平成14(行ウ)69 構造変更検査及び登録不処分取消請求,外

裁判年月日・裁判所
平成15年10月1日 東京地方裁判所
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判決文本文36,787 文字)

平成15年10月1日判決言渡平成14年(行ウ)第69号構造変更検査及び登録不処分取消請求事件(以下「第1事件」という。)平成14年(行ウ)第358号損害賠償請求追加的併合事件(以下「第2事件」という。)判決第1、第2事件原告 A第1事件被告国関東運輸局東京陸運支局長承継人第1事件被告関東運輸局東京運輸支局長第2事件被告 B 主文 1 第1事件被告東京運輸支局長が、平成14年2月5日、第1事件原告車両(練馬800さ1994)についてした自動車検査証への変更事項の記入申請拒否処分を取り消す。 2 第1事件原告の第1事件被告らに対する平成13年4月6日付け国自技第50号「自動車の用途等の区分について(依命通達)の細部取扱いについて」が無効であることの確認を求める訴えを、いずれも却下する。 3 第1事件被告国は第1事件原告に対し、金10万円及びこれに対する平成14年2月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 第1、第2事件原告の第1事件被告国に対するその余の請求、及び、第2事件被告に対する請求を、いずれも棄却する。 5 訴訟費用のうち、第1、第2事件原告に生じた費用は第1事件被告らの負担とし、第1事件被告ら及び第2事件被告に生じた費用は各自の負担とする。 6 この判決は、第3項に限り、この判決が第1事件被告国に送達された日から14日を経過した時は、仮に執行することができる。但し、第1事件被告国が金10万円の担保を供するときは、この仮執行を免れることができる。 事実及び理由 第1 から14日を経過した時は、仮に執行することができる。但し、第1事件被告国が金10万円の担保を供するときは、この仮執行を免れることができる。 事実及び理由 第1 請求1(1) 主位的請求主文1項同旨(2) 予備的請求第1事件原告と第1事件被告らとの間で、平成13年4月6日付け国自技第50号「自動車の用途等の区分について(依命通達)の細部取扱いについて」が無効であることを確認する。 2 第1事件被告国と第2事件被告は、第1、第2事件原告に対し、連帯して、金75万円及びこれに対する平成14年2月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は、第1、第2事件原告(以下、単に「原告」という。)が、東京陸運支局(現東京運輸支局)練馬自動車検査登録事務所(以下「練馬事務所」という。)において、自己が所有・使用する自動車の自動車検査証記載事項である車体の形状につき放送中継車から教習車への変更があった(用途はいずれも特殊である。)として、その旨の自動車検査証の記入申請をしたところ、都道府県警察本部から交付される指定自動車教習所路上教習用自動車証明書又は指定外自動車教習所路上教習用自動車証明書の写し(以下「本件証明書」という。)が未提出であることを理由に記入申請が拒否されたのは違法であるとして、当該記入申請拒否処分(以下「本件処分」という。)を行った第1事件被告関東運輸局東京運輸支局長(以下「被告支局長」という。)に対し、その取消しを求め、予備的請求として、第1事件被告国(以下、単に「被告国」という。)及び被告支局長に対し、平成13年4月6日付け国自技第50号「自動車の用途等の区分について(依命通達)の細部取扱いについて」(以下「細部取扱通達」という。 事件被告国(以下、単に「被告国」という。)及び被告支局長に対し、平成13年4月6日付け国自技第50号「自動車の用途等の区分について(依命通達)の細部取扱いについて」(以下「細部取扱通達」という。)の無効確認を求め、併せて、自動車検査証の記入のための構造等変更検査を実施した自動車検査官である第2事件被告B(以下、単に「被告B」という。)個人及び被告国に対して、連帯して、本件処分により受けた損害(慰謝料等)の内金を一部請求として求めた事案である。 1 争いのない事実等(なお、証拠により認定した事実については、末尾に括弧書きで証拠を掲示した。)(1) 事実経過等ア原告は、平成14年2月5日、練馬事務所において、原告が所有・使用する練馬800さ1994(以下「本件車両」という。)につき、車体の形状が放送中継車から教習車に変更された(用途はいずれも特殊である。)として、被告支局長に対し、自動車検査証の記入申請(以下「本件申請」という。)をした(甲3)。 イ本件車両の自動車検査証の有効期限は、平成14年3月5日であった。 ウ本件車両の使用の本拠の位置は、東京都杉並区であった(甲3)。 (2) 法令、通達等の規定の内容ア自動車検査証に記載すべき事項は、国土交通省令で定めることとされている(道路運送車両法(平成14年法律第54号による改正前のもの。以下「車両法」という。)58条2項)。 また、自動車の使用者は、自動車検査証の記載事項について変更があったときは、その事由があった日から15日以内に、当該事項の変更について、国土交通大臣が行う自動車検査証の記入を受けなければならないとされている(車両法67条1項)。国土交通大臣は、この変更が、国土交通省令で定める事由に該当する場合において、保安基準に適合し について、国土交通大臣が行う自動車検査証の記入を受けなければならないとされている(車両法67条1項)。国土交通大臣は、この変更が、国土交通省令で定める事由に該当する場合において、保安基準に適合しなくなるおそれがあると認めるときは、当該自動車が保安基準に適合するかどうかについて、これを提示して構造等変更検査を受けるべきことを命じなければならないとされている(車両法67条3項)。そして、国土交通大臣は、構造等変更検査の結果、当該自動車が保安基準に適合すると認めるときは、当該自動車検査証に当該事項及び記入日を起算日として同法61条の区分に従って定まる新たな有効期間を記入して、これを当該自動車の使用者に返付し、当該自動車が保安基準に適合しないと認めるときは、当該自動車検査証を当該自動車の使用者に返付しないものとするとされている(車両法67条4項、62条2項)。 なお、保安基準とは、国土交通省令で定める保安上又は公害防止上の技術基準をいう(車両法40条ないし42条)。 そして、車両法67条に規定する国土交通大臣の権限は、同法105条1項、道路運送車両法施行令(平成14年号外政令第200号による改正前のもの。以下「施行令」という。)9条1項1号によって自動車の使用の本拠の位置を管轄する地方運輸局長に委任され、さらに、車両法105条2項、施行令9条2項3号によって自動車の使用の本拠の位置を管轄する陸運支局長に委任されていた。 その後、平成14年法律第54号により、陸運支局長の名称が運輸支局長と改められるとともに、同法28条により、それまでに陸運支局長がした処分等は運輸支局長がしたものとみなされることとなった。 イこれらを受けて、道路運送車両法施行規則(平成14年号外国土交通省令第80号による改正前のもの。以下「施 、それまでに陸運支局長がした処分等は運輸支局長がしたものとみなされることとなった。 イこれらを受けて、道路運送車両法施行規則(平成14年号外国土交通省令第80号による改正前のもの。以下「施行規則」という。)35条の3は、自動車検査証に記載すべき事項として、車体の形状(9号)や用途(14号)などを定めている。 また、施行規則38条8項は、車両法67条3項に定める変更事由として、車体の形状(3号)や用途(7号)などを定めている。 ウまた、昭和35年9月6日付け自車第452号「自動車の用途等の区分について(依命通達)」(平成13年4月6日付け国自技第49号による改正後のもの。以下「用途区分通達」という。)は、施行規則35条の3第14号の自動車の用途の分類につき、同通達のとおり区分して取り扱うべきことを、自動車局長名で求めている。この中では、教習車などの特殊用途自動車等は、主たる使用目的が特殊である自動車であって、主たる使用目的遂行に必要な構造及び装置を有し(車枠又は車体に、特殊な目的遂行のための設備がボルト、リベット、接着剤又は溶接により確実に固定されているものをいう。なお、蝶ねじ類、テープ類、ロープ類、針金類、その他これらに類するもので取り付けられた設備は、確実に固定されているものに該当しないものとする。)、かつ、4-1-1項、4-1-2項又は4-1-3項のいずれか1つに該当するものであることなどと定められている(4-1項)。そして、4-1-2項は、法令等で特定される事業を遂行するための自動車につき、使用者の事業が法令等(法律、政令、府令、省令及びこれらの規定に基づく告示並びに地方自治体が定める条例をいう。)の規定に基づき特定できるもので、その特定した事業を遂行するために専ら使用する自動車であって、以下の車体の形 (法律、政令、府令、省令及びこれらの規定に基づく告示並びに地方自治体が定める条例をいう。)の規定に基づき特定できるもので、その特定した事業を遂行するために専ら使用する自動車であって、以下の車体の形状毎に別途定める構造上の要件に適合する設備を有するものをいうと規定し、その車体の形状の1つとして教習車を定めている(以上、甲17)。 エ用途区分通達に規定する自動車の用途等の区分を定量的に判断するに当たって必要な事項を定めるために同通達の委任(6項)を受けて策定された細部取扱通達は、自動車交通局技術安全部長名で、用途区分通達に基づく特殊用途自動車等の車体の形状毎の構造要件等の細部取扱いを定めている。この中では、教習車の構造要件として、「道路交通法第98条の自動車教習所又は同法第99条の指定自動車教習所において使用し、かつ、専ら自動車の運転に関する技能の検定又は教習の用に供する自動車、又は道路交通法第108条の4第1項に定める指定講習機関において使用し、かつ、初心者に対し運転について必要な技能の講習の用に供する自動車であって、助手席にて操作できる補助ブレーキを有するものをいう。」と定め、また、「留意事項」として、「自動車教習所又は指定自動車教習所において使用する自動車については、使用者から都道府県警察本部に対して教習用自動車の証明願いをした場合、都道府県警察本部は、所定の事実確認をした後、使用者に対し指定自動車教習所路上教習用自動車証明書又は指定外自動車教習所路上教習用自動車証明書を交付することとなっているので、これらの証明書の写しの提出を求めるものとする。」と規定している(以上、甲10、11、17)。 2 争点本件の主要な争点は、(1) 本件処分の存否(2) 本件処分の違法性(3) 細部取扱通達の無効確認の訴 るものとする。」と規定している(以上、甲10、11、17)。 2 争点本件の主要な争点は、(1) 本件処分の存否(2) 本件処分の違法性(3) 細部取扱通達の無効確認の訴えの適法性(4) 細部取扱通達の無効原因(5) 被告国の責任原因(6) 被告Bの責任原因(7) 原告の損害額の各点である。 3 当事者の主張本件各争点に関する当事者の主張は次のとおりである。 (1) 争点(1)(本件処分の存否)についてア原告の主張本件申請に対し、被告支局長は、本件証明書が未提出であることを理由に、本件処分を行ったものである。 被告らは、原告が本件申請を撤回したかのごとく主張するが、本件処分を受けたことは、その際の状況を録音したテープが存在することからも明らかである。 また、本件申請の受付時に、被告支局長は、本件申請の記載自体から「車体の形状」の「教習車」への変更事項であることを特定しており、故に受付時に構造等変更検査命令が出されたのであり、その分の印紙も消印が押され、各種の検査も行われていたのであるから、本件処分が存在しないなどということはありえない。 そして、本件処分により、原告は、自動車の運行ができず、保険、自動車税が割高になるといった不利益を受けている。よって、本件処分が処分性を有することもまた明らかである。 イ第1事件被告らの主張本件処分は存在しない。原告は、本件申請後、これに対する処分が出される前に、本件申請を自ら撤回したものである。 すなわち、自動車検査証の記入申請においては、運輸支局長は、施行規則38条8項1号ないし9号の各事項に該当する場合において、当該自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある たものである。 すなわち、自動車検査証の記入申請においては、運輸支局長は、施行規則38条8項1号ないし9号の各事項に該当する場合において、当該自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがあると認めるときは、構造等変更検査を受けることを命じなければならず、その前提として、変更事項を、自動車の使用者の申請にかかわらず客観的に特定する必要がある。 本件申請は、車体の形状が教習車に変更されたという申請であるから、当該自動車が教習車、すなわち「自動車教習所における教習を遂行するために専ら教習車として使用される自動車」であると認められることが必要であり、それを確認する1つの方法として、本件証明書の提出を求めたものである。変更事項が特定されてはじめて、当該変更事項が施行規則38条8項1号ないし9号の各事項に該当するか否か、また、当該自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがあるか否かについて判断することとなる。 本件申請は形式的記載事項を具備していたが、原告は、変更事項の特定前に、本件車両につき一般的検査を受検した。その後に、被告支局長は、変更事項の特定のため、補助ブレーキの装着の有無を確認したところ、本件車両には、いわゆる教習車に装着されている一般的な補助ブレーキとは全く異なる補助ブレーキ様の物が設置されていた。被告支局長は、かかる補助ブレーキ様の物の性能を精査することはさておき、本件申請にかかる変更事項を特定するために、本件車両が「自動車教習所における教習を遂行するために専ら教習車として使用される自動車であること」を確認するための書面の提出を促すこととし、その一例である本件証明書の提出を促した。そうすると、原告は、本件証明書の提出の必要はなく、自動車教習所の届出書の写し(以下「本件届出書の写し」という。)を所持していると 書面の提出を促すこととし、その一例である本件証明書の提出を促した。そうすると、原告は、本件証明書の提出の必要はなく、自動車教習所の届出書の写し(以下「本件届出書の写し」という。)を所持しているとして、被告支局長に対し、直ちに構造等変更検査の合否の判定(総合判定)及び自動車検査証への記入をするよう求めた。被告支局長は、本件届出書の写しによって、本件車両が「自動車教習所における教習を遂行するために専ら教習車として使用される自動車」であると認めることができるかどうか検討したが、本件届出書の写しは、原告の自書にて「本書は平成13年11月29日受理された原本写しに相違ありません。」と記載されているのみであり、真実、自動車教習所の届出として受理されたものであることさえ明らかでないのみならず、仮に正式に受理されたものであったとしても、本件届出書の写しでは、原告が届出自動車教習所たる地位を有することは分かっても、本件車両の使用実態は全く分からず、本件車両が「自動車教習所における教習を遂行するために専ら教習車として使用される自動車」であるかどうかは不明であったから、未だ、本件申請にかかる変更事項の特定ができなかった。そこで、被告支局長は、原告に対し、本件申請にかかる変更事項を特定することすらできていなかったことから、自動車検査証の記入をすることはできないと説明した。原告は、被告支局長の説明に納得せず、記入を求め続けたものの、結局、急いでいるので、直ちに記入しないのであれば申請書類等を返還してほしい旨述べたため、被告支局長が自動車検査証を含む書類一式を返還したところ、原告はこれを持ち帰った。 本件申請に応じた記入がなされるためには、変更事項の特定がなされた後、省令該当性の判断、保安基準に適合しなくなるおそれの有無の判断がなされ、これらが肯定 たところ、原告はこれを持ち帰った。 本件申請に応じた記入がなされるためには、変更事項の特定がなされた後、省令該当性の判断、保安基準に適合しなくなるおそれの有無の判断がなされ、これらが肯定されてはじめて、被告支局長は、構造等変更検査を受けるべきことを命じ、構造等変更検査を実施し、保安基準適合性の有無を判断するという過程を経る必要があったものである。しかしながら、原告は、その過程を経ることなく、未だ手続の途中の段階で申請書類等の返還を求めてこれを持ち帰ったものであって、これを法的にみると、原告は本件申請を撤回したものというべきである。 (2) 争点(2)(本件処分の違法性)についてア第1事件被告らの主張(ア) 要件事実、立証責任及び処分理由の差し替えa 要件事実「車体の形状」を「教習車」に変更する自動車検査証の記入のための要件としては、①当該自動車の車体の形状が教習車に変更したこと、及び、②当該自動車が保安基準に適合すること、が必要である。 b 処分理由の差し替えこれらの要件は、両者不可分一体のものとして保安基準適合性の要件として判断されるものであり、本件処分がいずれを理由とするものであっても、根拠法条や処分類型、処分の効果に差異はないことを併せ考えると、①又は②のいずれの要件を充足しないとしてなされた記入申請拒否処分も同じ1つの行政処分であるというべきである。よって、本件においては、①と②との間で、いわゆる処分理由の差し替えが許されるものというべきである。 c 立証責任有効な自動車検査証の交付は当該自動車を運行の用に供するための法律上の要件とされており、記入申請に基づき、自動車検査証に有効期間等を記入して、これを使用者に返付する処分は c 立証責任有効な自動車検査証の交付は当該自動車を運行の用に供するための法律上の要件とされており、記入申請に基づき、自動車検査証に有効期間等を記入して、これを使用者に返付する処分は、いわゆる授益処分に該当すると解されるところ、一般に、授益処分の拒否の取消しを求める訴訟においては、申請許可要件に該当する事実についての立証責任は原告が負うと解されていること、車両法67条4項、59条3項は、国土交通大臣は、構造等変更検査を受けようとする者に対し、当該自動車にかかる点検及び整備に関する記録の提示を求めることができるとし、施行規則38条1項、36条1項は、使用者の氏名若しくは名称又は住所の変更を事由とする自動車検査証の記入の申請をする場合には、記入申請をする者は、当該自動車の使用者の住所を証するに足りる書面を提出しなければならないとし、また、施行規則38条2項も同様に、記入申請をする者は必要な書面を提出しなければならないとして、申請者に立証責任を課していることからすれば、本訴において、本件申請にかかる本件車両の「用途」が「特種」、「車体の形状」が「教習車」であること及び本件車両が保安基準に適合することの主張立証責任は、いずれも原告にあるものと解すべきである。 (イ) 処分の要件a 当該自動車の車体の形状が教習車に変更したこと(a) 要件当該自動車の車体の形状が教習車に変更したといえるためには、当該自動車が自動車教習所における教習を遂行するために専ら教習車として使用される自動車であり、助手席にて操作できる補助ブレーキが装着されている自動車であることが必要であるから、単に、構造上、助手席にて操作できる補助ブレーキを有するものであるだけでは足りない。 (b) 地 であり、助手席にて操作できる補助ブレーキが装着されている自動車であることが必要であるから、単に、構造上、助手席にて操作できる補助ブレーキを有するものであるだけでは足りない。 (b) 地位、使用目的及び使用態様の考慮用途区分通達は、自動車検査証に記載すべき「用途」として、「乗用」「乗合」「貨物」及び「特種」の4種類を定め、「特種」用途自動車については、①専ら緊急の用に供するための自動車、②法令等で特定される事業を遂行するための自動車、③その他の特種な目的に専ら使用するための自動車に分類している。なお、「用途」とは使用の道、使いみち、用いどころを意味するから、当該自動車の「用途」とは当該自動車の使いみちを意味する。 また、用途区分通達における、「特種」用途自動車についての「用途」と「車体の形状」の関係は、「用途」の細目として「車体の形状」が定められている関係、換言すれば、大分類としての「用途」に対応する形で、小分類としての「車体の形状」が定められているという関係にある。よって、「車体の形状」は、「用途」すなわち使いみちを考慮した概念であるといえる。例えば、警察車としての形状を有する自動車も、所有者が警察関係者でなかったり、警察関係者であっても全く私的な車両として使用するのであれば、当該自動車の「車体の形状」は「警察車」ではなく、その「用途」を「特種」とすることもできないことになるのである。 このように、「車体の形状」は、「用途」の小分類であるから、「用途」すなわち使いみちを考慮してこれを判定する必要があり、結局、当該車両の使用者の地位や使用目的、当該車両の使用態様を正確に把握し、判定することが必要なのである。 (c) 地位、使用目的及び使用態様を考慮しないこ 定する必要があり、結局、当該車両の使用者の地位や使用目的、当該車両の使用態様を正確に把握し、判定することが必要なのである。 (c) 地位、使用目的及び使用態様を考慮しないことの弊害「特種」用途自動車については、自動車税や自動車損害賠償責任保険の料率適用において優遇措置がとられており、「特種」の用途としての使用目的も使用実態もないのに、用途を「特種」として申請し、その旨自動車検査証に記入させるという事態は、社会問題となっていた。そこで、自動車の使用目的や使用態様を正確に把握し、これに基づいて当該車両の「用途」を適正に判断し、これを自動車検査証に記入することで、「用途」の実体を自動車検査証に反映させ、もって当該自動車の保安基準適合性を適正に判断するとの目的から、平成13年4月6日付けで用途区分通達及び細部取扱通達が定められ、「用途」の判断における従来の取扱いが、車両法及び施行規則の本来の趣旨により合致するように改正されたものなのである。 (d) 細部取扱通達の法適合性用途区分通達は、その規定する自動車の用途等の区分を定量的に判断するに当たって必要な事項を細部取扱通達で定めるとし(6項)、細部取扱通達は、用途区分通達が「特種」用途自動車とする「法令等で特定される事業を遂行するための自動車」について、「使用者の事業等を特定するための書面」の提出を促すこととしている。 すなわち、用途区分通達が「特種」用途自動車とする「法令等で特定される事業を遂行するための自動車」とは、「特種」な「用途」のうち、「法令等で特定される事業を遂行する」という「用途」を1つの類型としたものである。そして、「法令等で特定される事業を遂行する」という「用途」であると判断するた 動車」とは、「特種」な「用途」のうち、「法令等で特定される事業を遂行する」という「用途」を1つの類型としたものである。そして、「法令等で特定される事業を遂行する」という「用途」であると判断するためには、①使用者の事業が法令等の規定に基づき特定できるものであること、②その特定した事業を遂行するために専ら使用される自動車であること、③「教習車」などの車体の形状毎に別途定める構造上の要件に適合する設備を有するものであることが必要とされている。 前記①を判定する資料として、細部取扱通達は、一般的に「使用者の事業等を特定する書面」の提出を促すこととしている。 そして、「教習車」は、「車体の形状」であり、かつ、「特種」な「用途」の具体的な類型であるところ、自動車の用途が教習であるとは、当該自動車の使いみちが教習であることであり、その判断においては、まず、構造上、助手席にて操作できる補助ブレーキを有するものであることが必要である。これは、「教習車」という「車体の形状」毎に定められた構造上の要件に適合する設備を有するものであることという要件に対応するものである。しかしながら、助手席にて操作できる補助ブレーキを有するからといって、これのみでは当該自動車の用途が教習とはいえない。助手席にて操作できる補助ブレーキを有するからといって、「教習車」以外の使いみちができないわけではないからである。特に「教習車」は、構造上は、補助ブレーキを有する点のみが特徴であり、これ以外は、外観上はもとより、内部構造上も「乗用車」と何ら区別できない。そうすると、自動車の「車体の形状」を「教習車」と認定するに当たっては、「乗用車」等と区別するために、当該自動車が「自動車教習所における教習を遂行するために専ら教習車として使用される自動車」であると認 すると、自動車の「車体の形状」を「教習車」と認定するに当たっては、「乗用車」等と区別するために、当該自動車が「自動車教習所における教習を遂行するために専ら教習車として使用される自動車」であると認められることが必要である。 細部取扱通達の留意事項で、本件証明書の提出を求めているのは、使用者が都道府県警察本部に対して教習用自動車の証明願いをした場合、都道府県警察本部が、所定の事実確認をした後、使用者に対し指定自動車教習所路上教習用自動車証明書又は指定外自動車教習所路上教習用自動車証明書を交付することを前提にして、本件証明書の提出が、①使用者の事業が自動車教習所であること、及び、②当該自動車が自動車教習所における教習を遂行するために専ら教習車として使用される自動車であること、の双方の要件を簡易に証明できる手段であるからである。しかしながら、細部取扱通達は、本件証明書の提出を必須の要件とする趣旨ではなく、当該申請にかかる車両が、「自動車教習所における教習を遂行するために専ら教習車として使用される自動車であること」を証するに足りる書面が提出され、運輸支局長において、当該車両の「車体の形状」が「教習車」であることが確認できれば、他の書面でも何ら問題はないものである。 原告は、細部取扱通達は構造上の要件しか定めてはならないのに、留意事項として構造上の要件以外の事項を定めており、これは用途区分通達に適合しないから無効である旨主張するが、用途区分通達は、6項において、自らが規定する自動車の「用途」の区分を定量的に判断するに当たって必要な事項を細部取扱通達において定めることとしているのであり、用途区分通達は「用途」の判断における構造上の要件に限定して細部取扱通達において定めることとしているわけではない。 て必要な事項を細部取扱通達において定めることとしているのであり、用途区分通達は「用途」の判断における構造上の要件に限定して細部取扱通達において定めることとしているわけではない。 また、本件において、原告は、被告支局長に対し、本件届出書の写しを示したが、これは本件車両が「自動車教習所における教習を遂行するために専ら教習車として使用される自動車であること」を証する書面とはいえない。自動車教習所の届出書の写しは、単に原告が法律上届出自動車教習所たる地位を有することを証するにすぎず、本件車両が「自動車教習所における教習を遂行するために専ら教習車として使用される自動車」であることを証するものではないからである。 (e) 助手席にて操作できる補助ブレーキの有無本件車両には「助手席にて操作できる補助ブレーキ」が装着されてはいなかった。 すなわち、本件車両に装着されたものは、運転者席用ブレーキペダルの根元に、U字型の固定金具を用いてボルトで固定された1メートル弱の棒が取り付けられ、その棒がシフトレバーとサイドブレーキの間まで伸びているというものであって、通常、「教習車」として使用されている車両に装着されている補助ブレーキとは全く異なるものであった。このような補助ブレーキ様の物が装着されているからといって、本件車両が「教習車」の「車体の形状」を有しているといえないことは明らかであり、結局、本件申請は「車体の形状」が「教習車」に変更されたというものではない。 b 当該自動車が保安基準に適合すること(a) 車両法41条等の委任を受けた保安基準(昭和26年7月28日運輸省令第67号。以下「保安基準規則」という。)には助手席にて操作できる補助ブレーキの要件 に適合すること(a) 車両法41条等の委任を受けた保安基準(昭和26年7月28日運輸省令第67号。以下「保安基準規則」という。)には助手席にて操作できる補助ブレーキの要件に関する規定はないが、これは、車両法及び保安基準規則に教習車という車体の形状自体に関する規定がないからにすぎない。車両法及び保安基準規則の趣旨に照らせば、教習車も自動車教習という点を離れれば、通常の自動車であるから、通常の自動車として、構造及び装置が運行に十分堪え、操縦その他の使用のための作業に安全であるとともに、通行人その他に危害を与えないことを確保するものでなければならず(保安基準規則10条、21条1項)、かつ、これにより製作者又は使用者に対し、不当な制限を課することとなるものであってはならないものである。したがって、教習車の要件としては補助ブレーキを有することが必要であるが、それだけでなく、補助ブレーキが運転者の運転操作を妨げるものでないことが必要である。 また、自動車教習においては、運転者の運転技術が未熟であることが前提とされており、教習車は、運転者がその運転技術の未熟さ故に惹起する可能性のある事故を防止することができるものでなければならないところ、事故を防止し得る者は同乗している指導員をおいてほかにないのであるから、主ブレーキとは別に、同乗している指導員が操作することのできるブレーキ、すなわち補助ブレーキが必要であるとされている。そうすると、教習車の要件としての補助ブレーキは、それ自体が制動装置の保安基準に適合するものでなければならないと解される。車両法41条4号は制動装置が保安基準規則に適合するものでなければならない旨規定し、同条を受けて、保安基準規則12条が制動装置の保安基準について規定している。 ばならないと解される。車両法41条4号は制動装置が保安基準規則に適合するものでなければならない旨規定し、同条を受けて、保安基準規則12条が制動装置の保安基準について規定している。 さらに、教習車には、助手席に着座した指導員が、危険を認識した際に、運転者の意思とは無関係に、直ちにブレーキ操作を行うことができることが求められることとなるが、主ブレーキは運転者席の足元にあるのが通常であって、指導員がこれを直接操作することは不可能である。よって、教習車に装着されるべき補助ブレーキは、助手席にて操作できることが必要であるとされているのである。 以上によれば、教習車の保安基準としては、補助ブレーキを有することが必要であるところ、これは、①力点が助手席に存し、指導員が、助手席において、無理なく的確に操作することができ、②制動装置の保安基準に適合するものであり、かつ、これによって、③運転者の運転操作が妨げられないものであることが必要である。細部取扱通達にいう「助手席にて操作できる補助ブレーキ」はこのような意義を有するものであると解すべきである。 (b) これを本件についてみると、そもそも本件車両に装着された補助ブレーキ様の物は、主ブレーキを押すだけのものであるから、それは主ブレーキにほかならない。また、本件車両に装着されていた補助ブレーキ様の物は、本件検証の際に装着されていたものと異なり、上記①ないし③の点をいずれも満たさないものであったが、本件検証時に装着されていたものについても、まず、①については、力点がシフトレバーより運転者席側にあって、助手席にはないし、操作部が固定されていないことや走行中にブレーキをかけることにより体勢が崩れること、あるいは主ブレーキを踏もうとする運転者の足とステッキ部が交錯したり レバーより運転者席側にあって、助手席にはないし、操作部が固定されていないことや走行中にブレーキをかけることにより体勢が崩れること、あるいは主ブレーキを踏もうとする運転者の足とステッキ部が交錯したりすることによって、安定的に力を加えることができない可能性が高く、指導員が、助手席において、無理なく的確に操作し得るものとは到底いえるものではない。次に、②については、手で押す力と足で踏む力とを比較した場合後者の方が強いだけでなく、補助ブレーキ様の物は、力のかかる方向がブレーキペダルに対して垂直ではなく、上下・左右にそれぞれ一定の角度を有していることから、ブレーキペダルに及ぶ力は、力点に加えられた力よりも減少することとなる。補助ブレーキ様の物の場合、同一の制動力を発揮するためには、通常の約1.6倍の操作力が必要であり、その制動効率は、運転者席の主ブレーキによるそれと比較して、すべての点において劣っていることが認められる。また、前記のとおり、停止距離とは空走距離と制動距離の合計であるところ、補助ブレーキ様の物の場合は操作部が固定されていないこともあって空走の時間は通常のブレーキ操作で想定されている0.1秒を超えるものと推認される。さらに、指導員が、補助ブレーキ様の物と同時にハンドルを操作する必要がある場合であっても、双方を同時に操作することはできず、いずれかを選択せざるを得ないこととなる。このように、補助ブレーキ様の物によりブレーキをかけた場合の停止距離が22メートル以内にとどまるということはできず、補助ブレーキ様の物が制動装置の保安基準に適合するものであるか否かは明らかではない。さらに、③については、運転者がブレーキペダルを踏もうとする際、補助ブレーキ様の物のブレーキペダルヘの取付部に阻まれてブレーキペダルを踏み外すおそれがあるなど極めて危 のであるか否かは明らかではない。さらに、③については、運転者がブレーキペダルを踏もうとする際、補助ブレーキ様の物のブレーキペダルヘの取付部に阻まれてブレーキペダルを踏み外すおそれがあるなど極めて危険であるし、また、ステッキ部が運転者の肘に当たったり、シフトレバーやサイドブレーキの操作を著しく妨げたりするものであり危険であるといわざるを得ない。 以上によれば、本件車両に装着された補助ブレーキ様の物は、「助手席にて操作できる補助ブレーキ」とはいえず、車両法及び保安基準規則の規定並びにその趣旨・目的に合致せず、したがって、本件車両が保安基準適合性を有しないことは明らかである。 (c) なお、本件では、原告は、自動車検査官が自動車検査票裏面に「補助ブレーキ確認済」と記載したことによって、補助ブレーキ様の物を含む本件車両の保安基準適合性が認められたものであると主張するが、そもそも保安基準適合性は、各部の検査が終了した後、別の自動車検査官により総合判定がされて初めて認められるものであって、各部の検査は、総合判定の前提となる準備的判断にすぎないから、この時点で、保安基準適合性が認められるわけではない。また、当該自動車検査官は、自動車教習において、運転技術の未熟な運転者が危険な運転をし、助手席の指導員が急制動が必要だと判断したときに、本件車両の補助ブレーキ様の物では、十分な制動力は期待できないのではないか、また、これを操作する際に、運転者の運転操作の妨げになるのではないかという疑問を有していたものである。にもかかわらず、「補助ブレーキ確認済」と記載したのは、保安基準を念頭に置いてその適合性を肯定したものではなく、原告の強い求めがあったため、補助ブレーキ様の物が存在することを確認した旨を記載せざるを得ない状況にあったものに レーキ確認済」と記載したのは、保安基準を念頭に置いてその適合性を肯定したものではなく、原告の強い求めがあったため、補助ブレーキ様の物が存在することを確認した旨を記載せざるを得ない状況にあったものにすぎない。 イ原告の主張(ア) 本件処分の違法事由としての無効な細部取扱通達の適用本件処分は、車体の形状を教習車に変更するにつき、車両法が予定しない、自動車教習所たる地位、当該車両が専ら教習の用に供されるといった使用目的のような、車体の形状とは無関係な要件を要求する無効な用途区分通達及び細部取扱通達に依拠している点で違法である。 a 細部取扱通達の無効原因(a) 本件処分は細部取扱通達により教習車の構造要件の留意事項として定められた本件証明書が未提出であることを根拠になされたものであるところ、そもそも、かかる細部取扱通達は、法が認めた通達ではなく、告示もなく、自動車交通局技術安全部長が出したものにすぎず、同部長にはかかる通達を定める権限もないから、無効である。 (b) 用途区分通達は、教習車などの特殊用途自動車につき、「車体の形状毎に別途定める構造上の要件に適合する設備を有するもの」と規定している。かかる用途区分通達自体も無効である上に、細部取扱通達は、構造要件(構造上の設備要件)以外の、自動車教習所又は講習機関であるという、構造ではなく「地位」に相当する事項を構造要件と定めており、また、自動車教習所において使用し、かつ、専ら自動車の運転に関する技能の検定又は教習の用に供する自動車、又は指定講習機関において使用し、かつ、初心者に対し運転について必要な技能の講習の用に供する自動車といった「使用目的」、本件証明書などの「添付書類」を要求している点で、用途区分通達に反し、無効である。 定講習機関において使用し、かつ、初心者に対し運転について必要な技能の講習の用に供する自動車といった「使用目的」、本件証明書などの「添付書類」を要求している点で、用途区分通達に反し、無効である。 (c) 教習所は何ら許可や届出がいらず誰でも開業できる上、補助ブレーキを装着していればいいのであれば、教習車自体を分類する必要はなく、外観上、乗用車と区別できないにもかかわらず、使用目的で教習車の分類を設ける通達は合理性を欠き違法である。 また、道路交通法は同法以外の自動車教習所を認めているから、細部取扱通達で、同法上の自動車教習所だけを「地位」と定めることも違法である。 (d) 登録時に専ら使用する用途が何であれ、実際の使用用途は何に使用しても法的にもモラル的にも何ら問題はない。車両法は、安全性の確保及び公害の防止を図るという目的のために当該自動車が保安基準に適合するか否かを確認するとしながら、「教習車」に関する細部取扱通達は、道路交通法上の地位を確認しているにすぎず、同通達は車両法の趣旨に反している。 (e) 車両法46条は、保安上又は公害防止その他の環境保全上の技術基準は道路運送車両の構造及び装置が運行に十分堪え、操縦その他の使用のための作業に安全であるとともに、通行人その他に危害を与えないことを確保するものでなければならず、かつ、これにより製作者又は使用者に対し、自動車の製作又は使用について不当な制限を課することとなるものであってはならない旨定めており、地位、使用目的、補助ブレーキは、使用についての不当な制限であるから、細部取扱通達は違法である。 b 細部取扱通達の留意事項の不適用(留意事項が構造要件とされる場合には細部取扱通達の無効原因となる。)(a) 細部取扱通 の不当な制限であるから、細部取扱通達は違法である。 b 細部取扱通達の留意事項の不適用(留意事項が構造要件とされる場合には細部取扱通達の無効原因となる。)(a) 細部取扱通達の留意事項は、構造要件ではなく、単なる参考事項、ないしは行政指導にすぎないし、「これらの証明書の写しの提出を求めるものとする」と規定して、本件証明書(これ)以外(ら)による証明方法を認めている。 仮に、この留意事項が構造要件であるとすると、道路交通法108条の4第1項に定める指定講習機関は、指定自動車教習所でも指定外自動車教習所でもないので、本件証明書の交付を受けられないから、教習車の登録ができなくなるという不都合が生じる。また、本件証明書が発行されるためには、任意団体である全国自動車運転教育協会(以下「全自教」という。)への加盟が条件となっているから、全自教へ加盟していない場合には、教習車の登録ができなくなるという不都合が生じる。 そもそも、本件証明書は、法的根拠がなく、自賠責保険の使用時の証明書であり、自動車教習所又は指定講習機関の地位及び検定、教習、技能の講習に供する自動車を証明するものではないから、教習車の構造要件として、本件証明書の提出を要求することには意味がない。 用途区分通達は、「使用者の事業が法令等の規定に基づき特定できるもの」と規定しながら、本件証明書は、法令等に基づいて所管する都道府県公安委員会ではなく、都道府県警察本部から交付されるものであるから、当該規定にも反する。 (b) 細部取扱通達の留意事項が単なる参考事項として拘束力がなく、当該通達が適法であるとした場合でも、被告支局長は、本件証明書を必須のものとして要求していたのであり、かかる理由で本件処 (b) 細部取扱通達の留意事項が単なる参考事項として拘束力がなく、当該通達が適法であるとした場合でも、被告支局長は、本件証明書を必須のものとして要求していたのであり、かかる理由で本件処分がなされたのであるから、本件処分は違法である。 (イ) 本件処分の違法事由としての不要な補助ブレーキの要求そもそも助手席に補助ブレーキの装着を義務付けること自体が違法である。 すなわち、自動車教習所は、一般公道で教習を行う場合、運転者は必ず免許又は仮免許を保有しており、一定の安全性は確保されているから、補助ブレーキは必要ではなく、かえって、助手席同乗者の補助ブレーキ行為により運転に支障が生じる可能性すらある。コース等で行う仮免許取得前の教習には補助ブレーキが必要ではあろうが、車両法は一般公道走行車を前提とした保安基準を策定しているのであるから、私有地内のコースの使用を前提として保安基準を策定することには無理がある。よって、教習車にとって、補助ブレーキは義務ではないというべきである。細部取扱通達がこれを義務化しているとすれば、裁量の範囲を逸脱した違法なものである。 また、そもそも、道路交通法は助手席から操作可能な補助ブレーキの存在を禁止している。すなわち、運転とは、道路において、車両をその本来の用い方に従って用いることをいい、それは、ハンドル、アクセル、ブレーキ等を操作する行為をいう。そして、運転者とは、運転席、助手席を問わず、これらの行為をする者である。しかし、助手席で補助ブレーキだけを操作する場合には、助手席同乗者も運転者に当たるところ、同人だけでは正常な運転ができないことは明らかである。よって、道路交通法は、助手席から操作可能な補助ブレーキを禁じていることになり、これを構造要件とする細部取扱通 手席同乗者も運転者に当たるところ、同人だけでは正常な運転ができないことは明らかである。よって、道路交通法は、助手席から操作可能な補助ブレーキを禁じていることになり、これを構造要件とする細部取扱通達は違法である。 さらに、道路交通法55条は、乗車のため設備された場所以外に乗車させることを禁止しているが、助手席同乗者も運転者ならば、乗車のためではないので、車両は運転できないはずである。また、同法は、運転者の操作を妨げるような乗車をさせてはならない旨規定しているので、助手席同乗者が補助ブレーキを操作することは禁じられている。乗車する者も、運転者の運転を妨げるような方法で乗車することを禁じられているから、補助ブレーキを操作することはできない。 そして、仮免許者等を対象とする一般公道での教習では、助手席同乗者は運転の補助や操作を行ってはならず、かつ、行うものでもないから、補助ブレーキを使う義務はなく、補助ブレーキを教習車の構造要件とすることは許されない。 (ウ) 本件処分の違法事由としての構造要件の充足仮に、教習車として認定されるために、地位、使用目的、補助ブレーキを要するとしても、原告が自動車教習所たる地位を有し、本件車両は補助ブレーキを備えていることから、本件車両は教習の用に供する自動車であることが明らかであり、教習車としての要件を満たしている。 すなわち、原告は、平成13年11月29日、埼玉県公安委員会に対し、道路交通法98条2項の自動車教習所の届出を行い、受理されたから、同日、自動車教習所の地位を得た。 また、原告は本件車両を教習の用に使用する目的である。 さらに、本件車両は、補助ブレーキを有しており、そのことは、本件申請時に、自動車検査官により確認 動車教習所の地位を得た。 また、原告は本件車両を教習の用に使用する目的である。 さらに、本件車両は、補助ブレーキを有しており、そのことは、本件申請時に、自動車検査官により確認済みである。 なお、本件車両の補助ブレーキはリンク式であり、リンク式ブレーキは保安基準に該当しないので、保安基準の対象ではない。すなわち、リンク式の補助ブレーキは、主ブレーキに付属品がついているだけであり、ブレーキ機能には影響がないからである。よって、教習車用の保安基準は存在しないことになり、保安基準としては乗用車のそれと同じとなる。また、用途区分通達又は細部取扱通達は単なる分類の規定であるから、保安基準を規定することはできない。 そして、本件車両の補助ブレーキは安全のためにハンドルの位置を運転席及び助手席の前方方向から反らしており、衝突時の危険もない。 (エ) 処分理由の差し替え被告らによる処分理由の差し替えは許されない。 (オ) 立証責任被告らが負うべきである。 (カ) なお、自動車教習所たる地位も教習の用に供する使用目的もなく、また、補助ブレーキもないにもかかわらず、現に教習車として登録されている自動車も存在していることが判明している。 (3) 争点(3)(細部取扱通達の無効確認の訴えの適法性)についてア原告の主張被告支局長は、細部取扱通達を適用して本件処分を行っている以上、原告が、その無効を確認することはできるはずである。 また、通達を法と同等の効力のあるものとみれば、無効確認をすることはできるはずである。 イ第1事件被告らの主張細部取扱通達は行政機関の内部規律にすぎず、国民の法律上の地位に何ら具体的な影響 を法と同等の効力のあるものとみれば、無効確認をすることはできるはずである。 イ第1事件被告らの主張細部取扱通達は行政機関の内部規律にすぎず、国民の法律上の地位に何ら具体的な影響を与えるものではないから、無効確認の訴えの対象となる処分には当たらない。 また、被告国には被告適格がない。 さらに、かかる主観的予備的併合は許されない。 (4) 争点(4)(細部取扱通達の無効原因)ア原告の主張前記(2)イ(ア)及び(イ)記載のとおりイ第1事件被告らの主張原告の主張は争う。 (5) 争点(5)(被告国の責任原因)についてア原告の主張本件処分は違法であるから、処分をした公務員には、国家賠償法上の職務違反があり、被告国は賠償義務を負う。 また、本訴での処分理由の差し替え自体が違法である。すなわち、原告は、本件申請時に処分理由を執拗に質問したが、被告支局長は的確に答えなかったために、このような事態となったものである。原告は知る権利を害され、本件処分により自動車を運行する権利を奪われることにもなったものである。 イ被告国の主張国家賠償法上の「違法」とは、当該公務員が、個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違反することをいうものと解すべきところ、本件において、原告は、被告支局長の細部取扱通達に従った取扱いを違法であると主張するようであるが、これが違法でないことは前記のとおりであるし、また、細部取扱通達は、上級行政機関である国土交通省自動車交通局技術安全部長が、その指揮監督権に基づき、下級行政機関である地方運輸局長等に対し、その事務処理を指揮するために発した命令であり、被告支局長は、その事務処理において細部取扱通達 る国土交通省自動車交通局技術安全部長が、その指揮監督権に基づき、下級行政機関である地方運輸局長等に対し、その事務処理を指揮するために発した命令であり、被告支局長は、その事務処理において細部取扱通達に拘束され、これに従った事務処理をしなければならないのであるから、万一被告支局長の事務処理が客観的には法解釈を誤ったものであったとしても、これが細部取扱通達に従って事務処理をした結果であり、かつ、細部取扱通達が少なくとも明らかに違法であるとはいえない以上、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていなかったとはいえず、国家賠償法にいう「違法」があったとはいえないものというべきである。 さらに、本件と同様の取扱いは従前から行われてきたものであって、本件までの間、その適法性につき、実務上特に疑いを差し挟む解釈をされたことも裁判上とりたてて問題とされたこともないのであるから、被告支局長において、本件当時、このような取扱いが違法であることを予見し、又は予見すべきであったということもできず、結局、国家賠償法上の「故意又は過失」もないというべきである。 (6) 争点(6)(被告Bの責任原因)についてア原告の主張被告Bが、無効な細部取扱通達に規定された本件証明書の提出を原告に強要し、構造等変更検査を行う前に一般検査を行い、本件処分により一般検査の効力が失われ、補助ブレーキの適正な検査を怠ったことで、本件処分が出されたものである。 また、通達に効力がないことは被告Bも予見可能であり、また、検査の手順の指示間違いや補助ブレーキの確認不足は重大な過失である。 さらに、被告Bは、本法廷に提出されるものであることを知りながら、作為的に嘘の陳述書を作成した。すなわち、自動車検査票に記載した「補助ブレーキ確認済」との記載 確認不足は重大な過失である。 さらに、被告Bは、本法廷に提出されるものであることを知りながら、作為的に嘘の陳述書を作成した。すなわち、自動車検査票に記載した「補助ブレーキ確認済」との記載を、通常とは異なる取扱いであり、「ブレーキ様の物が存在することを確認した旨を記載せざるを得なかった」と嘘を述べているものである。 加えて、被告Bは、原告が本件申請を撤回したことはないにもかかわらず、訴訟を有利にする目的で、その旨の準備書面を提出したので、原告は、本来不必要な反論を本件で強いられることとなり、計り知れない時間的精神的苦痛を受けた。 イ被告Bの主張本件は、原告が、公権力の行使に当たる公務員である自動車検査官である被告Bの職務行為により損害を被ったとして、当該自動車検査官個人に対して、その賠償を求めるものであるが、同行為に基づく損害については、職務の執行に当たった公務員は個人として被害者に対しては責任を負わないから、原告の請求には理由がない。 (7) 争点(7)(原告の損害額)についてア原告の主張違法な本件処分により、原告は、本件自動車を自動車検査証の有効期限である平成14年3月5日以降運行できなくなり、休業を強いられることとなった。そのため、自動車教習所の信用は失墜し、また、生徒に対して教習停止による損害を賠償しなければならなくなるおそれもある。さらに、本件処分は、任意保険の額や税額にも影響し、原告に不必要な出費を被らせることとなる。 また、原告は、本件申請の際に、不必要な本件証明書の提出を違法に強要された。 このように、原告が受けた精神的苦痛は計り知れない。原告は、本件処分により受けた損害のうち、本件では、慰謝料992万円(うち、30万円は被告Bの行為による慰 書の提出を違法に強要された。 このように、原告が受けた精神的苦痛は計り知れない。原告は、本件処分により受けた損害のうち、本件では、慰謝料992万円(うち、30万円は被告Bの行為による慰謝料である。)のうちの75万円だけを一部請求として求めるものである(慰謝料残額や営業損害等は別途請求する。)。 イ被告国の主張原告は、慰謝料に限って請求する旨明示しているところ、万一被告支局長の取扱いが違法であるとして取り消された場合、原告において、これとは別個にこれによっては補い得ない精神的損害が発生するものではないから、損害の要件を欠くというべきである。また、仮に教習所が営業できないことによる財産的損害を請求するものであるとしても、本件車両によって(「車体の形状」が「放送中継車」であっても「教習車」であっても)自動車教習を行うことは可能なのであるから、やはり損害はないといわざるを得ない。 第3 当裁判所の判断 1 本件争点(1)(本件処分の存否)について(1) 原告は、被告支局長が、本件証明書が未提出であることを理由として本件処分を行った旨主張し、第1事件被告らは本件申請後、処分前に原告は本件申請を撤回した旨主張するので、まず、本件処分の存否について、以下、検討する。 (2) 前記争いのない事実等及び証拠(甲3ないし9、27ないし31、32の1、乙7、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認めることができる。 ア原告は、平成14年2月5日、練馬事務所において、本件車両につき、車体の形状が放送中継車から教習車に変更されたとして、被告支局長に対し、本件申請を行った。 イ練馬事務所の受付では、本件申請が、車体の形状を放送中継車から教習車に変更するという構造等変更検査を経て行われるべき自動車検査証 車に変更されたとして、被告支局長に対し、本件申請を行った。 イ練馬事務所の受付では、本件申請が、車体の形状を放送中継車から教習車に変更するという構造等変更検査を経て行われるべき自動車検査証の記入申請であったことを確認し、受付担当者は、書類の不足や記載漏れがないか否かを確認した。 ウその後、原告は、本件車両を練馬事務所の1番コースに移動させ、担当の自動車検査官である被告Bから、一般検査のための受付をしてもらった。その際、被告Bは、一般検査後は4番コースに行けばよいのかとの原告の問に対して、はいと答えて、1番コースにおける一般検査終了後には4番コースに移動すべきことを示唆している。 エ 1番コースにおける一般検査終了後、原告は、本件車両を4番コースに移動させて、担当の自動車検査官に対して構造等変更検査を受けたい旨を伝えた。 これに対し、担当検査官は、本件車両に装着された補助ブレーキ様の物について、これを押すとこれにリンクする運転者席用ブレーキペダルが押し込まれ、その際に、車体後部のブレーキランプが点灯することを確認した。また、担当検査官は、補助ブレーキ様の物が本件車両のシフトレバーやサイドブレーキに当たらないかと原告に発問し、原告から当たらないとの回答を得た。これらの作業を通じて、担当検査官は、ものの1分足らずで補助ブレーキ様の物についての確認を済ませている。その後、4番コースに赴いた被告Bは、補助ブレーキ様の物について簡単に確認した後、原告とのやり取りの中で、補助ブレーキ様の物のブレーキ性能自体には何らの問題もないが、本件証明書の提出がないので構造等変更検査を合格とすることができない旨、また、本件証明書に代わる資料は、被告Bの今の知識の中では存在しない旨、原告に対して明確に説明している。また、この際、被告Bは、訴訟 証明書の提出がないので構造等変更検査を合格とすることができない旨、また、本件証明書に代わる資料は、被告Bの今の知識の中では存在しない旨、原告に対して明確に説明している。また、この際、被告Bは、訴訟を提起する旨連呼する原告からの執拗な求めに応じざるを得ない格好で、本来の検査のためには何ら必要のない「補助ブレーキ確認済」との記載を、自動車検査票裏面に行っている。 なお、B検査官の陳述書(乙7)中には、補助ブレーキ様の物の制動力及びその物が運転者の操縦の妨げとなるのではないかとの2点に疑問があったとの部分があるが、原告とB検査官との当時のやり取りを録音した録音テープ(甲28)によると、両者間に上記認定のやり取りがあったことが明らかであり、そのやり取りの内容や語調に照らすと、B検査官が当時上記のような疑念を有していたとは到底認められず、その陳述書中の上記認定に反する部分は採用できない。 オ原告は、4番コースでの構造等変更検査に通らなかったものの、そのまま、自動車検査証の記入のため、構造等変更検査についての総合判定を担う部署に行って、判定を求めた。しかし、やはり、本件証明書の添付がないという点のみの理由で許可が得られなかった。 カ最後に、原告は、自動車検査証の記入の受付担当部署に行き、担当の自動車検査官に対し、自動車検査証の記入を求めたが、構造等変更検査の終了確認印がなかったために、記入がされることはなく、何ら新たな記入のないままの自動車検査証が原告に返付された。 キなお、本件申請について被告支局長が直接的に関与した事実はないが、第1事件被告らは、そのことを全く主張せず、それを理由に処分の不存在を主張することもしないことからすると、被告支局長は自動車検査証への記入に関する権限の行使を担当の自動車検査官の専決に委ねて いが、第1事件被告らは、そのことを全く主張せず、それを理由に処分の不存在を主張することもしないことからすると、被告支局長は自動車検査証への記入に関する権限の行使を担当の自動車検査官の専決に委ねていたと認めるのが相当である。 (3) 以上によれば、本件申請に対し、被告支局長は、原告が本件証明書を提出しなかったことを理由として本件処分をしたことは明らかである。 この点、第1事件被告らは、本件申請にかかる変更事項を客観的に特定する前に原告は本件申請を自ら撤回した旨主張するが、前記認定事実によれば、変更事項は既に特定された上で、現に構造等変更検査が行われており、また、本件証明書の添付がなかったために構造等変更検査に通らず、自動車検査証への記入も受けられなかったことが明らかであるから、同被告らの主張は失当であるというべきである。 (4) そして、本件申請が許可されなかった場合には、本来は申請時に提出した自動車検査証が返付されないことにより、当該自動車を運行の用に供することができなくなるところ(車両法67条4項、62条2項、66条1項)、本件においては、自動車検査証が返付されたことにより従前の有効期間内については当該自動車の運行に支障はなかったものの、記載事項の変更がされず、かつ、その変更に応じた新たな有効期間が設定されなかった点において、本件処分が、本件申請を拒否するものであることは明らかであり、一般の申請拒否処分と同様に処分性を有することもまた明らかである。 2 本件争点(2)(本件処分の違法性)について(1) 原告は、本件車両の車体の形状が教習車に変更された旨主張し、第1事件被告らはこれを争っているが、通達の効力等を巡り争いがあるために、自動車の用途及び車体の形状の変更の要件自体についても主張の隔たりがあるので、まず、そ 車体の形状が教習車に変更された旨主張し、第1事件被告らはこれを争っているが、通達の効力等を巡り争いがあるために、自動車の用途及び車体の形状の変更の要件自体についても主張の隔たりがあるので、まず、その変更のための要件の内容について検討する。 (2) 自動車検査証に記載すべき事項は、国土交通省令で定めることとされ(車両法58条2項)、これについて変更があったときは、自動車の使用者は、その事由があった日から15日以内に、当該事項の変更について、国土交通大臣が行う自動車検査証の記入を受けなければならないとされている(車両法67条1項)。そして、国土交通大臣は、この変更が、国土交通省令で定める事由に該当する場合において、保安基準に適合しなくなるおそれがあると認めるときは、当該自動車が保安基準に適合するかどうかについて、これを提示して構造等変更検査を受けるべきことを命じなければならないとされている(車両法67条3項)。 これを受けて、施行規則35条の3は、自動車検査証に記載すべき事項として、車体の形状(9号)や用途(14号)などを定め、また、施行規則38条8項は、車両法67条3項に定める変更事由として、車体の形状(3号)や用途(7号)などを定めているが、それらの具体的内容については何ら規定していない。 (3) 第1事件被告らは、上記の用途や形状の具体的内容については、用途区分通達及び細部取扱通達によって定められている旨主張するが、車両法はもとより施行令及び施行規則には、そのような委任規定は見当たらないのであるから、これらの通達の内容は、行政庁の内部的な指針ないしは行政手続を定めた執行命令としての性質を有するにとどまり、国民を法的に拘束するものではないというべきである。 したがって、上記の用途や形状の具体的内容とその変更をいかな の内部的な指針ないしは行政手続を定めた執行命令としての性質を有するにとどまり、国民を法的に拘束するものではないというべきである。 したがって、上記の用途や形状の具体的内容とその変更をいかなる要件で認めるべきかについては、車両法及びその委任を受けた下位法令の趣旨に従って決するほかない。 (4) そこで、用途と形状の意味内容等について検討するに、それらの文言の通常有する意味内容や施行規則が両者を別個にかつ並列的に規定していることからして、両者は別個の意味内容を有するものであり、形状が用途の細分類にすぎないとみることはできない。したがって、用途は特殊なものであるが、形状は通常の箱型で乗用車と全く変わらないもの、すなわち、用途は特殊で形状は乗用自動車というものも、車両法は是認しているものと考えられる。用途区分通達4-1(3)1.がこのようなものを特殊用途自動車に含まないとしていることは、車両法及び下位法令の趣旨に反するものというほかない。 また、車両法1条が、同法の目的として「この法律は、道路運送車両に関し、所有権についての公証を行い、並びに安全性の確保及び公害の防止並びに整備についての技術の向上を図り、あわせて自動車の整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を増進することを目的とする。」と規定していることなどからすると、同法は、車両の所有者が車両をいかなる用途・目的に使用し得るかという点を規制するものではないのであるから、同法に基づく車両の登録や検査に当たっては、車両の用途等については専ら所有者の申し立てるところを前提とすべきものであって、その申立内容が真実に合致するか否かを審査することは、同法に基づく規制権限の範囲を超えるものといわざるを得ない。したがって、同法67条に基づく自動車検査証への変更記入に当たっ すべきものであって、その申立内容が真実に合致するか否かを審査することは、同法に基づく規制権限の範囲を超えるものといわざるを得ない。したがって、同法67条に基づく自動車検査証への変更記入に当たっても、申請者が意図している使用目的に供することが確実か否かを問わず、仮にそのような使用目的に供された場合に保安上問題が生じないか否かという観点から変更の許否を決すべきであって、その余の点、特に当該使用目的に専ら供されるか否かという点は考慮すべきでないと解すべきである。 (5) この点について、第1事件被告らは、特殊用途自動車については、自動車税や自動車損害賠償責任保険の料率上の優遇措置が採られていることを指摘し、用途の実体を自動車検査証の記載に反映させる必要があると主張する。 しかし、上記税率や保険料率について優遇措置を適用するか否かは、それらを規定する法規範によって権限を付与された行政庁が、自らの責任において当該規範の趣旨に即した事実認定を行って決定すべき事項であって、車両法に基づく権限を有するにすぎない被告支局長には、それらの行政庁の行うべき事実認定を代行する権限も義務もないというべきであるし、自動車検査証の記載がそれらの行政庁の判断を拘束する法的根拠も見当たらない。したがって、第1事件被告らの指摘する点は、自動車検査証の記載とは無関係の事柄であるというほかない。 (6) 以上を前提として、本件記入申請の許否に当たって考慮すべき点を検討するに、本件記入申請は、当該車両が従前の放送中継車という「特殊」な用途及び形状について、補助ブレーキを装着したことにより教習車という「特殊」な用途及び形状のものに変更されたとして、用途及び形状の変更記入を申請するものである。 弁論の全趣旨によると、教習車としての用途に用いる車両につき、従前か 装着したことにより教習車という「特殊」な用途及び形状のものに変更されたとして、用途及び形状の変更記入を申請するものである。 弁論の全趣旨によると、教習車としての用途に用いる車両につき、従前からその用途を特殊と分類してきたことが認められるところ、上記検討の結果によると、用途の分類を決するに当たっては、当該車両が実際にその用途に供されるか否かにかかわらず、その用途に供されたとして保安基準上問題がないか否かを検査し、それに問題がなければ、その用途を自動車検査証に記載すべきものと考えられる。そして、証拠(原告本人及び検証の結果)及び弁論の全趣旨によると、本件車両は、補助ブレーキを装着していること以外は一般の乗用車と異なることがないものと認められ、一般の乗用車と同様の機能を有し、かつ装着された補助ブレーキがそれにふさわしい機能を有するならば、これを教習車として用いることに何ら問題がないと認められる。 そうすると、本件申請の許否を審査するに当たっては、本件車両が一般の乗用車として保安基準上要求される機能を有するか否か、補助ブレーキが保安基準上要求される機能を有するか否か及び補助ブレーキの装着によって従来有していた乗用車としての機能に支障が生じていないか否かの3点を検討すべきであって、これらの点に明らかに疑問があると認められない以上は、教習車としての形状を有し、特殊な用途に供するものとして、提出された自動車検査証にその旨及び車両法61条所定の有効期間を記入して、原告に返付すべきであり、上記3点に疑問点がないにもかかわらず、本件申請を拒否することは許されないと解すべきである。 なお、原告は、教習車には必ずしも補助ブレーキを装着しなければならないものではないから、補助ブレーキの機能を審査する必要はない旨主張するが、形状において乗用 とは許されないと解すべきである。 なお、原告は、教習車には必ずしも補助ブレーキを装着しなければならないものではないから、補助ブレーキの機能を審査する必要はない旨主張するが、形状において乗用車と全く異ならないものを教習車として使用する場合はともかくとして、本件車両には現に補助ブレーキが装着され、それを補助ブレーキとして使用することが予定されているのであるから、それが本来有すべき機能を有するか否かを審査するのは当然のことであり、原告の主張は採用できない。 (7) なお、第1事件被告らは、本件処分の違法性を原告において主張立証すべき旨主張する。 しかし、車両法66条1項は、自動車は、自動車検査証を備え付けなければ、運行の用に供してはならない旨規定し、同法67条1項は、自動車の使用者は、自動車検査証の記載事項について変更があったときは、その事由があった日から15日以内に、当該事項の変更について、国土交通大臣が行う自動車検査証の記入を受けなければならない旨規定している。これは、本来国民が自由に行うことのできる自動車運転行為を、交通安全の確保等の道路行政目的から一般的に禁止し、個別的にこれを解除する警察許可に当たるものであり、自動車検査証の記載事項に変更があった場合の記入申請の拒否処分は、その禁止を解除しないで国民の自由を制限したままの状態に置くものである点において侵害処分と同様の実質を有するものであるから、その取消訴訟においては、行政庁(被告支局長)において、記入のための要件を充足しないことの立証責任を負うものというべきである。 この点、被告支局長は、車両法及び施行規則が、検査等の際に自動車の使用者が自動車の点検・整備に関する記録や使用者の住所を証する資料等の必要な書類の提示をすべきことを規定していることをもって、訴訟 この点、被告支局長は、車両法及び施行規則が、検査等の際に自動車の使用者が自動車の点検・整備に関する記録や使用者の住所を証する資料等の必要な書類の提示をすべきことを規定していることをもって、訴訟における立証責任も申請者たる原告が負うべきである旨主張するが、同法及び同規則の規定は、検査等の際には申請者に資料の提出を促すことが簡明であり、かつ、保安基準を満たすか否かにつき疑問がある場合は、さらに申請者に資料の提出を促すことによって、保安基準を満たすとまでは認められない車両についての申請を認めざるを得ない事態が生じないようにとの配慮から規定されたものと解すべきであって、その意図するところは、申請拒否の要件を保安基準を満たさないこととはせずに、その点に明らかに疑問があることとすることによって十分に満たされているのであって、それ以上に、訴訟において前記車体の形状の変更のための要件を立証する責任を申請者たる原告に負わせることを念頭に置いた規定とはいえないから、失当であるといわざるを得ない。 (8)ア以上を前提にして、本件車両につき、自動車検査証の記載事項の変更の記入の許否について検討する。 イ本件においては、前記(第3、1(2))認定のとおり、本件車両の構造等変更検査等を担当した自動車検査官らは、一様に、原告が本件証明書を提出しないことの一事をもって本件申請を許可する処分をし得ない旨、原告に対して説明していたものであり、それにもかかわらず、原告が本件証明書を提出しなかったことから、原告は本件処分を受けるに至ったものであった。 しかしながら、前記のとおり、本件申請を許可するためには、自動車教習所たる地位や当該自動車の使用目的は要件ではなく、本件証明書の添付は不要であり、また、たとえ必須のものではなく資料の例示としてであれ、こ しながら、前記のとおり、本件申請を許可するためには、自動車教習所たる地位や当該自動車の使用目的は要件ではなく、本件証明書の添付は不要であり、また、たとえ必須のものではなく資料の例示としてであれ、これを要求することはできないものであった。 また、仮に、地位・使用目的が車体の形状を教習車に変更するための要件であると仮定したとしても、証拠(甲1、2、4ないし8、20ないし22、29、33、34、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、肩書き住所地において自動車教習所を営業し、本件車両をその教習のために専ら使用しようとしていることが認められるところであるから、かかる要件を満たしているものというべきである。 したがって、本件処分は誤った理由に基づいて行われたものといわざるを得ない。 ウところで、本件申請を拒否するためには、前記(6)の3つの要件のいずれかが認められることが必要であるところ、取消訴訟の訴訟物は、処分の違法一般であり、また、行政事件訴訟法は、取消訴訟における被告行政庁の主張の制限に関して特段の規定を置いていないことからして、取消訴訟において被告行政庁は、取消しを求められた処分の適法性を基礎付けるため、処分時の認定事実や根拠法規の解釈適用にとらわれることなく、訴訟物の範囲内で客観的に存在した一切の事実上及び法律上の根拠を主張できるのが原則であるというべきである。そして、本件においても、本件車両の補助ブレーキの性能等に客観的にみて明らかに疑問があると認められれば、結局のところ本件と同様の処分がされていたものであるから、被告支局長が当該補助ブレーキ要件の不充足を主張することも許されるという意味において、処分理由の差し替えが許される場合に当たるものというべきである。 そこで、進んで、本件車両の補助ブ ら、被告支局長が当該補助ブレーキ要件の不充足を主張することも許されるという意味において、処分理由の差し替えが許される場合に当たるものというべきである。 そこで、進んで、本件車両の補助ブレーキの性能等の点について検討する。 エ証拠(甲46、47、検証の結果)によれば、本件車両に装着された補助ブレーキ様の物は、運転者席用ブレーキペダルの根元に、真っ直ぐな鉄のパイプが溶接され、対極の握り手部分には鉄のパイプがT字状に取り付けられて、これがダッシュボードパネル部分をくり抜いて造られた空間部分を貫通してバンドで固定された状態となっていること、助手席同乗者は、この握り手部分を斜め下方向に手で押し出して運転者席用ブレーキペダルを押し込んで主ブレーキを操作する形状となっていること、当該鉄のパイプは、主ブレーキの根元部分から真っ直ぐに、サイドブレーキの前方で、シフトレバーの上方に位置する部分まで伸び、運転者によるサイドブレーキの操作には直接影響を及ぼさない位置関係にはあるものの、運転者がシフトレバーを操作しようとしてハンドルから直線的に左手をシフトレバーに移動させようとした場合には当該鉄のパイプに接触することになるので、運転者は常に左手を鉄パイプの下方向にやや迂回させる形でシフトレバーを操作しなければならないような位置関係にあること、などの事実が認められる。 オ第1事件被告らは、本件処分当日に本件車両に装着された補助ブレーキ様の物は、後日、本件車両を検証した際に装着されていた物とは全く形状が異なる旨主張し、これに沿う証拠として被告Bの陳述書(乙8)及び再現の実験結果報告書(乙6)を提出するが、これらの証拠は、検査当日に補助ブレーキ様の物の性能等に疑念があったとの被告Bの陳述(乙7)を前提とするものと理解すべきところ、 被告Bの陳述書(乙8)及び再現の実験結果報告書(乙6)を提出するが、これらの証拠は、検査当日に補助ブレーキ様の物の性能等に疑念があったとの被告Bの陳述(乙7)を前提とするものと理解すべきところ、同陳述が採用できないことは、前記第3、1(2)エで認定のとおりであり、当日、自動車検査官らは、補助ブレーキ様の物の検査をごく短時間で終え、その性能に何ら問題がないと明言していることも同認定のとおりであるから、その検査の態様及び結果からして、自動車検査官らが、本件車両に装着された補助ブレーキ様の物の形状をつぶさに記憶しているとは考え難く、他方で、本件処分後、本件車両に大幅な改造が施されたことを窺わせる証拠もなく、また、原告には費用を掛けてまでそのようなことをする必要性もないと考えられることに鑑みれば、前記(第3、2(4)エ)検証の結果等により認められる本件車両に装着された補助ブレーキ様の物の形状が、本件申請時における本件車両に装着された補助ブレーキ様の物の形状であったものと認定するのが相当である。 カそこで、次に、補助ブレーキが有すべき性能について検討する。 自動車教習においては、運転者の運転技術が未熟であることが前提とされていることから、教習車は、運転者がその運転技術の未熟さ故に惹起する可能性のある事故を防止することができるものでなければならないものと解される。そして、事故を防止し得る者は同乗している指導員をおいてほかにないことから、教習車には、主ブレーキとは別に、同乗している指導員が操作することのできるブレーキ、すなわち補助ブレーキが必要であるとされたものである。そして、これは、運転者が、運転技術が未熟なため、ブレーキをかけるべきであるのにかけなかったり、あるいはブレーキをかけるのが遅れるなどして、危険が発生しそうになった場 が必要であるとされたものである。そして、これは、運転者が、運転技術が未熟なため、ブレーキをかけるべきであるのにかけなかったり、あるいはブレーキをかけるのが遅れるなどして、危険が発生しそうになった場合に、これを回避するために指導員が運転者に代わって操作するものであって、視界の広さ等を考えると、助手席に同乗すべき指導員が、危険を認識した際に、運転者の意思とは無関係に、直ちに操作を行うことができることが求められることとなるから、力点が助手席に存在し、指導員が、助手席において、無理なく的確に操作することができるものであることが必要であると解される。そして、一般の制動装置の制動能力については保安基準が規定されているのに対し、補助ブレーキについてはそのような基準が定められていないものの、その性質からして、一般の制動装置の能力と同等のものか否かはともかくとして、少なくともこれと大差ないものが要求されていると解すべきであるところ、本件車両の補助ブレーキは、前記のように、助手席に伸びてきている鉄パイプを手で押すことによって運転席のブレーキペダルを押し下げて主ブレーキを操作するというものであるから、その性能が十分なものか否かは、運転席のブレーキペダルを足で踏むのとそん色のない速さで主ブレーキが十分に制動する程度に同ペダルを押し下げることが可能か否かにかかっていることとなる。 この点については、検証の結果によると、本件補助ブレーキを押す場合は、ブレーキペダルを足で踏み込む場合に比べて相当の力を要するところではあるが、握り手部分がT字状となっていることから、力を込めて押し込むことが可能であり、油圧機能が作動しないことにより、ブレーキペダルを作動するに支障のある検証時の状況下においても、男性が力を込めて押し込めば、足で踏み込むのと同程度の速さで同 ら、力を込めて押し込むことが可能であり、油圧機能が作動しないことにより、ブレーキペダルを作動するに支障のある検証時の状況下においても、男性が力を込めて押し込めば、足で踏み込むのと同程度の速さで同程度の深さにペダルを押し込むことが十分に可能であり、その点において運転席のブレーキペダルを足で踏み込む場合と比べてもそん色は認められない。なお、本件補助ブレーキは、主ブレーキペダルの根元から助手席に至る途中でダッシュボードパネル部分を貫通し、その部分にバンドが装着されているが、このことによって、補助ブレーキの握り手部分は容易に作動を開始し得る程度に固定されており、不安定で作動の開始が遅れるおそれがあるとは認め難いし、作動を開始したのちは、このような部分の形状が作動に影響を与えることはないと認められる。 したがって、本件補助ブレーキの機能には、客観的にみて、本件申請時において明らかに疑問があったとは認め難い。 キ次に、本件補助ブレーキが装着されたことによって、本件車両が従来有していた機能に支障が生じたか否かを検討するに、前記第3、2(4)エの認定のとおり、本件補助ブレーキと主ブレーキとの溶接部分はブレーキペダル部分と極めて近接していること、及び補助ブレーキの鉄のパイプがシフトレバーの上方まで伸びていることが認められ、これらの状態が存在しない方が、主ブレーキやシフトレバーを快適に操作し得るものと考えられるが、これらによって主ブレーキやシフトレバーの操作に支障を生じさせているとまでは認め難い。そのほかに、本件補助ブレーキの装着によって本件車両の機能に支障が生じたのではないかと疑わせる点もないし、このことは、前記のとおり、本件処分時に検査に当たった自動車検査官が補助ブレーキの装着状況を見分した上で、その性能に何ら問題がないと明言し、 両の機能に支障が生じたのではないかと疑わせる点もないし、このことは、前記のとおり、本件処分時に検査に当たった自動車検査官が補助ブレーキの装着状況を見分した上で、その性能に何ら問題がないと明言し、主ブレーキやシフトレバーの操作性への影響につき何ら言及していないことからも裏付けられるところである。 また、本件車両の乗用車としての性能に何らかの問題があったと疑わせるに足りる事情も見当たらない。 (9) そうすると、本件車両については、本件申請時においてこれを拒否し得る3つの事由(前記(6)参照)がいずれも認められないのであるから、本件処分は違法であったといわざるを得ないこととなる。 3 争点(3)(細部取扱通達の無効確認の訴えの適法性)について(1) 原告は、車体の形状を教習車に変更する際に本件証明書の添付を要求する細部取扱通達が無効であることの確認を求めているが、原告の権利又は法的な地位に現存するという危険・不安を除去する方法としては、前記のとおり本件処分の違法を主張してその処分の取消しを求めれば足り、原被告間で細部取扱通達の無効を確認することが原告の地位に現存する危険・不安を除去するために有効適切であるとはいえないから、かかる訴えは確認の利益を欠き、不適法であるといわざるを得ない。 (2) なお、原告は、かかる請求を予備的請求と位置付けているが、これは主位的請求とは法律上両立し得ない別個の請求という関係には立たないから、原告のかかる請求は、法律上両立しない別個の請求に順位を付し、主位的請求が認容されることを解除条件として予備的請求を付加する場合であるいわゆる法律上の予備的請求には当たらず、単に審理の希望に原告なりの順位を付しただけであって、法律上は単純併合に当たるというべきであるから、第1事件被告らの主張する主観 予備的請求を付加する場合であるいわゆる法律上の予備的請求には当たらず、単に審理の希望に原告なりの順位を付しただけであって、法律上は単純併合に当たるというべきであるから、第1事件被告らの主張する主観的予備的併合の当否について論ずるまでもなく、また、本件で原告の主張するところの主位的請求なるものが認容された場合でも、本請求が不適法であるならば、却下判決を下すべきである。 (3) よって、被告適格の適否等について検討するまでもなく、かかる確認の訴えは却下されるべきである。 4 争点(5)(被告国の責任原因)について(1) 本件処分が公権力の行使としてなされたものであることは明らかであり、また、前記のように、本件処分は、公務員の職務上の義務に違反するものであって、国家賠償法上も違法というべきである。 (2) そして、本件処分当時において、本件証明書の添付を要求して本件申請を拒否してはならないことは、細部取扱通達の趣旨・文言から容易に認識することができたことに鑑みれば、公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、少なくとも過失によって本件処分を行ったことにより違法に原告に損害を加えたものと認められるから、被告国には、国家賠償法1条1項に基づき、本件処分により原告が被った損害を賠償する義務があるものというべきである。 (3) なお、原告は、本訴において被告支局長が処分理由の差し替えの主張を行ったことをも責任原因に挙げているが、かかる主張自体が許されることは前記のとおりであるから、かかる原告の主張は前提を欠き失当であるといわざるを得ない。 5 争点(6)(被告Bの責任原因)について(1) 違法な本件処分により原告が被った損害は、公権力の行使に当たる公務員である自動車検査官たる被告Bの職務行為により被ったものである。そし ない。 5 争点(6)(被告Bの責任原因)について(1) 違法な本件処分により原告が被った損害は、公権力の行使に当たる公務員である自動車検査官たる被告Bの職務行為により被ったものである。そして、職務の執行に当たった公務員は個人として被害者に対して責任を負わない(最判昭和30年4月19日・民集9巻5号534頁参照)。よって、この点に関する原告の請求には理由がない。 (2) 他方で、原告は、被告Bが本訴において、自動車検査票に「補助ブレーキ確認済」と記載したのは、原告からの要請により、補助ブレーキ様の物が存在することを確認した旨記載せざるを得なかったものであり、真実、補助ブレーキ様の物がブレーキとしての性能を有していたことを確認したものではないなどと、作為的に内容虚偽の陳述書を提出した旨主張する。 そして、前記(第3、1(2)、及び、第3、2(8)オ)認定のように、被告Bは、本件申請時においては、本件車両に装着された助手席で操作できる補助ブレーキについて検査し、その性能に問題はない旨発言していたことが認められるところである。 しかしながら、当該記載は、本来の構造等変更検査の際には全く必要のない余事記載であり、かかる記載があったとしても、最終的な構造等変更検査の合否の判定への拘束力はなく、ただ原告から、訴訟を提起するのでどうしても記載するようにとの執拗な求めに応じざるを得ない格好で、被告Bがいわば記載させられたにすぎないものであって、その意味では、単に補助ブレーキ様の物が存在することを見たから確認したとの弁解も、あながち誤ってはおらず、また、かかる陳述書も、少なくとも訴訟上の防御方法としての許容範囲内にあるものというべきであるから、被告Bの陳述書の本訴への提出が、原告との関係で違法なものであると評価することは妥当で てはおらず、また、かかる陳述書も、少なくとも訴訟上の防御方法としての許容範囲内にあるものというべきであるから、被告Bの陳述書の本訴への提出が、原告との関係で違法なものであると評価することは妥当ではないものというべきである。 (3) さらに、原告は、被告Bが、原告が本件申請を撤回したことはないにもかかわらず、訴訟を有利に進行させる目的で、その旨の準備書面を提出したので、原告は本来不要な反論を強いられることとなり、精神的苦痛を被った旨も主張するが、被告Bがかかる内容の準備書面を提出して本訴を不要に長引かせたという事実はないから、原告のかかる主張は失当であるといわざるを得ない。 6 争点(7)(原告の損害額)について(1) 前記のとおり本件処分は違法であるが、原告が請求する本件申請が許可されるべきであったことを前提とした損害のうち、自動車教習所の休業を強いられたとの点については、原告は、補助ブレーキを装着しない自動車を教習車として用いることができる旨主張するところであり、その主張を前提とする限り、本件変更記入申請をせずに単に継続検査を受けていれば教習所の営業を継続できたと考えられるのであるから、その主張の損害と本件処分との間に因果関係があるとはいい難い。また、保険料や税額に影響したとの点は、それらの決定と本件処分との間に法的な関連がないことは前記のとおりであるから、これらについても本件処分と因果関係のある損害とは認められない。 (2) そうすると、本件における原告の損害は、構造等変更検査の担当自動車検査官らの誤った教示に端を発して、違法な本件処分を受け、本件車両を申請どおりに教習車としての登録の下に運行の用に供するためには、本件処分についての取消判決を得ることによって、自動車検査証への記入を受けなければならなくなった点について な本件処分を受け、本件車両を申請どおりに教習車としての登録の下に運行の用に供するためには、本件処分についての取消判決を得ることによって、自動車検査証への記入を受けなければならなくなった点についての精神的苦痛に限られるべきことになるところ、かかる原告の苦痛を慰謝するためには、本件に現れた一切の事情を斟酌すれば、被告国から原告に対して10万円が支払われるべきものであるというべきである。 第4 結論よって、原告の本訴各請求は判示の限度で理由があるから認容し、細部取扱通達の無効確認を求める訴えは不適法であるから却下し、その余は失当であるから棄却することとし、訴訟費用の負担並びに仮執行宣言及びその免脱宣言について、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、62条(第1事件が第2事件被告Bの誤った判断に起因して提起されたものであることに鑑み、同条を類推適用して、同被告について生じた訴訟費用は同被告自身に負担させるとともに、同事件について原告に生じた費用も第1事件被告らに負担させるのが相当である。)、64条ただし書、65条1項、259条1項、3項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官藤山雅行裁判官加藤晴子裁判官菊池章は、転官のため署名押印することができない。 裁判長裁判官藤山雅行

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