令和2年6月11日判決言渡平成30年(行ウ)第149号消費税更正処分等取消請求事件 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 処分行政庁が原告に対して平成29年3月30日付けでした平成26年3月7日から同年4月30日までの課税期間分の消費税及び地方消費税に係る更正処分(ただし,平成29年6月27日付けの再更正処分による変更後のもの) のうち,消費税の納付すべき税額につきマイナス1733万2076円を超える部分及び地方消費税の納付すべき税額につきマイナス467万6508円を超える部分をいずれも取り消す。 2 処分行政庁が原告に対して平成29年3月30日付けでした平成26年3月7日から同年4月30日までの課税期間分の消費税及び地方消費税の過少申告 加算税の賦課決定処分(ただし,平成29年6月27日付けの変更決定処分による変更後のもの)をいずれも取り消す。 3 処分行政庁が原告に対して平成29年3月30日付けでした平成26年3月7日から同年4月30日までの事業年度分の法人税の更正処分のうち所得金額につきマイナス64万1864円を超える部分及び翌期に繰り越す欠損金64 万1864円を下回る部分をいずれも取り消す。 4 処分行政庁が原告に対して平成29年3月30日付けでした平成26年5月1日から平成27年4月30日までの事業年度分の法人税の更正処分のうち所得金額につき36万4155円を超える部分をいずれも取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 本件は,不動産賃貸業等を営む原告が,建物の取得に係る支払対価の額等について,同建物及びその敷地である土地に係る売買契約の れも取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 本件は,不動産賃貸業等を営む原告が,建物の取得に係る支払対価の額等について,同建物及びその敷地である土地に係る売買契約の締結日である平成26年4月30日が課税仕入れを行った日であるなどとして,その日の属する同年3月7日から同年4月30日までの課税期間(以下「本件課税期間」という。)の課税仕入れに係る支払対価の額に含めて消費税及び地方消費税(以下 「消費税等」という。)の確定申告をし,また,同年3月7日から同年4月30日までの事業年度(以下「平成26年4月期」という。)及び同年5月1日から平成27年4月30日までの事業年度(以下「平成27年4月期」という。)の法人税の各確定申告をしたところ,処分行政庁から,平成29年3月30日付けで,課税仕入れを行った日は建物の引渡しがあった平成26年5月 26日であり,本件課税期間における課税仕入れではないため,仕入税額控除をすることができないなどとして,本件課税期間の消費税等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(平成29年6月27日付けの再更正処分又は変更決定処分によりその一部が取り消された後のもの。以下,それぞれ「本件消費税等更正処分」「本件賦課決定処分」といい,これらを併せて「本件消費税 等更正処分等」という。)並びに平成26年4月期及び平成27年4月期の法人税の各更正処分(以下「本件各法人税更正処分」という。)を受けたことから,上記各処分が違法であるとして,上記各処分(上記各更正処分については,申告額よりも原告に不利な部分に限る。)の取消しを求める事案である。 2 関係法令等の定め 別紙2「関係法令等の定め」に記載のとおりである。 3 前提事実(当事者間に争いがない事実,各項掲記の証拠 りも原告に不利な部分に限る。)の取消しを求める事案である。 2 関係法令等の定め 別紙2「関係法令等の定め」に記載のとおりである。 3 前提事実(当事者間に争いがない事実,各項掲記の証拠(枝番のあるものは特記なき限り枝番を全て含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実並びに当裁判所に顕著な事実)(1) 合同会社Aの概要等 合同会社A(以下「A社」という。)は,平成24年4月5日,①不動産 の賃貸,売買,管理,②金地金の売買,③それらに付帯又は関連する一切の業務を目的として設立された,決算日を4月30日とする資本金15万円の合同会社である。A社の唯一の業務執行社員及び代表社員は,本件課税期間において原告の税務代理人であったB税理士であった。(乙1,13,弁論の全趣旨) A社は,平成24年4月20日,C株式会社(以下「C」という。)から金地金200グラムを91万4550円で購入し,同月25日,これをCに対して89万5200円で売却した(乙12)。 A社は,平成26年3月7日,新設分割により原告を設立した上で,同年4月30日に解散し,同年10月1日に清算結了した。なお,A社が設立か ら清算結了までの約2年6か月の間に行った事業活動は,上記金地金の売買のみであった。(乙1,12,13)(2) 原告の概要等ア原告は,平成26年3月7日,A社の消費税法12条1項にいう新設分割子法人として,①不動産の賃貸借及び所有・管理・利用,②それらに附 帯関連する一切の業務を事業目的として設立された,決算日を4月30日とする資本金100万円の株式会社である(甲1,9,10)。 イ原告は,新設分割により設立された法人であるため,本件課税期間の消費税等の納 業務を事業目的として設立された,決算日を4月30日とする資本金100万円の株式会社である(甲1,9,10)。 イ原告は,新設分割により設立された法人であるため,本件課税期間の消費税等の納税義務の有無について,消費税法12条1項にいう新設分割親法人であるA社の平成24年4月5日から同月30日までの事業年度の課 税売上高89万5200円を1年換算した金額(1074万2400円)により判定することとなる結果,これが1000万円を超えることから,本件課税期間において消費税等の納税義務者に該当することとなった(同法9条1項,12条1項,同法施行令23条1項)。 ウ原告は,平成26年3月12日,Cから金地金10グラムを4万830 0円で購入し,同年4月2日,その全量をCに対して4万5710円で売 却した。原告の本件課税期間における資産の譲渡等の対価の額は,課税資産の譲渡等の対価の額である当該金地金の売却に係る金額のみであることから,原告は,本件課税期間において課税売上割合が100%となった。 (甲8,乙14)(3) 建物等の売買契約の概要 ア原告は,平成26年4月30日,D及びE(以下「本件売主」という。)との間で,岡山市〇区〇字〇番〇及び同〇番の各土地(以下「本件土地」という。)並びに同土地上の建物(建物付属設備を含む。以下「本件建物」といい,本件土地と併せて「本件不動産」という。)を代金3億6000万円(消費税等相当額を含む。)で購入する旨の売買契約(以下「本件売 買契約」という。)を締結した(甲2)。 イ本件売買契約に係る契約書には,要旨,次のとおり定められている(甲2)。 (ア) 買主は,売主に対し,売買代金として,手付金1500万円を契約締結時までに,残代 した(甲2)。 イ本件売買契約に係る契約書には,要旨,次のとおり定められている(甲2)。 (ア) 買主は,売主に対し,売買代金として,手付金1500万円を契約締結時までに,残代金3億4500万円を平成26年5月31日までに, 現金又は預金小切手をもって支払う(第3条)。 (イ) 本件不動産の所有権は,買主が売買代金全額を支払い,売主がこれを受領した時,売主から買主へ移転する(第6条)。 (ウ) 売主は,売買代金全額の受領と同時に,本件不動産について,所有権移転登記の申請手続をする(第7条)。 (エ) 売主は,買主が売買代金全額を支払い,売主がこれを受領したのと同時に,本件不動産を買主に引き渡す(以下この日を「引渡日」という。)(第8条1項)。 (オ) 売主は,本件不動産引渡し時までに,抵当権等の担保権,賃借権等の用益権,その他買主の完全な所有権等の行使を阻害する一切の負担を 除去抹消しなければならない(第8条2項)。 (カ) 本件不動産から生ずる収益又は本件不動産に対して賦課される公租公課及び管理費等,ガス,水道,電気料金並びに各種負担金等の諸負担については引渡しの前日までの分を売主,引渡日以降の分を買主の収益又は負担とし,引渡日において精算する(第11条)。 (4) 本件売買契約等に係る経理処理 原告は,本件売買契約の締結日である平成26年4月30日付けで,未払金勘定を相手科目として,本件不動産を土地,建物及び建物付属設備勘定に資産計上する経理処理を行った。 また,F司法書士(以下「本件司法書士」という。)に対する本件不動産の所有権移転登記手続及び抵当権設定登記手続等に係る報酬等14万245 1円(以下「本件司法書士報酬 経理処理を行った。 また,F司法書士(以下「本件司法書士」という。)に対する本件不動産の所有権移転登記手続及び抵当権設定登記手続等に係る報酬等14万245 1円(以下「本件司法書士報酬」という。)についても,同日付けで,未払金として経理処理を行った。(以上につき,甲6,7)(5) 本件売買契約締結後の経緯ア原告は,平成26年4月30日,本件売主に対し,本件不動産の売買代金のうち手付金1500万円を支払い,同年5月26日,本件売主に対し, 本件不動産の売買代金のうち手付金を除く残代金3億4500万円を支払った(甲3,4,乙15,16)。 イ平成26年5月26日,本件不動産に設定されていた本件売主の取引金融機関の抵当権の抹消登記がされた(甲3,4)。 ウ本件司法書士は,平成26年5月26日,本件不動産の取得に係る所有 権移転登記申請を行い,本件不動産につき,本件売買契約を原因とする所有権移転登記がされた(甲3,4)。 エ本件司法書士は,平成26年5月26日,原告の取引金融機関であるG信用金庫の原告に対する債権を被担保債権とする抵当権を本件不動産に設定する旨の登記申請を行い,同日,当該登記がされた(甲3,4)。 オ原告は,平成26年5月26日,本件司法書士に対し,上記ウ及びエの 各登記申請に係る本件司法書士報酬として,14万2451円を支払った(甲7)。 カ原告及び本件売主は,本件売買契約に基づき,本件不動産の固定資産税及び都市計画税に係る契約当事者間の負担割合について,平成26年5月26日を基準に按分計算を行い,同日の前日までの部分を本件売主が,平 成26年5月26日以後の部分を原告が負担することとし,同日,原告は,原告負担分である15 の負担割合について,平成26年5月26日を基準に按分計算を行い,同日の前日までの部分を本件売主が,平 成26年5月26日以後の部分を原告が負担することとし,同日,原告は,原告負担分である150万6820円を本件売主に支払った(乙17)。 キ原告は,平成26年5月26日,本件建物の管理会社である株式会社H(以下「本件管理会社」という。)との間で,契約期間を同日から平成28年5月27日までとする本件建物に係る管理委託契約を締結し,同社に 賃料等の収受,送金等の管理業務等を委託した(乙18)。 (6) 課税処分に至る経緯等ア原告の確定申告(ア) 原告は,本件課税期間の消費税等について,別表1の「確定申告」欄のとおり,本件建物の取得に係る支払対価の額及び本件司法書士報酬 に係る消費税等の全額を控除対象仕入税額に算入し,法定申告期限までに申告した(以下「本件確定申告」という。)(甲8)。 (イ) 原告は,平成26年4月期及び平成27年4月期の法人税について,別表2の「確定申告」欄のとおり記載して,法定申告期限までに申告した(甲9,10)。 イ更正処分等(ア) 処分行政庁は,原告に対し,平成29年3月30日付けで,別表1の「更正処分等」欄のとおり,本件課税期間の消費税等の更正処分を行うとともに,同日付けで,本件課税期間の消費税等に係る過少申告加算税の賦課決定処分を行った。上記更正処分に係る通知書(以下「本件更 正通知書」という。)に記載された更正の理由は,別紙3記載のとおり である。(甲11)(イ) 処分行政庁は,原告に対し,平成29年6月27日付けで,別表1の「再更正処分等」欄のとおり,上記(ア)の更正処分の一部を取り消す再更正処分 3記載のとおり である。(甲11)(イ) 処分行政庁は,原告に対し,平成29年6月27日付けで,別表1の「再更正処分等」欄のとおり,上記(ア)の更正処分の一部を取り消す再更正処分を行うとともに,同日付けで,上記(ア)の賦課決定処分につきその一部を取り消す変更決定処分を行った(甲12)。 (ウ) 処分行政庁は,原告に対し,平成26年4月期及び平成27年4月期の法人税について,平成29年3月30日付けで,別表2の「更正処分」欄のとおり,それぞれ更正処分(本件各法人税更正処分)を行った(甲13,14)。 ウ審査請求及び裁決 原告は,平成29年6月30日,本件消費税等更正処分等及び本件各法人税更正処分の全部の取消しを求めて,国税不服審判所長に対し,審査請求を行ったところ,同所長は,平成30年3月27日付けで,原告の審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をした(甲15,乙20)。 エ本件訴訟の提起 原告は,平成30年9月26日,本件消費税等更正処分及び本件各法人税更正処分のうち確定申告額を超える部分又は下回る部分並びに本件賦課決定処分の取消しを求めて本件訴訟を提起した(顕著な事実)。 第3 本件の争点 1 本件建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号) は,本件課税期間に属する日であるか否か 2 本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)は,本件課税期間に属する日であるか否か 3 本件消費税等更正処分は,信義則に反し,違法であるか否か 4 本件更正通知書における理由付記に不備があるか否か 5 原告に国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるか否か 第4 争点に 正処分は,信義則に反し,違法であるか否か 4 本件更正通知書における理由付記に不備があるか否か 5 原告に国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるか否か 第4 争点に関する当事者の主張の要旨 1 争点1(本件建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)は,本件課税期間に属する日であるか否か)について(被告の主張の要旨)(1) 建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号) の意義について消費税法は,「課税仕入れを行った日」がいつであるかについての具体的な定めを設けていないが,同法2条1項12号は,「課税仕入れ」の意義について,「事業者が,事業として他の者から資産を譲り受け(中略)ること」をいうとした上,その括弧書きにおいて,「当該他の者が事業として当該資 産を譲り渡し(中略)たとした場合に課税資産の譲渡等に該当することとなるもの(中略)に限る。」との限定を付している。すなわち,同法は,資産の譲渡人からみた場合の「課税資産の譲渡等」であるものをもって,当該資産の譲受人からみた場合の「課税仕入れ」であるとしているのであって,「課税資産の譲渡等」と「課税仕入れ」を正に表裏一体の関係にあるものと みている。 また,消費税法は,「課税資産の譲渡等」の時期についても具体的な定めを設けていないが,資産の譲渡の対価の期間帰属については,原則として,資産の譲渡が行われた課税期間に対価が発生したと解すべきであり,同法28条1項が課税資産の譲渡等の対価の額を「対価として収受し,又は収受す べき一切の金銭」としていることからも,取引が完了していれば,対価が未収であっても課税の対象になると解すべきであり,その意味では,消費税においても,現実の収入の 対価として収受し,又は収受す べき一切の金銭」としていることからも,取引が完了していれば,対価が未収であっても課税の対象になると解すべきであり,その意味では,消費税においても,現実の収入の時点を基準とするいわゆる現金主義ではなく,現実の収入がなくてもその収入の原因となる権利が確定した時点を基準とするいわゆる権利確定主義が妥当する。 一般的に,権利確定主義がいうところの権利の「確定」が認められるため には,権利の発生にとどまらず,当該権利の実現可能性を客観的に認識することができ,かつ,権利の実現(行使)が可能な状態となることが必要であると解されるところ,消費税法は,資産の譲渡等により譲渡人の下で生じた付加価値が移転する点を捉えて,消費税の課税対象としていることからすれば,「課税資産の譲渡等」の日とは,その資産につき,その同一性を保持し つつ他人に移転することにより譲渡人の下で生じた付加価値が移転した日をいうものと解すべきである。そして,当該資産が譲受人に引き渡されずに譲渡人の下にとどまっているのであれば,当該資産について生じた付加価値が譲渡人から譲受人に移転したとはいい難いから,「課税資産の譲渡等」の日とは,当該資産が譲渡人から譲受人に引き渡された日をいうものと解すべき である。 これを「課税資産の譲渡等」と表裏一体の関係にある「課税仕入れ」の側からいえば,譲受人が当該資産の引渡しを受けた日をもって「課税仕入れを行った日」であると解すべきこととなる。 (2) 本件についての検討 原告と本件売主は,本件売買契約において,①本件不動産の売買代金を総額3億6000万円とし,手付金(1500万円)を除く残代金3億4500万円を平成26年5月31日までに支払うこと,②本件不動産の売買代金全額の支払 本件売買契約において,①本件不動産の売買代金を総額3億6000万円とし,手付金(1500万円)を除く残代金3億4500万円を平成26年5月31日までに支払うこと,②本件不動産の売買代金全額の支払と所有権移転登記及び本件不動産の引渡しを同時履行とすること,③本件不動産に関する収益及び公租公課等については,本件不動産の引渡日 をもって区分し,引渡日以降は原告の収益又は負担とすることを定めている。 そして,本件不動産については,平成26年5月26日に売買代金(手付金を除く。)の支払,抵当権の抹消,本件売買契約を原因とする所有権移転登記手続,本件建物の公租公課等の精算等,本件売買契約で定められた内容が履行された上,同日,原告の取引金融機関であるG信用金庫のための抵当 権の設定登記手続を行い,さらに,原告による本件建物の使用収益が開始さ れている。 そうすると,本件売買契約で定められたとおり,本件建物が本件売主から原告に対して引き渡され,その所有権が確定的に原告に移転した日は,本件売買契約の残代金が支払われた平成26年5月26日である。 したがって,本件建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」は,本件課 税期間に属さない平成26年5月26日である。 (3) 原告の主張に対する反論原告は,消費税法基本通達11-3-1が準用する同通達9-1-13(以下「本件通達」という。)ただし書において,納税者の選択により,譲渡に関する契約の効力発生日を資産の譲渡の時期とすることが認められてい ることなどを理由に,消費税法における課税資産の譲渡等の時期(課税仕入れを行った日)の判断は,引渡日及び契約の効力発生日の双方を基準とすべきであり,本件売買契約の効力発生日である平成26年4月30日を「課税仕入れを行った日」とするこ 課税資産の譲渡等の時期(課税仕入れを行った日)の判断は,引渡日及び契約の効力発生日の双方を基準とすべきであり,本件売買契約の効力発生日である平成26年4月30日を「課税仕入れを行った日」とすることも許容される旨主張する。 しかしながら,そもそも消費税法においても権利確定主義が妥当するとこ ろ,本件通達本文及び同ただし書の定めも飽くまで,仕入れの相手方において資産の譲渡等による対価を収受すべき権利が確定した日をもって,消費税法30条1項1号にいう「課税仕入れを行った日」と解することを前提とした上で,引渡日をもって「課税仕入れを行った日」とすることを原則としつつ,外形上引渡しの日が明らかでないものや契約内容によっては,契約の効 力発生時点で資産の譲渡等による対価を収受すべき権利が確定したといえる場合もあることから,そのような場合には契約の効力発生日をもって「課税仕入れを行った日」とすることを認める趣旨と解すべきである。原告の上記主張は,本件通達の文言が,納税者が同通達本文(いわゆる引渡基準)と同通達ただし書(いわゆる契約基準)を無条件に選択できるものであると誤解 するものにすぎない。 また,消費税法は,「課税仕入れを行った日」につき,納税者に自由な選択を認めるものではなく,そのような選択を認めることは,税法の基本原則である納税者間における租税負担の公平性・中立性を損なうおそれがあるものであって許容されず,原告の上記主張は,同法の解釈に関し,独自の誤った見解に立つものというべきである。 (原告の主張の要旨)(1) 建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)の意義についてア消費税法は,インボイス方式ではなく帳簿方式を採用し,かつ,その帳簿の内容は,所得税・法人税に (1) 建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)の意義についてア消費税法は,インボイス方式ではなく帳簿方式を採用し,かつ,その帳簿の内容は,所得税・法人税における帳簿でも差し支えないことが国の見 解としても示されていることなどからすれば,消費税法は独自の経理帳簿を前提とするのではなく,所得税や法人税と同様の経理処理,すなわち,法人税法における益金や,所得税法における(総)収入金額の年度帰属と同様の基準でその課税時期を判断すべきである。所得税法及び法人税法における経理処理では,所得税基本通達36-12(山林所得又は譲渡所得 の総収入金額の収入すべき時期)及び法人税基本通達2-1-14(固定資産の譲渡による収益の帰属の時期)で認められているとおり,建物の譲渡につき,引渡日のほかに契約の効力発生日とすることが認められているところ,これらの経理処理を記した帳簿は,消費税法における帳簿を兼ねることが許されているのであるから,消費税法における課税資産の譲渡等 の時期(課税仕入れを行った日)の判断は,引渡日及び契約の効力発生日の双方を基準とすべきである。 イ消費税法において権利確定主義の考え方が妥当するとしても,その概念は抽象的であるから,一義的に一定の日が「課税仕入れを行った日」として定まるものではなく,納税者による選択の要素が生じるのであって,最 高裁平成5年11月25日第一小法廷判決・民集47巻9号5278頁 (以下「最高裁平成5年判決」という。)においても,納税者が合理的な範囲で年度帰属に関する時期を選択することを,納税者間の公平性・中立性を損なうおそれがないものとして認めている。結局,取引の経済的実態からみて合理的な基準が何であるかを個別具体的な取引を一定程 的な範囲で年度帰属に関する時期を選択することを,納税者間の公平性・中立性を損なうおそれがないものとして認めている。結局,取引の経済的実態からみて合理的な基準が何であるかを個別具体的な取引を一定程度類型化して定めるほかなく,それゆえ法人税法,所得税法及び消費税法の「法令 解釈」として,取引類型に応じて実際の取引の経済的実態に応じた通達の定めが設けられ,当該通達を一般的な法解釈として課税実務が運営されている。 そして,建物の譲渡は,契約締結の時点で他の物品等の取引とは異なり,当事者双方への拘束性が強く,また,決済においては,引渡しが外観上判 別しづらい点で,他の物品等の取引とは異なる特徴を有しており,これらを考慮した取引の経済的実態からみた合理的な基準として,固定資産に関する「課税仕入れを行った日」は,①その引渡しがあった日(本件通達本文)又は②事業者が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日を資産の譲渡(課税仕入れ)の時期としているときはこれを認める(本件通達 ただし書)とする解釈が,課税実務上採用されているのであって,そのことを示す文献が多数存在する(甲18の別添1,24等)。 したがって,消費税法30条1項1号の解釈として,建物の譲渡における「課税仕入れを行った日」とは,①引渡しがあった日及び②当該建物の譲渡に関する契約の効力発生の日を指すものであって,納税者は本件通達 ただし書に沿った解釈を選択することが許容されているものと解される。 (2) 本件についての検討本件売買契約には,その売買契約の効力を一般的に生じさせないための特段の停止条件や停止期限は付されておらず,原告は,本件通達ただし書にも示されている契約の効力発生日を基準として,本件建物の取得に係る「課税 仕入れを行った日」を平 一般的に生じさせないための特段の停止条件や停止期限は付されておらず,原告は,本件通達ただし書にも示されている契約の効力発生日を基準として,本件建物の取得に係る「課税 仕入れを行った日」を平成26年4月30日とする経理処理に基づき,本件 確定申告を行ったのであって,消費税法30条1項1号の解釈に従った正当かつ適法なものといえる。 したがって,本件消費税等更正処分のうち本件建物の取得に係る支払対価に関する部分は,消費税法30条1項1号の解釈・適用に誤りがあり,国税通則法24条の要件を充足していないにもかかわらず行われたものであるか ら,違法である。 (3) 被告の主張に対する反論被告は,消費税法においても権利確定主義が妥当し,消費税法30条1項1号がいう「課税仕入れを行った日」につき,契約の効力発生日を基準とする解釈は,資産の譲渡等による対価を収受すべき権利が確定していると評価 できる事情がある場合に限り認められると主張する。 しかしながら,最高裁平成5年判決は,取引の経済的実態からみて,合理的な会計処理であるか否か,またその会計処理の採用が継続的なものであるか否かといった観点から,「一般に公正妥当な会計処理の基準」に合致した処理であるか否かを判断しており,これと同様の考慮により,消費税法30 条1項1号にいう「課税仕入れを行った日」に該当するか否かを判断すべきであって,権利確定主義,すなわち権利の確定の有無という抽象的な概念は,個々の取引類型に応じて会計処理の是非を直接に論じるための法的な基準として扱われているものではない。個別の取引類型における会計処理の基準が,経済的実態から合理性を有するものであるかが判断されているにすぎない。 したがって,資産の譲渡等による対価を収受すべき権利が確定し れているものではない。個別の取引類型における会計処理の基準が,経済的実態から合理性を有するものであるかが判断されているにすぎない。 したがって,資産の譲渡等による対価を収受すべき権利が確定していると評価できる事情がある場合といった,権利確定主義という抽象的な考え方そのものを基準とする上記主張は,同法において権利確定主義の考え方が妥当するとの意味を明らかに誤って理解するものであり,理由がない。 2 争点2(本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30 条1項1号)は,本件課税期間に属する日であるか否か)について (被告の主張の要旨)(1) 役務の提供に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)の意義について「課税仕入れ」である「役務の提供」(消費税法2条1項12号)とは,請負契約に代表される土木工事等のほか,興行その他種々のサービスを提供 することをいい,弁護士等によるその専門的知識,技能等に基づく役務の提供もこれに含まれる。 消費税法は,役務の提供において生じた付加価値が付与されるのを捉えて消費税の課税対象としていると解されることに加え,請負契約においては,その報酬請求権は,仕事の目的物の引渡しを要する請負にあってはその引渡 しの時,目的物の引渡しを要しないときは仕事の完了の時に発生し(民法633条,624条1項),また,委任契約においては,期間によって報酬を定めた場合を除き,委任事務を履行した時に発生する(同法648条2項)ことからすれば,役務の提供が完了したときに権利が確定し,役務提供者が「資産の譲渡等」(消費税法2条1項8号)を行ったことになると解すべき であるから,このような役務の提供については,役務の提供の全部を完了した日を「課税仕入れを行った 利が確定し,役務提供者が「資産の譲渡等」(消費税法2条1項8号)を行ったことになると解すべき であるから,このような役務の提供については,役務の提供の全部を完了した日を「課税仕入れを行った日」と解すべきである。 (2) 本件についての検討本件司法書士報酬は,原告が購入した本件不動産の登記申請等に係る役務の提供の対価であると認められる。そして,本件司法書士は,平成26年5 月26日に本件売買契約を登記原因とする所有権移転登記の申請,本件不動産への抵当権の設定登記の申請をそれぞれ行い,同日,これらの登記がされたものである。そうすると,本件司法書士が原告から委任を受けた本件不動産の登記申請等に係る役務の提供の全部を完了した日は,同日であると認められる。 したがって,本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行った日」は,本件 課税期間に属さない平成26年5月26日であるから,本件司法書士報酬に係る消費税額を,本件課税期間の控除対象仕入税額に算入することはできない。 (原告の主張の要旨)本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行った日」についても,権利確定主 義によって判断すべきであるところ,登記手続に関する司法書士報酬は不動産登記の日(いわゆる決済日)において支払われることが一般的であり,この場合に登記の完了日を売上げの計上日とすると,司法書士報酬については常に現金主義を採用することとなり権利確定主義に反する。そうすると,不動産登記手続に係る司法書士報酬の「課税仕入れを行った日」については,登記手続の 前提となる不動産取引契約及び司法書士との準委任契約の双方が成立した日を基準とすべきである。 平成26年4月30日に本件売買契約が締結され,本件司法書士報酬の金額が経理処理されるなど,本 前提となる不動産取引契約及び司法書士との準委任契約の双方が成立した日を基準とすべきである。 平成26年4月30日に本件売買契約が締結され,本件司法書士報酬の金額が経理処理されるなど,本件売買契約及び準委任契約がともに成立しているのであるから,本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行った日」は,本件課税 期間に属する日である。 3 争点3(本件消費税等更正処分は,信義則に反し,違法であるか否か)について(原告の主張の要旨)(1) 判断枠組み 租税法律関係において,信義則に違反するとしてその法律上の効果が否定されるのは,納税者間の平等,公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別な事情が存する場合に限られる。そして,このような特別な事情が存するかどうかの判断に当たっては,少なくとも,①税務官庁が納 税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより,②納税者がそ の表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ,③後に同表示に反する課税処分が行われ,そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか,また,④納税者が税務官庁の同表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて,納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮を要する(最高裁昭和62年10月30日第三小法廷判 決・裁判集民事152号93頁(以下「最高裁昭和62年判決」という。)参照)。 (2) 本件についての検討本件通達ただし書は,消費税法30条1項1号の解釈として,同法制定当時から四半世紀以上もの期間にわたり,明文で納税者の選択可能性を明確に 認める旨公表され続けてきたものである。原 討本件通達ただし書は,消費税法30条1項1号の解釈として,同法制定当時から四半世紀以上もの期間にわたり,明文で納税者の選択可能性を明確に 認める旨公表され続けてきたものである。原告は,このように公的見解として長期間にわたって広く周知され,信頼されてきた解釈を信頼し,これに沿って本件確定申告を行ったにもかかわらず,同解釈を否定されて本件消費税等更正処分等を受け,予期せぬ損害を被った。 原告による本件建物の取得に係る課税仕入れを行った日の判断につき,上 記解釈が認められないとは,本件通達の文言上,全く読み取ることができない。また,納税者の選択可能性を認める本件通達ただし書は,消費税法30条1項1号の解釈として,公的見解として長期間にわたって広く周知され,信頼されてきたのであり,これと異なる実務上の運用があるとの事情もなく,原告が上記解釈と異なる解釈を行えば,かえって更正処分等の対象となり得 る状況であった。このため,原告が,本件通達ただし書を信じて行動するにつき,何ら責めに帰すべき事情はなかった。 処分行政庁は,明確な解釈の変化や本件通達の解釈が消費税法30条1項1号に適合しないことの理由も示さないまま,唐突に上記解釈を否定して本件消費税等更正処分等を行ったものであり,これにより納税を余儀なくされ た原告の経済的負担は決して軽いものではない。本件消費税等更正処分等に 係る課税を免れさせて原告の信頼を保護しなければ,今後,消費税法基本通達にとどまらず,国税庁長官による法令解釈通達一般につき,改訂されないままこれに反する課税処分が行われ,恣意的な課税処分が容認されることとなり,我が国の全ての納税者の信頼を破壊する結果となる点で,著しく正義に反する。 以上によれば,本 ,改訂されないままこれに反する課税処分が行われ,恣意的な課税処分が容認されることとなり,我が国の全ての納税者の信頼を破壊する結果となる点で,著しく正義に反する。 以上によれば,本件消費税等更正処分は,信義則に反し,違法である。また,本件消費税等更正処分が適法であることを前提とした,本件賦課決定処分及び本件各法人税更正処分もまた違法である。 (被告の主張の要旨)(1) 判断枠組み 租税法は強行法規であり,合法性の原則が支配し,法律の根拠に基づくことなしに租税を減免することは許されない。そのため,租税法律関係における信義則の法理の適用に関しては,合法性の原則を犠牲にしても,なお納税者の信頼を保護することが必要であると認められる場合に限られるというべきである。最高裁昭和62年判決も,信義則の法理が適用される場面を限定 的に解した上で,その適用の是非を検討すべき特別の事情の有無について,①税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したこと,②これにより,納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したこと,③後に上記表示に反する課税処分が行われ,そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか,また,④納税者が税務官庁の上 記表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて,納税者の責めに帰すべき事由がないことといった事情全てが少なくとも必要であるとしている。 (2) 本件についての検討本件通達ただし書は,原告が主張するように,固定資産の引渡しの時期が 明らかな場合か否かを問わず,納税者において,資産の譲渡等の時期を引渡 日とするか契約締結日とするかを自由に選択することを認めたものではないから,税務官庁においてその旨の公的見解を表示した 明らかな場合か否かを問わず,納税者において,資産の譲渡等の時期を引渡 日とするか契約締結日とするかを自由に選択することを認めたものではないから,税務官庁においてその旨の公的見解を表示したものとはいえない(上記①)。 原告の本件確定申告に係る一連の行為は,本件建物の取得に係る課税仕入れの税額につき,その全額の還付を受けることのみを目的としたものであっ て,本件売買契約と同日付けで未払金勘定を相手方科目として資産を計上し,あたかも確定的に所有権が移転したとする経理処理もしている。すなわち,原告は,本件通達本文を適用したのでは仕入税額控除ができず多額の消費税等の還付を受けることができないことを十分に承知した上で,本件通達ただし書が仕入税額控除に係る課税仕入れを行った日につき,固定資産の引渡日 あるいは契約締結日のいずれとするかを納税者の自由な選択に委ねている旨の解釈を示しているという,本件通達の趣旨に反する独自の見解に基づき,あえて本件建物の取得に係る課税仕入れが,本件課税期間のものであるとして本件確定申告をしたものである。そうすると,原告が税務官庁の表示を信頼しその信頼に基づいて行動したものとは到底いえない(上記②)。 また,本件消費税等更正処分等は,いずれも適法な課税処分であり,適法な課税処分の結果,原告の納付すべき税額が増加したにすぎないから,原告は最高裁昭和62年判決にいう経済的不利益を受けることになったものに該当しないというべきである(上記③)。 さらに,原告は,本件通達ただし書は納税者に自由な選択を認めるもので あるとの独自の解釈に基づいて本件確定申告をしたのであり,かかる解釈を採ったことに原告の責めに帰すべき事由がないということはできない(上記④)。 以 税者に自由な選択を認めるもので あるとの独自の解釈に基づいて本件確定申告をしたのであり,かかる解釈を採ったことに原告の責めに帰すべき事由がないということはできない(上記④)。 以上のとおり,原告には,最高裁昭和62年判決で示された特別の事情は存在せず,本件において信義則の法理の適用がないことは明らかである。 4 争点4(本件更正通知書における理由付記に不備があるか否か)について (被告の主張の要旨)(1) 判断枠組み行政手続法14条1項が不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合 理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして,不利益処分一般について,どの程度の理由を提示すべきかは,上記のような同項本文の趣旨に照らし,当該根拠法令の規定内容,当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無,当該処分の性質及び内容,当該処分の原因と なる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきであると解される(最高裁平成23年6月7日第三小法廷判決・民集65巻4号2081頁(以下「最高裁平成23年判決」という。)参照)。 (2) 本件についての検討本件更正通知書は,「課税仕入れを行った日」が平成26年5月26日で あると判断するに至った過程につき,仕入税額控除の対象となる課税仕入れの範囲を示した消費税法30条1項1号の記載と共に,本件建物の引渡時期を認定・判断するために考慮した事実関係等を具体的に摘示している。そして,本件課税期間の仕入税額控除の対象から除 となる課税仕入れの範囲を示した消費税法30条1項1号の記載と共に,本件建物の引渡時期を認定・判断するために考慮した事実関係等を具体的に摘示している。そして,本件課税期間の仕入税額控除の対象から除外する課税仕入れに係る支払対価の額の内訳を示した表には,控除対象から除外する支払対価の内容ごと に,その支払先及びその支払対価の額が具体的に記載されている。 このような本件更正通知書の記載内容からすれば,本件課税期間の仕入税額控除の対象から除外される課税仕入れに係る支払対価の額である合計2億8573万2839円は,本件売買契約に基づく本件建物の取得に係る支払対価の額及び本件司法書士報酬の額であること,これらの課税仕入れを行っ た日は,本件売買契約の約定内容,代金支払日,本件建物の賃料の収受開始 日,所有権移転登記の日に照らして,本件建物の引渡しがされ,また,本件建物の所有権移転登記という本件司法書士の役務の提供が完了した平成26年5月26日であり,上記金額は,本件課税期間における課税仕入れに係る支払対価の額として仕入税額を控除することはできないことという本件消費税等更正処分に至る処分行政庁の判断過程が,具体的に示されているという ことができる。 以上の事情に鑑みると,本件更正通知書の上記記載は,行政手続法14条1項の趣旨である処分行政庁の判断の慎重,合理性を確保する点について欠けるところはなく,原告においても,その記載自体から,本件売買契約の締結日が本件建物に係る「課税仕入れを行った日」でない旨を容易に読み取る ことができるものといえる。すなわち,本件更正通知書における理由の記載は,処分行政庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨及び目的を充足する程度に具体的に明示したものということができ,法の できるものといえる。すなわち,本件更正通知書における理由の記載は,処分行政庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨及び目的を充足する程度に具体的に明示したものということができ,法の要求する更正の理由付記として欠けるところはない。 したがって,本件更正通知書における理由付記に不備はない。 (3) 原告の主張に対する反論原告は,本件消費税等更正処分には,行政手続法14条1項において求められている法令の適用関係や判断過程に関する記載が全く存在せず,課税庁の恣意の抑制や納税者の不服申立ての便宜等の要請との趣旨に反するため,理由付記の不備の違法があることは明らかである旨主張する。 しかしながら,本件通達は,行政手続法12条にいう処分基準ではなく,本件更正通知書に本件通達に関する付記がなければ,どのような基準に依って本件消費税等更正処分が行われたものか明らかにならないものではない。 また,資産の譲渡の時期を引渡日と契約の効力発生日のいずれとするかについて,納税者に自由な選択を許容する取扱いや解釈を示したものではなく, 本件売買契約のように,本件不動産の引渡しの時期が売買代金全額の支払が あったときと定められ,代金の支払という外形的事実によって引渡しの時期が明確に把握できる場合には,引渡日が資産の譲渡の日であると解されることを確認的に定めたものである。本件更正通知書には,本件通達に沿った解釈が示されているところ,本件通達ただし書に即した解釈をする余地がない本件につき,本件通達に関する付記がないことによって,処分行政庁の判断 過程が不明瞭となり行政手続法14条1項の趣旨に反することにならないのは明らかであるから,原告の上記主張は,理由がない。 (原告の主張の要旨)(1) 本件更正通知書 ,処分行政庁の判断 過程が不明瞭となり行政手続法14条1項の趣旨に反することにならないのは明らかであるから,原告の上記主張は,理由がない。 (原告の主張の要旨)(1) 本件更正通知書における理由付記の不備について行政手続法14条1項は,法令解釈に争いがある場合や,公表されている 処分基準に反する処分においては,法令解釈の内容や処分基準を採用しない理由について理由付記を行うことを求めているところ,本件消費税等更正処分は,消費税法30条1項1号の法令解釈につき原告と処分行政庁間で争いがある場合であって,かつ,公表された法令解釈基準たる通達の定めである,本件通達ただし書の文言に反して本件通達本文を基準とするものであるから, 法令解釈の内容や本件通達ただし書を採用しない理由について理由付記を行うことが求められる。しかしながら,本件更正通知書に記載された更正の理由には,本件建物の取得に関する本件売買契約の契約書のうち,代金支払期限及び引渡日,代金支払日,本件建物の賃料の収受開始日及び所有権移転登記の日がそれぞれ列挙され,その直後に,課税仕入れを行った日は本件建物 の引渡日である平成26年5月26日と認められるとの結論が述べられているだけで,消費税法30条1項1号の解釈に関する記載や,本件通達ただし書を基準とすることができない合理的な理由は何ら記載されていない。 したがって,本件消費税等更正処分には,行政手続法14条1項において求められている法令の適用関係や判断過程に関する記載が全く存在せず,課 税庁の恣意の抑制や納税者の不服申立ての便宜等の要請との趣旨に反するた め,理由付記の不備の違法があることは明らかである。 (2) 本件司法書士報酬に関する部分の理由付記の不備について原告の本件司法書 や納税者の不服申立ての便宜等の要請との趣旨に反するた め,理由付記の不備の違法があることは明らかである。 (2) 本件司法書士報酬に関する部分の理由付記の不備について原告の本件司法書士との契約,課税取引は,本件売買契約とは別個の課税仕入れである。しかしながら,本件更正通知書に記載された更正の理由には,本件建物の取得に関する本件売買契約の契約書のうち,代金支払期限及び引 渡日,代金支払日,本件建物の賃料の収受開始日及び所有権移転登記の日がそれぞれ列挙され,その直後に,課税仕入れを行った日は本件建物の引渡日である平成26年5月26日と認められるとの結論が述べられているにすぎないし,本件司法書士報酬については,支払対価の額が記載されているのみで,本件司法書士との委任契約の日や本訴において被告が主張するような役 務提供の日に関する言及は全く記載されていない。このように,本件更正通知書をみる限り,本件消費税等更正処分は,本件建物の取得に係る課税仕入れについて行われたものとしか評価できない。 したがって,本件消費税等更正処分は,本件司法書士報酬に関する部分の理由付記を欠くものであり,違法である。 5 争点5(原告に国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるか否か)について(原告の主張の要旨)(1) 判断枠組み国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があると認められる場合とは, 真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいう(最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決・民集60巻4号1611頁(以下「最高裁平成18年判決」という。)参照)。 (2) 少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいう(最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決・民集60巻4号1611頁(以下「最高裁平成18年判決」という。)参照)。 (2) 本件についての検討 原告において,本件建物の取得につき消費税法30条1項1号を適用するに当たり,「課税仕入れを行った日」を本件売買契約の効力発生日と解して本件確定申告をしたこと,具体的には,本件通達ただし書で示された解釈に基づいて同号の法令解釈をしたことは,単なる原告の税法の不知又は誤解によるものとはいえない。すなわち,本件通達ただし書は,土地,建物その他 これに類する資産である場合につき,文言上限定を付すことなく,「事業者が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日を資産の譲渡の時期としているときは,これを認める。」と定めているから,「課税仕入れの日」を本件売買契約の効力発生日(契約日)とすることに何ら制限はなかった。 このように,原告は,本件通達で客観的に示された消費税法30条1項1 号の解釈に忠実に従って本件確定申告をしたのであって,真に責めに帰することのできない客観的事情があり,原告に本件賦課決定処分を課すことは他の納税者との公平の観点からも,不当又は酷であることは明らかである。 したがって,本件賦課決定処分は,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるものとして,取り消されるべきである。 (被告の主張の要旨)原告の本件確定申告に係る一連の行為は,本件建物の取得に係る課税仕入れの税額につき,その全額の還付を受けることのみを目的としたものであって,原告は,本件通達ただし書が固定資産の引渡しの時期が明らかな場合か否かを問わず,引渡日と契約締結日のいずれを資産の譲渡等の時期とす 税額につき,その全額の還付を受けることのみを目的としたものであって,原告は,本件通達ただし書が固定資産の引渡しの時期が明らかな場合か否かを問わず,引渡日と契約締結日のいずれを資産の譲渡等の時期とするかについて 納税者の自由な選択を認める旨の解釈をしたものではないにもかかわらず,そのような解釈をしたものであるとの独自かつ恣意的な見解に基づいて,本件確定申告を行った。このように,消費税等の還付を受けることのみを目的とし,法令を独自かつ恣意的に解釈して本件確定申告を行った原告について,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があるとは到底いえないし, 過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお原告に過少申告加算税を賦課するこ とが不当又は酷であるともいえない。 したがって,原告に国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとは認められない。 第5 当裁判所の判断 1 争点1(本件建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条 1項1号)は,本件課税期間に属する日であるか否か)について(1) 建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)の意義についてア消費税法30条1項1号は,事業者が,国内において課税仕入れを行った場合,当該「課税仕入れを行った日」の属する課税期間の課税標準額に 対する消費税額から,当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額を控除する旨規定し,いわゆる仕入税額控除の制度を採用している。この制度は,取引段階の進展に伴う税負担の累積を防止するために,仕入れに含まれている消費税等の額を控除するものである。そして,同法2条1項12号が,「課税仕入れ」とは,「事業者が,事業として他 の者から資産を譲り受け(中略)ること」 積を防止するために,仕入れに含まれている消費税等の額を控除するものである。そして,同法2条1項12号が,「課税仕入れ」とは,「事業者が,事業として他 の者から資産を譲り受け(中略)ること」と定義した上で,括弧書きによって「当該他の者が事業として当該資産を譲り渡し(中略)たとした場合に課税資産の譲渡等に該当することとなるもの(中略)に限る。」との限定を付していることからすれば,消費税法は,「課税資産の譲渡等」(同項9号)と「課税仕入れ」を表裏一体のものとして捉えているものと解さ れる。そうすると,同法30条1項1号にいう「課税仕入れを行った日」は,譲渡人が課税資産の譲渡等を行った日と同義であると解するのが相当である。 そして,国税通則法15条2項7号が,課税資産の譲渡等をした時に消費税等を納付する義務が成立する旨規定しており,課税資産の譲渡等は, 事業者に納税義務を課する基因となる事由であること,また,消費税法2 8条1項本文が,その課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額を,対価として収受し,又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とする旨規定しており,現実に収受した金銭等のみならず,「収受すべき」金銭等もこれに含めていることからすれば,消費税法は,納税者の恣意を許さず,課税の公平を期すという観点から, 課税資産の譲渡等による対価を収受する権利が確定した時点でその収受すべき対価を取得したものとして,その時点の属する課税期間の課税対象とする立場に立つものということができる。 したがって,課税資産の譲渡等による対価を収受する権利が確定した時点で,当該資産の譲渡等が行われたとみるのが相当であり,消費税法30 条1項1号にいう「課税仕入れを行った日」について きる。 したがって,課税資産の譲渡等による対価を収受する権利が確定した時点で,当該資産の譲渡等が行われたとみるのが相当であり,消費税法30 条1項1号にいう「課税仕入れを行った日」についても,課税資産の譲渡等による対価を収受する権利が確定した日(譲受側から見ればその対価を支払うべき義務が確定した日)をいうものと解するのが相当である。この意味で,消費税においても,いわゆる権利確定主義(例えば,ある収益をどの事業年度に計上すべきか否かという法人税法の解釈適用において,収 益は,その実現があった時,すなわち,その収入すべき権利が確定したときの属する年度の益金に計上すべきものとする考え方(最高裁平成5年判決参照))が妥当するものといえる。 そして,課税資産の譲渡等による対価を収受する権利が確定したというためには,権利が発生したというだけでは足りず,客観的にみて権利の実 現が可能な状態になったことを要するというべきである。本件通達も,権利確定主義に反する取扱いを認めるものではなく, 固定資産の譲渡等については,通常,その引渡しという事実があれば,その対価である権利の実現が客観的に可能な状態となり,権利が確定したといえることから,本件通達本文において,引渡日を「課税仕入れを行った日」とすることを原則 としつつ,本件通達ただし書において,課税資産の譲渡等に係る契約の内 容によっては,当該契約の効力発生日をもって,客観的にみてその対価を収受する権利の実現が可能な状態となり,権利が確定したと認められる場合もあることから,そのような場合には契約の効力発生日を「課税仕入れを行った日」とすることを認める趣旨であると解される。 イ原告は,①消費税法において権利確定主義の考え方が妥当するとしても, その から,そのような場合には契約の効力発生日を「課税仕入れを行った日」とすることを認める趣旨であると解される。 イ原告は,①消費税法において権利確定主義の考え方が妥当するとしても, その概念は抽象的であるから,納税者による選択の要素が生じ,個別の取引類型における会計処理の基準が取引の経済的実態から合理性を有するものであるか否かによって判断せざるを得ない,②建物の譲渡は,契約締結の時点で他の物品等の取引とは異なり,当事者双方への拘束性が強く,また,決済においては,引渡しが外観上判別しづらい点で,他の物品等の取 引とは異なる特徴を有しており,これらを考慮した取引の経済的実態からみた合理的な基準として,本件通達ただし書による無条件の契約基準が導かれる旨主張する。 しかしながら,最高裁平成5年判決は,その判示のとおり,法人の収益の計上時期(年度帰属)につき,「一般に公正妥当と認められる会計処理 の基準」(法人税法22条4項)によれば,権利確定主義が妥当する旨解しているのであって,「取引の経済的実態から会計処理の基準が合理性を有するものであるか否か」を検討する際の,会計処理の合理性についての判断に際しては,収入すべき権利の確定の有無の判断が必要な要素として考慮されている。したがって,原告の上記①の主張が,当該権利の確定の 有無にかかわらず,取引の経済的実態から上記の合理性を判断すべきであるということをいうのであれば,採用することができない。 また,原告は,上記②のとおり,建物の譲渡については,契約の当事者への拘束性が強いとか,引渡しが外観上判別しづらいなどといった点を取り上げて,無条件に,契約の効力発生日の時点において建物の取得に係る 支払対価の額を計上することも合理的である旨主張するも 者への拘束性が強いとか,引渡しが外観上判別しづらいなどといった点を取り上げて,無条件に,契約の効力発生日の時点において建物の取得に係る 支払対価の額を計上することも合理的である旨主張するものと解されるが, 建物の売買契約といってもその契約内容にも様々なものがあり得るところ,権利の確定の有無という視点から検討した場合,原告が指摘する上記のような点のみをもって,無条件に契約の効力発生日の時点に権利が確定するなどということができないことは明らかである。したがって,原告の上記②の主張は採用することができない。 さらに,原告は,③最高裁平成5年判決においても,納税者が合理的な範囲で年度帰属に関する時期を選択することを,納税者間の公平性・中立性を損なうおそれがないものとして認めているところ,消費税法30条1項1号の解釈を示している本件通達は,建物の譲渡という取引の経済的実態からみて合理的な基準として,本件通達本文がいう引渡しがあった日及 び本件通達ただし書がいう当該建物の譲渡に関する契約の効力発生の日を定め,納税者がこれらのいずれかの基準を選択することができる旨定めたのである旨主張する。 しかしながら,最高裁平成5年判決は,「その権利の実現が未確定であるにもかかわらずこれを収益に計上したり(中略)するなどの会計処理は, 一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合するものとは認め難い」と判示しているところからも明らかなとおり,実質的に引渡しがされたと認められるなどの事情があれば,その時点において,権利が既に確定したものとして,これを収益として計上するという会計処理も合理的なものといえると判断したものであり,権利の確定の有無を離れて自由にその選択 を認めるものではない。したがって,原 権利が既に確定したものとして,これを収益として計上するという会計処理も合理的なものといえると判断したものであり,権利の確定の有無を離れて自由にその選択 を認めるものではない。したがって,原告の上記③の主張は採用することができない。 また,原告は,④課税実務に照らしても,納税者が本件通達ただし書に沿って当該建物の譲渡に関する契約の効力発生の日を「課税仕入れを行った日」とすることは,消費税法30条1項1号の解釈として許容されてい る旨主張する。 確かに,原告が引用する文献(甲18の別添1,24等)には,本件通達ただし書により無条件に契約基準を選択できるかのように読めるものもあるが,現実の課税実務として,本件のように,後記(2)のとおり,契約成立日(効力発生日)において,対価を収受する権利が確定したものと考える余地が全くない場合にまで,無条件の契約基準を是認した課税実務が一 般的にされていたとは考え難いし,そのような課税実務が現にあったことを示す証拠もない。したがって,原告の上記④の主張は採用することができない。 したがって,原告の上記各主張は,採用することができない。 (2) 本件についての検討 ア前記前提事実(3)イのとおり,本件売買契約の内容として,①本件不動産の売買代金全額の支払と所有権移転登記手続及び本件不動産の引渡しを同時履行とすること,②本件売主は,本件不動産引渡し時までに,抵当権等の担保権等の負担を除去抹消すること,③本件不動産から発生する収益,公租公課等に関しては,本件不動産の引渡日をもって区分し,引渡日以降 は原告に帰属し,引渡日に精算することなどが合意されている。 そして,本件売買契約の履行状況についてみると,前記前提事実(5)のとおり,①原告は,平成26年 引渡日をもって区分し,引渡日以降 は原告に帰属し,引渡日に精算することなどが合意されている。 そして,本件売買契約の履行状況についてみると,前記前提事実(5)のとおり,①原告は,平成26年5月26日,本件売主に対し,本件不動産の代金全額を支払い,②原告及び本件売主は,同日,本件建物につき,本件売買契約を原因とする所有権移転登記手続を了し,③本件不動産の固定資 産税等に関しては,その負担割合を同日をもって区分し,同日精算され,④原告と本件管理会社との間で,同日を契約開始日とする本件建物に係る管理業務契約が締結され,原告は同日から本件建物の賃料の収受を開始したことが,それぞれ認められる。 そうすると,平成26年5月26日に,本件売主が本件不動産につき原 告への所有権移転登記手続をし,原告において本件不動産の使用収益が可 能となり,本件不動産の引渡しがあったというべきであって,本件建物に係る売買代金請求権が客観的にみて実現可能な状態となった時点,すなわち,同請求権について権利が確定した時点は,同日であると認めるのが相当である。 したがって,本件建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」は,平成 26年5月26日であると認められるのであって,上記日は本件課税期間に属さないというほかない。 イこれに対し,原告は,本件売買契約には,その売買契約の効力を一般的に生じさせないための特段の停止条件や停止期限は付されておらず,原告は,本件通達ただし書にも示されている契約の効力発生日を基準として, 本件建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」を平成26年4月30日とする経理処理に基づき,本件確定申告を行ったのであって,消費税法30条1項1号の解釈に従った正当かつ適法なものといえる旨主張する。 しかしながら, る「課税仕入れを行った日」を平成26年4月30日とする経理処理に基づき,本件確定申告を行ったのであって,消費税法30条1項1号の解釈に従った正当かつ適法なものといえる旨主張する。 しかしながら,上記アで述べたような本件売買契約の内容及び履行状況に照らすと,本件売買契約の締結日の時点では売買代金請求権が発生して いたにとどまり,客観的にみて権利の実現が可能な状態になったということはできないから,原告の上記主張は,採用することができない。 2 争点2(本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)は,本件課税期間に属する日であるか否か)について(1) 役務の提供に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号) の意義について原告が,本件司法書士から本件不動産の登記申請等の事務の履行を受けることは,消費税法2条1項12号にいう「役務の提供」を受けることに当たるところ,上記1(1)アで説示したとおり,消費税法30条1項1号にいう「課税仕入れを行った日」とは,課税資産の譲渡等(役務の提供)による対 価を収受する権利が確定した日をいうものと解するのが相当であり,課税資 産の譲渡等(役務の提供)による対価を収受する権利が確定したというためには,権利が発生したというだけでは足りず,客観的にみて権利の実現が可能な状態になったことを要するというべきである。 (2) 本件についての検討ア前記前提事実(5)のとおり,原告と本件司法書士との間で締結された準委 任契約の内容は,本件司法書士が,本件不動産の登記申請等の事務を行い,原告が,その対価として本件司法書士報酬を支払うというものであって,本件司法書士は,平成26年5月26日,本件売買契約を原因とする所有権移転登記の申請, 書士が,本件不動産の登記申請等の事務を行い,原告が,その対価として本件司法書士報酬を支払うというものであって,本件司法書士は,平成26年5月26日,本件売買契約を原因とする所有権移転登記の申請,G信用金庫の原告に対する債権を被担保債権とする抵当権の設定登記の申請をそれぞれ行い,同日,これらの登記がされたこと が認められる。そうすると,本件司法書士が上記準委任契約に係る委任事務の履行を完了したのは,同日であるといえる。 そして,一般に,準委任契約においては,期間によって報酬を定めた場合を除き,委任事務の履行を完了したときに報酬請求権が発生するものであり(民法656条,648条2項),本件においても,原告は,委任事 務の履行が完了した同日に,本件司法書士に対し,上記の各登記申請という役務の提供に係る対価として,本件司法書士報酬を支払っている。このような事情に鑑みれば,本件司法書士報酬に係る請求権が客観的にみて実現可能な状態となった時点,すなわち同請求権について権利が確定した時点は,上記の各登記申請という委任事務の履行が完了した日である平成2 6年5月26日と認めるのが相当である。 したがって,本件司法書士報酬に係る「課税仕入れを行った日」は,本件課税期間に属さない平成26年5月26日であると認められる。 イこれに対し,原告は,平成26年4月30日に本件売買契約が締結され,本件司法書士報酬の金額が経理処理されるなど,本件売買契約及び準委任 契約が共に成立しているのであるから,本件司法書士報酬に係る「課税仕 入れを行った日」は,本件課税期間に属する日(平成26年4月30日)である旨主張する。 しかしながら,仮に同日が準委任契約の締結日であったとしても,上記アで述べた準委任契約の内容及 課税仕 入れを行った日」は,本件課税期間に属する日(平成26年4月30日)である旨主張する。 しかしながら,仮に同日が準委任契約の締結日であったとしても,上記アで述べた準委任契約の内容及び委任事務の履行状況に照らすと,同日の時点では報酬請求権が発生していたとはいえず,客観的にみて権利の実現 が可能な状態になっていたということはできないから,原告の上記主張は,採用することができない。 3 争点3(本件消費税等更正処分は,信義則に反し,違法であるか否か)について(1) 判断枠組み 租税法規に適合する課税処分について,法の一般原理である信義則の法理の適用により,当該課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても,法律による行政の原理とりわけ租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては,上記法理の適用については慎重でなければならず,租税法規の適用における納税者間の平等,公平という要請を犠牲 にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れさせて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に,初めて上記法理の適用の是非を考えるべきものである。そして,上記特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては,少なくとも,①税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより,②納税者がその表示を信頼 しその信頼に基づいて行動したところ,後に上記表示に反する課税処分が行われ,③そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか,また,④納税者が税務官庁の上記表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠のものであるといわなければならない(最高裁昭和62年 ④納税者が税務官庁の上記表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠のものであるといわなければならない(最高裁昭和62年 判決参照)。 (2) 本件についての検討原告は,国税庁長官によって発せられ,公表されている消費税法基本通達11-3-1が準用する本件通達ただし書を根拠に,本件建物の売買契約の効力発生の日を「課税仕入れを行った日」とすることが認められるとして,本件確定申告をしているが,前記1(1)で説示したとおり,建物の取得に係 る「課税仕入れを行った日」の意義について,権利確定主義が妥当し,課税資産の譲渡等による対価を収受する権利が確定した日をいうものと解するのが相当であって,前記のとおり,本件通達ただし書は,無条件に契約基準を選択すること,すなわち,権利の実現が未確定な場合についてまで,契約の効力発生の日をもって「課税仕入れを行った日」と選択することを許容する ものとは解されない。前記のとおり,原告が有利に引用する文献等の記載はあるにしても,本件は,契約成立日(効力発生日)の時点で,引渡しはもちろんのこと,代金の相当部分の支払や所有権移転登記などもされておらず,契約成立日に権利が確定したなどということができないことは明らかな事案であったのであり,税理士である原告代表者は,そのような本件で契約基準 を適用することの不合理性を認識していたか,そうではなくても,容易にこれを認識できたはずであって,本件は,単に原告が消費税法等の解釈等を自ら誤って本件確定申告をしたものにすぎず,国税庁長官が原告に対し本件通達によって信頼の対象となる公的見解を表示したとも,後にその表示に反する課税処分が行われたとも認められない。 ら誤って本件確定申告をしたものにすぎず,国税庁長官が原告に対し本件通達によって信頼の対象となる公的見解を表示したとも,後にその表示に反する課税処分が行われたとも認められない。 したがって,本件消費税等更正処分について,租税法規の適用における納税者間の平等,公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れさせて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存するとは認められないから,信義則の法理に反し違法であるということはできない。 4 争点4(本件更正通知書における理由付記に不備があるか否か)について (1) 判断枠組み行政手続法14条1項本文が,不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に 知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして,同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは,上記のような同項本文の趣旨に照らし,当該処分の根拠法令の規定内容,当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無,当該処分の性質及び内容,当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである(最高 裁平成23年判決参照)。 (2) 本件についての検討ア本件建物の取得に係る支払対価に関する部分について本件更正通知書の「更正の理由」欄には,本件売買契約の合意内容である代金支払期限及び引渡日のほか,本件売買代金の支払日,本件建物の賃 料の収受開始日,所有権移転登記の日に関する事実が記載された上, 更正通知書の「更正の理由」欄には,本件売買契約の合意内容である代金支払期限及び引渡日のほか,本件売買代金の支払日,本件建物の賃 料の収受開始日,所有権移転登記の日に関する事実が記載された上,課税仕入れを行った日は本件建物の引渡しを受けた日である平成26年5月26日と認められる旨記載されている。これらの記載によれば,処分行政庁が,本件建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」(消費税法30条1項1号)は建物の引渡しの日をいうものと解釈した上で,いかなる事実に 基づいて本件建物の引渡しの日を認定したかは明らかであるといえるし,本件売買契約の締結日が「課税仕入れを行った日」に当たらない,すなわち,本件通達ただし書が適用されないと判断したことも,また明らかであるといえる。そうすると,処分行政庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨及び目的を充足する程度に具体的に理由が明示さ れたものということができる。 したがって,本件建物の取得に係る支払対価に関し,本件通達ただし書が適用される場合についての処分行政庁の解釈や,本件において本件通達ただし書が適用されなかった理由が記載されていなかったとしても,更正の理由付記として不備があるとはいえない。 イ本件司法書士報酬に関する部分について 本件更正通知書の「更正の理由」欄には,本件建物に係る所有権移転登記がなされた日が平成26年5月26日であることが記載され,これに続いて,「課税仕入れを行った日は,本件物件の引渡しを受けた日である平成26年5月26日と認められますので,本件物件の取得に係る支払対価の額296,779,079円は,当課税期間の課税仕入れに係る支払対 価の額に該当しません。」と記載されている。そして,同欄の表 26年5月26日と認められますので,本件物件の取得に係る支払対価の額296,779,079円は,当課税期間の課税仕入れに係る支払対 価の額に該当しません。」と記載されている。そして,同欄の表には,本件不動産の取得に係る取引のうち消費税法上の課税取引となる取引につき,科目・支払先毎に課税仕入れに係る支払対価の額が記載され,その中には本件司法書士を支払先とする課税仕入れに係る支払対価の額が合計14万2451円であると記載されていることからすれば,処分行政庁が,本件 司法書士報酬に係る「課税仕入れを行った日」,すなわち,役務の提供を受けた日を,本件建物に係る所有権移転登記を完了した日である平成26年5月26日であると認定したことは明らかであるといえる。 したがって,本件司法書士報酬に関する部分についても,処分行政庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨及び目的を充足 する程度に具体的に理由が明示されたものということができるから,更正の理由付記として不備があるとはいえない。 5 争点5(原告に国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるか否か)について(1) 判断枠組み 過少申告加算税は,過少申告による納税義務違反の事実があれば,原則と してその違反者に対して課されるものであり,これによって,当初から適正に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに,過少申告による納税義務違反の発生を防止し,適正な申告納税の実現を図り,もって納税の実を挙げようとする行政上の措置である。この趣旨に照らせば,国税通則法65条4項にいう「正当な理由があると認められる」場 合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,上記のような過少申告加算税の趣旨に照 ある。この趣旨に照らせば,国税通則法65条4項にいう「正当な理由があると認められる」場 合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,上記のような過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である(最高裁平成18年判決参照)。 (2) 本件についての検討 原告は,国税庁長官によって発せられ,公表されている消費税法基本通達11-3-1が準用する本件通達ただし書を根拠に,本件建物の売買契約の効力発生の日を「課税仕入れを行った日」とすることが認められるとして,本件確定申告をしているが,前記1(1)で説示したとおり,建物の取得に係る「課税仕入れを行った日」の意義について,権利確定主義が妥当し,課税資 産の譲渡等による対価を収受する権利が確定した日をいうものと解するのが相当であって,本件通達ただし書は,無条件に契約基準を選択すること,すなわち,権利の実現が未確定な場合についてまで,契約の効力発生の日をもって「課税仕入れを行った日」と選択することを許容するものとは解されない。前記のとおり,本件は,単に原告が消費税法等の解釈等を自ら誤って本 件確定申告をしたものにすぎず,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があるとはいえないから,原告に国税通則法65条4項にいう「正当な理由」を認めることはできない。 6 本件消費税等更正処分等及び本件各法人税更正処分の適法性原告は,本件において取消しを求める本件消費税等更正処分等及び本件各法 人税更正処分の適法性に係る被告の主張について,上記各争点を除き,争うこ とを明らかにせず,本件記録によっても,被告の上記主張に不合理な点は見当たらない。したがっ 正処分等及び本件各法 人税更正処分の適法性に係る被告の主張について,上記各争点を除き,争うこ とを明らかにせず,本件記録によっても,被告の上記主張に不合理な点は見当たらない。したがって,本件消費税等更正処分等及び本件各法人税更正処分は,適法である。 7 結論よって,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし て,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官松永栄治 裁判官森田 亮 裁判官渡邊直樹(別紙1省略)(別紙3省略) (別紙2)関係法令等の定め 1 消費税法(平成27年法律第9号による改正前のもの)(1) 2条1項この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるとこ ろによる。 〔1号から7号まで略〕8号資産の譲渡等事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(中略)をいう。 9号課税資産の譲渡等資産の譲渡等のうち,第6条第1項の規定により 消費税を課さないこととされるもの以外のものをいう。 〔10号,11号略〕12号課税仕入れ事業者が,事業として他の者から資産を譲り受け,若しくは借り受け,又は役務の提供(中略)を受けること(当該他の者が事業として当該資産を譲り渡し,若しく は貸し付け,又は当該役務の提供をしたとした場合に課税資産の譲渡等に該当することとなるもので,第7条第1項各号に掲げる資産の譲渡等に該当するもの及び第8条第1項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるもの以外のものに限る。)をいう。 等に該当することとなるもので,第7条第1項各号に掲げる資産の譲渡等に該当するもの及び第8条第1項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるもの以外のものに限る。)をいう。 〔13号から20号まで略〕(2) 28条1項課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は,課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し,又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし,課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税 額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額 を含まないものとする。以下この項及び次項において同じ。)とする。ただし,法人が資産を第4条第4項第2号に規定する役員に譲渡した場合において,その対価の額が当該譲渡の時における当該資産の価額に比し著しく低いときは,その価額に相当する金額をその対価の額とみなす。 (3) 30条1項 事業者(中略)が,国内において行う課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物については,次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日の属する課税期間の第45条第1項第2号に掲げる課税標準額に対する消費税額(中略)から,当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額(中略)及び当該課税期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物 (中略)につき課された又は課されるべき消費税額(中略)の合計額を控除する。 1号国内において課税仕入れを行った場合当該課税仕入れを行った日〔2号,3号略〕 2 消費税法基本通達(平成27年5月26日付け課消1-17ほか5課共同「消 費税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」による改正前のもの)(1) 9-1-2( 号,3号略〕 2 消費税法基本通達(平成27年5月26日付け課消1-17ほか5課共同「消 費税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」による改正前のもの)(1) 9-1-2(棚卸資産の引渡しの日の判定)棚卸資産の引渡しの日がいつであるかについては,例えば,出荷した日,相手方が検収した日,相手方において使用収益ができることとなった日,検針等により販売数量を確認した日等,当該棚卸資産の種類及び性質,その販売に係 る契約の内容等に応じてその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち,事業者が継続して棚卸資産の譲渡を行ったこととしている日によるものとする。この場合において,当該棚卸資産が土地又は土地の上に存する権利であり,その引渡しの日がいつであるかが明らかでないときは,次に掲げる日のうちいずれか早い日にその引渡しがあったものとすることができる。 (1) 代金の相当部分(おおむね50%以上)を収受するに至った日 (2) 所有権移転登記の申請(その登記の申請に必要な書類の相手方への交付を含む。)をした日(2) 9-1-13(固定資産の譲渡の時期)固定資産の譲渡の時期は,別に定めるものを除き,その引渡しがあった日とする。ただし,その固定資産が土地,建物その他これらに類する資産である場 合において,事業者が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日を資産の譲渡の時期としているときは,これを認める。 (注)本文の取扱いによる場合において,固定資産の引渡しの日がいつであるかについては,9-1-2の例による。 (3) 11-3-1(課税仕入れを行った日の意義) 消費税法第30条第1項第1号⦅仕入れに係る消費税額の控除⦆に規定する「課税仕入れを行った日」とは いては,9-1-2の例による。 (3) 11-3-1(課税仕入れを行った日の意義) 消費税法第30条第1項第1号⦅仕入れに係る消費税額の控除⦆に規定する「課税仕入れを行った日」とは,課税仕入れに該当することとされる資産の譲受け若しくは借受けをした日又は役務の提供を受けた日をいうのであるが,これらの日がいつであるかについては,別に定めるものを除き,第9章⦅資産の譲渡等の時期⦆の取扱いに準ずる。 3 所得税基本通達36-12(山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期)山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は,山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする。ただし,納税者の選択により,当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日(中略)により総収入金 額に算入して申告があったときは,これを認める。 (以下略) 4 法人税基本通達(平成30年5月30日付け課法2-8ほか2課共同「法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」による改正前のもの。)(1) 2-1-2(棚卸資産の引渡しの日の判定) 2-1-1の場合において,棚卸資産の引渡しの日がいつであるかについて は,例えば出荷した日,相手方が検収した日,相手方において使用収益ができることとなった日,検針等により販売数量を確認した日等当該棚卸資産の種類及び性質,その販売に係る契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち法人が継続してその収益計上を行うこととしている日によるものとする。この場合において,当該棚卸資産が土地又は土地の上に 存する権利であり,その引渡しの日がいつであるかが明らかでないときは,次に掲げる日のうちいずれか早い日にその引渡しがあったものとすることが る。この場合において,当該棚卸資産が土地又は土地の上に 存する権利であり,その引渡しの日がいつであるかが明らかでないときは,次に掲げる日のうちいずれか早い日にその引渡しがあったものとすることができる。 (1) 代金の相当部分(おおむね50%以上)を収受するに至った日(2) 所有権移転登記の申請(その登記の申請に必要な書類の相手方への交 付を含む。)をした日(2) 2-1-14(固定資産の譲渡による収益の帰属の時期)固定資産の譲渡による収益の額は,別に定めるものを除き,その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし,その固定資産が土地,建物その他これらに類する資産である場合において,法人が当該固定資産の譲 渡に関する契約の効力発生の日の属する事業年度の益金の額に算入しているときは,これを認める。 (注)本文の取扱いによる場合において,固定資産の引渡しの日がいつであるかについては,2-1-2の例による。 5 国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの) (1) 24条税務署長は,納税申告書の提出があった場合において,その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったとき,その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは,その調査により,当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。 (2) 65条1項 期限内申告書(還付請求申告書を含む。中略)が提出された場合(中略)において,修正申告書の提出又は更正があったときは,当該納税者に対し,その修正申告又は更正に基づき第35条第2項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当 申告書の提出又は更正があったときは,当該納税者に対し,その修正申告又は更正に基づき第35条第2項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する。 (3) 65条2項前項の規定に該当する場合において,同項に規定する納付すべき税額(中略)がその国税に係る期限内申告税額に相当する金額と50万円とのいずれか多い金額を超えるときは,同項の過少申告加算税の額は,同項の規定にかかわらず,同項の規定により計算した金額に,当該超える部分に相当する税額(同項に規 定する納付すべき税額が当該超える部分に相当する税額に満たないときは,当該納付すべき税額)に100分の5の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。 (4) 65条4項第1項又は第2項に規定する納付すべき税額の計算の基礎となった事実のう ちにその修正申告又は更正前の税額(還付金の額に相当する税額を含む。)の計算の基礎とされていなかったことについて正当な理由があると認められるものがある場合には,これらの項に規定する納付すべき税額からその正当な理由があると認められる事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除して,これらの項の規定を適用する。 以上
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