平成15(わ)825 各強盗,強盗致傷,傷害,恐喝,暴行(被告人4名につき),窃盗(被告人Eにつき)

裁判年月日・裁判所
平成16年12月17日 神戸地方裁判所
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判決文本文18,071 文字)

主文 被告人4名をそれぞれ懲役8年に処する。 被告人4名に対し,未決勾留日数中各330日を,それぞれその刑に算入する。 被告人Aから押収してある金属バット1本(平成16年押第5号の1)を,被告人Bから押収してあるスタンガン1台(乾電池4個付き。同押号の2)をそれぞれ没収する。 理由 (罪となるべき事実)第1(平成15年12月26日付け起訴状記載の公訴事実関係)被告人4名は,共謀の上,平成15年6月25日午後11時25分ころ,大阪府池田市ab丁目所在のc公園広場において,C(当時30歳)に対し,被告人Dにおいてその頭髪を鷲づかみにした上,被告人Eにおいてその右膝及び右肘を所携の金属バット(平成16年押第5号の1)で殴打するなどの暴行を加え,よって,同人に全治約10日間を要する右肘,右膝打撲の傷害を負わせた。 第2(同年10月27日付け起訴状記載の公訴事実関係)1(同公訴事実第1の1関係)被告人4名は,共謀の上,同年6月26日午前零時25分ころ,兵庫県川西市de丁目f番所在のg駐輪場等において,F(当時23歳)に対し,被告人Dにおいてその顔面を手拳で多数回殴打するなどの暴行を加え,よって,同人に通院加療約4週間を要する頭部顔面打撲,左口唇裂創,鼻骨骨折,左拇指末節骨骨折の傷害を負わせた。 2(同公訴事実第1の2関係)被告人4名は,共謀の上,前記1記載の日時ころ,同記載のg1階エントランスホール西側において,G(当時22歳)に対し,被告人Aにおいてその頭部及び左下腿部を前記第1記載の金属バットで殴打した上,被告人Bにおいてその首筋にスタンガン(同押号の2)を押し当てるなどの暴行を加え,よって,同人に全治約7日間を要す 対し,被告人Aにおいてその頭部及び左下腿部を前記第1記載の金属バットで殴打した上,被告人Bにおいてその首筋にスタンガン(同押号の2)を押し当てるなどの暴行を加え,よって,同人に全治約7日間を要する頭部打撲,左下腿打撲,舌挫傷の傷害を負わせた。 3(同公訴事実第2関係)被告人Eは,前記1記載の日時ころ,同記載のg北側路上において,同所に駐車中の普通乗用自動車内から,前記G所有又は管理にかかる現金約2万円及び自動車運転免許証等8点在中の財布1個等4点(時価合計約2万1000円相当)を窃取した。 第3(同年7月17日付け起訴状記載の公訴事実関係)被告人4名は,共謀の上,同年6月26日午前零時35分ころ,兵庫県川西市hi番j号所在のk百貨店l店西側歩道上において,同所を歩行中のH(当時28歳)に対し,被告人Dにおいて「恐喝じゃ。」などと,被告人Aにおいて「金を出せ。」などと語気鋭く申し向けた上,同人を取り囲み,被告人Dにおいてその頭髪を鷲づかみにし,被告人D及び同Aにおいてこもごもその腹部等を数回足蹴にし,さらに,被告人Bにおいて同人の首筋等に前記第2の2記載のスタンガンを押し当てようとするなどの暴行,脅迫を加え,その反抗を抑圧して,同人から現金3000円及び定期券(1か月間有効で販売価額1万7000円)等3点在中の財布1個(財布の時価3000円相当)を強取した。 第4(同年11月28日付け起訴状記載の公訴事実関係)1(同公訴事実第1関係)被告人4名は,共謀の上,同年6月26日午前1時ころ,兵庫県伊丹市mn丁目o番地先路上において,同所付近を自転車で走行中のI(当時19歳)を認めるや,被告人らが乗車する普通乗用自動車2台を前記I運転の自転車の前後付近に停止させて挟み撃ちにして同人を停車させた上,同人に対し,被告人E において,同所付近を自転車で走行中のI(当時19歳)を認めるや,被告人らが乗車する普通乗用自動車2台を前記I運転の自転車の前後付近に停止させて挟み撃ちにして同人を停車させた上,同人に対し,被告人Eにおいて「金を出すかしばかれるか,どっちがいい。」などと語気鋭く申し向けて金員の交付を要求し,その要求に応じなければ同人の身体等にどのような危害を加えるかも知れない気勢を示して脅迫し,その旨同人を畏怖させ,よって,即時同所において,同人から現金1万1000円の交付を受け,もって,人を恐喝して財物を喝取した。 2(同公訴事実第2関係)被告人4名は,共謀の上,前記1記載の日時場所において,前記Iに対し,被告人Dにおいてその顔面を手拳で1回殴打する暴行を加えた。 第5(同年8月13日付け起訴状記載の公訴事実関係)1(同公訴事実第1関係)被告人4名は,共謀の上,同年6月26日午前1時5分ころ,兵庫県伊丹市mp丁目q番地所在のr専用駐車場西側路上において,同所で立ち話をしていたj(当時21歳)に対し,被告人Dにおいて,「何見とんじゃ。」などと語気鋭く申し向けて,その頭髪を手でつかんで同人の顔面を手拳で1回殴打し,さらに,被告人D及び同Aにおいてこもごもその腹部等を数回足蹴にし,被告人Bにおいて同人の首筋に第2の2記載のスタンガンを押し当てるなどの暴行,脅迫を加え,その反抗を抑圧して,同人から,被告人Eにおいて現金約1900円及び自動車運転免許証等5点在中の手提げかばん1個(時価合計約1万5000円相当)を強取し,その際,前記暴行により,同人に加療約3週間を要する顔面打撲傷,右胸部打撲傷等の傷害を負わせた。 2(同公訴事実第2関係)被告人4名は,共謀の上,前記1記載の日時ころ,兵庫県伊丹市ms丁目t番地先路上において,前記Jに 加療約3週間を要する顔面打撲傷,右胸部打撲傷等の傷害を負わせた。 2(同公訴事実第2関係)被告人4名は,共謀の上,前記1記載の日時ころ,兵庫県伊丹市ms丁目t番地先路上において,前記Jに対する前記暴行を制止しようとした同人の友人K(当時20歳)に対し,被告人Aにおいてその顔面を手拳で1回殴打するなどの暴行を加え,よって,同人に全治約1か月半を要する下顎骨骨折(左関節頭)の傷害を負わせた。 (事実認定の補足説明)【以下,事件審理中用いられた呼称に従い,判示第1の犯行を「第1事件」,判示第2の各犯行を「第3事件」,判示第3の犯行を「第4事件」,判示第4の各犯行を「第5事件」,判示第5の各犯行を「第6事件」という。そして,第1事件と第3事件の間に被告人4名が通行人に対して暴行を加えた事件(起訴されていない事件)を便宜上「第2事件」という。】。 第1,第3ないし第6事件は平成15年6月25日午後11時25分ころから翌26日午前1時5分ころまでの約1時間半の間に連続的に敢行された犯行であるところ,第4事件ないし第6事件について,検察官は,第4事件の前に被告人4名の間には通行人に対し暴行を加えるだけでなく,暴行を加えて金品奪取に及ぶ旨の事前共謀が成立し,これに基づいて第4事件以降の犯行が敢行された旨主張するのに対して,①第4事件について,被告人Dを除く被告人3名は強盗の故意及び共謀を否認し,同被告人らの各弁護人は同被告人らは暴行の限度で責任を負うに止まる旨,②第5事件中判示第4の1の恐喝について,被告人Eを除く被告人3名は恐喝の故意及び共謀を否認し,同被告人らの各弁護人は同被告人らは恐喝については無罪である旨,③第6事件中判示第5の1の強盗致傷について,被告人4名は強盗の故意及び共謀を否認し,被告人Eの弁護人は同被告人は傷害及び窃盗の 否認し,同被告人らの各弁護人は同被告人らは恐喝については無罪である旨,③第6事件中判示第5の1の強盗致傷について,被告人4名は強盗の故意及び共謀を否認し,被告人Eの弁護人は同被告人は傷害及び窃盗の限度で責任を負うに止まる旨,被告人Eを除く被告人3名の各弁護人は同被告人らは傷害の限度で責任を負うに止まる旨主張する。 当裁判所は,関係証拠によれば,第4事件の開始前までに,被告人4名の間に被害者となる通行人に暴行を加え,場合によっては被害者から金品を奪取することをも容認する旨の事前共謀が成立したものと認めるに十分であると判断したのであるが,その理由について補足して説明する。 1 関係証拠によれば,以下の事実が認められる。 (1) 被告人4名の関係等被告人Bは,兵庫県宝塚市内の事務所兼店舗で中古自動車販売業を営むLの代表者,被告人A,同D及び同Eは,Lの従業員であるが,被告人4名は,平成15年4月ころから,ストレスを解消するためであるとして,夜遅くに自動車で出掛け,通行人の若い男を標的にして,集団で暴行を繰り返していた。 (2) 本件各犯行に至る経過平成16年6月25日午後8時ころ,L事務所で,被告人Eが同Dに声を掛けるなどして,被告人4名の間で通行人等に暴行を加える目的で自動車で出掛ける話がまとまり,同日午後11時ころ,被告人Eが同Bを助手席に同乗させて普通乗用車(車種トヨタアリスト。以下「アリスト」という。)を運転し,被告人Dが同Aを助手席に同乗させて普通乗用車(車種トヨタセルシオ。以下「セルシオ」という。)を運転し,L事務所を出発した。その際,被告人Aは金属バット2本をセルシオの後部座席に積載し,被告人Bはスタンガンを事務所の机から持ち出しこれを携帯していた。 (3) 第1事件の犯行状況被告人4名は,同日午後1 発した。その際,被告人Aは金属バット2本をセルシオの後部座席に積載し,被告人Bはスタンガンを事務所の机から持ち出しこれを携帯していた。 (3) 第1事件の犯行状況被告人4名は,同日午後11時ころ,判示c公園で被害者Cら4名が花火をしているのを見付け,被告人Dが被害者Cに対して「お前ら,何見とんねん。」と因縁を付け,その頭髪を鷲づかみにし,被告人Aと同Eがそれぞれ金属バットを,被告人Bがスタンガンを持って被害者Cに近付き,被告人Eが被害者Cの右膝及び右肘付近をバットで殴打するなどの暴行を加えた。被告人Aの跳び蹴りを避けた同被害者は被告人Dを振り払って逃れ,携帯電話で110番通報すると,これに気付いた被告人4名は,その場からセルシオ及びアリストを発進させて逃走した。 (4) 第2事件の状況その後,被告人4名は,兵庫県伊丹市内のu駅東側にあるショッピングセンターv前の路上にセルシオとアリストを駐車させ,たまたま自転車に乗って付近を通りかかった若い男を被告人Dにおいて「検問や。」と叫ぶなどして自転車ごと転倒させ,被告人Dと同Aがその体を足蹴にし,被告人Eがバットで殴り付ける暴行を加えた。 (5) 第3事件の犯行状況被告人4名は,翌26日午前零時25分ころ,判示g付近路上に至った際,同所に被害者G運転の自動車が止まっており,運転席の同被害者が同車横に立っていた被害者Fと話をしているのを見掛けた。セルシオを運転していた被告人Dは,「あいつらさっき見とった奴らや。」と言い,同車助手席の被告人Aとの間で被害者Fと同Gとを襲う旨暗黙のうちに意を通じ,セルシオを被害者Fと同Gの傍らに停車し,両名に対し「何を見とったんや。」などと因縁を付けた。いったん同所を通り過ぎていたアリストに乗車中の被告人B及び同Eがこれに気付いて同現場に引 うちに意を通じ,セルシオを被害者Fと同Gの傍らに停車し,両名に対し「何を見とったんや。」などと因縁を付けた。いったん同所を通り過ぎていたアリストに乗車中の被告人B及び同Eがこれに気付いて同現場に引き返し被告人Dらと合流するうち,被告人Dにおいて被害者Fを前記g駐輪場に連行して被害者Fの顔面を手拳で多数回殴打し,被告人Aにおいて同Eが持っていたバットで被害者Gの頭部を殴打するなどして,同被害者を昏倒させた。さらに,被告人Bは,スタンガンのスイッチを入れて被害者Gの頚部等に押し当て,被告人Aはバットで同被害者の足を殴り付けるなどした。 その間,被告人Eは,被害者Gの自動車内から同被害者の財布,鍵束,携帯電話,CD等を奪った。そして,被告人4名は,アリストとセルシオに前同様に2名ずつ分乗して同所から逃走した。 (6) 第4事件に至る経緯その後,被告人4名は,兵庫県川西市内の阪急電鉄w駅高架下(以下「w高架下」という。)に至ったが,その途中,アリストの車内で,被告人Eにおいて被害者Gから奪った財布や携帯電話等を取り出し,被告人Bにおいてこれらを手に取って財布の中身を確認するなどしたが,同被告人においてその際もその後も被告人Eに対し金品を奪取したことを咎めたり非難することはなかった。 被告人4名がw高架下にセルシオとアリストを停車させ小休止した際,被告人Eは,被告人Dと同Aに前記財布を見せ,「持っといて下さい。」などと言いながら,財布内にあった現金を被告人Dに渡し,同被告人は何も言わずにその現金を受け取った。これを見ていた被告人Aが同Eに「あのお金どうするんですか。」と尋ねると,同被告人は「分けるんちゃう。」と答え,被告人Aは,被告人Eから同被告人が奪った被害者GのCDを渡されてこれを受け取り,被告人Dと同Aが携帯電話 人Aが同Eに「あのお金どうするんですか。」と尋ねると,同被告人は「分けるんちゃう。」と答え,被告人Aは,被告人Eから同被告人が奪った被害者GのCDを渡されてこれを受け取り,被告人Dと同Aが携帯電話を触っていると,被告人Bは「あんまり触ったらあかんで。」とか「そいつの彼女可愛いやろう。」などと話し,あるいは,被告人Eは,被告人Aに前記財布内のガソリンカードを使ったらどうかと声を掛け,被告人Aがこのカードは使えるかと聞くと,被告人Bは,「あかんやろ。」と答えるなどしていたが,この間,被告人Eが被害者Gから財布等を奪ったことを非難する者はいなかった。 その後,被告人4名は,セルシオとアリストに前同様に分乗してw高架下から自動車を発進させた。 (7) 第4事件の犯行状況被告人Dは,同日午前零時35分ころ,被害者Hが判示k百貨店l店西側歩道を歩いているのを見掛けるや,被告人Aに「あれいこか。」と同被害者を襲うことを誘い,その旨意思を相通じ,停車させたセルシオから降りて同被害者に近付き,「おい。」と同被害者を呼び止めた上,同被告人が「恐喝じゃ。」などと,被告人Aが「金を出せ。」などとそれぞれ語気鋭く申し向け,被告人Dが被害者Hの頭髪を鷲づかみにして,被告人Aとこもごも被害者Hの腹部,胸部等を何度も足蹴にした。また,このころまでに被告人B及び同Eも合流して被告人4名が同被害者Hを取り囲んでいたが,さらに,被告人Bが,スタンガンのスイッチを入れて同被害者の体に押し当てようとした。これらの暴行,脅迫を受け抗拒不能となった被害者Hは,「出します。」などと言いながら財布を出し,被告人Aがこれを奪った。被告人4名は,なおも,同被害者を転倒させ,被告人Bはスタンガンの火花を出しながらこれを同被害者の首に押し当てた。 (8) 第5事件に至る経 。」などと言いながら財布を出し,被告人Aがこれを奪った。被告人4名は,なおも,同被害者を転倒させ,被告人Bはスタンガンの火花を出しながらこれを同被害者の首に押し当てた。 (8) 第5事件に至る経緯被告人4名は,第4事件の犯行後,セルシオとアリストに前同様に分乗して逃走したが,セルシオの車内で被告人Aは,被害者Hから奪った財布を取り出し,その中から1000円札数枚を抜き取って被告人Dに渡し,同被告人はこれを受け取った。その後,被告人4名が兵庫県宝塚市xy丁目所在のPz店(以下「P」という。)で小休止した際,被告人Eが被告人Dに「今日のあがりいくらくらいですか。」などと尋ねると,被告人Dは「2万くらいちゃう。」と答えた。 (9) 第5事件の犯行状況被告人4名は前同様アリストとセルシオに分乗してPを出発し走行していたが,アリスト車内から被告人Eがセルシオ車内の被告人Aに,「次は挟み撃ちにする。」と携帯電話で連絡するなどして,被告人4名がその旨意思を相通じて,同日午前1時ころ,兵庫県伊丹市mn丁目o番地先路上を自転車で走行していた被害者Iを発見し,被告人Bがアリストを同被害者の進路を塞ぐようにその自転車の直前に停車し,被告人Dも,同被害者の右横直近にセルシオを停車させ,被告人Eが,アリストから降り,同被害者に対し「しばかれるのと金出すのとどっちがいい。」などと脅し,同被害者が「勘弁して下さいよ。」などというと,助手席の窓を全開にしていたセルシオの運転席から被告人Dが「何笑っとんねん。」と怒鳴った。被害者Iは畏怖し,「財布ごとは勘弁して下さい。」などと返事をして,財布から1万1000円を出してを被告人Eに渡した。セルシオから下車した被告人Dは,その後,同被害者の顔面を1回殴打した。 そして,被告人Aが被告人Dに替わって同 て下さい。」などと返事をして,財布から1万1000円を出してを被告人Eに渡した。セルシオから下車した被告人Dは,その後,同被害者の顔面を1回殴打した。 そして,被告人Aが被告人Dに替わって同被告人を助手席に同乗させてセルシオを運転し,アリストを被告人Bが運転して同所から逃走したが,被告人Eは,被告人Bに「すぐ金出しました。」などと報告した。 (10) 第6事件の犯行状況その直後である同日午前1時5分ころ,先行するアリストに追随するセルシオに乗車していた被告人A及び同Dは,被害者Jと同Kが判示のr専用駐車場西側路上で自転車に乗ったまま立ち話をしているのに気付き,被害者Jと同Kのそばにセルシオを停車させ,被告人Dにおいて,被害者Jと同Kに対し「何見とんじゃ。」と因縁を付け,被害者Jの頭髪を鷲づかみにしてその顔面を手拳で1回殴打して自転車ごと転倒させ,被告人Aとともに同被害者の腹部等を数回足蹴にした。これに気付いた被告人B及び同Eは同所に戻り,被告人4名が被害者Jと同Kを取り巻き被害者Jをこもごも足蹴にし,さらに,被告人Bが同被害者にスタンガンのスイッチを入れてこれをその首筋に押し当てるなどの暴行を加えた。この間,被告人Eは被害者Jの自転車の前かご内から鞄を奪い,被告人Aは被害者Kともみ合いになって判示の居酒屋M前に移動して同被害者の左顎を手拳で1回殴打したが,被害者Kが居酒屋Mの従業員に助けを求めたため,被告人4名は,その場から逃走した。 (11) 一連の犯行後の状況その後,被告人4名は,兵庫県宝塚市a2b2丁目所在のレンタルビデオ店『N』駐車場(以下「N駐車場」という。)に集まり,被告人Eにおいて被害者Jから奪った黒色鞄を他の被告人3名に見せ,財布には3000円くらいしか入っていないと話し,あるいは被告人Bと同Dに ビデオ店『N』駐車場(以下「N駐車場」という。)に集まり,被告人Eにおいて被害者Jから奪った黒色鞄を他の被告人3名に見せ,財布には3000円くらいしか入っていないと話し,あるいは被告人Bと同Dにおいて鞄に入っていた財布の中身を確認するなどした。 その後,被告人4名は,再び前同様にアリストとセルシオに分乗してN駐車場から出発したが,被告人B,同Eが乗るアリストは,被告人A,同Dが乗るセルシオと分かれ,L事務所に戻り,被告人Bは,同Eとともに第3事件及び第6事件で奪った各被害者の所持品を確認し,被害者Gと同Jの財布から各被害者の運転免許証を抜き取って自ら保管しておくことにし,他の物品は付近のコンビニエンスストアのごみ箱に捨てた。なお,被告人Eは,第6事件の後,被告人Bに被害者Gの財布内の小銭を自分のものにしてよいかと尋ね,被告人Bはこれを了承した。 以上のとおり認められる。なお,被告人Eは,第2事件の後,被告人4名が,アリストとセルシオを停車させて雑談をしたとき,被告人Dが「そろそろ金いこか。」と言った旨,捜査段階から公判段階に至るまで一貫して供述しているが,この事実を述べるのは被告人Eだけで被告人D及び同Aがこれを明確に否定していることのほか,被告人4名が自動車に乗り込む間際に出た発言であることにも照らすと,被告人Dが述べるように「そろそろ行こうか。」と言ったのを被告人Eが聞き間違えた可能性が濃厚であるから,前記被告人Eの供述は信用できない。 2 第4事件以降の金品奪取の事前共謀の成否について(1) 被告人4名は若い男を標的に通行人に暴行を加えることを目的として2台の車に分乗して犯罪集団として共同で同一行動をしていたものであるところ,前記認定事実,とりわけ第3事件後移動中のアリスト車内において被告人Bが被害者Gの財布の中身 に暴行を加えることを目的として2台の車に分乗して犯罪集団として共同で同一行動をしていたものであるところ,前記認定事実,とりわけ第3事件後移動中のアリスト車内において被告人Bが被害者Gの財布の中身を見ていたこと,w高架下において,第3事件で被告人Eが被害者Gから奪った金品のうち被告人Dが現金を,被告人AがCDをそれぞれ受け取ったこと,被告人4名が第3事件の被害者Gの財布に在中していたガソリンスタンドのカードが使えるか否か会話したり,被害者Gの携帯電話を見て楽しむなどしていた事実からすれば,被告人4名は,w高架下において,第3事件で被告人Eが他の被告人において被害者Gに暴行を加えている間に同被害者からその金品を窃取したことに対してこれを容認する心情を共有し,相互にそのような心情にあることを了解していたものと認められる。そして,このような状況のままさらに同種の犯行に及べば,第4事件以降,標的とした被害者に暴行を加える際に同人らから金品を奪取する共犯者が出ることは十分予想できるのであって,被告人4名においてもそのことを予想していたものと認められるところ,現に第4事件以降では全事件で被告人4名のうちのいずれかが金品を奪っていること,第4事件においては,被告人Dと同Aが被害者Hに近付くや直ちに「恐喝じゃ。」などと申し向けていること,被告人Aが被害者Hから奪った財布の中の現金をその後当然のように被告人Dに渡し,Pでは被告人Eが同Dにそれまで奪った現金の総額を聞いていること,被告人4名が第6事件の後O駐車場において被告人Eが被害者Jから奪ってきた黒色鞄や財布の在中金について話すなどしたこと,被告人B及び同Eについては,さらに,第6事件の後Lに戻ってから奪取品を確認していること等の事実を併せ考慮すれば,w高架下において,被告人4名の間に,その後の暴行 の在中金について話すなどしたこと,被告人B及び同Eについては,さらに,第6事件の後Lに戻ってから奪取品を確認していること等の事実を併せ考慮すれば,w高架下において,被告人4名の間に,その後の暴行の機会に4名の誰かがその相手方から金品を奪取しても他の被告人はこれを容認する旨暗黙のうちに意思を相通じたことを認めるに十分であり,これは金品強取あるいは喝取の共謀として不足のない内容であると認められる。 以上のとおり,w高架下において,被告人4名の間に,金品強取あるいは喝取(そのいずれになるかも,被告人らにおいてどの程度の暴行を加えるかについて制限を設けず,従って場当たり的にそのいずれに至っても構わないという内容のもの。)の黙示の事前共謀が成立したと認められる。 (2) ところで,被告人A,同D及び同Eは,捜査段階における供述調書において,w高架下で,第4事件以降,被告人4名の間に,通行人等に暴行を加える際に,金品を奪取する旨の共謀が黙示に成立したことを承認する旨の供述をしているところ,被告人A,同B及び同Eの弁護人は,これら捜査段階における被告人A,同D及び同Eの各供述調書中の供述は,押し付けや誘導によりなされた各被告人の意思と異なる供述であると主張し,これら被告人3名も公判廷で同趣旨の供述をする。 しかし,被告人A,同D及び同Eの各供述調書中には,問答による供述記載もあり,被告人Dの供述調書中には,第3事件の前に「そろそろ金いこか。」とは言っていない,第5事件で被告人Eが被害者Iに金品を要求していることに気付いていなかったといった,公判廷における弁解と同様の供述記載があり,さらに,被告人Eの検察官調書の中には訂正の申し入れをしているものもあるところ(乙45,98),これらの事情は,捜査官の誘導や押し付けにより被告人らの認識と異な 廷における弁解と同様の供述記載があり,さらに,被告人Eの検察官調書の中には訂正の申し入れをしているものもあるところ(乙45,98),これらの事情は,捜査官の誘導や押し付けにより被告人らの認識と異なる供述が記載されたものではないことを示すものであるほか,これらの供述調書の内容をみても,被告人3名の当時の心理状況を織り交ぜた具体的で相互に符合した供述であり,捜査及び公判を通じて被告人4名が認めている外形的事実に照らしても不自然なところのない内容の供述というべきである。なお,本件第1回公判期日(平成15年9月26日)後に作成された被告人A,同D及び同Eの検察官調書の中には,第5事件に関する供述調書中であるとはいうものの,第4事件前に強盗の共謀があったことを承認する供述記載が認められる〔被告人Aの平成15年11月13日付け検察官調書(乙92),被告人Dの同月10日付け検察官調書(乙94),被告人Eの同月12日付け検察官調書(乙98)〕。 他方,被告人A,同D及び同Eのこれら捜査段階において事前共謀があったことを承認する供述をした理由に関する公判廷での各供述は,その内容において不自然不合理である上,合理的理由なく変遷しているなど,信用し難いものである。 したがって,被告人A,同D及び同Eのw高架下において被告人4名の間に強盗の共謀が成立した旨の捜査段階の各検察官調書中の各供述は,当時各被告人において金品を奪取する旨の共謀が黙示に成立したと評すべき心情にあったことをそれぞれ承認したという限度で,十分に信用できるというべきである。 被告人Bの弁護人は,被告人A,同D及び同Eは捜査段階において,一連の犯行における役割分担に関して供述しているが,犯行時において被告人らは役割分担についての認識などなかったのであり,そのような供述記載があるこ 弁護人は,被告人A,同D及び同Eは捜査段階において,一連の犯行における役割分担に関して供述しているが,犯行時において被告人らは役割分担についての認識などなかったのであり,そのような供述記載があること自体捜査官の考えを被告人らに押し付けたことを示すものであると主張するが,前記認定事実によれば,第5事件についてはやや態様が異なるものの,被告人らは,おおよそ,被告人Dあるいは同被告人及び被告人Aが最初に被害者を襲って暴行を加えるなどし,被告人Bは当初は手を出さず,被害者が抗拒困難な状態に陥った段階でスタンガンを使用する,被告人Eは付和雷同的に暴行に加わりあるいは金品を奪うといった各人の行動傾向を互いに認識しつつ行動していたものと認められるのであって,これを自然発生的な役割分担の形成と評価することは十分に可能であり,これを最初に役割分担と評価,表現したのが捜査官であったとしても,被告人4名において,それぞれそのように表現されるような行動様式があったことを承認し,その旨の供述調書作成に応じたと認められるから,被告人Bの弁護人の前記主張は理由がない。 (3) 被告人A及び同D(第4事件を除く。)は通行人等に暴行を加える目的しかなかった,被告人Bはスタンガンの威力を試す目的があっただけであるとして,いずれも金品奪取の動機や故意がなかった旨弁解し,被告人A,同D(第4事件を除く。)及び同Bの各弁護人は同被告人らに金品強取の共謀は成立していないと主張する。また,被告人Eは通行人等に暴行を加えることが嫌で暴行に加わらない代わりに他の被告人の暴行とは無関係に被害者から金品を奪っていただけである旨弁解し,被告人Eの弁護人は同被告人に事前に強盗の共謀は成立していないと主張する。 しかし,被告人4名が自認するストレス等を解消するためあるいは快感を得る 者から金品を奪っていただけである旨弁解し,被告人Eの弁護人は同被告人に事前に強盗の共謀は成立していないと主張する。 しかし,被告人4名が自認するストレス等を解消するためあるいは快感を得るために通行人等に暴行を加えることと,その際相手方から金品を強取ないし喝取することとの間には,成り行き次第で金品奪取に及ぶなど,一般論としても十分に両立する関係があるといえるから,被告人4名の当初の目的が4名で通行人である若い男等に対し暴力を加えるだけのものであったとしても,そのこと自体からは,その後の金品奪取の共謀の成立が否定されるものではない。そして,1認定の事実によれば,本件一連の犯行が,通行人等に暴行を加えていた被告人4名において,途中からこれに加えて金品を奪取することを容認するという心情をも共有するようになって行われたものであることは明らかというべきであって,被告人4名の弁解はいずれも採用しない。 (4) 特に第4事件について被告人A,同Dは,第4事件において,「恐喝じゃ。」「金を出せ。」と言ったのは金品を要求する意図で述べたものではなく単なる脅し文句である旨弁解するが,その文言自体,金品要求そのものであることに照らすと,金品を奪う意図が全くなかった旨の前記被告人両名の弁解は到底信用できない。 そして,被告人4名は,第4事件以降,他の被告人が暴行の機会に金品を強取することは予想できなかった,他の被告人がどのような気持ちであるかは考えていなかったなどと弁解するが,前記1認定の事実関係,殊に被告人4名がw高架下で第3事件の被害者Gから窃取した金品を見るなどした際被告人Eの窃盗行為を容認する態度を示したことに徴すれば,これまた不自然,不合理であって信用できない。 (5) 特に第5事件について被告人A,同D 害者Gから窃取した金品を見るなどした際被告人Eの窃盗行為を容認する態度を示したことに徴すれば,これまた不自然,不合理であって信用できない。 (5) 特に第5事件について被告人A,同D及び同Bは,第5事件についても,被告人Eの行為は自分には関係ないことであると思っていた,被告人B及び同Dは,同Eが被害者Iから現金を喝取したことに気付いていないなどと弁解し,各弁護人は前記各被告人につきそれぞれ恐喝の共謀は成立しないと主張する。 しかし,既に認定したとおり,被告人4名は,w高架下において成立した黙示の事前共謀に基づいて第4事件を敢行している上,その後,被告人Aが第4事件で被害者Iから強取した現金を被告人Dに渡し,Pで被告人Aが同Dに奪った現金がどれだけになるのか尋ねるなどした後,第5事件に及んでいるのであって,この間被告人4名の間の金品奪取の共謀や犯意が解消,消滅したことを窺わせる事情は全くない。 加えて,第5事件では,被告人4名が分乗していたセルシオとアリストで被害者Iの進路を塞ぎ逃げられないよう取り囲んだ上,被告人Eだけがアリストから下車して同被害者に近付いて金品要求をし,その後被告人Dが同被害者に暴行を加えているのであって,むしろ被告人4名が暴行のみを目的として行動しているとは言い難い態様の犯行であると認められる。 前記弁解,主張は採用できない。 (6) 特に第6事件について被告人A,同D及び同Bは,第6事件において,被告人Eが被害者Jから金品を強取したことに気付いておらず,これを事後に知ったにすぎないから,強盗の故意もその共謀もないと弁解し,これら被告人の弁護人も同様の主張をする。他方で,被害者から金品を奪った被告人Eは,同D及び同Aが被害者に対して暴行を加えたことに気付いていなかったと弁解し,被告 盗の故意もその共謀もないと弁解し,これら被告人の弁護人も同様の主張をする。他方で,被害者から金品を奪った被告人Eは,同D及び同Aが被害者に対して暴行を加えたことに気付いていなかったと弁解し,被告人Eの弁護人は同被告人には暴行と窃盗の故意しかなく,強盗の共謀は認められないと主張する。 しかし,そもそも,各被告人の個々の暴行,脅迫あるいは金品奪取行為中,各被告人において相互に認識していないものがあったとしても,前記のとおり事前共謀を遂げている本件にあっては,各犯罪の成立認定の妨げとなるものではない。 そして,被告人4名はw高架下で成立した強盗(暴行脅迫による金品奪取)の共謀に基づいて第4及び第5事件を敢行しているところ,第6事件は第5事件の直後に行われており,その金品奪取等の共謀や犯意が消滅したことを窺わせる事情は一切ない。加えて,被告人4名は第6事件の直後O駐車場で第6事件で奪った金品の確認をしているところ,その際,予想外の出来事であると受け止めたことを窺わせるような言動をしたものは誰一人おらず,逆に,被告人4名の言動はむしろこれを当然とするものであったこと,被告人Eは,他の被告人が被害者J及び同Kに暴行を加えている間,これにより被害者Jが反抗できない状況にあることを認識しつつこれを利用して同人の鞄を奪っていると認められること等からすれば,第6事件も被告人4名の共謀に基づく犯行であると優に認められる。被告人4名の弁護人の前記各主張はいずれも採用できない。 (法令の適用)被告人4名の判示第1,第2の1,第2の2及び第5の2の各所為はいずれも刑法60条,204条に,判示第3の所為はいずれも同法60条,236条1項に,判示第4の1の所為はいずれも同法60条,249条1項に,判示第4の2の所為はいずれも同法60条,208条に,判示第 れも刑法60条,204条に,判示第3の所為はいずれも同法60条,236条1項に,判示第4の1の所為はいずれも同法60条,249条1項に,判示第4の2の所為はいずれも同法60条,208条に,判示第5の1の各所為はいずれも同法60条,240条前段(236条1項)に,被告人Eの判示第2の3の所為は同法235条にそれぞれ該当するところ,被告人4名の判示第1,第2の1,第2の2,第4の2,第5の2の各所為につきいずれも懲役刑を,判示第5の1の所為につきいずれも有期懲役刑をそれぞれ選択し,以上(被告人E以外の被告人3名については判示第2の3の罪を除く。)は被告人4名につきいずれも同法45条前段の併合罪であるから,いずれも同法47条本文,10条により最も重い判示第5の1の罪の刑に同法14条の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人4名をいずれも懲役8年に処し,同法21条を適用して被告人4名に対し未決勾留日数中各330日をそれぞれその刑に算入し,押収してある金属バット1本(平成16年押第5号の1)は,判示第1の犯行の用に供された物で被告人A以外の者に属せず,押収してあるスタンガン1台(乾電池4個付き。同押号の2)は判示第3の犯行の用に供した物で被告人B以外の者に属しないから,同法19条1項2号,2項本文を各適用して,金属バット1本を被告人Aから,スタンガン1台を被告人Bからそれぞれ没収することとする。 (量刑の理由) 1 本件は,被告人Bが経営する職場で働く被告人4名が共謀の上,通行人を標的に夜間約1時間半の間に連続して敢行した傷害(第1事件,第3事件),強盗(第4事件),恐喝,暴行(第5事件),強盗致傷,傷害(第6事件),及び第3事件で被告人Eが単独で敢行した窃盗の各事案である。 2 事案の内容は事実認定の補足説明で詳細に述べたとおりであるとこ ,強盗(第4事件),恐喝,暴行(第5事件),強盗致傷,傷害(第6事件),及び第3事件で被告人Eが単独で敢行した窃盗の各事案である。 2 事案の内容は事実認定の補足説明で詳細に述べたとおりであるところ,被告人4名は,通行人等の中から喧嘩になっても反撃されずに痛め付けることができる若い男を選定して暴行を加えてストレス等を解消しようと考えて本件一連の犯行を敢行し,被害者に暴行を加え,さらに第4事件以降はこれをエスカレートさせて被害者から金品を奪ったのであり,その動機は著しく自己中心的で反社会的であり酌量の余地はない。また,第4事件以降の金品奪取には,利欲的動機も認められるのであって,これが第一次的目的であったとはいえないにしろ,厳しい非難に値する。 また,被告人4名は,事前にバットやスタンガンを準備して本件各犯行に及んでおり,集団による通行人に対する暴行,傷害については十分な計画性の認められる犯行である。 犯行態様をみても,被告人4名は,深夜,通行人に対しいきなり因縁を付け暴行を加えたもので,第5事件ではたまたま被告人Dが被害者の顔面を1回殴打するにとどまったが,それ以外の犯行では,いずれも各被害者に一方的かつ執拗熾烈な暴行を加えており,第1事件と第3事件では,金属バットを使用し,第3事件,第4事件,第6事件では,執拗な暴行により抵抗できなくなった被害者に対して被告人Bがスタンガンを使用して被害者に強い電気ショックを与えたもので,特に第3事件においては,被告人Aが被害者Gの頭部に金属バットを勢いよく振り下ろして殴打し気絶させ,その後被告人Bがスタンガンを被害者Gの身体に押し付けてその身体が痙攣するのを確認するという残忍な暴行を加えているのであって,極めて危険かつ悪質な犯行であった。 そして,被告人4名は,第4事件以降は,被害 Bがスタンガンを被害者Gの身体に押し付けてその身体が痙攣するのを確認するという残忍な暴行を加えているのであって,極めて危険かつ悪質な犯行であった。 そして,被告人4名は,第4事件以降は,被害者から金品を奪取することも容認するという黙示の共謀を遂げた上,勢いの赴くまま,各被害者から金品を強取等している。 本件各犯行の結果についてみれば,第1事件の被害者Cには全治約10日間を要する傷害を,第3事件の被害者Gには全治7日間を要する傷害を,被害者Fには加療約4週間を要する傷害を,第6事件の被害者Jには加療約3週間を要する傷害を,被害者Kには全治約1か月半を要する下顎骨骨折の傷害を負わせており,これら各被害者に負わせた傷害だけでも被告人4名の刑事責任は重大である。財産的被害について見ても,被告人4名は,第4事件以降,各被害者から現金合計約3万3000円,物品合計9点(時価合計1万8000円相当)の金品を奪取しており,その金額も決して少額とはいえない。加えて,被告人Eは,第3事件において被害者から現金約2万円及び財布等(時価合計2万1000円相当)を窃取している。 被告人4名は,このような一連の犯行をわずか1時間半余りの間に立て続けに行ったものであって,その犯行態様は,ほぼ無差別に標的を選定し,人の尊厳を無視した常軌を逸した犯行というべく,粗暴犯に対する常習性や粗暴的性向も認められ,極めて悪質である。 各被害者らにはいずれも何らの落ち度もなく,深夜,突然,4名の男から一方的に暴行を受けたことによる身体的苦痛や精神的打撃は大きく,また,このような凶悪な犯行が社会に与えた衝撃や不安感は甚大である。 3 各人に個別の情状をみると,まず,被告人Aは,同Dに追従して,各被害者に対して積極的に暴行を加えており,特に,第3事件では,被害者G このような凶悪な犯行が社会に与えた衝撃や不安感は甚大である。 3 各人に個別の情状をみると,まず,被告人Aは,同Dに追従して,各被害者に対して積極的に暴行を加えており,特に,第3事件では,被害者Gの頭部に勢いよくバットを振り下ろすという極めて危険な暴行に及んでいる。また,第4事件では,被告人Dと同様に被害者に対して金品を要求しており,金品奪取についても積極的に関与している。 被告人Dは,第1事件,第3事件及び第4事件において,真っ先に被害者に因縁を付けて,執拗に暴行を加えるなど,被告人4名の中では最も積極的に各被害者に暴行を加えており,凶器は用いていないものの,その暴行の態様程度も執拗かつ熾烈である。また,他の被告人が奪った現金を預かっただけでなく,第4事件では,被害者に対して金品を要求しているなど,金品奪取についても積極的に関与した側面も認められる。 被告人Bは,機会があればスタンガンを使用しようとし,第3事件,第4事件及び第6事件で,他の被告人らから暴行を受けて抵抗することが困難な状態に陥っていた被害者に対して現実にスタンガンを使用しているところ,いわばとどめを刺すがごとき残忍冷酷な犯行に及んだもので犯情は良くない。なお,被告人Bの弁護人は,被告人Bに自首が成立する旨主張するが,被告人Bが警察署に出頭した際既に逮捕状が発付されていて直ちに同令状により逮捕されている(乙64)のであって,法律上の自首が成立しないことは明らかである。 被告人Eは,被告人Dに追従して暴行を加えており,特に第1事件ではバットで暴行を加えるなど積極的に暴行に加わっている。また,第3事件では被告人Eが単独で金品を窃取してその後の一連の犯行を金品奪取事件に発展させるきっかけを作り,第5事件及び第6事件では,被害者の金品を奪取する等,金品奪取の犯行 に暴行に加わっている。また,第3事件では被告人Eが単独で金品を窃取してその後の一連の犯行を金品奪取事件に発展させるきっかけを作り,第5事件及び第6事件では,被害者の金品を奪取する等,金品奪取の犯行について最も積極的な役割を果たしている。 4 そして,被告人4名は,公判廷において,判示一連の犯行は,被告人4名の間では暴行ないし傷害の共謀が成立するに止まり,第4事件以降の事実のうち,自ら金品を奪取していないものにつき,金品奪取の故意や共謀を否認するなど,不自然,不合理な弁解を述べているところ,いずれも,その自己中心的な物の考え方に由来する弁解と窺われ,犯情は芳しくない。特に被告人Bは,捜査段階においても,自らの非常識かつ特異な発想に基づく不合理な弁解を繰り返しているだけでなく,スタンガンを人体に使用したときの危険性が高いことを認識していないと自己の暴行についてことさら過小に供述するなど弁解的であり,また,被告人Eも,前述したとおり,自らの認識を過小にいうだけでなく,他の共犯者に責任を転嫁する態度が明らかで,真摯な反省の態度は認められない。 5 そうすると,被告人4名の規範意識の歪みや乏しさは深刻であり,その刑事責任はいずれも重いというべきである。 6 他方,被告人4名は,親等の助力によるものであるとはいえ,弁護人を通じて被害者全員との間で示談が成立し,被害弁償をしており,その支払金額を見ると,被告人Aが総額169万5000円,被告人Dと同Bがそれぞれ総額167万円,被告人Eが総額154万5000円と相当高額であること,被告人Aと同Bは各被害者に対する謝罪の手紙を出したこと,被害者の一部は被告人4名の寛大な処罰を求める旨宥恕の意思を表明していること,被告人4名は,各被告人らなりに反省服罪の態度を示していること,被告人4名には前科がないこと,被 る謝罪の手紙を出したこと,被害者の一部は被告人4名の寛大な処罰を求める旨宥恕の意思を表明していること,被告人4名は,各被告人らなりに反省服罪の態度を示していること,被告人4名には前科がないこと,被告人4名の親が各被告人の更生に助力する旨述べていること,犯行当時被告人Aは20歳,同Eは22歳と若年であること,被告人Dには扶養すべき妻子がおり,その妻が同被告人の早期の社会復帰を望んでいることなど被告人4名のためにそれぞれ酌むべき事情が認められるが,これらの事情を最大限考慮しても,本件各犯行が相当凶悪な犯行であることに徴すれば,主文の刑はやむを得ないところである。 よって,主文のとおり判決する。 平成16年12月17日神戸地方裁判所第1刑事部裁判長裁判官杉森研二 裁判官橋本一 裁判官髙橋信幸

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