令和7(行ケ)10040 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年10月29日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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令和7年10月29日判決言渡 令和7年(行ケ)第10040号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和7年9月10日判決 原告株式会社HUGE 同訴訟代理人弁護士弓削田博同河部康弘 同藤沼光太 同山田亮 被告特許庁長官 同指定代理人田中瑠美 同高野和行 同阿曾裕樹 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 特許庁が不服2024-9943号事件について令和7年3月21日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ⑴ 原告は、令和5年10月4日、以下の構成からなり、指定商品及び指定役務を第30類「フレンチトースト、冷凍フレンチトースト」及び第43類「フレンチトーストを主とする飲食物の提供」とする商標(以下、その出願を「本願」と、その商標を「本願商標」という。)について、商標登録出願をした(商願2023-110765号、甲1)。 (本願商標)飲めるフレンチトースト【標準文字】 ⑵ 原告は、令和6年2月13日付けの拒絶理由通知書(甲2)を受け、同年3月6日、意見書(甲3)を提出したが、同年4月18日付け拒絶査定(甲4)を受け、同年6月14日、拒絶査定不服審判請求をした(不服2024-9943号、甲5) 理由通知書(甲2)を受け、同年3月6日、意見書(甲3)を提出したが、同年4月18日付け拒絶査定(甲4)を受け、同年6月14日、拒絶査定不服審判請求をした(不服2024 -9943号、甲5)。 ⑶ 原告は、令和6年12月4日付け拒絶理由通知書(甲7)を受領した。その後、特許庁は、令和7年3月21日、「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同年4月8日に原告に送達された。 ⑷ 原告は、令和7年4月25日、本件審決の取消しを求めて、本件訴えを提起した。 2 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は、本願商標の構成中、「飲める」の文字は、「口に入れて噛まずに食道の方に送る。喉に流し入れる。」等を意味する「飲む」の可能動詞を、 「フレンチトースト」の文字は、「卵・牛乳・砂糖などをまぜたものに、スライスしたパンを浸して、バターで焼いたもの。」を表す語として、我が国において一般に使用されているものであるところ、本件審決の別掲参考情報によれば、本願の指定商品を取り扱う食品業界においては、本来固形であるはずの食品を飲むことができる商品として販売するという、時代のニーズに合わせた多様な 商品展開が行われる傾向にあることがうかがえ、また、そのような商品につい て、「飲める○○(○○には食品名が入る。)」又は「飲む○○」といった商品名を使用することによって、その商品の特性や優位性を表すという手法が行われていることが確認できるから、「飲める」の文字に、「フレンチトースト」の文字を組み合わせた本願商標は、その指定商品及び指定役務との関係において、商品の特性や優位性を示す語として用いられている「飲める○○」の一類型で あることを理解させるにとどまるものであり、そのため、 を組み合わせた本願商標は、その指定商品及び指定役務との関係において、商品の特性や優位性を示す語として用いられている「飲める○○」の一類型で あることを理解させるにとどまるものであり、そのため、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ず、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができない商標であり、商標法3条1項6号に該当するというものである。 3 原告の主張する本件審決の取消事由 本願商標が商標法3条1項6号に該当するとした判断の誤り第3 当事者の主張取消事由(本願商標が商標法3条1項6号に該当するとした判断の誤り)についての両当事者の主張は以下のとおりである。 〔原告の主張〕 1 「飲める〇〇」との表記は、直ちにその商品の特性や優位性を表すものではない本件審決が指摘するわずかな事例から食品業界の常識は導けない。すなわち、本件審決は、「飲む〇〇」と「飲める〇〇」を一括りにして判断しているが、本件審決が別掲⑴ないし⑸として挙げる五つの参考情報(以下「参考情報1」な いし「参考情報5」という。)のうち、「飲む」について言及している部分は36か所あるのに対し、「飲める」の用語を使っているのは、①参考情報2の「飲める!チーズケーキ」という見出し部分、②参考情報3の「『飲める商品』続々登場」という部分、③参考情報3の「2019年から2021年に発売されていた飲める商品で」という部分、④参考情報3の「なぜ、こうした“飲める商 品”が次々と登場しているのか」という部分、⑤参考情報3の「それぞれのス トーリーが隠れた“飲める商品”」という部分、⑥参考情報5の「スイーツの王道プリンが飲めるカップドリンクになりました。」という部分のわずか6か所だけである。 しかし 報3の「それぞれのス トーリーが隠れた“飲める商品”」という部分、⑥参考情報5の「スイーツの王道プリンが飲めるカップドリンクになりました。」という部分のわずか6か所だけである。 しかし、上記②ないし⑥は、「飲める+食品名」という構成になっていない。 唯一「飲める」の後に食品名が入る①も、参考情報2の「『飲める!チーズケー キ』 想定売価800円/原価率30%」という記載からすると、「飲める!チーズケーキ」という商品名・固有名詞として用いられているものであり、「その商品の特性や優位性を表す」ものではない。 「飲める」が使われている上記①~⑥のうち、②~⑤の四つは、「『ローソンの飲む〇〇シリーズ』。2019年から2021年に発売されていた飲める商 品で」という参考情報3の記載からも分かるとおり、事業者が付した用語ではない。すなわち、食品業界の事業者であるローソンは、あくまで「飲む〇〇」という用語を使っているのに、食品業界の事業者ではない記者が、勝手に「飲める」に言い換えたというものであり、「本願の指定商品を取り扱う食品業界」についての常識を認定するための資料として不適切である。 ⑥は、「飲むプリンで瞬間リラックス!スイーツの王道プリンが飲めるカップドリンクになりました。」という記載から明らかなとおり、「飲むプリン」について、ドリンクであることを説明する文脈で使われているものにすぎない。 そして、これらはあくまで「飲む〇〇」について触れた記事である。「わらび餅やチーズケーキ、『飲む○○』の多様化――原点は『ジョア』、時代映して5 0年(駆け出し記者のなんでだろ)」(別掲⑴)という参考情報1(乙3)の見出し、「2022年から続くトレンド『飲む○○』シリーズの新メニュー。」という参考情報2の記載、「飲む『わら 映して5 0年(駆け出し記者のなんでだろ)」(別掲⑴)という参考情報1(乙3)の見出し、「2022年から続くトレンド『飲む○○』シリーズの新メニュー。」という参考情報2の記載、「飲む『わらびもち』から飲むカレーまで…飲める商品続々登場食品ロスの問題解決にも【ヒットにワケあり!オカネのヒミツ】2022年02月01日」という参考情報3の見出し、「今や食べるのではなく飲 む…意外なものも飲み物に!?話題の“飲む○○”を紹介」(参考情報4)とい う見出しから明らかなとおり、参考情報1ないし4は、あくまで「飲む○○」というトレンドについて触れた記事であり、「飲める○○」について言及したものではない。 このように、あくまで「飲む○○」について言及したわずか6か所の記載、それもほとんどが「飲める+食品名」という構成になってすらいない記載から、 「飲む○○」(36か所)と「飲める〇〇」(6か所)を混同して、「飲める○○」について「本願の指定商品を取り扱う食品業界においては、・・・その商品の特性や優位性を表すという手法が行われていることが確認できる。」などと認定できないことは明らかである。 また、「飲む〇〇」は、他動詞「飲む」の連体形と目的語(食べ物)とを組み 合わせた標章であり、その標章に接した需要者は、字面どおり「飲む商品」であるとの印象を抱く。 これに対し、本願商標の「飲めるフレンチトースト」は、可能動詞「飲める」に「フレンチトースト」を組み合わせた語からなる。可能動詞「飲める」の連体形とフレンチトーストというおよそ飲めない食品の語とを組み合わせるこ とにより、反語法による修辞的効果を発揮する。これにより、本願の指定商品及び指定役務について、意外性や目新しさ、飲めそうなほどの柔らかさ、喉越し、食感、 そ飲めない食品の語とを組み合わせるこ とにより、反語法による修辞的効果を発揮する。これにより、本願の指定商品及び指定役務について、意外性や目新しさ、飲めそうなほどの柔らかさ、喉越し、食感、口当たりの良さを強調し、もって需要者の目を惹く機能を発揮しているのである。 「飲める○○」(飲める+食品名)で実際に飲むことができる商品を指すもの が「飲める!チーズケーキ」(参考情報2)しかない状況では、「飲める○○」について、本件審決のように、「食品業界においては、本来固形であるはずの食品を飲むことができる商品として販売するという、時代のニーズに合わせた多様な商品展開が行われる傾向にあることがうかがえ、また、そのような商品について、『飲める○○・・・』といった商品名を使用することによって、その商 品の特性や優位性を表すという手法が行われている」などとはいえない。 したがって、本件審決のように、「そうすると、『飲める』の文字に、『フレンチトースト』の文字を組み合わせた本願商標は、その指定商品及び指定役務との関係において、商品の特性や優位性を示す語として用いられる『飲める〇○』の一類型であることを理解されるものにとどまるものであるから、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ず」(本件審決2頁36行目な いし3頁3行目)などといえないこともまた明らかである。 2 本願商標は自他識別機能を有する本願商標は、可能動詞「飲める」の連体形とフレンチトーストというおよそ飲めない食品の語とを組み合わせることにより、反語法による修辞的効果を発揮する。これにより、指定商品及び指定役務について、意外性や目新しさ、飲 めそうなほどの柔らかさ、喉越し、食感、口当たりの良さを強調し、もって需要者の目を惹く機能を発揮し による修辞的効果を発揮する。これにより、指定商品及び指定役務について、意外性や目新しさ、飲 めそうなほどの柔らかさ、喉越し、食感、口当たりの良さを強調し、もって需要者の目を惹く機能を発揮しているから、本願商標は、単に商品の特性や優位性を表すものではなく、自他識別機能を有する。 また、飲食業界において「飲める○○」がその商品の特性や優位性を表すという事情は存在しない。このような機能故に、「飲める○○」は、「商品の特性 や優位性を表す」(本件審決2頁34行目)語として用いられるものと理解されておらず、「飲める○○」の構成からなる商標として、「飲めるハンバーグ」(商標登録第5815669号、甲68)、「飲めるカレーパン」(商標登録第6433741号、甲82)、「飲める!?カルビ」(商標登録第6599080号、甲83)、「飲めるロース」(商標登録第6612033号、甲70)、「飲めるサー モン」(商標登録第6697620号、甲71、84)、「飲めるサーロイン」(商標登録第6735102号、甲69)が登録されている。 3 本願商標は自他識別機能を有する形で使用されている原告は、「飲めるフレンチトースト」の名称を、原告の店舗である「THEFRONTROOM」、「TheTOWERTAVERNBAR & G RILL」及び「TheCRAFTBarandGrill」(以下、 これらを総称して「原告店舗」という。)で販売しているフレンチトースト(以下「本件商品」という。)に使用している。 仮に、本願商標「飲めるフレンチトースト」が単に商品の特性や優位性を表すものにすぎないのであれば、需要者は、本件商品を特定する際に、商品の特性等を表すものにすぎない「飲めるフレンチトースト」とは言わないはずであ 飲めるフレンチトースト」が単に商品の特性や優位性を表すものにすぎないのであれば、需要者は、本件商品を特定する際に、商品の特性等を表すものにすぎない「飲めるフレンチトースト」とは言わないはずであ る。しかし、「飲めるフレンチトースト」は、テレビ番組(甲12ないし16)、インターネット上の記事(甲17ないし52)、YouTube上の動画(甲53ないし65)等の様々なメディアにおいて、原告店舗において提供される本件商品を指すものとして大々的に取り上げられている。これは、本願商標が単に商品の特性や優位性を表すものではなく、自他識別機能を発揮するものであ ることの証左である。 なお、上記証拠には、本件審決後に公表されたものも含まれている。しかし、いずれも審決からわずか約1か月ないし2か月以内のものであるため、本願商標が審決の時点で自他識別機能を発揮していたことを基礎づける資料として、斟酌すべきである。 以上のとおり、本願商標は、様々なメディアにおいて大々的に取り上げられ、自他識別機能を発揮している。本願商標は、自他識別機能を果たし得るものであり、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができない商標に当たらない。 したがって、本願商標につき商標法3条1項6号に該当するとした本件審決 の判断は誤りであり、本件審決は取り消されるべきである。 4 被告の主張に対する反論⑴ 被告が新たに挙げる「飲める○○」の実例は、合計19例であるところ、レストラン検索・予約サイトとして著名な「食べログ」の掲載店舗数は、88万件である(甲66)から、飲食店88万件中、「飲める○○」と称される 食品を提供しているのは、原告を入れても、20件÷88万件≒0.002 3%である。 本件商標の指定商品及び 8万件である(甲66)から、飲食店88万件中、「飲める○○」と称される 食品を提供しているのは、原告を入れても、20件÷88万件≒0.002 3%である。 本件商標の指定商品及び指定役務と関連する食品業界のプレーヤーは、店舗型の飲食店だけではない。外食はむしろ例外的であり、自宅で食事をするために利用する食品を販売する食品メーカーの食品は利用者にとってより身近であり、自炊の市場規模は外食産業より大きい(甲67)。 あらゆる情報がインターネット上に掲載される現代社会において、飲食店だけで88万件ある中で、わずか19事例をもって本件商標の指定商品及び指定役務と関連する食品業界の取引の実情を認定できるとは、到底思われない。 被告の挙げる「飲める○○」の実例のうち、「飲めるハンバーグ」(商標第 5815669号)、「飲めるサーロイン」(商標第6735102号)、「飲めるロース」(商標第6612033号)、「飲めるサーモン」(商標第6697620号)については、自他識別力があると認められ、前記2のとおり商標登録がなされている。被告自身が識別力のあるものとして商標登録をしている以上、これらの4事例については、「飲めるような食品(噛まずに飲めるほ ど柔らかい食感の食品、食品を模した飲むように摂取できる飲料)が広く流通、提供されている取引の実情」として考慮すべきではない。 ⑵ 原告は「飲めるフレンチトースト」を令和5年(2023年)10月4日に商標登録出願したが、「飲めるフレンチトースト」を店舗で提供し始めたのは令和4年(2022年)9月6日である。商標登録出願がこの時期になっ たのは、原告の「飲めるフレンチトースト」が非常に好評で、想定以上に知名度を獲得したために、第三者に模倣されないように商標登録出願を (2022年)9月6日である。商標登録出願がこの時期になっ たのは、原告の「飲めるフレンチトースト」が非常に好評で、想定以上に知名度を獲得したために、第三者に模倣されないように商標登録出願をしたためである。 被告が「飲める○○」の実例として挙げた19件から被告自身が識別力を認めているものを除いた4件を除く15件のうち、原告の商標登録出願より 前のものであることが確認できるのは、乙13、20、23の3件程度しか ない。インターネットは、商標登録出願日である令和5年(2023年)10月4日よりはるか前から普及している。にもかかわらず、商標登録出願日前に「飲める〇〇」についての資料がほとんどないことは、被告の主張する「取引の実情」が存在しないことを示している。 被告自身が識別力を認めている4件を除いた15件の「飲める〇〇」のう ち、5件は「飲めるフレンチトースト」であり(乙11ないし16)、数多ある食品の中で「フレンチトースト」だけが突出して数が多く、残る7件のうち2件も「フレンチトースト」と似た「パンケーキ」である。 このような事情からすれば、乙11ないし18は、商品の特徴や優位性を示す語として用いられている「飲める○○」の一類型ではなく、原告の「飲 めるフレンチトースト」を認識した上で、「商品の特徴や優位性を示す語」である以上の効果を有することを知ったが故に、原告の「飲めるフレンチトースト」を模倣したものであると考えるのが自然である。 ⑶ 被告の示す19件の証拠のうち10件(乙10、12、15ないし18、20ないし24)は、食品業界の者が「飲める○○」を称したものですらな く、食品業界における取引の実情を認定する証拠として利用できるのか疑問である。 ⑷ 商標法3条1項6号該当性の判断において考 ないし24)は、食品業界の者が「飲める○○」を称したものですらな く、食品業界における取引の実情を認定する証拠として利用できるのか疑問である。 ⑷ 商標法3条1項6号該当性の判断において考慮すべき取引の実情は、一般的、恒常的なそれを指す。 被告は、極めて少ない事例、それも食品業界の「取引の実情」を立証する にふさわしいか疑問の残る事例をもって「取引の実情」を主張するが、この程度の証拠で「飲めるような食品(噛まずに飲めるほど柔らかい食感の食品、食品を模した飲むように摂取できる飲料)が広く流通、提供されている取引の実情がある」などと認定できないことは明らかである。 〔被告の主張〕 1 本願商標が商標法3条1項6号に該当すること 本願商標は、「飲めるフレンチトースト」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「飲める」の文字部分は、「口に入れて嚙まずに食道の方に送る。喉に流し入れる。」(乙1)の意味を有する「飲む」の可能動詞である。 そして、「フレンチトースト」の文字部分は、「卵・牛乳・砂糖などをまぜたものに、スライスしたパンを浸して、バターで焼いたもの。」(乙2)の意味を 有する、我が国で親しまれている食品(調理パンの一種)を指称する語であり、本願商標の指定商品及び指定役務との関係において、取引される食品の種別(普通名称)を表すものである。 そうすると、本願商標は、その構成文字全体として、「飲めるフレンチトースト」という字義そのままから意味を十分理解できるものの、敢えて丁寧にいえ ば、「飲むことができるフレンチトースト」程度の意味合いを認識、理解させるものである。 本願商標の指定商品及び指定役務と関連する食品業界においては、近年、食べていたものを飲むような逆転の発想は注目されやすい ことができるフレンチトースト」程度の意味合いを認識、理解させるものである。 本願商標の指定商品及び指定役務と関連する食品業界においては、近年、食べていたものを飲むような逆転の発想は注目されやすいこともあって、SNS映えや意外性を狙って商品の幅が広がっており(乙3)、「飲むわらび餅」(和三 盆を練り込んだわらび餅に生クリームなどをのせた商品、ミルクティーやラテにわらび餅が入ったドリンク、乙3、4)や「飲むチーズケーキ」(デザートドリンク、乙5)、「飲むアップルパイ」、「飲むスイートポテト」、「飲むティラミス」、「飲むプリン」、「飲むモンブラン」(本物のスイーツを食べているかのようなドリンク、乙6)、「飲むういろう」(ういろうを飲むをコンセプトにしたスイ ーツ感覚のドリンク、乙7)、「飲むクレープ」(見た目がクレープのようなドリンク、乙8)、「飲むソフトクリーム」(ソフトクリームをイメージした口当たりの飲料、乙9)などのように、「飲む○○」と称する多様な商品が流通、提供されている。 そのような中、例えば、「飲めるフレンチトースト」(「“飲める”フレンチト ースト」、「飲める!フレンチトースト」を含む。)、「飲めるパンケーキ」(口に 入れた瞬間、ふわシュワッと溶けるパンケーキ)、「飲めるチーズケーキ」(飲む感じで楽しめるチーズケーキ、ゴクゴクっと飲めちゃうチーズドリンク)、「飲めるプリン」(飲めるくらい、やわらかいとろけるプリン)、「飲めるみたらし団子」(口に入れると飲めるような気がするほど柔らかい団子)、「飲めるピザ」(まるで飲めてしまうのではと錯覚するようなピザ)、「飲めるハンバーグ」(驚くほ ど柔らかい食感が特徴のハンバーグ)、「飲めるサーロインステーキ」(口の中で崩れていくような柔らかさのス ピザ」(まるで飲めてしまうのではと錯覚するようなピザ)、「飲めるハンバーグ」(驚くほ ど柔らかい食感が特徴のハンバーグ)、「飲めるサーロインステーキ」(口の中で崩れていくような柔らかさのステーキ)、「飲めるロース」(飲めてしまう食感のロース)、「飲めるサーモン」(飲めるほどに柔らかく低温調理されたサーモン)などと称する、飲めるような食品(噛まずに飲めるほど柔らかい食感の食品、食品を模した飲むように摂取できる飲料)が広く流通、提供されている取引の 実情がある(乙10ないし29)。 このような取引の実情を踏まえると、「飲める○○」(○○には食品種別名が入る。)とのフレーズは、上記のような商品の特性や優位性(食感、特徴)を表すための比喩的な表現として、取引上普通に採択、使用されているといえる。 以上によれば、本願商標「飲めるフレンチトースト」は、食品業界における 取引の実情も踏まえると、構成文字全体として「飲める(ような)フレンチトースト」又は「飲むことができる(ような)フレンチトースト」程度の意味合いを認識、理解させるもので、その指定商品及び指定役務に係る需要者(一般消費者)をして、商品の特性や優位性(食感、特徴)を比喩的に表現した表記と一般に認識させるものであり、同種食品の製造、販売又は提供に際して必要 適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品役務の識別力を欠くため、商標としての機能を果たし得ない。 したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務である ことを認識することができない商標であり、商標法3条1項6号に該当する。 2 原告の主張に対する個 得ない。 したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務である ことを認識することができない商標であり、商標法3条1項6号に該当する。 2 原告の主張に対する個別反論⑴ 原告は、①「飲める○○」は直ちにその商品の特性や優位性を表すものではないこと、「飲む○○」と「飲めるフレンチトースト」は異なることを指摘して、②本願商標「飲めるフレンチトースト」は、可能動詞「飲める」の連体形とフレンチトーストというおよそ飲めない食品の語とを組み合わせるこ とにより、反語法による修辞的効果を発揮し、これにより、指定商品及び指定役務について、意外性や目新しさ、飲めそうなほどの柔らかさ、喉越し、食感、口当たりの良さを強調し、もって需要者の目を惹く機能を発揮しているから、単に商品の特性や優位性を表すものではなく、自他識別機能を有する旨を主張する。 しかしながら、「飲める」や「飲む」という表現の微差にかかわらず、食品業界においては、「飲める○○」とのフレーズは、飲めるような食品(噛まずに飲めるほど柔らかい食感の食品、食品を模した飲むように摂取できる飲料)という商品の特性や優位性(食感、特徴)を表すための比喩的な表現として、取引上普通に採択、使用されている。 さらに、本願商標の指定商品及び指定役務はいずれも、調理パンの一種である「フレンチトースト」を取り扱う商品及び役務(「飲料」とは明記されていない。)であることも考慮すれば、本願商標「飲めるフレンチトースト」は、食品業界における取引の実情も踏まえると、構成文字全体として「飲める(ような)フレンチトースト」又は「飲むことができる(ような)フレンチトー スト」程度の意味合いを認識、理解させるものであり、フレンチトースト(調理パン)と関連する商品又 字全体として「飲める(ような)フレンチトースト」又は「飲むことができる(ような)フレンチトー スト」程度の意味合いを認識、理解させるものであり、フレンチトースト(調理パン)と関連する商品又は役務に係る需要者をして、噛まずに飲めるほど柔らかい食感のフレンチトーストのような、商品の特性や優位性(食感、特徴)を比喩的に表現した表記と一般に認識させるものであり、自他商品役務の識別力を欠く。 なお、仮に本願商標が、商品「フレンチトースト風味の飲み物」(飲料)と 関連して使用されるときであっても、当該飲料と関連する商品又は役務に係る需要者をして、フレンチトーストを模した飲むように摂取できる飲料のような、商品の特性や優位性を比喩的に表現した表記と一般に認識されるものであり、自他商品役務の識別力を欠くから、いずれにしても、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができ ない商標である。 ⑵ 原告は、実際に「飲める○○」が登録されているとして、過去の商標登録例を掲げて、「飲める○○」は商品の特性や優位性を示す語として用いられているものとは理解されていない旨を主張する。 しかしながら、商標登録の可否は、商標の構成、指定商品及び指定役務、 取引の実情、判断時期等を踏まえて、商標ごとに個別具体的に判断すべきものであって、原告が指摘するような他の商標登録事例があるからといって、本願商標の登録の可否が影響を受けるものではない。また、原告が援用する商標登録例は、本願商標とは構成態様や指定商品・指定役務が異なるものである点において、すべて事案を異にする。 したがって、原告が援用する商標登録例は、本願商標の商標法3条1項6号該当性の判断に何ら影響しない。 ⑶ 原告は、「飲めるフレンチ 務が異なるものである点において、すべて事案を異にする。 したがって、原告が援用する商標登録例は、本願商標の商標法3条1項6号該当性の判断に何ら影響しない。 ⑶ 原告は、「飲めるフレンチトースト」の名称を、原告の店舗で販売しているフレンチトーストに使用しており、様々なメディアにおいて、原告店舗において提供される本件商品を指すものとして大々的に取り上げられており、こ れは、本願商標が単に商品の特性や優位性を表すものではなく、自他識別機能を発揮するものであることの証左である旨を主張する。 しかし、原告が「飲めるフレンチトースト」なる語を自己の標章として使用している具体的態様は必ずしも明らかではないが、店舗のメニューには「FRENCHTOAST」、「ホイップバターとメープルシロップのフレンチ トースト」との名称があり、その下部に「#飲めるフレンチトースト」の記 載とともに、「バターたっぷり!こだわりのリッチな厚切りブリオッシュをアパレイユにしっかりと漬け込み表面はカリッと香ばしく中はとろふわ食感に仕上げたTHEFRONTROOM自慢のフレンチトースト」の表記がある(甲35、3頁目)。 このような表記方法では、「飲めるフレンチトースト」の語が、併記されて いる品質(とろふわ食感)を表すためのキャッチフレーズとして表示されているとの印象を与えるにすぎず、原告固有の自他商品役務の出所識別標識として使用されているとの印象を与えるものではない。 さらに、原告店舗は、主張されている限りにおいて3店舗(東京丸の内、名古屋、福岡)にすぎず、営業開始時期も不明であるが、少なくとも全国的 な規模の、長期にわたる営業実績はないことは分かる。 加えて、本願商標を使用した商品及び役務の販売実績(売上高、市場シェア 古屋、福岡)にすぎず、営業開始時期も不明であるが、少なくとも全国的 な規模の、長期にわたる営業実績はないことは分かる。 加えて、本願商標を使用した商品及び役務の販売実績(売上高、市場シェア)、広告宣伝実績(広告宣伝規模、広告宣伝手段)は不明であるから、原告の事業規模の多寡を客観的に評価できない。 原告引用の事例(テレビ番組、インターネット記事、ブログ記事、動画な ど)の多くは、「飲めるフレンチトースト」と噂されている食品について、その「飲める」という文言に着目して、「飲める」ほど柔らかく、ふわふわ、とろとろした食感があることを紹介、検証する記事であるから、上記のような、飲めるような食品を比喩的に「飲める○○」と称している取引慣行の範ちゅうのものにすぎない。そのため、これらの事例によって、「飲めるフレンチト ースト」なる語について、食品の特性や優位性を表す比喩的な表現として採択、使用されていることが改めて確認できるとしても、それが原告固有の自他商品役務の出所識別標識としての認知度や知名度の向上につながるものとは考えにくい。 原告引用の事例を子細に見ても、例えば、①「“飲める”フレンチトースト」 (例えば甲12、14、15、21、22、26、32、37)のように「飲 める」ことを引用符を用いて強調するもの、②「飲めるフレンチトースト」について、「・・・まさに“飲める”ほどなめらかです」(甲18、2頁)、「話題の『飲めるフレンチトースト』は本当に飲めるのか!?通販で買って“飲んでみた”」(甲23、1頁)、「・・・中はふわふわのとろとろでまさに飲み物!」(甲25、1頁)、「確かに噛まずに飲み込めそうなフレンチトーストで ございました」(甲28、10頁)、「・・・厚切りでもプルプル食感で飲めるフレンチ ・中はふわふわのとろとろでまさに飲み物!」(甲25、1頁)、「確かに噛まずに飲み込めそうなフレンチトーストで ございました」(甲28、10頁)、「・・・厚切りでもプルプル食感で飲めるフレンチトーストに仕上がります」(甲29、13頁)、「ホントに飲めるのか・・・飲めるほど柔らかいってことだとは解ってます」(甲30、5頁)、「・・・ひと口食べた瞬間に感動が訪れ、『飲める』が確実となるようです」(甲31、2頁)、「厚さ5cm、食べた人が『飲めるように柔らかい』と言 う秘密は独自に開発されたフレンチトースト専用のパン」(甲33、2頁)、「とろっとろ。これは飲める。」(甲35、6頁)、「口に入れるとトロッ、ふわっとした食感で、確かに“飲める”味わいです」(甲38、10葉目)、「食べてみて『飲める』ってこの事ね!と分かりました」(甲39、1頁)、「これを飲めるか?と聞かれれば『無理すれば飲める』となりますかね」(甲40、 3頁)、「ふわとろ感の秘密は自家製ブリオッシュ!飲めると評判の『フレンチトースト』」(甲44、2頁)、「『飲めるフレンチトースト』は本当に飲めるのか!?」(甲45、9葉目)、「外はカリッと香ばしく、なかは確かに『飲めそう』なほど軟らか」(甲46、28頁)、「うーん、これは『飲める』!!」(甲48、8頁)、「まさに飲めるフレンチトースト!飲めるほどジューシー」 (甲49、3頁)、「中央はふわとろで、まさに飲み物のように噛まなくてもとろけていく」(甲50、3頁)、「食べるとふわふわとろとろで口の中でとろけていきます!!飲めるフレンチトーストの意味がわかる液体感!!」(甲52、10頁)、「謳い文句のように噛まなくても飲み込めてしまうフレンチトーストがそこにはありました」(甲64、1頁)など、「飲める」ことを解 !!飲めるフレンチトーストの意味がわかる液体感!!」(甲52、10頁)、「謳い文句のように噛まなくても飲み込めてしまうフレンチトーストがそこにはありました」(甲64、1頁)など、「飲める」ことを解 説、強調するものは、いずれも原告の商品や役務に係る食品の特性や優位性 (飲めるほどふわふわ、とろとろの食感)を強調するにすぎず、「飲めるフレンチトースト」とのフレーズが特定の事業者に係る固有の商標であるとの印象を与えるものではない。 本願商標の商標法3条1項6号該当性の判断基準時は、本件審決の審決時(令和7年3月21日)であるところ、それ以後に公表された記事情報(甲 14ないし17、53)は、本件審決時における需要者の認識に影響しないから、本件において考慮できる証拠ではない。 なにより、上記のとおり、「飲めるフレンチトースト」と称するものを含む「飲める○○」と称する、飲めるような食品が広く流通、提供されている取引の実情があるから、本願商標「飲めるフレンチトースト」は、同種食品の 製造、販売又は提供に際して必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであり、特定人による独占使用を認めるのを公益上適当としないものである。 そうすると、本件における提出証拠によっては、「飲めるフレンチトースト」の語について、需要者(我が国の全国的な範囲の一般消費者)の間において、 何人か(原告)の業務に係る商品又は役務を特定する出所識別標識として広く知られるに至っているとはいえない。 したがって、原告提出の証拠を考慮したとしても、本願商標「飲めるフレンチトースト」は、その指定商品及び指定役務に係る需要者(一般消費者)をして、商品の特性や優位性を比喩的に表現した表記と一般に認識させるも のというべきで、依然として、何 本願商標「飲めるフレンチトースト」は、その指定商品及び指定役務に係る需要者(一般消費者)をして、商品の特性や優位性を比喩的に表現した表記と一般に認識させるも のというべきで、依然として、何人(原告)かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標といえる。 ⑷ 原告は、本願商標は、自他識別機能を果たし得るものであり、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができない商標に当たらない旨を主張する。 しかしながら、本願商標「飲めるフレンチトースト」は、上記のとおりの 食品業界における取引の実情も踏まえると、構成文字全体として「飲める(ような)フレンチトースト」又は「飲むことができる(ような)フレンチトースト」程度の意味合いを認識、理解させるもので、その指定商品及び指定役務に係る需要者(一般消費者)をして、商品の特性や優位性(食感、特徴)を比喩的に表現した表記と一般に認識されるものであり、同種食品の製造、 販売又は提供に際して必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品役務の識別力を欠くため、商標としての機能を果たし得ない。 また、本願商標は、原告により使用された結果、我が国の需要者の間にお いて、何人か(原告)の業務に係る商品又は役務を特定する表示として広く知られるに至っているものではない。 したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標であり、商標法3条1項6号に該当する。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由(本願商標が商標法3条1項6号に該当するとした判断の誤り)に 品又は役務であることを認識することができない商標であり、商標法3条1項6号に該当する。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由(本願商標が商標法3条1項6号に該当するとした判断の誤り)について⑴ 商標法3条1項6号の趣旨商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信 用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法3条1項6号が、「需要者が何人 かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を 商標登録の要件を欠くと規定するのは、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものであり(最高裁昭和53年(行ツ)第129号同54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号5 07頁、知財高裁平成24年(行ケ)第10323号同25年1月10日判決参照)、そのような標章について商標制度を利用した登録を認める必要がないからであると解される。 ⑵ 本願商標の構成ア上記第2の1⑴のとおり、本願商標は、「飲めるフレンチトースト」の文 字を標準文字で表してなるものである。 本願商標の「飲めるフレンチトースト」の語は、「飲める」の語と「フレンチトースト」の語を組み合わせた語である。 イ本願商標のうち「飲める」の文字部分は、「口に入 標準文字で表してなるものである。 本願商標の「飲めるフレンチトースト」の語は、「飲める」の語と「フレンチトースト」の語を組み合わせた語である。 イ本願商標のうち「飲める」の文字部分は、「口に入れて嚙まずに食道の方に送る。喉に流し入れる。」(乙1)の意味を有する「飲む」の可能動詞で ある。 また、「フレンチトースト」の語は、「卵・牛乳・砂糖などをまぜたものに、スライスしたパンを浸して、バターで焼いたもの。」であり、辞書に掲載され広く一般に知られた語である(甲10、乙2〔広辞苑第7版〕)。 ⑶ 本願商標の指定商品及び指定役務に関する取引の実情 本願商標は指定商品及び指定役務を第30類「フレンチトースト、冷凍フレンチトースト」及び第43類「フレンチトーストを主とする飲食物の提供」とするものである。 また、以下に掲記した証拠及び弁論の全趣旨によれば、本願商標の商標法3条1項6号該当性について判断の基準時(令和7年3月21日)までの本 願商標の指定商品及び指定役務に関連する食品業界の取引の実情として、以 下の事実が認められる(頁等の記載は、各項末尾の書証の頁等を示す。)。 ア 「さんたつ by 散歩の達人」のウェブサイトには、「極厚とろとろ! 『茶珈堂』の“飲める”フレンチトーストは超絶品~黒猫スイーツ散歩原宿表参道編15~」(1頁)の見出しの記事情報(2024年(令和6年)8月16日更新)に、「一番人気の極厚フレンチトースト」(4頁)、「・・・ 表面はサクッとしていますが、中はフォークですくえるほどトロトロ。ほわほわのトロトロで、“飲める”フレンチトーストです。」(5頁)との記載がある(乙10)。 イ 「てれネタ」のウェブサイトには、「【めざましテレビ】極厚系も薄切り系も!人気店フレンチトースト4 ほわほわのトロトロで、“飲める”フレンチトーストです。」(5頁)との記載がある(乙10)。 イ 「てれネタ」のウェブサイトには、「【めざましテレビ】極厚系も薄切り系も!人気店フレンチトースト4選【イマドキ】」(1頁)の見出しの記事 情報(2025年(令和7年)2月11日付け)に、「飲める!フレンチトースト」、「yellow 池袋店では、1ヶ月に600個販売するという飲める!フレンチトーストが人気。・・・とろとろとした食感が楽しめます。」(1頁)との記載がある(乙11)。 ウ 「沖縄カフェや観光、生活のブログおきなわめぐり」のウェブサイト には、「沖縄初!?フレンチトースト専門店CreativeFrenchToastは予約必須のカフェ!沖縄市」(1頁)の見出しの記事情報(2024年(令和6年)4月30日付け)に、「・・・CreativeFrenchToast(クリエイティブフレンチトースト沖縄)は、ふわとろで軽い‥これはまるで、飲めるフレンチトースト‥!!」(2頁) との記載がある(乙12)。 エ 「PRTIMES」のウェブサイトには、「『星つきシェフの飲めるフレンチトースト』が、9月1日より大阪アメリカ村のクラムパーニュにて発売!とろり、とろける。新食感!飲めるフレンチトースト1200円(税込1320円)をご堪能ください。」(1頁)の見出しの記事情報(202 3年(令和5年)8月30日付け)に、「当店の看板商品である2日以上漬 け込んでから焼き上げるフレンチトーストは、ベースをミシュラン星付きレストラン出身シェフが美味しい食材にとことんこだわり、大阪産のたまご・北海道産の牛乳を発見。ベースの開発を繰り返し、ついに柔らかくとろーりとろける食感をお届けできるようになりました。」(1頁 付きレストラン出身シェフが美味しい食材にとことんこだわり、大阪産のたまご・北海道産の牛乳を発見。ベースの開発を繰り返し、ついに柔らかくとろーりとろける食感をお届けできるようになりました。」(1頁)との記載がある(乙13)。 オ 「Lemon8」のウェブサイトには、「平日でも予約で完売!飲めるパンケーキ専門店!」(1頁)の見出しの投稿記事(2024年(令和6年)1月19日編集)に、「一口食べるとふわふわで、メレンゲなんですね、しゅっと溶ける。・・・いやーこれは飲めるで!」(3頁)、「一瞬でなくなる!」、「ふわっふわパンケーキ」、「ふわふわすぎて口に入れたら一瞬でなくなっ ちゃう」(7頁)との記載がある(乙18)。 カ 「ナイスコレクション」のウェブサイトには、「熱海に半熟バスクチーズケーキが登場!」(1頁)の見出しの記事情報(2022年(令和4年)4月2日付け)に、「飲めるチーズケーキ」(4頁)、「『熱海ミルチーズ』の手にかかるとチーズケーキがドリンクに大変身!・・・ゴクゴクっと飲めち ゃうチーズドリンクがここに誕生です。」(5頁)との記載がある(乙20)。 キ 「高知さんさんテレビ」のウェブサイトには、「大橋通りに新登場『高知プリン亭』開店前から行列&連日完売、なめらか食感の“飲めるプリン”」(1頁)の見出しの記事情報(2021年(令和3年)7月19日付け)に、「店の自慢は究極のなめらか食感を追求した『飲めるプリン』。」(1頁) との記載がある(乙23)。 ク 「京都新聞 DIGITAL」のウェブサイトには、「驚異の食感『飲めるみたらし団子』? 京都で続々登場する『安全な和菓子』どうやって作るのか」(1頁)の見出しの記事情報(2024年(令和6年)8月19日付け)に、「京都府と滋賀県の医療・介 には、「驚異の食感『飲めるみたらし団子』? 京都で続々登場する『安全な和菓子』どうやって作るのか」(1頁)の見出しの記事情報(2024年(令和6年)8月19日付け)に、「京都府と滋賀県の医療・介護関係者や和菓子職人が高齢者でも 安全に食べられるように開発した『やわらか和菓子』が、進化している。 見た目は普通の餅や団子だが、口に入れると飲めるような気がするほど軟らかい。」(1頁)との記載がある(乙24)。 ケ 「ヤマエグループホールディングス株式会社」のウェブサイトには、「ピザハット『飲めるピザ』期間限定発売中」(1頁)の見出しの記事情報(2025年(令和7年)2月4日付け)に、「・・・3つのカテゴリーで展開 する『飲めるピザ』は、シカゴスタイルのディープディッシュピザを彷彿とさせる濃厚なチーズソースをたっぷりと使用。まるで飲めてしまうのでは!?と錯覚するほどの美味しさと圧倒的なチーズ量が特徴です。」(1頁)との記載がある(乙25)。 コ 「kachikachiplus」のウェブサイトにおいて、「驚き の“飲めるハンバーグ”を体験!福岡西鉄櫛原駅近くの『なご美処』」(1頁)の見出しの記事情報(2024年(令和6年)12月19日付け)には、「このお店では、他では味わえない独特な食感の“飲めるハンバーグ”が人気を集めています。・・・『なご美処』の看板メニューである“飲めるハンバーグ”は、その名の通り、驚くほど柔らかい食感が特徴です。」(1 頁)、「メニュー名:飲めるハンバーグセット」、「スプーンで簡単に切ることができ、口の中でとろけるように広がる独特の食感は、まさに“飲める”という表現がぴったりです。」(2頁)との記載がある(乙26)。 サ 「ホットペッパーグルメ」のウェブサイトには、「肉居酒屋H ことができ、口の中でとろけるように広がる独特の食感は、まさに“飲める”という表現がぴったりです。」(2頁)との記載がある(乙26)。 サ 「ホットペッパーグルメ」のウェブサイトには、「肉居酒屋HAL 南浦和店」(2頁)のメニュー紹介において、「HALの人気No.1と言った らコレ!!飲めるサーロインステーキ」、「[南浦和×肉肉バル]当店自慢の飲めるサーロインステーキ!その名の通り口の中で崩れていくような柔らかさに加え、強烈なお肉の食べ応えが病みつきに!!」(2頁)との記載がある(乙27)。 シ 「アスキーグルメ」のウェブサイトには、「スシロー系列の居酒屋『杉玉』 は料理ほぼ299円!『飲めるサーモン』『おでんの天ぷら』がオススメ」 (1頁)の見出しの記事情報(2020年(令和2年)11月26日更新)に、「これからの季節のオススメは、飲めるほどに柔らかく低温調理されたサーモンが美味な寿司メニュー『飲めるサーモン』。」(1頁)との記載がある(乙29)。 ⑷ 検討 上記⑶によれば、本願商標の指定商品及び指定役務と関連する食品業界においては、「飲めるフレンチトースト」(「“飲める”フレンチトースト」、「飲める!フレンチトースト」を含む。⑶アないしエ)、「飲めるパンケーキ」(口に入れた瞬間、溶けるパンケーキ。⑶オ)、「飲めるチーズケーキ」(飲む感じで楽しめるチーズケーキ。⑶カ)、「飲めるプリン」(飲めるくらい、なめらか な食感のプリン。⑶キ)、「飲めるみたらし団子」(口に入れると飲めるような気がするほど柔らかい団子。⑶ク)、「飲めるピザ」(まるで飲めてしまうのではと錯覚するようなピザ。⑶ケ)、「飲めるハンバーグ」(驚くほど柔らかい食感が特徴のハンバーグ。⑶コ)、「飲めるサーロインステーキ」(口の中で かい団子。⑶ク)、「飲めるピザ」(まるで飲めてしまうのではと錯覚するようなピザ。⑶ケ)、「飲めるハンバーグ」(驚くほど柔らかい食感が特徴のハンバーグ。⑶コ)、「飲めるサーロインステーキ」(口の中で崩れていくような柔らかさのステーキ。⑶サ)、「飲めるサーモン」(飲めるほどに 柔らかく低温調理されたサーモン。⑶シ)などのように称する、飲めるような食品、すなわち噛まずに飲めるほど柔らかい食感の食品が広く流通、提供されている取引の実情があることが認められる。 このような取引の実情を踏まえると、「飲める○○」(○○には食品種別名が入る。)とのフレーズは、上記のような商品の特性や優位性(食感、特徴) を表すための比喩的な表現として、取引上普通に採択、使用されていると認められる。 以上によれば、「飲める○○」(○○には食品種別名が入る。)が商品の特性や優位性を表すための比喩的な表現として一般的に使用されているとの食品業界における取引の実情も踏まえると、本願商標「飲めるフレンチトースト」 は、構成文字全体として「飲める(ような)フレンチトースト」又は「飲む ことができる(ような)フレンチトースト」程度の意味合いを認識、理解させるものである。そのため、本願商標は、その指定商品及び指定役務である「フレンチトースト、冷凍フレンチトースト」及び「フレンチトーストを主とする飲食物の提供」に係る需要者である一般消費者をして、商品の特性や優位性(食感、特徴)を比喩的に表現した表記と一般に認識させるものであ り、同種食品の製造、販売又は提供に際し、必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品役務の識別力 供に際し、必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品役務の識別力を欠くため、商標としての機能を果たし得ないものであり、そのような標章について商標制度を利用した登録を認める必要はない と認められる。 したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標であり、商標法3条1項6号に該当する。 そうすると、本願商標の商標法3条1項6号該当性について、本件審決の 判断に誤りはないというべきである。 ⑸ 原告の主張に対する判断ア原告は、上記第3〔原告の主張〕1のとおり、「飲める〇〇」との表記は、直ちにその商品の特性や優位性を表すものとはいえない旨を主張する。 しかし、上記⑷のとおり、本願商標に接した需要者は、「飲めるフレンチ トースト」等の「飲める○○」(○○には食品種別名が入る。)との表記は、食品業界における取引の実情等に照らせば、その商品の特性や優位性を表すものと理解すると認められるところである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 イ原告は、上記第3〔原告の主張〕2のとおり、本願商標は自他識別機能 を有する旨を主張し、それに沿う証拠として登録商標の例(甲68ないし 71、82ないし84)を提出する。 しかし、上記⑷のとおり、本願商標の指定商品及び指定役務に関連する食品業界における取引の実情を踏まえると、本願商標は、「飲める(ような)フレンチトースト」又は「飲むことができる(ような)フレンチトースト」程度の意味合いを認識、理解させるにとどまるものであり、需要者は、そ れによって、何人かの業務 願商標は、「飲める(ような)フレンチトースト」又は「飲むことができる(ような)フレンチトースト」程度の意味合いを認識、理解させるにとどまるものであり、需要者は、そ れによって、何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することはできないものと認められる。商標法3条1項6号は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであるから、本願商標は、同号により登録を受けることができないというべきである。商標の 登録・査定等に関する判断は、各々関連する取引の実情等も考慮した上でなされるものであるから、原告の提出する証拠に係る商標の登録例は、上記判断を左右するものではない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ウ原告は、上記第3〔原告の主張〕3のとおり、本願商標は自他識別機能 を有する形で使用されている旨を主張する。 しかし、「飲めるフレンチトースト」が、テレビ番組(甲12ないし16)、インターネット上の記事(甲17ないし52)、YouTube上の動画(甲53ないし65)等の様々なメディアにおいて取り上げられているとしても、上記テレビ番組、インターネット記事、ブログ記事及び動画の紹 介等の多くは、例えば「卵や牛乳等に浸すこと“12時間”・・・行列ができる『飲めるフレンチトースト』ヨーグルトが練りこまれ柔らかさアップ」(甲17)、「SNS で話題沸騰のフワとろフレンチトーストがご自宅で楽しめる!」(甲18)などとあるように、「飲めるフレンチトースト」とされる食品について、「飲める」ほど柔らかくとろとろとした食感があることを 紹介、検証する記事であり、前記⑷のとおり、飲めるほど柔らかい食品等 ように、「飲めるフレンチトースト」とされる食品について、「飲める」ほど柔らかくとろとろとした食感があることを 紹介、検証する記事であり、前記⑷のとおり、飲めるほど柔らかい食品等 を比喩的に「飲める○○」(○○には食品種別名が入る。)と称する取引の実情を示すものに過ぎない。そうすると、これらは、原告の商品の特性や優位性に着目したものということができ、「飲めるフレンチトースト」が、特定の事業者に係る固有の商標であるとまで認識されるものとは認め難く、原告において長期にわたる営業実績があるとか多数の店舗を構えてい ることなどを示す証拠もないことからすれば、自他識別機能を有する形で使用されているものとは認められないというべきである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 エ原告は、上記第3〔原告の主張〕4のとおり、被告の挙げる取引の実情に関する例は少ない旨などを主張する。 しかし、飲食業界において、柔らかくとろける食感の食品を表現することに係る取引の実情として、上記⑶アないしシのほかにも、「飲める牛乳プリン」(乙30)、「飲めるパフェ」(乙31)、「飲めるかまぼこ」(乙32)、「飲めるすき焼き」(乙33)及び「飲めるローストビーフ」(乙34)等、相応数の例があることが認められるところであり、本願商標の指定商品及 び指定役務に関連する取引の実情に関し、上記⑶及び⑷の認定及び判断が左右されることはない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 2 結論以上によれば、原告主張の取消事由は理由がなく、本件審決にこれを取り消 すべき違法はない。 よって、原告の請求を棄却することとし、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 由は理由がなく、本件審決にこれを取り消すべき違法はない。よって、原告の請求を棄却することとし、主文のとおり判決する。 主文 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 中平健 裁判官 今井弘晃 裁判官 水野正則

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