平成14(行コ)73 損害賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成12年(行ウ)第334号)

裁判年月日・裁判所
平成14年6月27日 東京高等裁判所 住民訴訟
ファイル
hanrei-pdf-15344.txt

判決文本文2,924 文字)

主文 1 原判決中,控訴人ら敗訴部分を取り消す。 2 同部分に係る被控訴人の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,参加によって生じた分を含め,1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 本件訴えのうち,控訴人Aに対する訴えを却下する。 3 被控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要 1 本件は,渋谷区民である被控訴人が,平成9年9月に,渋谷区が区内の町会の記念行事に祝儀として渡す清酒を購入するために区長交際費7707円を支出したことが違法であるとして,渋谷区長である控訴人B,渋谷区総務部総務課長事務取扱であった控訴人C及び渋谷区収入役であった控訴人Aに対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求として,渋谷区に代位して,同支出相当額の損害賠償金の支払を求めた事案である。 原審は,被控訴人の請求を7702円とこれに対する遅延損害金の限度で認容した。 2 判断の前提となる事実並びに争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり付加するほか,原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」2ないし4記載のとおりであるから,これを引用する。 (当審における控訴人ら及び参加人の新たな主張)本件支出により購入した清酒(大関慶祝)4本は,次のとおり各2本ずつ渋谷区内の2町会に対しそれぞれ記念行事が開催された際贈った(控訴人Bが渡した。)ものである。この清酒の贈答は,渋谷区が平成8年3月策定した「渋谷区基本構想」の柱の一つである「コミュニティ活動の充実」の実現のため,区と町会との良好な関係を構築,維持する目的で,社会的慣習に基づく儀礼として行ったものであるから,本件区長交際費の支出は,適法である。 (1)ア贈答先町会名 α町会(β地区町会連合会所属) ため,区と町会との良好な関係を構築,維持する目的で,社会的慣習に基づく儀礼として行ったものであるから,本件区長交際費の支出は,適法である。 (1)ア贈答先町会名 α町会(β地区町会連合会所属)イ渡した相手方同町会相談役Dウ渡した日時平成9年9月5日ころエ渡した場所渋谷区γ8番10号Dの自宅オ対象記念行事お楽しみ広場(同月6日・7日,渋谷区δ付近の遊歩道において開催)(2)ア贈答先町会名 ε町会(ζ地区町会連合会所属)イ渡した相手方同町会会長Eウ渡した日時平成9年9月16日ころエ渡した場所渋谷区η14番11号Eの事務所オ対象記念行事秋祭り(同月17日・18日,渋谷区θの路上及び御嶽神社において開催)第3 当裁判所の判断 1 争点1及び2について当裁判所も,控訴人Aは「当該職員」に該当し(争点1),控訴人Aに対する訴えについて監査請求前置の要件をみたしている(争点2)と判断する。その理由は,原判決「事実及び理由」の「第3 争点に対する判断」1及び2記載のとおりであるから,これを引用する。 2 争点3(本件支出の違法性)について(1) 地方自治法232条1項は,地方公共団体は当該地方公共団体の事務を処理するために必要な経費を支弁するものとしており,地方公共団体の経費の性質を有する支出については支出の権限を有する者に裁量が認められ,その裁量権の逸脱又は濫用があると認められる場合に当該支出が違法となる。 そして,普通地方公共団体も社会的実体を有するものとして活動している以上,普通地方公共団体の長又はその他の執行機関が,当該普通地方公共団体の事務を遂行するために対外的折衝等を行う過程において,社会通念上相当な範囲にとどまる程度の儀礼的行為,接遇,賛助等を行うことは,同事務に随伴するものとして許容 他の執行機関が,当該普通地方公共団体の事務を遂行するために対外的折衝等を行う過程において,社会通念上相当な範囲にとどまる程度の儀礼的行為,接遇,賛助等を行うことは,同事務に随伴するものとして許容されるものというべきであるが,公的存在である普通地方公共団体により行われるものであることからすると,対外的接遇の際に行われた活動であっても,それが社会通念上相当な儀礼的範囲を逸脱したものである場合には,同活動は当該地方公共団体の事務に当然伴うものとはいえず,これに要した費用を公金により支出することは許されないというべきである。 平成2年4月1日施行の渋谷区区長交際費支出基準(甲6の1・2)においても,交際費は「支出細則」に基づいて支出し,支出額は社会通念上認められる範囲でかつ必要最小限でなければならないとされ,支出細則において,儀礼的経費,接遇経費,賛助的経費及び諸費の4区分について,それぞれ経費として支出が可能な場合が定められており,儀礼的経費は社会的慣習に基づく儀礼を行うために要する経費とされ,その1例として「区政協力団体等の行事にかかる儀礼」が明記されている。 (2) 証拠(甲1,2,10,丙3,7,8)によれば,控訴人Cは,平成9年9月5日,区長室において株式会社香取屋から清酒(大関慶祝1升瓶)4本の納品を受け,同年10月2日,集金に来た香取屋に対し,あらかじめ区長交際費から支出を予定していた7702円に自らの有する5円を加えて,計7707円を支払ったこと,控訴人Bは,上記清酒4本を前記「当審における控訴人ら及び参加人の新たな主張」記載のとおり渋谷区内の2町会に対しそれぞれ記念行事が開催された際贈ったことが認められる。 (3) 町会は,区の下部組織ではないものの,当該地域に居住する住民の大部分を会員とする団体で,事実上,広報,祭礼,防 り渋谷区内の2町会に対しそれぞれ記念行事が開催された際贈ったことが認められる。 (3) 町会は,区の下部組織ではないものの,当該地域に居住する住民の大部分を会員とする団体で,事実上,広報,祭礼,防災,清掃等の分野において,当該地域の公共的な活動の一端を担っているものであって,また,民生委員,保護司等の各種行政委員の推薦等を行い,これらの活動についての必要な経費は,区から補助金という形で支給されているところである。 したがって,町会は,事実上ではあるが,区内の公共的活動を担っているものであるから,区政協力団体又は区政関係団体の側面を有しており,区と町会との良好な関係を構築,維持する目的で,それらの団体の一定の行事等に対して儀礼的行為を行うことは,それが社会通念上相当な範囲を逸脱したものでない限り,適法なものというべきであるところ,本件支出は,前記認定のとおり町会の祭礼等の際に贈答した慶祝用清酒代にあてられたもので,その金額もそれぞれ4000円に満たないものであるから,区政協力団体の行事に係る儀礼的経費の支出として,社会通念上相当な範囲を逸脱したものとはいえず,適法なものというべきである。 3 よって,被控訴人の請求を認容した原判決は不当であるから,この部分を取り消し,被控訴人の請求をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第7民事部裁判長裁判官奥山興悦裁判官杉山正己裁判官山崎まさよ

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る