主文 1 反訴被告は,反訴原告に対し,金720万円及びこれに対する平成13年7月27日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は反訴被告の負担とする。 3 この判決は仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求主文と同旨第2 事案の概要本件は,反訴原告(以下「原告」という。)が,自己の所有する別紙自動車目録記載の自動車(以下「本件車両」という。)が盗難にあったとして,本件車両につき原告が代表者を務める有限会社Aとの間で自家用自動車総合保険契約を締結していた反訴被告(以下「被告」という。)に対し,車両保険金の支払いを求める事案である。 1 前提事実(後掲各証拠で認定するほかは,当事者間に争いがない。)(1) 原告は,Aの代表者である(原告本人)。 (2) 被告は,損害保険業を目的とする会社である。 (3) 原告は,平成10年2月26日,前所有者である有限会社Bから本件車両を購入し,平成11年2月3日,原告を所有者とする自動車登録を経由した(原告の購入元,自動車登録の事実について乙1,6)。 (4) Aは,平成11年2月ころ,本件車両を被保険自動車として,保険代理店であるC(以下「本件代理店」という。)を介して,被告との間で,本件車両につき,大要,次の内容の保険契約を新規に締結した(以下「本件第1保険契約」という。)(甲9,乙2)。 ア保険契約の種類自家用自動車総合保険(SAP)イ対人・対物賠償無制限ウ車両保険の協定保険金額金720万円(うち,付属機械装置の保険金額エアロパーツ金170万円)エ保険期間平成11年3月2日午後4時から平成12年3月2日午後4時まで(5) 原告は,平成11年12月26日ころ,被告に対し, 属機械装置の保険金額エアロパーツ金170万円)エ保険期間平成11年3月2日午後4時から平成12年3月2日午後4時まで(5) 原告は,平成11年12月26日ころ,被告に対し,路上駐車中に本件車両のリヤバンパーが傷付けられたとして,本件第1保険契約の車両保険による本件車両の修理の申し出を行い,その後,平成12年2月ころ,D株式会社において,上記車両保険により本件車両のリヤバンパーの交換修理が行われた(以下「本件修理」という。)(甲6,甲8の1ないし3)。 (6) Aは,平成12年2月22日,本件代理店を介して,被告との間で,本件車両につき,保険期間を除き本件第1保険契約と同一内容(保険期間は平成12年3月2日午後4時から平成13年3月2日午後4時まで)の保険契約を締結し,本件車両の自動車保険を更新した(以下「本件第2保険契約」という。)。 (7) 本件第2保険契約の保険約款には,車両保険に関し,「当会社(被告)は,衝突,接触,墜落,転覆,物の飛来,物の落下,火災,爆発,盗難,台風,こう水,高潮その他偶然な事故によって保険証券記載の自動車(以下「被保険自動車」といいます。)に生じた損害を,この車両条項および一般条項に従い,被保険者(被保険自動車の所有者をいいます。以下同様とします。)に対しててん補します。」(第5章第1条1項)との規定が存在する(以下「本件約款」という。)(甲12)。 (8) 本件車両は,平成12年4月8日午後10時ころから同月9日午前9時ころまでの間に,当時の原告の自宅マンションの駐車場内に施錠をして駐車中,何者かによる盗難被害に遭ったとして,原告により,同月9日に愛知県東海警察署に盗難届が提出されたが,その後,同月下旬ころ,本件車両は,千葉県千葉中央警察署管内で発見された(以下,原告の届出にかかる 何者かによる盗難被害に遭ったとして,原告により,同月9日に愛知県東海警察署に盗難届が提出されたが,その後,同月下旬ころ,本件車両は,千葉県千葉中央警察署管内で発見された(以下,原告の届出にかかる上記盗難被害の事実を「第1盗難事故」という。)。 (9) 原告は,平成12年5月10日,千葉県から本件車両を陸送車に積載して愛知県まで搬送し,東海市E町F丁目G番H号所在のIが経営する自動車修理工場「J」に本件車両を搬入した。 (10)平成12年5月11日,Jにおいて,原告,I及び被告の物損調査担当者Kらが立ち会い,本件車両の損傷状況等の確認が行われた(以下「本件確認」という。)。 (11)平成12年5月23日,原告は,Iを同行して愛知県東海警察署のL交番を訪れ,同月22日午後9時ころから同月23日午前11時30分ころまでの間に,J南側駐車場に施錠をして駐車しておいた本件車両が盗難被害に遭ったとする盗難届を提出した(以下,原告の届出にかかる上記盗難被害の事実を「第2盗難事故」という。)。 (12)本件車両の車検の有効期間の満了日は平成12年8月9日であるが,現在まで車検の更新は行われておらず,また,本件車両の所在も明らかにはなっていない(車検の事実について乙6)。 2 争点(1) 原告主張の第2盗難事故の発生の有無(原告の主張)ア原告は,第1盗難事故に遭った本件車両を愛知県まで搬送し,Jに修理のために預けていたが,本件車両の修理方法をめぐってKとIとの間で話がまとまらず,Iが本件車両の修理を断った。 Iが本件車両の修理を断った後も,本件車両はJに置かれていたが,Iとしては,本件車両を預かった場合,保管中に傷を付けられたりなどしてクレームなどを付けられたりすることが嫌であったため,一旦は本件車両をJに置くことを拒否した。 しかしながら に置かれていたが,Iとしては,本件車両を預かった場合,保管中に傷を付けられたりなどしてクレームなどを付けられたりすることが嫌であったため,一旦は本件車両をJに置くことを拒否した。 しかしながら,原告が保管の継続を依頼したことから,Iも渋々これを承知したものの,自らが修理する自動車でもないことから,甲2の誓約書(以下「本件誓約書」という。)及び甲3の「車両引き渡し書」と題する書面(以下「本件引渡書」という。)を作成して,本件車両の置き場は提供するものの,原告が管理していることにした。 イ本件車両は,このような状況でJの屋外の駐車場に置かれていたところ,平成12年5月23日午前11時30分ころにIが上記駐車場を見た際,本件車両がなくなっているので,原告に電話を入れて確認した結果,第2盗難事故発生の事実が発覚したものである。 ウ被告は,原告から本件代理店のMに対する盗難被害の連絡時刻に関する本人尋問における供述等が不正確であることなどを理由として原告の供述の信用性を争っているが,第2盗難事故が上記供述よりも1年以上前のことである上,原告自身がその供述において,正確な時間については記憶が定かでない旨を述べているのであるから,仮に原告の上記供述中に他の証拠と合致しない点があったとしても,原告の供述内容の信用性を疑わせることにはならない。 (被告の主張)ア本件約款に基づき保険金請求を行うためには,当該事故が偶然であることが必要であるが,その立証責任は保険金請求権者の側にあると解されている。 然るに,第2盗難事故に関しては,以下のとおり,不自然な状況証拠が存在し,偶然の事故であるとするには幾多の疑問を払拭し得ない。 イ原告は,本件確認以降,何度もKと電話でやり取りをしているが,その中で原告は,「大事な車だから心配だから,Jの前を毎日車で通 況証拠が存在し,偶然の事故であるとするには幾多の疑問を払拭し得ない。 イ原告は,本件確認以降,何度もKと電話でやり取りをしているが,その中で原告は,「大事な車だから心配だから,Jの前を毎日車で通って見ている」「盗難が心配だから,シートカバーを付けて,グルグル巻きにしてある。」「写真も撮ってある」等と話しているほか,平成12年5月15日ころには本件車両の写真を撮影している。このような原告の言動は,第2盗難事故が判明する直前まで本件車両がJの駐車場に間違いなくあったという事実を被告側に殊更に印象付けるための工作をしていたと解することが可能である。 ウ次に,原告は,本件において,Iとの間に本件誓約書や本件引渡書を取り交わしているが,引き続き同じ場所に本件車両を駐車しておくのにこのような書類を作成することは不可解であり,これは,本件車両が同月15日の時点で間違いなくJの駐車場に駐車されており,以後は原告の責任において管理していることを被告側に確認させておく目的で意図的に行ったものと推認される行為である。 エ本件で証人として証言したIは,同月23日午前11時30分ころ,本件車両がないことに気付いて直ぐに原告の携帯電話に連絡したと証言するのに対し,原告は,その本人尋問において,同日午前11時30分ころに本件車両がないことに気付いたIが,同日正午ころ自分に連絡してきたと供述しており,両者の証言及び供述内容には矛盾が生じている。 また,本件において,原告らによる被害届出がL交番で受理された時刻は,調査嘱託により,同日午後零時20分であることが判明している。 本件では,原告らがL交番に到着した時刻に関し,Iは,正午ころであると証言するのに対し,原告は,午後0時30分ころであると供述しているが,実際の被害届の受理手続には通常40分ないし50分を要す 。 本件では,原告らがL交番に到着した時刻に関し,Iは,正午ころであると証言するのに対し,原告は,午後0時30分ころであると供述しているが,実際の被害届の受理手続には通常40分ないし50分を要することからすると,到着時刻に関するIの証言及び原告の供述の信用性には疑問がある。 さらに,本件では,原告は,第2盗難事故に気付いた後,Mに連絡した時刻は同日午後4時から午後6時までの間であったと供述しているが,実際に原告からMに連絡が入った時刻は同日午前11時30分であり,この点に関する原告の供述も信用できない。 オ以上のような不自然な点に加えて,本件確認の際,原告がKに対し,Kの提示した修理内容に不満を示して200万円以上の修理代金の支払いを強く要求していた事実を考えると,第2盗難事故が本件約款にいう偶然の事故であったとの点に関する原告の立証は尽くされていないというべきである。 (2) 原告は,被告に対し,車両保険の協定保険金額全額を請求し得るか。 (原告の主張)原告は,平成10年2月26日にBから本件車両を車体価格金600万円で購入したが,その際,車体とは別に金100万円を少し超える金額を支払って,アルミホイールとエアロパーツ(以下「本件付属機械装置」という。)を装着した。 このエアロパーツは,車体の両側下端の前輪後部から最後尾までの間に装着されていた。 本件第2保険契約の保険証券には,車両保険の内容としてエアロパーツに関する記載が存在しているが,本件車両について保険契約を締結する際には,当然のこととして,保険会社の担当者が本件車両にエアロパーツが装着されているか否かという点につき自ら現認した上で保険金額を設定しているはずである。 原告は,第1盗難事故の後,千葉県千葉中央警察署から連絡を受けて本件車両を引き取ったが,本件車両からはナ ーツが装着されているか否かという点につき自ら現認した上で保険金額を設定しているはずである。 原告は,第1盗難事故の後,千葉県千葉中央警察署から連絡を受けて本件車両を引き取ったが,本件車両からはナンバープレートとAMG製のエアロパーツが無くなっていた。 (被告の主張)ア原告は,第1盗難事故の際に本件車両にエアロパーツが装着されていた旨主張するが,以前に行われた本件修理の際に撮影された本件車両後部の写真には,それらしい物は写っていない。また,実際に行われた本件修理の修理内容も純正部品の交換に止まっており,エアロパーツに関する修理は行われていない。 イ本件確認の際,原告自身は,Kから具体的なエアロパーツの種類等を尋ねられたのに対し,AMG製であることは回答したものの,それ以上の具体的な回答はなかった。また,Kは,平成12年5月19日付け見積書を原告に提出した際にも,原告に対し,本件車両に装着されていたスポイラーの型番などを裏付ける資料等の提出を求めたが,原告からは何ら回答がないままになっていた。 ウ本件第1保険契約に関し,車両保険の保険金額の設定については,価額協定により保険金額720万円のうち,付属機械装置としてエアロパーツ分170万円が含まれているが,本件第1保険契約締結の際,被告側の担当者であったMは,エアロパーツについて知識もなかったことから,具体的にエアロパーツの確認も行うことなく,原告の言うままに保険金額を設定した。また,本件第2保険契約は,実質的には本件第1保険契約の更新にあたるが,この際には,Mは本件車両の現車確認はしておらず,書類上の手続だけで更新手続を行っている。 エ原告は,本人尋問の際,付属機械装置としてのエアロパーツの中にはアルミホイールも含まれていると供述しているが,アルミホイールは付属機械装置に含まれる ず,書類上の手続だけで更新手続を行っている。 エ原告は,本人尋問の際,付属機械装置としてのエアロパーツの中にはアルミホイールも含まれていると供述しているが,アルミホイールは付属機械装置に含まれるものではないし,原告が供述するように,本件付属機械装置が合わせて100万円程度の価格であるとすれば,エアロパーツに関する価額協定の設定金額は過剰である。 オ本件では,本件車両に装着されていたエアロパーツが具体的に明らかになっていない以上,平成12年5月当時に本件車両にエアロパーツが装着されていた旨の原告の供述は信用できない。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)について(1) 本件第2保険契約における車両保険については,本件約款の文言の規定からも,事故の偶然性は保険金請求権の発生要件の一つであって,上記保険に基づき保険金を請求する者は,その事故が偶然によるものであることについて主張立証すべき責任を負担するものと解するのが相当である。 もっとも,被保険車両が盗難事故に遭ったという場合には,被害車両が発見されるか,あるいは窃盗犯人が検挙されるかなどしない限り,一般人にとって盗難事故の存在そのものを直接立証することは困難というべきであるから,その被害車両の喪失前後の保管状況や保管者の言動等に疑問があるなどの特段の事情がない限り,第2盗難事故に関する盗難届の提出及び本件車両の未発見の事実をもって,本件車両の喪失が偶然の事故であったものと推認することができるものというべきである。 そこで,以下,本件につき上記の点につき判断する。 (2) まず,本件は,本件車両に関し,2か月という比較的短い期間に連続して2度の盗難届が行われている点で,一見すると特異な事案であるようにも見受けられる。 しかしながら,証拠(乙8,原告本人)により,本件では第1盗難事故 車両に関し,2か月という比較的短い期間に連続して2度の盗難届が行われている点で,一見すると特異な事案であるようにも見受けられる。 しかしながら,証拠(乙8,原告本人)により,本件では第1盗難事故に遭ったとされる本件車両はその盗難届から間もない時期に千葉県内で他の盗難ベンツ数十台と共に警察により発見されている事実が認められることからすれば,特段,第1盗難事故が原告による偽装盗難事故であることを疑わせるような状況にはなく,そうすると,本件は,一般的に偽装盗難事故が疑われるような同一所有者において異なる複数車両が盗難被害に遭った事案とは事案を異にするものであるから,本件における連続した盗難事故届の事実をもって,直ちに偽装盗難事故を疑わせる事情があるということはできない。 (3) 次に,被告は,平成12年5月11日に行われた本件確認から第2盗難事故までの間に,原告が殊更に工作まがいの行為を行っている点で事故の偶然性を疑わせる事情がある旨主張するので,上記の点につき検討するに,上記第2の1記載の前提事実に証拠(甲1ないし3,甲5ないし7,乙3,乙7ないし11,乙12の1ないし4,証人I,証人K,原告本人)を総合すると,次の事実を認めることができ,上記証拠のうち,次の認定に反する部分は採用しない。 ア平成12年5月11日,Jに原告,K,I及びMが集まり,本件車両の損傷箇所等の確認が行われた。 その際,本件車両の給油口付近に異物の混入の可能性が認められたことから,燃料系統の修理方法をめぐってIとKの間で協議が行われたが,両者の間で修理方法をめぐり折り合いが付かず,最終的に,Iは本件車両の修理を行わないことになったが,本件車両が第1盗難事故の際にナンバープレートが外されていたこと等もあり,その場からの移動が困難であったことから,原告がIに依頼して いが付かず,最終的に,Iは本件車両の修理を行わないことになったが,本件車両が第1盗難事故の際にナンバープレートが外されていたこと等もあり,その場からの移動が困難であったことから,原告がIに依頼して,本件車両はJの工場建物内に一時的に保管することになり,それに伴い,本件車両のエンジンキーもIが保管することになった。 イその後,数日間は,本件車両はJの工場建物内で保管されていたが,本件車両があることにより工場が手狭になり,作業に支障が生ずるようになったことから,Iは,原告に対し,本件車両のJからの移動を要求した。 他方,原告は,Jにおける修理の見込みが無くなったことから,平成12年5月11日以降,ベンツの正規輸入代理店であるヤナセのN営業所に連絡して本件車両の修理について打合せを行っていたが,Iからの上記要求の時点では,未だ具体的に修理の引き受け等についての協議がヤナセとの間で整っていなかったことから,Iの求めに対し,直ちにJから移動させることはできないとして,引き続きJにおいて保管してもらうように求めたが,Iがこれに難色を示したことから,両者の協議の結果,本件車両がいたずらや盗難に遭った場合であってもIには責任がない旨の誓約書を原告が作成することを条件に,本件車両をJの工場外の敷地部分に移動させて引き続き同所に駐車させることになった。 ウ原告は,上記の経過により,本件車両をJの工場外の敷地に移動させることになったが,その場合に何らかの被害に遭った際に自動車保険による補償が受けられるか否かについて心配になったことから,平成12年5月15日午前9時ころ,Kに電話をしてその点を確認したが,これに対し,Kは,シートカバーを被せるなどして被害を防止するよう指示した。 原告は,同日午前11時ころ,JにおいてIから本件車両のエンジンキーの引き渡 時ころ,Kに電話をしてその点を確認したが,これに対し,Kは,シートカバーを被せるなどして被害を防止するよう指示した。 原告は,同日午前11時ころ,JにおいてIから本件車両のエンジンキーの引き渡しを受け,本件車両をJの工場外の敷地に移動させた上,Iの用意した本件誓約書及び本件引渡書に署名押印したが,同日のIとの間で行われた事実をKに知らせるため,上記各書類作成後,これらを直ちにKに宛ててファックス送信した。 エ Kは,本件確認の際の本件車両の状況等を基に,本件車両の修理見積書を作成し,同月19日,同見積書を原告に宛ててファックス送信したが,同見積書には,Kの自筆で,バンパースポイラーについては型式が不明であり,何らか具体的な型式が明らかになるような資料等を求めるメモ書きが記されていた。 オ原告は,上記のとおり,平成12年5月11日以降,ヤナセのN営業所との間で本件車両の修理について打合せを行ってきていたが,同月21,22日ころには,同営業所での修理について了承が得られ,同月23日に同営業所に入庫するために本件車両をJから引き取ってもらえる段取りとなったことから,同日午前9時ころ,Kに電話をして,同日中に本件車両の同営業所への入庫が行われる旨を連絡した。 カ平成12年5月23日午前11時30分ころ,Jに着いたIは,本件車両が見当たらないことに気付き,原告の携帯電話に架電して,本件車両をJから引き上げたか否かを確認した。 当日,原告は,愛知県知多郡O町の工事現場で作業をしていたが,Iからの連絡を受けた際,原告において本件車両を移動した事実が無かったことから,本件車両が盗難に遭ったものと考え,Mに電話をして上記盗難事故の発生の事実を連絡するとともに,直ちに上記作業現場から自動車を運転して同日午後零時ころにJに到着した。 キ Jに到着した ったことから,本件車両が盗難に遭ったものと考え,Mに電話をして上記盗難事故の発生の事実を連絡するとともに,直ちに上記作業現場から自動車を運転して同日午後零時ころにJに到着した。 キ Jに到着した原告は,Jに本件車両がなくなっていることを確認の上,直ちにIの運転する自動車に同乗して近くのL交番を訪れ,本件車両につき,Iが前日にJを離れた同月22日午後9時ころから当日Jに到着した同月23日午前11時30分ころまでの間に盗難被害に遭ったとする盗難届を提出した。 上記認定事実に対し,被告は,上記のとおり,本件確認が行われた平成12年5月11日から第2盗難事故までの間に,原告が殊更に工作まがいの行為を行っていた事実がある旨主張し,Kの陳述書である甲6及び同人の証言中には,上記期間に原告から不審な問い合わせがあったなどとする上記被告の主張に沿う陳述記載及び供述部分(以下「K供述等」という。)が存在するが,そのような事実についてはこれを裏付ける的確な証拠もなく,また,仮に,K供述等にあるような原告からKに対する不審な問い合わせがあったとすれば,本件確認の際の原告の言動や本件誓約書のファックス送信の事実をも考慮すると,Kにおいて保険金詐欺等に類する何らかの不正行為が行われるとの危惧を抱いて本件車両の状態等を調査しても不思議ではないところ,本件において,Kが第2盗難事故までの間にそのような疑いを抱いた事実は認められないから,K供述等は,これと反対趣旨の乙7ないし9及び原告本人尋問の結果に照らして採用できず,他に上記認定を左右するに足る証拠はない。 (4) さらに,被告は,第2盗難事故の発覚及び警察への届出時刻等につき原告とIとの供述の間に食い違いがある事実や,原告からMに対する盗難事故の連絡時刻に関する原告の供述内容が実際の連絡時刻と異なる事実をもっ らに,被告は,第2盗難事故の発覚及び警察への届出時刻等につき原告とIとの供述の間に食い違いがある事実や,原告からMに対する盗難事故の連絡時刻に関する原告の供述内容が実際の連絡時刻と異なる事実をもって,原告の供述内容の信用性を争うが,本件証拠に顕れた原告とIの供述等の間に不自然といえるほどの矛盾があるとは認められないし,また,原告のMに対する連絡時刻についても,原告自身が1年以上前のことであり,正確には記憶していない部分があるとも供述していることからすると,上記のような記憶の食い違いが直ちに原告供述等の信用性を失わせるものとまでは認められない。 そして,上記説示したところに加えて,原告が,本件車両ばかりでなく,従前より本件代理店を通じて原告所有自動車につき被告との間で自動車保険を締結しており,本件車両に関する自動車保険も新規契約時から1回更新したものであること,原告において保険金詐欺等の不正行為を行う経済的事情等の動機も見当たらないことなどからすると,上記(1)において説示した推認を覆すような事情は窺われず,そうすると,第2盗難事故は偶然の事故により生じたものと推認されることになるから,本件車両の喪失に関する原告の被告に対する保険金請求は理由があるものということになる。 2 争点(2)について(1) 証拠(乙2,5,8,9,証人I,原告本人)によれば,原告は,Bから本件車両を購入した際,100万円を少し超える費用をかけて本件車輌に本件付属機械装置を装着したこと,本件第1保険契約締結時には本件代理店の保険契約担当者であるMも本件車輌に本件付属機械装置が装着されていることを認識した上でこれを金170万円と評価して本件車輌全体の協定保険金額を金720万円と定めたこと,第1盗難事故の前には本件車輌には本件付属機械装置が装着されていたものの, 械装置が装着されていることを認識した上でこれを金170万円と評価して本件車輌全体の協定保険金額を金720万円と定めたこと,第1盗難事故の前には本件車輌には本件付属機械装置が装着されていたものの,第1盗難事故により従前本件車輌に装着されていたナンバープレート,エアロパーツ及びステアリングホイル(ハンドル)が取り外され,ステアリングホイルについては別の物が取り付けられていたこと,第2盗難事故によりAMG製のアルミホイールを装着された本件車輌が盗難被害に遭ったこと,の各事実が認められる。 上記認定に対し,被告は,本件第1保険契約締結時には,Mは本件付属機械装置のエアロパーツについて具体的に確認しなかった旨主張するが,本件車輌に付された自動車保険における車両保険の協定保険価格自体が相当高額であるばかりでなく,本件付属機械装置の協定保険価格も金170万円と高額に設定されていることからすると,保険契約担当者であるMが原告の説明を鵜呑みにして何ら具体的に確認することなく保険契約を締結することは不合理といわざるを得ず,Mの陳述書である甲7の記載内容は,上記認定に用いた各証拠に照らして採用できない。 また,本件修理の際に本件車輌を撮影したものと認められる甲8の1,2には,エアロパーツ本体は写り込んではいないものの,上記写真は本件車輌を後方から撮影したものであって本件車輌全体を撮影したものではないから,上記写真も上記認定を左右するには至らない。 さらに,Kの陳述書である甲6及び同人の証言中には,本件修理時に写真で確認した際には,本件車輌にはエアロパーツは装着されていなかった旨の陳述記載及び供述部分が存在するが,仮に,Kにおいて第1盗難事故以前にそのような認識を有していたのであれば,本件確認の際に原告に対して本件車輌にはエアロパーツは装着されていなか されていなかった旨の陳述記載及び供述部分が存在するが,仮に,Kにおいて第1盗難事故以前にそのような認識を有していたのであれば,本件確認の際に原告に対して本件車輌にはエアロパーツは装着されていなかったはずである旨を強く主張してもおかしくないところではあるが,本件において本件確認の際にそのような主張をKが行った事実を窺わせるような証拠は見当たらないし,かえって,Kが,平成12年5月19日に原告宛てに発信したファックス(甲1)においてエアロパーツの具体的な型式の説明を求めていること,さらに,原告が第1盗難事故の事実を警察に届けた際,被害品として本件車輌につき「AMGキット付」として届けていることに照らすと,上記Kの陳述記載及び供述部分はそのまま採用できず,本件において,他に上記認定を左右するに足る証拠はない。 (2) 次に,被告は,本件付属機械装置に関する協定保険価格が過剰であると主張するところ,その主張の趣旨は必ずしも明確ではないが,仮に上記主張が商法639条の適用を主張するものであるとしても,実際に本件付属機械装置の装着に原告が要した金100万円を少し超える程度の金額(なお,原告本人尋問の結果中には,上記金額は知人に安くしてもらった旨の供述部分が存在する。)であることに照らすと,上記金額の差異をもって,商法639条にいう「著しく過当な価額」とまでは認められないから,上記に関する被告の主張も採用できない。 したがって,本件において,原告が被告に請求し得る保険金額は,本件第2保険契約における協定保険価格である金720万円ということになる。 3 以上によれば,保険金720万円とこれに対する一件記録により反訴状送達の日の翌日であることが明らかな平成13年7月27日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払いを求める原告の本 上によれば,保険金720万円とこれに対する一件記録により反訴状送達の日の翌日であることが明らかな平成13年7月27日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払いを求める原告の本訴請求は全て理由があるからこれを認容し,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を,仮執行の宣言につき同法259条1項を,それぞれ適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第10部裁判官鵜飼祐充(別紙省略)
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