平成16年5月19日判決言渡し平成13年(行ウ)第236号公金支出等差止請求事件平成14年(行ウ)第241号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成16年1月21日判決 主文 1 平成13年(行ウ)第236号事件原告らの訴えのうち,平成14年度の会計年度における学校給食調理業務委託契約の締結の差止請求に係る訴えを却下する。 2 平成13年(行ウ)第236号事件原告らのその余の請求及び平成14年(行ウ)241号事件原告らの請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 平成13年(行ウ)第236号事件被告杉並区政策経営部経理課長は,平成14年度の会計年度及び平成15年度の会計年度において,A小学校,B中学校及びC中学校の各学校給食調理業務委託に関して,業者との間で委託契約を締結してはならない。 2 平成14年(行ウ)第241号事件被告D及び被告Eは,各自,杉並区に対して,3823万0500円及びこれに対する平成14年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,東京都杉並区の住民である原告らが,杉並区が平成13年7月に給食業者との間でそれぞれ締結した学校給食調理業務委託契約について,①上記契約が義務教育諸学校の設置者に学校給食の直営実施を義務付けた学校給食法に違反すること,②上記契約に基づく委託が労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律に違反すること,③上記委託が違法な労働者供給を内容とするものであって職業安定法44条に違反すること,④上記契約による委託費用の負担は,経費の増大を招くから地方財政法4条1項に違反すること,を主張して,地方自治法(ただし,平成14年法律第4号による改正前のもの って職業安定法44条に違反すること,④上記契約による委託費用の負担は,経費の増大を招くから地方財政法4条1項に違反すること,を主張して,地方自治法(ただし,平成14年法律第4号による改正前のもの。以下,同じ)242条の2第1項1号に基づき,杉並区政策経営部経理課長を被告として,平成14年及び15年の各会計年度における学校給食調理業務委託契約の締結の差止めを求め(平成13年(行ウ)第236号事件),また,杉並区が上記契約の対価として委託料を支払ったことは違法な支出であり,杉並区長及び同区政策経営部経理課長の職にあった者は財務会計上の義務に違反して杉並区に損害を与えたと主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,杉並区に代位して,上記の者らを被告として,その損害賠償を請求した(平成14年(行ウ)第241号事件)事案である。 1 法令等の定め(1) 学校給食法の定め学校給食法は,「学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資し,かつ,国民の食生活の改善に寄与するものであることにかんがみ,学校給食の実施に関し必要な事項を定め,もって学校給食の普及充実を図ることを目的」として定められた法律であるが(同法1条),同法には,それぞれ次のとおりの定めがある。 ア学校給食の目標(同法2条)学校給食については,義務教育諸学校における教育の目的を実現するために,次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。 a 日常生活における食事について,正しい理解と望ましい習慣を養うこと(同条1号)b 学校生活を豊かにし,明るい社交性を養うこと(同条2号)c 食生活の合理化,栄養の改善及び健康の増進を図ること(同条3号)d 食糧の生産,配分及び消費について,正しい理解に導くこと(同条4号)イ義務教育諸学校の設置者の任務(同法4条)義務教育 号)c 食生活の合理化,栄養の改善及び健康の増進を図ること(同条3号)d 食糧の生産,配分及び消費について,正しい理解に導くこと(同条4号)イ義務教育諸学校の設置者の任務(同法4条)義務教育諸学校の設置者は,当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない。 ウ国及び地方公共団体の任務(同法5条)国及び地方公共団体は,学校給食の普及と健全な発達を図るように努めなければならない。 エ 2以上の義務教育諸学校の学校給食の実施に必要な施設(同法5条の2)義務教育諸学校の設置者は,その設置する義務教育諸学校の学校給食を実施するための施設として,2以上の義務教育諸学校の学校給食の実施に必要な施設を設けることができる。 オ学校栄養職員(同法5条の3)義務教育諸学校又は共同調理場において学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる職員は,栄養士法(昭和22年法律第245号)2条1項の規定による栄養士の免許を有する者で学校給食の実施に必要な知識又は経験を有するものでなければならない。 カ経費の負担(同法6条)a 学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち政令で定めるものは,義務教育諸学校の設置者の負担とする(同条1項)。 b 前項に規定する経費以外の学校給食に要する経費は,学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第22条1項に規定する保護者の負担とする(同条2項)。 (2) 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の定めア労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号,以下「労働者派遣法」という。)の定めa 労働者派遣法は,何人も,港湾運送業務,建設業務,警備業法(昭和47年 な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号,以下「労働者派遣法」という。)の定めa 労働者派遣法は,何人も,港湾運送業務,建設業務,警備業法(昭和47年法律第117号)2条1項各号に掲げる業務その他その業務の実施の適正を確保するためには業として行う労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務について,労働者派遣事業を行ってはならない(労働者派遣法4条1項)と定め,また,労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者は,その指揮命令の下に当該労働者派遣に係る派遣労働者を上記のいずれかに該当する業務に従事させてはならない(同条3項)と定めて,これらの業務について労働者の派遣を禁じ,上記の同条1項の規定に違反した者は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する(同法59条)と定めている。 b そして,同法の附則4項(ただし,平成15年法律第82号による改正前のもの)によれば,次のとおりの定めがある。 「何人も,物の製造の業務(物の溶融,鋳造,加工,組立て,洗浄,塗装,運搬等物を製造する工程における作業に係る業務をいう。)であって,その業務に従事する労働者の就業の実情並びに当該業務に係る派遣労働者の就業条件の確保及び労働力の需給の適正な調整に与える影響を勘案して厚生労働省令で定めるものについては,当分の間,労働者派遣事業を行ってはならない。この場合において,(同法)4条3項の規定の適用については,同項中『第1項各号のいずれかに該当する業務』とあるのは,「第1項各号のいずれかに該当する業務又は附則第4項前段に規定する業務」とする。」c なお,労働者派遣法における用語の意義については,次のとおり定めている(同法2条)。 (a) 労働 とあるのは,「第1項各号のいずれかに該当する業務又は附則第4項前段に規定する業務」とする。」c なお,労働者派遣法における用語の意義については,次のとおり定めている(同法2条)。 (a) 労働者派遣自己の雇用する労働者を,当該雇用関係の下に,かつ,他人の指揮命令を受けて,当該他人のために労働に従事させることをいい,当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。(同条1号)(b) 派遣労働者事業主が雇用する労働者であって,労働者派遣の対象となるものをいう。(同条2号)(c) 労働者派遣事業労働者派遣を業として行うことをいう(同条3号)。 (d) 一般労働者派遣事業特定労働者派遣事業以外の労働者派遣事業をいう(同条4号)。 (e) 特定労働者派遣事業その事業の派遣労働者(業として行われる労働者派遣の対象となるものに限る。)が常時雇用される労働者のみである労働者派遣事業をいう(同条5号)。 イ厚生労働省令の定め労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則(平成12年労働省令第41号)は,上記附則4項に関して,次のとおり定めている(同規則附則2項)。 「附則第4項の厚生労働省令で定めるものは,同項に規定する物の製造のうち,労働者が産前産後休業,育児休業若しくは(労働者派遣法)第33条に規定する場合における休業又は介護休業若しくは特別介護休業をする場合において当該労働者の業務について労働者派遣事業が行われるときの当該業務以外の業務とする。」ウ労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準労働者派遣法の施行に伴い,同法の適正な運用を確保するためには同法2条3号に規定する労働者派遣事業に該当するか否かの判断を的確に行う必要がある 派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準労働者派遣法の施行に伴い,同法の適正な運用を確保するためには同法2条3号に規定する労働者派遣事業に該当するか否かの判断を的確に行う必要があることにかんがみ,労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分を明らかにすることを目的として「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年4月17日労働省告示第37号,甲32)が設けられており,同告示(以下「本件告示」という。)には,次のとおりの定めがある。 「2条請負の形式による契約により行う業務に自己の雇用する労働者を従事させることを業として行う事業主であっても,当該事業主が当該業務の処理に関し次の各号のいずれにも該当する場合を除き,労働者派遣事業を行う事業主とする。 1号次のイ,ロ及びハのいずれにも該当することにより自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するものであること。 イ次のいずれにも該当することにより業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行うものであること。 (1) 労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うこと。 (2) 労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うこと。 ロ次のいずれにも該当することにより労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行うものであること。 (1) 労働者の始業及び終業の時刻,休憩時間,休日,休暇等に関する指示その他の管理(これらの単なる把握を除く。)を自ら行うこと。 (2) 労働者の労働時間を延長する場合又は労働者を休日に労働させる場合における指示その他の管理(これらの場合における労働時間等の単なる把握を除く。)を自ら行うこと。 ハ次のいずれにも該当することにより企業における秩序の維持,確保等のための指示その他の管理を せる場合における指示その他の管理(これらの場合における労働時間等の単なる把握を除く。)を自ら行うこと。 ハ次のいずれにも該当することにより企業における秩序の維持,確保等のための指示その他の管理を自ら行うものであること。 (1) 労働者の服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行うこと。 (2) 労働者の配置等の決定及び変更を自ら行うこと。 2号次のイ,ロ及びハのいずれにも該当することにより請負契約により請け負った業務を自己の業務として当該契約の相手方から独立して処理するものであること。 イ業務の処理に要する資金につき,すべてを自らの責任の下に調達し,かつ,支弁すること。 ロ業務の処理について,民法,商法その他の法律に規定された事業主としてのすべての責任を負うこと。 ハ次のいずれかに該当するものであって,単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。 (1) 自己の責任と負担で準備し,調達する機械,設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く。)又は材料若しくは資材により,業務を処理すること。 (2) 自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて,業務を処理すること。 3条前条各号のいずれにも該当する事業主であっても,それが法の規定に違反することを免れるため故意に偽装されたものであって,その事業の真の目的が法2条第1号に規定する労働者派遣を業として行うことにあるときは,労働者派遣事業を行う事業主であることを免れることができない。」(3) 職業安定法等の定めア職業安定法の定め職業安定法によれば,同法にいう「労働者供給」とは,「供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい,労働者派遣法2条1号に規定する労働者派遣に該当するものを含まないもの」とされている(職業安 にいう「労働者供給」とは,「供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい,労働者派遣法2条1号に規定する労働者派遣に該当するものを含まないもの」とされている(職業安定法4条6号)。 そして,何人も,同法45条に規定する場合を除くほか,労働者供給事業を行い,又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならないとされており(同法44条),労働組合等(労働組合法による労働組合その他これに準ずるものであって厚生労働省令で定めるものをいう。同法4条8項)が,厚生労働大臣の許可を受けた場合は,無料の労働者供給事業を行うことができるものとされている(同法45条)。 イ職業安定法施行規則の定め職業安定法施行規則によれば,労働者を提供しこれを他人の指揮命令を受けて労働に従事させる者(労働者派遣法2条3号に規定する労働者派遣事業を行う者を除く。)は,たとえその契約の形式が請負契約であっても,以下の各号のすべてに該当する場合を除き,職業安定法4条6項の規定による労働者供給の事業を行う者とするものとされている(同規則4条)。 「1号作業の完成について事業主として財政上及び法律上のすべての責任を負うものであること。 2号作業に従事する労働者を,指揮監督するものであること。 3号作業に従事する労働者に対し,使用者として法律に規定されたすべての義務を負うものであること。 4号自ら提供する機械,設備,器材(業務上必要な簡易な工具を除く)若しくはその作業に必要な材料,資材を使用し又は企画若しくは専門的技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって,単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。」(4) 地方財政法の定め地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要かつ最少限度 技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって,単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。」(4) 地方財政法の定め地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要かつ最少限度をこえて,これを支出してはならない(同法4条1項)。 (5) 杉並区における契約の委任等の規則の定めア 「杉並区長の権限に属する事務の一部を委任する規則」(昭和38年7月3日規則17号)によれば,杉並区長の権限に属する事務の中で,支出負担行為に係る契約のうち,請負(工事又は製造を除く。),委託及び修理(車両船舶類を除く。)については,50万円を超え3000万円未満のものについては,同区政策経営部経理課長に委任するものとされている(同規則1条)。 (乙16)イ 「杉並区予算事務規則」(昭和39年3月5日杉並区規則第1号)によれば,同規則17条又は18条の規定に基づき配当又は令達された予算に係る支出命令に関する事務は,課長に委任するものとされている(同規則4条)。 (乙19) 2 前提となる事実(各項末尾の証拠等により認められる。)(1) 当事者ア平成13年(行ウ)第236号事件原告ら及び平成14年(行ウ)第241号原告ら(以下,併せて「原告ら」という。)は,東京都杉並区に居住する住民である。 イ平成13年ないし現在に至るまで,平成14年(行ウ)第241号事件被告D(以下「被告D」という。)は,杉並区長の地位に,同事件被告E(以下「被告E」という。)は,同区政策経営部経理課長の地位にそれぞれある者である。 (当事者間に争いのない事実)(2) 杉並区における本件各契約締結に係る会計事務手続ア本件各契約の締結(支出負担行為)杉並区政策経営部経理課長である被告Eは,平成13年7月10日,各給食業者との間で,次の内容の学校給食調理の業務委託契約をそ ける本件各契約締結に係る会計事務手続ア本件各契約の締結(支出負担行為)杉並区政策経営部経理課長である被告Eは,平成13年7月10日,各給食業者との間で,次の内容の学校給食調理の業務委託契約をそれぞれ締結した(以下,これらの契約をまとめて「本件各契約」といい,その契約書を「本件各契約書」という。)。 a 本件各契約の概要(a) A小学校関係契約件名 A小学校給食調理業務委託契約金額 1636万9500円(消費税及び地方消費税含む。)履行場所 A小学校履行期限契約締結の翌日から平成14年3月31日まで相手方エヌ・アイ・サービス株式会社(b) B中学校関係契約件名 B中学校給食調理業務委託契約金額 1063万6500円(消費税及び地方消費税含む。)履行場所 B中学校履行期限契約締結の翌日から平成14年3月31日まで相手方株式会社レクトン(c) C中学校関係契約件名 C中学校給食調理業務委託契約金額 1122万4500円(消費税及び地方消費税含む。)履行場所 B中学校履行期限契約締結の翌日から平成14年3月31日まで相手方フジ産業株式会社b 本件各契約の定め本件各契約には,杉並区が各給食業者に対し,履行場所(学校)における学校給食の調理業務,配缶,運搬及び回収,食器具等の洗浄,消毒及び保管,施設及び設備の清掃並びに日常点検,残菜,残食及び塵芥の処理,これらに付帯するその他必要な業務を委託する旨の定め(5条1号ないし6号),各給食業者は,その履行に当たっては,杉並区の指示する献立表,「杉並区立学校給食調理業務委託仕様書」(以下「仕様書」という。)に従う旨(6条)の定めがある。 (本件各契約の定めにつき,乙11の1ないし3)イ本件支出命令及び本件支出本件各契約の締結に伴う支出命令については,杉並区予 委託仕様書」(以下「仕様書」という。)に従う旨(6条)の定めがある。 (本件各契約の定めにつき,乙11の1ないし3)イ本件支出命令及び本件支出本件各契約の締結に伴う支出命令については,杉並区予算事務規則4条により権限を委任された政策経営部経理課長である被告Eが,平成13年9月ころから平成14年4月ころまでの各月において,各給食業者からの請求に基づいて行った。 そして,杉並区は,平成14年4月ころまでに,本件各契約に基づく委託料として合計3823万0500円を支出した(以下,上記の支出命令及び支出をそれぞれ「本件支出命令」,「本件支出」という。)。 (乙11の1ないし3,乙16,19,弁論の全趣旨)(3)ア平成13年(行ウ)第236号事件原告らは,平成13年5月30日付けで,杉並区監査委員に対し,地方自治法242条1項の規定に基づき,平成13年度の給食業務の業務委託に係る経費6930万円の支出の差止め等を求めて監査請求をし,同区監査委員は,同年7月30日,上記監査請求を棄却した。 (当事者間に争いがない事実)イ平成13年(行ウ)第236号事件原告らは,上記監査結果に不服があるとして,同年8月29日,当裁判所に対し,同事件に係る訴えを提起し,平成14年(行ウ)第241号事件原告らは,平成14年5月23日,当裁判所に対し,同事件に係る訴えを提起した。 (当裁判所に顕著な事実) 3 当事者の主張(原告らの主張)(1) 財務会計行為の違法杉並区が,A小学校,B中学校及びC中学校の各給食調理業務について,エヌ・アイ・サービス株式会社など民間の業者に委託すること(以下「本件委託」という。)は,以下に述べるとおり違法であるから,このような業務委託を内容とする契約を締結し,これに基づいて公金を支出することも違法である。 ア本件委託が学校 の業者に委託すること(以下「本件委託」という。)は,以下に述べるとおり違法であるから,このような業務委託を内容とする契約を締結し,これに基づいて公金を支出することも違法である。 ア本件委託が学校給食法に反すること学校給食法は,学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達及び国民の食生活の改善に寄与することを目的とし(同法1条),同法2条各号に掲げた各目標を達成すべく実施されるものと定めているが,学校教育法が小学校において初等教育を施すという目的(同法17条)を実現するため,日常生活に必要な衣食住,産業等について基礎的な理解と技能を養うことや,健康で安全な成果のために必要な習慣を養い,心身の調和的発達を図るという学校教育法上の目標(同法18条)を掲げていることを併せ考慮すれば,学校給食法は,学校給食を学校教育の一環として位置付けているものと解される。 また,学校給食法は,義務教育諸学校の設置者に対して学校給食の実施に努める義務(同法4条),国及び地方公共団体に対して学校給食の普及と健全な発達を図るように努める義務(同法5条)をそれぞれ課しており,学校給食の実施に必要な施設等にかかる経費についても,義務教育諸学校設置者の負担とすることを定めている(同法6条)。 これらの各規定に照らせば,学校給食法は,学校給食について,義務教育諸学校設置者による直営実施の原則を定めているものと解すべきである。 また,実際上も,学校給食に何らかの瑕疵があれば,抵抗力の弱い児童の生命,身体等に影響を及ぼすのであるから,学校給食には極めて高度の安全性が求められているところ,民間業者に学校給食の調理業務を委ねた場合には,学校関係者は,その調理業務を直接監督することはできないから,学校給食の安全性を確保することは困難であり,学校関係者が学校給食の調理過程に関与できる上 民間業者に学校給食の調理業務を委ねた場合には,学校関係者は,その調理業務を直接監督することはできないから,学校給食の安全性を確保することは困難であり,学校関係者が学校給食の調理過程に関与できる上記直営原則の下においてこそ初めてその安全性が達成されるというべきである。現に,学校給食調理業務を民間に委託した自治体においては,給食に異物が混入していたり,調理が不十分であったなどの事故が報告されている。 このように,本件委託は,学校給食法に定める直営の原則に反し,実際上も学校給食の安全性が確保できないものであるから,違法である。 イ本件委託が労働者派遣法に反することa 本件委託が「労働者派遣」に該当すること本件各契約に基づく業務委託をみると,以下のとおり,派遣先である杉並区が学校長又は学校栄養士を通じて派遣労働者たる調理員を指揮監督しているものであって,本件告示2条各号の要件を欠くことは明らかであるから,このような業務委託を内容とする本件委託は,いずれも本件告示にいう「請負」には該当せず,労働者派遣法4条3項及び同法附則4項によって禁じられた「労働者派遣」に当たるものであって,違法である。 (a) 本件告示2条1号イ(1)の要件に当たらないことについて本件各契約によれば,受託者(給食業者)は,調理業務の履行に当たり,杉並区の指示する献立表,「仕様書」に従う義務(6条1項,2項),当該「仕様書」に定める調理業務者の健康管理及び業務の衛生管理について,学校栄養士又は学校長から指示があった場合は,その指示に従う義務(7条4項)をそれぞれ負うこと,調理の途中に学校長,学校栄養士又は学校長が指定する者から確認の申し出があった場合にはこれを受け,「仕様書」,「調理業務指示書」及び「作業基準」に基づく手直し及びやり直し等の指示があればそれに従う義務を 途中に学校長,学校栄養士又は学校長が指定する者から確認の申し出があった場合にはこれを受け,「仕様書」,「調理業務指示書」及び「作業基準」に基づく手直し及びやり直し等の指示があればそれに従う義務を負うこと(9条,10条)などが定められており,これらの規定に基づいて,杉並区は,学校長等を通じて給食業者に対し,極めて緊密かつ強度の指揮命令関係を形成している。 また,給食業者の代理人として実際に上記指示を受けるのは,調理業務従事者の中から選ばれた業務責任者及び副業務責任者であることに照らせば(「仕様書」7項,8項),実質的には,杉並区と個々の調理員との間には,直接かつ緊密な指揮命令関係が形成されているというべきである。そして,実際の調理過程においては,学校給食の専門家である学校栄養士による指示が日常的に行われている。 これらのことからすれば,現場の調理員には業務遂行に関する独立性がないと解されるから,本件各契約に基づく本件委託は,本件告示2条1号イ(1)にいう「労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うこと」に該当しない。 (b) 本件告示2条2号ハ(1)及び(2)の要件に当たらないことについて本件各契約によれば,各給食業者は,調理業務に必要な調理設備,器材等を負担することはなく,給食調理に必要な機械,設備等はすべて杉並区が準備,調達しているから,本件告示2条2号ハ(1)「自己の責任と負担で準備し,調達する機械,設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く。)又は材料若しくは資材により,業務を処理すること」に該当せず,また,上記(a)記載のとおり,学校栄養士の有する専門的な指示,命令により実際の調理業務が運営されていることに照らせば,同号ハ(2)「自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて,業 ,上記(a)記載のとおり,学校栄養士の有する専門的な指示,命令により実際の調理業務が運営されていることに照らせば,同号ハ(2)「自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて,業務を処理すること」にも該当しない。 ウ本件委託が職業安定法に反すること本件委託は,違法な労働者供給であって職業安定法44条に違反する。 すなわち,本件委託が職業安定法で規制される「労働者供給」か,又はその対象ではない「請負」(又は委託)に当たるかは,職業安定法施行規則4条各号の要件に該当するか否かによって決せられるところ,本件各契約をみると,①給食業者が本件契約に基づく委託から生じたすべての法律上の責任を負うわけではないこと,②派遣先である杉並区が実質的に指揮監督権を有すること,③杉並区が使用者責任を問われる場合もあり得ること,④学校給食に使用する調理設備,器材はすべて杉並区の財産であり,給食業者が提供するものではないこと,⑤学校給食においては,東京都や杉並区の職員である栄養士が作成した献立に従って調理作業が行われるものであり,本件各契約により給食業務に従事する調理員の多くが学校給食調理員としての経験のないパート職員であることが予定されており,これらによれば,本件委託は,上記の職業安定法施行規則4条各号には該当しない違法な「労働者供給」であって,職業安定法44条に違反するものである。 エ本件支出が地方財政法に反することa 地方財政法は,地方公共団体に対し,経費の支出につき,その目的の達成に必要かつ最少の限度を超えて支出してはならない法的義務を課している(4条1項)。 杉並区は,学校給食の調理業務について,調理員等の退職者について新規採用により補充することをせず,段階的に民間委託に移行する方法を採用し,その一環として本件各契約による本件委託 いる(4条1項)。 杉並区は,学校給食の調理業務について,調理員等の退職者について新規採用により補充することをせず,段階的に民間委託に移行する方法を採用し,その一環として本件各契約による本件委託を開始したものであるところ,以下のとおり,かかる方法によれば現行の杉並区による直営方式に比してより莫大な経費がかかることからすれば,本件委託及びそのための公金の支出も本来不要のものと解され,地方財政法4条1項に反し,違法である。 すなわち,被告Dをはじめ杉並区関係者は,当初,区民に対する説明会等において,学校給食調理業務を退職者不補充方式により民間に委託した場合,小学校1校につき約1031万円,中学校1校につき約1230万円の委託効果(人件費削減)がある旨説明していたところ(甲10),これを前提とすると,平成13年度の本件委託(小学校1校分,中学校2校分)については約3491万円,平成14年度の委託(小学校3校分,中学校4校分)については約8013万円の委託効果が生ずるべきである。 しかし,平成13年度における経費について,杉並区発行に係る広報誌(平成12年11月1日付け「広報すぎなみ」,甲12)等に基づいて計算すると,杉並区立の小中学校68校の学校給食調理業務委託をすべて直営(退職者による自然減については新規採用で補充することを前提とする。)で実施した場合の総人件費は約17億7850万円となるが,同年度における本件委託(3校分)は,年度途中(9月)から実施したため,その委託料の合計約3800万円が不必要な経費増になったものであるから,本件支出には何らの合理性も認められない。 また,平成14年度における経費について,杉並区が平成14年度に給食調理業務を委託した7校分につき,その委託料(1億3413万円)と,直営実施方式を維持し,退職者を新規 らの合理性も認められない。 また,平成14年度における経費について,杉並区が平成14年度に給食調理業務を委託した7校分につき,その委託料(1億3413万円)と,直営実施方式を維持し,退職者を新規採用者(平均年齢28歳として計算)で補充した場合とを比較すると,下記のとおり,後者に比して前者の方が約2678万円の経費増となるものである(甲28)。 記(a) 直営方式(68校全部直営)の場合 16億6375万円①平成14年度現職調理員の人件費15億5640万円+②(退職者数に見合った)新規採用職員の人件費1億0735万円(b) 杉並区の方式(61校直営,7校民間委託)の場合 16億9053万円①平成14年度現職調理員の人件費15億5640万円+②7校分の委託料(7校分)1億3413万円b 被告らは,本件委託を含めた段階的な民間委託方式の是非は,中長期的展望により考えるべきであり,平成13,14年度など各年度ごとの委託効果の算出,比較は意味がない旨主張する。 しかし,①正規職員の昇格一覧表(甲40)と退職者を新規採用者(18才~39才)で補充した場合の平成14年度ないし平成28年度別の人件費(甲41)を基準として,②正規職員の定期昇給も民間委託料の増額もないものとし,かつ,③平成14年度の人員逓減率(正規職員19名,嘱託職員6名,パート職員6名)の下で民間委託に移行するケースを想定して,直営実施維持方式(退職者を新規採用で補充する)と民間委託方式(退職者を含めた人員減に応じて民間に委託する)とによる委託効果を対比した結果は,別紙「2002年度-2016年度 15年間の新規採用者で直営を維持した場合の経費と民間委託費の対比表」であるが,これによれば,平成14年度から新規採用者で補充した場合の15年間の累積総人件費は129億 「2002年度-2016年度 15年間の新規採用者で直営を維持した場合の経費と民間委託費の対比表」であるが,これによれば,平成14年度から新規採用者で補充した場合の15年間の累積総人件費は129億6644万円であるが,15年間の累積総民間委託費は141億0255万円となる。これに2001年度の委託費3800万円を加えると,総民間委託費は141億4055万円となり,民間委託の方が16年間で11億7411万円という巨額な経費増となっており,被告らの上記主張には理由がない。 (2) 本件各契約の締結等及び新たな委託契約締結の違法上記のとおり,本件委託は違法であるから,杉並区が平成13年7月10日に各給食業者との間に本件各契約を締結したことは違法であり,また,本件各契約と同様に,平成14年度及び平成15年度の各会計年度において,A小学校,B中学校及びC中学校の各学校給食調理業務委託に関して,新たに業者との間で委託契約を締結することも違法である。 (3) 責任原因被告Dは,本件各契約の締結当時(平成13年7月10日),杉並区長として,本件各契約の締結権限を委任された政策経営部経理課長に対し,違法な業務委託を内容とする本件各契約を締結しないよう指揮監督すべき義務を有し,被告Eは,本件各契約の締結時,政策経営部経理課長として,本件各契約が法令に適合するか否かを調査すべき義務をそれぞれ負っていたにもかかわらず,各被告とも上記の各義務に違反して,違法な本件各契約の締結とこれに基づく本件支出を阻止しなかった結果,杉並区に対し,本件各契約の委託料として支出した合計3823万0500円相当の損害を与えた。 (4) よって,ア平成13年(行ウ)第236号事件原告らは,地方自治法242条の2第1項1号の規定に基づき,被告杉並区政策経営部経理課長に対し,平成1 計3823万0500円相当の損害を与えた。 (4) よって,ア平成13年(行ウ)第236号事件原告らは,地方自治法242条の2第1項1号の規定に基づき,被告杉並区政策経営部経理課長に対し,平成14年度の会計年度及び平成15年度の会計年度において,A小学校,B中学校及びC中学校の各学校給食調理業務委託に関して,業者との間で委託契約を締結することの差止めを,イ平成14年241号事件原告らは,地方自治法242条の2第1項4号の規定に基づき,被告D及び被告Eに対し,それぞれ,杉並区に対して,3823万0500円及びこれに対する平成14年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を,それぞれ求める。 (被告らの主張)(1) 学校給食法違反の主張についてア学校給食法は,学校給食の普及,実施努力義務などを規定するにとどまり,学校給食を直営実施で行うべきことはどこにも規定していない。 原告らが直営実施原則の証左であると指摘する同法6条1項は,同法6条2項と相俟って,学校給食に必要な経費の負担の区別について定めるにすぎない。 イまた,学校給食の安全性は,給食調理業務を民間に委託した場合にも,以下のとおり確保されている。 a 杉並区においては,学校ごとに,調理業務従事者は,当該業者の常勤の正規職員で,調理師の資格を有し,4年以上の集団給食調理業務の経験があり,かつ,学校給食調理業務の経験が2年以上あることを要するものとし(本件各契約6条1項及び「仕様書」の定め参照),その確認をしているほか,調理業務従事者全員を,杉並区が指定する研修等へ参加させている。 また,本件各契約においても,給食業者には,仕様書添付の作業基準を遵守することとされており,学校栄養士作成の調理業務指示書により,学校側から給食業者に対し,調理業務に関する指示がその都 させている。 また,本件各契約においても,給食業者には,仕様書添付の作業基準を遵守することとされており,学校栄養士作成の調理業務指示書により,学校側から給食業者に対し,調理業務に関する指示がその都度されており,また,調理業務に際し,学校栄養士から作業等の確認を受ける扱いとされている。 さらに,衛生面についても,本件各契約において,給食業者は,「安全・衛生管理基準」を遵守することとされ,食品衛生責任者を置くなどの安全,衛生確保のための措置を講じており,このような措置についても,立入検査や調理業務指示書等により学校栄養士等からの確認を受けており,これらの義務に違反した場合には,杉並区が本件各契約を解除できる旨の規定も設けられている。 b 原告らは,学校給食調理業務を民間に委託した地方公共団体において発生した事故(異物混入など)の存在を指摘するが,それらのほとんどが杉並区以外の市町村での事故にすぎず,また,そのような事故が直営実施方式では発生せず,民間委託だからゆえに発生するという明確な根拠は存しない。 (2) 労働者派遣法違反の主張についてア労働者派遣法2条1号によれば,労働者派遣と認められるためには,労働者が派遣先の指揮命令を受けることが必要であるところ,本件委託については,供給先(杉並区)と労働者(調理員)との間に指揮命令関係は存在しない。 イa ところで,労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分を明らかにするためのものとして本件告示が存在するが,事業主が行っているか否かの判断を行う際には,当該要件のすべてについて「総合的に勘案して行う」ものとされており(「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備に関する法律の施行について」(昭和61年6月6日基発第333号都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通 行う」ものとされており(「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備に関する法律の施行について」(昭和61年6月6日基発第333号都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達別添「労働者派遣と請負,出向,派遣店員及び労働者供給との関係」-「請負との関係」),この「総合的に勘案して行う」とは,「(各要件のうち)いずれかの事項を事業主が自ら行わない場合であっても,これについて特段の合理的な理由が認められる場合は,直ちに当該要件に該当しないとは判断しないという趣旨である」とされているものである(「労働者派遣事業関係業務取扱要領」)。 原告らは,本件委託は,本件告示2条1号イ(1)及び1号ハ(1)及び(2)の要件には当たらないから,労働者派遣事業に当たると主張するが,これらの主張は次のとおり理由がない。 すなわち,①本件委託において,本件各契約書等により給食業者に対し指示するのは,学校給食を行う日などの給食業者全体に対して行うものに限られており,個々の調理員に対して行うものは一切なく,個々の調理員に対して行う仕事の割付け,順序,緩急の調整は,あらかじめ給食業者において管理栄養士が様式を定めた調理作業工程表及び作業動線表に業務責任者が個々の調理員の力量等にかんがみて記載する形で行っており,給食業者において指示等を行っているものであって,学校栄養士をはじめとした学校側において個々の調理員に指示を行うことは想定されておらず,口頭での指示も行われていないから,本件告示2条1号イ(1)の要件に欠けるところはなく,②本件委託においては,各給食業者は,「杉並区学校給食調理業務委託業者選定基準」(乙15)に定められた基準等を充たしていること,実際に,各給食業者が調理業務において必須な「調理作業工程表」及び「作業動線表」を作成してお 各給食業者は,「杉並区学校給食調理業務委託業者選定基準」(乙15)に定められた基準等を充たしていること,実際に,各給食業者が調理業務において必須な「調理作業工程表」及び「作業動線表」を作成しており,その作成が可能なだけの知識,ノウハウ等を有しているということができること,給食業者において学校給食調理業務に必要な資格,経験を有する業務責任者を委託校に2名以上派遣して処理に当たらせていることに照らせば,上記同条2号ハ(2)の要件も充たしている。 b また,労働者派遣法は,職業安定法により禁止されている「労働者供給」のうち,「自己の雇用する労働者を,当該雇用関係の下に,かつ,他人の指揮命令を受けて,当該他人のために労働に従事させるもの」を「労働者派遣」と定義し,一定の要件の下で制度化,合法化したものであるが,同法制定前に,職業安定法の規制を免れるべく,「請負」の名目で実質的な労働者供給が行われ,供給労働者の利益侵害が横行していたことにかんがみ,労働者派遣法の制定後も「請負」との名目で違法な労働者供給が行われるといった事態を防ぐ目的で,「請負」と「労働者派遣」との区分基準を明確にするため本件告示が設けられたという経緯があり,このような制定経緯等に照らせば,仮に本件委託が本件告示の要件を充足しない場合があっても,供給労働者(本件委託では調理員)の利益を害しない場合には,労働者派遣法に反しないと解すべきである。 (3) 職業安定法違反について職業安定法にいう「労働者供給」は,労働者派遣法2条1号に規定する労働者派遣に該当するものを含まない旨規定することに照らせば,「労働者供給」というためには,供給先(派遣先)と調理員(労働者)との間に雇用関係があることを前提とするものと解されるが,本件において杉並区と調理員との間に雇用関係はない。 なお,前 とに照らせば,「労働者供給」というためには,供給先(派遣先)と調理員(労働者)との間に雇用関係があることを前提とするものと解されるが,本件において杉並区と調理員との間に雇用関係はない。 なお,前記(2)のとおり,杉並区において調理員に対し指揮監督することがないことから,職業安定法施行規則の各要件に該当することもない。 (4) 地方財政法違反についてア地方財政法4条1項の趣旨地方財政法4条1項は,予算の執行が個々の具体的な事情に基づいて最も少ない額で目的を達成するように努めるべきであるとの執行機関に課された当然の義務を示したものにすぎず,個々の支出について具体的な規制をするものではないものであって,同項が直ちに予算執行機関に法的義務を課したものとは解されない。 仮に同項が予算執行機関に法的義務を課したものと解しても,予算額の範囲内でどれだけの支出をすれば所期の目的を達成することができるかは,原則として,予算執行機関の裁量的判断に委ねられた事項であるから,その裁量を逸脱した場合,すなわち,当初定めた当初予算額より少ない支出で所期の目的を達成することができることが明らかになったにもかかわらず予算執行機関が漫然と不当に多額の支出をしたような場合には,この限りにおいて法的義務を課されるにすぎないと解するべきである。 イa 杉並区における民間委託の方針について杉並区における学校給食調理業務の民間委託への移行は,給食調理員の人員削減と相俟って,段階的に進めていくものであり,将来的に,区立の義務教育諸学校のすべてにおいて,民間委託が実施されることを目標としているものである。一方,調理員の人員削減は,退職不補充を原則とし,これに他の職種への変更,内部異動などをからめて進めていくことを予定しており,上記学校給食調理業務の民間委託は,中長期的視野に としているものである。一方,調理員の人員削減は,退職不補充を原則とし,これに他の職種への変更,内部異動などをからめて進めていくことを予定しており,上記学校給食調理業務の民間委託は,中長期的視野に立って進めていく必要がある。実際に,学校給食調理業務の民間委託の実施校の数も,調理員の退職状況,退職見込みを踏まえ,平成13年度が3校,平成14年度が7校,と段階的に増やしてきており,今後も,実施校数は漸増し,それに伴い委託効果も増加することとなる。 そしてこの方式により,杉並区は,毎年の新規職員採用に伴う退職手当支払債務(1人当たり約2000万円)の負担を免れ,かつ,現役職員の身分保障にも配慮することができることに照らせば,合理的であるということができ,この方式の採用は,予算執行機関である被告らの裁量の範囲内である。 なお,経費節減の観点のみを重視し,本件委託を始めとした民間委託の効果を最速かつ最大限に実現させるためには,杉並区立の全小中学校につき民間委託を一斉に実施し,併せて調理員全員を分限免職させる方法が考えられるが,現役職員の身分保障という観点から妥当ではない。 b 本件委託の効果についてそうすると,本件委託の効果についても,各年度ごとで論ずべきではなく,中長期的展望に立って考えられるべきものであり,仮に本件委託に伴う支出(本件支出)が各年度比較で現行の直営方式に比して経費増であったとしても,そのことのみで本件支出が不要な経費増であると判断するのは相当ではない。 なお,杉並区においては,上記のとおり,民間委託への段階的移行と平行して人員削減策も採っているため,平成13年度は平成12年度に比し人件費が約7200万円削減できたため,本件支出分を控除しても約3300万円の経費節減に成功している。 4 争点以上によれば,本件における争点は 策も採っているため,平成13年度は平成12年度に比し人件費が約7200万円削減できたため,本件支出分を控除しても約3300万円の経費節減に成功している。 4 争点以上によれば,本件における争点は,次のとおりである。 (1) 本件委託を目的とする業務委託契約の締結及び同契約に基づく公金の支出が,次の各点から,違法な財務会計行為に当たるか。 ア学校給食を直営実施の方法で行わないことが,学校給食法に違反し,又は学校給食の安全性の確保を怠るものとして,違法であることイ本件委託が労働者派遣法に違反することウ本件委託が職業安定法に違反することエ本件委託が地方財政法4条1項に違反すること(2)ア被告Dは,本件委託を内容とする本件各契約の締結を阻止しなかったことにより,杉並区に対して損害賠償義務を負うか。 イ被告Eは,本件委託を内容とする本件各契約を締結したことにより,杉並区に対して損害賠償義務を負うか。 第3 当裁判所の判断 1 平成14年度の会計年度における学校給食調理業務委託契約の締結の差止めに係る訴えの利益の有無について地方自治法242条の2第1項1号に基づく差止請求は,その性質からして,当該行為が既に行われた後である場合又は差止請求訴訟の係属中に当該行為が終了した場合には,もはやその差止めを求める訴えの利益は存在しないというべきである。 本件については,本件口頭弁論の終結の日(平成16年1月21日)までに,平成14年度の会計年度(平成14年4月1日から平成15年3月31日)は既に終了したことが明らかであり,また,証拠(甲20,26,42)及び弁論の全趣旨によれば,杉並区は,各給食業者との間で,同年度中にA小学校,B中学校及びC中学校を含む7校分の学校給食調理業務委託契約を締結済みであることが認められる。 したがって,平成13年( )及び弁論の全趣旨によれば,杉並区は,各給食業者との間で,同年度中にA小学校,B中学校及びC中学校を含む7校分の学校給食調理業務委託契約を締結済みであることが認められる。 したがって,平成13年(行ウ)第236号事件原告らの訴えのうち,平成14年度の会計年度における学校給食調理業務委託契約の締結の差止請求に係る訴えについては,訴えの利益を欠く不適法なものといわざるを得ない。 2 争点(1)アについて(1) 原告らは,学校給食法は義務教育諸学校の設置者(本件では杉並区)に対して学校給食を直営実施により行うべきことを定めているから,民間業者に学校給食調理業務を委託することを内容とする本件委託は同法に違反すると主張する。 しかし,学校給食法は,2条において学校給食の目標を,4条において「当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない」との義務教育諸学校の設置者の任務を,さらに6条において「学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち政令で定めるもの」については義務教育諸学校の設置者の負担とする旨をそれぞれ定めているが,これらの規定は,その内容に照らし,学校給食が義務教育諸学校設置者による直営実施を原則とすべきことを当然の前提としているものとはいえないし,同法の他の規定を検討しても,学校給食について,そのような直営実施の原則を定めているものと解すべき規定は見出せない。 ちなみに,昭和52年11月16日に開催された衆議院文教委員会における政府委員の答弁の内容は,学校給食法においては直営実施でなければならないとする規定はないとの理解を前提としたうえで,文部省(当時)としては,学校給食の地方公共団体による直営方式を建前とする姿勢を続けていきたい旨述べているにすぎず(甲9),原告らの上 でなければならないとする規定はないとの理解を前提としたうえで,文部省(当時)としては,学校給食の地方公共団体による直営方式を建前とする姿勢を続けていきたい旨述べているにすぎず(甲9),原告らの上記主張を裏付けるものとは解されない。 (2)アまた,原告らは,調理業務を民間に委託した場合には,衛生管理の面で問題が生じる可能性が高く,学校給食に強く求められる安全性の確保が困難になるから,学校給食について直営実施の原則がとられないことは違法であると主張する。 イ確かに,証拠(甲14の1ないし8,16ないし19,36の1及び2,55,証人F,原告G)によれば,民間委託を採用し,あるいは採用していた地方公共団体において,異物の混入など衛生面に問題がある事故があったことが報告されていること,杉並区においても,H小学校,A小学校において,給食に異物が混入するといった事故が発生していることが認められ,これらの事実に照らせば,杉並区の住民である原告ら,特に同区立の小中学校に通学する児童生徒の保護者において,学校給食が民間委託された場合には安全性の確保について不安を抱くことは理解し得ないではない。 しかし,本件の証拠を検討しても,これらの事故が,専ら民間委託を採用したことに起因するものであり,直営実施の場合には起こり得ない性質の事故であると認めるに足る証拠はなく,民間委託を採用した学校において上記の各事実が存在したことをもって,直ちに,学校給食の調理業務について民間委託を採用した場合には,給食に異物が混入したり,調理が不十分であるというような事故が発生しやすくなると認めることは困難である。 ウそして,証拠(甲6の1ないし5,7の1ないし5,8の1ないし4,乙11の1ないし3,17,26の3,証人F)によれば,次の各事実が認められる。 a 本件各契約6条 なると認めることは困難である。 ウそして,証拠(甲6の1ないし5,7の1ないし5,8の1ないし4,乙11の1ないし3,17,26の3,証人F)によれば,次の各事実が認められる。 a 本件各契約6条1項及び仕様書7項によれば,調理業務従事者については,学校ごとに,給食業者の常勤の正規職員で,調理師の資格を有し,4年以上の集団給食調理業務の経験があり,かつ,学校給食調理業務の経験が2年以上有することが要求されており(上記資格等については,別途,給食業者が仕様書に定める書式の報告書を提出する形で確認することとされている。),かつ,調理業務従事者は,杉並区が指定する研修に参加することが義務付けられている。 b また,本件各契約6条1項及び仕様書5項によれば,給食業者は,仕様書添付の作業基準を遵守することとされ,調理業務に関する指示は,学校側から,給食業者に対し,学校栄養士作成の調理業務指示書によっても,その都度行われ,また,調理業務に際しては,学校栄養士から作業等の確認を受ける扱いとされている。 c さらに,本件各契約9条,10条によれば,給食業者は,調理の途中ないし業務終了時に学校栄養士など当該学校関係者の確認を受けるとともに,一日の作業終了時に,調理業務指示書等による作業手順の確認を受けることとされている。 d そのほか,本件各契約7条及び仕様書5項によれば,給食業者は,仕様書に記載されている「安全・衛生管理基準」を遵守することとされているほか,食品衛生責任者等の配置義務(仕様書8項),保健所等の立入検査に応ずべき義務(仕様書9項),事故防止や事故発生の際の連絡体制(仕様書10項)などが定められている。そして,給食業者が上記義務に違反した場合には,杉並区は,本件各契約を解除できる(本件各契約19条)。 エ上記のように,本件委託について, 故発生の際の連絡体制(仕様書10項)などが定められている。そして,給食業者が上記義務に違反した場合には,杉並区は,本件各契約を解除できる(本件各契約19条)。 エ上記のように,本件委託について,上記のような給食業者側に各種の行為等を義務付けることなどによって,学校給食の安全性を確保するための手段が講ぜられていることを考えれば,イに認定したような事実があったことを考慮に入れても,一般的に,学校給食の調理業務を民間に委託した場合には,衛生管理の面で問題が生じる可能性が高くなり,学校給食に強く求められる安全性の確保が困難であるとする原告らの主張を認めることは困難である。 (3) したがって,学校給食を直営実施の方法で行わないことは,学校給食法に違反し,又は学校給食の安全性の確保を怠るものとして,違法であるとの原告らの主張には理由がない。 3 争点(1)イについて(1) 原告らは,本件委託は,本件告示2条1号イ及び2号ハ(1)及び(2)の要件を満たさない請負であって,労働者派遣法4条3項及び同法附則4項によって禁じられた「労働者派遣」に当たるものであるから違法であり,本件委託を目的とする業務委託契約の締結及びこれに基づく公金の支出は違法な財務会計行為に当たると主張する。 (2) 前記前提事実,証拠(乙11の1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,本件各契約は,次のような内容であると認められる。 ア本件各契約の規定a 杉並区は,受託者に対して,調理業務,配管・運搬及び回収,食器具等の洗浄・消毒及び保管,施設及び設備の清掃及び日常点検など,給食調理とそれに付帯する一連の業務を委託する(5条)。 b 受託者は,業務の履行に当たっては,杉並区の指示する献立表,仕様書に従うものとする(6条1項)。 受託者は,不測の事態が発生し,業務の履行が不可 理とそれに付帯する一連の業務を委託する(5条)。 b 受託者は,業務の履行に当たっては,杉並区の指示する献立表,仕様書に従うものとする(6条1項)。 受託者は,不測の事態が発生し,業務の履行が不可能となるおそれがある場合には,直ちに杉並区に報告し,杉並区の指示を受けた上で正常な業務の履行を確保するように努めなければならない(同条2項)。 c 受託者は,仕様書に定める調理業務者の健康管理及び業務の衛生管理について,学校栄養士又は学校長から指示があった場合は,その指示に従わなければならない(7条4項)。 d 受託者は,調理の途中に,学校長,学校栄養士又は学校長が指定する者から確認の申し出があった場合は,これを受けるものとする。このとき,仕様書,調理業務指示書及び作業基準に基づいて,手直し又はやり直しの指示があった場合は,その指示に従うものとする(9条1項)。 受託者は,調理業務が終了したときは,その旨を直ちに学校長又は学校栄養士に申し出,調理した給食の確認を受けるものとする。確認の結果,手直し又はやり直しの指示があった場合は,その指示に従わなければならない(同条2項)。 受託者は,手直し又はやり直しを終えたときは,再度学校に申し出て確認をしなければならない(同条3項)。 e 受託者は,一日の業務終了後,調理業務指示書に10条による確認の結果を記載し,調理業務完了確認書に添付のうえ学校に報告し,確認を受けなければならない(10条1項)。 受託者は,履行後,直ちに届け出て杉並区の定める検査を受けるとともに,調理業務完了届に調理業務完了確認書を添えて学校に提出しなければならない(同条2項)。 f 杉並区は,必要があるときは,受託者の履行状況について調査し,又は報告を求めることができる(13条)。 イ仕様書の規定a 献立は,杉並区が前月に月間予定 提出しなければならない(同条2項)。 f 杉並区は,必要があるときは,受託者の履行状況について調査し,又は報告を求めることができる(13条)。 イ仕様書の規定a 献立は,杉並区が前月に月間予定献立表を提示し,あらためて当日の調理献立について,前日までに学校が調理業務指示書(以下「指示書」という。),調理業務変更指示書(以下「変更指示書」という。)により指示する(3条)。 b 受託者は,食材料の納入時に立会い,検収を実施し,品質等の検査結果を記録し,学校に報告する(5条1項①),学校の作成した予定献立表,指示書及び変更指示書に従い,学校の提供する食材を使用し,調理する。調理方法等については,前日までに学校栄養士と打合せ等を行う(同項②),施設,設備の清掃及び整理整頓を行い,「日常点検表」による点検を毎日行い,学校栄養士及び学校長の確認を受ける,また,調理業務完了確認書によって最終確認を受ける(同条4項)。 c 杉並区が指示する研修,並びに講演会等へ調理従事者を参加させる(7条2項)。 d 受託者は,委託された業務の遂行については,業務の管理のために,業者が業務責任者と業務副責任者を置き,業務責任者が業者の代理人として現場の調理業務を遂行するとともに学校長等との連絡調整に当たる(8条)。 ウ作業手順,指示書等の記載内容「作業手順」には,調理手順から食器具の洗浄・消毒・保管に至るまで詳細な記載があり,特に調理業務については,「計量」,「下処理・洗浄」,「裁断」,「混合・加熱処理」,「調味」,「出来上がり」に至るまでの調理手順,方法についての詳細な記載がある。 また,「指示書」には,当該献立についての具体的な作業工程についての詳細な記載がある。 (3) 以上のような本件各契約及び仕様書の内容に照らせば,本件各契約は,業務管理についての 詳細な記載がある。 また,「指示書」には,当該献立についての具体的な作業工程についての詳細な記載がある。 (3) 以上のような本件各契約及び仕様書の内容に照らせば,本件各契約は,業務管理についての責任及び権限自体は形式上のみならず実質的にも受託業者に存していることを前提とするものであり,上記契約等の内容として定められた作業手順,指示書等の記載は詳細であるものの,これらは,受託業者に対する指示であって,個々の調理員に対する指示とは解されないこと,杉並区は本件各契約に基づく調理業務の実施が適正に行われることについて委託者として監督すべき権限と責任を負っているものであるから,杉並区が上記のような詳細な指示を受託業者に対して行うことは不合理なものではないことがそれぞれ認められ,このような枠組みのなかで,調理現場において栄養士が直接,調理員に指示することがあったとしても,それが恒常的なものではない限り,受託業者が「業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行う」ことを否定すべきものとも解されないから,本件各契約における各給食業者の業務管理についての独立性(本件告示2条イ所定の要件)が欠けているとは認められない。 また,本件委託にかかる給食調理業務は,限られた時間内に大量の給食を定められた献立記載のとおりに調理することを要し,かつ,その喫食者が小中学生であることから特に十分な安全性が求められるところ,本件委託においては,仕様書7条のとおり,調理員のうち最低2名は調理師の資格を有し,4年以上の集団給食調理業務の経験,2年以上の給食調理業務の経験を有する者を配置して,スムーズな調理業務の実施と高度の安全性を確保し,かつ,その調理作業は,受託業者が作成した「調理作業工程表」及び「作業動線表」に基づいて行うことによって,これらの要請に応えることが予定されて して,スムーズな調理業務の実施と高度の安全性を確保し,かつ,その調理作業は,受託業者が作成した「調理作業工程表」及び「作業動線表」に基づいて行うことによって,これらの要請に応えることが予定されているものであるから,本件各契約における業務は,各給食業者の「専門的な技術若しくは経験」に基づいて行われているということができ,この点についての独立性(2条2項ハ所定の要件)が欠けているものとも認められない。 そして,本件各契約において,受託業者が,労働者の業務遂行についての評価・労働時間等・受託業者の企業秩序の維持確保等に関する指示その他の管理を自ら行っていること,及び,業務処理に要する資金調達・業務処理における法律上の責任を自ら独立して処理していることを疑わせるような証拠はない。 したがって,このような本件各契約の内容に照らせば,本件委託は,本件告示2条1号イ及び2号ハ(1)及び(2)の要件を満たさない請負であって,労働者派遣法4条3項及び同法附則4項によって禁じられた「労働者派遣」に当たり違法なものであるとの原告らの主張は理由がない。 4 争点(1)ウについて原告らは,本件委託は違法な労働者供給であるから,職業安定法44条に違反すると主張する。 そこで検討するに,職業安定法44条にいう労働者供給とは「供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい,労働者派遣法にいう「労働者派遣」に該当するものを含まないもの」であることは,前記法令の定め記載のとおりであるところ,本件委託において,これらの従業員が杉並区の指揮命令を受けて労働に従事するものとは認められないことは,前記3(2)及び(3)に述べたとおりであり,これらの受託者の従業員と委託者である杉並区との間に雇用関係が存しないことも明らかであるから,本件委託が違法な労働 働に従事するものとは認められないことは,前記3(2)及び(3)に述べたとおりであり,これらの受託者の従業員と委託者である杉並区との間に雇用関係が存しないことも明らかであるから,本件委託が違法な労働者供給として職業安定法44条に違反するとの原告らの主張は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 5 争点(1)エについて(1) 原告らは,杉並区が,学校給食の調理業務について,調理員等の退職者について新規採用により補充することをせず,段階的に民間委託に移行する方法を採用し,その一環として本件各契約による本件委託を開始したことは,現行の杉並区による直営方式に比してより莫大な経費を要するものであるから,地方財政法4条1項に反し,違法であると主張し,具体的には,杉並区において平成13年度及び平成14年度に学校給食の調理業務を直営方式で行った場合に要する人件費等と本件委託を行った場合における委託料とを比較して,後者の方が経済的負担が重いことをその根拠とするものである。 しかし,地方財政法4条1項が「地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要かつ最少限度を超えて,これを支出してはならない」と規定する趣旨は,地方公共団体の予算の執行を行うに当たっては,予算において認められた範囲内であっても,漫然と支出するのではなく,個々の支出の目的の達成のため必要かつ最少限度の支出すべき旨を定めたものであると解される。そして,地方公共団体の歳出予算は,その目的に従ってこれを款項に区分して定められ(地方自治法216条),さらに執行科目としての目及び節に区分されるところ(同法220条1項,同法施行令150条1項3号),上記の人件費等と委託料とは,上記の予算上の区分を異にするものであって,同一の目的に支出されるものとはいえないものであるから,これらを比 れるところ(同法220条1項,同法施行令150条1項3号),上記の人件費等と委託料とは,上記の予算上の区分を異にするものであって,同一の目的に支出されるものとはいえないものであるから,これらを比較して,委託料が人件費等の額を上回ったとしても,地方財政法4条1項に違反するとはいえない。 (2) したがって,本件委託が地方財政法4条1項に違反するとする原告らの上記主張は理由がない。 第4 結論以上の次第で,平成13年(行ウ)第236号事件原告らの本件訴えのうち,被告杉並区政策経営部経理課長に対し平成14年度の会計年度における学校給食調理業務委託契約の締結の差止めに係る訴えは不適法であるからこれを却下し,その余の請求については理由がないからこれを棄却し,平成14年(行ウ)第241号事件原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官市村陽典裁判官丹羽敦子裁判官寺岡洋和
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