平成12(わ)1528 傷害

裁判年月日・裁判所
平成13年11月28日 神戸地方裁判所
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判決文本文3,464 文字)

判決平成13年11月28日神戸地方裁判所平成12年(わ)第1528号傷害被告事件 主文 被告人を懲役1年に処する。 未決勾留日数のうち270日を刑に算入する。 理由 (犯罪事実)被告人は,飲酒の上,A株式会社バスに乗ったものであるが,平成12年12月3日午後7時10分ころ,神戸市B区Ca丁目b番c号のD停留所に停車中の同バス車内で,バスを降りるため座席から立ち上がって通路に出ようとした乗客のV(当時33歳)に対し,嫌がらせをする目的で,通路前方に足を出したため,体勢を崩したVの右肩にかけていたショルダーバッグが被告人の顔に当たったことに腹を立て,Vの後を追って同バスを降り,D停留所前歩道上で,Vに対し,その頭髪をつかんでVの頭部等を同停留所前の民家の石垣に強く押し付ける等の暴行を加え,その結果,Vに約10日間の治療を必要とする頭部・腰部・両肩打撲,頭部外傷第1型,頚部・腰部捻挫の傷害を負わせた。 (証拠)省略(争点に対する判断) 1 本件の争点は,被害者Vが傷害を負ったかどうか,という点である。 2 まず,現行犯人逮捕手続書(1号証)によると,E警察署F警察官らは,本件当日午後7時10分ころ,AバスのBバス停前の道路を北方から南方に向けてパトカーで警戒活動中,対向のAバスが,けたたましくクラクションを鳴らし,運転手が運転席の窓から同警察官らを呼んでいたことから,パトカーを停止し,同バス停に急行したこと,同バス停の歩道上には,頭を抱えて震えながら立っている被害者Vと大声でVに怒鳴りつけている被告人,被告人を制止している被告人の連れの男がおり,F警察官らは,被告人とVを引き離し,事情聴取したところ,Vは,バス内での状況を述べ,続 震えながら立っている被害者Vと大声でVに怒鳴りつけている被告人,被告人を制止している被告人の連れの男がおり,F警察官らは,被告人とVを引き離し,事情聴取したところ,Vは,バス内での状況を述べ,続いて,バスを下車したVを追いかけてきた被告人から,やにわに頭髪をつかまれて頭を歩道脇の石垣に打ち付けられた,そのため首や頭が凄く痛むので病院に行く旨述べたこと,F警察官が,Vの後頭部を確認すると,赤く腫れている状況が認められたこと,そこで,F警察官らは,被告人を,傷害の現行犯人と認めて逮捕したこと等の事実が認められる。 3 次に,被害者であるVの警察官調書(3号証,不同意部分は除く。),検察官調書(5号証,不同意部分は除く。)及び証言によれば,① Vがバスを降りて歩き出すと,被告人もバスを降り,小走りにVに近付き,いきなり右手でVの左側の頭髪をつかみ,Vの右側にある民家の石垣にVの頭を打ち付けようとしたこと,Vは,石垣に頭を打ち付けられると大けがを負うと思い,身体に力を入れて打ち付けられないようにこらえていたが,被告人の力に負け,2,3回右側頭部を石垣に打ち付けられたこと,その際,Vの右肩も石垣に打ち付けられたこと,② そのため,Vは,頭や右肩に痛みを感じたこと,③ Vが,被告人に対し,「やめてください。」と言い続けていると,被告人は,Vの頭髪から手を離したが,今度は,Vのボストンバッグを足で蹴りながら,Vに向かってバス内で言っていたような下品な言葉を大声で言い続けたこと,その後,被告人は,右手のひらの下の部分でVの左肩を突いたこと,④ すると,バスの運転手が来て,被告人とVの間に入り,被告人を押し止めていたが,被告人が静かにならなかったため,運転手はバスに戻って無線連絡をしたこと,まもなくして,パトカーが来て,被告人が警察官に すると,バスの運転手が来て,被告人とVの間に入り,被告人を押し止めていたが,被告人が静かにならなかったため,運転手はバスに戻って無線連絡をしたこと,まもなくして,パトカーが来て,被告人が警察官に取り押さえられたこと,⑤ Vは,警察官に,「頭や首が痛い。けがをしている。」旨を訴えたこと,⑥ Vは,被告人から前記のような被害を受けたことにより,右側頭部に,全体的な腫れや痛みがあり,両肩にも痛みがあり,右肩にはうっすらと赤い傷があり,首や腰には痛みがあったこと,Vは,肩の痛みは,打ち付けられたり,突かれたりした痛みであり,また,打ち付けられないように体中に力を入れたことにより,筋肉がねじれたりした痛みであり,首や腰の痛みは,同様に,打ち付けられないように体中に力を入れたときの筋肉のねじれによる痛みであると思っていること,Vは,本件被害を受けた後,2回医師の診察を受け,1週間分位の湿布薬,痛み止めの投薬を受けたこと,Vの頭の腫れは3,4日で引いたが,偏頭痛が10日以上続き,また,肩や腰の痛みは2か月位続き,投薬を受けた湿布薬のほかに,父親の湿布薬をもらって,10日から2週間湿布薬を貼っていたこと,等の事実が認められる。 以上のとおり,Vは,捜査段階及び公判において,前記2の本件被害直後の供述とほぼ同旨の供述を繰り返しているものであり,その供述内容に,誇張や不自然な点はなく,以上のVの捜査段階及び公判の供述は,十分信用することができる。 4 次に,医師Gの証言によれば,① 被害者Vは,本件当日の12月3日午後8時ころと翌4日の外来の2回,H病院で受診したこと,② 12月3日のカルテの記載によれば,Vは,当直医で,外科のI医師の診察を受け,殴られたという説明をし,首,上肢,腰部の痛み,頭痛,吐き気を訴えたこと,I医師は,Vの両 H病院で受診したこと,② 12月3日のカルテの記載によれば,Vは,当直医で,外科のI医師の診察を受け,殴られたという説明をし,首,上肢,腰部の痛み,頭痛,吐き気を訴えたこと,I医師は,Vの両肩関節,頭部,頚椎のレントゲン検査,頭部のCT写真,コンピュータ断層写真による検査をし,骨折,負傷,出血等があることは確認されず,頭部外傷,頭部・腰部・左肩打撲と診断し,Vに,消炎鎮痛剤の内服薬,外用薬,湿布を3日分投薬したこと,③ 翌4日,Vは,脳外科のJ医師と整形外科のG医師の診察を受け,G医師らに対し,髪の毛をつかまれて民家の壁に打ち付けられたという説明をし,右上肢痛,頚部痛を訴えたこと,G医師は,Vの右肩に疼痛があり,打撲があること及び頭部の髪の毛の中に発赤があることを診察し,前日のI医師の診断同様,頭部外傷,頭部・腰部・両肩打撲と診断し,Vに,消炎鎮痛剤の内服薬,湿布を更に4日分投薬したこと,④ G医師は,Vの説明した,Vに加えられた暴行により,打撲が生じ,また,打ち付けられないように逆らうことにより起こる首,腰の捻挫が生じるのは自然であると考え,Vの身体的所見や医師としての経験等から加療期間を約10日間と見込んだ上,前記のとおりの同医師らの診断の経過やカルテに記載されたI医師の診断の経過に基づいて,Vの病名を頭部・腰部・両肩打撲,頭部外傷第1型,頚部・腰部捻挫と診断する診断書(6号証)を作成したこと,等の事実が認められる。 以上の事実によれば,Vは,医師に対しても,本件暴行を受けた状況,これにより生じた身体症状,状況等について,前記2で見た本件被害直後においてしたのと同一の説明をし,これらについて誇張した説明や訴えをしているような事情は認められない上,G医師をはじめ,I,J医師が,弁護人が主張するような,Vの愁訴に引 ,前記2で見た本件被害直後においてしたのと同一の説明をし,これらについて誇張した説明や訴えをしているような事情は認められない上,G医師をはじめ,I,J医師が,弁護人が主張するような,Vの愁訴に引きずられた診断をしていることも認められないのであって,前記診断書(6号証)は,その信用性は高いというべきである。 5 以上の次第で,前掲証拠によれば,被告人の判示の暴行により,被害者Vが,判示のとおりの傷害を負ったことは,優に認定することができる。 (累犯前科) 1 事実平成8年4月25日神戸地方裁判所洲本支部宣告覚せい剤取締法違反罪により懲役2年10か月平成11年1月13日刑の執行終了 2 証拠前科調書,判決書謄本(検察官請求番号34)(法令の適用)罰条刑法204条刑種の選択懲役刑再犯加重刑法56条1項,57条未決勾留日数の算入刑法21条訴訟費用の不負担刑訴法181条1項ただし書平成13年11月28日神戸地方裁判所裁判官白神文弘

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