平成15年(ワ)第4441号請負代金請求事件(本訴)平成17年(ワ)第801号損害賠償請求事件(反訴)主文 原告の請求をいずれも棄却する。 原告は,被告A及び被告Bに対し,別紙物件目録記載3の建物部分を収去せよ。 原告は,被告観音寺に対し,別紙物件目録記載4の建物部分を収去せよ。 原告は,被告観音寺に対し,200万円及びこれに対する平成17年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告は,被告Aに対し,100万円及びこれに対する平成17年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告は,被告Bに対し,100万円及びこれに対する平成17年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告らのその余の反訴請求を棄却する。 訴訟費用は,本訴反訴を通じ,これを10分し,その9を原告の負担とし,その余を被告らの負担とする。 この判決は,2項ないし6項に限り仮に執行することができる。 事実 第1当事者が求めた裁判 原告(1) 被告A及び被告Bは,原告に対し,連帯して,2197万3099円及びこれに対する平成15年11月6日から支払済みまで,年14.6%の割合による金員を支払え。 (2) 被告観音寺は,原告に対し,2041万7500円及びこれに対する平成15年11月6日から支払済みまで年14.6%の割合による金員を支払え。 (3) 被告らの反訴請求をいずれも棄却する。 (4) 訴訟費用は,本訴反訴を通じ,被告らの負担とする。 (5) 仮執行宣言 被告ら(1) 原告の請求をいずれも棄却する。 (2) 原告は,被告らに対し,別紙物件目録記載2の建物を収去して,別紙物件目録記載1の土地を明け渡せ。 (3) 原告は,被告観音寺に対し,200万円及びこれに対する平成 告の請求をいずれも棄却する。 (2) 原告は,被告らに対し,別紙物件目録記載2の建物を収去して,別紙物件目録記載1の土地を明け渡せ。 (3) 原告は,被告観音寺に対し,200万円及びこれに対する平成17年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 原告は,被告Aに対し,100万円及びこれに対する平成17年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (5) 原告は,被告Bに対し,100万円及びこれに対する平成17年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (6) 訴訟費用は,本訴反訴を通じ,原告の負担とする。 (7) (2)ないし(5)につき仮執行宣言第2当事者の主張(本訴について) 請求原因(1) 請負契約の締結ア新築工事請負契約の締結原告と被告A及び被告Bとは,平成11年5月28日及び同年12月2日,被告A及び被告Bを注文主,原告を請負人として,以下の内容の建築工事請負契約を締結した(以下,工事を指して「本件新築工事」といい,契約を指して「本件新築工事請負契約」という。 。)工事名称A邸新築工事建築場所名古屋市a区bc 型式セントレージ・グランツEX床面積1階96.77㎡2階95.74㎡着工平成12年4月3日竣工平成12年7月20日請負代金4830万円(うち消費税230万円)支払方法契約時200万円平成12年5月10日限り2200万円平成12年7月28日限り2430万円賠償額の予定被告A及び被告Bが約定に従い代金の完済をしないときは,原告は,未払代金につき日歩4銭(年14.6%)の損害金を請求できる。 イ車庫工事請負契約の締結原告と被告観音寺とは,平成11年5月28日及び同年12月2日,被告観音寺を注文主,原告を請負人 は,原告は,未払代金につき日歩4銭(年14.6%)の損害金を請求できる。 イ車庫工事請負契約の締結原告と被告観音寺とは,平成11年5月28日及び同年12月2日,被告観音寺を注文主,原告を請負人として,以下の内容の建築工事請負契約を締結した(以下,工事を指して「本件車庫工事」といい,契約を指して「本件車庫工事請負契約」といい,本件新築工事と本件車庫工事を併せて「本件両工事,本件新築工事請負契約と本件車庫工事請負契約を併せて」「本件両請負契約」という。 。)工事名称観音寺車庫建築工事建築場所名古屋市a区bc種類・構造鉄筋コンクリート造施工床面積67.8㎡着工平成12年1月20日竣工平成12年7月20日請負代金3202万5000円(うち消費税152万5000円) 支払方法契約時200万円平成12年5月10日限り1425万円平成12年7月28日限り1577万5000円賠償額の予定被告観音寺が約定に従い代金の完済をしないときは,原告は,未払代金につき日歩4銭(年14.6%)の損害金を請求できる。 (2) 催告原告は,被告らに対し,平成13年1月31日付けでそのころ到達した書面により,被告A及び被告Bが平成12年5月10日限り原告に支払うべき本件新築工事の請負代金の内金2200万円及び被告観音寺が同日限り原告に支払うべき本件車庫工事の請負代金の内金1425万円の履行を催告した。 (3) 解除の意思表示原告は,被告らに対し,平成15年9月30日(同年10月1日到達,)本件両請負契約を被告らの債務不履行により解除するとの意思表示をした。 (4) 本件両工事の出来高平成15年10月1日までの工事出来高は,本件新築工事につき2159万8500円,本件車庫工事につき2241万7500円であった。 (5) より解除するとの意思表示をした。 (4) 本件両工事の出来高平成15年10月1日までの工事出来高は,本件新築工事につき2159万8500円,本件車庫工事につき2241万7500円であった。 (5) 損害原告は,本件新築工事につき,上記工事出来高とは別に,請求原因(2)の被告A及び被告Bの債務不履行により,施工準備中の材料及び施設機器並びにその保管料及び廃棄処分費用として237万4599円の支出を余儀なくされた。 (6) よって,原告は,被告A及び被告Bに対し,債務不履行による損害賠償請求権に基づき,連帯して,工事出来高1959万8500円及び上記損害額237万4599円の合計額である2197万3099円並びにこれに対する訴状送達の日の翌日である平成15年11月6日から支払済みまで約定の 年14.6%の割合による遅延損害金の支払を,被告観音寺に対し,債務不履行による損害賠償請求権に基づき,2041万7500円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成15年11月6日から支払済みまで約定の年14.6%の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ求める。 請求原因に対する認否(1) 請求原因(1)の事実は認める。 (2) 同(2)の事実は否認する。 (3) 同(3)の事実は認める。 (4) 同(4),(5)の事実は否認する。 抗弁(1) 同時履行の抗弁ア本件両工事には,別紙瑕疵一覧表の被告らの主張欄のとおり,放置できない設計・施工上の欠陥が多数含まれ,このまま放置すればその擁壁にかかる土圧・水圧等のため,崩壊する危険すら存在する根本的な欠陥があった。 イ被告らは,原告が上記欠陥に対応する適切な工事をするまでは,代金を支払わない。 (2) 錯誤無効被告らは,本件両請負契約締結時,原告が建築した建物一体型の擁壁ではなく,分離型の 陥があった。 イ被告らは,原告が上記欠陥に対応する適切な工事をするまでは,代金を支払わない。 (2) 錯誤無効被告らは,本件両請負契約締結時,原告が建築した建物一体型の擁壁ではなく,分離型の擁壁を建築してもらう認識で原告と契約したものである(そうでなければ2つに分けて契約などしない。このように,本件両請負契。)約に関する被告らの意思表示には錯誤があり,かつ要素の錯誤であるから,本件両請負契約は無効である。 抗弁に対する認否,(1) 抗弁(1)アの事実は否認する。本件両工事の瑕疵についての原告の主張は別紙瑕疵一覧表の原告の主張欄記載のとおりである。 (2) 抗弁(2)の事実は否認する。 再抗弁(1) 原告は,平成12年1月25日,本件両工事の施工に着手し,順調に両工事を遂行しており,被告らから本件両工事の中断の指示があった平成12年4月21日以降も,同年5月28日ころ,同年8月30日ころ,同年10月31日ころ及び平成13年1月31日ころ,本件両工事の瑕疵の補修についての原告の見解(別紙瑕疵一覧表の原告の主張欄記載のとおり)を前提として本件両工事の再開を申し入れた。 (2) しかし,被告らは,原告の度重なる工事再開の申出に応じず,原告の工事遂行を拒否し続けた。 (3) 本件両工事の瑕疵の補修についての原告の見解(別紙瑕疵一覧表の原告の主張欄記載のとおり)は適切なものであるから,被告らが代金の支払を拒む根拠はない。 再抗弁に対する認否(1) 再抗弁(1)の事実は否認する。 (2) 同(2)の事実は認める。 (2) 同(3)の事実は否認ないし争う。本件両工事は,別紙瑕疵一覧表の被告らの主張欄のとおり,放置できない設計・施工上の欠陥が多数含まれ,このまま放置すればその擁壁にかかる土圧・水圧等のため,崩壊する危険すら存在 の事実は否認ないし争う。本件両工事は,別紙瑕疵一覧表の被告らの主張欄のとおり,放置できない設計・施工上の欠陥が多数含まれ,このまま放置すればその擁壁にかかる土圧・水圧等のため,崩壊する危険すら存在する根本的な欠陥があったものであり,債務の本旨に従った履行の提供とはいえない。 (反訴について) 反訴請求原因(1) 請負契約の締結本訴の請求原因(1)に同じ。 (2) 代金の一部支払い ア(ア) 被告Aは,原告に対し,平成11年5月28日,本件新築工事の請負代金のうち契約時分として100万円を支払った。 (イ) 被告Bは,原告に対し,平成11年5月28日,本件新築工事の請負代金のうち契約時分として100万円を支払った。 イ被告観音寺は,原告に対し,平成11年5月28日,本件車庫工事の請負代金のうち契約時分200万円を支払った。 (3) 建物の建築原告は,本件両工事として,別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という)上に別紙物件目録記載2の建物(以下「本件建物」といい,。 同建物のうち同目録記載3の住居部分を「本件住居部分,同目録記載4の」車庫部分を「本件車庫」という)を建築した。ただし,同建物は未完成で。 ある。 (4) 債務不履行(履行不能)本件両工事には,別紙瑕疵一覧表の被告らの主張欄のとおり,放置できない設計施工上の欠陥が多数含まれるから,本件建物は,このまま放置すればその擁壁にかかる土圧・水圧等のため,崩壊する危険すらある。特に,本件建物の建築場所は,名古屋市a区b地内において最も急傾斜地のまたその最も低部に位置しており,多大な土圧・水圧を受けることになるため,現状存在している建物を収去した上,土圧・水圧を計算した設計に変更して再建築する以外に建物として完成することが見込めない。 しかし,原告は,本件建物の擁壁部 ,多大な土圧・水圧を受けることになるため,現状存在している建物を収去した上,土圧・水圧を計算した設計に変更して再建築する以外に建物として完成することが見込めない。 しかし,原告は,本件建物の擁壁部分にかかる土圧・水圧は,原告が行った設計施工でも耐えうるとして,収去して再建築する様子は全くないから,原告が行った設計施工が不十分な建物しか引き渡されることしか期待できない。 したがって,原告の請負建物完成義務は履行不能としか評価できない。 (5) 解除の意思表示 平成17年9月29日の本件弁論準備手続の期日において,被告A及び被告Bは,原告に対し,本件新築工事請負契約を,被告観音寺は,原告に対し,本件車庫工事請負契約を,それぞれ解除する旨の意思表示をした。 (6) 損害ア既払い代金(ア) 被告Aについて100万円(イ) 被告Bについて100万円(ウ) 被告観音寺について200万円イ調査・検討費用147万円被告らが本件建物の設計施工上の欠陥を調査するため,C建築士に依頼したことにより同建築士に支払わなければならない金額である。 ウ修復工事費用65万1000円原告の工事により「道路と下水管の復旧工事」及び「観音寺の門のひ,び割れの復旧工事」が必要となったが,その費用は65万1000円である。 エ建物収去土地明渡だけでは完了できない原状回復及び危険防止工事に伴う費用2270万円建物収去及び土地明渡が完了しても,整地のため撤去された土砂は復旧せず,かつ本件建物が建っている土地は傾斜地であるため,原告の工事により削り取られた地盤は,そのまま放置すれば地滑り及び既設建物の倒壊の危険が大きく,擁壁工事を実施せざるを得ないところ,擁壁工事に要する費用は2270万円である。 オ上下水道工事に伴う費用80万8500円被告らのライ そのまま放置すれば地滑り及び既設建物の倒壊の危険が大きく,擁壁工事を実施せざるを得ないところ,擁壁工事に要する費用は2270万円である。 オ上下水道工事に伴う費用80万8500円被告らのライフラインである上下水道の配管は,原告の本件両工事のために仮設のものとなっており,建物収去及び土地明渡の完了に伴い,適切な形で復旧される必要があり,その工事費用は被告らに生じる損害である ところ,同金額は80万8500円である。 (7) よって,被告らは,原告に対し,本件新築工事請負契約及び本件車庫工事請負契約の解除による原状回復請求権に基づき,本件建物の収去及び本件土地の明渡を,被告観音寺は,原告に対し,債務不履行による損害賠償請求権に基づき,損害額の内金200万円及びこれに対する反訴請求の趣旨変更申立書送達の日の翌日である平成17年8月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,被告A及び被告Bは,それぞれ,原告に対し,債務不履行による損害賠償請求権に基づき,損害額の内金100万円及びこれに対する反訴請求の趣旨変更申立書送達の日の翌日である平成17年8月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 反訴請求原因に対する認否(1) 反訴請求原因(1)ないし(3)の事実は認める。 (2) 同(4)の事実は否認する。 本件両工事の瑕疵についての原告の主張は,別紙瑕疵一覧表の原告の主張欄記載のとおりである。 (3) 同(6)の事実は否認する。 反訴抗弁(原告の帰責性の不存在)以下の各事情から,本件両請負契約における原告の債務の履行不能について,原告には帰責性がない。 (1) 被告らは,平成12年4月に本件両工事の中止を指示し,その後,被告らが委任したD建築士及びE弁護士と協議して,工事進 件両請負契約における原告の債務の履行不能について,原告には帰責性がない。 (1) 被告らは,平成12年4月に本件両工事の中止を指示し,その後,被告らが委任したD建築士及びE弁護士と協議して,工事進行方法について合意を得たにもかかわらず,一向に工事再開の指示をせず,さらにD建築士及びE弁護士を解任してしまったため,上記方法での工事が実施できなかった。 (2) 次いで,被告らは名古屋工業大学のF教授に委任したので,原告は同教授らと現場を見分しながら協議し,それに基づき工事方法を提示した上で同教 授から了承を得た。にもかかわらず,被告らは同教授も解任してしまい,上記の工事方法も実施できなくなった。 (3) 被告らは平成12年9月,名古屋市役所建築指導課建築紛争調停担当官に調停を申し立て,原告は同月29日,同担当者に現場見分させ,同年10月2日に名古屋市役所に状況報告をし,原告の見解は妥当であるとの評価を得ていたが,被告らは調停申立てを取り下げてしまった。 (4) 原告は,平成12年10月31日付けで,品質保持のためやむを得ず上記F教授の指示方法による工事を行うことを申し入れたころ,被告ら代理人名倉弁護士から工事の中止を指示され,また,名倉弁護士から工事についての質問を受けたため,これに回答するなどしていたが,平成13年1月17日,名倉弁護士より代理人を辞任する旨回答された。 (5) 被告らは,平成13年2月中旬ころ,中央建設工事紛争審査会に調停を申し立て,同調停は,平成15年8月28日まで約2年半にわたり10数回開催された。同調停においては,被告らの申請によりその主張する瑕疵について鑑定が行われ,その鑑定結果に基づいて解決をはかるべく進行されたが,被告らは鑑定結果に基づく解決を了承できないとして,同調停も不調に終わった。 (6) このよう の申請によりその主張する瑕疵について鑑定が行われ,その鑑定結果に基づいて解決をはかるべく進行されたが,被告らは鑑定結果に基づく解決を了承できないとして,同調停も不調に終わった。 (6) このように,被告らは,平成12年4月に工事停止の指示をした後,原告の度重なる工事再開の申出に応じず,不当に原告の工事遂行を拒否し続けた。 反訴抗弁に対する認否原告の主張は争う。本件工事は,別紙瑕疵一覧表の被告らの主張欄のとおり,放置できない設計施工上の欠陥が多数含まれることが明らかであるにもかかわらず,原告は原告が行った設計及び施工で問題はないと主張して,収去して再建築する様子は全くなく,あえて不十分な施工による建物しか引き渡そうとしないのであるから,本件両請負契約における原告の債務の履行不能について,原告に帰責性がないとはいえない。 理由 (本訴関係) 請求原因(1),同(3)の事実は当事者間に争いがなく,抗弁(1)イは当裁判所に顕著である。 請求原因(2)の事実は,証拠(乙12)により認められる。 本件の経緯上記争いのない事実に証拠(甲8,乙1ないし15,16の1・2,18,32)及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。 (1) 原告は,平成12年1月25日,本件両工事に着手した。 (2) 原告が,平成12年4月3日,地階部分の擁壁工事を行うため,コンクリートの打設工事をしていたところ,コンクリートの型枠が破裂し,打設中のコンクリートが流出する事故が起こった(以下「本件事故」という(乙。)11,32,弁論の全趣旨。 )(3) 被告Aは,原告に対し,平成12年4月21日付け内容証明郵便により工事を停止する旨要請した。同通知書には「私共は,貴社の今迄の工事について,構造的なものについても,この先の工事の進行について (3) 被告Aは,原告に対し,平成12年4月21日付け内容証明郵便により工事を停止する旨要請した。同通知書には「私共は,貴社の今迄の工事について,構造的なものについても,この先の工事の進行についても懸念が生じて参りましたので,第三者建築士による調査を依頼致しましたので,その調査の結果が出る迄,工事を停止して下さい」との記載があった(乙1。上。 )記要請を受け,原告は,本件両工事を停止した。 (4) 被告らは,D建築士及びE弁護士を選任し,平成12年5月11日,原告と本件両工事の進行方法等についての協議を行い,同月末ころ,社団法人愛知県建築士事務所協会に交渉を依頼し,同年6月,名古屋工業大学のF教授の意見を得て再度協議を行うなどしたが,合意には至らなかった。 (5) 原告は,被告A及び被告Bに対し,平成12年5月29日付け書面により,建物の品質保持のため,屋根及び外装完了までの工事を同年6月5日より再開させてもらいたい旨通知し(乙2,同日,同工事に着手し,同工事を実) 施した(乙3。 )(6) 原告は,被告らに対し,平成12年6月30日付け書面により,止水工事を含む補修方法等について提案した。 (7) 被告A及び被告Bは,原告に対し,平成12年7月17日付け書面により,原告が被告らに分離型擁壁工事を行うと信用させて契約を締結させたこと,本件事故により流出したコンクリートを5時間あまりかけてバケツでミキサー車の中に戻し,これが基礎工事に使用されたこと,当該コンクリートは早期硬化型のコンクリートであり,5時間を経過した後の硬化強度は通常強度の20%から30%しか発揮せず,建築基準法に反する欠陥工事であると考えられること,その結果,車庫背面部分の壁面に多数の亀裂が生じ,漏水が起きていることなどを指摘し,10日以内に建築中の建物を撤去し の20%から30%しか発揮せず,建築基準法に反する欠陥工事であると考えられること,その結果,車庫背面部分の壁面に多数の亀裂が生じ,漏水が起きていることなどを指摘し,10日以内に建築中の建物を撤去し,その建替えを要請した(乙4。 )原告は,被告らに対し,同年8月30日付け内容証明郵便により,本件両工事は建築基準法に適合し,安全であること,本件両請負契約前,分離型擁壁工事については承っていないこと,壁面の亀裂や漏水については説明済みであることなどを指摘し,補修工事についての話合いを要請し,同書面送達後7日以内に回答するよう要請した(乙5。 )(8) 原告は,被告らに対し,平成12年10月31日付け内容証明郵便により,F教授との打合せに基づく平成12年6月30日付け書面で提案した止水工事を,同年11月13日,着手することを告げた(乙6。 )被告Aは,原告に対し,同月10日付け内容証明郵便により,上記原告提案の止水工事を中止するよう告げた(乙7。 )(9) また,被告らは,原告に対し,平成12年11月22日付け書面により,①本件事故の際のコンクリートの処理,②本件建物の西側及び車庫の間仕切りになっている壁に存在するクラックの原因,③本件建物の漏水箇所及びその原因,④型枠が破損した箇所に存在する補修したと思われるジャンカの写 真及び補修状況,⑤西側壁面の外側(土と接する側)の防水処理の状況について照会し,⑥本件建物工事の作業日報と工事工程表の写しの提出を要請し),た(乙8。これに対し原告は,被告らに対し,同月30日付け書面により上記照会に対して回答し,本件両工事の作業日報と工事工程表の写しを提出した(乙9。 )(10) 被告らは,原告に対し,平成12年12月19日付け書面により,原告提案の止水工事(前記(6)参照)では,現存する 対して回答し,本件両工事の作業日報と工事工程表の写しを提出した(乙9。 )(10) 被告らは,原告に対し,平成12年12月19日付け書面により,原告提案の止水工事(前記(6)参照)では,現存するクラック等に対する止水の意味しかなく,恒久的な解決策ではないこと,壁が土と接する側の止水方法が何ら解決されないこと,当該壁に対する水圧・土圧をなくすか,かなりの程度少なくすることが先決であること,当該壁に使用されたコンクリートの強度が予定通りの強度を持っているか否か極めて疑問があり,コア抜き検査をする必要があることなどを告げ,再度の補修方法の検討及び別途壁の設置を要請した(乙10。 )原告は,被告らに対し,平成13年1月10日付け書面により,現在発生しているクラックからの漏水は,原告の提案する止水工事により止水が十分可能であること,新たに発生するクラックは適切に対応すること,被告らの提案する別途壁の設置による方法は,当初契約された設計思想を超えた過大な注文であり,止水のためには必要不可欠なものとはいえないと考える旨通知し,原告提案の止水工事を了承するように要請した(乙11。 )(11) 原告は「催告書」と題する2通の平成13年1月31日付け内容証明,郵便により,被告A及び被告Bに対し,平成12年5月10日支払分の請負代金2200万円を,被告観音寺に対し,同日支払分の請負代金1425万円を,それぞれ平成13年2月15日までに支払うよう催告するとともに,原告提案の止水工事を了承するように要請した(乙12,13。 )(12) 被告A及び被告Bは,平成13年2月中旬ころ,中央建設工事紛争審査会に調停を申請し,調停が進められたが,平成15年8月28日,不調とな った。 (13) 原告は「契約解除通知書」と題する2通の平成15年9月30日付け 13年2月中旬ころ,中央建設工事紛争審査会に調停を申請し,調停が進められたが,平成15年8月28日,不調とな った。 (13) 原告は「契約解除通知書」と題する2通の平成15年9月30日付け,内容証明郵便により,被告らに対し,本件両請負契約を解除するとともに,被告A及び被告Bに対し,本件新築工事の出来高及び同被告らの債務不履行による損害賠償から既払い金を除いた2323万9978円を,被告観音寺に対し,本件車庫工事の出来高から既払い金を除いた2041万7500円を,それぞれ平成15年10月10日までに支払うよう催告した(乙14,15。 )被告らは,原告に対し,同年10月14日,同月10日付け内容証明郵便により,本件建物は,その擁壁にかかる水圧及び土圧に耐えられない欠陥を有する建物であること,その結果,原告は債務不履行の状態にあり,上記解除には理由がないこと,上記欠陥は補修不可能であり,建物の完成が履行不能であるから,被告らは,原告らに対し,本件両請負契約を解除すること,原告は,本件建物を撤去し,被告らに対し,既払いの400万円を返還すること,被告らは,本件両請負契約締結時,分離型の擁壁を建築してもらう認識だったから,建物一体型の擁壁として締結された同契約は錯誤により無効であることを告げた(乙16の1・2。 )(14) 原告は,平成15年10月24日,当庁に本訴を提起した。 抗弁(1)ア,再抗弁につき検討する。なお,以下,本件両工事の瑕疵については,別紙瑕疵一覧表記載の番号に従い「瑕疵1」等という。 ,(1) 瑕疵1についてア証拠(甲8,乙18)によれば,次の事実が認められる。 (ア) 地階擁壁部分について,平成13年9月17日にコア抜きの方法により行われたコンクリートの圧縮強度試験の結果は,コアを採取した4箇所とも,圧 拠(甲8,乙18)によれば,次の事実が認められる。 (ア) 地階擁壁部分について,平成13年9月17日にコア抜きの方法により行われたコンクリートの圧縮強度試験の結果は,コアを採取した4箇所とも,圧縮強度が設計基準強度を上回っていた(甲8。 )(イ) 地階擁壁部分について,平成16年6月8日,9日,11日に,別紙 図面2のコア№1ないし3のコンクリートの圧縮強度の試験を行ったところ,設計強度を満足していた(乙18。 )イ上記認定の事実によれば,1階車庫の擁壁部分コンクリートの強度不足はないというべきである。 (2) 瑕疵2についてア証拠(鑑定)によれば,次の事実が認められる。 (ア) 本件建物の地階車庫の擁壁部分と地中梁の接合部分に,地中梁天端に型枠の表面の清掃不十分が原因とみられるレイタンス(浮き水と共に浮上したセメント中又は骨材中の微粒子からなる,打ち込んだコンクリートの表面に発生する薄い泥状物の層)が存在して,その接合部分の付着は十分でない。 (イ) 上記接合部分からの漏水は,平成18年6月時点においても確認されないが,外防水がなされていないことから,将来的に同部分からの漏水の可能性はある。 イ上記認定の事実によれば,本件建物の地階車庫の擁壁部分と地中梁の接合部分の付着が十分でなく,これは瑕疵であると認められる。 (3) 瑕疵3についてア上記3の認定事実に証拠(鑑定)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 生コンクリートは,工場で練り始めてから120分以内で打設するのが通常であり,工場から本件建物に生コンクリートを持ち込むのに約30~40分程度要することから,本件建物での生コンクリートの打ち込みのための時間は15分程度が想定されていた。 (イ) ところが,原告が,地階部分の擁壁工事を行うため,コンクリ ートを持ち込むのに約30~40分程度要することから,本件建物での生コンクリートの打ち込みのための時間は15分程度が想定されていた。 (イ) ところが,原告が,地階部分の擁壁工事を行うため,コンクリートの打設工事をしていたところ,コンクリートの型枠(別紙図面3の<A>-<B>間)が破裂し,打設中のコンクリートが流出した。その型枠(別紙 図面3の<A>-<B>間)の復旧に3~4時間程度を要したため,本件建物の地階車庫の擁壁のうち,別紙図面3のCG1,B1の箇所にコンクリートの打継面が生じた。別紙図面3の<A>-<B>間で型枠がはめ直され,別紙図面3の<A>-<B>間と<B>-<C>間で下からコンクリートが打設されたため,別紙図面3の<A>-<B>間と<B>-<C>間では打継面は生じていない。 イ上記認定の事実によれば,別紙図面3のCG1,B1の箇所の打継面より上の部分は,鉄筋の周囲にモルタルが付着したままでコンクリートが打設されたものと推認されるが,それ以外の部分については,鉄筋の周囲にモルタルが付着したままでコンクリートが打設されたものとまでは認め難い。 そうとすると,1階擁壁に使用されている鉄筋には一部付着力が不十分なものがあり,これは瑕疵であると認められる。 (4) 瑕疵4,5についてア証拠(乙17,鑑定)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 本件建物の地階擁壁の構造計算は,日本建築学会作成「建築基礎構造設計基準・同解説」の12条(地下壁に作用する土圧及び水圧)に準拠して計算され,外力は長期荷重として計算されているが,ラーメン応力について長期の土圧による水平力が考慮されていない。 (イ) 本件建物の地階擁壁の構造計算において,擁壁にかかる土圧・水圧に背面の地盤形状や石垣の影響は考慮されていない。 (ウ) いるが,ラーメン応力について長期の土圧による水平力が考慮されていない。 (イ) 本件建物の地階擁壁の構造計算において,擁壁にかかる土圧・水圧に背面の地盤形状や石垣の影響は考慮されていない。 (ウ) 本件建物の地階擁壁はRC造版として計算されているが,地階擁壁の構造計算によれば,上端ピン支持,下端固定の2辺固定版として計算されており,日本建築学会作成「鉄筋コンクリート構造計算基準」に基づく4辺固定版として正しく応力計算されていない。 (エ) 本件建物の地階擁壁に生ずる応力に伴う擁壁周辺の材,柱,2階スラブ,基礎スラブに生ずる曲げ応力について,ラーメン応力(柱,梁応力)の計算に,一部正しく計算されていない箇所がある。 (オ) 上記の各点を考慮して,地階擁壁の構造計算をすると,C通りのG4,C2(別紙図面6参照)について長期応力に対して鉄筋が不足していることとなり,Cフレームの柱,梁の鉄筋量が十分でないことになる。そのため,コンクリートの引っ張り側にひび割れが起き,漏水が生ずる可能性がある。 また,柱と擁壁との接合部にひび割れが起き,漏水が生ずる可能性がある。 これらを補修するのに適切な方法はない。 イ上記認定の事実によれば,柱,梁に鉄筋が不足しているところがあるほか,柱と擁壁の接合部の強度が不足していることが認められ,これは瑕疵であると認められる。 (5) 瑕疵6,9についてア証拠(甲8,乙18,鑑定)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 鑑定人は,平成18年5月16日(鑑定結果報告書の6月16日との記載は誤記である)の調査において,前日からの降雨及び別紙図面4。 の①通り<A>-<B>の地中梁下の水位の上昇を確認した。 (イ) 鑑定人は,平成18年6月18日の調査において,前日からの降雨及び別紙図面4の①通り の調査において,前日からの降雨及び別紙図面4。 の①通り<A>-<B>の地中梁下の水位の上昇を確認した。 (イ) 鑑定人は,平成18年6月18日の調査において,前日からの降雨及び別紙図面4の①通り<A>-<B>の地中梁下の水位の上昇を確認した。 (ウ) 上記から,地中梁下からの漏水が推定され,擁壁全体として,防水,漏水対策が不十分であると推定される。 (エ) 地中梁と地階擁壁にグラウト(ウレタン系の樹脂とみられる)が注。 入されているが,その樹脂注入孔から漏水と共に樹脂の一部(わかめ様 のもの)が流出している。このわかめ様のものは,ウレタン系の樹脂とみられるグラウトが水中に長く置かれたため,接着力が衰え,剥離したものと推定される。したがって,上記のグラウト注入による補修は,内防水の一手法として有効ではあるが,長期にわたりその防水性能が維持されるものではないと推定される。 (オ) 一階擁壁下部と地中梁上部の接合部分のガムシールは自己粘着性が維持されていなかったが,上記(エ)の補修により,同部分への漏水は一応止んでいる。 イ上記認定の事実によれば,擁壁について,防水性能が不足しており,これは瑕疵であると認められる。 (6) 瑕疵7についてア証拠(甲8,9,乙17,鑑定)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 地階天井の小梁にスラブ下端まで貫通している亀裂が存在する。これは,別紙図面3のCG1とB1との接合部をピン接合しなければならなかったのに,固定又は半固定で施工されたため生じたものと推定される。 この亀裂によって深刻な強度不足は生じない。 (イ) 地階の小梁に櫛形のコールドジョイントが存在する。この部分を補修するには,補強筋が必要であるが,同施工ができるか否かは,コンクリートの状態から明らかではない。 イ上記認定 不足は生じない。 (イ) 地階の小梁に櫛形のコールドジョイントが存在する。この部分を補修するには,補強筋が必要であるが,同施工ができるか否かは,コンクリートの状態から明らかではない。 イ上記認定の事実によれば,一階外壁の小梁に生じている亀裂は,瑕疵であると認められる。 (7) 瑕疵8についてア証拠(甲8,9,乙17,18,鑑定)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 地階擁壁に内部から外部に貫通しているひび割れが存在する。 別紙図面3の記号Aはコールドジョイントであり,内部から外部まで影響を及ぼすもので,コンクリートが完全な一体ではない。 別紙図面3の記号Bは約1㎜程度の構造クラックであり,同図面①通り<A>-<B>・<B>-<C>間の中央部に縦の構造クラックが存在する。 (イ) 地階擁壁の内部から外部へ貫通しているひび割れについて,エポキシ樹脂注入による補修がなされているが,コールドジョイントや構造クラックに対する補修としては十分ではない。 イ上記認定の事実によれば,地階擁壁の内部から外部へ貫通しているひび割れは瑕疵であると認められる。 (8) 瑕疵10についてア証拠(甲10,鑑定)によれば,次の事実が認められる。 上部鉄骨建物には,国土交通省の認定製品が用いられ,また,同認定どおりに溶接がなされており,不具合な箇所はない。 イ上記認定の事実によれば,上部鉄骨建物の溶接が不完全であるとは認められない。 (9) なお,原告は,①本件建物において,基礎と地中梁とはコンクリートを同時に打設しておりそこで打ち継いだ事実はないから,そこからの漏水の事実はない,②地中梁下の水位が上昇した事実を客観的資料で確認できず,漏水の推定には信憑性がない,③建物左側からの雨水の流入の可能性を否定できないから,地中梁下の水位の上昇 いから,そこからの漏水の事実はない,②地中梁下の水位が上昇した事実を客観的資料で確認できず,漏水の推定には信憑性がない,③建物左側からの雨水の流入の可能性を否定できないから,地中梁下の水位の上昇だけでは地中梁下の漏水は推認できない,④本件建物の建築時以降被告らによりコア抜きがされた平成16年6月まで土面は乾燥状態にあり,同コア抜き以降コア抜き部分からの漏水により浸水していたが,平成18年9月にコア抜きを埋め戻して以降浸水は減少し,現在に至るまで乾燥状態が続いていることから,地中梁下からの漏水はないものと考えるのが相当である,⑤鑑定人の指摘するレイタンスとはコンクリート表面のジャンカであり表面の意匠上の補修で足りる,⑥コールドジョイン トの位置が,鑑定書と鑑定人尋問の結果とで異なっており信憑性が乏しい,⑦鑑定人は型枠崩壊時のコンクリートの打継ぎが原因でその打継ぎ部にコールドジョイントがあると判断しているが,コンクリート打設途中の打継ぎはなかったのであり,鑑定人の判断は誤りである,⑧鑑定人によっても,コールドジョイントが構造強度上問題があるとはされていない,⑨流出したワカメ様のものはコア抜きした部分から流出したグラウトであるが,グラウト使用による止水工事の有効性が否定される理由はない,⑩構造計算については,原告の構造計算が適正である旨主張する。 しかし,①については,原告が基礎及び地中梁のコンクリートを同時に打設したか否かを問わず,地中梁下の水位の変動により漏水が推定されるから,原告の同主張は採用できない。 ②については,鑑定人が,直接,地中梁下の水位の上昇は雨の降る前である平成18年5月15日と降った後である翌16日の水位の比較により確認したものであり,信憑性が高いものというべきであるから,原告の同主張は採用できない。 ③につい 中梁下の水位の上昇は雨の降る前である平成18年5月15日と降った後である翌16日の水位の比較により確認したものであり,信憑性が高いものというべきであるから,原告の同主張は採用できない。 ③については,上記のとおり,漏水は地中梁下の水位の変動により推定されるところ,鑑定人の調査以前に本件建物の正面から見て左側からの雨水の流入があったとは認められないから,原告の同主張は採用できない。 ④については,平成18年9月以降浸水が減少していたとしても,それは地中梁下の水位の変動を否定するものではないから,原告の同主張は採用できない。 ⑤については,鑑定によれば,レイタンスは構造強度上の影響は大きくないものの,外防水でなく内防水である本件建物に関しては防水上の影響を生ずる恐れがあると認められるから,単なる意匠上の補修で足りるものではない。したがって,原告の同主張は採用できない。 ⑥については,鑑定によれば,鑑定人自身の定義として「ひび割れ」とコ ールドジョイントを明確に区別しており,コールドジョイント自体は,鑑定結果報告書図面2/3のA及び鑑定人尋問調書別紙2のAとして同一部分を指していることは明らかであるから,原告の同主張は失当である。 ⑦について,コンクリートの型枠が外れた事実については争いがないところ,鑑定人は通常同部分の補修にかかる時間及び鑑定人尋問調書別紙3の図(別紙図面5)で示された部分の色の違い等からコールドジョイントの存在を推定したもので,その判断は合理的であるといえるから,原告の同主張は採用できない。 ⑧について,鑑定によれば,コールドジョイントの部分もコンクリート強度の圧縮試験上,強度に問題はないが,引っ張り強度に影響を及ぼすおそれがあるほか,将来的に漏水のためコンクリートの中性化が進んで鉄筋がさび,爆裂を起こすおそれがある ジョイントの部分もコンクリート強度の圧縮試験上,強度に問題はないが,引っ張り強度に影響を及ぼすおそれがあるほか,将来的に漏水のためコンクリートの中性化が進んで鉄筋がさび,爆裂を起こすおそれがあることが認められるから,原告の同主張は採用できない。 ⑨について,鑑定によれば,鑑定人自身,本件建物調査時には,グラウトという止水材が使用されていることを知らなかったものの,この止水材をウレタン系の樹脂とみて,樹脂注入孔から漏水と共にその樹脂の一部(わかめ様のもの)が流出していることから,その補修方法が長期的には相当でないと判断したものであることが認められ,その判断は合理的であるから,原告の同主張は採用できない。 ⑩については,原告の構造計算に不備があることは上記(4)で認定のとおりで,鑑定による構造計算は,それ自体合理的であるから,原告の同主張は採用できない。 ,(10) 以上から,瑕疵2ないし9について,瑕疵であると認められるが,特に柱,梁に鉄筋が不足しているところがあるほか,柱と擁壁の接合部の強度が不足していること,地階の小梁に櫛形のコールドジョイントがあること,地階擁壁に内部から外部に貫通しているコールドジョイントがあること,地階 擁壁に内部から外部に貫通している構造クラックがあること,地中梁下からの漏水があり,擁壁全体として,防水,漏水対策が不十分であることは,重大な瑕疵といわざるを得ない。 そして,証拠(鑑定)によれば,本件建物周辺の地形から,本件建物には外防水を前提とした設計を考慮しなければならなかったのに,これを考慮せずに設計したため,擁壁全体として,防水,漏水対策が不十分なものとなっったこと,上記瑕疵を適切に補修することは困難であることが認められる。 ところで,請負契約の目的物が工事途中でも瑕疵がある場合には,注文者は, ため,擁壁全体として,防水,漏水対策が不十分なものとなっったこと,上記瑕疵を適切に補修することは困難であることが認められる。 ところで,請負契約の目的物が工事途中でも瑕疵がある場合には,注文者は,瑕疵の程度や各契約当事者の交渉態度等に鑑み信義則に反すると認められるときを除き,その瑕疵への対応が適切になされるまでは,履行期が到来した報酬についてもその支払いを拒むことができ,これについての履行遅滞の責任を負わないと解するのが相当である。 これを本件においてみるに,上記認定にかかる瑕疵の程度,上記3認定にかかる本件の経緯からすると,原告は,瑕疵への対応を適切にしていないと認められるから,被告らは,履行期が到来した報酬についてもその支払いを拒むことができ,これについての履行遅滞の責任を負わないというべきである。 以上によれば,原告の請求は,その余の点につき判断するまでもなく理由がないからこれを棄却すべきである。 (反訴関係) 反訴請求原因(1)ないし(3)の事実は当事者間に争いがなく,同(5)の事実は当裁判所に顕著である。 本件の経緯及び本件両工事の瑕疵についての認定・判断は,本訴関係3,4に認定のとおりである。 反訴請求原因(4)について上記2の認定事実からすると,本件両工事には重大な瑕疵があり,これを補 修する適切な方法がないことが認められる。 また,同認定事実からすると,被告らは平成12年4月3日の本件事故及びその後の原告の施工方法により本件両工事の構造上の問題及び工事の進行について懸念を抱き,同月21日頃,原告に対し本件両工事の停止を要請したこと,そのため,本件両工事はその頃中断されたこと,被告らと原告は第三者を交えた協議を行うも合意に至らなかったこと,被告らが検討を求めた補修方法について原告が受け入れなかったこと, の停止を要請したこと,そのため,本件両工事はその頃中断されたこと,被告らと原告は第三者を交えた協議を行うも合意に至らなかったこと,被告らが検討を求めた補修方法について原告が受け入れなかったこと,被告らが建築中の建物を撤去して建替えを求めたが,原告は建物の安全性を主張してこれに応じなかったこと,原告は,平成15年9月30日(同年10月1日到達,被告らに対し,本件両請負契)約を解除する旨の意思表示をする一方,被告らも,同年10月14日,原告に対し,本件両請負契約を解除する旨の意思表示をしたこと,本件両工事の竣工時は平成12年7月20日とされていたが,被告らが反訴において本件両契約につき解除の意思表示をした平成17年9月29日にはその竣工時から5年以上が経過していることが認められ,原告の本件両請負契約の工事完成義務は,遅くとも平成17年9月29日までには社会通念上履行不能となったものと認められる。 反訴抗弁について上記2,3の認定事実からすると,被告らは,D建築士及びE弁護士を選任し,原告と本件両工事の進行方法等についての協議を行ったり,F教授の意見を得て再度協議を行うなどし,また,中央建設工事紛争審査会に調停を申請し,調停が進められたが,それらの協議及び調停によっては原告と被告らとの間に工事の進行方法についての合意が得られなかったこと,被告らの工事中止の指示から履行不能となったときまでに5年以上が経過していることが認められるが,本件両工事には,①柱,梁に鉄筋が不足しているところがあるほか,柱と擁壁の接合部の強度が不足している,②地階の小梁に櫛形のコールドジョイントがある,③地階擁壁に内部から外部に貫通しているコールドジョイントがある, ④地階擁壁に内部から外部に貫通している構造クラックがある,⑤地中梁下からの漏水があり,擁 梁に櫛形のコールドジョイントがある,③地階擁壁に内部から外部に貫通しているコールドジョイントがある, ④地階擁壁に内部から外部に貫通している構造クラックがある,⑤地中梁下からの漏水があり,擁壁全体として,防水,漏水対策が不十分であるなどの重大な瑕疵があること,上記協議及び調停が不調に終わり,5年以上の長期にわたって工事が中断したのは,原告が建物の安全性を強固に主張し被告らの補修方法の検討の要請や建替えの要請に応じようとしなかったことによるところが大きいと認められるから,原告には上記履行不能につき帰責性がないとはいえない。 反訴請求原因(6)について履行不能による損害賠償は,原則として,目的物に代わる損害の賠償(填補賠償)となると解される。 本件新築工事請負契約の履行不能による填補賠償の額は,少なくともその請負代金額の4830万円を下回るものではないと認められるから,被告Aについてはその4830万円の2分の1である2415万円から未払いの請負代金額の2分1である2315万円を控除した100万円につき,損害を被り,被告Bについてはその4830万円の2分の1である2415万円から未払いの請負代金額の2分1である2315万円を控除した100万円につき,損害を被ったと認められる。 本件車庫工事請負契約の履行不能による填補賠償の額は,少なくともその請負代金額の3202万5000円を下回るものではないと認められるから,被告観音寺についてはその3202万5000円から未払いの請負代金額である3002万5000円を控除した200万円につき,損害を被ったと認められる。 その余の損害については,原告が同金額以上の請求をしていないから,あえて判断する必要がない。 以上によれば,被告Aの反訴請求は,本件住居部分の収去,100万円及びこれに対する たと認められる。 その余の損害については,原告が同金額以上の請求をしていないから,あえて判断する必要がない。 以上によれば,被告Aの反訴請求は,本件住居部分の収去,100万円及びこれに対する平成17年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員の 支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は棄却すべきである(なお,本件新築工事請負契約の解除は,本件車庫部分の収去を求める根拠とはならないし,また,本件土地の明渡を求める根拠ともならない。 。)被告Bの反訴請求は,本件住居部分の収去,100万円及びこれに対する平成17年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は棄却すべきである(なお,本件新築工事請負契約の解除は,本件車庫部分の収去を求める根拠とはならないし,また,本件土地の明渡を求める根拠ともならない。 。)被告観音寺の反訴請求は,本件車庫部分の収去,200万円及びこれに対する平成17年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は棄却すべきである(なお,本件車庫工事請負契約の解除は,本件住居部分の収去を求める根拠とはならないし,また,本件土地の明渡を求める根拠ともならない。 。)(結論)よって,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第6部裁判長裁判官内田計一裁判官安田大二郎裁判官高橋正典
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