平成29(ワ)28189 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和2年1月17日 東京地方裁判所
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令和2年1月17日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成29年(ワ)第28189号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和元年12月6日判決 原告 株式会社フクヨー 同訴訟代理人弁護士髙橋早百合 八束和廣 川村敬子 同訴訟代理人弁理士河野貴明 同補佐人弁理士小池晃 村上浩之 旧商号 株式会社ライフ堂 被告 株式会社PPJ 被告 株式会社Life-do.Plus 上記両名訴訟代理人弁護士小西憲太郎 石堂一仁 川並理恵 田中彩 杉野崇太 白岩健介 片木研司 同補佐人弁理士小笠原宜紀 被告 株式会社大創産業 同訴訟代理人弁護士山田延廣 同補佐人弁理士小笠原宜紀被告株式会社大創産業同訴訟代理人弁護士山田延廣藤井裕寺本佳代工藤勇行 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告株式会社大創産業は,別紙1被告製品目録記載の製品を,使用し,譲渡し,貸し渡し,若しくは輸出し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 2 被告株式会社PPJ及び被告株式会社Lifedo.Plusは,別紙1被告製品目録記載の製品を,製造し,使用し,譲渡し,貸し渡し,若しくは輸出し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 3 被告らは,別紙1被告製品目録記載の各製品を廃棄せよ。 4 被告らは,原告に対し,連帯して2200万円及びこれに対する被告PPJ及び被告株式会社Lifedo.Plusにつき平成29年9月2日から,被告株式会社大創産業につき同月3日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 訴訟費用は被告らの負担とする。 6 仮執行宣言 第2 事案の概要 1 本件は,発明の名称を「シール状物の積層体」とする特許権を有する原告が,被告らは別紙1被告製品目録記載の製品(以下,符号に従い「被告製品①」などといい,併せて「被告各製品」という。)を販売するなどして原告の特許権を侵害していると主張して,特許法100条1項に基づき,被告株式 は別紙1被告製品目録記載の製品(以下,符号に従い「被告製品①」などといい,併せて「被告各製品」という。)を販売するなどして原告の特許権を侵害していると主張して,特許法100条1項に基づき,被告株式会社大創産業(以下「被告大創産業」という。)に対し,被告各製品の使用,譲渡等の差止めを,被告株式会社PPJ(以下「被告PPJ」という。)及び被告株式会社Life -do.Plus(以下「被告Life-do.Plus」といい,被告PPJ と併せて「被告PPJら」という。)に対し,被告各製品の製造,使用,譲渡等の差止めを求め,同法100条2項に基づき,被告らに対し,被告各製品の廃棄を求めるとともに,民法719条1項,709条及び特許法102条2項に基づき,被告らに対し,損害賠償金の一部である2200万円及びこれに対する不法行為の後の日である訴状送達の日の翌日(被告PPJらにつき平成29年9月2 日,被告大創産業につき同月3日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実又は文中掲記した証拠及び弁論の全趣旨により認定することができる事実。なお,本判決を通じ,証拠を摘示する場合には,特に断らない限り,枝番を含むものとする。) (1) 当事者ア原告は,紙類及び化学薬品の加工並びに販売等を目的とする株式会社であり,ウェットティッシュ等を製造,販売している。 イ被告PPJらは,いずれも,ウェットティッシュ等の紙加工品,衛生用品の企画,開発,製造,販売,輸出入等を目的とする株式会社であり,ウェッ トティッシュ等の紙加工品を製造,販売している。 ウ被告大創産業は,日用雑貨等の卸売業及び小売業等を目的とする株式会社 ,開発,製造,販売,輸出入等を目的とする株式会社であり,ウェッ トティッシュ等の紙加工品を製造,販売している。 ウ被告大創産業は,日用雑貨等の卸売業及び小売業等を目的とする株式会社であり,国内外において店舗「100円SHOPダイソー」をチェーン展開し,同店舗においてウェットティッシュ等の日用品を販売している。 (2) 原告の特許権 ア原告は,以下の特許権(以下「本件特許権」といい,これに係る特許を「本件特許」という。)を有している。(甲1,2)特許番号:第3877000号発明の名称:シート状物の積層体出願日:平成17年4月22日 登録日:平成18年11月10日 イ本件特許の特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という。)の請求項1の記載は,以下のとおりである(以下,これに記載された発明を「本件発明」という。)。 「折り畳まれた複数枚のシート状物が連続して取り出せるように積層されたシート状物の積層体において, 上記シート状物の各々は,所望とする積層体の幅寸法と略同じ長さに形成された第1の中間片と,上記シート状物の一辺と平行な折れ線で積層方向下側に折られ,上記第1の中間片の略1/2の幅に,上記第1の中間片に隣接して形成された第2の中間片と, 上記第2の中間片から積層方向下側に折り返され上記第2の中間片と略同じ幅に形成された第1の折片と,上記第1の中間片から積層方向上側に折り返され上記第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整するとともに,上記第1の中間片の幅の1/2以下となる第2の折片とを有するように折り畳まれ, から積層方向上側に折り返され上記第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整するとともに,上記第1の中間片の幅の1/2以下となる第2の折片とを有するように折り畳まれ, 積層される上記シート状物の偶数番目の上記シート状物と奇数番目の上記シート状物とは,左右対称となるように折り畳まれた状態で積層され,各偶数番目(奇数番目)の上記シート状物の上記第1の中間片及び上記第2の中間片によってできる谷部に,上記シート状物の次に積層される各奇数番目(偶数番目)の上記シート状物の上記第1の中間片及び上記第2の折片 によってできる山部を重ね合わせることを特徴とするシート状物の積層体。」ウ本件発明を構成要件に分説すると,以下のとおりである(以下,それぞれを符号に従い「構成要件A」などという。後記キも同様である。)。 A 折り畳まれた複数枚のシート状物が連続して取り出せるように積層されたシート状物の積層体において, B 上記シート状物の各々は,所望とする積層体の幅寸法と略同じ長さに形 成された第1の中間片と,C 上記シート状物の一辺と平行な折れ線で積層方向下側に折られ,上記第1の中間片の略1/2の幅に,上記第1の中間片に隣接して形成された第2の中間片と,D 上記第2の中間片から積層方向下側に折り返され上記第2の中間片と 略同じ幅に形成された第1の折片と,E 上記第1の中間片から積層方向上側に折り返され上記第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整するとともに,上記第1の中間片の幅の1/2以下となる第2の折片とを有するように折り畳まれ, F 積層される上記シート状物の偶数番目の上記シート状物と奇数 体の幅寸法となるように調整するとともに,上記第1の中間片の幅の1/2以下となる第2の折片とを有するように折り畳まれ, F 積層される上記シート状物の偶数番目の上記シート状物と奇数番目の上記シート状物とは,左右対称となるように折り畳まれた状態で積層され,G 各偶数番目(奇数番目)の上記シート状物の上記第1の中間片及び上記第2の中間片によってできる谷部に,上記シート状物の次に積層される各奇数番目(偶数番目)の上記シート状物の上記第1の中間片及び上記第2 の折片によってできる山部を重ね合わせることを特徴とするシート状物の積層体。 エ被告Life-do.Plusは,平成29年12月21日,特許庁に対し,本件特許に係る無効審判請求をした(無効2017-800156号。 以下「本件無効審判請求」という。乙A28)。 特許庁は,平成30年9月5日,本件発明は,発明の名称を「多重腰折ウェットテシューの連続取出し構造」とする公開特許公報(特開平11-56666号。乙A2。以下「乙A2公報」といい,同公報に記載された発明を「乙A2発明」という。)に記載された発明であるから特許法29条1項3号に該当し,特許を受けることができないものであり,仮にそうでないとし ても,同条2項の規定により特許を受けることができないものであるとして, 本件発明に係る特許を無効とする旨の審決の予告をした。(乙A31)原告は,平成30年11月2日,後記オの内容の訂正請求をした(以下「本件訂正請求」といい,これによる訂正を「本件訂正」という。甲19)。 特許庁は,令和元年5月21日,本件訂正を認めるとともに,本件発明は,乙A2発明及び発明の名称を「シート積層体」とする公開特許公報(特開2 ,これによる訂正を「本件訂正」という。甲19)。 特許庁は,令和元年5月21日,本件訂正を認めるとともに,本件発明は,乙A2発明及び発明の名称を「シート積層体」とする公開特許公報(特開2 002-85289号。乙A33。以下「乙A33公報」という。)に記載された技術事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるとして,本件発明についての特許を無効とする旨の審決(以下「本件審決」という。)をした。(甲26) 原告は,本件審決を不服として,令和元年6月14日,知的財産高等裁判所に対し,審決取消訴訟を提起し(同裁判所令和元年(行ケ)第10088号),同訴訟は現在も係属中である。(甲27)オ本件訂正の内容は,以下のとおりである(下線部分が訂正部分である。以下も同じ。甲19)。なお,以下,下記のとおり訂正された本件特許に係る 明細書及び図面と併せて「本件明細書等」という。 (ア) 訂正事項1特許請求の範囲の請求項1に「シート状物の積層体において,」とあるのを,「シート状物の積層体において,上記シート状物はスパンレース不織布からなり,」と訂正する。 (イ) 訂正事項2特許請求の範囲の請求項1に「上記第1の中間片の幅の1/2以下となる第2の折片とを有するように折り畳まれ,」とあるのを,「上記第1の中間片の幅の1/2未満で,かつ,上記第1の折片の幅より短い幅となる第2の折片とを有するように折り畳まれ,」と訂正する。 (ウ) 訂正事項3 明細書の段落【0009】に「シート状物の積層体において,」とあるのを,「シート状物の 2の折片とを有するように折り畳まれ,」と訂正する。 (ウ) 訂正事項3 明細書の段落【0009】に「シート状物の積層体において,」とあるのを,「シート状物の積層体において,上記シート状物はスパンレース不織布からなり,」と訂正する。 (エ) 訂正事項4明細書の段落【0009】に「上記第1の中間片の幅の1/2以下とな る第2の折片とを有するように折り畳まれ,」とあるのを,「上記第1の中間片の幅の1/2未満で,かつ,上記第1の折片の幅より短い幅となる第2の折片とを有するように折り畳まれ,」と訂正する。 カ本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は,以下のとおりである(以下,これに記載された発明を「本件訂正発明」という。)。(甲19, 26)「折り畳まれた複数枚のシート状物が連続して取り出せるように積層されたシート状物の積層体において,上記シート状物はスパンレース不織布からなり,上記シート状物の各々は,所望とする積層体の幅寸法と略同じ長さに形成 された第1の中間片と,上記シート状物の一辺と平行な折れ線で積層方向下側に折られ,上記第1の中間片の略1/2の幅に,上記第1の中間片に隣接して形成された第2の中間片と,上記第2の中間片から積層方向下側に折り返され上記第2の中間片と略 同じ幅に形成された第1の折片と,上記第1の中間片から積層方向上側に折り返され上記第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整するとともに,上記第1の中間片の幅の1/2未満で,かつ,上記第1の折片の幅より短い幅となる第2の折片とを有するように折り畳まれ, 積層される上記 る積層体の幅寸法となるように調整するとともに,上記第1の中間片の幅の1/2未満で,かつ,上記第1の折片の幅より短い幅となる第2の折片とを有するように折り畳まれ, 積層される上記シート状物の偶数番目の上記シート状物と奇数番目の上 記シート状物とは,左右対称となるように折り畳まれた状態で積層され,各偶数番目(奇数番目)の上記シート状物の上記第1の中間片及び上記第2の中間片によってできる谷部に,上記シート状物の次に積層される各奇数番目(偶数番目)の上記シート状物の上記第1の中間片及び上記第2の折片によってできる山部を重ね合わせることを特徴とするシート状物の積層体。」 キ本件訂正発明を構成要件に分説すると,以下のとおりである。 A 折り畳まれた複数枚のシート状物が連続して取り出せるように積層されたシート状物の積層体において,A2 上記シート状物はスパンレース不織布からなり,B 上記シート状物の各々は,所望とする積層体の幅寸法と略同じ長さに形 成された第1の中間片と,C 上記シート状物の一辺と平行な折れ線で積層方向下側に折られ,上記第1の中間片の略1/2の幅に,上記第1の中間片に隣接して形成された第2の中間片と,D 上記第2の中間片から積層方向下側に折り返され上記第2の中間片と 略同じ幅に形成された第1の折片と,E’上記第1の中間片から積層方向上側に折り返され上記第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整するとともに,上記第1の中間片の幅の1/2未満で,E2 かつ,上記第1の折片の幅より短い幅となる第2の折片とを有するよ うに折り畳まれ,F 積層される上記シート状物の偶 るとともに,上記第1の中間片の幅の1/2未満で,E2 かつ,上記第1の折片の幅より短い幅となる第2の折片とを有するよ うに折り畳まれ,F 積層される上記シート状物の偶数番目の上記シート状物と奇数番目の上記シート状物とは,左右対称となるように折り畳まれた状態で積層され,G 各偶数番目(奇数番目)の上記シート状物の上記第1の中間片及び上記第2の中間片によってできる谷部に,上記シート状物の次に積層される各 奇数番目(偶数番目)の上記シート状物の上記第1の中間片及び上記第2 の折片によってできる山部を重ね合わせることを特徴とするシート状物の積層体。 (3) 被告らの行為及び被告各製品の構成等ア被告PPJらは,被告各製品の製造,販売及び販売の申出をしてきた。また,被告大創産業は,被告各製品の販売をしてきた。 なお,被告PPJらが製造するウェットティッシュの製造機械には,インターホルダーと多連機があるが,被告各製品は,いずれもインターホルダーにより製造されたものである。 イ被告各製品は,別紙2被告製品説明書に記載の構成(以下,それぞれを符号に従い「構成a」などという。)を有する。なお,積層されているシート 状物はいずれも80枚である。 (4) 先行文献本件特許の出願日である平成17年4月22日より前に,以下の文献が存在した。 ア発明の名称を「多重腰折ウェットテシューの連続取出し構造」とする公開 特許公報(特開平11-56666号,平成11年3月2日公開。乙A2)イ発明の名称を「多重腰折ウェットテシューの連続取出し構造」とする特許公報(特許第2951187号,平成7年8月15日公開。乙A7。以下「乙A7公 66号,平成11年3月2日公開。乙A2)イ発明の名称を「多重腰折ウェットテシューの連続取出し構造」とする特許公報(特許第2951187号,平成7年8月15日公開。乙A7。以下「乙A7公報」といい,これに記載された発明を「乙A7公報」という。)ウ考案の名称を「ペーパータオル」とする公開実用新案公報(実開昭59- 166794号,昭和59年11月8日公開。乙A8。以下「乙A8公報」といい,これに記載された考案を「乙A8考案」という。)エ発明の名称を「シート積層体」とする公開特許公報(特開2002-85289号,平成14年3月26日公開。乙A33) 3 争点 (1) 被告各製品が本件発明及び本件訂正発明(以下,併せて「本件発明等」とい う。)の各技術的範囲に属するか(争点1)ア構成要件Cの充足の有無(争点1-1)イ構成要件E(E’及びE2)の充足の有無(争点1-2)ウ作用効果不奏功の抗弁の成否(争点1-3)(2) 本件発明が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか(争点 2)ア乙A2発明に基づく新規性又は進歩性の欠如(争点2-1)イ乙A7発明に基づく進歩性の欠如(争点2-2)ウ実施可能要件違反(争点2-3)エ明確性要件違反(争点2-4) (3) 本件訂正により無効理由が解消するか(争点3)(4) 本件訂正発明が公然実施発明により無効にされるべきものと認められるか(争点4)(5) 原告の損害及びその金額(争点5)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告各製品が本件発明等の各技術的範囲に属するか)について(1) 争点1-1(構成要件 (5) 原告の損害及びその金額(争点5)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告各製品が本件発明等の各技術的範囲に属するか)について(1) 争点1-1(構成要件Cの充足の有無)について(原告の主張)被告各製品の第2の中間片は,シート状物の一辺と平行な折れ線で積層方向下側に折られ,第1の中間片に隣接して形成されており,その幅は第1の中間 片の幅の略1/2であるから,被告各製品は本件発明等の構成要件Cを充足する。 ア構成要件Cの解釈について(ア) 本件発明の構成要件Cは,「上記シート状物の一辺と平行な折れ線で積層方向下側に折られ,上記第1の中間片の略1/2の幅に,上記第1の中 間片に隣接して形成された第2の中間片と,」というものである(下記の 図は本件明細書等の図2に符号についての説明を付したものである。)。 本件発明等は,包装体の大きさが従来と変わらない大きさでありながら,より大きなサイズのシート状物を積層できる構造を提供することを課題としているが,その解決手段として,第2の折片の幅を加減可能なものと して設定することで,シート全体を大きくしても,第2の折片以外の片の幅は変更せず,第2の折片の幅だけを広げることで,従来と比較して大きいサイズのシート状物であっても,従来と変わらないサイズの積層体を形成できるという効果を有している。 また,本件発明等は,包装体同士を積み重ねた際の安定感のあるシート 状物の積層体を提供することを課題としているが,その解決手段として,端部に第2の折片を形成することで,シート状物積層体の端部近傍において,第2の折片の大きさ分だけ肉厚部分が形成され,積 ート 状物の積層体を提供することを課題としているが,その解決手段として,端部に第2の折片を形成することで,シート状物積層体の端部近傍において,第2の折片の大きさ分だけ肉厚部分が形成され,積層体の躯体部分が補強されることになり,積層体同士を重ね合わせた際の安定感を向上させることができる(本件明細書等の段落【0004】~【0009】)。 このような,本件発明等の課題及びその解決手段に照らすと,本件発明等の特徴的な点は,第2の折片という構成にあるということができる。 (イ) 本件特許請求の範囲において,「所望とする積層体の幅寸法と略同じ長さ」(構成要件B),「第1の中間片の略1/2の幅」(構成要件C), 「第2の中間片と略同じ幅」(構成要件D)における「略」の意味は,それぞれ「同じ長さ」,「1/2の幅」,「同じ幅」であることを原則としつつも,寸法誤差,設計誤差あるいはシート状物の伸縮や歩留まり等の理由により完全に「同じ長さ」,「1/2の幅」,「同じ幅」とならない場合もあり得ることから,そのような場合も含まれることを含意した表現で ある。 そして,本件発明等は,スパンレース不織布等の容易に伸縮する素材を用いることを前提とし,第2の中間片及び第1の折片の幅について,上記理由により目標値(被告ら主張の理想値)から誤差が生じた場合にも,第2の折片によりその誤差を吸収して,積層体が所望とする幅寸法になるよ うに調整し,従来どおりの包装容器に収容することができることを目指すものであるから,本件発明等の構成においては,第1の中間片を所望とする積層体の幅寸法となるように調整することに主眼があるのであって,第2の中間片及び第1の折片の幅寸法が第1の中間片の幅の1/2であることに主眼があ 本件発明等の構成においては,第1の中間片を所望とする積層体の幅寸法となるように調整することに主眼があるのであって,第2の中間片及び第1の折片の幅寸法が第1の中間片の幅の1/2であることに主眼があるのではない。 むしろ,本件発明等は,第2の中間片及び第1の折片の幅に誤差が生じたり,シート全体の幅が長くなったりすることを当然の前提として,そのような場合でも,積層体の幅を所望とする幅に維持することを課題とし,その課題を解決するために,その幅を加減できる第2の折片という構成を発明したものである。このことは,特許請求の範囲の文言において,所望 とする積層体の幅寸法があり,第1の中間片,第2の中間片,第1の折片については全てに「略」が付され,第2の折片は加減できる幅として記載されていることからも明らかである。 (ウ) 「略」の許容範囲については,第2の中間片及び第1の折片が所定の幅より長い場合と短い場合があり得る。 a 所定の幅より短い場合 例えば,シート状物の幅が約200mm,所望とする積層体の幅寸法(第1の中間片の幅)を約100mmとすると,本件発明をより限定した本件訂正発明において規定された「第2の折片の幅は,第1の中間片の幅の1/2未満で,かつ,第1の折片の幅より短い幅」であるという条件を満たしながら,第2の折片が調整できる範囲は,第2の中間片5 0~34mm,第1の折片50~34mm,第2の折片0~32mmとなるから,本件発明等の課題,解決手段及び効果に鑑みれば,かかる範囲内であれば「略」の許容範囲に含まれると解すべきである。 b 所定の幅より長い場合本件明細書の段落【0028】は,第2の折 片が第1の中間片の1/ れば,かかる範囲内であれば「略」の許容範囲に含まれると解すべきである。 b 所定の幅より長い場合本件明細書の段落【0028】は,第2の折 片が第1の中間片の1/2以上の長さとなると,積層体の中央付近で各折片が重なり合って,全体の嵩高状態が,中央部が膨らみ不安定なものとなることを述べているが,同じことは第2の中間片にもいえ,第2の中間片の幅が第1の 中間片の1/2より長い場合,右図のように中央部が膨らんだ嵩高状態となるため,本件発明等の課題を解決することができない。 一方,第2の中間片の幅が第1の中間片の1/2未満であれば,各片が積層体の中央付近で重なり合うことがなくなるため,積層体の中央付 近が嵩高状態となることはない。 c 以上によれば,本件発明等における「略1/2」の語は,1/2を超える場合は含まないが,1/2より短いものは,前記aに規定する範囲で広く許容する意味と解釈すべきである。 イ被告各製品が構成要件Cを充足することについて (ア) 原告及び被告PPJらが被告製品②及び③を測定した結果(データの平 均値)は,下記a~fのとおりであり,被告製品②の構成は,被告製品③のそれと変わらないものであって,いずれも,第2の中間片は,第1の中間片の略1/2の幅を有している。 a 被告製品②(原告測定:YRC24/3FM13:59)(甲25)第1の中間片98mm,第2の中間片41mm,第1の折片43mm, 第2の折片14mmb 被告製品②(被告PPJ測定:YRC24/3FM16:40)(乙A39)第1の中間片98.2mm,第2の中間片41.2mm,第1の折片42.8 第2の折片14mmb 被告製品②(被告PPJ測定:YRC24/3FM16:40)(乙A39)第1の中間片98.2mm,第2の中間片41.2mm,第1の折片42.8mm,第2の折片13.8mm c 被告製品③(原告測定:YRF09/3FM08:12)(甲21)第1の中間片98mm,第2の中間片41mm,第1の折片43mm,第2の折片16mmd 被告製品③(原告測定:YRF09/3FM13:35)(甲22)第1の中間片97mm,第2の中間片39mm,第1の折片42mm, 第2の折片14mme 被告製品③(被告PPJ測定:YRF09/3FM08:12)(乙A26)第1の中間片98.1mm,第2の中間片39.6mm,第1の折片42.4mm,第2の折片15.7mm f 被告製品③(被告PPJ測定:YRF09/3FM13:35)(乙A27)第1の中間片98.1mm,第2の中間片39.6mm,第1の折片42.0mm,第2の折片15.0mmまた,被告製品①についても,上記サンプルにおいてほぼ同じ結果が得 られていることからすると,同じ構成であることが強く推認できる。 (イ) 前記(ア)a~fにおける第2の中間片,第1の折片,第2の折片の数値は,いずれも前記ア(ウ)aの数値(第2の中間片50~34mm,第1の折片50~34mm,第2の折片0~32mm)の範囲内のものであり,また,各シートにおいて,第2の中間片の幅が,第1の中間片の幅の1/2より短いものは存在しても,これを超えるものは存在しない。 したがって,被告各製品における 範囲内のものであり,また,各シートにおいて,第2の中間片の幅が,第1の中間片の幅の1/2より短いものは存在しても,これを超えるものは存在しない。 したがって,被告各製品における第2の中間片の幅は,本件発明等における課題,解決手段及び効果に沿った構成であるといえるから,第1の中間片の「略1/2」の幅を有しており,構成要件Cを充足する。 (被告らの主張)被告各製品の第2の中間片の幅は第1の中間片の略1/2ではないから,被 告各製品は,いずれも構成要件Cを充足しない。 ア被告各製品が構成要件Cを充足するためには,第2の中間片の幅が第1の中間片の幅の「略1/2」でなければならないが,「略」との記載は,特許発明の技術的範囲を不確定にさせる表現であるから,その解釈に当たっては,技術的範囲を不当に拡張させて公示の名宛人である公衆に不利益を及ぼす べきでない。 また,本件発明は,第2の折片が設けられていることにより,その面積分だけ従来と比較して大きいサイズのシート状物であっても,従来と変わらないサイズの積層体を形成することができ るという作用効果を奏するものである。 そして,本件明細書において従来の積層構造とされている【図4】の積層構造では,積層体の幅寸法の約2倍の幅のシート状物を積層することが可能であったから(右図参照),本件発明は,シート状物の幅寸法が積層体の幅寸法の約2倍を超えた場合に初めてその 作用効果を奏したものと評価できる。 そうすると,①第2の中間片の幅が,第1の中間片の幅に1/2を乗じた値の90%を下回る場合又は同値の110%を上回る場合,②被告各製品が本件発明の作用効果を奏しない場合のいずれかに該当する場合には,そのような第2の中 中間片の幅が,第1の中間片の幅に1/2を乗じた値の90%を下回る場合又は同値の110%を上回る場合,②被告各製品が本件発明の作用効果を奏しない場合のいずれかに該当する場合には,そのような第2の中間片の幅の「略1/2」とは認められず,被告各製品は構成要件Cを充足しないと解すべきである。 イ被告PPJらや原告による被告各製品の計測結果(甲21,22,25,乙A14,26,27,39)によれば,第2の中間片の幅の平均値は,いずれも第1の中間片の幅に1/2を乗じた値の90%を下回っており,また,上記計測結果によれば,被告各製品のシート状物全体の幅寸法は,積層体の幅寸法の2倍を有意に上回るものではなく,とりわけ,第2の折片の 面積分大きいサイズのシート状物は存在せず,被告各製品は,本件発明の作用効果を奏していない。 ウしたがって,被告各製品は,構成要件Cを充足しない。 (2) 争点1-2(構成要件E(E’及びE2)の充足の有無)について(原告の主張) 被告各製品における第2の折片は,「第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整する」という機能を有し,第1の中間片の幅の1/2未満であり,かつ,第1の折片の幅より短い幅であるから,本件発明の構成要件E並びに本件訂正発明の構成要件E’及びE2をいずれも充足する。 ア構成要件Eの第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるよう に調整する」という記載は,シート状物全体の大きさを第2の折片の面積分を限度に大きいサイズに変更した場合や,伸縮性のある繊維素材を用いたウェットシートを前提とする(段落【0002】)本件発明等において,製造過程でシート全体の長さに多少のばらつきが出た場合であっても,第2の折片が サイズに変更した場合や,伸縮性のある繊維素材を用いたウェットシートを前提とする(段落【0002】)本件発明等において,製造過程でシート全体の長さに多少のばらつきが出た場合であっても,第2の折片が,第1の中間片の幅の1/2以下という幅を持たせたものとして設計さ れているため,この第2の折片をもって,第1の中間片の幅を設計されてい る幅になるように調節しているという機能を有することを意味している。例えば,全長が210mm,213mm,215mmというばらつきの長さのシート状物があった場合でも,A=100mm,B=50mm,C=50mmとして,第2の折片の長さDをそれぞれ10mm,13mm,15mmとすることで,従来と変わらないサイズ(A=100mm)の積層体を形成す ることができるのである(【図1】参照)。 【図1】そして,このような構成で形成された積層体は,異なる長さのシート状物を含みながらも,積層体全体としては従来と変わらないサイズに収まってい るのであるから,「物」として見た場合であっても,ばらつきを解消する作用効果を有する。 イ製品の製造には,設計段階において設定した必要な幅よりもやや長い幅,すなわち,第1の中間片の幅を決定し,これに第2の中間片及び第1の折片の幅を加えた幅よりもやや長い幅のシート状物が用いられるため,端の部分 がやや余ることになる。そのため,単に折り目を形成するのみでは,第1の中間片を所望の幅とすることはできず,端のやや余った部分を折り返して第2の折片とすることにより,初めて第1の中間片が所望の幅となるのである。 このように,第2の折片は,シート状物の端のやや余った部分(長さはシ きず,端のやや余った部分を折り返して第2の折片とすることにより,初めて第1の中間片が所望の幅となるのである。 このように,第2の折片は,シート状物の端のやや余った部分(長さはシ ート状物でばらつきがあってもよい)を折り返して形成されることで,第1の中間片を所望の長さにしているのであるから,インターホルダーを用いて製造された被告各製品における「第2の折片」は,「第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整する」という機能(構成要件E)を具備している。 なお,インターホルダーを用いた製造においては,折り加工用ロール(甲12・符号17)の円周上に設けられた摘まみ部(甲12・符号17a)により各折り目が形成された後,各偶数番目(奇数番目)のシート状物の第1の中間片及び第2の中間片によってできる谷部に,次に積層される各奇数番目(偶数番目)のシート状物の端部が奥まで挿入され,第2の折片が折れ目 によって折れ曲がった状態で装置に掴まれて積層されていくため,第2の折片が必ず形成される仕組みとなっている(甲11,12)。 (被告らの主張)被告各製品における第2の折片は,「第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整する」という機能を有しないから,被告各製品は構 成要件Eを充足しない。 ア本件発明における「第2の折片」は,「第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整する」という機能を有する折片として特定されているから,そのような機能を有する全ての物を意味すると解釈される。 イ被告各製品の設計に際しては,その折り方の特性上,まず,シート状の積 層体であるウェットティッシュの仕上り寸法が決定され,次に仕上り寸法のうち幅寸法を の物を意味すると解釈される。 イ被告各製品の設計に際しては,その折り方の特性上,まず,シート状の積 層体であるウェットティッシュの仕上り寸法が決定され,次に仕上り寸法のうち幅寸法を基にして,第1の中間片の幅が決定され,その後,第1の中間片の幅方向の中心を超えず,かつ,第1の中間片の外へはみ出さない範囲において,その他の片である第2の中間片,第1の折片及び第2の折片の幅が適宜決定される。このように,被告各製品の製造段階においては,第1の中 間片の幅は,シート状の積層体であるウェットティッシュの幅寸法から直接 導かれるものにすぎず,かかる幅を決定する過程において,被告各製品の第2の折片は一切関与しないから,設計段階において,第2の折片は,「第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整する」という機能を有しない。 また,製造段階では,第1の中間片は,製造機械であるインターホルダー の折り加工用ロールの円周上に等間隔に設けられた摘まみ部が,ロールの回転に伴って所定の位置に達すると,第1の中間片の一方側の折り目が形成され,次の摘まみ部が所定の位置に達すると,他方側の折り目が形成されるといった一定のピッチで,その両側に折り目が設けられることによって形成される。製造の一連の工程は,【図①】~【図③】のとおりであり,【図①】 は,インターホルダーにより原紙が折られている様子を全体的に示した図,【図②】は「第1の折片」に相当する部分が形成される過程をコマ送りで示した図,【図③】は原紙同士が左右互い違いに折りたたまれながら積層される過程をコマ送りで示した図である。 【図①】 【図②】 【図③】 互い違いに折りたたまれながら積層される過程をコマ送りで示した図である。 【図①】 【図②】 【図③】第1の中間片の幅は,上記の摘まみ部同士の間隔によって決定されるものであり,かかる間隔は,製造に用いられた個々のインターホルダーに由来する固有のものであって,製造時にオペレーターが自由に変更できるものでは ない。このように,第1の中間片の幅は,上記間隔から直接導かれるものにすぎず,第2の折片はその幅を決定する過程に一切関与しないから,第2の折片は,製造段階においても,上記の機能を有しない。 したがって,被告各製品の構成eは,構成要件E(E’及びE2)を充足しない。 ウ原告は,本件発明の構成要件Eは,製造過程でシート全体の長さに多少のばらつきが出た場合であっても,第2の折片が,第1の中間片の幅の1/2 以下という幅を持たせたものとして設計されているため,この第2の折片をもって,第1の中間片の幅を設計されている幅になるように調節しているという機能を有すると主張する。 しかし,これによれば,「第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整」された結果,「第2の折片」が形成されることになるが, 調整の結果「第2の折片」が形成されること(すなわち,調整の副産物として生じる物であること)と,「第2の折片」が調整機能を有していること(調整の主体であること)とは同視できない。「第2の折片」が「第1の中間片」の調整の副産物として生じるものであるということは,「第2の折片」が「第1の中間片」の調整という工程を経て形成されるということであり,「第2 の折片」が「第1の中間片」を調整する 1の中間片」の調整の副産物として生じるものであるということは,「第2の折片」が「第1の中間片」の調整という工程を経て形成されるということであり,「第2 の折片」が「第1の中間片」を調整する機能を有することを意味するものではないから,原告の上記主張は失当である。 (3) 争点1-3(作用効果不奏功の抗弁の成否)について(被告らの主張)本件発明の作用効果を奏したものといえるのは,シート状物の幅寸法が積層 体の幅寸法の約2倍を超えた場合であるが,被告各製品は,かかる作用効果を奏していないから,実質的にみて,本件発明の技術的範囲に属しない。 (原告の主張)被告各製品の第1の折片及び第2の折片は第1の中間片の略1/2であるから,本件発明の作用効果を奏する。 2 争点2(本件発明が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか)について別紙3に記載のとおり 3 争点3(本件訂正が有効になされ,これにより無効理由が解消するか)について 別紙4に記載のとおり 4 争点4(本件訂正発明が公然実施発明により無効にされるべきものと認められるか)について別紙5に記載のとおり 5 争点5(原告の損害及びその金額)について(原告の主張) 被告大創産業が平成28年11月から平成29年7月末までの9か月間に販売した被告各製品の数量は794万6963個であり,被告らが被告各製品の製造,販売により得た利益額は1個当たり10円を下らないから,被告らは,少なくとも7946万9630円の利益を得た。そこで,そのうちの一部である2000万円を請求する。 弁護士・弁理士費用相当損害額としては,200万円が相当である。 ( ,被告らは,少なくとも7946万9630円の利益を得た。そこで,そのうちの一部である2000万円を請求する。 弁護士・弁理士費用相当損害額としては,200万円が相当である。 (被告らの主張)争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件発明等の内容等について (1) 本件明細書等(甲2)には,以下の記載が存在する。 ア技術分野「本発明は,シート状物の積層体に関し,特に,湿式のウェットティッシュの折りたたまれた状態で,このウェットティッシュを連続して取り出せるように積層したシート状物の積層体に関する。」(段落【0001】) イ背景技術「従来,アルコール,保湿剤,界面活性剤等を含む薬液を紙,織布又は不織布の繊維素材に含浸させたウェットティッシュは,気密性や液密性を有する包装体に収容される。ウェットティッシュは,皮膚の汚れ拭き取り,化粧落とし,幼児のお尻拭き,トイレの清掃等,様々な用途に用いられている。 この種の包装体は,包装体の一箇所に開閉蓋を有する取出口が設けられ,こ の取出口から内部に収容されたウェットティッシュを取出すことができる。 また,このウェットティッシュは,様々な形に折り畳まれ,複数枚が積層され,一のウェットティッシュを持ち上げると,その下に積層されたウェットティッシュも持ち上がり,連続して取り出せるように積層した,いわゆるポップアップ式の積層体を形成している。」(段落【0002】) 「図4(A)に示すように,従来のウェットティッシュの積層体100は,複数のウェットティッシュ101 が折り畳まれ,積層されたものである。詳述すると,ウェットティッシュ101は,折れ線102において折られて形 来のウェットティッシュの積層体100は,複数のウェットティッシュ101 が折り畳まれ,積層されたものである。詳述すると,ウェットティッシュ101は,折れ線102において折られて形成される上部折片103と下部折片104と, 下部折片104の遊離端側を折れ線102で折られた方向とは逆の方向に折り返して短巾の重畳端105を形成している。また,上述のように折られたウェットティッシュ101は,折れ線102において折られる方向によって,右向き腰折りウェットティッシュ101Rと左向き腰折りウェットティッシュ101Lとに分けられる。ウェットティッシュの積層体100は,各 右向き腰折りウェットティッシュ101Rの短巾重畳端105を各左向き腰折りウェットティッシュ101Lの上部折片103の遊離端側と相の手に組み,各左向き腰折りウェットティッシュ101Lの短巾重畳端105を各右向き腰折りウェットティッシュ101Rの上部折片103の遊離端側と相の手に組むことにより形成される。また,ウェットティッシュの積層体 100は,ウェットティッシュ101の短巾重畳端105が左半部側と右半【図4】 部側とに按分される構成を有している(特許文献1(判決注:乙A7公報)参照。)。」(段落【0003】)「ところで,多用途に用いられるウェットティッシュは,1枚のウェットティッシュの大きさが大きいものが望まれている。」(段落【0004】)「しかしながら,大きさが従来より大きいサイズのウェットティッシュを 使用し,従来からの折り畳み構造を有する積層体を製造すると,必然的に出来上がる積層体の幅は従来のものより大きくなり包装体の大きさを変更しなければならず,ウェットティッシュの積層体の製造装置の設計変更に加え ,従来からの折り畳み構造を有する積層体を製造すると,必然的に出来上がる積層体の幅は従来のものより大きくなり包装体の大きさを変更しなければならず,ウェットティッシュの積層体の製造装置の設計変更に加え,包装体の製造装置の設計変更もしなければならない。また,包装体の大きさを変更すると,製品出荷時に用いられる段ボール等の大きさも変更しなけれ ばならず,在庫スペースの変更も生じ,ウェットティッシュ1枚の大きさの変更で,規格変更をしなければならない箇所が多数でてくる。」(段落【0005】)「また,特許文献1に示す取り出し構造では,出来上がった積層体は,図4(B)に示すように,確かに,断面が略矩形状になっている。しかしなが ら,この積層体を内包した包装体を商品として陳列する場合に用いられる積み重ね陳列は,断面が略矩形状のため,一見して安定感があるようであるが,出来上がる商品は運搬時等の影響を受けて安定が悪いものとなることもあった。」(段落【0006】)ウ発明が解決しようとする課題 「そこで,本発明は,上述の問題点に鑑みて,包装体の大きさが従来と変わらない大きさでありながら,より大きなサイズのシート状物を積層できる構造を提供するとともに,包装体同士を積み重ねた際の安定感のあるシート状物の積層体を提供することを目的とする。」(段落【0008】)エ発明の効果 「本発明は,従来の積層構造にはない第2の折片が設けられているので, その第2の折片の面積分だけ従来と比較して大きいサイズのシート状物であっても,従来と変わらないサイズの積層体を形成することができる。そのため,出来上がる積層体を包装する包装体の製造装置の設計変更を要せず,さらには,製品出荷時に用いられる段 きいサイズのシート状物であっても,従来と変わらないサイズの積層体を形成することができる。そのため,出来上がる積層体を包装する包装体の製造装置の設計変更を要せず,さらには,製品出荷時に用いられる段ボール等の大きさの変更も要せず,在庫スペースの変更も必要が無くなる。」(段落【0011】) 「また,本発明は,各偶数番目のシート状物の上記第1の中間片及び上記第2の中間片によってできる谷部に,上記シート状物の次に積層される各奇数番目のシート状物の上記第1の中間片及び上記第2の折片によってできる山部を重ね合わせて交差掛けとし,同様に,各奇数番目のシート状物の上記第1の中間片及び上記第2の中間片によってできる谷部に,上記シート状 物の次に積層される各偶数番目のシート状物の上記第1の中間片及び上記第2の折片によってできる山部を重ね合わせて交差掛けとしている。そのため,形成されるシート状物積層体自体は,各シート状物の上記第1の折れ線及び上記第3の折れ線近傍において,第2の折片が設けられた大きさ分だけ,肉厚部分が形成され,積層体同士を重ね合わせた際の安定感を向上させるこ とができる。」(段落【0012】)オ発明を実施するための最良の形態「以下,本発明に係るシート状物積層体の最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。」(段落【0013】) 【図1】 「図1は,本発明に係るシート状物積層体のシート状物10の展開図を示す。図1に示すように,シート状物10は,所望とする積層体の幅寸法と略同じ長さに形成された第1の中間片11と,積層方向下側に折られ,第1の中間片11の略1/2の幅に第1の中間片11に隣接して形成された第2の中間片12と,第2の中間片12から積層方向下側に折り返 と略同じ長さに形成された第1の中間片11と,積層方向下側に折られ,第1の中間片11の略1/2の幅に第1の中間片11に隣接して形成された第2の中間片12と,第2の中間片12から積層方向下側に折り返され第2の中 間片12と略同じ幅に形成された第1の折片13と,第1の中間片11から積層方向上側に折り返され第1の中間片11の幅が所望とする積層体の幅寸法となるとともに,上記第1の中間片の幅の1/2以下となるように調整する第2の折片14とから構成されている。また,図2に示すように,シート状物10は折られ,各シート状物10が折り重ねられ,シート状物積層体 1を形成している。」(段落【0014】)「なお,説明上,本発明においては,図2に示すx軸方向,つまりシート状物10の長辺と平行する方向をシート状物10の長さ方向,図2に示すy軸方向,つまりシート状物10の長辺と直交する方向をシ ート状物10の幅方向,図2に示すz軸方向,つまり各シート状物10が折り重ねられ形成されるシート状物積層体1の積層される方向を各シー ト状物10が積層される積層方向と称する。」(段落【0015】)「シート状物10は,長辺10a,10b,及び短辺10c,10dとによって形成される略矩形の布帛からなり,例えば,天然繊維又は合成繊維が織布,不織布,編布に形成された布帛を用いる。この中でも汎用性やコスト 等から不織布からなる布帛が最も好ましく用いられる。…本発明においては,【図2】 合成繊維からなる不織布,特に,合成繊維に高圧ウォータージェット流(繊維を交絡させるための水)を施し,繊維を交絡させて,乾燥状態では使用に耐え得る十分な強度を有するとともに,液体による湿潤状態ではウェブ形状を保持し,極めて容易 合成繊維に高圧ウォータージェット流(繊維を交絡させるための水)を施し,繊維を交絡させて,乾燥状態では使用に耐え得る十分な強度を有するとともに,液体による湿潤状態ではウェブ形状を保持し,極めて容易且つ速やかな吸水性を有するスパンレース不織布が最も好ましく用いられる。また,シート状物10は,図1に示すように,シー ト状物10の一方の短辺10cから長さ方向にかけて,第2の折片14,第1の中間片11,第2の中間片12 ,第1の折片13 が順に設けられている。」(段落【0016】)「第1の中間片11は,図1に示すように,シート状物10の長さ方向に平行な長辺10a,10bと,シート状物10の幅方向に平行な第1の折れ 線15及び第3の折れ線17とによって囲まれる部分である。シート状物10の長辺10a,10bの第1の中間片11の長さにあたる部分,つまり第1の折れ線15と第3の折れ線17との距離Aは,その長さが最終的に形成されるシート状物積層体1の幅と略同一となる長さである。」(段落【0017】) 「第2の中間片12は,第1の中間片11と隣接し,シート状物10の長さ方向に平行な長辺10a,10bと,シート状物10の幅方向に平行な第1の折れ線15及び第2の折れ線16とによって囲まれる部分である。シート状物10の長辺10a,10bの第2の中間片12の長さにあたる部分,つまり第1の折れ線15と第2の折れ線との距離Bは,第1の中間片11の 長さ11aの略1/2の長さである。」(段落【0018】)「第1の折片13は,第2の中間片12と隣接し,シート状物10の長さ方向に平行な長辺10a,10bと,第2の折れ線16と,短辺10dとによって囲まれる部分である。シート状物10 の長辺10a,10bの第1の 片13は,第2の中間片12と隣接し,シート状物10の長さ方向に平行な長辺10a,10bと,第2の折れ線16と,短辺10dとによって囲まれる部分である。シート状物10 の長辺10a,10bの第1の折片13の長さにあたる部分,つまり第2の折れ線16と短辺10dとの 距離Cは,距離Bと略同一の長さである。」(段落【0019】) 「第2の折片14は,第1の中間片11と隣接し,シート状物10の長さ方向に平行な長辺10a,10bと,第3の折れ線17と短辺10cとによって囲まれる部分である。シート状物10の長辺10a,10bの第2の折片14の長さにあたる部分,つまり第3の折れ線17と短辺10cとの距離Dは,D<Cの関係を有する。つまり,距離Dは,距離Aの半分より小さい 値である。」(段落【0020】)「以上のような部分から構成されるシート状物10は,図2及び図3(A)に示すように,各折れ線15,16,17において折り返される。つまり,シート 状物10は,第1の折れ線15において積層方向とは反対方向(-z方向)に折り返し第1の中間片11及び第2の中間片12を形成し,第2の折れ線16において積層方向とは反対方向(-z方向) に折り返し第1の折片13を形成し,第3の折れ線17において積層方向(z方向)に折り返し第2の折片14を形成する。」(段落【0021】)「次に,シート状物積層体1の積層構造について,図2,図3(A)及び図3(B)を用いて説明する。」(段落【0022】) 「シート状物積層体1は,シート状物10が所定の位置において交差掛けされる。つまり,シート状物積層体1は,偶数番目に積層されるシート状物10Rと奇数番目に積層されるシート状物10Lとが,互 「シート状物積層体1は,シート状物10が所定の位置において交差掛けされる。つまり,シート状物積層体1は,偶数番目に積層されるシート状物10Rと奇数番目に積層されるシート状物10Lとが,互いに交差掛けされる。」(段落【0023】)「なお,便宜上,シート状物10の第1の中間片11に対し,第2の中間 片12 及び第1の折片13が図2中の右側に設けられるシート状物をシー【図3】 ト状物10Rとし,シート状物10の第1の中間片11に対し,第2の中間片12及び第1の折片13が図2中の左側に設けられるシート状物をシート状物10Lと称する。また,本説明におけるシート状物10Rとシート状物10Lとは,シート状物10を短辺10c(y軸と平行する方向)に対して対称になるように折り返されたものであり,上述したシート状物10と同 様の構成を有する。また,シート状物10Rは,図2及び図3(A)に示す偶数番目に積層されるシート状物であり,シート状物10Lは,図2及び図3(A)に示す奇数番目に積層されるシート状物である。」(段落【0024】)「具体的には,シート状物積層体1は,各シート状物10Rの第1の中間 片11及び第2の中間片12によってできる谷部に,各シート状物10Rの次に積層されるシート状物10Lの第1の中間片11及び第2の折片14によってできる山部を重ね合わせて交差掛けとし,各シート状物10Lの第1の中間片11及び第2の中間片12 によってできる谷部に,各シート状物10Lの次に積層されるシート状物10Rの第1の中間片11及び第2 の折片14によってできる山部を重ね合わせて交差掛けとして積層体を形成する。」(段落【0025】)「以上のように構成されたシート状物積層体1は, 10Rの第1の中間片11及び第2 の折片14によってできる山部を重ね合わせて交差掛けとして積層体を形成する。」(段落【0025】)「以上のように構成されたシート状物積層体1は,従来の積層構造においてはない第2の折片14を有することで,従来と変わらない積層体の幅としても,第2の折片14の面積分だけ従来よりもサイズの大きいシート状物1 0を積層させることができる。具体的には,シート状物10は,従来使用されるシート状物の大きさと比較して,第2の折片14の面積分,つまり上述のD<Cの関係を有する範囲内で大きさを変更することができ,約25%まで大きいサイズのシート状物を使用することができる。そのため,積層されるシート状物の大きさを変更したとしても,シート状物積層体の製造装置の 設計変更のみで,出来上がる積層体を包装する包装体の製造装置の設計変更 を要せず,さらには,製品出荷時に用いられる段ボール等の大きさの変更も要せず,在庫スペースの変更も必要が無くなる。」(段落【0026】)「また,シート状物積層体1は,各シート状物10Rの第1の中間片11及び第2の中間片12によってできる谷部に,各シート状物10Rの次に積層されるシート状物10Lの第1の中間片11及び第2の折片14によっ てできる山部を重ね合わせて交差掛けとし,各シート状物10Lの第1の中間片11及び第2の中間片12によってできる谷部に,各シート状物10Lの次に積層されるシート状物10Rの第1の中間片11及び第2の折片14によってできる山部を重ね合わせて交差掛けとする。そのため,形成されるシート状物積層体1自体は,図3(B)に示すように,嵩高状態が第1の 折れ線15及び第3の折れ線17近傍,つまりシート状物積層体1の端部近傍 を重ね合わせて交差掛けとする。そのため,形成されるシート状物積層体1自体は,図3(B)に示すように,嵩高状態が第1の 折れ線15及び第3の折れ線17近傍,つまりシート状物積層体1の端部近傍において,第2の折片14の大きさ分だけ積層体の嵩が高くなっている。 つまり,シート状物積層体1は,第2の折片14が設けられた大きさ分だけ,各シート状物10の第1の折れ線15及び第3の折れ線17近傍において,肉厚部分が形成され,積層体の躯体部分が補強されることになり,積層体同 士を重ね合わせた際の安定感を向上させることができる。」(段落【0027】)「なお,第2の折片14は,シート状物10のサイズを大きくするとともに,シート状物積層体1の躯体部分を補強する目的で設けられ,そのため,第2の折片14の第3の折れ線17と短辺10cとの距離Dが距離Cより も大きくなると,出来上がるシート状物積層体1において,各シート状物10R(又はシート状物10L)の第2の折片14と各シート状物10L(又はシート状物10R)の第1の折片13とが重なり合い,全体の嵩高状態が,中央部が膨らみ不安定なものとなる。従って,本発明においては,第2の折片14の第3の折れ線17と短辺10cとの距離DをD<Cとした。」(段 落【0028】) (2) 本件発明等に係る特許請求の範囲及び上記(1)の記載によれば,本件発明等は,①ウェットティッシュを連続して取り出せるように積層したシート状物の積層体に関する発明であり,②包装体の大きさは従前どおりとしながら,より大きなサイズのシート状物を積層できる構造を提供するとともに,包装体同士を積み重ねた際の安定感のあるシート状物の積層体を提供することを課題と し,③第1の中間片,第2の中間片及び第1 がら,より大きなサイズのシート状物を積層できる構造を提供するとともに,包装体同士を積み重ねた際の安定感のあるシート状物の積層体を提供することを課題と し,③第1の中間片,第2の中間片及び第1の折片を有するシート状物に,第1の中間片から積層方向上側に折り返され第1の中間片が所望とする積層体の幅寸法となるように調整するとともに,第1の中間片の幅の1/2以下ないし未満となる第2の折片を設け,シート状物が左右対称となるように折り畳まれた状態で積層されたときに,各偶数番目(奇数番目)のシート状物の第1の 中間片及び第2の中間片によってできる谷部に,その次に積層される各奇数番目(偶数番目)のシート状物の第1の中間片及び第2の折片によってできる山部を重ね合わせてシート状物の積層体が形成されるようにすることにより,④従来と比較して第2の折片の面積分だけ大きいサイズのシート状物によって,従来と変わらないサイズの積層体を形成することができ,また,第2の折片が 設けられた大きさ分だけ,肉厚部分が形成され,積層体同士を重ね合わせた際の安定感を向上することができるという効果を得られることを特徴とする発明であると認められる。 2 争点1-1(構成要件Cの充足の有無)について(1) 構成要件Cの解釈について ア本件発明等の積層体の各シート状物は,第1の中間片,第2の中間片,第1の折片及び第2の折片で構成されているところ(構成要件B~E),第1の中間片は,所望とする積層体の幅寸法と略同じ長さに形成され(構成要件B),第2の中間片は,第1の中間片の略1/2の幅に形成され(構成要件C),第1の折片は第2の中間片と略同じ幅に形成される(構成要件D)も のであるから,第2の中間片は,積層体の幅寸法と略同じ長さの第1の中間 は,第1の中間片の略1/2の幅に形成され(構成要件C),第1の折片は第2の中間片と略同じ幅に形成される(構成要件D)も のであるから,第2の中間片は,積層体の幅寸法と略同じ長さの第1の中間 片の略1/2の幅であり,第1の折片の幅寸法と略同じ長さに形成されるものとして特定されているということができる。 イ構成要件C等にいう「略」(ほぼ)とは,一般に,数値との関係で用いられる場合は「おおかた,おおよそ」といった意味を有し,正確又は完全にその数値と一致しないとしても,その数値と同様ということができる程度に近 似することを表す語であり,本件発明等における寸法に関する発明特定事項としての「略」という語も同様の意味を有するものと解するのが自然である。 ウまた,本件明細書等には,「多用途に用いられるウェットティッシュは,1枚のウェットティッシュの大きさが大きいものが望まれている。」(段落【0004】),「そこで,本発明は,…包装体の大きさが従来と変わらな い大きさでありながら,より大きなサイズのシート状物を積層できる構造を提供するとともに,包装体同士を積み重ねた際の安定感のあるシート状物の積層体を提供することを目的とする。」(段落【0008】),「本発明は,従来の積層構造にはない第2の折片が設けられているので,その第2の折片の面積分だけ従来と比較して大きいサイズのシート状物であっても,従来と 変わらないサイズの積層体を形成することができる。」(段落【0011】),「形成されるシート状物積層体自体は,各シート状物の上記第1の折れ線及び上記第3の折れ線近傍において,第2の折片が設けられた大きさ分だけ,肉厚部分が形成され,積層体同士を重ね合わせた際の安定感を向上させることができる。」(段落【0012】) 状物の上記第1の折れ線及び上記第3の折れ線近傍において,第2の折片が設けられた大きさ分だけ,肉厚部分が形成され,積層体同士を重ね合わせた際の安定感を向上させることができる。」(段落【0012】),「第2の中間片12の長さにあたる 部分,つまり第1の折れ線15と第2の折れ線との距離Bは,第1の中間片11の長さ11aの略1/2の長さである。」(段落【0018】),「以上のように構成されたシート状物積層体1は,従来の積層構造においてはない第2の折片14を有することで,従来と変わらない積層体の幅としても,第2の折片14の面積分だけ従来よりもサイズの大きいシート状物10を 積層させることができる。具体的には,シート状物10は,従来使用される シート状物の大きさと比較して,第2の折片14の面積分,つまり上述のD<Cの関係を有する範囲内で大きさを変更することができ,約25%まで大きいサイズのシート状物を使用することができる。」(段落【0026】),「第2の折片14の第3の折れ線17と短辺10cとの距離Dが距離C(判決注:第1の折片の距離)よりも大きくなると,出来上がるシート状物積層 体1において,…第2の折片14と…第1の折片13とが重なり合い,全体の嵩高状態が,中央部が膨らみ不安定なものとなる。」(段落【0028】との記載がある。 上記記載によれば,本件発明等の課題は,①包装体の大きさを従来と同様に維持しつつ,より大きなサイズのシート状物を積層できる構造を提供する こと,②包装体同士を積み重ねた際の安定感のあるシート状物の積層体を提供することにあり,本件発明等の効果は,③従来と比較して第2の折片の面積分だけ大きいサイズのシート状物によって,従来と変わらないサイズの積層体を形成することができ,また,第 るシート状物の積層体を提供することにあり,本件発明等の効果は,③従来と比較して第2の折片の面積分だけ大きいサイズのシート状物によって,従来と変わらないサイズの積層体を形成することができ,また,第2の折片が設けられた大きさ分だけ肉厚部分が形成され,積層体同士を重ね合わせた際の安定感を向上することが できるという効果を得られることにあると認められ,本件発明等においては,上記①の課題を解決して上記③の効果を得るために第2の折片を設けているが,本件発明等に係るシート状物のサイズを従来のものより大きくするためには,その前提として,第2の折片以外の部分を可能な限り大きくすることが必要となるものと解される。 すなわち,本件発明等の第1の中間片の幅は積層体の幅と略同じ長さと規定されているところ,第2の中間片及びこれと略同じ幅の第1の折片の長さを第1の中間片の幅の2分の1より小さくすると,第2の折片を設けたとしても,シート状物全体のサイズがその分だけ従来のものよりも小さくなってしまい,上記①の課題を解決して上記③の効果を得ることができなくなる一 方,第2の中間片の幅を第1の中間片の2分の1よりも長くすると,第2の 中間片同士が中央部で重なり合い,全体の嵩高状態が不安定なものになってしまい,上記②の課題解決に支障が生じることとなる。そうすると,本件発明等の上記課題①及び②を解決し,所期の効果を奏するには,第2の中間片の幅を,第1の中間片の1/2を超えない範囲でこれに限りなく近づけることが望ましいものと認められる。 エ前記のとおりの「略」という語の通常の意義及び構成要件Cにおいて第2の中間片の幅寸法が規定されている技術的意義に照らすと,同構成要件にいう「略1/2」とは,正確に2分の1であることは エ前記のとおりの「略」という語の通常の意義及び構成要件Cにおいて第2の中間片の幅寸法が規定されている技術的意義に照らすと,同構成要件にいう「略1/2」とは,正確に2分の1であることは要しないとしても,可能な限りこれに近似する数値とすることが想定されているものというべきであり,各種誤差,シート状物の伸縮性等を考慮しても,第1の中間片の2分 の1との乖離の幅が1割程度の範囲内にない場合は「略1/2」に該当しないと解するのが相当である。 オこれに対し,原告は,本件発明等は,容易に伸縮する素材を用いることを前提とし,第2の中間片及び第1の折片の幅に誤差が生じた場合にも,第2の折片によりその誤差を吸収して,積層体が所望とする幅寸法になるように 調整することに主眼があるのであって,本件発明等における「略1/2」の語は,1/2を超える場合は含まないが,1/2より短いものは広く許容する意味と解釈すべきであると主張する。 しかし,本件明細書等には,第2の中間片が第1の中間片の幅の1/2より小さい幅となったときに第2の折片がその誤差を吸収することにより積 層体の幅寸法を維持することが本件発明等の課題である旨の記載は存在しない。むしろ,前記判示のとおり,本件明細書等には,積層体の幅を従来と同様とした上で,第2の折片を設けることにより「第2の折片の面積分だけ従来と比較して大きいサイズのシート状物」(段落【0011】)を形成することが本件発明等の課題である旨が記載されているのであって,その課題 解決のためには,前記のとおり,第2の中間片の幅を,可能な限り第1の中 間片の1/2を超えない範囲でこれに近づけることが望ましいものというべきである。 したがって,原告の主張は採用し得ない。 ,前記のとおり,第2の中間片の幅を,可能な限り第1の中 間片の1/2を超えない範囲でこれに近づけることが望ましいものというべきである。 したがって,原告の主張は採用し得ない。 (2) 被告各製品との対比上記(1)に基づき,被告各製品が構成要件Cを充足するかどうかについて, 以下検討する。 ア構成要件Cの充足性に関し,被告各製品の測定結果として提出されている証拠(甲21,22,25,乙A14,26,27,39)のうち,被告製品②に関する甲25及び乙A39は,本訴の審理中に原告と被告PPJが測定対象について協議の上,原告はロット番号「RC24/3FM13:59」の製品を測 定し,被告PPJらはロット番号「YRC24/3FM16:40」の製品を測定することに合意し,それぞれが対象製品を測定した結果を提出したものであり,被告製品③に関する甲21,22,乙A26,27も,同様に,原告と被告PPJらが測定対象について協議の上,原告及び被告PPJらそれぞれの提案に係る同一ロットの製品について,それぞれが測定した結果(原告提案のロッ ト番号「YRF09/3FM13:35」の製品について,甲22,乙A27,被告PPJら提案のロット番号「YRF09/3FM08:12」の製品について,甲21,乙A26)であることは当裁判所に顕著である。 なお,別紙6-1~6-9は,被告各製品の測定結果(乙A14を含む。)であるが,各別紙のA~D欄の単位はmmであり,「平均値」欄には1~8 0枚目の平均値を,「平均値(1,80枚目)を除く」欄には,異常値を示すことが多いとうかがわれる1枚目と80枚目を控除した2~79枚目の平均値を表示している。 イ被告製品②について被告製品 を,「平均値(1,80枚目)を除く」欄には,異常値を示すことが多いとうかがわれる1枚目と80枚目を控除した2~79枚目の平均値を表示している。 イ被告製品②について被告製品②については,上記アの審理経過に照らし,信用性が高いと認め られる甲25及び乙A39に基づいて検討することが相当であるところ,原 告が被告製品②(YRC24/3FM13:59)について測定した結果(甲25:別紙6-2)によれば,同製品の各シート状物の第1の中間片の幅の2分の1に対する第2の中間片の幅の比率(以下,単に「第2の中間片の比率」ということがある。)が90%~100%の範囲内にあるものは,全80枚のうち3枚にすぎず,その平均値(「平均値(1,80枚目除く)」欄のもの。以下 同じ。)も83%にとどまるものと認められる。 また,被告PPJが被告製品②(YRC24/3FM16:40)について測定した結果(乙A39:別紙6-4)によれば,第2の中間片の比率が90%~100%の範囲内にあるものは,全80枚のうち30枚であるものの,同比率がその範囲内にあるものは,いずれも偶数番目のシート状物であって,奇数番目の シート状物にはこれが存在しない上,全体の平均値も84%にとどまるものと認められる。 上記の被告製品②全体における第1の中間片の幅の2分の1に対する第2の中間片の幅の平均比率,その比率が90%~100%の範囲内にあるものの割合及びその分布等に照らすと,被告製品②の第2の中間片が構成要件 C「第1の中間片の略1/2の幅」との要件を充足するとは認められない。 ウ被告製品③について被告製品③については,上記アの審理経過に照らし,信用性が高いと認められる甲21,22,乙A2 の中間片の略1/2の幅」との要件を充足するとは認められない。 ウ被告製品③について被告製品③については,上記アの審理経過に照らし,信用性が高いと認められる甲21,22,乙A26,27に基づいて検討することが相当であるところ,原告及び被告PPJがそれぞれ被告製品③(YRF09/3FM08:12)につ いて測定した結果によれば,第2の中間片の幅の比率が90%~100%の範囲内にあるものの枚数及び平均値は,原告測定に係るもので3枚及び82%(甲21:別紙6-5),被告PPJ測定に係るもので0枚及び81%(乙A26:別紙6-8)であると認められる。 また,原告及び被告PPJがそれぞれ被告製品③(YRF09/3FM13:35)につ いて測定した結果によれば,第2の中間片の幅の比率が90%~100%の 範囲内にあるものの枚数及び平均値は,原告測定に係るもので6枚及び82%(甲22:別紙6-6),被告PPJ測定に係るもので1枚及び81%(乙A27:別紙6-9)であると認められる。 上記の被告製品③全体における第1の中間片の幅の2分の1に対する第2の中間片の幅の平均比率及びその比率が90%~100%の範囲内にあ るものの割合等に照らすと,被告製品③の第2の中間片が構成要件C「第1の中間片の略1/2の幅」との要件を充足するとは認められない。 エ被告製品①(別紙6-1)被告製品①については,審理の過程において原告と被告PPJが協議の上で対象製品を測定した結果は存在しないが,その第1の中間片の幅の2分の 1に対する第2の中間片の幅は,被告製品②及び③と同様であると推認される。また,同被告の提出した測定結果(乙A14:別紙6-1)によれば,同製品における第2の中 その第1の中間片の幅の2分の 1に対する第2の中間片の幅は,被告製品②及び③と同様であると推認される。また,同被告の提出した測定結果(乙A14:別紙6-1)によれば,同製品における第2の中間片の幅の比率が90%~100%の範囲内にあるものは,全80枚のうち2枚にすぎず,その平均値は80%にとどまるものと認められるところ,同測定結果は,被告製品①における第2の中間片の 比率が被告製品②及び③と同様であることを裏付けるものということができる。 したがって,被告製品①の第2の中間片が構成要件C「第1の中間片の略1/2の幅」との要件を充足すると認めることはできない。 (3) 小括 以上のとおり,被告各製品における第2の中間片は,構成要件Cの「第1の中間片の略1/2の幅」との要件を充足するとは認められないので,被告各製品が本件発明等の技術的範囲に属するということはできない。 3 結論よって,原告の被告らに対する請求は,その余の点につき判断するまでもなく, すべて理由がないから,これらをいずれも棄却することとして,主文のとおり判 決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 佐藤達文 裁判官 三井大有 裁判官 今野智紀 別紙1被告製品目録 ①「MealtimeHandandMouthwipesウェットティッシュ手・口ふき」 クマモンキャラクター柄 智紀 別紙1被告製品目録 ①「MealtimeHandandMouthwipesウェットティッシュ手・口ふき」 クマモンキャラクター柄付き(別添図1)商品名 :お食事用手・口ふき製品番号:ウェットティッシュNo.102サイズ :約150mm×200mm 収納枚数 80枚入りただし,ロット番号に「/3」を含む製品 ②「純水99%薬用おでかけ手・口ふき」ミッキーマウスキャラクター柄付き(別添図2)商品名 :ふんわり手・口ふきDA-03M製品番号:WDウェットティッシュNo.6 サイズ :約150mm×200mm 収納枚数 80枚入りただし,ロット番号に「/3」を含む製品 ③「お食事用手・口ふき」子供図柄付き(別添図3) 商品名 :お食事用手・口ふき製品番号:ウェットティッシュNo.60サイズ :約150mm×200mm 収納枚数 80枚入りただし,ロット番号に「/3」を含む製品 【図1】 平面図 底面図 別紙2被告製品説明書a 上面中央に開口が設けられた包装物に内包され,折り畳まれた複数枚のシート状物が連続して上記開口から取り出せるように積層された積層体であって,a2 上記シート状物はスパンレース不織布からなり, b 上記シート状物の各々は,図2に示すように,第1の中間片と,c 上記シート状物の一辺と平行な折れ線で積層方向下側に折られ,上記第1の中間片に隣接 ト状物はスパンレース不織布からなり, b 上記シート状物の各々は,図2に示すように,第1の中間片と,c 上記シート状物の一辺と平行な折れ線で積層方向下側に折られ,上記第1の中間片に隣接して形成された第2の中間片と,d 上記第2の中間片から積層方向下側に折り返されて形成された第1の折片と,e 上記シート状物の他方の一辺と平行な折れ線で上記第1の中間片から積層方向 上側に折り返されて形成された第2の折片とを有するように折り畳まれてなり,f 積層される上記シート状物の偶数番目の上記シート状物と奇数番目の上記シート状物とは,図3に示すように,左右対称となるように折り畳まれた状態で積層され,g 図3に示すように,各偶数番目(奇数番目)の上記シート状物の上記第1の中間 片及び上記第2の中間片によってできる谷部に,上記シート状物の次に積層される各奇数番目(偶数番目)の上記シート状物の上記第1の中間片及び上記第2の折片によってできる山部を重ね合わせることを特徴とするシート状物の積層体。 【図1】被告各製品に係るシート状物の積層体の概略図 【図2】被告各製品に収容されているシート状物の折り形状の説明図 【図3】被告各製品に収容されているシート状物の積層構造の説明図 別紙3争点2(本件発明が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか)について 1 争点2-1(乙A2発明に基づく新規性又は進歩性の欠如)について(被告らの主張) 本件発明は,乙A2発明と同一であるから新規性を欠き,仮に新規性を有するとしても,乙A2発明の数値範囲から,本件発明の数値範囲に含まれる他の 又は進歩性の欠如)について(被告らの主張) 本件発明は,乙A2発明と同一であるから新規性を欠き,仮に新規性を有するとしても,乙A2発明の数値範囲から,本件発明の数値範囲に含まれる他の値に変化させることは当業者にとって容易に想到し得たことであるから,本件発明は進歩性を欠き,いずれにせよ特許無効審判により無効にされるべきものである。 (1) 共通点 乙A2発明は,構成要件A~D,F,G及び下記(2)イのとおり第2の折片に相当する構成を具備する点において,本件発明と共通する。 (2) 相違点ア乙A2発明は,次の構成E”を有する(なお,乙A2公報の【図3】(A)における折線S1とS3に挾まれた部分を「中間片11g,12g」という。)。 「E”中間片11g,12gと折線S3を介して上側に接続され,腰折ウェットテシュー11,12の幅方向の中心線Yを超えずかつこれに接近した長さの折り返し片11f,12fとを有するように折り畳まれ,」 乙A2の【図2】 乙A2の【図3】(A) イ構成E”の「折り返し片11f,12f」は,本件発明の「第2の折片」に 相当する点で共通するが,本件発明の構成要件Eは,「第2の折片」の幅を「第1の中間片の幅の1/2以下」とするのに対し,乙A2発明の構成E”は,「第2の折片」に相当する「折り返し片11f,11g」の幅を,「腰折ウェットテシュー11,12の幅方向の中心線Yを超えずかつこれに接近した長さ」とする(乙A2の段落【0026】)。 上記のとおり,本件発明の構成要件Eは第2の折片を数値範囲で規定するのに対し,乙A2の構成E’は当該数値範囲に包含される更に限定された した長さ」とする(乙A2の段落【0026】)。 上記のとおり,本件発明の構成要件Eは第2の折片を数値範囲で規定するのに対し,乙A2の構成E’は当該数値範囲に包含される更に限定された数値範囲を指す定性的な表現で規定されている点(構成要件Eに示された数値範囲は,構成E”に示された数値範囲を包含する更に広い数値範囲である点)が相違する。 (3) 新規性欠如乙A2発明は,構成要件E以外の全ての構成要件と同一であるほか,構成要件Eにおける第2の折片の幅を「第1の中間片の幅の1/2以下」とする数値範囲に包含される「第1の中間片の幅の1/2以下」であり,かつ,「1/2に近い」という数値範囲を開示しているから,本件発明は,乙A2発明を包含するもので あって,新規性を欠く。 (4) 進歩性欠如本件特許出願前から,シート状物の幅方向最端部に位置する片の幅寸法が積層体の幅寸法に対して1/2未満の任意の幅であるように折り畳まれたシート状物は,周知技術であった(乙A4【図9】(ロ),乙A5【図9】,乙A6【図 1】)。 また,乙A2発明は,ウェットテシューの大きさに対して,より短い誘出長や,よりコンパクトな積層体を実現するためになされた発明である(段落【0004】,【0006】)。「中心線Yを越え」ない範囲で第2の折片に相当する「折り返し片11f,12f」を長くすればするほど,ウェットテシューの大きさに対す る誘出長が短くなり,かつ,積層体のサイズがコンパクトになるため,より優れ た作用効果を奏するようになるのであるから,求める作用効果の程度に応じて,「折り返し片11f,12f」を第1の中間片に相当する「中間片11g,12g」の幅の1/2以下の他の値に変化させることは,当業者 作用効果を奏するようになるのであるから,求める作用効果の程度に応じて,「折り返し片11f,12f」を第1の中間片に相当する「中間片11g,12g」の幅の1/2以下の他の値に変化させることは,当業者が適宜採用し得る設計事項にすぎない。 さらに,本件特許出願時点(平成17年4月22日)において,乙A2発明に 係る特許出願は,実体審査の結果待ちの段階であったから,当業者としては,乙A2発明に特許権が付与された場合に侵害とされることを回避すべく,乙A2発明の最も特徴的な構成である「折り返し片11f,12f」を設けつつ,その幅を第1の中間片に相当する「中間片11g,12g」の幅の1/2以下の他の値に変化させることは容易想到であった。 したがって,第2の折片の幅について,乙A2に開示された「第1の中間片の幅の1/2以下」であり,かつ,「1/2に近い」という数値範囲から,本件発明の数値範囲である「第1の中間片の幅の1/2以下」に含まれる他の値に変化させることは,当業者にとって容易に想到し得たから,本件発明は進歩性を欠く。 (原告の主張) 本件発明は,乙A2発明と同一ではないから新規性を有し,当業者が本件発明と乙A2発明の相違点に容易に想到し得たとはいえないから進歩性も有するので,本件特許が特許無効審判により無効にされるべきものであるとはいえない。 (1) 新規性について本件発明の構成要件Eにいう「第2の折片」は,乙A2発明の「折り返し片1 1f,12f」と同一の構成ではないので,乙A2発明は構成要件Eの「第2の折片」に相当する構成を具備しない点で相違する。 乙A2発明は,「各腰折ウェットテシューの上部折片と下部折片の遊離端側を折り返して上部短巾重畳端と下部短巾重畳端を形成し,この両者を の「第2の折片」に相当する構成を具備しない点で相違する。 乙A2発明は,「各腰折ウェットテシューの上部折片と下部折片の遊離端側を折り返して上部短巾重畳端と下部短巾重畳端を形成し,この両者を相の手に組んで多重ねを行っているので,各腰折ウェットテシュー間における上記相の手組部 の寸法(重畳巾の寸法)をウェットテシュー長の略五分の一に縮小でき,この結 果,上位の腰折ウェットテシューの上部短巾重畳端を摘持して引き出したときの容器の取出口から誘出される下位の腰折ウェットテシューの誘出寸法を上部短巾重畳端の重畳巾に短縮できる」ことを目的として(乙A2の段落【0008】),この「折り返し片11f,12f」をウェットテシュー長の略5分の1の幅と縮小したものである。 そして,乙A2発明では,どのような長さのシート状物であっても5等分して各折片や中間片を形成しているため,「折り返し片11f,12f」は,必然的にウェットテシュー長の略5分の1の幅となるから,第1の中間片に相当する幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整する機能を有しておらず,乙A2公報には,「折り返し片11f,12f」によって,第1の中間片に相当する幅 が所望とする積層体の幅寸法となるように調整することについて記載も示唆もされていない。 これに対し,本件発明は,「包装体の大きさが従来と変わらない大きさでありながら,より大きなサイズのシート状物を積層できる構造を提供するとともに,包装体同士を積み重ねた際の安定感のあるシート状物の積層体を提供すること を目的」(本件明細書等の段落【0008】)として,「上記第1の中間片から積層方向上側に折り返され上記第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整するとともに,上記第1の中 と を目的」(本件明細書等の段落【0008】)として,「上記第1の中間片から積層方向上側に折り返され上記第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整するとともに,上記第1の中間片の幅の1/2以下となる第2の折片」(構成要件E)を追加することで,上記目的を達成する等の効果を有するものである(同段落【0011】)。 このように,本件発明の「第2の折片」は,乙A2発明の「折り返し片11f,12f」と,その目的及び構成を全く異にするから,乙A2発明には構成要件Eが開示されておらず,この点で両者は相違する。 また,乙A2発明の効果としては,「上記相の手組み構造によって腰折ウエットテシューの腰折巾を縮小でき,これにより腰折ウエットテシューを収容する容 器の小形化を達成できる」ことが挙げられている(乙A2の段落【0039】)。 これは,従来技術では例えば積層体の幅寸法が100mm,全体長さ200mmの幅のシート状物であったものを,乙A2発明では5等分して折り曲げることにより全体の5分の2の80mmの幅寸法にすることができるので容器の小型化を達成できるということを意味するもので,本件発明のように従来と比較して大きいサイズのシート状物で従来と変わらないサイズの積層体を形成しようとす るものではないから,乙A2発明は本件発明と技術思想が異なる。 したがって,本件発明は,新規性を有する。 (2) 進歩性について本件発明の「第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整するとともに,第1の中間片の幅の1/2以下となる第2の折片を有するように 折り畳む」という本件発明の技術的思想は,乙A2発明には記載も示唆もない。 また,本件発明は,乙A2発明にはない構成 とともに,第1の中間片の幅の1/2以下となる第2の折片を有するように 折り畳む」という本件発明の技術的思想は,乙A2発明には記載も示唆もない。 また,本件発明は,乙A2発明にはない構成(構成要件E)により,第2の折片の面積分だけ従来と比較して大きいサイズのシート状物であっても,従来と変わらないサイズの積層体を形成することができるとともに,積層体の幅方向端部近傍において第2の折片が設けられた大きさ分だけ肉厚部分が形成され,積層体 同士を重ね合わせた際の安定感を向上させることができるという従来技術にはない優れた効果を奏するものである(本件明細書等の段落【0011】,【0012】)。 したがって,当業者が前記の相違点に係る構成を容易に想到し得たということはできない。 2 争点2-2(乙A7発明に基づく進歩性の欠如)について(被告らの主張)本件発明と乙A7発明の相違点(後記(2))である構成要件Eに相当する構成は,乙A8考案に開示されており,乙A7発明と乙A8考案の技術分野及び課題の共通性に照らすと,当業者であれば,乙A7発明に乙A8考案を適用することにより, 上記相違点に係る構成を容易に相当し得たものであるから,本件発明は進歩性を欠 き,特許無効審判により無効にされるべきものである。 (1) 共通点乙A7発明は,構成要件A~D,F,Gにおいて,本件発明と共通する。 (2) 相違点乙A7発明は,構成要件Eに相当する構成を備えていない点で,本件発明と相 違する。 (3) 進歩性欠如ア乙A7発明の「上部折片11b,12b」の遊離端側は,ウェットテシューの端縁部に相当するが,これに乙A8考案を適用すると上記遊離端側に小幅な折返片を設けることができる (3) 進歩性欠如ア乙A7発明の「上部折片11b,12b」の遊離端側は,ウェットテシューの端縁部に相当するが,これに乙A8考案を適用すると上記遊離端側に小幅な折返片を設けることができる。この小幅な折返片は,本件発明の「第2の折片」 に相当する。 乙A7の【図6】イ乙A7発明は,シート状物を折り畳んで積層するための技術分野に属しているが(乙A7の段落【0001】),これは,乙A8考案も同様であるから(乙 A8・1頁),両者の技術分野は共通である。 また,証拠(乙A9・3頁,乙A2・3頁,乙A10・6頁)に照らせば,乙A8考案の課題である「シート状物の破損を未然に防止すること」(乙A8・4頁)は,本件特許出願前に当業者において当然の前提とされていた課題であったから,乙A7発明と乙A8考案の課題は共通である。 そして,「第2の折片」を備えることで「その第2の折片の面積分だけ従来と比較して大きいサイズのシート状物であっても,従来と変わらないサイズの 積層体を形成することができる」(本件明細書等の段落【0011】)とともに,積層体の幅方向端部近傍において「第2の折片が設けられた大きさ分だけ,肉厚部分が形成され,積層体同士を重ね合わせた際の安定感を向上させることができる」(同段落【0012】)という本件発明の作用効果は,「第2の折片」に相当する構成を設け,その幅寸法を「第1の中間片」に相当する折片の 1/2以下とすることによって得られる当然の結果にすぎないから,本件特許出願当時の技術水準から,当業者が容易に予測することができたものであった。 したがって,本件発明は進歩性を欠く。 (原告の主張)乙A7発 て得られる当然の結果にすぎないから,本件特許出願当時の技術水準から,当業者が容易に予測することができたものであった。 したがって,本件発明は進歩性を欠く。 (原告の主張)乙A7発明と乙A8考案とでは,技術分野及び解決しようとする課題のいずれも 異なり,乙A7発明に乙A8考案を適用する動機付けが存在しないから,被告らの主張する相違点に係る構成を当業者が容易に想到し得たということはできない。 (1) 乙A7発明は,一般的には除菌等を目的として使用されるもので(乙A7の段落【0036】),濡れた手を拭くために使用されるものではなく,上方に掴み上げて使用する多重腰折ウェットテシューに関するものであるのに対し,乙A8 考案は,使用者が手を拭くために濡れた手で端部を摘まみ,下方へ引っ張ってタオル片を引き出して使用するペーパータオルに関する発明であるから(乙A8・2頁7~11行目),両者は,具体的な対象物や使用態様を異にし,技術分野が共通しない。 (2) 乙A7発明が解決しようとする課題は,「多重腰折ウェットテシューにおける 各腰折ウェットテシューの上部折片の誘出量を可及的に短縮すると共に,各腰折ウェットテシュー間の相の手組部が多重腰折ウェットテシューの局部に集中しないようにし,更には容器の取出し口から引き出された腰折ウェットテシューに下位の腰折ウェットテシュー全体または上部折片全体が友連れされて引き出される問題」であり(乙A7公報の段落【0012】),乙A7公報に,乙A8考 案の課題である「シート状物の破損を未然に防止する」という課題を解決し得る 旨の記載はない上,乙A7発明には「第2の折片」に相当する折片がなく,乙A8考案のように端部の摘む部分が二重になっていないため,「シート状物の破損 未然に防止する」という課題を解決し得る 旨の記載はない上,乙A7発明には「第2の折片」に相当する折片がなく,乙A8考案のように端部の摘む部分が二重になっていないため,「シート状物の破損を未然に防止する」という課題を解決できない。 このように,乙A7発明と乙A8考案では,課題が共通しない。 (3) したがって,乙A7発明と乙A8考案とでは,技術分野及び解決しようとする 課題のいずれも異なるので,乙A7発明に乙A8考案を適用する動機付けは存在せず,本件特許出願当時の当業者が乙A7発明に乙A8考案を適用して,前記相違点に係る構成を容易に想到し得たということはできない。 3 争点2-3(実施可能要件違反)について(被告らの主張) 本件発明の構成要件Eの「上記第1の中間片から積層方向上側に折り返され上記第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整するとともに,上記第1の中間片の幅の1/2以下となる第2の折片」は,本件明細書等の発明の詳細な説明に記載された方法では製造できないから,本件明細書等の発明の詳細な説明は,本件発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではなく, 本件特許は,特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであって,実施可能要件違反により特許無効審判により無効にされるべきものである。 (1) 構成要件Eのうち,「上記第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整する」との構成は,「第2の折片」を構造等の具体的な手段を用い て特定するのではなく,機能や特性等を用いて特定しようとするものである。このように機能によって特定された物については,そのような機能を有する全ての物を意味することになる。 (2) 本件 て特定するのではなく,機能や特性等を用いて特定しようとするものである。このように機能によって特定された物については,そのような機能を有する全ての物を意味することになる。 (2) 本件明細書等の発明の詳細な説明の段落【0020】,【0021】及び【図2】,【図3】によれば,シート状物10は,第1の折れ線15において積層方 向とは反対方向(-z方向)に折り返し第1の中間片11及び第2の中間片12 を形成し,第2の折れ線16において積層方向とは反対方向(-z方向)に折り返し第1の折片13を形成し,第3の折れ線17において積層方向(z方向)に折り返し第2の折片14を形成する。そして,第2の折片14の長さに当たる,第3の折れ線17と短辺10cとの距離Dは,D<Cであり,距離Dは,距離Aの半分より小さい値となるように折り返され,このようにして第2の折片が製造 される。 【図2】 【図3(A)】そして,「第1の中間片」は,「所望とする積層体の幅寸法と略同じ長さ」を 有する辺であるから(構成要件B),第1の中間片11及び第2の中間片12を形成するための折れ線15と,第2の折片14を形成するための折れ線17は,「第1の中間片」を形成するため,その間の長さ(折れ線15-折れ線17)が「所望とする積層体の幅寸法」と等しくなるように設けなければならない。すなわち,「第2の折片」は,後に「第1の中間片」となる部分と「第2の折片」と なる部分とが一体となった「シート状物」の部分が,「第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整」されて得られた所与の位置(折れ線17)で折り返された結果,初めて形成されるものであり,「第 部分とが一体となった「シート状物」の部分が,「第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整」されて得られた所与の位置(折れ線17)で折り返された結果,初めて形成されるものであり,「第2の折片」は,調整自体には何ら寄与しないから,本件明細書の発明の詳細な説明の記載に従って得られる「第2の折片」は,「第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法と なるように調整する」という機能を具備しない。 (3) したがって,本件明細書等の発明の詳細な説明は,本件発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではなく,本件特許出願は,実施可能要件を満たさない。 (原告の主張)本件明細書等の発明の詳細な説明は,本件発明を当業者が実施できる程度に明確 かつ十分に記載したものであって,実施可能要件違反はないから,本件特許は,特許無効審判により無効にされるべきものではない。 (1) 本件発明は,従来の積層構造にはない第2の折片を有することで,積層体の幅を従来と変更しなくても,第2の切片14の面積だけ従来よりもサイズの大きいシート状物を積層させることができるようにしたものである。具体的には,シー ト状物10は,従来使用されるシート状物と比較して,第1の中間片の幅の1/2以下となる範囲内,すなわち,第2の折片14の面積分である最大約25%まで大きいサイズのシート状物を使用することができるようにしたものである(本件明細書等の段落【0026】)。 例えば,折る前のシート状物の長さが「所望とする積層体の幅寸法」(第1の 中間片の長さである距離A)の2倍よりわずかに長いものであれば,第2の折片の折り返し幅の距離Dをわずかな幅とし,「所望とする積層体の幅寸法」の2倍よりある程度長いものであれば,第 」(第1の 中間片の長さである距離A)の2倍よりわずかに長いものであれば,第2の折片の折り返し幅の距離Dをわずかな幅とし,「所望とする積層体の幅寸法」の2倍よりある程度長いものであれば,第2の折片の折り返し幅である距離Dもある程度長い幅とすることで,「第1の中間片」を「所望とする積層体の幅寸法と略同じ長さ」となるように調整するものであって,本件発明においては,第2の折片 を有するからこそ「第1の中間片」を「所望とする積層体の幅寸法と略同じ長さ」とすることができるのである。 (2) このように,本件発明は,第1の中間片の長さである距離Aを「所望とする積層体の幅寸法」となるように設計した際に,はみ出してしまう余分な部分を第2の折片として折り返すことにより,従来と変わらないサイズの積層体を形成する ことができるようにしたものであり,そのように形成された第2の折片は,シー ト状物の積層体として見た場合,「第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整する」役割を果たしている。 このことは,本件明細書等の段落【0001】,【0002】,【0004】,【0005】,【0009】,【0011】,【0014】,【0015】,【0020】,【0026】及び【図1】等の記載を参酌すれば,当業者にとって自 明な事項といえるから,本件明細書の発明の詳細な説明の記載は,実施可能要件を欠くものではない。 4 争点2-4(明確性要件違反)について(被告の主張)第2の折片に関する発明特定事項は不整合が生じているから,本件特許請求の範 囲の記載は不明確であり,構成要件Eの「調整する」との記載が,製造方法によって生産物を特定しようとする記載であると解しても,本件特許請求の範囲は,物の発明の請求項に るから,本件特許請求の範 囲の記載は不明確であり,構成要件Eの「調整する」との記載が,製造方法によって生産物を特定しようとする記載であると解しても,本件特許請求の範囲は,物の発明の請求項に特段の事情もなく製造方法が記載されているという理由で不明確であるから,本件特許には明確性要件違反の無効理由がある。 (1) 構成要件Eにおいて,第2の折片は,「第1の中間片から積層方向上側に折り 返され」,「上記第1の中間片の幅の1/2以下となる」折片であるから,単なるシート状物の折片として特定されている。一方,「上記第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整する」との記載からすれば,第2の折片が何かを「調整する」機能を有する折片として特定されている。しかるに,単なるシート状物の折片は,何かを「調整する」機能を有し得ないから,発明特定 事項同士が不整合を生じており,本件特許請求の範囲の記載は不明確である。 (2) 仮に,「上記第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整する」との記載を,原告が主張するように,第2の折片が,第1の中間片の長さを所望する積層体の幅寸法となるように設計した際に,はみ出してしまう部分を第2の折片として折り返すことにより,従来と変わらないサイズの積層体を形成 ることができるようにしたものであると解する場合,当該記載は,「第1の中間 片の長さを所望する積層体の幅寸法となるように設計した際に,はみ出してしまう部分を・・・折り返す」ことにより第2の折片を形成するという製造方法を意味するもので,製造方法によって生産物を特定しようとする記載に該当する。 そして,物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合に明確性要件を満たすと 法を意味するもので,製造方法によって生産物を特定しようとする記載に該当する。 そして,物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合に明確性要件を満たすと認められるのは,出願時において当 該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという特段の事情がある場合に限られる(最高裁平成24年(受)第1204号同27年6月5日第二小法廷判決・民集69巻4号700頁)。 しかるに,上記製造方法によって最終的に製造される第2の折片は,「上記第1の中間片から積層方向上側に折り返され,上記第1の中間片の幅の1/2以下 となる折片」と,その構造により直接特定することが可能であって,本件において,上記特段の事情は認められないから,上記製造方法によって生産物を特定しようとする記載を含む本件特許請求の範囲の記載は明確性要件を欠く。 (原告の主張)本件特許請求の範囲の記載は明確であるから,明確性要件を欠くものではなく, 本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものではない。 (1) シート状物全体の大きさを第2の折片の面積分を限度に大きいサイズに変更した場合,又は製造過程でシート全体の長さに多少のばらつきが出た場合であっても,第2の折片が,第1の中間片の幅の1/2以下というように幅を持たせたものとして設計されているため,この第2の折片をもって,第1の中間片の幅を 設計されている幅になるように調節していることからすると,第2の折片は,単なるシート状物の折片でありながら,第1の中間片の幅を「調整する」機能を有し得るから,発明特定事項同士が不整合を生じているなどということはない。 (2) また,構成要件Eは,第2の折片をもって,第1の中間片の 物の折片でありながら,第1の中間片の幅を「調整する」機能を有し得るから,発明特定事項同士が不整合を生じているなどということはない。 (2) また,構成要件Eは,第2の折片をもって,第1の中間片の幅を設計されている幅になるように調節していることを意味しているのであって,製造方法によっ て物を特定するものではない。 別紙4争点3(本件訂正により無効理由が解消するか)について(原告の主張) 1 本件訂正の適法性本件訂正は,いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,実質上 特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではなく,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから,本件訂正は訂正の要件を満たし,適法である。 2 本件訂正による無効理由の解消乙A2発明に基づく新規性・進歩性欠如の主張について,仮にこの点において本 件発明に無効理由があると認められるとしても,本件訂正により解消された。 (1) 本件訂正発明と乙A2発明の対比ア相違点1原告は,本件訂正(訂正事項1,3)により,シート状物はスパンレース不織布からなることを特定した(構成要件A2)。これにより,「乾燥状態では 使用に耐え得る十分な強度を有するとともに,液体による湿潤状態ではウェブ形状を保持し,極めて容易且つ速やかな吸水性を有する」という効果を得ることができる。 一方,乙A2公報には,シート状物の材質及びスパンレース不織布を採用することによる上記効果は記載も示唆もされていない。 イ相違点2原告は,本件訂正(訂正事項2,4)により,第2の折片の幅は,第1の中間片の幅の1/2未満で,かつ,第1の折片の幅より短い幅であることを 記載も示唆もされていない。 イ相違点2原告は,本件訂正(訂正事項2,4)により,第2の折片の幅は,第1の中間片の幅の1/2未満で,かつ,第1の折片の幅より短い幅であることを特定した(構成要件E’,E2)。すなわち,本件訂正発明では,本件明細書等の【図1】のとおり,第2の折片14の幅(D)は,第1の中間片の幅(A)の 1/2未満であり,かつ,第1の折片13の幅(C)よりも短くなる。 これに対し,乙A2発明では,乙A2公報の明細書や【図4】に,「上記折線S1はウェットテシューを略五等分して五分の三の位置に設定し,該五分の三の長さの折片で上部折片11a,12aを形成し,残りの五分の二の長さの折片で下部折片11b,12bを形成する」(段落【0022】),「又折線S2は上記下部折片11b,12bを更に略二等分する位置に設定し,折線S 3は上部折片11a,12aを略三等分し遊離端から三分の一の位置に設定する。従って折線S2によって折り返された折り返し片11e,12eは腰折ウェットテシュー11,12の展開長の略五分の一の長さとなり,折線S3によって折り返された折り返し片11f,12fは同様に腰折ウェットテシュー11,12の展開長の略五分の一の長さになる」(段落【0023】)と記載さ れているように,第2の折片の幅は第1の中間片の幅の約1/2であり,第2の折片の幅と第1の折片の幅は等しい。 本件明細書等の【図1】 乙A2の【図4】このように,乙A2発明の第2の折片の幅は,本件発明のように,第1の中 間片の幅の1/2未満で,かつ,第1の折片の幅より短い幅ではないし,乙A2公報に一方の折片(11f,12f)の幅を他方の折片(11e,12e)の幅 2の折片の幅は,本件発明のように,第1の中 間片の幅の1/2未満で,かつ,第1の折片の幅より短い幅ではないし,乙A2公報に一方の折片(11f,12f)の幅を他方の折片(11e,12e)の幅よりも短くするという構成は記載も示唆もされていないので,本件訂正発明と乙A2発明とは,第2の折片の幅寸法の範囲についての構成が異なる。 ウ相違点3本件訂正発明における第2の折片は,第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整するものであり,例えば,所望とする積層体の幅寸法が100mmであったとして,シート状物の全長が210mmであれば,第2の折片の幅を10mmとし,シート状物の全長が215mmであれば,第2 の折片の幅を15mmとすることで,積層体の幅寸法(第1の中間片の幅)が常に所望の幅になるように調整することができる。 一方,乙A2発明では,第1の中間片の幅は,シート状物の全長が210mmであれば第1の中間片の幅は84mmとなり,シート状物の全長が215mmであれば,第1の中間片の幅は86mmとなるのであって,積層体の幅寸法 (第1の中間片の幅)を所望とする幅とするために第2の折片の幅を変更することについて,乙A2公報には記載も示唆もされていない。 したがって,乙A2発明に,調整作用は認められない。 エ相違点4本件訂正発明の作用及び機能は,「従来と変わらない積層体の幅としても, 第2の折片14の面積分だけ従来よりもサイズの大きいシート状物10を積層させることができる」(本件明細書等の段落【0026】)ことであり,積層体の幅を所定の幅とするという条件下で,積層体の幅に対してシート状物のサイズをより大きくするというものである。このため,本件訂正発明では,シ きる」(本件明細書等の段落【0026】)ことであり,積層体の幅を所定の幅とするという条件下で,積層体の幅に対してシート状物のサイズをより大きくするというものである。このため,本件訂正発明では,シート状物の第1の中間片の幅が所定の値となるように第2の折片の幅をもっ て「調整する」必要が生じる。 一方,乙A2発明は,積層体の幅やシート状物の幅を所定の幅とするというような条件は存在しないから,上記のように「調整する」必要がなく,本件訂正発明と作用及び機能を異にする。 (2) 新規性について 本件訂正発明は,上記(1)記載のとおり,乙A2発明とは異なるものであるか ら,新規性を有する。 (3) 進歩性について本件訂正発明と乙A2発明は,課題,解決手段(構成)や作用,機能の共通性が異なり,そもそも技術分野の関連性がなく,乙A2公報に本件訂正発明の特徴点に到達するための示唆はなく,むしろ阻害要因があるということができるので, 当業者が乙A2発明から本件訂正発明の特徴点を容易に想到し得たとはいえず,本件訂正発明は,進歩性を有する。 ア課題,解決手段(構成)の共通性がないこと本件訂正発明は,メーカー側の視点に立って,シート状物を大きくしたとしても従来どおりの包装容器に収納することができるようにすることで,製造, 流通,販売の各過程におけるコスト増大を防止し(課題①),また,積上げ陳列がされる製品を想定して,積上げ陳列時の安定をも図る(課題②)という全く新規の各課題を,幅が加減できる第2の折片という革新的な構成で解決する点に特徴がある。 一方,乙A2発明は,ユーザー側の視点に立ち,ウェットティッシュの使い 心地や,持ち運び時の利便性を高めるという課題) きる第2の折片という革新的な構成で解決する点に特徴がある。 一方,乙A2発明は,ユーザー側の視点に立ち,ウェットティッシュの使い 心地や,持ち運び時の利便性を高めるという課題)を解決するために,従来の二分の一折を五分の一折に変更した点に特徴がある。 このように,両者の課題は全く異質なもので,課題,解決手段(構成)には共通性がない。 イ作用,機能の共通性がないこと 前記のとおり,本件訂正発明の第2の折片には,課題との関係で重要な「調整する」という機能が存在するのに対し,乙A2発明には同機能はない。 ウ阻害要因があること(ア) 本件訂正発明における第2の折片は,前記アの課題①との関係で,積層体の大きさが変わらないよう加減する構成であることに特徴があり,例えば, 所望とする積層体の幅が100mmであれば,第2の折片の幅は,およそ1 mm~49mmで変わり得る。また,第2の折片の幅は,課題②との関係で,積層体の中心部が高くなることを防止するために,できるだけ積層体の中心線から離れる幅が望ましい。 これに対し,乙A2発明において第2の折片に相当する折り返し片11f,12fの幅は,シート全体の5分の1の幅であるから,積層体の幅が100 の折片の幅は,積層体の幅の中心線上にまで達するのが望ましい。 このように,本件訂正発明と乙A2発明とは,第2の折片の幅寸法の範囲についての構成が異なり,両者の第2の折片の構成上の幅が重なり合うことはないから,乙A2発明には阻害要因がある。 (イ) 乙A2発明では,容器を小形化する課題を解決して,ウェットテシュー長の五分の二の幅に縮小する効果を得るために(乙A2の段落【0006】,【0012】 発明には阻害要因がある。 (イ) 乙A2発明では,容器を小形化する課題を解決して,ウェットテシュー長の五分の二の幅に縮小する効果を得るために(乙A2の段落【0006】,【0012】,【0027】),第2の折片に相当する片から折られている(【0024】)。そのため,乙A2発明の製造工程の記載,課題や効果を得るため,乙A2発明では,第2の折片の幅を変えることは想定されていな い。また,乙A2発明において,第2の折片の幅を変えることは,結果としてシートの幅と積層体の幅を変えることになるので,第2の折片の幅は,第1の中間片の幅を所望とする積層体の幅寸法になるように調整していると解することができないから,乙A2発明には阻害要因がある。 (被告らの主張) 本件訂正によっても,なお,本件訂正発明は,乙A2発明に基づく進歩性欠如の無効理由が解消されていないから,特許無効審判により無効にされるべきものである。 1 相違点1(シート状物はスパンレース不織布からなること)について「ウェットティッシュペーパ,ウェットな不織布,ドライのティッシュペーパ,ドライの不織布などが折り畳まれた状態で,順番に取出し自在に積層されたシート 積層体」に関する文献である乙A33公報の段落【0022】に,「それぞれのシ ート折り畳み体を構成するシート21は,紙または不織布である。例えば・・・スパンレースなどの不織布である。」と記載されているように,乙A2発明におけるシート状物の材料をスパンレース不織布とすることは,乙A33公報に記載された公知材料の中から最適材料を選択することにより,当業者が容易に想到し得たから,この点は,本件訂正発明の進歩性を基礎付けるものではない。 2 相違点2(第2の折片の幅は,第1の中間片の幅 された公知材料の中から最適材料を選択することにより,当業者が容易に想到し得たから,この点は,本件訂正発明の進歩性を基礎付けるものではない。 2 相違点2(第2の折片の幅は,第1の中間片の幅の1/2未満で,かつ,第1の折片の幅より短い幅であること)について以下のとおり,原告主張の相違点2は,乙A2公報に記載されているから,相違点ではない。 (1) 第2の折片の幅が第1の中間片の幅の1/2未満であるという構成が乙A2 公報に記載されていること乙A2公報の段落【0026】には,「折り返し片11f,12f」(第2の折片)の長さ(幅)が,「上部中間片」(第1の中間片)の長さ(幅)の1/2より小さい値(未満)であると解される記載があるし,その段落【0004】には,乙A2発明が,湿潤状態のシート状物の乾燥を防ぐために,容器の取出口か ら誘出される部分の長さをできるだけ短くすることを課題としている旨が記載されているところ,「折り返し片11f,12f」(第2の折片)は,取出口から誘出される部分に該当するため,この記載からも,「折り返し片11f,12f」(第2の折片)の長さ(幅)が,「上部中間片」(第1の中間片)の長さ(幅)の1/2より小さい値(未満)であることが認められる。 (2) 第2の折片の幅が第1の折片の幅より短い幅であるという構成が乙A2公報に記載されていること乙A2公報の段落【0021】~【0024】には,「折り返し片11f,12f」(第2の折片)が,「折り返し片11e,12e」(第1の折片)とともに,その長さ(幅)が「上部中間片」(第1の中間片)の長さ(幅)の1/2で あることが記載されている。また,より好ましい態様として,「折り返し片11 f,12f」(第2の折片 とともに,その長さ(幅)が「上部中間片」(第1の中間片)の長さ(幅)の1/2で あることが記載されている。また,より好ましい態様として,「折り返し片11 f,12f」(第2の折片)については,その長さ(幅)を「上部中間片」(第1の中間片)の長さ(幅)の1/2より小さい値(未満)とすることが記載されている(段落【0026】)のに対し,「折り返し片11e,12e」(第1の折片)については同様の記載は存在しない。それゆえ,この態様では,「折り返し片11e,12e」(第1の折片)の長さ(幅)は「上部中間片」(第1の中 間片)の長さ(幅)の1/2であるのに対し,「折り返し片11f,12f」(第2の折片)の長さ(幅)は「上部中間片」(第1の中間片)の長さ(幅)の1/2より小さい値(未満)であるから,「折り返し片11f,12f」(第2の折片)の長さ(幅)は,「折り返し片11e,12e」(第1の折片)の長さ(幅)より小さい値(未満)となる。 3 相違点3(第2の折片が,第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整すること)について以下のとおり,原告主張の相違点2は,乙A2公報に記載されているから,相違点ではなく,仮に,これが相違点であるとしても,進歩性を基礎付けるものではない。 (1) 原告は,本件発明では,第2の折片の幅が第1の中間片の幅に対して一通りに特定されるものでないこと(幅を持たせたものとして設計されていること)を理由に,本件発明における第2の折片は乙A2発明にはない調整作用を有していると主張するが,前記2(2)のとおり,乙A2公報にも第2の折片の幅が第1の中間片の幅の1/2未満であるという構成が記載されているのであるから,乙A2 発明における「折り返し片11f,12f」 と主張するが,前記2(2)のとおり,乙A2公報にも第2の折片の幅が第1の中間片の幅の1/2未満であるという構成が記載されているのであるから,乙A2 発明における「折り返し片11f,12f」(第2の折片)も幅を持たせたものとして設計されていることになる。それゆえ,乙A2発明における「折り返し片11f,12f」(第2の折片)も原告主張の調整作用を奏するといえるから,原告主張の相違点3は,相違点ではない。 (2) シート状物の積層体に関する技術分野において,シート状物の各片の幅を任意 に変更することは,代表的な設計変更であり,特に,積層体の幅を変更しないこ とを目的として,シート状物の幅方向最外端に位置する片の幅のみを増減させるという設計変更は,当業者が本件特許出願より前から,当たり前に行ってきたものである。また,本件発明において,原告の主張する調整作用により特定されているのは,上記のような設計変更において,シート状物の幅方向最外端に位置する片として第2の折片を特定したということにすぎない。 したがって,相違点3が相違点であると認められても,本件発明の進歩性を基礎付けるものではない。 4 相違点4(第2の折片に相当する構成の作用及び機能の相違)について原告主張の相違点4に関し,本件明細書と乙A2公報とでは,表現上の相違があるのみで,実質的に同一の作用及び機能が記載されているから,相違点4は,実質 的な相違点ではない。 すなわち,本件明細書等の段落【0026】では,積層体の幅に対してシート状物のサイズをより大きくするという表現が用いられているが,乙A2公報の段落【0039】では,「ウエットテシュー長」(シート状物のサイズ)を基準として「腰折ウエットテシューを収容する容器」(積層体の幅) のサイズをより大きくするという表現が用いられているが,乙A2公報の段落【0039】では,「ウエットテシュー長」(シート状物のサイズ)を基準として「腰折ウエットテシューを収容する容器」(積層体の幅)をより小さくするという 表現が用いられているが,両者は同義である。また,積層体の幅及びシート状物のサイズについては,工業規格等によって定められた絶対的基準が存在しないため,積層体の幅を基準に据えた場合とシート状物のサイズを基準に据えた場合とで特別な変化が生じることもない。 したがって,本件明細書と乙A2公報には,実質的に同一の作用及び機能が記載 されている。 別紙5争点4(本件訂正発明が公然実施発明により無効にされるべきものと認められるか)について(被告らの主張)被告各製品の構成要件該当性に関する原告の主張を前提とすれば,本件訂正発明の 構成と,本件特許出願より前に大一紙工株式会社(以下「大一紙工」という。)によって公然実施された発明との間に存在する相違点は実質的な相違点ではなく,本件訂正発明は,上記公然実施された発明から,当業者が容易に想到し得る発明を包含するものであるから,進歩性を欠き,特許無効審判により無効にされるべきものである。 1 大一紙工が使用する製造装置WB-6aは,一様な形態のシート状物の積層体を 量産するための装置であるため,同製造装置を用いて製造されたシート状物の積層体は,略同一の形態を有している。大一紙工は,平成7年9月から同製造装置を用いてシート状物を製造してきたから,遅くとも同月から,以下の構成を有するシート状物を製造してきた(乙A34~38,41。以下,このような構成を有する実施形態を「公然実施発明」という。)。なお,大一紙工は,平成8年10月から, 遅くとも同月から,以下の構成を有するシート状物を製造してきた(乙A34~38,41。以下,このような構成を有する実施形態を「公然実施発明」という。)。なお,大一紙工は,平成8年10月から, 製造装置WB-5aを用いて,公然実施発明と同一の形態の製品を製造している。 a” 折り畳まれた複数枚のシート状物が連続して取り出せるように積層されたシート状物の積層体であって,a2” 上記シート状物はスパンレース不織布からなり,b” 上記シート状物の各々は,100mm幅に形成された第1の中間片と, c” 上記シート状物の一辺と平行な折れ線で積層方向下側に折られ,46mm幅に,上記第1の中間片に隣接して形成された第2の中間片と,d” 上記第2の中間片から積層方向下側に折り返され,44mm幅に形成された第1の折片と,e” 上記第1の中間片から積層方向上側に折り返され,6mm幅である第2の折 片とを有するように折り畳まれ, f” 積層される上記シート状物の偶数番目の上記シート状物と奇数番目の上記シート状物とは,左右対称となるように折り畳まれた状態で積層され,g” 各偶数番目(奇数番目)の上記シート状物の上記第1の中間片及び上記第2の中間片によってできる谷部に,上記シート状物の次に積層される各奇数番目(偶数番目)の上記シート状物の上記第1の中間片及び上記第2の折片によって できる山部が重ね合わせられてなるシート状物の積層体。 2 共通点公然実施発明の構成a”,a2”,b”,d”,e”,f”,g”と本件訂正発明の構成要件A,A2,B,D,E’E2,F,Gは同一である。 3 相違点 公然実施発明は,構成c”における第2の中間片の幅寸法は46mmであり,構成要件Cで特定され g”と本件訂正発明の構成要件A,A2,B,D,E’E2,F,Gは同一である。 3 相違点 公然実施発明は,構成c”における第2の中間片の幅寸法は46mmであり,構成要件Cで特定される幅寸法50mm(=100mm×1/2)の90%程度であるから,本件訂正発明と公然実施発明は,本件訂正発明の構成要件Cにおける第2の中間片の幅寸法が,公然実施発明の構成c”より若干大きいという相違点を有する。 4 前記相違点は,本件訂正発明の本質的部分ではなく,当業者が適宜設定し得る設計事項にすぎないから,本件訂正発明は,その特許出願前に公然実施された発明に基づいて当事者が容易に想到し得る発明を包含するものであって,進歩性を欠く。 (原告の主張)被告らが主張する時期に大一紙工が現実に公然実施発明を実施していたことの証 拠はないから,この点の被告らの主張は失当である。 また,被告ら主張の公然実施発明におけるシート状物の端部にあるのは,製造装置の構成上,シート状物の先端をロールの掴み部で掴むようにして,次のロールへとシート状物を送り出すことにより不可避的に生じてしまう掴み代であって,本件訂正発明のように意図的に折り畳んで形成した折片ではないから,被告ら主張の構成e”に は,「第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整する」という 機能は存在せず,公然実施発明は構成要件E'及びE2を具備しない。そして,公然実施発明には,本件訂正発明が有する課題,解決手段及び効果を見いだすことはできないから,両者の相違点は,当業者が適宜設定し得る設計事項の域を超えるものであって,当業者が容易に想到し得たものではない。 なお,この点の被告らの主張は,時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべき である。 は,当業者が適宜設定し得る設計事項の域を超えるものであって,当業者が容易に想到し得たものではない。 なお,この点の被告らの主張は,時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべき である。

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