○ 主文原告らの各請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 被告大和郡山市長が原告A、同B、訴外亡Cに対し、それぞれ昭和四七年五月一日付通知書でした下水道事業受益者負担金賦課決定はいずれもこれを取り消す。2 被告大和郡山市長が原告Aに対し、昭和四八年五月一五日付通知書でした下水道事業受益者負担金賦課決定は、これを取り消す。3 訴訟費用は被告の負担とする。二請求の趣旨に対する答弁主文同旨第二当事者の主張一請求原因 1 大和郡山市は昭和四五年一二月二二日都市計画法第七五条に基づき、大和郡山都市計画下水道事業受益者負担に関する条例(同市条例第二六号、以下本件条例という)を制定し、公共下水道の排水区域内に存する土地の所有者をもつて「受益者」として(第二条)、これに事業費の一部を負担させることとし、その負担金の算出方法については、事業費の四分の一を負担金総額とし(第五条)、これを当該排水区域の地積で除して得た額を単位面積当りの負担金の額とする(第六条)旨を定めた。2 被告は、本件条例に基づき郡山排水第一次区域二三八ヘクタールの事業費として一九億二、三〇〇万円を見込んで、一平方メートル当りの負担金を二〇一円(坪当り六六三円)とし、右区域内に土地を所有する原告A、同B、訴外亡Cに対し、昭和四七年五月一日それぞれ左記のような受益者負担金賦課決定をし、同日付通知書が同年六月一日右三名にそれぞれ到達した。(1) A 別紙目録三記載の土地につき所有土地面積八二九・七五平方メートル負担金決定額一六万六、七七〇円(2) B 同目録八記載の土地につき所有土地面積四三九・三三平方メートル負担金決定額八万八、三〇〇円(3) C 同目録九ないし一六記載の土 ートル負担金決定額一六万六、七七〇円(2) B 同目録八記載の土地につき所有土地面積四三九・三三平方メートル負担金決定額八万八、三〇〇円(3) C 同目録九ないし一六記載の土地につき所有土地面積二四七三・四〇平方メートル負担金決定額四九万七、一一〇円 (2) B 同目録八記載の土地につき所有土地面積四三九・三三平方メートル負担金決定額八万八、三〇〇円(3) C 同目録九ないし一六記載の土 ートル負担金決定額一六万六、七七〇円(2) B 同目録八記載の土地につき所有土地面積四三九・三三平方メートル負担金決定額八万八、三〇〇円(3) C 同目録九ないし一六記載の土地につき所有土地面積二四七三・四〇平方メートル負担金決定額四九万七、一一〇円 3 そこで右三名は、同年六月三〇日被告に対し、前記処分に対する異議申立をしたが、被告は同年一一月六日これを棄却する旨の決定をした。4 また、被告は、昭和四八年五月一五日原告Aに対し、別紙目録五ないし七記載の土地につき前1、2項記載の受益者負担金として左記のような賦課決定をし、同日付通知書が同年六月四日同原告に到達した。所有土地面積七八九・五九平方メートル負担金決定額一五万八、六九〇円 5 そこで、原告Aは、同年六月一九日被告に対し、前項記載の賦課決定につき異議申立をしたが、被告は、同年九月一八日これを棄却する旨の決定をした。6 しかし、被告のした前2、4項に記載の各受益者負担金賦課処分は、いずれも、次の理由により違法である。(一) 公共下水道事業について「受益者負担」を課した本件処分は、住民の人間に値する健康で文化的な生活を享受する権利を侵害し、したがつて地方自治の本旨に反する違法なものである。すなわち公共下水道事業は、当該地域の環境衛生を向上せしめることを目的とするものであつて、住民福祉の基本的前提要件をなすものであり、他方、国、地方公共団体は住民福祉の増進に努めるべき責務を有する(憲法二五条二項、九二条、地方自治法二条一三項)。したがつて、国、地方公共団体は、公共下水道施設をその費用でもつて一刻も早く完備すべき責務がある。しかるに従来国、地方公共団体は、生活環境整備、就中下水道敷設をおろそかにし、欧米先進諸国より七、八〇年の遅れをとることに 公共団体は、公共下水道施設をその費用でもつて一刻も早く完備すべき責務がある。しかるに従来国、地方公共団体は、生活環境整備、就中下水道敷設をおろそかにし、欧米先進諸国より七、八〇年の遅れをとることになつた。そして、過度の経済中心主義・高度成長主義の矛盾の一つが人口の都市集中という形で露呈するや、従来の国、地方公共団体の怠慢を棚上げしたまま、生活環境整備の緊急性を口実に、住民が「受益者」であるとしてその経費を住民負担に転嫁しようとしてきたのである。 も早く完備すべき責務がある。しかるに従来国、地方公共団体は、生活環境整備、就中下水道敷設をおろそかにし、欧米先進諸国より七、八〇年の遅れをとることになつた。そして、過度の経済中心主義・高度成長主義の矛盾の一つが人口の都市集中という形で露呈するや、従来の国、地方公共団体の怠慢を棚上げしたまま、生活環境整備の緊急性を口実に、住民が「受益者」であるとしてその経費を住民負担に転嫁しようとしてきたのである。しかしながら、下水道整備の遅れは、一般財源より大幅の支出をなしてこれを取り戻すことこそが国、地方公共団体に課された責務である。安易に受益者負担金制度を採用して住民に費用負担を強要するのは、その責務の放棄に等しい。これを要するに住民が健康で文化的な生活を営むために国、地方公共団体がすべての生活面について公衆衛生等の向上及び増進に努めなければならない責務の放棄を意味するものであり、住民の福祉増進を目的とする地方自治の本旨に違反するものであることが明白である。したがつて、本件条例(都市計画法第七五条が本件公共下水道事業にも適用されるとすれば、同法第七五条もその限度で)は無効であり、右条例に基づく本件処分は違法である。(二) 本件処分は、受益者負担金の名のもとに行われているが、その実質は租税の賦課であるから、租税法律主義に違反し、税金の二重取りであつて違法である。すなわち、本件処分は賦課対象区域内の土地に一律に課されるのであるから、一般的標準により一律に徴収されることをもつて一のメルクマールとされている租税と異なるところはないのみならず、公共下水道事業という一定の事業に要する経費のみに充てられる点も、租税の一種たる都市計画税と異なるところはない。むしろ、本件処分による受益者負担金と都市計画税は全く と異なるところはないのみならず、公共下水道事業という一定の事業に要する経費のみに充てられる点も、租税の一種たる都市計画税と異なるところはない。むしろ、本件処分による受益者負担金と都市計画税は全くその性質を同じくし、税金の二重取りであること明白である。そうすると、本件処分は憲法第八四条の租税法律主義に違反するものといわざるをえない。(三) 本件処分は、都市計画法第七五条に規定する「著しい利益を受ける者」に該当しない原告らに課した違法なものである。都市計画法第七五条における「受益者負担」は「開発利益の開発主体への還元」すなわち本来の意味での「受益者負担」を指すものである。 金と都市計画税は全くその性質を同じくし、税金の二重取りであること明白である。そうすると、本件処分は憲法第八四条の租税法律主義に違反するものといわざるをえない。(三) 本件処分は、都市計画法第七五条に規定する「著しい利益を受ける者」に該当しない原告らに課した違法なものである。都市計画法第七五条における「受益者負担」は「開発利益の開発主体への還元」すなわち本来の意味での「受益者負担」を指すものである。ところで、国又は地方公共団体が行なう公益的事業は、そもそも住民に利益と便宜を与えることを目的とするものであるから、住民が当該事業によつて利益や便宜を受けるからといつて、直ちにその者に負担を課してはならないのであつて、受益者の範囲、受益の性質・程度、事業の性質等を含めて考え、税負担に加えて更に負担を課することを「相当とする」場合でなければ、住民に「受益者負担」を課することはできないのである。したがつて、前記「開発利益」とは、国又は地方公共団体等が行なう公益的事業によつて「特定の者」が「特別の経済的利益」を受ける場合を指すものであり、かつ、右「特定の者」とは比較的「少数」の者でなければならず、「特別の経済的利益」もまた「著しい」ものでなければならない。しかるに、本件条例によると、土地の「賃借人」「地上権者」等も受益者とされていることからみて、そこにおいて住民の受ける利益は、公共下水道施設を利用しうる利益を指していることがうかがえる。それはもはや「開発利益」とは全く無縁のものであること明らかであり、本件処分は住民の受ける「生活上の便宜」そのものに負担を課したものである。下水道施設を利用しうる利益を指していることがうかがえる。それはもはや「開発利益」とは全く無縁のものであること明らかであり、本件処分は住民の受ける「生活上の便宜」そのものに負担を課したものである。さりとて、公共サービスの対価すなわち使用料かというとそうでもなく、要するに本件処分は法的に全く説明のつかぬ負担を受益者負担の衣をまとつて、住民に押しつけてきたものである。また、本件処分は、第一次地域の一部土地についてなされたものであるが、引き続き第二次、第三次地域についても計画され、それが完成すると市街化区域の全体に公共下水道事業が施行されることになり、市民の三分の二以上がその利益を受けることになる。かかる事業の施行によつて、「特定の者」或いは「少数の者」が利益を受けると言い得ないことはもはや議論の余地がない。 者負担の衣をまとつて、住民に押しつけてきたものである。また、本件処分は、第一次地域の一部土地についてなされたものであるが、引き続き第二次、第三次地域についても計画され、それが完成すると市街化区域の全体に公共下水道事業が施行されることになり、市民の三分の二以上がその利益を受けることになる。かかる事業の施行によつて、「特定の者」或いは「少数の者」が利益を受けると言い得ないことはもはや議論の余地がない。以上によつて明らかなように、本件公共下水道事業の施行によつて住民の受ける利益は、いわゆる「開発利益」ではありえず、本件処分は都市計画法第七五条のいう受益者に該当しない原告らに課した違法な処分といわなければならない。(四) かりに、公共下水道事業の施行につき都市計画法第七五条の適用があるとしても、住民に課する負担は、その受ける利益の限度で事業費の一部でなければならない。しかるに、本件においては、近隣の奈良市、天理市の負担金が一平方メートル当りそれぞれ五九円、九四円であるのに比し異常に高率で雨水公費の原則に反しているばかりでなく、事業費を地積で除して出した画一的基準で算出していて、その合理性が不明である。これは同法条の趣旨を逸脱しているのみならず、憲法第一四条の定める「法の下の平等」の原則にも反する違憲・違法のものである。(五) さらに本件処分の違法性は、下水道事業の施行方法として合流式を採用したことによつて増幅されている。すなわち、近 、憲法第一四条の定める「法の下の平等」の原則にも反する違憲・違法のものである。(五) さらに本件処分の違法性は、下水道事業の施行方法として合流式を採用したことによつて増幅されている。すなわち、近隣都市においては分流式が採用されているにもかかわらず、大和郡山市においては合流式が採用されたため分流式の約二倍の負担金を課されるにも拘らず、その利益はみるべきものがない。大和郡山市当局の説明によると、市街地の浸水を防止するため合流式にしたというのであるが、原告らも含めて区域内の住民の中には、浸水とは全く無縁の者も多数居るし、また、合流式にしたことにより多額の負担金を課せられるのにその利益をほとんど受けないという点で本件処分は違法である。以上のように本件処分は、憲法、法律に違反する無効の条例に基づいてなされた違法なものであり、取消されるべきである。7 なお、訴外Cは、昭和四七年六月三〇日死亡し、その妻である原告D、子である原告E及び同Fが相続によりその地位を承継した。 内の住民の中には、浸水とは全く無縁の者も多数居るし、また、合流式にしたことにより多額の負担金を課せられるのにその利益をほとんど受けないという点で本件処分は違法である。以上のように本件処分は、憲法、法律に違反する無効の条例に基づいてなされた違法なものであり、取消されるべきである。7 なお、訴外Cは、昭和四七年六月三〇日死亡し、その妻である原告D、子である原告E及び同Fが相続によりその地位を承継した。二請求原因に対する認否 1 請求原因1ないし5の各事実は、認める。2 同6の事実は、争う。3 同7の事実は、不知。三被告の主張(一) 請求原因6の(一)について公共下水道事業は地方公共団体の固有事務であることは勿論であるが、それは公共団体の維持存立事務ではなく、住民福利増進のために行なう経済活動事務であり、地方公共団体がかかる事業を行なつた場合、その経費をすべて公費でまかなわなければならない理由はないのであつて、事業の目的、内容、対象地域等により、当該事業の施行によつて特に利益を受ける者から事業費につき負担金を徴収することはなんら違法ではない。この趣旨は地方自治法が第二二四条において地方税徴収権のほか、地方公共団体の受益者に対する分担金徴収権を認めていることからも看取 益を受ける者から事業費につき負担金を徴収することはなんら違法ではない。この趣旨は地方自治法が第二二四条において地方税徴収権のほか、地方公共団体の受益者に対する分担金徴収権を認めていることからも看取し得ることである。ところで被告は、都市計画事業の一環として公共下水道事業を企画し、所定の認可を受けた上、都市計画法第七五条に基づき、本件条例を制定し、右条例によつて受益者である原告らに対し本件負担金を賦課したものであるから、右負担金賦課は違法ではない。(二) 請求原因6の(二)について原告らは、受益者負担金は実質的租税であるから、税金の二重取りになると主張するが、受益者負担金は租税ではない。租税は、地方公共団体が特別の給付に対する反対給付としてではなく、その一般的経費に充てるための財カ取得の目的をもつて、その課税権に基き、一般的標準により全市域に対し一般住民に一方的強制的に賦課するものである。これと異り、受益者負担金は、地方公共団体が特定の事業を行なう場合、その事業に要する経費に充てるため、その事業により受益するものに対し課されるもので、賦課された負担金は一般財源としては使用されず、その事業の経費のみに使用されるものであつて、租税とは本質的に相異するものである。 充てるための財カ取得の目的をもつて、その課税権に基き、一般的標準により全市域に対し一般住民に一方的強制的に賦課するものである。これと異り、受益者負担金は、地方公共団体が特定の事業を行なう場合、その事業に要する経費に充てるため、その事業により受益するものに対し課されるもので、賦課された負担金は一般財源としては使用されず、その事業の経費のみに使用されるものであつて、租税とは本質的に相異するものである。従つて受益者負担金は租税であるとの前提に立つて、都市計画法第七五条に基き受益者負担金賦課を取り決めた本件条例について、憲法第八四条、地方自治法第二二三条に違反するとの原告らの主張は失当というほかはない。(三) 請求原因6の(三)について原告らは本件公共下水道事業の施行により、別段著しい利益を受けないのに、受益者として負担金の賦課をとり決めた本件条例は、都市計画法第七五条を逸脱し、無効であると主張する。しかしながら、本件公共下水道事業は、「公共」とは言うものの、その事業は大和郡山 益を受けないのに、受益者として負担金の賦課をとり決めた本件条例は、都市計画法第七五条を逸脱し、無効であると主張する。しかしながら、本件公共下水道事業は、「公共」とは言うものの、その事業は大和郡山市全域(総面積四、二七四ヘクタール)に亘るものではなく、その二四・一パーセントにあたる市街化区域(一〇三〇ヘクタール)中の一部(二三八ヘクタール、総面積の五・五パーセント、市街化区域の二三パーセント)のみに施行されるものにすぎないのであり、しかも、下水道施設は不特定多数のものが自由に利用し得る道路や河川とは異り、施設を敷設された区域だけが日常排出する汚水、し尿、雨水等を完全に、迅速かつ衛生的に排除し得るものであつて、下水道施設敷設によりこれを利用し得る利益は、まさしくその施設敷設区域内の土地所有者及び利用者に限られるのであり、反面、敷設区域外の市民はなんら利益を受けないものというべく、前者が都市計画法第七五条にいう「著しく利益を受ける者」に該当すること明白であるといわなければならない。従つて、被告が本件公共下水道事業の施行により施設の敷設を受ける土地所有者が著しい利益を受けるとして、都市計画法第七五条に基き受益者に対し負担金を課する旨定めた本件条例は、都市計画法を逸脱しておらず、右条例に基く本件受益者負担金賦課処分はなんら違法ではない。 市民はなんら利益を受けないものというべく、前者が都市計画法第七五条にいう「著しく利益を受ける者」に該当すること明白であるといわなければならない。従つて、被告が本件公共下水道事業の施行により施設の敷設を受ける土地所有者が著しい利益を受けるとして、都市計画法第七五条に基き受益者に対し負担金を課する旨定めた本件条例は、都市計画法を逸脱しておらず、右条例に基く本件受益者負担金賦課処分はなんら違法ではない。(四) 請求原因6の(四)について本件条例は受益者負担金の総額を総事業費の四分の一としているが、これが都市計画法第七五条にいう「受益の限度」を超えるものでないことは論をまたない。都市計画法にいう「利益受ける限度」とは、純経済的には結局その事業に要する費用総額に等しいことになると考えられるのであるが、建設省では標準都市を設定して、負担金総額を事業費用の三〇パーセント程度とするのが妥当であるとしており、これを四 、純経済的には結局その事業に要する費用総額に等しいことになると考えられるのであるが、建設省では標準都市を設定して、負担金総額を事業費用の三〇パーセント程度とするのが妥当であるとしており、これを四分の一、即ち二五パーセントとした本件条例は、都市計画法第七五条のいう受益の限度を超えるものではない。また、右受益者負担金総額を各受益者に割当てる負担割合について、施設敷設地域内の土地の面積割合によつて、これを負担させるのは、下水道施設敷設に伴う利益の享受が、道路の如く土地との近接、離隔等の事情により変ることがなく同一であることから考えても極めて合理的であり、負担の公平の原則にも合致するものであつて、なんら憲法第一四条に違反するものではない。(五) 請求原因6の(五)について被告が、本件下水道事業について合流式を採用したのは、古くから城下町として発展してきた大和郡山市では、市街地道路が狭隘で分流方式(下水管を二条敷設し雨水と汚水を分離する方式)を採用することが技術上困難を伴う上、費用が高くつくからであり、合流式が分流式に比べて費用が二倍も高くつくということはないのである。原告らは、原告らを含めて浸水に無縁な者がいるのに、浸水防止のため合流式にしたと批難しているのであるが、下水道事業は下水即ち汚水又は雨水(下水道法二条)を排除するための下水道施設を敷設する事業であり、地方公共団体が公共下水道事業を行なう場合、雨水を含む下水の処理を図り当該市街地における浸水を防止し、公衆衛生の向上を目的とするのは寧ろ当然のことである。 べて費用が二倍も高くつくということはないのである。原告らは、原告らを含めて浸水に無縁な者がいるのに、浸水防止のため合流式にしたと批難しているのであるが、下水道事業は下水即ち汚水又は雨水(下水道法二条)を排除するための下水道施設を敷設する事業であり、地方公共団体が公共下水道事業を行なう場合、雨水を含む下水の処理を図り当該市街地における浸水を防止し、公衆衛生の向上を目的とするのは寧ろ当然のことである。しかして水は高きから低きに流れるものであるから、浸水地の雨水は非浸水地の水にも起因するのであつて、原告らが浸水と無関係であるとは言い得す、負担金割合を決定するに当り、浸水地非浸水地を区別すべき合理的理由は認められないものである。のであるから、浸水地の雨水は非浸水地の水にも起因するのであつて、原告らが浸水と無関係であるとは言い得す、負担金割合を決定するに当り、浸水地非浸水地を区別すべき合理的理由は認められないものである。以上述べたとおり、本件受益者負担金賦課処分には、なんら違憲、違法はなく、その取消を求める原告らの本訴請求は失当である。第三証拠(省略)○ 理由一請求原因1ないし5記載の各事実は、当事者間に争いがない。右争いのない事実に、成立に争いのない甲第一〇号証、乙第一ないし四号証、証人G、同Hの証言、および弁論の全趣旨を総合すると(1)わが国の昭和五〇年度における、総人口に対する公共下水道の普及率を先進諸国と比較した場合、イギリスが九四パーセント、オランダが九〇パーセント、アメリカが七一パーセントであるのに対し、わが国のそれは二二パーセントであつて、公共下水道事業の立ち遅れが著しいこと、(2)わが国が先進諸国に比べ、右のように公共下水道設置の立ち遅れた原因は種々あるけれども、戦前農村では生活し尿を肥料として使用、処分されていたことや、公共下水道事業は、その建設に極めて多額の費用を要するところ、これを実施する地方公共団体において財源対策ができなかつたことなどが主なるものであつたこと、(3)しかし、公共下水道の設置は都市生活の健全な発達および住民の公衆衛生の向上、公共用水の水質の保全等のため必要なものであつて、そこで政府は、公共下水道事業に関する国庫補助金として、昭和三七年から同四二年までの第一次五か年計画ではおよそ四、四〇〇億円の予算を、昭和四二年から同四六年までの第二次四か年計画では九、三〇〇億円の予算を、昭和四六年から同五〇年までの第三次四か年計画では二兆六、〇〇〇億円の予算を、昭和五一年から同五五年までの第四次五か年計画では七兆五、〇〇〇億 向上、公共用水の水質の保全等のため必要なものであつて、そこで政府は、公共下水道事業に関する国庫補助金として、昭和三七年から同四二年までの第一次五か年計画ではおよそ四、四〇〇億円の予算を、昭和四二年から同四六年までの第二次四か年計画では九、三〇〇億円の予算を、昭和四六年から同五〇年までの第三次四か年計画では二兆六、〇〇〇億円の予算を、昭和五一年から同五五年までの第四次五か年計画では七兆五、〇〇〇億 六年までの第二次四か年計画では九、三〇〇億円の予算を、昭和四六年から同五〇年までの第三次四か年計画では二兆六、〇〇〇億円の予算を、昭和五一年から同五五年までの第四次五か年計画では七兆五、〇〇〇億円の予算をそれぞれ組み入れ、かつ支出していたこと、(4)奈良県大和郡山市は、昭和二九年一月一日に市制が施行されたが、以後昭和四五年まで同市内に公共下水道が設置されていなかつたこと、(5)そこで大和郡山市長である被告は、公害のない環境のよいまちづくりをするための都市計画事業の一環として、公共下水道事業を計画し、昭和四六年三月二日建設大臣から右事業計画につき認可を受けたこと、(6)大和郡山市はこれより先昭和四五年一二月二二日市議会の議決を経て、大和郡山市都市計画下水道事業受益者負担に関する条例(本件条例)を制定したこと、(7)本件条例は、(一)被告が公共下水道事業に関する費用の一部にあてるため、都市計画法七五条の規定に基づく受益者負担金を徴収することを目的とするものであり、(二)その受益者を右事業の公共下水道排水区域内に存在する土地の所有者又は地上権、賃借権、使用借権(以上のうち一時使用のものを除く)および質権(以下地上権等という)を有する者(以下使用者と称する)と限定し、(三)右排水区域を土地の状況に応じて二以上の負担区に区分し、(四)受益者に賦課される負担金の額は、右負担区の事業費の四分の一(二五パーセント)を乗じて得た金額とし、(五)その一人当りの金額は、負担区に対する右負担金の総額を当該負担区の地積で除して得た金額(一平方メートル当りの負担金)に当該受益者が所有または地上権等を有する土地の面積を乗じて得た額とする内容のものであつたこと、(8)大和郡山市の総面積は四、二七四ヘクタールで、そのうち市街化区域は一、〇三〇ヘクタールであるが、被 当該受益者が所有または地上権等を有する土地の面積を乗じて得た額とする内容のものであつたこと、(8)大和郡山市の総面積は四、二七四ヘクタールで、そのうち市街化区域は一、〇三〇ヘクタールであるが、被告は、本件公共下水道の排水区域を第一区から第三区に区分し、第一区(次)は、昭和四五年から同五四年までの一〇か年計画に基づいて旧市街地二三八ヘクタール、すなわち汚水と浸水の被害に悩まされている、同市柳町、大宮町、南大工町等二三八ヘクタールを対象とし、その見積り事業費総額を一九億二、三〇〇万円とするもの、第二区(次)は昭和四七年から同五九年までの年次計画に基づいて、昭和工業団地等七九二ヘクタールを対象とし、第三区(次)は昭和五五年から同六四年までの一〇か年計画に基づいて矢田丘陵住宅等既設住宅地六四四ヘクタールを対象とする、公共下水道事業計画をたて、逐次その実行に及んでいること、(9)原告らの所有する土地は、いずれも右第一次排水区内に存在するものであつて、本件条例に基づく一平方メートル当りの負担金は二〇一円となり、被告は、本件条例並びに同条例一六条の委任条項により昭和四五年一二月二二日大和郡山市規則第三〇号として定められた大和郡山都市計画下水道事業受益者負担に関する条例施行規則六条に従つて原告らに対し、その主張の日、主張のような通知書をもつてその主張どおりの金額の受益者負担金賦課処分をしたものであること、(10)なお原告Aは、昭和四七年五月一日と同四八年五月一五日の二回にわたり同処分を受けているが、その対象土地は別異のものであつて、同一土地に重ねて賦課されたものではないこと、また、昭和四七年五月一日被告から本件受益者負担金賦課処分を受けたCは、同年六月三〇日死亡し、その妻である原告D、子である原告E、同Fが相続によりその地位を承継したものであること 金額の受益者負担金賦課処分をしたものであること、(10)なお原告Aは、昭和四七年五月一日と同四八年五月一五日の二回にわたり同処分を受けているが、その対象土地は別異のものであつて、同一土地に重ねて賦課されたものではないこと、また、昭和四七年五月一日被告から本件受益者負担金賦課処分を受けたCは、同年六月三〇日死亡し、その妻である原告D、子である原告E、同Fが相続によりその地位を承継したものであること ものではないこと、また、昭和四七年五月一日被告から本件受益者負担金賦課処分を受けたCは、同年六月三〇日死亡し、その妻である原告D、子である原告E、同Fが相続によりその地位を承継したものであること、以上の事実が認められ、他にこれに反する証拠はない。二原告らは、本件受益者負担金賦課処分が違法であると主張するので以下順次判断する。1 本件受益者負担金賦課処分は、原告ら住民の健康で文化的な生活を享受する権利を侵害し、地方自治の本旨に反するものであるとの点について公共下水道の設置は、前記認定のとおり、都市の健全な発達および公衆衛生の向上、公共用水域の水質の保全等のため必要なものである(下水道法一条参照)。これを詳述すると、公共下水道は、都市生活がもたらす汚水を迅速かつ衛生的に処理するものであるから、都市の美観を保つとともに、汚水に基因する種々の伝染病の発生を防止して、都市の環境衛生を増進させ、また、都市を雨水による浸水から守つたり、さらに汚水、雨水が公共下水道末端の終末処理場で浄化される関係上、河川その他の公共の水域又は海域が汚水等により汚濁されることを防ぎ、もつて水質公害の発生を未然に防止するなど良好な都市の生活環境造りや公衆衛生の向上に寄与し、あわせて公共用水域の水質保全に資する、公益性の強い施設である。もとより国または地方公共団体が住民福祉の増進に努むべき責務のあることは、論をまたない。しかしながら、地方公共団体の長が公共下水道事業を行つた場合、同事業が公益的であるからといつて、その経費をすべて公費でまかなわなければならないものではない。すなわち、公共下水道設置は、前述のとおり、良好な都市環境造りや、公衆衛生の向上、水質保全という公益的機能を有するものではあるが、その反面公共下水道設置という土地投資によつて、排水区域内の土地上にお すなわち、公共下水道設置は、前述のとおり、良好な都市環境造りや、公衆衛生の向上、水質保全という公益的機能を有するものではあるが、その反面公共下水道設置という土地投資によつて、排水区域内の土地上における生活汚水、し尿、雨水等が完全、迅速、衛生的に排除処理されることに伴い、当該土地の利用内容(効用)が質的に著しく高められ、その土地の資産価値の増加をもたらすなど土地所有者または使用者に対し特別の私的な利益を与えるものである。 置は、前述のとおり、良好な都市環境造りや、公衆衛生の向上、水質保全という公益的機能を有するものではあるが、その反面公共下水道設置という土地投資によつて、排水区域内の土地上における生活汚水、し尿、雨水等が完全、迅速、衛生的に排除処理されることに伴い、当該土地の利用内容(効用)が質的に著しく高められ、その土地の資産価値の増加をもたらすなど土地所有者または使用者に対し特別の私的な利益を与えるものである。そして、前記認定事実から、窺えるとおり、公共下水道の設置は極めて多額な経費がかかり、財源的には、後記のとおり、大部分を一般市費、国庫補助金等の公費をもつて賄うとともに、その事業の完成に長期間を要し、公共下水道の設置された土地とそれが設置されていない土地とを比べた場合、前者の土地所有者、使用者の享受する前記特別の排他的利益は一層顕著であり、しかも、公共下水道事業は、その排水区域が明確に定められていて、その区域内だけの下水の排除を目的としているため、前記特別受益の事実および受益者の範囲が土地所有者、使用者に限定されるという特徴がある。したがつて、公共下水道事業を行う地方公共団体の長が、都市計画法七五条を根拠とする条例に基づき、都市計画事業の一部として下水道事業の施行によつて前記のような特別の利益を受ける者から事業費の一部につき負担金を賦課徴収することは、合理的であり、これは、地方自治法二二三条が地方公共団体に地方税の賦課徴収権を与えるとともに同法二二四条が地方公共団体に分担金(同条は分担金と表現しているが、性質上は負担金と同じである)の徴収権を付与している法意にも合致するものといわなければならない。ちなみに、前掲証人Hの証言に徴すれば、地方公共団体が施行する道路の開設は、公共下水道設置と同様、公益性が強い反面、私的利益を享 )の徴収権を付与している法意にも合致するものといわなければならない。ちなみに、前掲証人Hの証言に徴すれば、地方公共団体が施行する道路の開設は、公共下水道設置と同様、公益性が強い反面、私的利益を享受する者があるところ、その開設は通常、公費によつてその事業費がまかなわれているものではあるけれども、道路など一般の公共施設は、不特定多数の者が利用者であつて、受益の事実および受益者の範囲が不明確であるから、その事業費につき受益者負担金を導入することのできないものであるのに対し、公共下水道事業は、前判示のとおり受益の事実および受益者の範囲が明確であつて、右事業により特別の利益を受けている者があるのに、その事業費をすべて租税でまかなうことにすれば、住民の公用負担に公平を欠き、不当であるから、むしろ受益者からその利益を受ける限度で事業費の一部を徴収しこれを負担させるのが公平であるというべきである。 るから、その事業費につき受益者負担金を導入することのできないものであるのに対し、公共下水道事業は、前判示のとおり受益の事実および受益者の範囲が明確であつて、右事業により特別の利益を受けている者があるのに、その事業費をすべて租税でまかなうことにすれば、住民の公用負担に公平を欠き、不当であるから、むしろ受益者からその利益を受ける限度で事業費の一部を徴収しこれを負担させるのが公平であるというべきである。それゆえ、地方公共団体が都市計画法七五条を根拠とする公共下水道事業受益者負担金についての条例を制定し、その条例に基づき、地方公共団体の長が受益者から負担金を徴収して右事業費の一部にあてることは、一般住民に対しての公衆衛生等の向上および増進に努めなければならない責務の放棄を意味するものでもなければ、住民の健康で文化的な生活を享受する権利を侵害するものでもなく、したがつて、住民の福祉増進を目的とする地方自治の本旨に違背するものともいえない。これを本件についてみるに、本件条例は都市計画法七五条に基づき、前記趣旨の公共下水道事業受益者負担金を定めたものであることは、前認定のとおりであることから、本件条例が原告ら住民の健康で文化的な生活を享受する権利を侵害したり、地方自治の本旨に違背するものでないことは前判示から明らかであり、したがつて、本件条例は憲法二五条、九二 のとおりであることから、本件条例が原告ら住民の健康で文化的な生活を享受する権利を侵害したり、地方自治の本旨に違背するものでないことは前判示から明らかであり、したがつて、本件条例は憲法二五条、九二条、地方自治法二条一三項に違反することなく有効であり、被告が本件条例に基づき、原告らに対してなした本件受益者負担金賦課処分はすべて適法であるといわなければならない。2 本件受益者負担金賦課処分は、その実質は租税の賦課であり、租税法律主義に違反し、税金の二重取りになるとの点について租税は、統治権に由来する課税権に基き国または地方公共団体がその経費に充てるため給付に対する反対給付としてではなく、無償で、一般私人に対し、一般的標準に基づいて賦課する公法上の金銭給付義務である。これに対し、本件のような受益者負担金は、前記のように公共下水道事業という特定の事業の経費に充てるため、右事業により著しい利益を受けるという特別の関係のある者に対してだけ、その受益の程度に応じて課する公法上の金銭給付義務であるから、租税とは性質を異にし、これが租税でないことは明らかである。 に対する反対給付としてではなく、無償で、一般私人に対し、一般的標準に基づいて賦課する公法上の金銭給付義務である。これに対し、本件のような受益者負担金は、前記のように公共下水道事業という特定の事業の経費に充てるため、右事業により著しい利益を受けるという特別の関係のある者に対してだけ、その受益の程度に応じて課する公法上の金銭給付義務であるから、租税とは性質を異にし、これが租税でないことは明らかである。もつとも、各種租税のうち、都市計画税や水利地益税等は地方税法五条六項に明記しているとおり目的税であり、このうち都市計画税についていえば、地方公共団体の都市計画事業の経費に充てられるため課せられるものであるから、この点においては受益者負担金と性質を共通とするものではあるけれども、都市計画税は、受益者負担金のようにその事業により利益を受けるという特別の関係のある者に対してだけ、その受益の程度に応じて課されるというものではなく、都市計画区域として指定された市街化区域内又は特別事情があるため条例で指定された市街化調整区域内に所在する土地、家屋の所有者に対し、不動産の所有の事実から担税力を推定して当該 るというものではなく、都市計画区域として指定された市街化区域内又は特別事情があるため条例で指定された市街化調整区域内に所在する土地、家屋の所有者に対し、不動産の所有の事実から担税力を推定して当該不動産の課税価格、面積を課税標準として課せられるものである点において受益者負担金とは性質を異にしている。換言すると、受益者負担金は、法律上は負担基準が定められていないので、受益の程度によつて賦課額をそれぞれ変えることができ、受益の程度と賦課額との対応関係が密接である点および対象者が受益者と限定されている点において、都市計画税のような目的税とは性質を異にし、租税としての性格を具備していないものである。したがつて、受益者負担金の性質が右に述べたものである以上、都市計画区域内に居住する地方公共団体の住民が、都市計画税のほかに受益者負担金を徴収されることがあつても、税金を二重賦課されたことにはならず、むしろ、一般的な都市計画税を課するほかに、公共下水道事業という都市計画の一部分につき、右事業により特に利益を受ける者に対して受益の程度に応じてその事業費の一部を負担させることこそ、全体の負担の公平という観点からみて妥当なものというべきである。 たものである以上、都市計画区域内に居住する地方公共団体の住民が、都市計画税のほかに受益者負担金を徴収されることがあつても、税金を二重賦課されたことにはならず、むしろ、一般的な都市計画税を課するほかに、公共下水道事業という都市計画の一部分につき、右事業により特に利益を受ける者に対して受益の程度に応じてその事業費の一部を負担させることこそ、全体の負担の公平という観点からみて妥当なものというべきである。そうすると、本件受益者負担金賦課処分が租税法律主義に違反し、税金の二重取りとなるという原告らの前記主張は理由がない。3 本件受益者負担金賦課処分は、都市計画法七五条に規定する「著しく利益を受ける者」に該当しない原告らに課した違法なものであるとの点について都市計画法七五条一項によれば「国、都道府県又は市町村は、都市計画事業によつて著しく利益を受ける者があるときは、その利益を受ける限度において、当該事業に要する費用の一部を当該利益を受ける者に負担させることができる」ものであるところ、国または地方公共団体の行う都市計画事 つて著しく利益を受ける者があるときは、その利益を受ける限度において、当該事業に要する費用の一部を当該利益を受ける者に負担させることができる」ものであるところ、国または地方公共団体の行う都市計画事業の性質に鑑みると、右にいう「利益」とは必ずしも金銭に見積り得る経済的利益に限らず、その事業施設を利用することによつて生じる便利性、快適性という主観的利益(生活上の利益)をも含み、また、著しく利益を受けているかどうかの判断は、その事業施設により恩恵を蒙つている者とそうでない者との比較において社会通念により決せられるべきものと解するのが相当である。そこで、原告らが本件公共下水道事業により、前記法条にいう「著しく利益を受ける者」に該当するかどうかを検討してみるに、前記乙第三、四号証、証人Gの証言に弁論の全趣旨を総合すれば、(一)原告らは、前記のとおり被告の施工する本件公共下水道事業第一次排水区内に所在する土地の所有者であること、(二)右第一次排水区二三八ヘクタールは大和郡山市の市街化区域一〇三〇ヘクタールの二三パーセントに過ぎず、しかも第一次排水区は同市の旧市街地であつて、同土地は従前汚水や浸水、滞水による被害があつた地帯であること、(三)右第一次排水区に土地を所有する原告らは、本件公共下水道の設置によつて、その所有土地上における生活汚水、し尿、雨水等が完全に、迅速かつ衛生的に排除処理されることに伴い、その所有土地が浸水から防除されるという安全性や、汚水を完全、迅速に排水されるという便利性あるいは従来の汲み取り式便所を水洗式便所に改造し、それを利用することによつて生じる快適性や浸水により便所があふれるというような非衛生的生活からの絶縁等の確保が可能となり、その結果、当該所有土地の利用内容が質的に著しく高められて、右所有土地の資産価値の増加を生じ 完全に、迅速かつ衛生的に排除処理されることに伴い、その所有土地が浸水から防除されるという安全性や、汚水を完全、迅速に排水されるという便利性あるいは従来の汲み取り式便所を水洗式便所に改造し、それを利用することによつて生じる快適性や浸水により便所があふれるというような非衛生的生活からの絶縁等の確保が可能となり、その結果、当該所有土地の利用内容が質的に著しく高められて、右所有土地の資産価値の増加を生じ ことによつて生じる快適性や浸水により便所があふれるというような非衛生的生活からの絶縁等の確保が可能となり、その結果、当該所有土地の利用内容が質的に著しく高められて、右所有土地の資産価値の増加を生じていること、(四)原告らの受けうる上述の各利益は、本件公共下水道事業の適用を受けない隣接土地関係と個別具体的に比較するまでもなく、健全な社会通念に照らせば著しく高いものであることが明白であること、以上の事実が認められ、原告A本人の供述中右認定に反する部分は前掲他の証拠と比較してたやすく措信し難く、他にはこれを覆えすに足る証拠は存しない。前記認定事実によると、原告らは、本件公共下水道事業によつて、都市計画法七五条一項に規定する「著しく利益を受ける者」に該当することが明らかである。なお、前記認定のとおり、被告は、昭和四七年から同六四年までの期間にかけて第二次、第三次の公共下水道事業を施工する計画をたてているのであるが、右計画がすべて完了したとしても、その事業は極めて多額の建設費を要し、かつ長期間にわたるものであるから、早期の第一次事業により原告らが受ける前記利益は、その後の第二次、第三次事業による受益者と比べても、相対的に高く、低いものではありえない、したがつて、第二次、第三次同事業の施工により市街化区域の全体に下水道事業が完成したとしても、原告らの前記受益の程度の認定になんらの妨げとなるものではない。そうすると、本件受益者負担金賦課処分が受益者に該当しない原告らに課せられた無効なものであるとの原告らの前記主張は理由がない。4 本件受益者負担金賦課決定は、受益の限度をこえ、また画一的な基準で算出した違法なものであるとの点についてなるほど、都市計画法七五条一項は、前記のとおり「その利益を受ける限度において、当該事業に要する費用の一部を当該利益 定は、受益の限度をこえ、また画一的な基準で算出した違法なものであるとの点についてなるほど、都市計画法七五条一項は、前記のとおり「その利益を受ける限度において、当該事業に要する費用の一部を当該利益を受ける者に負担させることができる」とし、同条二項は、右負担者の範囲、徴収方法を政令又は条例をもつて定むべき旨規定していて、受益者負担金の賦課額は、受益の限度でなされることを要する旨上限を明定しており、その具体化は立法裁量行為にゆだねられているというべきである。 ものであるとの点についてなるほど、都市計画法七五条一項は、前記のとおり「その利益を受ける限度において、当該事業に要する費用の一部を当該利益を受ける者に負担させることができる」とし、同条二項は、右負担者の範囲、徴収方法を政令又は条例をもつて定むべき旨規定していて、受益者負担金の賦課額は、受益の限度でなされることを要する旨上限を明定しており、その具体化は立法裁量行為にゆだねられているというべきである。しかしながら、前判示のとおり、同法条にいう受益者の受益は、必ずしも金銭に見積り得る経済的利益に限らず、前記のような便利性、快適性という主観的な利益をも含むものと解すべきであるから、これを算術的に算出することは不可能であり、要は、受益の性質、程度、事業の性質および事業費等を勘案し、社会通念からみて、受益者の受益の限度をこえないものと容認できる賦課額を決定すべきものと解するのが相当である。これを本件についてみると、本件条例は、受益者の負担金総額を事業費用の四分の一(二五パーセント)としていること前認定のとおりであるが、前記乙第三・五号証、証人G、同Hの各証言を総合すれば、建設省では財団法人都市センターや市長会が中心となつて構成した下水道財政研究委員会の提言に基づき公共下水道の維持管理費につき汚水私費、雨水公費の目標を立てるとともに、負担金総額を事業費用の三分の一ないし五分の一とするのが妥当であるとしていること、昭和四七年度、同四八年度において公共下水道事業につき受益者負担金制度を採用している都市二三二ないし二六三の中、殆んどの都市は、負担金総額を事業費用の三分の一ないし五分の一と定めている状況にあることがそれぞれ認められ、それらによれば、本件条例が受益者の負担金総額を事業費用の四分の一 二三二ないし二六三の中、殆んどの都市は、負担金総額を事業費用の三分の一ないし五分の一と定めている状況にあることがそれぞれ認められ、それらによれば、本件条例が受益者の負担金総額を事業費用の四分の一とし、その四分の三を純市費、国庫補助金、地方債等の財源に任ねたことは妥当なものと認められ、被告が見積事業費額を基礎とし本件条例に基づき、一平方メートル当りの負担金を二〇一円と算出し(第一区の事業費9、300億円×0.25÷第一区の面積2、380、000平方メートル)、右金額を原告ら各所有の土地の面積に乗じて原告ら主張どおりの受益者負担金の賦課額を決定したのは相当というべきである。 事業費用の四分の一とし、その四分の三を純市費、国庫補助金、地方債等の財源に任ねたことは妥当なものと認められ、被告が見積事業費額を基礎とし本件条例に基づき、一平方メートル当りの負担金を二〇一円と算出し(第一区の事業費9、300億円×0.25÷第一区の面積2、380、000平方メートル)、右金額を原告ら各所有の土地の面積に乗じて原告ら主張どおりの受益者負担金の賦課額を決定したのは相当というべきである。原告らは、右負担金額が近隣都市のそれと比較して異常に高額であるのみならず受益者負担金の賦課額を右のように画一的基準で算出していることは違法である旨主張するけれども、各都市の地形、地質等に基く事業費額並びに各財政事情に基く負担割合率は、同一ではありえないのがむしろ当然であるのみならず前判示のとおり受益者の受益の程度を個々具体的に算術的に算出することは不可能であり、同一排水区域内における土地所有者等の公共下水道設置によつて受ける利益を同一であるとみなして、前記基準により賦課額を決定したとしても、あながち不合理なものということはできないから、大和郡山市の負担金が他と比較して高額であり、かつ画一的であるとしても、憲法一四条に違反する違憲・違法のものとはいえない。よつて、原告らの前記主張はいずれも理由がない。5 合流式の採用によつて原告らは受益しておらず、本件受益者負担金賦課処分は違法であるとの点についてしかし、前記乙第三号証、証人Gの証言によれば、下水の排除方式には合流式、完全分流式、不完全分流式の三つがあるが、それぞれ短所、長所があり、同一管渠によつて汚水を排除する合流 法であるとの点についてしかし、前記乙第三号証、証人Gの証言によれば、下水の排除方式には合流式、完全分流式、不完全分流式の三つがあるが、それぞれ短所、長所があり、同一管渠によつて汚水を排除する合流式は、一条管で済み、道路巾員の余裕のない場所に適する代りに降雨時の初期汚染の欠点があること完全分流式は雨水、汚水のそれぞれを別系統の管で排除するものであつて、道路巾員に余裕のある場所に適し、水質汚濁の防止に優れているが、二条管の地下敷設となるため工事費が嵩むこと、不完全分流式は雨水についてはこれを在来の水路、開渠等で排水し、汚水についてはこれを管渠で排水するものであつて、既成の水路等が完備されていない場合、もつとも高い建設費になるものであること、大和郡山市は古くから城下町として発達してきた土地であつて、原告ら所有の土地がある第一次排水区すなわち旧市街地には既成の水路が完備しておらず、したがつて不完全分流式を採用した場合、その費用が異常に高くつくばかりでなく、道路より宅地が低い箇所もあるため、相当深い水路を布設しなければならず、技術上不可能に近いこと、また、右旧市街地は道路が狡隘であるため、完全分流式を採用することが技術的にも経済的にも不可能であつたこと、そこで被告は、やむなく合流式工法を採用したものであるが、道路が狭いため随所に特殊工法(シールド工法)を施こさなければならず、その工事費は通常のそれよりも高くなつたこと、以上の事実が認められ、原告A本人の供述中右認定に反する部分は前掲他の証拠と比較して採用することができない。 上不可能に近いこと、また、右旧市街地は道路が狡隘であるため、完全分流式を採用することが技術的にも経済的にも不可能であつたこと、そこで被告は、やむなく合流式工法を採用したものであるが、道路が狭いため随所に特殊工法(シールド工法)を施こさなければならず、その工事費は通常のそれよりも高くなつたこと、以上の事実が認められ、原告A本人の供述中右認定に反する部分は前掲他の証拠と比較して採用することができない。右認定事実によれば、被告が本件公共下水道設置工事につき合流式を採用したのはやむを得ない措置であつたというべく、右合流式の排水工事において特殊工法を施こさなければならなかつた関係上、通常の合流式の場合よりも工事費が高くなつた 件公共下水道設置工事につき合流式を採用したのはやむを得ない措置であつたというべく、右合流式の排水工事において特殊工法を施こさなければならなかつた関係上、通常の合流式の場合よりも工事費が高くなつたものではあるけれども、それだけの事実の存在は、原告らの前示受益の事実および程度の認定に消長をきたすものではない。なお原告らは、浸水に無縁な土地を所有しているのに合流式を採用したのは失当である旨主張し、原告Aの供述中にはその所有地が浸入しないかの如き供述部分も存するけれども、前掲他の証拠と比較してたやすく措信し難く、外にはこれを認めるに足る証拠がない。原告らの本件所有地が浸水滞水被害地帯に属することは、前記認定のとおりであるのみならず、そもそも浸水地の雨水は非浸水地の水に起因しているものであつて、両地が無関係とはいえず、また、本件公共下水道事業は雨水の排除だけを目的としているのではなく汚水、し尿の排除などの処理も含まれており、合流式はそれらの目的を果す排水方式であるから、原告らの右主張は、結局それ自体失当というべきである。よつて、原告らのこの点の主張も、理由がない。三以上の次第で、本件受益者負担金賦課処分が違憲または違法であるとの原告らの主張はいずれも理由がなく、本件受益者負担金賦課処分の取り消しを求める原告らの請求はいずれも失当であつて、棄却を免れない。四よつて、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法八九条、九三条を適用して主文のとおり判決する。(裁判官仲江利政広岡保三代川俊一郎)目録(省略)
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