【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人峰島徳太郎の上告理由第一ないし第三について。 家屋賃借人の賃借家屋
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人峰島徳太郎の上告理由第一ないし第三について。 家屋賃借人の賃借家屋の敷地利用が、民法六一六条、五九四条一項所定の使用収 益権の範囲をこえるかどうか、また同法四〇〇条所定の保管義務に反するかどうか は、主として家屋賃貸人に対する関係において考察すべきものであつて、家屋賃貸 人が敷地の所有者でない場合においても、原判示のように借地人の敷地所有者に対 する保管義務違反になるかどうかを標準としてのみ決せられるべきものでないこと は、論旨の指摘するとおりである。 しかしながら、原審が適法に確定した事実によれば、上告人が原判決添付目録第 一(二)の家屋につき賃貸人たる地位を承継した昭和二五年九月当時、すでに、被上 告人は、右家屋の敷地の所有者であつた訴外Dの黙示の承諾をえて右敷地の一部に 約三坪の居宅兼物置を築造し、右賃借家屋の壁の一部を抜き、渡り廊下を設けて、 これと右居宅兼物置とを接続させていたのであり、同目録第二の作業場は、昭和三 七年九月頃右居宅兼物置を撤去した跡にそれと面積、位置をほぼ同じくして新築さ れたものであつて、賃借家屋を毀損することなく容易に撤去ができる木造トタン葺 板壁の簡単な構造の建物にすぎないばかりでなく、右作業場の建設に当つては、原 判示のように右賃借家屋にさしたる損傷を与えたものではなく、また右作業場は、 被上告人の家業である旗、幕の製造等のために使用されているにすぎず、賃借家屋 や隣地に対して特段の障害や危険を与えるものでもないというのである。右事実関 係のもとにおいては、作業場の建設が所論のように上告人側の制止にもかかわらず なされたものであるとしても、その建設を必要とした被上告人の原判示の事情を考 - 1 - 慮する ないというのである。右事実関 係のもとにおいては、作業場の建設が所論のように上告人側の制止にもかかわらず なされたものであるとしても、その建設を必要とした被上告人の原判示の事情を考 - 1 - 慮するときは、被上告人の作業場の設置をもつて家屋賃借人として賃借家屋および その敷地の使用収益権の範囲を逸脱し、その保管義務に反するものということはで きない。また作業場が同目録第一の家屋に附合するに至つたかどうかは、本件にお いては、右判断を左右するものではない。論旨引用の各判例は、いずれも、本件と 事案を異にし、本件に適切でない。 原判示中には右と見解を異にする部分があるが、原判決の結論に影響を及ぼすべ き違法はなく、上告人の所論の請求を排斥すべきものとした原審の判断は結局相当 であり、論旨は理由なきに帰する。論旨は、ひつきよう、原審の認定にそわない事 実を前提とするか、または独自の見解に基づき原判決を攻撃するに帰し、採用する ことができない。 同第四および第五ならびに上告人の上告理由について。 所論の事実関係に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして肯 認することができ、右認定判断の過程に所論の違法は存しない。そして、原審の確 定した事実関係のもとにおいては、本件解約申入につき正当の事由があるとは認め られないとした原審の判断は、正当として首肯することができる。原判決に所論の 違法はなく、論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨、事実の認定を 非難するか、独自の見解に基づき原判決を攻撃するものであつて、採用することが できない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の とおり判決する。 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官 藤 林 益 三 裁判官 、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の とおり判決する。 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官 藤 林 益 三 裁判官 大 隅 健 一 郎 裁判官 下 田 武 三 - 2 - 裁判官 岸 盛 一 - 3 -
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