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主文 原判決を破棄する。本件を大阪高等裁判所に差し戻す。理由 被告人本人の上告趣意は、採証法則違反をいい事実誤認を主張するに過ぎず上告適法の理由にならない。職権をもつて調査するに、第一審判決は被告人に犯意があつたことの証明を欠き公訴事実については犯罪の証明がないとの理由から被告人に対し無罪の言渡をしたところ、原審は第一回公判期日に検察官の控訴趣意に基く弁論とこれに対する弁護人の意見を聴いただけで弁論を終結し自ら事実の取調をすることなく訟訴記録及び第一審で取り調べられた証拠のみによつていわゆる書面審理をした結果被告人に対し犯罪事実を認定しこれに原判示、外国人登録法の罰条を適用して第一審判決を破棄し被告人を罰金に処する言渡をしたこと記録上明らかである。しかし、本件のように、控訴裁判所が自ら事実の取調をすることなく訴訟記録及び第一審で取り調べられた証拠のみによるいわゆる書面審理で第一審が犯罪の証明なしとして無罪を言い渡した判決を破棄し自判によつて有罪判決を言い渡すことは刑訴四〇〇条但書の許さないところであることは当裁判所の判例とするところである(昭和二六年(あ)二四三六号同三一年七月一八日大法廷判決、集一〇巻七号一一四七頁)。されば原判決はこれを破棄しなければ著しく正義に反すること明らかである。よつて、刑訴四一一条一号、四一三条本文に従い、裁判官垂水克己の少数意見あるほか裁判官全員一致の意見により主文のとおり判決する。裁判官垂水克己の少数意見は次のとおりである。私は、原判決は刑訴四〇〇条但書に違反しないからこれを破棄すべきでなく、本件上告を棄却すべきものと考える。- 1 -現行法の控訴審は事後審査審であつて、控訴裁判所は公判廷で双方の弁論を聴いた以上、訴訟記録及び第一 〇〇条但書に違反しないからこれを破棄すべきでなく、本件上告を棄却すべきものと考える。- 1 -現行法の控訴審は事後審査審であつて、控訴裁判所は公判廷で双方の弁論を聴いた以上、訴訟記録及び第一審で証拠とすることができた証拠(刑訴三九四条)のみにより自ら格段の事実の取調をしないで一審の有罪判決を維持し或は本件のような無罪判決を破棄して有罪判決をすることができるのである。 を聴いた以上、訴訟記録及び第一 〇〇条但書に違反しないからこれを破棄すべきでなく、本件上告を棄却すべきものと考える。- 1 -現行法の控訴審は事後審査審であつて、控訴裁判所は公判廷で双方の弁論を聴いた以上、訴訟記録及び第一審で証拠とすることができた証拠(刑訴三九四条)のみにより自ら格段の事実の取調をしないで一審の有罪判決を維持し或は本件のような無罪判決を破棄して有罪判決をすることができるのである。被告人本人に公判廷への出頭を命ずるか否か、また自ら事実の取調をするか否かは事件の模様に従つてする控訴裁判所の判断に任かされ、これをしないで一審無罪を二審有罪に変更する裁判をしても刑訴法はこれを違法としないのであつて、ただ妥当を欠くか否かの問題が起りうるのみである。(殊に被告人が公判廷に出頭し、当事者双方事実の取調を請求しないまま、弁護人が被告人のため弁論したような場合であれば妥当を欠かないことも明らかな事案は少くない。)論者或は、一審の無罪判決を控訴審が書面審理のみで有罪に変更する判決をするなら被告人は審級の利益を失い控訴審裁判官に直接証言や自己の陳述を聴いて貰える利益を奪われ憲法に違反するというかも知れないが第一審の全審理が被告人の防禦権を害するところなくなされた以上被告人は第一審の利益を失わず、また、控訴審で直接証言を聴かなくても必しも常に憲法三一条、三七条に違反するものとはいえないのである。されば本件上告はこれを棄却すべきである。なお、私は、昭和三一年(あ)三一八五号同三三年二月一一日第三小法廷判決中の私の少数意見をここに引用する。検察官安平政吉公判出席昭和三三年四月二二日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官垂水克己裁判官島保 和三三年四月二二日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官垂水克己裁判官島保裁判官河村又介- 2 -裁判官小林俊三- 3 -
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