- 1 -平成20年8月29日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成18年(ワ)第19802号育成者権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成20年7月22日判決群馬県桐生市<以下略>原告森産業株式会社訴訟代理人弁護士太田恒久同石井妙子同深野和男同川端小織同伊藤隆史北海道白老郡<以下略>被告有限会社うめつぼ訴訟代理人弁護士矢花公平主文 被告は,別紙1記載1及び2の種苗を生産し,調整し,譲渡の申出をし,譲渡し,又はこれらの行為をする目的をもって保管してはならない。 被告は,原告に対し,207万5000円及びこれに対する平成18年9月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,これを3分し,その2を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 この判決の第2項は,仮に執行することができる。 - 2 -事実及び理由第1請求 主文第1項と同旨 被告は,別紙1記載1及び2の種苗の生産に供した,別紙2記載の設備及び材料を廃棄せよ。 被告は,原告に対し,645万4519円及びこれに対する平成18年9月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,北海道新聞(全道版朝刊)及び日本農業新聞(北海道版)に,縦2段以上(上下67ミリ以上),横1/2以上(左右192ミリ以上)の大きさで,表題10ポイント以上本文8ポイント以上の文字で,別紙3記載の謝罪広告を各1回掲載せよ。 第2事案の概要 事案の要旨本件は,種苗法に基づき品種登録されたしいたけの育成者権を有する原告が,被告が上記しいたけの種菌から菌床を製造し,販売等をした行為が原告の育 広告を各1回掲載せよ。 第2事案の概要 事案の要旨本件は,種苗法に基づき品種登録されたしいたけの育成者権を有する原告が,被告が上記しいたけの種菌から菌床を製造し,販売等をした行為が原告の育成者権を侵害するなどと主張して,被告に対し,種苗法33条1項,2項に基づき,別紙1記載1及び2の種苗の生産,譲渡等の差止め及び別紙2記載の設備等の廃棄を,民法709条(種苗法34条1項,2項)に基づき,不法行為による損害賠償を,種苗法44条に基づき,原告の信用回復に必要な措置として別紙3記載の謝罪広告の掲載を求めた事案である。 争いのない事実(1)当事者ア原告は,食用茸,栽培用種菌及び種駒の製造,販売等を業とする株式会社である。 イ被告は,しいたけ菌床の製造,販売等を業とする特例有限会社である。 - 3 -(2)原告の育成者権ア(ア)明治製菓株式会社(以下「明治製菓」という。)は,品種登録番号第7219号として品種登録されたしいたけ(平成7年9月28日出願,平成11年4月15日登録,登録品種の名称「JMS5K-16」。以下,この登録品種を「登録品種A」という。)の育成者権(以下「本件育成者権A」という。)を有していた。 (イ)原告は,平成14年9月12日,明治製菓から,本件育成者権Aを譲り受け,平成15年2月28日,その旨の移転登録を受けた。 (ウ)登録品種Aは,別紙1中の別紙1-Aの「重要な形質欄」記載の形質について「重要な形質に係る特性欄」記載の特性を有する。 イ(ア)原告と甲は,品種登録番号第7166号として品種登録されたしいたけ(平成7年3月10日出願,平成11年3月17日登録,登録品種の名称「MM-2号」。以下,この登録品種を「登録品種B」という。)の育成者権(以下「本件育成者権B」という。)を共有している しいたけ(平成7年3月10日出願,平成11年3月17日登録,登録品種の名称「MM-2号」。以下,この登録品種を「登録品種B」という。)の育成者権(以下「本件育成者権B」という。)を共有している。 (イ)登録品種Bは,別紙1中の別紙1-Bの「重要な形質欄」記載の形質について「重要な形質に係る特性欄」記載の特性を有する。 (3)被告の行為ア被告は,業として,登録品種Aの種菌を用いて菌床を製造し(以下,この菌床を「菌床A」という。),平成16年1月15日から平成17年2月24日までの間,以下のとおり,菌床A合計3万5500玉(代金合計396万5000円)を販売した。 売却年月日売却先売却数(玉)単価(円)①平16.1.15東磐井地方森林組合10,000 ②平16.10.21乙16,000 ③平16.11.7東磐井地方森林組合9,500 - 4 -④平17.2.24東磐井地方森林組合10,000 合計35,500玉3,965,000円イ被告は,業として,登録品種Bの種菌を用いて菌床を製造し(以下,この菌床を「菌床B」という。),平成15年1月17日から平成17年5月10日までの間,以下のとおり,菌床B合計7万9000玉(代金合計916万円)を販売した。 売却年月日売却先売却数(玉)単価(円)①平15.1.17乙25,000 ②平15.2.14乙37,000 ③平15.4.23乙44,000 ④平16.3.12乙37,000 ⑤平16.3.31乙55,000 ⑥平16.4.4乙64,000 ⑦平16.4.13乙72,000 ⑧平16.5.9乙46,000 ⑨平16.5.15乙8 16.3.31乙55,000 ⑥平16.4.4乙64,000 ⑦平16.4.13乙72,000 ⑧平16.5.9乙46,000 ⑨平16.5.15乙82,000 ⑩平17.3.15乙67,000 ⑪平17.3.29乙39,000 ⑫平17.4.5乙97,000 ⑬平17.4.16乙73,000 ⑭平17.5.9乙48,000 ⑮平17.5.10乙83,000 合計79,000玉9,160,000円ウなお,種菌は,種苗の一形態であり,しいたけの種菌を用いて(すなわち,種菌を培地に接種して)菌床を製造し,菌床内でしいたけ菌(種菌)を増殖させることは,種苗の生産に該当し,また,製造された菌床- 5 -を販売することは,種苗の譲渡に該当する。 争点 本件の争点は,本件育成者権A,Bについての被告の通常利用権の成否及び効力(争点1),本件育成者権A,Bの侵害行為についての被告の過失の推定(種苗法35条)を覆す事情の有無(争点2),原告の差止請求及び廃棄請求の可否(争点3),被告が賠償すべき原告の損害額(争点4),原告の謝罪広告掲載請求の可否(争点5)である。 第3争点に関する当事者の主張 争点1(通常利用権の成否及び効力)について(1)被告の主張ア本件育成者権Aについての通常利用権(ア)被告は,平成14年9月17日,明治製菓から,登録品種Aの種菌を購入した。被告は,その際,明治製菓から,本件育成者権Aについて上記種菌を用いて菌床を製造,販売することの通常利用権の許諾を受けた。 (イ)被告は,前記(ア)の通常利用権に基づいて,平成15年11月18日から同月21日までの間に前記(ア)の種菌を用いて菌床A 上記種菌を用いて菌床を製造,販売することの通常利用権の許諾を受けた。 (イ)被告は,前記(ア)の通常利用権に基づいて,平成15年11月18日から同月21日までの間に前記(ア)の種菌を用いて菌床A1万玉を製造し,前記第2の2(3)ア①のとおり,平成16年1月15日,これを東磐井地方森林組合に販売した。 したがって,被告による上記菌床A1万玉の製造,販売は,本件育成者権Aの侵害に当たらない。 イ本件育成者権Bについての通常利用権(ア)被告は,平成14年12月から平成15年3月までの間,甲が代表者を務める有限会社宮本産業(以下「宮本産業」という。)から,登録品種Bの種菌を購入した。被告は,その際,甲から,本件育成者権Bについて上記種菌を用いて菌床を製造,販売することの通常利用- 6 -権の許諾を受けた。 (イ)甲は,被告に対して前記(ア)のとおり通常利用権を許諾することについて,原告の同意を得た。 (ウ)被告は,前記(ア)の通常利用権に基づいて,前記(ア)の種菌を用いて菌床Bを製造し,前記第2の2(3)イ①ないし⑨のとおり,菌床B合計4万2000玉を販売した。 したがって,被告による上記菌床B合計4万2000玉の製造,販売は,本件育成者権Bの侵害に当たらない。 (2)原告の反論ア本件育成者権Aについての通常利用権の主張に対し被告主張の菌床A1万玉は,被告が明治産業から購入した登録品種Aの種菌を用いて製造したこと,被告が明治製菓から本件育成者権Aについて通常利用権の許諾を受けたことは,いずれも否認する。 また,仮に被告が明治製菓から本件育成者権Aについて通常利用権の許諾を受けたとしても,明治製菓から本件育成者権Aを譲り受け,その移転登録を受けた原告に対し,上記通常利用権の効力を主張することはできない(種苗法32条3項)。 イ 件育成者権Aについて通常利用権の許諾を受けたとしても,明治製菓から本件育成者権Aを譲り受け,その移転登録を受けた原告に対し,上記通常利用権の効力を主張することはできない(種苗法32条3項)。 イ本件育成者権Bについての通常利用権の主張に対し被告主張の菌床B合計4万2000玉は,被告が宮本産業から購入した登録品種Bの種菌を用いて製造したこと,被告が甲から本件育成者権Bについて通常利用権の許諾を受けたことは,いずれも否認する。 また,仮に被告が甲から本件育成者権Bについて通常利用権の許諾を受けたとしても,本件育成者権Bの共有者である原告は,上記通常利用権の許諾について同意した事実はないから,上記通常利用権の許諾の効果は生じない(種苗法23条3項)。 争点2(種苗法35条の過失の推定を覆す事情の有無)について- 7 -(1)被告の主張ア菌床Aの製造,販売に関する無過失(ア)被告は,平成15年8月から平成17年5月までの間,原告の代理店である株式会社オー・エス・エフ(以下「オー・エス・エフ」という。)から,登録品種Aの種菌を購入し,上記種菌を用いて前記第2の2(3)ア②ないし④に係る菌床A合計2万5500玉を製造,販売した。 被告代表者は,被告がオー・エス・エフから上記種菌を購入した際,オー・エス・エフは被告が菌床の製造,販売の事業を行っていることを十分承知していながら,オー・エス・エフから通常利用権の許諾の話は出なかったことなどから,上記種菌の購入代金には,上記種菌を用いて菌床を製造,販売することについての通常利用権の許諾料が含まれているものと信じ,また,オー・エス・エフが原告の正規代理店であることから,オー・エス・エフは原告から本件育成者権Aについての通常利用権の許諾権限が付与されているものと信じた。 そして,被告代表 まれているものと信じ,また,オー・エス・エフが原告の正規代理店であることから,オー・エス・エフは原告から本件育成者権Aについての通常利用権の許諾権限が付与されているものと信じた。 そして,被告代表者においてオー・エス・エフを通じて原告から本件育成者権Aについての通常利用権の許諾を受けたものと信じたことに相当の理由があるから,過失はない。 (イ)以上によれば,被告には,前記第2の2(3)ア②ないし④に係る菌床A合計2万5500玉の製造,販売による本件育成者権Aの侵害について過失はない。 イ菌床Bの製造,販売に関する無過失(ア)a被告は,前記1(1)イ(ア),(ウ)のとおり,宮本産業から購入した登録品種Bの種菌を用いて,前記第2の2(3)イ①ないし⑨に係る菌床B合計4万2000玉を製造,販売した。 b被告代表者は,被告が前記aの種菌を購入した際,宮本産業は被- 8 -告が菌床の製造,販売の事業を行っていることを十分承知していたことから,前記aの種菌の購入代金には,前記aの種菌を用いて菌床を製造,販売することについての通常利用権の許諾料が含まれているものと信じた。 また,被告代表者は,その際,甲から,宮本産業が販売した登録品種Bについては同社が責任を持つと告げられたため,甲の被告に対する本件育成者権Bについての通常利用権の許諾につき原告から同意があったものと信じた。 そして,被告代表者において甲の被告に対する本件育成者権Bについての通常利用権の許諾につき原告から同意があったものと信じたことに相当の理由があるから,過失はない。 c以上によれば,被告には,前記第2の2(3)イ①ないし⑨に係る菌床B合計4万2000玉の製造,販売による本件育成者権Bの侵害について過失はない。 (イ)a被告は,平成17年1月24日,丙から,有限会社振興 れば,被告には,前記第2の2(3)イ①ないし⑨に係る菌床B合計4万2000玉の製造,販売による本件育成者権Bの侵害について過失はない。 (イ)a被告は,平成17年1月24日,丙から,有限会社振興園(以下「振興園」という。)製造の「MT-2」と称するしいたけ種菌を購入し,上記種菌から前記第2の2(3)イ⑩ないし⑮に係る菌床B合計3万7000玉を製造した。 b前記aの種菌は,登録品種Bと同一品種であった。 しかし,前記aの種菌の容器のラベルに「しいたけ種菌MT-2」と記載されていたこと,被告には種菌の品種を確認する技術も設備もなく,容器のラベル記載の種菌の品種名を信じるしかなかったこと,登録品種の種苗を業として譲渡する者には,当該登録品種の名称の使用義務があり(種苗法22条1項),名称の使用義務違反に対しては過料の制裁があること(平成19年法律第49号による改正前の種苗法62条)から,被告代表者には,前記aの種菌を- 9 -購入した当時,前記aの種菌が登録品種Bと同一品種の種菌であるとの認識はなかった。 そして,被告代表者において前記aの種菌を購入した当時前記aの種菌が登録品種Bと同一品種の種菌であるとの認識はなかったことに相当の理由があるから,過失はない。 c以上によれば,被告には,前記第2の2(3)イ⑩ないし⑮に係る菌床B合計3万7000玉の製造,販売による本件育成者権Bの侵害について過失はない。 (2)原告の反論ア菌床Aの製造,販売に関する無過失の主張に対し被告が原告の代理店であるオー・エス・エフから購入した登録品種Aの種菌を用いて前記第2の2(3)ア②ないし④に係る菌床Aを製造,販売したことは認める。 しかし,原告は,オー・エス・エフに限らず,原告の代理店に対し,原告の育成者権について通常利用権を許諾する権限を付与 を用いて前記第2の2(3)ア②ないし④に係る菌床Aを製造,販売したことは認める。 しかし,原告は,オー・エス・エフに限らず,原告の代理店に対し,原告の育成者権について通常利用権を許諾する権限を付与していない。 このことは,被告代表者が被告の設立前に原告の従業員として勤務した経験のあること,被告がかつて原告の代理店であったことなどから,被告代表者は十分知っていたはずである。 したがって,被告代表者が,オー・エス・エフから上記種菌を購入した当時,オー・エス・エフには原告から本件育成者権Aについての通常利用権の許諾権限が付与されており,上記種菌の購入代金に通常利用権の許諾料が含まれているものと信じていなかったことは明らかである。 イ菌床Bの製造,販売に関する無過失の主張に対し(ア)被告代表者が宮本産業から購入した登録品種Bの種菌の購入代金に通常利用権の許諾料が含まれているものと信じたこと,被告代表者が甲の被告に対する本件育成者権Bについての通常利用権の許諾につ- 10 -き原告から同意があったものと信じたことは,いずれも否認する。 (イ)被告が,丙から購入した振興園製造の「MT-2」と称する種菌を用いて前記第2の2(3)イ⑩ないし⑮に係る菌床B合計3万7000玉を製造したことは認める。 しかし,被告代表者において上記種菌が登録品種Bと同一品種であることの認識がなかったことは否認する。 むしろ,以下のとおり,被告代表者は,上記種菌が登録品種Bと同一品種であることを知っていたことは明らかである。 a被告代表者は,当初,原告の代理店である振興園に対し,被告が直接登録品種Bの種菌の購入の申込みをするため電話をした。しかし,振興園は,原告との代理店契約の中で北海道地域では種菌等の販売をしない旨の取決めをしていたため,被告の所在地が北海道内であ ,被告が直接登録品種Bの種菌の購入の申込みをするため電話をした。しかし,振興園は,原告との代理店契約の中で北海道地域では種菌等の販売をしない旨の取決めをしていたため,被告の所在地が北海道内であることを知って,これを断った。 振興園は,平成15年9月ころに自社のホームページを立ち上げた当初から,同ホームページ上に,「※MT-2号は森産業株式会社の登録品種(MM2号)です。」と表示していた。また,振興園は,平成16年から平成18年にかけて顧客に対して発送した取扱商品の価格表にも,「MT-2(MM-2)」と表示していた。 被告代表者は,上記のとおり,登録品種Bの種菌を購入する目的で振興園に電話をした当時,振興園のホームページや価格表により,「MT-2」が登録品種B(MM-2号)と同一品種であることを知っていた。 b振興園が前記aのとおり被告からの登録品種Bの種菌の購入の申込みを断った直後の平成17年1月18日,丙は,振興園に対し,登録品種Bの種菌を発注した。振興園は,丙からの発注を受けて,同月19日,丙に対し,登録品種B(同一品種)の種菌を納品し,- 11 -同月24日,被告は,丙から上記種菌の納品を受けた。 被告は,前記aのとおり,振興園から登録品種Bの種菌を購入の申込みを断られたため,やむなく丙に振興園から上記種菌を購入することを依頼したものである。 また,被告代表者と丙は,「1号」は原告の取扱品種である「MM-1号」を,「2号」は原告の登録品種Bである「MM-2号」を意味する略称であることを了解した上で,被告代表者が丙を介して購入するしいたけの種菌を「1号」,「2号」という呼び方で呼んでいた。 争点3(差止請求及び廃棄請求の可否)について(1)原告の主張ア前記第2の2(3)ア,イのとおり,被告は,業として登録品種A, しいたけの種菌を「1号」,「2号」という呼び方で呼んでいた。 争点3(差止請求及び廃棄請求の可否)について(1)原告の主張ア前記第2の2(3)ア,イのとおり,被告は,業として登録品種A,Bの種菌から菌床A,Bを製造し,販売したことにより,原告の本件育成者権A,Bを侵害した。 また,被告は,登録品種A,Bと同一又は特性により明確に区別されない品種の種苗を,菌床の形態として生産した上で販売する目的をもって現に保管し,また,菌床A,Bを販売する目的をもって現に保管している。 イ前記アの事情に照らすならば,被告は,現在も本件育成者権A,Bを侵害し,今後も別紙1記載1及び2の種苗を生産し,調整し,譲渡の申出をし,譲渡し,又はこれらの行為をする目的をもって保管することにより本件育成者権A,Bを侵害するおそれがあるから,被告による別紙1記載1及び2の種苗の生産,譲渡等の差止めの必要がある。 また,上記侵害の予防に必要な行為として,被告が別紙1記載1及び2の種苗の生産に供した,別紙2記載の設備等の廃棄が必要である。 ウしたがって,原告は,被告に対し,種苗法33条1項,2項に基づ- 12 -き,別紙1記載1及び2の種苗の生産,譲渡等の差止めとともに,別紙1記載1及び2の種苗の生産に供した,別紙2記載の設備等の廃棄を求めることができる。 (2)被告の反論被告は,登録品種A,Bと同一又は特性により明確に区別されない品種の種苗(菌床の形態を含む。)を現在保管していない。 また,被告は,原告から本件育成者権A,Bの侵害をしているとの指摘を受けた際に,侵害と疑われる行為を止めて,菌床などを廃棄した。 したがって,原告主張の差止め及び廃棄の必要性はない。 争点4(原告の損害額)(1)原告の主張ア逸失利益(ア)種苗法34条1項に基づく損 侵害と疑われる行為を止めて,菌床などを廃棄した。 したがって,原告主張の差止め及び廃棄の必要性はない。 争点4(原告の損害額)(1)原告の主張ア逸失利益(ア)種苗法34条1項に基づく損害額(選択的主張)原告が,被告による本件育成者権A,Bの侵害について,種苗法34条1項に基づき,被告に対し請求することのできる損害額は,以下のとおり,合計187万5000円である。 a菌床Aの販売による損害額被告は,前記第2の2(3)アのとおり菌床A合計3万5500玉を販売し,原告の本件育成者権Aを侵害した。 そして,原告は,北海道内で販売する登録品種Aの菌床を,協力工場に委託する方法で製造し,製造された菌床を1玉当たり115円で協力工場から購入し,1玉当たり140円で農家等に販売していることによれば,原告は,被告の上記侵害行為がなければ,登録品種Aの菌床を販売することができたものであり,その1玉当たりの原告の利益額は25円である。 したがって,被告の菌床Aの販売により原告が受けた損害額は,- 13 -種苗法34条1項により,88万7500円となる。 (計算式:35,500玉×25円=887,500円)b菌床Bの販売による損害額被告は,前記第2の2(3)イのとおり菌床B合計7万9000玉を販売し,原告及び甲が共有する本件育成者権Bを侵害した。 そして,原告は,北海道内で販売する登録品種Bの菌床を,協力工場に委託する方法で製造し,製造された菌床を1玉当たり115円で協力工場から購入し,1玉当たり140円で農家等に販売していることによれば,原告は,被告の上記侵害行為がなければ,登録品種Bの菌床を販売することができたものであり,その1玉当たりの原告の利益額は25円である。また,本件育成者権Bについての原告の共有持分は2分の1である。 した ,被告の上記侵害行為がなければ,登録品種Bの菌床を販売することができたものであり,その1玉当たりの原告の利益額は25円である。また,本件育成者権Bについての原告の共有持分は2分の1である。 したがって,被告の菌床Bの販売により原告が受けた損害額は,種苗法34条1項により,98万7500円となる。 (計算式:79,000玉×25円×1/2=987,500円)c合計額187万5000円(a+b)(イ)種苗法34条2項に基づく損害額(選択的主張)原告が,被告による本件育成者権A,Bの侵害について,種苗法34条2項に基づき,被告に対し請求することのできる損害額は,以下のとおり,合計300万円である。 a菌床Aの販売による損害額被告は,前記第2の2(3)アのとおり菌床A合計3万5500玉を販売し,原告の本件育成者権Aを侵害した。 そして,菌床Aの販売により被告が得た利益額は,菌床A1玉当たり40円であるから合計142万円である。 したがって,被告が得た上記利益額142万円は,種苗法34条- 14 -2項により,被告の菌床Aの販売により原告が受けた損害額と推定される。 (計算式:35,500玉×40円=1,420,000円)b菌床Bの販売による損害額被告は,前記第2の2(3)イのとおり菌床B合計7万9000玉を販売し,原告及び甲が共有する本件育成者権Bを侵害した。 そして,菌床Bの販売により被告が得た利益額は菌床A1玉当たり40円(合計316万円)である。また,本件育成者権Bについての原告の共有持分は2分の1である。 したがって,被告が得た上記利益額の2分の1に相当する158万円は,種苗法34条2項により,被告の菌床Bの販売により原告が受けた損害額と推定される。 (計算式:79,000玉×40円×1/2=1,580,000円)c 上記利益額の2分の1に相当する158万円は,種苗法34条2項により,被告の菌床Bの販売により原告が受けた損害額と推定される。 (計算式:79,000玉×40円×1/2=1,580,000円)c合計額300万円(a+b)イ調査費用原告は,被告による本件育成者権A,Bの侵害の事実を確認するため,現地調査に原告の社員を派遣したり,被告が販売した菌床の対峙培養試験を行い,別紙4のとおり,合計245万4519円の費用を要した。 ウ弁護士費用被告の本件育成者権A,Bの侵害行為と相当因果関係のある原告の弁護士費用相当額の損害は,100万円が相当である。 エまとめ以上によれば,原告は,被告に対し,民法709条及び種苗法34条1項又は2項に基づき,不法行為による損害賠償として合計645万4- 15 -519円(前記アないしウの合計額。ただし,前記アのうち,(ア)の額と(イ)の額は選択的主張。)及びこれに対する不法行為の後である平成18年9月24日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 (2)被告の反論ア原告主張の損害額は,いずれも否認する。 イ(ア)被告による菌床Aの販売数3万5500玉及び菌床Bの販売数7万9000玉は,被告の営業力による販売結果であり,原告が登録品種A,Bの菌床の販売をしたとしても同様の販売結果を出すことはできなかった。したがって,原告の種苗法34条1項に基づく損害額の主張(原告の主張ア(ア))は,失当である。 (イ)菌床A1玉当たりの生産原価は105円,菌床A1玉当たりの被告の利益は5円又は15円であり,菌床B1玉当たりの被告の利益は6円又は16円である。したがって,原告の種苗法34条2項に基づく損害額の主張(原告の主張ア(イ))は,そ 05円,菌床A1玉当たりの被告の利益は5円又は15円であり,菌床B1玉当たりの被告の利益は6円又は16円である。したがって,原告の種苗法34条2項に基づく損害額の主張(原告の主張ア(イ))は,その前提を欠くものである。 (ウ)被告は,本件において菌床A,Bの販売時期,販売先,販売数量等について自ら進んで事実関係を明らかにしている。したがって,仮に被告において本件育成者権A,Bの侵害の事実があるとしても,その事実と原告主張の調査費用(原告の主張イ)との間に相当因果関係がない。 争点5(謝罪広告掲載請求の可否)について(1)原告の主張ア被告が,本件育成者権A,Bを有する原告の許諾を得ることなく,前記第2の2(3)ア,イに係る菌床A,Bを,原告が販売する登録品種A,Bの各菌床よりも廉価で販売したことにより,登録品種A,Bの種菌及- 16 -び菌床の価格相場や商品イメージを低下させ,原告の業務上の信用が害された。 イしたがって,原告は,被告に対し,種苗法44条に基づき,原告の業務上の信用を回復するのに必要な措置として別紙3記載の謝罪広告の掲載を求めることができる。 (2)被告の反論原告の主張は争う。 第4当裁判所の判断 前提事実前記第2の2の事実と証拠(甲3,5,8ないし11,17,18,22ないし27,38,39,41,43,45,乙1ないし8,11ないし13,17,18(いずれも枝番のあるものは枝番を含む。),証人丁,被告代表者)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1)ア原告は,昭和18年に設立された後,食用茸,栽培用種菌及び種駒の製造,販売等の事業を展開し,平成5年から,しいたけ菌床の製造,販売を開始した。 原告は,販売するしいたけ菌床を自社工場で製造するか,協力工場に委託して製造し された後,食用茸,栽培用種菌及び種駒の製造,販売等の事業を展開し,平成5年から,しいたけ菌床の製造,販売を開始した。 原告は,販売するしいたけ菌床を自社工場で製造するか,協力工場に委託して製造していた。協力工場は,原告の委託を受けて,原告から購入した種菌を用いてしいたけ菌床を製造し,原告は,製造された菌床を協力工場から買い取って,農家等に販売していた。なお,原告は,その際,協力工場に対し,原告が育成者権を有する種菌を用いて,菌床を製造することを許諾していた。 原告は,北海道内で販売するしいたけ菌床については,通常,協力工場に委託して製造していた。 イ被告代表者は,昭和53年に原告に入社した後,札幌営業所長を経て,北海道支社次長兼流通課長となった後,平成11年6月20日,原- 17 -告を退職した。 被告代表者は,平成11年8月26日,しいたけ菌床の製造,販売等を業とする被告(本店所在地・北海道白老郡)を設立した。 被告は,平成11年9月1日,原告との間で代理店契約を締結し,原告の代理店となった。その後,原告と被告は,平成12年9月30日付けで代理店契約を解消した。 (2)ア被告は,平成12年11月ころ,本件育成者権Aを有していた明治製菓の特約店となり,明治製菓から登録品種Aの種菌を購入するようになった。 一方で,被告は,その当時,甲が代表者を務める宮本産業から購入した別の品種の種菌(名称・「MM-1」)を用いて,しいたけ菌床を製造し,北海道内で販売していた。また,被告は,平成13年1月ころから,宮本産業から,原告及び甲共有の本件育成者権Bに係る登録品種Bの種菌を購入していた。 なお,宮本産業は,被告に販売する上記各種菌の製造を振興園に委託し,振興園が直接被告に上記各種菌を納品していた。 イ(ア)明治製菓と原告は,平成14年7月 Bに係る登録品種Bの種菌を購入していた。 なお,宮本産業は,被告に販売する上記各種菌の製造を振興園に委託し,振興園が直接被告に上記各種菌を納品していた。 イ(ア)明治製菓と原告は,平成14年7月,明治製菓が同年10月1日付けでしいたけ種菌の製造販売権及び種菌事業を原告に譲渡することに合意した旨公表した。 原告は,平成14年9月12日,明治製菓から,本件育成者権Aを譲り受け,平成15年2月28日,その旨の移転登録を受けた。 (イ)原告は,平成14年10月に明治製菓から種菌事業の譲渡を受けた際,明治製菓の特約店を原告の代理店として基本的に引き継ぐこととなったが,被告が原告の代理店となる意思がないことを表明したことなどもあって,被告は,原告の代理店とならなかった。 一方で,明治製菓の特約店であったオー・エス・エフは,明治製菓- 18 -の上記種菌事業の譲渡に伴って,原告の代理店となり,被告に対し,登録品種Aの種菌を販売するようになった。 ウ原告と宮本産業は,平成15年1月30日,宮本産業が同年6月30日をもってしいたけ種菌,菌床及び栄養体(テンパック)の販売事業を廃止し,その事業廃止に伴い,同年7月1日以降北海道地域における宮本産業の商圏を原告に譲り渡す旨の覚書を締結した。 振興園は,宮本産業の上記事業廃止に伴い,原告及び甲から,登録品種Bの種菌の培養,同種菌を用いて菌床を製造,販売することの許諾を受けた。 (3)ア被告は,登録品種Aの種菌を用いて菌床Aを製造し,平成16年1月15日から平成17年2月24日までの間に東磐井地方森林組合等に合計3万5500玉(前記第2の2(3)ア①ないし④)を販売した。 被告が販売した上記菌床Aのうち2万5500玉(前記第2の2(3)ア②ないし④)は,被告がオー・エス・エフから購入した登録品種Aの種菌 計3万5500玉(前記第2の2(3)ア①ないし④)を販売した。 被告が販売した上記菌床Aのうち2万5500玉(前記第2の2(3)ア②ないし④)は,被告がオー・エス・エフから購入した登録品種Aの種菌を用いて製造されたものであった。 イまた,被告は,登録品種B(登録品種の名称・「MM-2号」)の種菌を用いて菌床Bを製造し,平成15年1月17日から平成17年5月10日までの間に乙2等に合計7万9000玉(前記第2の2(3)イ①ないし⑮)を販売した。 被告が販売した上記菌床Bのうち3万7000玉(前記第2の2(3)イ⑩ないし⑮)は,被告が丙から購入した登録品種Bの種菌を用いて製造されたものであった。 上記種菌は,丙が平成17年1月19日に振興園から購入して,被告に譲渡したものであり,上記種菌の容器のラベルには,「しいたけ種菌MT-2」(乙17の別紙1)と表示されていた。このうち「MT-2」の部分は,「MM-2」と記載された元のラベルの上に,「MM-- 19 -2」との記載が隠れるようにシール(甲45の2)が追加して貼られたものであった。 なお,振興園は,顧客に配布する「菌床椎茸種菌及び資材価格表」(甲27。「平成16年度用」,「平成17年度用」,「平成18年度用」)の商品名欄に「種菌」として「MT-2(MM-2)」と記載していた。また,振興園は,平成18年4月20日当時,自社のホームページにおいて「※MT-2号は森産業株式会社の登録品種(MM2号)です。」と掲載していた。 (4)ア原告は,平成17年8月29日付け内容証明郵便で,被告に対し,被告が平成17年2月24日に東磐井地方森林組合に販売した「椎茸菌床1.3K5号」と称するしいたけ菌床の品種は,対峙培養試験の結果,原告が育成者権を有する登録品種Aと同一又は特性により明確に区別されな が平成17年2月24日に東磐井地方森林組合に販売した「椎茸菌床1.3K5号」と称するしいたけ菌床の品種は,対峙培養試験の結果,原告が育成者権を有する登録品種Aと同一又は特性により明確に区別されない品種と考えられる,被告の上記行為等は原告の育成者権を侵害する行為であり,原告所有の品種を用いた菌床を販売すること等の利用行為を一切停止することを求める,平成14年10月以降被告が原告所有の品種を用いて製造,販売(無償譲渡を含む)した菌床の納品日,販売先,品種名,数量,販売金額等について本書面到達後5日以内に書面で回答を求めるなどと通知した。 これに対して被告は,平成17年9月3日付け内容証明郵便で,原告に対し,被告は東磐井地方森林組合に登録品種Aの菌床合計3万玉を納品販売(ただし,500玉は無償譲渡)した,被告は,原告が育成者権を有するしいたけ種菌を正規ルートから購入したと認識していたものであり,利用権の許諾を認識せずに用いていたことについて謝罪する,被告は,今後原告が育成者権を有するしいたけ品種を用いたしいたけ菌床の納品・販売行為を一切停止することを約束するなどと回答し,さらに,平成17年10月26日付け内容証明郵便で,被告は乙1に登録品- 20 -種Aの菌床6000玉を販売したなどと回答した。 イ原告は,平成17年10月28日付け内容証明郵便で,被告に対し,原告の調査の結果,被告が乙2ほか複数の顧客に納品したしいたけ菌床の品種は,原告が育成者権を有する登録品種Bと同一又は特性により明確に区別されない品種であることが確認されている,平成14年10月以降被告が原告所有の品種を用いて製造,販売(無償譲渡を含む)した菌床の納品日,販売先,品種名,数量,販売金額等について本書面到達後5日以内に書面で再度回答を求めるなどと通知した。 これに対 10月以降被告が原告所有の品種を用いて製造,販売(無償譲渡を含む)した菌床の納品日,販売先,品種名,数量,販売金額等について本書面到達後5日以内に書面で再度回答を求めるなどと通知した。 これに対して被告は,平成17年11月4日付け内容証明郵便で,原告に対し,登録品種Bの菌床の納品,販売先,数量,販売金額,「MT-2」の菌床の納品,販売先,数量,販売金額を回答するとともに,「MT-2」の菌床は被告が丙から譲り受けた種菌「MT-2」を用いて製造したが,原告の調査の結果,「MT-2」が登録品種Bと明確に区別できない品種であることが判明すれば,顧客に対し原告から購入することをお願いするなどと回答した。 ウ原告は,平成17年12月16日付け内容証明郵便で,被告に対し,被告の平成17年11月4日付け回答書を踏まえ,育成者権侵害による損害賠償として合計3068万円を請求する旨通知した。 原告は,被告が平成17年12月22日付け内容証明郵便で上記損害賠償の請求を拒絶したため,平成18年1月19日付け内容証明郵便で,被告に対し,再度,上記損害賠償を請求する旨通知した。 エ被告の代理人弁護士は,平成18年2月2日付け内容証明郵便で,原告に対し,被告が結果的に原告の育成者権を侵害していたことについて改めて謝罪する,しかるべき賠償について被告に履行すべき責任があると考えており,被告としては話合いによって円満な解決を図りたいが,被告には支払能力がなく,今後も収益が改善される見通しはないことな- 21 -どから,原告の現状の請求額の支払には応じられない旨回答し,さらに,平成18年3月30日付け内容証明郵便で,原告の代理人弁護士に対し,原告の請求に対して毎月30万円を10回,合計300万円を支払う旨の和解案を提示した。 オ原告は,平成18年9月7日,本件 らに,平成18年3月30日付け内容証明郵便で,原告の代理人弁護士に対し,原告の請求に対して毎月30万円を10回,合計300万円を支払う旨の和解案を提示した。 オ原告は,平成18年9月7日,本件訴訟を提起した。 争点1(通常利用権の成否及び効力)について(1)しいたけの種菌を用いて菌床を製造し,菌床内でしいたけ菌(種菌)を増殖させることは,種苗の生産に該当し,また,製造された菌床を販売することは,種苗の譲渡に該当するから(前記第2の2(3)ウ),前記1(3)ア,イのとおり被告が登録品種A,Bの種菌から菌床A,Bをそれぞれ製造し,菌床A合計3万5500玉,菌床B合計7万9000玉を販売した行為は,登録品種A又は登録品種Bの「利用」(種苗法2条5項1号)に該当し,原告が有する本件育成者権A,Bの侵害に当たるものと認められる。 (2)これに対し被告は,前記(1)の菌床A,Bの製造,販売の一部については,被告が許諾を受けた通常利用権に基づくものであるから,本件育成者権A,Bの侵害に当たらない旨主張するが,以下のとおり,いずれも理由がない。 アまず,被告は,被告が製造,販売した菌床Aのうち1万玉(前記第2の2(3)ア①)は,本件育成者権Aを有していた明治製菓から購入した登録品種Aの種菌を用いた菌床であり,かつ,その購入の際明治製菓から菌床の製造,販売につき通常利用権の許諾を受けたから,上記菌床A1万玉の製造,販売は,原告の本件育成者権Aの侵害に当たらない旨主張する。 しかし,被告の主張は,以下のとおり,理由がない。 (ア)種苗法32条3項は,通常利用権は,その登録をしたときは,そ- 22 -の育成者権をその後に取得した者に対しても,その効力を生ずる旨規定している。上記規定によれば,通常利用権は,育成者権者から通常利用権の許諾を は,通常利用権は,その登録をしたときは,そ- 22 -の育成者権をその後に取得した者に対しても,その効力を生ずる旨規定している。上記規定によれば,通常利用権は,育成者権者から通常利用権の許諾を受けることにより発生するが,未登録の通常利用権者は,その許諾を受けた後に当該育成者権を譲り受けた新たな育成者権者に対し,自己の通常利用権を対抗することができないものと解される。 そして,原告は,平成14年9月12日,明治製菓から本件育成者権Aを譲り受け,平成15年2月28日,その旨の移転登録を受けたところ(前記1(2)イ(ア)),被告の主張によれば,被告が明治製菓から購入した登録品種Aの種菌を用いて菌床A1万玉を製造したのは,平成15年11月18日から同月21日までの間であるというのであるから(前記第3の1(1)ア(イ)),上記菌床A1万玉の販売はもとより,その製造についても,原告が本件育成者権Aの移転登録を受けた後であることとなる。 しかるに,被告は,明治製菓から許諾を受けたとする通常利用権につき登録を受けたことについて何ら主張立証をしていないから,被告が許諾を受けたかどうかを判断するまでもなく,被告は,明治製菓から本件育成者権Aを譲り受け,その移転登録を受けた原告に対し,上記通常利用権を対抗することができないというべきである。 (イ)したがって,被告による菌床A1万玉の製造,販売は,原告の本件育成者権Aの侵害に当たらないとの被告の前記主張は,理由がない。 イ次に,被告は,被告が製造,販売した菌床Bのうち合計4万2000玉(前記第2の2(3)イ①ないし⑨)は,本件育成者権Bを原告と共有する甲から菌床の製造,販売につき通常利用権の許諾を受け,かつ,上記通常利用権の許諾につき原告の同意を得たから,上記菌床合計4万20- 23 -00玉 イ①ないし⑨)は,本件育成者権Bを原告と共有する甲から菌床の製造,販売につき通常利用権の許諾を受け,かつ,上記通常利用権の許諾につき原告の同意を得たから,上記菌床合計4万20- 23 -00玉の製造,販売は,原告の本件育成者権Bの侵害に当たらない旨主張する。 しかし,被告の主張は,以下のとおり,理由がない。 (ア)種苗法23条3項は,育成者権が共有に係るときは,各共有者は,他の共有者の同意を得なければ,その育成者権について他人に通常利用権を許諾することができない旨規定している。 しかるに,本件育成者権Bは原告及び甲の共有に係るものであるが,本件全証拠によっても,原告が被告主張の通常利用権の許諾につき同意したことを認めるに足りない。かえって,①被告は,原告が被告主張の通常利用権の許諾につき同意をした時期,経緯等について具体的な主張をしていないこと,②前記1(4)イ,ウのとおり,原告は本件訴訟提起前に被告による登録品種Bの種菌を用いた菌床の製造,販売が原告の本件育成者権Bの侵害に当たることを前提に被告に対し損害賠償を請求していることに照らすならば,原告は被告に対して本件育成者権Bにつき通常利用権を許諾することを同意したことはないものとうかがわれる。 そうすると,その余の点について判断するまでもなく,被告主張の通常利用権の許諾の効果を原告に主張することはできない。 (イ)したがって,被告による菌床B合計4万2000玉の製造,販売は,原告の本件育成者権Bの侵害に当たらないとの被告の前記主張は,理由がない。 争点2(種苗法35条の過失の推定を覆す事情の有無)について(1)種苗法35条は,他人の育成者権又は専用利用権を侵害した者は,その侵害の行為について過失があったものと推定すると規定している。この推定は,法律上の推定であり,推定を 覆す事情の有無)について(1)種苗法35条は,他人の育成者権又は専用利用権を侵害した者は,その侵害の行為について過失があったものと推定すると規定している。この推定は,法律上の推定であり,推定を覆滅するには侵害者において過失がなかったこと(無過失)を主張立証する必要があるものと解される。 - 24 -被告は,前記2(1)認定の菌床A,Bの製造,販売による本件育成者権A,Bの侵害について,その一部につき無過失を主張するが,以下のとおり,いずれも理由がない。 (2)被告は,被告が製造,販売した菌床Aのうち合計2万5500玉(前記第2の2(3)ア②ないし④)は,原告の代理店であるオー・エス・エフから購入した登録品種Aの種菌を用いた菌床であるが,被告代表者は,上記種菌の購入の際,オー・エス・エフを通じて原告から本件育成者権Aについての通常利用権の許諾を受けたものと信じ,そのように信じたことに相当の理由があるから,上記菌床A合計2万5500玉の製造,販売による本件育成者権Aの侵害について無過失である旨主張する。 しかし,被告の主張は,以下のとおり,理由がない。 ア被告は,被告代表者は,被告が原告の代理店であるオー・エス・エフから登録品種Aの種菌を購入した際,被告が菌床の製造,販売の事業を行っていることを十分承知していたオー・エス・エフから通常利用権の許諾の話は出なかったことなどから,上記種菌の購入代金には菌床の製造,販売についての通常利用権の許諾料が含まれているものと信じ,また,オー・エス・エフが原告の正規代理店であることから,オー・エス・エフは原告から本件育成者権Aについての通常利用権の許諾権限が付与されているものと信じた旨主張する。 しかしながら,①原告は,オー・エス・エフはもとより,原告と代理店契約を締結した代理店に対し,原告の育成 原告から本件育成者権Aについての通常利用権の許諾権限が付与されているものと信じた旨主張する。 しかしながら,①原告は,オー・エス・エフはもとより,原告と代理店契約を締結した代理店に対し,原告の育成者権について原告を代理して通常利用権を許諾する権限を付与したことはなかったこと(証人丁,弁論の全趣旨),②被告代表者は,昭和53年から平成11年6月20日に退職するまでの約21年間,原告に勤務した経験があること(前記1(1)イ),③被告代表者が上記退職後に設立した被告においては,平成11年9月1日から平成12年9月30日までの間,原告の代理店であ- 25 -ったこと(前記1(1)イ)に照らすならば,被告代表者は,被告がオー・エス・エフから登録品種Aの種菌を購入した際,オー・エス・エフが原告の代理店であるからといって原告から本件育成者権Aについて通常利用権を許諾する権限を付与されているものではないことを知っていた疑いを払拭することができない。 また,仮に被告代表者がオー・エス・エフに上記通常利用権の許諾権限が付与されていると信じたとしても,被告主張の諸事情をもって,そのように信じたことについて相当な理由があるということはできない。 イしたがって,菌床A合計2万5500玉の製造,販売による本件育成者権Aの侵害についての無過失をいう被告の前記主張は,採用することができない。 (3)ア被告は,被告代表者は,被告が製造,販売した菌床Bのうち合計4万2000玉(前記第2の2(3)イ①ないし⑨)に関し甲から受けた通常利用権の許諾につき原告の同意を得たものと信じ,そのように信じたことに相当の理由があるから,上記菌床B合計4万2000玉の製造,販売による本件育成者権Bの侵害について無過失である旨主張する。 しかし,被告の主張は,以下のとおり,理由がない。 じ,そのように信じたことに相当の理由があるから,上記菌床B合計4万2000玉の製造,販売による本件育成者権Bの侵害について無過失である旨主張する。 しかし,被告の主張は,以下のとおり,理由がない。 (ア)被告は,被告代表者は,被告が宮本産業から登録品種Bの種菌を購入した際,宮本産業は被告が菌床の製造,販売の事業を行っていることを十分承知していたことから,上記種菌の購入代金には菌床の製造,販売についての通常利用権の許諾料が含まれているものと信じ,また,被告代表者は,その際,本件育成者権Bの共有者である甲から,宮本産業が販売した登録品種Bについては同社が責任を持つと告げられたため,甲の被告に対する本件育成者権Bについての通常利用権の許諾につき原告から同意があったものと信じた旨主張する。 しかしながら,しいたけ種の育成者権につき通常利用権を許諾する- 26 -ことは,種菌,菌床等の販売に係る原告の営業上の利益に重大な影響を及ぼす可能性のある事項であることは,前記1(1)イのとおり原告に長年勤務した経験のある被告代表者は当然認識していたはずであり,被告が主張するように本件育成者権Bの共有者の一人である甲が,被告代表者に対して,宮本産業から購入した登録品種Bについては宮本産業が責任を持つと単に告げたからといって,本件育成者権Bの他の共有者である原告の同意があったものと信じたことにつき相当の理由があるということはできないし,また,被告主張の他の事情をもって,そのように信じたことについて相当な理由があるということもできない。 (イ)したがって,菌床B合計4万2000玉の製造,販売による本件育成者権Bの侵害についての無過失をいう被告の前記主張は,採用することができない。 イ被告は,被告が製造,販売した菌床Bのうち合計3万7000玉(前記第 B合計4万2000玉の製造,販売による本件育成者権Bの侵害についての無過失をいう被告の前記主張は,採用することができない。 イ被告は,被告が製造,販売した菌床Bのうち合計3万7000玉(前記第2の2(3)イ⑩ないし⑮)は,丙から購入した登録品種Bと同一品種の種菌を用いた菌床であるが,被告代表者において被告が上記種菌を購入した当時上記種菌が登録品種Bと同一品種の種菌であるとの認識はなく,その認識がなかったことに相当の理由があるから,上記菌床B合計3万7000玉の製造,販売による本件育成者権Bの侵害について無過失である旨主張する。 しかし,被告の主張は,以下のとおり,理由がない。 (ア)被告は,被告が丙から購入した種菌の容器のラベルに「しいたけ種菌MT-2」と記載されていたこと,被告には種菌の品種を確認する技術も設備もなく,容器のラベル記載の種菌の品種名を信じるしかなかったこと,登録品種の種苗を業として譲渡する者には,当該登録品種の名称の使用義務があり(種苗法22条1項),名称の使用義務- 27 -違反に対しては過料の制裁があることから,被告代表者には,上記種菌が登録品種Bと同一品種の種菌であるとの認識はなかった旨主張する。 そこで検討するに,被告が丙から購入した,振興園製造に係る登録品種Bと同一品種の種菌の容器のラベルには,「しいたけ種菌MT-2」(乙17の別紙1)と表示されていたこと,このうち「MT-2」の部分は,「MM-2」と記載された元のラベルの上に,「MM-2」との記載が隠れるようにシール(甲45の2)が追加して貼られたものであったことは,前記1(3)イ認定のとおりである。 そして,①被告は,平成13年1月ころから,宮本産業から,登録品種B(登録品種の名称・「MM-2号」)の種菌を購入していたが,その種菌は,宮本産業か あったことは,前記1(3)イ認定のとおりである。 そして,①被告は,平成13年1月ころから,宮本産業から,登録品種B(登録品種の名称・「MM-2号」)の種菌を購入していたが,その種菌は,宮本産業から委託を受けた振興園が製造し,振興園から直接納品を受けていたこと(前記1(2)ア),②振興園は,宮本産業が平成15年6月30日付けで事業を廃止した後,原告及び甲から許諾を受けて登録品種Bの種菌を製造,販売することの許諾を受け(前記1(2)ウ),製造した登録品種Bの種菌を「MT-2」の商品名で販売するようになったが(前記1(3)イ),その種菌の容器のラベルは,上記のとおり「MM-2」と記載された元のラベルの上に「MT-2」のシールを追加して貼ったものを使用していたこと(甲27,45の2,乙17の別紙1,証人丁),③乙17の別紙1の写真によれば,「MT-2」のうち「T」の文字の下にうっすらと「M」とも読むことができるような文字が隠れていることがうかがわれることに照らすならば,被告においては,「しいたけ種菌MT-2」と表示された容器のラベル中に品種名を隠すように「MT-2」とのシール貼付部分があることに気付き,「MT-2」は登録品種名であるのかどうかについて疑念を持ってしかるべきであったものと認められる。そ- 28 -して,被告代表者において振興園に問い合わせるなどして「MT-2」が登録品種名であるのかどうか等について調査,確認すれば,振興園が登録品種Bの種菌を「MT-2」の商品名で製造,販売していたことは容易に判明したことが認められる。 しかるに,被告代表者の供述によれば,被告代表者は,「MT-2」は登録品種名であるのかどうか等について調査,確認を行っていないから,被告代表者において,丙から購入した種菌の容器のラベルの「しいたけ種菌MT- 被告代表者の供述によれば,被告代表者は,「MT-2」は登録品種名であるのかどうか等について調査,確認を行っていないから,被告代表者において,丙から購入した種菌の容器のラベルの「しいたけ種菌MT-2」の表示を信じ,上記種菌が登録品種Bと同一品種であることを認識しなかったとしても,そのように信じたことに相当の理由があるということはできない。 また,被告の主張するように登録品種の種苗を業として譲渡する者には,当該登録品種の名称の使用義務があり,名称の使用義務違反に対しては過料の制裁があることを考慮しても,上記のとおり種菌の容器のラベルに疑念を抱くべき事情があることに照らすならば,被告代表者において,上記種菌の容器のラベルの「しいたけ種菌MT-2」の表示を信じたことに相当の理由があるということはできない。 (イ)したがって,菌床B合計3万7000玉の製造,販売による本件育成者権Bの侵害についての無過失をいう被告の前記主張は,採用することができない。 争点3(差止請求及び廃棄請求の可否)について(1)差止請求についてア被告が登録品種A,Bの種菌から菌床A,Bをそれぞれ製造し,販売した行為が,原告が有する本件育成者権A,Bの侵害に当たることは,前記2(1)のとおりである。 これに対し被告は,本件訴訟において,被告による菌床A,Bの製造販売が本件育成者権A,Bの侵害に当たること自体を争い,また,侵害- 29 -行為について無過失を主張している(なお,被告の主張に理由がないことは,前記2及び3において説示したとおりである。)。 イ原告は,被告は,登録品種A又は登録品種Bと同一若しくは特性により明確に区別されない品種の種苗を,菌床の形態として生産した上で販売する目的をもって現に保管し,また,菌床A及び菌床Bを販売する目的をもって現に保 は,登録品種A又は登録品種Bと同一若しくは特性により明確に区別されない品種の種苗を,菌床の形態として生産した上で販売する目的をもって現に保管し,また,菌床A及び菌床Bを販売する目的をもって現に保管することにより,現に本件育成者権A,Bの侵害行為を行っている旨主張するが,本件全証拠によっても,上記各保管の事実を認めるに足りない。 しかし,前記1の認定事実及び弁論の全趣旨によれば,登録品種A及び登録品種Bの種菌は,現在も原告又はその代理店等によって販売されており,被告が,原告の代理店等から直接又は第三者を介して,上記種菌を入手し,これを用いて菌床を製造することは可能であるものと認められる。 ウ前記ア及びイの事情を総合すれば,被告において,将来,登録品種A又は登録品種Bの種菌から菌床を製造するなどして別紙1記載1又は2の種苗を生産し,更には同種苗について調整し,譲渡の申出をし,譲渡し,又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為を行うことにより,原告の本件育成者権A,Bを侵害するおそれがあるものと認められる。 したがって,原告は,種苗法33条1項に基づき,被告に対し,上記行為の差止めを求めることができるというべきであるから,原告の本件差止請求は理由がある。 (2)廃棄請求についてア種苗法33条2項は,育成者権者が差止請求権を行使するに際し,侵害行為を組成した,収穫物若しくは加工品又は侵害の行為に供した物の廃棄その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができると規定し- 30 -ている。 上記規定によれば,侵害の行為に供した物の廃棄は「侵害の予防に必要な行為」の例示であるから,侵害の行為に供した物であるからといって当然に廃棄を求めることができるものではなく,種苗法33条2項に基づく侵害の予防に必要な行為としての侵害の行為に供 「侵害の予防に必要な行為」の例示であるから,侵害の行為に供した物であるからといって当然に廃棄を求めることができるものではなく,種苗法33条2項に基づく侵害の予防に必要な行為としての侵害の行為に供した物の廃棄請求は,現に行われ又は将来行われるおそれがある侵害行為の態様,育成者権者が行使する差止請求権の具体的内容等に照らし,差止請求権の行使を実効あらしめるものであって,かつ,差止請求権の実現のために必要な範囲内のものである場合に限り許されるものと解される。 これを本件についてみるに,①前記(1)ウのとおり将来行われるおそれのある侵害行為は,登録品種A又は登録品種Bの種菌から菌床を製造するなどして別紙1記載1又は2の種苗を生産し,更には同種苗について調整し,譲渡の申出をし,譲渡し,又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為であり,原告は被告による上記生産,譲渡等の行為の差止請求権を有すること,②原告が廃棄を求める別紙2記載の「菌床仕込設備」及び「培養設備」は,いずれもしいたけ菌床の製造工程に使用するものとしては汎用性のあるものであること,③被告は登録品種A又は登録品種Bの種菌以外の種菌からも菌床を製造し,販売していたこと(前記1(2)ア)に照らすならば,別紙2記載の「菌床仕込設備」及び「培養設備」は,もっぱら登録品種A又は登録品種Bの種菌を用いた菌床の製造の用に供されたものではなく,被告において他の種菌を用いた菌床の製造にも用いることができるものであるといえるから,上記「菌床仕込設備」及び「培養設備」についての原告の廃棄請求は,差止請求権の実現のために必要な範囲を超えるものと解される。 次に,別紙2記載の「材料」についての原告の廃棄請求は,菌床A,Bの製造に供された物の廃棄を求めるものであり,上記「材料」は,い- 31 -ずれも 実現のために必要な範囲を超えるものと解される。 次に,別紙2記載の「材料」についての原告の廃棄請求は,菌床A,Bの製造に供された物の廃棄を求めるものであり,上記「材料」は,い- 31 -ずれも使用済みの材料であって,その原形を留めているものとは考えられないし,また,被告が,現在菌床A,Bを保管しているものと認められないことは前記(1)イのとおりであるから,上記廃棄請求は,被告が占有していないものを対象とするものである。 イ以上によれば,原告の本件廃棄請求は,差止請求権の実現のために必要な範囲を超えるものであるか,又は被告が占有していないものを対象とするものであるから,いずれも理由がない。 争点4(原告の損害額)について(1)逸失利益についてア(ア)被告が菌床A合計3万5500玉,菌床B合計7万9000玉を販売したことにより,原告の本件育成者権A,Bを侵害したことは,前記2(1)のとおりである。 そして,前記1(1)アの認定事実,証拠(甲32ないし39(枝番のあるものは枝番を含む。))及び弁論の全趣旨を総合すれば,①原告は,北海道内において,自社又は代理店を通じて,協力工場によって委託製造された登録品種A及び登録品種Bの各菌床を,農家等に販売していたこと,②平成17年当時,しいたけの品種に関わらず,原告の協力工場からの買取価格は菌床1玉当たり115円(消費税抜き),原告の農家等に対する販売価格は送料・荷造費別途で1玉当たり140円(消費税抜き)であったことが認められる。 上記認定事実によれば,被告による上記侵害行為がなければ,原告は登録品種A,Bの各菌床を販売することができたこと,上記各菌床1玉当たりの原告の利益額は25円を下らないことが認められる。 したがって,原告が種苗法34条1項に基づき被告に対し請求することのでき は登録品種A,Bの各菌床を販売することができたこと,上記各菌床1玉当たりの原告の利益額は25円を下らないことが認められる。 したがって,原告が種苗法34条1項に基づき被告に対し請求することのできる損害額は,原告主張のとおり,合計187万5000円を下らないものと認められる(計算式は,菌床Aにつき35,500- 32 -玉×25円=887,500円,菌床Bにつき79,000玉×25円×1/2=987,500円)。 (イ)これに対し被告は,被告による菌床Aの販売数3万5500玉及び菌床Bの販売数7万9000玉は,被告の営業力による販売結果であり,原告が登録品種A,Bの菌床の販売をしたとしても同様の販売結果を出すことはできなかったと主張する。 しかし,原告が上記販売数量を販売することができなかったとする具体的事情を認めるに足りる証拠はなく,被告の上記主張は理由がない。 イなお,原告は,種苗法34条2項に基づく損害額を選択的に主張しているが,本件において菌床A又は菌床Bの1玉当たりの被告の利益額が前記ア(ア)認定の原告の利益額を上回ることを認めるに足りる十分な証拠はないから,上記主張は採用することができない。 (2)調査費用についてア原告は,被告による本件育成者権A,Bの侵害の事実を確認するため,現地調査に原告の社員を派遣したり,被告が販売した菌床の対峙培養試験を行い,別紙4のとおり,合計245万4519円の費用を要したと主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり理由がない。 (ア)別紙4には,「1.社員の現地調査」の項目に原告社員による現地調査費用(旅費及び調査時間に応じた人件費)と,「2.対峙培養試験の費用」の項目に対峙培養試験の実施に要した人件費とが,調査費用として計上されている。 原告は,上記調査費用を裏付ける証拠と よる現地調査費用(旅費及び調査時間に応じた人件費)と,「2.対峙培養試験の費用」の項目に対峙培養試験の実施に要した人件費とが,調査費用として計上されている。 原告は,上記調査費用を裏付ける証拠として,現地調査を行ったとされる原告従業員戊ら作成に係る「出張復命書兼旅費精算書」(甲6の1ないし甲6の30)及び戊ら(対峙培養試験を行ったとされる原- 33 -告従業員己を含む。)の平成17年8月分の給与台帳(甲7の1ないし甲7の6)を提出している。 しかし,まず,現地調査の点については,上記「出張復命書兼旅費精算書」の記載によっても,同一日中に現地調査に必要な訪問先以外の訪問先を訪れている例(甲6の3等)も見られること,また,同一の訪問先においても,通常の営業活動と被告が菌床A,Bを販売したかどうかの確認に要する作業との明確な区別は困難であること等を考慮すると,実際に現地調査のためだけに別紙4記載のとおりの旅費及び調査時間を必要としたのかどうかという点は,明らかではない。 また,現地調査又は対峙培養試験について,原告従業員らが通常の日常業務に加えてこれらの追加的な業務を行ったことにより,原告において,時間外労働による割増賃金の支払を余儀なくされたといったような,本件の調査のために通常の労務費として支出すべき給与等の費用に加えて具体的な費用が現実に追加的に発生したと認めるに足りる証拠はない。 (イ)加えて,前記1(4)に認定のとおり,被告は,本件訴訟の提起前に,原告の求めに応じて,菌床A,Bの販売時期,販売先,販売数量等を具体的に開示している。 (ウ)前記(ア)及び(イ)の事情を総合すれば,原告主張の調査費用は,被告の本件育成者権A,Bの侵害による不法行為と相当因果関係のある損害であると認めることはできない。 (3)弁護士費用につい (ウ)前記(ア)及び(イ)の事情を総合すれば,原告主張の調査費用は,被告の本件育成者権A,Bの侵害による不法行為と相当因果関係のある損害であると認めることはできない。 (3)弁護士費用について原告は,本件訴訟の遂行のため弁護士費用の負担を余儀なくされたものであり,本件訴訟に至る経緯,本件訴訟の審理の経過等諸般の事情にかんがみると,被告の本件育成者権A,Bの侵害による不法行為と相当因果関係のある弁護士費用相当額の原告の損害額は,20万円と認めるのが相当- 34 -である。 (4)小括以上によれば,原告は,被告に対し,不法行為による損害賠償として合計207万5000円(前記(1)及び(3)の合計額)及びこれに対する不法行為の後である平成18年9月24日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 争点5(謝罪広告掲載請求の可否)について(1)原告は,被告が,本件育成者権A,Bを有する原告の許諾を得ることなく,菌床A,Bを,原告が販売する登録品種A,Bの各菌床よりも廉価で販売したことにより,登録品種A,Bの種菌及び菌床の価格相場や商品イメージを低下させ,原告の業務上の信用が害されたと主張する。 しかし,本件全証拠によっても,被告による菌床A,Bの販売により,登録品種A,Bの種菌又は菌床の価格相場や商品イメージが具体的に低下したことを認めるに足りない。 したがって,被告による菌床A,Bの販売により原告の業務上の信用が害されたとの原告の主張は,その前提を欠くものである。 (2)以上によれば,原告の本件謝罪広告掲載請求は,理由がない。 結論 以上によれば,原告の本訴請求は,被告に対し,別紙1記載1及び2の種苗の生産,譲渡等の差止め並びに207万5000円及びこれに対 )以上によれば,原告の本件謝罪広告掲載請求は,理由がない。 結論 以上によれば,原告の本訴請求は,被告に対し,別紙1記載1及び2の種苗の生産,譲渡等の差止め並びに207万5000円及びこれに対する平成18年9月24日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからこれを認容することとし,その余の請求は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部- 35 -裁判長裁判官大鷹一郎裁判官杉浦正典裁判官古庄研別紙1-A),(別紙1-B),(別紙4)は,省略(- 36 -(別紙1) 別紙1-Aの「重要な形質欄」記載の形質について「重要な形質に係る特性欄」記載の特性を有するしいたけ種の種苗(菌床の形態のものを含む。) 別紙1-Bの「重要な形質欄」記載の形質について「重要な形質に係る特性欄」記載の特性を有するしいたけ種の種苗(菌床の形態のものを含む。)- 37 -(別紙2)ミキサーオガクズ,栄養源,水を混合攪拌するための装置チェーンコンベアミキサーで攪拌されたものを袋詰機に移送する装置袋詰機チェーンコンベアから流れてきたものを袋単位に詰め込む装置菌詰込作業台詰め込まれた培地を手で押したり調整,若しくはコンテナに載せ換えるための作業台床殺菌釜培地を殺菌する装置殺菌釜用台車殺菌釜内に培地を投入する際の棚でありかつ台車仕殺菌トレー(6床用)1トレーに6床載せて,殺菌釜の台車に載せるバーナー込オイルタンク殺菌釜の付属装置防油提設接種機殺菌された培地に種菌を接種する装置栽培袋のシーラー接種の終わったものの栽培袋上部をシーリングする備装置接種作業台接種完了したものをシーリングするまでに一時溜め込む台クリー 提設接種機殺菌された培地に種菌を接種する装置栽培袋のシーラー接種の終わったものの栽培袋上部をシーリングする備装置接種作業台接種完了したものをシーリングするまでに一時溜め込む台クリーンベンチ無菌状態で種菌を接種するための装置コンプレッサー袋詰機動作用の装置種菌材オガクズ料栽培袋フスマ,米糠等の栄養源培培養ハウス養培養ハウス内の棚設暖房機培養温度を保つためのもの備冷房機培養温度を保つためのものフォークリフト菌床の出荷・移動時に使用- 38 -(別紙3)謝罪広告当社は,森産業株式会社(群馬県桐生市)が育成者権を有するしいたけ菌床「JMS5K―16」(品種登録番号第7219号)および「MM-2号」(品種登録番号第7166号,甲と共有)を,同社の許諾を得ずに製造・販売し,同社の育成者権を侵害し,同社に損害を与えました。 今後このような行為を二度と行わないことを誓約し,同社に対し深くお詫び申し上げます。 有限会社うめつぼ
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