平成27(ワ)3147 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成30年9月14日 京都地方裁判所
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判決文本文32,279 文字)

主文 1 原告Aは,株式会社藍香房に対し,4010万4787円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員の破産債権を有することを確定する。 2 原告Aのその余の請求並びに原告B,原告C及び原告Dの請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,原告Aと被告管財人との間においては,原告Aに生じた費用の8分の7を被告管財人の負担とし,その余は各自の負担とし,原告Aと被告E,被告F及び被告Gとの間においては,全部原告Aの負担とし,原告Bと被告らとの間においては,全部原告Bの負担とし,原告Cと被告らとの間においては,全部原告Cの負担とし,原告Dと被告らとの間においては,全部原告Dの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 原告Aは,株式会社藍香房に対し,4345万4787円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員の破産債権を有することを確定する。 2 被告Gは,原告Aに対し,4345万4787円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告Eは,原告Aに対し,4345万4787円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告Fは,原告Aに対し,2172万7394円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告Gは,原告Bに対し,110万円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 被告Eは,原告Bに対し,110万円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 7 被告Fは,原告Bに対し,5 割合による金員を支払え。 6 被告Eは,原告Bに対し,110万円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 7 被告Fは,原告Bに対し,55万円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 8 被告Gは,原告Cに対し,110万円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 9 被告Eは,原告Cに対し,110万円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 10 被告Fは,原告Cに対し,55万円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 11 被告Gは,原告Dに対し,110万円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 12 被告Eは,原告Dに対し,110万円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 13 被告Fは,原告Dに対し,55万円及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 訴訟物等本件は,H(以下「H」という。)が,株式会社藍香房(以下「破産会社」という。)の業務の執行として破産会社所有の普通乗用自動車(以下「本件車両」という。)の運転中に,てんかん発作で意識を消失し,本件車両を車道から逸走させ,路側帯等を通行していたI(以下「I」という。),J(以下「J」という。)及びK(以下「K」という。)を次々はねて死亡させた事故(以下「本件事故」という。)に関し,Iの法定相続人である原告A,Jの父母である原告B及び原告C(以下,原告Bと原告Cをあわせて「原告Bら」 。)及びK(以下「K」という。)を次々はねて死亡させた事故(以下「本件事故」という。)に関し,Iの法定相続人である原告A,Jの父母である原告B及び原告C(以下,原告Bと原告Cをあわせて「原告Bら」という。),Kの兄である原告Dが,それぞれ後記⑴ないし⑶の請求をした事案である。 なお,Hは,本件事故により死亡し,父被告E及び母L(以下「L」とい う。)がHの法定相続人であったところ,Lは,本件訴訟係属中の平成30年1月12日に死亡し,その夫被告E及び子被告F(Hの姉。合わせて「被告Eら」という。)がその訴訟手続上,実体法上の地位を承継した。 記⑴ 原告Aの請求(被告らの債務の相互の関係は不真正連帯債務)ア Hには,自動車の運転を差し控える義務があったのにこれを怠り本件事故を発生させたとの不法行為が成立し,原告AのHに対する民法709条に基づく損害賠償金4345万4787円(Iの死亡損害4145万4787円及び原告A固有の慰謝料200万円)及びこれに対する不法行為日である平成24年4月12日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金が発生しているとして,Hの法定相続人で,Lの法定相続人でもある被告Eに対しては前記H責任額の4分の3の支払請求,Lの法定相続人である被告Fに対しては前記H責任額の4分の1の支払請求イ Lには,Hの勤務先であった破産会社にHのてんかん症状を通報して自動車の運転をやめさせるべき義務があったのにこれを怠り本件事故を発生させたとの不法行為が成立し,原告AのLに対する民法709条又は民法714条の類推適用に基づく損害賠償金及びこれに対する遅延損害金として前記アのH責任額と同額が発生しているとして,Lの法定相続人である被告E及び被告Fに対し,前記の各2分の1 る民法709条又は民法714条の類推適用に基づく損害賠償金及びこれに対する遅延損害金として前記アのH責任額と同額が発生しているとして,Lの法定相続人である被告E及び被告Fに対し,前記の各2分の1の支払請求ウ被告Eには,前記イのLと同様の義務があったのにこれを怠り本件事故を発生させたとの不法行為が成立し,原告Aの被告Eに対する民法709条又は民法714条の類推適用に基づく損害賠償金及びこれに対する遅延損害金として前記アのH責任額と同額が発生しているとして,被告Eに対し,同額の支払請求エ被告Gには,本件事故当時の破産会社の代表者として破産会社の業務においてHに自動車の運転をさせない義務があったのにこれを怠り本件事故 を発生させたとの不法行為が成立し,原告Aの被告Gに対する民法709条に基づく損害賠償金及びこれに対する遅延損害金として前記アのH責任額と同額が発生しているとして,被告Gに対し,同額の支払請求オ破産会社には,本件車両の運行供用者としての自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)3条又は使用者としての民法715条に基づく損害賠償金及びこれに対する遅延損害金として前記アのH責任額と同額が発生しているとして,被告管財人に対し,原告Aの破産会社に対する同額の破産債権の確定請求⑵ 原告B及び原告Cの各請求(被告らの債務の相互の関係は不真正連帯債務)ア前記⑴イと同じ義務違反に基づき,原告B及び原告CのLに対する民法709条又は民法714条の類推適用に基づく損害賠償金各110万円(原告Bら固有の慰謝料及び弁護士費用)及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金が発生しているとして,Lの法定相続人である被告E及び被告Fに対し,前記額の各2分の1の支払請求イ 弁護士費用)及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金が発生しているとして,Lの法定相続人である被告E及び被告Fに対し,前記額の各2分の1の支払請求イ前記⑴ウと同じ義務違反に基づき被告Eに対し,前記アのL責任額と各同額の支払請求ウ前記⑴エと同じ義務違反に基づき被告Gに対し,前記アのL責任額と各同額の支払請求⑶ 原告Dの請求(被告らの債務の相互の関係は不真正連帯債務)ア前記⑴イと同じ義務違反に基づき,原告DのLに対する民法709条又は民法714条の類推適用に基づく損害賠償金110万円(原告D固有の慰謝料及び弁護士費用)及びこれに対する平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金が発生しているとして,Lの法定相続人である被告E及び被告Fに対し,同金額の各2分の1の支払請求 イ前記⑴ウと同じ義務違反に基づき被告Eに対し,前記アのL責任額と同額の支払請求ウ前記⑴エと同じ義務違反に基づき被告Gに対し,前記アのL責任額と同額の支払請求 2 前提事実(当事者間に争いがないか,掲記の証拠又は弁論の全趣旨により認定できる。)⑴ 当事者等ア原告ら原告Aは,本件事故により死亡したIの子であり,唯一の法定相続人である(甲1,26,27)。 原告B及び原告Cは,本件事故により死亡したJの父及び母である(甲2)。 原告Dは,本件事故により死亡したKの兄である(甲3,4)。 イ H,被告E,L及び被告FHは,昭和57年3月14日生まれの男性(本件事故当時30歳)であり,平成15年11月16日発生の交通事故(以下「平成15年事故」という。)により脳挫傷等の傷害を負い,外傷性てんかんの障害が残った(甲5,13)。Hは本件事故により平成24年4月1 時30歳)であり,平成15年11月16日発生の交通事故(以下「平成15年事故」という。)により脳挫傷等の傷害を負い,外傷性てんかんの障害が残った(甲5,13)。Hは本件事故により平成24年4月12日死亡し,被告Eはその父,LはHの母である(甲5)。Lは,本件訴訟係属中の平成30年1月12日死亡し,夫の被告E及び長女の被告FがLの地位を2分の1ずつ相続した(原告らと被告Eらとの間で争いがない。)。 ウ被告G及び破産会社Hは,本件事故当時,破産会社に雇用され,破産会社の業務として,破産会社が所有する本件車両を運転中に本件事故を起こした(原告らと被告管財人及び被告Gとの間で争いがない。)。被告Gは,本件事故当時,破産会社の代表取締役であった(原告らと被告Gとの間で争いがない。甲 6)。 ⑵ 本件事故の発生(原告らと被告Eらとの間で争いがない。被告G及び被告管財人との関係で甲7ないし13)ア発生日時平成24年4月12日午後1時08分頃イ発生場所京都市甲区乙町南側付近の丙通東側路側帯等ウ事故態様Hは,平成24年4月12日午後1時06分頃,本件車両を運転中にてんかん発作を起こして意識を消失し,前記イを通行中のI,J及びKに本件車両を衝突させてはね飛ばし,同日,同人らを死亡させた。 ⑶ 免責証書の作成等ア原告Bらの免責証書平成26年1月29日,原告Bらの代理人弁護士であるOは,「本件事故によるJ,同人の相続人であるM及びN並びにJの父母である原告Bらの人身損害の一切の賠償金が既払額3003万2600円を除き,4890万7323円であることを認め,東京海上日動火災保険株式会社(以下「東京海上」という。)から前記金員のうち150万円を受領のうえは,本件事故の全ての賠償義務者に対してその余の損害賠償 除き,4890万7323円であることを認め,東京海上日動火災保険株式会社(以下「東京海上」という。)から前記金員のうち150万円を受領のうえは,本件事故の全ての賠償義務者に対してその余の損害賠償請求権を放棄し,裁判上・裁判外を問わず何ら異議の申立て及び訴訟の提起等をしない。」旨の記載のある免責証書を作成した(乙2)。 平成26年7月4日,被告Bらの代理人弁護士であるOは,「本件事故によるJ及び同人の相続人であるM及びN並びにJの父母である原告Bらの人身損害の一切の損害賠償金が既払額7893万9923円を除き,56万1550円であることを認め,既受領額の他に,医療機関への治療費の支払を行うことで,本件事故の全ての賠償義務者に対してその余の損害賠償請求権を放棄し,裁判上・裁判外を問わず何らの異議の申立て及び訴訟の提起等をしない。」旨の記載のある免責証書(以下,同年1月29日 付けと合わせ「Bら免責証書」という。)を作成した(乙4。Bら免責証書が,本件訴訟の被告Eら及び被告Gの各債務を免除するものか争いがある。)。 イ原告Dの免責証書原告Dは,Kの相続人であるPからの委任を受け,Kの相続人本人及びPの代理人として,平成25年4月4日,H,破産会社及び東京海上を名宛人として,「本件事故によりKの被った一切の損害に対する賠償金として,東京海上から既払金87万5265円の他に4100万円を受領後には,その余の請求を放棄するとともに,上記金額以外に何らの権利義務がないことを確認し,H,破産会社及び東京海上に対し裁判上・裁判外を問わず何ら異議申立て,請求及び訴えの提起等をしない。」旨の記載のある免責証書を作成した(乙5,6。以下「Dら免責証書」という。Dら免責証書が本件訴訟の被告Eら及び被告Gの各債務を免除するものか争いがあ ず何ら異議申立て,請求及び訴えの提起等をしない。」旨の記載のある免責証書を作成した(乙5,6。以下「Dら免責証書」という。Dら免責証書が本件訴訟の被告Eら及び被告Gの各債務を免除するものか争いがある。)。 ウ東京海上は,前記ア,イの金員を支払った(弁論の全趣旨)。 ⑷ 被告E及びLの相続放棄Hを被相続人とする相続について,被告E及びLは,京都家庭裁判所に対し,相続放棄する旨申述し,被告Eにつき平成24年5月8日,Lにつき同月21日,それぞれ受理された(丙1,2)。 ⑸ 被告G及び破産会社に対する破産手続開始決定等京都地方裁判所は,破産会社及び被告Gに対し,平成28年4月12日午後5時,いずれも破産手続開始決定をし(同庁298号事件),両者の破産管財人として弁護士Q(被告管財人)を選任した(弁論の全趣旨)。 原告Aは,前記1⑴オの破産会社に対する損害賠償請求権及び遅延損害金を破産債権として届け出たところ,被告管財人は,同年7月13日の債権調 査期日において,これに異議を述べた(原告Aと被告管財人との間で争いがない。)。その後,原告Aの申立てにより被告管財人が前記届出に係る本件訴訟の訴訟物について訴訟手続を受継した(顕著な事実)。 京都地方裁判所は,被告Gの破産手続を廃止し,同年10月19日,免責許可決定をし,同決定は同年11月16日確定した(乙B1)。 ⑹ 原告A関係の損害の填補原告Aは,Iの死亡損害に対し以下の合計861万4530円の支払を受けた(弁論の全趣旨。任意保険からの支払額は被告管財人及び被告Gとの間で争いがない。)。 ア労災遺族一時金 659万4000円イ本件車両の任意保険からの支払 202万0530円(内訳:治療費20万6820 告Gとの間で争いがない。)。 ア労災遺族一時金 659万4000円イ本件車両の任意保険からの支払 202万0530円(内訳:治療費20万6820円,慰謝料90万円,葬儀関係費用91万3710円) 3 争点⑴ 原告Aの請求ア Hの不法行為による責任(前記第2の1⑴ア)Hの運転中止義務違反の有無相続放棄の有無・効果イ Lの義務違反(前記第2の1⑴イ)Lの運転制止義務(勤務先通報義務)違反の有無民法714条類推適用による責任ウ被告Eの義務違反(前記第2の1⑴ウ)被告Eの運転制止義務(勤務先通報義務)違反の有無民法714条類推適用による責任エ被告Gの義務違反(前記第2の1⑴エ)Hに運転をさせない義務違反の有無 破産法253条1項3号所定の非免責債権に当たるか。 オ破産会社の自賠法3条の責任又は使用者責任(前記第2の1⑴オ)破産会社が前記責任を負うことは争いがない。 カ損害額(前記第2の1⑴アないしオに共通)⑵ 原告Bらの請求ア Lの義務違反(前記第2の1⑵ア)前記⑴イと同旨Bら免責証書は他の損害賠償義務者の債務を免除するものか。 イ被告Eの義務違反(前記第2の1⑵イ)前記⑴ウと同旨 ウ被告Gの義務違反(前記第2の1⑵ウ)前記⑴エと同旨 エ損害額(前記第2の1⑵アないしウに共通)⑶ 原告Dの請求ア Lの義務違反(前記第2の1⑶ア)前記⑴イと同旨Dら免責証書は他の損害賠償義務者の債務を免除するものか。 イ被告Eの義務違反(前記第2の1⑶イ)前記⑴ウと同旨 ウ被告Gの義務違反(前記第2の1⑶ウ)前記⑴エと同旨 エ損害 は他の損害賠償義務者の債務を免除するものか。 イ被告Eの義務違反(前記第2の1⑶イ)前記⑴ウと同旨 ウ被告Gの義務違反(前記第2の1⑶ウ)前記⑴エと同旨 エ損害額(前記第2の1⑶アないしウに共通) 4 争点についての当事者の主張⑴ 原告Aの請求ア争点⑴ア-Hの不法行為による責任Hの運転中止義務違反の有無(原告Aの主張)Hは,外傷性てんかんにり患し,医師から抗てんかん薬の投薬治療を受け,運転をしないよう指示されていた上,平成24年3月3日及び同月4日にもてんかん発作を起こし,さらに,同年4月11日からの発熱による体調不良や仕事上のストレスの蓄積等からてんかん発作発症の予兆があったのであるから,自動車の運転を厳に差し控えるべき義務があった。それにもかかわらず,Hは,本件車両の運転を開始し,てんかん発作を発症して意識を消失し,本件事故を引き起こした。 (被告Eらの主張)Hが外傷性てんかんにり患し,医師から抗てんかん薬の投薬治療を受けていたこと,原告Aの主張する日にHがてんかん発作を起こしたこと,Hが医師から自動車の運転をしないように言われていたことは認める。 その余は不知。 相続放棄の有無・効果(被告Eらの主張)前記第2の2⑷のとおり,被告E及びLは相続放棄をしたため,Hの債務を承継しない。 (原告Aの主張)知らない。 イ争点⑴イ-Lの義務違反Lの運転制止義務(勤務先通報義務)違反の有無(原告Aの主張) aLらがHの病状を認識していたことHは,平成15年事故の後遺症としててんかんを患い,平成18年1月に意識喪失を伴うてんかん発作を起こし,同年11月,平成22年6月にもてんかん発作があり,医師から らがHの病状を認識していたことHは,平成15年事故の後遺症としててんかんを患い,平成18年1月に意識喪失を伴うてんかん発作を起こし,同年11月,平成22年6月にもてんかん発作があり,医師からは,抗けいれん薬の服用を指示され,服薬していても自動車の運転は禁止されていた。Hは,平成24年3月3日及び4日,服薬していたのに立て続けにてんかん発作を起こし,同月5日,医師から,いつてんかん発作が起きてもおかしくない旨の注意を受けた。 L及び被告E(以下「Lら」という。)は,平成15年事故当時からHと同居している親であり,前記の病状を知っており,平成24年3月上旬には,Hが自動車の運転をすると,てんかん発作で意識を喪失して自動車の制御ができず他人の生命,身体等に損害を与える危険があることを認識していた。 bLらが,Hの自動車運転を認識し,容認していたことLらは,Hが勤務先で自動車運転をしていることを認識していた。 このことは,Lが,本件事故後,警察官や検察官に対し,勤務先での自動車の運転を知っていた旨供述したことから明らかである。また,Lが,平成22年6月の発作の際にHに付き添っていた同僚に対し,会社に言わないようにと口止めした事実,Lらが,Hに自動車を運転してはならない旨注意し,自宅の自動車の鍵をHに対して隠していた事実,平成24年3月上旬のてんかん発作の後にHの自動車運転に関する家族会議を開いた事実からも明らかである。 そして,同月上旬に発作を起こした後,Hが,Lに対して「栃木県のてんかん発作によるクレーン車の事故の原因は薬の飲み忘れだから自分は大丈夫である。」旨を述べた事実,医師から注意を受けたその日である同月5日に,Hが身分証明のため必要であるという理由にな らない理由を述べて強引にLに免 原因は薬の飲み忘れだから自分は大丈夫である。」旨を述べた事実,医師から注意を受けたその日である同月5日に,Hが身分証明のため必要であるという理由にな らない理由を述べて強引にLに免許センターまで運転させて運転免許の更新手続を行った事実,Hが,Lらに対して,勤務先にてんかんのことを話して自動車を運転しなくてよい内勤に替えてもらった旨述べていたのに,「一筆書いてもらわなあかん。」と社長から言われた旨を述べたり,遠方へ出張に出かけたりした事実からは,なおHにおいて自動車を運転する意欲があったことは明らかである。Lは,これらのHの言動を認識しつつ,免許更新のため免許センターにHを連れて行き,勤務先の社長の一筆書けという話の趣旨も確認せず,Hが,勤務先に対し,てんかん発作のため運転を禁止されていることを伝えたのか疑問に思っていたが放置していた。これらのことから,Lらは,同月上旬の発作後も,Hの勤務先での自動車運転を認識し,容認していたといえる。 c 作為義務の内容とその違反前記abの各事実より,Hと同居していた親であるLらは,本件事故の前までには,被告G又は破産会社に対し,Hに自動車の運転をさせるとてんかん発作によって自動車の制御ができなくなり他人に危害を与えるおそれがあることを直接伝えて,Hの破産会社における自動車の運転を制止する義務を負っていた。Lは前記義務を怠り,本件事故を発生させた。 (被告Eらの主張)aHの病状に対する認識Hが平成15年事故の後遺症として外傷性てんかんにり患したこと,原告A主張の時期にてんかん発作を起こしたこと,医師から抗てんかん薬の服薬を指示され自動車の運転を禁止されていたことは認める。 また,Lらがこれらの病状を知っていたことは認めるが,Hが自動車の運転をすると,てんかん発作 んかん発作を起こしたこと,医師から抗てんかん薬の服薬を指示され自動車の運転を禁止されていたことは認める。 また,Lらがこれらの病状を知っていたことは認めるが,Hが自動車の運転をすると,てんかん発作で意識を喪失して自動車の制御ができ ず他人の生命,身体等に損害を与える危険があることを認識していたことは否認する。 bLらがHの自動車運転を知らなかったことLらは,Hが勤務先で自動車の運転をしていることは知らなかった。 Lが,本件事故後,捜査機関に供述したのは,Hが破産会社に勤め始めの頃に自動車の運転をしていると聞いたので厳しく注意し,平成21年頃に自宅の自動車に乗ったので厳しく注意した事実であるが,いずれもHはこれを受け入れていたから,Lは,Hが勤務先でも自宅でも自動車を運転することはなくなったと理解していた。 Lらは,常日頃,Hに対し自動車の運転をしないよう注意し,車の運転ができず勤務先を辞めなければならないなら,勤務先を辞めるよう注意し,自宅の車の鍵を隠していたが,それは主治医の戒めの確認のためであり,Hが勤務先で自動車を運転していたことは知らなかった。Lが,Hの勤務先の同僚にてんかん発作のことを口止めしたことはないし,平成24年3月上旬の発作後にLらが家族会議を開いたことはない。Lは,Hの免許更新を止めたが,Hが身分証明として必要だと言うので,免許センターに連れて行った。身分証明として必要であるとの説明は不合理ではない。 平成24年3月上旬の発作の前頃から,Hが仕事で疲れていたようであったので,Lらは,Hに対し,無理せず仕事を辞めること,疲れの少ない仕事に転職すること,仕事がないなら福祉に相談に行くこと,てんかんのことを勤務先に伝えること等を勧め,親の方から勤務先にてんかんのことを伝えることも提案した。Hは, ず仕事を辞めること,疲れの少ない仕事に転職すること,仕事がないなら福祉に相談に行くこと,てんかんのことを勤務先に伝えること等を勧め,親の方から勤務先にてんかんのことを伝えることも提案した。Hは,勤務先にてんかんのことを自ら話すと言い,話した結果,内勤になった旨述べていたため,Lらはその言葉を信じていた。その後,Hが遠方に出張していたことは事実であるが,車で行っていたわけではなく,社長の一筆の話もて んかんのことが勤務先に伝わったからこそ出てきた話であり,勤務先にてんかんのことが伝わっていると考えていた。 c 作為義務についてHは30歳の成人で,勤務先も自分で見つけて社会生活を営んでいた責任能力がある者であり,Lらが,直接,Hの勤務先に連絡しなければならない法律上の義務があるとは考えられない。Lは,Hがてんかんと診断された後は,法的な義務はないものの,適切にHの服薬管理もした。 Lの民法714条類推適用による責任(原告Aの主張)法定の監督義務者に該当しない者であっても,責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし,第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行い,その態様が単なる事実上の監督を超えている等その監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には,衡平の見地から,法定の監督義務者に準ずべき者として民法714条1項の類推適用がされると解すべきである(最高裁判所平成28年3月1日第三小法廷判決・民集70巻3号681頁。以下「平成28年最高裁判決」という。)。 前記(原告Aの主張)abの事実関係に加え,平成15年事故当時から本件事故までHと同居し,逐一病状を把握し,服薬を管理し,かつ,破産会社に対しHのてんかん症状を連絡す 年最高裁判決」という。)。 前記(原告Aの主張)abの事実関係に加え,平成15年事故当時から本件事故までHと同居し,逐一病状を把握し,服薬を管理し,かつ,破産会社に対しHのてんかん症状を連絡することで容易にHの自動車の運転を制止できる立場にあったLらは,法定の監督義務者に準ずる者として民法714条の類推適用により,Hが起こした本件事故の責任を負う。 (被告Eらの主張)Hは,本件事故当時30歳であり,大学を卒業し保育士の資格を取得 し就職して社会生活を送ってきた者であるから,民法714条の「責任無能力者」には当たらない。よって,同条の類推適用の基礎を欠く。 ウ争点⑴ウ-被告Eの義務違反被告Eの運転制止義務(勤務先通報義務)違反の有無(原告Aの主張)被告Eが,Hの自動車運転についての危険を認識し,かつ,Hが勤務先の破産会社で自動車を運転していることを認識していたことについては,前記イ原告Aの主張)abのとおりである。これに加え,被告Eは,平成23年冬に職場のHに鍵を届けた際に車の鍵があったのを認めてその旨をLに伝えており,Hが勤務先で自動車の運転をしていることを認識していた。 被告Eには,同cのとおりの通報・制止義務があり,これを怠った義務懈怠がある。 (被告Eの主張)被告EによるHの病状についての認識及び被告EがHの自動車運転を認識していなかったことは,前記イ被告Eらの主張)abのとおりである。また,被告Eには,同cのとおり通報・制止義務はない。 被告Eの民法714条類推適用による責任前記の当事者双方の主張と同旨エ争点⑴エ-被告Gの義務違反Hに運転をさせない義務違反の有無(原告Aの主張)Hは,平成24年3月3日及び同月4日にけいれん発 任前記の当事者双方の主張と同旨エ争点⑴エ-被告Gの義務違反Hに運転をさせない義務違反の有無(原告Aの主張)Hは,平成24年3月3日及び同月4日にけいれん発作を起こした後,同月6日に破産会社の日報に「本日は仕事中に一昨日の自分のことなどたくさんお話をして」旨記載した。その後,Hは,家族に対し,被告Gから一筆書くよう求められた旨を述べており,同日頃までに被告Gに対 し,Hが,てんかんの病状及び自動車の運転ができないことを伝えたことは明らかである。また,被告Gは,平成23年12月下旬以降にHの通院先に電話しており,Hから病状について知らされていたと考えられる。 したがって,被告Gは,平成24年3月6日頃までには,Hがてんかんのため自動車を運転できないことを認識していたのであるから,破産会社の業務においてHに自動車の運転をさせないよう注意する義務を負っていた。それにもかかわらず,被告Gは,Hに対し,商品の配達等の自動車の運転を伴う業務をさせ,本件事故を起こさせた。 (被告Gの主張)被告Gの注意義務違反の事実は否認し,責任は争う。 破産法253条1項3号の非免責債権に当たるか。 (原告Aの主張)破産会社の利益のためにHの運転をやめさせず本件事故により人身傷害を生じさせた被告Gの過失は重大であるから,破産法253条1項3号の「破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権」に当たる。 (被告Gの主張)争う。 オ争点⑴カ-損害額(原告Aの主張)以下のとおり,Iの死亡損害及び原告Aの固有の損害の合計は4345万4787円である。 Iの死亡損害a 治療関係費 オ争点⑴カ-損害額(原告Aの主張)以下のとおり,Iの死亡損害及び原告Aの固有の損害の合計は4345万4787円である。 Iの死亡損害a 治療関係費 20万6820円洛和会音羽病院で手術等を受け,治療費として前記金額を要した。 b 逸失利益 1641万2497円Iの前年度の年収は249万6000円であり,平均余命の2分の1である13年間(対応するライプニッツ係数9.3936)同額の収入を得られた蓋然性があり,生活控除率は30%が相当である。よって,逸失利益は次の計算式による。 2,496,000円×9.3936×(1-0.3)=16,412,497円c 葬儀関係費 150万円d 慰謝料 2800万円Hの行為は危険で悪質極まりなく,L,被告E及び被告Gのてんかん病者の自動車運転の危険性に対する認識欠如は著しい。 原告A固有の慰謝料 200万円原告Aは本件事故により最愛の母を失い,その絶望とこの先の生活における喪失感は多大なもので,精神的苦痛は計り知れない。 既払金 ▲ 861万4530円弁護士費用 395万円(被告Eらの主張)不知ないし争う。 (被告管財人の主張)Iが本件事故時に勤務していた株式会社むら田(以下「むら田」という。)の定年は65歳であり同社の給与収入を得られる蓋然性があるのは3年間のみである。65歳以降の逸失利益が認められるとしても基礎収入はより低額である。生活費控除率は単 社むら田(以下「むら田」という。)の定年は65歳であり同社の給与収入を得られる蓋然性があるのは3年間のみである。65歳以降の逸失利益が認められるとしても基礎収入はより低額である。生活費控除率は単身者であり5割とすべきである。 慰謝料は,年齢と生活状況等を考慮し2000万円が相当である。 (被告Gの主張)不知ないし争う。 ⑵ 原告Bらの請求 ア争点⑵ア-Lの義務違反前記⑴イの当事者双方の主張と同旨Bら免責証書は他の損害賠償義務者の債務を免除するものか。 (被告Eらの主張)原告Bらと破産会社との間で示談が成立し,Bら免責証書により,他の損害賠償義務者の債務が免除された。 (原告Bら)Bら免責証書は,H及び破産会社の各損害賠償債務に関するものであり,同作成の際に予想し得なかったL,被告E及び被告Gの損害賠償債務を免除したものではない。免除の意思表示の相手方でもない。 イ争点⑵イ-被告Eの義務違反前記⑴ウの当事者双方の主張と同旨 の当事者双方の主張と同旨ウ争点⑵ウ-被告Gの義務違反前記⑴エの当事者双方の主張と同旨 の当事者双方の主張と同旨エ争点⑵エ-損害額(原告Bらの主張)原告Bら固有の損害は次の各合計110万円である。 慰謝料各200万円原告Bらは,本件事故により最愛の子であるJを失い,その絶望と喪失感は多大であり,精神的苦痛は計り知れない。 損害填補 ▲各100万円原告Bらは,損害の填補として,各100万円を受領した。 弁護士費用各10万円(被 ▲各100万円原告Bらは,損害の填補として,各100万円を受領した。 弁護士費用各10万円(被告Eら及び被告Gの主張) 不知ないし争う。 ⑶ 原告Dの請求ア争点⑶ア-Lの義務違反前記⑴イの当事者双方の主張と同旨Dら免責証書は他の損害賠償義務者の債務を免除するものか。 (被告Eらの主張)原告Dと破産会社との間で示談が成立し,Dら免責証書により他の損害賠償義務者の債務が免除された。 (原告Dの主張)Dら免責証書は,H及び破産会社の各損害賠償債務に関するものであり,同作成の際に予想し得なかったL,被告E及び被告Gの損害賠償債務を免除したものではない。被告Eら及び被告Gは免除の意思表示の相手方でもない。 イ争点⑶イ-被告Eの義務違反前記⑴ウの当事者双方の主張と同旨前記アの当事者双方の主張と同旨ウ争点⑶ウ-被告Gの義務違反前記⑴エの当事者双方の主張と同旨前記アの当事者双方の主張と同旨エ争点⑶エ-損害額(原告Dの主張)本件交通事故による原告Dの固有の損害は合計110万円である。 原告D固有の慰謝料 100万円妹Kは原告Dと同居していた母の面倒を見るためにほぼ毎日原告Dの自宅を訪問し,母の死後も1箇月に2,3回は原告Dの自宅を訪問し,1箇月に1回は食事を一緒にし,1年に10回程度原告Dの妻と旅行し, 特別に親しい関係にあった。Kを失い,その絶望と喪失感は多大なもので,精神的苦痛は計り知れない。 弁護士費用 10万円(被告 特別に親しい関係にあった。Kを失い,その絶望と喪失感は多大なもので,精神的苦痛は計り知れない。 弁護士費用 10万円(被告Eら及び被告Gの主張)不知ないし争う。 第3 争点に対する判断 1 事実関係前記第2の2の前提事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ⑴ 破産会社就職前のHの病状ア平成15年事故Hは,平成15年11月16日,バイクに乗っている時に交通事故に遭い,脳挫傷,頭蓋骨骨折等の傷害を負った(平成15年事故)。Hは,当時21歳で立命館大学に在学中であった。Hは,脳挫傷により左側頭葉の一部を欠損し,その部位からの異常波が生じることによる外傷性てんかんの後遺症が残った。Hは,平成16年1月6日に京都九条病院を退院し,その後,本件事故まで,同病院に通院し,主治医から,抗てんかん薬(エクセグラン等)の服用を指示され,抗てんかん薬を服用した状態であっても自動車の運転をしないよう指導されていた。(甲13p1753・1858・1860,甲34の2)イてんかんによる最初の意識喪失発作Hは,自己判断でエクセグランの服薬量を減らしていたため,平成18年1月19日,スポーツジムでの入浴中に意識を喪失し,けいれん発作を起こして京都九条病院に救急搬送され,同月20日まで入院した。この際,H及びLは,同病院の医師から,外傷性てんかんであるため,車の運転等の危険を伴う機械操作はしてはいけないこと,薬は指示どおり服用するこ とを指示された。その後,Hは,京都九条病院に1,2箇月に1回通院するようになった。(甲13p1864・1865・1867,甲34の5)また,Hは,同年11月16日,家族で夕食に出かけ とを指示された。その後,Hは,京都九条病院に1,2箇月に1回通院するようになった。(甲13p1864・1865・1867,甲34の5)また,Hは,同年11月16日,家族で夕食に出かけた際,Lが運転する自動車内で,けいれん発作を起こし,救急車で京都九条病院に運ばれ,1泊の入院をした(甲13p1873,甲34の5)。 また,平成19年12月26日に受診した際,Hは,前回の通院から今回受診までの間に発作の前兆が1回あった旨述べた。Hは,平成20年2月25日の受診の際,主治医から,改めて「車の運転は禁止する。」旨言われた(甲13p1874)。 ウ大学の卒業,最初の就職等Hは,平成18年3月に大学を卒業し,専門学校に通い,保育士の資格を取得した。Hは,平成20年4月から同年夏頃まで,大阪府高槻市内の児童養護施設に保育士として勤め,同施設への通勤のためにバイクに乗ることがあった。(甲16p3232,甲34の3)L及び被告Eは,平成15年事故当時からHと同居しており,Lは,Hの通院に付き添って医師の説明を聞くことが多く,Hの前記病状を理解していた。また,被告Eも,Hが脳挫傷の影響で,医師から車の運転を禁止されていたことを知っていた。Lは,平成17年4月11日から平成24年3月7日まで,Hに代わり薬局で抗てんかん薬であるエクセグランを購入していた。(甲16,甲34の6,甲34の12,被告E本人)⑵ Hの破産会社への就職後の状況ア破産会社の業種,就職破産会社は,昭和62年の設立から,藍染めの呉服,衣料用雑貨,小物,藍を原料とする化粧品の製造販売等を事業としており,被告Gが代表取締役を務め,その夫が専務取締役を務め,役員は3名,社員数名及びアルバ イト数名が業務に従事していた。破産会社は,天然の藍染 原料とする化粧品の製造販売等を事業としており,被告Gが代表取締役を務め,その夫が専務取締役を務め,役員は3名,社員数名及びアルバ イト数名が業務に従事していた。破産会社は,天然の藍染料による藍染め製品を企画開発製造し,全国の小売店・卸売店へ販売することを事業の中核としていた。(甲32の2,甲32の4)Hは,平成14年頃に破産会社でアルバイトし,化粧品販売を担当したことがあった。平成20年7月頃,Hは,破産会社を訪問し,今の仕事が激務で辛いと述べる等していたところ,破産会社では,Hのアルバイト時の接客が上手であったこと等から,同年9月,Hを試用社員として採用することとし,平成21年2月16日から正社員として採用した。(甲32の5,甲32の8,甲32の18)イ Hの担当業務破産会社では,Hに対し,将来は地方の小売店・催事での販売活動を行う営業を担当させる予定であったが,当初は藍染めの知識や接客を習得させる必要があったため,事業所に併設された直営店舗(1店舗のみ)での店頭販売及び得意先への社用車での商品の配達等を担当させることとした。 Hは,破産会社に就職する前から自動車の運転免許を有していたものの,運転経験が少なかったため,被告Gは,平成20年10月頃,破産会社の費用でHを自動車教習所に通わせ運転の練習をさせた。(甲32の4,甲32の5,甲32の20)その頃,被告Gは,Hの喉に傷跡があるのを見付けて理由を尋ねたところ,Hから,大学生の時に交通事故で頭部に大けがした旨を聞いた。被告Gは,Hが有名大卒であるのに仕事の覚えが悪く,物忘れも顕著であったことから,頭部のけがの影響を疑ったが,Hからは「大丈夫です。」等と言われるのみで,詳しいことは分からなかった。(甲32の2p8913,甲32の3,甲32の8,甲32の1 悪く,物忘れも顕著であったことから,頭部のけがの影響を疑ったが,Hからは「大丈夫です。」等と言われるのみで,詳しいことは分からなかった。(甲32の2p8913,甲32の3,甲32の8,甲32の18)ウ破産会社でのHの自動車の運転状況Hは,平成21年2月頃から,破産会社の業務として,一人で自動車を 運転し,商品の配達等をするようになり,その後も,頻繁に破産会社の自動車を運転して配達業務等を行っていた(甲32の5p8964)。 Lは,同月頃,Hから,配達のため破産会社の車を運転していることを聞き,Hに対し運転をしないように注意したところ,Hは,分かっている旨述べたものの,自分に任せてほしい旨も述べ,Lの注意は煩わしいとの態度を示した(甲34の3p8735,甲34の9p8800,甲34の12p4~5)。また,Lは,同年中に,Hが自宅の自動車を運転していることに気付いてHに注意したところ,Hは,分かっている旨述べ,それ以上言わないでくれ等と言い返したことがあった(甲34の12p6)。 また,平成23年冬,被告Eは,Hの依頼で鍵をHのところに届けた時,鍵の束の中に車の鍵があったことから,職場で車の運転をしているのではないかと疑い,Lにその旨伝え,LがHに注意したことがあった(甲34の12p9~11)。 エ健康診断時の状況Hは,平成21年12月,初めて破産会社の健康診断を受けた。被告Gは,その報告書に「21歳,脳挫傷,手術後」旨記載されていたことから,Hに脳挫傷の既往歴があることを知り,自身の長男がくも膜下出血を発症した経験と合わせ,Hに脳挫傷の後遺症がないかを気に掛けるようになった。ただし,同報告書の検査項目には脳CTや脳波検査はなく,前記脳挫傷の記載は問診に基づくものであって,Hがてんかんを発症していることは 験と合わせ,Hに脳挫傷の後遺症がないかを気に掛けるようになった。ただし,同報告書の検査項目には脳CTや脳波検査はなく,前記脳挫傷の記載は問診に基づくものであって,Hがてんかんを発症していることは記載がなかった。また,被告Gが,Hについて懸念していたのは理解力不足・物忘れであり,けいれんや意識障害やその兆候を見たことはなく,被告Gが同乗した際には,Hは自動車の運転操作を問題なく行っており,危険を感じたことはなかった。 その後も,毎年定期健康診断が実施されたが,脳挫傷の既往歴に前記の報告書以上の記載はされなかった。 (甲32の6,甲32の15,甲32の18p5・6)オ平成22年の発作Hは,自己の判断でエクセグランの服用を中止していたため,平成22年6月8日,仕事帰りに破産会社の女性従業員と同行していた際,約2分間の全身性強直間代発作を起こし,京都第二赤十字病院に救急搬送された。 Hは,同病院においてエクセグランの内服を指示され,帰宅した。(甲13p1880,甲14の2,甲32の16p2,甲34の10p8805,甲34の12p8)Lは,同月9日,破産会社の事業所のそばまで行き,同従業員に礼を伝え菓子折りを渡したが,事業所には入らず,被告Gとも会わなかった。同従業員は,Hから口止めされたため,被告Gを始め破産会社の者にはHの発作について伝えなかった。(甲32の16p2,甲34の12p9)Hは,同月14日,京都九条病院を受診し,主治医が「運転許可はしていないが…やめるように話をして」とカルテに記載し,Hに対し,自動車の運転をやめるように注意した。また,Lは,薬局で前記発作の話をして,薬剤師から薬の服用を改めて指導された。(甲13p1878,甲15p3233)カ平成23年の健診時頃の状況平成23年11 の運転をやめるように注意した。また,Lは,薬局で前記発作の話をして,薬剤師から薬の服用を改めて指導された。(甲13p1878,甲15p3233)カ平成23年の健診時頃の状況平成23年11月7日,破産会社で定期健康診断が実施された。その頃,被告Gは,Hが藍談義(藍染めの古来の技法・特性についての顧客への説明等)がうまくできず,伝票の書き忘れもある等の状態であり,Hを地方の小売店・催事等に一人で出張させることに不安を感じていたことから,Hに対し,脳挫傷の後遺症がないか病院で診てもらうことを勧め,後遺症がないことについての診断書を提出するよう求めた。これに対し,Hは,病院にはもう通院していないとか,異常はないとか,脳挫傷後の症状が大丈夫なことを証明するものは特にない等と述べ,応じなかった。 被告Gは,その頃,Hから,京都九条病院脳外科に以前通院していたことや主治医の名前等を聞きだし,Hのいないところで同病院に電話をかけ主治医との面会を申し入れたが,同病院からは,Hが同行していないと病状については教えられない旨言われ,病状を聞くことはできなかった。 (甲32の9,甲32の10p9016,甲32の11,甲32の12p9039,甲32の18p7~11,甲32の20p8)⑶ 本件事故直前の状況ア営業への担当替え平成24年2月,破産会社では,当初の予定どおり,Hを店頭販売から地方の小売店・催事での営業担当に担当替えすることを決め,その旨を会議等で社員らに告知し,同月,Hを営業担当である被告Gの夫(常務取締役)とともに宮崎へ出張させた。なお,破産会社では,営業のための地方出張の際は,自動車ではなく,飛行機や新幹線等を利用していた。 Hは,同年3月10日からは熊本や福岡への9日間の出張を予定しており,その際には 宮崎へ出張させた。なお,破産会社では,営業のための地方出張の際は,自動車ではなく,飛行機や新幹線等を利用していた。 Hは,同年3月10日からは熊本や福岡への9日間の出張を予定しており,その際には,初めて1人で小売店等での藍談義を行い販売活動を行うことが予定されていた。 (甲32の5p8966~8967,甲32の20p1~2,甲34の2p8712)イ平成24年3月上旬の発作Hは,平成24年3月3日夜,自宅にいるとき,被告Eの下着姿を撮影して知人にメール送信したことで,被告E及びLに怒られた。その直後,Hは,突然,被告E及びLの前で全身けいれん発作を起こし,1分間程度体が硬直した。また,Hは発作中のことをよく覚えていない様子であった。 この際,Hは,抗てんかん薬を定量どおり服用していた。(甲13p1879,甲34の4p8742,甲34の5p8764,被告E本人p2・15) Hは,同月4日にも,数十秒のけいれん発作を起こした(甲13p1879,甲34の4p8743)。 Lは,Hが最近1箇月間仕事で疲れており,そのため続けててんかん発作が起きたと感じたため,同日,Hに対し,今の仕事をやめて休養し,別の仕事を探すことを勧めた。また,Lは,栃木県で起きた運転手のてんかん発作によるクレーン車の大規模な死傷事故の話をした上,自動車の運転中に発作を起こすと他人に危害が及ぶことを伝え,自動車の運転をしないよう注意した。これに対し,Hは,自分は薬を飲んでいるし,てんかんの発作の前には予兆があり分かるから大丈夫である等と言い,注意を聞き入れない態度を示した。(甲34の4p8743・8744,甲34の12p13)ウ発作後の診察,免許の更新Hは,平成24年3月5日,Lとともに,京都九条病院を受診した。Hは,脳波測定及び き入れない態度を示した。(甲34の4p8743・8744,甲34の12p13)ウ発作後の診察,免許の更新Hは,平成24年3月5日,Lとともに,京都九条病院を受診した。Hは,脳波測定及びCT検査を受け,医師は,その結果を踏まえ,H及びLに対し,「いつ発作が起こってもおかしくない。薬を飲んでいても発作が起こり得る。」旨伝えた。(甲13p1879・1881,甲34の2p8712,甲34の4p8745,甲34の5p8765,甲34の12p15)Hは,同病院での診察後,同日,Lに対し,運転免許の更新に行く旨述べた。Lは,いったんは反対したものの,Hから,身分証明書として必要であるから,一人でも免許の更新に行く旨言われたため,免許センターまで自動車で送っていった。(甲34の4p8745・8746,甲34の12p15~17)同日,帰宅してから,Lは,Hに対し,勤務先に,てんかんのため車の運転はできないことを伝えるよう求め,Hが言わないのであれば,Lが勤務先に言いに行く旨述べたところ,Hは,これを聞き入れる態度を示し, 自分から被告Gや勤め先の者らに伝える旨述べた(甲34の4p8746,甲34の9p8801,甲34の12p18・19)。 エ平成24年3月上旬発作後の職場での状況Hは,同月6日,休暇明けで出勤し,勤務時間中に,被告Gと話をし,その話に関して,日報に「本日は仕事中に一昨日の自分のことなどたくさんお話しをしてすみませんでした。何度も練習をして藍談義をしっかりします。」旨記載した(甲18p351,甲32の12p5,甲32の20p3・4)。 Hは,同日夜,帰宅後,Lに対し,勤務先で社長(被告G)にてんかんのことを話したこと,その結果,自動車の運転をしなくてよい内勤になった旨述べた。また,その際,Hは, 5,甲32の20p3・4)。 Hは,同日夜,帰宅後,Lに対し,勤務先で社長(被告G)にてんかんのことを話したこと,その結果,自動車の運転をしなくてよい内勤になった旨述べた。また,その際,Hは,被告Gから「一筆書いてもらわなあかん。」旨言われたと述べたが,誰が何を一筆書くのかについては,分からない旨述べ,一筆の件はそのままになった。(甲34の4p8747・8748・8754,甲34の9p8801,甲34の12p19~21,丙3,丙5,被告E本人)オその後の日報の記載等Hは,平成24年3月8日,朝礼が終わった後で,他の社員の前で,藍談義をしたが,被告Gやその夫らから見て明らかに不十分であったため,同人らによる指導を受けた。Hは,同日,日報に「本日は仕事中に社長さん,専務さん,常務さんでお話しをして頂き,本当にありがとうございました。心配や悩みをなくして,販売をしっかり頑張っていきたいです。今回の染寿さんでもたくさん売りたいです。」旨記載した。(甲18p352,甲32の5p8967,甲32の12p9039,甲32の20p10)同月21日,後記カの出張後,Hは,日報に「社長さん,専務さんはいつもお忙しいのに私の体調で仕事やシフトなどを考えて頂き,誠に申し訳 ありません。ミスはなく,常に売上が高くなるように心掛けていきたいです。」と記載した(甲18p353)。 カ地方出張等Hは,予定どおり,平成24年3月10日から同月19日まで,熊本,福岡に出張に行った。出張に行く際,Lは,Hに対し,「内勤」なのに出張があるのか旨尋ねたが,Hはそれに答えず,ノルマ等は考えないようにする等と述べた。(甲32の5p8966,甲34の12p22・23)なお,破産会社では,被告Gが担当している経理部門のほか,①営業,②小 旨尋ねたが,Hはそれに答えず,ノルマ等は考えないようにする等と述べた。(甲32の5p8966,甲34の12p22・23)なお,破産会社では,被告Gが担当している経理部門のほか,①営業,②小売り,③加工の3部門に分かれ,①は地方の小売店への販売及び小売店が主催する催事の販売活動,②は直営店での店頭販売,③は反物の加工の手配を主要業務としていたが,「外勤」「内勤」といった区分はなかった(甲32の4)。 ⑷ 本件事故Hは,平成24年4月12日朝,自宅で抗てんかん薬を飲んでから破産会社に出勤した(甲34の4p8752)。 Hは,同日午後1時頃,破産会社の業務として配達のため本件車両で破産会社の事業所を出発し,同日午後1時06分頃,京都市内の乙通を北進中,てんかん発作による意識障害を生じて本件車両の制御が不能となり,本件車両は,タクシーに追突し,丁南側道路東側を歩行していたIをはね,また,丁交差点において青信号に従って通行していたKほか多数の横断歩行者をはね,さらに,同交差点を通過後に,道路東側を通行していたJ運転の自転車に衝突して,電柱に衝突して停止した(本件事故)。本件事故により,H以外に7名が死亡し,12名が負傷した。(甲32の7,甲32の14)⑸ 本件事故後の発言等ア本件事故の直後,Hの自宅に電話をした被告Gに対し,被告Eは,「乗ったらあかんて,あんだけ言うたのに。」等と怒鳴り,Hに自動車の 運転をさせたことを責める態度を示した(甲32の14p9063,甲32の20p12,被告E本人p36)。 イ Hの姉の被告Fは,本件事故当日,時事通信社を始めとするマスコミ各社の取材に応じた。その時の被告Fの発言について,朝日新聞は,被告Fが,「Hが,3日前の家族会議で,『車に乗る仕事なら辞めた方がいい』と忠 の被告Fは,本件事故当日,時事通信社を始めとするマスコミ各社の取材に応じた。その時の被告Fの発言について,朝日新聞は,被告Fが,「Hが,3日前の家族会議で,『車に乗る仕事なら辞めた方がいい』と忠告されていた。仕事で『手伝い程度に車を運転する』と聞いた母親は毎日心配し,何度も注意していた。3日前も『車に乗る仕事なら辞めた方がいい』と言ったばかりで,Hは『運転せずに働けるか会社に聞いてみる』と答えた。」と述べた旨報道した(甲19)。京都新聞は,被告Fが,「Hから仕事で運転することがあると聞き,運転をやめるよう家族で説得していた。会社にどの程度説明したかは不明。会社には『運転できない旨を母に一筆書いてもらって』と返答されたよう。Hは『昼間に症状は出ない』と話していた。」と述べた旨の報道をした(甲20)。時事通信社は,被告Fが,「『運転を続けるなら会社をやめて』と家族で話し合った直後に事故が起きた。家族が『運転を控えて』,『続けなければならないなら転職して』と注意し,10日には母が役所に障害認定を届け出たばかりだった。『事故を起こしても会社に責任はない』という内容の誓約書を書くように言われたと1週間前に打ち明けられた。」旨述べたと報道した(甲21)。 被告Fは,本件事故後,ショックでうつ病に罹患して自身の子どもの世話もできない状態になり,障害者手帳の交付を受けた(丙4,被告E本人p11・34,弁論の全趣旨)。 2 原告Aの請求-Hの不法行為による責任(争点⑴ア)⑴ Hの運転中止義務違反ア前記1⑴によれば,Hは,平成15年事故により外傷性てんかんに罹患し,平成18年に意識喪失を伴うてんかん発作を起こし,医師から,抗 てんかん薬を服薬していても車の運転をしてはならない旨指導され,その後も数回てんかん発作を起こし,特 てんかんに罹患し,平成18年に意識喪失を伴うてんかん発作を起こし,医師から,抗 てんかん薬を服薬していても車の運転をしてはならない旨指導され,その後も数回てんかん発作を起こし,特に平成24年3月3日には,抗てんかん薬を服用したにもかかわらず意識障害を伴う発作を起こし,翌4日にも続けて発作を起こしており,てんかん発作を服薬で抑制できていない状態となっていた。また,同月5日には,医師から,Hに対し,服薬をしていても,いつてんかん発作が起きてもおかしくない旨が告げられていた。 そうすると,Hは,同日までには,自分が自動車を運転している最中に,てんかんの発作により,運転中に意識障害が生じる可能性があること,そうなった場合,自動車を制御することができず,他人の生命,身体等に損害を与える危険があることを認識していたといえる。そして,病気により正常な運転ができないおそれがある状態において自動車の運転をしてはならないのであるから(道路交通法66条),Hは,本件事故当時,自動車を運転してはならない義務があった。 イ以上から,Hは,本件事故当時,てんかんの発作により正常な運転ができず,他人の生命身体等に損害を与える危険があるため,自動車を運転してはならない義務があったところ,同義務に違反して本件車両を運転し,その後,てんかん発作を起こして本件事故を発生させ,Iを死亡させたのであるから,不法行為が成立し,Hは,Iの死亡による損害を賠償する責任がある。 ⑵ 相続放棄の有無,効果前記第2の2⑷のとおり,Hを被相続人とする相続について,被告E及びLは,京都家庭裁判所に対し相続放棄する旨を申述し,被告Eにつき平成24年5月8日,Lにつき同月21日,それぞれ受理された。 同相続放棄により,被告E及びLは,前記⑴のHの責任を承継しない( E及びLは,京都家庭裁判所に対し相続放棄する旨を申述し,被告Eにつき平成24年5月8日,Lにつき同月21日,それぞれ受理された。 同相続放棄により,被告E及びLは,前記⑴のHの責任を承継しない(民法939条)。 ⑶ 小括 よって,原告AのHによる不法行為責任に基づく請求は理由がない。 3 原告Aの請求-Lの運転制止義務(勤務先通報義務)違反の有無(争点⑴イ ⑴ LのHの病状についての認識前記2⑴アのとおり,Hは,本件事故当時,自動車の運転中にてんかんの発作により意識障害が生じ,自動車を制御することができなくなり,他人の生命,身体等に損害を与える危険がある病状であった。そして,前記1⑴ウ,1⑶イウによれば,Lは,平成15年事故当時からHと同居し,Hの通院に付き添って医師の説明を聞くことが多く,平成24年3月上旬に立て続けに発作が起きたときもこれを知っており,同月5日の医師からの「いつ発作が起きてもおかしくない。」旨の説明も聞いていたから,少なくとも同日以降,Hに自動車を運転させると,てんかん発作の意識障害により自動車を制御できない状態となり他人の生命身体等に損害を与える危険のある病状であることを認識していたといえる。 ⑵ LのHの勤務先での自動車運転についての認識前記1⑵ウによれば,Lは,平成21年2月頃,勤務先である破産会社の業務としてHが自動車を運転していることを知ったことが認められる。そして,その際,LがHに自動車を運転しないよう注意しても,Hは,運転をやめるとも,運転の担当から外してもらうとも言わず,自分に任せるよう言うのみであったから,Lとしては,それ以降も,Hが,勤務先から業務として指示された場合には,自動車を運転することがあることを認識していたし,少なくとも認識可能であったと認められる。 分に任せるよう言うのみであったから,Lとしては,それ以降も,Hが,勤務先から業務として指示された場合には,自動車を運転することがあることを認識していたし,少なくとも認識可能であったと認められる。また,平成24年3月5日,同月上旬の発作や医師の注意にもかかわらず,Hが,Lの制止を聞かずに運転免許の更新を行ったことからすれば(1⑶ウ),その時点でも,Lは,Hが,なお勤務先から指示されれば,自動車の運転を行うつもりであると認識できたと認めるのが相当である。Lらは前記の点を否認し,これに沿う陳述等を するが(丙3ないし6,被告E本人),前記1⑵ウ,1⑶ウで摘示した各証拠と対比して採用できない。 他方で,1⑶ウエのとおり,Lは,Hが免許を更新した後,Hに対し,「Hが勤務先に対して自動車の運転を禁じられていることを伝えないのであれば,Lが直接勤務先に言う。」旨伝え,これを受けて,翌6日,Hが,Lに対し,「勤務先の代表者である被告Gに対し,自分のてんかんの病状を伝え,その結果,自動車の運転をしなくてよい内勤に替えてもらった。」旨述べた事実が認められる。この事実は,本件事故発生直後,被告Eが,被告Gに対し,運転させてはならないと伝えたはずなのにHに自動車の運転をさせたことを責める言葉を浴びせて怒鳴った事実(1⑸ア)からも裏付けられる。 また,被告Fが,マスコミの取材に対し,「会社には『運転できない旨を母に一筆書いてもらって』と返答されたよう。」『事故を起こしても会社に責任はない』という内容の誓約書を書くように言われたと1週間前に打ち明けられた。」等と語っていた事実(1⑸イ)も,時期は異なるものの,Hから「勤務先に運転ができないことを伝えた。」と家族が聞いたことを前提とするものであり,前記事実に沿うといえる。そして,Hは,「運転しなく た。」等と語っていた事実(1⑸イ)も,時期は異なるものの,Hから「勤務先に運転ができないことを伝えた。」と家族が聞いたことを前提とするものであり,前記事実に沿うといえる。そして,Hは,「運転しなくてよい内勤に替えてもらった。」旨述べてからも,地方への出張に出かけることがあったが(1⑶カ),地方出張の際には公共の交通機関を利用していたというから(甲34の2p8712),Lにとって「勤務先にてんかん発作のことを伝え,自動車を運転する業務から外れた。」旨のHの言葉を疑うべき事情があったとはいえない。 そうすると,Lにおいては,平成24年3月6日以降,勤務先である破産会社の代表者らに対し,Hがてんかん発作のため自動車の運転ができないことが伝達され,Hは自動車を運転する業務から外れたと認識していたといえる。 ⑶ Lの作為義務について 前記⑵のLの認識を前提とした場合,平成24年3月6日以降,Hが勤務先の指示で自動車を運転する事態は避けられたこととなるから,同日以降,Lが,自分がHの勤務先に直接通報しなくても,Hが勤務先の業務として自動車を運転することによって他人の生命身体等に危害が及ぶ事態は生じないと判断したとしても,その判断は不合理とはいえない。そして,被用者であり,てんかん患者本人であるHから,「勤務先に対し,てんかん発作で自動車の運転ができないことを伝えた結果,勤務先では,自動車の運転の業務はしなくてよいことになった。」旨告げられた家族としては,脳挫傷の後遺症で理解力・記憶力にはやや難があったものの,会社勤めができる程度の判断力を有する30歳のHを差し置いて,Hの雇用主である破産会社に対し,Hに自動車の運転をさせると危険であることを直接通報しなければならない法的義務があるとまではいえない。 ⑷ 小括したがって 断力を有する30歳のHを差し置いて,Hの雇用主である破産会社に対し,Hに自動車の運転をさせると危険であることを直接通報しなければならない法的義務があるとまではいえない。 ⑷ 小括したがって,Lの運転制止義務違反を理由とする原告Aの請求は,理由がない。 4 被告Aの請求-Lの民法714条類推適用による責任(争点⑴イ ⑴ 民法714条は,責任無能力者が加害行為について責任を負わない場合に,法定の監督義務者の監督義務違反が推定され,法定の監督義務者が,原則として損賠賠償責任を負うという制度である。また,原告Aが引用する平成28年最高裁判決も,責任無能力者が加害行為について責任を負わない場合に,法定の監督義務者に該当しない者であっても,監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には,衡平の見地から法定の監督義務を負う者と同視してその者に対し民法714条の類推適用により損害賠償責任を問うことができるとするものである。 ⑵ Hは,本件事故発生時にてんかん発作により意識を喪失していたものの,前記2⑴のとおり,Hには自動車の運転を開始したことにおいて過失があり, 運転開始時点では「自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態」にあったとはいえず,民法714条にいう「責任無能力者」には当たらない。したがって,Hの加害行為については,同条の類推適用の基礎を欠くというべきである。 ⑶ 小括したがって,原告Aの民法714条類推適用による責任に基づく請求は,理由がない。 5 原告Aの請求-被告Eの運転制止義務(勤務先通報義務)違反の有無(争点⑴ウ ⑴ 被告EのHの病状についての認識前記2⑴アのとおり,Hは,本件事故当時,自動車の運転中にてんかんの発作により意識障害が生じ,自動車を制御することができなくなり 義務)違反の有無(争点⑴ウ ⑴ 被告EのHの病状についての認識前記2⑴アのとおり,Hは,本件事故当時,自動車の運転中にてんかんの発作により意識障害が生じ,自動車を制御することができなくなり,他人の生命,身体等に損害を与える危険がある病状であった。 そして,前記1⑴ウのとおり,被告Eの妻であるLは,Hの通院に付き添って医師の説明を聞くことが多く,Hの病状を把握していたところ,被告Eは,平成15年事故当時からH及びLと同居し,Hが脳挫傷の影響で医師から車の運転を禁止されていたことを知っていたこと,平成24年3月3日に発作が起きたときも意識喪失の発作を現認したことが認められる。 したがって,被告Eにおいても,少なくとも同日頃以降は,Hに自動車を運転させると,てんかん発作の意識障害により自動車を制御できない状態となり他人の生命身体等に損害を与える危険のある病状であることを認識していたといえる。 ⑵ 被告EのHの勤務先での自動車運転についての認識前記3⑵のとおり,被告Eの妻であるLは,平成21年2月頃以降,Hが,勤務先から業務として指示されて自動車を運転する可能性があると認識していた。また,前記1⑵ウのとおり,被告Eは,Hが持っていた鍵の束に車の 鍵が含まれていたことから,勤務先で自動車を運転しているのではないかと懸念し,Lに相談したことがあった。また,被告Fの本件事故後の発言(1⑸イ)からは,被告Eを含むHの家族全員が,Hが勤務先で自動車を運転していることを知り,憂慮していたことが窺える。以上からすれば,平成24年3月頃,被告Eは,Hが勤務先で自動車を運転する可能性があることを認識していたといえる。これに反する陳述等(丙3ないし6,被告E本人)は,前記1⑵ウ,1⑶ウ,1⑸イで摘示した各証拠と対比して採用できない。 ,被告Eは,Hが勤務先で自動車を運転する可能性があることを認識していたといえる。これに反する陳述等(丙3ないし6,被告E本人)は,前記1⑵ウ,1⑶ウ,1⑸イで摘示した各証拠と対比して採用できない。 他方で,平成24年3月6日,Hが,Lに対し,「勤務先の代表者である被告Gに対し,自分のてんかんの病状を伝え,その結果,自動車の運転をしなくてよい内勤に替えてもらった。」旨述べた事実が認められることは,前記3⑵で説示したとおりである。そして,本件事故までに,被告Eがこの事実を聞いて,「被告Gは,Hの病状を知りHを自動車の運転から外した。」と認識していたことは,本件事故発生直後に,被告Eが,被告Gに対し,Hに自動車の運転をさせたことを責める言葉を浴びせて怒鳴った事実(1⑸ア)からも認めることができる。 そうすると,被告Eにおいては,平成24年3月6日以降,「勤務先である破産会社の代表者らに対し,Hがてんかん発作のため自動車の運転ができないことが伝達され,Hは自動車を運転する業務から外れた。」と認識していたといえる。 ⑶ 作為義務について被告Eが,平成24年3月6日以降,前記⑵のとおり認識していた場合,前記3⑶においてLについて判断したのと同様に,被告Eが,Hが勤務先で自動車を運転することはなくなり,Hが業務として自動車を運転することによる他人の生命身体等に危害が及ぶ事態は避けられたと判断しても不合理とはいえない。したがって,前記3⑶で判示したのと同様の理由で,被告Eには,破産会社に対し,Hに自動車の運転をさせると危険であることを直接通 報すべき法的義務があったとはいえない。 ⑷ 小括したがって,被告Eの運転制止義務違反を理由とする原告Aの請求は,理由がない。 6 原告Aの請求-被告Eの民法714条類推適用による責任 報すべき法的義務があったとはいえない。 ⑷ 小括したがって,被告Eの運転制止義務違反を理由とする原告Aの請求は,理由がない。 6 原告Aの請求-被告Eの民法714条類推適用による責任(争点⑴ウ Hの加害行為について同条類推適用の基礎を欠くことは,前記4のとおりであり,原告Aの同条類推適用による責任に基づく請求は理由がない。 7 原告Aの請求―Hに運転をさせない義務違反の有無(争点⑴エ)⑴ 被告GのHの病状についての認識ア前記1⑵によれば,被告Gが,破産会社がHを雇用してから間もなく,Hが大学時代の交通事故により脳挫傷を負ったことを知った事実,Hが有名大卒であるのに著しく理解力・記憶力が劣る様子であったため,脳挫傷による後遺症の存在を疑っていた事実,そのため,平成23年秋,Hに対し後遺症がない旨の診断書の提出を要求したり,HのいないところでHの通院先の病院へ電話し主治医への面談を申し込んだりした事実を認めることができる。 しかし,被告Gが懸念し,関心を寄せていたのは,理解力や記憶力が劣る様子を示していたHに対し,破産会社の事業の中核であった地方の小売店に対する藍染め製品の販売活動を任せられるかといった点であり,被告Gは,Hのてんかん発作をその予兆も含めて見聞きしたことはなく(1⑵エカ),平成22年にHの発作を見た女性従業員が,被告Gに発作のことを伝えた事実も,窺うことはできない(1⑵オ)。また,Hの通院先の病院からは,Hが同行していないと病状について教えられない旨言われたため,被告GはHの病状を聞くことはできなかった(1⑵カ)。 イところで,平成24年3月6日,帰宅したHが,Lに対し,「被告Gに対し,自分のてんかんの病状を伝え,その結果,自動車の運転をしなく てよい内勤に替えてもらった かった(1⑵カ)。 イところで,平成24年3月6日,帰宅したHが,Lに対し,「被告Gに対し,自分のてんかんの病状を伝え,その結果,自動車の運転をしなく てよい内勤に替えてもらった。」旨述べた事実が認定できることは,前記3⑵で説示したとおりである。そして,前記1⑶ウによれば,Hは,同日(てんかんの発作を起こした日の翌々日)に「一昨日の自分のこと」を被告Gらに話した旨日報に記載しているから,同月6日に,Hが,被告Gに対し,てんかん発作のことや自動車の運転ができないことを伝えた可能性が指摘できる。また,被告Gは,捜査機関に対し,前記日報のHの話に関し,よく覚えていないとか,Hが両親相手に藍談義の練習をしたら,被告Eがなぜか急に怒ったという話であったように思う等,曖昧な供述をしており(甲32の12p9038,甲32の20p3~7),必ずしも得心のいく説明はしていない。 しかしながら,前記日報の記載は「一昨日の自分のこと」といった抽象的なものであり,Hが平成15年事故の脳挫傷の後遺症で意識障害を伴うてんかん発作が起き得る病状であるとか,これまで業務として勤務先の自動車を運転してきたが,実は医師からは運転を禁止されていたとか,服薬では発作を管理できておらず,医師からいつでも発作が起きると言われたとか,深刻かつ重大な事実が含まれていることは窺われない。そして,前記1⑵アイカ,1⑶アによれば,被告GがHの担当業務として期待していたのは,地方の小売店での藍染め製品の販売活動等をそつなく行うことであり,自動車を運転して配達等を行う業務は必須ではなかったと認められるから,Hから病状の説明を受けた場合,あえてHに業務として自動車を運転させる動機には乏しかったといえる。さらに,Hにとって,破産会社は,大学卒業後初めて3年以上勤めることが ではなかったと認められるから,Hから病状の説明を受けた場合,あえてHに業務として自動車を運転させる動機には乏しかったといえる。さらに,Hにとって,破産会社は,大学卒業後初めて3年以上勤めることができた職場であり,その勤務先を失いたくないため又は勤務先で不利益を受けたくないため,勤務先にてんかんの病状を秘匿する動機があり,他方で,病状をHの勤務先に直接伝えると言うLの行動を抑えるために「被告Gに,自分のてんかんの病状を伝え,その結果,自動車の運転をしなくてよい内勤に替えてもらっ た。」等の嘘をつく動機もあった。そして,破産会社には内勤・外勤といった区分はなかったから,Hの発言内容の真実性は疑わしい。また,Hが述べた「被告Gが要求した一筆」の件は,Lらにとっては趣旨不明のまま立ち消えになっていることから,真実被告Gが要求したものであるとは認め難い(「被告Gが要求した一筆」の件は,被告GがHに要求していた後遺症がないことの診断書の件をHが変容させたものであることが窺われる。)。 以上からすれば,Hが,Lによる勤務先への直接通報を抑え,失職や職場での不利益を回避する目的で,Lに対し,「被告Gに対し,自分の病状を伝え,自動車を運転しなくてよい内勤になった。」旨虚偽の事実を述べた可能性が十分にあり,その可能性は否定し難いというべきである。 ウその他,本件全証拠に照らしても,被告Gが,本件事故時までに,Hがてんかんであること,及び,てんかん発作の意識障害により自動車を制御できない状態となる可能性があることを知っていた事実は認めることはできない。 ⑵ 作為義務について前記⑴ウのとおり,被告Gが,本件事故時までに,Hがてんかんであることを知っていた事実は認め難いから,被告Gに,Hに自動車の運転をさせない義務があったとはいえ できない。 ⑵ 作為義務について前記⑴ウのとおり,被告Gが,本件事故時までに,Hがてんかんであることを知っていた事実は認め難いから,被告Gに,Hに自動車の運転をさせない義務があったとはいえない。 ⑶ 小括したがって,原告Aの被告Gに対する運転をさせない義務違反を理由とする請求は,理由がない。 8 原告Aの請求-破産会社の自賠法3条の責任又は使用者責任(争点⑴オ)前記第2の2⑴ウのとおり,Hは,本件事故当時,破産会社に雇用され,破産会社の業務として,破産会社が所有する本件車両を運転中に本件事故を起こした。したがって,破産会社の自賠法3条に基づく責任又は破産会社の使用者 責任は,いずれもその成立要件を満たす。 9 原告Aの請求-損害額(争点⑴カ)⑴ Iの死亡損害ア治療関係費 20万6820円Iの治療費として20万6820円を要したことが認められる(甲22,24,乙A1)。 イ逸失利益 1641万2497円I(本件事故当時62歳)は,本件事故当時,むら田で勤務し,平成23年の年収は249万6000円であった(甲23)。Iは,本件事故がなければ,むら田の定年である65歳(調査嘱託の結果)に達するまでの3年間,むら田で勤務し,少なくとも同額の収入を得ていたと認められる。 また,むら田を定年退職した後も,Iにはいまだ労働能力,労働の意欲及び就労可能性があったと推認できるから,本件事故による死亡時から平均余命までの約26.51年間(平成24年簡易生命表)の約2分の1である13年間(75歳まで。対応するライプニッツ係数は9.3936である。)は就労する蓋然性があった。そして,賃金センサス産業計,企業規模計, 約26.51年間(平成24年簡易生命表)の約2分の1である13年間(75歳まで。対応するライプニッツ係数は9.3936である。)は就労する蓋然性があった。そして,賃金センサス産業計,企業規模計,女性労働者の年齢別賃金・学歴別賃金と対比した場合,75歳まで前記と同額程度の収入が得られた蓋然性がある。また,本件事故当時は,当時独身であった息子の原告Aと2人で暮らしていたことに照らし,生活費控除率は30%とするのが相当である。 2,496,000円×9.3936×(1-0.3)= 16,412,497円ウ死亡慰謝料 2500万円証拠(甲23,28)によれば,Iは,平成3年に夫を亡くしてから,会社勤めのかたわら,認知症の母親の介護や子である原告Aの世話を一人で担っていたところ,母の介護を終え,原告Aが就職し,自らの人生を楽しみ始めた矢先,本件事故により突然命を奪われたことが認められる。本 件事故は,破産会社の被用者が,てんかんの服薬はしていたものの,医師から,てんかん発作による意識喪失の危険があり,自動車の運転を禁止されていたのに,業務として自動車の運転をし,運転中にてんかん発作を起こし,制御不能となった本件車両が交差点を通過しつつ,次々と歩行者らをはねたという危険極まりない事故であり,歩行していたIには何らの落ち度もなかった。 以上の事情を考慮し,Iの死亡慰謝料は2500万円が相当と認める。 エ葬儀関係費 150万円本件事故と相当因果関係のある葬儀費用としては,150万円を認める。 オ既払金(第2の2⑹のとおり) ▲861万4530円カ既払金控除後の損害額 3450万4787円キ弁護士費 のある葬儀費用としては,150万円を認める。 オ既払金(第2の2⑹のとおり) ▲861万4530円カ既払金控除後の損害額 3450万4787円キ弁護士費用 360万円本件事案の難易,事案解明の困難性,審理期間及び認容額(後記⑵の原告A固有分も含む。)等に鑑みれば,本件事故と相当因果関係を有する弁護士費用としては360万円が相当である。 ク合計 3810万4787円⑵ 原告Aの固有の慰謝料200万円原告Aにとっては,長年頼りにしていた母であり,本件事故当時も2人で暮らしていたことを考慮すると,前記金額を下回ることはない。 ⑶ I及び原告A固有の損害の合計前記⑴⑵を合計すると4010万4787円となる。 ⑷ 小括原告Aは,破産会社に対し,自賠法3条に基づく損害賠償請求権として4010万4787円及びこれに対する不法行為日である平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を有している。使用者責任においても賠償すべき範囲には変わりがなく,自賠法3条とは選択的関係 にある。したがって,原告Aの破産会社に対する債権は前記した範囲となる。 原告Bらの請求Lの義務違反)については,前記3及び4において,争点⑵イ被告Eの義務違反)については,前記5及び6において,争点⑵ウ(被告Gの義務違反)については,前記7においてそれぞれ判断したとおりである。 るまでもなく,原告Bらの請求はいずれも理由がない。 原告Dの請求Lの義務違反)については,前記3及び4において,争点⑶イ被告Eの義務違反)については,前記5及び6において,争点⑶ウ(被 。 るまでもなく,原告Bらの請求はいずれも理由がない。 原告Dの請求Lの義務違反)については,前記3及び4において,争点⑶イ被告Eの義務違反)については,前記5及び6において,争点⑶ウ(被告Gの義務違反)については,前記7においてそれぞれ判断したとおりである。 エ)を判断するまでもなく,原告Dの請求はいずれも理由がない。 12 結論以上より,原告Aの被告管財人に対する請求は,原告Aが破産会社に対し4010万4787円及びこれに対する不法行為日である平成24年4月12日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の破産債権を有することを確定する限度で理由があるからこれを認容し,原告Aのその余の請求並びに原告Bら及び原告Dの各請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 京都地方裁判所第4民事部 裁判長裁判官伊 藤 由紀子 裁判官山中耕一 裁判官伊藤祐貴

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