- 1 -主文 処分行政庁が平成20年9月12日付けで原告に対してした別紙文書目録記載の文書を公開しない旨の決定を取り消す。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを2分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 主文第1項と同旨 処分行政庁は,原告に対し,同目録記載の文書を公開する旨の決定をせよ。 第2事案の概要本件は,渋谷区内に住所を有する原告が,処分行政庁に対し,渋谷区情報公(。 「」。),開条例平成元年渋谷区条例第39号以下本件条例というに基づきP1町会連合会(以下「本件連合会」という)の複数年度の会計帳簿及びそ。 の添付の領収書である別紙文書目録記載の文書(以下「本件文書」という)。 の公開を請求したところ(以下,この請求を「本件公開請求」という,処。)分行政庁が,本件文書は渋谷区役所内に存在するが,本件条例に基づく公開の対象である「公文書」に該当しないと判断し,原告に対し,通知書に「該当公文書が不存在のためとの理由を付記して本件文書を公開しない旨の決定以」,(下「本件非公開決定」という)をしたため,原告が,本件非公開決定には,。 公開の要件を満たす公文書を公開しない違法及び理由付記が不備である違法があるとして,本件非公開決定の取消しを求めるとともに,本件文書の公開決定の義務付けを求めている事案である。 本件条例の定め(甲5)(1)目的(1条),,この条例は公文書の公開を請求する区民の権利を明らかにするとともに- 2 -公文書の公開等に関し必要な事項を定めることにより,区民の知る権利を保障するとともに,区が区政に関し区民に説明する責務を全うするようにし,もって公正で開かれた区政の進展を図ることを目的とす 2 -公文書の公開等に関し必要な事項を定めることにより,区民の知る権利を保障するとともに,区が区政に関し区民に説明する責務を全うするようにし,もって公正で開かれた区政の進展を図ることを目的とする。 (2)定義(2条)ア実施機関(1号),,,,,この条例において実施機関とは区長教育委員会選挙管理委員会監査委員及び議会をいう。 イ公文書(2号)この条例において,公文書とは,実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画,写真,フィルム及び電磁的記録であって,当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして,当該実施機関が管理しているものをいう。ただし,同号ア及びイで定める販売・配布目的の発行物及び歴史的・文化的資料等を除く。 (3)実施機関の責務(3条)実施機関は,公文書の公開を求める権利が十分に尊重されるようにこの条例を解釈し,運用しなければならない。この場合において,個人に関する情報がみだりに公開されることがないように最大限の配慮をしなければならない。 (4)請求権者(5条)区内に住所を有する者(1号)など,同条各号に掲げるものは,実施機関に公文書の公開を請求することができる。 (5)公文書の公開原則及び公開しないことができる情報(6条)実施機関は,5条の規定による公開の請求(以下「公開請求」という)。 があったときは,公開請求に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報(以下「非公開情報」という)が記録されている場合を除き,公開請求。 者に対し,当該公文書を公開しなければならない。 - 3 -ア(略(1号))イ個人識別情報等(2号)個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く)。 で特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識 (略(1号))イ個人識別情報等(2号)個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く)。 で特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む)又は特。 定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし,(ア)法令の規定により又は,(),慣行として公にされ又は公にすることが予定されている情報同号ア(),,(イ)公務員等の職務の遂行に係る情報同号イ及び(ウ)人の生命健康生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報(同号ウ)を除く。 ウ法人等の正当な利益に係る情報(3号ア)法人その他の団体(国,独立行政法人等,地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という)に関する情報又は事業を営む個。 人の当該事業に関する情報であって,公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの。ただし,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公開することが必要であると認められる情報を除く。 エ(略(3号イ及び4号ないし6号))(6)公文書の部分公開(7条)実施機関は,公開請求に係る公文書の一部に非公開情報が記録されている場合において,非公開情報に係る部分を容易に区分して除くことができ,かつ,区分して除くことにより当該公開請求の趣旨が損なわれることがないと認められるときは,当該部分を除いた部分につき公開しなければならない。 (7)請求に対する決定等(9条)ア公開する旨の決定(1項)- 4 -実施機関は,公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開するときは,その旨の決定をし,公開請求者 き公開しなければならない。 (7)請求に対する決定等(9条)ア公開する旨の決定(1項)- 4 -実施機関は,公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開するときは,その旨の決定をし,公開請求者に対し,その旨並びに公開をする日時及び場所を書面により通知しなければならない。 イ公開しない旨の決定(2項)実施機関は,公開請求に係る公文書の全部を公開しないとき(7条の2の規定により公開請求を拒否するとき及び公開請求に係る公文書を管理していないときを含む)は,公開をしない旨の決定をし,公開請求者に対。 し,その旨を書面により通知しなければならない。 (8)理由付記(9条の3第1項)実施機関は,9条各項の規定により公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開しないときは,公開請求者に対し,当該各項に規定する書面によりその理由を示さなければならない。この場合において,当該理由の提示は,公開しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する根拠が,当該書面の記載自体から理解され得るものでなければならない。 前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)原告は,渋谷区内に住所を有する者であり,本件公開請求に先立つ平成20年7月3日,処分行政庁に対し,本件条例5条1号に基づき,平成19年度の本件連合会の予算書及び決算書並びにその根拠となる帳簿及び預金通帳の公開を請求したが(乙5,同月8日,渋谷区区民部地域振興課(以下)「地域振興課」という)職員の指導を受け,帳簿及び預金通帳に係る部分。 の公開の請求を取り下げた(乙6。 )(2)原告は,平成20年8月29日,処分行政庁に対し,本件条例5条1号に基づき,別紙文書目録記載のとおり本件文書を特定して,本件公開請求をした(甲1。本件文書は,本件公開請求当時 た(乙6。 )(2)原告は,平成20年8月29日,処分行政庁に対し,本件条例5条1号に基づき,別紙文書目録記載のとおり本件文書を特定して,本件公開請求をした(甲1。本件文書は,本件公開請求当時,会計帳簿の全部及び領収書)の大半が,地域振興課事務室内にある本件連合会所有のロッカー(以下「本- 5 -件ロッカー」という)に保管されており,領収書の一部が,地域振興課職。 員の手元に保管されていた(乙7,弁論の全趣旨。 )(3)処分行政庁は,平成20年9月12日,本件文書が本件条例2条2号にいう「公文書」に当たらないと判断し,原告に対し,同条例9条2項に基づき,本件非公開決定をし「該当公文書が不存在のため」との理由を付記し,た可否決定通知書を交付し,その旨を通知した(甲2。同通知に当たり,)地域振興課職員は,原告に対し,口頭で,本件文書は「当職で預かってい,るが,あくまでも預かっているだけであり,町会連合会の管理する文書であり,渋谷区が管理する文書ではない」と述べた(争いのない事実。 )(4)原告は,平成21年2月13日,本件非公開決定の取消し及び本件文書の公開決定の義務付けを求めて,本件訴えを提起した(顕著な事実。 ) 争点 (1)理由付記の適法性(2)本件文書の公文書性(3)本件文書の非開示情報該当性 当事者の主張の要旨(1)争点(1)(理由付記の適法性)について(被告の主張の要旨)ア処分行政庁は,本件文書を本件条例2条2号にいう公文書に該当しないと判断し,本件非公開決定を行ったものであるところ,公文書は存在するが非開示理由があるとする非公開決定とは異なり「不存在」との理由さ,え示せば,その非公開の理由は明らかであるというべきであるから「該,当公文書が不存在であるため」とした本件非公開決定の理 在するが非開示理由があるとする非公開決定とは異なり「不存在」との理由さ,え示せば,その非公開の理由は明らかであるというべきであるから「該,当公文書が不存在であるため」とした本件非公開決定の理由付記は,本件条例9条の3第1項に適合する。 イそもそも,原告は,前提事実(1)における地域振興課職員の指導の際,本件連合会が本件条例2条1号にいう実施機関に該当しない旨の説明を受- 6 -け,同会の文書が同条2号にいう公文書に当たらないことを了知していたはずであるから,本件非公開決定の前記アの理由付記は,社会通念上,原告が,非公開の理由を根拠とともに了知し得るものであったというべきであって,この点について,何らの違法もない。 (原告の主張の要旨)ア本件非公開決定の理由付記は,物理的に当該文書が存在しないのか,それとも,物理的に当該文書は存在するが,公文書に当たらないため,存在しないものとして扱われるのか,不存在の具体的な理由を示していない。 ,,非公開決定における理由付記の程度は非公開理由のどれに該当するのかその根拠とともに了知し得るものでなければならないというべきところ,本件非公開決定の理由付記のような記載では,行政庁の恣意を抑制し,不服申立ての便宜を図るという本件条例9条の3第1項の趣旨が没却されてしまう。 イ本件条例9条の3第1項は,平成18年改正によって創設された規定であるが,その改正経緯(甲12)に照らせば,非公開の理由を具体的に記載すべきことは,不存在を理由とする非公開決定についても同様と考えるべきである。したがって,本件非公開決定であれば,例えば「該当文書,は,地域振興課事務室内に保管しているが,町会連合会の管理する文書であり,渋谷区の公文書ではない」等の理由付記が必要であるというべき。 であって,通知書に「該 公開決定であれば,例えば「該当文書,は,地域振興課事務室内に保管しているが,町会連合会の管理する文書であり,渋谷区の公文書ではない」等の理由付記が必要であるというべき。 であって,通知書に「該当公文書が不存在であるため」と記載しただけの本件非公開決定の理由付記は,本件条例9条の3第1項の要件を全く満たしていないことは明白である。 ウ被告は,原告が,本件文書が不存在とされる理由を了知していたと主張するが,一方的な憶測にすぎない。被告は,本件が,社会通念上,非公開の理由を了知し得た場合であるとも主張するが,そのような事態は,極めて例外的にしか認められない。なお,非公開の理由は,決定書の記載自体- 7 -から理解され得るものでなければならないのであるから,地域振興課職員が口頭で非公開の理由を告げたとしても,それだけでは不十分である。 (2)争点(2)(本件文書の公文書性)について(被告の主張の要旨)ア本件連合会は,渋谷区内の地域団体によって自主的に組織された任意団体であり,被告とは別個の組織であるから,本件条例2条1号にいう実施機関に該当しない。 (ア)本件連合会の役員等は,町会関係者からなり,渋谷区職員が兼任するようなことはなく,本件連合会の事業は,同会の各種会議や会長の決定によって行われる。地域振興課は,同会の運営に対し助言・援助を行うが,会議日程の調整,文書の作成等の後方支援をするにすぎず,意思決定には関与しない。原告の主張するように,本件連合会の事務が,区政の一部であるということはできない。 (イ)確かに,被告は,本件連合会に対し,補助金を交付しているが,その額は,平成19年度が150万円で,同会の収入の2割を占めるにすぎない。平成20年度からは,東京都も補助金を交付しており,その額は,平成20年度が100万円であ に対し,補助金を交付しているが,その額は,平成19年度が150万円で,同会の収入の2割を占めるにすぎない。平成20年度からは,東京都も補助金を交付しており,その額は,平成20年度が100万円であり,平成21年度が200万円の見込みである。このように,財政面からみても,被告と本件連合会が一体の存在であるということはできない。 (ウ)また,本件連合会は,渋谷区役所内に事務局を置いているが,その事務局の実態は,区役所内に文書保管用の本件ロッカーがあるというにすぎない。本件連合会の会長は,週3回程度,地域振興課を訪れ,事務処理を行っているが,同会専用の執務室等もなく,地域振興課のソファーやテーブル等を借用している。事務局との名称は付いているが,本件連合会の連絡先を表す標章にすぎない。 イ本件文書は,本件連合会が使用する文書であり,渋谷区職員が組織的に- 8 -用いるものとして管理している文書ではないから,本件条例2条2号にいう公文書に該当しない。 (ア)被告は,本件連合会に補助金を交付していることから,会計監査をするため,同会から事業報告書及び収入収支決算報告書の提出を受けているが,本件文書の提出は受けていない。本件文書は,渋谷区職員が職務上用いるものではなく,本件連合会の内部で用いられるものにすぎないから,渋谷区職員が組織的に用いる文書に当たらず,公文書に該当しない。 (イ)確かに,本件連合会の事務局及び本件ロッカーが渋谷区役所内にあるため,本件文書は渋谷区役所において預かっているということにはなるが,①本件文書のうち会計帳簿(以下「本件会計帳簿」という)に。 ついて,それを本件ロッカーから取り出して記帳したり,あるいは,本件文書のうち各領収書(以下「本件各領収書」という)を本件ロッカ。 ーに保管するなどの行為は,同会の部会員 件会計帳簿」という)に。 ついて,それを本件ロッカーから取り出して記帳したり,あるいは,本件文書のうち各領収書(以下「本件各領収書」という)を本件ロッカ。 ーに保管するなどの行為は,同会の部会員又は役員がすることであり,同会の依頼があった際,地域振興課職員が,本件会計帳簿に記帳等をしたり,本件連合会あての領収書が同会事務局に提出された際,同課職員が,同会の部会員等が来庁するまで,本件各領収書を預かることはあるものの,渋谷区職員が,自らの意思で本件ロッカーを開閉し,本件文書の出し入れ等をすることはなく,②他方で,本件連合会は,独自の情報提供制度を有し,現に,原告に対し「平成二十二年度渋谷区予算に対,する町会連合会要望書(甲15)を開示するなど,同会の文書を開示」するか否かは同会自身が決定していることからすれば,渋谷区役所においては,本件文書の保管場所が提供されているだけで,本件文書の管理権限は存しないというべきであって,本件文書は,処分行政庁において管理している文書に当たらず,本件条例2条2号にいう公文書に該当しない。 - 9 -(原告の主張の要旨)ア(ア)渋谷区組織規則8条は,地域振興課に「町会担当主査」を置くものとし,同規則13条は,地域振興課の分掌事務として「町会等に関す,ること」を掲げているところ(甲7,渋谷区職員は,職務専念義務の)免除を受けることなく,本件連合会のため,被告の機器で会計処理や文書作成等を行い,被告から給与を受け,本件連合会は,行政財産の目的外使用許可を受けることなく,渋谷区役所内に本件ロッカーを置き,対外的に地域振興課を同会事務局の連絡先として表示しており,その電話等の代金を区に負担させているはずであるから,渋谷区職員が職務として同会の事務を行っていることは明らかである。 (イ)そして, ,対外的に地域振興課を同会事務局の連絡先として表示しており,その電話等の代金を区に負担させているはずであるから,渋谷区職員が職務として同会の事務を行っていることは明らかである。 (イ)そして,被告は,本件文書は,渋谷区役所内の本件ロッカーに保管されており,渋谷区職員は,同ロッカーの合鍵を所持し,本件連合会の指示等があれば,いつでも同ロッカー内の文書の出し入れをすることができ,現に,渋谷区職員は,本件連合会の指示等に基づき,本件会計帳簿の記帳等をもしているというところ地域振興課の分掌事務である町,「会等に関すること」には,町会連合会の命令に従って同会の事務を行うことも含まれていると解すべきであるから,本件文書は,実施機関が職務上作成し又は取得した文書であって,実施機関が管理しているものに当たるというべきである。 (ウ)仮に,本件文書が公文書に当たらないのであれば,渋谷区職員が上記のように職務として本件連合会の事務をしていることの説明がつかなくなり,また,渋谷区役所内において管理権限の存しない文書が長期間にわたり保有・保管されている違法があるという問題も生じてしまう。 (エ)また,地域振興課職員は,職務として「P1町会連合会運営費補,助金に関わる収支内訳書(甲9の4枚目)を作成しているが,その作」成作業に当たり,原資料として,本件文書を使用したはずであるから,- 10 -その点からも,本件文書は,実施機関の職員が組織的に用いるものとして,実施機関が管理する公文書に該当するというべきである。 (オ)なお,被告は,本件連合会は,独自の情報提供制度を有するから,同会の文書は公文書に当たらないと主張するが,原告が,同制度に基づき「平成二十二年度渋谷区予算に対する町会連合会要望書(甲15),」,,,の情報提供を受けてみ の情報提供制度を有するから,同会の文書は公文書に当たらないと主張するが,原告が,同制度に基づき「平成二十二年度渋谷区予算に対する町会連合会要望書(甲15),」,,,の情報提供を受けてみたところその手続の実際は地域振興課職員が同課の分掌事務として,本件連合会会長の指示の下に,同会の事務手続を行うというものにすぎなかった。しかも,同要望書の平成21年度版(甲14)については,原告は,処分行政庁に対する情報公開請求によって入手することができたのであるから(甲13,同会の文書が公文)書に当たらないという被告の主張は虚偽である。 イ(ア)被告は,本件連合会は,被告とは別個の組織であると主張する。しかし,本件連合会が被告と別個の組織であるとしても,本件連合会の収,,,入のうち被告からの補助金の割合は実質的にみれば約5割強でありその事務は,渋谷区職員がその職務として行っているのであるから,同会の事務は,区政の一部であって,処分行政庁は,本件連合会の事務について「区政に関し区民に説明する責務(本件条例1条)を負うと,」いうべきである。 (イ)また,本件連合会の下部組織である地区町会連合会は,区役所出張所ごとに組織され,その事務局は,出張所内にあり,その定例会は,出張所職員の出席の下に出張所内で開催され,地区町会連合会の下部組織である町会は,区政全般にわたり,被告と密接な協力関係にある。このような状況の中で,渋谷区職員が職務として本件連合会の事務を行っているのであるから,その過程で作成,取得又は管理している文書は,公文書に当たるというべきである。 (3)争点(3)(本件文書の非開示情報該当性)について- 11 -(被告の主張の要旨)ア本件文書は,会計文書に当たるところ,会社法上,会計帳簿の閲覧が制限されているように いうべきである。 (3)争点(3)(本件文書の非開示情報該当性)について- 11 -(被告の主張の要旨)ア本件文書は,会計文書に当たるところ,会社法上,会計帳簿の閲覧が制限されているように,会計文書は公開を予定したものではなく,また,その公開により,その支出・使途について無用の紛糾を招き,団体等の内部の意思決定等に不当な干渉が及ぶなどのおそれもあるところ,当該団体等の関与しないところで,会計文書が公開されれば,当該団体等の社会的評価や信用に不測の損害が生じ得る。したがって,本件文書の内容は「公,にすることにより「権利,競争上の地位その他正当な利益を害するお」,それがあるもの(本件条例6条3号ア)に該当する。 」イ本件文書のうち会計帳簿には,会合の参加者の氏名や会費等が記載されていると考えられるところ,会合の参加者である私人は,会合の具体的な費用・金額等までは他人に知られたくないと望むのが一般的であり,これが公開されると,本件連合会と参加者又は渋谷区との間の信頼関係ないし友好関係を損なうことも予測されるしたがって本件文書の内容は個。 ,,「人に関する情報で特定の個人を識別することができるもの(本件条例6」条2号)に該当する。 (原告の主張の要旨),,ア本件連合会は被告からの補助金と住民による分担金で成り立っておりその透明性が要求されるものであるから,会計文書の公開について,会社法上の会社と同列に扱うべきではない。また,公開した結果,支出・使途について紛糾が生じるとしても,それは支出・使途に不明朗な点があったからにほかならず,公開を拒む理由にはならない。したがって,本件文書の内容は,本件条例6条3号アに該当しない。 イ本件文書に個人情報等に該当する部分があるとしても,部分公開をすることも可能なのであ からにほかならず,公開を拒む理由にはならない。したがって,本件文書の内容は,本件条例6条3号アに該当しない。 イ本件文書に個人情報等に該当する部分があるとしても,部分公開をすることも可能なのであるから,本件文書の内容が本件条例6条2号に当たることを理由としてその公開を拒むことはできない。 - 12 -第3当裁判所の判断 争点(1)(理由付記の適法性)について(1)前提事実(1)及び(2)のとおり,本件公開請求当時,本件文書は,渋谷区役所内のロッカーに保管され,あるいは,渋谷区職員に所持されて,物理的には存在し,処分行政庁が所持していたものの,処分行政庁は,これが本件条例2条2号にいう公文書には当たらないと判断して,原告に対し,本件非公開決定を行い「該当公文書が不存在のため」との理由を付記した通知書,により同決定を通知したものであるが,原告は,その理由の記載の内容が,本件条例の定める理由付記の要件を全く満たしていない旨主張する。 (2)本件条例9条2項は,実施機関は,公開請求に係る文書を管理していないときを含め,当該文書の全部を公開しないときは,当該文書を公開しない旨の決定をし,公開請求者に対し,その旨を書面により通知しなければならないと定め,同条例9条の3第1項は,その場合において,実施機関は,当該書面によりその理由を示さなければならず,また,当該理由の提示は,公開しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する根拠が,非公開決定の通知書面の記載自体から理解され得るものでなければならないと定めている。そして,一般に,法令が行政処分に理由を付記すべきものとしている場合に,どの程度の記載をすべきかは,処分の性質と理由付記を命じた各法令の趣旨・目的に照らしてこれを決定すべきところ(最高裁平成4年(行ツ)第48号同年12月10日 に理由を付記すべきものとしている場合に,どの程度の記載をすべきかは,処分の性質と理由付記を命じた各法令の趣旨・目的に照らしてこれを決定すべきところ(最高裁平成4年(行ツ)第48号同年12月10日第一小法廷判決・裁判集民事166号773頁,最高裁昭和36年(オ)第84号同38年5月31日第二小法廷判決・民集17巻4号617頁参照,本件条例が,上記のように,公開請求に係る文)書を公開しない旨の決定の通知書に,その理由を付記すベきものとしているのは,同条例に基づく公文書の公開請求制度が,公正で開かれた区政の進展を図ることを目的とするものであって,実施機関においては,公文書の公開を求める権利が十分に尊重されるように同条例を解釈し,運用しなければな- 13 -らないとされていること(同条例1条,3条)にかんがみ,非公開とする理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するとともに,非公開の理由を公開請求者に知らせることによって,その不服申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解するのが相当である(前掲最高裁平成4年12月10日第一小法廷判決参照。 ),,,(3)そこで本件条例に基づく文書の公開請求があった場合に実施機関が物理的に当該文書を所持していないこと(以下「物理的不存在」という)。 を理由とするのではなく,本件のように,所要の調査等において,物理的には当該文書を所持しているとみられる場合であることが判明したものの,それが本件条例2条2号にいう公文書に当たらないこと(以下「法的不存在」という)を理由として非公開決定をする場合における理由付記の程度につ。 いて検討するに,(ア)本件条例が,非公開決定の理由付記において,公開しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する根拠が,非公開決定の通知書面の 非公開決定をする場合における理由付記の程度につ。 いて検討するに,(ア)本件条例が,非公開決定の理由付記において,公開しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する根拠が,非公開決定の通知書面の記載自体から理解され得るものでなければならないことを明文で定めている(9条の3第1項)以上,実施機関が,公開請求に係る文書は本件条例2条2号にいう公文書に当たらないとして非公開決定をするのであれば,その通知書に付記すべき理由としては,公開請求者において,当該文書が同号にいう公文書に当たらないとの理由で非公開とされたものであることをその根拠とともに了知し得るものでなければならないというべきであるところ,(イ)前記(2)の本件条例に基づく公文書の公開請求制度におけるその目的を踏まえた理由付記制度の趣旨のうち,①不服申立ての便宜という観点からは,公開請求者において,処分行政庁が物理的不存在を理由とする場合にその事実の存否を争うのと,処分行政庁が法的不存在を理由とする場合にその法的判断の適否を争うのとでは,その不服申立ての在り方が大きく異なることが明らかであり,②実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するという観点からも,処分行政庁において,当該文書が同号にい- 14 -う公文書に当たらないと判断した理由として物理的不存在と法的不存在の区別及び後者とする根拠の記載をすることは,その事実認定及び法的判断の慎重と公正妥当を担保することに資するというべきであるから,法的不存在の場合の理由付記は,少なくとも,公開請求者において,処分行政庁が非公開決定の理由とする本件条例2条2号にいう公文書の不存在が物理的不存在ではなく法的不存在をいうものであることをその根拠とともに了知し得るものでなければならず,非公開決定の通知書に単に「不存在」等と付記 決定の理由とする本件条例2条2号にいう公文書の不存在が物理的不存在ではなく法的不存在をいうものであることをその根拠とともに了知し得るものでなければならず,非公開決定の通知書に単に「不存在」等と付記するのみでは,本件条例9条の3第1項の要求する理由付記として十分ではないといわなければならない(なお,処分行政庁としては,公開請求を受けて非公開決定をする時点における所要の調査等に基づく自らの判断として,物理的存在と法的不存在の区別及び後者とする根拠を付記することとなるが,仮に,当該決定の取消訴訟の係属後,更なる調査等の結果により両者の区別等につき異なる認識を有するに至った場合には,当該訴訟において処分理由の差替えをすることを妨げられるものではないと解される。 。)しかるに,本件非公開決定の通知書における理由の記載は,本件非公開決定が法的不存在を理由とするものであったにもかかわらず,単に「該当公文書が不存在のため」とのみ記載したものにとどまり,物理的不存在と法的不存在の区別及び後者とする根拠が何ら示されていなかったのであるから,本件条例9条の3第1項の定める理由付記の要件を欠くものというほかなく,同項に違反する瑕疵があったものというべきであって,その内容・態様及び前記の理由付記制度の趣旨等に照らし,これは本件非公開決定の取り消されるべき瑕疵に当たるものといわざるを得ない。 (4)被告は,地域振興課職員の説明により,本件連合会が実施機関に該当しないこと,あるいは,本件連合会の文書が公文書に該当しないことを原告は,,事前に了知していたはずである以上本件非公開決定の理由付記によっても原告は,社会通念上,非公開の理由を根拠とともに了知し得たとして,同決- 15 -定には何らの違法もない旨主張する。 しかしながら,本件条例9条の3第1項の規 以上本件非公開決定の理由付記によっても原告は,社会通念上,非公開の理由を根拠とともに了知し得たとして,同決- 15 -定には何らの違法もない旨主張する。 しかしながら,本件条例9条の3第1項の規定内容及び本件条例が公文書の非公開決定の通知書に理由付記を命じた趣旨が前示のとおりであること(公開請求者の不服申立てに便宜を与えることだけでなく,実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制することにもあること)からすれば,非公開決定の理由は,その相手方において当該通知書の記載自体から了知し得るものでなければならず,これに記載することを要する非公開理由の程度は,相手方の知,不知にかかわりがないというべきであり(前掲最高裁平成4年12月10日第一小法廷判決,最高裁昭和45年(行ツ)第36号),,同49年4月25日第一小法廷判決・民集28巻3号405頁参照また本件において,前記「該当公文書が不存在のため」との理由付記が,本件文書の種類,性質等とあいまって,その記載自体から,公開請求者において本件不開示決定は法的不存在を理由とするものであることをその根拠とともに当然に知り得るものであったといった特段の事情も認められないのであるから,被告の所論は採用し難いし,また,当該職員の別途の説明によって付記理由の不備の瑕疵の治癒が認められる余地もないものといわざるを得ない(なお,被告の主張によれば,本件公開請求前,地域振興課職員は,原告に対し,本件連合会の帳簿等を「受領」したことがない旨の説明をしていたというのであるから(被告準備書面(3)の6頁,当該主張を前提にすれば,)むしろ,原告は,本件非公開決定の上記理由付記が物理的不存在をいうものと理解するのが自然であったということになるのであって,かかる観点からも,被告の所論は採用し難い。 該主張を前提にすれば,)むしろ,原告は,本件非公開決定の上記理由付記が物理的不存在をいうものと理解するのが自然であったということになるのであって,かかる観点からも,被告の所論は採用し難い。 。)そして,被告のその余の主張も,上記(3)の判断を左右するものとは認められない。 (5)以上によれば,本件非公開決定は,その通知書の理由の記載が本件条例9条の3第1項の要求する理由付記の要件を欠くものであって,取り消され- 16 -るべき瑕疵があったものといわざるを得ないから,原告の請求のうち,本件非公開決定の取消しを求める請求は理由がある。 争点(2)(本件文書の公文書性)について(1)原告は,本件非公開決定の取消しに加え,本件文書は本件公開請求により公開されるべき文書であったとして,これを公開する旨の決定の義務付けを求めており,これは,いわゆる申請型の処分の義務付けの訴え(行政事件訴訟法3条6項2号,37条の3)に当たると解される。そして,前記1のとおり,本件非公開決定の取消しの訴えに係る請求は理由があると認められる以上,その義務付けの訴えは,訴訟要件を満たしており,また,本件条例に基づく文書の公開又は非公開の決定は行政庁の裁量の余地のない処分であると解されるので,次に,行政事件訴訟法37条の3第5項にいう「その処分(中略)をすべきであること(本件文書を公開する旨の決定をすべきで」)「()」あることがその処分中略の根拠となる法令の規定から明らかであるとの本案要件を満たしているか否かについて検討する。 この点に関し,被告は,本件連合会は,本件条例2条1号にいう実施機関に該当しないところ,本件文書は,本件連合会が使用する文書であり,処分行政庁の職員が組織的に用いるものとして管理している文書ではないから,同条例2 告は,本件連合会は,本件条例2条1号にいう実施機関に該当しないところ,本件文書は,本件連合会が使用する文書であり,処分行政庁の職員が組織的に用いるものとして管理している文書ではないから,同条例2条2号にいう公文書に当たらず,同条例に基づく公開請求の対象となり得ない旨主張する。 (,,,,(2)前提事実並びに証拠甲1ないし46ないし9 乙1ないし37,8)及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件連合会の組織・財務等及び同会と地域振興課との関係等について,以下の事実を認めることができる。 ア本件連合会の組織・財務等,(()。 (ア)本件連合会はP1町会連合会規約乙37頁以下の付属資料以下「本件連合会規約」という)の定めるところに従い,渋谷区内の。 町会・自治会等の地域団体をもって組織された任意団体であり(同規約- 17 -2条,構成団体相互の連絡及び意見交換,構成団体の発展のための調)査研究等並びに地方公共団体等との協力連携その他の事業を行っている(同規約4条。 )(イ)本件連合会の運営は,各構成団体の長等からなる40余名の役員が行い(同規約5条,その事務処理は,同会会長の委嘱を受けた書記が)行うものであり(同規約16条,渋谷区職員が,区職員の立場で,役)員等を兼任してその運営を行ったり,書記を兼任してその事務を行ったりすることはない(乙7。 )(ウ)本件連合会の経費は,分担金,寄附金及びその他の収入をもって充てるとされ(同規約13条,その実際は,以下のとおりである。 )①平成19年度決算(甲9)構成団体の分担金126万0000円懇親会等参加者の特別分担金348万3350円渋谷区の補助金150万0000円雑収入32万5221円前年度繰越金165万9289円合計822万7 構成団体の分担金126万0000円懇親会等参加者の特別分担金348万3350円渋谷区の補助金150万0000円雑収入32万5221円前年度繰越金165万9289円合計822万7860円②平成20年度決算(乙3(3頁の報告第2号))構成団体の分担金126万0000円懇親会等参加者の特別分担金288万8000円渋谷区の補助金124万0632円雑収入16万8103円立替金受入れ100万0000円前年度繰越金64万7798円合計720万4533円(エ)本件連合会は,上記(ウ)にあるとおり,渋谷区に対し,P1町会連- 18 -()(),合会運営費補助金交付要綱乙1に基づく申請をして同要綱6条その補助金の交付を受けているが(甲3,当該補助金は,同要綱8条)2項に基づき「P1町会連合会会長P2」名義の銀行口座に振り,込まれる(乙2。 )イ本件連合会と地域振興課の関係等(ア)地域振興課は,渋谷区組織規則(甲7)の定めるとおり,渋谷区本庁区民部の分課であるが「部の事業計画に関すること「地域振興に,」,関すること「統計調査に関すること」など合計11項目の分掌事務」,,「」(),の一つとして町会等に関することが割り当てられ同規則13条町会担当の主査が置かれている(同規則8条。 )(イ)地域振興課は,上記「町会等に関すること」の一環として,本件連合会に対する補助金の交付(前記ア(エ)参照)に関する事務手続をするほか(乙2,本件連合会の事務等について,以下のような協力をする)ことを業務内容としている(乙7,9。 )①本件連合会は,その事務局を渋谷区役所内に置き(本件連合会規約1条「渋谷区役所区民部地域振興課内」を郵便物のあて先と),し,地域 協力をする)ことを業務内容としている(乙7,9。 )①本件連合会は,その事務局を渋谷区役所内に置き(本件連合会規約1条「渋谷区役所区民部地域振興課内」を郵便物のあて先と),し,地域振興課の電話番号・内線番号を電話連絡先として,外部に案内しているところ(甲6及び甲4・甲1記載の電話番号・内線番号参照,同課職員は,同住所に送付・持参された同会あての郵便物・領)収書等について,同会の役員等が来庁するまで預かり置いたり,同会の電話連絡先(甲4参照)として,外部からの電話に応対するなどしている(乙7,9。 )②地域振興課事務室内には,本件連合会の役員等が事務をするための専用の机等は用意されていないものの,同会が同会の文書(会計帳簿・領収書等)を保管するため,同会所有の本件ロッカーが置かれており,同会の会長や役員は,同課を訪れ(会長は週3回程度,自ら同)- 19 -ロッカーを解錠して保管された文書を取り出し,これに目を通したり記帳するなどして,同会の事務を行っている(乙7,9。同課は,)同ロッカーの合鍵を預かり,本件連合会の役員等が鍵を持たずに来庁した際などの便宜に供している(乙9。 )③地域振興課職員は,本件連合会の文書の作成等に関して,同会の相談に乗り,その文書の作成を手伝うことがある(乙7。急を要する)場合などには,同課職員が,同会の依頼に基づき,同会の会計担当役,,,員に代わって同会の諸経費の支払を代行し前記②の合鍵を用いて本件ロッカーから会計帳簿を取り出し,その記帳を代行することもある(乙7。ただし,同会の依頼なしに,同課職員が,同ロッカーを)開閉したり,上記事務の代行をしたりすることはない(乙9。 )④原告が,処分行政庁に対し,本件連合会の「平成二十二年度渋谷区予算に対する町会連合会要望 会の依頼なしに,同課職員が,同ロッカーを)開閉したり,上記事務の代行をしたりすることはない(乙9。 )④原告が,処分行政庁に対し,本件連合会の「平成二十二年度渋谷区予算に対する町会連合会要望書(甲15)の情報公開請求をしよう」とした際には,地域振興課職員は,本件連合会の情報提供制度を利用すれば足りる可能性があることを説明し,同職員自身が,同会副会長と相談して同副会長から上記要望書の写しを受領した上,来庁した原告に対し,同会会長あての情報提供申込書(乙8)の作成及び提出を促し,当該要望書の写しを交付した(乙9。 )(3)ア本件条例2条1号は,実施機関として「区長,教育委員会,選挙管,理委員会,監査委員及び議会」のみを定義しており,(ア)本件連合会は,上記(1)アのとおり,渋谷区内の町会・自治会等の地域団体をもって組織された任意団体であって(本件連合会規約2条,法的主体として,上記)の実施機関とは別個の私的団体であることは明らかであるところ,(イ)これを実質的な観点からみても,①本件連合会の運営に当たる役員は,同会を構成する町会の長などによって構成され,渋谷区職員が,区職員としてその役員等を兼任しないことはもとより,事務要員たる書記としての委嘱- 20 -を受けることもなく,②その経費は,同会を構成する町会の分担金や同会の行事の参加者の分担金によって過半が賄われており,被告から補助金の交付を受けているものの,その全収入に対する割合は2割に満たず(原告は,実質的にみれば,その割合は5割強であると主張するが,前記(2)ア(ウ)の認定事実をみても,そのように評価することはできない,その。)預金口座は,同会会長名義のものであるのであって,本件連合会は,実質的にも,上記の実施機関とは人的・物的に別個独立の私的団体というべき 定事実をみても,そのように評価することはできない,その。)預金口座は,同会会長名義のものであるのであって,本件連合会は,実質的にも,上記の実施機関とは人的・物的に別個独立の私的団体というべきであるから,同会の役員及び書記が作成した同会の文書が,本件条例2条1号の実施機関の職員が作成した文書に当たるということはできない。 なお,前記イ(イ)③で認定したところによれば,同会の具体的な事務の一部が,渋谷区職員によって代行されることはあるものの,これは,同会の依頼に基づいて同会の役員等の補助者として代行するものにすぎず,その依頼も同会自らの意思決定に基づくものであって,その意思決定が被告に従属しているといった事情はうかがわれないから,上記事務の代行の点は,それによって上記の判断が左右されるものではない(前記イ(イ)①の認定に係る本件連合会の郵便物のあて先・電話連絡先や外部との応対等における地域振興課との関係も,上記事務の代行の方法・態様の一環として位置付けられるものということができ,上記の判断を左右するものではない。 。)イ原告は,本件連合会が被告とは別個の組織であるとしても,本件連合会の収入における被告からの補助金の割合が高いこと,同会の事務処理は渋谷区職員がその職務として行っていること,本件連合会の下部組織である町会等の活動と被告の活動とが密接であることなどを指摘し,処分行政庁は,区政の一部として,本件連合会の事務について説明責任を負う旨主張する。 一方で,被告が本件連合会の事務等について一定の関与をしていること- 21 -等は,前記(2)イのとおりであり,その関与自体は,区政の一部と評価され得るものといえるが,他方で,被告の首長たる処分行政庁が,区政の一部に属する事柄に関する説明責任の具体的内容として,いかなる範囲の文書 記(2)イのとおりであり,その関与自体は,区政の一部と評価され得るものといえるが,他方で,被告の首長たる処分行政庁が,区政の一部に属する事柄に関する説明責任の具体的内容として,いかなる範囲の文書をどの程度まで公開する法的義務を負うかは,専ら本件条例の定めによるところ,本件条例は,同条例2条2号にいう公文書に限って,一定の要件の下に,同条1号にいう実施機関に対し,それを公開する法的義務を課しているものである。 したがって,本件条例2条1号にいう実施機関である処分行政庁が,本件文書を公開する法的義務を負うというためには,少なくとも,本件文書が同条2号にいう公文書に当たること,すなわち,処分行政庁の職員が職務上作成し,又は取得した文書等であって,処分行政庁の職員が組織的に用いるものとして,処分行政庁が管理しているものに当たると認められる必要がある。 (4)アこの点,前提事実及び前記認定事実によれば,本件文書のうち,(ア)本件会計帳簿は,原則として,本件連合会の会計担当役員が記帳し,本件公開請求当時,地域振興課事務室内の本件ロッカーに保管されていたところ,当該帳簿が,①仮に,同課職員がその分掌義務の一環としてその一部の記帳を代行したものであれば,処分行政庁の職員が職務上本件連合会の役員と共同で作成した文書と評価されることになるから,これが本件ロッカーに保管されていたことについて,処分行政庁の職員が組織的に用いるもの,として,処分行政庁が管理しているものといえるか否かが問題となり②そうではなく,本件連合会の会計担当役員がすべて自ら記帳したものであれば,これが同課事務室内の本件ロッカーに保管されていたこと自体について,処分行政庁の職員が職務上取得し,かつ,処分行政庁の職員が組織的に用いるものとして,処分行政庁が管理しているものといえる であれば,これが同課事務室内の本件ロッカーに保管されていたこと自体について,処分行政庁の職員が職務上取得し,かつ,処分行政庁の職員が組織的に用いるものとして,処分行政庁が管理しているものといえるか否か- 22 -が問題となり,(イ)本件各領収書の一部は,本件公開請求当時,同課事務室内の本件ロッカーに保管されていたところ,当該領収書が,①同課職員がその分掌事務の一環として受領を代行したものであれば,処分行政庁の職員が職務上取得した文書と評価されることになるから,これが本件ロッカーに保管されていたことについて,処分行政庁の職員が組織的に用いる,,ものとして処分行政庁が管理しているものといえるか否かが問題となり②そうではなく,本件連合会の役員等が直接受領したものであれば,これが同課事務室内の本件ロッカーに保管されていたこと自体について,処分行政庁の職員が職務上取得し,かつ,処分行政庁の職員が組織的に用いる,,ものとして処分行政庁が管理しているものといえるか否かが問題となり(ウ)本件各領収書の残余は,同課職員がその分掌義務の一環として受領を代行し,本件公開請求当時,同課職員の手元に保管されていたものであるところ,当該領収書は,処分行政庁の職員が職務上取得した文書と評価されることになるから,これが本件ロッカーに保管されていたこと自体について,処分行政庁の職員が組織的に用いるものとして,処分行政庁が管理しているものといえるか否かが問題となる。 イそこで検討するに,本件条例2条2号にいう公文書の要件のうち,前記ア(ア)ないし(ウ)の各文書すべてに共通する要件である「実施機関が管理しているもの(同号本文)とは,実施機関が当該文書を現実に支配,管」理していることを意味するものと解されるところ(最高裁平成13年(行ヒ)第106号同15 べてに共通する要件である「実施機関が管理しているもの(同号本文)とは,実施機関が当該文書を現実に支配,管」理していることを意味するものと解されるところ(最高裁平成13年(行ヒ)第106号同15年6月10日第三小法廷判決・裁判集民事210号1頁,最高裁平成11年(行ヒ)第221号同13年12月14日第二小法廷判決・民集55巻7号1567頁参照,文書を現実に支配,管理し)ているというためには,当該文書の作成,保存,閲覧・提供,移管・廃棄等の取扱いを判断する権限を現実に有している必要があり,例えば,一時的に文書を預かっている場合には,当該文書を現実に支配,管理している- 23 -とはいえないというべきである。 そして,本件文書のうち,(a)地域振興課職員の手元に保管されていた各領収書(前記ア(ウ))については,同課職員が,本件連合会の役員等に渡すまでの間,一時的に預かっていたものにすぎないから,処分行政庁がそれらを現実に支配,管理していたということはできず,(b)その余の文書(前記(ア)及び(イ))についても,物理的には同課事務室内に存在したものの,鍵で施錠された同会所有の本件ロッカー内に保管され,同課を訪れる同会の会長や役員(会長は週3回程度)が,自ら同ロッカーを解錠して保管された文書を取り出し,これに目を通したり記帳するなどして同会の事務の用に供しており,同会からの依頼への対応に備えて同ロッカーの合鍵を預かっていた同課職員も,同会からの依頼に基づく場合を除き,上記事務の代行のため同ロッカーを解錠して保管されている文書を取り出すことはなかったのであり,本件全証拠によっても,処分行政庁が,それらの文書について,自ら作成,保存,閲覧・提供,移管・廃棄等の権限を有していたと認めることはできないのであるから,処分行政庁がそれらの文書を かったのであり,本件全証拠によっても,処分行政庁が,それらの文書について,自ら作成,保存,閲覧・提供,移管・廃棄等の権限を有していたと認めることはできないのであるから,処分行政庁がそれらの文書を現実に支配,管理していたということはできない。 したがって,本件文書のうち,前記ア(ア)ないし(ウ)の各文書のいずれも,本件条例2条2号にいう公文書の要件のうち「実施機関が管理して,いるもの(同号本文)との要件に該当するとは認められない以上,その」余の要件について検討するまでもなく,本件文書は,同号にいう公文書に当たらないというべきである。 ウこれに対し,原告は,地域振興課職員がその職務として本件連合会の事務を行っていたことを指摘し,本件文書が公文書に当たらないとすると,渋谷区職員がその職務として本件連合会の事務を行っていることの説明がつかなくなる旨主張する。しかしながら,本件条例2条2号の規定によれば,実施機関の職員が職務上作成し又は取得した文書が当然に同号にいう- 24 -公文書となるわけではなく,それが同号にいう公文書となるためには同号本文の管理の要件を満たすことを要するところ本件文書がその管「」,,「理」の要件を欠いて公文書に当たらないことは,上記イに説示したとおりであるから,原告の上記主張は理由がない。 なお,原告は,仮に渋谷区役所内において管理権限の存しない文書が保有・保管されていたとすれば,それは違法行為になってしまうとも指摘するが,一般に行政庁がその所掌事務と関係のある私的団体の文書を当該団体の依頼を受けてその庁舎内で保管することが,直ちに違法行為であるということはできず,本件において,それが違法行為であることをうかがわせる事情を認めるに足りる証拠もない。 エまた,原告は「平成19年度P1町会連合会 の庁舎内で保管することが,直ちに違法行為であるということはできず,本件において,それが違法行為であることをうかがわせる事情を認めるに足りる証拠もない。 エまた,原告は「平成19年度P1町会連合会運営費補助金に関する実,績報告書(甲9)について,当該報告書が渋谷区職員によって作成され」,,たことを前提に当該職員がその原資料として使用したはずの本件文書は公文書に当たるとも主張する。しかし,本件証拠上,当該報告書が渋谷区職員によって作成されたものか否かは明らかでなく,仮にそうであったとしても,本件文書は,平成20年5月26日付けの当該報告書の作成のために一時的に使用され,同年8月29日の本件公開請求時には既にその使用を了して本件連合会に返却されていたものと考えられるから,そのことによって,本件文書が直ちに本件条例2条2号の「管理」の要件を充足する公文書となり得るものとは解されず,原告の上記主張も理由がない。 オなお,<A>被告は,本件連合会は,独自の情報提供制度を有し,現に同制度に基づき原告に「平成二十二年度渋谷区予算に対する町会連合会要望書(甲15)を開示したように,同会の文書を開示するか否かも同会自」身が決定しているから,同会の文書は公文書に当たらない等と主張し,他方,<B>原告は,その前年度の「平成二十一年度渋谷区予算に対する町会連合会要望書(甲14)が,公文書として処分行政庁による情報公開の」- 25 -対象となっていることからすれば,被告の上記主張は虚偽である等と主張しているので,念のため付言するに,(a)乙第9号証(地域振興課職員の陳述書)によれば,甲第15号証は,被告に提出された要望書の「写し」であり,本件連合会の副会長によって保管されていたものであることが認められるのであるから,それが本件条例2条2号の「 域振興課職員の陳述書)によれば,甲第15号証は,被告に提出された要望書の「写し」であり,本件連合会の副会長によって保管されていたものであることが認められるのであるから,それが本件条例2条2号の「管理」の要件を充足する公文書に当たらず,その開示の可否を同会自身が決定することは当然であるのに対し,(b)甲第14号証によれば,同号証には,地域振興課の受領印が押されており,同号証は,被告に提出された要望書の「原本」であると認められるのであるから,それが渋谷区職員によって保管され,本件条例2条2号の「管理」の要件を充足する公文書に当たるとされることに何らの不整合な点はないのであって,いずれの主張も,本件文書の公文書性の判断に別段影響を及ぼすものではなく,その点に関する上記イの判断を左右するものではない(本件文書が公文書に当たるか否かは,本件文書自体が本件条例の要件を充足していたか否かによるのであり,その観点からは,本件文書が公文書に当たらないことは,既に上記イで説示したとおりである。 。)カそして,原告のその余の主張も,上記イの判断を左右するものとは認められない。 (5)以上によれば,本件文書は,本件条例が情報公開制度の対象とする同条例2条2号にいう公文書に当たらないから,その余の点(争点(3)(本件文書の非開示情報該当性)について判断するまでもなく「その処分(中略)),をすべきであること(本件文書を公開する旨の決定をすべきであること)」が「その処分(中略)の根拠となる法令の規定から明らかである(行政事」件訴訟法37条の3第5項)との本案要件(前記(1))を満たしているとは認められず,原告の請求のうち,本件文書を公開する旨の決定の義務付けを求める請求は理由がない。 - 26 - よって,原告の請求は,本件非公開決定の取消 の本案要件(前記(1))を満たしているとは認められず,原告の請求のうち,本件文書を公開する旨の決定の義務付けを求める請求は理由がない。 - 26 - よって,原告の請求は,本件非公開決定の取消しを求める限度で理由があるから,その限度でこれを認容することとし,その余の請求(本件文書の開示決定の義務付けを求める請求)は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,64条本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官岩井伸晃裁判官小海隆則裁判官吉野俊太郎- 27 -(別紙)文書目録P1町会連合会の会計帳簿(平成17年度分,平成18年度分及び平成19年度分)及びその添付の領収書のすべて
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