【DRY-RUN】主 文 本件上告は之を棄却する。 上告費用は上告人等の負擔とする。 理 由 本件上告埋由は上告代理人提出の末尾に添付した上告理由書記載の通りである。
主文 本件上告は之を棄却する。 上告費用は上告人等の負擔とする。 理由 本件上告埋由は上告代理人提出の末尾に添付した上告理由書記載の通りである。 各論旨に對して次のやうに判断する。 上告理由第一點に對する判断原判決の摘示する當事者間に爭なき事實によれば被上告人先代亡Aは昭和三年十二月三十一日死亡し、被上告人に於てその家督を相續したが、右Aは大正十三年十二月二十七日子女の將來を慮り、自筆の証書を作成して後妻の子である上告人兩名に對し夫々「米四斗人五百俵人田地」を遺贈する旨を遺言しその遺言書を訴外Bに保管せしめた。しかるに右Bはその後昭和九年五月三日にいたり横手區裁判所において遺言書の檢認を受けたが、右遺贈は上告人兩名に對し相續財産中の田地の内夫々小作米玄米四斗入年五百俵を舉げ得べき部分を與へる趣旨で特定名義の遺贈ではあるが、その目的物が不特定であつたため昭和十年十二月四日訴外Cが遺言執行者に選任され、同人は昭和十一年六月十二日遺言の趣旨に従ひ、被上告人の相続財産から特定の田地を選定して上告人兩名に引渡したと云ふにある。 而して常時施行されてゐた改正前の明治三十一年法律第九號民法第千八十七條は遺言は遺言者死亡の時あらその效力を生ずる旨を規定しているが、その趣旨は必ずしも遺言者の死亡と同時に遺言の内容が實現すると云ふのでなく、遺言が遺言者の死亡の時あら、その意思表示としての效力を生ずると云ふに過ぎない。それ故遺贈の效果が遺言の效力發生と同時に物權的に生ずるか、或は又債權的請求權を受遺者に取得をせるに止まるかは結局遺言と云ふ意思表示の效果の問題であるあらこれを一様に断定すべきではない。例へば特定物の給付を目的とする遺贈において、遺言者の意思がいづれの效果を生ぜしめるにあるか不明な場合には せるに止まるかは結局遺言と云ふ意思表示の效果の問題であるあらこれを一様に断定すべきではない。例へば特定物の給付を目的とする遺贈において、遺言者の意思がいづれの效果を生ぜしめるにあるか不明な場合には民法第百七十六條の適用上遺言の效力發生と同時に物權的效果を生ずるものと解すべきであるが(大審院大正五年(オ)第四九一<要旨第一>號同年十一月八日判決参照)之に反し本件のような不特定物の給付を目的とする遺贈にあつては相續人は遺言</要旨第一>者死亡の結果遺言の效力としてその不特定物を特定し受遺者に完全な所有權を移轉する義務を負ふと共に他面受遺者はその給付に対する債権的請求權を有するに至るもので、この種の遺贈の效果は純粹に債權的であると解すべきであり、従つて遺言執行者が相続人に課せられた遺贈義務の履行として目的物を特定した時に始めてその所有權が受遺者に移轉するものと考へるのを至當とする。これを一般の法律行爲の原則に照らして見るに、右遺贈における受遺者たる上告人兩名の權利は被上告人の相続財産といふ一定範圍の田地の内玄米四斗入五百俵の小作米を挙げ得べき部分の給付を求むるもので所謂限定種類債權と目すべきであるが限定種類債權も亦種類債權に外ならないあらその特定の效果は將來に向つてのみ發生し既往に遡ることはない。尤も限定種類<要旨第二>債權に對しては選擇債權に於ける選擇權の行使及び移轉に關する民法第四百六條以下の規定が準用されるので</要旨第二>あるが(大審院大正五年(オ)第一〇八號同年五月二十日判決)限定種類債權にあつては給付の目的物は一定の範圍のものであつてその個性は何等顧慮すべきでないからこれについては特定の效果を既往に遡らしめる必要がなく民法第四百十一條は限定種類債權の特定の場合に準用されないものといはなければならない。要するに木件遺贈の目的物は の個性は何等顧慮すべきでないからこれについては特定の效果を既往に遡らしめる必要がなく民法第四百十一條は限定種類債權の特定の場合に準用されないものといはなければならない。要するに木件遺贈の目的物は遺言執行者Cが選定を了した前記昭和十一年六月十二日に夫々上告人等に所有權が移轉したものであるから、原審が同一趣旨の下に右所有權移轉の時期が遺言者Aの死亡の時であるとの上告人等の主張を排斥したのは正當で、原判決には、上告人等主張のような法令の適用を誤つた違法はない。上告人援用の大審院制決は特定物の給付を目的とする遺贈に關するもので、本件のやうな不特定物の給付を目的とする遺贈の場合には適切でない。結局第一點の所論は原審と異る見解を持してその適正なる制定を論難するもので到底これを採用するを得ない。 上告理也第二點に對する判断特定物の給付を目的とする遺贈と不特定物の給付を目的とする遺贈が同一の遺言書に記載してある場合にはその兩者を特定物の給付を目的とする遺贈として取扱い全部につき遺言者死亡の日から所有權移轉の效力を生ぜしぬなければならないと云ふ法則はなく、原判決には上告人主張のような法令の適用を誤つた違法はない。上告人援用の大審院何決は上告人がその趣旨を正解せざるもので本件の場合に適切でない。要するに論旨第二點は上告人獨自の見解に基き原審が適法に爲した判定を攻撃するもので採用に値しない。 よつて本件上告を理由ないものと認め民事訴訟法第三百九十六條第三百八十四條第八十九條を適用し主文の如く判決する。 (裁判長制事箕田正一判事大野璋五判事柳川昌勝判事渡邊葆判事薄根正男) 判事 渡邊葆 判事 薄根正男
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