令和7年10月21日判決言渡 令和7年(行ケ)第10045号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和7年9月30日判決 原告 華碩電脳股份有限公司 同訴訟代理人弁護士 山田威一郎 松本響子 同訴訟代理人弁理士 宗助智左子 被告 Y 同訴訟代理人弁護士 竹中邦夫 同訴訟代理人弁理士 神谷惠理子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する原告による上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実 及び理由 第1 請求特許庁が取消2023-300565号事件について令和7年1月30日にした審決(以下「本件審決」という。)を取り消す。 第2 事案の概要本件は、登録商標の不使用取消審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。 1 特許庁における手続の経緯等(争いがない) ⑴ 被告は、次の商標(商標第6278380号。以下「本件登録商標」という。)の商標権者である(甲1、2)。 【商標】ROG(標準文字) 【商品の区分及び指定商品】第25類子供服、Tシャツ、スウェットシャツ、パーカー、ジャケット(被服)、コート、セーター類、ズボン、半ズボン、スカート、婦人服、下着、靴下、手袋、よだれ 【商品の区分及び指定商品】第25類子供服、Tシャツ、スウェットシャツ、パーカー、ジャケッ ト(被服)、コート、セーター類、ズボン、半ズボン、スカート、婦人服、下着、靴下、手袋、よだれかけ(紙製のものを除く。)、帽子、その他の被服、ズボンつり、バンド、ベルト【登録出願日】 令和元年9月25日【設定登録日】 令和2年8月7日 ⑵ 原告は、令和5年8月9日、商標法50条1項に基づき、本件登録商標の登録の取消を求める本件審判を請求し、同月29日、同審判の請求の登録がされた(甲2)。したがって、本件審判において、被告がその指定商品のいずれかについての本件登録商標の使用をしていることを証明すべき期間(商標法50条2項)は、令和2年8月29日から令和5年8月28日までとな る(以下「要証期間」という。)。 ⑶ 特許庁は、これを取消2023-300565号事件として審理し、令和7年1月30日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との本件審決をし(出訴期間として原告に対し90日を付加)、その謄本は、同年2月13日、原告に送達された。 ⑷ 原告は、同年5月7日、本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。 2 本件審決の理由の要旨なお、甲乙の証拠番号は、対応する本件訴訟の証拠番号を記載する。 ⑴ ベビーアパレルハヤシは、商標権者である被告が事業主としてベビー子供服製造卸の業務を行っている企業であり、被告とベビーアパレルハヤシは実 質的に同一人といえる。 そして、ベビーアパレルハヤシの運営する、要証期間内である令和5年7月1日に存在していたウェブサイト(甲4の1~3)において、品番2381303、商品名「ビッグTシャツ」のTシャツ(以下「本件Tシャツ238130 パレルハヤシの運営する、要証期間内である令和5年7月1日に存在していたウェブサイト(甲4の1~3)において、品番2381303、商品名「ビッグTシャツ」のTシャツ(以下「本件Tシャツ2381303」という。)に関する広告を内容とする情報に、別紙使用商標目録記載1の商標(下記の「ROG」の文字からなる商標。以下「本件使用商 標1」という。)を表示して掲載したことが認められる。 このことは、ベビーアパレルハヤシと顧客との取引書類により、要証期間に当該ウェブサイトに掲載されていた本件Tシャツ2381303が実際に販売されたことからも裏付けられる。 そして、上記ウェブサイトの掲載行為は、商標法2条3項8号にいう「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。 ⑵ 本件登録商標と本件使用商標1は、社会通念上同一の商標である。 ⑶ 以上によれば、商標権者である被告は、要証期間に日本国内において、本 件登録商標の指定商品中「Tシャツ」に関する商品の広告を内容とする情報に、本件登録商標と社会通念上同一と認められる商標を付して電磁的方法により提供する、商標法2条3項8号に該当する行為を行ったことが認められるから、本件登録商標の登録は、商標法50条1項により取り消すことはできない。 3 原告主張の審決取消事由商標の使用に関する判断の誤り第3 当事者の主張(原告の主張) 1 ウェブサイトにおける商標の使用について ⑴ 本件使用商標1の使用事実がないこと被告が運営するウェブサイト(以下「被告ウェブサイト」という。)について本件審決が指摘するウェブサイトの画面(甲4の3)は、要証期間(令和2年8月29日~令和5年8月28日) の使用事実がないこと被告が運営するウェブサイト(以下「被告ウェブサイト」という。)について本件審決が指摘するウェブサイトの画面(甲4の3)は、要証期間(令和2年8月29日~令和5年8月28日)後の令和5年9月27日に印刷されたものであり、被告は、本件審判で提出した回答書(甲32)において、 同ウェブサイトで従来使用していた「R.O.G」の文字からなる商標を本件使用商標1に変更したのが同月8日であることを認めている。すなわち、要証期間において本件使用商標1が使用されていた事実はないから、本件審決の判断は誤っている。 ⑵ 「R.O.G」の文字を表した商標について 要証期間において被告ウェブサイトで使用されていた商標は、令和3年4月27日時点のウェブサイト(甲24の2)に使用されている商標と同じ、本件使用商標1とほぼ同じ書体で「R.O.G」の文字を表した商標(以下「R.O.G商標」という。)と考えられるところ、R.O.G商標と本件登録商標は、商標法38条5項、50条が定める①書体のみに変更を加えた 同一の文字からなる商標、②平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、又は③外観において同視される図形からなる商標のいずれにも該当しないこと、両商標は外観及び称呼が異なり、いずれも特定の観念を生じないことから、社会通念上同一の商標とはいえない。 ⑶ 本件Tシャツ2381303の写真の掲載について被告は、要証期間内に、被告ウェブサイトにおいて、胸元に「ROG」の商標を付した本件Tシャツ2381303の写真が掲載されていたと主張するが、そのような事実は立証されていない。 仮に掲載の事実があったとしても、甲4の3に掲載された写真をみると、 の商標を付した本件Tシャツ2381303の写真が掲載されていたと主張するが、そのような事実は立証されていない。 仮に掲載の事実があったとしても、甲4の3に掲載された写真をみると、 服にしわがよっており「ROG」の文字は読み取れないし、これが仮に読み 取れたとしても、「ROG」の文字は胸部に大きな文字で表されたものであり、単なるデザインとして認識され、商品の出所識別機能を果たすもの(商標的使用)ではない。 2 その他の被告の主張に対する反論⑴ 商品に標章を付する行為(商標法2条3項1号)及び標章を付した商品の 取引行為(同項2号)についてアネームタグ(甲5の1等)については、被告はネームタグのデザインを頻繁に変更しており(甲6のネームタグの文字は白色、甲36のネームタグの文字は黄緑色である。2021年夏物の注文用カタログに掲載された品番2181304のTシャツ(乙1の2枚目上段右、別紙使用商標目録 記載5。以下「本件Tシャツ2181304」という。)では、ネームタグの文字は白色で、文字も「ROG」とは異なる。)、要証期間において、被告主張のネームタグを指定商品に付した事実は証明されていない。 イ被告が主張する被服表面の「ROG」の文字は、前記のとおりデザイン的に使用されたものであり、商標的使用には当たらない。 ウその他、要証期間において、指定商品に本件登録商標と社会通念上同一と認められる標章を付する行為及び標章を付した指定商品の取引行為があったことは、証明されていない。 ⑵ 標章を付した広告、価格表又は取引書類の展示、頒布等(商標法2条3項8号)について ア各種カタログの頒布等については、要証期間内にカタログ(甲8の1~4、甲17、甲23の1)の ⑵ 標章を付した広告、価格表又は取引書類の展示、頒布等(商標法2条3項8号)について ア各種カタログの頒布等については、要証期間内にカタログ(甲8の1~4、甲17、甲23の1)の電子データがサーバ内に保存されていた(甲21の1・2、甲22の1・2、甲23の2・3)からといって、要証期間内に小売店に頒布された事実が証明されたとはいえない。 イファッションショーへの参加(甲18の1~3)については、「ROG」 の文字からなる商標を使用した裏付けが認められない。 ウその他、要証期間において、本件登録商標と社会通念上同一と認められる標章を付した広告、価格表又は取引書類の展示、頒布等があったことは、証明されていない。 (被告の主張) 1 被告は、以下のとおり、要証期間において、本件登録商標と社会通念上同一 の商標である「ROG」の文字からなる商標を使用した。 なお、被告は、「ベビーアパレルハヤシ」を屋号として、個人事業主としてベビー服、子供服の企画、卸売りの業務を行っており、小学生から中学生の男女子をターゲットとする子供服のブランドとして「ROG」を位置づけている。 ⑴ 商品に標章を付する行為(商標法2条3項1号) 被告は、要証期間において、指定商品に含まれる各被服に、以下のとおり、「ROG」の文字からなる商標を付する行為を行っている。 ア 「ROG」の文字を記載したネームタグ(別紙使用商標目録記載2)を被服の裏側に縫い付ける行為具体的な商品としては、本件Tシャツ2181304(甲6、36の写 真のとおり。)、指定商品「半ズボン」に当たる品番2382305のデニムハーフパンツ(2023年夏物の注文用カタログに掲載されたもので(甲8の4の5枚目上段中央及びその右)、甲 6、36の写 真のとおり。)、指定商品「半ズボン」に当たる品番2382305のデニムハーフパンツ(2023年夏物の注文用カタログに掲載されたもので(甲8の4の5枚目上段中央及びその右)、甲7の1、乙12の1の各写真のとおり。以下「本件半ズボン2382305」という。)などがある。 イ 「ROG」の文字を記載したワッペン(別紙使用商標目録記載3)を被 服の表側に縫い付ける行為具体的な商品としては、本件半ズボン2382305(甲7の1、乙12の1の各写真のとおり。)などがある。 ウ被服の表側に、デザイン的に「ROG」の文字をプリントする行為具体的な商品としては、本件Tシャツ2381303(別紙使用商標目 録記載4及び写真カタログに掲載された写真(甲23の1、3枚目)のと おり。)、本件Tシャツ2181304(別紙使用商標目録記載5(乙1)の写真のとおり。)などがある。 ⑵ 標章を付した商品の取引行為(商標法2条3項2号)ア被告は、前記⑴ウのとおり胸元に「ROG」の文字をプリントした本件Tシャツ2381303を、「アドバンスソトバヤシティアラ店」か ら令和5年6月17日付けで注文を受け(甲9の1)、同月20日に納品した(甲9の2)。 イ被告は、前記⑴アのとおり「ROG」の文字を記載したネームタグを付し、前記⑴ウのとおり胸元に「ROG」の文字をプリントした本件Tシャツ2181304を、令和3年3月12日、「EXCEL 旭川豊岡店」 (乙2の1)及び「EXCEL アルティモール店」(乙2の2)に納品し、同月20日締めの請求書(乙3)を送付し、同年4月20日にその入金を受けた(乙4)。 ウ被告は、前記⑴ア、イのとおり「ROG」の文字を記載したネームタグ及びワッペンを 店」(乙2の2)に納品し、同月20日締めの請求書(乙3)を送付し、同年4月20日にその入金を受けた(乙4)。 ウ被告は、前記⑴ア、イのとおり「ROG」の文字を記載したネームタグ及びワッペンを付した本件半ズボン2382305を、令和5年3月24 日、株式会社ゴッドバンクから発注を受けて(乙5)、同日納品し(乙6)、同月31日締めの請求書(乙7)を送付し、同日にその入金を受けた(乙8)。 ⑶ 価格表又は取引書類に標章を付して頒布する行為(商標法2条3項8号)ア被告は、別紙使用商標目録記載6のとおり大きく「ROG」の文字を表 示した標章を表紙に付した、2022年夏物(甲8の1)、2022年秋冬物(甲8の2)、2023年春物(甲8の3)、2023年夏物(甲8の4)の各注文用カタログを、それぞれ、要証期間において、顧客(取引先)に頒布した。これらの注文用カタログは、商標法2条3項8号の「価格表又は取引書類」に当たる。 イこの点、前記⑵アのとおり、本件Tシャツ2381303は、令和5年 6月17日から同月20日にかけて取引されている。2023年夏物である同Tシャツの写真が被告ウェブサイトにアップロードされたのは令和5(2023)年7月1日であり(甲4の1)、同Tシャツの取引は、同Tシャツの写真を掲載し、取引先に頒布された2023年夏物の注文用カタログ(甲8の4)及び写真カタログ(甲23の1)に基づいて行われたも のである。 ⑷ 商品に関する広告に標章を付する行為(商標法2条3項8号)ア被告は、要証期間において、前記⑶の注文用カタログとは別に、商品をモデルが着用した写真を掲載し、表紙等に前記⑴アのネームタグと同じロゴを付した写真カタログ(2021年夏物(甲17)、2023年夏 告は、要証期間において、前記⑶の注文用カタログとは別に、商品をモデルが着用した写真を掲載し、表紙等に前記⑴アのネームタグと同じロゴを付した写真カタログ(2021年夏物(甲17)、2023年夏 物(甲23の1)等)を、取引先である販売店に複数冊配布することによって、一般消費者に配布していた。 イ被告は、令和4年8月7日開催のファッションショーに、ブランド「ROG」として参加した(甲18の1~3)。 2 被告ウェブサイトにおける使用について ⑴ 被告は、ブランド「ROG」の被服の表面等に付する商標として、「R. O.G」と「ROG」を特に区別することなく、同時期に並行して使用していたが、被告ウェブサイトにおける表示については、令和5年9月7日、「ROG」の文字からなる本件使用商標1等に変更したものである。 ⑵ 前記の変更とは別に、前記1⑴ウのとおり胸元に「ROG」の文字をプリ ントした本件Tシャツ2381303の写真は、令和5年7月1日に被告ウェブサイトに掲載されていた(甲4の1)。 第4 当裁判所の判断 1 商標登録の不使用取消審判で審理の対象となるのは、その審判請求の登録前3年以内における登録商標の使用の事実の存否であるが、その審決取消訴訟に おいては、同事実の立証は事実審の口頭弁論終結時に至るまで許されるものと 解するのが相当である(最高裁昭和63年(行ツ)第37号平成3年4月23日第三小法廷判決・民集45巻4号538頁)。 以下、要証期間における本件登録商標の使用の事実の存否について検討する。 2 商品に標章を付する行為(商標法2条3項1号)及び標章を付した商品の取引行為(同項2号)について ⑴ 後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア する。 2 商品に標章を付する行為(商標法2条3項1号)及び標章を付した商品の取引行為(同項2号)について ⑴ 後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア本件Tシャツ2381303は、胸元に、別紙使用商標目録記載4の写真の「ROG」の文字(以下「本件使用商標4」という。)をプリントしたTシャツであり、2023年夏物の注文用カタログ(甲8の4)の2枚目上段中央、2023年夏物の写真カタログ(甲23の1)の2枚目左、 3枚目左の各写真に掲載されている。 イ被告は、令和5年6月17日付けで、「アドバンスソトバヤシティアラ店」から、2枚の本件Tシャツ2381303を含む被服の注文を受け、同月20日、これらの被服を納品した(甲9の1・2)。この注文を記載した手書きの用紙(甲9の1)では、品番、品名、上代(一般消費者 に対する販売価格)、カラー及びサイズによって、本件Tシャツ2381303その他の商品が特定されている。 ウ本件Tシャツ2181304は、胸元に、別紙使用商標目録記載5の各写真の「ROG」の文字(以下「本件使用商標5」という。)をプリントしたTシャツであり、2021年夏物の注文用カタログ(乙1)の2枚目 上段の右から2つの各写真に掲載されている。 エ被告は、令和3年3月12日、「EXCEL 旭川豊岡店」及び「EXCEL アルティモール店」に対し、それぞれ8枚の本件Tシャツ2181304を含む被服を納品し、同月20日締めの請求書を送付し、同年4月20日にその入金を受けた(乙2の1・2、乙3、4)。 ⑵ 本件使用商標4及び本件使用商標5は、それぞれ書体の若干の違いや文字 色の違いはあっても、「ROG」の文字を表していることは明らかであり 金を受けた(乙2の1・2、乙3、4)。 ⑵ 本件使用商標4及び本件使用商標5は、それぞれ書体の若干の違いや文字 色の違いはあっても、「ROG」の文字を表していることは明らかであり、その使用は、「ROG」(標準文字)からなる本件登録商標と社会通念上同一の商標の使用に当たると認められる。 なお、本件使用商標4及び本件使用商標5は、それぞれ「ROG」の文字部分を構成要素とする結合商標の一部とみることもできるが、そのようにみ たとしても、いずれも、人目を惹く位置に最も大きな文字で表され、別紙使用商標目録記載5の商標については二重引用符で強調されている「ROG」の文字部分が、商品の出所識別標識として機能するものと認められるから、本件登録商標と社会通念上同一の商標の使用に当たることに変わりはない。 ⑶ これに対し、原告は、これらの商標は単なるデザインとして認識され、 商品の出所識別機能を果たすもの(商標的使用)ではない旨主張する。 しかし、商標法50条1項、2項の「登録商標の使用」が「商標的使用」でなければならないと解したとしても、デザインとしての機能を有することは、商標としての自他商品識別機能と排他的、択一的関係にあるものではない。標準文字からなる「ROG」の標章は、通常、出所識別機能を有 する標章であり、本件使用商標4及び本件使用商標5で用いられている「ROG」の文字の形状には一定のデザイン性が認められるものの、そのデザイン化の度合いは高いものではなく、通常の文字として認識可能であることが認められる以上、出所識別機能が失われるわけではない。本件において、本件Tシャツ2381303及び本件Tシャツ2181304に おける「ROG」の文字が単なるデザインとしてのみ取引者や需要者に認識されるとみ 出所識別機能が失われるわけではない。本件において、本件Tシャツ2381303及び本件Tシャツ2181304に おける「ROG」の文字が単なるデザインとしてのみ取引者や需要者に認識されるとみるべき特段の事情も認められないから、これらのTシャツに係る本件使用商標4及び本件使用商標5の使用は、商標的使用に該当すると認めるのが相当である。 なお、後記3のとおり、前記⑴ア、ウの各注文用カタログは、これらの 表紙に、「ROG」の文字が大きく表示された別紙使用商標目録記載6の 商標(以下「本件使用商標6」という。)を付したものであって、これらが被告の取引先に頒布されていたと認められることも、「ROG」の文字からなる本件使用商標4及び本件使用商標5が商標的に使用されていたことを裏付ける事情の一つである。 ⑷ 以上によれば、本件登録商標の商標権者である被告は、要証期間(令和2 年8月29日から令和5年8月28日まで)において、本件登録商標と社会通念上同一の商標を、商標法2条3項1号及び2号に掲げる各行為により使用したことが認められる。 3 価格表又は取引書類に標章を付して頒布する行為(商標法2条3項8号)について ⑴ 被告は、本件使用商標6を表紙に付した、2022年夏物(甲8の1)、2022年秋冬物(甲8の2)、2023年春物(甲8の3)、2023年夏物(甲8の4)の各注文用カタログを、それぞれ要証期間において作成していたと認められる(甲8の1~4、甲21の1・2)。 これらの注文用カタログは、該当するシーズン向けのTシャツ等の被服に つき、商品毎の写真、品番、上代(一般消費者に対する販売価格)、カラー、サイズ等が記載されていることから、指定商品に関する「価格表」(商標法2条3項8 当するシーズン向けのTシャツ等の被服に つき、商品毎の写真、品番、上代(一般消費者に対する販売価格)、カラー、サイズ等が記載されていることから、指定商品に関する「価格表」(商標法2条3項8号)に当たると認められる。 ⑵ 本件使用商標6は、「ROG」の文字を大きく表したものであり、本件使用商標6の使用は、「ROG」(標準文字)からなる本件登録商標と社会通 念上同一の商標の使用に当たると認められる。 なお、本件使用商標6は、「ROG」の文字部分を構成要素とする結合商標の一部とみることもできるが、そのようにみたとしても、最も大きな文字で表された「ROG」の文字部分が商品の出所識別標識として機能すると認められることは、前記2⑵と同様である。 ⑶ そして、前記2⑴ア~エのとおり、これらの注文用カタログに掲載された 本件Tシャツ2381303及び本件Tシャツ2181304が要証期間において取引されていること、これらの取引において、各商品は品番、品名、カラー及びサイズによって特定され(甲9の1・2、乙2の1・2)、特に、本件Tシャツ2381303に係る注文表(甲9の1)には各商品の上代が記載されていること(なお、本件半ズボン2382305の取引に係る注文 表(乙5)も同じ。)からすると、価格表である前記の注文用カタログは、事前に取引先に頒布されていたことが優に推認され、これを覆すに足りる証拠はない。 ⑷ 以上によれば、本件登録商標の商標権者である被告は、要証期間(令和2年8月29日から令和5年8月28日まで)において、本件登録商標と社会 通念上同一の商標を、商標法2条3項8号に掲げる行為により使用したことが認められる。 4 結論以上の事実より、被告は、要証期間において、本件登録商標と社会通念上同 本件登録商標と社会通念上同一の商標を、商標法2条3項8号に掲げる行為により使用したことが認められる。 主文 以上の事実より、被告は、要証期間において、本件登録商標と社会通念上同一の商標を、指定商品について使用したと認められるから、その余の点を判断するまでもなく、原告主張の取消事由は認められない。よって、原告の請求は理由がないから、主文のとおり判決する。 理由 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官清水響 裁判官菊池絵理 裁判官頼晋一 (別紙)使用商標目録 1 本件使用商標1(甲4の3) 2 ネームタグ(甲5の1、甲36) 3 ワッペン(甲7の1) 4 本件Tシャツ2381303(甲8の4、2枚目上段中央) 注)この写真の「ROG」の文字が本件使用商標4 5 本件Tシャツ2181304(甲36) (乙1)2枚目上段右から2つ目。同右端に色違いの商品の写真がある。 注)これらの各写真の「ROG」の文字が本件使用商標5 6 注文用カタログ表紙(甲8の1~4) 注)この「ROG」の文字からなる商標が本件使用商標6以上 グ表紙(甲8の1~4) 注)この「ROG」の文字からなる商標が本件使用商標6以上
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