【DRY-RUN】○ 主文 本件各控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 ○ 事実 控訴人は「原判決を取消す。被控訴人福井県知事が昭和五三年四月一四日付をもつ てなした控訴人の同年三月一三日付道路管理者福井県
○ 主文本件各控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 ○ 事実控訴人は「原判決を取消す。被控訴人福井県知事が昭和五三年四月一四日付をもつてなした控訴人の同年三月一三日付道路管理者福井県が道路法九三条の規定に基き原判決添付目録記載の土地(廃道敷)を三国町に引渡した処分に係る異議申立を却下する処分は、これを取消す。被控訴人建設大臣が昭和五三年七月三日付をもつてなした、控訴人の同年五月一三日付審査請求を却下する処分は、これを取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人らは主文同旨の判決を求めた。 当事者双方の主張および証拠関係は、控訴人において甲第八号証を提出し、乙第二号証の成立を認めると述べ、被控訴人福井県知事において乙第二号証を提出し、甲第八号証の成立を認めると述べ、被控訴人建設大臣において甲第八号証の成立を認めると述べたほか、原判決事実摘示と同一であるからこれを引用する。 ○ 理由一原処分の存在訴外福井県が本件土地を訴外三国町に引渡したことは当事者間に争いがなく、成立に争いのない丙第六号証によれば右引渡の日時は昭和四九年一月三一日であることが認められる(以下これを本件引渡処分という)。 二異議申立ておよび決定について(一) 控訴人が昭和五三年三月一三日付で被控訴人福井県知事に対し本件引渡処分についての異議申立をしたこと、同被控訴人が同年四月一四日付決定をもつて右異議申立てを却下したことは当事者間に争いがなく、成立に争いのない丙第八号証によれば、右却下の理由は、右異議申立ては申立期間を徒過した後に申立てられたものであるから不適法であるというにあることが認められる。 (二) 控訴人は、被控訴人福井県知事が控訴人の口頭審理の申立てにもかかわらず、口頭陳述の機会を与えることなく前記却下の決 た後に申立てられたものであるから不適法であるというにあることが認められる。 (二) 控訴人は、被控訴人福井県知事が控訴人の口頭審理の申立てにもかかわらず、口頭陳述の機会を与えることなく前記却下の決定をしたことは行政不服審査法四八条、二五条一項ただし書に違反すると主張する。 しかしながら、行政庁は、異議申立てが法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法なものであつて、その補正ができないものであることが一見して明らかな場合には、口頭審理の申立てに対しその機会を与えることなく、異議申立て却下の決定をすることができると解すべきである。 ところで、行政不服審査法四八条、一四条三項によれば、処分についての異議申立ては、原則として、処分があつた日の翌日から起算して一年を経過したときは、処分があつたことを知ると否とにかかわらず、これをすることができないとされるところ、本件異議申立てが右期間経過後に申立てられたものであることは前記の日時の関係から明らかであり、従つて、本件異議申立は不適法であつてかつその補正ができないことが一見して明らかな場合であつたということができる。 もつとも、同法一四条三項ただし書によれば、正当な理由が存するときは、例外的に、一年を経過した後でも申立てをすることができるとされているが、右例外規定の適用が一応の合理性をもつて主張されるのでなければ、単に右のような抽象的例外規定が存在するということのみで前記の一見明白性が否定されるものではないと解すべきところ、本件異議申立てあるいは口頭審理の申立において右ただし書の適用されるべきことの明示の主張がなされたことを認めるに足りる証拠はない。 従つて、本件異議申立てにつき口頭審理の機会が与えられなかつたことの違法をいう控訴人の主張は理由がない。 (三) 控訴人は本件訴訟において同法一四条 示の主張がなされたことを認めるに足りる証拠はない。 従つて、本件異議申立てにつき口頭審理の機会が与えられなかつたことの違法をいう控訴人の主張は理由がない。 (三) 控訴人は本件訴訟において同法一四条一項ただし書に該当する事由として福井地方裁判所昭和五一年(ワ)第三四五号土地明渡請求の訴を提起した前後の状況、訴訟の経過等を主張するところ、右主張を同条三項ただし書に関する主張としてみても、右主張事実をもつてしては未だ右ただし書にいう正当な理由の存在を肯定することはできず、他にこれを認めるに足りる資料はない。 従つて、本件異議申立てを前記理由によつて却下した被控訴人福井県知事の決定はその結論においても正当というべきである。 (四) そうすると、右決定の取消を求める控訴人の被控訴人福井県知事に対する本訴請求は理由がない。 三審査請求および裁決について(一) 控訴人が昭和五三年五月一三日付で被控訴人建設大臣に対し本件引渡処分につき審査請求をしたこと、同被控訴人が同年七月三日付をもつて右審査請求を却下する裁決をしたことは当事者間に争いがない。 弁論の全趣旨によれば、右却下の理由は、右審査請求は異議申立前置の要件を欠くから不適法であるというにあることが認められる。 (二) 控訴人は右裁決に存する違法事由の一つとして異議申立ての審理手続の適否についての検討を怠つた点を挙げるが、本件審査請求は原処分についての審査請求であり、異議についての決定を審査の対象とするものではないから、異議申立ての審理手続について審査しないことは当然であつてその点には何らの違法もなく、控訴人の右主張は理由がない。 (三) 控訴人はまた、本件審査請求についても口頭陳述の機会を与えることなく却下の裁決をしたことは違法であると主張する。 しかしながら、審査請求についても、異議申立てにつき前 人の右主張は理由がない。 (三) 控訴人はまた、本件審査請求についても口頭陳述の機会を与えることなく却下の裁決をしたことは違法であると主張する。 しかしながら、審査請求についても、異議申立てにつき前述したところと同じく、それが不適法であつてかつその補正ができないことが一見明白である場合には、口頭審理の申立てに対しその機会を与えなくても違法ではないと解される。 ところで、行政不服審査法二〇条によれば、審査請求は、原処分につき異議申立てをすることができるときは、原則として異議申立てについての決定を経た後でなければすることができないとされ、この場合の異議申立てについての決定とは本案に関する決定であることを要し、異議申立ての適法要件を欠くためこれを却下した決定は含まれないと解されるところ、本件においては、原処分についての異議申立てが不適法として却下されたことから、控訴人においてさらに審査請求に及んだものであることは当事者間に争いがなく、かつ、右却下の理由が異議申立て期間の徒過という補正のできない適法要件の欠如であることが一見して明らかな場合であつたこと前記のとおりであるから、本件審査請求についてはその適法要件の一つである異議申立て前置を欠きかつその補正ができないことが一見して明らかな場合であつたということができる。 なお、同法二〇条ただし書は例外的に異議申立て前置を要しない場合を規定しているが、本件の場合右ただし書の一号および二号とは関係がないこと一見して明らかであり、三号の正当な理由については、同法一四条三項ただし書について前述したところと同様に、右例外規定を適用すべきことが一応の合理性をもつて主張されている場合でない限り、前記適法要件の欠如についての一見明白性は失われないと解すべきところ、本件審査請求につきそのような明示の主張がなされたことを 外規定を適用すべきことが一応の合理性をもつて主張されている場合でない限り、前記適法要件の欠如についての一見明白性は失われないと解すべきところ、本件審査請求につきそのような明示の主張がなされたことを認めるに足りる証拠はない。 従つて、本件審査請求手続において口頭陳述の機会を与えられなかつたことの違法をいう控訴人の右主張は理由がない。 (四) 本件訴訟における審理の結果によつても、本件審査請求が異議申立てについての本案の決定を経ないでなされたことにつき正当な理由の存することを認めるに足りる資料はなく、また、本件異議申立てを却下した決定は、本件訴訟における審理の結果によつてもこれを正当と認め得ること前記のとおりであるから、結局、本件審査請求は異議申立て前置の要件を欠き不適法であり却下されるべきものであり、従つて、これと同旨の前記裁決はその結論においても正当というべきである。 (五) そうすると、右裁決の取消を求める控訴人の被控訴人建設大臣に対する本訴請求は理由がない。 四結び以上のとおり、控訴人の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却すべきものであり、従つて、これと結論を同じくする原判決は正当であつて本件各控訴は理由がない。 よつて、本件各控訴を棄却し、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官黒木美朝清水信之山口久夫)(原裁判等の表示)○ 主文一原告の被告らに対する請求は、いずれもこれを棄却する。 二訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者双方の申立て一原告 1 被告福井県知事が昭和五三年四月一四日付をもつてなした原告の同年三月一三日付道路管理者福井県が道路法九三条の規定に基づき別紙目録記載の土地(廃道敷)を三国町に引き渡した処分に係る異議申立てを却下する処分は、これを が昭和五三年四月一四日付をもつてなした原告の同年三月一三日付道路管理者福井県が道路法九三条の規定に基づき別紙目録記載の土地(廃道敷)を三国町に引き渡した処分に係る異議申立てを却下する処分は、これを取消す。 2 被告建設大臣が昭和五三年七月三日付をもつてなした、原告の同年五月一三日付審査請求を却下する処分は、これを取消す。 3 訴訟費用は被告らの負担とする。 二被告両名主文同旨第二当事者の主張一原告 1 原告は、別紙目録記載の土地(以下「本件土地」という。)につき所有権を有する。 2 本件土地はもと福井県道として認定され利用されていた。 3 本件土地は道路の区域変更処分により昭和四六年三月二四日に廃道敷となつた。 4 訴外福井県は、昭和四八年一一月二二日、本件土地を訴外三国町に引渡した(以下「本件引渡し」という。)。 5 本件引渡しは、道路法九二条ないし九四条及び同法施行令三八条に反した違法な処分である。 即ち、右各法条によれば、本件土地は道路の区域変更により同法条にいう不用物件となつてから八か月が経過した後は、その間に道路法九三条に定める申し出のない限り、直ちに所有者である原告に対し返還しなければならないものとされているところ、前記福井県はかかる規定に反して本件土地を訴外三国町に引渡したものであるからである。 6 原告が本件引渡しがなされたことを知つたのは、昭和五三年三月六日である。 なお、被告らは、原告が本件引渡しの事実を知つたのは、遅くとも原告が訴外三国町に対して本件土地明渡しの訴え(福井地方裁判所昭和五一年(ワ)第三四五号土地明渡等請求事件)を提起した昭和五一年一二月二七日であると主張している。 しかしながら、訴外三国町は、右訴訟の際には本件引渡しの事実について何ら言及しておらず、かえつて、県道の路線変更処分は昭和四七年中に行 請求事件)を提起した昭和五一年一二月二七日であると主張している。 しかしながら、訴外三国町は、右訴訟の際には本件引渡しの事実について何ら言及しておらず、かえつて、県道の路線変更処分は昭和四七年中に行われ、それによつて本件土地部分が廃道=不用物件となつた旨を明示して主張していたものである。 また、右訴え提起以前の昭和五一年六月一五日、訴外三国町長は、福井県三国土木事務所に問い合わせをした上で、原告の夫訴外Aに対し、「本件土地部分の返還要請に対する回答について」と題し、「当該道路は昭和四八年三月以前は県管理の県道でありました・・・・・・・・・のを当町が町道として現況有姿のまま引続き使用致している道路であります・・・・・・・・・待避所設置に関し、その過程について福井県三国土木事務所へ照会中であり、回答あり次第善処いたしたいと存じます。」と記載した書面を交付した。 右訴訟の経過はかかるものであつたのであるから、原告において本件引渡しの事実を右訴え提起当時に知りうべき余地の存しなかつたことが明らかである。 むしろ、仮に訴外三国町や同三国土木事務所がそのころすでに本件引渡しの事実を知つていたとすれば、同事実を原告に知らせないよう企図したものというべきであるから、本件引渡しに直接関与する前記福井県、被告福井県知事及び訴外三国町が本件引渡しについての原告の認識を妨げるべく積極的に作為した本件においては、それによつて生じた原告の期間不遵守について被告らが手続上の利益を与えられるべき余地はなく、右事情は、行政不服審査法四八条、一四条一項但書にいう「やむをえない理由」に該当するというべきである。 7 原告は、昭和五三年三月一三日付をもつて被告福井県知事に対し、本件引渡しにつき右違法事由を主張して異議申立てをなした。 8 被告福井県知事は、右異議申立てにつき、口頭審 該当するというべきである。 7 原告は、昭和五三年三月一三日付をもつて被告福井県知事に対し、本件引渡しにつき右違法事由を主張して異議申立てをなした。 8 被告福井県知事は、右異議申立てにつき、口頭審理を経ることなく、昭和五三年四月一四日付をもつてこれを却下した。 9 原告は被告福井県知事に対し、昭和五三年三月一七日、右異議申立てにつき口頭審理を求める旨申立てていたのであるから、かかる申立てにもかかわらず口頭審理を経ることなくなされた右却下処分は、行政不服審査法四八条、二五条一項但書に違背した違法な処分である。 10 原告は、昭和五三年五月一三日付をもつて、被告建設大臣に対し、本件引渡しにつき審査請求の申立てをなした。 11 被告建設大臣は、右審査請求につき、やはり口頭審理を経ることなく、昭和五三年七月三日付をもつてこれを却下した。 12 右被告建設大臣のなした却下処分には以下の違法事由が存する。 (一) 審査請求手続においては、その対象たる異議の審理手続についてもその適否が検討されるべきであるのに、被告建設大臣は右検討を怠つた。 (二) 右審査請求についても原告は口頭審理の申立てをなしたのに、被告建設大臣は口頭審理を経ることなく、右却下処分をなした。 よつて、原告は被告両名に対し、右各却下処分の取消を求める。 二被告福井県知事 1 原告の主張1の事実は否認する。 2 同2の事実は認める。 3 同3の事実は日時の点を除き認める。 4 同4の事実は日時の点を除いて認める。 5 同5及び6の各事実は否認する。 6 同7及び8の各事実は認める。 7 同9の事実中、原告が口頭審理を求める旨の書面による申立てをなした事実は認めるが、その余の事実は否認する。 8 異議申立て及び決定の経緯昭和四六年三月二四日三国町山岸地係に県道上一光三国線のバイパス道の建設工事が 告が口頭審理を求める旨の書面による申立てをなした事実は認めるが、その余の事実は否認する。 8 異議申立て及び決定の経緯昭和四六年三月二四日三国町山岸地係に県道上一光三国線のバイパス道の建設工事が完了したことに伴ない訴外福井県は、昭和四九年一月三一日訴外三国町に対し、本件土地を含む旧道の管理権を引渡した。 その後原告は、昭和五一年一二月二七日訴外三国町に対し本件土地の明渡し請求訴訟を提起し、さらに昭和五三年三月一三日付で被告福井県知事あて本件異議申立てを提起したものであるが、被告福井県知事が調査したところ明らかに異議申立て期間を経過した不適法なものであつたため、同年四月一四日付をもつて本件異議申立てを却下する決定をなしたものである。 9 右却下決定の正当性行政不服審査法(昭和三七年法律第一六〇号)四五条によれば、異議申立ては、処分があつたことを知つた日の翌日から起算して六〇日以内にしなければならないものであり、また、同法四八条において準用する同法一四条三項によれば異議申立ては、処分があつた日の翌日から起算して一年を経過したときは、正当な理由がない限りすることはできないものである。 ところで原告は、昭和五一年一二月二七日訴外三国町に対し本件土地の明渡し請求訴訟を提起しているところから既に同日においては本件土地の訴外三国町に対する引渡しを知つていたものである。 したがつて本件異議申立てが提起された昭和五三年三月一三日においては、既に本件引渡しの処分のあつたことを知つた日の翌日から起算して六〇日を経過している。 さらに本件引渡しは、昭和四九年一月三一日になされており、本件異議申立てが提起された日においては、既に右処分のあつた日の翌日から起算して一年を経過しており、かつ一年を経過して提起した正当な理由も何ら存在しない。 よつて異議申立て期間を経過 になされており、本件異議申立てが提起された日においては、既に右処分のあつた日の翌日から起算して一年を経過しており、かつ一年を経過して提起した正当な理由も何ら存在しない。 よつて異議申立て期間を経過していることを理由に本件異議申立てを却下した本件決定は正当であり、取り消されるべき何らの瑕疵も存在しない。 10 原告の主張に対する反論原告は、被告福井県知事が異議申立ての審理手続において原告から申し出のあつた口頭審理を行うことなく決定したことが違法であると主張する。 しかし行政不服審査法四八条において準用する同法二五条一項但書の規定は、本案の審理について口頭意見陳述により当事者の真意を把握し、陳述の矛盾点ないし不完全なところを釈明して明確にすることができ、争点整理も容易である等の長所を利用して本案の審理を行い、申立人の権利利益の保護救済を容易ならしめるということにあるから、本案審理に入るまでもなく異議申立て自体が不適法でかつ補正をすることができないことが明白であるときは、同但書の規定の適用はないと解すべきである(福岡高裁昭和四五年七月二〇日判決行政裁判例集二一巻七、八号一〇四五頁、東京地裁昭和四三年二月五日判決行政裁判例集一九巻一、二号一六八頁参照。)。 よつて被告福井県知事は、原告から提起された本件異議申立ての要件の審理において、本件異議申立てが異議申立て期間を経過した不適法なものであり、かつ、補正できないものとして本案審理に入ることなく決定したものであるから原告に口頭意見陳述の機会を与えなかつたとしても何ら違法となるものではない。 したがつて原告の主張は理由がなく、原告の請求は棄却されるべきである。 三被告建設大臣 1 原告の主張7、8、10及び11の各事実はいずれも認める。 2 同9及び12の各事実はいずれも否認する。 3 審査請求及び裁決 主張は理由がなく、原告の請求は棄却されるべきである。 三被告建設大臣 1 原告の主張7、8、10及び11の各事実はいずれも認める。 2 同9及び12の各事実はいずれも否認する。 3 審査請求及び裁決の経緯昭和四六年三月二四日<地名略>に、県道上一光三国線のバイパス道が開設されたことに伴い、訴外福井県は、昭和四九年一月三一日道路法九三条の規定に基づき本件土地を含む旧道の管理権を訴外三国町に対し引渡した。 ところが、右引渡し処分を不服として本件土地の所有権を主張する原告から被告福井県知事に対し昭和五三年三月一三日異議申立てがなされ、右申立ては同年四月一四日異議申立期間を徒過していることを理由に却下された。 そこで原告は被告建設大臣に対し、昭和五三年五月一三日本件引渡し処分並びに右却下処分につき審査請求をなした(以下「本件審査請求」という。)。 本件審査請求につき被告建設大臣が審理したところ、本件審査請求は、行政不服審査法(以下「行審法」という。)二〇条に定める「異議申立てについての決定」を経ていない不適法なものであり、かつ、同条但書にも該当しないことが明らかであつたので同年七月三日却下の裁決(以下「本件裁決」という。)をなしたものである。 4 本件裁決の正当性道路法九六条二項本文は、道路管理者である都道府県が道路法に基づいて行つた処分については建設大臣に対し審査請求をすることができる旨規定し、同項但書においては、この場合当該都道府県に対し異議申立てをすることができる旨を規定しているところ、行審法二〇条では、審査請求は、当該処分につき異議申立をすることができるときは、「異議申立てについての決定」を経た後でなければすることができないものと規定している。 ところで同条にいう「異議申立てについての決定」とは、処分庁が本案について実質的判断をした決定を ができるときは、「異議申立てについての決定」を経た後でなければすることができないものと規定している。 ところで同条にいう「異議申立てについての決定」とは、処分庁が本案について実質的判断をした決定をいうのであつて、審理要件を欠いた不適法な申立てに対する却下の決定は含まれないと解すべきである(田中真次、加藤泰守「行政不服審査法解説」一二一頁・南博方、小高剛「注釈行政不服審査法」一二〇頁・綿貫芳源「行政不服審査(地方自治関係)」実務民訴講座九八九頁。)ところ、本件審査請求にあたつて原告は、被告福井県知事に対し異議の申立てをなしているのであるが、右申立てについては、異議申立期間を徒過していたために却下の決定がなされたものであり、右決定は、本案についての決定ではないから結局、本件審査請求は、審査請求の要件を欠く不適法なものであり、かつ、本件審査請求には行審法二〇条一号ないし三号に定められた「異議申立てについての決定」を経ないことにつき正当と認められるべき事情も何ら存在しなかつた。 よつて、本件裁決は正当であり、取消されるべき何らの瑕疵も存しないものである。 5 原告の主張に対する反論原告は本件裁決には、異議の審理手続の適否についての検討を怠つたこと並びに口頭審理の機会を与えなかつた違法がある旨主張しているが、そもそも本件審査請求は、審査請求の要件を欠く不適法なものであるから原告の右主張に対し反論する必要はないものと思料するが、念のため、次のとおり反論する。 (一) 原告は、「審査請求において、異議の審理手続もまたその適否が検討されるべきであるのに、被告建設大臣はこれを怠つた。」と主張する。 しかしながら、行審法四条は「行政庁の処分(この法律に基づく処分を除く。)に不服がある者は・・・・・・・・・」と規定しているのであるから審査請求をすることのでき 設大臣はこれを怠つた。」と主張する。 しかしながら、行審法四条は「行政庁の処分(この法律に基づく処分を除く。)に不服がある者は・・・・・・・・・」と規定しているのであるから審査請求をすることのできる行政庁の処分は、原処分であつて、異議申立てについての決定は審査請求の対象とはならないものである(田中二郎「行政法上巻全訂第二版」二三六頁・南博方「行政法講座第三巻」七二頁。)。 原告の主張には、審査請求手続において検討されるべきであるとする異議申立ての審理手続が具体的にいかなるものであるかについて明らかにされていないが、たとえそれが何であつても、前述のとおり異議申立てについての決定は審査請求の対象とはならないものであるから、本件裁決において被告建設大臣が異議申立ての審理手続について審理しなかつたとしても、何ら違法ではない。 (二) 次に、原告は「右審査につき口頭審理を求める旨申立てしたのに、同被告はその機会を与えずに却下した」と主張する。 しかしながら、行審法二五条一項但書の趣旨は、口頭意見陳述の利点、すなわち当事者の真意を把握しやすく、陳述の矛盾点ないし不完全なところを適宜釈明して明確にすることができ、争点整理も容易であるなどの長所を利用して本案の審理を行い、申立人の権利救済を容易ならしめるということにあるから、本案審理に入るまでもなく審査請求自体が不適法であり、かつ補正できないことが明白であるときは、同但書の規定を適用する余地はないと解すべきである(福岡高裁昭和四五年七月二〇日判決行政裁判例集二一巻七、八号一〇四五頁、東京地裁昭和四三年二月五日判決、行政裁判例集一九巻一、二号一六八頁参照。)。 そして、要件審査は、不服申立要件に係る審理であり、正に書面審理主義及び職権主義が支配するものであり、また、不服申立要件が整つていないものについてまで 、行政裁判例集一九巻一、二号一六八頁参照。)。 そして、要件審査は、不服申立要件に係る審理であり、正に書面審理主義及び職権主義が支配するものであり、また、不服申立要件が整つていないものについてまで口頭意見陳述の機会を付与することはその内容が実体的であるが故にその実益はないものである。 本件についてこれをみるに、本件審査請求は異議前置の要件を欠いた不適法なものであり、かつ補正できないことが明白であつたので本案審理に入るまでもなく裁決したものであるから、その過程において原告に口頭意見陳述の機会を与えなかつたとしても何ら違法となるものではない。 以上のとおり、原告の主張はいずれも理由がないから、原告の請求は棄却されるべきである。 第三証拠(省略)○ 理由一原告が、昭和五三年三月一三日付をもつて被告福井県知事に対し本件引渡につき異議申立てをなし、同被告が右異議申立てにつき、これが原告において本件引渡処分のあつたことを知つた日の翌日から起算して六〇日を経過し、また、右処分のあつた日の翌日から起算して既に一年を経過したのちに申立てられたのであることを理由に実質審理に入ることなく、同年四月一四日付決定をもつて却下した事実、原告が本件引渡しにつき同年五月一三日付をもつて被告建設大臣に対し審査請求をなし、同被告は右審査請求につき同年七月三日付裁決をもつてこれを却下した事実については、いずれも各当事者間に争いがない。 ところで、原告は本訴と当初併合して提起した訴訟において、訴外福井県を被告として本件引渡し処分の取消を訴求していたものであるが、右訴訟については原告が右処分の取消を求める訴の利益を有しないとして訴を却下する旨の判決をうけ、原告において控訴したがこれが棄却となり該判決が既に確定しいることは一件記録に徴し当裁判所に顕著であるところ、これと別個 告が右処分の取消を求める訴の利益を有しないとして訴を却下する旨の判決をうけ、原告において控訴したがこれが棄却となり該判決が既に確定しいることは一件記録に徴し当裁判所に顕著であるところ、これと別個に、原告は本訴において右引渡し処分に対する異議申立てにつき被告福井県知事がなした却下の決定及び審査請求につき被告建設大臣がなした却下の裁決につき、以下の違法があることを理由にその各取消を求めるものである。 二原告は、原告の異議申立てが期間を徒過しているとして、これを却下した被告福井県知事の本件決定は違法である旨主張するので、まず、この点につき判断する。 いずれも成立に争いのない丙第六号証、第八号証、第九号証及び乙第一号証によれば、道路法九三条に基づく訴外福井県から訴外三国町への本件引渡し処分は昭和四九年一月三一日付をもつてなされたものであること、ところで、原告は右引渡しの目的である本件土地が自己の所有であることを理由に、同土地を福井県から引渡しを受けて町道として管理している訴外三国町に対し、右土地の明渡しを求める訴を昭和五一年一二月二七日に提起していることが認められ(福井地方裁判所昭和五一年(ワ)第三四五号土地明渡等請求事件)、右の事実によれば、原告は右の訴を提起した時点で同土地が福井県から三国町へ引渡されたことを知つていたと推認するのが相当であつて、そうすると、昭和五三年三月一三日付をもつてなされた原告の被告福井県知事に対する本件異議の申立ては、原告において処分のあつたことを知つた日から六〇日、処分のあつた日から一年を経過したのちになされたものであることは明らかであつて、他に法定期間内に異議の申立てをしなかつたことにつき、原告にやむを得ない理由ないしは正当な理由が存したことの窺い得ない本件において、原告の異議申立てが行審法四五条、四八条、 ることは明らかであつて、他に法定期間内に異議の申立てをしなかつたことにつき、原告にやむを得ない理由ないしは正当な理由が存したことの窺い得ない本件において、原告の異議申立てが行審法四五条、四八条、一四条三項所定の期間を徒過したものであることを理由にこれを不適法として却下した被告福井県知事の決定は正当として是認すべきものである。 のみならず、不服申立の認められる道路法九六条二項のいわゆる処分とは、同条一項に規定する処分のほか、道路法に基づいてなされるすべての処分を指称するものではなく、そのうち行審法第二条にいう処分に該当するものに限られると解すべきところ、いずれも成立に争いのない丙第一号証、第二号証、及び第六号証によれば、本件引渡しは被告福井県知事が道路法九三条の規定に基づき、かつて福井県道を構成していた本件土地の管理権を訴外三国町長からの申し出に応じ同訴外人に引渡したものと認められるが、かかる引渡しによつては本件土地の管理主体が変更するのみであつて、道路の公物としての性格には何ら変化をもたらすことはないと解されるので、本件引渡しをもつて公権力の行使に当る事実上の行為とみることはできず、従つて道路法九六条二項にいわゆる処分に該らないから、そもそも異議申立ての対象たり得ず、この点からも本件異議の申立ては不適法というべきものである。 三次に、原告は、本件異議の申立て及び審査請求につき、口頭審理の申立てをしたのに、原告に右の機会を与えずになされた本件異議申立却下決定及び審査請求却下の裁決はいずれも違法である旨主張するので、判断する。 行審法二五条一項但書の規定が、一般に行政不服審査にあたつては、不服申立てに対し行政庁自らが職権で書面審理をし、簡易かつ迅速に不服申立人の権利救済をはかることを原則としながら申立てがあるときは必ず口頭陳述の機会を与 但書の規定が、一般に行政不服審査にあたつては、不服申立てに対し行政庁自らが職権で書面審理をし、簡易かつ迅速に不服申立人の権利救済をはかることを原則としながら申立てがあるときは必ず口頭陳述の機会を与えなければならないとした趣旨は、これによつて当事者の真意を的確に把握することができ、争点の整理も容易となるなどの長所を利用して、結局申立人の権利救済をより確実ならしめる点にあると考えられ、従つて同規定は不服申立ての実質審理に関するものというべきであつて、異議申立てないし審査請求の実質審理の前提である要件審査についてはその適用ないし準用がなく、異議申立てないし審査請求が実質審理に入るまでもなく不適法であり、かつ補正できないことが明白な場合には、たとえ申立てがあつても口頭陳述の機会を与えずに直ちにこれを却下することは許されると解すべきである。本件において、原告が異議申立て及び審査請求において口頭で意見を述べる機会を与えられるよう申立てたにもかかわらず、被告らが右の機会を与えなかつたことは各当事者間に争いがないところ、被告福井県知事において前記のとおりの理由で本件異議申立てを却下したことは前述のとおりであり、また被告建設大臣も審査請求を却下したものであることは明らかであつて、そうとすれば、口頭陳述の機会を与えずに、決定、裁決をしたことを理由とする原告の主張は失当といわねばならない。 なお、原告は、審査請求の手続においてはさきになされた異議の審理の手続に関する適否をも審査の対象として検討すべきであるのに、被告建設大臣がなした本件却下の裁決は本件異議申立ての審理手続に関する適否(原告の主張自体では、それが何を指称するのか不明確であるが、一応異議申立却下の決定をなすに当り申立てがあるのに口頭陳述の機会を与えなかつたという審理手続の適否をいうものと解する 理手続に関する適否(原告の主張自体では、それが何を指称するのか不明確であるが、一応異議申立却下の決定をなすに当り申立てがあるのに口頭陳述の機会を与えなかつたという審理手続の適否をいうものと解する。)の検討を怠り直ちに審査請求を却下した点において違法であり取消されるべきものである旨主張するが、そもそも異議申立てが前置されている場合においては、審査請求は異議申立てに対する決定を経た場合にのみなしうるものであつて(行審法二〇条)、右の異議申立てに対する決定とは実質につき審理のうえ判断をした決定を指称し、異議を却下した決定に対しては原則として審査請求はなし得ず、従つてこれを理由に原告の審査請求を不適法として却下した本件裁決は正当というべきであつて、かかる場合においても審査庁としてはさらに異議申立ての審理手続の適否を検討すべきであるとの原告の所論はひつきよう独自の見解に基づくものであつて、採用の限りでない。 四以上の次第で、原告の被告らに対する本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 目録(省略)
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