- 1 -平成19年3月29日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成18年(ワ)第2811号実用新案権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成19年2月26日判決原告株式会社中山鉄工所訴訟代理人弁護士浜田愃訴訟代理人弁理士平田義則被告株式会社ハヤマ訴訟代理人弁護士平野和宏訴訟代理人弁理士小谷昌崇補佐人弁理士小谷悦司主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 第1当事者の求めた裁判 請求の趣旨(1)被告は,別紙物件目録記載の製品(以下「被告製品」という。)を製造し,譲渡し,貸し渡し,輸入し,譲渡又は貸渡しの申出をしてはならない。 (2)被告は,被告製品及びその製造に供した金型を廃棄せよ。 (3)被告は,原告に対し,240万円及びこれに対する平成18年4月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4)訴訟費用は被告の負担とする。 (5)仮執行宣言 請求の趣旨に対する答弁(1)原告の請求をいずれも棄却する。 - 2 -(2)訴訟費用は原告の負担とする。 第2当事者の主張 請求原因(1)原告の実用新案権原告は,次の実用新案権(以下「本件実用新案権」という。)を有している。 実用新案登録番号第2578908号考案の名称ジョークラッシャ出願日平成4年5月8日登録日平成10年5月29日実用新案登録請求の範囲別紙実用新案登録公報の【実用新案登録請求の範囲】【請求項1】記載のとおり(2)構成要件の分説【実用新案登録請求の範囲】【請求項1】は,次のとおり分説できる(以下,この考案を「本件考案」という。)。 Aフレームに軸支された偏心軸で揺動する動歯と,該動歯に対向して前記フレー 構成要件の分説【実用新案登録請求の範囲】【請求項1】は,次のとおり分説できる(以下,この考案を「本件考案」という。)。 Aフレームに軸支された偏心軸で揺動する動歯と,該動歯に対向して前記フレームの内端面に着脱自在に固定された不動歯とを備えたジョークラッシャにおいて,B前記不動歯の裏面側上端および下端に沿って突出縁が設けられ,両突出縁の内面側同士の間隔が前記フレームの内端面上下幅より適宜広く形成されると共に,C前記突出縁の内面側両端部であって不動歯の両側方に向け高さが低くなる傾斜状切欠部が設けられ,Dかつ前記フレームの内端面側上面部両側に,該内端面に取付けた不動歯の切欠部内に装着した状態で該不動歯の両側に向け摺動自在に形成されたクサビ状締付片が設けられている- 3 -Eことを特徴とするジョークラッシャ。 (3)被告の行為被告は,平成16年ころから,被告製品を製造,販売している。 (4)被告製品と本件考案の構成要件B,Cとの対比被告製品の歯板は,本件考案に係る不動歯に該当するので,被告製品は,本件考案の構成要件B,Cを充足する。 (5)間接侵害ア被告製品は,原告製ジョークラッシャの部品であり,本件考案に係るジョークラッシャの製造にのみ使用するものである。 したがって,被告が業として被告製品を製造,販売する行為は,実用新案法28条1号所定の間接侵害に該当する。 イ被告製品は,本件考案の課題の解決に不可欠なものであり,被告は,本件考案が登録実用新案であること及び被告製品が本件考案の実施に係るジョークラッシャの生産に用いられることを知っていた。 したがって,仮に被告製品に他の用途があるとしても,被告が業として被告製品を製造,販売する行為は,実用新案法28条2号所定の間接侵害に該当する。 (6)原告の損害ア被告は ることを知っていた。 したがって,仮に被告製品に他の用途があるとしても,被告が業として被告製品を製造,販売する行為は,実用新案法28条2号所定の間接侵害に該当する。 (6)原告の損害ア被告は,平成16年4月1日から現在までの間に,被告製品を単価8万円で,少なくとも50個販売した。 イ被告は,被告製品の製造,販売により,少なくとも240万円の利益を得た(単価8万円×販売個数50個×利益率60%)。 ウ上記金額は,原告の損害と推定される(実用新案法29条2項)。 (7)よって,原告は,被告に対し,実用新案法27条1項,2項に基づき,被告製品の製造,譲渡,貸渡し,輸入,譲渡又は貸渡しの申出の差止め並びに被告製品及びその製造に供した金型の廃棄を求めるとともに,本件実用新案権侵- 4 -害の不法行為に基づき,損害金240万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成18年4月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 請求原因に対する認否(1)請求原因(1),(2)は認める。 (2)請求原因(3)は否認する。 被告は,平成17年7月ころ,原告製ジョークラッシャのユーザーに対し,甲第6号証の参考見積書を示して,被告の取扱いに係る不動歯(以下「被告不動歯」という。乙1)の販売を申し出たことがある。しかし,被告不動歯は,傾斜状切欠部を備えておらず,チークプレートで押さえることにより固定されるものである。また,上記見積書に基づく売買契約は成立しておらず,被告は被告不動歯を販売していない。なお,被告は,平成18年6月6日時点でも被告不動歯を販売していなかったが,同年9月22日現在,被告不動歯を販売している。 (3)請求原因(4)ないし(6)は否認ないし争う。 理由 請求原因(1),(2)の事実は当 6月6日時点でも被告不動歯を販売していなかったが,同年9月22日現在,被告不動歯を販売している。 (3)請求原因(4)ないし(6)は否認ないし争う。 理由 請求原因(1),(2)の事実は当事者間に争いがない。 請求原因(3)について証拠(甲6,8,乙2,3)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,原告製ジョークラッシャを含む破砕機に用いられる歯板等の部品を製造販売している会社であること,被告の営業担当者P1は,平成17年7月ころ,営業活動のため,有限会社九州美環産業(平成18年11月に,九州美環産業株式会社と商号を変更。以下「訴外会社」という。)を訪れ,同社の代表取締役であるP2と面会し,P2から,訴外会社が原告製ジョークラッシャ(本件考案の実施品)を使用しており,その型番が「AC2415」であることを聴取したこと,P1は,その後再び訴外会社を訪れ,P2に対し,持参した見積書(甲6)を渡して,被告は,- 5 -訴外会社が使用している原告製ジョークラッシャの部品である動歯,不動歯及びチークプレートと同じものを原告よりも安価に提供できる旨述べ,その購入を勧めたこと,その際,P1は,被告不動歯の構造が,原告製不動歯の構造と異なるというような説明はしなかったこと,以上の事実が認められる。 しかし,他方,被告は,被告不動歯は傾斜状切欠部を備えていないと主張しているところ,証拠(乙1)によれば,被告は,不動歯であって,突出縁の内面側両端部において不動歯の両側方に向けて高さが低くならない切欠部(傾斜状ではない切欠部)が設けられてクサビ状締付片と不動歯の突出縁が衝突・干渉しないようになっているもの,すなわち本件考案の構成要件Cを充足しないものの図面を保有しており,その図面には「2415F」の表示のあることが認められる。 そして,P1がP2に対し の突出縁が衝突・干渉しないようになっているもの,すなわち本件考案の構成要件Cを充足しないものの図面を保有しており,その図面には「2415F」の表示のあることが認められる。 そして,P1がP2に対して,被告不動歯が傾斜状切欠部を備えたものである旨述べた事実も,被告不動歯の具体的な構造を説明したうえで被告不動歯が原告製不動歯と同一の構造である旨述べた事実も認められない。 そうすると,原告製ジョークラッシャの不動歯と同じものを提供できるとのP1の上記発言の趣旨は,原告製ジョークラッシャの交換部品として支障なく使用できるもの(被告不動歯)を提供できるということを述べたにとどまるものとも解される。 そうであれば,上記認定事実のみから,被告不動歯が傾斜状切欠部を備えたものであることを認めるには足りず,他に,請求原因(3)の事実を認めるに足りる証拠はない。 したがって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部- 6 -裁判長裁判官山田知司裁判官西理香裁判官村上誠子
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