並びに輸送の状態に応じ,当該営業所に属する事業用自動車の運行の安全を阻害するおそれのないよう,地方運輸局長が定めるものとする。 22条3項地方運輸局長は,第1項の地域の指定をし,及び前項の乗務距離の最高限度を定めたときは,遅滞なく,その旨を公示しなければならない。 23条前条第1項の一般乗用旅客自動車運送事業者は,指定地域内にある営業所に属する運転者に,その収受する運賃及び料金の総額が一定の基準に達し,又はこれを超えるように乗務を強制してはならない。 24条1項旅客自動車運送事業者は,乗務しようとする運転者に対して対面(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法)により点呼を行い,次の各号に掲げる事項について報告を求め,事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示を与えなければならない。 - 102 -1号道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第47条の2第1項及び第2項の規定による日常点検の実施又はその確認2号疾病,疲労,飲酒その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無24条2項旅客自動車運送事業者は,事業用自動車の乗務を終了した運転者に対して対面(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法)により点呼を行い,当該の事業用自動車,道路及び運行状況について報告を求めなければならない。この場合において,当該運転者が他の運転者と交替した場合にあっては,当該運転者が交替した運転者に対して行った第50条第1項第8号の規定による通告についても報告を求めなければ を求めなければならない。この場合において,当該運転者が他の運転者と交替した場合にあっては,当該運転者が交替した運転者に対して行った第50条第1項第8号の規定による通告についても報告を求めなければならない。 24条3項旅客自動車運送事業者は,前2項の規定により点呼を行い,報告を求め,指示をしたときは,運転者ごとに点呼を行った旨,報告及び指示の内容並びに次に掲げる事項を記録し,かつ,その記録を1年間保存しなければならない。 1号点呼を行った者及び点呼を受けた運転者の氏名2号点呼を受けた運転者が乗務する事業用自動車の自動車登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示3号点呼の日時4号点呼の方法5号その他必要な事項26条1項一般乗合旅客自動車運送事業者及び一般貸切旅客自動車運送事業者は,事業用自動車の運転者が乗務した場合(《省略》)は,当該自動車の瞬間速度,運行距離及び運行時間を運行記録計により記録し,かつ,その記録を1年間保存しなければならない。 - 103 -26条2項事業用自動車の運行の管理の状況等を考慮して地方運輸局長が指定する地域内に営業所を有する一般乗用旅客自動車運送事業者(当該許可を受ける個人のみが自動車を運転することにより当該事業を行うべき旨の条件の付された一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けた者(以下「個人タクシー事業者」という。)を除く。)は,地域の指定があった日から1年を超えない範囲内において地方運輸局長が定める日以後においては,指定地域内にある営業所に属する事業用自動車の運転者が乗務した場合(事業用自動車の運行の態様等を考慮して地方運輸局長が認める場合を除く。)は,当該自動車の瞬間速度,運行距離及び運行時間を運行記録計により記録し,かつ,その記録を運転者 自動車の運転者が乗務した場合(事業用自動車の運行の態様等を考慮して地方運輸局長が認める場合を除く。)は,当該自動車の瞬間速度,運行距離及び運行時間を運行記録計により記録し,かつ,その記録を運転者ごとに整理して1年間保存しなければならない。 主文 地方運輸局長は,前項の地域及び日の指定をしたときは,遅滞なく,その旨を公示しなければならない。 理由 一般貸切旅客自動車運送事業者は,運行の主な経路における道路及び交通の状況を事前に調査し,かつ,当該経路の状態に適すると認められる自動車を使用しなければならない。ただし,法第21条第2号の規定による許可を受けて乗合旅客を運送する場合にあっては,この限りでない。 事実 旅客自動車運送事業者は,その事業用自動車の運転者に対し,国土交通大臣が告示で定めるところにより,主として運行する路線又は営業区域の状態及びこれに対処することができる運転技術並びに法令に定める自動車の運転に関する事項について適切な指導監督をしなければならない。 争点 旅客自動車運送事業者は,乗務員が事業用自動車の運行の安全の確保のために遵守すべき事項及び乗務員の服務についての規律を定めなければならない。 判断 交通圏 人口10万人以上の都市 日車走行キロ(平成17年度実績) 流し営業(営業所以外)の割合 名古屋交通圏 あり 202㎞ 81.79% 知多交通圏 あり 195㎞ 44.51% 尾張北部交通圏 あり 182㎞ 50.85% 尾張西部交通圏 あり 195㎞ 44.51% 尾張北部交通圏 あり 182㎞ 50.85% 尾張西部交通圏 あり 162㎞ 西三河北部交通圏 あり 192㎞ 43.58% 西三河南部交通圏 あり 192㎞ 46.57% 東三河南部交通圏 あり 141㎞ 静清交通圏 あり 147㎞ 浜松交通圏 あり 172㎞ 富士・富士宮交通圏あり 145㎞ 沼津・三島交通圏 あり 160㎞ 御殿場交通圏 なし 伊豆交通圏 なし 磐田・掛川交通圏 あり 180㎞ 39.93% 藤枝・焼津交通圏 あり 148㎞ 岐阜交通圏 あり 121㎞ 大垣交通圏 あり 127㎞ 高山交通圏 なし 東濃西部交通圏 あり 128㎞ 東濃東部交通圏 なし 美濃・可児交通圏 あり 142㎞ 北勢交通圏 あり 東濃東部交通圏 なし 美濃・可児交通圏 あり 142㎞ 北勢交通圏 あり 165㎞ 津交通圏 あり 146㎞ 伊勢・志摩交通圏 あり 97㎞ 松坂交通圏 あり 131㎞ 伊賀交通圏 あり 146㎞ 福井交通圏 あり 142㎞ 敦賀交通圏 なし 武生交通圏 なし 本件実態調査2の結果(概要) 【隔日勤務運転者】 ①1日1車当たりの平均走行距離 218.0㎞ ②平均輸送回数 20.4回 ③平均拘束時間約1096分(18.3時間) ④平均客待ち時間約292分(4.9時間) ⑤平均休憩時間約167分(2.8時間) ⑥平均始業及び終業点呼等時間約50分 ⑦平均実ハンドル時間約900分(15時間) ⑧客扱い時間約21分 ⑨1日1車当たりの走行距離の分布200㎞まで 45.8% 201㎞~300㎞ 39.8% 300㎞超 14.4% ⑩高速道路の利用状況利用回数 0.3回走行距離 7.8㎞ 【日勤勤務運転者】 ①1日1車当たりの平均走行距離 300㎞超 14.4%⑩高速道路の利用状況利用回数 0.3回走行距離 7.8㎞ 【日勤勤務運転者】①1日1車当たりの平均走行距離 155.8㎞②平均輸送回数 14.9回③平均拘束時間約744分(12.5時間)④平均客待ち時間約242分(4.0時間)⑤平均休憩時間約110分(1.8時間)⑥平均始業及び終業点呼等時間約48分- 108 -⑦平均実ハンドル時間約552分(9.2時間)⑧客扱い時間約33分⑨1日1車当たりの走行距離の分布200㎞まで 88.5%201㎞~300㎞ 11.2%300㎞超 0.3%⑩高速道路の利用状況利用回数 0.1回走行距離 2.7㎞- 109 -(別紙6)本件加重処分規定の対象となる「一定の違反」 1(1) 法13条所定の運送引受義務違反(2) 運輸規則21条1項所定の勤務時間及び乗務時間の設定違反並びに乗務時間等告示の遵守違反(3) 運輸規則22条1項所定の乗務距離の最高限度違反(4) 運輸規則23条所定の運賃等総額が一定基準以上になるような乗務の強制(5) 運輸規則24条1項・2項所定の点呼の実施義務違反(6) 運輸規則24条3項所定の点呼の記録義務違反(7) 運輸規則25条3項・4項所定の乗務等の記録義務違反(8) 運輸規則26条2項所定の運行記録計による記録義務違反(9) 運輸規則36条1項所定の日雇い運転者等の選任禁止違反(1 (7) 運輸規則25条3項・4項所定の乗務等の記録義務違反(8) 運輸規則26条2項所定の運行記録計による記録義務違反(9) 運輸規則36条1項所定の日雇い運転者等の選任禁止違反(10) 運輸規則39条所定の運転者に対する地理,応接の指導監督義務違反(11) 運輸規則40条1項所定の指導要領制定義務違反(12) 運輸規則40条2項所定の指導主任者選任義務違反 2 過労運転,酒酔い運転,酒気帯び運転,薬物等使用運転,最高速度違反,無免許運転又は救護義務違反を伴う事故を引き起こした場合における当該違反に関連する処分基準に掲げる違反事項に係る違反

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