【DRY-RUN】主 文 原判決中被告人に関する部分を破棄する。 本件を福岡地方裁判所小倉支部に差し戻す。 理 由 弁護人池田純亮の控訴趣意第一、第二点について。
主文 原判決中被告人に関する部分を破棄する。 本件を福岡地方裁判所小倉支部に差し戻す。 理由 弁護人池田純亮の控訴趣意第一、第二点について。 関税法第三十一条には「貨物の輸出若は輸入を為さんとするものは税関に申告し貨物の檢査を経てその免許を受くへし云々」と、同法第七十六条には「免許ヲ受ケスシテ貨物ノ輪出若クハ輪入ヲ為シ云々」と各規定し又関税法の罰則等の特例に関する勅令第一条第二項には「関税法第三十一条の規定による免許がないのに物品の輸入又は輸出をし又はしようとした者の罰は同法第七十六条の規定にかかわらず、前項と同様とする」と規定し以て同条第一項の罰則を適用すべきことを明かにしている。 <要旨第一>ところで関税法第三十一条、第七十六条は前示のように貨物なる語を用いているのに、前掲勅令第一条第二項</要旨第一>には物品なる語を用いその用語を異にしているのであるが右二語は共にその意義を同じうし後者において平易な用語を使用したものと解するが相当である、何となれば右勅令第一条第二項は終戦後の我国物資の状態に対処し輸出入に関する基本的な政策及び計画に基いて輸出入の統制運用の完壁を期する目的を以て関税第七十六条の罰則を強化した特例であつて、同条及び同法第三十一条の語義をも変改したものでないことが明白であ<要旨第二>るからである。そして船舶が一の物で帆檣、汽罐等の集合物でないととはいうまでもないが、これが右の貨物</要旨第二>又は物品中に包含されるものでないことは関税法はその第二章において、船舶に関し、又その第三章において貨物に関し、それぞれ規定しているのみならず、前掲勅令第九条第一項には「第一条の犯罪に係る物品又は同条の犯罪に供した船舶で犯人の所有し又は占有しているものはこれを没収する」と規定 その第三章において貨物に関し、それぞれ規定しているのみならず、前掲勅令第九条第一項には「第一条の犯罪に係る物品又は同条の犯罪に供した船舶で犯人の所有し又は占有しているものはこれを没収する」と規定し以て貨物又は物品と船舶とを各別異に取扱つているのに徴し明白である。しかもなほ、我国のその他船舶関係の諸法令が、船舶をいわゆる貨物又は物品と同一に律していない事実によるも優にこれを窺い知ることができるであろう。尤も関税法第三十一条第三号には「遭難船舶又は難破貨物を輸入するとき」と規定し、この場合の免許手続について特例を定めているので、船舶の輸出入についても同法条所定の免許を要する貨物に包含せしめているものではないかとの疑義を容れる余地がないとはいえないが、この場合の遭難船舶はそのままでは船舶としての機能を果し得ない状態に遭難し最早船舶と見ることができない一の貨物視せられる状態にあるものと解するのが関税法全体の精神に照らし最も妥当であるといわなければならないので右の規定があるからというて船舶がいわゆる貨物又は物品に包含しないとするのに何等の支障を来すことはない。従つて関税法第三十一条の免許を受けないで船舶を輸出若くは輸入し、又はしようとした場合関税法第七十六条乃至は前掲勅令第一条第二項の犯罪を構成することはないのである。今原判決判示第二の事実を見ると所論の通りで、その措辞粗笨の嫌いがないではないが、被告人関係部分は要するに、被告人は原判示第一のとおり朝鮮へ密航するに当り、所定の免許を受けないで、その所有にかかるA(証第二号)に乗船して下関市aから出帆し以て同船を密輸出したるものであるというに帰する。すると該事実は前記説明に徴し明かなとおり関税法第七十六条乃至は前記勅令第一条第二項違反の犯罪を構成するものがないものといわなければならない。(尤も本 以て同船を密輸出したるものであるというに帰する。すると該事実は前記説明に徴し明かなとおり関税法第七十六条乃至は前記勅令第一条第二項違反の犯罪を構成するものがないものといわなければならない。(尤も本件記録に徴すると被告人は原判決判示第二の原審共同被告人等が原判示のように免許を受けないで判示物品を判示船舶で輸出するについて同人等と相謀り、又はその依頼を受けたことが明かであるのみならず、被告人が同船の船長として、その輪送をしているので、これ等の共同被告人と或は共同正犯乃至は従犯関係にあることが認められるので該事実について公訴の提起があれば前掲勅令第一条第二項違反罪を構成するととは格別である。)然るに原判決は右原判示第二事実を前掲勅令第一条第一項第二項に間疑しているのであるから、結局罪とならない事実に法令を適用した疑いがあり、原判決は破棄を免れないので控訴は理由がある。しかも原判決は右判示第二の事実と原判示第一の昭和二十一年勅令第三百十一号違反の罪とを刑法第四十五条前段の併合罪として各所定刑巾懲役刑を選択して同法第四十七条第十条に従い、重い右判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人に対し懲役六月の言渡をし、且つ原判示Aについては判示第二の犯罪にかかる物品として没収の言渡をしているので結局原判決中被告人に関する部分は全部破棄を免れない。論旨は理由がある。 そして右の違法は判決に影響を及ぼすこと洵に明かであるから、その他の論旨に対する説明を省略し刑事訴訟法第四百条に則り主文のとおり判決する。 (裁判長判事白石亀判事藤井亮判事大曲壯次郎) 次郎
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