【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人安田進の上告趣意について。 原判決は、被告人が「A保管の生ゴム」約六貫匁を窃取したことを判示している だけで、第
主文本件上告を棄却する。 理由弁護人安田進の上告趣意について。 原判決は、被告人が「A保管の生ゴム」約六貫匁を窃取したことを判示しているだけで、第一審判決のように右の生ゴムが同人の所有物であつたことを認定してはいない。しかし窃盗罪が成立するためには、他人の管理に属する財物を窃取することを以て足り、その財物が何人の所有に属するかは問うところでないから、原判決には論旨一に主張されているような審理不尽の違法はない。 原判決が右の生ゴムを被告人の財物と認めたものでないことは、原判決が本件に刑法第二四二条を適用しないで、同第二三五条を適用したことによつてみて明かである。そうしてそのような認定をすることは、原判決が証拠として挙示している原審公判廷における被告人の供述からも、又A提出の被害始末書の中に「被害者、B工業株式会社C分工場」とあることに照らしても肯認できることである。それ故に原判決には、論旨二のような審理不尽の違法は存しない。 原判決が証拠として採用しているA提出の盗難被害始末書を見ると、被害者欄には、大阪府中河内郡a町bcB工業株式会社C分工場被害の場所欄には、倉庫(板塀内ニアリ)、被害の状況欄には、家人の状況としてA夫婦二名、届出人Aとある。 又同人提出の別件の盗難被害始末書には、被害者欄に同上番地ゴム加工業A、被害の状況欄には、家人の状況として「別棟工場に所用中」とある。 右の被害始末書から、AはC分工場の構内に居住して、同工場の業務に従事し、- 1 -且つ工場内の物の保管責任者であつたことが推知せられる。それ故に原判決が被害物件たる生ゴムを同人の保管にかかるものと認定したのは、論旨三にいうように、証拠に基ずかずして事実を認定したものではない。以上のように論旨はい 管責任者であつたことが推知せられる。それ故に原判決が被害物件たる生ゴムを同人の保管にかかるものと認定したのは、論旨三にいうように、証拠に基ずかずして事実を認定したものではない。以上のように論旨はいずれも理由がないから、旧刑事訴訟法第四四六条に従い主文の通り判決する。 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。 検察官安平政吉関与昭和二四年四月二六日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官井上登裁判官島保裁判官河村又介裁判官穂積重遠- 2 -
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